折板屋根緑化設備及び緑化設備
【課題】安価で、施工性が良く、美観に優れると共に、植栽基盤間の隙間に育成材が落下
することを防止できる折板屋根緑化設備を提供する。
【解決手段】平面視略矩形で、少なくとも底板10aと側面10bを有し、折板屋根Rの山部1のピッチと略同一の幅を有する植栽基盤10と、植栽基盤10内に収納される育成材20と、育成材20に植栽される植物30とを備える植栽装置を、折板屋根上に複数並設する折板屋根緑化設備であって、植栽基盤10相互の隙間を被覆する被覆部13を有する折板屋根緑化設備。
することを防止できる折板屋根緑化設備を提供する。
【解決手段】平面視略矩形で、少なくとも底板10aと側面10bを有し、折板屋根Rの山部1のピッチと略同一の幅を有する植栽基盤10と、植栽基盤10内に収納される育成材20と、育成材20に植栽される植物30とを備える植栽装置を、折板屋根上に複数並設する折板屋根緑化設備であって、植栽基盤10相互の隙間を被覆する被覆部13を有する折板屋根緑化設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折板屋根に設けられる折板屋根緑化設備及び緑化設備に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、都市の緑化対策の重要性が認識されつつあり、平坦でない折板屋根等においても緑化が図られている。かかる緑化に貢献するものとして、特許文献1には、山部と谷部が交互に繰り返し、山部頂面から上方に突出するハゼ部を有する折板屋根に、ハゼ部の高さよりも高い下地体若しくはハゼ部の高さと同一高さの下地体を山部頂面に載置して隣り合う山部間に架橋し、その下地体上に緑化ユニットを敷設する緑化設備が開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、金属折板屋根の互いに隣り合う山部に、方形状で且つ横幅が山部の間隔と略同寸法に設定された複数枚の植栽トレイを架設し、折板屋根のハゼ部にボルト・ナット等で挟持固定される固定用金具で植栽トレイの四隅を押さえ込んだ状態で固定し、金属折板屋根を被覆する植生による緑化面を形成する緑化設備が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−89437号公報
【特許文献2】特開2005−105536号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1は、折板屋根に下地体を設ける必要があるため、コスト高になると共に、施工が面倒であるとの不具合を生ずる。他方で、特許文献2は、直接折板屋根に植栽トレイを架設できるため、この不具合を解消することができるものの、特許文献1、2共に、植栽トレイ相互に隙間が生じており、この隙間に植栽トレイ内の育成材が落下し、その育成材が折板屋根上に落下してしまうという不具合を生ずる。
【0006】
更に、この隙間の存在により、美観が損なわれると共に、例えば切り芝などのマット状の植物を植栽トレイ内の育成材上に載置して植栽を施す場合などには、植栽トレイにあった形状のマット状の植物を用意する必要が生ずるため、施工性が低下し、コスト高となる。
【0007】
本発明は上記不具合を解消するためになされたものであって、その目的は、安価で、施工性が良く、美観に優れると共に、植栽基盤間の隙間に育成材が落下することを防止できる折板屋根緑化設備及び緑化設備を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の折板屋根緑化設備は、平面視略矩形で、少なくとも底板と側面を有し、折板屋根の山部のピッチと略同一の幅を有する植栽基盤と、前記植栽基盤内に収納される育成材と、前記育成材に植栽される植物とを備える植栽装置を、折板屋根上に複数並設する折板屋根緑化設備であって、前記植栽基盤相互の隙間を被覆する被覆部を有することを特徴とする。
この構成によれば、植栽基盤相互の隙間を被覆部にて被覆することができるため、例えば植栽基盤に合ったマット状の植物を用意する必要がなく、安価で、高い施工性が得られると共に、美観に優れた緑化エリアを形成することが可能となる。また、植栽基盤相互間から土壌などが落下することがないため、折板屋根に異物がたまるなどの不具合を未然に防止することができる。
【0009】
本発明の折板屋根緑化設備は、前記植栽基盤の側面上端に外方に屈曲して延設される突出片を有し、前記突出片として、平面視で隣り合う二辺に突出長さの長い長突出片と、他の隣り合う二辺に前記長突出片より突出長さの短い短突出片とが設けられ、一の前記植栽基盤の前記短突出片上に他の前記植栽基盤の前記長突出片を配置して前記被覆部が構成されることを特徴とする。
この構成によれば、簡単且つ安価に被覆部を設けることができる。また、植栽基盤の設置時に長突出片を短突出片上に配置して被覆部を構成できるので、施工性に優れる。
【0010】
本発明の折板屋根緑化設備は、前記短突出片と前記長突出片とが相互に係合する係合部が設けられることを特徴とする。
この構成によれば、短突出片と長突出片の配置を安定化することができる。
【0011】
本発明の折板屋根緑化設備は、前記短突出片が前記長突出片よりも低い位置に設けられることを特徴とする。
この構成によれば、植栽基盤の並置状態で短突出片と長突出片に内部応力が生ずることを防止し、短突出片と長突出片に不要な負荷がかかることを防止することができ、ひいては耐久性を向上することができる。また、短突出片上への長突出片の載置を安定化することができる。
【0012】
本発明の折板屋根緑化設備は、隣り合う前記植栽基盤の前記突出片に固定部材を取り付けることにより、前記植栽基盤相互が連結されることを特徴とする。
この構成によれば、隣り合う前記植栽基盤の突出片を安定して連結することができると共に、耐風圧に対する強度を増すことができる。
【0013】
本発明の折板屋根緑化設備は、一の前記植栽基盤の前記長突出片が、前記一の植栽基盤と隣り合う他の前記植栽基盤の育成材上まで延設されることを特徴とする。
この構成によれば、植栽基盤の育成材が風などにより飛散することを防止することができる。
【0014】
本発明の折板屋根緑化設備は、一の前記植栽基盤の外周に他の前記植栽基盤が設けられ、一の前記植栽基盤の前記長突出片と、一の前記植栽基盤の前記短突出片上に配置される前記他の植栽基盤の前記長突出片とで、略同一平面が構成されることを特徴とする。
この構成によれば、植栽基盤や植栽状態の緑化設備の美観を高めることができる。
【0015】
本発明の折板屋根緑化設備は、前記被覆部が、前記植栽基盤とは別体の前記植栽基盤相互を連結する連結部材で構成され、前記連結部材に、相互に連結する前記植栽基盤の育成材まで延びる被覆片が設けられていることを特徴とする。
この構成によれば、連結部材により簡単に被覆部を構成することができる。また、連結部材の被覆片で風などで育成材が飛散することを防止することができる。また、植栽基盤相互の連結が可能となり、植栽基盤の位置決め効果、相互の固定強化、植栽基盤が面となることによる耐風圧効果を発揮することが可能となる。
【0016】
本発明の折板屋根緑化設備は、前記育成材がマット状に形成され、前記マット状の育成材の上面に給水パイプを配設可能な育成材凹部が形成されていることを特徴とする。
この構成によれば、育成材に給水パイプを安定して設置することができると共に、植物に適切な給水を行うことができる。
【0017】
本発明の折板屋根緑化設備は、前記側面の少なくとも対向する二辺に給水パイプを配設可能な側面凹部が形成されていることを特徴とする。
この構成によれば、植栽基盤に給水パイプを安定して設置することができると共に、植物に適切な給水を行うことができる。
【0018】
本発明の折板屋根緑化設備は、前記育成材がマット状に形成され、前記マット状の育成材の上面に給水パイプを配設可能な育成材凹部が形成され、且つ前記側面の少なくとも二辺に給水パイプを配設可能な側面凹部が形成され、前記側面凹部が前記育成材凹部よりも凹形状が大きく形成されていることを特徴とする。
この構成によれば、育成材と植栽基盤に給水パイプを安定して設置することができると共に、植物に適切な給水を行うことができる。また、硬い植栽基盤の側面凹部により給水パイプが切断されることを防止できる。
【0019】
本発明の折板屋根緑化設備は、前記折板屋根の山部と前記植栽基盤の底板とが接着剤又は両面テープで固定されていることを特徴とする。
この構成によれば、植栽基盤を簡単に且つ優れた施工性で折板屋根に固定することができる。
【0020】
本発明の折板屋根緑化設備は、前記植栽基盤は、鋼板の絞り加工により成形されていることを特徴とする。
この構成によれば、植栽基盤の強度、コスト、加工性、防錆性を高めることが可能となる。
【0021】
本発明の緑化設備は、平面視略矩形で、少なくとも底板と側面を有する植栽基盤と、前記植栽基盤内に収納される育成材と、前記育成材に植栽される植物とを備える植栽装置を、敷設面上に複数並設する緑化設備であって、前記植栽基盤の側面上端に外方に屈曲して延設される突出片を有し、前記突出片として、平面視で隣り合う二辺に突出長さの長い長突出片と、他の隣り合う二辺に前記長突出片より突出長さの短い短突出片とが設けられ、一の前記植栽基盤の前記短突出片上に他の前記植栽基盤の前記長突出片を配置して、前記植栽基盤相互の隙間を被覆する被覆部が構成されることを特徴とする。尚、本発明の緑化設備には、本発明の折板屋根緑化設備の構成として本明細書に開示されている構成を、適用可能な範囲で適用することが可能である。
この構成によれば、植栽基盤相互の隙間を被覆部にて被覆することができるため、例えば植栽基盤に合ったマット状の植物を用意する必要がなく、安価で、高い施工性が得られると共に、美観に優れた緑化エリアを形成することが可能となる。また、植栽基盤相互間から土壌などが落下することがないため、敷設面に異物がたまるなどの不具合を未然に防止することができる。また、簡単且つ安価に被覆部を設けることができる。また、植栽基盤の設置時に長突出片を短突出片上に配置して被覆部を構成できるので、施工性に優れる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の折板屋根緑化設備及び緑化設備によれば、単純な構成により植栽基盤相互の隙間を被覆部にて被覆することができるため、安価で、施工性が高く、美観に優れた緑化エリアを形成することが可能となる。また、植栽基盤相互間から土壌などが落下することがないため、敷設面或いは折板屋根に異物がたまるなどの不具合を未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】(a)は実施例1の折板屋根緑化設備を示す平面図、(b)は実施例1の折板屋根緑化設備を示す正面図。
【図2】(a)は実施例1の植栽基盤を示す平面図、(b)は実施例1の植栽基盤を示す正面図、(c)は図2(a)のA−A断面図、(d)は図2(a)のB−B断面図、(e)は実施例1の植栽基盤を示す側面図、(f)は図2(a)のC−C断面図、(g)は図2(a)のD−D断面図。
【図3】(a)は実施例1の育成材を示す平面図、(b)は実施例1の育成材を示す正面図、(c)は図3(a)のA−A断面図、(d)は図3(a)のB−B断面図、(e)は実施例1の育成材を示す側面図、(f)は図3(a)のC−C断面図、(g)は図3(a)のD−D断面図。
【図4】(a)は実施例1の折板屋根緑化設備の施工途中を示す平面説明図、(b)は実施例1の折板屋根緑化設備の施工途中を示す正面説明図。
【図5】図1のA部拡大図。
【図6】(a)は実施例2の折板屋根緑化設備の施工途中を示す平面説明図、(b)は実施例2の折板屋根緑化設備の施工途中を示す正面説明図。
【図7】(a)は実施例2の植栽基盤を示す平面図、(b)は実施例2の植栽基盤を示す正面図、(c)は実施例2の植栽基盤を示す側面図。
【図8】(a)は実施例2の育成材を示す平面図、(b)は実施例2の育成材を示す正面図、(c)は実施例2の育成材を示す側面図。
【図9】(a)は実施例2の連結部材を示す平面図、(b)は実施例2の連結部材を示す正面図、(c)は実施例2の連結箇所の一部拡大平面図、(d)は図9(c)のA部拡大図、(e)は実施例2の連結部材の連結状態を示す正面説明図。
【図10】(a)は実施例1の植栽基盤の第1変形例を示す平面図、(b)は実施例1の植栽基盤の第2変形例を示す平面図、(c)は実施例1の植栽基盤の第3変形例を示す平面図、(d)は実施例1の植栽基盤の第4変形例を示す平面図。
【図11】(a)は連結可能な植栽基盤を示す平面図、(b)は連結可能な植栽基盤の四隅部部分拡大図。
【図12】(a)は実施例1の育成材の第1変形例を示す平面図、(b)は実施例1の育成材の第1変形例を示す正面図、(c)は実施例1の育成材の第1変形例を示す側面図。
【図13】(a−1)は実施例1の育成材の第2変形例を示す分解平面図、(a−2)は実施例1の育成材の第2変形例を示す平面図、(a−3)は実施例1の育成材の第2変形例を示す正面図、(b)は実施例1の育成材の第3変形例の育成材を植栽基盤に収納した状態を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の折板屋根緑化設備及び緑化設備に関する具体的な実施例について説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、各実施例の各構成要件を組み合わせ或いは組み替える構成や、各実施例の各構成要件を削除するなど本発明の要旨の範囲内の全ての構成が含まれる。
【0025】
〔実施例1〕
実施例1の折板屋根緑化設備Wは、図1に示すように山部1と谷部2が交互に設けられ、山部1の頂面にカシメ結合されたハゼ部(突出部)3を有する折板屋根R上に、隣り合う山部1のピッチと略同一の幅を有する植栽基盤10を配置し、植栽基盤10内に植物を栽培可能な育成材20を収納すると共に、育成材20に植物30を植栽することにより、緑化可能に構成される。本実施例では、植栽基盤10と、育成材20と、育成材20に植栽される植物30とにより植栽装置Gを構成し、この植栽装置Gが折板屋根R上に複数並設され、折板屋根緑化設備(単に、「緑化設備」ということもある)Wが構成される。
【0026】
図2に示すように、本実施例の植栽基盤10は、平面視略矩形で、底板10aと側面10bを有する上面開放の箱型であり、底板10aには、折板屋根Rの流れ方向(図2(a)、図1に示すY方向)に直交する方向に設けられ、上方に突出する4本のリブ12が形成されている。リブ12の頂面には1つのリブに対して4つの穴12aが穿設されており、リブ12以外の底板10aに貯水可能な構成で、且つリブ12の頂面を超えた余剰水は穴12aから排出される構成となっている。
【0027】
植栽基盤10の側面10bは、上方に向かって開口が大きくなるようなテーパ面で形成され、側面10bの上端において、4辺のうち一の隣り合う2辺(折板屋根Rの勾配の下方向を含む2辺)には、外方に長く突出する長突出片13が形成されていると共に、他の隣り合う2辺には、外方に短く突出する短突出片14が形成されて、全周を突出片(長突出片13、短突出片14)で囲まれて形成されている。
【0028】
即ち、植栽基盤10は、その側面10bの上端に外方に屈曲して延設される突出片を有し、突出片として、平面視で隣り合う二辺に突出長さの長い長突出片13と、他の隣り合う二辺に長突出片13より突出長さの短い短突出片14とが設けられ、一の植栽基盤10の短突出片上14に他の植栽基盤10の長突出片13を配置して、植栽基盤10相互の隙間を被覆する被覆部が構成される。尚、説明の便宜上、リブ12に平行な長突出片13を第1長突出片13aとし、リブ12に直交する長突出片13を第2長突出片13bとし、リブ12に平行な短突出片14を第1短突出片14aとし、リブ12に直交する短突出片14を第2短突出片14bとする。
【0029】
また、側面10bの少なくとも対向する二辺に給水パイプPを配設可能な側面凹部15が形成されており、本例では第1長突出片13aと、第1短突出片14aの上端において、第2短突出片14b側近傍に側面凹部15(それぞれ説明の便宜上第1側面凹部15a、第2側面凹部15bとする)が形成され、後述する給水パイプPを配設可能な構成となっている。尚、側面凹部15は切りっ放しではなく、側面凹部15を外方に屈曲延設してなる支持片部16からなる面を有しており、上方からの圧力に対して、給水パイプPが破損することを防止している。また、側面凹部15を辺中央部に設けない構成とすることにより、植栽基盤10の上方からの圧力に対して植栽基盤10自体の強度アップを可能としている。
【0030】
また、第1長突出片13aの第2短突出片14b側に第1段差部17aが設けられ、第2長突出片13bの第1短突出片14a側に第2段差部17bが設けられ、第1短突出片14aの第2短突出片14b側に第3段差部17cが設けられ、第2短突出片14bの第1短突出片14a側に第4段差部17dが設けられている。また、「第1段差部17aと第2段差部17bで囲まれた第1長突出片13a及び第2長突出片13b」が、「第1段差部17aと第4段差部17dで囲まれた第2短突出片14b」及び「第2段差部17bと第3段差部17cで囲まれた第1短突出片14a」よりも高くなるように形成されている。また、「第3段差部17cと第4段差部17dで囲まれた第1短突出片14a及び第2短突出片14b」が、「第1段差部17aと第4段差部17dで囲まれた第2短突出片14b」及び「第2段差部17bと第3段差部17cで囲まれた第1短突出片14a」よりも低くなるように形成されている。即ち、短突出片14が長突出片13よりも低い位置に設けられると共に、一の植栽基盤10の外周に他の植栽基盤10が設けられ、一の植栽基盤10の前記長突出片13と、一の植栽基盤10の短突出片14上に配置される他の植栽基盤10の長突出片14とで、植栽基盤10の外周において、略同一平面が構成されるようになっている。
【0031】
植栽基盤10は、合成樹脂製、発泡体、鋼板、木製、陶器製、石製など適宜であるが、好適には鋼板製、より好適にはガルバニウム鋼板製を絞り加工を施すことにより成形された構成であり、強度、コスト、加工性、防錆性に優れている。
【0032】
また、図3に示すように、本例の育成材20は、上面20aと下面20bを有するマット状であり、外周において植栽基盤10のテーパ面(側面10b)に沿うようなテーパ面が形成された側面20cが形成されている。また、下面20bから下方に楕円形状の突出部22が形成され、突出部22に対応する上面20aには突出部22に対応する形状の凹状部21が形成され、育成材20相互を重ね合わせた際に、突出部22が凹状部21に入り込み、積み重ねの際の嵩を低くすることができると共に、位置決め効果を発揮し、安定した積み重ねが可能となるように構成されている。更には、凹状部21の存在により、吸い上げた水分が上方に移動するのではなく、横方向に広がる助けとなるため好適である。また、植栽基盤10の側面凹部15に対応する箇所の育成材20の上面20aには育成材凹部23が形成され、後述する給水パイプPを敷設可能な構成となっている。具体的には、育成材凹部23は、育成材20の上面20aの一端部から、当該一端部に対向する他端部まで延設されていると共に、給水パイプPを敷設可能な大きさ寸法の形状(例えば、給水パイプPを外嵌する大きさ寸法の円弧凹状の溝形状)に形成されている。
【0033】
尚、突出部22は、植栽基盤10の各貯水箇所(「リブ12以外の底板10aと、リブ12の側面部とで囲まれている領域」及び「リブ12以外の底板10aと、リブ12の側面部と、側面10bとで囲まれている領域」)にそれぞれ3つずつ形成され、貯水箇所の中心よりも第1長突出片13a(低勾配側)方向にずれた位置に設けられており、確実に貯水箇所の水分を吸水することが可能であると共に、リブ12に沿って長辺となるような楕円形で形成されていることから、育成材20自体を支持可能な構成となっている。
【0034】
尚、凹状部21の深さと育成材凹部23の深さを略同一深さとすることにより、後述する給水パイプPの安定した設置が可能となり好適である。また、育成材凹部23を植栽基盤10の側面凹部15よりも浅く形成する、換言すれば側面凹部15を育成材凹部23よりも凹形状を大きく形成すると好適であり、硬い植栽基盤10の側面凹部15により給水パイプPが切断されるなどの不具合を未然に防止することが可能となっている。
【0035】
尚、育成材20は植物を育成可能なものであればどのようなものであっても良く、例えば、パーライト、バーミキュウライト、ピートモス、バーク堆肥、チャフコン、木質腐朽有機物、ゼオライト、下水或いは浄水場から発生する汚泥、或いは汚泥の焼却灰などを単体で、或いは複数種類を混合して、更には根腐れ防止用の硅酸塩白土等を植物の種類、環境等に応じて適宜選定し、これらを保水性、排水性を良好にするためにバランス良く配合したものをバインダーで固化したもの、或いはウレタン、スポンジやヤシガラ等の繊維材等の軽量育成材など適宜である。
【0036】
上記の植栽基盤10及び育成材20などを折板屋根Rに載置する場合、図4に示すように、先ず、折板屋根Rの山部1の頂面に両面テープ或いは接着剤、粘着剤等の固定手段5を設け、その上に、育成材20を収納した植栽基盤10を長突出片13が低勾配側になるように、且つ山部1頂面のハゼ部分(ハゼ部3)に挟まれるような位置に載置することにより、折板屋根Rの山部1と植栽基盤10の底板10aとを固定状態とする。
【0037】
また、図5に示すように一の植栽基盤10は、隣り合う他の植栽基盤10の短突出片14上に長突出片13が位置するように隣接して敷設することにより、植栽基盤10上から折板屋根(ハゼ部分を含む)Rが目視不能な状態になっている。この際、長突出片13が隣り合う他の植栽基盤10の育成材20上まで延びていることから、育成材20の隣り合う2辺が長突出片13により押えられ、育成材20自体が風などにより飛散することが防止される。
【0038】
その後、図1に示すように折板屋根Rの勾配に沿って1直線上になっている側面凹部15及び育成材凹部23内に給水パイプPを敷設し、その上から切り芝などのマット状の植物(植栽マット等の植物)30を載置することにより、施工が完了する。尚、給水パイプPは、多孔質パイプ、ドリップチューブ、しみ出しパイプ等適宜である。また、前記植栽マットも芝に限らず、様々な植物、例えばタマリュウ、セダム、地被類、コケ、キリンソウ等をマット状にしたもの、或いは育成材20の上面20aの凹部21内に苗を植え付ける構成、或いは育成材20上に植物の種子をまく、或いは育成材20内に種子を混合させておくなど適宜である。
【0039】
以上、本発明の実施例1の折板屋根緑化設備Wを使用することにより、単純な構成により植栽基盤10相互の隙間を被覆部にて被覆することができるため、安価で、美観に優れた緑化エリアを形成することが可能となる。また、植栽基盤10相互間から土壌などが落下することがないため、敷設面或いは折板屋根Rに異物がたまるなどの不具合を未然に防止することが可能となる。
【0040】
〔実施例2〕
次に、本発明の実施例2について上記実施例1と異なる箇所の詳細を説明する。第2実施例の折板屋根緑化設備Wは、図6に示すように実施例1と同様に折板屋根Rの隣り合う山部1の上に載置される構成となっている。具体的には、植栽基盤40と、育成材50と、育成材50に植栽される植物30と、連結部材60とにより植栽装置Gを構成し、この植栽装置Gが折板屋根R上に複数並設され、折板屋根緑化設備Wが構成されるようになっている。尚、実施例2において、上述した実施例1で示した構成に相当する構成については、説明の便宜上、同じ符号を付している。
【0041】
図7に示すように、本実施例の植栽基盤40は、底板40aと側面40bを有する上面開放の箱型であり、底板40aには、排水用の穴41が穿設されている。また、側面40bは、実施例1同様にテーパ面が形成されており、全側面に後述する連結部材60の連結片61を係合可能な係合穴42が穿設されており、側面40bの上端には、実施例1で言う突出片などが存在しない構成となっている。また、実施例1と同一箇所に実施例1同様に給水パイプPを配設可能な側面凹部45が正面視四角形状に形成されている。尚、側面凹部45は切りっ放し状態となっているが、実施例1同様に支持片部を設けても良い。
【0042】
また、図8に示すように、本実施例の育成材50は、実施例1と同様に、上面50aと下面50bと、外周のテーパ面からなる側面50cとを有するマット状に形成されている。また、上面50aには、実施例1の育成材凹部23と同様の育成材凹部53が形成されている。また、下面50bに、実施例1の突出部22が存在しないことにより、肉厚な育成材50が形成されている。また、側面50cには、後述する連結部材60を連結可能とするために、その上端側に略矩形状の凹状部54が形成されているが、柔軟性を有する部材など育成材50の材質によっては不要である。
【0043】
また、図9に示すように、別体の連結部材60は、連結箇所の植栽基盤側面40b相互の隙間sを被覆する構成になっている。具体的には、連結部材60は、被覆部(例えば、板状の被覆部)61を有し、被覆部61の下面からは1対の係合片62が突設され、この係合片62が植栽基盤40の側面40bに形成された係合穴42に係合されることにより、隣り合う2つの植栽基盤40相互を連結すると共に、被覆部61にて植栽基盤40の側面40b相互間の隙間sを被覆する構成となっている。尚、被覆部61は、長尺寸法が植栽基盤40の幅寸法と略同じ大きさ寸法に形成され、短尺寸法が隙間sを被覆可能な大きさ寸法に形成されている。また、育成材50の凹状部54の存在により、平面視で係合穴42を目視することが可能であり(図9(d)参照)、且つ係合時に育成材50が邪魔にならない構成となっていることから、連結作業を容易に行うことが可能となっている。尚、被覆部61の端部は、図6に示すように植栽基盤40の四隅が集合する箇所で重ならないように三角形状に形成されている。更に、被覆部61は係合片62よりも外方に延びる被覆片61aを有しており、この被覆片61aが育成材50上まで延びて形成されている構成となっており、育成材50の飛散防止効果を発揮している。
【0044】
以上、本発明の実施例2の折板屋根緑化設備を使用することにより、実施例1と同様の効果を発揮することが出来ると共に、植栽基盤40相互の連結が可能となり、植栽基盤40の位置決め効果、相互の固定強化、植栽基盤40が面となることによる耐風圧効果を発揮することが可能となる。また、連結部材60が、給水パイプPよりも上方に位置することから、給水パイプPの位置決め効果を発揮すると共に、給水パイプPの植栽基盤側面40bの上方からかかる圧力を防止し、給水パイプPの破損を未然に防止することが可能となっている。
【0045】
〔実施例の変形例等〕
本明細書開示の発明には、解決手段に記載の各発明や実施形態(実施例1、実施例2)等の構成のほかに、これらの部分的な構成を本明細書開示の他の構成に変更して特定したもの、或いはこれらの構成に本明細書開示の他の構成を付加して特定したもの、或いはこれらの部分的な構成を部分的な作用効果が得られる限度で削除して特定した上位概念化したものも含まれ、例えば下記の変形例も包含される。尚、下記の変形例において、上述した実施例で示した構成と同様の構成(及び相当する構成)については、説明の便宜上、同じ符号を付している。
【0046】
例えば、植栽基盤10は上記実施例に限定されず、例えば図10に示すように、様々な構成が考えられる。図10(a)に示すように、実施例1の植栽基盤10の側面凹部15を対向する2辺の中央部に設けると共に、側面凹部15から1つ内側のリブ12までに折板屋根Rの流れ方向に沿うリブ80を設ける構成としてもよい。これにより、給水パイプPを配設した際に上からかかる圧力を流れ方向の沿うリブ80で支えることができ、給水パイプP自体の変形を未然に防止することが可能となる。
また、図10(b)に示すように、リブ81を格子状に設け、格子状のリブ81相互間に通水用の凹溝部82を設けてなり、且つ側面凹部15を対向する2辺に3箇所設ける構成であってもよい。これにより、水分を植栽基盤10全体に行き渡らすことが可能となると共に、施工状態に応じて3箇所の給水パイプP配設箇所を適宜選んで、或いは複数個所に給水パイプPを配設することが可能となり、施工現場にあった施工が可能となる。
また、図10(c)に示すように、リブ83は必ずしも側面10bまで延びている必要がなく、また、必ずしもリブ83の頂面に穴を穿設する必要がなく、また、給水パイプPも折板屋根Rの流れ方向に直交する方向に布設可能に側面凹部15を設けることも可能であり、リブの形状により折板屋根Rと固定手段5による固定を強固に行うことが可能となり、また、給水パイプPの配設も、水源の位置、施工現場に応じて選択的に行うことが可能となる。
また、図10(d)に示すように、リブの形状は対角線上に設けたり(底板10aの対角線状にリブ84を設けたり)、また円形状に設ける(底板10aに円形状のリブ85を設ける)など適宜であり、更には側面凹部15の支持片部16を長くするなど適宜である。また、図示しないが、リブの高さもリブ毎に異ならせるなど適宜であり、下流側のリブを低くし、上流側の水が貯まり難い箇所のリブを高くするなど適宜である。また、側面10bのテーパ面は必須条件ではなく、なくても良い。更に内側に、側面10bは、テーパ面となっていても良く、更には曲線状の形状であっても良い。
【0047】
また、隣り合う植栽基盤10の突出片13、14にビス等の固定部材を取り付けることにより、植栽基盤10相互が連結される構成としてもよく、例えば図11に示すように、植栽基盤10の4隅に囲まれた箇所において、全ての突出片13、14が重なるように構成し、この重なった箇所をビス止めするなど適宜であり、全ての植栽基盤10が連結され、耐風圧に対する強度が増すこととなる。この際、重なり部分に下方に突出すると共に上部が凹型となる凸部90を設け、上部の突出部の凸部90が下方の突出部90の凹型にはめ込まれて位置決めされる構成とすると好適であり、位置決め効果及びビスの打ち込みを容易にするという効果を発揮できる。尚、4つの突出部90が重なる必要はなく、2つであっても3つであっても良いことは言うまでもない。また、例えば一方に凹部、他方に凸部を設けて係合するなど、短突出片14と長突出片13とが相互に係合する係合部を設けるようにしてもよい。
【0048】
また、図12に示すように、育成材20は、どのような形状、構成であってもよく、図12(a)に示すように、実施例1の突出部22を円形とする構成であってもよく(この場合、突出部22に対応する育成材上面20aの凹状部21も円形に構成される)、更に、突出部22の大きさを変えるなど適宜であり、突出部22の形状、個数等はどのようなものであっても良く、また形状に関して様々な形状の組み合わせであっても良く、更には突出部22に対応する育成材上面20aの凹状部21はなくても良い。
【0049】
また、育成材20は、単体である必要がなく、図13(a−1)、(a−2)、(a−3)に示すように複数の育成材91、92、93を組み合わせる構成であってもよく、成形コストを低減することが可能となる。また、図13(b)に示すように、平板状の育成材94の下面に不織布95などの柔らかい吸水布を布設して植栽基盤10の水分を吸い上げる構成であってもよく、この場合も成形コストを低減することが可能となる。
【0050】
また、育成材20は、必ずしもマット状やブロック状等一体化されている必要はなく、粒状の一般的に使用されている軽量土壌、一般土壌等からなる育成材であってもよい。
【0051】
また、本発明の植栽基盤10(又は植栽基盤40)、緑化設備Wは、ハゼタイプの折板屋根R上に必ずしも設置する必要はなく、ボルトタイプの折板屋根上や陸屋根上等に設置しても良い。例えば平面視略矩形で、少なくとも底板10aと側面10bを有する植栽基盤10と、植栽基盤10内に収納される育成材20と、育成材20に植栽される植物30とを備える植栽装置Gを、敷設面上に複数並設する緑化設備Wであって、植栽基盤10の側面上端10bに外方に屈曲して延設される突出片を有し、前記突出片として、平面視で隣り合う二辺に突出長さの長い長突出片13と、他の隣り合う二辺に長突出片13より突出長さの短い短突出片14とが設けられ、一の植栽基盤10の短突出片14上に他の植栽基盤10の長突出片13を配置して、植栽基盤10相互の隙間sを被覆する被覆部(長突出片13及び短突出片14により構成される被覆部)が構成されるようにしてもよい。
【0052】
また、植栽基盤10、40の折板屋根Rに対する固定は、必ずしも接着である必要はなく、公知のハゼ掴みなどを利用して固定する構成であっても良い。また、接着する構成であっても、接着面積が足りない場合は、下地材を折板屋根Rに接着して接着面積を確保し、下地材に植栽基盤10、40をビス等で固定する構成であってもよく、より強固に折板屋根Rとの固定が可能となる。また、両面テープを使用する場合は、両面テープは折板屋根Rの山部全長に設ける必要は無く、部分的に設ける構成、植栽基盤10、40側に設ける構成等適宜である。
【0053】
また、給水パイプPを配設するための凹部(側面凹部15或いは育成材凹部23)は必須条件ではなく、無くても良い。この場合は、育成材20の上に給水パイプを配設し、その上に切り芝を載置する構成、或いは育成材20の上に切り芝を載置し、その上に給水パイプPを配設する構成等適宜であり、植栽基盤10、40の成形コストを低減することが可能となる。
【0054】
また、上記実施例では植栽基盤10、40を平面視正方形に形成しているが、本発明は長方形であっても良く、折板屋根R上に並設する場合は幅のみあっていれば全て含まれる。
【0055】
また、連結部材60は、上記実施例2に限定されるものではなく、植栽基盤相互を連結することが可能であれば全て含まれ、且つ連結部材60の各部(被覆部61、係合片62、被覆片61a)も必ずしも一体化して形成する必要も無い。更に連結部材60が係合する係合穴42も必須条件ではなく、係合突起を設ける構成、係合凹部を設ける構成、なにも設けない構成全て含まれる。
【0056】
また、植栽基盤内に育成材を収納して、その上にデッキ材などを設ける構成であってもよく、より美観に優れた緑化エリアを形成することが可能となる。
【0057】
また、上述した実施例1では、一の植栽基盤10の短突出片14上に他の植栽基盤10の長突出片13を載置することにより、植栽基盤10相互の隙間sを被覆する被覆部が構成されるようになっているが、植栽基盤10に長突出片13だけを設ける構成としてもよい。具体的には、植栽基盤10の側面10bの上端において、平面視で隣り合う二辺に長突出片13を設け、他の隣り合う二辺に突出片(短突出片14)を設けない構成にする。この構成においても、複数の植栽基盤10を隣接配置した場合(図1のように配置した場合)、一の植栽基盤10の長突出片13が、隣接配置された他の植栽基盤10の育成材20上まで延びるため、植栽基盤10相互の隙間sを被覆することができる。更に、この場合、長突出片13が設けられていない側面10bの上端側に係合孔(例えば、実施例2の係合穴42と同様の構成もの)を設け、長突出片13の下面側に前記係合孔に係止される係合片(長突出片13の下面から突出する係合片)を設けるようにし、隣接配置された植栽基盤10相互を連結・固定できるようにしてもよい。
【0058】
また、本発明は、必ずしも被覆部で完全に被覆される必要はなく、隙間の大部分が被覆されれば良い。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、例えば折板屋根の緑化に利用することができる。
【符号の説明】
【0060】
R…折板屋根
1…山部、2…谷部、3…ハゼ部
5…固定手段
P…給水パイプ
W…折板屋根緑化設備
G…植栽装置
10…植栽基盤、10a…底板、10b…側面、12…リブ、12a…穴、13…長突出片、13a…第1長突出片、13b…第2長突出片、14…短突出片、14a…第1短突出片、14b…第2短突出片、15…側面凹部、15a…第1側面凹部、15b…第2側面凹部、16…支持片部、17a…第1段差部、17b…第2段差部、17c…第3段差部、17d…第4段差部
20…育成材、20a…上面、20b…下面、20c…側面、21…凹状部、22…突出部、23…育成材凹部
30…植物
40…植栽基盤、40a…底板、40b…側面、41…穴、42…係合穴、45…側面凹部
50…育成材、50a…上面、50b…下面、50c…側面、53…育成材凹部、54…凹状部
60…連結部材、61…被覆部、61a…被覆片、62…係合片
80、81、83、84、85…リブ
82…凹溝部
90…凸部
91、92、93、94…育成材
95…不織布
【技術分野】
【0001】
本発明は、折板屋根に設けられる折板屋根緑化設備及び緑化設備に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、都市の緑化対策の重要性が認識されつつあり、平坦でない折板屋根等においても緑化が図られている。かかる緑化に貢献するものとして、特許文献1には、山部と谷部が交互に繰り返し、山部頂面から上方に突出するハゼ部を有する折板屋根に、ハゼ部の高さよりも高い下地体若しくはハゼ部の高さと同一高さの下地体を山部頂面に載置して隣り合う山部間に架橋し、その下地体上に緑化ユニットを敷設する緑化設備が開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、金属折板屋根の互いに隣り合う山部に、方形状で且つ横幅が山部の間隔と略同寸法に設定された複数枚の植栽トレイを架設し、折板屋根のハゼ部にボルト・ナット等で挟持固定される固定用金具で植栽トレイの四隅を押さえ込んだ状態で固定し、金属折板屋根を被覆する植生による緑化面を形成する緑化設備が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−89437号公報
【特許文献2】特開2005−105536号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1は、折板屋根に下地体を設ける必要があるため、コスト高になると共に、施工が面倒であるとの不具合を生ずる。他方で、特許文献2は、直接折板屋根に植栽トレイを架設できるため、この不具合を解消することができるものの、特許文献1、2共に、植栽トレイ相互に隙間が生じており、この隙間に植栽トレイ内の育成材が落下し、その育成材が折板屋根上に落下してしまうという不具合を生ずる。
【0006】
更に、この隙間の存在により、美観が損なわれると共に、例えば切り芝などのマット状の植物を植栽トレイ内の育成材上に載置して植栽を施す場合などには、植栽トレイにあった形状のマット状の植物を用意する必要が生ずるため、施工性が低下し、コスト高となる。
【0007】
本発明は上記不具合を解消するためになされたものであって、その目的は、安価で、施工性が良く、美観に優れると共に、植栽基盤間の隙間に育成材が落下することを防止できる折板屋根緑化設備及び緑化設備を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の折板屋根緑化設備は、平面視略矩形で、少なくとも底板と側面を有し、折板屋根の山部のピッチと略同一の幅を有する植栽基盤と、前記植栽基盤内に収納される育成材と、前記育成材に植栽される植物とを備える植栽装置を、折板屋根上に複数並設する折板屋根緑化設備であって、前記植栽基盤相互の隙間を被覆する被覆部を有することを特徴とする。
この構成によれば、植栽基盤相互の隙間を被覆部にて被覆することができるため、例えば植栽基盤に合ったマット状の植物を用意する必要がなく、安価で、高い施工性が得られると共に、美観に優れた緑化エリアを形成することが可能となる。また、植栽基盤相互間から土壌などが落下することがないため、折板屋根に異物がたまるなどの不具合を未然に防止することができる。
【0009】
本発明の折板屋根緑化設備は、前記植栽基盤の側面上端に外方に屈曲して延設される突出片を有し、前記突出片として、平面視で隣り合う二辺に突出長さの長い長突出片と、他の隣り合う二辺に前記長突出片より突出長さの短い短突出片とが設けられ、一の前記植栽基盤の前記短突出片上に他の前記植栽基盤の前記長突出片を配置して前記被覆部が構成されることを特徴とする。
この構成によれば、簡単且つ安価に被覆部を設けることができる。また、植栽基盤の設置時に長突出片を短突出片上に配置して被覆部を構成できるので、施工性に優れる。
【0010】
本発明の折板屋根緑化設備は、前記短突出片と前記長突出片とが相互に係合する係合部が設けられることを特徴とする。
この構成によれば、短突出片と長突出片の配置を安定化することができる。
【0011】
本発明の折板屋根緑化設備は、前記短突出片が前記長突出片よりも低い位置に設けられることを特徴とする。
この構成によれば、植栽基盤の並置状態で短突出片と長突出片に内部応力が生ずることを防止し、短突出片と長突出片に不要な負荷がかかることを防止することができ、ひいては耐久性を向上することができる。また、短突出片上への長突出片の載置を安定化することができる。
【0012】
本発明の折板屋根緑化設備は、隣り合う前記植栽基盤の前記突出片に固定部材を取り付けることにより、前記植栽基盤相互が連結されることを特徴とする。
この構成によれば、隣り合う前記植栽基盤の突出片を安定して連結することができると共に、耐風圧に対する強度を増すことができる。
【0013】
本発明の折板屋根緑化設備は、一の前記植栽基盤の前記長突出片が、前記一の植栽基盤と隣り合う他の前記植栽基盤の育成材上まで延設されることを特徴とする。
この構成によれば、植栽基盤の育成材が風などにより飛散することを防止することができる。
【0014】
本発明の折板屋根緑化設備は、一の前記植栽基盤の外周に他の前記植栽基盤が設けられ、一の前記植栽基盤の前記長突出片と、一の前記植栽基盤の前記短突出片上に配置される前記他の植栽基盤の前記長突出片とで、略同一平面が構成されることを特徴とする。
この構成によれば、植栽基盤や植栽状態の緑化設備の美観を高めることができる。
【0015】
本発明の折板屋根緑化設備は、前記被覆部が、前記植栽基盤とは別体の前記植栽基盤相互を連結する連結部材で構成され、前記連結部材に、相互に連結する前記植栽基盤の育成材まで延びる被覆片が設けられていることを特徴とする。
この構成によれば、連結部材により簡単に被覆部を構成することができる。また、連結部材の被覆片で風などで育成材が飛散することを防止することができる。また、植栽基盤相互の連結が可能となり、植栽基盤の位置決め効果、相互の固定強化、植栽基盤が面となることによる耐風圧効果を発揮することが可能となる。
【0016】
本発明の折板屋根緑化設備は、前記育成材がマット状に形成され、前記マット状の育成材の上面に給水パイプを配設可能な育成材凹部が形成されていることを特徴とする。
この構成によれば、育成材に給水パイプを安定して設置することができると共に、植物に適切な給水を行うことができる。
【0017】
本発明の折板屋根緑化設備は、前記側面の少なくとも対向する二辺に給水パイプを配設可能な側面凹部が形成されていることを特徴とする。
この構成によれば、植栽基盤に給水パイプを安定して設置することができると共に、植物に適切な給水を行うことができる。
【0018】
本発明の折板屋根緑化設備は、前記育成材がマット状に形成され、前記マット状の育成材の上面に給水パイプを配設可能な育成材凹部が形成され、且つ前記側面の少なくとも二辺に給水パイプを配設可能な側面凹部が形成され、前記側面凹部が前記育成材凹部よりも凹形状が大きく形成されていることを特徴とする。
この構成によれば、育成材と植栽基盤に給水パイプを安定して設置することができると共に、植物に適切な給水を行うことができる。また、硬い植栽基盤の側面凹部により給水パイプが切断されることを防止できる。
【0019】
本発明の折板屋根緑化設備は、前記折板屋根の山部と前記植栽基盤の底板とが接着剤又は両面テープで固定されていることを特徴とする。
この構成によれば、植栽基盤を簡単に且つ優れた施工性で折板屋根に固定することができる。
【0020】
本発明の折板屋根緑化設備は、前記植栽基盤は、鋼板の絞り加工により成形されていることを特徴とする。
この構成によれば、植栽基盤の強度、コスト、加工性、防錆性を高めることが可能となる。
【0021】
本発明の緑化設備は、平面視略矩形で、少なくとも底板と側面を有する植栽基盤と、前記植栽基盤内に収納される育成材と、前記育成材に植栽される植物とを備える植栽装置を、敷設面上に複数並設する緑化設備であって、前記植栽基盤の側面上端に外方に屈曲して延設される突出片を有し、前記突出片として、平面視で隣り合う二辺に突出長さの長い長突出片と、他の隣り合う二辺に前記長突出片より突出長さの短い短突出片とが設けられ、一の前記植栽基盤の前記短突出片上に他の前記植栽基盤の前記長突出片を配置して、前記植栽基盤相互の隙間を被覆する被覆部が構成されることを特徴とする。尚、本発明の緑化設備には、本発明の折板屋根緑化設備の構成として本明細書に開示されている構成を、適用可能な範囲で適用することが可能である。
この構成によれば、植栽基盤相互の隙間を被覆部にて被覆することができるため、例えば植栽基盤に合ったマット状の植物を用意する必要がなく、安価で、高い施工性が得られると共に、美観に優れた緑化エリアを形成することが可能となる。また、植栽基盤相互間から土壌などが落下することがないため、敷設面に異物がたまるなどの不具合を未然に防止することができる。また、簡単且つ安価に被覆部を設けることができる。また、植栽基盤の設置時に長突出片を短突出片上に配置して被覆部を構成できるので、施工性に優れる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の折板屋根緑化設備及び緑化設備によれば、単純な構成により植栽基盤相互の隙間を被覆部にて被覆することができるため、安価で、施工性が高く、美観に優れた緑化エリアを形成することが可能となる。また、植栽基盤相互間から土壌などが落下することがないため、敷設面或いは折板屋根に異物がたまるなどの不具合を未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】(a)は実施例1の折板屋根緑化設備を示す平面図、(b)は実施例1の折板屋根緑化設備を示す正面図。
【図2】(a)は実施例1の植栽基盤を示す平面図、(b)は実施例1の植栽基盤を示す正面図、(c)は図2(a)のA−A断面図、(d)は図2(a)のB−B断面図、(e)は実施例1の植栽基盤を示す側面図、(f)は図2(a)のC−C断面図、(g)は図2(a)のD−D断面図。
【図3】(a)は実施例1の育成材を示す平面図、(b)は実施例1の育成材を示す正面図、(c)は図3(a)のA−A断面図、(d)は図3(a)のB−B断面図、(e)は実施例1の育成材を示す側面図、(f)は図3(a)のC−C断面図、(g)は図3(a)のD−D断面図。
【図4】(a)は実施例1の折板屋根緑化設備の施工途中を示す平面説明図、(b)は実施例1の折板屋根緑化設備の施工途中を示す正面説明図。
【図5】図1のA部拡大図。
【図6】(a)は実施例2の折板屋根緑化設備の施工途中を示す平面説明図、(b)は実施例2の折板屋根緑化設備の施工途中を示す正面説明図。
【図7】(a)は実施例2の植栽基盤を示す平面図、(b)は実施例2の植栽基盤を示す正面図、(c)は実施例2の植栽基盤を示す側面図。
【図8】(a)は実施例2の育成材を示す平面図、(b)は実施例2の育成材を示す正面図、(c)は実施例2の育成材を示す側面図。
【図9】(a)は実施例2の連結部材を示す平面図、(b)は実施例2の連結部材を示す正面図、(c)は実施例2の連結箇所の一部拡大平面図、(d)は図9(c)のA部拡大図、(e)は実施例2の連結部材の連結状態を示す正面説明図。
【図10】(a)は実施例1の植栽基盤の第1変形例を示す平面図、(b)は実施例1の植栽基盤の第2変形例を示す平面図、(c)は実施例1の植栽基盤の第3変形例を示す平面図、(d)は実施例1の植栽基盤の第4変形例を示す平面図。
【図11】(a)は連結可能な植栽基盤を示す平面図、(b)は連結可能な植栽基盤の四隅部部分拡大図。
【図12】(a)は実施例1の育成材の第1変形例を示す平面図、(b)は実施例1の育成材の第1変形例を示す正面図、(c)は実施例1の育成材の第1変形例を示す側面図。
【図13】(a−1)は実施例1の育成材の第2変形例を示す分解平面図、(a−2)は実施例1の育成材の第2変形例を示す平面図、(a−3)は実施例1の育成材の第2変形例を示す正面図、(b)は実施例1の育成材の第3変形例の育成材を植栽基盤に収納した状態を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の折板屋根緑化設備及び緑化設備に関する具体的な実施例について説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、各実施例の各構成要件を組み合わせ或いは組み替える構成や、各実施例の各構成要件を削除するなど本発明の要旨の範囲内の全ての構成が含まれる。
【0025】
〔実施例1〕
実施例1の折板屋根緑化設備Wは、図1に示すように山部1と谷部2が交互に設けられ、山部1の頂面にカシメ結合されたハゼ部(突出部)3を有する折板屋根R上に、隣り合う山部1のピッチと略同一の幅を有する植栽基盤10を配置し、植栽基盤10内に植物を栽培可能な育成材20を収納すると共に、育成材20に植物30を植栽することにより、緑化可能に構成される。本実施例では、植栽基盤10と、育成材20と、育成材20に植栽される植物30とにより植栽装置Gを構成し、この植栽装置Gが折板屋根R上に複数並設され、折板屋根緑化設備(単に、「緑化設備」ということもある)Wが構成される。
【0026】
図2に示すように、本実施例の植栽基盤10は、平面視略矩形で、底板10aと側面10bを有する上面開放の箱型であり、底板10aには、折板屋根Rの流れ方向(図2(a)、図1に示すY方向)に直交する方向に設けられ、上方に突出する4本のリブ12が形成されている。リブ12の頂面には1つのリブに対して4つの穴12aが穿設されており、リブ12以外の底板10aに貯水可能な構成で、且つリブ12の頂面を超えた余剰水は穴12aから排出される構成となっている。
【0027】
植栽基盤10の側面10bは、上方に向かって開口が大きくなるようなテーパ面で形成され、側面10bの上端において、4辺のうち一の隣り合う2辺(折板屋根Rの勾配の下方向を含む2辺)には、外方に長く突出する長突出片13が形成されていると共に、他の隣り合う2辺には、外方に短く突出する短突出片14が形成されて、全周を突出片(長突出片13、短突出片14)で囲まれて形成されている。
【0028】
即ち、植栽基盤10は、その側面10bの上端に外方に屈曲して延設される突出片を有し、突出片として、平面視で隣り合う二辺に突出長さの長い長突出片13と、他の隣り合う二辺に長突出片13より突出長さの短い短突出片14とが設けられ、一の植栽基盤10の短突出片上14に他の植栽基盤10の長突出片13を配置して、植栽基盤10相互の隙間を被覆する被覆部が構成される。尚、説明の便宜上、リブ12に平行な長突出片13を第1長突出片13aとし、リブ12に直交する長突出片13を第2長突出片13bとし、リブ12に平行な短突出片14を第1短突出片14aとし、リブ12に直交する短突出片14を第2短突出片14bとする。
【0029】
また、側面10bの少なくとも対向する二辺に給水パイプPを配設可能な側面凹部15が形成されており、本例では第1長突出片13aと、第1短突出片14aの上端において、第2短突出片14b側近傍に側面凹部15(それぞれ説明の便宜上第1側面凹部15a、第2側面凹部15bとする)が形成され、後述する給水パイプPを配設可能な構成となっている。尚、側面凹部15は切りっ放しではなく、側面凹部15を外方に屈曲延設してなる支持片部16からなる面を有しており、上方からの圧力に対して、給水パイプPが破損することを防止している。また、側面凹部15を辺中央部に設けない構成とすることにより、植栽基盤10の上方からの圧力に対して植栽基盤10自体の強度アップを可能としている。
【0030】
また、第1長突出片13aの第2短突出片14b側に第1段差部17aが設けられ、第2長突出片13bの第1短突出片14a側に第2段差部17bが設けられ、第1短突出片14aの第2短突出片14b側に第3段差部17cが設けられ、第2短突出片14bの第1短突出片14a側に第4段差部17dが設けられている。また、「第1段差部17aと第2段差部17bで囲まれた第1長突出片13a及び第2長突出片13b」が、「第1段差部17aと第4段差部17dで囲まれた第2短突出片14b」及び「第2段差部17bと第3段差部17cで囲まれた第1短突出片14a」よりも高くなるように形成されている。また、「第3段差部17cと第4段差部17dで囲まれた第1短突出片14a及び第2短突出片14b」が、「第1段差部17aと第4段差部17dで囲まれた第2短突出片14b」及び「第2段差部17bと第3段差部17cで囲まれた第1短突出片14a」よりも低くなるように形成されている。即ち、短突出片14が長突出片13よりも低い位置に設けられると共に、一の植栽基盤10の外周に他の植栽基盤10が設けられ、一の植栽基盤10の前記長突出片13と、一の植栽基盤10の短突出片14上に配置される他の植栽基盤10の長突出片14とで、植栽基盤10の外周において、略同一平面が構成されるようになっている。
【0031】
植栽基盤10は、合成樹脂製、発泡体、鋼板、木製、陶器製、石製など適宜であるが、好適には鋼板製、より好適にはガルバニウム鋼板製を絞り加工を施すことにより成形された構成であり、強度、コスト、加工性、防錆性に優れている。
【0032】
また、図3に示すように、本例の育成材20は、上面20aと下面20bを有するマット状であり、外周において植栽基盤10のテーパ面(側面10b)に沿うようなテーパ面が形成された側面20cが形成されている。また、下面20bから下方に楕円形状の突出部22が形成され、突出部22に対応する上面20aには突出部22に対応する形状の凹状部21が形成され、育成材20相互を重ね合わせた際に、突出部22が凹状部21に入り込み、積み重ねの際の嵩を低くすることができると共に、位置決め効果を発揮し、安定した積み重ねが可能となるように構成されている。更には、凹状部21の存在により、吸い上げた水分が上方に移動するのではなく、横方向に広がる助けとなるため好適である。また、植栽基盤10の側面凹部15に対応する箇所の育成材20の上面20aには育成材凹部23が形成され、後述する給水パイプPを敷設可能な構成となっている。具体的には、育成材凹部23は、育成材20の上面20aの一端部から、当該一端部に対向する他端部まで延設されていると共に、給水パイプPを敷設可能な大きさ寸法の形状(例えば、給水パイプPを外嵌する大きさ寸法の円弧凹状の溝形状)に形成されている。
【0033】
尚、突出部22は、植栽基盤10の各貯水箇所(「リブ12以外の底板10aと、リブ12の側面部とで囲まれている領域」及び「リブ12以外の底板10aと、リブ12の側面部と、側面10bとで囲まれている領域」)にそれぞれ3つずつ形成され、貯水箇所の中心よりも第1長突出片13a(低勾配側)方向にずれた位置に設けられており、確実に貯水箇所の水分を吸水することが可能であると共に、リブ12に沿って長辺となるような楕円形で形成されていることから、育成材20自体を支持可能な構成となっている。
【0034】
尚、凹状部21の深さと育成材凹部23の深さを略同一深さとすることにより、後述する給水パイプPの安定した設置が可能となり好適である。また、育成材凹部23を植栽基盤10の側面凹部15よりも浅く形成する、換言すれば側面凹部15を育成材凹部23よりも凹形状を大きく形成すると好適であり、硬い植栽基盤10の側面凹部15により給水パイプPが切断されるなどの不具合を未然に防止することが可能となっている。
【0035】
尚、育成材20は植物を育成可能なものであればどのようなものであっても良く、例えば、パーライト、バーミキュウライト、ピートモス、バーク堆肥、チャフコン、木質腐朽有機物、ゼオライト、下水或いは浄水場から発生する汚泥、或いは汚泥の焼却灰などを単体で、或いは複数種類を混合して、更には根腐れ防止用の硅酸塩白土等を植物の種類、環境等に応じて適宜選定し、これらを保水性、排水性を良好にするためにバランス良く配合したものをバインダーで固化したもの、或いはウレタン、スポンジやヤシガラ等の繊維材等の軽量育成材など適宜である。
【0036】
上記の植栽基盤10及び育成材20などを折板屋根Rに載置する場合、図4に示すように、先ず、折板屋根Rの山部1の頂面に両面テープ或いは接着剤、粘着剤等の固定手段5を設け、その上に、育成材20を収納した植栽基盤10を長突出片13が低勾配側になるように、且つ山部1頂面のハゼ部分(ハゼ部3)に挟まれるような位置に載置することにより、折板屋根Rの山部1と植栽基盤10の底板10aとを固定状態とする。
【0037】
また、図5に示すように一の植栽基盤10は、隣り合う他の植栽基盤10の短突出片14上に長突出片13が位置するように隣接して敷設することにより、植栽基盤10上から折板屋根(ハゼ部分を含む)Rが目視不能な状態になっている。この際、長突出片13が隣り合う他の植栽基盤10の育成材20上まで延びていることから、育成材20の隣り合う2辺が長突出片13により押えられ、育成材20自体が風などにより飛散することが防止される。
【0038】
その後、図1に示すように折板屋根Rの勾配に沿って1直線上になっている側面凹部15及び育成材凹部23内に給水パイプPを敷設し、その上から切り芝などのマット状の植物(植栽マット等の植物)30を載置することにより、施工が完了する。尚、給水パイプPは、多孔質パイプ、ドリップチューブ、しみ出しパイプ等適宜である。また、前記植栽マットも芝に限らず、様々な植物、例えばタマリュウ、セダム、地被類、コケ、キリンソウ等をマット状にしたもの、或いは育成材20の上面20aの凹部21内に苗を植え付ける構成、或いは育成材20上に植物の種子をまく、或いは育成材20内に種子を混合させておくなど適宜である。
【0039】
以上、本発明の実施例1の折板屋根緑化設備Wを使用することにより、単純な構成により植栽基盤10相互の隙間を被覆部にて被覆することができるため、安価で、美観に優れた緑化エリアを形成することが可能となる。また、植栽基盤10相互間から土壌などが落下することがないため、敷設面或いは折板屋根Rに異物がたまるなどの不具合を未然に防止することが可能となる。
【0040】
〔実施例2〕
次に、本発明の実施例2について上記実施例1と異なる箇所の詳細を説明する。第2実施例の折板屋根緑化設備Wは、図6に示すように実施例1と同様に折板屋根Rの隣り合う山部1の上に載置される構成となっている。具体的には、植栽基盤40と、育成材50と、育成材50に植栽される植物30と、連結部材60とにより植栽装置Gを構成し、この植栽装置Gが折板屋根R上に複数並設され、折板屋根緑化設備Wが構成されるようになっている。尚、実施例2において、上述した実施例1で示した構成に相当する構成については、説明の便宜上、同じ符号を付している。
【0041】
図7に示すように、本実施例の植栽基盤40は、底板40aと側面40bを有する上面開放の箱型であり、底板40aには、排水用の穴41が穿設されている。また、側面40bは、実施例1同様にテーパ面が形成されており、全側面に後述する連結部材60の連結片61を係合可能な係合穴42が穿設されており、側面40bの上端には、実施例1で言う突出片などが存在しない構成となっている。また、実施例1と同一箇所に実施例1同様に給水パイプPを配設可能な側面凹部45が正面視四角形状に形成されている。尚、側面凹部45は切りっ放し状態となっているが、実施例1同様に支持片部を設けても良い。
【0042】
また、図8に示すように、本実施例の育成材50は、実施例1と同様に、上面50aと下面50bと、外周のテーパ面からなる側面50cとを有するマット状に形成されている。また、上面50aには、実施例1の育成材凹部23と同様の育成材凹部53が形成されている。また、下面50bに、実施例1の突出部22が存在しないことにより、肉厚な育成材50が形成されている。また、側面50cには、後述する連結部材60を連結可能とするために、その上端側に略矩形状の凹状部54が形成されているが、柔軟性を有する部材など育成材50の材質によっては不要である。
【0043】
また、図9に示すように、別体の連結部材60は、連結箇所の植栽基盤側面40b相互の隙間sを被覆する構成になっている。具体的には、連結部材60は、被覆部(例えば、板状の被覆部)61を有し、被覆部61の下面からは1対の係合片62が突設され、この係合片62が植栽基盤40の側面40bに形成された係合穴42に係合されることにより、隣り合う2つの植栽基盤40相互を連結すると共に、被覆部61にて植栽基盤40の側面40b相互間の隙間sを被覆する構成となっている。尚、被覆部61は、長尺寸法が植栽基盤40の幅寸法と略同じ大きさ寸法に形成され、短尺寸法が隙間sを被覆可能な大きさ寸法に形成されている。また、育成材50の凹状部54の存在により、平面視で係合穴42を目視することが可能であり(図9(d)参照)、且つ係合時に育成材50が邪魔にならない構成となっていることから、連結作業を容易に行うことが可能となっている。尚、被覆部61の端部は、図6に示すように植栽基盤40の四隅が集合する箇所で重ならないように三角形状に形成されている。更に、被覆部61は係合片62よりも外方に延びる被覆片61aを有しており、この被覆片61aが育成材50上まで延びて形成されている構成となっており、育成材50の飛散防止効果を発揮している。
【0044】
以上、本発明の実施例2の折板屋根緑化設備を使用することにより、実施例1と同様の効果を発揮することが出来ると共に、植栽基盤40相互の連結が可能となり、植栽基盤40の位置決め効果、相互の固定強化、植栽基盤40が面となることによる耐風圧効果を発揮することが可能となる。また、連結部材60が、給水パイプPよりも上方に位置することから、給水パイプPの位置決め効果を発揮すると共に、給水パイプPの植栽基盤側面40bの上方からかかる圧力を防止し、給水パイプPの破損を未然に防止することが可能となっている。
【0045】
〔実施例の変形例等〕
本明細書開示の発明には、解決手段に記載の各発明や実施形態(実施例1、実施例2)等の構成のほかに、これらの部分的な構成を本明細書開示の他の構成に変更して特定したもの、或いはこれらの構成に本明細書開示の他の構成を付加して特定したもの、或いはこれらの部分的な構成を部分的な作用効果が得られる限度で削除して特定した上位概念化したものも含まれ、例えば下記の変形例も包含される。尚、下記の変形例において、上述した実施例で示した構成と同様の構成(及び相当する構成)については、説明の便宜上、同じ符号を付している。
【0046】
例えば、植栽基盤10は上記実施例に限定されず、例えば図10に示すように、様々な構成が考えられる。図10(a)に示すように、実施例1の植栽基盤10の側面凹部15を対向する2辺の中央部に設けると共に、側面凹部15から1つ内側のリブ12までに折板屋根Rの流れ方向に沿うリブ80を設ける構成としてもよい。これにより、給水パイプPを配設した際に上からかかる圧力を流れ方向の沿うリブ80で支えることができ、給水パイプP自体の変形を未然に防止することが可能となる。
また、図10(b)に示すように、リブ81を格子状に設け、格子状のリブ81相互間に通水用の凹溝部82を設けてなり、且つ側面凹部15を対向する2辺に3箇所設ける構成であってもよい。これにより、水分を植栽基盤10全体に行き渡らすことが可能となると共に、施工状態に応じて3箇所の給水パイプP配設箇所を適宜選んで、或いは複数個所に給水パイプPを配設することが可能となり、施工現場にあった施工が可能となる。
また、図10(c)に示すように、リブ83は必ずしも側面10bまで延びている必要がなく、また、必ずしもリブ83の頂面に穴を穿設する必要がなく、また、給水パイプPも折板屋根Rの流れ方向に直交する方向に布設可能に側面凹部15を設けることも可能であり、リブの形状により折板屋根Rと固定手段5による固定を強固に行うことが可能となり、また、給水パイプPの配設も、水源の位置、施工現場に応じて選択的に行うことが可能となる。
また、図10(d)に示すように、リブの形状は対角線上に設けたり(底板10aの対角線状にリブ84を設けたり)、また円形状に設ける(底板10aに円形状のリブ85を設ける)など適宜であり、更には側面凹部15の支持片部16を長くするなど適宜である。また、図示しないが、リブの高さもリブ毎に異ならせるなど適宜であり、下流側のリブを低くし、上流側の水が貯まり難い箇所のリブを高くするなど適宜である。また、側面10bのテーパ面は必須条件ではなく、なくても良い。更に内側に、側面10bは、テーパ面となっていても良く、更には曲線状の形状であっても良い。
【0047】
また、隣り合う植栽基盤10の突出片13、14にビス等の固定部材を取り付けることにより、植栽基盤10相互が連結される構成としてもよく、例えば図11に示すように、植栽基盤10の4隅に囲まれた箇所において、全ての突出片13、14が重なるように構成し、この重なった箇所をビス止めするなど適宜であり、全ての植栽基盤10が連結され、耐風圧に対する強度が増すこととなる。この際、重なり部分に下方に突出すると共に上部が凹型となる凸部90を設け、上部の突出部の凸部90が下方の突出部90の凹型にはめ込まれて位置決めされる構成とすると好適であり、位置決め効果及びビスの打ち込みを容易にするという効果を発揮できる。尚、4つの突出部90が重なる必要はなく、2つであっても3つであっても良いことは言うまでもない。また、例えば一方に凹部、他方に凸部を設けて係合するなど、短突出片14と長突出片13とが相互に係合する係合部を設けるようにしてもよい。
【0048】
また、図12に示すように、育成材20は、どのような形状、構成であってもよく、図12(a)に示すように、実施例1の突出部22を円形とする構成であってもよく(この場合、突出部22に対応する育成材上面20aの凹状部21も円形に構成される)、更に、突出部22の大きさを変えるなど適宜であり、突出部22の形状、個数等はどのようなものであっても良く、また形状に関して様々な形状の組み合わせであっても良く、更には突出部22に対応する育成材上面20aの凹状部21はなくても良い。
【0049】
また、育成材20は、単体である必要がなく、図13(a−1)、(a−2)、(a−3)に示すように複数の育成材91、92、93を組み合わせる構成であってもよく、成形コストを低減することが可能となる。また、図13(b)に示すように、平板状の育成材94の下面に不織布95などの柔らかい吸水布を布設して植栽基盤10の水分を吸い上げる構成であってもよく、この場合も成形コストを低減することが可能となる。
【0050】
また、育成材20は、必ずしもマット状やブロック状等一体化されている必要はなく、粒状の一般的に使用されている軽量土壌、一般土壌等からなる育成材であってもよい。
【0051】
また、本発明の植栽基盤10(又は植栽基盤40)、緑化設備Wは、ハゼタイプの折板屋根R上に必ずしも設置する必要はなく、ボルトタイプの折板屋根上や陸屋根上等に設置しても良い。例えば平面視略矩形で、少なくとも底板10aと側面10bを有する植栽基盤10と、植栽基盤10内に収納される育成材20と、育成材20に植栽される植物30とを備える植栽装置Gを、敷設面上に複数並設する緑化設備Wであって、植栽基盤10の側面上端10bに外方に屈曲して延設される突出片を有し、前記突出片として、平面視で隣り合う二辺に突出長さの長い長突出片13と、他の隣り合う二辺に長突出片13より突出長さの短い短突出片14とが設けられ、一の植栽基盤10の短突出片14上に他の植栽基盤10の長突出片13を配置して、植栽基盤10相互の隙間sを被覆する被覆部(長突出片13及び短突出片14により構成される被覆部)が構成されるようにしてもよい。
【0052】
また、植栽基盤10、40の折板屋根Rに対する固定は、必ずしも接着である必要はなく、公知のハゼ掴みなどを利用して固定する構成であっても良い。また、接着する構成であっても、接着面積が足りない場合は、下地材を折板屋根Rに接着して接着面積を確保し、下地材に植栽基盤10、40をビス等で固定する構成であってもよく、より強固に折板屋根Rとの固定が可能となる。また、両面テープを使用する場合は、両面テープは折板屋根Rの山部全長に設ける必要は無く、部分的に設ける構成、植栽基盤10、40側に設ける構成等適宜である。
【0053】
また、給水パイプPを配設するための凹部(側面凹部15或いは育成材凹部23)は必須条件ではなく、無くても良い。この場合は、育成材20の上に給水パイプを配設し、その上に切り芝を載置する構成、或いは育成材20の上に切り芝を載置し、その上に給水パイプPを配設する構成等適宜であり、植栽基盤10、40の成形コストを低減することが可能となる。
【0054】
また、上記実施例では植栽基盤10、40を平面視正方形に形成しているが、本発明は長方形であっても良く、折板屋根R上に並設する場合は幅のみあっていれば全て含まれる。
【0055】
また、連結部材60は、上記実施例2に限定されるものではなく、植栽基盤相互を連結することが可能であれば全て含まれ、且つ連結部材60の各部(被覆部61、係合片62、被覆片61a)も必ずしも一体化して形成する必要も無い。更に連結部材60が係合する係合穴42も必須条件ではなく、係合突起を設ける構成、係合凹部を設ける構成、なにも設けない構成全て含まれる。
【0056】
また、植栽基盤内に育成材を収納して、その上にデッキ材などを設ける構成であってもよく、より美観に優れた緑化エリアを形成することが可能となる。
【0057】
また、上述した実施例1では、一の植栽基盤10の短突出片14上に他の植栽基盤10の長突出片13を載置することにより、植栽基盤10相互の隙間sを被覆する被覆部が構成されるようになっているが、植栽基盤10に長突出片13だけを設ける構成としてもよい。具体的には、植栽基盤10の側面10bの上端において、平面視で隣り合う二辺に長突出片13を設け、他の隣り合う二辺に突出片(短突出片14)を設けない構成にする。この構成においても、複数の植栽基盤10を隣接配置した場合(図1のように配置した場合)、一の植栽基盤10の長突出片13が、隣接配置された他の植栽基盤10の育成材20上まで延びるため、植栽基盤10相互の隙間sを被覆することができる。更に、この場合、長突出片13が設けられていない側面10bの上端側に係合孔(例えば、実施例2の係合穴42と同様の構成もの)を設け、長突出片13の下面側に前記係合孔に係止される係合片(長突出片13の下面から突出する係合片)を設けるようにし、隣接配置された植栽基盤10相互を連結・固定できるようにしてもよい。
【0058】
また、本発明は、必ずしも被覆部で完全に被覆される必要はなく、隙間の大部分が被覆されれば良い。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、例えば折板屋根の緑化に利用することができる。
【符号の説明】
【0060】
R…折板屋根
1…山部、2…谷部、3…ハゼ部
5…固定手段
P…給水パイプ
W…折板屋根緑化設備
G…植栽装置
10…植栽基盤、10a…底板、10b…側面、12…リブ、12a…穴、13…長突出片、13a…第1長突出片、13b…第2長突出片、14…短突出片、14a…第1短突出片、14b…第2短突出片、15…側面凹部、15a…第1側面凹部、15b…第2側面凹部、16…支持片部、17a…第1段差部、17b…第2段差部、17c…第3段差部、17d…第4段差部
20…育成材、20a…上面、20b…下面、20c…側面、21…凹状部、22…突出部、23…育成材凹部
30…植物
40…植栽基盤、40a…底板、40b…側面、41…穴、42…係合穴、45…側面凹部
50…育成材、50a…上面、50b…下面、50c…側面、53…育成材凹部、54…凹状部
60…連結部材、61…被覆部、61a…被覆片、62…係合片
80、81、83、84、85…リブ
82…凹溝部
90…凸部
91、92、93、94…育成材
95…不織布
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視略矩形で、少なくとも底板と側面を有し、折板屋根の山部のピッチと略同一の幅を有する植栽基盤と、
前記植栽基盤内に収納される育成材と、
前記育成材に植栽される植物とを備える植栽装置を、
折板屋根上に複数並設する折板屋根緑化設備であって、
前記植栽基盤相互の隙間を被覆する被覆部を有することを特徴とする折板屋根緑化設備。
【請求項2】
前記植栽基盤の側面上端に外方に屈曲して延設される突出片を有し、
前記突出片として、平面視で隣り合う二辺に突出長さの長い長突出片と、他の隣り合う二辺に前記長突出片より突出長さの短い短突出片とが設けられ、
一の前記植栽基盤の前記短突出片上に他の前記植栽基盤の前記長突出片を配置して前記被覆部が構成されることを特徴とする請求項1記載の折板屋根緑化設備。
【請求項3】
前記短突出片と前記長突出片とが相互に係合する係合部が設けられることを特徴とする請求項2記載の折板屋根緑化設備。
【請求項4】
前記短突出片が前記長突出片よりも低い位置に設けられることを特徴とする請求項2又は3記載の折板屋根緑化設備。
【請求項5】
隣り合う前記植栽基盤の前記突出片に固定部材を取り付けることにより、前記植栽基盤相互が連結されることを特徴とする請求項2〜4の何れかに記載の折板屋根緑化設備。
【請求項6】
一の前記植栽基盤の前記長突出片が、前記一の植栽基盤と隣り合う他の前記植栽基盤の育成材上まで延設されることを特徴とする請求項2〜5の何れかに記載の折板屋根緑化設備。
【請求項7】
一の前記植栽基盤の外周に他の前記植栽基盤が設けられ、
一の前記植栽基盤の前記長突出片と、一の前記植栽基盤の前記短突出片上に配置される前記他の植栽基盤の前記長突出片とで、略同一平面が構成されることを特徴とする請求項2〜6の何れかに記載の折板屋根緑化設備。
【請求項8】
前記被覆部が、前記植栽基盤とは別体の前記植栽基盤相互を連結する連結部材で構成され、
前記連結部材に、相互に連結する前記植栽基盤の育成材まで延びる被覆片が設けられていることを特徴とする請求項1記載の折板屋根緑化設備。
【請求項9】
前記育成材がマット状に形成され、
前記マット状の育成材の上面に給水パイプを配設可能な育成材凹部が形成されていることを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載の折板屋根緑化設備。
【請求項10】
前記側面の少なくとも対向する二辺に給水パイプを配設可能な側面凹部が形成されていることを特徴とする請求項1〜9の何れかに記載の折板屋根緑化設備。
【請求項11】
前記育成材がマット状に形成され、
前記マット状の育成材の上面に給水パイプを配設可能な育成材凹部が形成され、
且つ前記側面の少なくとも二辺に給水パイプを配設可能な側面凹部が形成され、
前記側面凹部が前記育成材凹部よりも凹形状が大きく形成されていることを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載の折板屋根緑化設備。
【請求項12】
前記折板屋根の山部と前記植栽基盤の底板とが接着剤又は両面テープで固定されていることを特徴とする請求項1〜11の何れかに記載の折板屋根緑化設備。
【請求項13】
前記植栽基盤は、鋼板の絞り加工により成形されていることを特徴とする請求項1〜12の何れかに記載の折板屋根緑化設備。
【請求項14】
平面視略矩形で、少なくとも底板と側面を有する植栽基盤と、
前記植栽基盤内に収納される育成材と、
前記育成材に植栽される植物とを備える植栽装置を、
敷設面上に複数並設する緑化設備であって、
前記植栽基盤の側面上端に外方に屈曲して延設される突出片を有し、
前記突出片として、平面視で隣り合う二辺に突出長さの長い長突出片と、他の隣り合う
二辺に前記長突出片より突出長さの短い短突出片とが設けられ、
一の前記植栽基盤の前記短突出片上に他の前記植栽基盤の前記長突出片を配置して、前記植栽基盤相互の隙間を被覆する被覆部が構成されることを特徴とする緑化設備。
【請求項1】
平面視略矩形で、少なくとも底板と側面を有し、折板屋根の山部のピッチと略同一の幅を有する植栽基盤と、
前記植栽基盤内に収納される育成材と、
前記育成材に植栽される植物とを備える植栽装置を、
折板屋根上に複数並設する折板屋根緑化設備であって、
前記植栽基盤相互の隙間を被覆する被覆部を有することを特徴とする折板屋根緑化設備。
【請求項2】
前記植栽基盤の側面上端に外方に屈曲して延設される突出片を有し、
前記突出片として、平面視で隣り合う二辺に突出長さの長い長突出片と、他の隣り合う二辺に前記長突出片より突出長さの短い短突出片とが設けられ、
一の前記植栽基盤の前記短突出片上に他の前記植栽基盤の前記長突出片を配置して前記被覆部が構成されることを特徴とする請求項1記載の折板屋根緑化設備。
【請求項3】
前記短突出片と前記長突出片とが相互に係合する係合部が設けられることを特徴とする請求項2記載の折板屋根緑化設備。
【請求項4】
前記短突出片が前記長突出片よりも低い位置に設けられることを特徴とする請求項2又は3記載の折板屋根緑化設備。
【請求項5】
隣り合う前記植栽基盤の前記突出片に固定部材を取り付けることにより、前記植栽基盤相互が連結されることを特徴とする請求項2〜4の何れかに記載の折板屋根緑化設備。
【請求項6】
一の前記植栽基盤の前記長突出片が、前記一の植栽基盤と隣り合う他の前記植栽基盤の育成材上まで延設されることを特徴とする請求項2〜5の何れかに記載の折板屋根緑化設備。
【請求項7】
一の前記植栽基盤の外周に他の前記植栽基盤が設けられ、
一の前記植栽基盤の前記長突出片と、一の前記植栽基盤の前記短突出片上に配置される前記他の植栽基盤の前記長突出片とで、略同一平面が構成されることを特徴とする請求項2〜6の何れかに記載の折板屋根緑化設備。
【請求項8】
前記被覆部が、前記植栽基盤とは別体の前記植栽基盤相互を連結する連結部材で構成され、
前記連結部材に、相互に連結する前記植栽基盤の育成材まで延びる被覆片が設けられていることを特徴とする請求項1記載の折板屋根緑化設備。
【請求項9】
前記育成材がマット状に形成され、
前記マット状の育成材の上面に給水パイプを配設可能な育成材凹部が形成されていることを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載の折板屋根緑化設備。
【請求項10】
前記側面の少なくとも対向する二辺に給水パイプを配設可能な側面凹部が形成されていることを特徴とする請求項1〜9の何れかに記載の折板屋根緑化設備。
【請求項11】
前記育成材がマット状に形成され、
前記マット状の育成材の上面に給水パイプを配設可能な育成材凹部が形成され、
且つ前記側面の少なくとも二辺に給水パイプを配設可能な側面凹部が形成され、
前記側面凹部が前記育成材凹部よりも凹形状が大きく形成されていることを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載の折板屋根緑化設備。
【請求項12】
前記折板屋根の山部と前記植栽基盤の底板とが接着剤又は両面テープで固定されていることを特徴とする請求項1〜11の何れかに記載の折板屋根緑化設備。
【請求項13】
前記植栽基盤は、鋼板の絞り加工により成形されていることを特徴とする請求項1〜12の何れかに記載の折板屋根緑化設備。
【請求項14】
平面視略矩形で、少なくとも底板と側面を有する植栽基盤と、
前記植栽基盤内に収納される育成材と、
前記育成材に植栽される植物とを備える植栽装置を、
敷設面上に複数並設する緑化設備であって、
前記植栽基盤の側面上端に外方に屈曲して延設される突出片を有し、
前記突出片として、平面視で隣り合う二辺に突出長さの長い長突出片と、他の隣り合う
二辺に前記長突出片より突出長さの短い短突出片とが設けられ、
一の前記植栽基盤の前記短突出片上に他の前記植栽基盤の前記長突出片を配置して、前記植栽基盤相互の隙間を被覆する被覆部が構成されることを特徴とする緑化設備。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−65646(P2012−65646A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−180113(P2011−180113)
【出願日】平成23年8月22日(2011.8.22)
【出願人】(000162135)共同カイテック株式会社 (66)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月22日(2011.8.22)
【出願人】(000162135)共同カイテック株式会社 (66)
【Fターム(参考)】
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