説明

押出容器

【課題】容易に内容物を吐出可能な押圧容器を提供する。
【解決手段】流動体等の内容物を押し出して外部に吐出する押出容器Aにおいて、内容物を貯留する内側容器11と、当該内側容器11との間に空気層12を形成可能な状態で当該内側容器11を内部に収容する外側容器13とからなる積層構造の容器本体1と、前記空気層12に外部の空気を導入し、導入した空気の逆流を防止する逆止弁2とを具備し、当該逆止弁2を前記外側容器13の底壁131cに設けると共に、内容物を押し出す際に押圧される押圧部131aを当該外側容器13の側周壁131cに設けたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、内部に貯留したマヨネーズ等の流動体を押し出すことにより吐出可能な容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、マヨネーズ等を入れる容器は、当該容器の外周面から押圧力を加えて内容物を押し出す構造を有している。このような容器は、残存する内容物が少なくなるにつれて容器の形状が変化してしまい、例え再び押圧力を加えても容器内の内容物を押し出すことが困難となっていた。
【0003】
このため、特許文献1に記載されているように、内容物を貯蔵した内側容器と当該内側容器を収納する外側容器とからなる二重構造の容器が提案されている。この容器は、当該内側容器と外側容器との間に空気層を設けると共に、当該空気層に空気を導入する小径の空気孔を外側容器に設けている。
【0004】
そして、使用者が、当該容器の外周面を押圧すると、前記外側容器及び内側容器が変形して吐出口から内容物が押し出される。次に、押圧を解除すると、外側容器の弾性復元力により、内側容器と外側容器との間の空気層内が減圧される。このため、外部と連通する空気孔から空気層内へ空気が流入され、外側容器は押圧される前の元の形状に復元されると共に、内側容器は変形したままの形状を維持する。
【特許文献1】実開平7−21569号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来のように空気孔にて前記空気層に空気を導入する方法においては、押圧する際に前記空気層内の空気が容器の外部に漏れてしまうと内側容器に対して適切に押圧力が伝達されないため、当該空気孔を僅かな量の空気を通す程度の大きさにしか設定できなかった。よって、外部から空気を導入し外側容器を復元する際にも、少量ずつしか空気を導入することができず使い勝手が悪いものとなっていた。
【0006】
また、空気孔の開孔位置によっては、使用者が当該容器を握持することにより、手で当該空気孔を塞いでしまうこともあった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、本願発明は、流動体等の内容物を押し出して外部に吐出する押出容器において、内容物を貯留する内側容器と、当該内側容器との間に空気層を形成可能な状態で当該内側容器を内部に収容する外側容器とからなる積層構造の容器本体と、前記空気層に外部の空気を導入し、導入した空気の逆流を防止する逆止弁とを具備し、当該逆止弁を前記外側容器の底壁に設けると共に、内容物を押し出す際に押圧される押圧部を当該外側容器の側周壁に設けたことを特徴とする。
【0008】
これにより、空気の導入に逆止弁を用いているため、外側容器が復元するために最適な空気流入速度を設定することが可能になる。更に、当該逆止弁を使用者が押圧する箇所と異なる所に設けているため、空気の導入が妨げられる心配もない。
【0009】
更に、前記逆止弁を覆うカバー体を具備し、当該カバー体を台座として前記容器本体を起立可能に構成することで、当該容器本体を例えば机上等に起立させる際にも前記逆止弁が邪魔になることはなく、使用者が扱い易いものとすることができる。
【0010】
加えて、前記外側容器を、内部に前記内側容器を収容する内側容器収容体と、当該内側容器収容体に着脱可能に取り付けられる蓋体とから構成することにより、内側容器内の内容物が減少した際に当該内側容器を簡単に取り出して内容物を補充することが可能となる。
【発明の効果】
【0011】
本発明において、空気の導入に逆止弁を用いているため、外側容器が復元するために最適な空気流入速度を設定することが可能になる。更に、当該逆止弁を使用者が握持する面と異なる箇所に設けているため、空気の流入が妨げられる心配もない。
【0012】
更に、カバー体にて、例え逆止弁を設けた際にも当該逆止弁が邪魔にならず当該容器本体を容易に起立させ使い勝手の良いものとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本願発明の押出容器Aの一実施の形態を図面を用いて説明する。
【0014】
図1は、押出容器Aの分解斜視図であり、図2は、押出容器Aの正面図である。
【0015】
本願発明の押出容器Aは、マヨネーズ等の内容物を押し出して外部に吐出することができる容器であり、内容物を貯留する容器本体1と、前記容器本体1内に設けた後述する空気層12に外部の空気を導入し、導入した空気の逆流を防止する逆止弁2とを具備している。また、本実施の形態においては、前記逆止弁2を覆うカバー体3を設け当該カバー体3にて前記容器本体1が机上等に起立できる様に構成している。
【0016】
容器本体1は、内容物を貯留する内側容器11と、当該内側容器11との間に空気層12を形成可能な状態で当該内側容器11を内部に収容可能な外側容器13とからなる積層構造のものであり、前記外側容器13の側方から押圧力をかけることにより、前記空気層12を介して内側容器11を変形させ、その内容物を押し出すことができる構成を有している。
【0017】
内側容器11は、前記内容物を貯蔵するための内容物貯蔵空間S1を内部に形成した有底円筒状のもので、側周壁11aと、当該側周壁11aの下方を閉塞する底壁11bとからなり、当該底壁11bの対向面を開口して後述する吐出口132aから前記内容物貯蔵空間S1内の内容物を吐出できる構成を有している。
【0018】
また、当該内側容器11は、前記側周壁11a上部を前記外側容器13に対して螺合させることにより着脱可能に取り付けられるものであり、必要に応じて交換できる。
【0019】
更に、全体を可撓性を有する合成樹脂等にて構成しているため、外方からの圧力に応じて自在に変形可能なものである。
【0020】
外側容器13は、前記内側容器11との間に空気層12を形成可能な状態で当該内側容器11を内部に収容可能な内側容器収容体131と、当該内側容器収容体131の上部を閉塞するための蓋体132とから構成している。
【0021】
内側容器収容体131は、前記内側容器11を収容するための収容空間S2を内部に形成した有底円筒状のもので、押圧力を付加する押圧部131aを設けた側周壁131bと、当該側周壁131bの下方を閉塞する底壁131cとからなり、当該底壁131cの対向面を開口して当該収容空間S2内に前記内側容器11を出し入れするための出入部131dを形成している。
【0022】
また、当該内側容器収容体131は、合成樹脂等により構成し、そこに付与された押圧力が解除された際に元の形状に復帰しようとする弾性復元力を有する。
【0023】
出入部131dは、後述する蓋体132を前記側周壁132cの上部に螺合させることで閉塞可能なものである。
【0024】
押圧部131aは、使用者が握持することにより押圧力を付加し、外側容器13と共に内側容器11を変形させ、当該内側容器11内を加圧状態とすることで、内容物を吐出口132aから押し出せる様にしている。
【0025】
蓋体132は、内容物を吐出可能な吐出口132aを設けた天壁132bと、前記内側容器収容体131及び前記内側容器11を着脱可能に取付ける取付部132dを設けた側周壁132cとから構成している。
【0026】
吐出口132aは、前記内側容器11の内容物貯蔵空間S1と連通し、内側容器11内の内容物を外部に吐出可能な通路を形成している。
【0027】
逆止弁2は、前記空気層12に外部の空気を導入し、導入した空気の逆流を防止する逆止弁2であり、前記吐出口132aを設けた面と対向する面、具体的には、前記外側容器13の底壁131cに設けている。
【0028】
当該逆止弁2は、外側容器13の底壁131cに複数開孔した空気孔131eを閉塞する円盤状の開閉弁体21と当該開閉弁体21を外側容器13の底壁131c中央に取付ける連結杆22とから構成している。
【0029】
当該開閉弁体21は、連結杆22を基端として外側容器13の底壁131cに対して離間または近接する方向への揺動可能なものである。
【0030】
カバー体3は、容器本体1の底部に着脱可能に外嵌できる有底円筒状のもので、前記容器本体1の底部に外嵌される側周壁3aと、当該押出容器Aを机等に起立させる際に、当該机と当接する水平壁である底壁3cとから構成している。
【0031】
側周壁3aの内周面上部には、容器本体1の底部に設けた係合部131fと係合する係止突条3dを設けており、当該カバー体3を前記容器本体1に取付ける際には、側周壁3aを容器本体1の底部に外嵌させて、前記係合部131fと係止突条3dを係合させる。
【0032】
底壁3cには、中央に外部の空気の流入路となる通気孔3bを設けており、前記外側容器13に設けた空気孔131eへの空気の流入を妨げない構成としている。
【0033】
次に、当該押出容器A内の内容物を吐出する際の工程について説明する。
【0034】
まず、図5に示すように、外側容器13の押圧部131aを押圧すると、当該外側容器13と共に内側容器11が変形し、内側容器11内が加圧状態となることで、内容物が吐出口132aから吐出する。
【0035】
一方、図6に示すように、外側容器13の押圧を解除すると、外側容器13は、自己形状保持能力により元の形状に弾性復元しようとする。その際、外側容器13と内側容器11との間の空気層12が拡大することにより、外側容器13と内側容器11との間が減圧状態となるため、逆止弁2の開閉弁体21が連結杆22を基端として外側容器13の底壁131cから離間する方向に揺動して空気孔131eを開放し、この空気孔131eから外側容器13と内側容器11との間に外気を導入する。
【0036】
再び、外側容器13の押圧部131aを押圧すると、外側容器13と内側容器11との間が加圧状態となるため、逆止弁2の機能により、空気孔131eが開閉弁体21で閉塞され、外気の導入を遮断し、外側容器13と内側容器11との間に導入された空気の逆流を防止する。
【0037】
このため、外側容器13の押圧により、外側容器13と内側容器11との間に存在する空気を介して、萎み変形した内側容器11内の内容物が確実に加圧され、再び内容物が吐出する。
【0038】
以上のように、空気の導入に逆止弁2を用いているため、外側容器13が復元するために最適な空気流入速度を設定することが可能になる。更に、当該逆止弁2を使用者が押圧する箇所と異なる所に設けているため、空気の導入が妨げられる心配もない。
【0039】
更に、前記逆止弁2を覆うカバー体3を具備し、当該カバー体3を台座として前記容器本体1を起立可能に構成することで、当該容器本体1を例えば机上等に起立させる際にも前記逆止弁2が邪魔になることはなく、使用者が扱い易いものとすることができる。
【0040】
加えて、前記外側容器13を、内部に前記内側容器11を収容する内側容器収容体131と、当該内側容器収容体131に着脱可能に取り付けられる蓋体132とから構成することにより、内側容器11内の内容物が減少した際に当該内側容器11を簡単に取り出して内容物を補充することが可能となる。
【0041】
尚、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【0042】
例えば、内容物の漏れを防ぐために、蓋体132と内側容器11との間にパッキンを設けてもよい。
【0043】
また、本実施の形態においては、図3に示すように、逆止弁2を外側容器13の内側容器収容体131の底壁131cに直接取付けているが、図7に示すように、逆止弁取付部材4を介して内側容器収容体131に対して逆止弁2を着脱可能に取付けることも考えられる。
【0044】
具体的には、逆止弁取付部材4は、内側容器収容体131の底壁131cに着脱可能に外嵌できる有底円筒状のもので、内側容器収容体131の底部に外嵌される側周壁4aと、前記逆止弁2を有する水平壁である底壁4bとから構成している。
【0045】
当該逆止弁2は、逆止弁取付部材4の底壁4bに複数開孔した空気孔4cを閉塞する円盤状の開閉弁体21と当該開閉弁体21を逆止弁取付部材4の底壁4b中央に取付ける連結杆22とから構成している。
【0046】
当該開閉弁体21は、連結杆22を基端として逆止弁取付部材4の底壁4bに対して離間または近接する方向への揺動可能なものである。
【0047】
更に、当該逆止弁取付部材4には、前記逆止弁2を保護するカバー体3として、前記底壁4bから垂下するカバー壁31を逆止弁2の周囲に設けている。このカバー壁31は、底壁4bから逆止弁2が反内側容器収容体側に突出する突出幅よりも長寸を有しており、当該押出容器Aを机等に起立させる際に、当該カバー壁31が机と当接することで逆止弁2を保護する。
【0048】
また、当該逆止弁取付部材4は、前記側周壁4a上部を前記内側容器収容体131に対して螺合させることにより着脱可能に取り付けられるものであり、必要に応じて交換できる。
【0049】
一方、内側容器収容体131の底部には、中央に外部の空気の流入路となる通気孔131gを設けており、前記外側容器13内への空気の流入を妨げない構成としている。
【0050】
更に、図8に示すように、可撓性を有する袋状の部材にて前記内側容器110を構成することも考えられる。具体的には、上部を開口させた有底筒状の内側容器本体110aと、当該内側容器本体110aの開口を蓋閉する蓋体110bとから構成している。当該蓋体110bは、前記内側容器本体蓋体110aの開口よりも大径を成す鍔部を有し、当該鍔部を内側容器収容体131の開口に係止させたり、環状のパッキンなどを介して当該内側容器収容体131の内側に鍔部を圧接させたりすることで、内側容器収容体131の内に内側容器110を取り付けている。また、当該蓋体110bの中央部(内側容器110の上面)には内容物を吐出可能な吐出孔110cを設けると共に、当該吐出孔110cの開口を塞ぐように貼り付け、内側容器110を密閉可能なシール部材110dを設けておくとよい。つまり、当該内側容器110を詰め替え用の容器として販売する際には、前記シール部材110dにより吐出孔110cを蓋閉して内容物を漏れないようにすると共に、当該内側容器110を詰め替えて使用する際には、当該内側容器110を内側容器収容体131に収容した後に前記シール部材110dを剥がして利用する。
【0051】
加えて、本実施の形態においては、蓋体132に、内容物を吐出可能な吐出口132aを設けているが、内側容器11の上部に吐出口132aを設け、内側容器11と吐出口132aとを一体に構成することも考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の一実施形態に係る押出容器の分解斜視図。
【図2】同実施形態に係る正面図。
【図3】同実施形態に係る正面図。
【図4】同実施形態に係る断面図。
【図5】同実施形態に係る断面図。
【図6】同実施形態に係る断面図。
【図7】他の実施形態に係る押出容器の断面図。
【図8】他の実施形態に係る押出容器の分解斜視図。
【符号の説明】
【0053】
A・・・押出容器
1・・・容器本体
2・・・逆止弁
3・・・カバー体
11・・・内側容器
12・・・空気層
13・・・外側容器
31・・・カバー体(カバー壁)
110・・・内側容器
131・・・内側容器収容体
131a・・・押圧部
131b・・・側周壁
131c・・・底壁
132・・・蓋体


【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動体等の内容物を押し出して外部に吐出する押出容器において、
内容物を貯留する内側容器と、当該内側容器との間に空気層を形成可能な状態で当該内側容器を内部に収容する外側容器とからなる積層構造の容器本体と、
前記空気層に外部の空気を導入し、導入した空気の逆流を防止する逆止弁とを具備し、
当該逆止弁を前記外側容器の底壁に設けると共に、内容物を押し出す際に押圧される押圧部を当該外側容器の側周壁に設けたことを特徴とする押出容器。
【請求項2】
前記逆止弁を覆うカバー体を具備し、当該カバー体を台座として前記容器本体を起立可能に構成していることを特徴とする請求項1記載の容器。
【請求項3】
前記外側容器を、内部に前記内側容器を収容する内側容器収容体と、当該内側容器収容体に着脱可能に取り付けられる蓋体とから構成していることを特徴とする請求項1又は2記載の押出容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−298386(P2006−298386A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−118182(P2005−118182)
【出願日】平成17年4月15日(2005.4.15)
【出願人】(505142540)
【Fターム(参考)】