説明

折畳み具

【課題】 従来、ナイフの安全に関しては多くの改善技術の提案があり、安全にロックできる機構も提案されているが、閉じるときには本体の回転線上に指を置くことが必須で安全上好ましくなく、また、強度的に充分でなく、それ故安全上不十分であった。本発明の目的はこれらの欠点を解決することにある。このような問題はナイフに限らず、キーホルダー、ドライバー、のこぎり等の小型工具ホルダーについても共通の課題である。
【解決手段】 一方側板(1a)と他方側板(1b)を有しており、該他方側板(1b)の背側の一部を利用するか、又は別個に取り付けた内側に押圧を持ったアーム状板(2)を設け、該アーム状板の先端には凸部(3)が有り、該一方側板と該他方側板の基端に支軸(4)を介して、端部に背側凹部(6)が付いた本体(5)の基端を折り畳み可能に軸着し、該凸部(3)と本体(5)の端部の該凹部(6)が係合ロックすることを特徴とする折り畳み具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポケットナイフなどに備えられている開閉ロックを安全かつ確実に固定し、かつ容易に解除するための機構を有する折り畳み具である。
【背景技術】
【0002】
従来、一対の側板間の背側に支軸を介して背金を回転可能に取り付け、両側板間の先端部に支軸を介して刃体の基端を折畳み可能に軸着し、背金の端の凸部と刃体の端部背側凹部が係合し、ロックできるポケットナイフにおいて、開かれた刃体を閉じるとき背金の端の凸部と刃体の端部背側凹部が係合した部分のロックを解除するために片手で先端を指で押さえてもう一方の手で閉じなければならなかった。
【0003】
また一対の側板の一方が長いアーム状のバネに成っていてナイフを閉じた時刃体に押圧が加わる方向に少し曲がっていて、ナイフの刃体がオープンしているときアーム状板の先端と刃体のタングの腹側部のロック面が固定されるポケットナイフは、刃体を閉じるとき刃体の小刃部が回転線上にあり、ロック解除時には片手でアーム状板を押して解除をし、他の手で刃体を閉じなければならなかったので大変危険であった。そして、刃体の背方向から強い押圧が加わった時、側板のアーム状板に強い押圧が加わり、たわみが発生し、アーム状板の寸法が短くなったり、刃体タングのロック部への押圧が弱まりロック機能がなくなってしまうことが発生する等の欠点があった。また、刃体を閉じる時刃体の小刃部の回転線上に指を位置しないようにナイフの背の方にロック部を装置したロック方法がある(特許文献1)が、刃体を閉じる押圧に対してアーム状の強度不足が考えられる
【特許文献1】特開平10−179945号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、改善技術としていくつかの提案があり、安全にロックできる機構も提案されているが、閉じるときには小刃体の回転線上に指を置くことが必須で安全上好ましくなく、また、強度的に充分でなく、それ故安全上不十分であった。本発明の目的はこれらの欠点を解決することにある。
このような問題はナイフに限らず、キーホルダー、ドライバー、のこぎり等の小型工具ホルダーについても共通の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の目的は一方側板(1a)と他方側板(1b)を有しており、該他方側板(1b)の背側の一部を利用するか、又は別個に取り付けた内側に押圧を持ったアーム状板(2)を設け、該アーム状板の先端には凸部(3)が有り、該一方側板と該他方側板の基端に支軸(4)を介して、端部に背側凹部(6)が付いた本体(5)の基端を折り畳み可能に軸着し、該凸部(3)と本体(5)の端部の該凹部(6)が係合ロックすることを特徴とする折り畳み具によって達成できる。
【発明の効果】
【0006】
本発明は前記のように構成され、従来のように折り畳むとき本体と柄を持つことなく、また指を刃体の小刃部回転線上に位置することなく安全な位置でロックの解除ができて折り畳むことができるという効果がある。
また、本体の背方向から強い押圧が加わった時、側板のアーム状板基端の凸部に引圧が生じる。従来生産されている側板の腹部にアーム状板を設け、刃体の端部腹側ロック部と係合したライナーロックはアームに押圧が加わり、アームのロック機能が弱まったが、本発明はアームのロック機能強度は保たれ、しかも従来のライナーロックのように、刃体をスムーズに開くことができる効果がある。
【0007】
本発明はナイフと同様に鍵、鋸や各種工具を安全に格納し、必要に応じて解除して使用することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明で言う本体とはナイフの刃体を意味することはもちろんであるが、ナイフ刃体の他に小型工具ホルダーのノコギリやドライバー更にはキーホルダーのキーにも適用することができる。本発明のナイフとはポケットナイフ、切り出しナイフ等ナイフ全般に適用できるが、中でもポケットナイフに特に好ましく適用できる。
そして、一方側板の素材とアーム状板を別個に取り付けた場合の他方側板の素材にはステンレススチール、チタン、アルミ等の金属が好ましく使用できるが、強化プラスチックを含むプラスチックや強化木を含む木材なども適用することができる。
【0009】
以下、ポケットナイフを例にとって詳細な説明をする。勿論、本発明は以下の例に限定される物ではない。刃体をドライバーや鋸等に置き換えれば、他の小型工具の説明に置き換えることができる。
アーム状板は図1に示すように他方側板の一部から構成することは勿論であるが、他方側板とは別に設けて支軸を介して軸着することもできる。
図1は本発明のポケットナイフを構成する部品を示す図である。
【0010】
図2は一対の側板(1a、1b)に背金(8a)を取り付け、刃体(5)収納空間を設けた状態を示す図である。
【0011】
以下、開閉手順について図3から図8まで説明する。
図3は刃体(5)の指掛け(9)を親指で回転させ、刃体(5)が約90度
開いた状態を示す図である。そのとき、側板アーム(2)に取り付けられているスチールボール(10)は刃体タング(14)の刃体係止凹部(18a)から解除されて移動した状態で刃体(5)を完全に開けた状態を示す図である。
【0012】
図4は指掛け(9)を更に刃体タング(14)のストップピン係止部(16)がストップピン(15)に接触するまで開けることによりアーム状板基端の凸部(3)が刃体(5)の端部背側凹部(6)と係合し、刃体(5)は確実にロックされている。このとき、アーム状板基端の凸部の接触面(11)と刃体端部背側凹部接触面(12)がアーム状板の押圧によって嵌合している。
【0013】
本発明で言うアーム状板基端(26)を設ける位置は図1に示すように、他方側板(1b)の背の部分にあって他方側板(1b)が不連続になっていても良く、又図15に示すように、他方側板(1b)の背の部分より内側に位置して他方側板(1b)が連続になっている形でも良い。特に好ましいのは強度の点から後者である。アーム状板(2)を別個に取り付ける場合でも、前述と同様に他方側板(1b)が連続していても、又不連続であっても良い。特に他方側板(1b)が連続している方が強度の点で好ましい。
図5はその拡大端面図である。
【0014】
図6は刃体(5)を途中まで閉じた状態を示す図である。
ロック解除ボタン(7)を押すことにより刃体端部背側凹部接触面(12)からアーム状板基端凸部接触面(11)の嵌合部が解除され、スチールボール(10)の突出部分の移動空間が得られ刃体の背(13)を少しの力で押すことによって刃体(5)が支軸(4)を中心に回転を始めることができる。
【0015】
図7は刃体(5)を完全に閉じた状態を示す図である。刃体の背(13)を押し、支軸(4)を中心に回転させ指掛(9)が側板(1a)に接触するまで閉じると刃体タング(14)の刃体係止凹部(18a)によって嵌合され、刃体(5)が容易に開くことなく安全に保持できる。
【0016】
図8はその拡大端面A´−A´視野である。
図9は本発明による他の実施例の折り畳みナイフ図2をナイフの背金(8b)を長く伸ばした例である。
【0017】
図10はアーム状板(2)の形状を背の方向に高くした例を示す図である。
図11はアーム状板(2)の形状を長くし、内側に曲げた例を示す図である。
【0018】
図12はアーム状板(2)の操作を容易にするために他方側板(1b)に欠取り部を設け、アーム状板(2)の操作を容易にした例を示す図である。
【0019】
図13はアーム状板基端凸部(3)に柱状の突出部(17)を設け刃体タング(14)の刃体係止凹部(18b)を深くし、刃体(5)を閉じて確実に固定したときに容易に開かないためのものであるが、ロック解除ボタン(7)を押すことによって容易にロックを解除できる。(図7、図8参照)
【0020】
本発明はポケットナイフに好ましく適用できるが、他の切り出しナイフ、包丁、彫刻刀などのナイフは勿論、それら以外の文房具、工具、鍵、家庭用品、美粧用品などを含む広い範囲に適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明の技術はロックの解除が安全かつ簡便であるため、ナイフ特にポケットナイフに好ましく利用できる他、文房具、鍵、家庭用品、美粧用品等を含む、広い範囲に利用することができる
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明のポケットナイフの部品構成を示すものである
【図2】本発明の刃体収納空間を設けた状態を示すものである
【図3】本発明の刃体を全開する途中の状態を示すものである
【図4】本発明の刃体が全開した状態を示すものである
【図5】図4のA−A拡大端面図である
【図6】本発明の刃体を閉じる途中の状態を示すものである
【図7】本発明の刃体を閉じた状態を示すものである
【図8】図7のA´−A´拡大端面図である
【図9】本発明に長い背金を組み立てた図である
【図10】解除ボタン無しでロック解除ができる例(1)を示したものである
【図11】解除ボタン無しでロック解除ができる例(2)を示したものである
【図12】解除ボタン無しでロック解除ができる例(3)を示したものである
【図13】本発明に刃体を確実に固定し、容易に開くことのない状態を示したもの
【図14】本発明に鋸を装着した例である
【図15】側板の一例を示すものである
【符号の説明】
【0023】
1a:側板
1b:側板
2:アーム状板
3:アーム状板基端凸部
4:支軸
5:刃体
6:刃体背側凹部
7:ロック解除ボタン
8a:背金
8b:背金
9:指掛
10:スチールボール
11:アーム状板凸部接触面
12:刃体背側凹部接触面
13:刃体の背
14:刃体タング
15:ストップピン
16:ストップピン係止部
17:柱状の突出部
18a:刃体係止凹部
18b:刃体係止凹部
19:小刃部
20:支軸固定ネジ
21:ロック解除ボタン固定ネジ
22:指掛固定ネジ
23:鋸
24:側板の基端
25:刃体の基端
26:アーム状板の基端

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方側板(1a)と他方側板(1b)を有しており、該他方側板(1b)の背側の一部を利用するか、又は別個に取り付けた内側に押圧を持ったアーム状板(2)を設け、該アーム状板の先端には凸部(3)が有り、該一方側板と該他方側板の基端に支軸(4)を介して、端部に背側凹部(6)が付いた本体(5)の基端を折り畳み可能に軸着し、該凸部(3)と本体(5)の端部の該凹部(6)が係合ロックすることを特徴とする折り畳み具。
【請求項2】
本体がナイフであることを特徴とする請求項1の折り畳み具
【請求項3】
側板の背側アーム状板(2)の基端にロック解除ボタン(7)を設けたことを特徴とする請求項1の折り畳み具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−152081(P2007−152081A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−191153(P2006−191153)
【出願日】平成18年7月12日(2006.7.12)
【出願人】(500473656)メンター グループ リミテッド ライアビリティー カンパニー (2)
【Fターム(参考)】