説明

押出成形体を別部材に連結固定するための固定構造

【課題】構成が簡単で生産効率が高く、しかも、連結具の位置決め精度が高く、廃棄時の分別も簡単な連結固定構造を提供する。
【解決手段】化粧材120に形成した凹状孔125内に連結具130を固定し、ボルト部材170をこの連結具130に係合させることで、当該化粧材120とブラケット110とを連結する。連結具130のアンカー固定部135は、長手方向に沿って所定幅をもって延在するスリットが形成されていて、当該スリットを閉じるように縮径した先細の形態で凹状孔125内に挿入される。その後、ブラケット110に通したボルト部材170を連結具130の内ネジ131に係合させることにより、縮径したアンカー固定部135を拡げて食込爪138を凹状孔の内壁面125aに食い込ませ、これにより、連結具130が化粧材120の凹状孔125内に固定される。フランジ132は、凹状孔125の開口周囲に設けた座ぐり穴129内に位置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押出成形体を別部材に連結固定するための固定構造に関する。この固定構造は、代表的には、段板をササラ桁に固定して階段を構成するのに利用できる。
【背景技術】
【0002】
例えば集合住宅の野外部分に設置する階段の構造として、図1の分解図に示したものが従来から知られている。
この階段構造は、ササラ桁(または側桁)と呼ばれる細長い板状の支持材10を両側に配置し、その間に多数の段板20’を挟持して、階段を構成している。
【0003】
各段板20’は、その端面から突出するボルト30’を備えている。一方、ササラ桁10にはボルト30’を通すボルト孔11が形成されていて、ボルト30’をボルト孔11に通し、ナット(不図示)を用いて両者を固定する。なお、段板20’側にナットを埋め込んでおいて、ササラ桁10の外側からボルト孔11にボルトを通して両者を連結してもよい。
【0004】
セメント系材料を用いてこのような段板20を製造する場合、従来より、「押出成形」が多く利用されている。「型成形」は、「押出成形」と比べて生産効率が低く、大量生産には適さないからである。
【0005】
特許文献1では、モルタル材料から押出成形によって踏板を形成しており、押出成形の際、細長い棒状の補強杆が踏板内に埋設される。補強杆の両端には、ナットとして機能する螺管が固定されていて、ササラ桁のボルト孔に通したボルトをこの螺管に連結することで、踏板がササラ桁に連結される。
しかし、踏板を押出成形する際、踏板の端面と螺管の端面とが面一になるように位置合わせすることが必要となるが、これを正確に行うことは難しい。
このように、押出成形は、生産効率が高く大量生産に適しているが、押出成形の際に埋設されるナット(あるいはボルト)の位置合わせが難しいという問題がある。
【0006】
一方、特許文献2では、押出成形の際に踏板内部にナットを埋設するのではなく、押出成形後に外部からナットを挿入している。すなわち、長手方向に沿う貫通孔を有する踏板を押出成形した後、貫通孔内に外部から筒状ナットを嵌入して、接着剤を用いて固定している。
しかし、接着剤を用いた固定では、十分な固定強度が得られない場合があり、また、廃棄の際にコンクリート材と金属のナットとを分別する作業が厄介なものとなる。
【0007】
一方、「押出成形」ではなく「型成形」を利用して踏板を構成することも考えられ、その場合には、プレキャストで、埋設するナットやボルトの位置合わせは容易に行うことができるが、「型成形」は生産効率が悪く、また、廃棄の際にコンクリート材と金属のナットあるいはボルトを分別する作業が厄介である。
【0008】
また、特許文献3には、壁面に形成した下穴内にアンカーナットを固定するアンカーナット固定具が開示されている。このアンカーナット固定具を使用すれば、下穴内の所定深さの位置にアンカーナットを簡単に固定することができる。
しかし、特許文献3においては、アンカーナット固定具とアンカーナットとが別体で構成されているため、全体の構成が複雑になる。その上、使用に際して、これら2つの部材を連結したり分離したりする必要があるため、作業工程が多くて煩雑であるという欠点がある。
【0009】
【特許文献1】特開平7−119269号公報
【特許文献2】特開平4−166546号公報
【特許文献3】特開2004−143902号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みて創案されたものであり、その目的は、構成が簡単で生産効率が高く、しかも、連結具の位置決め精度が高く、廃棄時の分別も簡単な連結固定構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の固定構造は、ボルトと内ネジの連結機構を利用して、押出成形体を別部材に固定するものであって、次のような特徴を備える。
押出成形体に形成した孔(貫通孔または凹状孔)内に連結具が固定されている。当該連結具は、「内ネジが形成された筒状のアンカー固定部」の一端にフランジを備え、他端に「径方向外側に突出する食込爪」を備え、当該食込爪を備えた他端から上記孔内に挿着固定されている。
筒状のアンカー固定部は、上記他端から長手方向に沿って所定幅をもって延在するスリットが形成されていて、当該スリットを閉じるように縮径して先細の形態とした上で、上記孔内に挿入されている。
そして、上記別部材に通したボルト部材を上記内ネジに係合させることにより、縮径したアンカー固定部を拡げて食込爪を孔の内壁面に食い込ませ、これにより、連結具が押出成形体の孔内に固定されている。
上記フランジは、上記孔の開口周囲に設けた凹部内に位置している。
【0012】
本発明の固定構造は、対向する2つのササラ桁の間に段板を固定して階段を構成するのに適しているが、それに限定されるものではない。
【発明の効果】
【0013】
上記構成を有する本発明の固定構造においては、連結具は、自身が有するフランジを、押出成形体に設けた凹部内に位置させた状態で、押出成形体に固定されるので、押出成形体に対する連結具の位置合わせが簡単である。また、アンカー固定部に設けた食込爪が孔の内壁面に食い込むことで、連結具が押出成形体に固定されるので、十分な固定強度が得られる。
また、プレキャスト(型成形)を利用しなくても連結具の位置合わせが容易であることから押出成形体を利用しているので、型成形を用いる場合よりも生産効率が高い。
さらには、連結具は乾式で段板に固定されているので(すなわち、接着剤で固定しているのではなく、プレキャストによる型成形でもないので)、廃棄の際の分別処理が簡単となる。
また、連結具はフランジを一体に備えた簡単な構造であって、フランジが押出成形体の凹部に納まるように、連結具を押出成形体の孔内に挿入するだけで当該連結具の押出成形体に対する位置合わせが完了するので、作業工程も簡単なものとなる。すなわち、特許文献3では2つの別部材を連結したり分離したりする必要があったが、本発明ではそのような必要はない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の実施形態を添付の図面を参照して以下に詳細に説明する。本発明は、「押出成形体」を「別部材」に連結固定する固定構造に関するものであるが、第1実施形態では、「押出成形体」としての段板20に、「別部材」としてのササラ桁10を固定して、階段を構成する例を説明する。
【0015】
≪第1実施形態(図2〜図5)≫
図2は、段板20を説明する斜視図である。段板20は、踏板21と蹴込板22からなる本体部23に、後述する連結具30を固定して構成される。連結具30は、その詳細は後述するが、筒状のアンカー固定部35の一端にフランジ32を備え、他端に、径方向外側に突出する食込爪38を備えたものである(図3参照)。
【0016】
≪段板の本体部≫
段板の本体部23は、踏板21と蹴込板22を一体的に連結して構成している。本体部23は、押出成形により成形する。使用する材料は、押出成形できるものであれば問わない。靱性が高く、比重1.5〜2.3程度のセメント系材料を用いることが好ましい。
本体部23には、その長手方向に沿って延在する貫通孔25が形成されていて、この貫通孔25に連結具30が挿入固定される。このように、本発明では、まず本体部23を成形した後で、外部から連結具30を固定するので、本体部23に対する連結具30の位置決めが簡単である。したがって、押出成形による高い生産効率を確保しながらも、連結具の位置決めを簡単に行うことができる。
なお、楕円形の貫通孔26は、軽量化および強度アップを目的として形成されたものである。
【0017】
段板20のサイズは、例えば、踏板21の奥行きが300mm、蹴込板22の高さが150mm、厚みが50mmで、段板20の全幅が990mmである。勿論、これらに限定されるものではない。
【0018】
本発明においては、段板の本体部23が押出成形されていること、および貫通孔25に後述する連結具30を挿通固定していることが重要である。蹴込板22や貫通孔26は、省略することも可能である。なお、孔25は必ずしも貫通している必要はなく、凹状の孔であってもよい。
【0019】
≪連結具の構成≫
図3(a)は、連結具30の一例を示す側面図であり、図3(b)は、これを下方側から見た図である。
連結具30は、筒状のアンカー固定部35の一端にフランジ32を備え、他端35aに食込爪38を備えている。そして、筒状のアンカー固定部35には、内ネジ31が形成されている(図4参照)。
【0020】
図3(b)に示したように、食込爪38は、アンカー固定部35の端部35aから、半径方向外側に突出するように4本形成されている。そして、各食込爪38の間にスリット36が形成されている。
スリット36は、図3(a)に示したように、他端35aから長手方向に沿って上方へ延在し、徐々に幅狭となる三角形形状とされている。
【0021】
図示の例では、スリット36および食込爪38は、筒状のアンカー固定部35の周方向に沿って交互に4個づつ形成されている。すなわち、スリット36および食込爪38は、それぞれ、周方向に90°毎に4個づつ形成される。
ただし、スリット36および食込爪38の個数および配置は、図示のものに限らず、適宜設定することができる。
【0022】
≪段板への連結具の固定≫
図4および図5は、この連結具30を段板本体23の端面20aに固定する方法を示している。これらの図では、連結具30を断面図で示している。連結具30は、段板20をササラ桁10に連結するための部材である。
【0023】
連結具30を段板本体23に固定する場合、まず、連結具30のアンカー固定部35を、段板の端面20aに開口する貫通孔25に差し込む(図4)。このとき、筒状のアンカー固定部35は、スリット36を閉じるように縮径されて、全体として先細の形態となっている。これにより、食込爪38が側方に突出したアンカー固定部の端部35aを貫通孔25内に挿入することができる。
なお、連結具30は、最初から先細に縮径されたものとして製造してもよいし、縮径していない状態で製品化し、作業者が現場にて先細に変形させるものとしてもよい。
【0024】
連結具30は位置決め用のフランジ32を備えている。また、貫通孔25の開口周囲にはフランジ32を収容する座ぐり穴(凹部)29が形成されている。したがって、フランジ32が座ぐり穴29内に収容されるまで連結具30を押し込むことで、簡単かつ確実に連結具30を適正位置にセットできる。一例として、座ぐり穴29は、内径30mm、深さ3mmの円柱状に形成する。
【0025】
このように、フランジ32によって、貫通孔25内における連結具30の位置(深さ)が決まる。また、フランジ32が存在することで、後でボルト部材70をねじ込む際に、連結具30が貫通孔25内に沈んで行くことを防止できる。
フランジ32の形状は、代表的には円板状であるが、四角形その他、任意の形状とすることが可能であり、それに併せて凹部29の形状も変更することが好ましい。
【0026】
なお、座ぐり穴29の深さをフランジ32の厚みに等しく設定しておけば、連結具30を固定した場合に、段板の端面20aとフランジ32とを面一にすることができる。
【0027】
次に、ササラ桁10に通したボルト部材70を、アンカー固定部35の内ネジ31にネジ係合させる(図4、矢印A)。ネジ係合を進めていくと、縮径して先細になっていたアンカー固定部の端部が拡径し(縮径前の筒状に戻る)、食込爪38が段板20の貫通孔25の内周面に食い込む(矢印B)。これによって、連結具30は、段板本体23に確実かつ強固に固定される。図5は、固定が完了した状態を示している。
【0028】
図4、図5では部分的にしか図示していないが、図1に示した従来例と同様に、2つのササラ桁10の間に複数の段板20を連結固定して階段が構成される。
【0029】
本発明においては、連結具30は乾式で段板20に固定されている。すなわち、連結具30は、接着剤で固定されているのではなく、また、プレキャストによる型成形で段板20に埋め込まれたものでない。したがって、廃棄の際には、段板20を砕くだけで、容易に分別を行うことができる。
【0030】
≪アンカー固定部に形成するスリットの形状≫
図3(a)に示したように、スリット36は、アンカー固定部の端部35aから徐々に幅狭となる三角形形状とされている。しかし、スリット36は、アンカー固定部35を図4に示したように縮径させることを目的として形成されるものであるから、例えば一定幅の長方形形状等のスリットであってもよい。
ただ、三角形形状のスリット36を採用すると次のようなメリットがある。すなわち、アンカー固定部35を縮径させたときに、三角形を構成する2つの斜辺36a、36aがピタリと閉じ、その結果、筒状のアンカー固定部35の内周面側に形成されるネジ面が隙間のない連続面となり、ボルト部材70をスムーズにネジ込むことができる。
一方、仮にスリット36が長方形であるとすれば、三角形の頂点36b(図3(b))に対応する位置において、スリットが完全に閉じることはできず、内周面側のネジ面が不連続となり、ボルト部材70のスムーズなネジ込みを妨げる。
【0031】
≪防水緩衝シール材を設ける例≫
段板20とササラ桁10との間には、防水および緩衝を目的としたシール材40(防水緩衝シール材)を配置することが好ましい(図2参照)。
「防水」は、連結具30が金属製である場合に、これが腐食するのを防止するために行う。「緩衝」は、ササラ桁10の間で段板20がガタツクことや、接合端面が傷付くことを防止するために行う。
防水緩衝シール材40は、段板の端面20aに適合する形状(図2の例ではL字状)とすることが好ましく、連結具30が挿着される貫通孔25を露出させるための開口41を有する。
【0032】
防水緩衝シール材40の材質としては、ウレタン等の発泡プラスチックや、EPDM(エチレン-プロピレン-ジエンゴム)等を使用する。
【0033】
≪第2実施形態:図6≫
第2実施形態では、「押出成形体」としての外装板120に、「別部材」としてのブラケット110を固定する例を説明する。外装板120は、建造物の外壁として使用される化粧材であって、これに取り付けたブラケット110を介して、建造物の駆体(不図示)に固定される。
【0034】
連結具130は、第1実施形態の場合と同様に、筒状のアンカー固定部135の一端にフランジ132を備え、他端に食込爪138を備えていて、筒状のアンカー固定部135には、内ネジ131が形成されている。
また、図には示していないが、アンカー固定部135には、第1実施形態の場合と同様に、その長手方向に沿って縮径用のスリットが形成されている。
【0035】
固定の手順は、第1実施形態と同様であるが、簡単に説明すると次の通りである。
(1)外装板120の裏面に形成した凹状孔125内に、縮径状態にある連結具130をセットする。このとき、連結具130のフランジ132が外装板裏面の座ぐり穴(凹部)129内に位置する。
(2)ブラケット110に形成した開口111にボルト部材170を通して、連結具130の内ネジ131にネジ係合させる(矢印A)。ネジ係合を進めていくと、縮径して先細になっていたアンカー固定部135の端部が拡径し(縮径前の筒状に戻る)、食込爪138が化粧材裏面の凹状孔125の内周面125aに食い込む(矢印B)。これによって、連結具130は、化粧材120に確実かつ強固に固定される。同時にブラケット110の固定も完了する。図6(b)は、固定が完了した状態を示している。
【0036】
第2実施形態において、外装板120の厚みは30mm、凹状孔125の深さは25mm、内径は10.5mmである。これに対して、食込爪138を含めた外径が10mm程度になるように縮径させて、連結具130をセットする。連結具130の全高は24mmである。そして、8φのボルト部材170を使用して連結固定する。また、食込爪138の突出量は1mmで、スリットの最大幅は2mmとする。
以上の数値は単なる一例であって、状況に応じて適宜の寸法を採用することができる。
【0037】
なお、第2実施形態においても、第1実施形態の場合と同様に、図2に示したような防水緩衝シール材40を利用してもよい。第2実施形態においては、外装板120とブラケット110との間に、防水緩衝シール材を配置する。
【0038】
≪押出成形体の材質≫
本発明において、押出成形体の具体的な材質は特に限定されるものではないが、より安定した固定強度を得るためには、高靱性の押出成形体を使用することが好ましい。
例えば、水硬性組成物から成形されてなる無機系押出成形体であって、曲げ載荷に際して(好ましくは、引張応力の作用に対しても)、「多重亀裂」を生じて破壊する、高靭性の押出成形体が好ましい。
【0039】
ここで、「多重亀裂」について簡単に説明する。
一般には、曲げや引っ張り応力が印加されてセメント硬化体に最初の亀裂が入ると、その亀裂部に応力が集中して、通常のセメント硬化体ではそのまま破断に至る。すなわち応力−歪曲線が直線となる弾性変形の段階で破断に至る。そのためエネルギー吸収能が低く、脆性破壊を呈する(高靭性ではない)。
これに対して、最初の亀裂が入った後においても、直ちに材料全体の破断に至らず、最初の亀裂に続いて複数の亀裂が発生する現象が存在する。これを「多重亀裂」という。多重亀裂が発生すると、応力が分散されるため、最初の亀裂発生後も増加する荷重に耐えて大きな歪に至るまで破壊せず、高いエネルギー吸収能と高い靭性を示す。
【0040】
以上のような「多重亀裂」が起こる無機系硬化体を構成する水硬性組成物は、少なくとも水硬性セメントを含むマトリックスに繊維を配合・補強して構成される。マトリックスは、好ましくは、シリカ質原料、パルプおよび水溶性セルロースを含み、また更に、減水剤などの混和剤、鉱物繊維および軽量骨材が配合されてもよい。
【0041】
具体的な配合例を例示すると、次の通りである。
普通ポルトランドセメント100重量部に、繊維長=6mm、繊維径=40μm、アスペクト比=150のPVA繊維5.1重量部(体積混入率3vol%)、珪石粉(比表面積4000cm2/g)60重量部、パルプ(広葉樹系パルプ)5重量部、およびメチルセルロース(信越化学工業社製)6重量部を加えて、ミキサーにより粉体混合する。
粉体混合を続けながら、これに水70.0重量部を混合した後、ニーダーに移して混練してセメントペーストを練り上げる。
得られたセメントペーストを、シリンダー式真空押出成形機から金型を通して押出成形して、この押出成形体をオートクレーブにて養生し、硬化させ、比重1.9のセメント系成形体が得られる。
【0042】
≪その他の例≫
本発明は、図示して説明した第1実施形態および第2実施形態に限らず、広く「押出成形体」に「別部材」を固定する場合に適用可能である。
例えば、「押出成形体からなる板材」の外周に「別部材としての枠体」を固定して門扉または笠木等を構成する場合、また「別部材としての建物躯体」に固定して柱、破風または鼻隠し等を構成する場合に、本発明を適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】ササラ桁と段板を利用した従来の階段構造を説明する分解図。
【図2】本発明の第1実施形態に係る段板を説明する斜視図。
【図3】図2の段板に固定する連結具を説明する図。
【図4】図3の連結具を用いた固定方法を説明する図。
【図5】図3の連結具を用いた固定方法を説明する図。
【図6】本発明の第2実施形態に係る固定方法を説明する斜視図。
【符号の説明】
【0044】
10 ササラ桁
11 ボルト孔
20 段板
20a 段板の端面
21 踏板
22 蹴込板
23 段板の本体部
25、26 貫通孔
25a 貫通孔の内壁面
29、129 座ぐり穴(凹部)
30、130 連結具
31、131 内ネジ
32、132 フランジ
33 内腔
33a 内腔の開口
35、135 アンカー固定部
36 スリット
38、138 食込爪
40 防水緩衝シール材
70、170 ボルト部材
110 ブラケット
111 開口
120 外装板
125 凹状孔
125a 凹状孔の内壁面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボルトと内ネジの連結機構を利用して、押出成形体(20、120)を別部材(10、110)に固定してなる固定構造であって、
押出成形体(20、120)に形成した孔(25、125)内に連結具(30、130)が固定されていて、
当該連結具(30、130)は、内ネジ(31、131)が形成された筒状のアンカー固定部(35、135)の一端にフランジ(32、132)を備え、他端(35a)に、径方向外側に突出する食込爪(38、138)を備え、当該食込爪(38、130)を備えた他端(35a)から上記孔(25、125)内に挿着固定されていて、
筒状のアンカー固定部(35、135)は、上記他端(35a)から長手方向に沿って所定幅をもって延在するスリット(36)が形成されていて、当該スリット(36)を閉じるように縮径して先細の形態とした上で、上記孔(25、125)内に挿入され、
上記別部材(10、110)に通したボルト部材(70、170)を上記内ネジ(31、131)に係合させることにより、縮径したアンカー固定部(35、135)を拡げて食込爪(38、138)を孔の内壁面(25a、125a)に食い込ませ、これにより、連結具(30、130)が押出成形体(20、120)の孔(25、125)内に固定されていて、
上記フランジ(32、132)は、上記孔(25、125)の開口周囲に設けた凹部(29、129)内に位置していることを特徴とする、固定構造。
【請求項2】
上記押出成形体は、階段を構成する段板(20)であり、上記別部材は、段板の側面に連結されるササラ桁(10)である、請求項1記載の構造。
【請求項3】
上記押出成形体(20、120)と別部材(10、110)は、その間に、防水緩衝シール材(40)を挟み込んだ状態で連結固定されている、請求項1または2記載の構造。
【請求項4】
内ネジ(31、131)が形成された筒状のアンカー固定部(35、135)の一端にフランジ(32、132)を備え、他端(35a)に、径方向外側に突出する食込爪(38、138)を備えた連結具(30、130)であって、
筒状のアンカー固定部(35、135)には、上記他端から長手方向に沿って所定幅をもって延在するスリット(36)が形成されていることを特徴とする、連結具。
【請求項5】
上記スリット(36)は、上記他端(35a)から徐々に幅狭となる三角形形状とされていることを特徴とする、請求項4記載の連結具。
【請求項6】
上記筒状のアンカー固定部(35、135)は、スリット(36)を閉じるように縮径され、先細の形態とされていることを特徴とする、請求項4または5記載の連結具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−41270(P2009−41270A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−207903(P2007−207903)
【出願日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【出願人】(000001096)倉敷紡績株式会社 (296)
【Fターム(参考)】