説明

押釦スイッチの取付構造

【課題】 ケース蓋などの平板部材に複数の押釦スイッチを配設するにあたって、ケース蓋のうす型化と強度確保を図ることができる押釦スイッチの取付構造を提供する。
【解決手段】 スイッチ接点3aをオンオフ制御するスイッチノブ1と、当該スイッチノブを昇降自在に保持するガイド部2aとからなる押釦スイッチを、平板部材10に複数配設するための押釦スイッチの取付構造において、スイッチノブ1を昇降自在に保持するガイド部2aを複数一体成形したガイド部材2を使用し、当該ガイド部材2に複数のスイッチノブ1を取り付けるとともに、当該ガイド部材2の表側に、複数の貫通孔4aを備える表の意匠板4を取り付け、裏側に裏の意匠板5を取り付けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車載用機器等の操作に使用する押釦スイッチの取付構造に関し、特にケース蓋などの表裏の両面が意匠板である平板部材に複数の押釦スイッチを配設するための押釦スイッチの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
押圧されたスイッチノブがスイッチ接点をオンオフ制御する押釦スイッチにおいて、スイッチノブをスライド自在に保持するガイド部材を設け、スイッチノブを押圧すると、前記ガイド部材のガイドによってスイッチノブが降下し、スイッチ接点をオンオフ制御する押釦スイッチの取付構造や、軟性シート材を介して複数のスイッチノブを結合保持し、スイッチノブを押圧すると、軟性シートが撓んでスイッチノブが降下し、スイッチ接点をオンオフ制御する押釦スイッチの取付構造が知られている(例えば特許文献1や特許文献を参照)。
【特許文献1】特開2004−134274号公報
【特許文献2】特開平6−150768号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
例えば、車載用オーディオ、エアコン等の車載用機器等をオンオフ操作する押釦スイッチとして、図5(a)に示すように、回路基板103に設けられたスイッチ接点103aをオンオフ制御するスイッチノブ101と、当該スイッチノブ101を昇降自在に保持するガイド部102とから構成される押釦スイッチが採用されている。
そして、サイドボックスなどの車載用ケースの蓋部分に複数の押釦スイッチを取り付ける場合、図5(b)に示すように、ケース蓋の表側に貼り合わされる意匠板104と、ケース蓋の裏側に貼り合わされる裏板105との間に、スイッチ接点103aと、当該スイッチ接点103aをオンオフ制御するスイッチノブ101と、スイッチノブを昇降自在に保持するガイド部102とからなる押釦スイッチを各々配設する。なお、ケース蓋の表側に貼り合わされる意匠板104には、美的外観を得るために意匠が施され、またスイッチノブ101が配置される貫通孔104aが形成されている。
【0004】
図5に示すように、従来技術による押釦スイッチの取付構造では、ケース蓋等の平板部材に複数の押釦スイッチを取り付ける場合、裏板105に対して複数のガイド部102が個々に取り付けられる。
そのため、押釦スイッチ押圧時の荷重がガイド部102毎に裏板105に負荷されることになり、当該ガイド部102が個々に取り付けられた裏板105には、前記荷重を負担するための強度が必要とされ、押釦スイッチ押圧時に裏板105が部分的に撓まないように、ガイド部102の取付部分に補強部材を取り付けたり、層厚で強度のある裏板105を使用したりしていた。つまり裏板105に剛性が必要なため、ケース蓋をうす型化できないといった問題点があった。さらに裏側にも薄板状の意匠板を貼り合わせ、表裏ともに意匠板を貼り合わせたケース蓋を構成する場合、前記裏の意匠板に補強部材(リブ)を設けていたが、補強部材(リブ)を設けるとヒケ等の外観品質上の問題点があった。
またケース蓋の表側の意匠板104と、当該意匠板104の貫通孔104a内に配置されるスイッチノブ101との公差が、意匠板104と裏板105との関係と、裏板105とガイド部材102との関係と、ガイド部材102とスイッチノブ101の関係との3つに関係し、その公差が大きくなっていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこでこの発明は、スイッチ接点をオンオフ制御するスイッチノブと、当該スイッチノブを昇降自在に保持するガイド部とからなる押釦スイッチを、平板部材に複数配設するための押釦スイッチの取付構造において、スイッチノブを昇降自在に保持するガイド部を複数一体成形したガイド部材を使用し、当該ガイド部材に複数のスイッチノブを取り付けるとともに、当該ガイド部材の表側に、複数の貫通孔を備える表の意匠板を取り付け、裏側に裏の意匠板を取り付けたものである。
【発明の効果】
【0006】
この発明の押釦スイッチの取付構造によれば、スイッチノブを昇降自在に保持するガイド部を複数一体成形してなるガイド部材またはスペーサを使用し、当該ガイド部材(スペーサ)に複数のスイッチノブを取り付けるとともに、当該ガイド部材(スペーサ)の表裏に薄板状の意匠板を取り付けるため、複数の押釦スイッチを配設したケース蓋などの平板部材をうす型化することができる。またガイド部を複数一体成形したガイド部材(スペーサ)の表裏に意匠板を貼り合わせた平板部材は、表の意匠板と裏の意匠板との間に配設される前記ガイド部材(スペーサ)によって強度が確保され、複数の押釦スイッチを配設したケース蓋の強度を大きくすることができる。
さらにこの発明による押釦スイッチの取付構造によれば、ガイド部材(スペーサ)に対してスイッチノブを取り付けるとともに、ガイド部材(スペーサ)の表裏に意匠板を取り付ける構造であるため、スイッチノブと表の意匠板との公差を小さくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の実施例による押釦スイッチについて図1乃至図4を参照して説明する。
【0008】
図1及び図2を参照してこの発明の第1実施例による押釦スイッチの取付構造を説明する。
この実施例では、図1の断面図に示すように、スイッチ接点3aをオンオフ制御するスイッチノブ1を昇降自在に保持するガイド部2aが複数一体成形されている。
そして、複数のガイド部2aを備えるガイド部材2に複数のスイッチノブ1を取り付け、前記ガイド部2aで各スイッチノブ1を昇降自在に保持することによって、回路基板3上に配設された各スイッチ接点3aをオンオフ制御する。
【0009】
この実施例では、複数のスイッチノブ1が取り付けられたガイド部材2の裏側に、薄板状の意匠板5(以下、裏の意匠板5という)を取り付けた。
また前記ガイド部材2の表側に、複数の貫通孔4aを形成した薄板状の意匠板4(以下、表の意匠板4という)を取り付け、ガイド部材2によって昇降自在に保持されている複数のスイッチノブ1を前記貫通孔4a内にそれぞれ配置した。
なお表の意匠板4及び裏の意匠板5の厚みは薄く、その表面には美的外観を得るために意匠が施されている。
【0010】
図2は、複数の押釦スイッチが配設されたケース蓋10を示す断面図である。
複数の押釦スイッチが配設されたケース蓋10などの平板部材(特に、表裏ともに意匠板を貼り合せてなる平板部材)を構成するにあたって、この実施例では、ガイド部2aを複数一体成形してなるガイド部材2を使用し、当該ガイド部材2に複数のスイッチノブ1を取り付けるとともに、当該ガイド部材2を薄板状の表の意匠板4と裏の意匠板5との間に配設した。
ガイド部材2に取り付けられた複数のスイッチノブ1は、ガイド部2aによって昇降自在に保持され、表の意匠板4の貫通孔内4a内に配置されている。
【0011】
図2(a)に示すように、ガイド部2aによって昇降自在に保持されているスイッチノブ1に対して押圧力がない場合、当該スイッチノブ1の下に配置されているスイッチ接点3aはオフ状態にある。
また図2(b)に示すように、スイッチノブ1(真ん中のスイッチノブ)に対して押圧力がかかると、当該押圧されたスイッチノブ1の下に配置されているスイッチ接点3aがオン状態となる。
【0012】
スイッチノブ1を昇降自在に保持するガイド部2aを複数一体成形したガイド部材2を使用した場合、前記ガイド部2aに保持された各スイッチノブ1に負荷された押圧力はガイド部材2全体で負担することとなる。
つまり、ガイド部2aに昇降自在に保持されたスイッチノブ1に負荷された押圧力を、ガイド部材2aを複数一体成形したガイド部材2全体で負担するため、当該ガイド部材2の裏側に取り付けた裏の意匠板5では、各スイッチノブ1に負荷された押圧力の負担が小さくなり、裏の意匠板5には剛性が必要ない。そのため、裏の意匠板5に補強部材(リブ)を取り付けたり、層厚で強度のある裏板を使用したりする必要がなく、薄板状の意匠板(裏の意匠板)5を使用することができ、ケース蓋10をうす型化することができる。
【0013】
また複数のガイド部2aを備えるガイド部材2に対して複数のスイッチノブ1がそれぞれ取り付けられるとともに、当該ガイド部材2に表の意匠板4と裏の意匠板5とがそれぞれ取り付けられる構造であり、ケース蓋10の表面に貼り合わされる表の意匠板4と、当該表の意匠4の貫通孔4a内に配置されるスイッチノブ1との公差が、ガイド部材2と表の意匠板4の関係と、ガイド部材2とスイッチノブ1の関係との2つのみに関係し、公差を小さくすることができる。
さらにガイド部材2に対して複数のスイッチノブ1を取り付けるとともに、当該ガイド部材2に対して複数の貫通孔4aを備える表の意匠板4を取り付ける構造であるため、スイッチノブ1と貫通孔4aとの位置ずれを防止しやすく、スイッチノブ1が配置される貫通孔4aのガタ(貫通孔4aとスイッチノブ1との隙間)を小さく設計することができる。
【0014】
次に、図3及び図4を参照してこの発明の第2実施例による押釦スイッチの取付構造を説明する。
この実施例も第1実施例と同様に、スイッチ接点3aをオンオフ制御するスイッチノブ1を昇降自在に保持するガイド部2aが複数一体成形されている。
図3に示す第2実施例では、ケース蓋10´などの平板部材の表側に貼り合わされる表の意匠板4と裏側に貼り合わされる裏の意匠板5との間に配設され、前記ケース蓋10´の強度を確保するためのスペーサ2´に、スイッチノブ1を昇降自在に保持するガイド2aを複数一体成形し、当該スペーサ2´に複数のスイッチノブ1を取り付けた。また前記スペーサ2´に複数のスペーサ貫通孔2bを形成し、各スペーサ貫通孔2b内に回路基板3上に配設された各スイッチ接点3aをそれぞれ配置した。
つまり、スペーサ2´に形成したガイド部2aで各スイッチノブ1を昇降自在に保持し、スペーサ貫通孔2b内に配置された各スイッチ接点3aをオンオフ制御する。
【0015】
この実施例では、複数のスイッチノブ1が取り付けられたスペーサ2´の裏側に、薄板状の裏の意匠板5を取り付けた。
また前記スペーサ2´の表側に、複数の貫通孔4aを形成した薄板状の表の意匠板4を取り付け、スペーサ2´によって昇降自在に保持されている複数のスイッチノブ1を前記貫通孔4a内にそれぞれ配置した。
なお表の意匠板4及び裏の意匠板5の厚みは薄く、その表面には美的外観を得るために意匠が施されている。
【0016】
図4は、複数の押釦スイッチが配設されたケース蓋10´を示す断面図である。
図4(a)に示すように、ガイド部2aによって昇降自在に保持されているスイッチノブ1に対して押圧力がない場合、当該スイッチノブ1の下に配置されているスイッチ接点3aはオフ状態にある。
また図4(b)に示すように、スイッチノブ1(真ん中のスイッチノブ)に対して押圧力がかかると、当該押圧されたスイッチノブ1の下に配置されているスイッチ接点3aがオン状態となる。
【0017】
スイッチノブ1を昇降自在に保持するガイド部2aを複数一体成形したスペーサ2´を使用した場合、前記ガイド部2aに保持された各スイッチノブ1に負荷された押圧力はスペーサ2´で負担することとなる。
つまり、ガイド部2aに昇降自在に保持されたスイッチノブ1に負荷された押圧力を、ガイド部2aを複数一体成形したスペーサ2´で負担するため、当該スペーサ2´の裏側に取り付けた裏の意匠板5では、各スイッチノブ1に負荷された押圧力の負担が小さくなり、薄板状の裏の意匠板5を使用することができ、ケース蓋10をうす型化できる。
また表の意匠板4と裏の意匠板5との間に配設したスペーサ2´によって、複数の押釦スイッチが配設されたケース蓋10´の強度を確保することができる。
【0018】
さらにこの実施例では、複数のガイド部2aを備えるスペーサ2´に対して複数のスイッチノブ1がそれぞれ取り付けられるとともに、前記スペーサ2´の表裏に、それぞれ表の意匠板4と裏の意匠板5とが取り付けられる構造であるため、第1実施例と同様に、ケース蓋10の表面に貼り合わされる表の意匠板4と、当該表の意匠板4の貫通孔4a内に配置されるスイッチノブ1との公差を小さくすることができ、またスイッチノブ1と貫通孔4aとの位置ずれを防止しやすく、スイッチノブ1が配置される貫通孔4aのガタ(貫通孔4aとスイッチノブ1との隙間)を小さく設計することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】この発明の第1実施例による押釦スイッチの取付構造を説明する図である。
【図2】図1に示す押釦スイッチの断面図である。
【図3】この発明の第2実施例による押釦スイッチの取付構造を説明する図である。
【図4】図3に示す押釦スイッチの断面図である。
【図5】従来技術による押釦スイッチの取付構造の断面図である。
【符号の説明】
【0020】
1 スイッチノブ
2 ガイド部材
2´ スペーサ
2a ガイド孔
2b スペーサ貫通孔
3 回路基板
3a スイッチ接点
4 表の意匠板
4a 貫通孔
5 裏の意匠板
10 ケース蓋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチ接点(3a)をオンオフ制御するスイッチノブ(1)と、当該スイッチノブを昇降自在に保持するガイド部(2a)とからなる押釦スイッチを、平板部材(10)に複数配設するための押釦スイッチの取付構造において、
スイッチノブ(1)を昇降自在に保持するガイド部(2a)を複数一体成形したガイド部材(2)を使用し、
当該ガイド部材(2)に複数のスイッチノブ(1)を取り付けるとともに、
当該ガイド部材(2)の表側に、複数の貫通孔(4a)を備える表の意匠板(4)を取り付け、裏側に裏の意匠板(5)を取り付けたことを特徴とする押釦スイッチの取付構造。
【請求項2】
スイッチ接点(3a)をオンオフ制御するスイッチノブ(1)と、当該スイッチノブを昇降自在に保持するガイド部(2a)とからなる押釦スイッチを、平板部材(10)に複数配設するための押釦スイッチの取付構造において、
表の意匠板(4)と裏の意匠板(5)との間に配設されるスペーサ(2´)に、スイッチノブ(1)を昇降自在に保持するガイド部(2a)を複数一体成形し、
当該スペーサ(2´)の複数のスイッチノブ(1)を取り付けるとともに、
当該スペーサ(2´)の表側に、複数の貫通孔(4a)を備える表の意匠板(4)を取り付け、裏側に裏の意匠板(5)を取り付けたことを特徴とする押釦スイッチの取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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