説明

抽出可能媒体の分析のための装置および方法

本発明は、概して、診断、治療、および他の用途と関連するデバイスおよび技法、例えば、被検体から、例えば、皮膚を通して、流体を送達するため、および/または引き抜くためのデバイスに関する。いくつかの実施形態では、デバイスは、アクセス部位における被検体の皮膚から、および/または皮膚を通して抽出可能媒体にアクセスするシステムと、アクセス部位の少なくとも一部分における皮膚にわたって圧力差を生成することが可能である、支持構造によって支持される圧力調節器とを含む。デバイスはまた、場合によっては、被検体からの抽出可能媒体の少なくとも1つの状態を決定するための、支持構造によって支持されるセンサと、任意で、センサによって決定される媒体の状態に関する信号を発生させるための、支持構造によって支持される信号発生器とを含んでもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、Levinsonらによる米国仮特許出願第61/163,710号(名称「Systems and Methods for Creating and Using Suction Blisters or Other Pooled Regions of Fluid within the Skin」、2009年3月26日出願)、Levinsonらによる米国仮特許出願第61/156,632号(名称「Oxygen Sensor」、2009年3月2日出願)、Levinsonらによる米国仮特許出願第61/269,436号(名称「Devices and Techniques associated with Diagnostics,Therapies, and Other Applications, Including Skin−Associated Applications」、2009年6月24日出願)、Bernsteinらによる米国仮特許出願第61/257,731号(名称「Devices and Techniques associated with Diagnostics,Therapies,and Other Applications,Including Skin−Associated Applications」、2009年11月3日出願)、およびLevinsonらによる米国仮特許出願第61/294,543号(名称「Blood Sampling Device and Method」、2010年1月13日出願)の利益を主張する。上記出願の各々は、本明細書に参考として援用される。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、概して、被検体の状態を分析するか、または被検体を治療する際に使用するための間質液および他の体液に関する。本発明はまた、例えば、皮膚を通して、流体を送達するため、および/または被検体から引き抜くためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
哺乳類の生理学的状態および/または周辺環境の感知を含む、被検体が曝露される状態を感知し、それに応答するための種々の技法および方法が存在する。血液等の哺乳類からの流体を送達するため、および/または引き抜くための他の技法が存在する。多くのそのような技法が種々の目的で好適であるが、使用の追加単純性および融通性等の1つ以上の特徴を有する技法が有利となるであろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、いくつかの側面では、概して、被検体の状態を分析するか、または被検体を治療する際に使用するための間質液および他の体液(例えば、血液)に関する。場合によっては、本発明はまた、例えば、皮膚を通して、流体を送達する、および/または被検体から引き抜くためのシステムおよび方法に関する。本発明の主題は、場合によっては、相関生成物、特定の問題の代替的解決法、および/または1つ以上のシステムおよび/または部品の複数の異なる用途を伴う。
【0005】
本発明は、一側面では、被検体からの抽出可能媒体の分析用のデバイスを対象とする。1組の実施形態では、デバイスは、支持構造と、アクセス部位における被検体の皮膚から、および/または皮膚を通して、抽出可能媒体にアクセスするための、支持構造と関連付けられる手段と、アクセス部位の少なくとも一部分における皮膚にわたって圧力差を生成することが可能である、支持構造によって支持される圧力調節器とを含む。場合によっては、デバイスはまた、被検体からの抽出可能媒体の少なくとも1つの状態を決定するための、支持構造によって支持されるセンサと、任意で、センサによって決定される媒体の状態に関する信号を発生させるための、支持構造によって支持される信号発生器とを含んでもよい。いくつかの実施形態では、支持構造は、被検体の皮膚に近接して設置されるように構築および配設される。
【0006】
別の1組の実施形態では、デバイスは、被検体の皮膚に近接して設置されるように構築および配設される、支持構造と、アクセス部位における被検体の皮膚から、および/または皮膚を通して、抽出可能媒体にアクセスするための流体輸送器と、アクセス部位の少なくとも一部分における皮膚にわたって圧力差を生成することが可能である、支持構造によって支持される圧力調節器と、被検体からの抽出可能媒体の少なくとも1つの状態を決定するための、支持構造によって支持されるセンサと、センサによって決定される媒体の状態に関する信号を発生させるための、支持構造によって支持される信号発生器とを含む。
【0007】
さらに別の1組の実施形態による、デバイスは、アクセス部位における被検体の皮膚から、および/または皮膚を通して、抽出可能媒体にアクセスするための手段と、アクセス部位の少なくとも一部分における皮膚にわたって圧力差を生成することが可能である、圧力調節器と、被検体からの抽出可能媒体の少なくとも1つの状態を決定するためのセンサと、センサによって決定される媒体の状態に関する信号を発生させるための信号発生器とを含む。
【0008】
別の1組の実施形態では、デバイスは、アクセス部位における被検体の皮膚から、および/または皮膚の下から、抽出可能媒体にアクセスするための手段と、チャンバと関連付けられるピストンポンプがない場合に、アクセス部位の少なくとも一部分における皮膚にわたって圧力差を生成することが可能である、圧力差チャンバと、被検体からの抽出可能媒体の少なくとも1つの状態を決定するためのセンサと、センサによって決定される媒体の状態に関する信号を発生させるための信号発生器とを含む。
【0009】
本発明は、別の側面では、概して、デバイスを対象とする。1組の実施形態によれば、デバイスは、被検体の中の被分析物を決定するために皮膚に適用することができるか、または適用可能である。デバイスは、一実施形態では、被検体の皮膚内に流体のプール領域を生成することが可能な第1の部分と、流体のプール領域の流体を決定することが可能な第2の部分とを含む。別の1組の実施形態では、デバイスは、被検体の皮膚内に流体のプール領域を生成することが可能な第1の部分と、第1の部分と流体的に連絡している微小流体チャネルとを含む。
【0010】
デバイスは、さらに別の1組の実施形態では、被検体の皮膚に近接する部位に適用可能である。場合によっては、デバイスは、被検体の物理的状態を決定することが可能であり、状態と関係付けられる信号を発出する。一実施形態では、信号は、被検体によって容易に理解可能ではない。
【0011】
デバイスは、さらに別の1組の実施形態では、被検体の皮膚に近接する部位に適用可能である。いくつかの実施形態では、デバイスは、被検体の物理的状態を決定することが可能である。一実施形態では、デバイスは、検出される被分析物と反応または相互作用し、視覚によって、感触によって、臭いによって、または味によって検出することができる信号を発生させる、作用物質を備える。場合によっては、被分析物と反応または相互作用する作用物質および信号伝達作用物質は、同じか、または異なり得る。ある場合では、信号は、被分析物の属性の関数として変化することができ、定性的に分析することができる信号を発出する。場合によっては、デバイスは、被検体から流体を取得し、反応のために取得部位から分析部位へ流体を輸送する。
【0012】
場合によっては、デバイスは、第1の構成要素と、部位に適用するために第1の構成要素に接続され、部位に適用した後に第1の構成要素から分離可能である、第2の構成要素とを含む。場合によっては、第1の構成要素は、被検体の体液を取得するように起動することができ、第2の構成要素は、検出される被分析物と反応または相互作用し、視覚によって、感触によって、臭いによって、または味によって検出することができる信号を発生させる、作用物質を備える。
【0013】
さらに別の1組の実施形態による、デバイスは、被検体の唾液の中の被分析物と反応または相互作用して、信号を発生させる、作用物質を含む。
【0014】
さらに別の1組の実施形態では、デバイスは、検出される被分析物と反応または相互作用して、視覚によって、感触によって、臭いによって、または味によって検出することができる信号を発生させる、作用物質を備える。場合によっては、デバイスは、信号の発生に関与する作用物質を備える、膜を備える。膜は、いくつかの実施形態では、被分析物および/または被分析物指標の通過、ならびに被分析物および/または被分析物指標との反応のうちの1つ以上に対して選択的であってもよい。
【0015】
さらに別の1組の実施形態によれば、デバイスは、被検体の皮膚から、および/または皮膚の下から採血するためのデバイスである。いくつかの実施形態では、デバイスは、流体輸送器と、血液がチャンバの中へ採血される前の大気圧よりも小さい内圧を有する、真空チャンバと、陰圧が被検体の皮膚に印加されると、流体輸送器を通して被検体から採血された血液を受容するための、真空チャンバとは別の貯蔵チャンバとを備える。デバイスは、ある実施形態では、少なくとも6本の極微針と、被検体から採血された血液を受容するための貯蔵チャンバであって、血液を受容する前の大気圧よりも小さい内圧を有する、貯蔵チャンバとを含む。
【0016】
デバイスは、いくつかの実施形態では、流体輸送器と、流体輸送器を通して被検体から採血された血液を受容するための第1の貯蔵チャンバであって、血液を受容する前の大気圧よりも小さい内圧を有する、貯蔵チャンバと、血液内に含有される被分析物と反応することが可能である、第1の貯蔵チャンバ内に含有される反応実体とを含む。場合によっては、被分析物との反応実体の生成物は、決定可能である。さらに他の実施形態によれば、デバイスは、流体輸送器と、流体輸送器を通して被検体から採血された血液を受容するための貯蔵チャンバと、デバイス内に含有された血液内に含有されるカリウムイオンを決定することが可能なカリウムセンサとを含む。場合によっては、貯蔵チャンバは、血液を受容する前の大気圧よりも小さい内圧を有する。
【0017】
さらに別の1組の実施形態では、デバイスは、流体輸送器と、流体輸送器を通して被検体から採血された血液を受容するための貯蔵チャンバと、貯蔵チャンバの中への血流を制御することが可能な流量コントローラとを含む。場合によっては、貯蔵チャンバは、血液を受容する前の大気圧よりも小さい内圧を有する。
【0018】
別の側面では、本発明は、方法を対象とする。方法は、1組の実施形態では、被検体の皮膚の真皮と表皮との間で、流体のプール領域の形成を引き起こす行為と、被検体の過去、現在、および/または将来の状態を示すために、流体のプール領域の中へ作用物質を送達する行為とを含む。別の1組の実施形態による方法は、被検体の皮膚の真皮と表皮との間で、流体のプール領域の形成を引き起こす行為と、プール領域から流体の少なくとも一部分を除去する行為と、除去した流体の少なくとも一部分を分析し、それにより、流体を作用物質に曝露することによって、被検体の過去、現在、および/または将来の状態を決定する行為とを含む。
【0019】
別の1組の実施形態による方法は、被検体の皮膚に近接する部位でデバイスを提供する行為と、信号の表示を取得する行為と、表示を分析する実体に信号の表示を輸送する行為とを含む。場合によっては、デバイスは、被検体の物理的状態を決定することができ、状態に関係付けられる信号を発出する。さらに別の1組の実施形態では、方法は、被分析物と反応または相互作用して、被検体の状態を示す信号を発生させる、反応性作用物質を備える、デバイスを、緊急看護を必要としている被検体の皮膚に近接して適用する行為を含む。方法は、さらに別の1組の実施形態では、第1の色の複数の第1の粒子と、第2の色の複数の第2の粒子とを含有する溶液に、溶液の色の変化を引き起こすのに十分な電場および/または磁場を印加する行為を含む。さらに別の1組の実施形態によれば、方法は、結合パートナーを介して、1つの色の粒子がサンプルの構成要素に優先的に結合すると、異なる色の粒子の集団の変化によって達成される、色変化を視覚化することによって、サンプルの特性を決定する行為を含む。
【0020】
方法は、1組の実施形態では、少なくとも、第1の決定可能な特性を有する第1の亜集団と、第2の決定可能な特性を有する第2の亜集団とを含む、粒子の集団を、サンプルに曝露する行為と、粒子の第1の亜集団のうちの少なくともいくつかの粒子が、結合パートナーを介して、サンプルの構成要素に結合することを可能にする行為と、結合されていない粒子から構成要素に結合された粒子を分離する行為と、分離を決定することによってサンプルの特性を決定する行為とを含む。いくつかの実施形態では、構成要素に結合された第2の亜集団からの粒子の数に対する、構成要素に結合された第1の亜集団からの粒子の数の比が、少なくとも5:1であるように、粒子の第2の亜集団は、本質的に構成要素に結合されないままである。
【0021】
別の1組の実施形態では、方法は、少なくとも、被検体の第1の物理的状態に関係付けられる第1の信号を生成する、第1の分析部位と、被検体の第2の物理的状態に関係付けられる第2の信号を生成する、第2の分析部位とを含む、被検体の皮膚に近接する複数の分析部位を提供する行為を含む。別の1組の実施形態による方法は、被分析物と反応または相互作用して、アイコンの形態で信号を発生させる反応性作用物質を備える、被検体の皮膚に近接する反応部位を提供する行為を含む。
【0022】
さらに別の1組の実施形態では、方法は、被検体からの抽出可能媒体を分析するための方法である。いくつかの実施形態では、方法は、被検体の皮膚に隣接して、経路を備える分析デバイスを設置する行為と、デバイスが皮膚に隣接している間に、抽出可能媒体をデバイスの経路と接続するように、デバイスのアクセス構成要素を起動する行為と、経路を介して抽出可能媒体をデバイスの中へ押し進めるように、デバイスの圧力コントローラを起動する行為と、デバイスのセンサに媒体を曝露し、被検体からの抽出可能媒体の少なくとも1つの状態を決定する行為と、センサによって決定される媒体の状態に関する信号を発生させる行為とを含む。
【0023】
別の側面では、本発明は、本明細書で説明される実施形態のうちの1つ以上を作製する方法を対象とする。別の側面では、本発明は、本明細書で説明される実施形態のうちの1つ以上を使用する方法を対象とする。
【0024】
本発明の他の利点および新規の特徴は、添付図面と併せて考慮されると、本発明の種々の非限定的実施形態の以下の詳細な説明から明白となるであろう。本明細書および参照することにより組み込まれる文書が、相反する、および/または矛盾する開示を含む場合、本明細書が優先するものとする。参照することにより組み込まれる2つ以上の文書が、相互に対して相反する、および/または矛盾する開示を含む場合には、より最近の発効日を有する文書が優先するものとする。
【図面の簡単な説明】
【0025】
概略的であり、一定の縮尺で描かれることを目的としていない、添付図面を参照して、本発明の非限定的実施形態を一例として説明する。図中、図示されるそれぞれの同一またはほぼ同一の構成要素は、一般的には、単一の数字によって表される。明確にするために、全ての構成要素が全ての図で標識されるわけでも、当業者が本発明を理解することを可能にするために図示が必要ではない、示される本発明の各実施形態の全ての構成要素が標識されるわけでもない。
【図1】図1A〜1Eは、本発明のある実施形態による、皮膚中に流体のプール領域を生成するための種々のシステムおよび方法を概略的に図示する。
【図2】図2A〜2Cは、いくつかの実施形態における、皮膚中に流体のプール領域を生成するために有用な種々のデバイスを図示する。
【図3】図3A〜3Cは、皮膚のプール領域を穿刺し、生成するために有用な本発明の一実施形態の実施例を図示する。
【図4】図4A〜4Bは、本発明の種々のデバイスの付加的な実施例を図示する。
【図5】図5は、本発明の一実施形態による、逆止弁を図示する。
【図6】図6は、本発明の別の実施形態による、非円形界面を図示する。
【図7】図7は、皮膚のプール領域を生成するために有用な本発明の別の実施形態を図示する。
【図8−1】図8A〜8Bは、本発明の別の実施形態における、事前装填された真空チャンバの上面図および側面図をそれぞれ図示する。
【図8−2】図8C〜8Eは、本発明のさらに別の実施形態における、圧縮発泡体を含有するデバイスを図示する。
【図9】図9A〜9Bは、本発明のある実施形態による、デバイスを図示する。
【図10】図10A〜10Bは、本発明の種々の実施形態による、デバイスを図示する。
【図11】図11Aは、本発明のさらに別の実施形態による、デバイスを図示する。図11Bは、本発明のさらに別の実施形態における、1つより多くのデバイスを含有するキットを図示する。図11Cは、本発明のさらに別の実施形態による、デバイスを図示する。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明は、概して、皮膚関連用途、例えば、被検体から、例えば、皮膚を通して、流体を送達する、および/または引き抜くためのデバイスを含む、診断、治療、および他の用途と関連するデバイスおよび技法に関する。いくつかの実施形態では、デバイスは、アクセス部位における被検体の皮膚から、および/または皮膚を通して抽出可能媒体にアクセスするシステムと、アクセス部位の少なくとも一部分における皮膚にわたって圧力差を生成することが可能である、支持構造によって支持される圧力調節器とを含む。デバイスはまた、場合によっては、被検体からの抽出可能媒体の少なくとも1つの状態を決定するための、支持構造によって支持されるセンサと、任意で、センサによって決定される媒体の状態に関する信号を発生させるための、支持構造によって支持される信号発生器とを含んでもよい。
【0027】
本発明の種々のデバイスの非限定的実施例が、図9に示されている。図9Aでは、デバイスが被検体の皮膚上に配置されると、被検体から流体を引き抜くためにデバイス290が使用される。デバイス290は、センサ295と、流体輸送器292、例えば、本明細書で論議されるような針、極微針等とを含む。流体チャネル299を介して、流体輸送器292と感知チャンバ297が流体的に連絡している。一実施形態では、感知チャンバ297は、間質液または血液等の体液を分析するための、粒子、酵素、染料等の作用物質を含有してもよい。場合によっては、流体は、真空、例えば、デバイス290内に含有された内蔵式真空によって、流体輸送器292を使用して引き抜かれてもよい。任意で、デバイス290はまた、センサ295を介して得られるセンサ測定値を表示するために使用されてもよい、ディスプレイ294および関連電子機器293、バッテリまたは他の電力供給部等も含有する。加えて、デバイス290はまた、任意で、メモリ298、センサ295を示す信号を受信機に伝送するための伝送器等も含有してもよい。
【0028】
本明細書で使用されるように、「流体輸送器」は、デバイスの一部分から別の部分への流体の移動を促進する、任意の構成要素または構成要素の組み合わせである。例えば、皮膚またはその付近で、中空針が使用されるときに、流体輸送器は中空針となり得て、または、中実針が使用される場合には、表面力(例えば、毛細管作用)により、流体が針に沿って移動するならば、中空針が流体輸送器となり得る。流体(例えば、血液または間質液)が、皮膚の穿刺後に針を包囲するエンクロージャを部分的または完全に満たす場合には(針が穿刺後に皮膚から引き抜かれようと引き抜かれまいと)、エンクロージャが流体輸送器を画定することができる。部分的または完全に取り囲まれたチャネル、微小流体チャネル、管、吸い上げ部材、真空容器等を含む、他の構成要素が、流体輸送器となり得る。
【0029】
図9Aに示された実施例では、デバイス290は、デバイス290内に内蔵される真空源(図示せず)を含有してもよいが、他の実施形態では、真空源は、デバイス290の外部にあってもよい。(さらに他の場合においては、本明細書で論議されるように、流体を送達する、および/または皮膚から引き抜くために、他のシステムが使用されてもよい。)一実施形態では、被検体の皮膚上に配置された後、皮膚は、例えば、真空源への曝露時に、流体輸送器292を含有する陥凹に上向きに引き込まれてもよい。真空源へのアクセスは、任意の好適な方法によって、例えば、シールまたは隔壁を貫通することによって、弁を開くか、またはゲートを移動させること等によって、制御されてもよい。例えば、被検体による、遠隔で、自動的等の、デバイス290の起動時に、例えば、真空源は、皮膚が真空により流体輸送器292を含有する陥凹に引き込まれるように、陥凹と流体的に連絡させられてもよい。陥凹に引き込まれた皮膚は、場合によっては、皮膚を貫通し、流体が送達される、および/または皮膚から引き抜かれることを可能にしてもよい、流体輸送器292(例えば、中実または中空針)と接触してもよい。別の実施形態では、流体輸送器292は、作動させられて、皮膚と接触するように下向きに移動させられ、任意で、使用後に後退させられてもよい。
【0030】
デバイスの別の非限定的実施例が、図9Bに示されている。この図は、流体を被検体に送達するために有用なデバイスを図示する。この図中のデバイス290は、流体輸送器292、例えば、本明細書で論議されるような針、極微針等を含む。流体チャネル299を介して、被検体に送達される薬剤または他の作用物質を含有してもよい、チャンバ297が、流体輸送器292と流体的に連絡している。場合によっては、流体は、圧力コントローラを用いて送達されてもよく、および/または、真空、例えば、デバイス290内に含有された内蔵式真空によって、流体輸送器292を使用して引き抜かれてもよい。例えば、真空を生成すると、皮膚は、流体輸送器292に向かって上に引き寄せられてもよく、流体輸送器292は、皮膚を貫通してもよい。次いで、チャンバ297からの流体は、流体チャネル299および流体輸送器292を通して皮膚の中へ送達することができる。任意で、デバイス290はまた、皮膚への流体の送達を制御するために使用されてもよい、ディスプレイ294および関連電子機器293、バッテリまたは他の電力供給部等も含有する。加えて、デバイス290はまた、任意で、メモリ298、デバイス290または流体送達を示す信号を受信機に伝送するための伝送器等も含有してもよい。
【0031】
本発明のデバイスのさらに別の非限定的実施例が、図10に示されている。図10Aが、(カバーが除去されている)デバイスの図を図示する一方で、図10Bは、断面でデバイスを概略的に図示する。図10Bでは、デバイス250は、陥凹255内に含有される針252を含む。針252は、実施形態に応じて、中実または中空であってもよい。デバイス250はまた、針252および陥凹255が位置する、デバイスの中心部分を包み込む、内蔵式真空チャンバ260も含む。チャネル262が、真空チャンバ260を、箔または膜267によって分離される陥凹255と接続する。また、デバイス250には、ボタン258も示されている。押されると、ボタン258は、箔267を破り、それにより、真空チャンバ250を陥凹255と接続し、陥凹255の中で真空を生成する。真空は、好ましくは、針252に接触し、表面を貫通し、それにより、内部流体へのアクセスを取得するように、例えば、陥凹255に皮膚を引き込むために使用されてもよい。流体は、例えば、針252のサイズを制御し、それにより、貫通の深度を制御することによって、制御されてもよい。例えば、貫通は、例えば、間質液を採取するように表皮に、または、例えば、血液を採取するように真皮に限定されてもよい。場合によっては、真空はまた、皮膚の表面上でデバイス250を少なくとも部分的に固定するために、および/または皮膚から流体を引き抜くことを支援するために、使用されてもよい。例えば、流体は、真空の作用下で、チャネル262の中へ、任意で、例えば、流体内に含有された被分析物の検出のために、センサ261へと流れてもよい。例えば、センサ261は、被分析物が存在する場合に色変化を生じ、またはそうでなければ、検出可能な信号を発出してもよい。
【0032】
本発明のいくつかの実施形態では、他の構成要素が、図10で図示されたデバイスの実施例に追加されてもよい。例えば、デバイス250は、例えば、本明細書でさらに詳細に論議されるように、デバイス250の中または外への流体輸送を制御または監視するように、送達される、および/または皮膚から引き抜かれる流体内に存在する被分析物を決定するように、デバイスの状態を決定するように、デバイスおよび/または被分析物に関する情報を報告または伝送するように、または同等のことを行うように、カバー、ディスプレイ、ポート、伝送器、センサ、微小流体チャネル、チャンバ、流体チャネル、および/または種々の電子機器を含有してもよい。別の実施例として、デバイス250は、皮膚へのデバイスの接着のために、例えば、表面254上に、接着剤を含有してもよい。
【0033】
図11Aを参照すると、さらに別の非限定的実施例が示されている。この実施例では、デバイス500は、支持構造501と、関連流体輸送器システム503とを含む。流体輸送器システム503は、複数の針または極微針505を含むが、本明細書で論議されるような他の流体輸送器も使用されてもよい。また、図11Aには、針または極微針505を含有する陥凹508にチャネル511を介して接続される、センサ510も示されている。チャンバ513は、内蔵式真空チャンバであってもよく、チャンバ513は、例えば、コントローラまたはアクチュエータ(図示せず)によって制御されるように、チャネル511を介して陥凹508と流体的に連絡してもよい。この図では、デバイス500はまた、電気接続522を介してセンサ510に接続される、ディスプレイ525も含有する。デバイス500の使用の実施例として、流体が皮膚から引き抜かれると(例えば、血液、間質液等)、流体は、例えば、真空チャンバ513からの真空の作用により、センサ510によって決定されるチャネル511を通って流れてもよい。場合によっては、真空は、例えば、針または極微針505に接触し、皮膚の表面を貫通して、血液または間質液等の被検体の内部の流体へのアクセスを獲得するように、例えば、陥凹508に皮膚を引き込むために使用される。流体は、例えば、針505のサイズを制御し、それにより、貫通の深度を制御することによって、制御されてもよい。例えば、貫通は、例えば、間質液を採取するように表皮に、または、例えば、血液を採取するように真皮に限定されてもよい。流体、および/または流体内に存在する、または存在すると疑われている被分析物の決定時に、マイクロプロセッサまたは他のコントローラが、ディスプレイ525上に好適な信号を表示してもよい。以下で論議されるように、この図では、一例としてディスプレイが示されており、他の実施形態では、何れのディスプレイも存在しなくてもよく、他の信号、例えば、光、臭い、音、感触、味、または同等物が使用されてもよい。場合によっては、1つより多くの流体輸送器システムが、デバイス内に存在してもよい。例えば、デバイスは、繰り返し使用されることが可能であってもよく、および/またはデバイスは、例えば、連続的および/または同時に、被検体の上の1つより多くの場所で、流体を送達する、および/または引き抜くことが可能であってもよい。場合によっては、デバイスは、同時に、被検体に流体を送達し、被検体から流体を引き抜くことが可能であってもよい。図11Cを参照すると、1つより多くの流体輸送器システムを有するデバイスの非限定的実施例が図示されている。この図では、デバイス500は、被検体に流体を送達する、および/または被検体から流体を引き抜くための、本明細書で説明されるもの等の複数の構造を含有する。例えば、この実施例のデバイス500は、3つのそのようなユニットを含有するが、他の実施形態では、任意の数のユニットが可能である。この実施例では、デバイス500は、3つのそのような流体輸送器システム575を含有する。これらの流体輸送器システムのそれぞれは、特定の用途に応じて、同じまたは異なる構造を独立して有してもよく、それらは、本明細書で説明されるもの等の構造を有してもよい。
【0034】
既述のように、1組の実施形態での本発明は、被検体の状態の決定を伴う。そのような場合、皮膚と関連する体液および/または物質が、例えば、被検体の過去、現実、および/または将来の状態として、被検体の外部にある状態を決定するように、分析されてもよい。決定は、例えば、視覚によって、触覚的に、または臭気によって、器具類を介して等、発生してもよい。本発明の他の側面は、皮膚内にプール領域を生成することが可能なデバイスを対象とし、任意で、プール領域から流体を除去する、および/またはプール領域に物質を追加することが可能である。本発明のさらに他の側面は、概して、そのようなデバイスを作製または使用すること、そのようなデバイスの作製または使用を推進する方法、または同等物を対象とする。
【0035】
間質液または血液等の体液を分析するために、粒子等の作用物質を使用することができる。他の好適な作用物質は、例えば、本明細書で論議されるように、酵素、染料、核酸、抗体、オリゴヌクレオチド、反応実体、または同等物を含む。間質液は、ある実施形態では吸引水疱デバイスを使用して、または以下で説明されるもの等の他の技法を使用して、アクセスまたは採取されてもよい。作用物質は、被分析物を決定することが可能な任意の作用物質であってもよい。例えば、作用物質は、被分析物に結合し、被分析物の量に比例する色変化を生じる、比色分析、金、または蛍光標識で標識される、抗体であってもよい。場合によっては、1つより多くの作用物質が使用されてもよい。例えば、第1の作用物質は、被分析物と反応してもよく、第2の作用物質は、決定可能な信号、例えば、視覚的、触覚的、臭い、味、および形状変化を生成するために使用されてもよい。場合によっては、これらの組み合わせも利用することができる。例えば、癌胎児性抗原(「CEA」)への抗体、および前立腺特異抗原(「PSA」)への抗体が、いずれか一方の起源の癌について監視するためにしようされてもよく、抗体は、それらの対応する被分析物の検出時に種々の色を発出するために使用されてもよく、例えば、色は、CEAについては黄色、PSAについては青色であってもよく、両方が上昇した場合は緑色をもたらす。
【0036】
1組の実施形態では、作用物質のうちの1つ以上は、異方性粒子またはコロイド等の粒子であってもよい。したがって、以下の説明では、「粒子」は一例のみとして説明され、他の実施形態では、粒子に加えて、または粒子の代わりに、抗体等の他の作用物質も使用されてもよいことを理解されたい。
【0037】
他の実施形態では、流体は、被検体に送達されてもよく、そのような流体は、例えば、流体の少なくとも一部分を形成する、流体内に溶解される、流体によって運ばれる(例えば、懸濁または分散される)、または同等物である、送達に有用な物質を含有してもよい。好適な物質の実施例は、微小粒子またはナノ粒子等の粒子、化学物質、薬剤または治療薬、診断用薬、担体、または同等物を含むが、それらに限定されない。
【0038】
本明細書で使用されるように、「流体」という用語は、概して、流れ、その容器の輪郭に一致する傾向がある物質を指す。一般的には、流体は、静的剪断応力に耐えることができない物質であり、剪断応力が印加されると、流体は、継続的かつ永久的歪曲を受ける。流体は、少なくともいくらかの流体の流動を可能にする、任意の好適な粘度を有してもよい。流体の非限定的実施例は、液体および気体を含むが、また、自由流動性固体粒子、粘弾性流体、および同等物を含んでもよい。例えば、流体は、例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸・グリコール酸共重合体等の生分解性および/または生適合性物質から形成される、流動性を有する基質またはゲルを含んでもよい。
【0039】
1組の実施形態は、概して、被検体の状態を分析する、または被検体を治療する際に使用するための間質液および他の体液に関する。例えば、本発明のある側面は、吸引水疱等において、真皮と表皮との間で流体のプール領域の形成を引き起こすことを対象とする。流体は、プール領域から除去され、何らかの様式で分析されてもよく、または物質は、被検体の状態の診断および/または治療の場合において、流体のプール領域に送達されてもよい。1組の実施形態では、真皮または表皮の間に貯留されていようと、被検体から除去された流体の中にあろうと、種々の粒子が流体に送達されてもよく、粒子は、本明細書で説明されるように、診断または治療を支援することができる。任意で、プール領域内の流体は、例えば、外部に排出されてもよく、または、流体が再吸収されてもよく、それは、粒子または他の物質を表皮と真皮との間で皮膚内に埋め込まれたまま残してもよい。
【0040】
場合によっては、本明細書で論議されるように、流体のプール領域は、流体の送達および/または皮膚からの引き抜きを促進するために、皮膚の中に生成されてもよい。例えば、流体は、皮膚内の周辺真皮および/または表皮層から引き寄せられる皮膚内で貯留されてもよい。流体は、間質液、または場合によっては血液さえも含んでもよい。しかしながら、他の場合においては、流体の送達および/または皮膚からの引き抜きのために、いずれの貯留も必要ではない。例えば、流体は、例えば、以下で論議されるような真空または他の技法を使用して、被検体の皮膚からデバイスの中へ引き抜かれてもよく、および/または流体は、流体を送達する、吸引水疱または流体のプール領域を必ずしも生成する必要なく、被検体の皮膚の中へ送達されてもよい。したがって、本明細書の説明では、「吸引水疱」または「流体のプール領域」への言及は、一例によるものにすぎず、他の実施形態では、流体は、吸引水疱を使用することなく、および/または皮膚内に流体のプール領域を生成することなく、皮膚に送達されてもよいことを理解されたい。
【0041】
また、場合によっては、流体は、皮膚の下、例えば、皮膚より下側の脂肪または筋肉層の中で、生成されてもよいことを理解されたい。したがって、「皮膚の中で」流体を送達する、および/または引き抜くという本明細書の記述また、他の実施形態では、皮膚の直下の層の中への流体の送達および/または引き抜きを含むと理解されるべきである。
【0042】
本発明の一実施形態が、図1に図示されている。図1Aでは、上面表皮層15および真皮深部層17といった、2つの層を有する、被検体の皮膚10が示されている。当然ながら、例えば、血管、神経終末、汗腺、毛嚢、または同等物といった、他の構造が、一般的には、皮膚内に存在するが、これらは、明確にするためにここでは図示されていない。図1Bでは、表皮15は、真皮17から部分的に分離され、表皮と真皮との間の皮膚内に領域20を生成している。この領域は、一般的には、身体からの間質液等の流体で充填し、流体のプール領域を形成する。図1Bの実施例で示されるように、真皮および表皮の分離は、真空を皮膚の表面に印加することが可能である、界面25を使用して生成され、それにより、流体のプール領域によって形成される吸引水疱を皮膚内で生成する。例えば、真空は、真空ポンプまたは外部(ライン)真空源等の真空源と流体的に連絡してもよい、導管27を介して生成されてもよい。しかしながら、以下で論議されるように、真空の使用のほかに、またはそれに加えて、流体のプール領域を生成するために、他の方法が使用されてもよい。加えて、以前に論議されたように、本発明のある実施形態は、皮膚内で流体のプール領域の生成を必要としない。
【0043】
図1Cは、流体がプール領域20から除去される実施形態を示す。この図では、プール領域20から流体の少なくとも一部分を除去するために、皮下注射針等の針35が使用されてもよい。流体は、1つ以上の被分析物、例えば、病状に対するマーカーまたは同等物を決定するように、貯蔵および/または分析されてもよい。場合によっては、流体は、プール領域20からの流体の除去を促進するように、例えば、皮膚10の表面への真空の印加時に、または吸湿材の適用時に、活発に除去されてもよい。他の場合においては、流体は、例えば、皮膚10の表面または針35に印加される真空を介して、抽出されてもよい。他の場合においては、流体は、受動的にプール領域20から出て行くことを許可されてもよい。例えば、一実施形態では、プール領域20からの流体が脱出することができる、導管を生成するために、カッターが使用されてもよい。カッターは、例えば、針または他の貫通器具、切断刃、または同等物であってもよい。
【0044】
図1Dでは、物質29が、流体のプール領域20の中へ送達されて示されている。物質29は、例えば、微小粒子またはナノ粒子等の粒子、化学物質、薬剤または治療薬、診断用薬、反応実体、または同等物であってもよい。場合によっては、物質29は、粒子、化学物質、薬剤、治療薬、診断用薬、反応実体等を含む、流体担体等の担体を含んでもよい。この図で示されるように、針32は、物質29をプール領域20の中へ送達するために使用される。しかしながら、他の実施形態では、ジェット式注射器等の他のシステムが、物質29をプール領域20の中へ送達するために使用されてもよい。
【0045】
いったん針32が皮膚10から除去されると、物質29は、物質29の性質に応じて、プール領域20内に埋め込まれてもよく、または被検体内で分散されてもよい。例えば、流体のプール領域20内の流体が、何らかの様式で、例えば、外部に、排出されるか、または再吸収される場合等に、物質29は、図1Eに示されるように、表皮15と真皮17との間に埋め込まれたままであってもよい。物質は、真皮と表皮との間に一時的または永久に埋め込まれてもよく、または場合によっては、物質は、被検体内で分散されてもよく、例えば、被検体内で溶解または生分解し、または物質は、血流内等の被検体内で輸送することができるものであってもよい。例えば、場合によっては、物質29は、例えば、物質29の分解時に、物質29から放出することができる、薬剤または治療薬を含有してもよい。一実施形態では、例えば、物質29は、薬剤、診断用薬、治療薬等を制御可能に放出することが可能な粒子を含んでもよい。
【0046】
したがって、本発明のある側面は、概して、皮膚内での吸引水疱または流体の他のプール領域の生成を対象とする。1組の実施形態では、皮膚の真皮と表皮との間に、流体のプール領域を生成することができる。吸引水疱または他のプール領域は、表皮の基底層が、色素を産生することに関与するメラニン細胞を含有するため、場合によっては、吸引水疱または他のプール領域が有意に色素沈着しないような方式で、形成してもよい。そのような領域は、真皮および表皮を少なくとも部分的に分離させることによって生成することができ、以下で論議されるように、表皮から真皮を少なくとも部分的に分離するために、いくつかの技法を使用することができる。しかしながら、既述のように、本発明のいくつかの実施形態は、皮膚内での流体のプール領域の生成を必ずしも必要としない。
【0047】
被検体は通常、人間であるが、ある場合においては、イヌ、ネコ、ウマ、ウサギ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ラット(例えば、ドブネズミ)、マウス(例えば、ハツカネズミ)、モルモット、ハムスター、霊長類(例えば、小型サル、チンパンジー、ヒヒ、大型サル、ゴリラ等)、または同等物等の他の哺乳類といった、人間以外の被検体が使用されてもよい。
【0048】
1つの技法では、被検体の皮膚の層の間に間質液のプールが形成され、プールを形成した後、皮膚の層を通して流体にアクセスすること、例えば、針で、例えば、極微針で皮膚の外層を穿刺することによって、流体がプールから引き出される。具体的には、例えば、吸引水疱を形成することができ、次いで、吸引水疱を穿刺することができ、流体を水疱から引き出すことができる。別の技法では、間質領域にアクセスすることができ、吸引水疱または同等物を介して流体のプールを最初に形成することなく、その領域から流体を引き出すことができる。例えば、針または極微針を間質領域に適用することができ、流体をそこから引き出すことができる。しかしながら、場合によっては、皮膚内で吸引水疱または流体のプール領域を生成しなくても、流体が皮膚から引き抜かれてもよい。
【0049】
針が使用される場合、間質液が優先的に得られるような長さの針を選択することが有利となり得て、望ましくない場合、血液にアクセスされない。当業者であれば、一実施形態では、皮膚の表面に対して90°以外の角度で皮膚に針を導入すること、すなわち、貫通の深度を制限するよう、傾斜して皮膚に1本または複数の針を導入することを含んで、これらの目的で皮膚に対して針を配設することができる。しかしながら、別の実施形態では、針は、約90°で皮膚に進入してもよい。
【0050】
流体のプール領域は、存在する場合、被検体の皮膚内の任意の好適な場所で形成されてもよい。手および足を除いて、(人間では)皮膚は身体を通して比較的均一であるため、好適な場所を選択するために、安全または利便性等の要因が使用されてもよい。非限定的実施例として、プール領域は、被検体の腕または脚に、手に(例えば、手の甲に)、足に、胸部、腹部、または背中に、または同等物に形成されてもよい。皮膚の中に形成される流体のプール領域のサイズおよび/またはプール領域が皮膚内で持続する持続時間は、プール領域を生成する技法、プール領域のサイズ、技法が適用される皮膚の領域のサイズ、プール領域から除去される流体の量(該当する場合)、プール領域の中へ送達される物質、または同等物等の種々の要因に依存する。例えば、吸引水疱を生成するように真空が皮膚に印加される場合、吸引水疱のサイズおよび/または持続時間を制御するように、皮膚に印加される真空、真空の持続時間、および/または影響を受ける皮膚の面積が制御されてもよい。かの実施形態では、例えば、見苦しい外観を防止するように、(より少量の物質により)優れたサンプリング精度を可能にするように、または皮膚内の粒子のより制御された配置を可能にするように、プール領域を比較的小さく保つことが望ましくてもよい。例えば、プール領域の量は、ある場合においては、約2ml未満、約1ml未満、約500マイクロリットル未満、約300マイクロリットル未満、約100マイクロリットル未満、約50マイクロリットル未満、約30マイクロリットル未満、約10マイクロリットル等に保たれてもよく、またはプール領域の平均直径(プール領域と同じ面積を有する円の直径)は、約5cm未満、約4cm未満、約3cm未満、約2cm未満、約1cm未満、約5mm未満、約4mm未満、約3mm未満、約2mm未満、または約1mm未満に保たれてもよい。
【0051】
流体のプール領域を皮膚内で形成させ、および/または被検体の皮膚から間質液または血液等の体液を引き抜かせるために、種々の技法が使用されてもよい。1組の実施形態では、吸引水疱を生成するように真空が印加され、またはそうでなければ、被検体から間質液または血液を採取するために使用される。1組の実施形態では、例えば、被検体から血液または間質液を引き抜くために、真空源、例えば、事前に同梱された真空チャンバ等の内蔵式真空源を含有するデバイスが使用されてもよい。流体は、分析され、および/または後に使用するために貯蔵されてもよい。
【0052】
他の実施形態では、真空の使用のほかに、またはそれに加えて、皮膚内に流体のプール領域として生成する、および/または皮膚から流体を引き抜くために、他の方法が使用されてもよい。表皮から真皮を少なくとも部分的に分離してプール領域を形成させるために、真空(すなわち、大気圧が0mmHgの真空を有するような大気圧を下回る圧力の量、すなわち、圧力は絶対圧力よりもむしろゲージ圧力である)が使用されるとき、そのようにして形成される流体のプール領域を吸引水疱と呼ぶことができる。例えば、吸引水疱を引き起こすように、および/または被検体から間質液を採取するように、例えば、少なくとも約50mmHg、少なくとも約100mmHg、少なくとも約150mmHg、少なくとも約200mmHg、少なくとも約250mmHg、少なくとも約300mmHg、少なくとも約350mmHg、少なくとも約400mmHg、少なくとも約450mmHg、少なくとも約500mmHg、少なくとも約550mmHg、少なくとも約600mmHg、少なくとも約650mmHg、少なくとも約700mmHg、または少なくとも約750mmHgの圧力が皮膚に印加されてもよい(論議されるように、これらの測定は大気圧に対してマイナスである)。例えば、100mmHgの真空圧は、約660mmHgの絶対圧力(すなわち、1atmを100mmHg下回る)に対応する。場合によっては、例えば、被検体の皮膚の物理的特性の差異により、異なる量の真空が、異なる被検体に印加されてもよい。
【0053】
真空は、皮膚の任意の好適な領域、および場合によっては真空が制御されてもよい皮膚の面積に印加されてもよい。例えば、真空が印加される領域の平均直径は、約5cm未満、約4cm未満、約3cm未満、約2cm未満、約1cm未満、約5mm未満、約4mm未満、約3mm未満、約2mm未満、または約1mm未満に保たれてもよい。加えて、そのような真空は、皮膚からの真皮の少なくともいくらかの分離を発生させるように少なくとも十分に、任意の好適な時間の長さにわたって印加されてもよい。例えば、真空は、少なくとも約1分、少なくとも約3分、少なくとも約5分、少なくとも約10分、少なくとも約15分、少なくとも約30分、少なくとも約45分、少なくとも約1時間、少なくとも約2時間、少なくとも約3時間、少なくとも約4時間等にわたって、皮膚に印加されてもよい。そのような吸引水疱を生成するために好適なデバイスの実施例を、以下でより詳細に論議する。しかしながら、他の場合においては、吸引水疱を生成することなく、真空を使用して、血液または間質液等の体液が皮膚から除去されてもよい。他の非限定的流体は、唾液、汗、涙、粘液、血漿、リンパ液、または同等物を含む。
【0054】
そのような分離を発生させるために、真空以外に他の方法が使用されてもよい。例えば、別の1組の実施形態では、熱が使用されてもよい。例えば、そのような分離を発生させるように、任意の好適な技法を使用して、皮膚の一部分が、少なくとも約40℃、少なくとも約50℃、または少なくとも約55℃まで加熱されてもよい。(全てではないが)いくつかの場合においては、温度は、わずか約60℃、またはわずか約55℃に限定されてもよい。皮膚は、例えば、外部熱源(例えば、放射熱または温水槽)、化学反応、電磁放射(例えば、マイクロ波放射、赤外線放射等)、または同等物を使用して、加熱されてもよい。場合によっては、例えば、発生する皮膚内の加熱の量を少なくとも部分的に含有するように、放射は、皮膚の比較的小さい領域に集束されてもよい。
【0055】
さらに別の1組の実施形態では、真皮および表皮の分離を少なくとも部分的に発生させるように、分離化学物質が皮膚に塗布されてもよい。そのような分離化学物質の非限定的実施例は、トリプシン、精製ヒト皮膚トリプターゼ、または化合物48/80等のプロテアーゼを含む。これら等の分離化学物質は、種々の供給源から市販されている。分離化学物質は、皮膚に直接塗布され、例えば、皮膚の表面に塗り込まれてもよく、または場合によっては、分離化学物質、例えば、皮膚の表皮と真皮との間で、被検体の中に送達することができる。分離化学物質は、例えば、真皮と表皮との間に注射することができる。
【0056】
分離化学物質の別の実施例は、マムシの毒またはツチハンミョウの毒等の発疱作用物質である。発疱作用物質の非限定的実施例は、ホスゲンオキシム、ルイサイト、硫黄マスタード(例えば、マスタードガスまたは1,5−ジクロロ−3−チアペンタン、1,2−ビス(2−クロロエチルチオ)エタン、1,3−ビス(2−クロロエチルチオ)−n−プロパン、1,4−ビス(2−クロロエチルチオ)−n−ブタン、1,5−ビス(2−クロロエチルチオ)−n−ペンタン、2−クロロエチルクロロメチルスルフィド、ビス(2−クロロエチル)スルフィド、ビス(2−クロロエチルチオ)メタン、ビス(2−クロロエチルチオメチル)エーテル、またはビス(2−クロロエチルチオエチル)エーテル)、またはナイトロジェンマスタード(例えば、ビス(2−クロロエチル)エチルアミン、ビス(2−クロロエチル)メチルアミン、またはトリス(2−クロロエチル)アミン)を含む。
【0057】
さらに別の1組の実施形態では、例えば、ウェッジまたはスパイクといった、デバイスが皮膚に挿入され、表皮および真皮を機械的に分離するために使用されてもよい。さらに別の1組の実施形態では、表皮および真皮を分離するために、流体も使用されてもよい。例えば、少なくとも部分的に分離させるように、表皮と真皮との間の皮膚に、生理食塩水または別の比較的不活性の流体が注射されてもよい。
【0058】
さらに他の実施形態ではまた、これらの技法および/または他の技法が組み合わせられてもよい。例えば、一実施形態では、そのような分離を発生させるように、連続的および/または同時に、真空および熱が被検体の皮膚に印加されてもよい。具体的実施例として、一実施形態では、真空は、皮膚が約40℃から約50℃の間の温度まで加熱されている間に印加される。
【0059】
皮膚内、例えば、流体のプール領域内に含有される流体は、一般的には、皮膚内の周辺真皮および/または表皮層から引き出され、場合によっては、間質液、または血液さえも含む。場合によっては、そのような流体は、皮膚内に吸引水疱を生成しなくても、採取されてもよい。例えば、皮膚から間質液を引き抜くように、例えば、本明細書で説明されるような針を通して、真空が皮膚に印加されてもよい。
【0060】
しばしば、そのような流体は、診断目的で重要である種々の被分析物、例えば、(例えば、糖尿病に対する)グルコース等の種々の病状に対するマーカーを体内に含有し、他の被分析物例は、(例えば、脱水を決定するための)ナトリウム、カリウム、塩素、カルシウム、マグネシウム、および/または重炭酸塩等のイオン、二酸化炭素または酸素等のガス、H(すなわち、pH)、尿素、血中尿素窒素、またはクレアチニン等の代謝産物、(例えば、妊娠、違法薬物使用、または同等物を決定するための)エストラジオール、エストロン、プロゲステロン、プロゲスチン、テストステロン、アンドロステンジオン等のホルモン、またはコレステロールを含む。他の実施例は、インスリンまたはホルモンレベルを含む。
【0061】
以前に論議されているように、間質液等の体液を分析するために、粒子等の作用物質を使用することができる。場合によっては、粒子は、pHまたは金属イオン、タンパク質、酵素、抗体、核酸(例えば、DNA、RNA等)、薬剤、糖類(例えば、グルコース)、ホルモン(例えば、エストラジオール、エストロン、プロゲステロン、プロゲスチン、テストステロン、アンドロステンジオン等)、炭水化物、または他の関心の被分析物を決定するために使用されてもよい。検出することができる他の状態は、疾患、イースト菌感染症、粘膜面における歯周病を示す場合がある、pH変化、肺の機能不全を示す、酸素または一酸化炭素レベル、ならびにクマジン等の合法処方薬レベルおよびコカインまたはニコチン等の違法薬物の両方といった、薬物レベルを含むことができる。被分析物のさらなる実施例は、CEAおよびPSA等の癌特異的マーカー等の疾患を示すもの、ウイルスまたは細菌性抗原、および狼瘡を示す二本鎖DNAへの抗体等の自己免疫指標を含む。さらに他の状態は、外因に起因し得る、または睡眠時無呼吸、過度の熱(内部温度制御が完全には自己調節式ではない、乳児の場合に重要である)、あるいは発熱によるものとなり得る、上昇した一酸化炭素への曝露を含む。
【0062】
さらに他の潜在的に好適な被分析物は、細菌またはウイルス等の病原体、および/またはそのような病原体によって産生されるマーカーを含む。したがって、本発明のある実施形態では、以下で論議されるように、皮膚内、例えば、流体のプール領域内の1つ以上の被分析物が、何らかの様式で決定されてもよく、それは、被検体の過去、現在、および/または将来の状態を決定するのに有用であってもよい。
【0063】
一実施形態では、以下で論議されるように、被分析物は、「オン/オフ」または「正常/異常」状況として決定されてもよい。場合によっては、粒子(または他の作用物質)が変化を示す。例えば、被分析物の検出は、インスリンが必要とされている、コレステロールをチェックするための医師への訪問、排卵が起こっている、腎臓透析が必要とされている、(例えば、違法薬物の場合に)薬物レベルが存在する、または高すぎる/低すぎる(例えば、特に養護施設での高齢者の看護で重要である)ことを示してもよい。しかしながら、別の実施形態として、被分析物が定性的に決定されてもよい。
【0064】
本発明のいくつかの実施形態では、1つ以上の物質が皮膚に送達されてもよい。好適な物質の実施例は、微小粒子またはナノ粒子等の粒子、化学物質、薬剤または治療薬、診断用薬、担体、または同等物を含むが、それらに限定されない。物質は、任意の好適な技法を使用して、皮膚の中へ送達されてもよく、皮膚の中へ送達するための種々の技法は、当業者に周知である。好適な送達技法の実施例は、注射(例えば、皮下注射針等の針を使用する)または以下で論議されるもの等のジェット式注射器を含む。
【0065】
1組の実施形態では、粒子が皮膚に送達される。粒子は、例えば、ナノ粒子または微小粒子であってもよく、場合によっては、粒子は、異方性粒子であってもよい。そのような粒子の実施形態を、本明細書でより詳細に論議する。場合によっては、複数の粒子が使用されてもよく、場合によっては、粒子のうちのいくつか、または実質的に全てが同じであってもよい。粒子の少なくとも約10%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%が、同じ形状を有してもよく、および/または同じ組成を有してもよい。例えば、一実施形態では、皮膚に送達される粒子の少なくとも約50%が、同じ形状を有してもよく、および/または同じ組成を有してもよい。例えば、粒子の少なくとも約50%が、異方性粒子であってもよい。
【0066】
粒子は、種々の目的で使用されてもよい。例えば、粒子は、被分析物、または別の反応実体、あるいは他の粒子と相互作用および/または関連することが可能な診断用薬または反応実体を含有してもよい。そのような粒子は、例えば、以下で論議されるように、病状に対するマーカー等の1つ以上の被分析物を決定するのに有用であってもよい。別の実施例として、粒子は、粒子によって放出され、被検体に送達されてもよい、粒子の表面上および/または内部に設置された薬剤または治療薬を含有してもよい。これらの実施形態および他の実施形態の具体的実施例を、以下で詳細に論議する。
【0067】
場合によっては、粒子等の物質は、例えば、物質の物理的性質(例えば、サイズ、疎水性等)により、および/または、物質が脱出できず、それにより、皮膚の真皮層と表皮層との間に含有されたまま残るように、プール領域内の流体の少なくとも一部分を排出することによって、皮膚内、例えば、流体のプール領域内に埋め込まれてもよい。したがって、場合によっては、物質の貯蔵部が皮膚内に形成されてもよく、貯蔵部は、一時的または永久的であってもよい。例えば、貯蔵部内の物質は、例えば、真皮の細胞が分化して新しい表皮を形成し、したがって、物質を皮膚の表面に向かって押し進めるにつれて、(例えば、物質が生分解性であれば)最終的に分解し、血流に進入し、または環境へと剥がれてもよい。したがって、物質の貯蔵部は、ある場合においては、一時的に(例えば、数日または数週間の時間的尺度で)被検体内に存在してもよい。
【0068】
流体は、任意の好適な技法を使用して、例えば、(以下で論議されるような技法を使用して)プール領域から流体を外部から除去することによって、および/またはプール領域を発生させるために使用される真空または他の刺激を除去し、それにより、流体が被検体内で再吸収されることを可能にすることによって、プール領域から排出されてもよい。そのような再吸収は、例えば、流体のプール領域のサイズまたは体積等の要因に応じて、数分から数時間の時間的尺度で発生してもよい。例えば、一実施形態では、流体は、皮下注射針等の針を使用して引き抜かれる。場合によっては、この針はまた、粒子または他の物質を皮膚に送達するために使用されてもよい。
【0069】
流体はまた、例えば、流体のプール領域を少なくとも部分的に排出するように、および/または分析のために、皮膚から、例えば、流体のプール領域から外部から除去されてもよい。例えば、流体の少なくとも一部分は、流体は、1つ以上の被分析物、例えば、病状に対するマーカーまたは同等物を決定するように、貯蔵および/または分析されてもよい。皮膚から引き抜かれた流体が、そのような使用を受けてもよく、および/または皮膚に以前に送達された1つ以上の物質(例えば、粒子)が、そのような使用を受けてもよい。流体は、任意の好適な技法を使用して除去されてもよい。例えば、一実施形態では、流体は、皮下注射針等の針を使用して引き抜かれる。場合によっては、この針はまた、粒子または他の物質を皮膚に送達するために使用されてもよい。流体はまた、本発明の別の実施形態では、本明細書で論議されるもの等の真空を使用して引き抜かれてもよい。例えば、プール領域から流体の少なくとも一部分を引き上げるために、真空は、例えば、流体のプール領域内で、間質液と流体的に連絡している針等の導管に印加されてもよい。さらに別の実施形態では、流体は、毛細管作用を使用して(例えば、好適に狭い内径を有する皮下注射針を使用して)引き抜かれる。さらに別の実施形態では、針から流体を押し出すように、圧力が印加されてもよい。
【0070】
さらに別の実施形態では、流体は、皮膚の表面に、または皮膚に近接して塗布される吸湿性作用物質を使用して引き抜かれてもよい。場合によっては、吸湿性作用物質を皮膚の中へ駆動するように、圧力が印加されてもよい。吸湿性作用物質は、一般的には、例えば、吸収または吸着を通して、周辺環境から水を引き付けることが可能である。吸湿性作用物質の非限定的実施例は、糖、蜂蜜、グリセロール、エタノール、メタノール、硫酸、メタンフェタミン、ヨウ素、多くの塩素および水酸化物塩、ならびに種々の他の物質を含む。他の実施例は、塩化亜鉛、塩化カルシウム、水酸化カリウム、または水酸化ナトリウムを含むが、それらに限定されない。場合によっては、好適な吸湿性作用物質は、用途に応じて、その物理的または反応性質、例えば、被検体の皮膚に対する不活性または生体適合性に基づいて選択されてもよい。
【0071】
場合によっては、被検体に送達される流体または他の物質は、被検体の過去、現在、および/または将来の状態の指示のために使用されてもよい。したがって、決定される被検体の状態は、被検体の中で現在存在しているもの、および/または現在存在していないものであてもよいが、被検体は、その状態への増加した危険性の影響を受けやすく、またはそうでなければ危険性が高い。状態は、病状、例えば、糖尿病または癌、あるいは脱水、妊娠、違法薬物使用、または同等物等の他の生理学的状態であってもよい。付加的な非限定的実施例を以下で説明する。1組の実施形態では、物質は、診断用薬、例えば、被検体内の被分析物、例えば、病状に対するマーカーである被分析物を決定することができるものを含んでもよい。そのようなマーカーの実施例は、上記で論議されている。具体的な非限定的実施例として、皮膚に、例えば、被検体真皮または表皮、流体のプール領域等に送達される物質は、細菌によって産生されるマーカーを対象とする抗体を含む、粒子を含んでもよい。
【0072】
しかしながら、他の場合においては、被検体に送達される物質は、被検体の外部の状態を決定するために使用されてもよい。例えば、物質は、病原体または被検体を包囲する他の環境状態を認識することが可能な反応実体、例えば、外部病原体(または病原体マーカー)を認識することが可能な抗体を含有してもよい。具体的実施例として、病原体は、炭疽菌であってもよく、抗体は、炭疽菌に対する抗体であってもよい。別の実施例として、病原体は、マラリア原虫(マラリアを引き起こす何らかの種)であってもよく、抗体は、マラリア原虫を認識する抗体であってもよい。
【0073】
本発明の別の側面は、概して、被検体の皮膚内で流体のプール領域の形成を引き起こすことが可能なデバイスを対象とし、場合によっては、流体または他の物質を送達し、流体のプール領域からおよび/または除去することが可能なデバイスを対象とする。しかしながら、他の側面での他のデバイスは、皮膚内での流体のプール領域の形成を必要としないことを理解されたい。場合によっては、デバイスは、流体のプール領域から、または他の場所からの流体を含む、間質液または血液等の体液を皮膚から採取することが可能であってもよい。例えば、デバイスは、一実施形態によれば、皮膚「パッチ」の形態を成してもよい。一般的には、皮膚パッチは、皮膚の表面に接着される物質の1つ以上の層を含み、被検体または別の個人によって適用することができる。ある実施形態では、皮膚パッチの複数の層または部分が、皮膚の上に他の層または部分を残して除去されてもよい。しばしば、皮膚パッチには外部電源が掛けているが、パッチの種々の層は、薬剤、治療薬、診断用薬、反応実体等の種々の化学物質を含有してもよい。場合によっては、皮膚パッチはまた、機械的要素、例えば、本明細書で論議されるようなカッターも含んでもよい。
【0074】
具体的な非限定的実施例として、一実施形態では、外部電力および/または真空源を用いずに吸引水疱を生成するために、皮膚パッチまたは他のデバイスが使用されてもよい。そのようなデバイスの実施例は、皮膚パッチの他に、細片、テープ、包帯、または同等物を含む。例えば、皮膚パッチは、被検体の皮膚と接触させられてもよく、吸引水疱を生成し、および/または皮膚から流体を引き抜くために使用されてもよい、皮膚パッチまたは他のデバイスの一部分の形状の変化を通して、真空が生成されてもよい。具体的実施例として、形状記憶ポリマーが、第1の温度(例えば、室温)で平坦であるが、第2の温度(例えば、体温)では曲線状となるように成形されてもよく、皮膚に適用されると、形状記憶ポリマーは、平坦形状から曲線形状に改変し、それにより、真空を生成してもよい。別の実施例として、真空を生成するために、機械的デバイスが使用されてもよく、例えば、バネ、コイル、膨張発泡体(例えば、圧縮状態から)、形状記憶ポリマー、形状記憶金属、または同等物が、圧縮状態で貯蔵され、または被検体への適用時に創傷放出され、次いで、真空を機械的に生成するように解放されてもよい(例えば、巻装解除する、圧縮解除する等)。したがって、場合によっては、デバイスは、好適な真空源(例えば、事前に真空排気された真空チャンバ)を伴って「事前同梱」され、例えば、一実施形態では、デバイスは、皮膚に適用され、真空源を生成し、および/または真空源にアクセスするように、何らかの様式で起動されてもよい。一実施例が、図8に関して以下で説明されている。さらに別の実施例では、真空を生成するために、化学反応、例えば、ガスが産生される反応が使用されてもよく、それは、機械力を提供して真空を生成するために利用することができる。さらに別の実施例では、デバイスの構成要素は、機械力がない場合に真空を生成することが可能であってもよい。別の実施例では、デバイスは、内蔵式真空アクチュエータ、例えば、化学反応物質、変形可能な構造、バネ、ピストン等を含んでもよい。
【0075】
図8C〜8Eは、吸引水疱を生成するために圧縮発泡体が使用される、実施形態を図示する。図8Cでは、デバイス80は、皮膚57の上に配置され、圧縮発泡体95を含む。デバイス80は、図8Dで示されるように、例えば、皮膚の上に押下されると、皮膚の一部分を切断することが可能である、例えば、穴97を生成する、カッター54を含む。加えて、発泡体は、デバイスが皮膚の上に配置された後に、何らかの様式で膨張することを許可されてもよい。例えば、発泡体の膨張が発生することを可能にするように、デバイス80の筐体部分が除去されてもよい。発泡体の膨張は、図8Eに示されるように、吸引を生成し、それにより、吸引水疱99の形成を引き起こしてもよく、および/または流体が皮膚から引き抜かれることを可能にしてもよい。
【0076】
したがって、1組の実施形態では、ユーザによる外部制御を伴わずに、いったん起動されると、自動的に吸引水疱を生成するために、皮膚パッチまたは他のデバイスが使用されてもよい。しかしながら、他の実施形態では、デバイスは、より大きくてもよい。例えば、デバイスは、被検体の皮膚の表面に適用される手持ち式デバイスであってもよい。しかしながら、場合によっては、デバイスは、被検体がデバイスを自己管理することができるほど十分に小型または携帯用であってもよい。ある実施形態では、デバイスはまた、電動であってもよい。場合によっては、デバイスは、皮膚の表面に適用されてもよく、皮膚に挿入されない。
【0077】
しかしながら、他の実施形態では、デバイスの少なくとも一部分が、例えば、機械的に、皮膚に挿入されてもよい。例えば、一実施形態では、デバイスは、本明細書で論議されるように、皮下注射針、ナイフの刃、貫通要素(例えば、中実または中空針)、または同等物等のカッターを含んでもよい。場合によっては、デバイスは、皮膚の表面を切断または貫通することが可能なカッターを備えてもよい。カッターは、それを通して流体が送達され、および/または皮膚から除去されてもよい、皮膚内の流体に対する経路を生成することが可能な任意の機構を備えてもよい。例えば、カッターは、皮膚から流体を引き抜くために好適な導管を生成するように、皮膚に適用されてもよい、皮下注射針、ナイフの刃、貫通要素(例えば、中実または中空針)、または同等物を備えてもよい。一実施形態では、そのような経路を生成するためにカッターが使用され、除去され、次いで、任意の好適な技法を使用して、この経路を介して流体が除去される。別の実施形態では、カッターは皮膚内で適所にとどまり、流体は、カッター内の導管を通して引き出されてもよい。
【0078】
実施例として、デバイスは、吸引水疱が形成された後に、カッターまたは針が皮膚に挿入されるように構築されてもよい。場合によっては、デバイスは、デバイスの複数部分が分離可能であるように設計されてもよい。例えば、デバイスの第1の部分が、皮膚の上にデバイスの他の部分を残して、皮膚の表面から除去されてもよい。一実施形態では、カッターまたは他のデバイスが皮膚に挿入する深度を防止または制御するように、例えば、表皮、真皮等への貫通を制御するように、停止部も含まれてもよい。
【0079】
そのようなデバイスの種々の非限定的実施例が、図2に図示されている。図2Aでは、デバイス50は、真空を皮膚10の表面に適用するために使用することができ、それにより、表皮15と真皮17との間の皮膚内に流体のプール領域20を生成する、界面25を含む。図示された実施形態では、デバイス50は、真空ポンプまたは外部(ライン)真空源等の真空源と流体的に連絡してもよい、導管27を含む。この図では、デバイス50はまた、流体のプール領域の中へ延在させることができ、流体または他の物質を送達し、および/または流体のプール領域から除去するために使用することができる、カッター、この場合は皮下注射針も含む。この図では、皮下注射針は、皮膚内で導管を生成するとともに、流体を送達し、および/または皮膚から除去するために、使用される。しかしながら、他の実施形態では、針(または他のデバイス)は、それを通して流体を送達および/または除去することができる、皮膚内の「穴」を残して、皮膚から除去されてもよい。この図では、流体のプール領域から引き抜かれた流体は、皮膚10内に存在する、病状に対するマーカー等の被分析物を決定するために使用することができる、センサ52に送達されてもよい。カッターは、デバイス50の一体部分、または別個のデバイスであってもよい。場合によっては、デバイス50は、別個に除去可能な部分を備えてもよい。例えば、吸引水疱を生成した後に、界面25は、皮膚10内に皮下注射針40を残して、デバイス50から除去可能であってもよい。
【0080】
デバイスの別の実施例が、図2Bに示されている。この図では、デバイス10は、流体を送達および/または除去することができる導管27を含む。一実施形態では、生理食塩水等の流体が、導管27を通して送達され、それにより、表皮15と真皮17との間に流体のプール領域を生成する。任意で、例えば、治療または診断目的で、導管27を使用して、粒子等の物質が流体のプール領域の中へ送達されてもよい。場合によっては、皮膚10内の流体のプール領域の生成後に、以前に論議されているように、流体の少なくとも一部分が、分析のために導管27(または場合によっては別の導管)を通して除去されてもよい。
【0081】
図2Cでは、皮膚に挿入することができ、真皮から表皮を少なくとも部分的に分離して、流体のプール領域20の生成を可能にするために使用することができる、皮下注射針またはナイフの刃等のカッター54を含む、同様のデバイスが示されている。例えば、カッター54は、分離化学物質をこの領域に送達することによって、および/または熱をこの領域に伝導することによって、真皮から表皮を分離してもよい。また、この実施例では、流体を送達し、および/または流体のプール領域から除去するために使用されてもよい、導管27も示されている。場合によっては、カッター54および導管27は、例えば、連続的または同時に、被検体に別々に投与されてもよい。別の実施形態では、両方は、皮膚10に投与される同じデバイスの一部であってもよく、場合によっては、例えば、カッター54を皮膚から除去することができる一方で、導管27が皮膚内にとどまるように、カッター54は、導管27から分離されてもよい。
【0082】
図3Aは、本発明の別の実施形態によるデバイスを図示する。この実施例では、デバイス60が皮膚63に適用される。デバイス60は、例えば、パッチ、アップリケ、機械的デバイス、または同等物であってもよい。真空が、領域65の中でデバイス60と皮膚との間に生成される。真空は、デバイス自体によって、および/または真空ポンプまたは外部(ライン)真空源等の真空源との接続を通して、含有されてもよい。真空源の他の実施例は、シリンジ、バルブ、真空ポンプ、ベンチュリ管、または手動(口)吸引さえも含むが、それらに限定されない。また、図3Bではカッター70も示されている。カッター70は、例えば、針または極微針、ナイフの刃、あるいは同等物であってもよい。
【0083】
吸引水疱が皮膚内で形成するにつれて、流体のプール領域により、デバイス60の領域65の中へ上向きに延在する部分64として図3Bで示された、皮膚の部分が持ち上げられてもよい。部分64は、領域65の中へ上向きに延在するにつれて、カッター70と接触する。ある条件下では、皮膚は、図3Cに示されるように、カッター70が皮膚65に切り込むほど十分に領域65の中へ上向きに延在してもよい。例えば、カッター70が皮下注射針である場合、皮膚の中への針の貫通時に、針は、皮膚内、例えば、吸引水疱を形成する皮膚内の流体のプール領域内の間質液にアクセスするために使用されてもよい。したがって、流体が引き抜かれてもよく、および/または粒子等の物質が、皮下注射針を使用してプール領域の中へ送達されてもよい。
【0084】
付加的な実施例として、デバイスは、被検体の皮膚内に流体のプール領域を生成することが可能な第1の部分、およびプール領域から除去された流体を決定することが可能な第2の部分、または、被検体の皮膚内に流体のプール領域を生成することが可能な第1の部分、および流体を流体のプール領域に送達することが可能な第2の部分を備えてもよく、種々の部分は、相互から分離されてもよい。例えば、流体自体が決定されてもよく(例えば、流体の存在および/または非存在、流体の濃度、流体の体積等)、または流体内の被分析物が、例えば、被分析物が存在する、および/または存在しない等、定性的または定量的に決定されてもよい。さらに別の実施例として、デバイスは、被検体の皮膚内に流体のプール領域を生成することが可能な第1の部分と、プール領域から除去された流体を決定することが可能な第2の部分と、流体を流体のプール領域に送達することが可能な第3の部分とを備えてもよく、いくつかまたは全ての部分は、相互から分離されてもよい。
【0085】
ある実施形態では、デバイスは、被検体の皮膚内に流体のプール領域を生成することが可能である。一実施形態では、デバイスは、例えば、皮膚内に吸引水疱を形成するように、皮膚の表面上で真空を生成することが可能である。しかしながら、他の実施形態では、デバイスは、必ずしも流体のプール領域を生成することなく、または皮膚内で吸引水疱を形成することなく、真空を生成して皮膚から流体を引き抜いてもよい。1組の実施形態では、流体は、真空を使用して、皮膚に送達される、または皮膚から引き抜かれてもよい。真空は、外部真空源であってもよく、および/または真空源は、デバイス内に内蔵されてもよい。例えば、吸引水疱を引き起こすように、少なくとも約50mmHg、少なくとも約100mmHg、少なくとも約150mmHg、少なくとも約200mmHg、少なくとも約250mmHg、少なくとも約300mmHg、少なくとも約350mmHg、少なくとも約400mmHg、少なくとも約450mmHg、少なくとも約500mmHg、少なくとも550mmHg、少なくとも600mmHg、少なくとも650mmHg、少なくとも約700mmHg、または少なくとも約750mmHgの真空が、皮膚に印加されてもよい。任意の真空源が使用されてもよい。例えば、デバイスは、真空源を備えてもよく、および/または真空ポンプまたは外部(ライン)真空源等のデバイス外部の真空源に接続可能であってもよい。場合によっては、真空は、例えば、シリンジポンプまたは同等物を操作することによって、手動で生成されてもよく、または、例えば、ピストンポンプ、シリンジ、バルブ、ベンチュリ管、手動(口)吸引等、または同等物を使用して、低圧が機械的または自動的に生成されてもよい。
【0086】
既述のように、任意の真空源が使用されてもよい。例えば、デバイスは、内部真空源を備えてもよく、および/または真空ポンプまたは外部(ライン)真空源等のデバイス外部の真空源に接続可能であってもよい。
【0087】
1組の実施形態では、本発明のデバイスは、外部電力および/または真空源を有さなくてもよい。場合によっては、デバイスは、好適な真空源を「事前搭載」しており、例えば、一実施形態では、デバイスは、皮膚に適用され、真空源を生成し、および/または真空源にアクセスするように、何らかの方式で起動されてもよい。一実施例として、本発明のデバイスは、被検体の皮膚と接触させられてもよく、(例えば、形状記憶ポリマーを使用した)デバイスの一部分の形状の変化を通して、真空が生成されてもよく、またはデバイスは、1つ以上の密閉内蔵式真空区画を含有してもよく、真空を生成するように、何らかの方式でシールが穿刺される。例えば、シールを穿刺すると、真空区画は、デバイスに向かって皮膚を移動させる、皮膚から流体を引き抜く、または同等物を行うために使用することができる、針と流体的に連絡してもよい。
【0088】
別の実施例として、形状記憶ポリマーが、第1の温度(例えば、室温)で平坦であるが、第2の温度(例えば、体温)では曲線状となるように成形されてもよく、皮膚に適用されると、形状記憶ポリマーは、平坦形状から曲線形状に改変し、それにより、真空を生成してもよい。さらに別の実施例として、真空を生成するために、機械的デバイスが使用されてもよく、例えば、バネ、コイル、膨張発泡体(例えば、圧縮状態から)、形状記憶ポリマー、形状記憶金属、または同等物が、圧縮状態で貯蔵され、または被検体への適用時に創傷放出され、次いで、真空を機械的に生成するように解放されてもよい(例えば、巻装解除する、圧縮解除する等)。形状記憶ポリマーおよび金属の非限定的実施例は、Nitinol、オリゴ(イプシロン−カプロラクトン)ジオールおよび結晶化可能オリゴ(ロー−ジオキサノン)ジオールの組成物、またはオリゴ(イプシロン−カプロラクトン)ジメタクリラートおよびn−アクリル酸ブチルの組成物を含む。
【0089】
場合によっては、デバイスは、真空を皮膚に印加することが可能である、界面を含む。界面は、例えば、皮膚の表面上に配置される吸引カップまたは円形ボウルであってもよく、真空を生成するように、真空が界面に印加されてもよい。1組の実施形態では、界面は、本明細書で論議されるように、支持構造の一部である。界面は、任意の好適な材料、例えば、ガラス、ゴム、シリコーン等のポリマー、ポリウレタン、ニトリルゴム、EPDMゴム、ネオプレン、または同等物から形成されてもよい。場合によっては、例えば、真空グリース、ワセリン、ゲル、ヒドロゲル、または同等物を使用して、界面と皮膚との間のシールが強化されてもよい(例えば、漏出を低減する)。場合によっては、界面は、比較的小さくてもよく、例えば、約5cm未満、約4cm未満、約3cm未満、約2cm未満、約1cm未満、約5mm未満、約4mm未満、約3mm未満、約2mm未満、または約1mm未満の直径を有する。界面は、円形であってもよいが、例えば、正方形、星形(5、6、7、8、9、10、11個等の点を有する)、涙形、卵形、長方形、または同等物といった、他の形状も可能である。場合によっては、高エネルギー点、例えば、形状の点または隅が、水疱形成を増進または加速してもよいため、非円形の形状が使用されてもよい。そのような形状の非限定的実施例が、図6に示されている。他の実施形態では、これら以外の他の非円形の形状も使用されてもよい。
【0090】
界面はまた、場合によっては、審美的理由または同等の理由により、例えば、被検体にとっての苦痛または不快感を最小限化するように、ある面積以下にプール領域のサイズを保つよう選択されてもよい。界面は、任意の好適な材料、例えば、ガラス、プラスチック、または同等物から構築されてもよい。
【0091】
デバイスはまた、場合によっては、皮膚の中へ、例えば、真皮または表皮の中へ、皮膚内のプール領域の中等へ、粒子等の物質を送達することが可能な部分を備えてもよい。例えば、デバイスは、皮下注射針または極微針等の針、あるいは以下で論議されるもの等のジェット式注射器を含んでもよい。実施例として、一実施形態では、皮膚に流体を送達する、および/または皮膚から流体を引き抜くために、皮下注射針等の針を使用することができる。場合によっては、例えば、流体は、送達され、および/または、もし存在するならば、皮膚の中の流体のプール領域から引き抜かれてもよい。皮下注射針は、当業者に周知であり、一連の針ゲージを伴って商業的に入手することができる。例えば、針は、20〜30ゲージ範囲であってもよく、または針は、32ゲージ、33ゲージ、34ゲージ等であってもよい。
【0092】
したがって、1組の実施形態では、流体を送達する、および/または引き抜くための多くの技法が、本明細書に組み込まれた出願で説明されている。概して、流体は、種々の方法で送達され、および/または引き抜かれてもよく、流体を送達する、および/または皮膚から引き抜くための種々のシステムおよび方法が、本明細書で論議されることを理解されたい。また、皮膚のプール領域の中へ物質を送達するための技法は、一例によるものにすぎず、他の側面では、本発明は、(皮膚のプール領域の有無を問わず)流体を送達し、および/または被検体の皮膚から引き抜くための技法を対象とすることも理解されたい。そのような技法のいくつかの付加的な非限定的実施例を以下で論議する。1組の実施形態では、例えば、流体を輸送するように皮膚の表面を貫通または改変するための技法、例えば、皮下注射針または極微針等の針、皮膚に塗布される化学物質(例えば、浸透増進剤)、またはジェット式注射器、あるいは以下で論議されるもの等の他の技法が論議される。
【0093】
針が存在する場合、針は、任意の好適なサイズおよび長さであってもよく、中実または中空であってもよい。針は、任意の好適な断面(例えば、貫通の方向と垂直である)、例えば、円形、正方形、卵形、楕円形、長方形、丸みを帯びた長方形、三角形、多角形、六角形、不整形等の断面を有してもよい。例えば、針は、約5mm未満、約4mm未満、約3mm未満、約2mm未満、約1mm未満、約800マイクロメートル未満、600マイクロメートル未満、500マイクロメートル未満、400マイクロメートル未満、約300マイクロメートル未満、約200マイクロメートル未満、約175マイクロメートル未満、約150マイクロメートル未満、約125マイクロメートル未満、約100マイクロメートル未満、約75マイクロメートル未満、約50マイクロメートル未満等の長さを有してもよい。針はまた、約5mm未満、約4mm未満、約3mm未満、約2mm未満、約1mm未満、約800マイクロメートル未満、600マイクロメートル未満、500マイクロメートル未満、400マイクロメートル未満、約300マイクロメートル未満、約200マイクロメートル未満、約175マイクロメートル未満、約150マイクロメートル未満、約125マイクロメートル未満、約100マイクロメートル未満、約75マイクロメートル未満、約50マイクロメートル未満等の最大断面寸法を有してもよい。例えば、一実施形態では、針は、175マイクロメートル×50マイクロメートルの寸法を有する、長方形の断面を有してもよい。1組の実施形態では、針は、少なくとも約2:1、少なくとも約3:1、少なくとも約4:1、少なくとも5:1、少なくとも約7:1、少なくとも約10:1、少なくとも約15:1、少なくとも約20:1、少なくとも約25:1、少なくとも約30:1等の長さ対最大断面寸法のアスペクト比を有してもよい。一実施形態では、針は極微針である。
【0094】
例えば、針は、Allenらによる、「Microneedle Devices and Methods of Manufacture and Use Thereof」と題された2002年1月1日発行の米国特許第6,334,856号で開示されているもの等の極微針であってもよく、極微針は、被検体の皮膚に流体または他の物質を送達し、および/または皮膚から流体を引き抜くために使用されてもよい。極微針は、中空または中実であってもよく、任意の好適な物質、例えば、金属、セラミック、半導体、有機物、ポリマー、および/または複合物から形成されてもよい。実施例は、医薬品グレードステンレス鋼、チタン、ニッケル、鉄、金、スズ、クロム、銅、これらの金属または他の金属の合金、シリコン、二酸化ケイ素、ならびに、乳酸およびグリコール酸等のヒドロキシ酸のポリマー、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリラクチド−コ−グリコリドを含むポリマー、およびポリエチレングリコール、ポリ無水物、ポリオルトエステル、ポリウレタン、ポリ酪酸、ポリ吉草酸、ポリラクチド−コ−カプロラクトン、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸、ポリエチレン酢酸ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸、またはポリエステルを伴う共重合体を含むが、それらに限定されない。場合によっては、1本より多くの極微針が使用されてもよい。例えば、極微針のアレイが使用されてもよく、極微針は、任意の好適な構成、例えば、周期的、ランダム構成等で、アレイに配設されてもよい。場合によっては、アレイは、3本以上、4本以上、5本以上、6本以上、10本以上、15本以上、20本以上、35本以上、50本以上、100本以上、または任意の他の好適な数の極微針を有してもよい。本明細書で論議されるような「針」または「極微針」への言及は、一例によるもので、表現を容易にするためにすぎず、他の実施形態では、1本より多くの針および/または極微針が、本明細書の説明のうちのいずれかに存在してもよいことを理解されたい。
【0095】
さらに別の実施例として、例えば、ジェット式注射器または「ハイポスプレー」を使用して、皮膚の中へ流体または他の物質を送達するために、加圧流体が使用されてもよい。一般的には、そのようなデバイスは、物質を皮膚の中へ駆動する液体または粉末(例えば、生理食塩水等の生体適合性液体)の高圧「ジェット」を発出し、例えば、ジェットの圧力を制御することによって、浸透の深度が制御されてもよい。圧力は、任意の好適な圧力源、例えば、標準ガスシリンダまたはガスカートリッジに由来してもよい。そのようなデバイスの非限定的実施例は、Ismachによる、「Hydraulically Powered Hypodermic Injector with Adapters for Reducing and Increasing Fluid Injection Force」と題された1978年8月1日発行の米国特許第4,103,684号で見ることができる。例えば、液体の加圧は、例えば、ガスシリンダまたはガスカートリッジからの、圧縮空気またはガスを使用して、達成されてもよい。
【0096】
加えて、ある実施形態では、デバイスは、皮膚から流体の少なくとも一部分を除去することが可能な部分を備えてもよい。例えば、デバイスは、皮下注射針、真空源、吸湿性作用物質、または同等物を備えてもよい。ある場合においては、流体を除去することが可能なデバイスの部分はまた、流体を皮膚に送達するために使用されてもよい。流体は、任意の好適な技法を使用して、皮膚から除去されてもよい。例えば、一実施形態では、流体は、例えば、シリンジ上のプランジャを操作することによって、手動で除去される。別の実施形態では、流体は、例えば、ピストンポンプまたは同等物を使用して、機械的または自動的に皮膚から除去することができる。
【0097】
いくつかの側面では、デバイスは、例えば、流体のプール領域内で、皮膚の中または外へ、流体および/または粒子等の他の物質を送達する、および/または引き抜くために使用されてもよい、微小流体チャネル等のチャネルを含んでもよい。場合によっては、微小流体チャネルは、皮膚に流体を送達し、および/または皮膚から流体を引き抜くために使用される、流体輸送器と流体的に連絡している。例えば、1組の実施形態では、デバイスは、皮膚に挿入することができる皮下注射針を含んでもよく、流体は、針を介して皮膚の中へ送達され、および/または針を介して皮膚から引き抜かれてもよい。デバイスはまた、例えば、流体源から、針に送達し、および/または、例えば、デバイス内の分析区画への送達のために、皮膚から、後の分析または同等物のための貯留部へと流体を引き抜くために、流体を含有するように1つ以上の微小流体チャネルを含んでもよい。
【0098】
ここで、図4Aを参照して、微小流体チャネルを含むチャネルの一実施形態を開示する。この図では、皮膚87に適用可能なデバイス80は、第1の区画81と、第2の区画82とを含む。いくつかの実施形態では、区画は、必ずしも図4Aに示されるような離散チャンバではなく、例えば、区画81、82、および83、ならびに弁91および92を伴う図7に示されるように、弁、膜、または同等物等のコントローラの使用を通して、種々の区画が相互から分離されてもよいことを留意されたい。再び図4Aを参照すると、デバイス80は、例えば、パッチ、アップリケ、機械的デバイス等であってもよい。第1の区画81および第2の区画82は、例えば、微小流体チャネル85を使用して、流体的に連絡してもよい。任意で、第2の区画82から第1の区画81の中への(または実施形態に応じて、その逆の)逆流を防止するために、逆止弁88が使用されてもよい。逆止弁88は、存在する場合、反対方向に対して1つの方向への流体流動を優先的に可能にする、任意の弁であってもよい。例えば、図5で示されるように、逆止弁は、1つの方向(例えば、下流)に揺れ動くことが可能であるが、反対方向(例えば、上流)に揺れ動くことが可能ではない、1つ以上のヒンジ連結部分を備えてもよい。
【0099】
一実施例では、真空は、チャネル89に取り付けられた真空源からデバイスに印加され、真空は、上記で論議されるように、皮膚の中で吸引水疱を生成するために使用することができる。例えば、第1の区画81は、皮膚内、例えば、吸引水疱によって生成される流体のプール領域内の流体にアクセスするために使用される、針86を含んでもよい。第2の区画82は、例えば、皮膚から引き抜かれた流体の構成要素を分析するために使用されてもよい。別の実施例では、チャネル89は、圧力源に接続されてもよく、第2の区画82は、皮膚に送達される流体を含有してもよい。
【0100】
場合によっては、1つより多くの区画がデバイス内に存在してもよく、場合によっては、区画のうちのいくつかまたは全ては、例えば、微小流体チャネル等のチャネルを介して、流体的に連絡してもよい。種々の実施形態では、用途に応じて、種々の区画および/またはチャネルが、デバイス内に存在してもよい。例えば、デバイスは、被分析物を感知するための区画、試薬を担持するための区画、温度を制御するための区画、pHまたは他の状態を制御するための区画、圧力または真空を生成または緩衝するための区画、流体流動を制御または加減するための区画、混合区画、または同等物を含有してもよい。
【0101】
具体的な非限定的実施例として、図4Bでは、第1の区画81内の圧力または真空の生成を促進するために、第3の区画83が使用される。区画は、例えば、第3のチャネルを介して第3の区画83に流体的に連絡している第2の区画82に、第1のチャネルを介して流体的に連絡している第1の区画81を伴う、図4Bで示されるように、任意の好適な配設で配設されてもよい。上記で論議されるように、第1の区画81は、第3の区画83を使用して生成される真空によって促進される、皮膚上に真空を生成する、および/または皮膚内の流体にアクセスするために使用されてもよく、皮膚から引き出された流体は、分析のために、微小流体チャネル85(または任意的な逆止弁88)を通過して第2の区画82に進入してもよい。流体の分析は、本明細書で説明されるもの等の任意の好適な技法を使用して行われてもよい。例えば、第2の区画82は、被分析物を決定することが可能な作用物質、例えば、被分析物の量に比例する色変化を生じる粒子を含有してもよい。
【0102】
デバイス例80の上面図(図8A)および側面図(図8B)を示す図8を参照して、さらに別の実施例を説明する。この図では、第1の区画81および第2の区画82は、例えば、微小流体チャネル85を使用して、流体的に連絡している。弁88が、これらの区画を分離する。デバイスは、弁88の閉鎖により、第1の区画と流体的に連絡してない第2の区画82内で、真空を「事前搭載」してもよい。例えば、第1の区画81が外部環境に曝露されないように気密様式で、デバイス80が被検体の皮膚87に適用された後に、弁88が開かれてもよく、それにより、第1の区画81が、第2の区画82内の真空に流体的に曝露されることを可能にする。このようにして、いったん弁88が開かれると、第1の区画81を介して、真空が皮膚に印加されてもよい。したがって、本発明のある実施形態は、分析および/または後で使用するための貯蔵のために、皮膚から、流体、例えば、血液または間質液を引き抜くことが可能なデバイスを対象とする。
【0103】
したがって、1組の実施形態では、デバイスは、微小流体チャネルを含んでもよい。本明細書で使用されるように、「微小流体」、「微視的」、「マイクロスケール」、「マイクロ」接頭辞(例えば、「マイクロチャネル」のような)、および同等物は、概して、約1mm未満、および場合によっては約100ミクロン(マイクロメートル)未満の幅または直径を有する、要素または部品を指す。いくつかの実施形態では、本明細書で論議される実施形態のうちのいずれかについて、微小流体チャネルの代わりに、またはそれと併せて、より大きいチャネルが使用されてもよい。例えば、ある場合においては、約10mm未満、約9mm未満、約8mm未満、約7mm未満、約6mm未満、約5mm未満、約4mm未満、約3mm未満、または約2mm未満の幅または直径を有するチャネルが使用されてもよい。場合によっては、要素または部品は、それを通って流体が流れることができる、チャネルを含む。全ての実施形態では、特定の幅は、最小幅(すなわち、その場所で、部品が異なる次元でより大きい幅を有することができるように特定されるような幅)、または最大幅(すなわち、その場所で、部品は、特定されるような幅を超えない広さの幅を有するが、より大きい長さを有することができる)となり得る。したがって、微小流体チャネルは、約1mm未満、約500ミクロン未満、約300ミクロン未満、または約100ミクロン未満の平均断面寸法(例えば、微小流体チャネルの中の流体の流動の方向と垂直である)を有してもよい。場合によっては、微小流体チャネルは、約60ミクロン未満、約50ミクロン未満、約40ミクロン未満、約30ミクロン未満、約25ミクロン未満、約10ミクロン未満、約5ミクロン未満、約3ミクロン未満、または約1ミクロン未満の平均直径を有してもよい。
【0104】
本明細書で使用されるような「チャネル」は、流体の流動を少なくとも部分的に方向付ける部品(例えば、基材)の上または中の特徴を意味する。場合によっては、チャネルは、単一の構成要素、例えば、エッチングされた基材または成形されたユニットによって、少なくとも部分的に形成されてもよい。チャネルは、任意の断面形状、例えば、円形、卵形、三角形、不整形、正方形、または長方形(任意のアスペクト比を有する)、あるいは同等物を有することができ、覆う、または覆いを取る(すなわち、チャネルを包囲する外部環境に開いている)ことができる。チャネルが完全に覆われる実施形態では、チャネルの少なくとも一部分が、完全に取り囲まれる断面を有することができ、および/またはチャネル全体が、その入口および出口を除いて、その全長に沿って完全に取り囲まれてもよい。
【0105】
チャネルは、任意のアスペクト比、例えば、少なくとも約1:1、少なくとも約2:1、より一般的には、少なくとも約3:1、少なくとも約5:1、少なくとも約10:1等のアスペクト比(長さ対平均断面寸法)を有してもよい。流体または微小流体チャネルを参照して、本明細書で使用されるような「断面寸法」は、チャネル内の流体流動と略垂直な方向に測定される。チャネルは、概して、流体輸送に対する制御を促進する特性、例えば、構造特性および/または物理的あるいは化学的特性(疎水性対親水性)、および/または流体に力(例えば、含有力)を及ぼすことができる他の特性を含む。チャネル内の流体は、チャネルを部分的または完全に充填してもよい。場合によっては、流体は、何らかの様式で、例えば、表面張力を使用して(例えば、流体が、凹状または凸状メニスカス等のメニスカス内のチャネル内で担持されるように)、チャネルまたはチャネルの一部分内で担持または拘束されてもよい。部品または基材の中で、チャネルのうちのいくつか(または全て)は、特定のサイズまたはそれ以下であってもよく、例えば、約5mm未満、約2mm未満、約1mm未満、約500ミクロン未満、約200ミクロン未満、約100ミクロン未満、約60ミクロン未満、約50ミクロン未満、約40ミクロン未満、約30ミクロン未満、約25ミクロン未満、約10ミクロン未満、約3ミクロン未満、約1ミクロン未満、約300nm未満、約100nm未満、約30nm未満、または約10nm未満、あるいは場合によってはそれ以下の流体流動と垂直な最大寸法を有してもよい。一実施形態では、チャネルは、毛細管である。
【0106】
場合によっては、デバイスは、流体を担持するための1つ以上のチャンバまたは貯留部を含有してもよい。場合によっては、チャンバは、1つ以上の流体輸送器および/または1つ以上の微小流体チャネルと流体的に連絡してもよい。例えば、デバイスは、(例えば、貯蔵および/または後の分析のために)被検体から引き抜かれた流体を採取するためのチャンバ、被検体に送達するための流体(例えば、血液、生理食塩水、任意で含有する薬剤、ホルモン、ビタミン、医薬品、または同等物)を含有するチャンバ等を含有してもよい。
【0107】
デバイス、例えば、微小流体チャネルを形成するために、本発明のある側面による、種々の物質および方法を使用することができる。例えば、本発明の種々の構成要素は、固体材料から形成することができ、チャネルは、微細機械加工、スピンコーティングおよび化学蒸着等の膜堆積過程、レーザ加工、フォトリソグラフィ技法、湿式化学またはプラズマ過程を含むエッチング方法、および同等物を介して形成することができる。例えば、Scientific American,248:44−55,1983(Angell et al.)を参照されたい。
【0108】
1組の実施形態では、本発明のシステムおよびデバイスの種々の構成要素は、例えば、ポリジメチルシロキサン(「PDMS」)、ポリテトラフルオロエチレン(「PTFE」またはTeflon(R))、または同等物等の弾性ポリマーで形成することができる。例えば、一実施形態によれば、微小流体チャネルは、PDMSまたは他のソフトリソグラフィ技法を使用して、別々に流体システムを製造することによって実装されてもよい(この実施形態に好適なソフトリソグラフィ技法の詳細は、Annual Review of Material Science,1998,Vol.28,ページ153−184で発表された、Younan XiaおよびGeorge M.Whitesidesらによる「Soft Lithography」と題された参考文献、Annual Review of Biomedical Engineering,2001,Vol.3,ページ335−373で発表された、George M.Whitesides、Emanuele Ostuni、Shuichi Takayama、Xingyu Jiang、およびDonald E.Ingberによる「Soft Lithography in Biology and Biochemistry」で論議されており、これらの参考文献のそれぞれは、参照することにより本明細書に組み込まれる)。
【0109】
潜在的に好適なポリマーの他の実施例は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアクリル酸塩、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化ポリマー、ポリジメチルシロキサン等のシリコーン、ポリ塩化ビニリデン、ビスベンゾシクロブテン(「BCB」)、ポリイミド、ポリイミドのフッ素化誘導体、または同等物を含むが、それらに限定されない。上記で説明されるものを含むポリマーを伴う、組み合わせ、共重合体、または混合物も構想される。デバイスはまた、複合材料、例えば、ポリマーおよび半導体材料の複合物から形成されてもよい。
【0110】
いくつかの実施形態では、本発明の種々の構成要素は、ポリマーおよび/または可撓性および/または弾性材料から製造され、成形(例えば、レプリカ成形、射出成形、鋳型成形等)を介した製造を促進する、硬化可能な流体で便利に形成することができる。硬化可能な流体は、本質的に、流体ネットワークでの使用および流体ネットワークとの使用に検討される流体を含有および/または輸送することが可能な固体に、凝固するように誘導することができる、または自発的に凝固する、任意の流体となり得る。一実施形態では、硬化可能な流体は、ポリマー液体または液体ポリマー前駆体(すなわち、「プレポリマー」)を含む。好適なポリマー液体は、例えば、熱可塑性ポリマー、熱硬化性ポリマー、ワックス、金属、またはそれらの融点以上で加熱されたそれらの混合物あるいは複合物を含むことができる。別の実施例として、好適なポリマー液体は、好適な溶媒中の1つ以上のポリマーの溶液を含んでもよく、その溶液は、例えば、蒸発による溶媒の除去時に、固体ポリマー材料を形成する。例えば、金属状態から、または溶媒蒸発によって、凝固させることができる、そのようなポリマー材料は、当業者に周知である。その多くが弾性である、種々のポリマー材料が好適であり、また、金型マスターの一方または両方が弾性材料から成る実施形態について、金型または金型マスターを形成するためにも好適である。そのようなポリマーの実施例の非限定的リストは、シリコーンポリマー、エポキシポリマー、およびアクリレートポリマーという一般分類のポリマーを含む。エポキシポリマーは、一般的にエポキシ基、1,2−エポキシド、またはオキシランと呼ばれる、三員環状エーテル基の存在によって特徴付けられる。例えば、芳香族アミン、トリアジン、および脂環式骨格に基づく化合物に加えて、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルを使用することができる。別の実施例は、周知のノボラックポリマーを含む。本発明による使用に好適なシリコーンエラストマーの非限定的実施例は、メチルクロロシラン、エチルクロロシラン、フェニルクロロシラン等のクロロシランを含む、前駆体から形成されるものを含む。
【0111】
シリコーンポリマー、例えば、ポリジメチルシロキサンというシリコーンエラストマーが、ある実施形態で使用される。PDMSポリマーの非限定的実施例は、Dow Chemical Co.,Midland, MIによってSylgardという商標の下で販売されているもの、具体的には、Sylgard 182、Sylgard 184、およびSylgard 186を含む。PDMSを含むシリコーンポリマーは、本発明の微小流体構造の製造を単純化する、いくつかの有益な性質を有する。例えば、そのような材料は、安価で、容易に入手可能であり、熱による硬化を介して、ポレポリマー液体から凝固させることができる。例えば、PDMSは、一般的には、例えば、約1時間の曝露時間にわたって、例えば、約65℃から約75℃の温度にポリマー液体を曝露することによって、硬化可能である。また、PDMS等のシリコーンポリマーは、弾性となり得て、従って、本発明のある実施形態で必要な比較的高いアスペクト比を伴う非常に小さい特徴を形成するために有用であってもよい。可撓性(例えば、弾性)金型またはマスターが、この点に関して有利となり得る。
【0112】
PDMS等のシリコーンポリマーから本発明の微小流体構造等の構造を形成することの1つの利点は、酸化構造が、他の酸化シリコーンポリマー表面に、または種々の他のポリマーおよび非ポリマー材料の酸化表面に架橋結合することが可能な化学基を、それらの表面で含有するように、例えば、空気プラズマ等の酸素含有プラズマへの曝露によって、そのようなポリマーが酸化される能力である。したがって、構成要素を製造し、次いで、酸化させ、別個の接着剤または他の封止手段の必要なく、他のシリコーンポリマー表面に、または酸化シリコーンポリマー表面と反応する他の基質の表面に、本質的に不可逆的に封止することができる。ほとんどの場合は、封止は、補助圧力を印加してシールを形成する必要なく、単に酸化シリコーン表面を別の表面に接触させることによって完成することができる。つまり、事前酸化シリコーン表面が、好適な噛合表面に対する接触接着剤としての役割を果たす。具体的には、それ自体に不可逆的に封止可能であることに加えて、酸化PDMS等の酸化シリコーンはまた、例えば、(例えば、酸素含有プラズマへの曝露を介して)PDMS表面と同様に酸化させられている、ガラス、シリコン、酸化ケイ素、石英、窒化ケイ素、ポリエチレン、ポリスチレン、ガラス状炭素、およびエポキシポリマーを含む、それ自体以外の一連の酸化物質に不可逆的に封止することもできる。本発明との関連で有用な酸化および封止方法、ならびに全体的な成形技法は、当技術分野では、例えば、参照することにより本明細書に組み込まれる、“Rapid Prototyping of Microfluidic Systems and Polydimethylsiloxane,”Anal. Chem.,70:474−480,1998(Duffy et al.)と題された論文で説明されている。
【0113】
酸化シリコーンポリマーから本発明の微小流体構造(または内部流体含有表面)を形成することの別の利点は、これらの表面が、一般的なエラストマーポリマーの表面(親水性内面が所望される)よりもはるかに親水性となり得ることである。したがって、そのような親水性チャネル表面は、一般的な未酸化エラストマーポリマーまたは他の疎水性材料から成る構造よりも、水溶液で容易に充填し、湿潤することができる。
【0114】
いくつかの実施形態では、デバイスは、例えば、接着剤、または本明細書で説明されるもの等の他の技法を使用して、皮膚の表面に適用可能または貼付可能である、電気および/または機械的デバイスであってもよい。別の実施例として、デバイスは、被検体の皮膚に適用される手持ち式デバイスであってもよい。しかしながら、場合によっては、デバイスは、被検体がデバイスを自己管理することができるほど十分に小型または携帯用であってもよい。ある実施形態では、デバイスはまた、電動であってもよい。場合によっては、デバイスは、皮膚の表面に適用されてもよく、皮膚に挿入されない。しかしながら、他の実施形態では、デバイスの少なくとも一部分が、例えば、機械的に、皮膚に挿入されてもよい。例えば、一実施形態では、デバイスは、本明細書で論議されるように、皮下注射針、ナイフの刃、貫通要素(例えば、中実または中空針)、または同等物等のカッターを含んでもよい。
【0115】
場合によっては、デバイスは、デバイスの複数部分が分離可能であるように設計されてもよい。例えば、デバイスの第1の部分が、皮膚の上にデバイスの他の部分を残して、皮膚の表面から除去されてもよい。一実施形態では、カッターまたは他のデバイスが皮膚に挿入する深度を防止または制御するように、例えば、表皮、真皮等への貫通を制御するように、停止部も含まれてもよい。
【0116】
したがって、本明細書で説明されるように、本発明のデバイスは、場合によっては、単段式または多段式となり得る。つまり、デバイスは、ユーザによって相互から容易に除去することができない、相互に一体的に接続された1つ以上の構成要素を含む、または相互から容易に除去されるように設計されており、そうすることができる、1つ以上の構成要素を含むことができる、単一のユニットを画定することができる。後者の非限定的実施例として、被検体の皮膚への適用のために、2段階パッチを提供することができる。パッチは、分析領域、真空を生成するため、またはそうでなければ分析領域に対して流体または他の物質の流動を推進するための貯留部または他の材料、吸引水疱を介して、または吸引水疱を伴わずに間質液にアクセスする針または極微針、または同等物を含む場合がある、分析の持続時間にわたって被検体の皮膚に近接するように設計されている第1の段階を含むことができる。デバイスの動作を開始することができる、デバイスの第2の段階または部分を提供することができる。例えば、2段階デバイスをユーザの皮膚に適用することができる。被検体の皮膚に針または極微針の挿入または同等物を引き起こすように、デバイスの第2の段階と関連付けられるボタンまたは他の構成要素あるいはスイッチを、被検体によって起動することができる。次いで、第2の段階は、例えば、被検体によって除去することができ、第1の段階が皮膚上にとどまって分析を促進することができる。別の配設では、第1の段階が、視覚化または他の信号発出構成要素を含み、第2の段階が、分析を促進するために必要な構成要素を含む、例えば、第2の段階が、体液にアクセスし、(必要であれば)流体を分析部位に輸送する等のために必要な全ての構成要素を含むことができ、本明細書で説明されるように、被検体または別の実体が視認し、またはそうでなければ分析するための可視化段階のみを残して、その段階を除去することができる、2段階デバイスを提供することができる。
【0117】
本明細書で説明される配設のうちのいずれかまたは全ては、被検体に近接して、例えば、被検体の皮膚の上、またはそれに近接して提供することができる。デバイスの起動は、本明細書で説明されるように実行することができる。例えば、皮膚上デバイスは、任意的に、起動、感知、流体流動等のための複数の層を含む、パッチまたは同等物の形態となり得る。デバイスの起動は、種々の方法で実行することができる。1つの方式では、パッチを被検体に適用することができ、間質液にアクセスするよう針または極微針を注射するように、パッチの領域を起動することができる(例えば、ユーザによって軽くたたかれる)。同じまたは異なる、軽くたたく、または押す作用が、真空源を起動し、種々の弁のうちの1つ以上を開き、および/または閉じ、または同等のことを行うことができる。デバイスは、皮膚に適用され、自動的に動作する(例えば、皮膚への適用が間質液にアクセスし、間質液を分析領域に引き込む)単純なものとなり得て、またはパッチあるいは他のデバイスを、皮膚に適用することができ、1回軽くたたくこと、または他の起動が、針または極微針の投与、弁の開放、真空の起動、またな任意の組み合わせを通して流体を流れさせることができる。場所を繰り返し押す、または軽くたたくか、あるいは、選択的、連続的、および/または周期的に種々のスイッチを起動する(例えば、パッチの領域を軽くたたく)ことによって、任意の数の起動プロトコルを実行することができる。別の配設では、針または極微針の起動、吸引水疱の生成、弁の開放および/または閉鎖、および1つ以上の分析を促進する他の技法は、電子的に、または被検体あるいは外部制御実体によって促進される他の方式で、実行することができる。例えば、デバイスまたはパッチを被検体の皮膚に近接して提供することができ、任意の1つまたは複数の検定を所望に応じて実行することができるように、説明されるデバイスの針、水疱デバイス、弁、または他の構成要素のうちのいずれかを起動するよう、近くのコントローラまたは遠隔の信号源によって、無線周波数、電磁、または他の信号を提供することができる。
【0118】
論議されるように、本発明の種々のデバイスは、ある実施形態による、流体を送達し、および/または被検体から引き抜くための種々のシステムおよび方法を含む。例えば、デバイスは、皮下注射針、真空源、吸湿性作用物質、または同等物を備えてもよい。好適な送達技法の非限定的実施例は、以下で論議されるもの等の(例えば、皮下注射針等の針を使用した)注射またはジェット式注射器を含むが、それらに限定されない。例えば、一実施形態では、流体は、例えば、シリンジ上のプランジャを操作することによって、手動で送達され、および/または引き抜かれる。別の実施形態では、流体は、例えば、ピストンポンプまたは同等物を使用して、機械的または自動的に送達し、および/または皮膚から引き抜くことができる。流体はまた、本明細書で説明されるもの等の真空を使用して引き抜かれてもよい。例えば、プール領域から流体の少なくとも一部分を引き上げるために、真空は、例えば、流体のプール領域内で、間質液と流体的に連絡している針等の導管に印加されてもよい。さらに別の実施形態では、流体は、毛細管作用を使用して(例えば、好適に狭い内径を有する皮下注射針を使用して)引き抜かれる。さらに別の実施形態では、針から流体を押し出すように、圧力が印加されてもよい。
【0119】
いくつかの実施形態では、流体は、真空を使用して、皮膚に送達され、または皮膚から引き抜かれてもよい。真空は、外部真空源であってもよく、および/または真空源は、デバイス内に内蔵されてもよい。例えば、少なくとも約50mmHg、少なくとも約100mmHg、少なくとも約150mmHg、少なくとも約200mmHg、少なくとも約250mmHg、少なくとも約300mmHg、少なくとも約350mmHg、少なくとも約400mmHg、少なくとも約450mmHg、少なくとも約500mmHg、少なくとも550mmHg、少なくとも600mmHg、少なくとも650mmHg、少なくとも約700mmHg、または少なくとも約750mmHgの真空が、皮膚に印加されてもよい。本明細書で使用されるような「真空」とは、大気圧を下回る圧力を指す。
【0120】
1組の実施形態では、圧量差(例えば、真空)が圧力調節器によって生成されてもよい。本明細書で使用されるように、「圧力調節器」は、2つ以上の場所の間で圧力差を生成することが可能な圧力コントローラ構成要素またはシステムである。圧力差は、本明細書で論議される本発明の種々の実施形態によれば、流体または他の物質の移動を促すのに少なくとも十分となるべきであり、2つ以上の場所での絶対圧力は、それらの差が適切である限り重要ではなく、それらの絶対値は、本明細書で論議される目的に妥当である。例えば、圧力調節器は、別の場所でのより低い圧力(大気圧または何らかの他の圧力)に対して、1つの場所で大気圧よりも高い圧力を生じてもよく、圧力間の差は、本発明によれば、流体を押し進めるのに十分である。別の実施例では、調節器またはコントローラは、1つの場所では大気圧よりも低い圧力(真空)、別の場所ではより高い圧力(大気圧または異なる圧力)を伴い、圧力間の差は、本発明によれば、流体を押し進めるのに十分である。本発明の圧力調節器または圧力差と関連して、「真空」または「圧力」が本明細書においてどこで使用されようと、当業者によって理解されるように、反対も実装することができ、すなわち、多くの場合、流体または他の物質の移動を促すために好適な圧力差を生成するために、真空チャンバを圧力チャンバと交換できることを理解されたい。
【0121】
圧力調節器は、外部真空源(例えば、研究所、診療所、病院等の屋内真空ラインまたは外部真空ポンプ)、機械的デバイス、真空チャンバ、事前同梱真空チャンバ、または同等物であってもよい。いくつかの実施形態では、デバイスが、例えば、真空が存在する、または真空を生成することができる領域(例えば、可変容積チャンバ、その容積の変化が真空または圧力に影響を及ぼす)を含有する、真空チャンバを使用することができる。真空チャンバは、事前真空排気(すなわち、事前同梱)チャンバまたは領域、および/または内蔵式アクチュエータを含むことができる。
【0122】
「内蔵式」真空(または圧力)調節器とは、デバイスと関連付けられる(例えば、デバイスの上またはデバイス内にある)もの、例えば、デバイスの一体部分を画定する、または圧力差を形成するように特定のデバイスに特異的に接続可能に構築および配設される(すなわち、病院、診療所、研究所等の屋内真空ライン、またはごく一般的な使用に好適な真空ポンプへの接続ではない)別個の構成要素であるものを意味する。いくつかの実施形態では、内蔵式真空源は、デバイス内で真空を生成するように、何らかの様式で作動させられてもよい。例えば、内蔵式真空源は、ピストン、シリンジ、デバイス内で真空を生成することが可能な真空ポンプ等の機械的デバイス、および/または反応によって駆動される機械的または他の手段の支援により、圧力調節器と関連付けられる圧力差を形成することができる、圧力を増加または減少させるように反応することができる化学物質または他の反応物質を含んでもよい。化学反応はまた、化学反応自体に基づく圧力の変化を伴って、または伴わずに、機械的作動を駆動することもできる。内蔵式真空源はまた、膨張性発泡体、形状記憶材料、または同等物を含むこともできる。
【0123】
本発明の内蔵式真空または圧力調節器の1つの分類は、内蔵式支援調節器を含む。これらは、起動(例えば、ボタンを押すこと、または、例えば、包装から除去したとき、あるいは皮膚にデバイスを押し付けたときの自動作動)時に、デバイスと関連付けられる真空または圧力が形成される調節器であり、チャンバを加圧または真空排気する力は、作動力と同じではない。内蔵式支援調節器の実施例は、作動、作動時の形状記憶材料または膨張性材料の解放、作動時の化学反応の開始、または同等物によって誘起されるバネによって駆動される、膨張によって真空排気される、チャンバを含む。
【0124】
本発明の内蔵式真空または圧力調節器の別の分類は、必ずしも圧力または真空とともに事前同梱されないが、例えば、デバイスのチャンバを真空または圧力源に接続することによって、使用前に、例えば、被検体、病院または診療所の医療専門家によって加圧または真空排気することができる、デバイスである。例えば、被検体または別の個人は、例えば、デバイスの使用直前に、デバイスを作動させて、デバイス内で圧力または真空を生成してもよい。
【0125】
真空または圧力調節器は、使用時にデバイスの中の「事前同梱」圧力または真空チャンバであってもよい(すなわち、初期真空を形成するための作動の必要なく、デバイスの上または中に真空排気領域を伴って、被検体または施術者による使用のために準備ができたデバイスを提供することができる)。事前同梱圧力または真空チャンバ調節器は、例えば、製造時に、および/または被検体または施術者によって使用される時点の前の何らかの時点で(大気圧に対して)真空排気される領域となり得る。例えば、チャンバは、製造時に、または製造後であるが、ユーザ、例えば、臨床医または被検体への送達前に真空排気される。例えば、いくつかの実施形態では、デバイスは、大気圧を下回る、少なくとも約50mmHg、少なくとも約100mmHg、少なくとも約150mmHg、少なくとも約200mmHg、少なくとも約250mmHg、少なくとも約300mmHg、少なくとも約350mmHg、少なくとも約400mmHg、少なくとも約450mmHg、少なくとも約500mmHg、少なくとも550mmHg、少なくとも600mmHg、少なくとも650mmHg、少なくとも約700mmHg、または少なくとも約750mmHgの真空を有する、真空チャンバを含有する。
【0126】
場合によっては、デバイスは、皮膚の表面に適用可能または貼付可能であってもよい。例えば、1組の実施形態では、デバイスは、デバイスを皮膚に固定化するために使用することができる接着剤を含有する、支持構造を含んでもよい。接着剤は、永久的または一時的であってもよく、デバイスを皮膚の表面に貼付するために使用されてもよい。接着剤は、任意の好適な接着剤、例えば、感圧接着剤、接触接着剤、永久接着剤、ヒドロゲル接着剤、シアノアクリレート、のり、粘剤、熱溶融物、エポキシ、または同等物であってもよい。ほとんどの場合、接着剤は、生体適合性または低刺激性となるように選択される。
【0127】
別の1組の実施形態では、デバイスは、皮膚に機械的に担持されてもよく、例えば、デバイスは、ストラップ、ベルト、バックル、糸、ひも、弾性バンド、または同等物等の機械的要素を含んでもよい。例えば、被検体の皮膚に対して定位置でデバイスを担持するように、ストラップがデバイスの周囲に装着されてもよい。さらに別の1組の実施形態では、これらの技法および/または他の技法の組み合わせが使用されてもよい。1つの非限定的実施例として、デバイスは、接着剤およびストラップを使用して、被検体の腕または脚に貼付されてもよい。
【0128】
いくつかの実施形態では、デバイスは、被検体の皮膚への適用のための支持構造を含んでもよい。支持構造は、本明細書で論議されるように、例えば、流体が送達され、および/または被検体の皮膚から引き抜かれてもよいように、被検体の皮膚の表面に流体輸送器を適用するために使用されてもよい。場合によっては、支持構造は、流体輸送器が支持構造に対して移動することができないように、流体輸送器を固定化してもよいが、しかしながら、他の場合においては、流体輸送器は、支持構造に対して移動することが可能であってもよい。一実施形態では、非限定的実施例として、流体輸送器は、支持構造に対して固定化され、支持構造は、皮膚へのデバイスの適用が、流体輸送器の少なくとも一部分を被検体の皮膚に貫通させるように、デバイス内に設置される。
【0129】
例えば、1組の実施形態では、支持構造または支持構造の一部分は、第1の位置から第2の位置へ移動してもよい。例えば、第1の位置は、支持構造がそこに対して固定化されており、流体輸送器が皮膚に接触しない(例えば、流体輸送器が陥凹内に含有されてもよい)位置であってもよい一方で、第2の位置は、流体輸送器が皮膚に接触し、場合によっては、流体輸送器が皮膚を貫通してもよい位置であってもよい。支持構造は、任意の好適な技法を使用して、例えば、手動で、機械的に、電磁的に、サーボ機構を使用して、または同等物により、移動させられてもよい。1組の実施形態では、例えば、支持構造は、(直接的に、またはボタンを支持構造と結び付ける機構を通して)支持構造を移動させる、デバイス上のボタンを押すことによって、第1の位置から第2の位置へ移動させられてもよい。ボタンと併せて、またはその代わりに、他の機構(例えば、本明細書で論議されるようなダイヤル等)が使用されてもよい。別の1組の実施形態では、支持構造は、自動的に、例えば、コンピュータによる起動時に、遠隔起動時に、ある期間が経過した後に、または同等物により、第1の位置から第2の位置へ移動させられてもよい。例えば、一実施形態では、支持構造に接続されたサーボが電子的に起動され、第1の位置から第2の位置へ支持構造を移動させる。
【0130】
場合によっては、支持構造はまた、第2の位置から第1の位置へ移動させられてもよい。例えば、例えば、流体輸送器を使用して、流体が送達され、および/または皮膚から引き抜かれた後、支持構造が移動させられてもよく、それは、流体輸送器を皮膚との接触から離して移動させてもよい。支持構造は、上記で説明されるものを含む、任意の好適な技法を使用して、第2の位置から第1の位置へ移動させられてもよく、第2の位置から第1の位置へ支持構造を移動させるための技法は、第1の位置から第2の位置へ支持構造を移動させる技法と同じ、または異なってもよい。
【0131】
場合によっては、支持構造は、流体輸送器に向かって皮膚を引き寄せることが可能であってもよい。例えば、1組の実施形態では、支持構造は、本明細書で説明されるような真空界面を含んでもよい。界面は、(デバイスの外部および/または内部の)真空源と接続されてもよく、真空が印加されると、皮膚は、例えば、1本以上の針および/または極微針等の流体輸送器と接触するために、支持構造に向かって引き寄せられてもよい。
【0132】
ある実施形態では、デバイスはまた、起動部を含有してもよい。起動部は、起動部の起動時に、皮膚への流体輸送器の曝露を引き起こすように構築および配設されてもよい。例えば、起動部は、化学物質を放出させて皮膚に接触させ、針を皮膚の中へ駆動させ、真空を皮膚に印加させ、流体のジェットを皮膚に方向付けさせ、または同等のことを行ってもよい。起動部は、被検体によって、および/または別の個人(例えば、医療提供者)によって起動されてもよく、またはデバイス自体が、例えば、被検体の皮膚への適用時に、自己起動式であってもよい。起動部は、1回、または場合によっては複数回、起動されてもよい。
【0133】
デバイスは、例えば、ボタンを押すこと、スイッチを押すこと、スライダを移動させること、ダイヤルを回すこと、または同等物によって、起動されてもよい。被検体および/または別の個人が、起動部を起動してもよい。場合によっては、デバイスは、遠隔で起動されてもよい。例えば、医療提供者が、デバイスを起動するためにデバイスによって受信される電磁信号、例えば、無線信号、Bluetooth信号、インターネット信号、電波信号等を送信してもよい。
【0134】
1組の実施形態では、デバイスはまた、例えば、デバイス内に埋め込まれ、またはデバイスと一体的に接続され、あるいは遠隔に設置されるが、デバイス内の区画を感知することができるよう、デバイスとの物理的、電気的、および/または光学的接続を伴うセンサを含んでもよい。例えば、センサは、直接的に、微小流体チャネル、分析チャンバ等を介して、被検体から引き抜かれた流体と流体的に連絡してもよい。センサはまた、被分析物、例えば、被検体から引き抜かれた流体の中にあることが疑われるものを感知することが可能であってもよい。例えば、センサは、デバイスとの物理的接続を含まなくてもよいが、デバイスの一部分、例えば、デバイス内の区画に向かって方向付けられている、赤外線、紫外線、または可視光等の電磁放射の相互作用の結果を検出するよう設置されてもよい。別の実施例として、センサは、デバイス上またはデバイス内に設置されてもよく、区画に光学的に接続されることによって、区画の中の活性を感知してもよい。感知通信はまた、区画の状態を感知することができるよう、区画がセンサと流体的に、光学的または視覚によって、熱的に、空気圧により、電子的に、または同等物により連通している場合に、提供することもできる。一実施例として、センサは、微小流体チャネルまたは同等物等のチャネル内で、区画の下流に設置されてもよい。
【0135】
センサは、例えば、pHセンサ、光センサ、酸素センサ、物質の濃度を検出することが可能なセンサ、または同等物であってもよい。センサが決定するために使用されてもよい、被分析物の他の実施例は、金属イオン、タンパク質、核酸(例えば、DNA、RNA等)、薬剤、糖類(例えば、グルコース)、ホルモン(例えば、エストラジオール、エストロン、プロゲステロン、プロゲスチン、テストステロン、アンドロステンジオン等)、炭水化物、または他の関心の被分析物を含むが、それらに限定されない。本発明で有用なセンサの非限定的実施例は、染料ベースの検出システム、親和性ベースの検出システム、微細加工重量分析器、CCDカメラ、光検出器、光学顕微鏡システム、電気的システム、熱電対およびサーミスタ、圧力センサ等を含む。当業者であれば、本明細書で使用するための他のセンサを識別することができるであろう。センサは、場合によっては、デバイスの外部にあってもよい、またはある場合においてはデバイスに微細加工されてもよい、比色分析検出システムを含むことができる。比色分析検出システムの実施例として、(例えば、粒子で)染料または蛍光実体が使用される場合、比色分析検出システムは、染料または蛍光実体の周波数および/または強度の変化または偏移を検出することが可能であってもよい。
【0136】
本明細書で説明されるように、1組の実施形態では、分析と関連付けられる、視覚によって、臭い、音、感触、味、または同等物による信号伝達を含む、種々の信号伝達または表示方法のうちのいずれかを提供することができる。信号構造および発生器は、ディスプレイ(視覚、LED、光等)、スピーカ、化学物質放出区画(例えば、揮発性化学物質を含有する)、機械的デバイス、加熱器、冷却器、または同等物を含むが、それらに限定されない。場合によっては、信号構造または発生器は、デバイスと一体化してもよく(例えば、針または極微針等の流体輸送器を含有する、例えば、被検体の皮膚に適用するための支持構造と一体的に接続される)、あるいは信号構造または発生器は、支持構造と一体的に接続されなくてもよい。本明細書で使用されるような「信号構造」または「信号発生器」は、媒体の状態に関係付けられる信号を発生させることが可能な任意の装置である。例えば、媒体は、血液または間質液等の体液であってもよい。
【0137】
いくつかの実施形態では、例えば、被検体および/または以下で説明されるもの等の別の実体に、センサによって決定される被分析物の存在および/または濃度を示すために、これらの方法等の信号方法が使用されてもよい。視覚が提供される場合、不透明性の変化、色および/または不透明性の強度の変化の形態で提供することができ、またはメッセージ(例えば、数値的信号または同等物)、アイコン(例えば、形状、またはそうでなければ特定の病状による信号伝達)、ブランド、ロゴ、または同等物の形態となり得る。例えば、一実施形態では、デバイスは、ディスプレイを含んでもよい。「次の投与量を服用してください」または「血糖値が高い」等の書面によるメッセージ、または数値、あるいは「毒素が存在します」等のメッセージが提供される場合がある。これらのメッセージ、アイコン、ロゴ、または同等物は、デバイスの構成要素による電子計測値として提供することができ、および/またはデバイスの1つ以上の構成要素の固有の配設として表示されてもよい。
【0138】
いくつかの実施形態では、デバイスが、被検体の物理的状態を決定し、(例えば、上記で説明されるような可視「OK」信号の提供によって)被検体によって容易に理解することができる、または被検体によって容易に理解されないよう設計することができる、状態に関係付けられる信号を発出する、デバイスが提供される。容易に理解可能ではない場合、信号は、種々の形態を成すことができる。1つの形態では、信号は、医療専門家または同等の人物にとって意味を有し(および/または、例えば、好適なデーダを参照して、同じ人物によって復号可能である)、特定の生理学的状態と関連づけることができる、被検体にとって何も意味しない、一連の文字または数字(例えば、A1278CDQ)となる場合がある。代替として、特定の条件または一式の条件下で、バーコードが出現および/または消滅、あるいは変化し、被検体または被分析物に関する情報を伝達するようバーコード読取機によって読み取ることができるように、バーコードの形態の信号をデバイスによって提供することができる。別の実施形態では、デバイスは、紫外線信号が発出されるか、または紫外線下のみで読み取ることができる信号(例えば、単純な点またはパッチ、または被検体によって容易に理解可能となり得る、あるいは容易に理解可能となり得ない、一連の数字、文字、バーコード、メッセージ、または同等物等の任意の他の信号)を提供することができるように、設計することができる。信号は、人間の目に見えてもよいが、紫外線光または他の励起エネルギーの印加時に可読であってもよい。信号は、目視観察を介してユーザによって、またはにおい、感触等の他のセンサ活性を用いて、容易に可読または理解可能となり得る。別の1組の実施形態では、臨床現場等での機器等の、上記で説明されるような機器が、デバイスによって提供される信号を決定するために必要とされてもよい。場合によっては、デバイスは、受信機に被分析物を示す信号、例えば、無線信号、Bluetooth信号、インターネット信号、電波信号等を伝送することが可能である。
【0139】
いくつかの実施形態では、定量および/または定性分析をデバイスによって提供することができる。つまり、デバイスは、場合によっては、「はい/いいえ」の検査または同等物、あるいは特定の1つまたは複数の被分析物の量、濃度、もしくはレベルについての情報を提供する検査を可能にする、分析を提供してもよい。特定の時点で被検体に存在する特定の被分析物の量を反映する表示構成を、本発明によって提供することができ、または任意の他の変数(経時的な分析の存在、被分析物の種類等)表示構成が、種々の形態を成すことができる。一実施例では、一連のレベル指示(例えば、ダイヤルの周囲の数字)および特定のレベルを示す「針」または他のデバイスを伴うスピードメーターのダイヤルと同様である、ダイヤルを提供することができる。他の構成では、例えば、棒グラフの形態の特定の被分析物の存在および/または量に応じて、多かれ少なかれ充填される、(例えば、ディスプレイ上の)デバイスの特定の領域が存在することができる。別の配設では、存在する特定の被分析物の量が、ホイールのどの色が可視的であるかを制御することができる、「カラーホイール」を提供することができる。または、異なる被分析物は、ホイールの異なる色またはグラフの異なる棒を、多重被分析物分析で可視的または不可視的にさせることができる。複数のカラーホイール、各色の強度が被分析物の量を反映する、被分析物ごとに異なる色を伴う単一のカラーホイール、または、例えば、各棒グラフが特定の被分析物を反映し、棒のレベル(および/または領域が可視的な色または他の可視的な特徴で充填される程度)が被分析物の量を反映する、複数の棒グラフで、多重被分析物定量分析を反映することができる。本明細書の全ての実施形態と同様に、表示されるあらゆる信号は、任意の数の当時者に理解可能または理解不可能となり得る。例えば、それは、被検体に理解可能または被検体に理解不可能となり得る。理解不可能である場合、それは、復号され、電子的に読み取られ、または同等のことを行われなければならない場合がある。電子的に読み取られる場合、例えば、デバイスは、被検体に理解可能ではない、または被検体によって目に見えない、あるいはそうでなければ感知されることさえ可能ではない、信号を提供してもよく、被検体に理解可能または理解不可能である可視信号を提供することができる、または分析のために信号を別の実体に伝送することができるデバイスに隣接または接近して、読取機を提供することができる。
【0140】
本明細書で説明される任意の分析と関連付けられる任意の信号と関連して、信号の解釈および/または評価を支援することができる、別の潜在的関連信号または他の表示(例えば、臭い、味、または同等物)を提供することができる。1つの配設では、信号に近接して(またはそうでなければ信号と同程度に)較正または制御が提供され、例えば、デバイスおよび/または埋め込まれた作用物質、粒子、または同等物によって提供される可視信号の隣または近くに、可視的較正/制御またはコンパレータが提供される。
【0141】
臭い、味、温度、かゆみ等の信号等の、別の感覚信号とともに、視覚制御または参照を使用することができる。皮膚内検査と関連して使用されるように、参照/制御および/または実験確認構成要素を提供することができ、またはその逆も同様である。ユーザが、デバイスをもはや頼りにするべきではない、および/またはデバイスが除去されるべきときを決定することができるように、デバイスがその有用寿命に対して変化するにつれて、デバイスの寿命の状態、色の変化、または別の信号伝達側面の強度および/または変化を示すためにも、参照/指標を使用することもできる。あるデバイスについて、デバイスの操作性を確認するように、および/またはそれに対してデバイスの信号を測定する参照を提供するように、(例えば、決定される供給源外の供給源から)被分析物を制御に追加することによって、指標または制御を達成することができる。例えば、デバイスは、信号を提供し、デバイスの操作性を明示し、および/または分析用のコンパレータを提供するように、貯留部からの被分析物が指標領域に移転することを可能にする、ユーザによって軽くたたかれるボタンを含むことができる。
【0142】
本明細書で説明される実施形態の多くは、定量分析および関連信号、すなわち、媒体中の被分析物の相対量または濃度を決定する能力を伴う。これは、種々の方法で達成することができる。例えば、被分析物を捕捉し、分析するために、作用物質(例えば、ナノ粒子に付着した結合パートナー)が使用される場合、作用物質は、デバイスの感知領域を横断して濃度に勾配をつけて提供することができる。または、感知領域は、膜または他の装置を含むことができ、それを通して被分析物が捕捉および識別前に流動または通過するように要求され、被分析物通行用の経路は、表示領域の位置の関数として変化し得る。例えば、感知領域を横断して膜を提供することができ、作用物質を結合および/または信号伝達する層と相互作用する前に、被分析物が通過しなければならず、膜は、「棒グラフ」計測値と関連付けられる方向へ横方向に厚さが変化してもよい。少量の被分析物が存在する場合、それは、膜のより厚い部分ではなくより薄い部分を通過してもよいが、多量に存在する場合、それは、より厚い部分を横断してもよい。被分析物が通過する領域と、被分析物が完全には通過しない領域との間の境界(存在する場合)が、棒グラフの「線」を画定することができる。同じまたは同様の結果を達成する他の方法は、膜または他の部品を横断する、被分析物のスカベンジャーまたは輸送体、あるいは(被分析物と信号伝達事象との間の)中間反応種の濃度、膜の多孔性または選択性の勾配、サンプル流体を吸収または輸送する能力、または同等物を変化させることを含むことができる。本明細書の他の開示と組み合わせた、これらの原則は、本明細書で説明される定量分析のうちのいずれかまたは全てを促進するために使用することができる。
【0143】
1組の実施形態では、分析される生理学的状態等の状態を有する被検体(または医療関係者等の他のユーザ)が、デバイスから信号を読み取り、および/またはそうでなければ決定する。例えば、デバイスは、被検体および/またはデバイスの状態を示す信号を伝送してもよい。代替として、または加えて、デバイスによって発出される信号は、表示(例えば、デジタル化信号または同等物)の形態で取得し、分析および/または措置のために別の実体に伝送することができる。例えば、信号は、例えば、被分析物のセンサ計測値に基づいて、送達された、および/または皮膚から引き抜かれた流体に基づいて、デバイスの状態に基づいて、または同等物で、デバイスによって発出することができる。信号は、任意の好適なデータまたは画像を表してもよい。例えば、信号は、被検体から引き抜かれた流体の中の被分析物の存在および/または濃度、被検体から引き抜かれた、および/または被検体に送達される流体の量、デバイスが使用された回数、デバイスのバッテリ寿命、デバイスの中に残された真空の量、デバイスの清浄度または無菌性、デバイスの同一性(例えば、偽造、間違ったユーザへの機器の偶発的交換等を防止するように、複数のデバイスに一意的な識別番号が与えられる場合)、または同等物を表してもよい。例えば、1組の実施形態では、信号の画像(例えば、視覚画像または写真)を得て、異なる実体に伝送することができる(例えば、ユーザが、デバイスによって発生させられた信号の写真を携帯電話で撮り、携帯電話を介して、それを他の実体に送信することができる)。
【0144】
信号が伝送される他の実体は、人間(例えば、臨床医)または機械となり得る。場合によっては、他の実体は、信号を分析し、適切な措置を講じることが可能であってもよい。1つの配設では、他の実体は、信号を分析し、任意的に、信号をデバイスに返送して、活動に関する指図を与える、機械またはプロセッサである(例えば、一式の条件下で、信号を同じ携帯電話に返送してユーザに指図を与える、または他の措置を講じる、プロセッサに、信号の画像を伝送するために、携帯電話を使用することができる)。他の措置は、薬剤または医薬品を分注する、または同等のことを行うように、デバイスまたは関連デバイスの自動刺激を含むことができる。医薬品の分注を指図する信号は、信号を実体(例えば、携帯電話)または異なる媒介物あるいは経路に伝送するために使用される、同じ信号を介して起こることができる。電話伝送線、無線ネットワーク、インターネット通信、および同等物も、この種類の通信を促進する。
【0145】
1つの具体的実施例として、デバイスは、グルコースモニタであってもよい。信号がデバイスによって生成されてもよく、信号の画像が携帯電話のカメラによって撮影され、次いで、携帯電話を介して臨床医に伝達されてもよい。次いで、臨床医は、グルコース(または、例えばインスリン)レベルが適切または不適切であると決定し、携帯電話を介して、これを示すメッセージを被検体に返送してもよい。
【0146】
分析に関する情報はまた、単に、被検体からデバイスまたはデバイスの一部分を除去し、それを異なる場所に移転することによって、同じまたは異なる実体、あるいは異なる場所に伝送することもできる。例えば、デバイスは、特定の被分析物の存在および/または量を分析するために、被検体と接続して使用することができる。使用の開始後の何らかの時点で、デバイス、または1つあるいは複数の分析を示す1つあるいは複数の信号を運ぶデバイスの一部分を、除去し、例えば、被検体と関連する記録に取り付けることができる。具体的実施例として、定性的、定量的、および/または経時的に、1つ以上の被分析物の存在および/または量を決定するように、パッチまたは他のデバイスを被検体によって装着することができる。被検体は、パッチ(または他のデバイス)またはパッチの一部分を除去し、場合によっては、それを被検体と関連する医療記録に取り付けることができる、臨床医を訪ねることができる。
【0147】
種々の組の実施形態によれば、デバイスは、用途に応じて、1回または複数回、使用されてもよい。例えば、本発明のある実施形態による、感知のためにサンプルを得ることは、連続的に、離散的に、またはこれらの組み合わせで実行することができる。例えば、被分析物の決定のために血液または間質液等の体液がアクセスされる場合、離散的に(すなわち、1回または複数回、単回投与量として)、あるいは1回または任意の回数で分析することができる流体の連続流を生成することによって、連続的に流体にアクセスすることができる。加えて、1回、単一の時点で、または複数の時点で、および/または複数のサンプルから(例えば、被検体に対する複数の場所で)検査を実行することができる。
【0148】
代替として、または加えて、被検体または他の複数のサンプルに対する1つまたは任意の数の場所を伴って、任意の数の時点にわたって、連続的に検査を実行することができる。実施例として、間質液等の流体の1つのボーラスまたは単離サンプルを得ることができる。その流体から、特定の被分析物または他の作用物質が流体の中に存在するかどうかを決定するように、検査を実行することができる。代替として、2つ以上の被分析物の存在および/または量を決定するように、その流体の量を伴う2つ以上の検査を実行することができ、任意の数のそのような検査を実行することができる。その流体の量を伴う検査は、同時に、またはある期間にわたって実行することができる。例えば、結果が経時的に変化するかどうかを決定するように、特定の被分析物に対する検査を種々の時点で実行することができ、または異なる被分析物を異なる時点で決定することができる。別の実施例として、例えば、吸引水疱を介して、皮膚の層の間に流体のプールを形成することができ、吸引水疱内で、または吸引水疱から引き出され、他の場所に配置された流体から、上記および他の分析のうちのいずれかを、1つ以上の時点で実行することができる。水疱内の間質液が経時的に変化するような方法で吸引水疱が形成される場合(被検体内の間質液と吸引水疱自体の中の間質液との間に平衡が存在する場合)、すなわち、水疱内の流体は、経時的に水疱領域中の被検体の間質液の含有量を反映するように、絶え間なく変化している。種々の時点での吸引水疱内または吸引水疱からの流体の検査は、有用な情報を提供することができる。
【0149】
別の実施例では、(吸引水疱の使用を伴って、または伴わずに)間質液等の被検体の流体にアクセスするために、針または極微針、あるいは他のデバイスを使用することができる。流体は、分析の点まで引き出し、本明細書で説明される任意の方式で分析することができる。例えば、単一の被分析物の存在および/または量を決定するように、分析を1回実行することができ、またはいくつかの検査を実行することができる。流体の単一のサンプルから、特定の検査または特定数の検査を本質的に同時に実行することができ、または分析を経時的に実行することができる。また、流体を被検体から連続的に引き出すことができ、1つ以上の検査を任意の数の時点で実行することができる。当業者によって理解されるように、時間の経過にわたって1つ以上の検査を実行するための種々の理由が存在する。1つのそのような理由は、被分析物の量または別の特性が被検体の中で一定であるか、または経時的に変化するかどうかを決定することである。連続的および/または離散的検査のための種々の具体的な技法を本明細書で説明する。
【0150】
場合によっては、デバイスは、皮膚の表面を切断または貫通することが可能なカッターを備えてもよい。カッターは、例えば、それを通して流体が送達され、および/または皮膚から除去されてもよい、流体に対する経路を皮膚内で生成することが可能な任意の機構を備えてもよい。例えば、カッターは、皮膚から流体を引き抜くための好適な導管を生成するように皮膚に適用することができる、皮下注射針、ナイフの刃、貫通要素(例えば、中実または中空針)、または同等物を備えてもよい。一実施形態では、そのような経路を生成するためにカッターが使用され、除去され、次いで、任意の好適な技法を使用して、この経路を介して流体が除去される。別の実施形態では、カッターは皮膚内で適所にとどまり、流体は、カッター内の導管を通して引き出されてもよい。
【0151】
いくつかの実施形態では、流体は、電荷を使用して引き抜かれてもよい。例えば、逆イオン導入が使用されてもよい。いずれの理論にも束縛されることを希望せず、逆イオン導入は、皮膚を横断して帯電および高極性化合物を駆動するために、少量の電流を使用する。皮膚は生理的pHで負に帯電しているため、カチオンに対する選択透過性膜としての役割を果たし、皮膚を横断する対イオンの通過は、アノードからカソードへの方向に中性分子を運んでもよい、電気浸透溶媒流を誘発する。溶媒流中の構成要素は、本明細書の他の場所で説明されるように分析されてもよい。場合によっては、逆イオン導入装置は、それぞれ皮膚と接触している、アノードセルおよびカソードセルを備えてもよい。アノードセルは、例えば、4より大きいpHおよび電解質(すなわち、塩化ナトリウム)を有する水性緩衝液(すなわち、水性トリス緩衝液)で充填されてもよい。カソードセルは、水性緩衝液で充填することができる。一実施例として、第1の電極(例えば、アノード)をアノードセルに挿入することができ、第2の電極(例えば、カソード)をカソードセルに挿入することができる。いくつかの実施形態では、電極は皮膚と直接接触していない。
【0152】
逆イオン導入を誘発し、それにより、皮膚から流体を抽出するように、電流が印加されてもよい。印加される電流は、例えば、0.01mAよりも大きい、0.3mAよりも大きい、0.1mAよりも大きい、0.3mAよりも大きい、0.5mAよりも大きい、または1mAよりも大きくてもよい。これらの範囲外の電流も使用されてもよいことを理解されたい。電流は、設定された期間にわたって印加されてもよい。例えば、電流は、30秒よりも長く、1分よりも長く、5分よりも長く、30分よりも長く、1時間よりも長く、2時間よりも長く、または5時間よりも長く印加されてもよい。これらの範囲外の時間も使用されてもよいことを理解されたい。
【0153】
1組の実施形態では、デバイスは、皮膚を切除するための装置を備えてもよい。いずれの理論にも束縛されることを所望するわけではないが、アブレーションは、角質層の微視的断片を除去し(すなわち、アブレーションが微小孔を形成する)したがって、体液へのアクセスを可能にすることを含むことが考えられる。場合によっては、熱、無線周波数、および/またはレーザエネルギーが切除に使用されてもよい。場合によっては、発熱体を使用して、熱アブレーションが適用されてもよい。水および/または組織を加熱することが可能な周波数およびエネルギーを使用して、無線周波数アブレーションが実行されてもよい。皮膚の上の場所に照射し、一部分を除去するために、レーザも使用されてもよい。いくつかの実施形態では、急な温度勾配が皮膚の表面と本質的に垂直に存在するように、熱がパルスで印加されてもよい。例えば、少なくとも100℃、少なくとも200℃、少なくとも300℃、または少なくとも400℃の温度が、1秒未満、0.1秒未満、0.01秒未満、0.005秒未満、または0.001秒未満にわたって印加されてもよい。
【0154】
いくつかの実施形態では、デバイスは、組織の固体サンプルを取るための機構を備えてもよい。例えば、固体組織サンプルは、皮膚を擦り取ること、または一部分を切り取ること等の方法によって、取得されてもよい。擦過は、往復運動する動作を含んでもよく、それにより、2つ以上の方向に皮膚の表面に沿って器具が擦過される。擦過はまた、例えば、1つの方向に皮膚の表面と平行な、または円形に(すなわち、掘削器具を用いて)皮膚の表面と平行な回転動作によって、達成することもできる。切断機構は、1つ以上の切開を加えることが可能なブレードと、組織の一部分を除去するための機構とを備えてもよく、または組織の一部分を切り取るためのペンチ機構を使用してもよい。切断機構はまた、芯を取り除く動作によって機能してもよい。例えば、組織の円筒芯が除去されてもよいように、中空円筒形デバイスを皮膚の中へ貫通させることができる。固体サンプルが直接分析されてもよく、または分析前に液化されてもよい。液化は、有機溶媒、酵素溶液等を用いた処理を含むことができる。
【0155】
場合によっては、デバイスは、形状記憶ポリマーおよび/または金属、例えば、熱に敏感なものを含有してもよい。表皮と真皮との間の皮膚への挿入時に、形状記憶ポリマーは、何らかの様式で膨張し、表皮および真皮の分離が発生することを可能にしてもよい。形状記憶ポリマーおよび金属の非限定的実施例は、Nitinol、オリゴ(イプシロン−カプロラクトン)ジオールおよび結晶化可能オリゴ(ロー−ジオキサノン)ジオールの組成物、またはオリゴ(イプシロン−カプロラクトン)ジメタクリラートおよびn−アクリル酸ブチルの組成物を含む。例えば、形状記憶ポリマーおよび(または金属)は、被検体の体温を下回る温度で、第1の凝縮形状を有してもよいが、皮膚への挿入時に、カッターが熱くなり、少なくとも何らかの分離を表皮と真皮との間で発生させる、第2のより大きい形状を成す。
【0156】
デバイスはまた、ある実施形態では、皮膚から除去された流体を決定することが可能な部分を含有してもよい。例えば、デバイスの一部分は、センサ、または被検体からの引き抜かれた流体内に含有される、あるいは存在すると疑われる被分析物と相互作用することが可能な試薬、例えば、病状に対するマーカーを含有してもよい。非限定的実施例として、センサは、病状に対するマーカーと相互作用することが可能な抗体、グルコースを検出することが可能なグルコースオキシダーゼまたはグルコース−1−デヒドロゲナーゼ等の酵素、または同等物を含有してもよい。被分析物は、定量的または定性的に決定されてもよく、および/または場合によっては、引き抜かれた流体内の被分析物の有無が決定されてもよい。当業者であれば、多くの好適な市販のセンサを認識し、使用される具体的なセンサは、感知されている特定の被分析物に依存してもよい。例えば、センサ技法の種々の非限定的実施例は、圧力または温度測定、赤外、吸光、蛍光、紫外/可視光、FTIR(「フーリエ変換赤外分光法」)、またはラマン等の分光法、圧電測定、免疫学的検定、電気測定、電気化学測定(例えば、イオン特異的電極)、磁気測定、光学密度測定等の光学測定、円偏光二色性、準電気的光散乱等の光散乱測定、偏光分析法、屈折率測定法、染料等の化学指標、または比濁法を含む濁度測定を含む。
【0157】
既述のように、本発明のある側面は、概して、多種多様な用途で使用することができる、異方性粒子またはコロイドなどの粒子を対象とする。例えば、粒子は、皮膚内に、または皮膚の外部に、例えば、皮膚の表面上のデバイスの中に存在してもよい。粒子は、微小粒子および/またはナノ粒子を含んでもよい。上記で論議されるように、「微小粒子」が、約数マイクロメートル(すなわち、約1マイクロメートルから約1mmの間)の平均直径を有する粒子である一方で、「ナノ粒子」は、数ナノメートル(すなわち、約1nmおよび約1マイクロメートルの間)の平均直径を有する粒子である。粒子は、場合によっては、球状または非球状であってもよい。例えば、粒子は、長円形であるか、または細長くてもよく、あるいは、そのそれぞれが参照することによって本明細書に組み込まれる、S.Mitragotriらによる「Engineering Shape of Polymeric Micro− and Nanoparticles」と題された、2007年9月7日出願の米国特許出願第11/851,974号、2008年3月13日にWO 2008/031035として発表された、S.Mitragotriらによる「Engineering Shape of Polymeric Micro− and Nanoparticles」と題された2007年9月7日出願の国際特許出願第PCT/US2007/077889号、2006年9月14日に米国特許出願公開第2006/0201390号として発表された、J. Lahannらによる「Multi−phasic Nanoparticles」と題された2005年11月10日出願の米国特許出願第11/272,194号、または2007年10月11日に米国特許出願公開第2007/0237800号として発表された、J. Lahannらによる「Multi−Phasic Bioadhesive Nan−Objects as Biofunctional Elements in Drug Delivery Systems」と題された2007年6月15日出願の米国特許出願第11/763,842号で開示されているもの等の他の形状を有してもよい。
【0158】
本明細書で使用されるような「異方性」粒子は、球対称ではないもの(しかし、粒子は依然として種々の対称性を呈してもよい)であるが、粒子は、本明細書で説明されるような本発明の目標のうちの少なくともいくつかを実行するのに十分な非対称性を有してもよい。本開示に基づいて、これは、当業者によって明確に理解されるであろう。非対称性は、形状、組成、または両方の非対称性となり得る。実施例として、卵またはアメリカンフットボールの形状を有する粒子は、完全には球状ではなく、したがって、異方性を呈する。別の実施例として、正確に一方の半分が赤色であり、もう一方の半分が青色である(またはそうでなければ、異なる側面上で異なる表面特性を提示する)ように塗装された球体も、依然として少なくとも1つの対称軸を呈するものの、完全に球対称ではないため、異方性である。
【0159】
したがって、粒子は、その形状により、および/または粒子の表面上および/または粒子内に存在する2つ以上の領域により、異方性であってもよい。例えば、粒子は、第1の表面領域と、例えば、着色、表面被覆、1つ以上の反応実体の存在等により、何らかの点で第1の領域とは明確に異なる第2の表面領域とを含んでもよい。粒子は、その表面上のみに異なる領域を含んでもよく、または粒子は、2つ以上の異なる領域を内部に含んでもよく、その部分は、粒子の表面に延在してもよい。領域は、同じまたは異なる形状を有し、粒子の表面上で任意のパターンで分布してもよい。例えば、領域は、各半球体が同じ形状および/または同じ表面積を有するように、粒子を2つの半球体に分割してもよく、または領域は、より複雑な配設で分布してもよい。
【0160】
粒子の非限定的実施例は、そのそれぞれが参照することによって本明細書に組み込まれる、2006年9月14日に米国特許出願公開第2006/0201390号として発表された、J.Lahannらによる「Multi−phasic Nanoparticles」と題された2005年11月10日出願の米国特許出願第11/272,194号、2007年10月11日に米国特許出願公開第2007/0237800号として発表された、J.Lahannらによる「Multi−Phasic Bioadhesive Nan−Objects as Biofunctional Elements in Drug Delivery Systems」と題された2007年6月15日出願の米国特許出願第11/763,842号、またはD.Levinsonによる「Compositions and Methods for Diagnostics,Therapies,and Other Applications」と題された、2008年6月4日出願の米国仮特許出願第61/058,796号で見ることができる。
【0161】
粒子(異方性であってもよく、異方性でなくてもよい)は、用途に応じて、任意の好適な物質で形成されてもよい。例えば、粒子は、ガラス、および/またはポリエチレン、ポリスチレン、シリコーン、ポリフルオロエチレン、ポリアクリル酸、ポリアミド(例えば、ナイロン)、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリウレタン、ポリブタジエン、ポリブチレン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンオキシド、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフタラミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエステル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリメタクリル酸メチル、および/またはポリプロピレン等のポリマーを含んでもよい。場合によっては、粒子は、リン酸三カルシウム、ヒドロキシアパタイト、フッ素リン灰石、酸化アルミニウム、または酸化ジルコニウム等のセラミックを含んでもよい。場合によっては(例えば、ある生物学的用途では)、粒子は、ポリアクリル酸および/またはポリグリコール酸、ポリ無水物、ポリカプロラクトン、ポリエチレンオキシド、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリブチレンテレフタラート、澱粉、セルロース、キトサン、および/またはこれらの組み合わせ等の生体適合性および/または生分解性ポリマーから形成されてもよい。1組の実施形態では、粒子は、アガロース、コラーゲン、またはフィブリン等のヒドロゲルを含んでもよい。粒子は、場合によっては、磁気的感受性物質、例えば、常磁性または強磁性を示す物質を含んでもよい。例えば、粒子は、鉄、酸化鉄、磁鉄鉱、赤鉄鉱、または鉄を含有する何らかの他の化合物、あるいは同等物を含んでもよい。別の実施形態では、粒子は、導体物質(例えば、チタン、銅、白金、銀、金、タンタル、パラジウム、ロジウム等の金属)、または半導体物質(例えば、シリコン、ゲルマニウム、CdSe、CdS等)を含むことができる。本発明の実践で潜在的に有用な他の粒子は、ZnS、ZnO、TiO、AgI、AgBr、HgI、PbS、PbSe、ZnTe、CdTe、In、InSe、Cd、CdAs、InAs、またはGaAsを含む。粒子は、細胞、核酸(例えば、RNA、DNA、PNA等)、タンパク質、ペプチド、酵素、ナノ粒子、量子ドット、香料、指標、染料、蛍光種、化学物質、小分子、(例えば、約1kDa未満の分子量を有する)または同等物等の生化学種等の、他の種も含んでもよい。
【0162】
実施例として、金ナノ粒子等の、ある粒子またはコロイドを、被分析物と相互作用することが可能な作用物質で被覆することができる。そのような粒子は、相互と関連し、または逆に、粒子を含有する物質の吸光性質に変化がもたらされるような方式で被分析物の存在下で解離してもよい。このアプローチはまた、一実施形態では、皮膚ベースの視覚センサとして使用することもできる。凝集体を識別するための技法の非限定的実施例は、現在は2002年3月26日に発行された米国特許第6,361,944号である、Mirkinらによる「Nanoparticles Having Oligonucleotides Attached Thereto and Uses Therefor」と題された1999年6月25日出願の米国特許出願第09/344,667号で開示されている。
【0163】
粒子はまた、任意の形状またはサイズを有してもよい。例えば、粒子は、約5mmまたは2mm未満、または約1mm未満、または約500ミクロン未満、約200ミクロン未満、約100ミクロン未満、約60ミクロン未満、約50ミクロン未満、約40ミクロン未満、約30ミクロン未満、約25ミクロン未満、約10ミクロン未満、約3ミクロン未満、約1ミクロン未満、約300nm未満、約100nm未満、約30nm未満、または約10nm未満の平均直径を有してもよい。論議されるように、粒子は、球状または非球状であってもよい。非球状粒子の平均直径は、非球状粒子と同じ体積を有する完全球体の直径である。粒子が非球状である場合、粒子は、例えば、楕円体、立方体、繊維、管、棒、または不整形の形状を有してもよい。場合によっては、粒子は、中空または多孔質であってもよい。他の形状、例えば、コア/シェル構造(例えば、異なる組成を有する)、長方形円盤、高アスペクト比の長方形円盤、高アスペクト比の棒、ワーム、扁平楕円、長楕円、楕円形円盤、UFO、円形円盤、バレル、弾丸、丸薬、滑車、両凸レンズ、リボン、ラビオリ、平坦丸薬、双円錐形、ダイヤモンド形円盤、凹形円盤、細長い六角形円盤、タコス、襞状長楕円体、襞状扁平楕円体、多孔質楕円体円盤、および同等物も可能である。例えば、参照することにより本明細書に組み込まれる、2008年3月13日に第WO 2008/031035号として発表された、S.Mitragotriらによる「Engineering Shape of Polymeric Micro− and Nanoparticles」と題された2007年9月7日出願の国際特許出願第PCT/US2007/077889号を参照されたい。
【0164】
本発明の一側面では、粒子は、粒子の表面(または表面の少なくとも一部分)上に存在する、1つ以上の反応実体を含んでもよい。反応実体は、被分析物または別の反応実体と相互作用および/または関連することが可能な任意の実体であってもよい。例えば、反応実体は、被分析物に結合することが可能な結合パートナーであってもよい。例えば、反応実体は、特定の被分析物との結合を受けることができる分子であってもよい。反応実体は、例えば、pHまたは金属イオン、タンパク質、核酸(例えば、DNA、RNA等)、薬剤、糖類(例えば、グルコース)、ホルモン(例えば、エストラジオール、エストロン、プロゲステロン、プロゲスチン、テストステロン、アンドロステンジオン等)、炭水化物、または他の関心の被分析物を決定するために使用されてもよい。
【0165】
「結合パートナー」という用語は、特定の分子、例えば、被分析部との結合を受けることができる分子を指す。例えば、結合は、極めて特異的および/または非共有結合性であってもよい。相互と極めて特異的で非供給結合性の生理化学的相互作用を形成する結合パートナーは、本明細書では「相補的」と定義される。例えば、タンパク質Aは、生体分子IgGの結合パートナーであり、その逆も同様である。他の非限定的実施例は、核酸・核酸結合、核酸・タンパク質結合、タンパク質・タンパク質結合、酵素・基質結合、受容体・リガンド結合、受容体・ホルモン結合、抗体・抗原結合等を含む。結合パートナーは、当業者に公知であるような、特異的、半特異的、および非特異的結合パートナーを含む。例えば、タンパク質Aは、通常、「非特異的」または半特異的結合剤と見なされる。別の実施例として、粒子は、グルコースオキシダーゼまたはグルコース−1−デヒドロゲナーゼ等の酵素、またはグルコースに結合することが可能であるコンカナバリンA等のレクチンを含有してもよい。
【0166】
付加的な実施例として、結合パートナーは、抗体/抗原ペア、リガンド/受容体ペア、酵素/基質ペア、および相補的核酸またはアプタマーを含んでもよい。抗体/抗原結合ペアに使用されてもよい、好適なエピトープの実施例は、HA、FLAG、c−Myc、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ、His、GFP、DIG、ビオチン、およびアビジンを含むが、それらに限定されない。抗体は、モノクローナルまたはポリクローナルであってもよい。結合パートナーとして使用するための好適な抗体は、別個の重鎖、軽鎖Fab、Fab’、F(ab’)、Fabc、およびFvを含む、抗原結合断片を含む。抗体はまた、二重特異性または二官能性抗体も含む。例示的な結合パートナーは、ビオチン/アビジン、ビオチン/ストレプトアビジン、ビオチン/ニュートラアビジン、およびグルタチオン−S−トランスフェラーゼ/グルタチオンを含む。
【0167】
「結合」という用語は、概して、一般的には、生化学的、生理学的、および/または化学的相互作用を含むがそれらに限定されない、特異的または非特異的結合または相互作用により、相互親和性または結合能力を呈する、対応する1対の分子または表面間の相互作用を指す。結合は、タンパク質、核酸、糖タンパク質、炭水化物、ホルモン、または同等物を含む、生体分子の間であってもよい。具体的な非限定的実施例は、抗体/抗原、抗体/ハプテン、酵素/基質、酵素/阻害剤、酵素/補因子、結合タンパク質/基質、担体タンパク質/基質、レクチン/炭水化物、受容体/ホルモン、受容体/エフェクター、核酸の相補鎖、タンパク質/核酸抑制因子/誘導因子、リガンド/細胞表面受容体、ウイルス/リガンド、ウイルス/細胞表面受容体等を含む。別の実施例として、結合作用物質は、キレート剤(例えば、エチレンジアミン四酢酸)またはイオン選択ポリマー(例えば、ポリ(カーボネート−b−ジメチルシロキサン)等のブロック共重合体、クラウンエーテル、または同等物)であってもよい。別の実施例として、結合パートナーは、ビオチンおよびストレプトアビジンであってもよく、または結合パートナーは、タンパク質に対して育てられた抗体であってもよい。
【0168】
結合パートナー(例えば、タンパク質、核酸、抗体等)を指すときの「特異的に結合する」という用語は、異種分子の混合物(例えば、タンパク質および他の生物製剤)の中の結合ペアの一方または他方の構成物質の存在および/または同一性を決定する、反応を指す。したがって、例えば、受容体/リガンド結合ペアの場合、リガンドは、分子の複雑な混合物から、その受容体を特異的および/または優先的に選択し、またはその逆も同様である。酵素は、その基質に特異的に結合し、核酸は、その相補体に特異的に結合し、抗体は、その抗原に特異的に結合する等である。結合は、イオン相互作用または静電相互作用、共有結合性相互作用、疎水性相互作用、ファンデルワールス相互作用等を含むがそれらに限定されない、種々の機構のうちの1つ以上によるものであってもよい。
【0169】
したがって、本発明は、ある実施形態では、例えば、非分析物への結合パートナーを介して、被分析物に結合することが可能な粒子を提供し、そのような粒子は、非分析物を決定するために使用することができる。そのような決定は、実施形態に応じて、皮膚内、および/または被検体の外部で、例えば、皮膚の表面上のデバイス内で発生してもよい。この文脈で、「決定する」とは、概して、例えば、定量的または定性的な種の分析、および/または種の有無の検出を指す。種は、例えば、体液および/または体液の中に存在すると疑われる被分析物であってもよい。「決定すること」はまた、例えば、定量的または定性的な、および/または相互作用の有無を検出することによる、2つ以上の種の間の相互作用の分析、例えば、2つの種の間の結合の決定を指してもよい。「決定すること」はまた、種の間の相互作用を検出または定量化することを意味してもよい。実施例として、被分析物は、粒子の性質の決定可能な変化、例えば、粒子の化学的性質の変化、粒子の外観および/または光学的性質の変化、粒子の温度の変化、粒子の電気的性質の変化等を引き起こしてもよい。場合によっては、変化は、人間に直接適用されてもよい任意の機器による支援を受けない、人間によって決定可能である変化であってもよい。例えば、決定可能な変化は、いずれの機器の使用も伴わずに(例えば、眼を使用して)人間によって決定可能となり得る、外観(例えば、色)の変化、温度の変化、臭気の産生等であってもよい。限定的実施例は、温度変化、感知することができる化学反応または他の相互作用(例えば、カプサイシンとの)、または同等物を含む。カプサイシンおよびカプサイシン様分子の実施例は、ジヒドロカプサイシン、ノルジヒドロカプサイシン、ホモジヒドロカプサイシン、ホモカプサイシン、またはノニバミドを含むが、それらに限定されない。いずれの理論にも束縛されることを希望せず、カプサイシンおよびカプサイシン様分子は、灼熱感を生じる、ある神経終末と相互作用してもよいため、そのような分子との相互作用は、被検体によって感知することができると考えられる。
【0170】
1組の実施形態では、1つより多くの粒子は、被分析物に結合することが可能であってもよく、および/または1つより多くの被分析物は、粒子に結合してもよい。場合によっては、そのような複数の結合性質は、被分析物への1つより多くの粒子、および/または粒子への1つより多くの被分析物の集団化をもたらしてもよい。そのような集団化は、何らかの様式で、例えば、光学性質の変化を介して、決定することができる。実施例として、被分析物がない場合に、粒子の凝集体が形成してもよいが、被分析物の存在下では、例えば、被分析物および粒子が競合的または非競合的阻害を呈する場合に、(少なくとも部分的に)脱凝集してもよい。そのような結合および/または凝集は、場合によっては、平衡ベースであってもよく、すなわち、結合および/または凝集は、非結合または脱凝集過程と平衡状態で発生する。したがって、粒子を包囲する環境が何らかの様式で改変されると(例えば、被分析物の濃度の変化)、それに応じて平衡が偏移してもよく、それは(例えば、色の変化として)容易に決定することができる。そのような平衡ベースのシステムは、場合によっては、環境変化を決定するためにいずれのエネルギーも印加する必要なく、そのような環境の変化を決定することが可能であってもよいことに留意されたい。別の実施例では、凝集は、電気的または磁気的性質の変化を引き起こしてもよい。
【0171】
実施例として、クラスターを含有する媒体の光学的性質は、何らかの様式で改変されてもよく(例えば、異なる光散乱性質、異なる不透明性、異なる透明度を呈する)、それは被分析物と相関させることができる。場合によっては、色は、強度が変化してもよく、例えば、粒子の集団化が、2つ以上の反応物質をごく接近させてもよい。
【0172】
色以外に他の性質も決定されてもよい。したがって、本明細書で使用されるような粒子に関する「色」は、一例によるものにすぎず、色の代わりに、または色に加えて、他の性質が決定されてもよいことを理解されたい。例えば、異方性粒子の集団化は、電場または磁場を決定することによって決定することができる、粒子の電気的または磁気的性質の変化を引き起こしてもよい。別の実施例として、第1の領域および第2の領域が、異なる反応性を有してもよく(例えば、第1の領域が、酵素、抗体等に反応性であってもよい)、粒子の凝集が、反応性の純変化を引き起こしてもよい。さらに別の実施例として、粒子および/または被分析物を決定するために、サイズが使用されてもよい。例えば、凝集体が視覚によって識別可能であってもよい、凝集体が沈殿を形成してもよい等である。したがって、例えば、粒子(異方性であってもよく、異方性でなくてもよい)は、分離すると第1の色、凝集が発生すると第2の色に見えてもよい。場合によっては、凝集を決定するために、検定(例えば、凝集反応検定)が使用されてもよい。別の1組の実施形態では、粒子の秩序化が決定されてもよい。例えば、被分析物がない場合、粒子は、基質の表面上で秩序付けられてもよい一方で、被分析物の存在下では、粒子は、被分析物に結合し、表面に対して無秩序になってもよい。この秩序化は、例えば、表面の光学的性質(例えば、屈折率、色、不透明性等)の変化として決定されてもよい。さらに他の実施例として、形状記憶ポリマーまたは「スマートポリマー」を使用して、形状変化が生じさせられてもよく、これは、感触によって感知されることが可能であってもよい。代替として、色が放出されてもよく、加水分解反応が発生してもよく、または粒子の凝集が発生してもよい。
【0173】
一実施形態では、被分析物の結合または存在、例えば、吸引水疱デバイスを使用して任意的に生成される間質液の存在が、触覚変化(例えば、形状または質感の変化)をもたらす。例えば、1つ以上の被分析物の存在を検出するために、形状記憶ポリマー(SMP)を使用することができる。SMPは、概して、硬質セグメントおよび軟質セグメントを有する、相分離線形共重合体として特徴付けられる。硬質セグメントは、一般的には、規定融点を伴う結晶質であり、軟質セグメントは、一般的には、規定ガラス転移温度を伴う非結晶質である。しかしながら、いくつかの実施形態では、硬質セグメントは、非結晶質であり、融点よりもむしろガラス転移温度を有する。他の実施形態では、軟質セグメントは、結晶質であり、ガラス転移温度よりもむしろ融点を有する。軟質セグメントの融点またはガラス転移温度は、硬質セグメントの融点またはガラス転移温度よりも大幅に小さい。
【0174】
SMPが硬質セグメントの融点またはガラス転移温度以上に加熱されると、物質を成形することができる。この(元の)形状は、硬質セグメントの融点またはガラス転移温度以下にSMPを冷却することによって、「記憶する」ことができる。形状が変形させられている間に、成形されたSMPが軟質セグメントの融点またはガラス転移温度以下に冷却されると、その(一時的な)形状が固定される。元の形状は、軟質セグメントの融点またはガラス転移温度以下であるが、硬質セグメントの融点またはガラス転移温度以下に加熱することによって回復される。温度の上昇によって誘発される、元の形状の回復は、熱的形状記憶効果と呼ばれる。物質の形状記憶能力を表す性質は、元の形状の形状回復および一時的な形状の形状固定を含む。
【0175】
形状記憶ポリマーは、少なくとも1つの物理的架橋結合(硬質セグメントの物理的相互作用)を含有するか、または硬質セグメントの代わりに共有架橋結合を含有することができる。形状記憶ポリマーはまた、相互貫入ネットワークまたは半相互貫入ネットワークとなり得る。固体状態から液体状態への状態の変化(融点またはガラス転移温度)に加えて、硬質および軟質セグメントは、固体から固体への状態遷移を受けてもよく、高度に組織化された結合に基づく高分子電解質セグメントまたは超分子効果を伴うイオン相互作用を受けることができる。
【0176】
温度の関数として形状または位相変化することができる他のポリマーは、PLURONICS(R)を含む。これらは、ポロキサマー、つまり、ポリオキシエチレン(ポリ(エチレンオキシド))の2つの親水性鎖が両側に並んだ、ポリオキシプロピレン(ポリ(プロピレンオキシド))の中央疎水性鎖から成る、非イオントリブロック共重合体として知られている。ポリマーブロックの長さをカスタマイズすることができるため、わずかに異なる性質を有する、多くの異なるポロキサマーが存在する。「ポロキサマー」という一般的用語について、これらの共重合体は、一般的に、3つが後に続く(ポロキサマーの)文字「P」で名付けられ、最初の2つの数字×100は、ポリオキシプロピレン核の近似分子量を生じ、最後の数字×10は、ポリオキシエチレン含有率を生じる(例えば、P407=4,000g/molのポリオキシプロピレン分子量および70%ポリオキシエチレン含有量を伴うポロキサマー)。PLURONICS(登録商標)については、これらの共重合体のコーディングは、2つまたは3つの筋が後に続く、室温でのその物理的形態を定義する文字から始まる(L=液体、P=ペースト、F=フレーク(固体))。300を乗じた数字表示の中の最初の数字(3桁の数字の中の2つの数字)は、疎水性物質の近似分子量を示し、最後の数字×10は、ポリオキシエチレン含有率を生じる(例えば、L61=1,800g/molのポリオキシプロピレン分子量および10%ポリオキシエチレン含有量を伴うPluronic)。
【0177】
その下限臨界溶解温度(LCST)で顕著な位相変化を有するゲルを形成する、他の温度感受性ポリマーは、疎水性モノマー、水素結合モノマー、および感熱性モノマーを含む、架橋結合共重合体を含む。
【0178】
N−イソプロピルアクリルアミド(NIP)、1−ビニル−2−ピロリジノン(VPD)、および任意でアクリル酸(AA)の共重合生成物を含む、付加的な熱反応性の水溶性ポリマーは、温度の変化として形状を変化させる。構成要素AAの割合が増加するにつれて、下限臨界溶解温度(LCST)が低下し、重合体に高い反応性を付与する、COOH反応基が増加する。モノマーの割合を調整することによって、広い範囲のLCSTを約20℃から80℃まで操作することができる。
【0179】
形状記憶効果は、一般的には、熱的効果との関連で説明されるが、ポリマーは、光の印加、イオン濃度および/またはpH、電場、磁場、または超音波の変化に応じて、形状を変化させることができる。例えば、SMPは、少なくとも1つの硬質セグメントと、少なくとも1つの軟質セグメントとを含むことができ、セグメントのうちの少なくとも2つ、例えば、2つの軟質セグメントは、光、電場、磁場、または超音波の印加の下で開裂可能であってもよい、官能基を介して相互に結合される。一時的な形状は、線形ポリマーを架橋結合することによって固定されてもよい。これらの結合を開裂することによって、元の形状を回復することができる。これらの結合を架橋結合および開裂するための刺激は、同じ、または異なり得る。
【0180】
一実施形態では、形状記憶ポリマー組成物は、発色団となり得る、被分析物と結合し、錯体形成し、または相互作用する。硬質および/または軟質セグメントは、発色団が光を吸収するとシス異性体からトランス異性体に偏移する、二重結合を含むことができる。したがって、二重結合が異性体になるか否かを観察することによって、発色団被分析物の存在を検出するために、光を使用することができる。
【0181】
形状記憶効果はまた、イオン強度またはpHの変化によって誘発することもできる。種々の官能基が、あるイオンの存在下で、またはpHの変化に応じて、架橋結合することが知られている。例えば、カルシウムイオンは、アミンおよびアルコール基に架橋結合することが知られており、すなわち、アルギン酸塩上のアミン基をカルシウムイオンと架橋結合することができる。また、カルボン酸塩およびアミン基は、あるpHで荷電種になる。これらの種は、帯電すると、反対電荷のイオンと架橋結合することができる。硬質および/または軟質セグメント上のイオン種の濃度の変化および/またはpHの変化に応答する基の存在は、これらのセグメント間の可逆的連結をもたらす。セグメントを架橋結合しながら、物体の形状を固定することができる。形状が変形させられた後、イオン濃度またはpHの改変は、セグメント間に架橋結合を形成したイオン相互作用の開裂をもたらし、それにより、変形によって引き起こされたひずみを緩和し、したがって、物体をその元の形状に戻すことができる。この過程でイオン結合が作られ、破壊されるため、1回しか行うことができない。しかしながら、イオン濃度および/またはpHを改変することによって結合を再形成することができるため、所望に応じて過程を繰り返すことができる。したがって、この実施形態では、イオン強度またはpHを変化させる被分析物の存在は、被分析物の存在を確認する、ポリマーの形状記憶効果を誘発することができる。
【0182】
形状記憶効果を誘発するために、電場および/または磁場も使用することができる。多数の非局在化電子を伴う発色団等の種々の部分が、電場または磁場によって引き起こされた電子流の増加の結果として、印加された電場または磁場のパルスに応じて温度を上昇させる。物質は、温度を上昇させた後、物質が直接加熱された場合と同じように、温度によって誘発された形状記憶を受けることができる。これらの組成物は、埋め込まれた物質への熱の直接印加が困難となる場合がある、生物医学的用途で有用であるが、印加された電場または磁場の印加は、発色団を伴う分子のみに影響を及ぼし、周辺組織を加熱しない。例えば、多数の非局在化電子を伴う発色団被分析物の存在は、印加された電場または磁場のパルスに応じて、形状記憶ポリマーインプラントを包囲する環境内で温度の上昇を引き起こすことができる。この温度の上昇は、順に、熱的形状記憶効果を引き起こし、したがって、特定の被分析物の存在を確認することができる。
【0183】
他の種類の「スマートポリマー」も使用されてもよい。部位特異的共役を形成するポリマーおよび相互作用分子等の刺激応答性構成要素の能力の組み合わせが、種々の検定、分離、処理、および他の用途で有用である。ポリマー鎖の立体構造および体積は、pH、温度、光、または他の刺激の改変を通して操作することができる。相互作用分子は、抗体、受容体、または酵素等のタンパク質またはペプチド、リガンドに特異的に結合する多糖類または糖タンパク質、あるいはアンチセンス、リボザイム、およびアプタマー等の核酸、あるいは環境または製造過程内の有機また無機分子に対するリガンドのような、生体分子となり得る。刺激応答性ポリマーは、隣接する結合部位、例えば、ストレプトアビジンのビオチン結合部位、抗体の抗原結合部位、または酵素の活性基質結合部位におけるリガンド・生体分子結合を改変する刺激によって、ポリマーを操作することができるように、特異的部位における認識生体分子に連結される。結合は、完全に遮断されてもよく(すなわち、共役がオン・オフスイッチとしての役割を果たす)、または部分的に遮断されてもよい(すなわち、共役が、結合を部分的に遮断するように、またはより大きいリガンドの結合のみを遮断するように、レオスタットしての役割を果たす)。リガンドはまた、いったん結合されると、1つ(以上)の共役ポリマーを刺激して、リガンドおよびそれに付着したあらゆるものの放出を引き起こすことによって、結合部位から放出されてもよい。代替として、適切な環境刺激への刺激応答性構成要素の曝露を通して、ポリマー・共役生体分子の選択的分割、相分離、または沈殿を達成することができる。
【0184】
被分析物の検出または定量化のための信号を提供するために、液晶ポリマー物質も使用することができる。液晶は、3つの次元全てではなく、1つまたは2つの次元のみで貯距離秩序を呈する物質である。液晶状態の際立った特性は、配向子として知られている、共通軸に沿って向く分子またはメソゲンの傾向である。この特徴は、分子が、固有の秩序を持たない液相または非晶相である場合、および分子が、高度に秩序付けられ、平行移動する自由がほとんどない、固体状態である場合の物質とは対照的である。液晶状態の特徴的な配向秩序は、結晶相と液相との間にある。これらは、圧力または温度感受性となり、色または形状の変化を生じることによって反応することができる。
【0185】
場合によっては、粒子は、被分析物を決定することが可能な診断用薬を含有してもよい。被検体内の被分析物の実施例は、(例えば、糖尿病に対する)グルコースであり、他の潜在的に好適な被分析物は、(例えば、脱水を決定するための)ナトリウム、カリウム、塩素、カルシウム、マグネシウム、および/または重炭酸塩等のイオン、二酸化炭素または酸素等のガス、pH、尿素、血中尿素窒素、またはクレアチニン等の代謝産物、(例えば、妊娠、違法薬物使用、または同等物を決定するための)エストラジオール、エストロン、プロゲステロン、プロゲスチン、テストステロン、アンドロステンジオン等のホルモン、またはコレステロールを含む。さらに他の潜在的に好適な被分析物は、細菌またはウイルス等の種々の病原体、および/またはそのような病原体によって産生されるマーカーを含む。例えば、粒子は、最近によって産生されるマーカーを対象とする抗体を含んでもよい。加えて、例えば、異なる粒子の種類の使用を通して、および/または上記で論議されるもの等の1つより多くの被分析物を決定することが可能な粒子の使用を通して、1つより多くの被分析物が被検体の中で決定されてもよい。例えば、第1組の粒子が、第1の被分析物を決定してもよく、第2組の粒子が、第2の被分析物を決定してもよい。場合によっては、そのような粒子は、被検体の物理的状態を決定するために使用されてもよい。例えば、粒子は、健康な状態を示す第1の色、および疾患状態を示す第2の色を呈してもよい。場合によっては、健康の程度を決定するために、粒子の外観が使用されてもよい。例えば、粒子は、健康な状態を示す第1の色、警告状態を示す第2の色、および危険な状態を示す第3の色を呈してもよく、または粒子は、被検体の健康の程度を示す一連の色を呈してもよい。
【0186】
これらの種および/または他の種への結合パートナーが、当技術分野で周知である。非限定的実施例は、フェノールレッド、ブロムチモールブルー、クロロフェノールレッド、フルオレセイン、HPTS、5(6)−カルボキシ−2’,7’−ジメトキシフルオレセインSNARF、およびフェノールフタレイン等のpH感受性実体、Fura−2およびIndo−1等のカルシムに敏感な実体、6−メトキシ−N−(3−スルホプロピル)−キノリニウムおよびルシゲニン等の塩素に敏感な実体、4−アミノ−5−メチルアミノ−2’,7’−ジフルオロフルオロセイン等の酸化窒素に敏感な実体、トリス(4,4’−ジフェニル−2,2’−ビピリジン)塩化ルテニウム(II)五水和物等の溶解酸素に敏感な実体、溶解COに敏感な実体、BODIPY 530で標識したグリセロホスホエタノールアミン等の脂肪酸に敏感な実体、4−アミノ−4’−ベンズアミドスチルベン−2−2’ジスルホン酸(血清アルブミンに敏感である)、X−GalまたはNBT/BCIP(ある酵素に敏感である)、Tb3+からTbCl(あるカルシウム結合タンパク質に敏感である)、BODIPY FLファラシジン(アクチンに敏感である)、またはBOCILLIN FL(あるペニシリン結合タンパク質に敏感である)等のタンパク質に敏感な実体、グルコース、ラクトース、または他の構成要素の濃度に敏感な実体、プロテアーゼ、乳酸塩、または他の代謝副産物に敏感な実体、タンパク質、抗体、または他の細胞生成物に敏感な実体を含む。
【0187】
1組の実施形態では、被分析物を決定するために被検体で使用される粒子のうちの少なくともいくつかが、異方性粒子であり(しかしながら、他の場合においては、粒子は、必ずしも異方性ではない)、場合によっては、粒子の実質的に全てが異方性粒子である。ある場合においては、粒子の少なくとも約10%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%が異方性粒子である。一実施形態では、異方性粒子は、第1の色を有する第1の領域と、第1の色とは明確に異なる第2の色を有する第2の領域とを有してもよく、粒子は、被検体内の被分析物に曝露されると、上記で論議されるような、第1の領域または第1の色に対して、過剰な第2の領域または第2の色を呈する、クラスターを形成してもよい。粒子は、例えば、被検体の血流中および/または皮膚内に存在してもよい。
【0188】
場合によっては、粒子は、皮膚の中への送達後に、皮膚内の「タトゥー」または永久的マークの外観与えてもよく、タトゥーまたは他のマークは、任意の色および/またはサイズであってもよい。例えば、一実施形態では、グルコースに結合することが可能である、上記で説明されるもの等の異方性粒子は、被検体の皮膚に送達されてもよく、そのような粒子は、皮膚内の配置後に、色の変化を呈することによって、グルコースの有無に反応してもよい。粒子は、グルコースの有無および/またはグルコースの濃度に基づく色変化を呈してもよい。例えば、粒子は、凝集していないときに第1の色(例えば、緑色)を呈してもよく、または粒子は、凝集していないときに不可視的であるが、凝集しているときに可視的であってもよい(例えば、色を呈する)。粒子は、例えば、第1の色(例えば、緑色)を有する第1の表面領域と、第2の色(例えば、赤色)を有する第2の表面領域とを有する、異方性粒子であってもよく、第1の表面領域は、グルコースへの結合パートナーを含有してもよい。低レベルのグルコースでは、粒子が、第1および第2の色の組み合わせを呈してもよい一方で、高レベルのグルコースでは、粒子は、第2の色をさらに呈してもよい。
【0189】
粒子の集団化を発生させることは、被分析物への粒子の曝露のみに限定されないことに留意されたい。別の1組の実施形態では、例えば、粒子の集団化または凝集性質は、何らかの様式で外部から制御される。例えば、粒子をより近づける、および/または粒子を分離させるために、電気力、磁力、および/または機械力を使用することができる。したがって、場合によっては、粒子への電気力、磁力、および/または機械力の印加が、粒子に色の変化を呈させる。本明細書で論議されるような粒子の集団化または凝集は、略球状凝集に限定されない。場合によっては、粒子は、表面上に集団化してもよく、または粒子は、被分析物または他の外力により、表面に対して何らかの様式で整合されてもよい。
【0190】
加えて、粒子は、必ずしも被分析物への結合パートナーではない反応実体を含有してもよいことに留意されたい。例えば、第1の反応実体と、第1の反応実体と反応する第2の反応実体とを含有する、第1の粒子があってもよく、何らかの様式で(例えば、粒子のそれぞれの上で結合パートナーによって認識される被分析物または他の化学物質への曝露によって、粒子を近づけるように、電気力、磁力、および/または機械力の印加によって等)粒子が接合されると、第1および第2の反応実体が反応してもよい。具体的実施例として、第1および第2の反応実体との間の反応は、吸熱または発熱反応であってもよく、したがって、粒子が接合されると、何らかの様式で決定することができる、温度変化が生じさせられる。別の実施例として、第1および第2の反応物質の間の反応は、物質の放出を引き起こしてもよい。場合によっては、物質は、被検体によって感知することができるもの、例えば、カプサイシン、酸、アレルゲン、または同等物であってもよい。したがって、被検体は、温度の変化、苦痛、かゆみ、腫脹、または同等物を感知してもよい。
【0191】
場合によっては、粒子は、運搬流体、例えば、生理食塩水の中で懸濁されてもよく、または粒子は、基質、例えば、送達後に間質液によってアクセス可能である、またはアクセス可能となる多孔質マトリクス、あるいはヒドロゲルマトリクス等内に含有されてもよい。例えば、マトリクスは、ポリアクリル酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸・グリコール酸共重合体等の生分解性および/または生体適合性物質、または他の同様の物質から形成されてもよい。
【0192】
場合によっては、マトリクスは、例えば、マトリクスが多孔質である場合に、粒子との被分析物等の平衡が発生することを可能にしながら、粒子の存在に対する被検体による免疫応答を防止するか、または少なくとも阻止してもよい。例えば、多孔質マトリクスの細孔は、タンパク質、小分子(例えば、グルコース、イオン、溶解ガス等)が浸透することができる一方で、免疫細胞が浸透できないようなものであってもよい。細孔は、例えば、約5マイクロメートル未満、約4マイクロメートル未満、約3マイクロメートル未満、約2マイクロメートル未満、約1.5マイクロメートル未満、約1.0マイクロメートル未満、約0.75マイクロメートル未満、約0.6マイクロメートル未満、約0.5マイクロメートル未満、約0.4マイクロメートル未満、約0.3マイクロメートル未満、約0.1マイクロメートル未満、約0.07マイクロメートル、または他の実施形態では約0.05マイクロメートル未満であってもよい。マトリクスは、例えば、ポリアクリル酸および/またはポリグリコール酸、ポリ無水物、ポリカプロラクトン、ポリエチレンオキシド、ポリブチレンテレフタラート、澱粉、セルロース、キトサン、および/またはこれらの組み合わせ等の生体適合性および/または生分解性ポリマー、および/またはアガロース、コラーゲン、フィブリン、または同等物等の他の物質を含んでもよい。
【0193】
したがって、1組の実施形態では、自動車ダッシュボード上の光に類比することができる、例えば、正常には緑色、疑わしい、わずかに低い、またはわずかに高い場合は屓色、および異常には赤色である、粒子が提供される。次いで、被検体は、適切な医療関係者に診てもらう必要があること、および緊急性の程度を知る。粒子は、検出部位に配置され、読み取られてもよい。例えば、デバイスは、視覚比色信号を提供してもよいが、臭い(例えば、pHまたは温度の変化時に放出される)または触覚(化学反応による形状変化)等の他の信号が可能である。
【0194】
粒子からの信号は、被分析物の存在および/または量を示すパターンまたは色を発生させるために使用することができる。パターンまたは色の密度、形状、色、または強度は、はい・いいえ型の答えを提供してもよく、または定量的な量を提供するように等級を付けられてもよい。これはまた、いくつかの実施形態では、pHまたは温度変化への曝露によって達成することもできる。他のパターンは、例えば、+および−記号、矢印(例えば、上向き矢印または下向き矢印)、顔(笑顔、中間、悲しい)等、または同等物を含む。
【0195】
1組の実施形態では、皮膚表面は、反応があるときに感触を変化させてもよい。例えば、形状記憶ポリマーは、コレステロールレベルが150mg/dlを下回るときに「OK」と言ってもよい。これらは、コレステロールレベルが200mg/dlを超えるときに「高」を準備するように変化してもよい。デバイスは、これらのレベルの間の値で、空白であるか、または定義が欠けていてもよい。
【0196】
粒子は、被分析物と反応したときに変化してもよい。これは、pHまたは温度変化の関数として放出される、食品の臭い等の臭いをもたらしてもよい。例えば、カプセル化した香りが放出されてもよい。場合によっては、FDA GRAS原料が信号として使用されてもよい。
【0197】
これらは、疾患または炎症を示す温度の変化を測定するように、皮膚に適用されてもよい。一実施形態では、デバイスは、無色であるか、または正常温度を示す色(例えば、緑色)であってもよく、またはデバイスは、「OK」等のメッセージを表示する。温度が、101°F等のあるレベルを超える場合、色が変化する(例えば、注意には黄色、または警告あるいは危機には赤色)か、またはメッセージが変化して(例えば、形状記憶ポリマーが使用される)「熱」を読み出す。これらは、監督すべき多数の乳児または幼児がいて、発熱が急速に発生し得る、託児所等の設定で特に有用である。
【0198】
別の実施形態では、粒子は、血液酸素の減少を測定するために、または、分子と特異的に反応する作用物質、および反応する分子の量と相関した量で信号を発出する信号発出作用物質を提供することによって、グルコース、コレステロール、トリグリセリド、癌マーカー、あるいは感染作用物質等の分子の量を測定するために使用されてもよい。温度モニタに類似する別の非限定的実施例として、例えば、色変化を生じる、例えば、「C高」または「インスリン!」と言うメッセージを作成するために、事前設定されたレベルを使用することができる。
【0199】
上記で論議されるように、デバイスは、色変化またはメッセージ変化の代わりに、形状を変化させ、香りまたは風味を発し、またはそうでなければ、さらなる情報を求める必要性を個人に通知してもよい。場合によっては、これは、疾患の指標を確認することができ、適切な医学的介入を得ることができる、治療を求めることとなる場合がある。発熱を示す温度の場合、介護者は、標準温度計を使用して温度を測定する場合がある。妊娠または排卵を示すホルモン変化の場合、尿サンプルを使用して、ELISA検査が行われる場合がある。高グルコースの場合、これは、標準グルコースモニタおよび血液サンプルを使用して確認することができる。
【0200】
別の側面では、粒子は、例えば、永久的または一時的タトゥーとして、審美的目的で送達されてもよい。場合によっては、皮膚内に含有される「タトゥー」または粒子は、被検体への電気力、磁力、および/または機械力の投与によって改変可能であってもよい。例えば、そのような力を印加することによって、粒子が集団化させられてもよく、それは、上記で論議されるように、色の変化をもたらしてもよい。したがって、本発明の一実施形態は、電気力、磁力、および/または機械力等の外部刺激の印加、および/または皮膚に適用される化学物質(例えば、粒子上の種の結合パートナーである化学物質)によって改変することができる、皮膚の中の審美的マークを対象とする。
【0201】
皮膚に存在するタトゥー(または他のマーク)は、例えば、装飾美術として、または識別システムとして、任意の機能を有してもよい。例えば、タトゥーは、刺激を被検体に印加すること(例えば、電場、磁場、機械力、化学物質等)、および色の変化等のマークの変化を識別することによりタトゥーを確認することによって、検証されてもよい。マークの変化は、永久的または一時的であってもよい。具体的実施例として、刺激が、第1の色を呈する第1の領域と、第2の色を呈する第2の領域とを含有する異方性粒子に印加されてもよい。刺激がない場合、粒子は、第1および第2の色の混合を呈するが、刺激の印加の下では、粒子が整合されるにつれて1つだけの色が呈されてもよい。この色の変化の識別は、例えば、芸術的に、または識別マークとして使用されてもよい。既述のように、場合によっては、そのようなマークは、永久的または一時的であってもよい。別の実施例として、粒子は、刺激がない場合に不可視的(例えば、凝集していない)であってもよいが、刺激が印加されると可視的(例えば、凝集している)になる。場合によっては、粒子は、刺激が印加されている間に外観を変化させるが、いったん刺激が除去されると元の外観に戻る。しかしながら、他の場合においては、粒子は、刺激の除去後しばらくの間、改変した外観を保持することが可能であってもよく、場合によっては、粒子は、改変した外観を永久的に保持する。
【0202】
別の側面では、本発明は、以前に論議されている組成物のうちの1つ以上を含むキット、例えば、粒子を含むキット、流体を送達し、および/または皮膚から引き抜くためのデバイスを含むキット、被検体の皮膚内で流体のプール領域を生成することが可能なデバイスを含むキット、流体を決定することが可能なデバイスを含むキット、または同等物を対象とする。デバイス152を含有するキット150を伴って、本発明の1つより多くのデバイスを含有するキットの実施例が、図11Bに図示されている。本明細書で使用されるような「キット」は、一般的には、例えば、本発明の組成物またはデバイスのうちの1つ以上、および/または以前に説明されているような本発明と関連付けられる他の組成物またはデバイスを含む、パッケージまたはアセンブリを定義する。例えば、1組の実施形態では、キットは、デバイスと、デバイスとともに使用するための1つ以上の組成物とを含んでもよい。キットの組成物のそれぞれは、存在する場合、液体形態で(例えば、溶液で)、または固体形態(例えば、乾燥粉末)で提供されてもよい。ある場合においては、組成物のうちのいくつかは、例えば、キットとともに提供されてもされなくてもよい、好適な溶媒または他の種の添加によって、構成可能であってもよく、またはそうでなければ(例えば、活性形態に)加工可能であってもよい。本発明と関連付けられる他の組成物または構成要素の実施例は、例えば、サンプルおよび/または被検体に対する特定の用途のための組成物および構成要素を、例えば、使用する、投与する、修正する、組み立てる、貯蔵する、包装する、調製する、混合する、希釈する、および/または保存するための、溶媒、界面活性剤、希釈剤、塩、緩衝剤、乳化剤、キレート剤、充填剤、酸化防止剤、結合剤、増量剤、防腐剤、乾燥剤、抗菌剤、針、シリンジ、包装材、管、ボトル、フラスコ、ビーカー、皿、フリット、フィルタ、リング、クランプ、ラップ、パッチ、容器、テープ、接着剤、および同等物を含むが、それらに限定されない。
【0203】
本発明のキットは、場合によっては、取扱説明書が本発明の組成物と関連付けられるものであることを当業者が認識するような方式で、本発明の組成物と関連して提供される、任意の形態の取扱説明書を含んでもよい。例えば、取扱説明書は、キットと関連付けられる組成物および/または他の組成物の使用、修正、混合、希釈、保存、投与、組立、貯蔵、包装、および/または調製のための取扱説明書を含んでもよい。場合によっては、取扱説明書はまた、例えば、サンプルおよび/または被検体に対する特定の用途のための、例えば、組成物の送達および/または投与のための取扱説明書を含んでもよい。取扱説明書は、例えば、任意の方式で提供される、書面または出版、口頭、可聴(例えば、電話による)、デジタル、光学、視覚(例えば、ビデオテープ、DVD等)、または電子通信(インターネットまたはウェブベースの通信を含む)といった、そのような取扱説明書を含有するための好適な媒介物として、当業者によって認識可能な任意の形態で提供されてもよい。
【0204】
いくつかの実施形態では、本発明は、本明細書で論議されるような本発明の1つ以上の実施形態を推進する方法を対象とする。本明細書で使用されるように、「推進する」は、本明細書で論議されるような本発明のシステム、デバイス、装置、部品、方法、組成物、キット等と関連付けられる、販売する、宣伝する、割り当てる、使用許諾する、契約する、命令する、教育する、研究する、輸入する、輸出する、交渉する、出資する、融資する、取引する、販売供給する、再販売する、流通させる、修理する、交換する、保証する、告訴する、特許取得する、または同等のことを行う方法を含むが、それらに限定されない、全ての営業する方法を含む。推進の方法は、個人、事業(公営または民間)、パートナーシップ、企業、トラスト、契約または非契約機関、単科大学または総合大学等の教育機関、研究機関、病院または他の臨床機関、政府機関等を含むが、それらに限定されない、任意の当事者によって行うことができる。推進活動は、本発明と明確に関連付けられる、任意の形態(例えば、書面、口頭、および/またはEメール、電話、インターネット、ウェブベース等であるが、それらに限定されない電子通信)の通信を含んでもよい。
【0205】
1組の実施形態では、推進の方法は、1つ以上の取扱説明書を伴ってもよい。本明細書で使用されるような「取扱説明書」は、指導有用性の構成要素(例えば、指図、ガイド、警告、標識、注釈、FAQまたは「よくある質問」等)を定義し、一般的には、本発明に関する、あるいは本発明および/または本発明のパッケージと関連付けられる、書面の取扱説明書を伴うことができる。取扱説明書はまた、例えば、本明細書で論議されるように、取扱説明書が本発明と関連付けられるものであることをユーザが明確に認識するような任意の方式で提供される、任意の形態の指導通信(例えば、口頭、電子、可聴、デジタル、光学、視覚等)を含むこともできる。
【0206】
D.Levinsonによる「Compositions and Methods for Diagnostics,Therapies,and Other Applications」と題された、2008年6月4日出願の米国仮特許出願第61/058,796号が、参照することにより本明細書に組み込まれる。また、参照することにより、D.Levinsonによる「Determination of Tracers within Subjects」と題された、2009年3月26日出願の米国仮特許出願第61/163,733号、D.Levinsonらによる「Monitoring of Implants and Other Devices」と題された、2009年3月26日出願の米国仮特許出願第61/163,750号、D.Levinsonによる「Compositions and Methods for Diagnostics,Therapies,and other Applications」と題された、2009年3月26日出願の米国仮特許出願第61/058,682号、D.Levinsonによる「Compositions and Methods for Diagnostics,Therapies,and Other Applications」と題された、2009年3月26日出願の米国仮特許出願第61/163,793号、「Compositions and Methods for Diagnostics, Therapies, and Other Applications」と題された、2009年6月4日出願の米国特許出願第12/478,756号、「Compositions and Methods for Diagnostics, Therapies, and Other Applications」と題された、2009年6月4日出願の国際特許出願第PCT/US09/046333号、「Systems and Methods for Creating and Using Suction Blisters or Other Pooled Regions of Fluid within the Skin」と題された、2009年3月26日出願の米国仮特許出願第61/163,710号、「Oxygen Sensor」と題された、2009年3月2日出願の米国仮特許出願第61/156,632号、「Devices and Techniques associated with Diagnostics,Therapies,and Other Applications, Including Skin−Associated Applications」と題された、2009年6月24日出願の米国仮特許出願第61/269,436号、D.Levinsonによる「Compositions and Methods for Rapid One−Step Diagnosis」と題された、2009年3月26日出願の米国仮特許出願第61/163,791号、「Devices and Techniques Associated with Diagnostics, Therapies,and Other Applications,Including Skin−Associated Applicationsと題された、2009年11月3日出願の米国仮特許出願第61/257,731号、および「Blood Sampling Device and Method」と題された2010年1月13日出願の米国仮特許出願第61/294,543号も、本明細書に組み込まれる。また、参照することにより、Levinsonらによる「Oxygen Sensor」と同じ日付に出願されている以下の米国特許出願、Levinsonらによる「Systems and Methods for Creating and Using Suction Blisters or Other Pooled Regions of Fluid within the Skin」、およびLevinsonらによる「Techniques and Devices Associated with Blood Sampling」も、本明細書に組み込まれる。
【0207】
本発明の一側面では、本明細書で説明されるもの等の粒子を形成する方法が提供される。例えば、1組の実施形態では、粒子を調製するために、エレクトロスプレーまたはエレクトロスピン技法が使用される。場合によっては、2つ以上の流体流が、複合流を形成するのに十分な空間次元にわたって接触するように、2つ以上の流体流(液体ジェットを含む)がともに組み合わせられる。場合によっては、複合流内には、2つ以上の流体流の混合がほとんどないか、または全くない。いくつかの変化例では、流体流は、導電性であり、ある場合においては、電場の影響下で2つ以上の流体流を組み合わせることによって、円錐ジェットが形成されてもよい。
【0208】
場合によっては、複合流は、例えば、電場等の力場の印加によって、基質に方向付けられる。例えば、複合流が帯電している場合、基質に向かって複合流を押し進めるために電場が使用されてもよい。複合流は、場合によっては、例えば、一連の液滴(球状であっても球状でなくてもよい)を形成する、連続的または不連続的であってもよい。場合によっては、複合流は、基質との接触前および/またはときに硬化される。例えば、複合流は、複合流の少なくとも一部分(例えば、溶媒)が蒸発することが可能である条件下で、基質に向かって押し進められてもよく、残りの流れを硬化および/または沈殿させ、例えば、粒子、球体、棒、繊維を形成させる。いくつかの変化例では、複合流は、粒子、球体、棒、および/または繊維の形成につながり得る、液滴に断片化する。
【0209】
そのような粒子または繊維を形成するための技法の付加的な実施例は、2006年9月14日に米国特許出願公開第2006/0201390号として発表された、Lahannらによる「Multi−phasic Nanoparticles」と題された2005年11月10日出願の米国特許出願第11/272,194号、または優先して2007年10月11日に米国特許出願公開第2007/0237800号として発表された、Lahannによる「Multiphasic Biofunctional Nano−Components and Methods for Use Thereof」と題された2007年6月15日出願の米国特許出願第11/763,842号で見出すことができ、そのそれぞれは、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0210】
1組の実施形態では、溶媒蒸発技法が使用されてもよい。一実施形態では、ポリマーが、塩化メチレン等の揮発性有機溶媒の中で溶解させられてもよい。薬剤または他の好適な種が溶液に添加され、混合物は、ポリ(ビニルアルコール)等の表面活性剤を含有する水溶液の中で懸濁される。結果として生じる乳剤は、固体粒子を残して有機溶媒の大部分が蒸発するまで、撹拌することができる。結果として生じる粒子は、水で洗浄され、凍結乾燥機の中で一晩乾燥させられてもよい。この方法によって、異なるサイズまたは形態の粒子を得ることができる。この方法は、ポリエステルおよびポリスチレンのような比較的安定したポリマーに有用である。
【0211】
別の1組の実施形態では、例えば、ポリ無水物等のポリマーに、溶媒除去技法が使用されてもよい。一実施形態では、ポリマーは、塩化メチレンのような揮発性有機溶媒の中で溶解させられてもよい。混合物は、乳剤を形成するように有機油(シリコン油等)の中で撹拌することによって懸濁させることができる。これは、高い融点および異なる分子量を伴うポリマーから粒子を作製するために使用することができる。この手順によって、直径が、例えば、1〜2000ミクロン、1〜1000ミクロン、1〜500ミクロン、1〜300ミクロン、1〜100ミクロン、1〜30ミクロン、1〜10ミクロン等に及ぶ粒子を得ることができる。この技法で産生される球体の外部形態は、使用されるポリマーの種類を制御することによって制御されてもよい。
【0212】
さらに別の1組の実施形態では、噴霧乾燥技法が使用されてもよい。一実施形態では、ポリマーは、有機溶媒の中で溶解させられる。次いで、溶液または分散が噴霧乾燥させられる。使用されるポリマーに依存する形態を伴って、直径が、例えば、1〜2000ミクロン、1〜1000ミクロン、1〜500ミクロン、1〜300ミクロン、1〜100ミクロン、1〜30ミクロン、1〜10ミクロン等に及ぶ粒子を得ることができる。
【0213】
さらに別の1組の実施形態では、界面重縮合技法が使用されてもよい。一実施形態では、モノマーが溶媒の中で溶解させられる。第2のモノマーが、第1の溶媒と非混合性である第2の溶媒(一般的には水性)の中で溶解させられる。第2の溶液を撹拌することを通して、第1の溶液を懸濁させることによって、乳剤が形成されてもよい。いったん乳剤が安定化すると、開始剤を水相に添加し、乳剤の各液滴の界面において界面重合を引き起こすことができる。
【0214】
さらに別の1組の実施形態では、相反転技法が使用されてもよい。1組の実施形態では、相反転方法を使用して、ポリマーから粒子を形成することができ、ポリマーは、溶媒の中で溶解させられ、有利な条件下で粒子を自発的に産生するように、混合物は、ポリマー用の非溶媒の中へ注がれる。該方法は、例えば、約100ナノメートルから約10ミクロンを含む、広範囲の直径で粒子を産生するために使用することができる。使用することができるポリマーの実施例は、ポリビニルフェノールおよびポリ乳酸を含む。場合によっては、ポリマーを有機溶媒の中で溶解させ、次いで、非溶媒と接触させることができ、それは、溶解ポリマーの相反転に、任意的に抗原または他の物質を組み込む、粒子を形成させる。
【0215】
さらに別の1組の実施形態では、相分離技法が使用されてもよい。1組の実施形態では、ポリマーは、ポリマー溶液を形成するように溶媒の中で溶解させられる。継続的に撹拌しながら、ポリマーの可溶性を減少させるように、ポリマー用の非溶媒が溶液に添加されてもよい。溶媒および非溶媒の中のポリマーの可溶性に応じて、ポリマーは、沈殿し、および/またはポリマーが豊富な相およびポリマーが乏しい相に相分離してもよい。適正な条件下で、ポリマーが豊富な相の中のポリマーは、連続層との界面に移動し、粒子を形成してもよい。
【0216】
さらに別の1組の実施形態では、自然乳化技法を使用することができる。1組の実施形態は、温度を変化させ、溶媒を蒸発させ、および/または化学架橋結合剤を添加することによって、乳化ポリマー液滴を凝固させることを伴う。さらに別の1組の実施形態では、熱溶融技法が使用されてもよい。
【0217】
場合によっては、粒子は、ゲルを含んでもよい。例えば、1組の実施形態では、イオンゲル化技法を通して、アルギン酸塩およびヒアルロン酸等のゲル型ポリマーでできている粒子を産生することができる。一実施形態では、ポリマーを最初に水溶液の中で溶解させ、場合によっては、液滴を破断するために窒素および/または他のガスの流れを採用する、液滴形成デバイスを通して押出することができる。形成する液滴を捕捉するように、ゆっくり撹拌した(約100〜170RPM)イオン硬化槽が、押出デバイスより下側に設置されてもよい。粒子は、槽の中でインキュベートしてゲル化が発生することを可能にするように残される。粒子サイズは、例えば、種々のサイズ押出機を使用すること、または窒素ガスあるいはポリマー溶液の流速を変化させることによって、制御されてもよい。一実施形態では、酸性溶液の中でポリマーを溶解させ、それをトリポリリン酸塩と架橋結合することによって、キトサン粒子を調製することができる。別の実施形態では、酸性溶液の中でポリマーを溶解させ、鉛イオンを伴うナノ粒子を沈殿させることによって、カルボキシメチルセルロース(CMC)ナノ粒子を調製することができる。場合によっては、負に帯電したポリマー(例えば、アルギン酸塩、CMC)が使用される場合、異なる分子量の正に帯電したリガンド(例えば、ポリリシン、ポリエチレンイミン)をイオン付着することができる。
【0218】
ナノ粒子を調製するために使用することができる、当技術分野で公知の他の方法は、高分子電解質濃縮、単または二重乳剤(プローブ超音波処理)、ナノ粒子成形、または静電自己集合(例えば、ポリエチレンイミン−DNAまたはリポソーム)を含むが、それらに限定されない。
【0219】
場合によっては、粒子は、被分析物を結合または錯体形成するために使用される官能基を含んでもよく、そのような官能基は、粒子形成の前に導入することができ(例えば、被分析物を結合または錯体形成するための1つ以上の官能基で、モノマーを官能基化することができる)、または官能基は、粒子形成後に導入することができる(例えば、反応性官能基で微小粒子の表面を官能基化することによって)。粒子は、任意で、1つ以上の核物質をその中に封入していてもよい。一実施形態では、粒子は、付加的な機器の必要なく、ユーザに検出可能な信号を提供するように、有効量で存在してもよい。例えば、部品は、ユーザによって容易に検出可能である被分析物を結合または錯体形成すると、味、臭い、形状、および/または色の変化を提供するように、有効量で存在するべきである。
【0220】
本発明のいくつかの実施形態が本明細書で説明および例証されているが、当業者であれば、機能を果たし、および/または本明細書で説明される結果および/または利点のうちの1つ以上を得るための種々の他の手段および/または構造を容易に構想し、そのような変化例および/または修正のそれぞれは、本発明の範囲内と見なされる。より一般的には、当業者であれば、本明細書で説明される全てのパラメータ、寸法、材料、および構成は、例示的となるように意図されており、実際のパラメータ、寸法、材料、および/または構成は、本発明の教示が使用される、1つまたは複数の具体的用途に依存することを容易に理解するであろう。当業者であれば、日常的にすぎない実験を使用して、本明細書で説明される本発明の具体的実施形態の多くの同等物を認識し、または確認することができるであろう。したがって、前述の実施形態は、一例のみとして提示され、添付の請求項およびそれらの同等物の範囲内で、具体的に説明および請求される通り以外で本発明が実践されてもよいことを理解されたい。本発明は、本明細書で説明される各個別特徴、システム、部品、物質、キット、および/または方法を対象とする。加えて、そのような特徴、システム、部品、物質、キット、および/または方法が相互に矛盾していなければ、2つ以上のそのような特徴、システム、部品、物質、キット、および/または方法の任意の組み合わせが、本発明の範囲内に含まれる。
【0221】
本明細書で定義および使用されるような全ての定義は、辞書の定義、参照することにより組み込まれる文書内の定義、および/または定義された用語の通常の意味に対して優勢であると理解されるべきである。
【0222】
明細書および請求項で使用されるような「1つの」という不定冠詞は、明確にそれとは反対に示されない限り、「少なくとも1つの」を意味すると理解されるべきである。
【0223】
明細書および請求項で使用されるような「および/または」という語句は、そのように結合された要素の「いずれか一方または両方」、すなわち、場合によっては接合的に存在し、他の場合においては離接的に存在する要素を意味すると理解されるべきである。「および/または」で記載される複数の要素は、同じように、すなわち、そのように結合された要素のうちの「1つ以上」と解釈されるべきである。「および/または」節によって具体的に識別される要素以外に、具体的に識別される要素に関係しようと、無関係であろうと、他の要素が任意的に存在してもよい。したがって、非限定的実施例として、「Aおよび/またはB」への言及は、「〜を備える」等の制約のない用語と併せて使用されると、一実施形態ではAのみ(任意でB以外の要素を含む)、別の実施形態ではBのみ(任意でA以外の要素を含む)、さらに別の実施形態ではAおよびBの両方(任意で他の要素を含む)等を指すことができる。
【0224】
明細書および請求項で使用されるように、「または」は、上記で定義されるような「および/または」と同じ意味を有すると理解されるべきである。例えば、リストの中のアイテムを分離するときに、「または」あるいは「および/または」は、包括的として、すなわち、少なくとも1つを含むが、いくつかの要素または要素のリストのうちの1つより多く、および任意で付加的な記載されていないアイテムも含むと解釈されるものとする。「〜のうちの1つのみ」または「〜のうちの正確に1つ」等の明確にそれとは反対に示される他の用語、あるいは請求項で使用されるときの「〜から成る」は、いくつかの要素または要素のリストのうちの正確に1つの要素の包含を指す。概して、本明細書で使用されるような「または」という用語は、「いずれか一方」、「〜のうちの1つ」、「〜のうちの1つのみ」、または「〜のうちの正確に1つ」等の排他性の用語が続くときに、排他的な代替用語(すなわち、「一方または他方であるが両方ではない」)を示すと解釈されるだけのものとする。「本質的に〜から成る」は、請求項で使用されると、特許法の分野で使用されるようなその通常の意味を有するものとする。
【0225】
明細書および請求項で使用されるように、「少なくとも1つ」という語句は、1つ以上の要素のリストを参照して、要素のリストの中の要素のうちのいずれか1つ以上から選択される少なくとも1つの要素を意味するが、要素のリスト内に具体的に記載されたあらゆる要素のうちの少なくとも1つを必ずしも含まず、要素のリストの中の要素の任意の組み合わせを排除しないと理解されるべきである。この定義はまた、具体的に識別される要素に関係しようと、無関係であろうと、「少なくとも1つ」という語句が指す、要素のリスト内で具体的に識別される要素以外に、要素が任意で存在してもよいことを許容する。したがって、非限定的実施例として、「AおよびBのうちの少なくとも1つ」(または同等に「AまたはBのうちの少なくとも1つ」、あるいは同等に「Aおよび/またはBのうちの少なくとも1つ」)は、一実施形態では、いずれのBも存在しない、任意で1つより多くを含む、少なくとも1つのA(および任意でB以外の要素を含む)、別の実施形態では、いずれのAも存在しない、任意で1つより多くを含む、少なくとも1つのB(および任意でA以外の要素を含む)、さらに別の実施形態では、任意で1つより多くを含む、少なくとも1つのA、および任意で1つより多くを含む、少なくとも1つのB(および任意で他の要素を含む)等を指すことができる。
【0226】
また、明確にそれとは反対に示されない限り、1つより多くのステップまたは行為を含む、本明細書で請求される任意の方法では、方法のステップまたは行為の順序は、方法のステップまたは行為が記載される順序に必ずしも限定されないことも理解されたい。
【0227】
請求項では、ならびに上記の明細書では、「〜を備える」、「〜を含む」、「〜を携持する」、「〜を有する」、「〜を含有する」、「〜を伴う」、「〜を担持する」、「〜から構成される」、および同等物等の全ての移行句は、制約がない、すなわち、「〜を含むが、それに限定されない」を意味すると理解されるものである。「〜から成る」および「本質的に〜から成る」という移行句のみが、米国特許審査手続便覧第2111.03条(United States Patent Office Manual of Patent Examining Procedures, Section 2111.03)で規定されているように、それぞれ、制約的または半制約的移行句であるものとする。
【図1A】

【図1B】

【図1C】

【図1D】

【図1E】

【図2A】

【図2B】

【図2C】

【図3A】

【図3B】

【図3C】

【図4A】

【図4B】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体からの抽出可能媒体の分析用のデバイスであって、該デバイスは、
該被検体の皮膚に近接して設置されるように構築および配設される支持構造と、
アクセス部位における該被検体の該皮膚から、および/または該皮膚を通して該抽出可能媒体にアクセスする、該支持構造と関連付けられる手段と、
該アクセス部位の少なくとも一部分における該皮膚をわたる圧力差を生成することが可能である、該支持構造によって支持される圧力調節器と、
該被検体からの該抽出可能媒体の少なくとも1つの状態を決定する、該支持構造によって支持されるセンサと、
該センサによって決定される該媒体の該状態に関する信号を発生させる、該支持構造によって支持される信号発生器と
を備える、デバイス。
【請求項2】
前記皮膚への前記支持構造の接着のための接着剤を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記抽出可能媒体にアクセスする手段を起動し、それにより、前記被検体の皮膚から、または皮膚を通して該媒体を抽出する、前記支持構造と関連付けられる抽出起動部をさらに備える、請求項1または2のうちのいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項4】
前記抽出起動部は、前記皮膚に対して配置可能である、請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記抽出起動部は、前記デバイスが前記皮膚に対して配置されると生成される力を決定することが可能である、請求項3または4のうちのいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記支持構造は、前記デバイスを前記皮膚に貼付するための機械的要素をさらに備える、請求項1〜5のうちのいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記支持構造は、前記抽出可能媒体にアクセスする前記手段を含有する陥凹を含有する、請求項1〜6のうちのいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記支持構造は、前記抽出起動部と流体的に連絡している微小流体チャネルをさらに備える、請求項1〜7のうちのいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項9】
前記デバイスは、前記被検体から流体を引き抜くことが可能である、請求項1〜8のうちのいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項10】
前記流体は、血液を含む、請求項9に記載のデバイス。
【請求項11】
前記流体は、間質液を含む、請求項9または10に記載のデバイス。
【請求項12】
前記デバイスは、前記抽出可能媒体にアクセスする前記手段と流体的に連絡している貯蔵区画をさらに備える、請求項9〜11のうちのいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項13】
前記デバイスは、前記被検体から引き抜かれた流体内に含有される被分析物を決定することが可能である、請求項1〜12のうちのいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項14】
前記デバイスは、後に前記被検体の皮膚から該デバイスを除去することなく、前記被分析物を決定することが可能である、請求項13に記載のデバイス。
【請求項15】
前記デバイスは、自動的に前記被分析物を決定することが可能である、請求項13および14のうちのいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項16】
前記デバイスは、前記被分析物の前記決定の結果を表示することが可能である、請求項13〜15のうちのいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項17】
前記デバイスは、前記抽出可能媒体にアクセスする前記手段を介して、流体を前記被検体に送達することが可能である、請求項1〜16のうちのいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項18】
前記抽出可能媒体にアクセスする前記手段は、1本以上の極微針を備える、請求項1〜17のうちのいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項19】
前記抽出可能媒体にアクセスする前記手段は、1本以上の中実極微針を備える、請求項1〜18のうちのいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項20】
前記抽出可能媒体にアクセスする前記手段は、1本以上の中空極微針を備える、請求項1〜19のうちのいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項21】
前記抽出可能媒体にアクセスする前記手段は、前記支持構造に対して固定化される、請求項1〜20のうちのいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項22】
前記デバイスは、前記皮膚への曝露後に、前記皮膚から前記抽出可能媒体にアクセスする前記手段を引き抜くことが可能である、請求項1〜21のうちのいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項23】
前記支持構造は、前記抽出可能媒体にアクセスする前記手段に向かう前記被検体の皮膚を引き寄せることが可能である、請求項1〜22のうちのいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項24】
前記支持構造は、真空を前記皮膚に印加することが可能である、請求項1〜23のうちのいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項25】
前記支持構造は、内蔵式真空チャンバを備える、請求項1〜24のうちのいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項26】
前記抽出可能媒体にアクセスする前記手段は、前記支持構造に対して移動することが可能である、請求項1〜25のうちのいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項27】
前記抽出可能媒体にアクセスする前記手段は、前記被検体によって起動可能である、請求項1〜26のうちのいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項28】
前記抽出可能媒体にアクセスする前記手段は、前記デバイスを前記皮膚に適用すると起動される、請求項1〜27のうちのいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項29】
前記デバイスは、熱を前記皮膚に印加する加熱器をさらに備える、請求項1〜28のうちのいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項30】
前記デバイスは、前記皮膚を冷却する冷却器をさらに備える、請求項1〜29のうちのいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項31】
被検体からの抽出可能媒体の分析用のデバイスであって、
該被検体の皮膚に近接して設置されるように構築および配設される支持構造と、
アクセス部位における前記被検体の皮膚から、および/または皮膚を通して該抽出可能媒体にアクセスする流体輸送器と、
該アクセス部位の少なくとも一部分における該皮膚をわたる圧力差を生成することが可能である、該支持構造によって支持される圧力調節器と、
該被検体からの該抽出可能媒体の少なくとも1つの状態を決定する、該支持構造によって支持されるセンサと、
該センサによって決定される該媒体の該状態に関する信号を発生させる、該支持構造によって支持される信号発生器と
を備える、デバイス。
【請求項32】
被検体からの抽出可能媒体の分析用のデバイスであって、
アクセス部位における該被検体の皮膚から、および/または皮膚を通して該抽出可能媒体にアクセスする手段と、
該アクセス部位の少なくとも一部分における該皮膚をわたる圧力差を生成することが可能である圧力調節器と、
該被検体からの該抽出可能媒体の少なくとも1つの状態を決定するセンサと、
該センサによって決定される該媒体の該状態に関する信号を発生させるための信号発生器と
を備える、デバイス。
【請求項33】
被検体からの抽出可能媒体の分析用のデバイスであって、
アクセス部位における該被検体の皮膚から、および/または皮膚の下から該抽出可能媒体にアクセスする手段と、
チャンバと関連付けられるピストンポンプがない場合に、該アクセス部位の少なくとも一部分における該皮膚をわたる圧力差を生成することが可能である圧力差チャンバと、
該被検体からの該抽出可能媒体の少なくとも1つの状態を決定するセンサと、
該センサによって決定される該媒体の該状態に関する信号を発生させるための信号発生器と
を備える、デバイス。
【請求項34】
被検体からの抽出可能媒体を分析する方法であって、
該被検体の皮膚に隣接して、経路を備える分析デバイスを設置することと、
該デバイスが該皮膚に隣接している間に、該抽出可能媒体を該デバイスの該経路と接続するように、該デバイスのアクセス構成要素を起動することと、
該経路を介して該抽出可能媒体を該デバイスの中へ押し進めるように、該デバイスの圧力コントローラを起動することと、
該デバイスのセンサに該媒体を曝露し、該被検体からの該抽出可能媒体の少なくとも1つの状態を決定することと、
該センサによって決定される該媒体の該状態に関する信号を発生させることと
を含む、方法。
【請求項35】
被検体の皮膚に近接する部位に適用可能なデバイスであって、
検出される被分析物と反応または相互作用し、視覚によって、感触によって、臭いによって、または味によって検出することができる信号を発生させる作用物質を備え、
被分析物と反応または相互作用する該作用物質および信号伝達作用物質は、同じか、または異なり得、
該信号は、前記被分析物の属性の関数として変化することができ、定性的に分析することができる信号を発出する、デバイス。
【請求項36】
被検体の皮膚に近接する部位に適用可能なデバイスであって、
検出される被分析物と反応または相互作用し、視覚によって、感触によって、臭いによって、または味によって検出することができる信号を発生させる作用物質を備え、
被分析物と反応または相互作用する該作用物質と信号伝達作用物質とは、同じか、または異なり得、
該デバイスは、該被検体から流体を取得し、反応のために取得部位から分析部位まで該流体を輸送する、デバイス。
【請求項37】
被検体の皮膚に近接する部位に適用可能なデバイスであって、該デバイスは、被検体の物理的状態を決定し、該状態に関係付けられる信号を発出し、該信号は、該被検体によって容易に理解可能ではない、デバイス。
【請求項38】
被検体の皮膚に近接する部位においてデバイスを提供することであって、該デバイスは、被検体の物理的状態を決定し、該状態に関係付けられる信号を発出する、ことと、
該信号の表示を取得することと、
該表示を分析する実体に該信号の該表示を輸送することと
を含む、方法。
【請求項39】
少なくとも、被検体の第1の物理的状態に関係付けられる第1の信号を生成する第1の分析部位と、該被検体の第2の物理的状態に関係付けられる第2の信号を生成する第2の分析部位とを含む、該被検体の皮膚に近接する複数の分析部位を提供することを含む、方法。
【請求項40】
被分析物と反応または相互作用して、アイコンの形態で信号を発生させる反応性作用物質を備える、被検体の皮膚に近接する反応部位を提供することを含む、方法。
【請求項41】
被検体の状態を決定するように、該被検体の皮膚に近接する部位に適用可能なデバイスであって、
第1の構成要素と、該部位に適用するために前記第1の構成要素に接続され、該部位に適用した後に該第1の構成要素から分離可能である第2の構成要素とを備え、該第1の構成要素は、該被検体の体液を取得するように起動することができ、該第2の構成要素は、検出される被分析物と反応または相互作用し、視覚によって、感触によって、臭いによって、または味によって検出することができる信号を発生させる作用物質を備える、デバイス。
【請求項42】
被検体の唾液の中の被分析物と反応または相互作用して、信号を発生させる作用物質を備える、該被検体によって装着可能なデバイス。
【請求項43】
被検体の皮膚に近接する部位に適用可能なデバイスであって、該デバイスは、検出される被分析物と反応または相互作用して、視覚によって、感触によって、臭いによって、または味によって検出することができる信号を発生させる作用物質を備え、
該デバイスは、該信号の発生に関与する該作用物質を備える膜であって、被分析物および/または被分析物指標の通過、ならびに被分析物および/または被分析物指標との反応のうちの1つ以上に対して選択的である、膜を備える、デバイス。
【請求項44】
デバイスを緊急看護を必要としている被検体の皮膚に近接して適用することを含み、該デバイスは、被分析物と反応または相互作用して、該被検体の状態を示す信号を発生させる反応性作用物質を備える、方法。
【請求項45】
第1の色の複数の第1の粒子と、第2の色の複数の第2の粒子とを含有する溶液に、該溶液の色の変化を引き起こすのに十分な電場および/または磁場を印加することを含む、方法。
【請求項46】
少なくとも、第1の決定可能な特性を有する第1の亜集団と、第2の決定可能な特性を有する第2の亜集団とを含む粒子の集団を、サンプルに曝露することと、
該粒子の第1の亜集団のうちの少なくともいくつかの粒子が、結合パートナーを介して、該サンプルの構成要素に結合することを可能にすることであって、該構成要素に結合された該第2の亜集団からの粒子の数に対する、該構成要素に結合された該第1の亜集団からの粒子の数の比が、少なくとも5:1であるように、該粒子の第2の亜集団は、本質的に該構成要素に結合されないままである、ことと、
結合されていない粒子から該構成要素に結合された該粒子を分離することと、
該分離を決定することによって、該サンプルの特性を決定することと
を含む、方法。
【請求項47】
結合パートナーを介して、1つの色の粒子を前記サンプルの構成要素に優先的に結合すると、異なる色の粒子の集団の変化によって達成される色変化を視覚化することによって、サンプルの特性を決定することを含む、方法。

【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図8E】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【公表番号】特表2012−519051(P2012−519051A)
【公表日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−552935(P2011−552935)
【出願日】平成22年3月2日(2010.3.2)
【国際出願番号】PCT/US2010/000624
【国際公開番号】WO2010/101621
【国際公開日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(509202868)セブンス センス バイオシステムズ,インコーポレーテッド (6)
【Fターム(参考)】