説明

押しボタンを設けた電気機器

【課題】押しボタンを形成した金属板とベース材が剥がれることを防止した電気機器を提供する。
【解決手段】デジタルカメラ等の電気機器は、押しボタン2を設けた金属板20と、該金属板20の裏面に取り付けられる硬質樹脂から形成されたベース材3と、ベース材3を挟んで金属板20の反対側に位置してベース材3を介して押しボタン2に押圧操作されるスイッチ4を設けている。ベース材3は、透光性の半透明な硬質樹脂から形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押しボタンを具えたデジタルカメラ等の電気機器に関する。
【背景技術】
【0002】
図4は、従来のデジタルカメラ等の電気機器に於ける押しボタン(2)の正面図である。キャビネット(1)の正面には、ステンレス等の金属板(20)が設けられ、該金属板(20)上に矩形を囲む開口(21)を打ち抜き加工により形成し、該開口(21)の内側を押しボタン(2)としている。即ち、該押しボタン(2)は金属板(20)と繋がった端部(22)を中心として前後に回動して押し込み操作される。斯種デジタルカメラ等は薄型化が求められており、押しボタン(2)を金属板(20)の打ち抜き加工により形成して、押しボタン(2)を薄くしている。
図5は、図4をA−A線を含む水平面にて破断し矢視した断面図である(特許文献1参照)。キャビネット(1)には凹面(12)が開設され、該凹面(12)の奥部に凹み(17)が設けられる。金属板(20)は凹面(12)内に配備され、金属板(20)の裏面には、シリコンゴム等からなる可撓性のベース材(3)が接着剤又は両面テープによって貼り付けられ、該ベース材(3)は下面から押圧突起(35)を突出している。該ベース材(3)の下側には、基板(6)が配備され、該基板(6)上に丸みを帯びて膨らみを上に向けたスイッチ(4)が配備される。押圧突起(35)はスイッチ(4)の上側に位置する。
押しボタン(2)を下向きに押すと、ベース材(3)が撓み、押圧突起(35)がスイッチ(4)を押して、所望の動作が開始される。
【0003】
【特許文献1】特開2007−328919号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の構成では、押しボタン(2)の押圧操作により、ベース材(3)が撓むから、金属板(20)とベース材(3)が剥がれることがある。これでは、図5に一点鎖線で示すように、押しボタン(2)が浮き上がり、該浮き上がりによりベース材(3)との間にできた隙間に指が入り込む虞れがある。押しボタン(2)は前記の如く、金属板(20)の打ち抜き加工により形成されているから、隙間に指が入り込んだ場合、押しボタン(2)の端面に指が当たり、指が傷付く虞れがある。
本発明の目的は、押しボタン(2)を形成した金属板(20)とベース材(3)が剥がれることを防止した電気機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
電気機器は、押しボタン(2)を設けた金属板(20)と、該金属板(20)の裏面に取り付けられる硬質樹脂から形成されたベース材(3)と、ベース材(3)を挟んで金属板(20)の反対側に位置してベース材(3)を介して押しボタン(2)に押圧操作されるスイッチ(4)を設けている。ベース材(3)は、透光性の半透明な硬質樹脂から形成されている。
【発明の効果】
【0006】
1.ベース材(3)は硬質樹脂から形成されているから、押しボタン(2)を押しても撓みにくい。また、金属板(20)を貼り付ける両面テープ等との接着性も良好である。従って、ベース材(3)と押しボタン(2)が剥がれる虞れは少なく、押しボタン(2)を操作した際の安全性が保たれる。
2.斯種電気機器には、使用者の見易さに鑑みて、押しボタン(2)に操作内容を打ち抜き加工等により形成し、押しボタン(2)内部からの光の透過を許すものがある。
押しボタン(2)の裏面に設けられたベース材(3)は、透光性の半透明の樹脂から形成されるから、キャビネット(1)内部を照らす場合に、押しボタン(2)から光が外へ漏れ出ることができ、押しボタン(2)の見易さを保つことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の一実施例を図を用いて、詳述する。
図1は、本例に係わる電気機器、具体的にはデジタルカメラを背面から見た斜視図である。キャビネット(1)は、打ち抜き加工により押しボタン(2)を形成した金属板(20)及び液晶パネル(16)を設けた第1キャビネット半体(10)と、周知の鏡筒(15)を設けた第2キャビネット半体(11)を合わせて構成される。金属板(20)は、ステンレス製であるが、これに限定されない。また、斯種電気機器には、使用者の見易さに鑑みて、押しボタン(2)に操作内容を打ち抜き加工等により形成し、押しボタン(2)内部からの光の透過を許すものがある。後記の構成によって、本例に係わる機器の押しボタン(2)も内部からの光の透過を許す。
【0008】
押しボタン(2)の形状は、図4に示す従来のものと同様であり、端部(22)(図4参照)を中心に回動するが、押しボタン(2)上には押しボタン(2)によって操作される内容(例えば、録画、再生等)を示したアイコンが、打ち抜き加工により開設されている。
図2は、図1をB−B線を含む水平面にて破断し矢視した断面図であり、図3は、図2の第1キャビネット半体(10)の分解斜視図である。第1キャビネット半体(10)には凹面(12)が形成され、該凹面(12)の下側には凹面(12)よりも小さな透孔(13)が開設される。凹面(12)と透孔(13)は繋がっており、凹面(12)内に金属板(20)が配備される。金属板(20)の裏面には、孔(30)を開設した硬質樹脂、具体的にはポリカーボネート製のベース材(3)が、半透明の両面テープ(7)により貼り付けられ、該ベース材(3)は透孔(13)内に位置する。
【0009】
第2キャビネット半体(11)内には、従来と同様に、スイッチ(4)が配備された基板(6)が設けられ、該スイッチ(4)は丸みを帯びて膨らみを上に向けている。スイッチ(4)の上端部は、ベース材(3)の孔(30)に入り、押しボタン(2)を押すと、ベース材(3)がスイッチ(4)を押し、所望の操作が開始される。
ベース材(3)は硬質樹脂から形成されているから、押しボタン(2)を押しても撓みにくい。また、金属板(20)を貼り付ける両面テープ(7)との接着性も良好である。従って、ベース材(3)と押しボタン(2)が剥がれる虞れはなく、押しボタン(2)を操作した際の安全性が保たれる。
尚、本例ではスイッチ(4)の上端部は、ベース材(3)の孔(30)に入る構成となっているが、図5に示す従来と同様に押圧突起(35)にてスイッチ(4)を押してもよい。
【0010】
図2に示すように、基板(6)上にてスイッチ(4)の側方には、LED等である発光ランプ(5)が設けられ、ベース材(3)は半透明、具体的には乳白色の硬質樹脂から形成される。発光ランプ(5)からの光は、ベース材(3)及び両面テープ(7)を通り、押しボタン(2)上に開設されたアイコンの内容を照らす。これにより、押しボタン(2)の操作時に、押しボタン(2)の機能が分かり易くなる。且つ、ベース材(3)は半透明の樹脂から形成されるから、キャビネット(1)の内部が見えない。尚、発光ランプ(5)とベース材(3)の間に、光を拡散させる拡散板(図示せず)を設けてもよい。
ここで、ベース材(3)を完全に透明な樹脂から形成すれば、発光ランプ(5)からの光は通るものの、キャビネット(1)の内部部品であるスイッチ(4)等が開口(21)を通して外から見えて見映えが悪い。従って、出願人はベース材(3)を半透明の樹脂から形成することを着想した。
【0011】
上記実施例の説明は、本発明を説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定し、或は範囲を減縮する様に解すべきではない。又、本発明の各部構成は上記実施例に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。
本例では電気機器としてデジタルカメラを例示したが、押しボタンを設けた他の電気機器であってもよい。また、金属板(20)とベース材(3)を接着剤で貼り付けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本例に係わる電気機器を背面から見た斜視図である。
【図2】図1をB−B線を含む水平面にて破断し矢視した断面図である。
【図3】図2の第1キャビネット半体の分解斜視図である。
【図4】従来の電気機器に於ける押しボタンの正面図である。
【図5】図4をA−A線を含む水平面にて破断し矢視した断面図である。
【符号の説明】
【0013】
(1) キャビネット
(2) 押しボタン
(3) ベース材
(4) スイッチ
(5) 発光ランプ
(6) 基板
(20) 金属板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
押しボタンを設けた金属板と、該金属板の裏面に取り付けられる硬質樹脂から形成されたベース材と、該ベース材を挟んで金属板の反対側に位置してベース材を介して押しボタンに押圧操作されるスイッチを設けたことを特徴とする電気機器。
【請求項2】
ベース材は、透光性の半透明な硬質樹脂から形成された、請求項1に記載の電気機器。
【請求項3】
押しボタンは、金属板の打ち抜き加工により形成された、請求項1又は2に記載の電気機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−55776(P2010−55776A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−216373(P2008−216373)
【出願日】平成20年8月26日(2008.8.26)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】