説明

押し込み式コネクタ機能部および/またはそのための連結具を備える輸液容器

【課題】異なる構成の輸液ポンプとラインセットに遭遇したときにこれらに適合し、最大限に使いやすく、その一方で機能性も維持するような容器の設計、構成および実現方法を提供する。
【解決手段】容器104と直線的押し込み式コネクタ100のアセンブリが、容器と、標準ルアラインセットかカスタムルアラインセットの一方を、単純な直線的押し込み動作によって、あらゆる構成の輸液ポンプ装置10に連結する。好ましくは拡張スリーブ102を握ることによって行われる1回の単純な直線的押し込み動作によって、容器がポンプの容器収容部14に設置、固定され、1回の単純な直線的引張動作によって解放され、外れる。連結、ポンプの係合またはポンプの機能のために回転による方位決めは不要であり、チューブセット110を引っ張っても、拡張スリーブがチューブセットまたはルア継手108への張力によって固定位置から動かないため、タンクは釈放されない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、チャールズ・ワングらの“Infusion Reservoir With Push-On Connector Features and/or Attachments Therefor”と題する、2010年7月31日出願の米国仮特許出願第61/369,706号の35U.S.C.§119(c)に基づく利益と、チャールズ・ワングらの“Infusion Reservoir With Push−On Connector Features and/or Attachments Therefor”と題する、2011年7月25日出願の正式な米国特許出願第13/190,400号の35U.S.C.§120に基づく利益を主張する。
【0002】
本発明は一般に、輸液システムの構成部品と要素に関し、これには、単純な直線的押し込み動作によって容器とラインセットをどのような構成の輸液ポンプにも連結できる、押し込み式コネクタ・容器アセンブリが含まれる。
【背景技術】
【0003】
糖尿病患者等を含めた多くの人々が何らかの形の輸液療法を利用しており、たとえば血糖値を厳密に管理するために、毎日インシュリン注入が行われる。インシュリン注入療法のための日常的治療としては、現在、主として2種類の方式が採用されている。1日頻回注射療法、すなわちMDI(Multiple Daily Injections)と呼ばれる第一の方式は、シリンジとインシュリンペンを使用する。これらの機器は使いやすく、比較的低コストであるが、注射の都度、一般には1日に3から4回、針を穿刺する必要がある。第二の方式は輸液ポンプ療法であり、約4年ごとにインシュリンポンプを購入する必要がある。ポンプの初期費用は高額であるが、使用者の観点から見ると、ポンプを使用したことのある患者の圧倒的多数が、生涯、ポンプを使用し続けるほうを選ぶ。これは、輸液ポンプはシリンジとペンより複雑であるものの、インシュリンの持続的注入、正確な用量調整および計画可能な送達スケジュールという利点を有するからである。
【0004】
しかしながら、1つまたはいくつかの理由により、患者は、異なる構成の輸液ポンプ、容器およびラインセットを必要とする状況に遭遇することがあり、その場合、構成の違いによって用量や計画可能な送達スケジュールが好ましくない影響を受けるのではないかと心配になることがある。これに加え、多くの現行のシステムと方法は、使用者個人の能力に不相応な行為や動動を必要とする。
【0005】
たとえば、第一の従来のシステムと方法では、容器とラインセットを輸液ポンプに連結するために、2つの別々の係合/分離動作が必要となる。係合させるには、使用者はまず、容器をポンプの容器収容部の中にスライドさせて入れ、または押し込み、次に、別体の螺合式スリーブを十分なトルクで回転させ、スリーブを所定の位置に螺合させ、締める。分離するには、使用者はまず、別体の螺合式スリーブの螺合部を緩め、次に、容器をポンプの容器収容部から引き出す。この第二の動作での人的要因は直観的にわかりやすいものではなく、容器からライン連結部の螺合部を外してしまう傾向がある。把握地点、すなわちルアコネクタだけに反時計回り方向の回転運動を加えると、ルアの螺合部が外れ、その結果、インシュリンが容器の上面に漏れ、容器を収容部から引き出す際に、漏出したインシュリンがポンプの容器収容部の中に入り込む可能性が発生する。また、このような機器には一般に、少なくとも1つまたはいくつかの密閉用Oリングが設置され、このようなOリングによって大きな圧縮力が必要となる可能性がある。さらにまた、上記の方法でルアから外れてしまうと、外れた容器をポンプの容器収容部から引き出す際に容器を把握する箇所がほとんどない。
【0006】
上記のようなシステムと方法に発生しうる、もうひとつの不具合は、ルアコネクタからラインを分離させることであり、この場合もやはり、ラインからインシュリンが漏出する。また、上記のシステムと方法の多くにおいて、別体の螺合式スリーブに適正な程度までトルクが加えられたときに音として聞こえるようなフィードバックがなく、また、使用中に別体の螺合式スリーブが外れた、すなわち、ある程度まで螺合部が緩くなったことを示す視覚的な指示手段がない。
【0007】
このようなシステムと方法において、容器をポンプの容器収容部に設置して、ラインセット連結部を完全に係合させるために、使用者は多くの、直感的にわかりにくい動作を加えなければならず、別体の螺合式スリーブは定期的な交換が必要となる消耗構成部品と同類である。しかしながら、使用者が必ずしもスリーブの交換時期を知ることができるとはかぎらず、スリーブを交換しなかった結果、摩耗したエラストマからの汚染物がポンプの容器収容部の中に入り込んだり、別体の螺合式スリーブを適正に係合させて、捻ることができなくなったりする可能性がある。さらにまた、別体の螺合式スリーブは、容器、ラインセットまたはポンプのいずれの一体的部分でもないため、紛失し、またはつけ間違える恐れもある。
【0008】
さらに別のシステムと方法では、容器、コネクタおよびポンプの容器収容部の間の空間を密閉するために使用されるOリングを、ポンプの容器収容部の中に設置することができ、使用者は、正しい動作のために、これを定期的に交換する必要がある。しかしながら、Oリングを外す行為は、あまり器用でない使用者にとっては難しいかもしれず、Oリングの外し方が不適正であると、Oリングの汚染物がポンプの容器収容部の中に入り込むか、Oリングを外すための道具によっては、ポンプの容器収容部の中にOリングを保持するOリング用の溝に傷がつく可能性がある。いずれは、この損傷が容量調整やポンプの性能に影響を及ぼしうる。さらに、使用者が気づかないうちにOリングが損耗し、Oリングの微粒子がポンプの容器収容部の中に入るか、あるいはOリングの密閉能力が失われ、汚染物がポンプの容器収容部に入り込む原因となる。
【0009】
さらにまた、上記のような従来の輸液ポンプに使用される連結機能部と手順には、1つまたはそれ以上の二条ねじ、戻り止め溝および一条ねじ等がある。したがって、このようなシステムでは、容器を輸液ポンプに連結するのに、ある程度の位相整列が必要となる。たとえば「同相」であるとは、機能部間の回転(角度)またはデカルト(x,y)関係が個々のポンプで同じであること、すなわち、個々のポンプで、ねじ山が戻り止め溝から同じ角度増分で開始することを意味する。したがって、このようなシステムの多くの構成部品には互換性がない。
【0010】
したがって、容器とポンプを連結するための人的要因が改善され、現在市販されているすべての輸液ポンプに容易に係合させることのできる容器とコネクタを提供するような、輸液ポンプ管理のシステムと方法が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、上記およびその他の問題と困難を実質的に解消し、異なる構成の輸液ポンプとラインセットに遭遇したときにこれらに適合し、最大限に使いやすく、その一方で機能性も維持するような容器の設計、構成および実現方法を提供することである。
【0012】
本発明の別の目的は、異なる構成の輸液ポンプ、コネクタおよび容器に遭遇したときにこれらに適合し、最大限に使いやすく、その一方で機能性も維持するようなラインセットの設計、構成および実現方法を提供することである。
【0013】
本発明のまた別の方法は、異なる構成の輸液ポンプ、容器およびラインセットに遭遇したときにこれらに適合し、最大限に使いやすく、その一方で機能性も維持するような直線的押し込み式コネクタ設計、構成および実現方法を提供することである。
【0014】
本発明のさらに別の目的は、異なる構成の輸液ポンプ、コネクタおよび容器に遭遇したときにこれらに適合し、最大限に使いやすく、その一方で機能性も維持するような容器の設計、構成および実現方法を提供することである。
【0015】
本発明の他の目的は、単純な直線的押し込み動作だけで、いかなる構成の輸液ポンプ本体にも容器を釈放可能に固定するような、直線的押し込み式コネクタの設計、構成および実現方法を提供することである。
【0016】
本発明の別の目的は、標準ルア継手を、あらゆる種類の輸液ポンプ本体構造の中に釈放可能に固定された容器に連結できるようにする、直線的押し込み式コネクタの設計、構成および実現方法を提供することである。
【0017】
本発明のまた別の目的は、カスタムルア継手を、あらゆる種類の輸液ポンプ本体構造の中に釈放可能に固定された容器に連結できるようにし、標準ルア継手を容器に連結できないようにする、直線的押し込み式コネクタの設計、構成および実現方法を提供することである。
【0018】
本発明のさらに別の目的は、容器と連結されたときに空気の侵入と排出を可能にする疎水性膜をその中に有するカスタムルア継手と、容器に連結された標準ルア継手と使用するための、空気の侵入と排出を可能にする親水性膜をその中に有するアダプタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記およびその他の目的は、容器と直線的押し込み式コネクタのアセンブリを提供することによって略実現され、これは、容器および、標準ルアラインセットとカスタムルアラインセットのいずれかを、単純な直線的押し込み動作によってあらゆる構成の輸液ポンプ構成に連結するものであり、押し込み式コネクタアセンブリは、ラインセットと容器を輸液ポンプに固定するように提供され、構成される。好ましくは、拡張スリーブを把握することによって行われる1回の単純な直線的押し込み動作により、容器はポンプの容器収容部に設置され、そこに固定され(すなわち、容器はx,yおよびz軸の上に位置付けられ)、また、1回の単純な直線的引張動作により、容器はポンプの容器収容部から釈放され、取り外される。適正な連結、ポンプの係合またはポンプの機能に、回転による方位決めは必要でなく、チューブセットを引っ張っても、チューブセットが通る拡張スリーブがチューブセットまたはルア継手にかかる張力によって固定位置から移動しないため、容器は釈放されない。
【0020】
そのために、本発明の例示的実施形態には、一体的係合機能部を有する容器と、容器がインシュリンポンプの容器収容開口部に設置されると、容器の一部の中でスライドし、一体的係合用機能部の1つまたはそれ以上をインシュリンポンプの容器収容開口部の、それと嵌り合う、またはその他の接触面機能部の中に固定する移動可能な拡張スリーブの1つまたはそれ以上が含まれる。本発明の例示的実施形態には、その中に疎水性膜を有するアダプタを提供することによって、容器に標準ルアコネクタを連結するか、その中に疎水性膜を有する標準外ルアコネクタを容器に連結して、ポンプから離れた場所でインシュリン治療を提供するシステムと方法がさらに含まれる。
【0021】
本発明の実施形態のさまざまな目的、利点および新規な特徴は、以下の詳細な説明を、添付の図面に関連付けて読むと、より分かりやすい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の1つまたはそれ以上の例示的要素に連結できる輸液ポンプの斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態による、ラインセットを、一体的疎水性膜を有するカスタムルアコネクタとともに図1の輸液ポンプに連結するための、容器と直線的押し込み式コネクタのアセンブリの第一の例示的実施形態の分解図である。
【図3】本発明の一実施形態による、図1の輸液ポンプと連結するための、組立後の状態の、容器と直線的押し込み式コネクタのアセンブリの第一の実施形態の拡大断面図である。
【図4A】本発明の一実施形態による、容器の例示的支柱型係合機構の拡大図である。
【図4B】本発明の一実施形態による、容器の例示的三角形型係合機構の拡大図である。
【図4C】本発明の一実施形態による、容器の例示的パッド型係合機構の拡大図である。
【図5】本発明の一実施形態による、図1の輸液ポンプに挿入された、組立後の状態の容器と直線的押し込み式コネクタのアセンブリの第一の実施形態の拡大断面図である。
【図6】図5を90度回転させた拡大断面図である。
【図7】本発明の一実施形態による、ラインセットを標準ルアコネクタとともに図1の輸液ポンプに連結させるための、拡張スリーブの中に組み込まれた疎水性膜を有する容器と直線的押し込み式コネクタのアセンブリの第二の例示的実施形態の分解図である。
【図8】本発明の一実施形態による、図1の輸液ポンプと連結するための、容器と直線的押し込み式コネクタのアセンブリの第二の実施形態の分解断面図である。
【図9】本発明の一実施形態による、図1の輸液ポンプの中に挿入された、組立後の状態の容器と直線的押し込み式コネクタのアセンブリの第二の実施形態の斜視図である。
【図10】本発明の一実施形態による、図1の輸液ポンプの中に挿入された、組立後の状態の容器と直線的押し込み式コネクタのアセンブリの第二の実施形態の拡大断面図である。
【図11】本発明の第三の実施形態による拡張スリーブの例示的使用者把持面の拡大図である。
【図12】別の例示的形状の拡張スリーブ把握面と、本発明の一実施形態による不完全嵌合位置指示手段を示す、容器と直線的押し込み式コネクタのアセンブリの第三の実施形態の拡大断面図である。
【図13】別の例示的形状の拡張スリーブ把握面と、本発明の一実施形態による不完全嵌合位置指示手段を示す、容器と直線的押し込み式コネクタのアセンブリの第三の実施形態の拡大図である。
【図14】別の例示的形状の拡張スリーブ把握面と、本発明の一実施形態による不完全嵌合位置指示手段を示す、容器と直線的押し込み式コネクタのアセンブリの第三の実施形態の拡大図である。
【図15】別の例示的形状の拡張スリーブ把握面と、本発明の一実施形態による不完全嵌合位置指示手段を示す、容器と直線的押し込み式コネクタのアセンブリの第三の実施形態の拡大図である。
【図16】本発明の一実施形態による、ラインセットを図1の輸液ポンプに連結するための、位置合わせガイドと容器と直線的押し込み式コネクタのアセンブリの第四の例示的実施形態の分解図である。
【図17】本発明の一実施形態による、図1の輸液ポンプの中に挿入された、位置合わせガイドと容器と直線的押し込み式コネクタのアセンブリの第四の実施形態の拡大断面図である。
【図18】本発明の一実施形態による、図1の輸液ポンプの中に挿入された、位置合わせガイドと容器と直線的押し込み式コネクタのアセンブリの第四の実施形態の図である。
【図19】本発明の一実施形態による、ラインセットを図1の輸液ポンプに連結するための、「アームレス」容器と直線的押し込み式コネクタのアセンブリの第五の例示的実施形態の拡大分解図である。
【図20】ラインセットを図1の輸液ポンプに連結するための、「アームレス」容器と直線的押し込み式コネクタのアセンブリの第五の実施形態の拡大分解断面図である。
【図21】本発明の一実施形態による、より詳細に示された図20のフローティングタブの拡大図である。
【図22】本発明の一実施形態による、ラインセットを図1の輸液ポンプに連結するための、組立後の状態の「アームレス」容器と直線的押し込みコネクタのアセンブリの第五の実施形態の拡大図である。
【図23】本発明の一実施形態による、ラインセットを図1の輸液ポンプに連結するための、組立後の状態の「アームレス」容器と直線的押し込みコネクタのアセンブリの第五の実施形態の拡大断面図である。
【図24】本発明の一実施形態による、ラインセットを図1の輸液ポンプに結合するための、上部すなわち押し込み部が第一の材料で作られ、残り、すなわちカートリッジ部が第二の材料で作られる、容器と直線的押し込み式コネクタのアセンブリの第六の例示的実施形態の分解図である。
【図25】本発明の一実施形態による、ラインセットを図1の輸液ポンプに連結するための、容器と直線的押し込み式コネクタのアセンブリの第六の実施形態の分解断面図である。
【図26】本発明の一実施形態による、ラインセットを図1の輸液ポンプに連結するための、組立後の状態の容器と直線的押し込み式コネクタのアセンブリの第六の実施形態の図である。
【図27】本発明の一実施形態による、ラインセットを図1の輸液ポンプに連結するための、直線的押し込み式コネクタアセンブリの第七の例示的実施形態の、一体的切れ込み入り隔壁を有するルアアダプタの拡大斜視図である。
【図28】本発明の一実施形態による、ラインセットを図1の輸液ポンプに連結するための、押し込み式コネクタアセンブリの第七の実施形態の、一体的切れ込み入り隔壁を有するルアアダプタの拡大断面図である。
【図29】本発明の一実施形態による、図1の輸液ポンプ内の、標準的隔壁を有する容器と直線的押し込み式コネクタのアセンブリの第八の実施形態の拡大断面図である。
【図30】本発明の一実施形態による、ラインセットを図1の輸液ポンプに連結するための、直線的押し込み式コネクタアセンブリの第九の例示的実施形態の斜視図である。
【図31】本発明の一実施形態による、ラインセットを図1の輸液ポンプに連結するための、延ばし開かれるタイプの隔壁を有する押し込み式コネクタアセンブリの第九の実施形態の断面図である。
【図32】本発明の一実施形態による、ラインセットを図1の輸液ポンプに連結するための、ルア継手との組立後の開放状態で示された、押し込み式コネクタアセンブリの第九の実施形態の断面斜位図である。
【図33】本発明の一実施形態による、ラインセットを別の輸液ポンプに連結するための、容器と直線的押し込み式コネクタのアセンブリの第十の例示的実施形態の分解図である。
【図34】本発明の一実施形態による、ラインセットを別の輸液ポンプに連結するための、容器と直線的押し込み式コネクタのアセンブリの第十の実施形態の分解断面図である。
【図35】本発明の一実施形態による、別の輸液ポンプ内で不完全嵌合状態にある、組立後の状態の容器と直線的押し込み式コネクタのアセンブリの第十の実施形態の断面図である。
【図36】本発明の実施形態による、別の輸液ポンプ内で完全嵌合状態にある、組立後の容器と直線的押し込み式コネクタのアセンブリの第十の実施形態の断面図である。
【図37】本発明の一実施形態による、他の輸液ポンプの連結機能部の断面図である。
【図38】本発明の一実施形態による、ラインセットをOリングのない他の輸液ポンプに連結するための、容器と直線的押し込み式コネクタのアセンブリの第十一の例示的実施形態の分解図である。
【図39】本発明の一実施形態による、ラインセットをOリングのある他の輸液ポンプに連結するための、容器と直線的押し込み式コネクタのアセンブリの第十一の例示的実施形態の分解断面図である。
【図40】本発明の一実施形態による、Oリングのない他の輸液ポンプの中で不完全嵌合位置にある、容器と直線的押し込み式コネクタのアセンブリの第十一の例示的実施形態の拡大断面図である。
【図41】本発明の一実施形態による、Oリングのない他の輸液ポンプの中で完全嵌合位置にある、容器と直線的押し込み式コネクタのアセンブリの第十一の例示的実施形態の拡大断面図である。
【図42】本発明の一実施形態による、ラインセットを異なる係合角度で輸液ポンプに連結するための、容器と直線的押し込み式コネクタのアセンブリの第十二の例示的実施形態の分解断面図である。
【図43】本発明の一実施形態による、ラインセットを異なる係合角度で輸液ポンプに連結するための、容器と直線的押し込み式コネクタアセンブリの第十二の例示的実施形態の拡大断面図である。
【図44】本発明の一実施形態による、ラインセットを位置合わせ用キー溝のある輸液ポンプに連結するための、容器と直線的押し込み式コネクタのアセンブリの第十三の例示的実施形態の拡大斜視図である。
【図45】本発明の一実施形態による、その中の例示的疎水性膜を示す、容器と直線的押し込み式コネクタのアセンブリの第十三の例示的実施形態の拡大斜視図である。
【図46】本発明の一実施形態による、拡張スリーブのフランジ上の例示的疎水性膜を示す、拡張スリーブの上側拡大斜視図である。
【図47】本発明の一実施形態による、拡張スリーブのフランジ上の例示的疎水性膜を示す、拡張スリーブの底側拡大斜視図である。
【図48】本発明の一実施形態による、その間の保持リング係合を示す、拡張スリーブと容器の拡大断面図である。
【図49】本発明の一実施形態による、ラインセットを、拡張スリーブ上に係合機能部を有する輸液ポンプに連結するための、容器と直線的押し込み式コネクタのアセンブリの第十四の例示的実施形態の拡大断面図である。
【図50】本発明の一実施形態による、図49の拡張スリーブの拡大図である。
【図51】本発明の一実施形態による、図49の容器の拡大図である。
【図52】本発明の一実施形態による、充填済みの容器とコネクタのアセンブリの分解図である。
【図53】本発明の一実施形態による、使用のために準備された充満済みの容器とコネクタのアセンブリの分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図中、同様の参照番号は、類似の部品、構成部品および構造を指すものとする。
【0024】
当業者にとっては当然のことながら、本願で開示される機器の例、改良および配置を実現する方法は数多くある。図と以下の説明に示された実施例示的形態を参照するものの、本願で開示される実施形態が本発明により包含されるさまざまな設計と実施形態のすべてではない。
【0025】
前述のように、容器とポンプを連結するための人的要因が改良され、現在市販されている輸液ポンプのすべてに係合させることのできる容器とコネクタを提供する、輸液ポンプ管理のためのシステムと方法が求められている。これらおよびその他の問題を実質的に解決するために、単純で、直線的な押し込み動作により、いずれのタイプの輸液ポンプにも固定できるような例示的な容器と直線的押し込み式コネクタのアセンブリが提供され、その中に疎水性膜を有するアダプタを提供し、標準ルアコネクタを有する現在市販されている製品の使用を可能にする。この例示的な容器と直線的押し込み式コネクタのアセンブリはまた、現在市販されている製品を標準ルアコネクタと使用できないようにする、標準外またはカスタム/特殊ルアライン連結部を有するラインセットを使用できるように設計することもできる。
【0026】
本発明の実施形態において、好ましくは、拡張スリーブを把持することによって行われる、1回の直線的押し込み動作によって、容器がポンプの容器収容部の中に設置され、そこに固定され(すなわち、容器はx,yおよびz軸上に位置付けられ)、1回の直線的引張動作によって、容器がポンプの容器収容部から釈放され、取り外される。適正な連結、ポンプの係合またはポンプの機能にとって、回転による方位決めは必要なく、チューブセットを引っ張っても、チューブセットが通る拡張スリーブがチューブセットまたはルア継手にかかる張力によって固定位置から移動しないため、容器は釈放されない。
【0027】
例示的な容器と直線的押し込み式コネクタのアセンブリは、現在市販されているどの輸液ポンプにも挿入できるように構成することができ、さらに、輸液ポンプの容器収容開口部の中のねじ山、戻り止めおよび/またはその他どのような機械的連結手段とも係合し、またはその他固定されるように構成でき、その結果、容器とラインセットを現在市販されている輸液ポンプのいずれとも確実に連結できる。このような例示的な容器と直線的押し込み式コネクタのアセンブリには、その中で上記のように係合および使用するための多数の機能部を設けることができ、これにはたとえば、容器と直線的押し込み式拡張スリーブを設けて、単純な直線的動作だけで輸液ポンプの容器収容開口部の中に容器を固定させるようにすることや、ラインセットの取付と使用を可能にする適当な位置、たとえばカスタムルアコネクタの中、または標準ルアコネクタの使用を可能にする拡張スリーブもしくはアダプタの中に疎水性膜を設けることが含まれる。
【0028】
本発明のこのような例示的実施形態において、容器と直線的押し込み式コネクタのアセンブリの取付方法は、使用者の単純な直線的運動によって実行でき、従来のシステムと方法に伴う、容器とコネクタの挿入と取り外しのために、捻ってロックする動作を行う必要がなくなる。容器をポンプに押し込む同じ動作により、容器はポンプの中にロックされる。現在市販されている容器と異なり、本発明の例示的実施形態では、容器をポンプの中にロックする際に捻る必要がない。
【0029】
すなわち、本発明の例示的実施形態において、使用者は単純に容器を輸液ポンプの容器収容開口部と位置合わせし、直線的運動だけで容器を輸液ポンプの容器収容開口部の中にスライドさせ、容器の1つまたはそれ以上の戻り止めを輸液ポンプの開口部の陥凹部と係合させることができる。使用者は次に、拡張スリーブ継手を容器および/または輸液ポンプの容器収容開口部の中にスライドさせ、前進させ、係合させ、または嵌合させ、容器の1つまたはそれ以上の拡張ラッチまたはロッキング用機能部が輸液ポンプの容器収容開口部のねじ山またはこれと同様の機能部、またはその他の内面と係合して、直線方向への外れや移動が抑制されるようにすることができる。次に、ラインセットを標準ルア継手またはカスタムルア継手のいずれかと一緒に、拡張スリーブからアクセス可能な容器の端に取り付けることができる。標準ルア継手の場合、容器と標準ルア継手の間にアダプタを設けて、圧力平衡化に必要な疎水性膜を提供する。カスタムルア継手の場合、疎水性膜をカスタムルア継手または拡張スリーブに設けることができる。
【0030】
本発明の例示的実施形態において、疎水性膜をカスタムルア継手、アダプタおよび拡張スリーブのうちの1つまたはそれ以上の中に設けることができる。カスタムルア継手の場合、疎水性膜はカスタムルア継手のフランジまたはその他の本体要素に配置することができる。アダプタの場合、疎水性膜はアダプタのフランジの本体要素に配置することができる。拡張スリーブの場合、疎水性膜は拡張スリーブのフランジ、拡張スリーブの側壁、または拡張スリーブのその他の本体要素に配置することができる。いずれの場合も、圧力平衡化のために開口部が設けられ、それを少なくとも部分的に包囲する平坦な面があり、そこに疎水性膜が固定される。疎水性膜は好ましくは開口部のカバーとして設けられ、圧力平衡化のために空気を侵入させ、排出するための経路となる。このような例示的な機能部は形成がしやすく、疎水性膜は紫外線硬化型接着剤またはエポキシを用いた熱かしめまたは熱接着により所定の位置に取り付けることができる。例示的な疎水性膜は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)または延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)材料からなるが、これらに限定されない。
【0031】
以下に説明する本願の機器の例示的実施形態は、容器と容器コネクタのアセンブリおよび、ルアとラインセットの構造および実現方法の領域における多数の機能部と要素が示され、これらによって、構成の異なる輸液ポンプ、コネクタおよびラインセットに遭遇した場合にも容器をこれらに適合させ、1回の直線的な押し込みおよび引張動作によって、取り外しと取付のための回転ステップを不要にすることによって最大限に使いやすくし、その一方で、望ましい形態と機能を維持することが可能となる。例示的な輸液ポンプが図1に示されており、これが、以下に詳細に説明する本発明の実施形態への導入役となる。
【0032】
図1は、以下の機能部を含む例示的輸液ポンプ10を示す。図1(a)は、輸液ポンプ10の斜視図であり、図1(b)は、輸液ポンプ10の容器収容開口部をより詳細に示す拡大図である。図1に示されるように、例示的輸液ポンプ10は、本体12と、容器を設置できる容器収容開口部14を有することができる。従来のシステムと方法では、使用者が容器を容器収容開口部14の中にスライドさせ、その後、別体の螺合式スリーブを十分なトルクで回転させて螺合させ、ねじ山を合致させて容器を固定する。これを取り外すには、使用者は別体の螺合式スリーブの螺合部を緩め、その後、ポンプの容器収容部から容器を引き出す必要がある。
【0033】
しかしながら、多くの輸液ポンプは、容器の受け方と固定の仕方が異なるように構成され、異なる螺合式スリーブを使用する。すなわち、多くの場合、容器とチューブセットが、その使用者の輸液ポンプに合わずに、使用できないかもしれない。以下の説明において、容器アセンブリ、拡張スリーブおよびラインセットの多数の例示的実施形態について詳しく述べ、これらは例示的輸液ポンプ10またはこれと同様のその他どのような機器とも使用できる。その際、例示的容器アセンブリ、拡張スリーブおよびラインセットの構成またはその変化形や複合形を使用して、異なる構成の輸液ポンプ、容器およびラインセットに遭遇した場合にもそれが問題とならないようにすることができる。
【0034】
輸液ポンプ10は、容器を受け、収容するための少なくとも1つの容器収容開口部14を有し、容器の内容物が取り付けられたチューブセットを介して使用者に送達されるようになっている。当業者の間で周知のように、輸液ポンプ10は、薬剤送達を使用者が設定し、管理するための、いくつの機能部を有していてもよいが、ここでは、明瞭にするために、輸液ポンプ10のそのような追加の詳細部分は省略する。図の例示的実施形態において、容器収容開口部14は略円筒形で、その深さと直径は、その中に容器を受け、保管するのに十分であり、入口地点またはその付近には、容器の突起と係合して、たとえば、いったん所定の位置に設置された容器が回転移動できなくなるようにするスロットまたはくぼみ16および18がある。容器収容開口部14は、回転させて容器または容器コネクタの螺合式要素を受け、これと係合して、これらの要素を容器収容開口部14の中に固定する螺合式要素20をさらに備えることができる。また、容器収容開口部14は、Oリングポンプ密閉部品、Oリング接触面および何らかの目的のために役立つが、以下に説明する例示的実施形態によって使用可能な雌溝のうちの1つまたはそれ以上をさらに備えることができる。
【0035】
多数のさまざまな輸液ポンプとともに使用できる、より単純化され、人間工学的に望ましい容器とコネクタを提供するために、本発明の例示的実施形態は、容器の少なくとも1つの屈折可能なラッチと、嵌め込み成形された(over-molded)密閉部品を有する拡張スリーブを備える容器と直線的押し込み式コネクタのアセンブリを提供し、このアセンブリは、単純な直線的押し込み動作で輸液ポンプ10の容器収容開口部14の中に挿入することができる。したがって、本願で説明する機器の基本的機能部は、一体の上方スリーブと移動可能な係合機能部(すなわちラッチ、アーム、ウィング、要素等)を有する容器と、拡張スリーブと、拡張スリーブに嵌め込み成形された密閉部品を含んでいてもよい。連結部の代替手段の基本的機能部は、アダプタと標準ルアコネクタとのラインセット連結部と、カスタムルアコネクタとのラインセット連結部を含んでいてもよい。
【0036】
本発明の例示的実施形態において、直線的押し込み式コネクタアセンブリが提供され、その中で、カム、テーパ付スリーブ、拡張スリーブまたはその他の機械的要素を軸方向に前進させることにより、少なくとも1つの構成部品が半径方向に拡張することを利用して、輸液ポンプの容器収容開口部14の中のねじ山または同様の機能部、または単純に内壁表面と係合し、これに固定され、容器と直線的押し込み式コネクタが直線方向に外れたり、移動したりするのを抑止する。このようなコネクタアセンブリの設置は、単純な直線的押し込み式動作で行われるように構成され、これは、取付に必要な動作を単純化し、不要とし、また1つにまとめるために、人間工学およびその他の人的要因の面を考慮した設計原理から生まれたものである。さらに、1つまたはそれ以上の密閉部品を、このような直線的押し込み式コネクタアセンブリの中に嵌め込み成形することによって、コネクタアセンブリの部品数が減る。
【0037】
本発明の例示的実施形態の1つまたはそれ以上において、容器には、一端に開口部が設けられ、そこで拡張スリーブをスライド可能に受け、これを使って、容器の少なくとも1つの撓み性ラッチを撓ませることができる。拡張スリーブは、容器収容開口部の中の2つの位置の間でスライド可能である。第一の、不完全嵌合位置では、容器の1つまたはそれ以上の拡張ラッチまたはロッキング機能部が拡張せず、容器を容易に挿入し、また取り外すことができ、第二の、完全嵌合位置では、拡張スリーブの移動によって押された容器の拡張ラッチまたはロッキング機能部が外側に広がり、輸液ポンプの容器収容開口部の中のねじ山または同様の機能部と係合し、固定して、直線方向に外れたり、移動したりするのを抑止する。容器の戻り止めは、輸液ポンプの容器収容開口部のスロットまたはくぼみと係合し、これに固定され、回転運動を抑止するために設けることができる。
【0038】
拡張スリーブの把握面により、拡張スリーブを1回握り、単純な直線的動作で、挿入とロッキングの行為と、ロック解除と取り外しの行為をなすことができる。このような拡張スリーブ上のカムまたは係合の形状もまた、好ましくは、拡張スリーブに特定の引張力が加えられないかぎり、外れることに抵抗するように設計される。チューブセットに引張力が加えられても、何の効果もない。すなわち、ロッキング機能部は、拡張スリーブでしか有効化または無効化できない。輸液セットチューブが強く引っ張られた力が容器に伝えられても無害である。カムまたは係合の形状はまた、拡張スリーブが一方向または両方向に最後まで進められたときに、聴覚的および/または触覚的な「カチッ」またはその他の音や視覚的指示手段を提供するように設計される。
【0039】
拡張スリーブの移動によって押されると容器収容開口部と係合するように構成された、容器の拡張ラッチまたはロッキング機能部は、接触面が1つだけで、それに対応する容器の雄ねじ、雌ねじまたはその他の溝と係合する単純な突出セグメントとすることができ、すなわち、セグメントの断面は三角形とすることができる。本発明のさらに別の例示的実施形態では、容器部品の拡張ラッチまたはロッキング機能部は、例示的な1本の支柱による(single post)係合機能部、2本の支柱による係合機能部または、パッド形式の係合機能部とすることができ、これは、いったん固定されたコネクタアセンブリが外れるのを抑止し、それぞれ、少なくとも螺合式連結によって提供される程度まで容器の外れを防止し、係合させ、または取り外すために捻る動作が不要となる。
【0040】
図2と図3および図5と図6は、本発明の一実施形態による、ラインセットを、一体の疎水性膜を有するカスタムルアとともに図1の輸液ポンプに連結するための、容器と直線的押し込み式コネクタのアセンブリの第一の例示的実施形態100の図である。以下に詳細に示すように、本発明のこの例示的実施形態は、アダプタまたは拡張スリーブに疎水性膜を設けることによって、標準ルアコネクタと使用するように構成できる。本発明のこの例示的実施形態はまた、疎水性膜を有するカスタムルアコネクタとともに使用するように構成し、たとえばコネクタを標準ルアコネクタが使用できないような寸法にすることによって、標準ルアコネクタと使用されるのを防止することができる。第一の例示的実施形態は、疎水性膜を有するカスタムルアコネクタと使用するように構成され、たとえばコネクタを標準ルアコネクタが使用できないような寸法にすることによって、標準ルアコネクタと使用されるのが防止される。
【0041】
第一の例示的実施形態において、容器104は、スライド可能に容器収容開口部14の中に挿入され、容器104のプランジャ106が輸液ポンプ10の動作を通じて駆動されるように構成される。このような動作は当業者の間でよく知られており、容器104の内容物を排出させるためのプランジャ106の駆動についての説明は、明瞭を期し、割愛する。容器104の戻り止め124と126は、輸液ポンプの容器収容開口部の中のスロットまたはくぼみ16と18と係合し、これを固定し、回転運動を抑止するように提供される。
【0042】
容器104が容器収容開口部14の中の所定の位置に設置されると、拡張スリーブ102は、容器104のアクセス可能な端部にある開口部の中に挿入でき、または事前に容器104のその端部に組み付けて、後に詳細に説明するように単純に嵌合させることができ、それにより、単純な直線的押し込み動作で、容器104と拡張スリーブ102を輸液ポンプ10の容器収容開口部14の中に固定できる。拡張スリーブ102は、容器104の開口部の中で、2つの位置の間でスライド可能である。第一の、不完全嵌合位置では、容器104の1つまたはそれ以上の拡張ラッチまたはロッキング機能部130と132は拡張しておらず、容器104を容易に挿入し、また取り外すことができ、第二の、完全嵌合位置では、容器104の拡張ラッチまたはロッキング機能部130と132が拡張スリーブ102の運動によって押されて外側に拡張し、輸液ポンプの容器収容開口部14の中のねじ山または同様の機能部と係合し、これを固定し、直線方向に外れたり、移動したりするのを抑止する。
【0043】
この時点で、使用に備えて、チューブセット110のカスタムルアコネクタ108を容器104に取り付けることができる。本発明のまた別の例示的実施形態では、使用に備えて、アダプタとチューブセットの標準ルアコネクタを容器104に取り付けることができる。
【0044】
図3にさらに詳細に示される本発明の第一の例示的実施形態において、容器104は、第一の端にプランジャ106を、第二の端にカスタムルア108を受けるための連結手段を有し、カスタムルア108の周辺で拡張スリーブ102をスライド可能に受ける。具体的には、容器104の第二の端は、当業者の間で周知の雄ルアロック112を有する。雄ルアロック112は、内側突起116を取り囲む、内側にねじ山を有する外周114と、雌ルア継手を受け、これを固定するのに十分な大きさの中間空間118を有する。ねじ山120は、外周114の内面に設けられ、ルア継手を固定する。本発明のさらに別の実施形態において、ねじ山120および/または外周114はなくてもよい。
【0045】
容器は外側リング122をさらに備え、外側リング122とルアロック112の外周114の間に設けられた空間の中に拡張スリーブ102がスライド可能に受けられる。外側リング122は、好ましくは、容器104の一部として、同じ材料で形成され、それによって製造が単純化され、構成部品数が減る。
【0046】
外側リング122の端に、1つまたはそれ以上の戻り止め124および126を設けることができ、これらは外側リング122から若干の距離だけ延びて、図1に示される開口部16および18のような、容器収容開口部14にこれらと同様の形状に設けられた1つまたはそれ以上の開口部と係合する役割を果たす。その際、戻り止め124および126と開口部との係合によって、いったん所定の位置に設置された容器104が、回転して外れたり、移動したりするのが抑止される。
【0047】
外側リング122は小径部128をさらに有し、それによって、それぞれ撓み性アーム134と136の外面に設置される、容器の1つまたはそれ以上の拡張ラッチまたはロッキング機能部130と132のための空間ができる。その際、機能部130と132は、弛緩し、撓んでいない状態にあるとき、容器104の残りの部分と略同じ直径である。これによって、容器104はポンプの容器収容開口部の中に容易に設置することができる。しかしながら、機能部130と132は、詳しくは以下に詳細に述べるように、拡張スリーブ102によって外側に撓むと、容器収容開口部14の中のいずれかの接触面、たとえばねじ山付表面によって提供される接触面と係合し、撓みが解除されるまで、機能部130と132および撓み性アーム134と136を介して容器104を固定する。以下により詳しく述べるように、このような撓みは、容器104の外側リング122の中に拡張スリーブ102をスライド可能に嵌合させることによって提供される。
【0048】
具体的には、機能部130と132は撓み性アーム134と136の上に配置され、アーム134と136は容器104の外側リング122から延びて、機能部130と132の反対側に1つまたはそれ以上の傾斜面138と140をさらに有する。傾斜面138と140は、拡張スリーブ102のスライド可能な挿入部と係合するように構成され、それによって、嵌合させる際に拡張スリーブ102がスライド可能に動かされることを利用して、外側リング122の撓み性アーム134と136が外側に撓み、これによって機能部130と132は外側に押されて、輸液ポンプ10の開口部14の中のいずれかの接触面、たとえば雄ねじ表面または雌ねじ表面によって提供される面等と係合して、容器104を輸液ポンプ10の開口部14の接触面に固定し、容器がいったん所定の位置に設置されると、撓みが解除されるまで、容器104が直線方向に外れたり、移動したりすることが抑止される。
【0049】
図3に示される例示的実施形態において、機能部130と132は、撓み性アーム134と136の上に設置され、容器の開口部14の中の、たとえばねじ山等の表面と係合して、これを固定する単純なセグメントからなる。本発明のさらに別の例示的実施形態において、1本の支柱または2本の支柱による係合機能部、またはパッドまたは三角形の機能部を、撓み性アーム134と136の上に、またさらには撓み性アームの代わりに設置して、容器の開口部の、たとえばねじ山等の表面と係合し、これと結合するようにすることができる。図4Aは、別の容器105のこのような2本の支柱による係合機能部の例131と133を示し、図4Bは、別の容器107の三角形の係合機構の例135を示し、図4Cは、別の撓み性アーム139のパッド型係合機構の例137を示しており、その他の機能部は前述の容器104に関して説明したとおりで、容器の外れを抑止する。
【0050】
本発明のまた別の例示的実施形態において、1本の支柱による係合機能部を使用することができ、または、嵌り合う雄ねじまたは雌ねじと係合し、これを固定する接触面を1つだけ有するセグメントを設けることができる。本発明のさらに別の例示的実施形態において、係合機能部は、雄ねじまたは雌ねじの両端と係合し/それを束縛する、複数の捕捉型(すなわち、U字形、V字形またはこれらと同様の形状の)係合機能部として設けることができる。その際、複数の拡張ラッチを設けることができる。本発明のさらにまた別の例示的実施形態において、係合機能部は、ポンプの容器収容部の、いずれかの雄ねじまたは雌ねじに隣接する、またはそのようなねじ山のない平坦な側壁を把握するように構成された弾性パッドとして設けることができる。さらに、以下により詳しく説明するように、係合機能部137は、容器と輸液ポンプの開口部の間で捕捉されるが、拡張スリーブによって係合可能で、略前述の方法で機能する「アームレス」部品139として設けることができる。
【0051】
1つまたはそれ以上の弾性パッドを使用する場合、そのような弾性パッドを既存のねじ山があるかもしれない箇所と同じ場所またはその付近に設置し、それによってパッドのエラストマが雄ねじまたは雌ねじの中に広がるようにすることによって、より大きな係合/外れ力を得ることができる。エラストマは、雄ねじまたは雌ねじと重複する四角、丸またはその他の形状のパッドとすることができ、パッドの一部が雄ねじまたは雌ねじと係合する。
【0052】
図3を参照すると、戻り止め124と126は、図1に示される開口部16と18等、容器収容開口部14の中の1つまたはそれ以上の同様の形状の開口部と係合するように機能し、その際、戻り止め124と126と開口部との係合によって、容器104が回転して外れたり、または移動したりすることが抑止される。いったんこのように固定されると、容器を回転させるためには、要素124と126を破壊または切断する必要があるであろう。実際、要素124と126は回転に関して容器を束縛する。拡張ラッチまたはロッキング機能部130と132は、容器をz軸上に束縛し、すなわち、容器はポンプの収容部から引き出すことができず、または外れることがありえない。回転に関する束縛とz軸での束縛の両方の組み合わせによって、容器は輸液ポンプの容器収容部に設置され、そこにロックされる。
【0053】
嵌合させるときの、拡張スリーブ102のスライド可能な移動によって、拡張スリーブ102の突出リング148が傾斜面138と140に押し付けられて接触し、外側リング122の撓み性アーム134と136が外側に撓み、それによって機能部130と132は外側に押されて、輸液ポンプ10の開口部14の中の雄ねじまたは雌ねじ面等の、いずれかの接触面と係合し、容器104を固定する。撓ませるために、拡張スリーブ102には、使用者が把握するように構成された第一の外周142が設けられる。第一の外周142は、直径が一定の略円形であり、第一の外周142の外面は、平滑でも、または使用者が把握しやすいようにざらつきがあってもよい。変更された拡張スリーブが描かれた図11に示されている本発明のまた別の例示的実施形態において、使用者が把持できる拡張スリーブ150の外周は、扁平で一定の直径であり、ざらついた表面を有して、使用者にとって把握しやすい。図12から図15に示される本発明のさらに別の実施形態において、第一の外周はさらに使用者にとって把持しやすいように、代替手段として、へこんだ形状であってもよい。さらに、図11に示される例示的実施形態は、拡張スリーブ150の把持部の直径の上に疎水性膜を配置する例を示す。この場合、疎水性膜により覆われた開口部151によって、圧力平衡化のために空気の侵入と排出を可能にする通路が提供される。このような例示的機能部は成形が容易であり、疎水性膜は紫外線硬化型接着剤/エポキシを用いた熱かしめまたは熱接着によって取り付けることができる。例示的な疎水性膜は、PTFEまたはePTFE材料からなるが、これらに限定されない。
【0054】
図3を参照すると、拡張スリーブ102には第二の外周セグメント144も設けられ、これは、容器104の外側リング122の中にスライド可能に進入し、戻り止め124と126が容器収容開口部14の中の1つまたはそれ以上の、これらと同様の形状の開口部16と18を係合状態でしっかりと保持し、いったん所定の位置に設置された容器104が回転して外れたり、または移動したりするのを抑止するように構成される。拡張スリーブ102にはまたさらに、第三の外周セグメント146が設けられ、その端部に、容器104の外側リング122の中にスライド可能に進入し、傾斜面138と140と接触するように構成された、傾斜した突出リング148があり、それによって外側リング122の撓み性アーム134と136が外側に撓み、その結果、拡張ラッチまたはロッキング機能部130と132が外側に押されて、いずれかの接触面、たとえば容器収容開口部14の中のねじ表面等と係合し、容器104を輸液ポンプの中の接触面と結合し、いったん所定の位置に設置された容器104は、撓みが解除されるまで、直線方向に外れたり、または移動したりすることが抑止される。
【0055】
傾斜する突出リング148と傾斜面138と140の接触面には、十分な角度でテーパを付けて、挿入と撓みが容易となり、拡張スリーブ102が容器104の外側リング122から完全に外れるのが防止されるようにすることができる。以下により詳しく説明するように、容器104には、拡張スリーブ102と係合し、これを保持する内部リップまたはリング状機能部を設けることができる。
【0056】
本発明の例示的実施形態の少なくとも1つにおいて、最高3つの密閉部品を設置して、ポンプの容器収容部の中に汚染物質が侵入しないように密閉状態とすることができる。第一の密閉部品は、ポンプの容器収容部または開口部のOリングとして提供でき、これは、容器の外径(OD)に対して圧縮するように構成され、第二の密閉部品は、拡張スリーブのODと容器の上側部分の内径(ID)の間に設置することができ、第三の密閉部品は、拡張スリーブのIDとカスタムルアコネクタのフランジ機能部のODの間に設置することができる。そのために、本発明の例示的実施形態の少なくとも1つは、第一の密閉部品のためにポンプの中に設置されたOリング、たとえば、図5に示されるOリング162、第二の密閉部品のために拡張スリーブのIDの中に設置されたOリング、たとえば図5に示されるOリング168、および第三の密閉部品のために拡張スリーブの開口部に設置されたOリング、たとえば図5に示されるOリング164を含む。
【0057】
例示的拡張スリーブ102にはまた、表面上のエラストマと嵌め込み成形して、第一、第二および第三の密閉部品を提供することができる。本発明の少なくとも1つの別の例示的実施形態には標準ルアコネクタが組み込まれ、このルアコネクタの中には、拡張スリーブの上の嵌め込み形成された内側密閉部品が設置されて、容器の上のルア連結部の外壁に対する密閉手段となる。
【0058】
図5に示されるように、チューブセット110のカスタムルアコネクタ108は、使用に備えて、拡張スリーブ102の開放した内径を通って、容器104のルアロックを使って取り付けることができ、疎水性膜160と密閉フランジ154を有する。カスタムルアコネクタ108の標準的なテーパ付機能部は、容器140を密閉し、これとロッキング係合し、疎水性膜160は、後述のように、フランジ154の中に位置付けることができる。この場合、カスタムルアコネクタ108は、第一の端152、第二の端156および、そこから延びて拡張スリーブ102の開口部を密閉するフランジ154を有する。
【0059】
しかしながら、当業者の間で周知のように。輸液ポンプの容器収容部の内部の圧力と周囲圧力を平衡化するために、空気の進入と排出が必要である。本発明の例示的実施形態において、疎水性膜160が拡張スリーブ102、カスタムルアコネクタ108、または次の実施形態にも示されるように、アダプタのうちの1つまたはそれ以上に組み込まれる。たとえば、疎水性膜は、拡張スリーブ102の側壁またはフランジ、カスタムルアコネクタ108のフランジ、または標準ルアコネクタを使用できるようにするアダプタのフランジに組み込むことができる。疎水性膜は、第一の例示的実施形態の場合、カスタムルアコネクタ、すなわちラインセットコネクタに組み込むことができ、以下に説明する第二の例示的実施形態の場合、アダプタまたは拡張スリーブに組み込むことができる。
【0060】
図5と図6に示される第一の例示的実施形態において、疎水性膜160は、拡張スリーブ102またはカスタムルアコネクタ108に設けられる。たとえば、疎水性膜160は、拡張スリーブ102の側壁またはフランジ(すなわち、円周方向の側壁に隣接する平坦な表面)のいずれかに位置付けることができる。疎水性膜はまた、カスタムルアコネクタ108のフランジ(すなわち、平坦な表面)154に位置付けることもできる。例示的な疎水性膜は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)または延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)の材料からなるが、これらに限定されない。1つまたはそれ以上の開口部が設けられ、疎水性膜によって覆われることによって空気の侵入と排出を可能にして、輸液ポンプの容器収容部の内部の圧力と周辺圧力を平衡化し、その一方で、汚染物、流体およびその他の好ましくない物質がシステムに入り込むのを防止する。
【0061】
さらに、カスタムルアコネクタ108のフランジ154の直径は、所定の位置に設置された拡張スリーブ102の開口部を略密閉するように構成される。これには、図5に示されるように、拡張スリーブ102の開口部の内径に、嵌め込み形成によって密閉部品、すなわちOリング164を設けることが役立つ。
【0062】
カスタムルアコネクタ108の第二の端156は、容器104のルア連結部112のねじ山120と係合する係合タブ158を有する。疎水性膜160はカスタムルアコネクタ108の中に配置され、空気の侵入と排出を可能にして、輸液ポンプの容器収容部の内部の圧力と周辺圧力を平衡化し、その一方で、汚染物、流体またはその他の望ましくない材料がシステムに入り込むのを防止する。さらに、カスタムルアコネクタ108のフランジ154は、拡張スリーブ102のIDとカスタムルアコネクタ108のフランジ154のODの間の密閉表面となる。さらに、本発明の例示的実施形態において、拡張スリーブ102の長さ、幅、高さ、直径またはその他の寸法は、一定の高さを有する標準ルアコネクタの使用を防止して、カスタムルアコネクタ108しか使用できないように構成することができる。
【0063】
上記の第一の例示的実施形態と異なり、第二の例示的実施形態は、アダプタまたは拡張スリーブ内に疎水性膜を提供することによって、標準ルアコネクタとともに使用するように構成される。その際、第二の例示的実施形態は、標準ルア継手の使用を可能にするアダプタ306を備える。しかしながら、疎水性膜をアダプタ306または拡張スリーブ302等、他の場所に設置しなければならず、これは、標準ルア継手308にそのような疎水性膜がないからである。前述のように、輸液ポンプの容器収容部の内部の圧力と周辺圧力を平衡化するために、空気を侵入させ、排出することが必要である。
【0064】
図7から図10は、本発明の一実施形態による、ラインセットを標準ルアコネクタとともに、ただし一体の疎水性膜を有するアダプタと拡張スリーブを使用して、図1の輸液ポンプに連結するための、容器と直線的押し込み式コネクタのアセンブリの第二の例示的実施形態300を示す。図の第二の例示的実施形態において、容器304は容器収容開口部14の中にスライド可能に挿入され、容器304のプランジャが輸液ポンプ10の動作を通じて駆動されることができるように構成される。容器304の戻り止め324と326は、容器収容開口部の溝と係合するように設けられ、アーム334と336は、外側に変位可能で、容器収容開口部14の内壁と係合する。
【0065】
所定の位置にあると、拡張スリーブ302は容器304のアクセス可能な端の開口部の中に挿入することができるか、あるいは容器304の端に事前に組み付けて、前述のように単純に嵌合させることができ、それによって、容器304は単純な直線的押し込み動作で輸液ポンプ10の容器収容開口部14の中に固定される。例示的な第二の実施形態の機能と特徴は、第一の例示的実施形態に関して前述したものと略同じであり、それに拡張スリーブ302の中の疎水性膜と、第一の実施形態のカスタムルア継手の代わりに標準ルア継手308の使用を可能にするアダプタ306が追加されている。具体的には、アダプタ306が容器304に取り付けられ、使用に備えては、チューブセット310の標準ルアコネクタ308をアダプタ306に取り付けることができる。
【0066】
図10に示されるように、アダプタ306は、標準ルアコネクタ308を受ける第一の端342を備える。アダプタ306の残りの要素には、内側バレル344と外側ねじ山付バレル346および、そこから延びて、拡張スリーブ302のアセンブリ開口部を密閉するフランジ348が含まれる。第二の端は、バレル350と、容器304のルア連結部のねじ山と係合する係合タブ352を有する。アダプタ306のねじ山とルアコネクタ308は、同じ固定方向に構成されており、それによって、係合がまず最も緩い連結部を固定するが、各係合は、1回の回転動作で固定されるようになっている。さらに、本発明の例示的実施形態において、拡張スリーブ302の長さ、幅、高さ、直径またはその他の寸法は、決まった高さの標準ルアコネクタを容器304と直接は使用できず、アダプタ306の使用が必要となるように構成することができる。
【0067】
第二の例示的実施形態において、疎水性膜をアダプタ306または拡張スリーブ302の中に設置することができる。図7から図10に示される例示的実施形態は、疎水性膜をアダプタ306または拡張スリーブ302の把握部の直径の上に疎水性膜を配置する例を示している。この場合、疎水性膜により覆われた開口部356は、圧力平衡化のための空気の侵入と排出の経路となる。平坦な表面を拡張スリーブ302の把握部の直径の内面の開口部356の周囲に設置することができ、その上に、疎水性膜が取り付けられる。前述のように、このような例示的機能部は成形が容易であり、疎水性膜は、紫外線硬化型接着剤/エポキシを用いた熱かしめまたは熱接着によって取り付けることができる。例示的疎水性膜は、PTFEまたはePTFE材料で構成されるが、これらに限定されない。疎水性膜は、輸液ポンプの容器収容部の内部の圧力と周辺圧力を平衡化するために空気の侵入と排出を可能にし、その一方で汚染物、流体またはその他の好ましくない物質がシステム内に入り込むのを防止するために設けられる。
【0068】
さらに、アダプタ306は、拡張スリーブ302の上の嵌め込み成形による内側密閉部品、すなわちOリング358がアダプタ306のフランジ348の外壁に対して密着するように構成される。アダプタ306のフランジの直径は、所定の位置に設置されると、拡張スリーブ302の開口部を略密閉するように構成される。これを助けるために、図10に示されるように、拡張スリーブ302の開口部のIDに、嵌め込み成形による密閉部品材またはOリング358を設置することができる。さらにまた、以下により詳しく説明するように、警告または異常表示リング360が拡張スリーブ302のODの上に示される。
【0069】
容器と直線的押し込み式コネクタのアセンブリの上記の第一の例示的実施形態では、一体の疎水性膜を有するカスタムルアコネクタを使用する。容器と直線的押し込み式コネクタのアセンブリの第二の例示的実施形態では、アダプタと、一体の疎水性膜を有する拡張スリーブおよび、標準ルアコネクタが使用される。さらに、第一と第二の例示的実施形態において、容器は、撓み性のアームとセグメントを有し、拡張スリーブが嵌合されると、容器収容開口部の中の表面、たとえばねじ山と係合し、これを固定する。本発明のまた別の例示的実施形態において、撓み性アームは、容器の「アームレス」の実施形態に置き換えることができる。
【0070】
図11から図15は、ラインセットを図1の輸液ポンプに連結するための、容器と直線的押し込み式コネクタのアセンブリの第三の例示的実施形態の図である。図11に示される例示的実施形態は、上述の例示的実施形態と略同じであるが、設置されている拡張スリーブ150が、使用者にとって把握しやすいように、ざらついた表面の外周を有するように描かれている。図12に示される例示的実施形態は、上述の例示的実施形態と略同じであるが、設置されている拡張スリーブ402が、使用者にとって把握しやすいように、へこんだ形状に形成された第一の外周404を有するように描かれている。図13から図15に示される例示的実施形態もまた、上述の例示的実施形態と略同じであるが、設置されている拡張スリーブ403は、同じく使用者にとって把握しやすいように、ラッパ形に構成された第一の外周を有するように描かれている。
【0071】
さらに、第三の実施形態は、いずれの例示的実施形態にも利用できる異常表示リング指示手段406の例を示しており、これは、通常は容器収容開口部の中に係合される、拡張スリーブの一部の周囲に露出した状態のままとなっている。その際、異常表示リング指示手段406は、拡張スリーブが完全に嵌合していない、すなわち、容器が固定されていないときに、これを示すように設置することができる。拡張スリーブが完全に嵌合すると、異常表示リング指示手段406は容器用開口部の中に隠れる。本発明の例示的実施形態において、異常表示リング指示手段は、帯、マークまたはOリングで、赤または橙色等の明るい色とすることができるが、これらに限定されない。
【0072】
図13から図15は第三の実施形態のその他の図面であって、異常表示リング支持手段またはマークが、容器がまずポンプの容器収容部の中に設置され、拡張スリーブ402が前進されていない時の位置にある嵌合していない拡張スリープ403と、拡張スリーブ402が奥まで前進され/嵌合しているときの位置、および拡張スリーブ402が、たとえば嵌合が不完全であるか、または部分的に外れたときなど、部分的に嵌合しているときの位置を示している図である。例示的な、目に見える異常検出機能部は、拡張スリーブが動き、容器とポンプの容器収容部の間の係合が緩んでしまう場合等の異常な状態を示すために設置される。目に見える、目立つ(すなわち、明るい赤、蛍光または対照的な)リング406またはマークは、拡張スリーブの中に組み込み、拡張スリーブの、拡張スリーブの進み方が不完全であると異常検出リング406が露出されるような位置に設置することができる。以下により詳しく説明するような一体のガイドまたはその他の小片が本発明の例示的実施形態に設置される場合、ガイドは、透明または不透明な材料またはプラスチックで成形することができ、または、その中に窓またはスペースを設けて、使用者から拡張スリーブの上に異常検出リングまたはマークが見えるようにすることができる。本発明のまたは別の例示的実施形態において、一体のガイドは、その上に、ポンプの容器収容部周辺の上側外面に対応する線またはマークであってもよい。したがって、完全に係合したこと、または完全な係合状態のままであることを確認するために、使用者は単に、一体のガイドを見て、線またはマークと上面が一致しているか否かを確かめればよい。
【0073】
本発明の上記またはその他の例示的実施形態において、一体のガイドは、容器と直線的押し込み式コネクタのアセンブリがポンプの容器収容部に係合したときに、アセンブリの所望の位置合わせを目的として設計し、設置することができる。図16は、本発明の一実施形態による、ラインセットを図1の輸液ポンプ1に連結するための、このような位置合わせ用ガイドと容器と直線的押し込み式コネクタのアセンブリの第四の例示的実施形態の分解図であり、図17と図18は、図1の輸液ポンプに挿入された第四の実施形態の図である。
【0074】
この例示的実施形態において、拡張スリーブ480は、容器を挿入するための一体のガイドを提供するようにさらに構成される。拡張スリーブは、好ましくは容器によって保持されるため、第四の実施形態の一体のガイド480は、容器の挿入中、輸液ポンプ10の上面と側面に関して、容器の方位を決定するように構成される。そのために、一体のガイド480は、平坦な上面482と、輸液ポンプ10の側面に沿ってスライドする側壁部484を有する。一体のガイド480にはタブ486が設けられ、輸液ポンプ10の側面の戻り止め用開口部488を釈放可能に捕捉し、これによって、一体のガイド480は輸液ポンプ10に固定される。さらに、図17により詳しく示されているように、ガイド480は、輸液ポンプ10の反対の側面に沿ってスライドする第二の側壁部材494を有していてもよく、また、開口部14と係合し、ガイド480が完全に嵌合したときに、下側の輪郭を提供するリリーフ496と498を備えていてもよい。拡張スリーブの残りの要素と機能は、略上述のとおりである。
【0075】
図19と図20は、本発明の一実施形態による、ラインセットを図1の輸液ポンプに連結するための、「アームレス」の容器と直線的押し込み式コネクタのアセンブリの第五の例示的実施形態600の分解図である。図の例示的実施形態において、容器602には、戻り止め616と618を有する開放端604と拡張スリーブ606が、上述の例示的実施形態と同様の方法で提供される。
【0076】
しかしながら、この場合、容器収容開口部14の内面と係合するための機能部は、容器の柔軟アームの上に配置されず、小片608と610として提供され、これらは、容器602と拡張スリーブ606の間に捕捉されうる。小片608と610は、拡張スリーブ606の表面に配置され、小片を前進させる「トラック」と、容器602の上の、小片を引き戻すための「トラック」の間に捕捉されるように構成される。このような位置に捕捉されると、拡張スリーブ606が嵌合し、それによって小片608と610は容器内の開口部612と614を介して外側に変位し、小片608と610は容器収容開口部の内側形状に対して固定され、それによって容器602が輸液ポンプの収容部に固定される。
【0077】
図21により詳しく示されているように、小片608と610の各々は、外面にそれぞれ部材622と624および、反対面に傾斜部626と628を有する。傾斜部の下部には平坦な面630と632があり、傾斜部の上部には肩部と、反対の傾斜部634と636がある。
【0078】
図22と図23は、組立後の状態の「アームレス」の容器と直線的押し込み式コネクタのアセンブリの第五の実施形態の図である。小片608と610は、容器602の開口部612と614の中に配置され、拡張スリーブ606を容器602の中に挿入することによって、開口部612と614から外側に押される。このように外側に押されると、小片608と610は、略実施形態1から5に関して先に説明したとおりに動作する。
【0079】
図19から図23に示される例示的実施形態は、疎水性膜を拡張スリーブ606の把握部の直径の上に位置付ける別の例を示している。この場合、疎水性部材で覆われた開口部620は、空気の侵入と排出のための通路となり、拡張スリーブ606の内面に平坦な表面が設置され、その上に疎水性膜が取り付けられる。前述のように、このような例示的機能部は成形が容易であり、疎水性膜は紫外線硬化型接着剤/エポキシを用いた熱かしめまたは熱接着によって取り付けることができる。例示的疎水性膜は、PTFEまたはePTFE材料からなるが、これらに限定されない。
【0080】
本発明のさらに別の例示的実施形態において、材料の1つまたはそれ以上を、所望の特性を持たせるように選択することができ、材料の組み合わせにより、所望の結果を得ることができる。たとえば、本発明のある例示的実施形態においては、2つの部分からなる容器を使用することができ、その場合、容器は環状オレフィン重合体(COP)、環状オレフィン共重合体(COC)材料またはCCP(Crystal Clear Polymer)と称する、Becton and Dickinson Co.により登録され、米国食品医薬品局にDMF第16368号として登録された材料からなっていてもよく、さらに、一体のCCP、COPまたはCOCルアコネクタに、柔軟なポリプロピレン製上側スリーブを組み合わせ、たとえば、上側スリーブの移動可能なラッチまたはアームが破断せずに撓むようにしたものを含んでいてもよい。このような結果を得るために、例示的実施形態は、ポリプロピレン(PP)製の上側スリーブとCCP、COPまたはCOC製のカートリッジまたは残りの部分との複合的な容器設計を有していてもよい。
【0081】
図24と図25は、本発明の一実施形態による、上部は第一の材料で作製され、残りまたはカートリッジの部分は第二の材料で作製される、ラインセットを図1の輸液ポンプに結合するための容器と直線的押し込み式コネクタのアセンブリの第六の例示的実施形態の分解図である。具体的には、2つの部分からなる容器700を使用でき、その中で、容器702はCCP、COPまたはCOC材料からなり、さらに、一体のCCP、COPまたはCOCのルアコネクタ704を有し、これに容器の上部にスナップ式に取り付けられ、またはその他の方法で設置された上側スリープ706が組み合わされており、スリーブは柔軟なポリプロピレンまたはその他の柔軟な重合体から作製されて、たとえば上側スリーブ706の上の移動可能なラッチまたはアーム708は破断せずに撓むことが可能となる。このような結果を得るために、例示的実施形態は、PP製の上側スリーブ706とCCP、COPまたはCOC製のカートリッジ702と704および/または拡張スリーブ710との複合的容器設計を有していてもよい。このような要素は、完全体としての容器と直線的押し込み式コネクタのアセンブリになるように組み立てられ、略上述のとおりに機能する。たとえば、図26は、組立後の状態の容器と直線的押し込み式コネクタのアセンブリの第六の実施形態の図である。
【0082】
図24から図26に示される例示的実施形態は、拡張スリーブ710の把握部直径の上に疎水性膜を位置づける、別の例を示している。この場合、疎水性膜によって覆われた開口部712は、空気の侵入と排出のための経路となり、拡張スリーブ710の内面に平坦な面が設けられ、その上に疎水性膜が取り付けられる。前述のように、このような例示的機能部は成形が容易であり、疎水性膜は、紫外線硬化型接着剤/エポキシを用いた熱かしめまたは熱接着によって取り付けることができる。例示的疎水性膜はPTFEまたはePTFE材料からなるが、これらに限定されない。
【0083】
本発明のさらにまた別の例示的実施形態において、容器とコネクタのアセンブリの中に隔壁アダプタを組み込み、使用者によるセットアップ中の容器からの漏出を防止することに役立てることができる。このような例示的実施形態において、標準的隔壁または切れ込み入り、伸縮可能またはその他の事前穿刺隔壁等の隔壁を使用することができる。切れ込み入り、伸縮可能またはその他の事前穿刺された隔壁によって、それと嵌り合う構成部品の中のカニューレで隔壁を穿刺する必要をなくすことができる。このような隔壁は、コネクタアセンブリを容器に取り付ける際に、引き延ばして開けることができる。しかしながら、希望に応じて、隔壁は、雄ルアまたは、ラインセットのルアコネクタまたはその他のラインセットの構成部品に連結された平滑末端(blunt)カニューレによって穿刺し、または開けることができる。
【0084】
たとえば、図27と図28は、本発明の一実施形態による、ラインセットを図1の輸液ポンプに連結するための、直線的押し込み式コネクタアセンブリの第七の実施形態の切れ込み入り隔壁の図である。第七の実施形態において、隔壁はアダプタに組み込むことができ、この場合、隔壁の開口部は、後に使用するために事前に作られ、容器の充填等、それ以前の作業中に作られ、または何らかの鋭利部を設けて穿刺されることによって、ラインセットへの流体経路としてもよい。
【0085】
図27と図28の切れ込み入りコネクタアダプタ800は、カスタムルアコネクタを受けるための第一の端802を有し、そこに疎水性膜が設けられ、切れ込み入り、開放型、またはその他事前穿刺された隔壁814が第一の端802に固定され、または成形されて、カスタムルアコネクタを受ける。たとえば、図28に示されるように、隔壁814は円筒形プラグであってもよく、その中で、隔壁814とこれに対応するコネクタアダプタ800の空洞の間で締まり嵌めによって保持される。コネクタアセンブリ800の残りの要素は、内側バレル804と外側ねじ山付バレル806および、そこから延び、拡張スリーブの開口部を密閉するフランジ808を含む。図27と図28に示される例示的実施形態に関して、疎水性膜は、この実施形態とともに使用される拡張スリーブの側壁、拡張スリーブのフランジまたは、アダプタ800のフランジ808に配置することができる。切れ込み入り隔壁コネクタアダプタ800の第二の端は、バレル810と、容器のルア連結部と係合するための係合タブ812を含む。
【0086】
標準的隔壁が使用され、穿刺が必要な場合、カスタムルア継手を使って隔壁を穿刺することができる。図29は、本発明の一実施形態による、ラインセットを図1の輸液ポンプに連結するための、標準的または従来の隔壁を有する、容器と直線的押し込み式コネクタのアセンブリの第八の実施形態の図である。輸液ポンプ10は、容器852、拡張スリーブ854、従来の隔壁コネクタアダプタ856、およびカスタムルア継手858を受けるように設けられている。この場合、従来の隔壁860は、組立中にカスタムルア継手858を受けるためのコネクタアダプタ856の中に設けられる。
【0087】
図29示されるように、隔壁860は、雄ルア継手または、ラインセットのルアコネクタまたは他のラインセットコンポーネントのいずれかに連結された平滑先端カニューレ862によって開けることができる。図29に示される例示的実施形態に関して、疎水性膜は、その実施形態とともに使用される拡張スリーブ854の側壁、拡張スリーブ854のフランジまたは、アダプタ856のフランジに設置することができる。アダプタ856は、拡張スリーブ854の内径で密閉部品868と接触するときに、拡張スリーブ854の開口部を閉じるのに十分な直径を有するフランジ866を有する。切れ込み入りコネクタアダプタ856の第二の端には、前述のように、バレルと、容器のルア連結部と係合する係合タブがある。
【0088】
この場合、疎水性膜は、拡張スリーブ854の把握部直径の上に設置することができる。疎水性膜で覆われた開口部は、外径から周辺溝(図示せず)に延びて、空気の侵入と排出のための経路を提供するように設けることができ、拡張スリーブ854の内面には平坦な表面を設置することができ、その上に疎水性膜が取り付けられる。このような例示的機能部は成形が容易であり、疎水性膜は、紫外線硬化型接着剤/エポキシを用いた熱かしめまたは熱接着によって取り付けることができる。例示的疎水性膜は、PTFEまたはePTFE材料からなるが、これらに限定されない。
【0089】
図30から図32は、本発明の一実施形態による、ラインセットを図1の輸液ポンプを連結するための、延ばし開かれるタイプの(stretch-open)隔壁を有する、直線的押し込み式コネクタアダプタの第九の例示的実施形態870の図である。伸ばし開かれるタイプの隔壁を有するコネクタアダプタ870は、ルアコネクタを受けるための第一の端872を有する。具体的には、事前穿刺された伸縮可能な隔壁884は、ルアコネクタを受ける第一の端872に固定され、またはその上に成形される。隔壁884は、少なくとも柔軟な戻り止め888と固定用戻り止め890をさらに有する。以下により詳しく述べるように、固定用戻り止め890を使って、隔壁884をアダプタ870の端に固定することができ、柔軟な戻り止め888を使って、ルアコネクタと接触させ、開口部を密閉し、この接触を通じて、隔壁884の開口部を延ばし開く。コネクタアダプタ870の残りの要素は、内側バレル874と外側ねじ山付バレル876および、そこから延びて、コネクタアセンブリの開口部を密閉するフランジ878を含む。図30から図32に示される例示的実施形態に関して、疎水性膜は、その実施形態とともに使用される拡張スリーブの側壁、隔壁スリーブのフランジまたは、アダプタ870のフランジ878に配置することができる。アダプタ870の第二の端には、バレル880と、容器のルア連結部と係合する係合タブ882がある。
【0090】
図32は、ルア継手と組み立てられた、延ばし開かれるタイプの隔壁を有する直線的押し込み式コネクタアセンブリの第九の実施形態の断面図である。図32に示されるように、ルア継手886との係合によって、隔壁884が引っ張られると、それによって隔壁884の中央に開口部892ができ、これは、それ以外の時には閉じたままである。隔壁884の柔軟な戻り止め888は、使用中、ルアコネクタ886と接触し、アダプタ870とルアコネクタの間のすべての開口部を密閉し、この接触によって隔壁884の開口部892が延ばし開かれるため、ルアコネクタにカニューレが不要となる。
【0091】
図33は、本発明の一実施形態による、ラインセットを他の輸液ポンプに連結するための、容器と直線的押し込み式コネクタのアセンブリの第十の例示的実施形態の分解図である。図34は分解断面図であり、図35と図36は、組立後の状態で、輸液ポンプの中で完全に嵌合していない容器と直線的押し込み式コネクタのアセンブリの断面図である。輸液ポンプには、取り外し可能なOリングを設けても、または単に、例示的な容器とコネクタのアセンブリを固定できる、容器収容開口部の中のOリング用空間を設けてもよい。Oリングの密閉部品またはその機能は、拡張スリーブのフランジの外面に位置付けられた密閉部品に置き換えることができる。
【0092】
図33に示されるように、容器と直線的押し込み式コネクタのアセンブリ900は、輸液ポンプ902とともに使用するための拡張スリーブ906と容器908および、その中の少なくとも1つの容器収容開口部904を有する。図37により詳しく示されているように、輸液ポンプ902の容器収容開口部904は、Oリング接触面910と環状溝912を有する。例示的Oリング接触面910は、容器の内側領域と同じ直径である。しかしながら、この例示的実施形態において、容器の拡張ラッチまたはロッキング機能部922と924は、拡張スリーブ906によって輸液ポンプ902の開口部904の環状溝912の中に押し込まれ、前述のように、輸液ポンプ902の開口部904の側壁またはねじ山に単純に当たるだけではない。残りの点に関しては、前述と同様の方法で、容器908を開口部904の中に挿入することができ、その後、拡張スリーブ906が進められ、拡張スリーブ906が容器908の中で嵌合すると、アーム914と916は拡張スリーブ906の部材918と920と接触し、それによってアーム914と916は外側に撓み、その結果、機能部922と924は、輸液ポンプ902の開口部904の環状溝912の中に押し込まれる。
【0093】
異常指示手段926を拡張スリーブ906に設置することができ、これは略前述の通りに機能し、密閉部品928と930は、容器ODの上と拡張スリーブのIDにそれぞれ設置することができる。本発明のまた別の例示的実施形態において、追加の密閉部品(図示せず)を拡張スリーブと容器の間に設置することができる(たとえば、図41の実施形態の密閉部品1042参照)。このような追加の密閉部品は、密閉部品928と同様に嵌め込み成形することができる。
【0094】
図36は、組立後の状態で、輸液ポンプの中に嵌合した容器と直線的押し込み式コネクタのアセンブリの第十の実施形態の断面図である。図36に示されるように、嵌合した拡張スリーブ906は、容器の拡張ラッチまたはロッキング機能部922と924を輸液ポンプ902の開口部904の環状溝912のなかに変位させ、そこに容器を固定する。疎水性膜932を拡張スリーブ906の把握部直径の上に設置して、標準ルア継手を使用できるようにすることができる。疎水性膜によって覆われた開口部は、圧力平衡化のための空気の侵入と排出を可能にするために設けることができ、疎水性膜は、紫外線硬化型接着剤/エポキシを用いた熱かしめまたは熱接着によって取り付けることができる。例示的疎水性膜932は、PTFEまたはePTFE材料からなるが、これらに限定されない。
【0095】
第十の実施形態において、容器908のOリング、すなわち密閉部品928は、好ましくは、ポンプの容器収容部の最も高い地点に配置され、インシュリンの漏出または微粒子の侵入による汚染を最小限にする。さらに、Oリング、すなわち密閉部品928は容器908の上に位置付けられるため、使用するたびに容易に交換することができる。さらに、前述のように、好ましくは拡張スリーブを把握することによって行われる1回の直線的な押し込み動作で、容器をポンプの容器収容部の中に設置し、(すなわち、容器をx,yおよびz軸の上に位置付け)、1回の単純な直線的な引張動作によって、容器をポンプの容器収容部から釈放し、取り外す。適正な連結、ポンプの係合またはポンプの機能のために回転による方位決めは必要なく、チューブセットを引っ張っても、チューブセットが通る拡張スリーブがチューブセットまたはルア継手の張力によって固定位置から動かないため、容器は釈放されない。
【0096】
またさらに、アセンブリが適正にポンプに連結されると、耳で聞こえる「カチッ」という音および/または触覚的に認識可能な「パチン」という感覚が発生し、また、上記の警告リングまたは機能部の1つまたはそれ以上は、アセンブリが正しくポンプに連結されていないと、拡張スリーブの基底部周辺で見える状態となる。
【0097】
またさらに、前述のように、環状溝912が輸液ポンプの容器収容部の中に設けられ、ポンプの容器収容部の直径周囲全体(すなわち、360度)にわたる場合、環状溝を、本発明の例示的実施形態のための係合機能部とすることができる。その際、一体のガイドは必要ないかもしれず、それは、容器の、2つの嵌り合う拡張ラッチまたはロッキング機能部が拡張してポンプの容器収容部の環状溝の中に入ると、コネクタはx,yおよびz軸上に配置され、そこロックされるからである。したがって、本願で説明するコネクタの基本的な特徴は、一体の上側スリーブと移動可能な係合機能部(すなわち、ラッチ、アーム、ウィング、要素等)を有する要素と、拡張スリーブと、拡張スリーブの上に嵌め込み成形された密閉部品とを含んでいてもよい。連結の代替手段における基本的な機能部は、アダプタと標準ルアコネクタとのラインセット連結部と、カスタムルアコネクタとのラインセット連結部を含んでいてもよい。
【0098】
図38から図41は、本発明の一実施形態による、ラインセットを、Oリングのない別の輸液ポンプに連結するための、容器と直線的押し込み式コネクタのアセンブリの第十一の例示的実施形態の図である。第十一の例示的実施形態は、本発明の一実施形態による、カスタムルアコネクタ1010を有するラインセットを、Oリングはないが、おそらくはOリングのためのスペースを有する輸液ポンプに連結するための、容器と直線的押し込み式コネクタのアセンブリ1000を含む。図の第十一の例示的実施形態において、容器1006は、容器収容開口部1004の中にスライド可能に挿入されるように構成され、これによって、容器のプランジャは、輸液ポンプ1002の動作を通じて駆動されることが可能である。所定の位置において、拡張スリーブ1008は、容器1006のアクセス可能な端の開口部の中に挿入しても、容器1006の端に事前に組み付けて、前述のように単純に嵌合させてもよく、それによって、単純な直線的押し込み動作で容器1006を輸液ポンプ1002の容器収容開口部1004に固定できる。
【0099】
容器1006の戻り止め1012と1014は、容器収容開口部1004の溝または開口部が設けられていればそれらと係合し、回転運動を抑止するために設けられていてもよく、アーム1016と1018は外側に変位して、容器収容開口部1004の少なくともOリング溝1020と係合するように構成される。例示的な第十一の実施形態の機能と機能部は、略第一の例示的実施形態に関して説明したとおりであるが、アーム1016と1018が異なる方法で設置される。図40と図41に示されるように、アーム1016と1018は、前述の実施形態とは逆方向に、開口部1004に向かって戻るように延び、U字形開口部を作り、その中に拡張スリーブ1008が入る。具体的には、拡張スリーブ1008のテーパ付リング1022が設けられて、このU字形開口部の中に向けられ、それによって、アーム1016と1018を外側に変位させる。その際、アーム1016と1018の拡張ラッチまたはロッキング機能部1024と1026は、少なくとも空のOリング用溝1020の中に押し込まれる。
【0100】
さらに、拡張スリーブ1008は、容器1006によって、各構成部品の係合端の、嵌り合う環状リングによって保持される。たとえば、図40に示されるように、拡張スリーブ1008は環状リング1022を有し、これは容器1004の環状リング1023と接触して、拡張スリーブ1008が環状リング1023から完全に外れるのを防止するように構成される。すなわち、この、またはその他の例示的実施形態において、拡張スリーブは、このような戻り止めの使用を通じて、容器によってスライド可能に捕捉されるようにすることができる。
【0101】
図41に示されるように、次にカスタムルアコネクタ1010を取り付けることができる。そのために、コネクタ1010は、第一の端1030と、第二の端1034と、フランジ1032と要素1036を有する。部材1036は、容器の端の中に押し込まれると、図41に示されるように、固定用要素をさらに外側に押す。前述のように、疎水性膜は、1つまたはそれ以上の疎水性膜で覆われた開口部(図示せず)によって、拡張スリーブ1008の把握部直径に設置することができる。このような例示的機能部は成形が容易であり、疎水性膜は、紫外線硬化型接着剤/エポキシを用いた熱かしめまたは熱接着によって取り付けることができる。例示的疎水性膜はPTFEまたはePTFE材料からなるが、これらに限定されない。このような疎水性膜は、輸液ポンプの容器収容部の内部の圧力と周囲圧力を平衡化させるために空気を侵入させ、排出させるために設けられる。さらに、フランジ1032は、拡張スリーブ1008のID周辺でOリング1040と係合することによって、拡張スリーブ1008の開口部を密閉するのに十分な直径を有し、拡張スリーブ1008は、拡張スリーブ1008と輸液ポンプ1002の間の接触面上にOリング1042を有する。
【0102】
前述のように、拡張スリーブ1008と容器1006のアーム1016と1018の間の係合は、アームとその上の要素を容器収容開口部の内壁または環状溝に、容器をそこに固定するのに十分に押し付けるように構成される。この係合角度は、所望の結果となるように変化させることができる。図42は、本発明の一実施形態による、ラインセットを輸液ポンプに異なる係合角度で連結するための、容器と直線的押し込み式コネクタのアセンブリの第十二の例示的実施形態の分解断面図である。
【0103】
図42に示される例示的実施形態において、コネクタアセンブリ1100は、容器1102、容器端1104および拡張スリーブ1106を含む。容器1102のアーム1108と1110は内壁に傾斜部を有し、これらは拡張スリーブ1106の起伏のある端112を、先述の例示的実施形態よりはるかに円滑に、およびまたはそれより大きな変位量となるような角度で係合させ、それによって、アーム1108と1110の変位が大きくなるように構成される。このような係合は、アームと、輸液ポンプの容器収容開口部の間の固定力をより大きくすることができるが、使用者が拡張スリーブ1106を嵌合させ、取り外すのに、より大きな力が必要となる可能性がある。図43は、容器収容開口部1114の中で完全に嵌合した時の、容器1102と拡張スリーブ1106の間の係合を示す拡大断面図である。
【0104】
本発明のまた別の例示的実施形態において、少なくとも拡張スリーブと容器の位置合わせは、1つまたはそれ以上の要素の位置合わせ用尾根状部を設けることによって、支援されうる。図44は、本発明の一実施形態による、ラインセットを、位置合わせ用尾根状部を有する輸液ポンプに連結するための、容器と直線的押し込み式コネクタのアセンブリの第十三の例示的実施形態の拡大斜視図である。
【0105】
図の例示的実施形態において、拡張スリーブ1150には、たとえば180度離れていてもよく、容器1152の1つまたは2つの突起1158と1160と係合する1つまたは2つのスロット1154と1156が設けられている。その際、そのようにしない場合より高い程度の位置合わせを実現できる。さらに、図45に示されるように、疎水性膜1162は、拡張スリーブ1150の把握部直径に設けることができる。例示的な疎水性膜は、PTFEまたはePTFE材料からなるが、これに限定されない。このような疎水性膜は、輸液ポンプの容器収容部の内部の圧力と周辺圧力の平衡化のための空気の侵入と排出を可能にし、その一方で、汚染物、流体およびその他の望ましくない物質がシステム内に入り込むことを防止するために提供される。
【0106】
前述のように、拡張スリーブのいずれが把握部直径とフランジを含んでいてもよく、希望に応じて、把握部直径とフランジの一方またはそれ以上に、疎水性膜を設置することができる。図46と図47に示されるように、拡張スリーブ1160は、第一の直径1162と第二の直径1166を有していてもよく、それによって、その間にフランジ1164ができる。さらに、例示的疎水性膜1168は、適用された膜を示す図46の上面図として、および開口部1170が見える図47の底面図に示されているようなフランジの開口部の上方に設置することができる。前述のように、疎水性膜は、紫外線硬化型接着剤/エポキシを用いた熱かしめまたは熱接着によって拡張スリーブに取り付けることができる。例示的疎水性膜は、PTFEまたはePTFE材料からなるが、これらに限定されない。このような疎水性膜は、輸液ポンプの容器収容部の内部の圧力と周辺圧力を平衡化するための空気の侵入と排出を可能にし、その一方で、汚染物、流体およびその他望ましくない物質がシステム内に入り込むことわ防止するために設けられる。
【0107】
前述のように、拡張スリーブには、容器のアームおよび拡張ラッチまたはロッキング機能部を係合させ、また、拡張スリーブを保持するために容器に設置された環状リングを容器に係合させる環状リングを設けることができる。このような例示的実施形態は、図48により詳しく示されている。図48において、容器1202は、拡張スリーブ1204を、1206と1208として示される容器1202の環状リングが1210と1212として示される拡張スリーブの環状リングとの係合を通じて、拡張スリーブ1204がそれ以上引き戻されない地点まで受けられているように示されている。その際、拡張スリーブ1204は、容器1202によって、各構成部品の係合端の、嵌り合う環状リングで保持される。保持用機能部は、延長スリーブ1204が完全に容器から分離することを防止する。
【0108】
図49から図51は、ラインセットを図1の輸液ポンプに連結するための、拡張スリーブが撓み性要素と構成材料からなる、容器と直線的押し込み式コネクタのアセンブリの第十四の例示的実施形態を示す。図49に示される実施形態において、拡張スリーブ1300は、輸液ポンプの開口部1304に挿入された容器1302で使用するために設置される。容器1302は、前述のように、アダプタまたはカスタムルア継手1308と連結するためのラインセットコネクタアセンブリ1306を含む。しかしながら、第十四の例示的実施形態において、撓み性部材には、拡張スリーブ1300が設けられ、これによって容器の材料の選択を簡略化できる。
【0109】
具体的には、拡張スリーブ1300の遠位端は、1つまたはそれ以上の撓み性アーム1310と1312を備える。各アームの端に、傾斜面1318と1320が設けられ、容器1302の肩部と接触する。嵌合させるときの拡張スリーブ1300のスライド動作によって、拡張スリーブ1300のアーム1310と1312は傾斜面に接触するように押し付けられ、撓み性アーム1310と1312は外側に撓み、それによって機能部1314と1316は外側に向かい、いずれかの接触面、たとえば輸液ポンプの開口部1304の中の雄ねじまたは雌ねじ表面によって提供される面と係合して、容器1302を固定する。さらに、図49に示される例示的実施形態は、拡張スリーブ1300の把握部直径の上に疎水性膜を位置づける例を示す。こ場合、疎水性膜によって覆われる開口部1330は、圧力平衡化のための空気の侵入と排出の経路となる。このような例示的機能部は形成しやすく、疎水性膜は、紫外線硬化型接着剤/エポキシを用いた熱かしめまたは熱接着によって取り付けることができる。例示的疎水膜は、PTFEまたはePTFEからなるが、これらに限定されない。
【0110】
拡張スリーブ1300の遠位端にはさらに、撓みアーム1310と1312の1つまたはそれ以上の開口部1322と1324があり、拡張スリーブを容器に固定する。開口部1322と1324は、容器1302の戻り止め1326と1328を捕捉するように構成されるが、開口部は、拡張スリーブ1300が傾斜面と係合し、容器を固定するのに障害なく十分に移動するのに十分な幅である。
【0111】
図50は拡張スリーブの拡大断面図であり、図51は、図49の容器の拡大断面図である。図50に示されるように、撓み性アーム1310と1312はさらに、容器1302の戻り止め1326と1328を、開口部1322と1324の中で捕捉点まで受けるスロット1332と1334をさらに有する。前述のように、これによって、容器全体をCCP、COPまたはCOC材料によって構成でき、拡張スリーブ1300の全体を柔軟ポリプロピレンまたはその他の柔軟重合体で構成することができる。
【0112】
これらの各種の実施形態において、直線的押し込み式コネクタは、従来のシステムにおける単独係合機能部のように、時間がたつと振動、衝撃またはその他の外的影響によって緩む傾向のあるねじ山と係合する。しかしながら、直線的押し込み式コネクタの中に第二の係合機能部を取り入れることにより、これは、容器の拡張ラッチまたはロッキング機能部をポンプの容器収容部の雄ねじまたは雌ねじの中に広げて入れる際と同じ直線的動作で連結され、容器の係合をロックし、一般的に螺合部を外す回転動作では切断することができない。反対に、直線的引張動作でしか拡張スリーブの係合を外し、容器を釈放することができず、係合を外す力は、拡張スリーブのカム表面と容器の拡張ラッチまたはロッキング機能部の角度係合を変更することによって、制御できる
【0113】
標準ルア継手またはカスタムルア継手のいずれかを有するラインセットは、すると、拡張スリーブからアクセス可能な容器の端に取り付けることができる。標準ルア継手の場合、アダプタは、容器と標準ルア継手の間に設置され、圧力平衡化に必要な疎水性膜を提供する。カスタムルア継手の場合、疎水性膜はカスタムルア継手または拡張スリーブの中に設置することができる。当業者の間で周知のように、輸液ポンプの容器収容部の内部の圧力と周辺圧力を平衡化するために、空気の侵入と排出が必要である。従来のシステムと方法において、疎水性膜は、ラインセットコネクタの中に組み込まれるか、単体の容器の中に組み込まれる。前述の本発明の例示的実施形態において、疎水性膜はカスタムルアコネクタに組み込むか、ラインセットコネクタ、拡張スリーブまたはアダプタの1つまたはそれ以上の中に組み込むことができる。
【0114】
さらに、前述のように、従来のシステムと方法は、ポンプと係合し、すなわち、容器とコネクタのアセンブリを、容器とコネクタのアセンブリの前方動作、すなわち押す動作と、容器とコネクタのアセンブリの回転動作の組み合わせを利用して、ポンプ容器の中にロックする。本発明の実施形態において、1回の直線的押し込み動作により、容器または拡張スリーブの中に形成された雄の戻り止め機能部がポンプの容器収容部の上方リップにある戻り止めスロットと係合し、拡張スリーブの上の小片は、ねじ山、環状溝または単純にポンプの容器収容部の側壁と係合する。容器は拡張スリーブの運動によって固定されるため、チューブとチューブセットに張力がかかっても容器は釈放されない。容器は、拡張スリーブを逆に直線的に引っ張る動作によって釈放される。
【0115】
その際、上述の本発明の例示的実施形態は、好ましくは拡張スリーブへの1つの把握位置を使って、直線的に押し、引っ張る動作のみで容器を輸液ポンプに係合させ、ロックするように動作し、すなわち、ロッキング機能部をポンプの雄ねじまたは雌ねじの中に係合させるために、回転動作は不要である。容器本体のODは、ポンプの容器収容部の中のいずれのOリングとも接触せず、したがって、容器本体をポンプの容器収容部の中へと進める際、抵抗を受けない。
【0116】
連結機能部の、容器の上のODは、好ましくは、容器本体のODより大きく、若干程度の抵抗が、容器の上側部分がポンプの開口部と係合するときに発生する。容器とコネクタのアセンブリがポンプの容器収容部の中に奥まで進められるとき、ポンプにより回転方向の位置合わせが必要であれば、これは容器の戻り止めを容器の開口部の入口に配置された開口部の中に嵌合させることによって行われる。戻り止めを適正に嵌合させるために、使用者は、視覚的に戻り止めと開口部を位置合わせすることができ、最終的に位置合わせされると、戻り止めが前進し、開口部の底部と接触したときに、使用者に対して触覚によるフィードバック信号が提供される。
【0117】
本発明のさらに別の例示的実施形態において、容器の位置合わせは、拡張スリーブの把握用特徴部に2つまたはそれ以上の対向する平坦な面を提供することによって容易に行われる。このような表面は、輸液ポンプの外側平坦表面と位置合わせすることができる。さらにまた、ガイドを拡張スリーブの中に組み込むことができ、容器が輸液ポンプの容器開口部の中へと進められる際に、容器が正しい方位に自動的に位置合わせされるように構成できる。
【0118】
前述の本発明の例示的実施形態の1つまたはそれ以上は、ルア継手を使って、ラインセットを容器に連結する。さらに、例示的ルア継手の1つまたはいくつかは、ルアねじ山と、ルア連結部の一部である密閉テーパ部と係合させるために、部分的に回転させる必要がありうる。しかしながら、このような回転は、容器とコネクタのアセンブリを輸液ポンプに組み立てるためには必要ない。
【0119】
当業者の間で周知のように、このようなシステムの容器は使用者によって充填でき、使用時にこのような充填を可能にするように構成された多数の機能部を設けることができる。従来のシステムと方法は、充填用にカニューレが必要な容器と、ラインセットの中のカニューレを含む。これと反対に、上述の本発明の例示的実施形態の1つまたはそれ以上は、ルア継手と容器を利用して、針アセンブリとプランジャによって容器の充填を行えるようになっている。
【0120】
容器を充填するための例示的なシステムと方法を図52と図53に示す。図52と図53は、最初に充填され、その後輸液ポンプと使用するように準備される、容器とコネクタのアセンブリの分解図である。図52と図53において、容器1402、拡張スリーブ1404およびストッパ1406が示され、略前述のように動作する。ストッパ1406は螺合式で、プランジャの螺合端1408との係合を介して、プランジャ1410を取り外し可能に受ける。反対の端に、ルアコネクタ1412を使って充填カニューレ1414を取り付けることができ、出荷用シールド1416を設けることができる。したがって、使用者は、容器1402、拡張スリーブ1414、ストッパ1406、プランジャ1410、充填カニューレ1414および出荷用シールド1416が組み立てられ、パッケージに入れられた、本発明の例示的実施形態を受けることができる。
【0121】
使用者は、パッケージからアセンブリを取り出すと、シールド1416を外し、インシュリン供給源から容器1402を充填することができる。その際、本発明の例示的実施形態は、従来のシステムと方法に見られるような一体の容器隔壁を必要としない。使用者は、インシュリンを容器1402の中に引き込んだ後、充填カニューレ1414とプランジャ1410を取り外し、容器1402と拡張スリーブ1404を前述のように単純な直線的押し込み動作を使用して、ポンプの容器収容部の中に設置することができる。容器がポンプの容器収容部の中に挿入され、拡張スリーブが押し込まれると、容器のロッキングアームが外側に押され、容器を輸液ポンプの開口部のねじ山にロックし、それによって、容器は1回の単純な動作で挿入され、ロックされる。使用者はその後、アダプタ1418とラインセットルアコネクタ1420を容器1402に連結でき、またはカスタムルアコネクタを容器に連結して、システムをラインセットの端にプライムすることができる。すると、システムは動作可能な状態となる。輸液が完了したか、またはその他の理由で取り外しが必要となった場合は、チューブセットコネクタを取り外すことができ、拡張スリーブを単純な直線的引張動作によって引っ張ると、容器のロッキングアームが引き戻って容器のロックが解除され、ロックは1回の動作で輸液ポンプから外れる。容器はまた、希望に応じて、チューブセットコネクタを取り外さない方法で、ロックを解除し、取り外すこともできる。
【0122】
本発明のさらに別の例示的実施形態において、隔壁は、容器とコネクタのアセンブリの中に組み込み、使用者による設定手順中に、容器からの漏出を防止するのに役立つ。このような例示的実施形態において、切れ込み入り隔壁等の隔壁を使うことができ、これによってもまた、隔壁を穿刺するための、これと嵌り合う構成部品のカニューレが不要となる。このような切れ込み入り隔壁は、コネクタが容器に取り付けられる際に押し開かれる。他の従来のシステムと方法と異なり、容器とコネクタのアセンブリによれば、このような隔壁と組み合わせることによって、使用者は充填済みの容器を輸液ポンプに取り付けてから、ラインセットを連結することができる。
【0123】
上述の本発明の例示的実施形態により提供されるまた別の改良は、関係する人的要因に関する改良を含む。たとえば、従来のシステムと方法では、使用者は、ラインセットを容器に取り付け、容器とコネクタを輸液ポンプに挿入し、容器とコネクタを回転させて、その中のねじ山を、戻り止めが輸液ポンプ本体の溝にひっかかる位置に係合させて、容器を所定の場所にロックする必要がある。
【0124】
しかしながら、上述の本発明の例示的実施形態によって、使用者は、容器の充填を行った後に、単純にラインセットコネクタを容器の上の、これと嵌り合う連結部に取り付け、それから拡張スリーブを把握しながら行う1回の直線的押し込み動作によって、容器とコネクタのアセンブリをポンプの容器収容部の中にスライドさせ、Oリング密閉部品を係合させ、係合機能部を拡張させて、これと嵌り合うポンプの容器収容部の機能部の中にロックすることができる。拡張スリーブにガイドを取り入れることにより、コネクタアセンブリと輸液ポンプの容器収容部の間の位置合わせを確認するための認知手段を排除できる。その際、ガイドによって、容器とコネクタのアセンブリをポンプの容器収容部の中へと進めるときに、容器とコネクタのアセンブリは自動的に正しい方位に位置合わせされることが可能となる。
【0125】
さらにまた、上述の本発明の例示的実施形態において、容器とコネクタのアセンブリは、1回の直線的引張動作で取り外せる。フィードバックは、拡張スリーブのカム表面が容器の上側部分のカム表面を通過すると発生する、「カチッ」という音または感覚によって得られ、それにより、使用者は容器とコネクタのアセンブリがポンプに完全に、適正に係合したことを確認できる。
【0126】
本発明の例示的実施形態によって提供される聴覚および触覚によるフィードバックに加え、たとえば容器とポンプの容器収容部との係合の緩み等を特定するために、視覚的な異常検出機能部を設けることができる。そのためには、視覚的に目立つ(すなわち、明るい赤、蛍光またはコントラストのはっきりとした)リングまたはマークを拡張スリーブの中に取り入れ、拡張スリーブが奥まで進められていないと異常検出リングが露出するように、拡張スリーブ上に配置することができる。これに対して、従来のシステムと方法では、螺合部の外れが発生したか否かを判断するための明白な異常検出が行われず、使用者は知らず知らずに、頻繁にラインセットの機能部と輸液ポンプとの位置合わせをチェックして、変化を確かめることになり、その変化はコネクタがいずれかの程度まで緩んだ、またはその螺合部が外れたことを示す場合もあれば、示さない場合もある。
【0127】
前述のように、容器とコネクタのアセンブリは、直線的動作で輸液ポンプの容器収容部から取り外すことができる。具体的には、使用者は単純な直線的引張動作によって拡張スリーブを引き戻し、容器の中のラッチ機能部を、これと噛み合い、または接触するポンプの容器収容部の機能部から外すことができ、その結果、容器をポンプの容器収容部から取り出すことができる。これに対して、従来のシステムと方法では、使用者はラインセットコネクタを握り、大きな力で回転させて開口部の上部の戻り止めの係合を克服し、さらにもっと回転させて、コネクタと輸液ポンプの容器収容部の間の螺合式係合を解除する必要がある。この時点で初めて、使用者は容器を取り外すことができる。前述のように、使用者はしばしば、容器連結部ではなく、ルア連結部を回転させてしまうことがあり、これがラインセットの外れと、ポンプの容器収容開口部への漏れの原因となりうる。
【0128】
最後に、上述の本発明の例示的実施形態の1つまたはそれ以上においては、容器の密閉部品を利用して、準備中および使用中の漏れが防止される。たとえば、上述の本発明の例示的実施形態の1つまたはそれ以上において、カスタムルアコネクタまたは標準ルアコネクタを用いてラインセットを連結する。その際、ルアコネクタの少なくともテーパのついたスリーブは、容器とラインセットの間の液密密閉部品となる。これに対して、いくつかの従来のシステムと方法によれば、容器アセンブリの中の隔壁とカニューレを利用して、流体をラインセットの中に流す。そのためて、さまざまな理由で漏れが発生しうる。
【0129】
上記の実施形態と利点は例にすぎず、本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではない。各種の改良、代案および変化形は当業者にとって明らかであり、本発明の範囲内に含まれるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
輸液ポンプとともに使用するための容器と直線的押し込み式コネクタのアセンブリであって、
輸液ポンプの開口部の中にスライド可能に受けられるように構成され、近位端と遠位端を含む容器であって、前記近位端は撓み性要素と少なくとも1つの戻り止めを有して、前記容器を前記輸液ポンプの開口部の中の少なくとも1つの溝によって方向付けるような容器と、
前記容器の前記近位端とスライド可能に係合し、前記輸液ポンプの開口部に当たるように前記容器の前記撓み性要素を撓ませる第一の位置と、前記容器の前記撓み性要素の前記撓みを前記輸液ポンプから解除させ、それによって前記輸液ポンプの開口部から前記容器を釈放する第二の位置との間でスライド可能に移動するように構成された拡張スリーブと、
を備えることを特徴とする容器と直線的押し込み式コネクタのアセンブリ。
【請求項2】
前記容器は、チューブセットコネクタを受けるための継手をさらに備え、前記チューブセットコネクタは疎水性膜を有することを特徴とする請求項1に記載の容器と直線的押し込み式コネクタのアセンブリ。
【請求項3】
前記容器は、
アダプタを受けるための継手をさらに備え、前記アダプタはチューブセットコネクタを受けるように構成され、
前記アダプタと前記拡張スリーブの少なくとも一方は、疎水性膜を有することを特徴とする請求項1に記載の容器と直線的押し込み式コネクタのアセンブリ。
【請求項4】
前記アダプタは隔壁をさらに備え、前記隔壁は、前記チューブセットコネクタに連結されると開くように構成されることを特徴とする請求項3に記載の容器と直線的押し込み式コネクタのアセンブリ。
【請求項5】
前記撓み性要素は、
前記容器の一端に固定されたアームを備え、
前記アームは、第一の表面に傾斜接触面を有し、前記傾斜接触面は前記拡張スリーブとスライド可能に接触するように構成され、
前記アームは、第二の表面に係合面を有し、前記係合面は、前記輸液ポンプの開口部の表面と接触して、それによって前記容器を前記輸液ポンプの開口部に固定するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の容器と直線的押し込み式コネクタのアセンブリ。
【請求項6】
前記撓み性要素は、
前記容器の中の開口部の中の、前記容器と前記拡張スリーブの間に捕捉される小片を備え、
前記小片は第一の表面上に傾斜接触面を有し、前記傾斜面は前記拡張スリーブとスライド可能に接触するように構成され、
前記小片は第二の表面上に係合面を有し、前記係合面は前記輸液ポンプの開口部の表面と接触して、それによって前記容器を前記輸液ポンプの開口部に固定するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の容器と直線的押し込み式コネクタのアセンブリ。
【請求項7】
前記係合面は、バー型部材、支柱型部材、2本支柱型部材および斜面型部材のうちの少なくとも1つを備えることを特徴とする請求項5または6に記載の容器と直線的押し込み式コネクタのアセンブリ。
【請求項8】
前記拡張スリーブはガイドをさらに備え、前記ガイドは、前記輸液ポンプの外面に沿って延びるように構成された、少なくとも1つの面を有することを特徴とする請求項1に記載の容器と直線的押し込み式コネクタのアセンブリ。
【請求項9】
前記拡張スリーブは、外径上に配置された指示手段を備え、前記指示手段は、前記拡張スリーブが前記第一の位置にあるときには隠れ、前記指示手段は、前記拡張スリーブが前記第二の位置にあるときには露出することを特徴とする請求項1に記載の容器と直線的押し込み式コネクタのアセンブリ。
【請求項10】
前記容器は剛性材料を有して構成され、
前記拡張スリーブを受けるために前記容器に連結された上側スリーブは柔軟材料からなることを特徴とする請求項1に記載の容器と直線的押し込み式コネクタのアセンブリ。
【請求項11】
前記拡張スリーブは密閉部品を備えることを特徴とする請求項1に記載の容器と直線的押し込み式コネクタのアセンブリ。
【請求項12】
前記容器とともに使用するためのアダプタであって、前記容器は前記アダプタを受けるための継手を備え、前記アダプタは、
チューブセットコネクタを受けるように構成された近位端と、前記容器に連結されるように構成された遠位端と、
前記遠位端の隔壁であって、前記チューブセットコネクタと連結されたときに開放するように構成されている隔壁と、
を備えることを特徴とするアダプタ。
【請求項13】
容器と輸液ポンプとともに使用する直線的押し込みコネクタであって、
大きな近位端と撓み性の遠位端および、前記近位端と前記遠位端の間の開口部を有するコネクタ本体を備え、
前記大きい近位端は把握面を有し、前記遠位端は傾斜接触面を有し、
前記遠位端は、容器に釈放可能に連結されるように構成され、前記近位端はチューブセットコネクタを受けるように構成され、前記チューブセットコネクタは、前記本体の前記近位端と前記遠位端の間の前記開口部を介して前記容器と連結でき、
前記容器は、前記輸液ポンプの容器収容開口部の中に配置され、前記直線的押し込みコネクタは、前記容器と係合し、前記コネクタ本体の前記撓み性遠位端を前記輸液ポンプの開口部に押し付けるように撓ませて、前記容器を前記輸液ポンプの開口部の中に固定する第一の位置と、前記容器の係合を外し、前記コネクタ本体の前記撓み性遠位端の前記撓みを前記輸液ポンプの開口部から解除して、前記容器を前記輸液ポンプの開口部から釈放する第二の位置との間でスライド可能に移動するように構成されていることを特徴とする、直線的押し込みコネクタ。
【請求項14】
直線的動作によって容器を輸液ポンプに釈放可能に固定する方法であって、
容器を、近位端と遠位端を有する輸液ポンプの開口部であって、前記近位端が撓み性要素を有するような開口部の中に挿入するステップと、
拡張スリーブを前記容器の前記近位端に、前記容器の前記撓み性要素を前記輸液ポンプの開口部に押し付けるように撓ませて、前記容器を前記輸液ポンプの開口部に固定する第一の位置と、前記容器の前記撓み性要素の前記撓みを前記輸液ポンプの開口部から解除して、前記容器を前記輸液ポンプの開口部から釈放する第二の位置の間でスライド可能に係合させるステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項15】
前記容器にチューブセットコネクタを連結するステップであって、前記チューブセットコネクタが疎水性膜を有するようなステップと、
前記容器にアダプタを連結するステップであって、前記アダプタはチューブセットコネクタを受けるように構成され、前記アダプタと前記拡張スリーブの少なくとも一方は疎水性膜を有するようなステップと、
のうちの少なくとも一方のステップをさらに含むことを特徴とする請求項14に記載の直線的動作によって容器を輸液ポンプに釈放可能に固定する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【公開番号】特開2012−30075(P2012−30075A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−165221(P2011−165221)
【出願日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(595117091)ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー (539)
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
【住所又は居所原語表記】1 BECTON DRIVE, FRANKLIN LAKES, NEW JERSEY 07417−1880, UNITED STATES OF AMERICA
【Fターム(参考)】