説明

押出し及び切断によって粒状製品を製造する装置

本発明は、押出し及び切断によって粒状製品を製造する装置に関し、その装置は、押出オリフィスが開口する押出面を有する少なくとも1つの押出金型を備える押出部と、オリフィスを通過して移動するように設計された少なくとも2つのカッタ刃を備える回転駆動される切断ヘッドとを具備し、刃が、少なくとも2つのタイプからなり、前記粒状製品を、切断後、少なくとも2つの異なる射出コーンとして射出するように構成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押出し及び切断によって粒状製品を製造する装置に関する。より具体的には、本発明は、粒状製品の生産速度を従来技術の装置より増加させることを可能にするような装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上述したような装置は、特に、乾燥食品の製造に関するスイス特許CH600802に記載の方法を実施することによって得られるもののような、粒からなる製品を製造するのに使用することができる。その方法によれば、粉又はペーストの形態の食品材が、圧力が大気圧より低い囲いの中に金型を通して押し出される。この態様では、複数のソーセージ状物体が形成され、そのソーセージ状物体が、金型のブッシングを出るときに、金型の出口面とそれぞれ同じ切断角を形成する3つのカッタを一般に備える回転切断ヘッドを用いて粒に切断される。押出しは、押し出す生地に最初に含まれていた水分の一部が蒸気として、又気体の一部が、急激に取り除かれることにより、適度な温度で、製品が膨らんだ外観を得ることが可能になるように、好ましくは、真空の囲いの中で行われる。押出ブッシングの極めて近くで切断することによって、切り口は膨らみ続け、それにより、例えば長球又は卵形の粒を得ることが可能になる。得られる粒は、大きな粒や細かな粒ではなく、全てだいたい同じ形状と大きさを有する。従って、押し出したソーセージ状物体を、いったん硬くしてから粉砕する装置を用いて得ることができるものよりも、はるかに一様な粒の大きさの分布が得られる。
【0003】
これら装置の用途は食品の製造に限られることなく、押出し及び切断が真空下で行われようと大気圧下で行われようと、いかなる種類の粒状製品にも広げることができることに留意されたい。
【0004】
これら粒状製品に対する顧客の需要の増加に対応するために、本願出願人は生産速度の増加を追及してきた。これを行うために、本願出願人は、押出し速度及び押出ブッシングの数を増加してきた。これまでに、本願出願人では、これら単純な対策を取ることによって、切断後放出される粒が、分離するのが難しい団塊や数珠繋がりに塊る傾向を有することが分かってきた。これは、一方では、その後の工場を通る粒の流れを乱し、望んだ工場生産量の増加ではなくその減少を来たすことになり、又他方で、押し出された粒の形状及び外観に悪影響を及ぼすことになる重要問題である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、従来技術による装置より目覚しく速い製品の生産流れ速度を達成することを可能にする、押出し及び切断によって粒状製品を製造する装置を提示することによって、前述の欠点を更に他も含めて改善することである。
【0006】
本発明の別の目的は、設計が簡素で、経済的、且つ使用が容易な装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的に向けて、本発明は、押出し及び切断によって粒状製品を製造する装置であって、押出オリフィスが開口する押出面を有する少なくとも1つの押出金型を備える押出部と、オリフィスを通過して移動するように設計された少なくとも2つのカッタ刃を備える回転駆動される切断ヘッドとを具備する装置において、刃が、少なくとも2つのタイプからなり、前記粒状製品を、切断後、少なくとも2つの異なる射出コーンとして射出するように構成されていることを特徴とする装置に関する。
【0008】
本願出願人は、粒が、切断後その中に射出される囲い内で集まって塊になる現象は、それらがその中に射出されるボリューム中の粒の密集度が高過ぎることによって起こり、又、このボリュームは、カッタの幾何学的形状によって定まることを実際に見出した。従って、本願出願人は、切断された粒が、従来技術による装置におけるように単一の領域に集中することなく、囲いの中の複数の領域に射出され分布されるように切断ヘッドのカッタ刃を構成することによって、この欠点を改善することを提案する。それにより、切断された粒がその中に最適に射出されるような囲いのボリュームを使用することが可能になり、囲い内に粒の団塊を形成することにならずに生産速度を増加させることができる。従って、この構成は、これら団塊に起因するその後の生産工場の閉塞の危険性を抑制し、又は除去しさえする。
【0009】
本発明の好ましい実施形態によれば、カッタ刃それぞれが、押出面に対向する第1の面と、切断刃先を形成するように第1の面と交わり、前記押出面に対して傾斜している第2の面とを有し、各タイプの刃は、その傾斜している第2の面が異なる傾斜を有する点で、別のタイプの刃とは互いに異なる。
【0010】
このように、この構成の効果により、押し出された製品が、カッタの刃のそれぞれの角度に固有な射出コーンとして真空下で射出されるので、押し出された製品の、囲いのボリューム全体への分散状態が、簡単な態様で改善される。
【0011】
本発明の別の特徴によれば、切断ヘッドの、続いている2つの刃が、異なるタイプのものである。
【0012】
本発明の更に別の特徴によれば、切断ヘッドは、対で配置された複数の刃を備え、同じタイプの刃が、切断ヘッドの回転軸に対して互いに直径上反対側に在り、それにより切断ヘッドの動的平衡を取るのを容易にしている。
【0013】
本発明の他の特徴及び利点は、本発明による切断ヘッドの例示的一実施形態の以下の詳細な説明からより明確に明らかになるであろう。この例は単に、添付図面と共に純粋に非限定的例示のためのみに提示される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図面、特に図1及び2を参照すると、周知のタイプの押出部1は、その出口に、少なくとも1つの押出金型2を備えており、押出金型2のオリフィス2aは、2つの円周上に分布し、押出面として知られる平坦な面3に開口する。この面3に対向して、金型2から押し出される物質であるソーセージ状物体を切断するように配置されたカッタ5を備える回転切断ヘッド4が在る。
【0015】
切断ヘッド4は、真空ポンプ(図示せず)の働きで大気圧より低い圧力に保たれるように設計されたチャンバ6の内側に配置されている。このチャンバの囲いは、周壁7及び下部ホッパ8によって概略的に図示されており、ここに記述された装置によって製造された粒状製品は、ホッパ8中に落下し、チャンバ6内を真空に保たせている抽気装置を用いて収集される。押出部1と壁7との間のシールは、図示されていない手段によって行われている。
【0016】
切断ヘッド4は、押出部の面3に垂直な軸9回りに矢印Fの方向に回転する。切断ヘッド4は、シャフト10の先端に装着され、シャフト10の他方の端部は電気モータ(図示せず)のシャフトに連結されている。
【0017】
作動時は、モータがシャフト10及び切断ヘッド4を、例えば最大毎分5000回転の範囲で調節可能な速度で回転させる。押出部1によって高温状態で押し出されたペースト状製品は、金型2の各オリフィス2aから出るとき、ソーセージ状物体Bを形成し、ソーセージ状物体Bは直ちにカッタ5(図3)によって小円盤に切断される。押し出された製品は、上記で説明したように、水蒸気及びおそらくは他の気体を含むので、小円盤は真空チャンバ6中で膨らみ、粒の形に固まり、その粒がホッパ8の中へ落下する。粒の大きさ、形状、及び生産速度は、例えば押出部1の速度、モータの速度又はチャンバ6内の圧力を調節することによって、調整することができる。
【0018】
回転切断ヘッド4の一実施形態が図2及び3に示されている。基本的に、回転切断ヘッド4は、複数のカッタ5が固定された円形の支持部11を備え、カッタ5は支持部11の外辺部から半径方向外向きに延在する。これらカッタ5、5’、5’’のそれぞれは、前記支持部11に対して接線方向に配置されるほぼ台形の断面を有し、円形の支持部11及びクランプ板14の適切な収容部に挿入されたアーム13、13’、13’’を介して支持部11に固定された切断刃12、12’、12’’からなり、クランプ板14には、それを円形の支持部11にねじ留め又はリベット留めする2つの孔が開けられている。図2及び3を吟味すると分かるように、カッタ5、5’、5’’の刃12、12’、12’’のそれぞれは、12a、12’a、12’’aそれぞれ及び12b、12’b、12’’bそれぞれの2つの面を有し、第1のこれら面12a、12’a、12’’aは押出面3に対向し、切断刃先12c、12’c、12’’cを形成するように第1の面12a、12’a、12’’aと交差する第2の面12b、12’b、12’’bは、前記押出面3に対して角度α1、α2、α3だけ傾斜している(図4、5及び6)。カッタ5、5’、5’’は、通常、焼戻し鋼、又は例えばセラミックなど切断具を製造するのに適切な他の材料から製作される。
【0019】
変形形態によっては、円形の支持部11をカッタ5、5’、5’’と一体に単体として製作することを考えることも当然可能である。
【0020】
図示されなかった簡素化された変形実施形態では、切断ヘッド4は、好ましくは円形の支持部11上に直径上互いに反対側に装着されたカッタ5を2つだけ備え、これら2つのカッタ5はタイプが異なっており、それは、本発明の意図の範囲内であるが、第1のカッタの第2の面12bの押出面3に対する傾斜が、反対側のカッタの第2の面の傾斜と異なるということである。2つのカッタが厳密に同一ではないので、そのような構成では、切断ヘッド4の動的平衡を保証するために、バランスウエイトを用いてバランスを取る必要があることが理解されよう。切断ヘッド4の回転速度が高く、極めて僅かな不平衡でも、シャフト12及び駆動手段を損傷するので、それがなおさら必要になる。
【0021】
図2に示された例では、切断ヘッド4は、6つの一様な間隔で配置されたカッタ5、5’、5’’を担持し、続いている2つのカッタ、5と5’’、5’と5’’、5’’と5はタイプが異なる。すなわち、所与のカッタ5の第2の面12bの押出面3に対する傾斜は、次のカッタ5’の第2の面12’bの傾斜と異なる。好ましくは、図2から明らかなように、カッタ5、5’、5’’は共に対をなす。言い換えれば、同じタイプ、すなわち刃12の第2の面12bの押出面3に対する傾斜が同じである2つのカッタ5は、切断ヘッド4の回転軸に対して互いに直径上反対側に配置されている。
【0022】
各刃の第2の面の押出面表面に対する傾斜角α1、α2、α3は、15°と75°の間で選択される。角度の選択は、切断の質、及び刃の再研磨の可能性も左右することが分かっており、好ましくは、30°と60°の間(両端を含む)の角度が選択される。
【0023】
図4〜6に示されるように、切断ヘッドは3対の刃を備え、各対の直径上反対側にある刃は、その傾斜面の押出面に対する傾斜角度α1、α2、α3が、それぞれα1=35°(図3)、α2=40°(図4)、α3=45°(図5)である。そのような配置は、本発明の所望の目的を達成することを可能にする。すなわち、押し出された製品は、切断された瞬間に、各押出オリフィスから、これらのオリフィスを通過する3対のカッタ刃のそれぞれの角度に固有の3つの射出コーンとして、真空下で射出されるので、囲いのボリューム中での押し出された製品の分散状態を改善することが可能になる。例として、図7及び8は、押出金型の同一半径上に整列された2つの押出オリフィスから押し出された製品の分散を示す。図から分かるように、押し出された製品は、個別の2つの射出コーンC1及びC2として射出され、それらコーンはそれぞれ、押出面に対して異なる傾斜角を有する2つの刃のそれぞれによってこれら製品を切断したことに対応している。更に、この対による配置は、カッタ刃の各対が互いにバランスするので、切断ヘッドの動的平衡の問題を著しく簡単にする。
【0024】
本発明が、ここに記述された実施形態に限定されないこと、又、添付特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく、様々な単なる変更形態や変形形態を当業者が考えることができることは、言うまでもない。特に、刃の背面は全て押出面に対して同じ傾斜を有するが、その切断刃先は切断ヘッドの半径に対して異なる角度をなすカッタを製作することを考えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明による装置の簡略化した部分断面図である。
【図2】本発明による装置に用いられる切断ヘッドの3対のカッタに関する実施形態の透視図である。
【図3】押出金型との関係を示す切断ヘッドの立面透視図である。
【図4】押出面に対するカッタ刃の3つの方向のうち一つを示す、図2に示した切断ヘッドの側面図である。
【図5】押出面に対するカッタ刃の3つの方向のうち一つを示す、図2に示した切断ヘッドの側面図である。
【図6】押出面に対するカッタ刃の3つの方向のうち一つを示す、図2に示した切断ヘッドの側面図である。
【図7】押出金型の同一半径上に整列された2つの押出オリフィスからの、カッタの刃の各角度に特定な射出コーンとしての、押し出された製品の分散状態を概略的に示す図である。
【図8】押出金型の同一半径上に整列された2つの押出オリフィスからの、カッタの刃の各角度に特定な射出コーンとしての、押し出された製品の分散状態を概略的に示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
押出し及び切断によって粒状製品を製造する装置であって、押出オリフィスが開口する押出面を有する少なくとも1つの押出金型を備える押出部と、前記オリフィスを通過して移動するように設計された少なくとも2つのカッタ刃を備える回転駆動される切断ヘッドとを具備する装置において、
前記刃が、少なくとも2つのタイプからなり、前記粒状製品を、切断後、少なくとも2つの異なる射出コーンとして射出するように構成されていることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記カッタ刃それぞれが、前記押出面に対向する第1の面と、切断刃先を形成するように前記第1の面と交わり、前記押出面に対して傾斜している第2の面とを有する装置において、各タイプの刃が、刃の前記傾斜している第2の面が異なる傾斜を有する点で、別のタイプの刃とは互いに異なることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記切断ヘッドの、続いている2つの刃が、異なるタイプのものであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記切断ヘッドが、対で配置された複数の刃を備え、同じタイプの刃が、前記切断ヘッドの回転軸に対して互いに直径上反対側に在ることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
各刃の切断角が、15°〜75°の間、好ましくは、30°〜60°の間で選択されることを特徴とする、請求項2〜4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記切断ヘッドが3対の刃を備え、各対の前記刃は、前記押出面に対するそれぞれの傾斜面の傾斜角度がそれぞれ35°、40°、45°であることを特徴とする、請求項5に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2009−501622(P2009−501622A)
【公表日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−521853(P2008−521853)
【出願日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際出願番号】PCT/EP2006/006871
【国際公開番号】WO2007/009663
【国際公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【出願人】(599132904)ネステク ソシエテ アノニム (637)
【Fターム(参考)】