説明

折曲げ装置

【課題】本発明は、樹脂板を、幅方向において均一且つ所定の角度に精度良く折曲げることができる折曲げ装置を提供する。
【解決手段】可撓性を有する樹脂板の折曲げ端部を突出させて固定する曲げ型31と、樹脂板を曲げ型31のウェッジ部35aに沿って所定の角度に塑性変形するように折曲げる折曲げ機構部32と、から成る折曲げ装置3であって、折曲げ機構部32は、ウェッジ部35aに対して平行に対峙する曲げローラ37と、曲げローラ37を自由回転自在に支持するローラホルダ38と、ローラホルダ38を介して、曲げローラ37をウェッジ部35aに倣って移動させて折曲げ動作させる曲げ動作機構34と、ローラホルダ38と曲げ動作機構34との間に介設され、折曲げ動作において、ウェッジ部35aに対し倣い姿勢を維持するように曲げローラ37を支持する自在支持機構39と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可撓性基板等の樹脂板を所定の角度で均一且つ高精度に折曲げる折曲げ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のシート折曲げ装置は、小さな曲げ径(大きな曲率)によって所定の曲げ角度(折曲げ後の樹脂シートの為す角)まで曲げることを目的として改良が進められ、例えば、樹脂シートを、固定型の一辺に沿って折曲げ部材を用いて折曲げる装置が知られている。このシート折曲げ装置は、上型と下型からなる固定型と、折曲げ部材とを備えており、固定型に樹脂シートの一端を挟み、固定型に対して折曲げ部材を相対的に昇降駆動させ、折曲げ部を剪断力によって固定型の一辺に沿って、曲げの前後の平面同士の為す角度が略90°に至るまで折曲げる工程(第1段階)と、折曲げ部材を固定型に沿って回動させることにより、90°を超える角度まで折曲げる工程(第2段階)と、を連続して行うことによって、一の装置で樹脂シートを効率よく鋭角に折曲げることができる(特許文献1)。
【特許文献1】特開2006−255953号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記の従来の折曲げ装置では、固定型に固定された樹脂シートに対して、固定型に設置されている棒状の折曲げ部材を平行に回動させて折曲げるため、曲げ部材が基材に接する部分と接しない部分とが生じる。これによって、折曲げ装置の製造上の精度や組付け精度、或いは基材の厚さ精度により、樹脂シートの幅方向に対し均一に曲げ力を作用させることができず、樹脂シートの幅方向において曲げの角度や曲率が不均一になる問題があった。
【0004】
本発明は、樹脂板を、幅方向において均一且つ所定の角度に精度良く折曲げることができる折曲げ装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の折曲げ装置は、可撓性を有する樹脂板の折曲げ端部を突出させて固定する曲げ型と、樹脂板を曲げ型のウェッジ部に沿って所定の角度に塑性変形するように折曲げる折曲げ機構部と、から成る折曲げ装置であって、折曲げ機構部は、ウェッジ部に対して平行に対峙する曲げローラと、曲げローラを自由回転自在に支持するローラホルダと、ローラホルダを介して、曲げローラをウェッジ部に倣って移動させて折曲げ動作させる曲げ動作機構と、ローラホルダと曲げ動作機構との間に介設され、折曲げ動作において、ウェッジ部に対し倣い姿勢を維持するように曲げローラを支持する自在支持機構と、を備えたことを特徴とする。
【0006】
この構成によれば、曲げローラが樹脂板を介して曲げ型を均一に押圧することから、折曲げ動作に際して樹脂板を均一に曲げ型に倣わせ、樹脂板において曲げローラが接した部分と接しない部分とが生じることを防ぐことができる。これによって、樹脂板の幅方向に対し均一に曲げ力を作用させることができ、樹脂板の幅方向における曲げの角度や曲げの曲率を均一にすることができる。
【0007】
この場合、自在支持機構は、曲げローラがその軸線方向に円弧運動するように、ローラホルダを回動自在に支持する回動支軸と、回動支軸を介して曲げローラを支持する支持部材と、を有していることが好ましい。
【0008】
同様に、曲げ動作機構は、自在支持機構を支持するヘッドベースを有し、ヘッドベースは、支持部材を介して、曲げローラを曲げローラの軸線に直交する直交軸廻りに回転自在に支持していることが好ましい。
【0009】
これらの構成によれば、曲げローラは、その軸線方向に円弧運動自在に、且つ軸線に直交する直交軸廻りに回転自在に構成され、3次元的に首振り自在となる。このため、曲げローラは、樹脂板を挟んでウェッジ部の接線方向、すなわち押圧方向に対し首振り自在に挙動し、摺接する樹脂板をその幅方向において均一に押圧する。これにより、樹脂板を曲げ型に精度良く倣わせることができる。すなわち、目標角度に折曲げられるだけでなく、折曲げ線における曲げ径が小さいシャープな折曲げを可能にする。なお、曲げローラを3次元的に首振り自在とする自在支持機構を、機構学上の自在継手で構成するようにしてもよい。
【0010】
この場合、自在支持機構は、ローラホルダとヘッドベースとの間に介設され、ローラホルダを介して曲げローラを中立位置に復帰させる一対の復帰ばねを、更に有していることが好ましい。
【0011】
この構成によれば、復帰ばねによって、首振り自在な曲げローラを中立位置に位置規制することができ、曲げローラの首振り動作をこの中立位置から開始させ且つ終了時に中立位置に戻すことができる。したがって、首振り自在な曲げローラの無用なふらつきを防止することができる。
【0012】
この場合、曲げ動作機構は、ウェッジ部に対し曲げローラを相対的に進退させる進退動作機構と、進退動作機構を介して曲げローラを、進退方向に直交する曲げ方向に相対的に移動させる横移動機構と、を有していることが好ましい。
【0013】
この構成によれば、進退動作機構によって目標角度に折曲げるために適切な位置に曲げローラを配置させることができ、折曲げ線の位置において、横移動機構によってシャープな曲げ角度で均一に折曲げることができる。
【0014】
前記樹脂板が回路基板であることが好ましい。
【0015】
この構成によれば、一部をシャープな曲げ角度で均一に折曲げた回路基板を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、添付の図面を参照して、本発明の実施形態に係る折曲げ装置について説明する。この折曲げ装置は、例えばインクジェットヘッドの製造において、圧電素子を駆動するための駆動回路が実装されている2枚のCOF基板(Chip On Film)を、板状部材の両側側面部に接着させるために、所定の角度(90°)に折曲げるものである。そこで先ず、インクジェットヘッドの構成について簡単に説明する。
【0017】
図1および図2に示すように、インクジェットヘッド1は、吐出ノズル16が穿設されたノズルプレート11と、複数の圧力室11aが形成された流路形成基板12と、圧電素子19を保護する保護基板13と、流路形成基板12および保護基板13に連通する共通室17を封止するシール基板14と、インクジェットヘッド1の外装を為すヘッドケース15と、を下側から順に積層して構成されている。また、このインクジェットヘッド1には、ヘッドケース15および保護基板13を貫通して流路形成基板12上に立設するように、ヘッド基板2が組み込まれている。ヘッド基板2は、圧電素子19を駆動させるための駆動回路25が実装された一対のCOF基板22(フィルム基板)を、ベースプレート21の両側面に接着されて成り、一対のCOF基板22の下部折曲げ部分(後述する導通部27)が、流路形成基板12上の電極(後述するリード電極18)に導通している。
【0018】
ノズルプレート11は、ステンレス等で形成され、流路形成基板12の一方の面に接着剤等によって接着されている。また、ノズルプレート11のノズル面には、複数の吐出ノズル16が等ピッチで穿設されており、複数の吐出ノズル16は、相互に平行に列設された2列のノズル列を構成している。
【0019】
流路形成基板12は、隔壁によって区画された複数の圧力室11aが、複数の吐出ノズル16に対応するように幅方向に相互に平行に2列並設されている。流路形成基板12の長手方向外側の領域には、図外の機能液供給装置から供給された機能液を貯留する共通室17が形成されており、各圧力室11aと共通室17とは、それぞれ供給路11bを介して連通している。なお、共通室17は、保護基板13と連通しており、ヘッドケース15に設けられた機能液導入口14aを介して機能液供給装置からの機能液の供給を受ける。
【0020】
保護基板13は、流路形成基板12側から順に、弾性膜12a、絶縁体膜12bを介して流路形成基板12に連結されている。絶縁体膜12b上には、複数の圧力室11aに対応する数の圧電素子19が形成されており、保護基板13には、厚さ方向に貫通する貫通孔12cが形成されると共に、各圧電素子19を収容するための機構部12dが内側に凹設されている。各圧電素子19には、リード電極18の一方の端部が接続されており、リード電極18の他方の端部は、貫通孔12c内に露出するように延設している。このリード電極18の他方の端部には、上記したヘッド基板2(正確には各COF基板22の導通部27)が接続されるようになっている。そして、圧電素子19に電圧を印加して絶縁体膜12b(および弾性膜12a)を変形させることで、圧力室11aの体積変化を利用して共通室17から機能液を導入すると共に、吐出ノズル16から機能液滴を吐出する。
【0021】
ヘッドケース15は、保護基板13側から順に、封止膜13a、固定板13bとから成るシール基板14を介して保護基板13に連結されている。この封止膜13aによってのみ共通室17が封止されている。ヘッドケース15には、保護基板13に設けられた貫通孔12cと連通するヘッド基板保持孔14bが設けられており、ヘッド基板2は、ヘッド基板保持孔14b内に挿通されて接着剤(異方性導電ペースト)を介してリード電極18と接続されている。
【0022】
ヘッド基板2は、ステンレス製の板状部材であるベースプレート21と、ベースプレート21の両側面に両面粘着テープ23により貼付された一対のCOF基板22と、から構成されている。各COF基板22は、圧電素子19を駆動させるための駆動回路25と、駆動回路25が実装されると共に、ベースプレート21に接着される平板状の基板本体26と、基板本体26から「L」字状に屈曲する導通部27と、を備えている。両側面に貼付された一対のCOF基板22は、導通部27の先端部が内向きに対峙するように、且つベースプレート21の下端面に沿うように配置されている。ベースプレート21は、各COF基板22の先端部を下にして流路形成基板12上に突き当てられており、この状態で一対のCOF基板22が、接着剤(異方性導電ペースト)を介してリード電極18に接続される。
【0023】
次に、図3および図4を用いて本実施形態に係る折曲げ装置3について説明する。この折曲げ装置3は、上述した通り、COF基板22の基板本体26と導通部27とをその境界部(折曲げ線)においてL字状に折曲げるものであり、具体的には、COF基板22の先端部の約0.5mmを90°に精度良く塑性変形させるための装置である。
折曲げ装置3は、COF基板22の先端部(導通部27)を突出させて挟持固定する曲げ型31と、曲げ型31のウェッジ部35aに倣わせるように倣い動作を行う曲げローラ37を有するヘッドユニット33と、ヘッドユニット33を進退運動および横移動させることによって折曲げ動作させる曲げ動作機構34とから構成されている。請求項で言う折曲げ機構部32は、ヘッドユニット33と、曲げ動作機構34とから成る。なお、図3および図4において、紙面の上下をZ軸方向(上下方向)、図3における左右、すなわち曲げローラ37の軸線方向をX軸方向、図4における左右をY軸方向として、以降の説明をすすめることとする。
【0024】
曲げ型31は、曲げ角度57a(図5)に応じた角度を為すウェッジ部35aを有する上型35と上型35に平行に設置された下型36とから成り、上型35と下型36とが協働してCOF基板22を挟持固定する。上型35のウェッジ部35aの為す角度は、COF基板22の目標角度57(本実施形態では90°)によって決められる。可撓性を有するCOF基板22を90°に塑性変形させるためには、弾性限界を見越してウェッジ部35aが90°よりも鋭角に形成されていることが必要である。一方、下型36は、COF基板22を挟持固定する際に、実装されている駆動回路25が逃げる駆動回路配置溝36aを設けている(図4)。COF基板22は、基板本体26と導通部27の境界部を折曲げ線として、ウェッジ部35aの先端部に沿って、すなわち導通部27に相当する部分をウェッジ部35aの先端からZ軸方向(下方)に突出させてセットされ、上型35と下型36とで挟持固定される。
【0025】
ヘッドユニット33は、曲げ型31のウェッジ部35aに対して平行(X軸方向)に対峙する曲げローラ37と、曲げローラ37を自由回転自在に支持するローラホルダ38と、ローラホルダ38を介して曲げローラ37を首振り自在に支持する自在支持機構39とから構成されている。
【0026】
曲げローラ37は、曲げ型31のウェッジ部35aに平行して設置された円柱状のローラ本体37aと、ローラ本体37aの両端部から突出した一対のローラ軸42とから成り、この一対のローラ軸42の部分でローラホルダ38に両持ちで回転自在に支持されている。曲げローラ37は、折曲げ動作においてCOF基板22を均一に押圧するために、軸方向(X軸方向)の長さがCOF基板22の幅よりも長く形成されていることが好ましい。また、半径は、折曲げ強度に影響が出ない程度の大きさの半径を有している。
【0027】
ローラホルダ38は、曲げローラ37に沿って平行に延在するホルダ本体38aと、ホルダ本体38aの両端部から延在し、曲げローラ37のローラ軸42を両持ちで支持する一対のローラ軸受け部43とで構成されている。そして、ローラホルダ38は、ホルダ本体38aの長手方向の中間位置において、後述する自在支持機構39の回動支軸44に支持されている。
【0028】
自在支持機構39は、ホルダ本体38aの長手方向の中間位置に貫通するようにY軸方向に延設された回動支軸44と、ローラホルダ38と後述する曲げ動作機構34のヘッドベース48との間に介設された支持部材45と、ローラホルダ38とヘッドベース48との間に渡した一対の復帰ばね46とから構成されている。回動支軸44は、ホルダ本体38aと支持部材45とを貫通するようにY軸方向に延在し、ローラホルダ38が回動支軸44を中心に回動するように、すなわち、曲げローラ37が回動支軸44を中心に円弧運動するように支持している。
【0029】
支持部材45は、Z軸方向に延在し、上端部に回動支軸44を固定し下端部でヘッドベース48に対しZ軸廻りに回転自在に取り付けられている。これにより、曲げローラ37は、回動支軸44を中心にY軸廻りに円弧運動すると共にZ軸廻りに正逆回転する(総じて「首振り動作」)ようになっている。
また、一対の復帰ばね46は、引張りばね(コイルばね)で構成され、支持部材45を介してローラホルダ38の両端部とヘッドベース48との間に渡すように設置されている。すなわち、一対の復帰ばね46は、支持部材45を中心にX軸方向において線対称となるように配設されている。一対の復帰ばね46のばね力は拮抗しており、2方向に首振り動作する曲げローラ37(およびローラホルダ38)を、その軸線が常にX軸方向に向く中立位置に戻すように作用している。
【0030】
曲げローラ37は、上述した回動支軸44および支持部材45によって3次元的に首振り自在であり、COF基板22を挟みこんで曲げローラ37を曲げ型31に精度良く倣わせて(Y軸方向およびZ軸方向)シャープに折曲げることができる。さらに、一対の復帰ばね46により、曲げローラ37は、中立位置から首振り動作を開始させ、且つ終了時に中立位置に戻される。したがって、首振り自在な曲げローラ37の無用なふらつきを防止し、折曲げに適した押圧力をCOF基板22に与えることができる。
【0031】
曲げ動作機構34は、支持部材45の下端部でヘッドユニット33を支持する逆「L字状の」ヘッドベース48と、ヘッドベース48をZ軸方向にスライド自在に支持するベースフレーム48aと、ヘッドベース48およびベースフレーム48aを介してヘッドユニット33をZ軸方向に移動させるモータ駆動のZ軸テーブル(進退動作機構)49と、Z軸テーブル49を支持すると共に、Z軸テーブル49を介してヘッドユニット33をY軸方向に移動させるモータ駆動のY軸テーブル(横移動機構)51と、予め作成された制御テーブルに従って、Z軸テーブル49およびY軸テーブル51の駆動を制御し、曲げ型31に対し曲げローラ37を所定の押圧力を以って曲げ動作させる制御機構54と、を備えている。
【0032】
ヘッドベース48とベースフレーム48aとの間には、ヘッドユニット33をZ軸方向の上方に付勢する緩衝ばね56が介設されており、折曲げ動作において、COF基板22に作用させる曲げローラ37の押圧力を安定化させ、曲げ力以外の過剰な押圧力がCOF基板22にかからないようにしている。
【0033】
次に、図5を参照して、本実施形態の折曲げ装置3による折曲げ動作について説明する。なお、上述の通り、目標角度57は90°とする。
先ず、COF基板22の折曲げ線を上型35のウェッジ部35aの先端に合わせて、COF基板22の折曲げ位置を位置決めした状態で、空気圧シリンダ等により上型35又は下型36が進退運動を行い、COF基板22を挟持固定する(図5(b))。このとき、折曲げ線の位置ズレを防ぐために、上型35に位置決めピンを設けてもよい。
次に、Z軸テーブル49を駆動し、曲げローラ37、曲げ型31からZ軸方向に突出しているCOF基板22の先端部(導通部27)近傍の開始位置に移動させる(図5(b))。この状態から、曲げ動作の制御テーブルにしたがって、Z軸テーブル49およびY軸テーブル51の駆動し、曲げローラ37を曲げ動作させる(図5(c))。
【0034】
この曲げ動作において、曲げローラ37は、COF基板22に転接しながらウェッジ部35aに倣って移動する。すなわち、COF基板22に対し曲げローラ37は、Y軸方向およびZ軸方向において押圧力を作用させながら、「レ」字状の軌跡を描いて移動する。このとき、曲げローラ37は、COF基板22から受ける反力により、X軸方向の微小な円弧運動およびZ軸廻りの微小な回転を行って、ウェッジ部35aに倣った姿勢をとる。これにより、曲げローラ37は、幅方向においてCOF基板22に均一な押圧力を付与しながら、曲げ動作する。すなわち、COF基板22が折曲げ線においてウェッジ部35aに倣うように均一に鋭角に折曲げられる(図5(c))。
【0035】
曲げローラ37がウェッジ部35aの先端部を越えた位置(終了位置)で折曲げ動作が終了し、曲げローラ37はCOF基板22および曲げ型31からZ軸方向の下方に離脱する。押圧力から開放されたCOF基板22は残留する弾性により、曲げ角度57aがある程度復元し、最終的に目標角度57である90°を為す。なお、一連の折曲げ動作において、曲げローラ37のCOF基板22に対する押圧力および曲げローラ37の移動速度は、制御機構54によって制御されている。
【0036】
以上説明したように、本実施形態の折曲げ装置3は、ウェッジ部35aに倣って曲げ動作する曲げローラ37を、自在支持機構39により首振り自在に支持するようにしているため、曲げ動作において、COF基板22の幅方向に均一な押圧力、すなわち曲げ力を作用させることができる。したがって、COF基板22を、精度良く且つ小さい曲げ径でシャープに折曲げることができる。なお、自在支持機構39を球形の自在継手等で構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本実施形態に係るインクジェットヘッドの分解斜視図である。
【図2】本実施形態に係るインクジェットヘッドの平面図である。
【図3】本実施形態に係る折曲げ装置正面の模式図である。
【図4】本実施形態に係る折曲げ装置側面の模式図である。
【図5】本実施形態に係る折曲げ装置による折曲げ方法を示す説明図である。
【符号の説明】
【0038】
1…インクジェットヘッド 2…ヘッド基板 3…折曲げ装置 22…COF基板 31…曲げ型 32…折曲げ機構部 34…曲げ動作機構 35a…ウェッジ部 37…曲げローラ 38…ローラホルダ 39…自在支持機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有する樹脂板の折曲げ端部を突出させて固定する曲げ型と、前記樹脂板を前記曲げ型のウェッジ部に沿って所定の角度に塑性変形するように折曲げる折曲げ機構部と、から成る折曲げ装置であって、
前記折曲げ機構部は、
前記ウェッジ部に対して平行に対峙する曲げローラと、
前記曲げローラを自由回転自在に支持するローラホルダと、
前記ローラホルダを介して、前記曲げローラを前記ウェッジ部に倣って移動させて折曲げ動作させる曲げ動作機構と、
前記ローラホルダと前記曲げ動作機構との間に介設され、前記折曲げ動作において、前記ウェッジ部に対し倣い姿勢を維持するように前記曲げローラを支持する自在支持機構と、を備えたことを特徴とする折曲げ装置。
【請求項2】
前記自在支持機構は、
前記曲げローラがその軸線方向に円弧運動するように、前記ローラホルダを回動自在に支持する回動支軸と、
前記回動支軸を介して前記曲げローラを支持する支持部材と、を有していることを特徴とする請求項1に記載の折曲げ装置。
【請求項3】
前記曲げ動作機構は、前記自在支持機構を支持するヘッドベースを有し、
前記ヘッドベースは、前記支持部材を介して、前記曲げローラを前記曲げローラの軸線に直交する直交軸廻りに回転自在に支持していることを特徴とする請求項2に記載の折曲げ装置。
【請求項4】
前記自在支持機構は、前記ローラホルダと前記ヘッドベースとの間に介設され、前記ローラホルダを介して前記曲げローラを中立位置に復帰させる一対の復帰ばねを、更に有していることを特徴とする請求項2または3に記載の折曲げ装置。
【請求項5】
前記曲げ動作機構は、
前記ウェッジ部に対し前記曲げローラを相対的に進退させる進退動作機構と、
前記進退動作機構を介して前記曲げローラを、前記進退方向に直交する曲げ方向に相対的に移動させる横移動機構と、を有していることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の折曲げ装置。
【請求項6】
前記樹脂板が回路基板であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の折曲げ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−137496(P2010−137496A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−318175(P2008−318175)
【出願日】平成20年12月15日(2008.12.15)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】