説明

押出機

【課題】パッキング押さえの領域におけるリークの発生が少なくともかなりの程度まで減少する押出機を提供する。
【解決手段】押出機は、少なくとも一つの孔2を備えたハウジング1と、孔を閉じる前壁16とを備えて成る。前壁16において、孔2と同心の凹部21が形成される。孔2には、外側まで凹部21を貫通する円筒軸受部分17を備えて成るウォーム3が配置される。孔の方向で対向軸受20に当接するパッキング押さえ19は、凹部21と軸受部17とをシールする。軸受部分に、滑り軸受18が配置され、当該滑り軸受は、凹部に対して半径方向に支持され、且つ、片持ち梁式にウォーム3を支持する。クランプ装置26が前壁16に係合し、当該クランプ装置は、パッキング押さえ19が半径方向に変形してシールするように、パッキング押さえに対して滑り軸受を押圧する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押出機に関する。
【背景技術】
【0002】
実際面では、ウォーム要素乃至スクリュー要素(worm elements)に加え、考えられうる乃至見込まれる捏和混合要素を担持するシャフトがパッキング押さえ(packing gland)を用いて押出機のハウジングの上流側の前壁によってシールされることが通例であり、当該パッキング押さえは、押出機のハウジングにおける少なくとも一つの孔に面する対向軸受(counter bearing)に当接する。一方ではシャフトのそれぞれの円筒部分に対して、他方では前壁における凹部の壁部に対してシールを形成するために、パッキング押さえを半径方向に変形させる軸方向の圧縮は、シャフトのこの部分を取り囲み、且つ、シャフト部分からは半径方向に離れて配置されるスチールのスリーブを用いて行われる。このスリーブは、圧縮リングを備えて成るクランプ装置を用いてパッキング押さえに対して押圧され、当該圧縮リングは、前壁の前面に配置され、且つ、ネジを用いて前壁に対して固定され、押圧される。この実施形態の短所は、孔の壁部に対するウォームの半径方向クリアランスと後に起こるウォームの摩耗とによって、操作の間にウォームが半径方向に偏向させられることであり、その結果、パッキング押さえがリークし始めることである。したがって、パッキング押さえは、頻繁に再圧縮される必要があり、それは、望ましくない操作の中断時間につながる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明の目的は、パッキング押さえの領域におけるリークの発生が少なくともかなりの程度まで減少するように、押出機を構成することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は、請求項1の特徴によって達成される。本発明の要旨は、ウォーム要素に加え考えられうる捏和混合要素を、したがって、ウォーム全体を担持するシャフトが、搬送方向に対して上流側に配置される前壁に、滑り軸受(slide bearing)を用いて片持ち梁式(cantilevered manner)に取り付けられること、及び、同時に、この滑り軸受がパッキング押さえを圧縮するために用いられること、にある。これにより、摩耗及び操作に起因するシャフトの偏向がパッキング押さえをも担持する軸受部分の領域で取り除かれ、その結果、パッキング押さえは、従来よりも非常に長い時間の後で再圧縮される。パッキング押さえを圧縮するために用いられる追加的な中間要素は、この機能が滑り軸受によって継承されるので、必要とされない。
【0005】
請求項2に提示されるように、滑り軸受は保守不要である。滑り軸受の圧縮強さが十分ではない場合、請求項3に記載の実施形態が有利である。
【0006】
請求項4に記載の実施形態は、滑り軸受自身が、したがってパッキング押さえも、大気に対して十分に冷却されることを特に確実にする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】押出機を通しての概略縦断面図を示す。
【図2】図1におけるII−II線に沿った押出機の正面図を示す。
【図3】押出機の前壁におけるシャフトの取り付けの拡大部分図を示す。
【図4】滑り軸受の代わりの実施形態を備えた図3に対応する図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の更なる長所、特徴及び詳細が、図面を用いて実施形態の記述から明らかになろう。
【0009】
図1に見て取れるように、2軸押出機は、概して、8の字状に相互に係合する孔2であって、その中に配置されるウォーム3がいずれにも設けられる孔2を備えたハウジング1を備えて成る。搬送方向4に対して上流側端部には、供給ホッパー5が配置される。搬送方向4で見ると、ウォーム3は、入口領域と溶融領域のウォーム要素6、混合及び均質化領域の捏和要素7、及び、搬送及び放出領域の追加的なウォーム要素8を備えて成る。これらは、ハウジング1の端部に配置される放出要素9に続く。ウォーム3は、この端部領域には取り付けられない。
【0010】
ウォーム3は、分配ギア(distribution gear)11を介して共通の駆動モータ10によって駆動され、カップリング乃至連結器12が駆動モータ10と分配ギア11の間に設けられる。ウォーム3は、ギア11の出力シャフト13を経由して駆動され、当該出力シャフト13の駆動力は、連結スリーブ14を介してウォーム3の係合シャフト15に伝達される。
【0011】
シャフト15がギア11に面するハウジング1の前壁16を貫通する位置で、シャフト15は、円筒軸受部分17を経由して片持ち梁式にそれぞれの滑り軸受18に取り付けられる。この滑り軸受18は、焼結金属、特に保守不要である焼結青銅(sintered bronze)から作られた環状の円筒スリーブから構成される。孔2の方向で、滑り軸受18は、パッキング押さえ19に対して支持され、当該パッキング押さえは、今度は、孔2に対する境界として前壁16に形成される止め部(stop)20に対して支持されるシールとして用いられる。したがって、パッキング押さえ19は、前壁16の対応する凹部21に配置される。滑り軸受18の一部は、凹部21で半径方向に支持される。しかしながら、図から見て取ることができるように、その大部分は、前壁16を含むハウジング1の外側に配置され、したがって自由乃至開放されている。他方で、滑り軸受18は、ウォーム3のシャフト15に対して半径方向の案内とその支持機能とを満足することができるように、凹部21で半径方向に支持される。それぞれのシャフト15の軸22の方向におけるそれぞれのパッキング押さえ19の軸方向の圧縮は、ネジ24を用いて前壁16に対して押圧される圧縮リング23によって実行される。
【0012】
焼結青銅の滑り軸受18の圧縮強さがパッキング押さえ19を軸方向に圧縮するのに十分でない場合、図4の図解に記載される滑り軸受18’の外側(当然ながら、シャフト15に当接する軸受表面は除く)は、スチールのような十分に強固な材料から成り、且つ、圧縮リング23からパッキング押さえ19まで圧力による力を伝達する支持スリーブ25によって取り囲まれうる。この実施形態においてもまた、滑り軸受18’は、実質的に自由乃至開放されており、かくして、周囲に対する良好な熱放散を確実にする。
【0013】
その上、ネジ24、滑り軸受18又は18’、及び、支持スリーブ25に加え、圧縮リング23は、クランプ装置26をまた形成する。
【0014】
ウォーム3とそれらのそれぞれのウォームシャフト15とが滑り軸受18又は18’を用いて前壁16の軸受凹部21に取り付けられるという事実によって、軸受部分17の半径方向の偏差は、この領域で回避されるので、軸受部分17に対するパッキング押さえ16の緊密度(tightness)が維持される。これにより、押出機で処理するためにホッパー5を介して供給される粉末が孔2を介して放出されることが防止されるので、軸受部分17とパッキング押さえ19との間の空間、又は、パッキング押さえ19と前壁16の軸受凹部21との間の空間に入ることができる粉末は全く存在しない。
【0015】
ウォーム3は、搬送方向4で孔2から取り外した後で、容易に再び設置することができる。パッキング押さえ19は、凹部21に配置されている。その軸受部分17に加えシャフトは、洗浄のために、搬送方向4とは反対側にパッキング押さえ19を通じて押される。その後、滑り軸受18又は18’は、外側からそれぞれの軸受部分17上をスライドさせられる。圧縮は、クランプ装置26を用いて行われる。その後、ギア11の出力軸13への接続は、連結スリーブ14を用いて復旧される。
【符号の説明】
【0016】
1 ハウジング
2 孔
3 ウォーム
16 前壁
17 軸受部
18 滑り軸受
18’ 滑り軸受
19 パッキング押さえ
20 対向軸受
21 凹部
22 軸
23 押圧リング
24 ネジ
25 支持スリーブ
26 クランプ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
‐ハウジング(1)と、
‐ハウジング(1)における少なくとも一つの孔(2)であって、軸(22)を備える孔(2)と、
‐ハウジング(1)の前壁(16)であって、少なくとも一つの孔(2)を閉じる前壁(16)と、
‐前壁(16)における凹部(21)であって、軸(22)と同心に形成される凹部(21)と、
‐孔(2)に配置され、且つ、外側まで凹部(21)貫通する円筒軸受部分(17)を備えて成るウォーム(3)と、
‐孔(2)の方向で対向軸受(20)に当接し、且つ、凹部(21)と軸受部分(17)とに対してシールするパッキング押さえ(19)と、
‐軸受部分(17)に配置され、且つ、片持ち梁式にウォーム(3)を支持するために凹部(21)に対して半径方向に支持される滑り軸受(18、18’)と、
‐前壁(16)と係合するクランプ装置(26)であって、パッキング押さえ(19)が半径方向に変形させられてシールするように、軸(22)の方向にパッキング押さえ(19)に対して滑り軸受(18、18’)を押圧するクランプ装置(26)と、
を備えて成る押出機。
【請求項2】
滑り軸受(18、18’)が焼結青銅から成ることを特徴とする請求項1に記載の押出機。
【請求項3】
支持スリーブ(25)が滑り軸受(18’)の外側及び前面側に形成され、当該支持スリーブ(25)は、耐圧縮材料から成ることを特徴とする請求項2に記載の押出機。
【請求項4】
滑り軸受(18、18’)の一部が、前壁(16)の外側に配置され、且つ、大気に対して開放されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の押出機。
【請求項5】
クランプ装置(26)は、ネジ(24)を用いて孔(2)の方に軸(22)の方向で前壁(16)に対して押圧される圧縮リング(23)から成ることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の押出機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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