説明

押圧健康具

【課題】取り扱いが容易で、且つ使用時における操作性及び施術性に優れた押圧健康器具を提供する。
【解決手段】三本の押圧杆1,2,3を三角形の三つの稜線にそれぞれ対応するように略平行に離間配置し、且つ該各押圧杆1,2,3相互を連結材4で連結固定して押圧健康具Zを構成する。係る構成によれば、押圧健康具Zの軽量化が図れるとともに、各押圧杆1,2,3が把持部として機能することで押圧健康具Zのその取り扱いが手軽且つ容易となる。
また、三本の押圧杆1,2,3のうち、少なくとも二本の押圧杆を、直状部と湾曲部を備えた構成とし、さらに各押圧杆の湾曲部の形状を、各押圧杆相互間で異ならせることで、使用者の身体的条件に左右されることなく常に良好な状態で押圧刺激を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、人体のツボとか筋肉部に適度の押圧刺激を与えて血行を促進させることで疲労回復あるいは健康増進を図ることができる押圧健康具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
人体に押圧刺激を与えて血行を促進させることで疲労回復あるいは健康増進を図ることができる押圧健康具としては、種々の提案がなされている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に示される押圧健康器具は、所定長さをもつ三角柱で構成され、且つその三つの稜線がそれぞれ曲率半径の異なる曲面形状とされたものである。そして、この押圧健康器具は、その三つの稜線部分を押圧部として選択使用し、その押圧部に仰臥した状態で首筋を押し当ててこれに押圧刺激を与えるとか、押圧部を足裏で踏んでここに押圧刺激を与える、等の使用形態をとるものである。また、曲率半径の異なる曲面形状をもつ押圧部を選択して使用することで、強さの異なる指圧効果が得られるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3075855号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1に示される押圧健康器具においては、以下のような問題がある。
【0006】
(イ)押圧健康器具が中実の三角柱で構成されていることから重く、しかも該押圧健康器具を掴んで持ち上げようとしても稜線を挟んで隣接する二面が上方へ向けて先細状に傾斜する面であることから掴むことが難しく、その底面側に手を入れて持ち上げなければならない等のことから、その取り扱い性が悪いという問題がある。
【0007】
(ロ)例えば、仰臥した状態で後頚部の下側に押圧健康器具を配置し、該押圧健康器具の一つの押圧部に後頚部を預けて、該押圧部によって後頚部に押圧刺激を与える使用状態において、首を左右に捻って後頚部から側頚部側までの範囲に押圧刺激を与えようとする場合、この押圧部を構成する三角柱の稜線部分が直線状とされていることから、側頚部が押圧部に当接する位置まで首を大きく捻る必要がある。しかし、首の捻り範囲(角度)には個人差があることから、側頚部を殆ど押圧できないという場合もあり、また敢えて側頚部まで押圧しようとすれば、一旦、体勢を仰臥姿勢から横臥姿勢側へ変更することが必要となるなど、押圧健康器具の使用上における手軽さ、動作の簡便さという点において問題がある。
【0008】
(ハ)押圧健康器具の使用中において、一旦頭部を持ち上げて、人体に対する押圧健康器具の位置を変更しようとする場合(例えば、仰臥した状態で後頚部を押圧部で押圧している途中で、該押圧部との当り位置を肩寄りから頭寄りへ移動させようとするような場合)、該押圧健康器具を手で掴むことができないことから、該押圧健康器具を押したり引いたりしなければならず、その位置調整が難しく、使用時における取り扱い性という点において問題がある。
【0009】
(ニ)例えば、押圧健康器具を床面に設置した状態で、該押圧健康器具の上面側に位置する押圧部に対して、使用者が横臥姿勢でその側頚部を当接させて押圧刺激を得るような使用形態においては、上面側に位置する押圧部に対して人体の側頚部がどの位置まで入り込めるか(即ち、側頚部の頭部寄り位置と肩部寄り位置の間のどの位置まで押圧刺激を与えることができるか)は、上面側に位置する押圧部と人体の床面に接する一方の肩部との間の水平距離によって支配されるが、この押圧健康器具では三角柱の稜線に対応する押圧部が直線状とされていることから、肩部は床面に接した押圧部との干渉によって該押圧部の位置から上記押圧健康器具の中心側(即ち、上面側に位置する押圧部側)には入り込めず、この結果、側頚部に対する押圧刺激の可能範囲が狭くなり、それだけ押圧健康器具の性能が低いものとなる。
【0010】
そこで本願発明は、使用時及び非使用時のいずれにおいてもその取り扱いが容易で、且つ使用時においては押圧したい部位を容易且つ簡便な操作で的確に押圧し得るようにした操作性及び施術性に優れた押圧健康器具を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願発明ではかかる課題を解決するための具体的手段として次のような構成を採用している。
【0012】
本願の第1の発明に係る押圧健康具では、三本の押圧杆を、これら各押圧杆が三角形の三つの稜線にそれぞれ対応するように略平行に離間配置し、且つ該各押圧杆相互を連結材によって連結固定して構成されたことを特徴としている。
【0013】
本願の第2の発明に係る押圧健康具では、上記第1の発明に係る押圧健康具において、上記三本の押圧杆のうち、少なくとも二本の押圧杆を、その両端寄りに位置する直状部と、中央寄りに位置する湾曲部を備えた構成としたことを特徴としている。
【0014】
本願の第3の発明に係る押圧健康具では、上記第2の発明に係る押圧健康具において、上記各押圧杆における上記湾曲部の形状を、該各押圧杆相互間において異ならせたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本願発明では次のような効果が得られる。
【0016】
(a)本願の第1の発明に係る押圧健康具によれば、該押圧健康具が、三本の押圧杆を、これら各押圧杆が三角形の三つの稜線にそれぞれ対応するように略平行に離間配置し、且つ該各押圧杆相互を連結材によって連結固定して構成されているので、
(イ)例えば、押圧健康具が中実材で一体的に構成されている場合に比して軽量であり、しかも上記各押圧杆をそれぞれ個別に且つ容易に把持することができることから、該押圧健康具の使用時及び非使用時の何れにおいてもその取り扱いが手軽且つ容易であり、特に押圧健康具の使用者が高齢者、身体障害者等の身体能力に制約がある者である場合には、その効果が顕著なものとなる、
(ロ)押圧健康具を床面に設置した状態で、上記三本の押圧杆の何れか一本を使用して人体に押圧刺激を与える場合、他の二本の押圧杆によって上記押圧健康具が床面に対して安定的に設置されるので、上記一本の押圧杆による押圧刺激作用を的確に得ることができる、等の極めて有用な効果が得られる。
【0017】
(b)本願の第2の発明に係る押圧健康具によれば、上記(a)に記載の効果に加えて以下のような特有の効果が得られる。即ち、この発明の押圧健康具においては、上記三本の押圧杆のうち、少なくとも二本の押圧杆を、その両端寄りに位置する直状部と、中央寄りに位置する湾曲部を備えた構成としているので、
(イ)例えば、仰臥姿勢で、押圧杆の湾曲部を使用して後頚部から側頚部に亘る広い範囲を押圧刺激する場合、湾曲部の中央部に後頚部を預けた状態(即ち、後頚部の押圧刺激状態)においては該湾曲部の側部寄り部分が側頚部に対して接近状態で対向しており、例えば、押圧杆が直状形体である場合に比して、後頚部への押圧刺激状態から側頚部への押圧刺激への移行に必要な首の左右への捻り角度を小さく抑えることができ、その結果、使用者はより安楽な姿勢で、後頚部から側頚部に掛けての広い範囲に押圧刺激を与えることができる、
(ロ)湾曲部を使用して人体に押圧刺激を与える場合、例えば、押圧杆が直線状である場合に比して、人体の押圧刺激部位に対する押圧杆の当接領域が広く、該押圧杆に対するフイット感が良好であり、また過度の押圧力の負荷が抑制されることから、使用者は心地良い押圧刺激を得ることができる、
(ハ)例えば、押圧健康具を床面に設置した状態で、該押圧健康具の上面側に位置する押圧杆の湾曲部に対して、使用者が横臥姿勢でその側頚部を当接させて押圧刺激を得るような使用形態においては、押圧刺激に供される押圧杆の湾曲部に対して人体の側頚部がどの位置まで入り込めるか(即ち、側頚部の首筋方向のどの範囲まで押圧刺激を与えることができるか)は、押圧刺激に供される押圧杆の湾曲部と人体の床面に接する一方の肩部との間の水平距離によって支配されるが、この場合、床面に接した押圧杆における湾曲部は、上記押圧健康具の中心側へ凹入しているため、この湾曲部の凹入量だけ、人体の肩部を上記押圧健康具の中心側へ(即ち、上面側に位置する押圧杆の湾曲部寄り)にさらに入り込ませることができ、この肩部の進入量だけ側頚部の首筋方向における押圧刺激の可能範囲が拡大され、これによって押圧健康具の性能が向上する、
等の極めて有用な効果が得られる。
【0018】
(c)本願の第3の発明に係る押圧健康具によれば、上記(b)に記載の効果に加えて以下のような特有の効果が得られる。即ち、この発明の押圧健康具においては、上記各押圧杆における上記湾曲部の形状を、該各押圧杆相互間において異ならせているので、
(イ)例えば、この形状の相違が湾曲部の曲率の相違である場合には、湾曲部を備えた少なくとも二本の押圧杆を選択して使用することで、即ち、首回りの大きい人は曲率の小さい(即ち、曲率半径の大きい)湾曲部を持つ押圧杆を、首回りの小さい人は曲率の大きい(即ち、曲率半径の小さい)湾曲部を持つ押圧杆を、それぞれ選択して使用することで、首回りの大小に影響されることなく常に良好な状態で押圧刺激を得ることができる、
(ロ)また、湾曲部の形状の相違が湾曲部の深さ(即ち、直状部に対する湾曲部の偏位量)の相違である場合には、湾曲部を備えた少なくとも二本の押圧杆を選択して使用することで、例えば、肩幅が大きい人は湾曲部の深さが小さく床面から湾曲部までの高さ寸法が大きい押圧杆を、肩幅が小さい人は湾曲部の深さが大きく床面から湾曲部までの高さ寸法が小さい押圧杆を、それぞれ選択して使用することで、体格の相違に影響されることなく常に良好な状態で押圧刺激を得ることができる、
(ニ)さらに、湾曲部の形状の選択が、上記押圧健康具をその軸回りに回転させる操作によって行えることから、湾曲部の形状選択に係る操作が極めて容易である、
等の極めて有用な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本願発明の第1の実施例に係る押圧健康具の全体斜視図である。
【図2】図1のII−II断面図である。
【図3】図1に示した押圧健康具における各押圧杆の形状説明図である。
【図4】本願発明の第2の実施例に係る押圧健康具の要部断面図である。
【図5】図7に示した押圧健康具における各押圧杆の形状説明図である。
【図6】本願発明の第3の実施例に係る押圧健康具の全体斜視図である。
【図7】図6のV−V断面図である。
【図8】図6に示した押圧健康具における各押圧杆の形状説明図である。
【図9】本願発明の第4の実施例に係る押圧健康具の全体斜視図である。
【図10】図9のX−X断面図である。
【図11】押圧健康具の第1の使用形態の説明図である。
【図12】上記第1の使用形態における展開例の説明図である。
【図13】押圧健康具の第2の使用形態の説明図である。
【図14】押圧健康具の第3の使用形態の説明図である。
【図15】押圧健康具の収納状態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本願発明に係る押圧健康具の具体的構成を幾つかの実施例に基づいて説明し、しかる後、その使用法等について説明する。
【0021】
A:押圧健康具の構成
【0022】
A−1:第1の実施例
図1には、本願発明の第1の実施例に係る押圧健康具Zを示している。この押圧健康具Zは、棒状の押圧杆によって人体に適度の押圧刺激を与えて血行を促進させ、疲労回復あるいは健康増進を図るためのものであって、三本の押圧杆、即ち、第1押圧杆1と第2押圧杆2及び第3押圧杆3を備えて構成される。
【0023】
上記各押圧杆1,2,3は、共に、直棒体の中央部分を径方向に湾曲変形させて構成されるものであって、上記第1押圧杆1はその両端寄りに位置する直状部1a,1aと中央寄りに位置する湾曲部1bを備え、上記第2押圧杆2はその両端寄りに位置する直状部2a,2aと中央寄りに位置する湾曲部2bを備え、上記第3押圧杆3はその両端寄りに位置する直状部3a,3aと中央寄りに位置する湾曲部3bを備えている。
【0024】
上記各押圧杆1,2,3の各直状部1a、2a、3aは、上記押圧健康具Zを床面上に設置して使用する場合における設置部として機能する他に、押圧刺激を与えるための押圧部と、上記押圧健康具Zを移動させる場の把持部としても機能するものである。また、上記各押圧杆1,2,3の各湾曲部1b、2b、3bは、主として押圧刺激を与えるための押圧部として機能するが、其の他に、把持部としても機能し得るものである。
【0025】
この実施例では、上記第1押圧杆1の湾曲部1bと上記第2押圧杆2の湾曲部2bと上記第3押圧杆3の湾曲部3bの形状を相互に異ならせている。即ち、図3に示すように、上記各押圧杆1,2,3における各湾曲部1b、2b、3bは、湾曲部の深さ(即ち、直状部に対する湾曲部の偏位量)を同じとした上で、湾曲部の曲率のみを異ならせている。具体的には、上記第1押圧杆1の湾曲部1bの曲率を最大曲率とし、上記第2押圧杆2の湾曲部2bの曲率を中間曲率とし、上記第3押圧杆3の湾曲部3bの曲率を最小曲率とすることで、曲率を順次段階的に変化させている。
【0026】
なお、この実施例の押圧健康具Zでは、上記各押圧杆1,2,3で形成される三角形の何れの辺を底辺として上記押圧健康具Zを床面に載置した場合でも、頂点に対応する押圧杆の湾曲部の床面からの高さは一定とされ、また、上記各押圧杆1,2,3の各湾曲部1b、2b、3b相互間の水平方向間隔も一定とされる。
【0027】
このように構成された上記各押圧杆1,2,3を、図1及び図2に示すように、これら各押圧杆1,2,3が三角形(この例では、正三角形としているが、これに限定されるものではなく、二等辺三角形とか不等辺三角形とすることもできる)の三つの稜線にそれぞれ対応するように略平行に離間配置するとともに、これら各押圧杆1,2,3相互をそれぞれ連結材4によって連結固定して一体化することで、成品としての押圧健康具Zが構成される。
【0028】
この場合、図3に示すように、上記第1押圧杆1における上記湾曲部1bの上記直状部1aに対する偏位方向と、上記第2押圧杆2における上記湾曲部2bの上記直状部2aに対する偏位方向と、上記第3押圧杆3における上記湾曲部3bの上記直状部3aに対する偏位方向は、共に、上記押圧健康具Zの中心Qに向かう方向に設定されている。
【0029】
なお、この実施例では、上記各押圧杆1,2,3及び上記連結材4を全て木材で構成しているが、本願発明は係る構成に限定されるものではなく、他の素材、例えば、樹脂材とか金属材で構成することもできるものである。
【0030】
A−2:第2の実施例
図4には、本願発明の第2の実施例に係る押圧健康具Zの要部を示している。この実施例の押圧健康具Zは、その基本構成を上記第1の実施例に係る押圧健康具Zと同じとするもので、これと異なる点は、上記第1押圧杆1の湾曲部1bと上記第2押圧杆2の湾曲部2bと上記第3押圧杆3の湾曲部3bの形状である。
【0031】
即ち、上記第1の実施例の押圧健康具Zにおいては、上記各押圧杆1,2,3における各湾曲部1b、2b、3bの深さを同じとした上で、その曲率のみを異ならせていたのに対して、この実施例においては、上記各押圧杆1,2,3の各湾曲部1b、2b、3bの深さと曲率の双方を異ならせている。
【0032】
具体的には、図5に示すように、上記第1押圧杆1の湾曲部1bは、その曲率を最大曲率とするとともに、その深さを最大深さ(h1)としている。上記第2押圧杆2の湾曲部2bは、その曲率を中間曲率とするとともに、その深さを中間深さ(h2)としている。また、上記第3押圧杆3の湾曲部3bは、その曲率を最小曲率とするとともに、その深さを最小深さ(h3)としている。従って、この実施例においては、湾曲部の曲率及び深さの双方が、上記第1押圧杆1の湾曲部1bから上記第2押圧杆2の湾曲部2b、さらに上記第3押圧杆3の湾曲部3bに向けて順次段階的に減少変化している。
【0033】
なお、この湾曲部の曲率と深さの関係はこの実施例のものに限定されるものではなく、例えば、曲率及び深さ共に、上記第1押圧杆1の湾曲部1bから上記第2押圧杆2の湾曲部2b、さらに上記第3押圧杆3の湾曲部3bに向けて順次段階的に増大変化するように設定するとか、湾曲部の曲率の変化傾向と深さの変化傾向を逆順に設定するなど、任意に設定できるものである。
【0034】
A−3:第3の実施例
図6には、本願発明の第3の実施例に係る押圧健康具Zを示している。この実施例の押圧健康具Zは、その基本構成を上記第1の実施例に係る押圧健康具Zと同じとするもので、これと異なる点は、上記第1押圧杆1の湾曲部1bと上記第2押圧杆2の湾曲部2bと上記第3押圧杆3の湾曲部3bの形状である。
【0035】
即ち、上記第1の実施例の押圧健康具Zにおいては、上記各押圧杆1,2,3の中央部分をそれぞれ湾曲させて湾曲部1b、2b、3bとしていたのに対して、この実施例の押圧健康具Zにおいては、上記第1押圧杆1は湾曲部をもたない直棒状に構成し、上記第2押圧杆2と第3押圧杆3の二本のみ湾曲部を備えた構成としている。
【0036】
そして、上記第2押圧杆2の湾曲部2bと上記第3押圧杆3の湾曲部3bの間においては、図8に示すように、湾曲部の深さを同じとした上で、湾曲部の曲率のみを異ならせている。具体的には、上記第2押圧杆2の湾曲部2bの曲率を、上記第3押圧杆3の湾曲部3bの曲率よりも大きく設定している。
【0037】
なお、上記第1押圧杆1は、その中央部分を押圧部として機能させるようになっている。また、上述のように第2押圧杆2の湾曲部1bと上記第3押圧杆3の湾曲部3bは共に押圧部として機能するものである。従って、上記押圧健康具Zを床面に設置した場合における上記各押圧杆1,2,3の押圧部の高さ、という観点から考えれば、この実施例では押圧部の高さが、上記第1押圧杆1の高さと、上記第2押圧杆2の湾曲部1bと上記第3押圧杆3の湾曲部3bの高さの上下二段階に設定されているといえる。
【0038】
A−4:第4の実施例
図9及び図10には、本願発明の第4の実施例に係る押圧健康具Zを示している。この実施例の押圧健康具Zは、その基本構成を上記第3の実施例に係る押圧健康具Zと同じとするもので、これと異なる点は、上記各押圧杆1,2,3の配置構成である。
【0039】
即ち、上記第3の実施例に係る押圧健康具Zにおいては、上記各押圧杆1,2,3を正三角形の各稜線に対応するように配置していたのに対して、この実施例の押圧健康具Zでは、上記各押圧杆1,2,3を二等辺三角形の各稜線に対応するようにして配置したものである。
【0040】
従って、この例によれば、図10に示すように、記第2押圧杆2と第3押圧杆3で構成される辺が底辺となるようにして上記押圧健康具Zを設置した場合において押圧部として機能する上記第1押圧杆1の高さは、例えば、上記第1押圧杆1と上記第2押圧杆2で構成される辺が底辺となるようにして上記押圧健康具Zを設置した場合における上記第3押圧杆3の湾曲部3bの高さ、及び上記第1押圧杆1と上記第3押圧杆3で構成される辺が底辺となるようにして上記押圧健康具Zを設置した場合における上記第2押圧杆2の湾曲部2bの高さよりも高くなる。即ち、この例では、上記押圧健康具Zの設置形態を変更することで、押圧部の高さを上下二段階に変更することができるものである。
【0041】
また、図10に示すように、上記第2押圧杆2と第3押圧杆3で構成される辺が底辺となるようにして上記押圧健康具Zを設置した場合における上記第1押圧杆1と上記第2押圧杆2の湾曲部1bの水平距離、及び上記第1押圧杆1と上記第3押圧杆3の湾曲部3bの水平距離は、例えば、上記第1押圧杆1と上記第2押圧杆2で構成される辺が底辺となるようにして上記押圧健康具Zを設置した場合における上記第3押圧杆3の湾曲部3bと上記第2押圧杆2の湾曲部1bの水平距離、及び上記第1押圧杆1と上記第3押圧杆3で構成される辺が底辺となるようにして上記押圧健康具Zを設置した場合における上記第3押圧杆3の湾曲部3bと上記第2押圧杆2の湾曲部1bの水平距離よりも大きくなる。即ち、この例では、上記押圧健康具Zの設置形態を変更することで、押圧部として機能する押圧杆の湾曲部と他の押圧杆の湾曲部の水平距離を二段階に変更することができるものである。
【0042】
なお、この実施例では、二等辺三角形の頂点部分に直状形体の上記第1押圧杆1を配置したが、他の実施例では二等辺三角形の頂点部分に湾曲部2bを備えた上記第2押圧杆2、あるいは湾曲部3bを備えた上記第3押圧杆3を配置することもできる。
【0043】
また、この実施例では、上記各押圧杆1,2,3を二等辺三角形の各稜線に対応するようにして配置しているが、他の実施例においては不等辺三角形の各稜線に対応するようにして配置することもできる。
【0044】
B:押圧健康具の使用形態等
上記押圧健康具Zを用いて人体に押圧刺激を与えてその血行促進は図る場合の使用形態等を説明する。
【0045】
B−1:第1の使用形態
図11には、上記第1の実施例に係る押圧健康具Zを用いて、横臥姿勢にある使用者の側頚部に対して押圧刺激を与える場合の使用形態を示している。
【0046】
この使用形態の例では、上記押圧健康具Zを、上記第2押圧杆2と第3押圧杆3の二本の押圧杆で床面に設置し、この状態において該押圧健康具Zの最上部に位置して押圧部として機能する上記第1押圧杆1の湾曲部1bに使用者が横臥してその側頚部を預ける。この結果、使用者の側頚部には、その頭部等の重量の反力が押圧力として作用し、これによって側頚部に適度の押圧刺激が与えられ、この押圧刺激によって側頚部近傍の血行促進効果が得られることになる。
【0047】
そして、この使用形態においては、以下のような使用上の利点がある。
【0048】
(イ)使用者が体を上下方向(首筋方向)にズラせるか、上記押圧健康具Zの適所を掴んでこれを紙面上における左右方向にズラせることで、上記第1押圧杆1の湾曲部1bと使用者の側頚部との首筋方向における相対位置が変化し、側頚部の首筋方向における広い範囲に押圧刺激を与えることができる。
(ロ)また、この使用形態においては、側頚部の首筋方向における押圧刺激の可能範囲は、上記第1押圧杆1の湾曲部1bに対して側頚部がどの位置まで入り込めるかによって決定され、且つこの位置は床面に接し且つ使用者の肩に近い位置にある上記第2押圧杆2の湾曲部2bとの間の水平距離によって支配されるが、この場合、上記第2押圧杆2の湾曲部2bが上記押圧健康具Zの中心側へ凹入する形体であることから、この湾曲部1bの凹入量だけ、使用者はその肩部を押圧健康具Zの中心寄りに大きく入り込ませることができ、この結果、首筋方向における側頚部に対する押圧刺激範囲がさらに拡大される。
【0049】
(ハ)使用者が首を左右方向に捻ることで、側頚部の左右方向(首回り方向)の広い範囲に押圧刺激を与えることができる。
【0050】
(ニ)頭を持ち上げた状態で、上記押圧健康具Zを適宜回転させ、押圧部として機能する押圧杆を、上記各押圧杆1,2,3の中から適宜選択することで、使用者は自己の頚部の太さに適応した曲率をもつ湾曲部によって快適な押圧刺激を確実に得ることができる。
【0051】
(ホ)上記湾曲部1bを使用して側頚部に押圧刺激を与えることから、例えば、上記第1押圧杆1が直線状である場合に比して、側頚部に対する上記湾曲部1bの当接領域が広く、該湾曲部1bに対するフイット感が良好であり、且つ過度の押圧力の負荷が抑制されることから、使用者は心地良い押圧刺激を得ることができる、
【0052】
(ヘ)さらに、図12に示すように、上記押圧健康具Zを、使用者の肩寄りに位置する第2押圧杆2を中心に手前側に回転させて上記第3押圧杆3側を浮かせることで、押圧部として機能する上記第1押圧杆1の湾曲部1bの高さを、鎖線図示する位置から実線図示する位置まで引き上げることができるので、例えば、使用者の体格(肩幅)に対応して上記押圧健康具Zの傾斜角を調整することで、使用者の体格の影響されることなく良好な押圧刺激を得ることができる。
【0053】
(ト)また、図12に示すように上記押圧健康具Zを使用者の肩寄りに傾けた状態では、上記第1押圧杆1の湾曲部1bと上記第2押圧杆2の湾曲部2bとの水平距離が、上記押圧健康具Zを傾けない状態における水平距離よりも短くなるため、使用者はその肩部と上記第2押圧杆2の湾曲部2bとの干渉を回避した状態で上記第1押圧杆1の湾曲部1bを肩寄りへより一層近づけることがで、その結果、側頚部の首筋方向における押圧刺激範囲がより一層拡大される。
【0054】
B−2:第2の使用形態
図13には、上記第1の実施例に係る押圧健康具Zを用いて、仰臥姿勢にある使用者の後頚部に対して押圧刺激を与える場合の使用形態を示している。
【0055】
この使用形態の例では、上記押圧健康具Zを、上記第2押圧杆2と第3押圧杆3の二本の押圧杆で床面に設置し、この状態において該押圧健康具Zの最上部に位置して押圧部として機能する上記第1押圧杆1の湾曲部1bに使用者が仰臥してその後頚部を預ける。この結果、使用者の後頚部には、その頭部等の重量の反力が押圧力として作用し、これによって後頚部に適度の押圧刺激が与えられ、この押圧刺激によって後頚部近傍の血行促進効果が得られることになる。
【0056】
この後頚部への押圧刺激状態においては、使用者は仰臥した姿勢のままで首を左右に捻ることで後頚部のみではなく、後頚部から側頚部近傍に掛けての部位まで押圧刺激を与えることができるが、この場合、押圧部となる上記湾曲部1bが湾曲した形体であって、該湾曲部1bの側部寄り部分が側頚部に対して接近状態で対向しているため、例えば、上記第1押圧杆1が直状形体である場合に比して、後頚部への押圧刺激状態から側頚部への押圧刺激への移行に伴う首の左右への捻り角度を小さく抑えることができ、その結果、使用者はより安楽な姿勢で、後頚部から側頚部に掛けての広い範囲において押圧刺激を得ることができる。
【0057】
これ以外の使用上の利点は、上記第1の使用形態の場合と同様であるので、その記載を援用し、ここでの説明を省略する。
【0058】
B−3:第3の使用形態
図14には、上記第3の実施例に係る押圧健康具Zを用いて、使用者が仰臥してその下肢のふくらはぎ部分に押圧刺激を与えている状態を示している。
【0059】
この使用形態は、仰臥した状態において下肢の安楽姿勢は若干膝を曲げた姿勢であり、しかもこの姿勢でのふくらはぎ部分の床面からの高さは、仰臥姿勢での頭部の安楽な高さよりも高いものであるという知見事項を考慮して、上記第1押圧杆1を押圧部として機能させるようにしたものである。従って、例えば、太腿の裏側部分に押圧刺激を与えるような場合には、上記押圧健康具Zを図14に示す状態から前方側あるいは手前側へ回転させて上記第2押圧杆2あるいは上記第3押圧杆3を押圧部として機能させるようにすれば良い。
【0060】
これ以外の使用上の利点は、上記第1の使用形態の場合と同様であるので、その記載を援用し、ここでの説明を省略する。
【0061】
B−4:他の使用形態
上記各使用形態は上記押圧健康具Zを床面に設置した状態で使用する場合の例であるが、本願発明の押圧健康具Zは、三本の押圧杆1,2,3を備えて構成されたもので、軽量であり、しかも上記各押圧杆1,2,3をそれぞれ個別に且つ容易に把持することができることから、使用者が上記押圧健康具Zを手にもってこれを所望の部位に押し付けて押圧刺激を与える、という使用形態も採り得るものであり、係る使用形態によれば人体のあらゆる部位に且つ容易且つ簡便に押圧刺激を与えることができる。
【0062】
B−5:押圧健康具Zの収納
上記押圧健康具Zは三本の押圧杆1,2,3を三角形の各稜線に対応するように配置して構成されたものであるため、上記各使用形態のように、上記押圧健康具Zをその一面を床面に当接させた横姿勢で収納することができることは勿論であるが、例えば、図15に示すように、上記押圧健康具Zの一方の端面を床面に当接させた縦姿勢で収納することもでき、係る収納形態によれば、小スペースでの収納が可能となるという利点がある。さらに、この縦姿勢での収納に際し、上記押圧健康具Zの三角形状の利点を生かして、これを部屋の隅部に沿って収納すれば、部屋の遊休スペースを利用した小スペースでの収納が可能となる。
【0063】
また、上記押圧健康具Zは、三本の押圧杆1,2,3のうち、少なくとも二本は湾曲部を備えた構成であることから、例えば、これら三本の押圧杆1,2,3の全てが直状形体である場合に比して、その意匠性が優れたものとなっている。従って、図15に示すように、上記押圧健康具Zを縦姿勢で収納した場合には、該押圧健康具Zがインテリア品としての機能を発揮することになり、室内に上記押圧健康具Zが収納されていても違和感を生じることはない。
【符号の説明】
【0064】
1 ・・第1押圧杆
1a ・・直状部
1b ・・湾曲部
2 ・・第2押圧杆
2a ・・直状部
2b ・・湾曲部
3 ・・第3押圧杆
3a ・・直状部
3b ・・湾曲部
4 ・・連結材
Z ・・押圧健康具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
三本の押圧杆を、これら各押圧杆が三角形の三つの稜線にそれぞれ対応するように略平行に離間配置し、且つ該各押圧杆相互を連結材によって連結固定して構成されたことを特徴とする押圧健康具。
【請求項2】
請求項1において、
上記三本の押圧杆のうち、少なくとも二本の押圧杆が、その両端寄りに位置する直状部と、中央寄りに位置する湾曲部を備えた構成であることを特徴とする押圧健康具。
【請求項3】
請求項2において、
上記各押圧杆における上記湾曲部の形状が、該各押圧杆相互間において異なっていることを特徴とする押圧健康具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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