説明

折り畳み積層体の搬送方法及びその搬送設備

【課題】折り畳み積層体の最上位のシートの折り返し部分での浮き上がりやめくれ防止可能な折り畳み積層体搬送方法及びその搬送設備を提供する。
【解決手段】複数枚のシートを折り畳みながら積み重ねるように形成した折り畳み積層体1を搬送するコンベア3を備えた搬送設備であって、コンベア3の上方及び下方に、静電気発生装置の静電気帯電用電極2A,2Aをそれぞれ対応するように配設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ティッシュペーパー、ペーパータオル等の複数枚のシートを折り畳みながら積み重ねるように形成した折り畳み積層体の搬送方法及びその搬送設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ティッシュペーパー、ペーパータオル等の複数枚のシートを折り畳みながら積み重ねるように形成した折り畳み積層体(バンドル)は、袋や箱等の取出し口より1枚ずつ取出し可能で、かつ取出した後に、次のものの一部が取出し口より引き出されるように、一部が重合するようにして順次折り重ねられている。これら折り畳み積層体は、インターフォルダにより製造され、そして、(折り畳み積層体の)幅方向に所定の間隔をおいてカット(スリット)され、その後、搬送され、箱詰め等の処理を経てティッシュペーパー等の製品となる。
ここで、一般的な折り畳み積層体の搬送設備は、インターフォルダにより製造された折り畳み積層体を載置して搬送するコンベアと、このコンベアの下流に接続され、折り畳み積層体を90°回転させつつ載置して搬送するカートナーローダー部と、を備えており、折り畳み積層体は、まず、コンベアによってその長手方向に沿って搬送され、続いて、カートナーローダー部によってその幅方向に沿って搬送され、その後、箱詰め等の加工がなされる(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平5−178317号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、折り畳み積層体をコンベアやカートナーローダー部で搬送する際、風や空気の流れにより最上位のシートが折り返し部分で浮き上がったり、めくれてしまったりすることがある。
この状態で箱詰め等の処理を行うと、最上位のシートが箱内等に皺になった状態で収納されたり、箱内等からシートの取出しができないという問題があった。
また、この問題は、生産スピードを上げると発生しやすいため、生産性悪化の要因にもなっている。
そこで、本発明の主たる課題は、折り畳み積層体の最上位のシートの折り返し部分での浮き上がりやめくれ防止可能な折り畳み積層体搬送方法及びその搬送設備を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決した本発明は、次のとおりである。
<請求項1記載の発明>
請求項1記載の発明は、複数枚のシートを折り畳みながら積み重ねるように形成した折り畳み積層体を帯電させ、その状態で搬送する、
ことを特徴とする折り畳み積層体搬送方法である。
【0005】
(作用効果)
例えば、折り畳み積層体の上方はプラスに帯電させ、下方はマイナスに帯電させることにより、静電気により折り畳み積層体のシート相互が静電吸着される。その結果、コンベアや後述するカートナーローダー部で搬送される際の風や空気の流れによる最上位のシートの折り返し部分の浮き上がりやめくれを防止することができる。
これにより、折り畳み積層体の箱詰めでの取出し不良等を防止することができ、また、生産スピードを向上させることができる。
【0006】
<請求項2記載の発明>
請求項2記載の発明は、複数枚のシートを折り畳みながら積み重ねるように形成した折り畳み積層体を搬送するコンベアを備えた搬送設備であって、
コンベアの上方及び下方に、静電気発生装置の静電気帯電用電極をそれぞれ対応するように配設した、
ことを特徴とする折り畳み積層体搬送設備である。
【0007】
<請求項3記載の発明>
請求項3記載の発明は、複数枚のシートを折り畳みながら積み重ねるように形成した折り畳み積層体を搬送するコンベアを備えた搬送設備であって、
コンベアの上方又は下方の一方に静電気発生装置の静電気帯電用電極を配設し、他方に前記静電気帯電用電極に対応するように電気伝導体を配設した、
ことを特徴とする折り畳み積層体搬送設備である。
【0008】
(作用効果)
コンベアの上方及び下方に、静電気発生装置の静電気帯電用電極をそれぞれ対応するように配設することで、例えば、折り畳み積層体の上方はプラスに帯電させ、下方はマイナスに帯電させることにより、静電気により折り畳み積層体のシート相互が静電吸着される。その結果、コンベアや後述するカートナーローダー部で搬送される際の風や空気の流れによる最上位のシートの折り返し部分の浮き上がりやめくれを防止することができる。
これにより、折り畳み積層体の箱詰めでの取出し不良等を防止することができ、また、生産スピードを向上させることができる。
また、コンベアの上方又は下方の一方に静電気発生装置の静電気帯電用電極を配設し、他方に前記静電気帯電用電極に対応するように電気伝導体を配設することによっても、上記作用効果を奏することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、折り畳み積層体の最上位のシートの折り返し部分で浮き上がりやめくれ防止できる等の利点がもたらされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
折り畳み積層体1は、例えば、ティッシュペーパー、ペーパータオル等のバンドルのように、複数枚の紙や繊維等からなるシートをジグザグ状又はZ字状に折り畳み、隣接するシートの側端部相互が掛け合わされ、製品使用時において、最上位のシートを引き取ると次のシートが引き出されるようになるように積み重ねて形成したものである。
【0011】
本発明に係る折り畳み積層体1の搬送設備は、インターフォルダにより製造され、かつまだ箱詰めされていない状態である折り畳み積層体1の搬送中に、この折り畳み積層体1における最上位のシートの折り返し部分の浮き上がりやめくれを防止するための装置(以下、「浮き上がり防止装置」という)を備えている。
【0012】
折り畳み積層体1は、正常な状態では、図1(1)に示すように、最上位のシートの端縁が上面の略中央にあるときである。その幅方向に沿って搬送されるときに、図1(2)及び(3)に示すように、最上位のシートの折り返し部分の浮き上がりやめくれが生じやすい。そのため、図2に示すように、折り畳み積層体1を長手方向に沿って搬送するコンベア3よりも、幅方向に沿って搬送するカートナーローダー部4(折り畳み積層体が90°回転する部分)でシートの浮き上がりが最も生じやすい。したがって、浮き上がり防止装置は、カートナーローダー部4の上流で、手前側に設けられたコンベア3に設けることが好適である。
【0013】
浮き上がり防止装置の第1の実施の形態は、静電気発生装置から構成される。図3に示すように、この第1の実施の形態における静電気発生装置の静電気帯電用電極2A,2Aは、折り畳み積層体1が載置され搬送されるコンベア3の上方と下方に、それぞれ対応するように設けられている。折り畳み積層体1は、その長手方向が進行方向と一致するコンベア3上に載置されており、静電気帯電用電極2A,2Aもこれに対応してその長手方向がコンベア3の進行方向になるように配設されている。
【0014】
この静電気帯電用電極2Aは、高電圧発生装置(図示せず)に接続されており、電極2Aに電圧が印加される。電圧が印加されたそれぞれの静電気帯電用電極2A,2Aによって、例えば、折り畳み積層体1の上方はプラスに帯電させ、下方はマイナスに帯電させることにより、静電気により折り畳み積層体のシート相互が静電吸着される。その結果、コンベア3や後述するカートナーローダー部4で搬送される際の風や空気の流れによる最上位のシートの折り返し部分の浮き上がりやめくれを防止することができる。帯電電圧は、それぞれ30kv以上とすることが好適である。また、帯電させる極性はプラス・マイナスのどちらでもよい。折り畳み積層体1に帯電させる時間は、コンベア3の搬送速度や静電気帯電用電極2Aの長さに規定されるが、好適には折り畳み積層体1つ当り0.20秒以上である。なお、折り畳み積層体1の上方をマイナスに帯電させ、下方をプラスに帯電させてもよい。
【0015】
浮き上がり防止装置の第2の実施の形態として、図4に示すように、静電気発生装置を上方又は下方のどちらか一方のみに設置して、他方に鉄板等の導体(電気伝導体)2Bを設置してもよい。この場合、電圧が印加された静電気帯電用電極2Aと導体2Bとの関係によって、例えば、折り畳み積層体1の上方はプラスに帯電させ、下方はマイナスに帯電させることにより、折り畳み積層体のシ−ト相互を密着させるようにしてもよい。なお、折り畳み積層体1の上方をマイナスに帯電させ、下方をプラスに帯電させてもよい。
【0016】
従来、生産スピード(浮き上がりやめくれが発生する、カット後の積層体を搬送するコンベアのスピード)115m/分で、最上位のシートの折り返し部分の浮き上がり等の異常が発生し生産性が悪化していたが、本発明に係る浮き上がり防止装置を設け、折り畳み積層体1を帯電させ、その状態でコンベアに載置して搬送することにより、生産スピード184m/分以上でも異常が発生せず、品質を確保できるため、生産性が格段に向上させることができる(60%向上)。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】折り畳み積層体の良・不良のサンプル例を説明するための概略図である。
【図2】本発明に係る折り畳み積層体搬送設備の平面概略図である。
【図3】本発明に係る浮き上がり防止装置の第1の実施の形態の概略図である。
【図4】本発明に係る浮き上がり防止装置の第2の実施の形態の概略図である。
【符号の説明】
【0018】
1…折り畳み積層体、2A…静電気帯電用電極、2B…導体(電気伝導体)、3…コンベア、4…カートナーローダー部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚のシートを折り畳みながら積み重ねるように形成した折り畳み積層体を帯電させ、その状態で搬送する、
ことを特徴とする折り畳み積層体搬送方法。
【請求項2】
複数枚のシートを折り畳みながら積み重ねるように形成した折り畳み積層体を搬送するコンベアを備えた搬送設備であって、
コンベアの上方及び下方に、静電気発生装置の静電気帯電用電極をそれぞれ対応するように配設した、
ことを特徴とする折り畳み積層体搬送設備。
【請求項3】
複数枚のシートを折り畳みながら積み重ねるように形成した折り畳み積層体を搬送するコンベアを備えた搬送設備であって、
コンベアの上方又は下方の一方に静電気発生装置の静電気帯電用電極を配設し、他方に前記静電気帯電用電極に対応するように電気伝導体を配設した、
ことを特徴とする折り畳み積層体搬送設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−74557(P2008−74557A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−255683(P2006−255683)
【出願日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】