説明

抽出装置及びこれが適用された画像形成装置

【課題】分散質と分散媒とを高速で分離することが可能な抽出装置を提供する。
【解決手段】キャリア液抽出装置500は、液体現像剤LDを貯留する液槽510、液体現像剤LDを汲み上げる計量ローラ520、周面53Sに液体現像剤LDの薄層TLが担持されるトナー回収ローラ530、薄層TLからキャリア液を分離するキャリア液回収ローラ540、薄層TL中のトナーを正電位に帯電させる帯電装置550を含む。トナー回収ローラ530には第1電源532により負電位が印加される。トナーが正電位に帯電されることで、トナーは周面53Sに電気的に吸着され、薄層TL内のトナーは周面53Sの直近に偏在するようになる。このような薄層TLが、第2ニップ部N2を通過することで、トナーとキャリア液とが分離される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分散質及び分散媒を含む液体試料から両者を分離し、これらを抽出する抽出装置、及びこれが適用された画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ローラ等の周面上に担持された液体を用いて、所定の処理を実行する技術は、印刷技術などの多くの分野で利用されている。例えば、このような技術は、液体現像剤を用いる湿式の画像形成装置(例えば、コピー機、プリンタ、ファクシミリ或いはこれらの機能を備える複合機等)に適用される。
【0003】
処理に用いられる液体は、多くの場合、分散媒と分散質を含む。例えば、上述の画像形成装置では、分散質としてのトナーと、分散媒としてのキャリア液とを含む液体現像剤が用いられる。分散媒は、例えば、分散質の分散の均一性を促し、均一な及び/又は安定した処理を行なわせるという役割を担う。特定の処理においては、分散媒を回収し、再利用することが望まれることもある。
【0004】
特許文献1は、分散媒を回収するためのリサイクル装置を開示する。このリサイクル装置は、導電性パイプの内側に微小な隙間を置いて導電性ローラが配置され、前記隙間に液体現像剤が注入される構造を備える。前記導電性パイプと前記導電性ローラとの間に電界が形成されることにより、トナーとキャリア液との分離が図られ、キャリア液は、その後回収される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−270957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1のリサイクル装置では、トナーとキャリア液との分離に多くの時間を要し、湿式画像形成装置において高速印刷処理を行わせることを意図する場合に搭載させることができない。仮に、前記導電性パイプと前記導電性ローラとの間の隙間を数ミクロンレベルにまで微小にすることができれば、トナーとキャリア液との分離速度を高速化することは可能であるが、両者を数ミクロンオーダーで対峙させるのは、部品精度や装置構成の観点から実質的に不可能である。
【0007】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、分散質と分散媒とを高速で分離することが可能な抽出装置、及びこれが適用された画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一局面に係る抽出装置は、分散質及び分散媒を含む液体試料から前記分散質と前記分散媒とを分離し、これらを抽出する抽出装置であって、その周面に分散質及び分散媒を含む液体試料の薄層を担持し、軸回りに回転する第1ローラと、前記第1ローラに当接し、前記第1ローラに担持される前記薄層から前記分散媒を分離する分離部材と、前記第1ローラに対する前記分離部材の当接位置よりも該第1ローラの回転方向上流位置において、前記第1ローラに担持された前記薄層中の分散質を帯電させる帯電装置と、前記帯電された分散質を電気的に前記第1ローラの周面に吸着させる電界を形成する電界形成手段と、を備えることを特徴とする(請求項1)。
【0009】
この構成によれば、液体試料の薄層が第1ローラの周面に担持され、この薄層中の分散質が帯電されることで、前記第1ローラの周面に分散質が電気的に吸着される。従って、前記薄層中において、分散質を前記第1ローラの周面上に偏在させることができ、前記分離部材によって分散媒を容易に分離させることができる。
【0010】
上記構成において、前記分離部材が、その周面に前記分散媒を担持し、軸回りに回転する第2ローラであることが望ましい(請求項2)。この構成によれば、前記第1ローラと第2ローラとでニップ部を形成させ、該ニップ部を前記薄層が通過するときに、分散質が前記第1ローラの周面上に吸着した状態を維持する一方で、分散媒が第2ローラによって回収されるようにすることが可能となる。
【0011】
上記構成において、さらに、前記液体試料を貯留する液槽と、前記液槽内の前記液体試料を用いて前記第1ローラの周面に該液体試料の前記薄層を形成する薄層形成手段と、を備えることが望ましい(請求項3)。この構成によれば、例えば使用済みの液体試料を液槽に回収させるようにし、その液槽内の液体試料で前記薄層を形成させることができる。従って、抽出装置をリサイクル用に適用する場合に有用な構成を提供できる。
【0012】
この場合、前記薄層形成手段は、その周面が前記液槽内の前記液体試料と接触するように配置され、軸回りに回転し、前記周面に沿って前記液体試料を搬送する第3ローラであって、該第3ローラは、前記帯電装置の配置位置よりも前記第1ローラの回転方向上流位置において、前記第1ローラに当接されてニップ部を形成し、前記第3ローラの周面で搬送された前記液体試料が、前記ニップ部を通過することで、前記第1ローラの周面に前記薄層が形成されることが望ましい(請求項4)。
【0013】
この構成によれば、第3ローラによって前記液槽内の前記液体試料が汲み上げられ、前記ニップ部において第3ローラの周面の液体試料が第1ローラに受け渡される。そして、ニップ部を通過することから、受け渡された液体試料は、第1ローラの周面に薄層として担持されるようになる。従って、前記薄層を容易に、且つ、安定的に形成させることができる。
【0014】
ここで、前記第3ローラが、その周面に凹部を有するアニックスローラであって、さらに、前記アニックスローラの周面に保持される前記液体試料の量を制限する計量手段を備える構成としても良い(請求項5)。この構成によれば、前記液槽から汲み上げる液体試料の量を正確に制御することが可能となる。
【0015】
上記構成において、さらに、前記第1ローラ及び前記第3ローラを、それぞれの軸回りに回転駆動させる第1駆動手段を備え、前記第1駆動手段は、前記第1ローラと前記第3ローラとを逆方向に回転させると共に、前記第3ローラの回転周速度が前記第1ローラの回転周速度よりも早くなるように回転させることが望ましい(請求項6)。
【0016】
この構成によれば、第1ローラの周面に担持させる前記薄層の厚みムラを軽減させることができる。これにより、帯電手段により分散質を帯電させる際に、帯電ムラが可及的に発生しないようにすることができる。従って、分散質を前記第1ローラの周面上に確実に吸着させることができ、分離性能を向上させることができる。
【0017】
上記構成において、前記電界形成手段は、前記第1ローラに負の電界を印加する電源であって、前記帯電装置は、前記薄層中の分散質を正に帯電させる構成とすることができる(請求項7)。この構成によれば、分散質を前記第1ローラの周面上に電気的に吸着させる構成をシンプルに達成することができる。
【0018】
上記構成において、さらに、前記液体試料中の分散質の濃度を検知する濃度検知手段と、前記薄層中の分散質の帯電量を調整する帯電調整手段と、を備え、前記帯電調整手段は、前記濃度検知手段が前記分散質の濃度が第1濃度であることを検出したとき、第1帯電量で前記分散質を帯電させ、前記濃度検知手段が前記分散質の濃度が、前記第1濃度よりも所定値以上濃い第2濃度であることを検出したとき、前記第1帯電量とは異なる第2帯電量で前記分散質を帯電させることが望ましい(請求項8)。
【0019】
この構成によれば、液体試料中の分散質の濃度が、何らかの原因で第1濃度から第2濃度に濃くなった場合、分散質の帯電量が第1帯電量とは異なる第2帯電量に変更される。これにより、分散質の濃度に応じた最適な帯電量で分散質を帯電させることができ、分散質が高濃度化した場合でも、分散媒と分散質との分離を良好に行わせることができる。
【0020】
或いは、上記構成において、さらに、前記液体試料中の分散質の濃度に関連する情報を取得して前記分散質の濃度を推定する濃度推定手段と、前記薄層中の分散質の帯電量を調整する帯電調整手段と、を備え、前記帯電調整手段は、前記濃度推定手段が前記分散質の濃度が第1濃度であることを推定したとき、第1帯電量で前記分散質を帯電させ、前記濃度推定手段が前記分散質の濃度が、前記第1濃度よりも所定値以上濃い第2濃度であることを推定したとき、前記第1帯電量とは異なる第2帯電量で前記分散質を帯電させることが望ましい(請求項9)。
【0021】
この構成によれば、濃度推定手段が推定する分散質の濃度に応じて、分散質の帯電量を制御することが可能となる。すなわち、液体試料中の分散質の濃度が、第1濃度から第2濃度に濃くなると推定された場合、分散質の帯電量が第1帯電量とは異なる第2帯電量に変更される。これにより、分散質の濃度に応じた最適な帯電量で分散質を帯電させることができるので、分散質が高濃度化した場合でも、分散媒と分散質との分離を良好に行わせることができる。なお、液体試料中の分散質の濃度が濃くなるケースとしては、湿式画像形成装置の場合は、トナー像担持体に形成されたトナーが転写されずに回収される場合が例示できる。
【0022】
この場合、前記帯電調整手段は、前記帯電装置に与える電圧を、前記第1帯電量と前記第2帯電量とに応じて制御する構成とすることができる(請求項10)。この構成によれば、分散質の帯電量を容易に調整することが可能となる。
【0023】
上記構成において、さらに、前記液体試料中の分散質の濃度を検知する濃度検知手段と、前記第1ローラ上における前記薄層の厚さを調整する厚さ調整手段と、を備え、前記厚さ調整手段は、前記濃度検知手段が前記分散質の濃度が第1濃度であることを検出したとき、前記薄層を第1厚さで前記第1ローラ上に形成させ、前記濃度検知手段が前記分散質の濃度が、前記第1濃度よりも所定値以上濃い第2濃度であることを検出したとき、前記第1厚さよりも所定値以上だけ薄い第2厚さで前記薄層を前記第1ローラ上に形成させることが望ましい(請求項11)。
【0024】
この構成によれば、液体試料中の分散質の濃度が、何らかの原因で第1濃度から第2濃度に濃くなった場合、前記第1ローラ上に形成される薄層の厚さが、第1厚さから第2厚さに薄くされる。これにより、液体試料中において分散質が高濃度化した場合でも、特に分散質の帯電量を増加させずとも、前記第1ローラへの分散質の電気的な吸着を安定的に確保できる。従って、分散媒と分散質との分離を良好に行わせることができる。
【0025】
ここで、前記分離部材として前記第2ローラが、前記薄層形成手段として前記第3ローラが用いられる場合において、前記厚さ調整手段は、前記第1ローラ、前記第2ローラ及び前記第3ローラを、それぞれの軸回りに回転駆動させる第2駆動手段であり、前記第2駆動手段は、前記第1濃度が検出されたとき、前記第1ローラ、前記第2ローラ及び前記第3ローラを、それぞれ所定の第1周速度で回転させ、前記第2濃度が検出されたとき、前記第1ローラ、前記第2ローラ及び前記第3ローラを、それぞれ前記第1周速度よりも遅い第2周速度で回転させる構成とすることができる(請求項12)。
【0026】
この構成によれば、液体試料中の分散質の濃度が第1濃度から第2濃度に濃くなった場合、前記第1ローラ、前記第2ローラ及び前記第3ローラの全ての回転周速度が、第1周速度から第2周速度へ低下される。この周速度の低下により、第1ローラと第3ローラとのニップ部を通過できる薄層の厚さが自ずと薄くなるので、前記第1ローラに担持される薄層の厚さ調整を行うことが出来る。
【0027】
また、前記薄層形成手段として前記第3ローラが用いられる場合において、前記厚さ調整手段は、前記第1ローラ及び前記第3ローラを、それぞれの軸回りに回転駆動させる第3駆動手段であり、前記第3駆動手段は、前記第1濃度が検出されたとき、前記第1ローラに対する前記第3ローラの回転周速度比が所定の第1速度比となるように、前記第1ローラ及び前記第3ローラを回転させ、前記第2濃度が検出されたとき、前記第1速度比よりも前記第3ローラが増速された第2速度比で、前記第1ローラ及び前記第3ローラを回転させる構成とすることができる(請求項13)。
【0028】
この構成によれば、液体試料中の分散質の濃度が第1濃度から第2濃度に濃くなった場合、第1ローラに対する前記第3ローラの回転周速度が増速される。この第3ローラの増速により、第1ローラに受け渡される液体試料の量が低下するので、前記第1ローラに担持される薄層の厚さ調整を行うことが出来る。
【0029】
また、前記薄層形成手段として前記第3ローラが用いられる場合において、前記厚さ調整手段は、前記第1ローラと前記第3ローラとのニップ深さを調整するニップ調整手段であり、前記ニップ調整手段は、前記第1濃度が検出されたとき、前記第1ローラと前記第3ローラとのニップ深さを所定の第1深さに設定し、前記第2濃度が検出されたとき、前記第1深さよりも所定値だけ深い第2深さに、前記第1ローラと前記第3ローラとのニップ深さを設定する構成とすることができる(請求項14)。
【0030】
この構成によれば、液体試料中の分散質の濃度が第1濃度から第2濃度に濃くなった場合、第1ローラと第3ローラとのニップ深さが、第1深さから第2深さに深くされる。ニップ深さが深くされることで、第1ローラと第3ローラとのニップ部を通過できる薄層の厚さが自ずと薄くなるので、前記第1ローラに担持される薄層の厚さ調整を行うことが出来る。
【0031】
上記構成において、前記液体試料が液体現像剤であり、前記分散質はトナーであって、前記分散媒はキャリア液であることが望ましい(請求項15)。この構成によれば、本発明に係る抽出装置を、湿式の画像形成装置に適用することができる。
【0032】
本発明の他の局面に係る湿式画像形成装置は、上記の抽出装置を備えることを特徴とする(請求項16)。すなわち、画像形成装置であって、その周面にトナー像を担持する感光体ドラムと、トナーとキャリア液とを含む液体現像剤を前記感光体ドラムへ供給する現像部と、前記トナーと前記キャリア液との混合比が調整された液体現像剤を生成する現像剤生成部と、前記現像部で用いられる現像剤よりもトナー濃度が高い現像剤を前記現像剤生成部へ供給する第1供給系統と、前記キャリア液を前記現像剤生成部へ供給する第2供給系統と、前記現像剤生成部で生成された液体現像剤を、リザーブタンクを介して前記現像部へ供給する第3供給系統と、前記現像部に供給された液体現像剤であって、該現像部若しくは感光体ドラムにおいて消費されなかった液体現像剤を回収して前記現像剤生成部へ供給する回収系統と、前記回収系統に設けられ、回収された液体現像剤から前記トナーと前記キャリア液とを分離し、これらを抽出する上記抽出装置と、を備えることを特徴とする(請求項17)。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、第1ローラの周面に液体試料の薄層を形成させ、その薄層中の分散質が第1ローラの周面に電気的に吸着される構成を備えるので、分散質と分散媒とを高速で分離することが可能な抽出装置を提供できる。また、この抽出装置が適用された画像形成装置によれば、高速印刷処理に対応することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の第1実施形態に係るキャリア液抽出装置の構成を示す図である。
【図2】上記キャリア液抽出装置における帯電装置の作用を説明するための図である。
【図3】上記キャリア液抽出装置の動作を説明するための模式図である。
【図4】計量ローラの他の例を示す模式図である。
【図5】第2実施形態に係るキャリア液抽出装置の構成を示す図である。
【図6】第2実施形態における、帯電量の制御テーブルを示す表形式の図である。
【図7】第3実施形態に係るキャリア液抽出装置の構成を示す図である。
【図8】第4実施形態に係るキャリア液抽出装置の構成を示す図である。
【図9】トナー回収ローラ上に形成される液体現像剤の薄層の厚さ制御を説明するためのグラフである。
【図10】本発明の実施形態に係るカラープリンタの全体概略断面図である。
【図11】液体現像剤循環装置の部分を除いた、前記カラープリンタの概略断面図である。
【図12】画像形成部の一つを拡大して示す断面図である。
【図13】液体現像剤循環装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
[第1実施形態]
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態につき詳細に説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係るキャリア液抽出装置500(抽出装置)の構成を示す図である。このキャリア液抽出装置500は、液体現像剤(液体試料)を用いる湿式の画像形成装置に適用され、画像形成のために用いられた液体現像剤から、分散質としてのトナー固形分(以下、単に「トナー」又は「トナー粒子」という)と、分散媒としてのキャリア液とを分離し、キャリア液を回収して再利用に供するための装置である。キャリア液抽出装置500は、液槽510、計量ローラ520(第3ローラ)、トナー回収ローラ530(第1ローラ)、キャリア液回収ローラ540(第2ローラ)及び帯電装置550を含む。
【0036】
液槽510は、上方に開口した箱体であって、槽内には液体現像剤LDが貯留される。液槽510には現像剤供給管511が接続され、画像形成部において回収された液体現像剤LDが、逐次、図略のポンプの駆動によって現像剤供給管511を通して液槽510内へ供給される。この液槽510内には、液体現像剤LDを攪拌するための攪拌部材が備えられていることが望ましい。
【0037】
計量ローラ520は、液体現像剤LDに対する親液性に優れる金属で形成された円柱体からなり、その回転軸52Aの軸回りに、反時計方向に回転するローラである。本実施形態では、計量ローラ520として、材質がステンレス製で、周面52Sの表面粗さがJISの粗さ形状パラメータ(JIS B0601−1994)における最大高さRyが6.3のものが用いられている。計量ローラ520は、その下部が液槽510に貯留されている液体現像剤LD内に浸漬され、その上部が液槽510の開口から上方に突出する態様で、液槽510に対して組み付けられている。従って、計量ローラ520の周面52Sの一部は、液槽510内に適量の液体現像剤LDが貯留されている状態では、常に液体現像剤LDと接触する。
【0038】
計量ローラ520は、第1駆動部521により回転駆動される。第1駆動部521は、回転駆動力を発生するモータと、前記回転駆動力を計量ローラ520の回転軸52Aに伝達するギア機構とを含む。計量ローラ520が回転されると、液体現像剤LD内に浸漬された周面52Sが上方に移動するが、この周面52Sには表面張力により液体現像剤LDが付着した状態となる。従って、計量ローラ520が回転すると、周面52Sの液体現像剤LDに対する濡れ性に応じて、所定量の液体現像剤LDが液槽510から周面52Sに沿って汲み上げ搬送されることとなる。
【0039】
トナー回収ローラ530は、その周面53Sに液体現像剤の薄層TLを担持し、その回転軸53Aの軸回りに、時計方向に回転するローラである。本実施形態では、トナー回収ローラ530として、導電性の金属心材53Bの上に導電性ゴムからなる外層53Cが設けられた構造のローラが用いられている。前記導電性ゴムは、JIS−Aに硬度が30度、体積抵抗率が10Ω・cmのウレタンである。このウレタン外層53Cの表面には、トナーに離型性を促進するために、フッ素樹脂のコーティング層が施されている。
【0040】
トナー回収ローラ530の周面53Sに対して計量ローラ520の周面52Sが押圧状態で当接されることで、両ローラ520、530は第1ニップ部N1を形成している。トナー回収ローラ530の外周部には後述する帯電装置550が対向配置されているが、第1ニップ部N1の形成位置は、帯電装置550の配置位置よりもトナー回収ローラ530の回転方向上流側の位置である。
【0041】
トナー回収ローラ530は、第2駆動部531により回転駆動される。第2駆動部531は、回転駆動力を発生するモータと、前記回転駆動力をトナー回収ローラ530の回転軸53Aに伝達するギア機構とを含む。また、回転軸53Aには、第1電源532(電界形成手段)から電圧が印加される。回転軸53Aと、金属心材53B及び外層53Cとは導通状態とされており、第1電源532から回転軸53Aへの電圧印加によって、トナー回収ローラ530の周面53Sが帯電された状態となる。本実施形態では、第1電源532は、−400Vに電圧を回転軸53Aへ印加し、周面53Sを負電位に帯電させる。
【0042】
トナー回収ローラ530と、次述のキャリア液回収ローラ540との第2ニップ部N2よりも、トナー回収ローラ530の回転方向下流側の位置には、トナー回収ローラ530の周面53Sに吸着しているトナーを掻き落とす第1ブレード533が配置されている。第1ブレード533の先端は、トナー回収ローラ530の回転方向とカウンタ方向から、周面53Sに当接されている。第1ブレード533で回収されたトナーは、トナー回収容器534に回収され、トナー廃棄管路535を通して図略のトナー廃棄容器に導かれる。
【0043】
キャリア液回収ローラ540は、トナー回収ローラ530と押圧当接されて第2ニップ部N2を形成し、トナー回収ローラ530の周面53Sに担持された液体現像剤の薄層TLからキャリア液を分離し、その周面54Sに当該キャリア液を担持するローラである。本実施形態では、キャリア液回収ローラ540として、キャリア液に対する濡れ性が良好なステンレス製のローラが用いられている。
【0044】
キャリア液回収ローラ540は、第3駆動部541により、その回転軸54Aの軸回りに反時計方向に回転駆動される。第3駆動部541は、回転駆動力を発生するモータと、前記回転駆動力をキャリア液回収ローラ540の回転軸54Aに伝達するギア機構とを含む。また、回転軸54Aは、アース経路542に電気的に接続されており、これによりキャリア液回収ローラ540がアース電位とされている。従って、キャリア液回収ローラ540とトナー回収ローラ530との間には、前者の周面54Sがゼロ電位、後者の周面53Sが−400Vとなる電界が形成される。
【0045】
第2ニップ部N2よりも、キャリア液回収ローラ540の回転方向下流側の位置には、キャリア液回収ローラ540の周面54Sに担持されているキャリア液を掻き落とす第2ブレード543が配置されている。第2ブレード543の先端は、キャリア液回収ローラ540の回転方向とカウンタ方向から、周面54Sに当接されている。第2ブレード543で回収されたキャリア液は、キャリア液回収容器544に回収され、キャリア液回収管路545を通してキャリア液を再利用する機器(例えば図13に示すキャリアタンク274)に導かれる。
【0046】
帯電装置550は、トナー回収ローラ530に担持された液体現像剤の薄層TLに対して電圧を与え、薄層TLのトナーを帯電させる。帯電装置550は、チャージワイヤを備えたコロトロン方式の帯電装置であり、第2ニップ部N2よりもトナー回収ローラ530の回転方向上流側(第1ニップ部N1よりは下流側)において、トナー回収ローラ530の周面53Sに対向して配置されている。なお、帯電装置550は、スコロトロン方式の帯電装置、或いはローラ式帯電装置であっても良い。
【0047】
帯電装置550には、第2電源551から帯電用の電圧が与えられる。本実施形態では、第2電源551は、+4kVの正電位を前記チャージワイヤに供給する。これにより、薄層TL中のトナーは、+10V〜+60V程度の範囲で帯電されるようになる。既述の通り、トナー回収ローラ530の周面は−400Vの負電位で帯電されるので、正電位に帯電されたトナーは、トナー回収ローラ530の周面53Sに電気的に吸着するようになる。ここで、トナーの帯電電圧が+10V以下であると、周面53Sへの電気的な吸着力を充分に確保できない傾向があり、一方、+60Vを超過すると、周面53Sへのトナーの付着力が強くなりすぎ、第1ブレード533にて周面から掻き落とすことが困難になる傾向がある。
【0048】
続いて、キャリア液抽出装置500の動作について、図1に加え、図2及び図3も参照しながら説明する。キャリア液抽出装置500が運転されるとき、計量ローラ520、トナー回収ローラ530及びキャリア液回収ローラ540が、それぞれ、反時計方向、時計方向及び反時計方向に回転駆動される。各ローラの回転周速度は、例えば、計量ローラ520が1330mm/s、トナー回収ローラ530は1200mm/s、キャリア液回収ローラ540は1200mm/sにそれぞれ設定することができる。
【0049】
計量ローラ520の回転によって、液槽510内の液体現像剤LDが、その周面52Sに表面張力で付着して汲み上げられ、第1ニップ部N1へ搬送される。汲み上げられた液体現像剤LDが第1ニップ部N1を通過することで、トナー回収ローラ530の周面53Sには、液体現像剤LDの薄層TLが担持されるようになる。ここで、薄層TLは、4〜9ミクロン、特に6〜7ミクロン程度の厚さで、且つ均一な厚さの層であることが望ましい。
【0050】
上記の望ましい薄層TLの形成には、図3(A)に示す、第1ニップ部N1のニップ深さD1と、計量ローラ520とトナー回収ローラ530との回転周速度差とが、他の要因に比べて比較的大きな影響を与える。6〜7ミクロン程度の厚さの薄層TLを形成するためのニップ深さD1は、例えば0.1mmである。また、図3(B)に示すように、厚さムラの有る薄層TL1ではなく、図3(C)に示すように、厚さムラが実質的に無い薄層TL2を形成するためには、計量ローラ520の回転周速度と、カウンタ回転するトナー回収ローラ530の回転周速度との比を、1:0.9程度に設定し、計量ローラ520を比較的早く回転させることが望ましい。上掲の両ローラの回転周速度は、この比に基づいて設定されたものであり、第1駆動部521及び第2駆動部531(第1駆動手段)は、かかる設定に応じて計量ローラ520及びトナー回収ローラ530を回転駆動させる。
【0051】
その厚さが厚すぎる薄層TLや、図3(B)に示すような厚さムラの有る薄層TL1は、帯電装置550によるトナーの最適な帯電を阻害し得る。また、そのような薄層TL又はTL1は、その一部が第2ニップ部N2を通過できなくなる不具合が発生し得る。この不具合が発生すると、図3(A)に示すように、第2ニップ部N2の直上流位置に液溜まりB(ビルドアップ)が生成される。液溜まりBが成長すると、次第に滴下するようになり、周辺を汚染するという問題を惹起する。
【0052】
トナー回収ローラ530の周面53Sに形成された薄層TLは、トナー回収ローラ530の時計方向の回転によって、帯電装置550の配置位置まで搬送される。帯電装置550は、上述の通り、第2電源551から電気エネルギの供給を受け、+4kVの電圧をトナー回収ローラ530の周面53Sに存在する薄層TLに印加する。一方で、第1電源532により、トナー回収ローラ530の回転軸53Aには−400Vの電圧が印加され、周面53Sは負電位に帯電されている。
【0053】
図2を参照して、帯電装置550を通過する前の薄層TL中では、トナー粒子Tが不規則に浮遊している。一方、薄層TLが帯電装置550の配置位置を通過するとき、薄層TLには帯電装置550には電圧Eが印加されるため、薄層TL中のトナー粒子Tは、正電位(+10V〜+60V程度)に帯電される。この結果、帯電装置550を通過した後の薄層TL中では、トナー粒子Tが、負電位に帯電されているトナー回収ローラ530の周面53Sに電気的に強く付着されることとなる。従って、トナー粒子Tが周面53Sの直上に、キャリア液Cがその外周に位置する層構造が形成されるようになる。
【0054】
その後、薄層TLは、第2ニップ部N2へ向かう。上述の通り、キャリア液回収ローラ540はアース電位とされていることから、トナー粒子Tは、キャリア液回収ローラ540の周面54Sには乗り移らず、トナー回収ローラ530の周面53Sに電気的に吸着された状態を維持したまま第2ニップ部N2を通過する。一方、周面54Sがキャリア液Cに対する濡れ性が良好とされていることから、キャリア液Cは周面54Sに付着するようになる。結果として、第2ニップ部N2を通過した後は、トナー粒子Tがトナー回収ローラ530の周面53Sに沿って、またキャリア液Cがャリア液回収ローラ540の周面54Sに沿って、それぞれ搬送されることとなる。
【0055】
周面53S上のトナー粒子Tは、第1ブレード533(図1)で掻き落とされ、トナー回収容器534に回収される。なお、第2ニップ部N2においてトナー粒子Tとキャリア液Cとが完全分離されるわけではなく、トナー回収容器534に回収される回収物には、若干のキャリア液Cも含まれている。また、周面54S上のキャリア液Cは、第2ブレード543(図1)で掻き落とされ、キャリア液回収容器544に回収される。
【0056】
以上説明した第1実施形態に係るキャリア液抽出装置500によれば、液体現像剤LDの薄層TLがトナー回収ローラ530の周面53Sに担持され、この薄層TLが帯電装置550で帯電されることによって、薄層TL中のトナー粒子Tが周面53Sに電気的に吸着される。これにより、薄層TL中においてトナー粒子Tをトナー回収ローラ530の周面53Sの直上に偏在させることができ、キャリア液回収ローラ540によってキャリア液Cを容易に分離させることができる。従って、高速でトナー粒子Tとキャリア液Cとを分離することができる。
【0057】
ここで、計量ローラ520の変形実施形態を例示する。図4は、変形実施形態に係る計量ローラ520Aを模式的に示す図である。この計量ローラ520Aは、その周面に凸部522と凹部523とを有するアニックスローラである。計量ローラ520Aの周面には、ドクターブレード524(計量手段)が当接されている。ドクターブレード524は、計量ローラ520Aの周面に保持される液体現像剤の量を制限するもので、計量ローラ520Aの周面に不規則に付着した液体現像剤LD1が、凹部523内だけに液体現像剤LD2が担持されるように規制する。このような計量ローラ520Aによれば、凹部523の容積に応じて、液槽510から汲み上げる液体現像剤LDの量を正確に制御することが可能となる。
【0058】
[第2実施形態]
図5は、第2実施形態に係るキャリア液抽出装置500Aの構成を示す図である。図5において、第1実施形態のキャリア液抽出装置500と同一部分には同一符号を付しており、これらの部分については説明を省略乃至は簡略化する。また、第2実施形態において関与の薄い一部の構成については、図示を省略している。
【0059】
キャリア液抽出装置500Aは、液槽510、計量ローラ520、トナー回収ローラ530、キャリア液回収ローラ540及び帯電装置550を基本構成として含む点で、第1実施形態のキャリア液抽出装置500と同一である。キャリア液抽出装置500Aは、さらに、液槽510内に貯留された液体現像剤LD中のトナー濃度を検知するトナー濃度センサ512(濃度検知手段)と、帯電装置550に電圧を供給する第2電源551を、前記トナー濃度に応じて制御する帯電電圧制御部552(帯電調整手段/濃度推定手段)とを備える点において、キャリア液抽出装置500と相違する。
【0060】
トナー濃度センサ512は、例えば光透過型のセンサであって、液体現像剤LD中におけるトナー粒子の濃淡によって光透過量が変化することを利用したセンサである。トナー濃度センサ512は液槽510内に配置され、そのセンサプローブ部が液体現像剤LDと接触可能な位置に配置されている。トナー濃度センサ512の、トナー粒子の濃淡に応じた出力データは、トナー濃度データとして帯電電圧制御部552に与えられる。
【0061】
帯電電圧制御部552は、トナー濃度センサ512から与えられるトナー濃度データに応じて、第2電源551の出力電圧を制御することで、薄層TL中のトナーの帯電量を調整する。最もシンプルな調整では、帯電電圧制御部552は、トナー濃度センサ512が液体現像剤LD中のトナー濃度が通常濃度(第1濃度)であることを検出したとき、所定の第1帯電量でトナーを帯電させるために、第2電源551の出力電圧を所定の第1電圧に設定する。そして、トナー濃度が通常濃度よりも所定値以上濃い高濃度(第2濃度)であることが検出されたとき、前記第1帯電量よりも所定量だけ高い第2帯電量でトナーを帯電させるために、前記第1電圧よりも所定値だけ高い第2電圧に第2電源551の出力電圧を設定する。
【0062】
湿式の画像形成部から回収される液体現像剤におけるトナー濃度は、例えば、5%程度である。このようなトナー濃度の液体現像剤であれば、計量ローラ520及びトナー回収ローラ530の回転周速度、並びに第1ニップ部N1のニップ深さD1を第1実施形態の通りに設定することで、6〜7ミクロン程度の厚さの薄層TLをトナー回収ローラ530の周面53Sに形成することができる。しかしながら、トナー濃度は何らかの原因で濃くなることがある。例えば、紙詰まり等の発生により感光体ドラムに担持されたトナー像が、用紙に転写されずに回収される状態が続いたとき、或いは、メンテナンス等の際に感光体ドラムにトナーを意図的にベタ塗りして回収させた場合に、回収液体現像剤のトナー濃度は上昇する。例えばトナー濃度が30%程度に濃くなると、液体現像剤の粘度が高くなる結果、同じ回転周速度及びニップ深さD1であると、薄層TLの厚さが厚くなる傾向が出る。薄層TLが厚肉化すると、薄層TL中のトナー粒子の帯電が不十分となり、図2に示したようなトナー粒子Tとキャリア液Cとの明確な層分離が実現し難くなる。
【0063】
この点に鑑み、帯電電圧制御部552は、液槽510中の液体現像剤LDのトナー濃度が濃くなるほど、第2電源551の出力電圧を高くし、薄層TL(トナー粒子T)の帯電量が最適化されるような制御を行う。これにより、トナー粒子Tのトナー回収ローラ530の周面53Sに対する電気的な吸着力が確保されるので、分散質が高濃度化し薄層TLが厚肉化した場合でも、トナー粒子Tとキャリア液Cとの分離を良好に行わせることができる。
【0064】
図6は、薄層TLの帯電量の制御テーブルの一例を示す表形式の図である。この例では、トナー濃度を3つのレベルに分けて帯電量の制御を行っている。トナー濃度が通常濃度の5%レベル(0〜15%濃度)であるとき、帯電電圧制御部552は、第2電源551が帯電装置550のチャージワイヤに与える電圧を+4kVとし、薄層TLの帯電量を+10V〜+60Vとする。これは、第1実施形態と同じ設定値である。
【0065】
トナー濃度が中濃度の15%レベル(15%〜30%濃度)であるとき、帯電電圧制御部552は、第2電源551の出力電圧を+5kVに上昇し、薄層TLの帯電量を+20V〜+50Vの範囲とする。このように、出力電圧の上昇に伴い帯電量の下限レベルが底上げされることで、トナー粒子Tの周面53Sに対する電気的な吸着の確実性を担保することができる。さらに、トナー濃度が高濃度の30%レベル(30%以上の濃度)であるとき、帯電電圧制御部552は、第2電源551の出力電圧を+6kVに上昇し、薄層TLの帯電量を+100V〜+150Vの範囲とする。これにより、トナー粒子Tの周面53Sに対する電気的な吸着力は向上し、薄層TLが厚肉化した場合でも確実に周面53Sへ吸着させることができる。
【0066】
ところで、回収される液体現像剤LD中におけるトナー濃度は、画像形成装置の動作実績から推定することができる。この点に鑑み本実施形態では、帯電電圧制御部552は、画像形成エンジン513から当該湿式画像形成装置の運転データを取得し、トナー濃度を推定して、第2電源551の出力電圧を制御することが可能とされている。すなわち、トナー濃度センサ512で濃度データを実測せずとも、画像形成エンジン513から取得する運転データに基づいて、上記と同様な帯電量の制御を実行可能とされている。
【0067】
画像形成エンジン513には、図略の運転データメモリが具備され、このメモリには、トナー像を形成した画像ドット数データや、ジャム実績、メンテナンスモードの実行実績のデータ等を含む運転データが記憶されている。帯電電圧制御部552は、このような運転データを取得し、例えば、紙詰まり等の発生により、感光体ドラムに一旦担持されたものの用紙に転写されずに回収されたトナー像の印字率や発生頻度から、或いはメンテナンスモードの実行頻度から、回収液体現像剤LD中のトナー濃度を推定する。そして、帯電電圧制御部552は、この推定濃度データに基づいて、例えば図6に示す帯電量の制御テーブルに従って、第2電源551の出力電圧を制御する。
【0068】
第2実施形態において、帯電電圧制御部552は、トナー濃度センサ512からの濃度データ及び画像形成エンジン513からの運転データの双方を利用しても良いし、いずれか一方のみのデータに基づいてトナー濃度値を取得するようにしても良い。例えば、通常は濃度データを用いるようにし、トナー濃度センサ512が故障した際に運転データを活用するシーケンスとすることは、好ましい実施形態の一つである。
【0069】
[第3実施形態]
図7は、第3実施形態に係るキャリア液抽出装置500Bの構成を示す図である。図7において、第1、第2実施形態のキャリア液抽出装置500、500Aと同一部分には同一符号を付しており、これらの部分については説明を省略乃至は簡略化する。また、第3実施形態において関与の薄い一部の構成については、図示を省略している。
【0070】
キャリア液抽出装置500Bは、液槽510、計量ローラ520、トナー回収ローラ530、キャリア液回収ローラ540及び帯電装置550を基本構成として含み、各ローラ520、530、540を回転駆動させる第1、第2、第3駆動部521、531、541を備える点で、第1実施形態のキャリア液抽出装置500と同一である。さらに、キャリア液抽出装置500Bは、液槽510内に貯留された液体現像剤LD中のトナー濃度を検知するトナー濃度センサ512を備える点で、第2実施形態のキャリア液抽出装置500Aと同一である。一方、トナー回収ローラ530の周面53S上に担持される薄層TLの厚さを調整するために、第1、第2、第3駆動部521、531、541による各ローラ520、530、540の回転駆動を制御する駆動制御部514(厚さ調整手段/第2駆動手段/第3駆動手段)を備える点において、先の実施形態とは相違する。
【0071】
第2実施形態では、液体現像剤LD中におけるトナー濃度が濃くなるに連れて、つまり液体現像剤LDの高粘度化に従い薄層TLが厚肉化するに連れて、第2電源551が帯電装置550に与える出力電圧を高くする例を示した。この第3実施形態では、各ローラ520、530、540の回転周速度をトナー濃度に基づいて制御することで、薄層TLの厚さを積極的に調整する例を示す。
【0072】
駆動制御部514は、基本的に、トナー濃度センサ512が液体現像剤LD中のトナー濃度が通常濃度(第1濃度)であることを検出したとき、薄層TLを通常厚さ(第1厚さ)でトナー回収ローラ530の周面53S上に形成させ、一方、トナー濃度が通常よりも所定値以上濃い高濃度(第2濃度)であることが検出されたとき、前記通常厚さよりも所定値以上だけ薄い厚さ(第2厚さ)で、薄層TLを周面53S上に形成させる制御を行う。このような制御を実現する具体例として、ここでは(1)全ローラの回転周速度の低速化、及び、(2)計量ローラの回転周速度の高速化を例示する。
【0073】
(1)全ローラの回転周速度の低速化
図9(A)は、キャリア液抽出装置500B全体の線速と、トナー回収ローラ530の周面53S上に形成される薄層TLの厚さとの関係を示すグラフである。ここで、全体の線速は、各ローラ520、530、540の回転周速度で決定される。グラフに示されているように、回転周速度が低下すると、薄層TLの厚さは薄くなる。これは、計量ローラ520及びトナー回収ローラ530の回転周速度の低下に伴い、第1ニップ部NIを通過できる液体現像剤LDの量が減少することによる。
【0074】
駆動制御部514は、トナー濃度センサ512が、トナー濃度が通常濃度(例えば5%)であることを検出しているとき、第1実施形態と同様に、計量ローラ520の回転周速度が1330mm/s、トナー回収ローラ530が1200mm/s、キャリア液回収ローラ540が1200mm/sとなるように、第1、第2、第3駆動部521、531、541を制御する。なお、第1ニップ部NIのニップ深さは0.1mmである。このとき、薄層TLの厚さは、6〜7ミクロン程度である。
【0075】
一方、駆動制御部514は、トナー濃度センサ512が、トナー濃度が高濃度(例えば30%)であることを検出したとき、計量ローラ520の回転周速度が555mm/s、トナー回収ローラ530が500mm/s、キャリア液回収ローラ540が500mm/sとなるように、第1、第2、第3駆動部521、531、541を制御する。これにより、薄層TLの厚さは、4〜5ミクロン程度に減少する。この結果、帯電装置550の発生電圧が一定である状態の下で、トナー濃度が高濃度化しても、薄層TL中のトナーを充分に帯電させることが可能となる。
【0076】
(2)計量ローラの回転周速度の高速化
図9(B)は、計量ローラ520とトナー回収ローラ530との回転速度比と、薄層TLの厚さとの関係を示すグラフである。計量ローラ520の回転周速度をF1、トナー回収ローラ530の回転周速度をF2とするとき、グラフに示されているように、F2/F1の値が小さくなると、薄層TLの厚さは薄くなる。これは、計量ローラ520の回転周速度を高速度にし、トナー回収ローラ530の計量ローラ520に対する回転周速度を相対的に小さくすることで、第1ニップ部NIを通過できる液体現像剤LDの量が減少することによる。
【0077】
駆動制御部514は、トナー濃度センサ512が、トナー濃度が通常濃度(例えば5%)であることを検出しているとき、第1実施形態と同様に、計量ローラ520の回転周速度が1330mm/s、トナー回収ローラ530が1200mm/s、キャリア液回収ローラ540が1200mm/sとなるように、第1、第2、第3駆動部521、531、541を制御する。つまり、計量ローラ520の回転周速度と、カウンタ回転するトナー回収ローラ530の回転周速度との比を、1:0.9程度とする。なお、第1ニップ部NIのニップ深さは0.1mmである。このとき、薄層TLの厚さは、6〜7ミクロン程度である。
【0078】
一方、駆動制御部514は、トナー濃度センサ512が、トナー濃度が高濃度(例えば30%)であることを検出したとき、計量ローラ520の回転周速度が1600mm/sに増速し、トナー回収ローラ530及びキャリア液回収ローラ540が1200mm/sを維持するように、第1、第2、第3駆動部521、531、541を制御する。つまり、計量ローラ520の回転周速度と、トナー回収ローラ530の回転周速度との比を、1:0.75とする。これにより、薄層TLの厚さは、4〜5ミクロン程度に減少する。この結果、帯電装置550の発生電圧が一定である状態の下で、トナー濃度が高濃度化しても、薄層TL中のトナーを充分に帯電させることが可能となる。
【0079】
[第4実施形態]
図8は、第4実施形態に係るキャリア液抽出装置500Cの構成を示す図である。このキャリア液抽出装置500Cは、第3実施形態と同様に、トナー濃度に応じて薄層TLの厚さを積極的に調整する実施形態であるが、その調整手法として第1ニップ部N1のニップ深さを調整する構成を採用する点で相違する。一部の図示を省いているが、その他の構成は、先の実施形態と同様である。
【0080】
キャリア液抽出装置500Cは、計量ローラ520とトナー回収ローラ530とで形成される第1ニップ部N1のニップ深さを調整するカム機構525(ニップ調整手段)と、このカム機構525の動作を、トナー濃度センサ512が検出するトナー濃度に基づいて制御するカム制御部526とを含む。カム機構525は、計量ローラ520の回転軸52Aと係合するカム部材を有し、当該カム部材の回転によって、計量ローラ520のトナー回収ローラ530に対する押圧度合い、つまりニップ深さを調整する。
【0081】
図9(C)は、第1ニップ部N1のニップ深さと薄層TLの厚さとの関係を示すグラフである。グラフに示されているように、ニップ深さが大きくなると、薄層TLの厚さは薄くなる。これは、第1ニップ部N1のニップ深さが深くなることで、第1ニップ部NIを通過できる液体現像剤LDの量が減少することによる。
【0082】
カム制御部526は、トナー濃度センサ512が、トナー濃度が通常濃度(例えば5%)であることを検出しているとき、第1実施形態と同様に、第1ニップ部NIのニップ深さが0.1mmとなるよう、カム機構525を制御する。なお、計量ローラ520の回転周速度は1330mm/s、トナー回収ローラ530は1200mm/s、キャリア液回収ローラ540は1200mm/sである。このとき、薄層TLの厚さは、6〜7ミクロン程度である。
【0083】
一方、カム制御部526は、トナー濃度センサ512が、トナー濃度が高濃度(例えば30%)であることを検出したとき、第1ニップ部NIのニップ深さが0.2mmとなるよう、カム機構525を制御する。なお、各ローラ520、530、540の回転周速度は上記の値に維持される。これにより、薄層TLの厚さは、4〜5ミクロン程度に減少する。この結果、帯電装置550の発生電圧が一定である状態の下で、トナー濃度が高濃度化しても、薄層TL中のトナーを充分に帯電させることが可能となる。
【0084】
[画像形成装置としての実施形態]
図10は、上述の第1〜第4実施形態のキャリア液抽出装置500、500A〜500Cが組み込まれたカラープリンタ1(湿式画像形成装置)の概略構成図、図11は、液体現像剤循環装置の部分を除いたカラープリンタ1の概略断面図、図12は、画像形成部の一つを拡大して示す断面図である。なお、図10乃至図12に示される画像形成装置はカラープリンタであるが、コピー機、ファクシミリ装置、これらの機能を含む複合機(MFP)や、シート上に画像を形成することができる他の装置とすることもできる。
【0085】
図10に示される如く、カラープリンタ1は、画像形成のための様々なユニットや部品が収納される上側本体部1Aと、この上側本体部1Aの下部に配置され、各色用の液体現像剤循環装置LY、LM、LC、LBが収納される下側本体部1Bとから構成されている。ここでは、上側本体部1Aと下側本体部1Bとを結ぶ配管類は図示を省略している。
【0086】
図11に示すように、上側本体部1Aには、画像データに基づいてトナー画像を形成するタンデム式の画像形成部2と、用紙を収容する用紙収納部3と、画像形成部2で形成されたトナー画像を用紙上に転写する二次転写部4と、転写されたトナー画像を用紙上に定着させる定着部5と、定着の完了した用紙を排紙する排出部6と、用紙収納部3から排出部6まで用紙を搬送する用紙搬送部7とが含まれている。
【0087】
画像形成部2は、中間転写ベルト21と、中間転写ベルト21のクリーニング部22と、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)の各色にそれぞれ対応した画像形成ユニットFY、FM、FC、及びFBとを備える。
【0088】
中間転写ベルト21は、導電性を有し、使用可能な用紙搬送方向に直角な方向の長さが最大の用紙より幅広であって、無端状、すなわちループ状のベルト状部材であり、図10、図11において時計回りに循環駆動される。中間転写ベルト21の循環駆動において外側を向く面を以下、表面と称し、他方の面を裏面と称する。
【0089】
画像形成ユニットFY、FM、FC、及びFBは、中間転写ベルト21の近傍に4つ並べて中間転写ベルト21のクリーニング部22と二次転写部4との間に配置される。なお、各画像形成ユニットFY、FM、FC、FBの配置の順番はこの限りではないが、各色の混色による完成画像への影響を配慮すると、この配置が好ましい。
【0090】
画像形成ユニットFY、FM、FC、及びFBは、感光体ドラム10と、帯電器11と、LED露光装置12と、現像装置14と、一次転写ローラ20と、クリーニング装置26と、除電装置13と、キャリア液除去ローラ30とを備える。また、画像形成ユニットのうち、最も二次転写部4に近い位置に位置する画像形成ユニットFBには、キャリア液除去ローラ30が設けられていないが、その他の構成は同一である。
【0091】
各画像形成ユニットFY、FM、FC、FBに対応して、それぞれ液体現像剤循環装置LY、LM、LC、LBが設けられ、各色の液体現像剤の供給、並びに回収が行われるようになっている。液体現像剤循環装置LY、LM、LC、LBについては後に詳述する。
【0092】
感光体ドラム10は、円柱状の部材であって、その表面に帯電(本実施形態ではプラス極性に帯電)したトナーを含むトナー像を担持可能である。感光体ドラム10は、図10、図11において反時計回りに回転可能な部材である。帯電器11は、感光体ドラム10の表面を一様に帯電させることができる機器である。露光装置12は、LED等の光源を有し、外部の機器から入力される画像データに応じて、一様に帯電した感光体ドラム10の表面に光を照射する。これにより、感光体ドラム10の表面には、静電潜像が形成される。
【0093】
現像装置14は、トナー(分散質)及び液体のキャリア(分散媒)を含む液体現像剤(液体試料)を、感光体ドラム10表面の静電潜像に対向するように保持することで、静電潜像にトナーを付着させる。これにより、静電潜像はトナー像として現像される。
【0094】
図12を参照して、現像装置14は、現像容器140、現像ローラ141、供給ローラ142、支持ローラ143、供給ローラブレード144、現像クリーニングブレード145、現像剤回収装置146及び現像ローラ帯電器147を含む。
【0095】
現像容器140は、内部にトナー粒子と液体のキャリアからなる液体現像剤の供給を受ける容器である。後述するが、この液体現像剤は、トナーとキャリアとの濃度調整が予め行われた状態で、供給ノズル278から現像容器140内へ供給される。なお、液体現像剤は、供給ローラ142と支持ローラ143とのニップ部へ向けて供給され、その余剰分は支持ローラ143の下方へ落下し、現像容器140の底部において貯留される。貯留された液体現像剤は、パイプ82を通して液体現像剤循環装置で回収される(図13参照)。
【0096】
支持ローラ143は現像容器140の略中央に配置され、下方から支える態様で供給ローラ142に当接されてニップ部を形成する。供給ローラ142は、支持ローラ143の直上ではなく、供給ノズル278から離れる方向の斜め上に配置され、その周面には液体現像剤を保持するための溝が設けられている。図中に点線矢印で示すように、支持ローラ143は反時計方向に、供給ローラ142は時計方向に回転する。
【0097】
供給ノズル278から供給される液体現像剤は、前記ニップ部の回転方向上流側で一時的に滞留され、両ローラ142、143の回転に伴って、供給ローラ142の前記溝に保持された状態で上方へ運ばれる。供給ローラブレード144は、供給ローラ142の周面に圧接され、供給ローラ142に保持される液体現像剤の量が所定量になるように規制する。供給ローラブレード144により掻き落とされた余剰の液体現像剤は、現像容器140の底部で受け取られる。
【0098】
現像ローラ141は、現像容器140の上部開口部に、供給ローラ142と接するように配置されている。現像ローラ141は供給ローラ142と同方向に回転され(現像ローラ141と供給ローラ142とが当接するニップ部では、現像ローラ141の表面は供給ローラ142の表面と逆方向に移動する)、これにより現像ローラ141の周面には、供給ローラ142の周面に保持された液体現像剤が受け渡される。供給ローラ142の液体現像剤の層厚が所定値に規制されているので、現像ローラ141の表面に形成される液体現像剤層の層厚も所定値に保たれる。
【0099】
現像ローラ帯電器147は、トナーの帯電極性と同極性の帯電電位を与えることで、現像ローラ141に担持された現像剤層中のトナーを現像ローラ141の表面側に移動させ、現像効率を向上させる作用を果たすものである。現像ローラ帯電器147は、現像ローラ141の、供給ローラ142との接触部の回転方向下流側であって、感光体ドラム10との接触部の上流側において、現像ローラ141の周面に対向するように設けられている。
【0100】
現像ローラ141は感光体ドラム10と接している。感光体ドラム10の表面の静電潜像の電位と現像ローラ141に印加される現像バイアスとの電位差によって、形成指示された画像データに応じたトナー像が、感光体ドラム10表面に形成される。
【0101】
現像クリーニングブレード145は、現像ローラ141の感光体ドラム10との接触部の回転方向下流側に接触するように配置され、感光体ドラム10への現像動作を終えた現像ローラ141の表面の液体現像剤を除去する。
【0102】
現像剤回収装置146は、現像クリーニングブレード145で除去された液体現像剤を回収して、液体現像剤循環装置のパイプ81へ該液体現像剤を送り出す。液体現像剤は現像クリーニングブレード145の表面に沿って流下するが、液体現像剤の粘度が高いことから、現像剤回収装置146には液体現像剤の送り出しを補助する送り出しローラが備えられている。
【0103】
一次転写ローラ20は、中間転写ベルト21の裏面に、感光体ドラム10と対向して配置されている。一次転写ローラ20には、図示しない電源からトナー像中のトナーとは逆極性(本実施形態ではマイナス)の電圧を印加される。つまり、一次転写ローラ20は、中間転写ベルト21と接触している位置で、中間転写ベルト21にトナーと逆極性の電圧を印加する。中間転写ベルト21は導電性を有するので、この印加電圧によって、中間転写ベルト21の表面側及びその周辺にトナーが引き付けられる。中間転写ベルト21は、トナー像を担持して、シートまで搬送する像担持体として機能する。
【0104】
クリーニング装置26は、感光体ドラム10から中間転写ベルト21に転写されずに残留した液体現像剤をクリーニングするための装置であって、残留現像剤搬送スクリュー261と、クリーニングブレード262とを備えている。残留現像剤搬送スクリュー261は、クリーニングブレード262によって掻き取られ、クリーニング装置26内に収納された残留現像剤をクリーニング装置の外部に搬送するための部材であって、クリーニング装置26内に配置されている。
【0105】
クリーニングブレード262は、感光体ドラム10の表面に残留した液体現像剤を掻き取るための部材であって、感光体ドラム10の回転軸方向に延びる板状の部材である。クリーニングブレード262は、その端部が感光体ドラム10の表面に摺接しており、感光体ドラム10の回転に伴って感光体ドラム10上に残留した液体現像剤を掻き取る。
【0106】
除電装置13は、除電用の光源を有し、次の周回による画像形成に備えて、クリーニングブレード262による液体現像剤除去後、感光体ドラム10の表面を光源からの光によって除電する。
【0107】
キャリア液除去ローラ30は、感光体ドラム10の回転軸と平行な回転軸を中心として感光体ドラム10と同方向に回転可能な略円柱状の部材である。キャリア液除去ローラ30は、感光体ドラム10と中間転写ベルト21とが接触する位置よりも二次転写部4が配置されている側に配置されており、中間転写ベルト21の表面からキャリア液を除去する部材である。
【0108】
図11に戻って、用紙収納部3は、トナー像を定着させる用紙を収納する部分であって、上側本体部1Aの下部に配置されている。また、用紙収納部3は、用紙を収納している給紙カセットを有している。
【0109】
二次転写部4は、中間転写ベルト21上に形成されたトナー像を用紙に転写する部分であって、中間転写ベルト21を支持する支持ローラ41と、支持ローラに対向して配置された二次転写ローラ42とを有している。
【0110】
定着部5は、用紙にトナー像を定着させる部分であって、二次転写部4の上側に配置されている。また、定着部5は、加熱ローラ51と、加熱ローラ51に対向して配置された加圧ローラ52とを有している。
【0111】
排出部6は、定着部5でトナー像が定着された用紙が排出される部分であって、カラープリンタ1の上部に配置されている。用紙搬送部7は、複数の搬送ローラ対を備え、用紙収納部3から二次転写部4や定着部5、排出部6に用紙を搬送する。
【0112】
図13は、一つの液体現像剤循環装置LYの全体の概略を示すブロック図である。他の液体現像剤循環装置LM、LC、LBも同じ構成である。この液体現像剤循環装置LYは、感光体ドラム10へ液体現像剤を供給した後に現像クリーニングブレード145によって現像ローラ141の表面から掻き取られた残留現像剤(トナーとキャリア液との混合物)を循環させ再利用するための装置である。
【0113】
液体現像剤循環装置LYは、残留現像剤タンク271、現像剤収容容器272、固形分濃度検出装置273、キャリアタンク274、トナータンク275、攪拌装置276、現像剤リザーブタンク277、液体現像剤供給装置278、液体現像剤分離装置28(抽出装置)、複数のポンプP1〜P12及び制御部560を備えている。ここで、液体現像剤分離装置28として、上掲の第1〜第4実施形態のキャリア液抽出装置500、500A〜500Cのいずれかが適用される。
【0114】
残留現像剤タンク271は、現像装置14に第1パイプ81及び第2パイプ82を介して接続され、現像装置14側から回収された液体現像剤を収容可能なタンクである。第1パイプ81及び第2パイプ82の途中には、それぞれ第1ポンプP1及び第5ポンプP5が取り付けられている。
【0115】
感光体ドラム10へトナーを供給した後に、現像クリーニングブレード145によって現像ローラ141の表面から掻き取られた液体現像剤は、第1ポンプP1の駆動により第1パイプ81を通して残留現像剤タンク271に送られる。また、現像容器140内において供給ローラ142から現像ローラ141へ供給されずに現像容器140にて貯留された液体現像剤は、第5ポンプP5の駆動により第2パイプ82を通して残留現像剤タンク271に送られる。
【0116】
現像剤収容容器272は、残留現像剤タンク271と接続されている。現像剤収容容器272は、残留現像剤に現像装置14で用いられる現像剤よりもトナー濃度が高い現像剤、あるいはキャリア液を加えることで、トナー濃度を適正範囲に調整すると共に、残留現像剤のトナー濃度を適正範囲に調整するものである。このトナー濃度が調整された液体現像剤は、現像装置14に補給される。現像剤収容容器272は残留現像剤タンク271と第3パイプ83を介して接続されており、この第3パイプ83には第2ポンプP2が取り付けられている。残留現像剤タンク271内の液体現像剤は、第2ポンプP2の駆動により第3パイプ83を通して現像剤収容容器272に送られる。
【0117】
固形分濃度検出装置273は、現像剤収容容器272内の液体現像剤のトナーの濃度を検出するための装置である。現像剤収容容器272に接続されている環状の第4パイプ84に、固形分濃度検出装置273が接続されている。この環状の第4パイプ84には第4ポンプP4が取り付けられている。現像剤収容容器272内の液体現像剤は、第4ポンプP4の駆動により第4パイプ84の入口端から固形分濃度検出装置273へ導かれ、その後、第4パイプ84の出口端から現像剤収容容器272に戻される。
【0118】
キャリアタンク274は、キャリア液を収納するタンクである。固形分濃度検出装置273により、現像剤収容容器272内のトナーの濃度が適正範囲よりも高いと判定された場合に、キャリアタンク274から現像剤収容容器272内にキャリア液が供給され、容器272内の液体現像剤のトナー濃度が下げられる。キャリアタンク274と現像剤収容容器272とは第5パイプ85で接続されており、前記キャリア液の供給は、第5パイプ85の途中に設けられた第3ポンプP3の駆動によって実行される。
【0119】
トナータンク275は、現像装置14で用いられる現像剤よりもトナー濃度が高い液体現像剤を収納するタンクである。固形分濃度検出装置273により、現像剤収容容器272内のトナーの濃度が適正範囲よりも低いと判定された場合に、トナータンク275から現像剤収容容器272内にトナー濃度が高い液体現像剤が供給され、容器272内の液体現像剤のトナー濃度が上げられる。トナータンク275と現像剤収容容器272とは第6パイプ86で接続されており、前記液体現像剤の供給は、第6パイプ86の途中に設けられた第8ポンプP8の駆動によって実行される。
【0120】
攪拌装置276は、現像剤収容容器272内の液体現像剤を攪拌するための部材である。この攪拌の目的は、濃度調整のために現像剤収容容器272内へ導入されたトナー又はキャリア液が、現像剤収容容器272内の既存の液体現像剤と均一に混ざるようにするため、また、現像剤収容容器272内に収容されている液体現像剤において凝集することがあるトナーを再分散させることである。攪拌装置276は、回転軸と、この回転軸の先端に取り付けられた攪拌羽根とを含む。前記回転軸には液面検知部材276aが同軸で組み付けられている。この液面検知部材276aは図略のモータで駆動され、液面検知部材276aが、液体現像剤の液面と接触することに伴う前記モータの負荷変化に基づいて、液体現像剤量が検出される。
【0121】
現像剤リザーブタンク277は、現像装置14に補給する液体現像剤を収納するタンクである。現像剤リザーブタンク277は、現像剤収容容器272と第7パイプ871で接続されており、第7パイプ871の途中に設けられた第6ポンプP6の駆動によって、現像剤収容容器272から液体現像剤の供給を受ける。さらに現像剤リザーブタンク277は、キャリアタンク274と第1直結管路910で、また、トナータンク275と第2直結管路920でそれぞれ接続されている。第1、第2直結管路910、920には第11ポンプP11、第12ポンプP12がそれぞれ配置され、各タンクからキャリア及びトナーを直接的に現像剤リザーブタンク277へ供給可能とされている。これら第1、第2直結管路910、920からのキャリア及びトナー供給系統は、未だ回収液体現像剤が発生していないカラープリンタ1の使用開始時等に、既知の配合比に従って速やかに液体現像剤を生成する場合に活用される。
【0122】
供給ノズル278は、現像剤リザーブタンク277に貯留された液体現像剤を、現像装置14(現像容器140)へ供給するための部材である。供給ノズル278と現像剤リザーブタンク277とは第8パイプ872で接続されており、前記液体現像剤の供給は、第8パイプ872に取り付けられた第7ポンプP7の駆動によって実行される。
キャリアタンク274から現像剤リザーブタンク277へ延びる直結管路910とトナータンク275から現像剤リザーブタンク277へ延びる直結管路920とを備える。これら直結管路910,920は、循環が行なわれる前に、所定量のキャリア及びトナーを現像剤リザーブタンク277に供給するために用いられる。これにより、現像工程を素早く開始させることが可能となる。
【0123】
なお、図示は省略しているが、残留現像剤タンク271、キャリアタンク274、トナータンク275及び現像剤リザーブタンク277の適所には、これらタンク内の液面高さを検知するための液面検出装置が備えられている。
【0124】
液体現像剤分離装置28は、クリーニング装置26で回収された残留現像剤からトナーとキャリア液とを分離し、トナーとキャリア液とを別々に抽出する装置である。クリーニング装置26と液体現像剤分離装置28との間は、第9ポンプP9が取り付けられた第9パイプ881で接続されている。第9ポンプP9の駆動により、クリーニング装置26内の残留現像剤は、液体現像剤分離装置28に送られる。また、液体現像剤分離装置28とキャリアタンク274との間には、第10ポンプP10が取り付けられた第10パイプ882が設けられている。液体現像剤分離装置28で抽出されたキャリア液は、第10ポンプP10の駆動によってキャリアタンク274へ送られる。ここで、図1、図5、図7、図8における現像剤供給管511が第9パイプ881に、キャリア液回収管路545が第10パイプ882に各々相当する。
【0125】
制御部560は、演算処理を行うCPU(Central Processing Unit)、各制御プログラム等を記憶するROM(Read Only Memory)、演算処理や制御処理などのデータを一時的に格納するRAM(Random Access Memory)などを含む。制御部560は、第1〜第12ポンプP1〜P12の駆動、液面検知部材276aを動作させるモータの駆動等を制御する。
【0126】
続いて、カラープリンタ1の動作を説明する。カラープリンタ1に接続されたパーソナルコンピュータ(図略)からの画像形成指示を受けたカラープリンタ1は、作成指示を受けた画像データに対応した各色のトナー像を画像形成ユニットFY,FM、FC、FBを用いて形成する。具体的には、感光体ドラム10上に画像データに基づいた静電潜像が形成され、この静電潜像に現像装置14からトナーが供給される。このようにして各画像形成ユニットFY,FM,FC,FBで形成された画像は中間転写ベルト21に転写されて、中間転写ベルト21上で重ね合わされてカラートナー像となる。
【0127】
このカラートナー像の形成と同期して、用紙収納部3に収容されている用紙が図示しない給紙装置で用紙収納部3から一枚ずつ取り出されて、用紙搬送部7に沿って搬送される。そして、用紙は中間転写ベルト21への一次転写とタイミングを合わせて二次転写部4に送り込まれ、二次転写部4で中間転写ベルト21上のカラートナー像が用紙に二次転写される。
【0128】
カラートナー像が転写された用紙はさらに定着部5に搬送されて熱と圧力によりカラートナー像が用紙に定着される。さらに用紙は、排出部6によってカラープリンタ1の外部に排紙される。二次転写後、中間転写ベルト21に残留したトナーは、中間転写ベルト21のクリーニング部22によって中間転写ベルト21から除去される。
【0129】
画像形成動作時に感光体ドラム10に供給されずに現像ローラ141上に残留した液体現像剤は、現像クリーニングブレード145によって掻き取られ、第1パイプ81を介して残留現像剤タンク271に回収される。また、供給ローラ142から現像ローラ141へ供給されずに現像容器140にて回収された液体現像剤も、第2パイプ82を通して残留現像剤タンク271に回収される。さらに、クリーニング装置26で回収された残留現像剤から液体現像剤分離装置28にて抽出されたキャリア液が、キャリアタンク274へ回収される。このような液体循環を実行させるため、第1、第5、第9、第10ポンプP1、P5、P9、P10は、制御部560によって駆動制御される。
【0130】
現像剤収容容器272内の液体現像剤量が無くなると、制御部560は、第2ポンプP2を駆動させて、残留現像剤タンク271から現像剤収容容器272に残留現像剤を供給させる。現像剤収容容器272が残留現像剤で満たされると、固形分濃度検出装置273により液体現像剤のトナー濃度が検出される。この検出結果に応じて、制御部560は、第3ポンプP3又は第8ポンプP8を駆動させて、必要量のキャリア液又は高濃度液体現像剤を現像剤収容容器272へ供給させる。その後、再度固形分濃度検出装置273により液体現像剤のトナー濃度が検出される。そして、トナー濃度が適正範囲ならば、必要に応じて液体現像剤は現像剤リザーブタンク277へ供給される。
【0131】
液体現像剤分離装置28の内部では、先の第1〜第4実施形態において説明した動作で、キャリア液とトナー粒子との分離動作が行われる。すなわち、第9パイプ881(現像剤供給管511)を通して、回収された液体現像剤が液槽510へ導入される。キャリア液回収ローラ540で分離されたキャリア液は、第10パイプ882(キャリア液回収管路545)を通してキャリアタンク274へ送られる。一方、トナー回収ローラ530から回収されたトナーは、廃棄タンクに導かれるものである。このような液体現像剤分離装置28を備えたカラープリンタ1によれば、トナーとキャリア液との分離速度を高速化することができるので、高速印刷処理に対応することが可能となる。
【0132】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、例えば次のような変形実施形態を取ることができる。
【0133】
(1)上記実施形態では、処理対象となる液体試料を液体現像剤とし、分散質がトナー、分散媒がキャリア液である場合を例示した。本発明はこれに限らずに、分散質及び分散媒を含み、その分散質を帯電させることが可能な液体試料であれば、広く適用することができる。例えば分散質が顔料、分散媒が水分であるものを液体試料としても良い。
【0134】
(2)上記実施形態では、分離部材として、キャリア液回収ローラ540を例示した。このようなローラ部材に代えて、トナー回収ローラ530の周面53Sに先端が当接するブレード部材を、分離部材として用いるようにしても良い。
【0135】
(3)上記実施形態では、薄層形成手段として、計量ローラ520で汲み上げた液体現像剤LDを、第1ニップ部N1を通過させることで薄層TLを形成させる例を示した。これに代えて、トナー回収ローラ530の周面53Sに所定間隔(薄層TLの厚さに相当する間隔)を置いて先端を対向させて規制ブレード部材を、薄層形成部材として用いるようにしても良い。
【符号の説明】
【0136】
1 カラープリンタ(湿式画像形成装置)
500、500A、500B、500C キャリア液抽出装置(抽出装置)
510 液槽
512 トナー濃度センサ(濃度検知手段)
514 駆動制御部(厚さ調整手段/第2駆動手段/第3駆動手段)
520 計量ローラ(第3ローラ)
521 第1駆動部
525 カム機構(ニップ調整手段)
530 トナー回収ローラ(第1ローラ)
531 第2駆動部
532 第1電源(電界形成手段)
540 キャリア液回収ローラ(第2ローラ)
551 第3駆動部
552 帯電電圧制御部(帯電調整手段/濃度推定手段)
550 帯電装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
分散質及び分散媒を含む液体試料から前記分散質と前記分散媒とを分離し、これらを抽出する抽出装置であって、
その周面に分散質及び分散媒を含む液体試料の薄層を担持し、軸回りに回転する第1ローラと、
前記第1ローラに当接し、前記第1ローラに担持される前記薄層から前記分散媒を分離する分離部材と、
前記第1ローラに対する前記分離部材の当接位置よりも該第1ローラの回転方向上流位置において、前記第1ローラに担持された前記薄層中の分散質を帯電させる帯電装置と、
前記帯電された分散質を電気的に前記第1ローラの周面に吸着させる電界を形成する電界形成手段と、
を備えることを特徴とする抽出装置。
【請求項2】
請求項1の抽出装置において、
前記分離部材が、その周面に前記分散媒を担持し、軸回りに回転する第2ローラであることを特徴とする抽出装置。
【請求項3】
請求項1又は2の抽出装置において、さらに、
前記液体試料を貯留する液槽と、
前記液槽内の前記液体試料を用いて前記第1ローラの周面に該液体試料の前記薄層を形成する薄層形成手段と、
を備えることを特徴とする抽出装置。
【請求項4】
請求項3の抽出装置において、
前記薄層形成手段は、その周面が前記液槽内の前記液体試料と接触するように配置され、軸回りに回転し、前記周面に沿って前記液体試料を搬送する第3ローラであって、
該第3ローラは、前記帯電装置の配置位置よりも前記第1ローラの回転方向上流位置において、前記第1ローラに当接されてニップ部を形成し、
前記第3ローラの周面で搬送された前記液体試料が、前記ニップ部を通過することで、前記第1ローラの周面に前記薄層が形成されることを特徴とする抽出装置。
【請求項5】
請求項4の抽出装置において、
前記第3ローラが、その周面に凹部を有するアニックスローラであって、さらに、
前記アニックスローラの周面に保持される前記液体試料の量を制限する計量手段を備えることを特徴とする抽出装置。
【請求項6】
請求項4又は5の抽出装置において、さらに、
前記第1ローラ及び前記第3ローラを、それぞれの軸回りに回転駆動させる第1駆動手段を備え、
前記第1駆動手段は、前記第1ローラと前記第3ローラとを逆方向に回転させると共に、前記第3ローラの回転周速度が前記第1ローラの回転周速度よりも早くなるように回転させることを特徴とする抽出装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかの抽出装置において、
前記電界形成手段は、前記第1ローラに負の電界を印加する電源であって、
前記帯電装置は、前記薄層中の分散質を正に帯電させることを特徴とする抽出装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかの抽出装置において、さらに、
前記液体試料中の分散質の濃度を検知する濃度検知手段と、
前記薄層中の分散質の帯電量を調整する帯電調整手段と、を備え、
前記帯電調整手段は、
前記濃度検知手段が前記分散質の濃度が第1濃度であることを検出したとき、第1帯電量で前記分散質を帯電させ、
前記濃度検知手段が前記分散質の濃度が、前記第1濃度よりも所定値以上濃い第2濃度であることを検出したとき、前記第1帯電量とは異なる第2帯電量で前記分散質を帯電させることを特徴とする抽出装置。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれかの抽出装置において、さらに、
前記液体試料中の分散質の濃度に関連する情報を取得して前記分散質の濃度を推定する濃度推定手段と、
前記薄層中の分散質の帯電量を調整する帯電調整手段と、を備え、
前記帯電調整手段は、
前記濃度推定手段が前記分散質の濃度が第1濃度であることを推定したとき、第1帯電量で前記分散質を帯電させ、
前記濃度推定手段が前記分散質の濃度が、前記第1濃度よりも所定値以上濃い第2濃度であることを推定したとき、前記第1帯電量とは異なる第2帯電量で前記分散質を帯電させることを特徴とする抽出装置。
【請求項10】
請求項8又は9の抽出装置において、
前記帯電調整手段は、前記帯電装置に与える電圧を、前記第1帯電量と前記第2帯電量とに応じて制御することを特徴とする抽出装置。
【請求項11】
請求項1〜7のいずれかの抽出装置において、さらに、
前記液体試料中の分散質の濃度を検知する濃度検知手段と、
前記第1ローラ上における前記薄層の厚さを調整する厚さ調整手段と、を備え、
前記厚さ調整手段は、
前記濃度検知手段が前記分散質の濃度が第1濃度であることを検出したとき、前記薄層を第1厚さで前記第1ローラ上に形成させ、
前記濃度検知手段が前記分散質の濃度が、前記第1濃度よりも所定値以上濃い第2濃度であることを検出したとき、前記第1厚さよりも所定値以上だけ薄い第2厚さで前記薄層を前記第1ローラ上に形成させることを特徴とする抽出装置。
【請求項12】
請求項11の抽出装置であって、前記分離部材として請求項2の第2ローラが、前記薄層形成手段として請求項4又は5の第3ローラが用いられる場合において、
前記厚さ調整手段は、前記第1ローラ、前記第2ローラ及び前記第3ローラを、それぞれの軸回りに回転駆動させる第2駆動手段であり、
前記第2駆動手段は、
前記第1濃度が検出されたとき、前記第1ローラ、前記第2ローラ及び前記第3ローラを、それぞれ所定の第1周速度で回転させ、
前記第2濃度が検出されたとき、前記第1ローラ、前記第2ローラ及び前記第3ローラを、それぞれ前記第1周速度よりも遅い第2周速度で回転させることを特徴とする抽出装置。
【請求項13】
請求項11の抽出装置であって、前記薄層形成手段として請求項4又は5の第3ローラが用いられる場合において、
前記厚さ調整手段は、前記第1ローラ及び前記第3ローラを、それぞれの軸回りに回転駆動させる第3駆動手段であり、
前記第3駆動手段は、
前記第1濃度が検出されたとき、前記第1ローラに対する前記第3ローラの回転周速度比が所定の第1速度比となるように、前記第1ローラ及び前記第3ローラを回転させ、
前記第2濃度が検出されたとき、前記第1速度比よりも前記第3ローラが増速された第2速度比で、前記第1ローラ及び前記第3ローラを回転させることを特徴とする抽出装置。
【請求項14】
請求項11の抽出装置であって、前記薄層形成手段として請求項4又は5の第3ローラが用いられる場合において、
前記厚さ調整手段は、前記第1ローラと前記第3ローラとのニップ深さを調整するニップ調整手段であり、
前記ニップ調整手段は、
前記第1濃度が検出されたとき、前記第1ローラと前記第3ローラとのニップ深さを所定の第1深さに設定し、
前記第2濃度が検出されたとき、前記第1深さよりも所定値だけ深い第2深さに、前記第1ローラと前記第3ローラとのニップ深さを設定することを特徴とする抽出装置。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれかの抽出装置において、
前記液体試料が液体現像剤であり、前記分散質はトナーであって、前記分散媒はキャリア液であることを特徴とする抽出装置。
【請求項16】
請求項15の抽出装置を備えることを特徴とする湿式画像形成装置。
【請求項17】
画像形成装置であって、
その周面にトナー像を担持する感光体ドラムと、
トナーとキャリア液とを含む液体現像剤を前記感光体ドラムへ供給する現像部と、
前記トナーと前記キャリア液との混合比が調整された液体現像剤を生成する現像剤生成部と、
前記現像部で用いられる現像剤よりもトナー濃度が高い現像剤を前記現像剤生成部へ供給する第1供給系統と、
前記キャリア液を前記現像剤生成部へ供給する第2供給系統と、
前記現像剤生成部で生成された液体現像剤を、リザーブタンクを介して前記現像部へ供給する第3供給系統と、
前記現像部に供給された液体現像剤であって、該現像部若しくは感光体ドラムにおいて消費されなかった液体現像剤を回収して前記現像剤生成部へ供給する回収系統と、
前記回収系統に設けられ、回収された液体現像剤から前記トナーと前記キャリア液とを分離し、これらを抽出する請求項15に記載の抽出装置と、
を備えることを特徴とする湿式画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−95419(P2011−95419A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−248082(P2009−248082)
【出願日】平成21年10月28日(2009.10.28)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】