説明

押出成形板の製造方法及び製造装置

【課題】低廉な中空部を有する押出成形板の製造を可能にし、また低コストの軽量骨材を使用可能にした押出成形板を製造できる装置及び方法を提供する。
【解決手段】内部に複数の細長い中空部を有する押出成形板の製造方法において、押出成形機の内部の出口側に互いに反対方向に回転する一対のローラを、ローラ間に間隙を開けて配置することにより、前記の間隙により出口部を形成し、前記ローラの手前の位置に中玉を配置し、押出成形板の原料の水硬性材料を押圧して出口部へ送り、前記ローラにより絞り込むとともに出口部へ移送して押出成形板を得ることを特徴とする押出成形板の製造方法、及びその製造装置。一対のローラと対をなす一対のリターンローラとの間にエンドレスベルトを架け、ローラとエンドレスベルトとの回転により水硬性材料を所定の厚さに絞り込んで押出し、表面に凹凸模様を付形する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セメントなどの水硬性材料を用いて形成する外壁材、間仕切壁などの建築材として使用する押出成形板の製造方法及びその製造装置に関し、特に内部に複数の細長い中空部を形成した押出成形板を、容易に押出可能にかつ安価に成形することのできる押出成形板の製造方法と製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
外壁材や間仕切壁などに使用する建築材は、通常板形状に形成されているので、図6及び図7に示すように、連続押出機より円形に押出された原料は、第1絞り管1の入口11の通路の円形の横断面形状から絞り部12の楕円形、第1絞り管1の出口13の長方形へ、基端部側から先端部側にかけて漸次円形から長方形に断面形状を変化させられる。この段階では、押出面積は余り変化しないので、大きな押出力及び原料の粘性は必要ない。
【0003】
しかしながら、建築パネル用の内部に複数の細長い中空部を形成した押出成形板の製品形状に成型するためには、原料は中玉4と上下のステー5A、5Bにより上下に分けられ、第2絞り管2で圧縮・圧着され、トップダイ3と中玉4で中空形状の薄肉厚の製品形状に押出される。このとき、原料は全体のケーシングの内部形状の変化に伴って圧縮・変形されるので、金型(口金)内壁と原料及び原料同志は滑り合いをするための粘性がないと、原料は変形できず、押出不能となってしまう。この粘性を付与するため、押出成形セメント板の原料としてメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース等の増粘剤が配合されている。
【0004】
石綿を押出成形板の原料の一成分として使用できたときは、石綿自身に滑り力があったので、メチルセルロースの添加量を0.5重量%程度まで減らしても押出成形をすることができたが、石綿の使用が禁止されノンアスベスト配合になってからは、メチルセルロース配合量を増加しなければ粘性が保てなくなった。しかるに、このメチルセルロースはセメントと比較してコスト的に高価であるので、必然的に押出成形品のコストを高いものにしていた。
【0005】
ところで、押出しが容易になるように水の配合割合を増加させて原料を軟らかくすると、押出成形はできるようになるが、成形品は口金から出るだけで中空形状を保持できなくなる。中空形状を保持できる硬さの原料を押出成形するためには、現状ではどうしてもメチルセルロースなどの増粘剤を約1%配合しなければならない。
【0006】
一方、原料を押出成形させる連続押出機の口金(金型)は、石綿配合原料の押出成形技術の延長線上にあり、上記に説明したものとほぼ同形の管や鋳物製絞り管の内壁を原料が滑りながら圧縮・変形されていることに変りない。このため、滑りにくいノンアスベスト配合原料は、中空部を成形した製品形状に変形させるには大きな押出力と高い粘性が必要となる。この結果、押出圧が高くなると原料を潰すことになり、安価で低強度の骨材が使用できず、製品コストが高くなってしまう。
【0007】
これを改良するために、押出成形装置にも色々の工夫が施されてきた。
例えば、特許文献1には、スクリュを具えた連続押出機とローラ装置を組み合わせた粉体成形機は、粉体に多少の湿分が含まれると、部材の表面上に付着して正常な運転ができなくなり、成形体の嵩比重の変動や不均一なばらつきも起こりやすいという問題点があったのを、連続押出機のケーシング内に形成する中空胴を、断面がほぼ8字状の異心同円で形成し、円心に軸支される2つのスクリュを、それぞれの螺旋面の尖端が中空胴の内周面にきわめて接近させると共に、相手側の螺旋面ともきわめて接近させることにより、螺旋面上に付着する被成形物は尖端によって掻き落とされ、有効で正常な運転が保証されると共に、ローラ装置へ供給する押出し層も常に一定量を維持するように解決した技術が開示されている。
【0008】
また、特許文献2は、製造ラインを稼働させた状態でも、手間を掛けずに押出成形品の厚み制御を実施できるようにするために、水硬性混練物を内部に通して板状に押出成形するノズルの内部に備えた水硬性混練物用通路での水硬性混練物の厚み方向の圧力を検知する圧力センサーを、ノズル内壁に、通路の幅方向に沿って複数埋設してある水硬性混練物の押出成形装置を開示している。
そして、該公報の段落[0016]には、次のような記載がある。前記ノズル3には、装置本体Mから送られてくるセメントスラリー1を、基端部から先端部へ通して板状に成形するための通路4を、前記両ノズル本体3a,3b間に設けてある。前記ノズル3の基端部での通路4の横断面形状は、ほぼ円形に形成してあり(図3参照)、先端部の横断面形状は、通路幅方向に細長い長方形に形成してあり(図6参照)、前記基端部側から先端側にかけて漸次円形から長方形に断面形状を変化させて構成してある(図3〜図6参照)。また、両ノズル本体3a,3bの上下の内周面には、長手方向のほぼ中間部分に山型の突出部5を各別に形成してあり、前記通路4を通過するセメントスラリー1が、前記突出部5に案内されて先端側の長方形断面の隅々に行き渡り易いように構成してある。
【0009】
更に、特許文献3は、押出成形方法によって凹凸模様付の入隅材、出隅材等のコーナー材を連続的に効率よく製造できると共に、受け部材として安価な通常のフラットな受け部材を入隅材と出隅材の成形に兼用でき、経済的に凹凸模様付コーナー材を製造できる方法として、表面に凹凸模様型を有するエンドレスベルトをガイドローラを介して押出成形機の口金内部に導入し、前記エンドレスベルトを前記ガイドローラにより前記口金内部で水硬性材料の押出し速度に同調させると共に、同水硬性材料に押圧し、この水硬性材料をコーナー材生板として前記エンドレスベルトとともに前記口金から押出すことにより所定形状に成形し、該コーナー材生板と前記エンドレスベルトを密着させた状態で所定の距離搬送した後、両者を互いに離反させることによって押出成形されたコーナー材の表面に凹凸模様を付与する凹凸模様付コーナー材の製造方法及びその装置を開示している。
【0010】
【特許文献1】特開平9−262698号公報
【特許文献2】特開平6−270115号公報
【特許文献3】特開2002−172607号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記の特許文献1〜3に開示されている技術は、いずれも内部に複数の細長い中空部が形成された押出成形板と違って、押出成形板内部には原料が充填された、いわゆる中実型押出成形板(成形体)に関するものばかりで、中玉とステーにより被成形原料を大きく圧縮・変形することがないので、口金内壁と原料同志の滑り合いを円滑にするための原料の粘性が問題となることがないものばかりであった。さらに、表面と裏側の原料の押出速度に差が生じ、リブの精度やエンボス模様の精度を確保するために、表裏側の原料の流れ調整が必要であった。この調整は、口金内部の流れ調整板などで行うため、調整に手間がかかっていた。
【0012】
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、上記の原料の粘性による口金内壁と原料及び原料同志の滑り合いの問題を解決し、原料成分のノンアススベスト配合で0.1%以下という少量の配合により高価なメチルセルロースなどの増粘剤の使用量を低減することにより、低廉な中空部を有する押出成形板の製造を可能にし、また低コストの軽量骨材を使用可能にして、用途に合わせた物性の押出成形板を製造できる装置及び方法を提供することを目的とする。さらに、本発明のもう一つの目的は、表面と裏面が非対称の押出成形セメント板でも精度を確保した押出成形セメント板を製造できる方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、上記課題を下記の手段により解決することができた。
(1)内部に複数の細長い中空部を有する押出成形板の製造方法において、押出成形機の内部の出口側に互いに反対方向に回転する一対のローラを、ローラ間に間隙を開けて配置することにより、前記の間隙により出口部を形成し、前記ローラの手前の位置に中玉を配置し、押出成形板の原料の水硬性材料を押圧して出口部へ送り、前記ローラにより絞り込むとともに出口部へ移送して押出成形板を得ることを特徴とする押出成形板の製造方法。
(2)前記一対のローラについて、これと対をなす一対のリターンローラを出口部の外側に設け、これらの間にエンドレスベルトを架け、ローラとエンドレスベルトとの回転により水硬性材料を所定の厚さに絞り込んで出口部から押出すと共に、表面に凹凸模様を付形することを特徴とする前記(1)記載の押出成形板の製造方法。
【0014】
(3)出口部に押出成形用口金を設けたケーシング内に水硬性材料の原料を供給して、押出成形用口金より押出成形材料を押出す押出成形板の製造装置において、ケーシング内の出口部に押出成形用口金の代わりに、互いに反対方向に回転する一対のローラを、ローラ間に間隙を開けて配置することにより、前記の間隙により出口部を形成し、前記ローラの手前の位置に中玉を配置し、押圧して出口部へ送られた押出成形板の原料の水硬性材料を、前記ローラの回転により絞り込むとともに出口部へ移送し、ローラ間の間隙で形成した出口から押出して押出成形板を得ることを特徴とする押出成形板の製造装置。
(4)上下一対で互に反対方向へ回転するローラ間の間隔を調整自在に付勢する油圧シリンダーよりなるローラ装置と、前記ケーシングが出口部へ向けて第一の絞り管、ステー、及び第二の絞り管から構成されたことを特徴とする前記(3)記載の押出成形板の製造装置。
(5)前記ローラ装置が、上下一対の反対方向へ回転するローラと、該上下ローラと対をなす一対のリターンローラ間に架けられ、表面に凹凸模様型を形成されたエンドルスベルトで構成されることを特徴とする前記(4)記載の押出成形板の製造装置。
(6)出口部に押出成形用口金を設けたケーシング内に水硬性材料の原料を供給して、押出成形用口金より押出成形材料を押出す押出成形板の製造装置において、前記押出成形用口金のトップダイ内に中子を配置し、前記ケーシングが出口部へ向けて第一の絞り管、ステー、及び第二の絞り管から構成され、上下一対で互に反対方向へ回転するローラが、第一の絞り管と第二の絞り管との間に設けられていることを特徴とする押出成形板の製造装置。
(7)前記一対のローラの間隔が、押出成形される製品厚みの2倍であることを特徴とする前記(6)記載の押出成形板の製造装置。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、高価なメチルセルロースなどの増粘剤の配合量を減少することができるので、複数の細長い中空部を有する押出成形板の製造原価を低減できるだけでなく、押出成形時の押出圧を下げることも可能になるため、滑り性が劣る骨材の配合も可能となり、その結果として骨材の選定範囲も広がり、従って押出成形板のコストダウンも可能となる。
また、連続押出機のスクリューの寿命も延び、引いては押出成形板のコストダウンも可能となる。
【0016】
更に、現在の押出成形装置では、複数の細長い中空部を有する押出成形板の中空部と桟部において、桟部の方が幅方向の単位長さ(cm)当りのボリュームが多いので、桟部の方が押出し易く、中空部とのバランスを取るのが難しい。特に幅が広くなって肉厚が薄くなればバランスを取るのがさらに難しくなる。しかし、本発明の押出成形機のように出口部に設けた同調駆動ローラにより幅方向の面を原料を均一に動かそうとする方法では、桟部よりも上下の面の方が、また厚肉の場合よりも薄肉の方が動きを伝え易く、押出成形による製品の形状の範囲が広がるという効果がある。
また、表面にリブを設けたり、あるいはエンボス模様を設け、表裏面が非対称となる場合でも、断面積差に合わせて表面と裏面のローラやエンボスベルトの回転速度を調節し表裏面の一定時間当りの原料の流れ量を合わせることによりスムーズな押出しが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明するが、本発明は、これらの実施の形態に限定されるものでない。
なお、図5及び図6で示した部分と同一部分は、実施の形態を説明する全図面においても同一符号を用いて示す。
【0018】
図1は、本発明の第1の実施の形態を示す部分断面側面図(a)及び図(a)の出口正面X視図(b)で、押出成形する押出成形装置の混練原料の出口部の金型(口金)の先端部の、トップダイに代わるローラ装置の上下の同調駆動ローラ6A、6Bの要部を示すものである。ローラ装置は、上ローラ6Aと下ローラ6Bを一対に回転軸15Aと同15Bによって軸支され、図示しない油圧シリンダーが上ローラ6Aの回転軸15Aを下方へ押圧し、両ローラ間の間隙を所定の中空部を有する押出成形板21の厚さに合わせる方向に付勢している。
【0019】
なお、図1は、本発明で用いる連続押出機における、図6の連続押出機の第1絞り管に対応する第1絞り管の部分の構造を省略して表示したものであるが、本発明においても、そのような第1絞り管を備えているものである。それについて簡単に説明すると、連続押出機の先端の金型機構の第1絞り管1の入口11の押出成形板21の原料の混練された水硬性材料の通路の断面形状は、ほぼ円形に形成してあり、絞り部12の断面形状は楕円形に、そして第1絞り管1の出口13の横断面形状は、通路幅方向に細長い長方形に形成してあり、基端部側から先端側にかけて漸次円形から長方形に断面形状を変化させて構成してあることは、特開平6−270115号公報に記載してあるとおりである。
【0020】
混練した水硬性材料の吐出口部分をこのように構成することによって、連続押出機内での断面形状円形から第1絞り管1の出口13での長方形に変形するために最小限の粘性は必要であるものの、最終形状の中空成形板形状に原料を圧縮・圧着・変形させる従来の第2絞り管2の絞り部分を図1に示すように、本発明の同調駆動ローラ6A、6Bに代えることより直接原料に推力を伝達することにより、原料の口金との摩擦抵抗を大幅に低減し、連続押出機の押出力を軽減し、有効に利用することで、増粘剤であるメチルセルロースの使用量を節減し、中空部を有する押出成形板の製造コストダウンを計ることができる。このため、本発明では第2絞り部として絞り部のないものとすることができる。
【0021】
ステーフランジ5(5A,5B)と絞り部の無い第2絞り管2Aとの間の開口の高さは、今までの同調駆動ローラ6A、6Bを使用しない固定口金よりも高くし、押出力を軽減させることができる。また、絞り部の無い第2絞り管2Aの出口14の幅は、製品である中空部を有する押出成形品の幅に近づけ、原料が製品幅でほぼ平行に均一に送り出されるようにすることができる。複数の細長い中空部を有する押出成形品が異形品である場合は、幅方向も絞り型にして、ローラも斜め送りの溝を付けることもできる。
【0022】
この同調駆動ローラ6A、6Bには、連続押出機による原料の押出しは小さな脈動が有るので、その押出力・速度に同調させるためのクラッチ機構も持たせるようにすることができる。原料の送り量を調整できるように、ローラ6Aは表面形状をフラット以外に、全体又は一部に図3に示すように、梨地や溝を付けたり、製品形状に合わせた凹凸などと、用途に合わせて変えることができる。尚、ローラには、剥離油を常に塗布することで、原材料がローラに付着し易いものである場合でも、付着を防止することが可能である。
【0023】
図2は、本発明の第2の実施形態を示す部分断面図で、上記の第1の実施形態の上ローラ6Aと下ローラ6Bのそれぞれが、それぞれのローラ6A及び6Bに対応するリターンローラ7Aおよび7Bの間に架けられた一対のエンドレスベルト8A及び8Bで連動可能に構成された機構を示すものである。このエンドレスベルト8Aの表面には、凹凸模様型が形成されている。そして同調駆動ローラが回転するにつれて、押出成形された成形板の表面には、図3に示すように、(b)梨地模様、(c)溝付模様及び(d)リブ模様の反転模様が形成され、押出成形板の商品価値を高めるようになっている。このようにすれば、表面に梨地模様等の凹凸を形成した高価な同調駆動ローラを何種類も用意する必要がなくなり、押出成形板のコスト低減が可能になる。さらに、押出成形時の圧力がかかった状態で、転写する型に合わせた忠実な模様形成が可能となる。
【0024】
図4は、本発明の第3の実施形態を示す部分断面図で、前記の第1の実施形態の絞り部の無い第2絞り管2Aの絞り部の代わりにローラ6Aと6Bを使用して、原料の上下方向の絞りと幅方向への圧縮・変形時の原料と口金内壁の滑り合いを円滑にすることを意図したものである。従来の第2絞り管2は不動固定状態にあるので、原料との間に動摩擦の外に静摩擦が存在し、そのため内壁と原料との間の滑り合いが円滑に行われなかったが、同調駆動ローラはローラ自体も回転しているので、ローラと原料との間の摩擦は動摩擦だけになり、摩擦抵抗が小さくなるので、ローラ表面と原料の滑り合いが円滑に行われ、従ってメチルセルロースなどの増粘剤配合量の少ない粘性の小さい原料でも変形が容易に行われることになる。水硬性材料がローラに付き易いものである場合、前述の剥離油を用いる以外に、ローラ6A、6Bの間から出た押出成形板がローラ6A、6Bから容易に離れるように、トップダイ3を原料の進行方向に関してローラ6A、6Bの後にセットするようにしてもよい。
【0025】
上記の第3の実施形態における絞り部の無い第2絞り管2A及びトップダイ3と同調駆動ローラ6A、6Bとの間のシール、並びに第1及び第2の実施形態の絞り部のない第2絞り管2Aとローラ6A及び6Bとの間のシールに関しては、特に格別のシール手段を講じなくても、ダイや絞り管とローラとの間の隙間を、例えば2mm以下、好ましくは1mm以下に設定することにより、前記隙間での水硬性原料の溜りが抑制され、押出成形品の外観を悪くし、商品価値を損ねるという問題を生じることがない。
【0026】
さらに、第4の実施例は、第1絞り管と第2絞り管の間の部分に駆動ローラを設けたものである。この場合には、絞り管から圧縮されながら供給された原料がローラにより圧縮・移送されながら口金に供給されるので、さらにスムーズな押出成形が可能となる。この場合には、一対の駆動ローラの間隔が、例えば押出成形される製品厚みの2倍とすることにより押出成形をさらにスムーズに行うことができる。
【0027】
図5は、本発明の第4の実施態様を示す部分断面図であり、第1絞り管1と第2絞り管2との間の部分に一対の駆動ローラ6Cが設けられている。この一対のローラ6Cは冷却型ローラであり、同調歯車16により同調して駆動されるようになっている。一対のローラ6Cの前方には流れ調整フランジ9とステーフランジ10が設けられ、その前方に第2絞り管2が設けられ、第2絞り管2の前にトップダイ3が配置され、トップダイ3と中玉4とによって中空セメント成形板が押出成形される。一対のローラ6Cはステーフランジ10の手前に設けることが好ましい。図5の場合、トップダイ3の代わりに図1に示す一対のローラを設けるようにすることもできる。
【0028】
ローラ及びエンドレスベルトは、押出成形セメント板の表裏面が対称形の場合には、同調駆動が良い。しかし、表面にリブを設けたり、エンボス模様を設け、表裏面が非対称となる場合には、表裏面で原料の消費量(原料の流れる量)が異なるため、同調駆動ではなく、表面と裏面のローラやエンボスベルトの押出速度を調節し、表裏面の原料消費量に合わせて別々に駆動調節することによりスムーズな押出しが可能となる。第4の実施例では、同調歯車による同調としているが、別々に駆動調節する場合には、同調歯車は不要となる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明によれば、従来の押出成形機の金型機構の第2絞り管とトップダイに代えて同調駆動ローラを使用することにより、水硬性材料の口金内壁との滑り合いを大幅に改善して、高価な増粘剤であるメチルセルロースなどの配合量を0.1重量%程度まで大幅に減少しても、複数の細長い中空部を有する押出成形板を円滑に、しかも表面外観も美しく成形できるので、ローコストで商品価値の高い押出成形板を製造できるから、外壁材や間仕切壁などの建築パネルの製造方法及びその装置として、極めて有用なものである。さらに、表面と裏面が非対称の押出成形セメント板の場合でも、スムーズな押出成形が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の押出成形機の第1の実施形態の押出先端部の要部の一部断面正面図(a)、図(a)中のX−X線の一部断面図(b)である。
【図2】本発明の押出成形機の第2の実施形態の押出先端部の要部の一部断面正面図である。
【図3】本発明の押出成形機による製造に用いるローラの表面状態(a)フラット、(b)梨地模様、(c)溝付模様、(d)リブ模様を示す平面図である。
【図4】本発明の押出成形機の第3の実施形態の押出先端部の要部の一部断面正面図である。
【図5】本発明の押出成形機の第4の実施形態の押出先端部の要部の一部断面正面図である。
【図6】従来の押出成形機の押出先端部の要部の一部断面正面図(a)、図(a)中のX−X線の一部断面図(b)である。
【図7】従来の押出成形機の成形機出口(第1絞り管の基部)(a)、第1絞り管の出口(b)、押出成形板の製品(c)の形状を示す横断面図である。
【符号の説明】
【0031】
1 第1絞り管
2 第2絞り管
2A 絞り部の無い第2絞り管
3 トップダイ
4 中玉
5 ステーフランジ
6A 上ローラ
6B 下ローラ
6C 冷却型ローラ
7A 上リターンローラ
7B 下リターンローラ
8A 上エンドレスベルト
8B 下エンドレスベルト
9 流れ調整フランジ
10 ステーフランジ
11 第1絞り管の入口
12 第1絞り管の絞り部
13 第1絞り管の出口
14 第2絞り管の出口
15A 回転軸
15B 回転軸
16 同調歯車
21 中空部を有する押出成形板
22 中空部
23 桟部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に複数の細長い中空部を有する押出成形板の製造方法において、押出成形機の内部の出口側に互いに反対方向に回転する一対のローラを、ローラ間に間隙を開けて配置することにより、前記の間隙により出口部を形成し、前記ローラの手前の位置に中玉を配置し、押出成形板の原料の水硬性材料を押圧して出口部へ送り、前記ローラにより絞り込むとともに出口部へ移送して押出成形板を得ることを特徴とする押出成形板の製造方法。
【請求項2】
前記一対のローラについて、これと対をなす一対のリターンローラを出口部の外側に設け、これらの間にエンドレスベルトを架け、ローラとエンドレスベルトとの回転により水硬性材料を所定の厚さに絞り込んで出口部から押出すと共に、表面に凹凸模様を付形することを特徴とする請求項1記載の押出成形板の製造方法。
【請求項3】
出口部に押出成形用口金を設けたケーシング内に水硬性材料の原料を供給して、押出成形用口金より押出成形材料を押出す押出成形板の製造装置において、ケーシング内の出口部に押出成形用口金の代わりに、互いに反対方向に回転する一対のローラを、ローラ間に間隙を開けて配置することにより、前記の間隙により出口部を形成し、前記ローラの手前の位置に中玉を配置し、押圧して出口部へ送られた押出成形板の原料の水硬性材料を、前記ローラの回転により絞り込むとともに出口部へ移送し、ローラ間の間隙で形成した出口から押出して押出成形板を得ることを特徴とする押出成形板の製造装置。
【請求項4】
上下一対で互に反対方向へ回転するローラ間の間隔を調整自在に付勢する油圧シリンダーよりなるローラ装置と、前記ケーシングが出口部へ向けて第一の絞り管、ステー、及び第二の絞り管から構成されたことを特徴とする請求項3記載の押出成形板の製造装置。
【請求項5】
前記ローラ装置が、上下一対の反対方向へ回転するローラと、該上下ローラと対をなす一対のリターンローラ間に架けられ、表面に凹凸模様型を形成されたエンドルスベルトで構成されることを特徴とする請求項4記載の押出成形板の製造装置。
【請求項6】
出口部に押出成形用口金を設けたケーシング内に水硬性材料の原料を供給して、押出成形用口金より押出成形材料を押出す押出成形板の製造装置において、前記押出成形用口金のトップダイ内に中玉を配置し、前記ケーシングが出口部へ向けて第一の絞り管、ステー、及び第二の絞り管から構成され、上下一対で互に反対方向へ回転するローラが、第一の絞り管と第二の絞り管との間に設けられていることを特徴とする押出成形板の製造装置。
【請求項7】
前記一対のローラの間隔が、押出成形される製品厚みの2倍であることを特徴とする請求項6記載の押出成形板の製造装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate