説明

折畳式ボード

【課題】 収納性及び安定性を向上させた折畳式ボードを提供すること。
【解決手段】 本発明の折畳式ボード11は、床面に載置される平板状の座部13と、床面から直立する平板状の直立部12とを第1屈曲部14を介して接続すると共に、第1屈曲部14を横断する方向で座部13及び直立部12に延在する第2屈曲部15を設け、直立部12の裏側及び/又は座部13の底面側に滑り止め部16を取り付けたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床面に直立状に載置可能な折畳式ボードに関するものである。
【背景技術】
【0002】
住居の窓は、室内外の熱伝達経路の一つであり、例えば、冬季には窓ガラス又はその近傍で冷却された空気や、窓ガラスとサッシとの隙間から侵入してくる屋外の冷気により、暖房効果を低減させてしまうという問題があった。そのため、従来は、カーテンや障子を用いて窓と室内中央部との間に冷気の停滞空間を形成し、暖房効率の向上を図っている。
【0003】
しかし、洋室の場合、主としてカーテンが採用されているが、カーテンの周縁部と建物の内壁面又は床面との間には隙間が生じやすく、必ずしも効率的に暖房効果の低減を抑制できる訳ではなかった。また、昼間に障子やカーテンを閉めると、和室・洋室の如何を問わず、屋外からの採光量が減少して室内が薄暗くなったり、屋外の景観が遮られたりするという問題もある。
【0004】
そこで、図10(A)のように、窓際Rの床面4などから窓1の所定位置(例えば高さ50〜100cm程度)まで冷気の遮蔽板2を設置することが考えられる。遮蔽板2としては、例えば矩形平板状のものでよく、その両端縁及び下縁部を窓際Rの壁面3及び床面4に接触させると、窓1と室内中央部との間に冷気の停滞空間5を形成することができるから、室内中央部への冷気の侵入を軽減させることができる。また、遮蔽板2の高さを、窓1の所定位置(例えば中央部近傍)までにすれば、屋外の景観・採光量の問題は解消される。
【0005】
また、遮蔽板2は、温暖季などの不使用時における収納性を考慮すると、図示の如く表裏両面交互に切り込みを入れて折り畳み可能に構成することが望ましい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のように、上下方向にのみ切り込みを入れて折り畳み可能にした遮蔽板2を窓際Rに立て掛けると、図10(B)のように、遮蔽板2と床面4との間に隙間6が生じ、隙間6から冷気が室内中央部に漏れるおそれがある。
【0007】
また、床面4がフローリングである場合には、遮蔽板2の接地部位が滑って倒れるおそれがあり、使用時の安定性を向上させるという課題がある。
【0008】
また、窓1には、複数種類の規格があるから、異なる幅の窓にも対応できるようにするという課題もある。
【0009】
本発明はかかる課題に鑑み創案するに至ったものであって、その目的は、不使用時の収納性、使用時の安定性及び複数種類の窓幅への対応性を向上させた折畳式ボードを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の請求項1に記載の折畳式ボードは、床面に載置される平板状の座部と、床面から直立する平板状の直立部とを第1屈曲部を介して接続すると共に、前記第1屈曲部を横断する方向で前記座部及び前記直立部に延在する第2屈曲部を設けたことを特徴する。
【0011】
すなわち、不使用時に蛇腹状に折り畳めるようにすべく形成された前記第2屈曲部が使用時に折れ曲がるのを防止すると共に、使用時の安定性を向上できるように、前記第1屈曲部を直角に折り曲げるようになっている。また、前記直立部は、窓全体を覆い隠すように形成されていないので、採光量が大幅に減少することもなく、さらに屋外の景観を完全に遮ってしまうこともない。
【0012】
また、請求項2に記載の折畳式ボードは、前記直立部の下端部から下方へ前記座部の厚さの分だけ長尺な平板状の幅調整部を、前記直立部の両端に揺動自在に連接したことを特徴とし、前記幅調整部と前記直立部との角度を調整することにより、所定の範囲内で幅寸法を変化できるようにしている。
【0013】
また、請求項3に記載の折畳式ボードは、前記直立部の裏側、前記座部の底面側及び前記幅調整部の裏側又は底部のうち少なくともいずれか一つに滑り止め部を取り付けたことを特徴とし、フローリングなどの滑り易い場所で使用しても滑って転倒するのを防止できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明は前述の如く、室内の窓際に設置して窓際で冷却された空気や、窓ガラス及びサッシの隙間から屋外の冷気が室内中央部に流入するのを軽減させ、暖房効率を向上させることができ、不使用時には第2屈曲部により収納性がよくなっている。
【0015】
また、第1屈曲部を折り曲げることにより、直立部及び座部が第2屈曲部で折れ曲がるのを防止して直立部の両端縁及び座部の座面全体を室内側の壁面及び床面などに接触させることが可能になり、窓際の冷気を停滞空間に確実に停滞させることができると共に、直立部と座部とを略直角にすることにより安定性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ本発明に係る折畳式ボード11の実施形態について説明する。
【0017】
[第1実施形態]
第1実施形態に係る折畳式ボード11は、例えば図1(A)(B)に示す正面図及び背面図のように、矩形平板状の直立部12と、直立部12と同厚の矩形平板状の座部13とを第1屈曲部14を介して接続すると共に、第1屈曲部14とは相違する方向(例えば直交方向)で、かつ、直立部12及び座部13の表裏両面交互に所定間隔で第2屈曲部15を設け、直立部12の裏側及び/又は座部13の底面側に、滑り止め部16を取り付けたものである。
【0018】
また、本発明の折畳式ボード11は、図2(A)(B)のように、直立部12及び座部13を合成樹脂板17(例えば発泡ポリエチレンなどの断熱板)や木板18などで構成するとよく、前者の場合は、例えば同図(A)のように、合成樹脂板17を合成樹脂製織布又はシート19で被覆し、第1屈曲部14及び第2屈曲部15を切り込みにより構成することが考えられる。一方、両者とも同図(B)のように、第1屈曲部14及び/又は第2屈曲部15をヒンジ20により構成してもよい。なお、ヒンジ20は、直立部12又は座部13の縁部に形成された切り欠き部21に嵌め込んでネジ22で固定すれば、収納時に嵩高くなるのを防止できる。
【0019】
また、直立部12又は座部13の表裏両面は、必ずしも平坦状である必要はなく、例えば、図2(C)のように、パーティングラインPから凹状に形成し、所定の装飾(例えば絵、キャラクター、文字など)を施してもよい。これにより、室内のインテリアとしてのデザイン性を向上させることができる。
【0020】
なお、直立部12及び座部13は、矩形状以外の形状でもよく、例えば、直立部12の上辺及び座部13の下辺は曲線状であってもよいし、直立部12及び座部13を展開した時の形状が円形状、台形状、多角形状であってもよい。
【0021】
滑り止め部16としては、例えば両面テープ、ゴムシート(表面を所定形状に加工をしたものを含む。)、面ファスナーなどのシート状のものでよい。すなわち、滑り止め部16は、直立部12及び座部13の接触対象(壁面3や床面4など)の材質に応じて適宜変更すればよく、例えばフローリングの場合には、両面テープやゴムシートなど、絨毯の場合には面ファスナーなどを用いるとよい。なお、両面テープを用いる場合は、少なくとも片面を繰り返し剥離可能なものを用い、不使用時には剥離シート(図示略)にて接着面を保護するとよい。また、滑り止め部16は、直立部12と座部13とで同一の材質のものにする必要はなく、例えば、直立部12には両面テープ、座部13にはゴムシートを用いるなど異なる材質のものにしてもよい。また、滑り止め部16の取り付け位置は、図示したものに限定する必要はなく、適宜変更可能である。
【0022】
本発明の折畳式ボード11は前述の如く構成され、例えば図3(A)(B)のように、室内の窓際Rに設置して窓1で冷却された空気や、窓ガラス及びサッシの隙間から屋外の冷気が室内中央部に流入するのを軽減させ、暖房効率を向上させることができる。すなわち、第1屈曲部14を折り曲げることにより、直立部12及び座部13が第2屈曲部15で折れ曲がるのを防止して直立部12の両端縁及び座部13の座面全体を室内側の壁面3及び床面4などに接触させることが可能になり、窓際Rの冷気を停滞空間5に確実に停滞させることができ、直立部12と座部13とを略直角にすることにより安定性を向上させることができる。
【0023】
また、折畳式ボード11は、不使用時には、図4のように第2屈曲部15にて、折り畳むことができ、収納性がよくなっている。
【0024】
[第2実施形態]
図5(A)(B)は、第2実施形態の折畳式ボード11の正面図及び背面図で、同図(A)(B)のように、この折畳式ボード11は、直立部12の両端に幅調整部23を設けた点と、直立部12の滑り止め部として窓1の室内側に吸着可能な吸盤16’を採用した点とが、第1実施形態と相違しており、他の
部位に関しては同一部位には同一符号を付して説明を省略する。
【0025】
幅調整部23は、直立部12よりも座部13の厚さの分だけ長尺な矩形平板であって、上部を直立部12と同レベルにして、直立部12の両端に第3屈曲部24を介して揺動自在に連接されている。第3屈曲部24は、第2屈曲部15と平行に形成され、幅調整部23を直立部12及び座部13と同様に折り畳めるように構成されている。すなわち、幅調整部23は、使用時に底部が座部13の底面と同レベルになるように構成されている。
【0026】
また、幅調整部23の底部には、ゴムシートなどの滑り止め部16を取り付けておくとよい。なお、幅調整部は、直立部12の下端部から下方へ座部13の厚さの分だけ長尺な平板であればよく、例えば上部が直立部12と同レベルでなくてもよい。
【0027】
図6(A)(B)は、折畳式ボード11の使用時における図5(B)のA−A線断面図で、同図(A)(B)のように、第2実施形態では、幅調整部23と直立部12との屈曲角を調整することにより、窓の幅寸法に対応して折畳式ボード11の幅寸法を変化できるように構成されている。すなわち、図6(A)(B)のように、窓1が出窓タイプである場合や、図示は省略するが、窓1が室内一壁面の略全幅に渡って設けられている場合には、窓の幅寸法に対応して折畳式ボード11の設置箇所の幅寸法が異なる。かかる場合には、折畳式ボード11を幅方向に伸縮自在に構成することが考えられるが、強度面や製造コスト等を考慮すれば、必ずしも得策であるとは言えない。そこで、上記の如く、直立部12の両端に設けた幅調整部23の屈曲角を調整することより、折畳式ボード11を設置箇所の幅寸法に容易に対応できるようにしている。
【0028】
図7は、図5(B)のB−B線断面図で、滑り止め部としての吸盤16’を例示している。吸盤16’は、吸着部16a’の非吸着面から延設された軸部16b’の先端に軸部16b’よりやや大径で、かつ、可撓性のある薄板状の係止部16c’を設けたものであって、直立部12に穿設された軸部16b’と略同径の装着穴25に係止部16c’側から捩じ込んで取り付けられる。すなわち、図6(A)(B)のように、吸着部16a’を窓1に吸着させると、直立部12を容易に安定させることができる。
【0029】
また、吸盤16’は、図8(A)のように、表側に露出しないように構成してもよい。例えば、同図(B)のように、軸部16b’の先端に軸部16b’より大径で、かつ、球状の係止部16c’を設けたものとし、軸部16b’及び係止部16c’に対応して内径が相違するハーフパイプ状の一対の挿入部材26,27で軸部16b’及び係止部16c’を挟み込み、その状態で直立部12に形成された装着穴25に挿し込むようにしてもよい。なお、挿入部材26,27は、装着穴25に螺着又は接着などの適当な手段で固着すればよい。また、吸盤16’の収納用嵌合部28を直立部の背面側に形成しておくとよい。
【0030】
また、吸盤としては、上記の吸盤16’の係止部16c’の代わりにクリップ(図示略)を設け、前記クリップにて直立部12の上縁部等に取り付けたものや、吸着部16a’の非吸着面を両面テープなどで直立部12の裏側に接着したもの、或いは軸部16b’の基端部を直立部12に枢動自在に取り付けたものなどでもよい。なお、軸部16b’を枢動自在に取り付ける場合には、吸着部16a’及び軸部16b’の含軸心断面形状の収納用嵌合部(図示略)を直立部12の裏側に刻設しておくとよい。
【0031】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明は上記の第1実施形態及び第2実施形態に限定されることなく種々の変形が可能であって、例えば図9(A)のように、第1屈曲部14の屈曲角を90度から180度に制限するスライド部材29を折畳式ボード11の少なくとも一側面部30に取り付けてもよいし、同図(B)(C)のように、複数の折畳式ボード11,11を横一列状に連結可能な連結構造31又は連結具32(例えばクリップなど)を採用してもよい。なお、この連結構造31又は連結具32に関しては第1実施形態の折畳式ボード11に適用した場合について図示するが、第2実施形態の折畳式ボード11に関しても同様に適用可能である。
【0032】
連結構造31としては、図示の如く、先端が拡径した突条33をガイド溝34にスライド自在に嵌め込むものや、折畳式ボード11の一側面部30にクリップ(図示略)を一体形成したものが考えられる。
【0033】
連結具32としては、例えば折畳式ボード11,11の連結箇所に隙間が生じないように、直立部12及び座部13の連結部位と略同長のH状のクリップ32を用いるとよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】(A)は本発明に係る折畳式ボードの展開時の正面図で、(B)は同じく背面図である。
【図2】(A)〜(C)は、第1屈曲部又は第2屈曲部を例示する断面図である。
【図3】(A)は折畳式ボードの使用例を示す斜視図で、(B)は同じく縦断平面図である。
【図4】折畳式ボードを折り畳んだ状態を示す斜視図である。
【図5】(A)は第2実施形態に係る折畳式ボードを示す正面図で、(B)は同じく背面図である。
【図6】(A)(B)は図5(B)のA−A線断面図で、第2実施形態に係る折畳式ボードの使用例を示している。
【図7】図5(B)のB−B線断面図である。
【図8】(A)は第2実施形態の変形例を示す正面図で、(B)は(A)のC−C線断面図である。
【図9】(A)〜(C)は本発明に係る折畳式ボードの変形例を示す図で、(A)は折畳式ボードの側面図で、(B)及び(C)は直立部又は座部の断面図である。
【図10】(A)(B)は従来例を示す図である。
【符号の説明】
【0035】
11.折畳式ボード
12.直立部
13.座部
14.第1屈曲部
15.第2屈曲部
16.滑り止め部
23.幅調整部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面に載置される平板状の座部と、床面から直立する平板状の直立部とを第1屈曲部を介して接続すると共に、前記第1屈曲部を横断する方向で前記座部及び前記直立部に延在する第2屈曲部を設けたことを特徴する折畳式ボード。
【請求項2】
前記直立部の下端部から下方へ前記座部の厚さの分だけ長尺な平板状の幅調整部を、前記直立部の両端に揺動自在に連接したことを特徴とする請求項1に記載の折畳式ボード。
【請求項3】
前記直立部の裏側、前記座部の底面側及び前記幅調整部の裏側又は底部のうち少なくともいずれか一つに滑り止め部を取り付けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の折畳式ボード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−14134(P2008−14134A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−213019(P2007−213019)
【出願日】平成19年8月17日(2007.8.17)
【分割の表示】特願2002−70510(P2002−70510)の分割
【原出願日】平成14年3月14日(2002.3.14)
【出願人】(392004945)株式会社ナム (5)
【Fターム(参考)】