説明

押圧キートップ構造

【課題】押圧キートップを押圧する際にケースの開口部の縁部が邪魔にならず、押圧キートップが操作し易い押圧キートップ構造を提供する。
【解決手段】ケース10の上面部11の中央に電子部品設置部20を設けてスライド式スイッチ25を設置し、その両側部に上面部11からそれぞれケース10の側壁12−1,12−2に連続して切り欠かれた切り欠き形状に形成した開口部17−1,17−2を設け、この開口部17−1,17−2内に、ヒンジ部47−1,47−2を介してケース10に対して上下動自在に連結した押圧キートップ40−1,40−2を設置して、該開口部17−1,17−2から押圧キートップ40−1,40−2の上面と両外側の側面42−1,42−2とを露出させた構造のスライド式電子部品付き押釦スイッチ1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチなどを押圧操作する押圧キートップを備えた押圧キートップ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スイッチなどを押圧操作する押圧キートップを備えた押圧キートップ構造として、特許文献1に示すように、ケース(銘板)に開口部を設け、この開口部内に押圧キートップを上下動自在に設置した押圧キートップ構造がある。この押圧キートップ構造は、開口部から露出する押圧キートップを指などで押圧操作して下降させることで、その下に配置したスイッチなどの電子部品を操作できるようになっている。
【特許文献1】実開平2−26187号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、特許文献1に記載のように従来の押圧キートップ構造は、ケースの上面部に、周囲が囲まれた形状の開口部を設け、この開口部から押圧キートップの上面を露出させている。しかしながらこの押圧キートップ構造では、指で押圧キートップを押圧して操作する際に開口部の縁部に指が触れてしまい、押圧キートップが押しにくいという問題がある。特に、近年の電子機器の小型化に伴い押圧キートップが小型化しており、操作する指よりもその大きさが小さい押圧キートップが用いられる場合が多いため、このように開口部の縁部が邪魔になると押圧キートップが操作しにくくなり、操作性が悪くなる原因となっている。
【0004】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものでありその目的は、押圧キートップを押圧する際にケースの開口部の縁部が邪魔にならず、押圧キートップが操作し易い押圧キートップ構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため本願の請求項1に記載の発明は、ケースの上面に開口部を設け、該開口部内に押圧キートップを上下動自在に設置して前記押圧キートップの上面を前記開口部から露出させた押圧キートップ構造において、前記開口部を、前記ケースの上面からケース側壁に連続して切り欠かれた切り欠き形状に形成することで、前記押圧キートップの側面を前記ケース側壁から露出させたことを特徴とする。
【0006】
本願の請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の押圧キートップ構造において、前記ケース側壁から露出する押圧キートップの側面が、前記切り欠かれたケース側壁よりも前記ケースの内部側に配置されていることを特徴とする。
【0007】
本願の請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の押圧キートップ構造において、前記ケース側壁から露出する押圧キートップの側面の下端辺が、前記切り欠かれたケース側壁の上に配置されていることを特徴とする。
【0008】
本願の請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の押圧キートップ構造において、前記押圧キートップと前記切り欠かれたケース側壁の少なくともいずれか一方から他方に向かって突出する突出部を設け、この突出部によって、押圧キートップの前記下端辺と前記切り欠かれたケース側壁の上端辺との間の隙間がケース内部と仕切られていることを特徴とする。
【0009】
本願の請求項5に記載の発明は、ケースの上面に電子部品を設置する電子部品設置部を設け、該電子部品設置部の側部に請求項1乃至4のいずれか1項に記載の押圧キートップ構造を設けたことを特徴とする押圧キートップ構造にある。
【0010】
本願の請求項6に記載の発明は、ケースの上面に電子部品を設置する電子部品設置部を設け、該電子部品設置部の対向する両側部にそれぞれ請求項1乃至4のいずれか1項に記載の押圧キートップ構造を設けたことを特徴とする押圧キートップ構造にある。
【0011】
本願の請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の押圧キートップ構造において、前記押圧キートップから前記ケースの内部に向かって突出するヒンジ板を設け、このヒンジ板を前記ケースに連結することで、前記押圧キートップを上下動自在に設置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本願の請求項1に記載の発明によれば、押圧キートップを設置したケースの開口部を、ケースの上面からケース側壁に連続して切り欠かれた切り欠き形状に形成することで、押圧キートップの側面をケース側壁から露出させたので、指で押圧キートップを押圧操作する際に、開口部の縁部に指が触れずに押圧キートップだけを押圧でき、押圧キートップの押圧操作が非常に行い易くなる。特に、押圧キートップの露出する側面の上端辺である角部とその周囲部分が露出しているので、押圧キートップの真上からその上面を押圧するだけでなく、斜め上方からこの角部を押圧することで押圧操作できるので、指の腹などで押圧キートップの角部を押圧して操作することが可能となり、操作性が非常に良くなる。また押圧キートップを、操作する指よりも小さい寸法に形成してもその操作性が悪くならないので、押圧キートップ構造を小型化することが可能となる。
【0013】
本願の請求項2に記載の発明によれば、ケース側壁から露出する押圧キートップの側面が、ケース側壁よりもケースの内部側に配置されているので、押圧キートップの側面がケース側壁よりも外側に突出せず、押圧キートップの側面やその下端辺に指などが引っ掛かることを防げ、押圧キートップが誤って上方に引き上げられてしまうおそれがない。また、押圧キートップの側面が、ケース側壁よりもケースの内部側に配置されているので、押圧キートップの側面の下端辺を容易にケース側壁に位置する開口部より下側に設置することができ、そのようにすることで押圧キートップとケースの隙間からケースの内部が見えてしまうことを防げ、押圧キートップ構造の外観が損なわれない。
【0014】
本願の請求項3に記載の発明によれば、ケース側壁から露出する押圧キートップの側面の下端辺が、切り欠かれたケース側壁の上に配置されているので、ケースを小型化しても、押圧キートップをケースの側壁の上にせり出して設置することで押圧キートップの大きさを確保でき、押圧キートップが押圧操作しやすい押圧キートップ構造となる。
【0015】
本願の請求項4に記載の発明によれば、押圧キートップと切り欠かれたケース側壁の少なくともいずれか一方から他方に向かって突出する突出部を設け、この突出部によって、押圧キートップの下端辺と切り欠かれたケース側壁の上端辺との間の隙間がケース内部と仕切られているので、この隙間からケースの内部が見えてしまうことがなく、押圧キートップ構造の外観が損なわれない。
【0016】
本願の請求項5に記載の発明によれば、上記構成の押圧キートップ構造をケースの電子部品設置部の側部に設けたので、ケースに電子部品を設置しても、これに隣接して配置した押圧キートップを容易に操作することが可能となる。また、電子部品設置部に設置した電子部品と開口部に設置した押圧キートップとが隣接して配置されているので操作性が良くなり、例えば一本の指だけで電子部品の操作と押圧キートップの操作の両方を容易に行なうことが可能となる。
【0017】
本願の請求項6に記載の発明によれば、上記構成の押圧キートップ構造をケースの電子部品設置部の対向する両側部にそれぞれ設けたので、さらに多種類の操作が可能な押圧キートップ構造になる。また、電子部品設置部に設置した電子部品と各開口部に設置した押圧キートップとが隣接して配置されているので操作性が良くなり、例えば一本の指だけで電子部品の操作と各押圧キートップの操作の両方を容易に行なうことが可能となる。
【0018】
本願の請求項7に記載の発明によれば、押圧キートップにケースの内部に向かって突出するヒンジ板を設け、このヒンジ板をケースに連結することで、押圧キートップを上下動自在に設置したので、簡単な構成で押圧キートップを上下動自在に設置することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
〔第1実施形態〕
図1、図2は本発明の第1実施形態にかかる押圧キートップ構造を用いた電子部品付き押釦スイッチ(以下単に「押釦スイッチ」という)1を示す分解斜視図であり、図1は上側から見た図で、図2は下側から見た図である。また、図3は押釦スイッチ1を組み立てた状態を示す斜視図である。これらの図に示すように押釦スイッチ1は、ケース10に設けた一対の開口部17−1,17−2に、一対の押圧キートップ40(40−1,40−2)をそれぞれ上下動自在に設置すると共に、ケース10中央の電子部品設置部20に操作つまみ27や摺動型物30等からなる電子部品(以下「スライド式スイッチ」という)25を装着し、ケース10の下側にフレキシブル回路基板50と取付部材70を取り付けて構成されている。以下各構成部品について説明する。
【0020】
ケース10は、略矩形の平板状の上面部11と該上面部11の各辺から下方に向かって立接された側壁12−1〜12−4とを備えて箱型に形成された合成樹脂の成形品で、下面側に開口する凹部である収納部13を設けている。上面部11の中央には、電子部品設置部20が配置されている。ここで電子部品設置部20とは、ケース10のスライド式スイッチ25を取り付ける部分をいう。この電子部品設置部20は、収納部13の底面13aに連通する開口部21と、該開口部21の周囲の上面に形成された操作つまみ27を設置する溝部22とを備えて構成される。開口部21は、操作つまみ27のスライド方向(以下、単に「スライド方向」という)が長手方向である長方形状の貫通穴で、溝部22は、スライド方向が長手方向である開口部21よりも大きな長方形状で所定の深さを有している。一方、図2に示すように収納部13の底面13aには、開口部21の四辺を囲んで長方形状に形成された下方に突出する枠部14が設置されている。枠部14の内周の全周には段部14aが形成され、段部14aの下側の内周よりも上側の内周の方がその寸法が小さくなっている。そして、枠部14のスライド方向の両外側の底面13aには、下方に突出する突起状の固定部15が各2個ずつ設置されている。一方、ケース10の下面(側壁12−1〜12−4の下端面)の四隅には、下方に突出する突起状の固定部16が設置されている。
【0021】
そして、ケース10の電子部品設置部20の互いに対向する両側部(スライド方向に直交する両外側)にそれぞれ開口部17−1,17−2が設けられている。開口部17−1,17−2は、スライド方向を長手方向とする略長方形状に形成され、上面部11の電子部品設置部20の両側部からそれぞれ側壁12‐1,12−2の上部にかけて切り欠かれた切り欠き形状に形成されている。すなわち、側壁12−1,12−2のスライド方向の略中間部付近の上部が、開口部17−1,17−2によって上端辺18−1,18−2まで矩形状に切り欠かれている。
【0022】
本実施形態では、電子部品設置部20にスライド式スイッチ25を設置している。スライド式スイッチ25は、操作つまみ27と、摺動子35を取り付けた摺動型物30を、電子部品設置部20の開口部21を挟んでその上下から一体に連結して固定することで、これら操作つまみ27と摺動型物30をケース10に対してスライド移動自在に設置し、且つ摺動子35を下記するフレキシブル回路基板50のスイッチパターン57に摺接させることで構成される。
【0023】
操作つまみ27は、合成樹脂の成形品で、その下面が溝部22内にスライド移動自在に収納される幅寸法の長方形の板状に形成された本体部27aを備え、本体部27aの上面に指などで操作する操作部27bを設け、下面には、下方に向かって突出する4個の突起状の固定部28を設けている。
【0024】
摺動型物30は、合成樹脂の成形品で、枠部14の段部14aより下側の内周面のスライド方向に直交する方向の幅寸法より僅かに小さい幅寸法を有する長方形状の板状で、枠部14内でスライド方向にスライド自在に収納されるように形成されている。そしてその四隅には、操作つまみ27の固定部28を挿入させる貫通孔からなる取付固定部31が設けられ、下面の略中央部には、下方に突出する突起からなる摺動子固定部32が設けられている。
【0025】
摺動子35は、導電性を有する弾性金属製の板状部材で、平板状の本体部35aと該本体部35aの一端に連接する二本の摺動片35bを有して構成され、摺動片35bはその根元部分が本体部35aの下面側に折り返され、さらにその先端部に下方向に湾曲して突出する接点部35cが設けられている。一方、本体部35aには貫通孔からなる取付固定部36が設けられている。
【0026】
押圧キートップ40−1,40−2は、共に合成樹脂の成型品であり、所定の厚みを有する略長方形の板状に形成された本体部41−1,41−2を備えている。本体部41−1,41−2は、ケース10の開口部17−1,17−2内に上下動自在に設置されるように、その側面外周の外形寸法が開口部17−1,17−2内周の内形寸法よりも若干小さく形成されている。すなわち、押圧キートップ40−1,40−2を開口部17−1,17−2内に設置した際に、両押圧キートップ40−1,40−2の外側(スライド方向に直交する両外側)の側面42−1,42−2が、ケース10の側壁12−1,12−2よりもケース10の内部側に配置される寸法に形成されている(下記の図4参照)。また、本体部41−1,41−2の厚みは、側壁12−1,12−2の切り欠かれた高さ寸法Lよりも厚い寸法に形成されている。一方、本体部41−1,41−2の上面と、側面42−1,42−2の上端辺である角部44−1,44−2とが、指などで押圧操作される押釦部45−1,45−2になっている。また押圧キートップ40−1の本体部41−1の下面は、平面状の押圧部46−1になっていて、押圧キートップ40−2の本体部41−2の下面には、下方に突出する突起状の押圧部46−2が形成されている。そして、これら本体部41−1,41−2の長手方向の両端からは、それぞれ両押圧キートップ40−1,40−2が対向する側、即ち押圧キートップ40−1,40−2からケース10の内部側である電子部品設置部20側に向かって、平行な二本ずつの押圧方向に対して弾性変形する薄板棒状のヒンジ部(ヒンジ板)47−1,47−1と47−2,47−2とを突出させて設け、これらヒンジ部47−1,47−1と47−2,47−2の先端にそれぞれ四角柱状の固定部48−1,48−1,48−2,48−2を設け、各固定部48−1,48−1,48−2,48−2に上下方向に貫通する取付孔49−1,49−1,49−2,49−2を設けている。
【0027】
フレキシブル回路基板50は、可撓性を有する合成樹脂フイルム(ポリエチレンテレフタレートフイルム〔PETフイルム〕等)上に回路パターンを形成して構成されており、ケース10の外形と略同一の形状・寸法に形成された基板部51と、基板部51より小さい寸法の基板部52と、これら基板部51と基板部52を連結する連結部53を具備し、基板部51上に基板部52を折り返して重ねるようになっている。基板部51には、押圧キートップ40−1,40−2の押圧部46−1,46−2に対向する位置に、それぞれ図示しないスイッチパターンが印刷によって形成されており、各々のスイッチパターン上に反転板(可動接点板)が載置されることでスイッチ54,55が形成されている。一方、基板部52にも、印刷により図示しないスイッチパターンが形成されており、このスイッチパターン上に反転板(可動接点板)が載置されることでスイッチ56が形成されている。また基板部52の下面には、これを補強する補強板65が貼り付けられている。各スイッチ54,55,56の反転板は、いずれも弾性金属板をドーム形状に形成したもので、反転時にそれらの下部に配置されたスイッチパターンを導通すると共にクリック感覚を生じるように構成されている。ここでは、スイッチ54の反転板よりもスイッチ56の反転板の方が弱い力で反転するように構成されている。
【0028】
また、基板部51の、摺動子35の接点部35cが摺接する位置には、印刷によりスイッチパターン57が形成されている。スイッチパターン57は、摺動型物30のスライド方向に向かう直線状のコモン接点57aと、コモン接点57aと平行な一本の直線上に配置された2つの接点57b,57cとを備え、その上を接点部35cが摺動することでそのオンオフ出力が変化するように構成されている。一方、基板部51の四隅であってケース10の固定部16に対向する位置には、それぞれ貫通孔からなる取付固定部58が設けられ、下記する作動部材60の固定部61a,61bを取り付ける位置には、貫通孔からなる取付固定部59a,59bが設けられている。
【0029】
作動部材60は、合成樹脂の一体成形品であり、基部61と、押圧部62と、基部61と押圧部62間を連結するアーム部63とを具備して構成されている。基部61の上下面には、基板部51の取付固定部59a,59bに挿入されて取り付けられる突起状の固定部61a,61bが設けられている。また押圧部62には上下に突出する突出部が設けられ、その上下面62a、62bがそれぞれスイッチ56,54を押圧するようになっている。また、アーム部63は可撓性を有し、容易に上下方向に撓むように薄い厚みに形成されている。
【0030】
取付部材(取付板)70は、合成樹脂板や金属板等の硬質板からなり、その四隅に各々1個ずつ貫通孔からなる取付固定部71を設けると共に、基板部51の取付固定部59bに対向する位置に、貫通孔からなる取付固定部72を設けて構成されている。
【0031】
次に、押釦スイッチ1の組み立て方法を説明すると、まず、ケース10の開口部17−1,17−2に、収納部13側から押圧キートップ40−1,40−2を挿入して取り付ける。このとき押圧キートップ40−1,40−2の本体部41−1,41−2を開口部17−1,17−2内に配置して、ヒンジ部47−1,47−1と47−2,47−2の取付孔49−1,49−1と49−2,49−2とにケース10の固定部15を挿入することで固定部48−1,48−1,48−2,48−2をケース10の収納部13の底面13aに固定する。これにより押圧キートップ40−1,40−2の本体部41−1,41−2は、それぞれ固定部48−1,48−1,48−2,48−2の部分を支点として押圧方向に対して弾性変形するヒンジ部47−1,47−1と47−2,47−2を介して、ケース10に上下動自在に固定される。
【0032】
一方、摺動型物30の摺動子固定部32を摺動子35の取付固定部36に挿入して摺動子固定部32の先端を熱カシメすることで、摺動型物30に摺動子35を取り付ける。そして、操作つまみ27の本体部27aの下面を溝部22に係合させると共に、固定部28を開口部21に挿入して収納部13側に突出させる。そして摺動型物30を枠部14内に設置すると共に、取付固定部31に固定部28を挿通させて、摺動型物30の下面側に突出した固定部28の先端を熱カシメで固定する。これにより、操作つまみ27と摺動型物30が、開口部21を挟んでその上下で一体に固定される。
【0033】
次に、取付部材70上にフレキシブル回路基板50の基板部51を載置し、作動部材60の固定部61bを基板部51の取付固定部59bと取付部材70の取付固定部72に挿通して、取付部材70の下面側に突出した固定部61bの先端を熱カシメにより固定する。そして、基板部51の取付固定部59bと取付固定部59aの間の部分を折り返して基板部51に基板部52を重ねると共に、固定部61aを基板部51の取付固定部59aに挿通して、折り返した基板部51の上側に突出した固定部61aの先端を熱カシメにより固定する。
【0034】
そして、ケース10の固定部16を、基板部51の取付固定部58と取付部材70の取付固定部71に挿入して、取付部材70の下面側に突出した固定部16の先端を熱カシメすることで、ケース10の下面にフレキシブル回路基板50と取付部材70を取り付けてこれら部材を一体に固定する。以上により押釦スイッチ1の組み立てが完了する。
【0035】
図3は、組み立てた押釦スイッチ1の外観を示す斜視図で、図4は、図3のA−A部分断面図である。これらの図と図1,図2とに示すように押釦スイッチ1は、ケース10の上面部11の中央に電子部品設置部20を設けて、この電子部品設置部20にスライド式スイッチ25を設置し、電子部品設置部20の側部(互いに対向する両側部)に開口部17−1,17−2を設けて、この開口部17−1,17−2内に押圧キートップ40−1,40−2を設置している。押圧キートップ40−1,40−2には、ケース10の内部(電子部品設置部20側)に向かって突出するヒンジ部47−1,47−1,47−2,47−2を設け、これらヒンジ部47−1,47−1,47−2,47−2の先端の固定部48−1,48−1,48−2,48−2をケース10に連結することで、本体部41−1,41−2を開口部17−1,17−2内に上下動自在に設置している。開口部17−1,17−2は、それぞれケース10の上面部11から側壁(ケース側壁)12−1,12−2の途中まで連続して切り欠かれた切り欠き形状に形成されていて、押圧キートップ40−1,40−2の側面42−1,42−2がこの切り欠かれた側壁12−1,12−2から露出している。また、図4に示すようにケース10の側壁12−1,12−2から露出する側面42−1,42−2が、側壁12−1,12−2よりもケース10の内部側に配置されている。また、側面42−1,42−2の下端辺43−1,43−2が、切り欠かれた側壁12−1,12−2の上端辺18―1、18−2よりも低い位置に配置されて、本体部41−1,41−2の下面(押圧部46−1,46−2を設けた面)と側面42−1,42−2の下側の部分とがケース10に内包された状態になっている。一方、押圧キートップ40−1の押圧部46−1の下側には上下に重ねて二個のスイッチ54,56を設置すると共にこれらスイッチ54,56の間に作動部材60の押圧部62を配置して二段の押釦スイッチが構成され、押圧キートップ40−2の押圧部46−2の下側にはスイッチ55が設置されて一段の押釦スイッチが構成されている。
【0036】
次に、押釦スイッチ1の動作を説明する。まず、押圧キートップ40−1,40−2によるスイッチ54,55,56の押圧動作を説明すると、図4に示す状態で、押圧キートップ40−2の押釦部45−2を押圧することで、適度な押圧操作力にてヒンジ部47−2、47−2が撓み、本体部41−2が下降する。それにより押圧部46−2が対向する反転板を押圧して反転させ、スイッチ55がオンする。押釦部45−2への押圧を解除すると、反転板の反転力とヒンジ部47−2,47−2の復元力とにより押圧キートップ40−2が上昇してスイッチ55がオフする。また、図4に示す状態から押圧キートップ40−1の押釦部45−1を押圧すると、適度な押圧操作力にてヒンジ部47−1,47−1が撓み、本体部41−1が下降する。これにより、押圧部46−1が基板部52を補強板65の裏面側から押圧して下降させる。すると、押圧部62の上面62aが対向する反転板を押圧してこれを反転させ、スイッチ56がオンする。この状態からさらに押釦部45−1を押圧すると、ヒンジ部47−1,47−1がさらに撓んで本体部41−1が下降し、押圧部62の下面62bが対向する反転板を押圧してこれを反転させ、スイッチ54がオンする。押釦部45−1への押圧を解除すると、反転板の反転力とヒンジ部47−1,47−1の復元力とによって、押圧キートップ40−1と基板部52が同時に上方へ移動してスイッチ54がオフし、続いてスイッチ56もオフする。
【0037】
次に、スライド式スイッチ25の動作を説明すると、図3に示す操作つまみ27を、溝部22内の中央位置から一方にスライド移動させると、図1に示す接点部35cがスイッチパターン57上を摺接しながら移動し、コモン接点57aと一方の接点57b(又は57c)とが導通してスイッチがオンする。操作つまみ27を溝部22内の中央位置に戻せば、コモン接点57aと接点57b(又は57c)との導通が解除されてスイッチがオフする。一方、操作つまみ27を、溝部22内の中央位置から他方にスライド移動させると、コモン接点57aと他方の接点57c(又は57b)とが導通して、スイッチがオンする。この場合も操作つまみ27を溝部22内の中央位置に戻せば、コモン接点57aと接点57c(又は57b)との導通が解除されてスイッチがオフする。
【0038】
以上説明した本実施形態の押釦スイッチ1が備える押圧キートップ構造によれば、押圧キートップ40−1,40−2を設置したケース10の開口部17−1,17−2を、それぞれケース10の上面部11から側壁12−1,12−2に連続して切り欠かれた切り欠き形状に形成して、押圧キートップ40−1,40−2の側面42−1,42−2を側壁12−1,12−2から露出させたので、指などで押圧キートップ40−1,40−2を押圧操作する際に、開口部17−1,17−2の縁部に指などが触れずに押圧キートップ40−1,40−2だけを押圧できるので、押圧キートップ40−1,40−2の操作が非常に行い易くなる。特に、押圧キートップ40−1,40−2の露出する側面42−1,42−2の上端辺である角部44−1,44−2とその周囲部分が露出しているので、押圧キートップ40−1,40−2の真上からその上面を押圧するだけでなく、斜め上方からこの角部44−1,44−2を押圧することで操作できるので、押圧キートップ40−1,40−2を開口部17−1,17−2から上方に向けて大きく突出させていなくても、指の腹などで角部44−1,44−2を押圧して操作することが可能となり、操作性が非常に良くなる。また押圧キートップ40−1,40−2の本体部41−1,41−2の寸法を、操作する指の腹よりも小さい寸法に形成しても、開口部17−1,17−2の縁部が邪魔にならずに押圧操作できるので、操作性を悪化させずに押圧キートップ構造を小型化することが可能となる。なお、押圧キートップ40−1,40−2の寸法を、親指や人差し指など操作する指の腹の寸法と略同一の寸法かそれよりも若干大きな寸法に形成すれば、押釦スイッチ1の側方(スライド方向に直交する両外側)から親指や人差し指などの腹で押圧キートップ40−1,40−2の角部44−1,44−2を押圧して操作することが可能となり、押圧キートップ構造の操作性がさらに向上する。
【0039】
また、本実施形態ではケース 10の側壁12−1,12−2から露出する押圧キートップ40−1,40−2の側面42−1,42−2が、側壁12−1,12−2よりもケース10の内部側に配置されているので、押圧キートップ40−1,40−2の側面42−1,42−2が側壁12−1,12−2よりも外側に突出しない。したがって、押圧キートップ40−1,40−2の側面42−1,42−2やその下端辺43−1,43−2に指などが引っ掛かるおそれがないので、押圧キートップ40−1,40−2が誤って上方に引き上げられてしまうことを防げる。また本実施形態では、図4に示すように押圧キートップ40−1,40−2の側面42−1,42−2の下端辺43−1,43−2が、切り欠かれた側壁12−1,12−2の上端辺18−1,18−2よりも低い位置に配置されているので、押釦スイッチ1を側方(スライド方向に直交する両外側)から見た際に、ケース10の内部が見えてしまうおそれが無い。したがって、押釦スイッチ1の外観が良好になる。なお、押圧キートップ40−1,40−2の側面42−1,42−2の下端辺43−1,43−2が、側壁12−1,12−2の上端辺18−1,18−2よりも高い位置に配置されている場合は、押釦スイッチ1を側方から見た際にこれらの間に隙間ができるが、その場合は、押圧キートップ40−1,40−2とケース10の側壁12−1,12−2の少なくともいずれか一方から他方に向かって(上方又は下方に向かって)突出する板形状などの突出部を形成することで、この突出部でこの隙間とケース10の内部とを仕切ることが可能である。こうすれば、この隙間からケース10の内部が見えてしまうことを防止でき、押釦スイッチ1の外観が損なわれずに済む。
【0040】
またこの押圧キートップ構造では、ケース10の上面部11にスライド式スイッチ25を設置する電子部品設置部20を設け、該電子部品設置部20の両側部に押圧キートップ40−1,40−2を設置する開口部17−1,17−2を設けたので、一つの押圧キートップ構造で複数種類の操作が可能となると共に、スライド式スイッチ25と押圧キートップ40−1,40−2とが近い位置に集約されて配置されているので、押圧キートップ構造の小型化を図ることができる。また、スライド式スイッチ25と押圧キートップ40−1,40−2とが隣接して配置されているので操作性が向上し、例えば一本の指だけでスライド式スイッチ25の操作と押圧キートップ40−1,40−2による押釦スイッチ操作の両方の操作を容易に行なうことができる。
【0041】
また、押圧キートップ40−1,40−2にケース10の内部側(電子部品設置部20側)に向かって突出するヒンジ部47−1,47−1,47−2,47−2を設け、このヒンジ部47−1,47−1,47−2,47−2の先端をケース10に連結することで、押圧キートップ40−1,40−2を上下動自在に設置している。この構成により、押圧キートップ40−1,40−2の角部44−1,44−2が、ヒンジ部47−1,47−1,47−2,47−2のケース10に連結固定された箇所から大きく離れた位置になるので、押圧キートップ40−1,40−2が押圧操作される際の角部44−1,44−2の上下動のストロークを長くすることができ、その操作性が向上する。
【0042】
なお、図4に示すように押釦スイッチ1の側壁12−1,12−2の内面側に、ケース10の内部に向かって突出する突起状のストッパー部19を設け、押圧キートップ40−1,40−2を押圧して下降させた際に、本体部41−1,41−2の下面がストッパー部19の上面に当接して押圧キートップ40−1,40−2のそれ以上の下降が規制されるように構成することもできる。
【0043】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態にかかる押圧キートップ構造を説明する。以下の本発明の第2実施形態にかかる図面及びその説明においては、第1実施形態と共通する構成部分には同一の符号を付す。なお以下で説明する事項以外の事項については、第1実施形態と同じである。図5、図6は、本発明の第2実施形態にかかる押圧キートップ構造を用いた押釦スイッチ1−2の分解斜視図であり、図1はそれらを上側から見た図で、図2は下側から見た図である。ただしこれらの図では、押釦スイッチ1の構成部品と共通であるフレキシブル回路基板50と作動部材60と取付部材70、及びスライド式スイッチ25の各部品の図示を省略すると共に、ケース80の電子部品設置部20を一点鎖線で示している。本実施形態が、第1実施形態と相違する点は、第1実施形態の押圧キートップ40(40−1,40−2)とはその形状が異なる押圧キートップ90(90−1,90−2)を備え、ケース10の開口部17−1,17−2の形状を変更したケース80を備えると共に、ヒンジ板100を備えた点であり、それ以外の押圧キートップ構造を構成する各部品、さらにこの押圧キートップ構造を用いて構成される押釦スイッチ1−2を構成する各部品の形状・構造は、図示していない部品も含めて押釦スイッチ1の各部品と同一である。
【0044】
ケース80は、ケース10と同様に、略矩形の平板状の上面部81と該上面部81の各辺から下方に向かって立接された側壁82−1〜82−4とを備えて箱型に形成された合成樹脂の成形品で、下面側に開口する凹部である収納部83を設けている。上面部81の中央には、電子部品設置部20が配置されている。電子部品設置部20の互いに対向する両側部(スライド方向に直交する両側部)に開口部87−1,87−2を設けている。この開口部87−1,87−2は、スライド方向を長手方向とする略長方形状に形成され、上面部81の電子部品設置部20の両側部からそれぞれ側壁82−1,82−2の上部にかけて切り欠かれた切り欠き形状に形成されている。さらに側壁82−1,82−2の上端辺(上端面)88−1,88−2には、上方に向かって(下記する押圧キートップ90−1,90−2の方に向かって)突出する薄板形状の突出部89−1,89−2が設けられている。一方、図6に示すようにケース80の収納部83の底面83aには、枠部14のスライド方向の両外側にそれぞれ下方に突出する突起状の固定部85が各1個ずつ設置されている。また一方、ケース80の下面(側壁82−1〜82−4の下端面)の四隅には、下方に突出する突起状の固定部86が設置されている。
【0045】
押圧キートップ90−1,90−2は、略長方形の板状に形成された本体部91−1,91−2を備えて構成されている。本体部91−1,91−2の下面には凹部98−1,98−2が形成され、凹部98−1,98−2の底面中央には、下方に突出する突起状の押圧部96−1,96−2が設けられている。押圧部96−1よりも押圧部96−2の方がその長さ寸法が長く形成されている。一方、本体部91−1,91−2の上面と、側面92−1,92−2の上端辺である角部94−1,94−2とが、指などで押圧操作される押釦部95−1,95−2になっている。また、本体部91−1,91−2の外周側面のうち、電子部品設置部20側を向く側面の下部からその両側の側面の途中までには、外側に向かって突出するつば部97−1,97−2が形成されている。押圧キートップ90−1のつば部97−1を設けた側の辺(電子部品設置部20側を向く辺)の下面には、下方に突出する突起状の固定部99−1が2個設けられ、押圧キートップ90−2のつば部97−2を設けた側の辺(電子部品設置部20側を向く辺)の下面には、下方に突出する突起状の固定部99−2が3個設けられている。
【0046】
ヒンジ板100は、弾性金属製の板状部材で、中央に略矩形の開口部101を設けその周囲に四辺100a〜100dを備えた長方形の環状に形成されており、電子部品設置部20の枠部14の周囲を囲んで設置するように構成されている。長手方向を向く対向する二辺100a,100bが、押圧キートップ90−1,90−2に連結される側の辺であり、もう一方の対向する辺100c,100dが、ケース80に連結される側の辺である。このヒンジ板100は、一例としてステンレス鋼(SUS)からなる厚さ約0.2mmの薄板状部材とすると好適である。長手方向の一辺100aには、貫通孔からなる取付固定部102が2個配置され、他の一辺100bには貫通孔からなる取付固定部103が3個配置されている。また、短手方向の両辺100c,100dの中央には、それぞれ貫通孔からなる取付固定部104が1個ずつ配置されている。
【0047】
押釦スイッチ1−2の組み立て方法のうち、押釦スイッチ1の組み立てとその手順が異なるケース80への押圧キートップ90−1,90−2の取り付け方法を説明する。まず、ケース80の開口部87−1,87−2に、収納部83側から押圧キートップ90−1,90−2の本体部91−1,91−2を挿入して取り付ける。その際、ケース80の突出部89−1,89−2が凹部98−1,98−2内に配置されるように、突出部89−1,89−2に凹部98−1,98−2を被せる。また、つば部97−1,97−2の上面を収納部83の底面83aに当接させる。その状態で、枠部14の周囲をヒンジ板100の開口部101に挿入し、つば部97−1,97−2の下側にヒンジ板100の辺100a,100bを配置する。そして、押圧キートップ90−1,90−2の固定部99−1,99−2をヒンジ板100の取付固定部102,103に挿通し、ケース80の固定部85をヒンジ板100の取付固定部104に挿通する。ヒンジ板100の下面側に突出したこれら固定部99−1,99−2,85の先端を熱カシメにより固定することで、ケース80とヒンジ板100間、及び押圧キートップ90−1,90−2とヒンジ板100間を同時に連結する。
【0048】
図7は組み立てた押釦スイッチ1−2の外観を示す斜視図で、図8は、図7のB−B部分断面図である。押釦スイッチ1−2は、押圧キートップ90−1,90−2に取り付けたヒンジ板100の辺100c,100d(図5、図6参照)が、押圧キートップ90−1,90−2からケース80の内部側(電子部品設置部20側)に向かって突出しており、その辺100c,100dに設けた取付固定部104がケース10に連結されて、押圧キートップ90−1,90−2を上下動自在に設置している。また本実施形態では、側壁82−1,82−2から露出する押圧キートップ90−1,90−2の側面92−1,92−2の下端辺93−1,93−2が、側壁82−1,82−2の上(詳細には側壁82−1,82−2の上端辺88−1,88−2の上)に配置され、押圧キートップ90−1,90−2の側面92−1,92−2の略全体が開放されている。そして側壁82−1,82−2の上端辺88−1,88−2に、押圧キートップ90−1,90−2に向かって(上方に向かって)突出する突出部89−1,89−2を設けており、この突出部89−1,89−2によって押圧キートップ90−1,90−2の下端辺93−1,93−2と側壁82−1,82−2の上端辺88−1,88−2との間の隙間がケース80の内部と仕切られている。これにより、この隙間からケース80の内部が見えてしまうことがなく、押釦スイッチ1−2の外観が損なわれない。なお、本実施形態では、側壁82−1,82−2に突出部89−1,89−2を設けているが、これにかえて、図示は省略するが、押圧キートップ90−1,90−2の例えば下端辺93−1,93−2などに、側壁82−1,82−2に向かって(下方に向かって)突出する突出部を設けることも可能であるし、側壁82−1,82−2と押圧キートップ90−1,90−2の両方に、それぞれ他方に向かって突出する突出部を設けることも可能である。
【0049】
また本実施形態の押圧キートップ構造では、図8に示すように側壁82−1,82−2が切り欠かれていて、その上端辺88−1,88−2の上に押圧キートップ90−1,90−2の側面92−1,92−2が配置されており、押釦スイッチ1−2の幅方向(スライド方向に直交する方向)において、押圧キートップ90−1,90−2の外側部分が側壁82−1,82−2内にせり出して配置されている。したがってその分ケース80の幅寸法を小さく形成することができるので、押圧キートップ90−1,90−2の十分な大きさを確保しながら押釦スイッチ1−2を小型化できる。特に、押圧キートップ90−1,90−2を、第1実施形態の押釦スイッチ1の押圧キートップ40−1,40−2と同じ大きさにした場合でも、ケース80の幅寸法を、押釦スイッチ1のケース10の幅寸法よりも小さく構成することが可能となる。なお本実施形態の押圧キートップ構造では、高い剛性を有する弾性金属製のヒンジ板100を用いて押圧キートップ90−1,90−2をケース80に連結しているため、万一、押圧キートップ90−1,90−2の側面92−1,92−2やその下端辺93−1,93−2に指や爪が引っ掛かって押圧キートップ90−1,90−2が上方に引っ張り上げられても、押圧キートップ90−1,90−2が容易に持ち上がる恐れがなく、また、ヒンジ板100が変形して押圧キートップ90−1,90−2が元の位置に戻らなくなる恐れもない。
【0050】
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお直接明細書及び図面に記載のない何れの形状・構造・材質であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。例えば、上記実施形態の押釦スイッチ1,1−2では、各押圧キートップ40−1,40−2や90−1,90−2の下方に設置したスイッチをそれぞれ二段スイッチと一段スイッチとしたが、これらスイッチは、両方とも二段スイッチ又は一段スイッチとしてもよく、あるいは三段以上のスイッチとしてもよい。また、フレキシブル回路基板50に代えて硬質基板を用いることもできる。その場合は、取付部材70を省略することも可能である。
【0051】
また、上記実施形態の押釦スイッチ1,1−2では、いずれも2個の押圧キートップ40−1,40−2又は90−1,90−2を設置した例を示したが、押圧キートップは1個だけ設置してもよいし、3個以上設置してもよい。設置する押圧キートップが1個の場合は、これを電子部品設置部20のいずれか一方の側部に設置することができる。また設置する押圧キートップが3個以上の場合は、例えば電子部品設置部20の周囲を囲むように設置することができる。あるいは、電子部品設置部20を省略して押圧キートップ40−1,40−2又は90−1,90−2だけを設置して、押釦スイッチを構成することも可能である。
【0052】
また、第2実施形態の押釦スイッチ1−2が備えるヒンジ板100の形状は、上記で示した環状に限定されず、押圧キートップ90−1,90−2を開口部87−1,87−2内で上下動可能となるようにケース80に連結できる形状であれば、例えば略コ字状や直線状など他の形状に形成してもよい。また一つの押圧キートップを複数のヒンジ板によってケースに取り付けても良い。
【0053】
また、電子部品設置部20に設置する電子部品はスライド式スイッチ25に限らず、それ以外にも、例えば回転式電子部品やLED照明機構など、他の電子部品を設置することも可能である。またその際、電子部品設置部20に開口部21を設ける場合でも、その形状は矩形状に限らず、設置する電子部品に応じて適宜円形や楕円形など他の任意の形状とすることができる。例えば、電子部品設置部20に回転式電子部品を設置する場合は、開口部21を円形に形成し、ケース10(80)の下面側に設置した回転式電子部品本体部(回転型物や摺動子や回路基板〔スイッチパターンや抵抗パターン等の摺接パターンを設けた基板〕等からなる)から突出するシャフトを、この開口部21にその下面側から露出して、該シャフトの上部に回転つまみを取り付け、回転つまみを回転させることで摺動子が摺接パターン上を摺接してその電気的出力を変化するように構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる押圧キートップ構造を備えた押釦スイッチ1の分解斜視図(上側)である。
【図2】押釦スイッチ1の分解斜視図(下側)である。
【図3】押釦スイッチ1の外観構成を示す斜視図である。
【図4】図3のA−A部分の概略断面図である。
【図5】本発明の第2実施形態にかかる押圧キートップ構造を備えた押釦スイッチ1−2の分解斜視図(上側)である。
【図6】押釦スイッチ1−2の分解斜視図(下側)である。
【図7】押釦スイッチ1−2の外観構成を示す斜視図である。
【図8】図7のB−B部分の概略断面図である。
【符号の説明】
【0055】
1 押釦スイッチ
1−2 押釦スイッチ
10 ケース
11 上面部
12−1〜12−4 側壁
17−1,17−2 開口部
18−1,18−2 上端辺
20 電子部品設置部
25 スライド式スイッチ
40(40−1,40−2) 押圧キートップ
41−1,41−2 本体部
42−1,42−2 側面
43−1,43−2 下端辺
44−1,44−2 角部
45−1,45−2 押釦部
47−1,47−2 ヒンジ部(ヒンジ板)
50 フレキシブル回路基板
54 スイッチ
55 スイッチ
56 スイッチ
60 作動部材
62 押圧部
70 取付部材
80 ケース
81 上面部
82−1,82−2 側壁
87−1,87−2 開口部
88−1,88−2 上端辺
89−1,89−2 突出部
90(90−1,90−2) 押圧キートップ
91−1,91−2 本体部
92−1,92−2 側面
93−1,93−2 下端辺
94−1,94−2 角部
95−1,95−2 押釦部
100 ヒンジ板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースの上面に開口部を設け、該開口部内に押圧キートップを上下動自在に設置して前記押圧キートップの上面を前記開口部から露出させた押圧キートップ構造において、
前記開口部を、前記ケースの上面からケース側壁に連続して切り欠かれた切り欠き形状に形成することで、前記押圧キートップの側面を前記ケース側壁から露出させたことを特徴とする押圧キートップ構造。
【請求項2】
請求項1に記載の押圧キートップ構造において、
前記ケース側壁から露出する押圧キートップの側面が、前記切り欠かれたケース側壁よりも前記ケースの内部側に配置されていることを特徴とする押圧キートップ構造。
【請求項3】
請求項1に記載の押圧キートップ構造において、
前記ケース側壁から露出する押圧キートップの側面の下端辺が、前記切り欠かれたケース側壁の上に配置されていることを特徴とする押圧キートップ構造。
【請求項4】
請求項3に記載の押圧キートップ構造において、
前記押圧キートップと前記切り欠かれたケース側壁の少なくともいずれか一方から他方に向かって突出する突出部を設け、この突出部によって、押圧キートップの前記下端辺と前記切り欠かれたケース側壁の上端辺との間の隙間がケース内部と仕切られていることを特徴とする押圧キートップ構造。
【請求項5】
ケースの上面に電子部品を設置する電子部品設置部を設け、該電子部品設置部の側部に請求項1乃至4のいずれか1項に記載の押圧キートップ構造を設けたことを特徴とする押圧キートップ構造。
【請求項6】
ケースの上面に電子部品を設置する電子部品設置部を設け、該電子部品設置部の対向する両側部にそれぞれ請求項1乃至4のいずれか1項に記載の押圧キートップ構造を設けたことを特徴とする押圧キートップ構造。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の押圧キートップ構造において、
前記押圧キートップから前記ケースの内部に向かって突出するヒンジ板を設け、このヒンジ板を前記ケースに連結することで、前記押圧キートップを上下動自在に設置したことを特徴とする押圧キートップ構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−344515(P2006−344515A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−169873(P2005−169873)
【出願日】平成17年6月9日(2005.6.9)
【出願人】(000215833)帝国通信工業株式会社 (262)
【Fターム(参考)】