説明

抵抗性昆虫対応のためのVip3AbとCry1Faとの併用

本発明は、鱗翅類の昆虫を防除するための方法および植物を含み、前記植物は、昆虫(複数可)による抵抗性の発達を遅らせるか阻止するための、Cry1Fa殺虫性タンパク質と組み合わせたVip3Ab殺虫性タンパク質を含む。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
人は、食物用途およびエネルギー用途のためにトウモロコシを栽培する。人は、ダイズおよびワタを含む他の多くの作物も栽培する。昆虫は植物を食べて損害を与え、それによってこれらの人の努力を台無しにする。害虫を防除するために毎年何10億ドルも費やされ、害虫が与える損害に対してさらに数10億ドルが失われる。合成有機化学殺虫剤は、害虫を防除するために用いられる主な手段であったが、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)(Bt)に由来する殺虫性タンパク質などの生物殺虫剤が一部の領域である重要な役割を演じている。Bt殺虫性タンパク質遺伝子による形質転換を通して昆虫抵抗性植物を作出する能力により現代農業が革新されて、殺虫性タンパク質およびその遺伝子の重要性および価値が高まっている。
【0002】
今日までに首尾よく登録され商品化に至った昆虫抵抗性のトランスジェニック植物を作製するために、数種のBtタンパク質が用いられてきた。このBtタンパク質としては、トウモロコシのCry1Ab、Cry1Ac、Cry1FおよびCry3Bb、ワタのCry1AcおよびCry2Ab、ならびにジャガイモのCry3Aが挙げられる。
【0003】
これらのタンパク質を発現する市販製品は、2種のタンパク質の組合せ殺虫スペクトルが所望される場合(例えば、それぞれ鱗翅目害虫およびルートワームへの抵抗性をもたらすために組み合わされた、トウモロコシのCry1AbおよびCry3Bb)、または2種のタンパク質のそれぞれ独立した作用により、これらのタンパク質が感受性昆虫集団での抵抗性の発達を遅らせるための手段として有用となる場合(例えば、オオタバコガのための抵抗性対応をもたらすために組み合わされた、ワタのCry1AcおよびCry2Ab)を除いて、単一のタンパク質しか発現しない。ヘリコベルパ・ゼア(Helicoverpa zea)またはヘリコベルパ・アーミゲライン(Helicoverpa armigerain)の防除のためのCry2タンパク質+Vip3Aa、Cry1FまたはCry1Aに関するUS20090313717号も参照されたい。国際公開第2009132850号は、スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)を防除するためのCry1FまたはCry1AおよびVip3Aaに関する。US20080311096号は、Cry1F抵抗性のECBを防除するためのCry1Abに一部関する。
【0004】
すなわち、この技術の急速で広範囲な採用をもたらした昆虫抵抗性トランスジェニック植物の特質のいくつかは、これらの植物によって生成される殺虫性タンパク質に対する抵抗性を有害生物集団が発達させるという懸念も生む。高用量のタンパク質を、緩衝帯と組み合わせて利用すること、及び異なる毒素と交互にまたは同時利用で利用することを含む、Bt系昆虫抵抗性形質の有用性を維持するためのいくつかの戦略が提案されている(McGaughey et al. (1998), "B.t. Resistance Management," Nature Biotechnol. 16:144-146)。
【0005】
あるタンパク質に対して発達した抵抗性が別のタンパク質に対する抵抗性を付与しない(すなわち、これらタンパク質に対する交差抵抗性がない)ように、IRMスタックで用いるために選択されるタンパク質は、それらの殺虫効果を独立して発揮する必要がある。例えば、「タンパク質A」に対する抵抗性について選択される有害生物集団が「タンパク質B」に感受性である場合、そこには交差抵抗性がなく、タンパク質Aおよびタンパク質Bの組合せがタンパク質A単独に対する抵抗性を遅らせるのに有効であると結論付けられるであろう。
【0006】
抵抗性な昆虫集団が存在しない場合、作用機構および交差抵抗性能力に関連すると推測される他の特性に基づいて評価を行うことができる。受容体媒介結合が交差抵抗性を示す可能性のない殺虫性タンパク質を同定することに有用であることが示唆されている(van Mellaert et al. 1999)。この手法に特有の交差抵抗性の欠如の重要な予測因子は、殺虫性タンパク質が感受性昆虫種の受容体をめぐって競合しないことである。
【0007】
2つのBt毒素が同じ受容体をめぐって競合する場合において、その受容体がその昆虫で突然変異して毒素の1つがその受容体にもはや結合せず、よって昆虫に対してもはや殺虫性でないならば、昆虫は別の毒素(同じ受容体に競合的に結合する)にも抵抗性になる場合もあり得る。すなわち、昆虫は両方のBt毒素に交差抵抗性であると言われる。しかし、2つの毒素が2つの異なる受容体に結合する場合には、これは昆虫がそれら2つの毒素に同時に抵抗性でないことを示す指標であろう。
【0008】
Cry1Faは、ユーロピアンコーンボーラー(ECB;オストリニア・ヌビラリス(Ostrinia nubilalis)(Huebner))およびフォールアーミーワーム(FAW;スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda))を含む多くの鱗翅目害虫の種の防除で有用であり、シュガーケーンボーラー(SCB;ジアトラエア・サッカラリス(Diatraea saccharalis))に対する活性を有する。事象TC1507を含むトウモロコシ植物で生成されるようなCry1Faタンパク質は、FAW防除のための業界をリードする昆虫抵抗性形質を担う。Cry1Faは、Herculex(登録商標)、SmartStax(商標)およびWideStrike(商標)製品でさらに利用されている。
【0009】
受容体結合性アッセイでの検出のためのタンパク質を標識するのに利用できる最も一般的な技術がCry1Faタンパク質の殺虫活性を不活性化するので、Cry1Faタンパク質を用いる(競合的または相同的)受容体結合性試験を行う能力は制限される。
【0010】
さらなるCry毒素は、公式なB.t.命名委員会のウェブサイト(Crickmore et al.; lifesci.sussex.ac.uk/home/Neil_Crickmore/Bt/)に記載されている。ほぼ60個の主要群の「Cry」毒素(Cry1〜Cry59)が現在あり、さらなるCyt毒素およびVIP毒素などがある。数字で表した各群の多くは大文字のサブグループを有し、大文字のサブグループは小文字のサブサブグループを有する。(例えば、Cry1はA〜Lを有し、Cry1Aはa〜iを有する)。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、Cry1Faタンパク質の殺虫活性に抵抗性であるフォールアーミーワーム(スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda);FAW)集団が、Vip3Abタンパク質の殺虫活性に抵抗性でないという意外な発見に一部関する。対象の毒素の組は、FAWに対して非交差抵抗性の作用を提供する。
【0012】
当業者であればこの開示を考慮すると認識するように、Vip3AbおよびCry1Faまたはその殺虫性部分を発現する植物は、これらの殺虫性タンパク質のいずれか単独に対する抵抗性の発達を遅らせるか阻止することにおいて有益となる。
【0013】
本発明は、Vip3AbおよびCry1FaがFAWの腸の結合部位に対して互いに競合しないという発見によっても支持される。
【0014】
したがって、本発明は、Cry1Faタンパク質と組み合わせたVip3Abタンパク質の使用に一部関する。Vip3AbとCry1Faとを生成する植物(およびそのような植物を植える土地)は、本発明の範囲内に含まれる。
【0015】
本発明はまた、3つの毒素の三重またはそれ以上のスタックまたは「ピラミッド」に一部関し、Vip3AbおよびCry1Faが基礎となる組である。一部の好ましいピラミッドの実施形態では、選択される毒素(複数可)は、FAWに対する非交差抵抗性作用を有する。これらの三重スタックピラミッドの組合せのための一部の好ましいタンパク質は、Cry1Faと、Vip3Abと、Cry1C、Cry1D、Cry1BeまたはCry1Eとである。本発明により、これらの特定の三重スタックは、FAWに対する非交差抵抗性作用を都合よくかつ意外にも提供する。これは、緩衝帯地所の要件を低減または除去するのを助けることができる。
【0016】
Cry1FaがFAWおよびユーロピアンコーンボーラー(ECB)の両方に対して活性であることによって、および本明細書で提示されるデータを考慮すると、4つのうちの3つはECBに対して非交差抵抗性の活性を有し、4つのうちの3つはFAWに対して非交差抵抗性の活性を有する、4つのタンパク質を提供するように四重(四方向の)スタックを選択することもできる。これは、Cry1Be(ECBおよびFAWの両方に対して活性)を対象のタンパク質の組と一緒に、加えてECBに対して活性である1つのさらなるタンパク質と用いることにより得ることができよう。本発明により、そのような四重スタックは、
Cry1Fと、Cry1Beと、Vip3Ab(FAWに対して活性)と、Cry1Ab、Cry2A、Cry1IまたはDIG−3(ECBに対して活性)とである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】野生型スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)(J.E. Smith)(FAW)およびCry1Fa抵抗性型のスポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)(J.E. Smith)(rFAW)に対する完全長Vip3Ab1の成長阻害(棒)および死滅率(◆)用量反応を示す図。成長阻害百分率は、緩衝液のみで処理した8匹の幼虫の平均体重と5日間毒素に曝露させた幼虫の体重との比較に基づく。
【図2】SDS−PAGEによって分離された後のS.フルギペルダ(S. frugiperda)由来のBBMVに結合した125I Cry1Faの蛍光画像を示す図。試料は2つ組で実行された。125I Cry1Faの濃度は、1nMであった。対照は、いかなる競合的リガンドもない場合のBBMVへの125I Cry1Faの結合のレベルを表す。1,000nM Cry1Faは、1,000nMの非放射性標識Cry1Faの存在下でのBBMVへの125I Cry1Faの結合のレベルを表し、BBMVタンパク質からの放射性標識リガンドの完全な置換を示す。1,000nM Vip3Ab1は、1,000nMの非放射性標識Vip3Ab1の存在下でのBBMVへの125I Cry1Faの結合のレベルを表し、放射性標識リガンドの1,000倍濃度で加えたときでも、このタンパク質がS.フルギペルダ(S. frugiperda)のBBMVから125I Cry1Faを置換する能力を有しないことを示す。
【図3】SDS−PAGEによって分離された後の、野生型S.フルギペルダ(S. frugiperda)(FAW)またはCry1Fa抵抗性のS.フルギペルダ(S. frugiperda)(rFAW)からのBBMVに結合した125I Cry1Faの蛍光画像を示す図。試料は2つ組で実行した。125I Cry1Faの濃度は、2.5nMであった。FAW−0は、いかなる競合的リガンドもない場合の野生型S.フルギペルダ(S. frugiperda)のBBMVへの125I Cry1Faの結合のレベルを表す。FAW−1,000nM Cry1Faは、1,000nMの非放射性標識Cry1Faの存在下での野生型S.フルギペルダ(S. frugiperda)のBBMVへの125I Cry1Faの結合のレベルを表し、BBMVタンパク質からの放射性標識リガンドの置換を示す。rFAW−0は、いかなる競合的リガンドもない場合のCry1Fa抵抗性のS.フルギペルダ(S. frugiperda)のBBMVへの125I Cry1Faの結合のレベルを表す。抵抗性のFAWからのBBMVへの125I Cry1Faの結合がないことに注意されたい。rFAW−1,000nM Cry1Faは1,000nMの非放射性標識Vip3Ab1の存在下でのBBMVへの125I Cry1Faの結合のレベルを表し、Cry1Fa抵抗性のS.フルギペルダ(S. frugiperda)からのBBMVに125I Cry1Faが結合できないことを繰り返し示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本明細書で報告されるように、トランスジェニックトウモロコシ(および他の植物;例えばワタおよびダイズ)で生成されたVip3Ab毒素は、Cry1Fa活性への抵抗性を発達させたフォールアーミーワーム(FAW;スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda))を防除することにおいて非常に有効となることができる。したがって、本発明は、Cry1Faに抵抗性のフォールアーミーワームがVip3Abに感受性である(すなわち、交差抵抗性でない)という意外な発見に一部関する。換言すると、本発明は、Vip3Ab毒素がCry1Fa抵抗性のフォールアーミーワームによる損害から植物(メイズ植物など)を保護することにおいて有効であるという意外な発見にも一部関する。この有害生物の議論については、例えばTabashnik, PNAS (2008), vol. 105 no. 49, 19029-19030を参照されたい。
【0019】
本発明は、フォールアーミーワームによる食害、またはCry1Fa抵抗性を発達させたフォールアーミーワーム集団によって引き起こされる被害および収量減からトウモロコシおよび他の経済的に重要な植物種(ダイズなど)を保護するための、Vip3Ab毒素の使用を含む。
【0020】
したがって、本発明は、Cry1Faに対するフォールアーミーワームによる抵抗性の発達を阻止または低減するための、Vip3Abを含むIRMスタックを教示する。
【0021】
本発明は、Cry1Faコア毒素含有タンパク質およびVip3Abコア毒素含有タンパク質を生成する細胞を含む、鱗翅目害虫を防除するための組成物を提供する。
【0022】
本発明は、Cry1Fa殺虫性タンパク質およびVip3Ab殺虫性タンパク質の両方を生成するように形質転換された、微生物または植物細胞である宿主をさらに含む。対象ポリヌクレオチド(複数可)は、好ましくは非バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)プロモーター(複数可)の制御下にある(それに作動可能に連結した/それを含む)遺伝子構築物中にある。対象ポリヌクレオチドは、植物での強化された発現のためのコドン使用頻度を含むことができる。
【0023】
本発明は、鱗翅目害虫を防除する方法であって、前記鱗翅目害虫または前記鱗翅目害虫の環境を、Cry1Faコア毒素含有タンパク質を含み、さらにVip3Abコア毒素含有タンパク質を含む組成物の有効量と接触させることを含む方法を提供することがさらに意図される。
【0024】
本発明の実施形態は、Vip3Abコア毒素含有タンパク質をコードする、植物による発現が可能な遺伝子、およびCry1Faコア毒素含有タンパク質をコードする、植物による発現が可能な遺伝子を含むメイズ植物(maize plant)、ならびにそのような植物の種子を含む。
【0025】
本発明のさらなる実施形態は、植物による発現が可能なVip3Abコア毒素含有タンパク質コード遺伝子、および植物による発現が可能なCry1Faコア毒素含有タンパク質コード遺伝子が遺伝子移入されたメイズ植物、ならびにそのような植物の種子を含む。
【0026】
実施例に記載されているように、放射性標識されたVip3Abコア毒素タンパク質を用いる競合的結合性試験は、Vip3Abが結合するFAW昆虫組織でCry1Faコア毒素タンパク質が結合のために競合しないことを示す。これらの結果は、Cry1FaおよびVip3Abタンパク質の組合せが、FAW集団でのCry1Faへの抵抗性の発達(および同様に、Vip3Abへの抵抗性の発達)を低減する有効手段であること、および両タンパク質を発現するトウモロコシ植物でこの有害生物への抵抗性のレベルを増加させるであろうことも示す。したがって、本明細書に記載されるデータに一部基づき、Vip3AbおよびCry1Faタンパク質の同時生成(スタッキング)をFAWのための高用量IRMスタックを生成するために用いることができると考えられる。Cry1FaはFAWおよびユーロピアンコーンボーラー(ECB)の両方に対して活性であり、対象の毒素の組はFAWに対して非競合的作用を提供する。
【0027】
昆虫防除スペクトルを拡張するために、他のタンパク質をこの組に加えることができる。別の利用選択肢は、Cry1FaおよびVip3Abタンパク質を別の第三の毒素/遺伝子と組み合わせて用いること、およびこれらの毒素のいずれかに対するFAWでの抵抗性の発達を低減するためにこの三重スタックを用いることである。したがって、本発明の別の利用選択肢は、FAWが抵抗性集団を発達させることができる作物栽培地域で、2つ、3つまたはそれ以上のタンパク質を用いることである。
【0028】
したがって、本発明は、3つ(以上)の毒素の三重スタックまたは「ピラミッド」にも一部関し、Cry1FaおよびVip3Ab毒素が基礎となる組である。
【0029】
一部の好ましいピラミッドの実施形態では、3つの選択されるタンパク質は、FAWに対して非交差抵抗性の作用を提供する。一部の好ましい「三重作用」ピラミッドの組合せは、Cry1Faと、Vip3Abと、Cry1CまたはCry1Dのいずれかである。Cry1CがCry1F抵抗性のFAWに対して活性であることを示すUSSN61/284,281(2009年12月16日に出願)、およびCry1DがCry1F抵抗性のFAWに対して活性であることを示すUSSN61/284,252(2009年12月16日に出願)を参照。これらの2つの出願は、FAW膜調製物でCry1Cが結合のためにCry1Fと競合しないこと、およびFAW膜調製物でCry1Dが結合のためにCry1Fと競合しないことも示す。一部の実施形態では、Cry1BeまたはCry1Eは、第三の抗FAWタンパク質として、Vip3AおよびCry1Fと組み合わせることができる。Cry1FとのCry1Beの使用については、USSN61/284,290(2009年12月16日に出願)を参照。Cry1FとのCry1Eの使用については、USSN61/284,278(2009年12月16日に出願)を参照。本発明により、これらの特定の三重スタックは、FAWに対する非交差抵抗性作用を提供する3つのタンパク質を都合よく、かつ意外にも提供する。これは、緩衝帯地所の要件を軽減または除去するのを助けることができる。
【0030】
本明細書で提示されるデータを考慮すると、ECBに対して非交差抵抗性の作用を有する3つのタンパク質、およびFAWに対して非交差抵抗性の作用を有する3つのタンパク質を提供するように、四重(四方法)スタックを選択し得る。これは、Cry1Be(ECBおよびFAWに対して活性)をCry1Fa(ECBおよびFAWに対して活性)と一緒に、対象Vip3Ab(FAWに対して活性)およびECB毒性を有する第四のタンパク質と一緒に用いて得ることができる(Cry1FaおよびCry1Beの組合せに関する2009年12月16日に出願のUSSN61/284,290を参照。)本発明によると、四重スタックの例は以下の通りである:
Cry1Fと、Cry1Beと、Vip3(FAWに対して活性)と、Cry1Ab、Cry2A、Cry1IまたはDIG−3(全てECBに対して活性)。
DIG−3は、US201000269223で開示されている。
【0031】
対象のタンパク質の組合せのいずれかを生成する植物(およびそのような植物を植える土地)は、本発明の範囲内に含まれる。さらなる毒素/遺伝子を加えることもできるが、上記の特定のスタックは、FAWおよび/またはECBに対する複数の作用態様を有利に、および意外にも提供する。これは、緩衝帯地所の要件を軽減または除去するのを助けることができる。したがって、10エーカー以上のこのように植えられる圃場は、本発明に含まれる。
【0032】
本明細書で議論または記される遺伝子およびタンパク質のいずれかの配列を得るために、GENBANKを用いることもできる。下の付録Aを参照されたい。
【0033】
米国特許第5,188,960号および米国特許第5,827,514号は、本発明の実施で使用するために適するCry1Faコア毒素含有タンパク質を記載する。米国特許第6,218,188号は、本発明で使用するために適するCry1Faコア毒素含有タンパク質をコードする植物最適化DNA配列を記載する。
【0034】
Cry1Faは、Herculex(登録商標)、SmartStax(商標)およびWidesStrike(商標)の製品に含まれている。vip3Ab遺伝子は、例えばHerculex(登録商標)、SmartStax(商標)およびWideStrike(商標)などのCry1Fa製品に組み込むことができる。したがって、Vip3Abの使用は、これらのおよび他の市販タンパク質への淘汰圧を軽減することにおいて有意となり得る。したがって、Vip3Abは、トウモロコシおよび他の植物(例えばワタおよびダイズ)のための3遺伝子組合せの場合のように用いることができる。
【0035】
本明細書に記載されるタンパク質の組合せは、鱗翅目害虫を防除するために用いることができる。成体の鱗翅目、例えばチョウおよびガは、主に花蜜を食し、受粉の重要な実行者である。ほとんど全ての鱗翅目幼虫、すなわちイモムシは植物を食し、多くは重大な有害生物である。イモムシは、植物の葉の表面もしくは内部、または根部または茎を食し、植物から栄養を奪い、多くの場合植物の物理的支持構造物を破壊する。さらに、イモムシは果物、組織ならびに貯蔵された穀物および小麦粉を食し、売物のこれらの商品を破壊するかそれらの価値を激減させる。本明細書で用いるように、鱗翅目害虫への言及は、幼虫期を含めた、鱗翅目害虫の様々なライフステージを指す。
【0036】
本発明の一部のキメラ毒素は、Bt毒素の完全なN末端コア毒素部分を含み、コア毒素部分の末端を過ぎたある場所で、タンパク質は異種プロトキシン配列への移行を有する。Bt毒素のN末端の殺虫活性毒素部分は、「コア」毒素と呼ばれる。コア毒素セグメントから異種プロトキシンセグメントへの移行は、ほぼ毒素/プロトキシン接合部に存在してもよいし、その代わりに、元のプロトキシンの部分(コア毒素部分を過ぎて延びる)を保持して、異種プロトキシン部分への移行が下流に存在してもよい。
【0037】
例えば、本発明の1つのキメラ毒素は、Cry1Faの完全なコア毒素部分(およそ最初の600アミノ酸)および異種プロトキシン(C末端までのタンパク質の残部)である。好ましい一実施形態では、プロトキシンを含むキメラ毒素の部分は、Cry1Abタンパク質毒素に由来する。好ましい実施形態では、プロトキシンを含むキメラ毒素の部分は、Cry1Abタンパク質毒素に由来する。
【0038】
Bt毒素は、Cry1Fなどの特定のクラス内でさえ、長さおよびコア毒素部分からプロトキシン部分への移行の正確な位置が多少異なることを、当分野の技術者は認識する。一般的に、Cry1Fa毒素は、長さが約1150から約1200アミノ酸である。コア毒素部分からプロトキシン部分への移行は、代表的には完全長毒素の約50%から約60%の間に存在する。本発明のキメラ毒素は、このN末端コア毒素部分の全長を含む。したがって、キメラ毒素は、Cry1Fa Bt毒素タンパク質の完全長の少なくとも約50%を含む。これは、一般的に少なくとも約590アミノ酸である。プロトキシン部分に関して、Cry1Abプロトキシン部分の全長は、コア毒素部分の末端から分子のC末端まで伸びる。
【0039】
遺伝子および毒素。
本発明による有用な遺伝子および毒素には、開示される完全長配列だけでなく、本明細書で具体的に例示される毒素の特徴的な殺虫活性を保持するこれらの配列の断片、変異体、突然変異体、および融合タンパク質も含まれる。本明細書で用いるように、遺伝子の「変異体」または「変形形態」という用語は、同じ毒素をコードするか、殺虫活性を有する同等毒素をコードするヌクレオチド配列を指す。本明細書で用いるように、用語「同等毒素」は、標的有害生物に対して特許請求する毒素と同じか事実上同じである生物的活性を有する毒素を指す。
【0040】
本明細書で用いるように、「Revision of the Nomenclature for the Bacillus thuringiensis Pesticidal Crystal Proteins」、N. Crickmore, D.R. Zeigler, J. Feitelson, E. Schnepf, J. Van Rie, D. Lereclus, J. Baum, and D.H. Dean. Microbiology and Molecular Biology Reviews (1998) Vol 62: 807-813、により、境界は約95%(Cry1FaおよびVip3Ab)、78%(Cry1FおよびVip3A)および45%(Cry1およびVip3)の配列同一性を表す。これらのカットオフは、コア毒素だけ(例えばCry1Fa)に適用することもできる。
【0041】
活性毒素をコードする遺伝子は、いくつかの手段を通して同定し、得ることができることは、当分野の技術者に明らかとなるはずである。本明細書で例示される具体的な遺伝子または遺伝子部分は、培養株保管所に寄託されている分離株から得ることができる。これらの遺伝子、またはその部分もしくは変異体は、合成的に、例えば遺伝子合成装置を用いて構築することもできる。遺伝子の変形形態は、点突然変異を作製する標準技術を用いて、容易に構築することができる。また、これらの遺伝子の断片は、市販のエキソヌクレアーゼまたはエンドヌクレアーゼを標準手順に従って用いることによって作製することができる。例えば、これらの遺伝子の末端からヌクレオチドを体系的に切断するために、Bal31などの酵素または部位特異的突然変異誘発を用いることができる。活性断片をコードする遺伝子は、様々な制限酵素を用いて得ることもできる。これらのタンパク質毒素の活性断片を直接的に得るために、プロテアーゼを用いることができる。
【0042】
例示される毒素の殺虫活性を保持する断片および同等物は、本発明の範囲内である。また、遺伝子コードの冗長性のため、様々な異なるDNA配列が本明細書で開示されるアミノ酸配列をコードすることができる。同じか事実上同じである毒素をコードするこれらの代替DNA配列を作製することは、当業者の技量の範囲内である。これらの変異体DNA配列は、本発明の範囲内である。本明細書で用いるように、「事実上同じ」配列への言及は、殺虫活性に実質的な影響を及ぼさないアミノ酸の置換、欠失、付加または挿入を有する配列を指す。殺虫活性を保持するタンパク質をコードする遺伝子の断片も、この定義に含まれる。
【0043】
本発明により有用な毒素をコードする遺伝子および遺伝子部分を同定するためのさらなる方法は、オリゴヌクレオチドプローブを用いることによるものである。これらのプローブは、検出可能なヌクレオチド配列である。これらの配列は、適当な標識によって検出可能であってもよいし、国際出願公開第93/16094号に記載されているように本来的に蛍光性にされてもよい。当技術分野で周知であるように、プローブ分子および核酸試料が2つの分子間で強力な結合を形成することによってハイブリダイズする場合、プローブおよび試料は実質的な相同性を有すると合理的に仮定することができる。好ましくは、ハイブリダイゼーションは、例えばKeller, G. H., M. M. Manak (1987) DNA Probes, StocktonPress, New York, N.Y., pp. 169- 170に記載されているような、当分野で周知の技術によってストリンジェント条件の下で行われる。塩濃度および温度の組合せの一部の例は、以下の通りである(ストリンジェンシーが上がる順序で):室温で2×SSPEまたはSSC;42℃で1×SSPEまたはSSC;42℃で0.1×SSPEまたはSSC;65℃で0.1×SSPEまたはSSC。プローブの検出は、ハイブリダイゼーションが起こったかどうかを既知の方法で判定するための手段を提供する。そのようなプローブ分析は、本発明の毒素コード遺伝子を同定するための迅速な方法を提供する。本発明によるプローブとして用いられるヌクレオチドセグメントは、DNA合成装置および標準手順を用いて合成することができる。本発明の遺伝子を増幅するPCRプライマーとして、これらのヌクレオチド配列を用いることもできる。
【0044】
変異体毒素。
本発明の特定の毒素が、本明細書で具体的に例示されている。これらの毒素は本発明の毒素の例示にすぎないので、本発明が例示毒素と同じか類似した殺虫活性を有する変異体または同等毒素(および同等毒素をコードするヌクレオチド配列)を含むことは容易に明らかなはずである。同等毒素は、例示される毒素とのアミノ酸相同性を有する。このアミノ酸相同性は、一般的に75%を超え、好ましくは90%を超え、最も好ましくは95%を超える。アミノ酸相同性は、生物的活性を担う毒素の重要領域、又は最終的に生物的活性を担う3次元構造の決定に関与する毒素の重要領域で最も高くなる。この点に関して、それらの置換が活性に重要でない領域にあるか、分子の3次元構造に影響を及ぼさない保存的アミノ酸置換であるならば、特定のアミノ酸置換が許容可能であり、期待できる。例えば、アミノ酸は以下のクラスに入れることができる:無極性、無電荷極性、塩基性および酸性。1つのクラスのアミノ酸が同じ種類の別のアミノ酸で置換される保存的置換は、その置換が化合物の生物的活性を実質的に変更しない限り本発明の範囲内である。下記は、各クラスに属するアミノ酸の例のリストである。
【表1】

【0045】
場合によって非保存的置換を加えることもできる。重要な要素は、これらの置換が毒素の生物的活性をあまり損なってはならないということである。
【0046】
組換え体宿主。
本発明の毒素をコードする遺伝子は、多種類の微生物または植物宿主に導入することができる。毒素遺伝子の発現は、直接または間接的に、殺虫剤の細胞内での生成および維持をもたらす。本発明の両毒素を発現するBt株を作製するために、接合移入および組換え移入を用いることができる。他の宿主生物体を毒素遺伝子の一方または両方で形質転換し、次に相乗効果を達成するために用いることもできる。適する微生物宿主、例えばシュードモナス(Pseudomonas)で、微生物を有害生物の位置へ施用することができ、そこでそれらは増殖して摂取される。この結果が有害生物の防除である。あるいは、毒素遺伝子を受け入れる微生物は、毒素の活性を長引かせ、細胞を安定させる条件の下で処理することができる。毒性活性を保持する処理細胞は、次に標的有害生物の環境に施用することができる。
【0047】
Bt毒素遺伝子が適するベクターを通して微生物宿主に導入され、前記宿主が生きた状態で環境へ施用される場合、特定の宿主微生物が用いられることが必須である。対象の1つまたは複数の作物の「植物圏」(葉面、葉圏、根圏および/または根面)を占めることが知られている微生物宿主が選択される。これらの微生物は、特定の環境(作物および他の昆虫生息地)で野生型微生物と首尾よく競合することが可能であるように、ポリペプチド殺虫剤を発現する遺伝子の安定した維持および発現を提供するように、および、望ましくは環境中での分解および不活性化からの殺虫剤の向上した保護を提供するように選択される。
【0048】
多数の微生物が、多種類の重要作物の葉面(植物葉の表面)および/または根圏(植物根を囲む土)に生息することが知られている。これらの微生物には、細菌、藻および真菌類が含まれる。特に興味深いものは、細菌、例えばシュードモナス属(Pseudomonas)、エルウィニア属(Erwinia)、セラチア属(Serratia)、クレブシェラ属(Klebsiella)、キサントモナス属(Xanthomonas)、ストレプトマイセス属(Streptomyces)、根粒菌属(Rhizobium)、ロドシュードモナス属(Rhodopseudomonas)、メチロフィリウス(Methylophilius)、アグロバクテナム属(Agrobactenum)、アセトバクター属(Acetobacter)、ラクトバシラス属(Lactobacillus)、アルトロバクター属(Arthrobacter)、アゾトバクター属(Azotobacter)、ロイコノストック属(Leuconostoc)およびアルカリゲネス属(Alcaligenes);真菌類、特に酵母、例えばサッカロミセス属(Saccharomyces)、クリプトコックス属(Cryptococcus)、クルイベロミセス属(Kluyveromyces)、スポロボロミセス属(Sporobolomyces)、ロドトルラ属(Rhodotorula)およびオーレオバシジウム属(Aureobasidium)などの微生物である。特に興味深いものは、シュードモナス・シリンゲ(Pseudomonas syringae)、蛍光菌(Pseudomonas fluorescens)、セラチア・マルセッセンス(Serratia marcescens)、アセトバクター・キシリナム(Acetobacter xylinum)、アグロバクテニウム・ツメファシエンス(Agrobactenium tumefaciens)、ロドシュードモナス・スフェロイデス(Rhodopseudomonas spheroides)、キサントモナス・カンペストリス(Xanthomonas campestris)、リゾビウム・メリオチ(Rhizobium melioti)、アルカリゲネス・エントロファス(Alcaligenes entrophus)およびアゾトバクター・ビンランジ(Azotobacter vinlandii)のような植物圏細菌種;ならびにロドトルラ・ルブラ(Rhodotorula rubra)、R.グルチニス(R. glutinis)、R.マリーナ(R. marina)、R.オーランチアカ(R. aurantiaca)、クリプトコックス・アルビダス(Cryptococcus albidus)、C.ジフルエンス(C. diffluens)、C.ローレンチ(C. laurentii)、サッカロミセス・ロゼイ(Saccharomyces rosei)、S.プレトリエンシス(S. pretoriensis)、S.セレビシエ(S. cerevisiae)、スポロボロミセス・ロゼウス(Sporobolomyces roseus)、S.オドルス(S. odorus)、クルイベロミセス・ベロネ(Kluyveromyces veronae)およびオーレオバシジウム・ポルランス(Aureobasidium pollulans)などの植物圏酵母種である。色の着いた微生物が、特に興味深い。
【0049】
遺伝子の安定した維持および発現を可能にする条件の下で、毒素をコードするBt遺伝子を微生物宿主に導入するために、多種類の方法を利用できる。これらの方法は当業者に周知であり、例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5135867号に記載されている。
【0050】
細胞の処理。
Bt毒素を発現するバチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)または組換え体の細胞は、毒素活性を長引かせ、細胞を安定させるために処理することができる。形成される殺虫剤マイクロカプセルは、安定化された細胞構造の中にBt毒素(複数可)を含み、このマイクロカプセルが標的有害生物の環境へ施用されるときに毒素を保護する。適する宿主細胞には、原核生物または真核生物のいずれかが含まれてよく、通常、哺乳動物などの高等生物体に有毒である物質を生成しない細胞に限定される。しかし、毒性物質が不安定であるか、哺乳動物宿主への毒性のいかなる可能性も避けるために施用量が十分に低い場合、高等生物体にとって有毒である物質を生成する生物体が用いることもできる。宿主としては、原核生物および真菌類などの下等真核生物が特に興味深い。
【0051】
処理時、細胞は通常、胞子の形態ではなくそのままの状態であり実質的に増殖形であるが、一部の例では胞子を利用してもよい。
【0052】
微生物細胞、例えばB.t.毒素遺伝子(複数可)を含む微生物の処理は、その技術が毒素の特性に悪い影響を及ぼさず、毒素を保護する細胞の能力も低下させない限り、化学的または物理的な手段により、または化学的および/または物理的な手段の組合せによることができる。化学試薬の例は、ハロゲン化剤、特に原子番号17〜80のハロゲン原子である。より詳しくは、穏和な条件の下で、かつ所望の結果を達成するのに十分な時間、ヨウ素を用いることができる。他の適する技術には、グルタルアルデヒドなどのアルデヒド;塩化ゼフィランおよび塩化セチルピリジニウムなどの消毒剤;イソプロピルおよびエタノールなどのアルコール;ルゴールヨウ素、ブアン固定液、様々な酸およびヘリー固定液などの様々な組織固定剤(Humason, Gretchen L., Animal Tissue Techniques, W. H. Freeman and Company, 1967を参照);または細胞が宿主環境に施用されるときに細胞内で生成される毒素の活性を保存し、長引かせる物理的(熱)および化学的作用因子の組合せによる処理が含まれる。物理的手段の例は、ガンマ線放射およびX線放射などの短波長放射、凍結、UV照射、凍結乾燥などである。微生物細胞の処理のための方法は、米国特許第4,695,455号および4,695,462号で開示され、それらは参照により本明細書に組み込まれる。
【0053】
細胞は、環境条件への抵抗性を増強する強化された構造安定性を一般に有する。殺虫剤がプロ型である場合、細胞処理の方法は、標的有害生物の病原体による殺虫剤のプロ型から成熟型へのプロセッシングを妨げないように選択されるべきである。例えば、ホルムアルデヒドはタンパク質を架橋し、ポリペプチド殺虫剤のプロ型のプロセッシングを妨げることができる。処理の方法は、毒素の生物学的利用能または生物活性の少なくとも実質的な部分を保持するべきである。
【0054】
生成のための宿主細胞の選択で特に興味深い特性には、B.t.遺伝子(複数可)を宿主に導入することの容易さ、発現系の利用可能性、発現効率、宿主での殺虫剤の安定性および補助的遺伝子能力の存在が含まれる。殺虫剤マイクロカプセルとして用いるための興味深い特性には、厚い細胞壁、着色および細胞内パッケージングまたは封入体形成などの殺虫剤保護特性;水性環境での生存;人畜毒性の欠如;摂取のための有害生物への誘引効果;殺滅の容易さおよび毒素を害さずに固着させること;などが含まれる。他の考慮事項には、製剤化および取扱いの容易さ、経済性、貯蔵安定性などが含まれる。
【0055】
細胞の増殖。
B.t.殺虫性遺伝子(複数可)を含む細胞宿主は、DNA構築物が選択有利性を提供し、細胞の実質的に全てまたは全てがB.t.遺伝子を保持するように選択培地を提供する、任意の便利な栄養培地で増殖させることができる。これらの細胞は次いで、従来の方法に従って収穫することができる。あるいは、収穫する前に細胞を処理することができる。
【0056】
本発明の毒素を生成するB.t.細胞は、標準技術の培地および発酵技術を用いて培養することができる。発酵サイクルが終了すると、最初に当技術分野で周知である手段によってB.t.胞子および結晶を発酵培養液から分離することによって細菌を収穫することができる。取扱いおよび特定の標的有害生物への施用を容易にするために、界面活性剤、分散剤、不活性担体および他の構成成分の添加によって、回収されたB.t.胞子および結晶を水和剤、濃厚液剤、粒剤または他の製剤に製剤化することができる。これらの製剤および施用手法は、全て当技術分野で周知である。
【0057】
製剤。
誘引剤ならびにB.t.分離株の胞子、結晶および毒素、または本明細書で開示されるB.t.分離株から入手できる遺伝子を含む組換え体微生物を含む製剤化された餌粒剤は、土壌に施用することができる。製剤化された製品は、種子コーティングまたは作物サイクルの後期段階で根部処理もしくは植物全体処理として施用することもできる。B.t.細胞の植物および土壌処理は、様々な不活性の材料、例えば無機鉱物(フィロシリケート、炭酸塩、硫酸塩、リン酸塩など)または植物材料(粉末状の穂軸、籾殻、クルミ殻など)と混合することによって、水和剤、粒剤または粉剤として使用することができる。製剤は、展着助剤、安定化剤、他の殺虫性添加剤または界面活性剤を含むことができる。液体製剤は水性または非水性であってよく、フォーム、ゲル、懸濁液、乳剤などとして使用することができる。これらの成分には、レオロジー調整剤、界面活性剤、乳化剤、分散剤またはポリマーが含まれてよい。
【0058】
当分野の技術者によって認識されるように、特定の製剤の性質、特にそれが濃厚剤であるか直接的に用いられるものであるかによって、殺虫剤濃度は広く変動する。殺虫剤は少なくとも1重量%で存在し、100重量%であってもよい。乾燥製剤は約1〜95重量%の殺虫剤を有するが、液体製剤は一般に液相中に約1〜60重量%の固形分である。製剤は、1mgにつき約10から約10細胞を一般に有する。これらの製剤は、1ヘクタールにつき約50mg(液体または乾燥物)から1kg以上で投与される。
【0059】
製剤は、噴霧、散粉、散水その他によって、鱗翅目害虫の環境、例えば葉または土へ施用することができる。
【0060】
植物の形質転換。
本発明の殺虫性タンパク質の生成のための好ましい組換え体宿主は、形質転換された植物である。本明細書で開示されるようなBt毒素タンパク質をコードする遺伝子は、当技術分野で周知である様々な技術を用いて植物細胞に挿入することができる。例えば、大腸菌(Escherichia coli)の複製系および形質転換細胞の選択を可能にするマーカーを含む多数のクローニングベクターが、高等植物への外来遺伝子の挿入のための調製のために利用できる。ベクターとしては、例えば、とりわけpBR322、pUCシリーズ、M13mpシリーズ、pACYC184が挙げられる。したがって、Bt毒素タンパク質をコードする配列を有するDNA断片は、適する制限部位でベクターに挿入することができる。生じたプラスミドは、大腸菌(E. coli)への形質転換のために用いられる。大腸菌(E. coli)細胞は適する栄養培地で培養され、次に収穫され、溶解される。プラスミドを回収する。配列分析、制限酵素解析、電気泳動および他の生化学的分子生物学的方法が、分析方法として一般に実行される。各操作の後、用いたDNA配列を切断して次のDNA配列に連結することができる。各プラスミド配列は、同じか他のプラスミドにクローニングすることができる。植物への所望の遺伝子の挿入の方法によっては、他のDNA配列が必要なこともある。例えば、植物細胞の形質転換のためにTiまたはRiプラスミドが用いられるならば、TiまたはRiプラスミドT−DNAの少なくともライトボーダー、しかし多くの場合はライトボーダーとレフトボーダーとが、挿入される遺伝子の隣接領域として連結されなければならない。植物細胞の形質転換のためのT−DNAの使用は集中的に研究されており、EP120516、Lee and Gelvin (2008)、Hoekema (1985)、Fraley et al., (1986)およびAn et al., (1985)で十分に記載され、当技術分野でよく確立されている。
【0061】
挿入されたDNAが植物ゲノムに組み込まれると、それは比較的安定である。形質転換ベクターは、形質転換された植物細胞に、とりわけビアラホス、カナマイシン、G418、ブレオマイシンまたはハイグロマイシンなどの生物致死剤または抗生物質への抵抗性を付与する選択マーカーを通常含む。したがって、個々に使用されるマーカーは、挿入されたDNAを含まない細胞ではなく形質転換された細胞の選択を可能にするはずである。
【0062】
DNAを植物宿主細胞に挿入するために、多数の技術を利用できる。それらの技術には、形質転換因子としてアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)もしくはアグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes)を用いるT−DNAによる形質転換、融合、注射、微粒子銃(微小粒子ボンバードメント)、またはエレクトロポレーションならびに他の可能な方法が含まれる。アグロバクテリウム菌が形質転換のために用いられる場合、挿入されるDNAは特別なプラスミド、すなわち中間型ベクターまたはバイナリーベクターのいずれかにクローニングされなければならない。中間型ベクターは、T−DNAの配列に相同性の配列のため、相同組み換えによってTiまたはRiプラスミドに組み込むことができる。TiまたはRiプラスミドは、T−DNAの移入のために必要なvir領域も含む。中間型ベクターは、アグロバクテリウム菌ではそれ自身を複製することができない。中間型ベクターは、ヘルパープラスミドによってアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)に移動させることができる(コンジュゲーション)。バイナリーベクターは、大腸菌(E. coli)およびアグロバクテリウム菌の両方でそれ自身を複製することができる。それらバイナリーベクターは選択マーカー遺伝子およびリンカーまたはポリリンカーを含み、これらは左右のT−DNAボーダー領域によってフレーム決めされるむ。それらバイナリーベクターは、アグロバクテリウム菌に直接に形質転換させることができる(Holsters et al., 1978)。宿主細胞として用いられるアグロバクテリウム菌は、vir領域を運ぶプラスミドを含むものとする。vir領域は、植物細胞へのT−DNAの移入のために必要である。さらなるT−DNAが含まれてもよい。そのように形質転換される細菌は、植物細胞の形質転換のために用いられる。植物外植片は、植物細胞へのDNAの移入のために、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)またはアグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes)と都合よく培養することができる。次いで、選択のための抗生物質または生物致死剤を含んでもよい適する培地で、感染植物材料(例えば、葉片、茎、根の断片だけでなく、プロトプラストまたは懸濁培養細胞も)から完全体植物を再生させることができる。そのように得られる植物は次いで、挿入されたDNAの存在について試験することができる。注射およびエレクトロポレーションの場合、プラスミドに特別に要求されるものはない。通常のプラスミド、例えばpUC派生体を用いることができる。
【0063】
形質転換細胞は、植物内で通常の方法で増殖する。それらは胚細胞を形成することができ、形質転換された形質(複数可)を後代植物へ伝えることができる。そのような植物は通常の方法で生育させること、および同じ形質転換遺伝因子または他の遺伝因子を有する植物と交配することができる。生じる雑種個体は、対応する表現型特性を有する。
【0064】
本発明の好ましい実施形態では、植物は、コドン使用頻度が植物のために最適化されている遺伝子で形質転換される。例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5380831号を参照。一部のトランケーションされた毒素が本明細書で例示されるが、130kDa型(完全長)毒素がコア毒素であるN末端半分およびプロトキシン「尾部」であるC末端半分を有することは、Bt技術の分野では周知である。したがって、適当な「尾部」を、本発明のトランケーションされた/コア毒素と共に用いることができる。例えば米国特許第6218188号および米国特許第6673990号を参照。さらに、植物で使用するための合成Bt遺伝子の作製方法が当技術分野で公知である(Stewart and Burgin, 2007)。好ましい形質転換植物の1つの非限定例は、植物にて発現可能なCry1Faタンパク質コード遺伝子を含み、さらに第二の、植物にて発現可能なVip3Abタンパク質コード遺伝子を含む稔性のメイズ植物である。
【0065】
近交系メイズ系統へのCry1FaおよびVip3Ab決定形質(複数可)の移入(または遺伝子移入)は、回帰性の選抜育種、例えば戻し交配によって達成することができる。この場合には、所望の反復親が、Cry1FおよびVip3Ab決定形質のための適当な遺伝子(複数可)を運ぶドナーの近交系(一回親)と先ず交配される。この交配の後代は、次に反復親と戻し交配され、続いて生じる後代において、一回親から移入される所望の形質(複数可)について選択される。所望の形質(複数可)の選択によって反復親との3世代、好ましくは4世代、より好ましくは5世代以上の戻し交配の後、後代は移入される形質(複数可)を支配する遺伝子座がヘテロ接合性になるが、他のほとんどまたはほとんど全ての遺伝子については反復親と同様である(例えば、Poehlman & Sleper (1995) Breeding Field Crops, 4th Ed., 172-175、Fehr (1987) Principles of Cultivar Development, Vol. 1 : Theory and Technique, 360-376を参照)。
【0066】
昆虫抵抗性対応(IRM)戦略。
例えばRoush et al.は、「ピラミッド化」または「スタッキング」とも呼ばれる、殺虫性トランスジェニック作物についての対応のための2毒素戦略を概説している。(The Royal Society. Phil. Trans. R. Soc. Lond. B. (1998) 353, 1777-1786)。
【0067】
で、米国環境保護庁は、そのウェブサイト(epa.gov/oppbppdl/biopesticides/pips bt_corn_refuge_2006.htm)で、標的有害生物に対して活性である単一のBtタンパク質を生成するトランスジェニック作物で用いるための非トランスジェニック(すなわち、非B.t.)緩衝帯(非Bt作物/トウモロコシの区域)を提供するための以下の要件を公表する。
「コーンボーラー保護Bt(Cry1AbまたはCry1F)トウモロコシ製品の特定の構造化要件は、以下の通りである:
構造化緩衝帯:
コーンベルトで20%の非鱗翅目Btトウモロコシ緩衝帯;
コットンベルトで50%の非鱗翅目Bt緩衝帯
ブロック
内部(すなわち、Bt圃場内)
外部(すなわち、任意交配を最大にするためにBt圃場から1/2マイル(可能であれば1/4マイル)以内に別個の圃場)
圃場内の帯状地
幼虫の移動の影響を低減するために、帯状地は少なくとも4条(好ましくは6条)の幅でなければならない」
【0068】
さらに、National Corn Growers Associationも、そのウェブサイト:(ncga.com/insect-resistance-management-fact-sheet-bt-corn)で、緩衝帯要件に関して類似した指針を提供する。例えば以下である:
「コーンボーラーIRMの要件:
・トウモロコシ畑地の少なくとも20%に緩衝帯雑種を植える
・綿花生産地では、緩衝帯は50%でなければならない
・緩衝帯雑種の1/2マイル以内に植えなければならない
・緩衝帯は、Bt圃場内に帯状地として植えることができる;緩衝帯の帯状地は少なくとも4条の幅でなければならない
・標的昆虫の経済的許容限界に到達する場合だけ、緩衝帯を従来の殺虫剤で処理することができる
・Btベースの噴霧可能な殺虫剤を緩衝帯トウモロコシで用いることはできない
・Btトウモロコシのあらゆる農場に適当な緩衝帯を設けなければならない」
【0069】
Roush et al.(例えば、1780頁および1784頁の右欄)によって述べられているように、標的有害生物に各々有効で、ほとんど又は全く交差抵抗性のない2つの異なるタンパク質のスタッキングまたはピラミッド化は、より小さな緩衝帯の使用を可能にする。成功したスタックは、緩衝帯10%未満の緩衝帯サイズが、単一(非ピラミッド化)形質のための約50%の緩衝帯と同等の抵抗性対応を提供することができることをRoushは示唆する。今日利用できるピラミッド化Btトウモロコシ製品については、米国環境保護庁は単一形質製品(一般に20%)についてよりもかなり低く(一般に5%)構造化された非Btトウモロコシの緩衝帯を設けることを要求している。
【0070】
Roush et al.(前掲)および米国特許第6,551,962号によってさらに論じられているように、圃場での様々な幾何学的栽植様式(上記のような)および袋入種子混合物を含む、緩衝帯のIRM効果を提供する様々な方法がある。
【0071】
上記の百分率または類似した緩衝帯比率は、対象の二重または三重のスタックまたはピラミッドのために用いることができる。単一の標的有害生物に対して3つの作用態様を有する三重スタックについては、目標は緩衝帯がゼロ(または、例えば5%未満の緩衝帯)である。これは、例えば10エーカー以上の商業用の土地に特にあてはまる。
【0072】
本明細書で参照または引用される全ての特許、特許出願、仮出願および刊行物は、それらがこの明細書の明白な教示と矛盾しない範囲で、参照により全体が組み込まれる。
【0073】
具体的に示されるか含意されない限り、本明細書で用いられるように、用語「a」、「an」および「the」は「少なくとも1つ」を示す。
【0074】
以下は、本発明を実施するための手法を例示する実施例である。これらの実施例は、限定するものと解釈されるべきでない。特記されない限り全ての百分率は重量によるものであり、全ての溶媒混合割合は容量によるものである。全ての温度は、摂氏温度である。
【実施例1】
【0075】
実施例の要約
Vip3Ab1は、スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)(フォールアーミーワーム)野生型幼虫に対して、およびバチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)結晶毒素Cry1Faに抵抗性であるプエルトリコで発見されたスポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)の圃場採取株に対して活性であることを示す実施例が与えられる。Cry1Fa毒素への抵抗性を発達させる昆虫はVip3Ab1の毒性に感受性であり続けるので、この生物学データは、昆虫でのCry1抵抗性の発達と戦うために用いられるVip3Ab1の有用性を支持する。
【0076】
同様に、スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)では、125I放射性標識Cry1Faは受容体タンパク質に結合し、この結合は非放射性標識Cry1Faを用いて置換することができる。しかし、これらの実験でVip3Ab1は125I Cry1Faの結合をその受容体から置換することができない。これらの結果はVip3Ab1がCry1Faと比較して独特の結合部位を有することを示す。Cry1Faに抵抗性である昆虫に対して毒性を発揮するVip3Ab1の能力は、これらの毒素が結合する部位で示した非相互作用に由来する。スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)でのCry1Fa抵抗性の性質は、この昆虫から調製されたBBMVにCry1Faが結合できないことが原因であることを示すさらなるデータが提示される。Cry1Faに結合する能力を失ったCry1Fa抵抗性のS.フルギペルダ(S. frugiperda)幼虫に対するVip3Ab1の生物的活性はさらに、Cry1Faと比較して非相互作用性であるVip3Ab1の標的部位を支持する。
【実施例2】
【0077】
Cry1FaおよびVip3Ab1タンパク質の精製およびトリプシン処理。
Cry1FaおよびVip3Ab1プロトキシンをコードする遺伝子を蛍光菌(Pseudomonas fluorescens)発現株で発現させ、完全長タンパク質は不溶性封入体として単離された。洗浄した封入体は、20mM CAPS緩衝液、pH11、+10mM DDT、+0.1%2−メルカプトエタノールを含む緩衝液で37℃において2時間撹拌することによって可溶化した。溶液を37℃で10分間の27,000×gで遠心分離し、上清を0.5%(w/v)TCPK処理トリプシン(Sigma)で処理した。溶液を室温でさらなる1時間混合しながらインキュベートし、濾過し、次に20mM CAPS、pH10.5で平衡させたPharmacia Mono Q 1010カラムにロードした。ロードしたカラムを2カラム容量の緩衝液で洗浄した後に、15カラム容量の20mM CAPS中の0〜0.5MのNaClの直線濃度勾配を用いて、切断された毒素を1.0ml/分の流速で溶出させた。精製されたトリプシン切断Cryタンパク質は、約0.2〜0.3MのNaClで溶出した。タンパク質の純度は、SDS PAGEおよびクマシーブリリアントブルー色素を用いる可視化によって検査した。場合によっては、精製された毒素の組み合わせた分画を濃縮してSuperose 6カラム(直径1.6cm、長さ60cm)にロードし、サイズ排除クロマトグラフィーによってさらに精製した。モノマーの分子量の単一のピークを含む分画を合わせ、濃縮して、約60,000kDaの分子量を有するタンパク質の95%を超えて均質である調製物を生成した。
【0078】
Vip3Ab1の処理は、Monte Badgerによって提供された精製完全長85kDaタンパク質(DIG−307)から開始して、同様の方法で達成された。タンパク質(12mg)を50mMリン酸ナトリウム緩衝液、pH8.4に透析し、次に1mgの固体トリプシンを加え、室温で1時間インキュベートすることによって処理した。溶液をMonoQ陰イオン交換カラム(直径1cm、長さ10cm)にロードし、7カラム容量にわたる20mMリン酸ナトリウム緩衝液、pH8.4中の0〜500mMのNaClの直線濃度勾配で溶出させた。タンパク質の溶出は、SDS−PAGEによって監視した。主要な処理バンドは、比較のための分子量標準を用いるSDS−PAGEによって測定された通り、65kDaの分子量を有した。
【実施例3】
【0079】
昆虫バイオアッセイ。
人工昆虫食を与えた新生仔スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)(J.E. Smith)幼虫で行ったバイオアッセイで、精製タンパク質を殺虫活性について試験した。Cry1F抵抗性のFAWをプエルトリコのHerculex I(Cry1Fa)トウモロコシの圃場から収集し、連続飼育のためにDow AgroSciences Insectaryに持ち込んだ。この系統の抵抗性FAWの特徴付けは、Schlenzら(Schlenz et al., 2008)による内部報告書で概説されている。
【0080】
昆虫バイオアッセイは、128ウェルプラスチックバイオアッセイトレイ(C−D International、Pitman、NJ)で行われた。各ウェルは、0.5mLの多種鱗翅類食(Southland Products、Lake Village、AR)を含んでいた。10mMのCAPS、pH10.5で様々な濃度に希釈された精製したCryタンパク質またはVip3Ab1タンパク質の40μLの一定分量または対照溶液を、各ウェルの1.5cmの食餌表面にピペットによって送達した(26.7μL/cm)。1試料につき16ウェルを試験した。陰性対照は、タンパク質を含まない緩衝溶液ブランクであった。陽性対照は、Cry1Fの調製物を含んでいた。食餌表面の液体が蒸発するか、食餌に吸収されるまで、処理されたトレイを換気フード内に保持した。
【0081】
孵化から数時間以内に、個々の幼虫を濡れた駱駝毛刷子で拾い上げ、1ウェルにつき1匹の幼虫を処理食餌の上に置いた。次に、寄生させたウェルを、ガス交換をさせるためにベントのついた透明プラスチックの粘着板(C−D International、Pitman、NJ)で密封した。バイオアッセイトレイは、制御された環境条件(28℃、約40%RH、16:8[L:D]光周期)の下で保持された。5日後に、各タンパク質試料に曝露させた昆虫の総数、死んだ昆虫の数および生存昆虫の重量を記録した。
【実施例4】
【0082】
Cry1Fa毒素のヨウ素化。
オオタバコガ幼虫およびこれらの昆虫から調製されたBBMVに対して試験したとき、Cry1Fのヨウ素化はこのタンパク質の毒性および結合能力の両方を破壊することが報告されている(Luo et al., 1999; Sheets and Storer, 2001)。不活性化は、おそらくその結合部位の近くの改変されていないチロシン残基の必要性による。Iodo−bead法を用いてCry1Fをヨウ素化したとき、H.ビレセンス(H. virescens)からのBBMVを用いて特異的な結合特性を示す能力の全てをタンパク質は失った。Iodo−bead法を用いてCry1Fをヨウ素化するために非放射性標識NaIを用いることにより、ヨウ素化Cry1FはH.ビレセンス(H. virescens)に対するその殺虫活性も失った。
【0083】
システイン残基でタンパク質を特異的にアルキル化するマレイミドコンジュゲート標識試薬を用いて、Cry1Faを蛍光標識することができることが、出願人の研究所での初期試験により実証された。Cry1Faトリプシンコア毒素は205位に単一のシステイン残基を含むので、そのような試薬でタンパク質を標識することは単一の特異的部位でのタンパク質のアルキル化をもたらす。Cry1Faをフルオレセイン−5−マレイミドで蛍光標識することができ、標識したタンパク質が殺虫活性を保持することが測定された。システインフルオレセイン標識Cry1Faの生物的活性の保持に基づき、出願人がPalmerらの方法(Palmer et al., 1997)によって標識のフルオレセイン部分を放射ヨウ素標識し、それをCry1Faのシステインに結合させ、生物的活性を保持する放射性標識Cry1Faを所有することもできることが測定された。
【0084】
フルオレセイン−5−マレイミドをDMSOで10mM(4.27mg/ml)に溶解し、次に68,000M−1cm−1のそのモル吸光係数によって決定されるように、PBSで1mMまで希釈した。2つのIodobeadを含むPBSの70μl溶液に、鉛シールドの背後で0.5mCiのNa125Iを加えた。溶液を室温で5分間混合させ、次に10μlの1mMフルオレセイン−5−マレイミドを加えた。反応物を10分間反応させ、次にiodobeadから取り出した。この反応溶液に、PBS中の2μgの高度精製トリプシン切断Cry1Faコア毒素を加えた。このタンパク質を、ヨウ素化フルオレセイン−5−マレイミド溶液と一緒に4℃で48時間インキュベートした。2−メルカプトエタノールを14mMまで加えることによって、反応を停止した。反応混合液を20mM CAPS、150mM KCl、pH9で平衡させたZebraスピンカラムに次に加え、2分間の1,500×gで遠心分離して、タンパク質から未反応のヨウ素化色素を分離した。125I放射性標識フルオレセイン−Cry1Faをガンマ計数器で計数し、投入毒素の推定80%回収率に基づいてその比活性を決定した。タンパク質をSDS−PAGEによって特徴付けし、また蛍光画像化によって可視化もして、測定された放射能がCry1Faタンパク質と共有結合していることを確認した。
【実施例5】
【0085】
可溶性BBMVの調製および分画。
タンパク質定量化およびSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動の標準方法は、例えばSambrookら(Sambrook and Russell, 2001)、およびその最新版で教示される通りに用いた。終齢S.フルギペルダ(S. frugiperda)幼虫を一晩絶食させ、その後、氷上で15分間冷やしたのちに解剖した。中腸組織を体腔から取り出し、外皮に接着した後腸を残した。中腸を、供給元の推奨通りに希釈したプロテアーゼ阻害剤カクテル(Sigma−Aldrich P−2714)を補充した、9倍容量の氷冷ホモジナイゼーション緩衝液(300mMマンニトール、5mM EGTA、17mMトリス塩基、pH7.5)に入れた。15ストロークのガラス組織ホモジナイザーで組織をホモジナイズした。BBMVは、WolfersbergerのMgCl沈殿法(Wolfersberger, 1993)によって調製した。簡潔には、300mMマンニトール中の24mM MgCl溶液の等量を中腸ホモジネートと混合し、5分間撹拌し、氷上で15分間静置させた。4℃で15分間の2,500×gで溶液を遠心分離した。上清を保存し、元の容量の0.5倍希釈のホモジナイゼーション緩衝液にペレットを懸濁して再び遠心分離した。これら2つの上清を合わせ、4℃で30分間の27,000×gで遠心分離してBBMV分画を形成した。ペレットをBBMV保存緩衝液(10mM HEPES、130mM KCl、10%グリセロール、pH7.4)に懸濁して、約3mg/mlのタンパク質濃度にした。タンパク質濃度は、標準としてBSAを用いて測定した。
【0086】
試料を冷凍する前に、L−ロイシン−p−ニトロアニリドアミノペプチダーゼ活性(BBMV分画のマーカー酵素)を測定した。簡潔には、50μlのL−ロイシン−p−ニトロアニリド(PBS中に1mg/ml)を、標準キュベット中の940mlの50mMトリスHClに加えた。キュベットをCary 50Bio分光光度計に入れ、405nmでの吸光度読取のためにゼロに合わせ、昆虫中腸ホモジネートまたは昆虫BBMV調製物のいずれかの10μlを加えることによって反応を開始した。405nmでの吸光度の増加を、室温で5分間監視した。ホモジネートおよびBBMV調製物の比活性は、以下の方程式に基づく、アッセイに加えられた単位総タンパクあたりの吸光度の線形増加の間の、吸光度の経時的増加の動態に基づいて決定された:
ΔOD/(分mg)=アミノペプチダーゼ率(ΔOD/ml分)/[タンパク質](mg/ml)
【0087】
この酵素の比活性は、出発の中腸ホモジネート分画で見られるものと比較して一般的に7倍増加した。BBMVを250μlの試料に小分けにし、液体Nで瞬間冷凍し、−80℃で保存した。
【実施例6】
【0088】
電気泳動。
還元(すなわち、5%β−メルカプトエタノール、BME)および変性(すなわち、4%SDSの存在下で90℃で5分間加熱)条件の下で、SDS−PAGEによるタンパク質の分析を実行した。タンパク質を4%から20%のトリス−グリシンポリアクリルアミドゲル(BioRad;Hercules、CA)のウェルに加え、200ボルトで60分間分離した。クマシーブリリアントブルーR−250(BioRad)で1時間の染色によってタンパク質のバンドを検出し、7%酢酸中の5%メタノール溶液で脱色した。BioRad Fluro−S Multi Imager(商標)を用いてゲルを画像化し、分析した。タンパク質バンドの相対的な分子量は、ゲルの1つのウェルに加えられたBenchMark(商標)タンパク質ラダー(Invitrogen、Carlsbad、CA)の試料で観察された既知の分子量のタンパク質の移動度との比較によって決定した。
【実施例7】
【0089】
画像化。
ヨウ素化Cryタンパク質の放射純度およびプルダウンアッセイでの放射性Cry1Faの測定は、SDS−PAGEおよび蛍光画像化で決定された。簡潔には、タンパク質の分離および固定の後にゲルをマイラー膜(厚さ12μm)で包み、次にMolecular Dynamics貯蔵蛍光スクリーン(35cm×43cm)の下でゲルを少なくとも一晩、および4日まで曝露させることによって、SDS−PAGEゲルを画像化した。Molecular Dynamics Storm 820蛍光造影装置を用いてプレートを現像し、ImageQuant(商標)ソフトウェアを用いて画像を分析した。
【実施例8】
【0090】
結果の要約
野生型およびCry1Fa抵抗性のS.フルギペルダ(S. frugiperda)幼虫に対して様々な用量で試験された完全長Vip3Ab1タンパク質のバイオアッセイからの死滅率の結果を、図1に示す。出願人は、野生型S.フルギペルダ(S. frugiperda)幼虫に対しては試験された最高濃度(9,000ng/cm)で100%死滅率を、およびより低い用量でより低いレベルの死滅率を得た。LC−50は、約2,000ng/cmと推定された。Vip3Ab1は幼虫の増殖を阻害することにおいてS.フルギペルダ(S. frugiperda)に対して非常に効果的で、1,000ng/cm以上の濃度で95%を超える成長阻害であった。両方のS.フルギペルダ(S. frugiperda)幼虫で観察された高レベルの成長阻害は、より長い時間放置されたならば、これらの昆虫が死滅へと進行する可能性が高いことを示唆する。
【0091】
野生型S.フルギペルダ(S. frugiperda)対Cry1Fa抵抗性のS.フルギペルダ(S. frugiperda)に対してVip3Ab1の生物的活性を比較するためにもバイオアッセイを実行した(図1)。成長阻害百分率は縦棒によって、死滅百分率はひし形記号によって示される。毒素への曝露から5日後に測定された死滅率は、試験した全ての濃度で両昆虫型について50%未満であった。成長阻害について明らかな用量応答が得られた。Vip3Ab1は、1,000ng/cmを超える濃度でCry1Fa感受性およびCry1Fa抵抗性のS.フルギペルダ(S. frugiperda)幼虫両方の幼虫発育の95%を超える阻害をもたらし、約40ng/cmで野生型S.フルギペルダ(S. frugiperda)の幼虫発育の約50%の阻害をもたらした。Vip3Ab1は、4.1ng/cmの最も低い濃度まで試験した全ての濃度で、Cry1Fa抵抗性のS.フルギペルダ(S. frugiperda)の50%を超える成長阻害をもたらした。したがって、Vip3Ab1は、Cry1Fa抵抗性のS.フルギペルダ(S. frugiperda)幼虫に対する高い活性を有する。
【0092】
中央致死濃度(LC50)、中央成長阻害濃度を生成するために、さらなるバイオアッセイを繰り返した。表2は、対照と比較した、Vip3Ab1に対するCry1F感受性のスポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)およびCry1F抵抗性のスポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)の(GI50)および95%信頼区間を示す。
【表2】

【0093】
Cry1FaがFAWで結合するのと同じ部位でVip3Ab1が相互作用するかどうか決定するために、放射性標識競合結合アッセイを実行した。125I放射性標識Cry1Faの結合と競合するVip3Abの能力を測定するために、競合アッセイを開発した。図2は、BBMVタンパク質への結合の後にSDS−PAGEによって分離された放射性Cry1Faの蛍光画像を示す。いかなる競合リガンドもない場合、BBMVタンパク質に結合している125I Cry1Faを検出することができる。1,000nMの非標識のCry1Fa(アッセイで用いられた標識タンパク質の濃度と比較して500倍の過剰)の存在下でインキュベートした場合、125I Cry1Faに対応するごくわずかな放射能しか検出されない。したがって、この結果は、これらの相同タンパク質が同じ部位に結合するためと予想されるように、非標識のCry1Faが受容体タンパク質への結合をめぐって放射性標識Cry1Faと効果的に競合することを示す。競合タンパク質として1,000nMの非標識のVip3Ab1タンパク質を用いて同じ実験を行う場合、S.フルギペルダ(S. frugiperda)からのBBMVタンパク質への125I Cry1Faの結合のレベルの変化は見られず、Vip3Ab1が125I Cry1Faの結合と競合しないことを示す。この結果は、Vip3Ab1がCry1Faと同じ部位で結合しないことを示すものと解釈される。
【0094】
昆虫はいくつかの異なる生化学機構を通してCryタンパク質の毒性への抵抗性を発達させることができるが、最も一般的な機構は、昆虫の腸でその特異的受容体に結合するCry毒素タンパク質の能力の低下による(Heckel et al., 2007、Tabashnik et al., 2000、Xu et al., 2005)。これは、小さな点突然変異によって、大きな遺伝子欠失によって、または他の遺伝的もしくは生化学的機構によってもたらされ得る。Cry1Faへの抵抗性の性質を理解するためにCry1Fa抵抗性のS.フルギペルダ(S. frugiperda)からのBBMVタンパク質を調査したとき、Cry1Fa抵抗性の昆虫から調製されたBBMVが、野生型昆虫から調製されたBBMVと比較して125I放射性標識Cry1Faに結合する能力がずっと低いことを出願人は発見した(図3)。したがって、S.フルギペルダ(S. frugiperda)でのCry1Faへの抵抗性の機構は、抵抗性の昆虫からのBBMVへのCry1Faの結合の大きく低下したレベルによるものである。Vip3Ab1がCry1Faの結合と競合しないことを図2で示すので、特異的受容体へのCry1Faの結合に関与する抵抗性機構にVip3Ab1は影響を受けないはずであることをこれはさらに実証する。これは、バイオアッセイで支持されている。したがって、Vip3Ab1は、それが類似した昆虫に対して生物的活性を有するが、これらのCryタンパク質と同じ受容体部位に結合せず、したがってCry毒素結合の減少を含む抵抗性機構に影響を受けない点で、Cry1Faの活性を補う。これらの試験から、これらのタンパク質のいずれか1つに対して抵抗性を発達させた可能性のある昆虫に対して生物的活性を提供するための、加えて抵抗性昆虫を阻止するための昆虫抵抗性対応アプローチとして、Vip3Ab1がCry1Faと組み合わせるための優れた昆虫毒素であると結論した。
【0095】
【化1】

【0096】
【表3−1】

【表3−2】

【表3−3】

【表3−4】

【表3−5】

【表3−6】

【表3−7】

【表3−8】

【表3−9】

【表3−10】

【表3−11】

【表3−12】

【表3−13】

【0097】
【表4−1】

【表4−2】

【表4−3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
Vip3Ab殺虫性タンパク質をコードするDNAおよびCry1F殺虫性タンパク質をコードするDNAを含むトランスジェニック植物。
【請求項2】
請求項1に記載の植物の種子。
【請求項3】
前記DNAが遺伝子移入された、請求項1に記載の植物。
【請求項4】
請求項3に記載の植物の種子。
【請求項5】
非Bt緩衝帯植物および請求項1に記載の複数の植物を備える植物の圃場であって、前記緩衝帯植物は前記圃場の全ての作物植物の40%未満を構成する、圃場。
【請求項6】
前記緩衝帯植物が前記圃場の全ての作物植物の30%未満を構成する、請求項5に記載の植物の圃場。
【請求項7】
前記緩衝帯植物が前記圃場の全ての作物植物の20%未満を構成する、請求項5に記載の植物の圃場。
【請求項8】
前記緩衝帯植物が前記圃場の全ての作物植物の10%未満を構成する、請求項5に記載の植物の圃場。
【請求項9】
前記緩衝帯植物が前記圃場の全ての作物植物の5%未満を構成する、請求項5に記載の植物の圃場。
【請求項10】
前記緩衝帯植物がブロックまたは帯状地にある、請求項5に記載の植物の圃場。
【請求項11】
非Bt緩衝帯植物からの緩衝帯種子および請求項2に記載の複数の種子を含む種子混合物であって、前記緩衝帯種子は混合物の全ての種子の40%未満を構成する、種子混合物。
【請求項12】
前記緩衝帯種子が混合物の全ての種子の30%未満を構成する、請求項11に記載の種子混合物。
【請求項13】
前記緩衝帯種子が混合物の全ての種子の20%未満を構成する、請求項11に記載の種子混合物。
【請求項14】
前記緩衝帯種子が混合物の全ての種子の10%未満を構成する、請求項11に記載の種子混合物。
【請求項15】
前記緩衝帯種子が混合物の全ての種子の5%未満を構成する、請求項11に記載の種子混合物。
【請求項16】
種子を播いて請求項5に記載の植物の圃場を作製することを含む、昆虫によるバチルス・チューリンゲンシスに由来する殺虫性タンパク質への抵抗性の発達に対応する方法。
【請求項17】
Cry1C、Cry1D、Cry1BeおよびCry1Eからなる群から選択される第三の殺虫性タンパク質をコードするDNAをさらに含む、請求項1に記載のトランスジェニック植物。
【請求項18】
非Bt緩衝帯植物および請求項17に記載の複数のトランスジェニック植物を備える植物の圃場であって、前記緩衝帯植物は前記圃場の全ての作物植物の約20%未満を構成する、圃場。
【請求項19】
約10%未満の緩衝帯植物を含む、請求項17に記載の複数の植物を備える植物の圃場。
【請求項20】
種子を播いて請求項19に記載の植物の圃場を作製することを含む、昆虫によるバチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)に由来する殺虫性タンパク質への抵抗性の発達に対応する方法。
【請求項21】
Cry1Fコア毒素含有タンパク質およびVip3Abタンパク質の両方の有効量を発現する細胞を含む、鱗翅類の有害生物を防除するための組成物。
【請求項22】
Cry1Fコア毒素含有タンパク質およびVip3Abタンパク質の両方を発現するように形質転換された、微生物または植物細胞である宿主を含む、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
鱗翅類の有害生物を防除する方法であって、前記有害生物に、または前記有害生物の環境に請求項21に記載の組成物の有効量を提供することを含む方法。
【請求項24】
Cry1C、Cry1DおよびCry1Eからなる群から選択される第三の殺虫性タンパク質をコードするDNAをさらに含む、請求項1に記載のトランスジェニック植物。
【請求項25】
Cry2A、Cry1I、Cry1AbおよびDIG−3からなる群から選択される第四のタンパク質および第五のタンパク質を生成する、請求項24に記載のトランスジェニック植物。
【請求項26】
Cry2A、Cry1I、Cry1AbおよびDIG−3からなる群から選択される第四のタンパク質を生成する、請求項17に記載のトランスジェニック植物。
【請求項27】
種子を播いて請求項26に記載の植物の圃場を作製することを含む、昆虫によるCry毒素への抵抗性の発達に対応する方法。
【請求項28】
非Bt緩衝帯植物および請求項26に記載の複数の植物を備える植物の圃場であって、前記緩衝帯植物は前記圃場の全ての作物植物の約10%未満を構成する、圃場。
【請求項29】
約5%未満の緩衝帯植物を備える、請求項28に記載の圃場。
【請求項30】
種子を播いて請求項28または29に記載の植物の圃場を作製することを含む、昆虫によるCry毒素への抵抗性の発達に対応する方法。
【請求項31】
非Bt緩衝帯植物からの緩衝帯種子および請求項26に記載の植物からの複数の種子を含む種子混合物であって、前記緩衝帯種子は混合物の全ての種子の10%未満を構成する、種子混合物。
【請求項32】
前記植物が10エーカーより多くを占める、請求項5、18および28のいずれかに記載の圃場。
【請求項33】
トウモロコシ、ダイズおよびワタからなる群から選択される、請求項1、2、17、24および26のいずれかに記載の植物。
【請求項34】
メイズ植物である、請求項1、2、17、24および26のいずれかに記載の植物。
【請求項35】
前記第三のタンパク質がCry1Beタンパク質である、請求項26に記載のトランスジェニック植物。
【請求項36】
種子を播いて請求項35に記載の植物の圃場を作製することを含む、昆虫によるCry毒素への抵抗性の発達に対応する方法。
【請求項37】
非Bt緩衝帯植物および請求項35に記載の複数の植物を備える植物の圃場であって、前記緩衝帯植物は前記圃場の全ての作物植物の約10%未満を構成する、圃場。
【請求項38】
約5%未満の緩衝帯植物を備える、請求項37に記載の圃場。
【請求項39】
種子を播いて請求項37または38に記載の植物の圃場を作製することを含む、昆虫によるCry毒素への抵抗性の発達に対応する方法。
【請求項40】
非Bt緩衝帯植物からの緩衝帯種子および請求項35に記載の植物からの複数の種子を含む種子混合物であって、前記緩衝帯種子は混合物の全ての種子の10%未満を構成する、種子混合物。
【請求項41】
前記植物が10エーカーよりも多くを占める、請求項37および38のいずれかに記載の圃場。
【請求項42】
トウモロコシ、ダイズおよびワタからなる群から選択される、請求項1、3、17、24、25、26、33および34のいずれかに記載の植物。
【請求項43】
メイズ植物である、請求項42に記載の植物。
【請求項44】
前記植物細胞が、前記Cry1F殺虫性タンパク質をコードする前記DNAおよび前記Vip3Ab殺虫性タンパク質をコードする前記DNAを含み、前記Cry1F殺虫性タンパク質が配列番号1と少なくとも99%同一であり、前記Vip3Ab殺虫性タンパク質が配列番号2と少なくとも99%同一である、請求項1、3、17、24、25、26、33および34のいずれかに記載の植物の植物細胞。
【請求項45】
前記Cry1F殺虫性タンパク質が配列番号1を含み、前記Vip3Ab殺虫性タンパク質が配列番号2を含む、請求項1、3、17、24、25、26、33および34のいずれかに記載の植物。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公表番号】特表2013−514766(P2013−514766A)
【公表日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−544836(P2012−544836)
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際出願番号】PCT/US2010/060810
【国際公開番号】WO2011/075585
【国際公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(501035309)ダウ アグロサイエンシィズ エルエルシー (197)
【Fターム(参考)】