拡散体、拡散フィルム、偏光フィルム、液晶表示装置
【課題】本発明は、観察角度による表示画像の色や階調の違いを小さくし、画像ボケを抑制し、かつ、後方散乱ノイズを抑制する拡散体、拡散フィルム、偏光フィルム、液晶表示装置を得ることを目的とする。
【解決手段】TN型液晶パネル10を備える液晶表示装置13に用いられ、前記TN型液晶パネル10の観察者側の面10bに配置される拡散体1であって、前記拡散体1は、形成用材料2に光散乱粒子3が分散されてなり、前記光散乱粒子3と前記形成用材料2との屈折率差Δnが0.05〜0.25、前記光散乱粒子3の粒子径が0.3〜2.0μm、前記拡散体1のヘイズ率が50%以下であり、前記拡散体1の観察者と反対側の面1aに垂直な方向から平行光線からなる入射光Iを入射させたときに、前記入射光Iの8%以上が前記拡散体1の観察者側の面1bに垂直な方向に対し35度〜55度の角度範囲に拡散される拡散体1により、上記課題を解決できる。
【解決手段】TN型液晶パネル10を備える液晶表示装置13に用いられ、前記TN型液晶パネル10の観察者側の面10bに配置される拡散体1であって、前記拡散体1は、形成用材料2に光散乱粒子3が分散されてなり、前記光散乱粒子3と前記形成用材料2との屈折率差Δnが0.05〜0.25、前記光散乱粒子3の粒子径が0.3〜2.0μm、前記拡散体1のヘイズ率が50%以下であり、前記拡散体1の観察者と反対側の面1aに垂直な方向から平行光線からなる入射光Iを入射させたときに、前記入射光Iの8%以上が前記拡散体1の観察者側の面1bに垂直な方向に対し35度〜55度の角度範囲に拡散される拡散体1により、上記課題を解決できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、拡散体、拡散フィルム、偏光フィルム、液晶表示装置に関するものである。特に、車載用の液晶表示装置に関するものであり、並びに、その液晶表示装置に用いられる拡散体、拡散フィルムおよび偏光フィルムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)が、液晶テレビ、パソコン用モニター、ノートPC、FA機器などの多くの用途に用いられるようになってきている。液晶表示装置は、代表的なフラットパネルディスプレイであり、軽く、薄く、低消費電力であるという特性を有するためである。
【0003】
特に、地上波デジタル放送の普及により車内で地上波デジタル放送を観るようになったことや、カーナビゲーションの普及により、車載用の液晶表示装置のニーズが高まっている。
しかしながら、車載用の液晶表示装置は、動画表示性能、発光輝度などの画像表示特性のほか、耐熱性、耐冷性などの耐環境性に対する要求が厳しく、仕様を満たすものがあまりない。
【0004】
液晶表示装置には、光入射方向、光出射方向の違いにより、反射型液晶表示装置や透過型液晶表示装置などがある。
また、液晶表示装置に用いられる液晶パネルには、液晶の分子配向の違いにより、TN(Twisted Nematic)型、VA(Vertical Alignment)型、IPS(In Plane Switching)型、OCB(Optically Compensated Bend)型などがある。
【0005】
IPS型液晶パネルは、ガラス基板面方向に電界を加え、液晶分子をガラス基板と平行な面内で回転させる方式である。一方のガラス基板に電極を形成しないですむので、開口率を上げ、表示性能を向上させることができる。また、VA型液晶パネルは、電圧がかかっていないときに、液晶分子がガラス基板に対して垂直方向を向いており、電圧をかけるとガラス基板に対して平行になり、光を通す方式である。
これらのIPS型液晶パネルやVA型液晶パネルは、耐熱性、耐冷性などの耐環境性はあまり優れていないので、高温高湿環境下に置かれる可能性の高い車載用の液晶表示装置には適していない。
【0006】
一方、TN型液晶パネルでは、液晶分子が基板に対して垂直な方向を軸に90度にねじれて配列されており、電圧を印加すると電界に沿う垂直方向に液晶分子が配列され、光を透過させたり、遮断したりして画像を表示する。このTN型液晶パネルは、耐熱性、耐冷性などの耐環境性に優れており、さらに、動作温度範囲が広い、開口率が高い、生産が安定しており安価で入手できるなどの優れた特性を有するので、車載用の液晶表示装置に適しており、最も一般的に使われている。しかし、表示画面を見る角度(以下、観察角度)の違いにより、表示画像の色が変化したり、表示階調が悪化するという問題があった。
【0007】
車載用の液晶表示装置は、その取り付け位置が限定されるので、ほとんどの表示画像が、画像表示面に対して斜め方向から見られる。
例えば、カーナビゲーション用途の液晶表示装置はダッシュボードの中央部あたりに取り付けられる。一方、画像を見る観察者は運転席や助手席にいるので、観察者は画像表示面に対して横方向30〜50度くらいから表示画像を見ることになる。また、リア用の液晶表示装置は助手席と運転席の間に設置される。画像を見る観察者は後部座席の右側や左側にいるので、観察者は画像表示面に対して横方向30〜50度くらいから表示画像を見ることになる。
【0008】
また、車内では、近距離で車載用の液晶表示装置の画像を見ることとなる。そのため、観察者の背丈やシート位置などによっても観察角度が変化する。たとえば、大人と子供では20度くらいまでの観察角度の違いが生じる場合もある。
以上の理由により、観察角度の違いにより、表示画像の色が変化したり、表示階調が悪化するということは、車載用の液晶表示装置にとって大きな問題となっていた。
【0009】
観察角度を変えても、表示画像の色を変化させず、表示階調が悪化させないようにするために、たとえば、特許文献1には、バックライトユニット(面光源)と、液晶パネルと、偏光板と、位相差フィルムと、光拡散層とからなる液晶表示装置が開示されている。この光拡散層を設けることにより、コントラストが高く、広視野な表示を可能にしている。
また、特許文献2には、バックライトユニットシステムと、液晶セルと、偏光板と、視野角拡大層とを備えた液晶表示装置が開示されている。この視野角拡大層を設けることにより、コントラストが高く、色再現性を向上させることができる。
【0010】
しかしながら、前記光拡散層や、前記視野角拡大層などを設けた場合には、画像ボケが生じたり、外部光の後方散乱光ノイズが発生して、表示画像が悪くなる場合が生じた。
たとえば、TN型液晶パネルの正面に拡散フィルムを設置する場合、TN型液晶パネルが有するガラス基板の厚みや、TN型液晶パネルのガラス基板の上に貼り付けられた偏光フィルムの厚みなどがあるため、拡散フィルムを画像表示面であるTN型液晶層に密着させることはできない。そのため、TN型液晶層から離れた位置に拡散体が設置されることになり、TN型液晶パネルの正面側の観察者から観察される画像にはボケが生じた。
また、明るい部屋で観察した場合には、外部光が前記光拡散層や前記視野角拡大層で後方散乱して後方散乱光ノイズを生じ、画像が白っぽくなり、見にくくなる場合があった。
【0011】
さらに、車載用の液晶表示装置では、通常よりかなり大きい観察角度で表示画像を見るにもかかわらず、耐熱性、耐冷性などの耐環境性の関係からTN型液晶表示装置が用いるので、上記構成を用いても、観察角度によって、表示画像の色や階調が変化し、良好な画像が見ることできないという問題点があった。
【特許文献1】特開平10−10513号公報
【特許文献2】特開2004−4763号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、観察角度による表示画像の色や階調の違いを小さくし、画像ボケを抑制し、かつ、外部光の後方散乱ノイズを抑制する拡散体、拡散フィルム、偏光フィルム、液晶表示装置を得ることを目的にしている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。すなわち、
本発明の拡散体は、TN型液晶パネルを備える液晶表示装置に用いられ、前記TN型液晶パネルの観察者側の面に配置される拡散体であって、前記拡散体は、形成用材料に光散乱粒子が分散されてなり、前記光散乱粒子と前記形成用材料との屈折率差Δnが0.05〜0.25であり、前記光散乱粒子の粒子径が0.3〜2.0μmであり、前記拡散体のヘイズ率が50%以下であり、前記拡散体の観察者と反対側の面に垂直な方向から平行光線からなる入射光を入射させたときに、前記入射光の8%以上が前記拡散体の観察者側の面に垂直な方向に対し35度〜55度の角度範囲に拡散されることを特徴とする。
【0014】
本発明の拡散フィルムは、先に記載の拡散体と、プラスチック基材フィルムと、を有することを特徴とする。
【0015】
本発明の偏光フィルムは、先に記載の拡散体と、偏光層と、プラスチック基材フィルムと、を有することを特徴とする。
【0016】
本発明の液晶表示装置は、先に記載の拡散体と、TN型液晶パネルと、を有することを特徴とする。
【0017】
本発明の液晶表示装置は、先に記載の拡散体の観察者と反対側の面が、前記TN型液晶パネルのTN型液晶層の観察者側の面から1.5mm以内となる位置に配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
上記構成によれば、観察角度による表示画像の色や階調の違いを小さくし、画像ボケを抑制し、かつ、外部光の後方散乱ノイズを抑制する拡散体、拡散フィルム、偏光フィルム、液晶表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための形態を説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態である液晶表示装置の一例を示す断面模式図である。
図1に示すように、液晶表示装置13は、偏光フィルム(偏光板)61と、TN型液晶パネル10と、偏光フィルム62と、バックライトユニットユニット11とから構成されている。
【0020】
正面方向f(観察者側)に配置された偏光フィルム(偏光板)61は、拡散フィルム4と、偏光層7と、プラスチック基材フィルム52とから構成されている。また、拡散フィルム4は、拡散体1とプラスチック基材フィルム51とから構成されている。
【0021】
TN型液晶パネル10は、ガラス基板(カラーフィルター)81とガラス基板(TFT基板)82との間にTN型液晶層9が挟持されて構成されている。TN型液晶層9は、ガラス基板(TFT基板)82のTFTセルに応じて液晶分子の配向を変える複数の画素(図示略)を備えている。
【0022】
偏光フィルム(偏光板)62は、プラスチック基材フィルム51、偏光層7と、プラスチック基材フィルム52とから構成されている。また、バックライトユニットユニット11は、冷陰極蛍光ランプ(CCFL:Cold Cathode Fluorescent Lamp)(図示略)と、このCCFLからの光を正面方向f(観察者側)へと導く導光板(図示略)とから構成されている。
【0023】
なお、光学補償を行うために、TN型液晶パネル10と偏光フィルム62の間に、および、TN型液晶パネルと偏光フィルム61の間に、傾斜配向されたディスコティック液晶等からなる位相差フィルムを挿入してもよい。
【0024】
偏光フィルム61,62において用いられるプラスチック基材フィルム51、52としては、光透過性の高い材料であればよく、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、シクロオレフィン系などを用いることができる。
【0025】
拡散フィルム4は、拡散体1とプラスチック基材フィルム61とから構成されている。
拡散体1は、形成用材料2に光散乱粒子3が分散されてなる。観察者と反対側の面1aと観察者側の面1bとを備えている。
【0026】
形成用材料2の材料としては、電離放射線硬化型材料、熱可塑性樹脂、熱硬化型材料など種々の樹脂材料(バインダー)を用いることができる。形成用材料2については、液晶表示装置の最も観察者側に配置されることから、ハードコート性を有するものが好ましい。そのため、硬化することにより高い表面硬度を実現することができる電離放射線硬化型材料が特に好ましい。
【0027】
電離放射線硬化型材料としては、紫外線(UV)硬化型材料、電子線硬化型材料などを挙げることができる。
たとえば、ポリエステルアクリレートやウレタンアクリレートなどのアクリレート系官能基を持つ樹脂材料を用いることが好ましい。
このうち、ポリエステルアクリレートについては、ポリエステル系ポリオールのオリゴマーのアクリレート又はメタアクリレート、若しくはその混合物を挙げることができる。(以下、アクリレート及び/又はメタアクリレートを(メタ)アクリレートと記載する。)
一方、ウレタンアクリレートついては、ポリオール化合物をジイソシアネート化合物からなるオリゴマーをアクリレート化したものを挙げることができる。
【0028】
アクリレートを構成する単量体としては、たとえば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。
【0029】
また、形成用材料2は、多官能モノマーを併用してもよい。
多官能モノマーとしては、たとえば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。
【0030】
ポリエステル系オリゴマーとしては、たとえば、アジピン酸とグリコール(エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ポリブチレングリコール等)やトリオール(グリセリン、トリメチロールプロパン等)、セバシン酸とグリコールやトリオールとの縮合生成物であるポリアジペートポリオールや、ポリセバシエートポリオールなどを挙げることができる。
【0031】
また、硬化の際に電離放射線硬化型材料の重合を効率良く進行させるために、形成用材料2に重合開始剤を配合してもよい。
この重合開始剤としては、特に制限はないものの、活性エネルギーを照射した際にラジカルを発生する化合物を用いることが好ましい。このような重合開始剤としては、たとえば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパンー1−オン、2−メチル[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2,2−ジメトキシー1,2−ジフェニルエタン−1−オン、ベンゾフェノン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル1−プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイドなどを挙げることができる。
また、重合開始剤の配合量については、形成用材料2を100重量部に対して、0.1〜10重量部であることが好ましく、より好ましくは1〜7重量部であり、更に好ましくは1〜5重量部である。
【0032】
形成用材料2と光散乱粒子3とを混合した拡散体溶液(塗液)には、必要に応じて、溶媒を加えることができる。
溶媒については、特に制限されないものの、たとえば、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、トルエン、キシレン等の芳香族化合物、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類などを挙げることができる。
【0033】
光散乱粒子3としては、たとえば、酸化アルミニウム粒子、酸化ジルコニウム粒子、酸化マグネシウム粒子、酸化ケイ素粒子、炭酸カルシウム粒子などの無機系粒子や、メラミン粒子、PMMA粒子、ポリスチレン粒子、スチレン/PMMA共重合粒子、ポリカーボネート粒子、ポリウレタン粒子、ナイロン粒子、ポリエチレン粒子、ポリプロピレン粒子、シリコーン粒子、ポリテトラフルオロエチレン粒子、ポリフッ化ビニリデン粒子、ポリ塩化ビニリデン粒子などの有機系粒子などを用いることができる。
【0034】
形成用材料2との屈折率差を考慮して光散乱粒子3を選択する際に、高屈折率材料が求められるときは、たとえば、無機系粒子である金属化合物粒子を用いればよい。
たとえば、酸化アルミニウム(n=1.76)、酸化ジルコニウム(n=2.4)、硫化亜鉛(n=2.37)、酸化亜鉛(n=2.01)、酸化チタン(n=2.61,2.903)、酸化マグネシウム(n=1.72)などの金属化合物粒子を挙げることができる。その中でも特に、酸化アルミニウムは、化学的な安定性が高いので好適に用いることができる。
また、形成用材料2との屈折率差を考慮して光散乱粒子3を選択する際に、低屈折率材料が求められるときは、シリコーン粒子(n=1.43)などの有機系粒子を好適に用いることができる。
なお、光散乱粒子3は、異なる材料の2種類以上の粒子から構成されていてもよい。
【0035】
また、たとえば、SiO2、ZrO2、Al2O3、ZnOを光散乱粒子として用いる場合には、透明樹脂、カップリング剤、または界面活性剤などにより表面を被覆する処理を行うことにより、または、アルコール、アミン、または有機酸などを用いて表面を化学処理することにより、形成用材料2に対する光散乱粒子3の分散性を向上させることができる。
【0036】
光散乱粒子3の粒子径は、0.3〜2.0μmであることが好ましい。
光散乱粒子3の粒子径が0.3μm未満の場合には、入射する光に対し後方散乱の度合いが大きくなってしまう。
逆に、光散乱粒子3の粒子径が2.0μmを超える場合には、入射する光を前方に広い角度で散乱することができなくなってしまう。
【0037】
なお、光散乱粒子3の粒子径は、光散乱粒子3が球状の場合には、光散乱粒子3の直径の平均値であり、光散乱粒子3が回転楕円体の場合には、短径の平均値を用いる。この粒子径は、たとえば、粒度分布計SD−2000(シスメックス株式会社製)で測定することができる。
【0038】
形成用材料2と光散乱粒子3との屈折率差Δnは0.05〜0.25であることが好ましい。
前記屈折率差Δnが0.05未満の場合には、光を効果的に散乱させることができないため好ましくない。逆に、前記屈折率差Δnが0.25を超える場合には、入射する光に対し後方散乱の度合いが大きくなってしまう。なお、前記屈折率差Δnは、可視光領域において、0.05〜0.25となればよい。また、光散乱粒子3の屈折率は、形成用材料2の屈折率よりも低くても高くてもよい。
【0039】
さらに、光散乱粒子3の粒子径を小さくして、かつ、形成用材料2と光散乱粒子3との屈折率差Δnを大きくした場合、後方散乱光が大きくなって、明るいところで画像が見にくくなるので好ましくない。
たとえば、光散乱粒子3の粒子径を0.3μm未満として、かつ、形成用材料2と光散乱粒子3との屈折率差Δnを0.25超とした場合には、後方散乱光が大きくなる。
【0040】
普通、明るいところで液晶ディスプレイなどを観察する場合には、液晶ディスプレイの表面で外部光による反射による写りこみやノイズが生じる。これを表面反射という。この表面反射の光強度は普通、外部光の4%程度である。
表面反射の光強度よりも、後方散乱光の光強度が大きい場合には、後方散乱光が表示画像を見にくくする影響が大きく、表示画像を全体的に白っぽくして、表示画像の画質を劣化させる。
逆に、表面反射の光強度よりも、後方散乱光の光強度が小さい場合には、後方散乱光が表示画像を見にくくする影響は少ないといえる。
【0041】
すなわち、光散乱粒子3の粒子径を0.3μm以上として、かつ、形成用材料2と光散乱粒子3との屈折率差Δnを0.25以下とすることにより、後方散乱光の光強度を表面反射の光強度よりも小さくすることができ、表示画像を見にくくする影響を少なくすることができる。
【0042】
また、光散乱粒子3の粒子径を2.0μm以下として、かつ、光散乱粒子3と形成用材料2との屈折率差Δnを0.05未満とすることにより、拡散体1の厚みや光散乱粒子3の分散状態などによって違ってくるが、拡散体1のヘイズ率を50%以下とすることができ、画像ボケを抑制することができる。
【0043】
形成用材料2に分散させる光散乱粒子3の含有量は、特に規定されない。光散乱粒子3の量は、形成用材料2に均一に分散させることのできる量であればよい。形成用材料2に分散させる光散乱粒子3の含有量が多すぎて、均一に分散させることができない場合には、拡散体1の光特性が面内でばらつくおそれが発生するので好ましくない。
さらに、拡散体1の膜厚も、特に規定されない。
【0044】
拡散体1のヘイズ率は、50%以下であることが好ましい。
拡散体1のヘイズ率は、50%以下である場合には、光透過率が十分であり、表示画像のエッジ部分を明確にして、画像ボケを抑制できる。
逆に、拡散体1のヘイズ率が50%を超える場合には、光透過率を低下させて、表示画像のエッジ部分を不明確にして、画像ボケを生じさせるので好ましくない。
なお、このヘイズ率は可視光領域の光に対する値であり、たとえば、ヘイズメーター(株式会社村上色彩研究所社製 商品名「HM−150」)で測定する。
【0045】
図2は、本発明の実施形態である液晶表示装置における光の経路を示した概略図である。
まず、バックライトユニット11から光Iが出射される。
この光Iは、偏光フィルム62の偏光層7で偏光された後、TN型液晶パネル10の観察者と反対側の面10aに入射され、TN型液晶層9を通過して、TN型液晶パネル10の観察者側の面10bから出射される。
TN型液晶パネル10の観察者側の面10bから出射された光は、偏光フィルム61へ入射され、偏光層7で偏光された後、拡散体1の観察者と反対側の面1aへ入射される。
【0046】
さらに、拡散体1に入射された光は、拡散体1の内部を通過する際に光の一部が内面拡散され、そのまま透過する透過光Tと、拡散体1の内部で内面拡散されて出射される拡散光Dからなる出射光Oとして、拡散体1の観察者側の面1bから正面方向fへ出射される。
【0047】
本発明の拡散体にあっては、拡散体1の観察者と反対側の面1aに、垂直な方向から平行光線からなる入射光を入射させたときに、前記入射光の8%以上が観察者側の面1bに垂直な方向に対し35度〜55度(45度前後)の角度範囲に拡散されることが好ましい。
拡散体1により、正面方向fに射出される光の8%以上を、観察者側の面1bに垂直な方向に対し35度〜55度(45度前後)の角度範囲に出射させることにより、横方向から表示画面を見たときに、観察角度を変えて表示画像を見た時の色変化の割合を小さくすることができる。
逆に、正面方向fから35度〜55度(45度前後)の角度範囲に拡散される光が入射光のうちの8%未満の場合には、このように効果的に色変化抑制を行うことができない。
【0048】
なお、このとき、拡散体1は形成用材料2に光散乱粒子3をアットランダムに分散させた系であるので、拡散光Dは等方的に拡散されると仮定する。また、正面方向fから同じ角度に出射される光の光強度は等しいと仮定する。さらに、拡散光Dの光強度は、正面方向fから同じ角度に出射される光の光強度を合わせた値と仮定する。
【0049】
TN型液晶パネル9の観察者側の面9bと、拡散体1の観察者と反対側の面1aは平行とされており、その間の距離は1.5mm以下の範囲内になるように配置されることが好ましい。
拡散体1とTN型液晶層9を近づけて配置することにより、画像ボケを抑制することができるためである。なお、画像ボケとは、画素のエッジ部分が不明確となる現象である。
【0050】
図3は、本発明の実施形態である拡散体1を用いた場合の画像ボケ抑制効果について説明する断面概略図であって、図3(a)は、拡散体1で進行方向を変えた後、観察者の目に入る光の経路を説明する図であり、図3(b)は、拡散体1で進行方向を変えることなく、そのまま観察者の目に入る光の経路を説明する図である。
ガラス基板8の観察者側の面10bには、拡散体1が配置されており、拡散体1の観察者側の面1bから少し離されて、観察者の目が描かれている。
【0051】
なお、図3においては、TN型液晶パネル10をガラス基板(カラーフィルター)81と画素91とで簡易的に示すとともに、拡散体1とTN型液晶パネル10との間に存在するプラスチック基材フィルム51、52などの部材は省略して記載している。
【0052】
図3(a)は拡散光Dによる光の経路を示したものであり、画素91の幅方向のエッジ部分91c、91dを示す光は、矢印g、hで示す経路に沿って、拡散体1の内部で内面拡散されて観察者の目に入射される。このとき、観察者の目は、画素91の幅wを、実際よりも大きな幅Wで観察する。
一般的な車載用液晶表示装置に用いるTN型液晶パネル10では、ガラス基板81の厚みが1mm程度であり、画素91の幅は200〜300μm程度であるので、車の中の観察者の位置を考慮すると、画素91の幅は両側に合わせて約500μm程度広がり、観察者が見る画像は、かなりボケたものとなる。
【0053】
一方、図3(b)は素抜け光(透過光)Tによるものであり、画素91の幅方向のエッジ部分91c、91dを示す光は、矢印hで示す経路に沿って、拡散体1の内部で内面拡散されることなく、直接、観察者の目に入射される。
このとき、観察者の目は、画素91をその幅wで観察する。このように、素抜け光(透過光)Tによる画像は、画素91の幅方向のエッジ部分91c、91dからの光が、拡散体1で内面拡散されずにそのまま目に入るので、画素91の大きさは変わらず、ボケた画像にはならない。
【0054】
実際に観察者が見る画像は、素抜け光(透過光)Tと拡散光Dを合わせた出射光Oであるので、拡散光Dの光強度の割合が素抜け光(透過光)Tに比べて小さい場合には画像ボケが抑制される。また、ガラス基板8の板厚が薄く、拡散光Dで表示される画素91の幅Wと実際の画素の幅wがそれほど違わない場合にも、画像ボケが抑制される。
【0055】
拡散体1のヘイズ率は、50%以下であることが好ましい。
拡散体1のヘイズ率を50%以下とすることで、入射光の50%程度以上の光が素抜け光(透過光)Tとすることができ、その結果、画像ボケを防止することができるためである。なお、拡散体1のヘイズ率が50%以下の場合は、白地に黒文字を表示した場合、文字を明確に認識するために必要なコントラストを得ることができ、白地部分と黒文字部分で少なくとも2倍程度の明るさの違いを得ることができる。
【0056】
このように、拡散体1のヘイズ率を少なくとも50%以下とすることで、素抜け光(透過光)Tの割合を高めることができ、その結果、画像ボケを防止することができる。
また、画素91の幅方向のエッジ部分91c、91dを判別できることにより、細かい文字情報を認識できるだけの解像度を得ることができる。
【0057】
(拡散体の製造方法)
本発明の実施形態である拡散体1の製造方法の一例について説明する。
まず、未硬化の形成用材料2に光散乱粒子3を溶媒中で混合し、拡散体溶液(塗液)を調製する。
次に、拡散体溶液(塗液)を、所定の膜厚でプラスチック基材フィルム上に塗布する。塗布の方法としては、スピンコーティング法、ロールコート法、スプレー法、バーコート法、ダイコート法、フローコート法、デッピング法あるいはスクリーン印刷法などを用いることができる。プラスチック基材フィルムとしては、光透過性の高い材料であればよく、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、シクロオレフィン系などを用いることができる。
【0058】
次に、拡散体溶液(塗液)を乾燥させ、たとえば、電子線(EB:Electron Beam)等の放射線を照射して、形成用材料2を硬化させることにより、形成用材料2に光散乱粒子3が分散された拡散体1を形成した拡散フィルム4を作製することができる。
なお、硬化の方法としては、上記電子線照射工程の他に、紫外線照射工程、加熱工程などを用いることができ、形成用材料2の種類に応じて硬化方法を設定する。
【0059】
また、塗工特性を良くするため、拡散体溶液(塗液)の粘度は、1〜200cp(mPa・s)とすることが好ましく、塗液中の溶媒を除いた固形成分の割合は、20〜60質量%とすることが好ましい。
以上により、プラスチック基材フィルム上に拡散体を形成することができる。
【0060】
本発明の実施形態である拡散体1は、形成用材料2に光散乱粒子3が分散されてなり、前記光散乱粒子3と前記形成用材料2との屈折率差Δnが0.05〜0.25である構成なので、光を効果的に散乱させることができ、表示画像を見やすくすることができる。正面方向fからの観察角度を変えた際に生じる表示画像の色変化を抑制することができる。
【0061】
本発明の実施形態である拡散体1は、光散乱粒子3の粒子径が0.3〜2.0μmとなる構成なので、正面方向fからの観察角度を変えた際に生じる表示画像の色変化を抑制することができる。
【0062】
本発明の実施形態である拡散体1は、ヘイズ率が50%以下となる構成なので、素抜け光(透過光)Tの割合を高めることができ、画像ボケを抑制することができる。
【0063】
本発明の実施形態である拡散体1は、拡散体1の観察者と反対側の面1aに垂直な方向から平行光線からなる入射光を入射させたときに、前記入射光の8%以上が前記拡散体1の観察者側の面1bに垂直な方向に対し35度〜55度の角度範囲に拡散される構成なので、正面方向fからの観察角度を変えた際に生じる表示画像の色変化を抑制することができる。
【0064】
本発明の実施形態である拡散体1は、形成用材料2に光散乱粒子3が分散されてなる構成なので、光を効率よく透過させ、輝度を向上させることができるとともに、観察角度の違いによる色変化、色や階調の違いを抑制することができる。さらに、画像ボケを抑制し、外部光ノイズを抑制することができる。
【0065】
本発明の実施形態である液晶表示装置13は、拡散体1を有する構成なので、TN型液晶パネル10の観察角度の違いに対する色変化を抑制することができ、観察角度によらず良好な画像が観察できる。特に、観察角度を大きくして利用する車載用の液晶表示装置として明確な表示を行うことができる。
【0066】
本発明の実施形態である拡散フィルム4は、拡散体1とプラスチック基材フィルム51とからなる構成なので、容易に偏光層7を備えたプラスチック基材フィルム52に貼り付けて偏光フィルム61を作製することができ、偏光フィルム61の製造工程を簡略化することができ、この偏光フィルム61を用いたTN型液晶表示装置において、観察角度を変えて表示画像を見たときの色変化を抑制し、画像ボケを抑制し、さらに後方散乱光ノイズを抑制させることができる。
【0067】
本発明の実施形態である偏光フィルム61は、拡散フィルム4と、偏光層7と、プラスチック基材フィルム52とからなる構成なので、容易にTN型液晶パネル10の観察側の面10bに貼り付けることができ、TN型液晶表示装置の製造工程を簡略化するとともに、観察角度を変えて表示画像を見たときの色変化を抑制し、画像ボケを抑制し、さらに後方散乱光ノイズを抑制することができるとともに、偏光を利用して表示画像の性能を向上させることができる。
【0068】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。しかし、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。
【実施例】
【0069】
まず、本発明の拡散体を備えないTN型液晶表示装置における観察色の観察角度依存性を示し、次に、本発明の拡散体を備えたTN型液晶表示装置における観察色の観察角度依存性を示す。これらを比較することにより、拡散体の効果を明らかにすることができる。
【0070】
(TN型液晶表示装置における観察色の観察角度依存性)
TN型液晶表示装置は、TN型液晶層を2枚のガラス基板で挟み込んだTN型液晶パネルと、バックライトユニットとからなる。バックライトユニットから出射された光はTN型液晶パネルに入射され、TN型液晶層を通過して、出射される。
【0071】
図12は、前記TN型液晶表示装置に演色性評価用8色を表示したときに、観察される色の観察角度依存性を示すグラフであって、CIE1976u’v’表色系における座標値(u’,v’)で示したものある。
演色性評価用8色は、それぞれ、CIE1976u’v’表色系における座標値(u’,v’)で示されている。
【0072】
観察角度が0度(正面方向)の場合には、各色はCIE1976u’v’表色系における座標の中で分散され、各色が表示した色で正確に表示されている。しかし、観察角度を20度、40度と上げるにしたがって、彩度が低下した。観察角度が80度の場合には、観察角度が0度(正面方向)で見る色と全く異なり、全体的に黄色みがかった色への色シフトが見られた。
【0073】
観察角度を変えたときの色変化量Δu’v’は、次式(1)により求める。
Δu’v’={(u1’−u0’)2+(v1’ −v0’)2}0.5…(1)
ここで、(u0’,v0’)は正面方向で観察された色の座標値であり、(u1’,v1’)は観察角度を変えて観察された色のCIE1976u’v’表色系における座標値である。
【0074】
図13は、図12で得られた結果をもとにして、異なる観察角度における色変化量Δu’v’を示したグラフである。
観察角度が60〜80°の範囲で最も大きな色変化が生じ、色変化量Δu’v’の最大値が0.1を超えた。
【0075】
(拡散体を備えたTN型液晶表示装置における観察色の観察角度依存性)
(試験例1)
試験例1サンプルの拡散体を、相分離の方法により作製した。
まず、酢酸ビニルとアクリルモノマーを1:1で混合した拡散体溶液をTACフィルムに塗布して乾燥後、硬化させてTACフィルム上に拡散体を10μmの膜厚で形成した。このようにして得られた拡散体は、球状構造のアクリルモノマーが酢酸ビニルに分散され固化された構造を備えるものであった。得られた拡散体について走査電子顕微鏡(SEM)で断面観察をおこなったところ、球状構造のアクリルモノマーの粒子径は1〜2μmであった。また、試験例1サンプルの拡散フィルムのヘイズ率は54.2%となった。
【0076】
(試験例2)
まず、屈折率が1.53のアクリル系UV硬化樹脂中に、屈折率が1.65、粒子径が2μmのメラミンからなる光散乱粒子を分散させて、拡散体溶液を調整した。なお、粒子比率は25%とした。
次に、この拡散体溶液を、TACフィルム上に塗布した後、UV光で露光処理をして硬化させて、膜厚6μmの拡散体を備えた拡散フィルム(試験例2サンプル)を作製した。試験例2サンプルの拡散フィルムのヘイズ率は77.5%となった。
【0077】
(試験例3〜7)
表1に示すような条件で拡散体を作製したほかは試験例1と同様にして、拡散フィルム(試験例3〜7サンプル)を作製した。
【0078】
(実施例1)
まず、屈折率が1.53のアクリル系UV硬化樹脂中に、屈折率が1.65、粒子径が0.5μmのメラミンからなる光散乱粒子を分散させて、拡散体溶液を調整した。なお、粒子比率は20%とした。
次に、この拡散体溶液を、TACフィルム上に塗布した後、UV光で露光処理をして硬化させて、膜厚6μmの拡散体を備えた拡散フィルム(実施例1サンプル)を作製した。実施例1サンプルの拡散フィルムのヘイズ率は42.2%となった。
【0079】
図4は、実施例1サンプルの拡散フィルムの拡散光強度と観察角度の関係を示すグラフである。
上記の拡散フィルムに、垂直に平行光を入射させて、観察角度を変えて、拡散光の光強度を測定した。拡散光強度は、観察角度が10度以下の場合、高い値を示し、観察角度を大きくするに従い小さくなった。
なお、このグラフを元に、入射光に対する35度〜55度の観察角度範囲の拡散光の割合を計算した。入射光に対する35度〜55度の観察角度範囲の拡散光の割合は11.9%であった。
【0080】
次に、実施例1サンプルの拡散フィルムを、TN型液晶パネルの光出射面側に配置して、拡散体を備えたTN型液晶表示装置を作製した。
【0081】
図5は、前記TN型液晶表示装置に演色性評価用8色を表示したときに、観察される色の観察角度依存性を示すグラフであって、CIE1976u’v’表色系における座標値(u’,v’)で示したものである。
観察角度が0度(正面方向)の場合には、演色性評価用8色は色度座標の中で分散され、液晶セルが表示した色で表示されている。また、観察角度を20度、40度と上げても、彩度はそれほど低下しなかった。観察角度が80度の場合でも、観察角度が0度(正面方向)で見る色とあまり変わらず、ほとんど全ての色を液晶セルが表示した色で表示された。
【0082】
図6は、図5で得られた結果をもとにして、異なる観察角度における色変化量Δu’v’を示したグラフである。
色変化量Δu’v’の最大値は0.034であり、観察角度を変えても大きな色変化は生じなかった。
【0083】
観察角度の違いによる色変化を抑制する効果の評価は、色変化量Δu’v’ の最大値が、拡散体1を設置しない場合の色変化量Δu’v’ の最大値の半分以下に抑えられているかどうかで評価した。
たとえば、TN型液晶パネル10の色変化量Δu’v’の最大値が0.1の場合に、拡散体1を配置したときの色変化量Δu’v’の最大値が0.05以下(50%以下)に抑えられていれば、拡散体1を設置することにより、観察角度の違いによる色変化を抑制する効果があると評価した。
【0084】
実施例1サンプルの拡散フィルムを用いた場合には、色変化量Δu’v’の最大値が、拡散フィルムを配置しない場合の色変化量Δu’v’の最大値の約34%となった。そのため、実施例1サンプルの拡散フィルムは、観察角度の違いによる色変化を抑制する効果があると評価した。
【0085】
(実施例2)
まず、屈折率が1.53のアクリル系UV硬化樹脂中に、屈折率が1.76、粒子径が約0.4μmのアルミナフィラーを分散させた拡散体溶液を調整した。なお、粒子比率は8%とした。
次に、この拡散体溶液を、TACフィルム上に塗布した後、UV光で露光処理をして硬化させて、膜厚11μmの拡散体を備えた拡散フィルム(実施例2サンプル)を作製した。実施例2サンプルの拡散フィルムのヘイズ率は46.9%となった。
【0086】
図7は、実施例2サンプルの拡散フィルムの拡散光強度と観察角度の関係を示すグラフである。入射光に対する35度〜55度の観察角度範囲の拡散光の割合は10.4%であった。
【0087】
次に、実施例2サンプルの拡散フィルムを、TN型液晶パネルの光出射面側に配置して、拡散体を備えたTN型液晶表示装置を作製した。
【0088】
図8は、前記TN型液晶表示装置に演色性評価用8色を表示したときに、観察される色の観察角度依存性を示すグラフであって、CIE1976u’v’表色系における座標値(u’,v’)で示したものある。
観察角度が0度(正面方向)の場合には、演色性評価用8色は色度座標の中で分散され、液晶セルが表示した色で表示されている。また、観察角度を20度、40度と上げても、彩度はそれほど低下しなかった。観察角度が80度の場合でも、観察角度が0度(正面方向)で見る色とあまり変わらず、ほとんど全ての色を液晶セルが表示した色で表示された。
【0089】
図9は、図8で得られた結果をもとにして、異なる観察角度における色変化量Δu’v’を示したグラフである。
色変化量Δu’v’の最大値は0.042であり、観察角度を変えても大きな色変化は生じなかった。
【0090】
実施例2サンプルの拡散フィルムを用いた場合には、色変化量Δu’v’の最大値が、拡散フィルムを配置しない場合の色変化量Δu’v’の最大値の約42%となった。そのため、実施例1サンプルの拡散フィルムは、観察角度の違いによる色変化を抑制する効果があると評価した。
【0091】
(実施例3)
まず、屈折率が1.53のアクリル系UV硬化樹脂中に、屈折率が1.65、粒子径が約0.5μmのメラミンからなる光散乱粒子を分散させた拡散体溶液を調整した。なお、粒子比率は25%とした。
次に、この拡散体溶液を、TACフィルム上に塗布した後、UV光で露光処理をして硬化させて、膜厚11μmの拡散体を備えた拡散フィルム(実施例3サンプル)を作製した。実施例3サンプルの拡散フィルムのヘイズ率は49.1%となった。
【0092】
表1は、試験例1〜7、実施例1〜3の拡散体の作製条件を示す表である。表2は、試験例1〜7サンプル、実施例1〜3サンプルの色変化量Δu’v’の最大値と、観察角度が35度〜55度の角度範囲における光の割合を示す表である。表3は、試験例1〜7サンプル、実施例1〜3サンプルのヘイズ率を示した表である。表4は、試験例1〜7サンプル、実施例1〜3サンプルの形成用材料と散乱粒子との屈折率差および光散乱粒子の粒子径を示した表である。
【0093】
【表1】
【0094】
【表2】
【0095】
【表3】
【0096】
【表4】
【0097】
表2から分かるように、試験例4、5サンプルは、色変化量Δu’v’の最大値が大きく、これらの拡散体を設置しても観察角度を変えた場合に生じる色変化を抑制することがほとんどできなかった。これらの拡散体は、観察角度が35度〜55度の角度範囲における光の割合が低いものであった。
逆に、観察角度が35度〜55度の角度範囲の光の割合が約8%以上である場合、色変化量Δu’v’の最大値が0.05以下となり、色変化量を小さくすることができ、観察角度の違いによる色の変化の割合を抑えることができることが分かった。
【0098】
図10は、色変化量Δu’v’の最大値が同程度となった4つの拡散体(A:試験例1、B:試験例2、C:試験例3、D:実施例1)に対する拡散光強度の観察角度依存性を示すグラフである。
入射光は、正面方向からの平行光線からなる入射光を用いた。図10に示すように、観察角度の違いにより、4つの拡散体の拡散光強度は大きく異なった。しかし、観察角度が45度付近、すなわち観察角度が35度〜55度の角度範囲では、4つの拡散体は、ほぼ同等な拡散光強度を示した。
【0099】
図11は、図10で用いた4つの拡散体(A:試験例1、B:試験例2、C:試験例3、D:実施例1)に対する拡散光の割合と、観察角度の関係を示すグラフである。なお、拡散光の割合とは、入射光のうち拡散される光の割合である。
実施例1を除くサンプルは、観察角度が20度以下の範囲で、拡散光の割合が高く、観察角度を大きくするにしたがって、拡散光の割合が低下する傾向が得られた。
しかし、観察角度が45度付近、すなわち観察角度が35度〜55度の角度範囲の拡散光の割合は、どのサンプルも約10%程度と同程度であった。
【0100】
表1〜4で示したように、4つの拡散体(A:試験例1、B:試験例2、C:試験例3、D:実施例1)は、粒子径、散乱粒子の屈折率、拡散体の厚みなどの値が異なるが、ほぼ同等の色変化の抑止効果があった。
以上の結果から、観察角度が45度付近の方向への拡散光の割合が色変化の抑制に対して、強く影響していることが分かった。
次に、画像ボケおよび後方散乱ノイズの評価を行った。
【0101】
(拡散体を備えたTN型液晶表示装置における画像ボケの抑制効果)
画像ボケの抑制効果の評価については、たとえば、白地に黒文字を表示あるいは黒地に白文字を表示して、正面および斜め方向から十分に文字の判別を行うことができるかどうか調べた。実施例1〜3サンプル、試験例4サンプルは、十分に文字の判別を行うことができ、表3に示されるように、ヘイズ率が50%以下のものが画像ボケの抑制効果があることが分かった。
【0102】
(拡散体を備えたTN型液晶表示装置における後方散乱光ノイズの抑制効果)
後方散乱ノイズの抑制効果の評価を、拡散体を備えたTN型液晶表示装置に実際に画像を表示して、明るい部屋で観察して行った。すべてのサンプルは後方散乱光ノイズがほとんど気にかからないレベルのものであった。
【0103】
最後に、拡散体を備えたTN型液晶表示装置に実際に画像を表示して、それを観察した。観察角度に対する色変化の割合や、階調の変化は、ほぼ気にかからない程度の良好な画像が観察できた。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】本発明の拡散体を備えたTN型液晶表示装置を示す概略図である。
【図2】本発明の拡散体を備えたTN型液晶表示装置の光の経路を示す概略図である。
【図3】TN型液晶表示装置の画像ボケを説明する概略図である。
【図4】本発明の拡散体を用いた場合の拡散光強度と観察角度との関係を示すグラフである。
【図5】本発明の拡散体を用いた場合の演色性評価用8色の色度座標値を示すグラフである。
【図6】本発明の拡散体を用いた場合の演色性評価用8色の色変化量と観察角度との関係を示すグラフである。
【図7】本発明の拡散体を用いた場合の拡散光強度と観察角度との関係を示すグラフである。
【図8】本発明の拡散体を用いた場合の演色性評価用8色の色度座標値を示すグラフである。
【図9】本発明の拡散体を用いた場合の演色性評価用8色の色変化量と観察角度との関係を示すグラフである。
【図10】本発明の拡散体を用いた場合の拡散光強度と観察角度との関係を示すグラフである。
【図11】本発明の拡散体を用いた場合の拡散光の割合と観察角度との関係を示すグラフである。
【図12】TN型液晶表示装置の演色性評価用8色の色度座標値を示すグラフである。
【図13】TN型液晶表示装置の演色性評価用8色の色変化量と観察角度との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0105】
1…拡散体、1a…観察者と反対側の面、1b…観察者側の面、2…形成用材料、3…光散乱粒子、4…拡散フィルム、7…偏光層、9…TN型液晶層、9a…観察者と反対側の面、9b…観察者側の面、10…TN型液晶パネル、10a…観察者と反対側の面、10b…観察者側の面、11…バックライトユニット、13…TN型液晶表示装置、51、52…プラスチック基材フィルム、61、62…偏光フィルム(偏光板)、81…ガラス基板(カラーフィルター)、82…ガラス基板(TFT)、91…画素。
【技術分野】
【0001】
本発明は、拡散体、拡散フィルム、偏光フィルム、液晶表示装置に関するものである。特に、車載用の液晶表示装置に関するものであり、並びに、その液晶表示装置に用いられる拡散体、拡散フィルムおよび偏光フィルムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)が、液晶テレビ、パソコン用モニター、ノートPC、FA機器などの多くの用途に用いられるようになってきている。液晶表示装置は、代表的なフラットパネルディスプレイであり、軽く、薄く、低消費電力であるという特性を有するためである。
【0003】
特に、地上波デジタル放送の普及により車内で地上波デジタル放送を観るようになったことや、カーナビゲーションの普及により、車載用の液晶表示装置のニーズが高まっている。
しかしながら、車載用の液晶表示装置は、動画表示性能、発光輝度などの画像表示特性のほか、耐熱性、耐冷性などの耐環境性に対する要求が厳しく、仕様を満たすものがあまりない。
【0004】
液晶表示装置には、光入射方向、光出射方向の違いにより、反射型液晶表示装置や透過型液晶表示装置などがある。
また、液晶表示装置に用いられる液晶パネルには、液晶の分子配向の違いにより、TN(Twisted Nematic)型、VA(Vertical Alignment)型、IPS(In Plane Switching)型、OCB(Optically Compensated Bend)型などがある。
【0005】
IPS型液晶パネルは、ガラス基板面方向に電界を加え、液晶分子をガラス基板と平行な面内で回転させる方式である。一方のガラス基板に電極を形成しないですむので、開口率を上げ、表示性能を向上させることができる。また、VA型液晶パネルは、電圧がかかっていないときに、液晶分子がガラス基板に対して垂直方向を向いており、電圧をかけるとガラス基板に対して平行になり、光を通す方式である。
これらのIPS型液晶パネルやVA型液晶パネルは、耐熱性、耐冷性などの耐環境性はあまり優れていないので、高温高湿環境下に置かれる可能性の高い車載用の液晶表示装置には適していない。
【0006】
一方、TN型液晶パネルでは、液晶分子が基板に対して垂直な方向を軸に90度にねじれて配列されており、電圧を印加すると電界に沿う垂直方向に液晶分子が配列され、光を透過させたり、遮断したりして画像を表示する。このTN型液晶パネルは、耐熱性、耐冷性などの耐環境性に優れており、さらに、動作温度範囲が広い、開口率が高い、生産が安定しており安価で入手できるなどの優れた特性を有するので、車載用の液晶表示装置に適しており、最も一般的に使われている。しかし、表示画面を見る角度(以下、観察角度)の違いにより、表示画像の色が変化したり、表示階調が悪化するという問題があった。
【0007】
車載用の液晶表示装置は、その取り付け位置が限定されるので、ほとんどの表示画像が、画像表示面に対して斜め方向から見られる。
例えば、カーナビゲーション用途の液晶表示装置はダッシュボードの中央部あたりに取り付けられる。一方、画像を見る観察者は運転席や助手席にいるので、観察者は画像表示面に対して横方向30〜50度くらいから表示画像を見ることになる。また、リア用の液晶表示装置は助手席と運転席の間に設置される。画像を見る観察者は後部座席の右側や左側にいるので、観察者は画像表示面に対して横方向30〜50度くらいから表示画像を見ることになる。
【0008】
また、車内では、近距離で車載用の液晶表示装置の画像を見ることとなる。そのため、観察者の背丈やシート位置などによっても観察角度が変化する。たとえば、大人と子供では20度くらいまでの観察角度の違いが生じる場合もある。
以上の理由により、観察角度の違いにより、表示画像の色が変化したり、表示階調が悪化するということは、車載用の液晶表示装置にとって大きな問題となっていた。
【0009】
観察角度を変えても、表示画像の色を変化させず、表示階調が悪化させないようにするために、たとえば、特許文献1には、バックライトユニット(面光源)と、液晶パネルと、偏光板と、位相差フィルムと、光拡散層とからなる液晶表示装置が開示されている。この光拡散層を設けることにより、コントラストが高く、広視野な表示を可能にしている。
また、特許文献2には、バックライトユニットシステムと、液晶セルと、偏光板と、視野角拡大層とを備えた液晶表示装置が開示されている。この視野角拡大層を設けることにより、コントラストが高く、色再現性を向上させることができる。
【0010】
しかしながら、前記光拡散層や、前記視野角拡大層などを設けた場合には、画像ボケが生じたり、外部光の後方散乱光ノイズが発生して、表示画像が悪くなる場合が生じた。
たとえば、TN型液晶パネルの正面に拡散フィルムを設置する場合、TN型液晶パネルが有するガラス基板の厚みや、TN型液晶パネルのガラス基板の上に貼り付けられた偏光フィルムの厚みなどがあるため、拡散フィルムを画像表示面であるTN型液晶層に密着させることはできない。そのため、TN型液晶層から離れた位置に拡散体が設置されることになり、TN型液晶パネルの正面側の観察者から観察される画像にはボケが生じた。
また、明るい部屋で観察した場合には、外部光が前記光拡散層や前記視野角拡大層で後方散乱して後方散乱光ノイズを生じ、画像が白っぽくなり、見にくくなる場合があった。
【0011】
さらに、車載用の液晶表示装置では、通常よりかなり大きい観察角度で表示画像を見るにもかかわらず、耐熱性、耐冷性などの耐環境性の関係からTN型液晶表示装置が用いるので、上記構成を用いても、観察角度によって、表示画像の色や階調が変化し、良好な画像が見ることできないという問題点があった。
【特許文献1】特開平10−10513号公報
【特許文献2】特開2004−4763号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、観察角度による表示画像の色や階調の違いを小さくし、画像ボケを抑制し、かつ、外部光の後方散乱ノイズを抑制する拡散体、拡散フィルム、偏光フィルム、液晶表示装置を得ることを目的にしている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。すなわち、
本発明の拡散体は、TN型液晶パネルを備える液晶表示装置に用いられ、前記TN型液晶パネルの観察者側の面に配置される拡散体であって、前記拡散体は、形成用材料に光散乱粒子が分散されてなり、前記光散乱粒子と前記形成用材料との屈折率差Δnが0.05〜0.25であり、前記光散乱粒子の粒子径が0.3〜2.0μmであり、前記拡散体のヘイズ率が50%以下であり、前記拡散体の観察者と反対側の面に垂直な方向から平行光線からなる入射光を入射させたときに、前記入射光の8%以上が前記拡散体の観察者側の面に垂直な方向に対し35度〜55度の角度範囲に拡散されることを特徴とする。
【0014】
本発明の拡散フィルムは、先に記載の拡散体と、プラスチック基材フィルムと、を有することを特徴とする。
【0015】
本発明の偏光フィルムは、先に記載の拡散体と、偏光層と、プラスチック基材フィルムと、を有することを特徴とする。
【0016】
本発明の液晶表示装置は、先に記載の拡散体と、TN型液晶パネルと、を有することを特徴とする。
【0017】
本発明の液晶表示装置は、先に記載の拡散体の観察者と反対側の面が、前記TN型液晶パネルのTN型液晶層の観察者側の面から1.5mm以内となる位置に配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
上記構成によれば、観察角度による表示画像の色や階調の違いを小さくし、画像ボケを抑制し、かつ、外部光の後方散乱ノイズを抑制する拡散体、拡散フィルム、偏光フィルム、液晶表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための形態を説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態である液晶表示装置の一例を示す断面模式図である。
図1に示すように、液晶表示装置13は、偏光フィルム(偏光板)61と、TN型液晶パネル10と、偏光フィルム62と、バックライトユニットユニット11とから構成されている。
【0020】
正面方向f(観察者側)に配置された偏光フィルム(偏光板)61は、拡散フィルム4と、偏光層7と、プラスチック基材フィルム52とから構成されている。また、拡散フィルム4は、拡散体1とプラスチック基材フィルム51とから構成されている。
【0021】
TN型液晶パネル10は、ガラス基板(カラーフィルター)81とガラス基板(TFT基板)82との間にTN型液晶層9が挟持されて構成されている。TN型液晶層9は、ガラス基板(TFT基板)82のTFTセルに応じて液晶分子の配向を変える複数の画素(図示略)を備えている。
【0022】
偏光フィルム(偏光板)62は、プラスチック基材フィルム51、偏光層7と、プラスチック基材フィルム52とから構成されている。また、バックライトユニットユニット11は、冷陰極蛍光ランプ(CCFL:Cold Cathode Fluorescent Lamp)(図示略)と、このCCFLからの光を正面方向f(観察者側)へと導く導光板(図示略)とから構成されている。
【0023】
なお、光学補償を行うために、TN型液晶パネル10と偏光フィルム62の間に、および、TN型液晶パネルと偏光フィルム61の間に、傾斜配向されたディスコティック液晶等からなる位相差フィルムを挿入してもよい。
【0024】
偏光フィルム61,62において用いられるプラスチック基材フィルム51、52としては、光透過性の高い材料であればよく、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、シクロオレフィン系などを用いることができる。
【0025】
拡散フィルム4は、拡散体1とプラスチック基材フィルム61とから構成されている。
拡散体1は、形成用材料2に光散乱粒子3が分散されてなる。観察者と反対側の面1aと観察者側の面1bとを備えている。
【0026】
形成用材料2の材料としては、電離放射線硬化型材料、熱可塑性樹脂、熱硬化型材料など種々の樹脂材料(バインダー)を用いることができる。形成用材料2については、液晶表示装置の最も観察者側に配置されることから、ハードコート性を有するものが好ましい。そのため、硬化することにより高い表面硬度を実現することができる電離放射線硬化型材料が特に好ましい。
【0027】
電離放射線硬化型材料としては、紫外線(UV)硬化型材料、電子線硬化型材料などを挙げることができる。
たとえば、ポリエステルアクリレートやウレタンアクリレートなどのアクリレート系官能基を持つ樹脂材料を用いることが好ましい。
このうち、ポリエステルアクリレートについては、ポリエステル系ポリオールのオリゴマーのアクリレート又はメタアクリレート、若しくはその混合物を挙げることができる。(以下、アクリレート及び/又はメタアクリレートを(メタ)アクリレートと記載する。)
一方、ウレタンアクリレートついては、ポリオール化合物をジイソシアネート化合物からなるオリゴマーをアクリレート化したものを挙げることができる。
【0028】
アクリレートを構成する単量体としては、たとえば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。
【0029】
また、形成用材料2は、多官能モノマーを併用してもよい。
多官能モノマーとしては、たとえば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。
【0030】
ポリエステル系オリゴマーとしては、たとえば、アジピン酸とグリコール(エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ポリブチレングリコール等)やトリオール(グリセリン、トリメチロールプロパン等)、セバシン酸とグリコールやトリオールとの縮合生成物であるポリアジペートポリオールや、ポリセバシエートポリオールなどを挙げることができる。
【0031】
また、硬化の際に電離放射線硬化型材料の重合を効率良く進行させるために、形成用材料2に重合開始剤を配合してもよい。
この重合開始剤としては、特に制限はないものの、活性エネルギーを照射した際にラジカルを発生する化合物を用いることが好ましい。このような重合開始剤としては、たとえば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパンー1−オン、2−メチル[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2,2−ジメトキシー1,2−ジフェニルエタン−1−オン、ベンゾフェノン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル1−プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイドなどを挙げることができる。
また、重合開始剤の配合量については、形成用材料2を100重量部に対して、0.1〜10重量部であることが好ましく、より好ましくは1〜7重量部であり、更に好ましくは1〜5重量部である。
【0032】
形成用材料2と光散乱粒子3とを混合した拡散体溶液(塗液)には、必要に応じて、溶媒を加えることができる。
溶媒については、特に制限されないものの、たとえば、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、トルエン、キシレン等の芳香族化合物、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類などを挙げることができる。
【0033】
光散乱粒子3としては、たとえば、酸化アルミニウム粒子、酸化ジルコニウム粒子、酸化マグネシウム粒子、酸化ケイ素粒子、炭酸カルシウム粒子などの無機系粒子や、メラミン粒子、PMMA粒子、ポリスチレン粒子、スチレン/PMMA共重合粒子、ポリカーボネート粒子、ポリウレタン粒子、ナイロン粒子、ポリエチレン粒子、ポリプロピレン粒子、シリコーン粒子、ポリテトラフルオロエチレン粒子、ポリフッ化ビニリデン粒子、ポリ塩化ビニリデン粒子などの有機系粒子などを用いることができる。
【0034】
形成用材料2との屈折率差を考慮して光散乱粒子3を選択する際に、高屈折率材料が求められるときは、たとえば、無機系粒子である金属化合物粒子を用いればよい。
たとえば、酸化アルミニウム(n=1.76)、酸化ジルコニウム(n=2.4)、硫化亜鉛(n=2.37)、酸化亜鉛(n=2.01)、酸化チタン(n=2.61,2.903)、酸化マグネシウム(n=1.72)などの金属化合物粒子を挙げることができる。その中でも特に、酸化アルミニウムは、化学的な安定性が高いので好適に用いることができる。
また、形成用材料2との屈折率差を考慮して光散乱粒子3を選択する際に、低屈折率材料が求められるときは、シリコーン粒子(n=1.43)などの有機系粒子を好適に用いることができる。
なお、光散乱粒子3は、異なる材料の2種類以上の粒子から構成されていてもよい。
【0035】
また、たとえば、SiO2、ZrO2、Al2O3、ZnOを光散乱粒子として用いる場合には、透明樹脂、カップリング剤、または界面活性剤などにより表面を被覆する処理を行うことにより、または、アルコール、アミン、または有機酸などを用いて表面を化学処理することにより、形成用材料2に対する光散乱粒子3の分散性を向上させることができる。
【0036】
光散乱粒子3の粒子径は、0.3〜2.0μmであることが好ましい。
光散乱粒子3の粒子径が0.3μm未満の場合には、入射する光に対し後方散乱の度合いが大きくなってしまう。
逆に、光散乱粒子3の粒子径が2.0μmを超える場合には、入射する光を前方に広い角度で散乱することができなくなってしまう。
【0037】
なお、光散乱粒子3の粒子径は、光散乱粒子3が球状の場合には、光散乱粒子3の直径の平均値であり、光散乱粒子3が回転楕円体の場合には、短径の平均値を用いる。この粒子径は、たとえば、粒度分布計SD−2000(シスメックス株式会社製)で測定することができる。
【0038】
形成用材料2と光散乱粒子3との屈折率差Δnは0.05〜0.25であることが好ましい。
前記屈折率差Δnが0.05未満の場合には、光を効果的に散乱させることができないため好ましくない。逆に、前記屈折率差Δnが0.25を超える場合には、入射する光に対し後方散乱の度合いが大きくなってしまう。なお、前記屈折率差Δnは、可視光領域において、0.05〜0.25となればよい。また、光散乱粒子3の屈折率は、形成用材料2の屈折率よりも低くても高くてもよい。
【0039】
さらに、光散乱粒子3の粒子径を小さくして、かつ、形成用材料2と光散乱粒子3との屈折率差Δnを大きくした場合、後方散乱光が大きくなって、明るいところで画像が見にくくなるので好ましくない。
たとえば、光散乱粒子3の粒子径を0.3μm未満として、かつ、形成用材料2と光散乱粒子3との屈折率差Δnを0.25超とした場合には、後方散乱光が大きくなる。
【0040】
普通、明るいところで液晶ディスプレイなどを観察する場合には、液晶ディスプレイの表面で外部光による反射による写りこみやノイズが生じる。これを表面反射という。この表面反射の光強度は普通、外部光の4%程度である。
表面反射の光強度よりも、後方散乱光の光強度が大きい場合には、後方散乱光が表示画像を見にくくする影響が大きく、表示画像を全体的に白っぽくして、表示画像の画質を劣化させる。
逆に、表面反射の光強度よりも、後方散乱光の光強度が小さい場合には、後方散乱光が表示画像を見にくくする影響は少ないといえる。
【0041】
すなわち、光散乱粒子3の粒子径を0.3μm以上として、かつ、形成用材料2と光散乱粒子3との屈折率差Δnを0.25以下とすることにより、後方散乱光の光強度を表面反射の光強度よりも小さくすることができ、表示画像を見にくくする影響を少なくすることができる。
【0042】
また、光散乱粒子3の粒子径を2.0μm以下として、かつ、光散乱粒子3と形成用材料2との屈折率差Δnを0.05未満とすることにより、拡散体1の厚みや光散乱粒子3の分散状態などによって違ってくるが、拡散体1のヘイズ率を50%以下とすることができ、画像ボケを抑制することができる。
【0043】
形成用材料2に分散させる光散乱粒子3の含有量は、特に規定されない。光散乱粒子3の量は、形成用材料2に均一に分散させることのできる量であればよい。形成用材料2に分散させる光散乱粒子3の含有量が多すぎて、均一に分散させることができない場合には、拡散体1の光特性が面内でばらつくおそれが発生するので好ましくない。
さらに、拡散体1の膜厚も、特に規定されない。
【0044】
拡散体1のヘイズ率は、50%以下であることが好ましい。
拡散体1のヘイズ率は、50%以下である場合には、光透過率が十分であり、表示画像のエッジ部分を明確にして、画像ボケを抑制できる。
逆に、拡散体1のヘイズ率が50%を超える場合には、光透過率を低下させて、表示画像のエッジ部分を不明確にして、画像ボケを生じさせるので好ましくない。
なお、このヘイズ率は可視光領域の光に対する値であり、たとえば、ヘイズメーター(株式会社村上色彩研究所社製 商品名「HM−150」)で測定する。
【0045】
図2は、本発明の実施形態である液晶表示装置における光の経路を示した概略図である。
まず、バックライトユニット11から光Iが出射される。
この光Iは、偏光フィルム62の偏光層7で偏光された後、TN型液晶パネル10の観察者と反対側の面10aに入射され、TN型液晶層9を通過して、TN型液晶パネル10の観察者側の面10bから出射される。
TN型液晶パネル10の観察者側の面10bから出射された光は、偏光フィルム61へ入射され、偏光層7で偏光された後、拡散体1の観察者と反対側の面1aへ入射される。
【0046】
さらに、拡散体1に入射された光は、拡散体1の内部を通過する際に光の一部が内面拡散され、そのまま透過する透過光Tと、拡散体1の内部で内面拡散されて出射される拡散光Dからなる出射光Oとして、拡散体1の観察者側の面1bから正面方向fへ出射される。
【0047】
本発明の拡散体にあっては、拡散体1の観察者と反対側の面1aに、垂直な方向から平行光線からなる入射光を入射させたときに、前記入射光の8%以上が観察者側の面1bに垂直な方向に対し35度〜55度(45度前後)の角度範囲に拡散されることが好ましい。
拡散体1により、正面方向fに射出される光の8%以上を、観察者側の面1bに垂直な方向に対し35度〜55度(45度前後)の角度範囲に出射させることにより、横方向から表示画面を見たときに、観察角度を変えて表示画像を見た時の色変化の割合を小さくすることができる。
逆に、正面方向fから35度〜55度(45度前後)の角度範囲に拡散される光が入射光のうちの8%未満の場合には、このように効果的に色変化抑制を行うことができない。
【0048】
なお、このとき、拡散体1は形成用材料2に光散乱粒子3をアットランダムに分散させた系であるので、拡散光Dは等方的に拡散されると仮定する。また、正面方向fから同じ角度に出射される光の光強度は等しいと仮定する。さらに、拡散光Dの光強度は、正面方向fから同じ角度に出射される光の光強度を合わせた値と仮定する。
【0049】
TN型液晶パネル9の観察者側の面9bと、拡散体1の観察者と反対側の面1aは平行とされており、その間の距離は1.5mm以下の範囲内になるように配置されることが好ましい。
拡散体1とTN型液晶層9を近づけて配置することにより、画像ボケを抑制することができるためである。なお、画像ボケとは、画素のエッジ部分が不明確となる現象である。
【0050】
図3は、本発明の実施形態である拡散体1を用いた場合の画像ボケ抑制効果について説明する断面概略図であって、図3(a)は、拡散体1で進行方向を変えた後、観察者の目に入る光の経路を説明する図であり、図3(b)は、拡散体1で進行方向を変えることなく、そのまま観察者の目に入る光の経路を説明する図である。
ガラス基板8の観察者側の面10bには、拡散体1が配置されており、拡散体1の観察者側の面1bから少し離されて、観察者の目が描かれている。
【0051】
なお、図3においては、TN型液晶パネル10をガラス基板(カラーフィルター)81と画素91とで簡易的に示すとともに、拡散体1とTN型液晶パネル10との間に存在するプラスチック基材フィルム51、52などの部材は省略して記載している。
【0052】
図3(a)は拡散光Dによる光の経路を示したものであり、画素91の幅方向のエッジ部分91c、91dを示す光は、矢印g、hで示す経路に沿って、拡散体1の内部で内面拡散されて観察者の目に入射される。このとき、観察者の目は、画素91の幅wを、実際よりも大きな幅Wで観察する。
一般的な車載用液晶表示装置に用いるTN型液晶パネル10では、ガラス基板81の厚みが1mm程度であり、画素91の幅は200〜300μm程度であるので、車の中の観察者の位置を考慮すると、画素91の幅は両側に合わせて約500μm程度広がり、観察者が見る画像は、かなりボケたものとなる。
【0053】
一方、図3(b)は素抜け光(透過光)Tによるものであり、画素91の幅方向のエッジ部分91c、91dを示す光は、矢印hで示す経路に沿って、拡散体1の内部で内面拡散されることなく、直接、観察者の目に入射される。
このとき、観察者の目は、画素91をその幅wで観察する。このように、素抜け光(透過光)Tによる画像は、画素91の幅方向のエッジ部分91c、91dからの光が、拡散体1で内面拡散されずにそのまま目に入るので、画素91の大きさは変わらず、ボケた画像にはならない。
【0054】
実際に観察者が見る画像は、素抜け光(透過光)Tと拡散光Dを合わせた出射光Oであるので、拡散光Dの光強度の割合が素抜け光(透過光)Tに比べて小さい場合には画像ボケが抑制される。また、ガラス基板8の板厚が薄く、拡散光Dで表示される画素91の幅Wと実際の画素の幅wがそれほど違わない場合にも、画像ボケが抑制される。
【0055】
拡散体1のヘイズ率は、50%以下であることが好ましい。
拡散体1のヘイズ率を50%以下とすることで、入射光の50%程度以上の光が素抜け光(透過光)Tとすることができ、その結果、画像ボケを防止することができるためである。なお、拡散体1のヘイズ率が50%以下の場合は、白地に黒文字を表示した場合、文字を明確に認識するために必要なコントラストを得ることができ、白地部分と黒文字部分で少なくとも2倍程度の明るさの違いを得ることができる。
【0056】
このように、拡散体1のヘイズ率を少なくとも50%以下とすることで、素抜け光(透過光)Tの割合を高めることができ、その結果、画像ボケを防止することができる。
また、画素91の幅方向のエッジ部分91c、91dを判別できることにより、細かい文字情報を認識できるだけの解像度を得ることができる。
【0057】
(拡散体の製造方法)
本発明の実施形態である拡散体1の製造方法の一例について説明する。
まず、未硬化の形成用材料2に光散乱粒子3を溶媒中で混合し、拡散体溶液(塗液)を調製する。
次に、拡散体溶液(塗液)を、所定の膜厚でプラスチック基材フィルム上に塗布する。塗布の方法としては、スピンコーティング法、ロールコート法、スプレー法、バーコート法、ダイコート法、フローコート法、デッピング法あるいはスクリーン印刷法などを用いることができる。プラスチック基材フィルムとしては、光透過性の高い材料であればよく、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、シクロオレフィン系などを用いることができる。
【0058】
次に、拡散体溶液(塗液)を乾燥させ、たとえば、電子線(EB:Electron Beam)等の放射線を照射して、形成用材料2を硬化させることにより、形成用材料2に光散乱粒子3が分散された拡散体1を形成した拡散フィルム4を作製することができる。
なお、硬化の方法としては、上記電子線照射工程の他に、紫外線照射工程、加熱工程などを用いることができ、形成用材料2の種類に応じて硬化方法を設定する。
【0059】
また、塗工特性を良くするため、拡散体溶液(塗液)の粘度は、1〜200cp(mPa・s)とすることが好ましく、塗液中の溶媒を除いた固形成分の割合は、20〜60質量%とすることが好ましい。
以上により、プラスチック基材フィルム上に拡散体を形成することができる。
【0060】
本発明の実施形態である拡散体1は、形成用材料2に光散乱粒子3が分散されてなり、前記光散乱粒子3と前記形成用材料2との屈折率差Δnが0.05〜0.25である構成なので、光を効果的に散乱させることができ、表示画像を見やすくすることができる。正面方向fからの観察角度を変えた際に生じる表示画像の色変化を抑制することができる。
【0061】
本発明の実施形態である拡散体1は、光散乱粒子3の粒子径が0.3〜2.0μmとなる構成なので、正面方向fからの観察角度を変えた際に生じる表示画像の色変化を抑制することができる。
【0062】
本発明の実施形態である拡散体1は、ヘイズ率が50%以下となる構成なので、素抜け光(透過光)Tの割合を高めることができ、画像ボケを抑制することができる。
【0063】
本発明の実施形態である拡散体1は、拡散体1の観察者と反対側の面1aに垂直な方向から平行光線からなる入射光を入射させたときに、前記入射光の8%以上が前記拡散体1の観察者側の面1bに垂直な方向に対し35度〜55度の角度範囲に拡散される構成なので、正面方向fからの観察角度を変えた際に生じる表示画像の色変化を抑制することができる。
【0064】
本発明の実施形態である拡散体1は、形成用材料2に光散乱粒子3が分散されてなる構成なので、光を効率よく透過させ、輝度を向上させることができるとともに、観察角度の違いによる色変化、色や階調の違いを抑制することができる。さらに、画像ボケを抑制し、外部光ノイズを抑制することができる。
【0065】
本発明の実施形態である液晶表示装置13は、拡散体1を有する構成なので、TN型液晶パネル10の観察角度の違いに対する色変化を抑制することができ、観察角度によらず良好な画像が観察できる。特に、観察角度を大きくして利用する車載用の液晶表示装置として明確な表示を行うことができる。
【0066】
本発明の実施形態である拡散フィルム4は、拡散体1とプラスチック基材フィルム51とからなる構成なので、容易に偏光層7を備えたプラスチック基材フィルム52に貼り付けて偏光フィルム61を作製することができ、偏光フィルム61の製造工程を簡略化することができ、この偏光フィルム61を用いたTN型液晶表示装置において、観察角度を変えて表示画像を見たときの色変化を抑制し、画像ボケを抑制し、さらに後方散乱光ノイズを抑制させることができる。
【0067】
本発明の実施形態である偏光フィルム61は、拡散フィルム4と、偏光層7と、プラスチック基材フィルム52とからなる構成なので、容易にTN型液晶パネル10の観察側の面10bに貼り付けることができ、TN型液晶表示装置の製造工程を簡略化するとともに、観察角度を変えて表示画像を見たときの色変化を抑制し、画像ボケを抑制し、さらに後方散乱光ノイズを抑制することができるとともに、偏光を利用して表示画像の性能を向上させることができる。
【0068】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。しかし、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。
【実施例】
【0069】
まず、本発明の拡散体を備えないTN型液晶表示装置における観察色の観察角度依存性を示し、次に、本発明の拡散体を備えたTN型液晶表示装置における観察色の観察角度依存性を示す。これらを比較することにより、拡散体の効果を明らかにすることができる。
【0070】
(TN型液晶表示装置における観察色の観察角度依存性)
TN型液晶表示装置は、TN型液晶層を2枚のガラス基板で挟み込んだTN型液晶パネルと、バックライトユニットとからなる。バックライトユニットから出射された光はTN型液晶パネルに入射され、TN型液晶層を通過して、出射される。
【0071】
図12は、前記TN型液晶表示装置に演色性評価用8色を表示したときに、観察される色の観察角度依存性を示すグラフであって、CIE1976u’v’表色系における座標値(u’,v’)で示したものある。
演色性評価用8色は、それぞれ、CIE1976u’v’表色系における座標値(u’,v’)で示されている。
【0072】
観察角度が0度(正面方向)の場合には、各色はCIE1976u’v’表色系における座標の中で分散され、各色が表示した色で正確に表示されている。しかし、観察角度を20度、40度と上げるにしたがって、彩度が低下した。観察角度が80度の場合には、観察角度が0度(正面方向)で見る色と全く異なり、全体的に黄色みがかった色への色シフトが見られた。
【0073】
観察角度を変えたときの色変化量Δu’v’は、次式(1)により求める。
Δu’v’={(u1’−u0’)2+(v1’ −v0’)2}0.5…(1)
ここで、(u0’,v0’)は正面方向で観察された色の座標値であり、(u1’,v1’)は観察角度を変えて観察された色のCIE1976u’v’表色系における座標値である。
【0074】
図13は、図12で得られた結果をもとにして、異なる観察角度における色変化量Δu’v’を示したグラフである。
観察角度が60〜80°の範囲で最も大きな色変化が生じ、色変化量Δu’v’の最大値が0.1を超えた。
【0075】
(拡散体を備えたTN型液晶表示装置における観察色の観察角度依存性)
(試験例1)
試験例1サンプルの拡散体を、相分離の方法により作製した。
まず、酢酸ビニルとアクリルモノマーを1:1で混合した拡散体溶液をTACフィルムに塗布して乾燥後、硬化させてTACフィルム上に拡散体を10μmの膜厚で形成した。このようにして得られた拡散体は、球状構造のアクリルモノマーが酢酸ビニルに分散され固化された構造を備えるものであった。得られた拡散体について走査電子顕微鏡(SEM)で断面観察をおこなったところ、球状構造のアクリルモノマーの粒子径は1〜2μmであった。また、試験例1サンプルの拡散フィルムのヘイズ率は54.2%となった。
【0076】
(試験例2)
まず、屈折率が1.53のアクリル系UV硬化樹脂中に、屈折率が1.65、粒子径が2μmのメラミンからなる光散乱粒子を分散させて、拡散体溶液を調整した。なお、粒子比率は25%とした。
次に、この拡散体溶液を、TACフィルム上に塗布した後、UV光で露光処理をして硬化させて、膜厚6μmの拡散体を備えた拡散フィルム(試験例2サンプル)を作製した。試験例2サンプルの拡散フィルムのヘイズ率は77.5%となった。
【0077】
(試験例3〜7)
表1に示すような条件で拡散体を作製したほかは試験例1と同様にして、拡散フィルム(試験例3〜7サンプル)を作製した。
【0078】
(実施例1)
まず、屈折率が1.53のアクリル系UV硬化樹脂中に、屈折率が1.65、粒子径が0.5μmのメラミンからなる光散乱粒子を分散させて、拡散体溶液を調整した。なお、粒子比率は20%とした。
次に、この拡散体溶液を、TACフィルム上に塗布した後、UV光で露光処理をして硬化させて、膜厚6μmの拡散体を備えた拡散フィルム(実施例1サンプル)を作製した。実施例1サンプルの拡散フィルムのヘイズ率は42.2%となった。
【0079】
図4は、実施例1サンプルの拡散フィルムの拡散光強度と観察角度の関係を示すグラフである。
上記の拡散フィルムに、垂直に平行光を入射させて、観察角度を変えて、拡散光の光強度を測定した。拡散光強度は、観察角度が10度以下の場合、高い値を示し、観察角度を大きくするに従い小さくなった。
なお、このグラフを元に、入射光に対する35度〜55度の観察角度範囲の拡散光の割合を計算した。入射光に対する35度〜55度の観察角度範囲の拡散光の割合は11.9%であった。
【0080】
次に、実施例1サンプルの拡散フィルムを、TN型液晶パネルの光出射面側に配置して、拡散体を備えたTN型液晶表示装置を作製した。
【0081】
図5は、前記TN型液晶表示装置に演色性評価用8色を表示したときに、観察される色の観察角度依存性を示すグラフであって、CIE1976u’v’表色系における座標値(u’,v’)で示したものである。
観察角度が0度(正面方向)の場合には、演色性評価用8色は色度座標の中で分散され、液晶セルが表示した色で表示されている。また、観察角度を20度、40度と上げても、彩度はそれほど低下しなかった。観察角度が80度の場合でも、観察角度が0度(正面方向)で見る色とあまり変わらず、ほとんど全ての色を液晶セルが表示した色で表示された。
【0082】
図6は、図5で得られた結果をもとにして、異なる観察角度における色変化量Δu’v’を示したグラフである。
色変化量Δu’v’の最大値は0.034であり、観察角度を変えても大きな色変化は生じなかった。
【0083】
観察角度の違いによる色変化を抑制する効果の評価は、色変化量Δu’v’ の最大値が、拡散体1を設置しない場合の色変化量Δu’v’ の最大値の半分以下に抑えられているかどうかで評価した。
たとえば、TN型液晶パネル10の色変化量Δu’v’の最大値が0.1の場合に、拡散体1を配置したときの色変化量Δu’v’の最大値が0.05以下(50%以下)に抑えられていれば、拡散体1を設置することにより、観察角度の違いによる色変化を抑制する効果があると評価した。
【0084】
実施例1サンプルの拡散フィルムを用いた場合には、色変化量Δu’v’の最大値が、拡散フィルムを配置しない場合の色変化量Δu’v’の最大値の約34%となった。そのため、実施例1サンプルの拡散フィルムは、観察角度の違いによる色変化を抑制する効果があると評価した。
【0085】
(実施例2)
まず、屈折率が1.53のアクリル系UV硬化樹脂中に、屈折率が1.76、粒子径が約0.4μmのアルミナフィラーを分散させた拡散体溶液を調整した。なお、粒子比率は8%とした。
次に、この拡散体溶液を、TACフィルム上に塗布した後、UV光で露光処理をして硬化させて、膜厚11μmの拡散体を備えた拡散フィルム(実施例2サンプル)を作製した。実施例2サンプルの拡散フィルムのヘイズ率は46.9%となった。
【0086】
図7は、実施例2サンプルの拡散フィルムの拡散光強度と観察角度の関係を示すグラフである。入射光に対する35度〜55度の観察角度範囲の拡散光の割合は10.4%であった。
【0087】
次に、実施例2サンプルの拡散フィルムを、TN型液晶パネルの光出射面側に配置して、拡散体を備えたTN型液晶表示装置を作製した。
【0088】
図8は、前記TN型液晶表示装置に演色性評価用8色を表示したときに、観察される色の観察角度依存性を示すグラフであって、CIE1976u’v’表色系における座標値(u’,v’)で示したものある。
観察角度が0度(正面方向)の場合には、演色性評価用8色は色度座標の中で分散され、液晶セルが表示した色で表示されている。また、観察角度を20度、40度と上げても、彩度はそれほど低下しなかった。観察角度が80度の場合でも、観察角度が0度(正面方向)で見る色とあまり変わらず、ほとんど全ての色を液晶セルが表示した色で表示された。
【0089】
図9は、図8で得られた結果をもとにして、異なる観察角度における色変化量Δu’v’を示したグラフである。
色変化量Δu’v’の最大値は0.042であり、観察角度を変えても大きな色変化は生じなかった。
【0090】
実施例2サンプルの拡散フィルムを用いた場合には、色変化量Δu’v’の最大値が、拡散フィルムを配置しない場合の色変化量Δu’v’の最大値の約42%となった。そのため、実施例1サンプルの拡散フィルムは、観察角度の違いによる色変化を抑制する効果があると評価した。
【0091】
(実施例3)
まず、屈折率が1.53のアクリル系UV硬化樹脂中に、屈折率が1.65、粒子径が約0.5μmのメラミンからなる光散乱粒子を分散させた拡散体溶液を調整した。なお、粒子比率は25%とした。
次に、この拡散体溶液を、TACフィルム上に塗布した後、UV光で露光処理をして硬化させて、膜厚11μmの拡散体を備えた拡散フィルム(実施例3サンプル)を作製した。実施例3サンプルの拡散フィルムのヘイズ率は49.1%となった。
【0092】
表1は、試験例1〜7、実施例1〜3の拡散体の作製条件を示す表である。表2は、試験例1〜7サンプル、実施例1〜3サンプルの色変化量Δu’v’の最大値と、観察角度が35度〜55度の角度範囲における光の割合を示す表である。表3は、試験例1〜7サンプル、実施例1〜3サンプルのヘイズ率を示した表である。表4は、試験例1〜7サンプル、実施例1〜3サンプルの形成用材料と散乱粒子との屈折率差および光散乱粒子の粒子径を示した表である。
【0093】
【表1】
【0094】
【表2】
【0095】
【表3】
【0096】
【表4】
【0097】
表2から分かるように、試験例4、5サンプルは、色変化量Δu’v’の最大値が大きく、これらの拡散体を設置しても観察角度を変えた場合に生じる色変化を抑制することがほとんどできなかった。これらの拡散体は、観察角度が35度〜55度の角度範囲における光の割合が低いものであった。
逆に、観察角度が35度〜55度の角度範囲の光の割合が約8%以上である場合、色変化量Δu’v’の最大値が0.05以下となり、色変化量を小さくすることができ、観察角度の違いによる色の変化の割合を抑えることができることが分かった。
【0098】
図10は、色変化量Δu’v’の最大値が同程度となった4つの拡散体(A:試験例1、B:試験例2、C:試験例3、D:実施例1)に対する拡散光強度の観察角度依存性を示すグラフである。
入射光は、正面方向からの平行光線からなる入射光を用いた。図10に示すように、観察角度の違いにより、4つの拡散体の拡散光強度は大きく異なった。しかし、観察角度が45度付近、すなわち観察角度が35度〜55度の角度範囲では、4つの拡散体は、ほぼ同等な拡散光強度を示した。
【0099】
図11は、図10で用いた4つの拡散体(A:試験例1、B:試験例2、C:試験例3、D:実施例1)に対する拡散光の割合と、観察角度の関係を示すグラフである。なお、拡散光の割合とは、入射光のうち拡散される光の割合である。
実施例1を除くサンプルは、観察角度が20度以下の範囲で、拡散光の割合が高く、観察角度を大きくするにしたがって、拡散光の割合が低下する傾向が得られた。
しかし、観察角度が45度付近、すなわち観察角度が35度〜55度の角度範囲の拡散光の割合は、どのサンプルも約10%程度と同程度であった。
【0100】
表1〜4で示したように、4つの拡散体(A:試験例1、B:試験例2、C:試験例3、D:実施例1)は、粒子径、散乱粒子の屈折率、拡散体の厚みなどの値が異なるが、ほぼ同等の色変化の抑止効果があった。
以上の結果から、観察角度が45度付近の方向への拡散光の割合が色変化の抑制に対して、強く影響していることが分かった。
次に、画像ボケおよび後方散乱ノイズの評価を行った。
【0101】
(拡散体を備えたTN型液晶表示装置における画像ボケの抑制効果)
画像ボケの抑制効果の評価については、たとえば、白地に黒文字を表示あるいは黒地に白文字を表示して、正面および斜め方向から十分に文字の判別を行うことができるかどうか調べた。実施例1〜3サンプル、試験例4サンプルは、十分に文字の判別を行うことができ、表3に示されるように、ヘイズ率が50%以下のものが画像ボケの抑制効果があることが分かった。
【0102】
(拡散体を備えたTN型液晶表示装置における後方散乱光ノイズの抑制効果)
後方散乱ノイズの抑制効果の評価を、拡散体を備えたTN型液晶表示装置に実際に画像を表示して、明るい部屋で観察して行った。すべてのサンプルは後方散乱光ノイズがほとんど気にかからないレベルのものであった。
【0103】
最後に、拡散体を備えたTN型液晶表示装置に実際に画像を表示して、それを観察した。観察角度に対する色変化の割合や、階調の変化は、ほぼ気にかからない程度の良好な画像が観察できた。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】本発明の拡散体を備えたTN型液晶表示装置を示す概略図である。
【図2】本発明の拡散体を備えたTN型液晶表示装置の光の経路を示す概略図である。
【図3】TN型液晶表示装置の画像ボケを説明する概略図である。
【図4】本発明の拡散体を用いた場合の拡散光強度と観察角度との関係を示すグラフである。
【図5】本発明の拡散体を用いた場合の演色性評価用8色の色度座標値を示すグラフである。
【図6】本発明の拡散体を用いた場合の演色性評価用8色の色変化量と観察角度との関係を示すグラフである。
【図7】本発明の拡散体を用いた場合の拡散光強度と観察角度との関係を示すグラフである。
【図8】本発明の拡散体を用いた場合の演色性評価用8色の色度座標値を示すグラフである。
【図9】本発明の拡散体を用いた場合の演色性評価用8色の色変化量と観察角度との関係を示すグラフである。
【図10】本発明の拡散体を用いた場合の拡散光強度と観察角度との関係を示すグラフである。
【図11】本発明の拡散体を用いた場合の拡散光の割合と観察角度との関係を示すグラフである。
【図12】TN型液晶表示装置の演色性評価用8色の色度座標値を示すグラフである。
【図13】TN型液晶表示装置の演色性評価用8色の色変化量と観察角度との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0105】
1…拡散体、1a…観察者と反対側の面、1b…観察者側の面、2…形成用材料、3…光散乱粒子、4…拡散フィルム、7…偏光層、9…TN型液晶層、9a…観察者と反対側の面、9b…観察者側の面、10…TN型液晶パネル、10a…観察者と反対側の面、10b…観察者側の面、11…バックライトユニット、13…TN型液晶表示装置、51、52…プラスチック基材フィルム、61、62…偏光フィルム(偏光板)、81…ガラス基板(カラーフィルター)、82…ガラス基板(TFT)、91…画素。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
TN型液晶パネルを備える液晶表示装置に用いられ、
前記TN型液晶パネルの観察者側の面に配置される拡散体であって、
前記拡散体は、形成用材料に光散乱粒子が分散されてなり、
前記光散乱粒子と前記形成用材料との屈折率差Δnが0.05〜0.25であり、
前記光散乱粒子の粒子径が0.3〜2.0μmであり、
前記拡散体のヘイズ率が50%以下であり、
前記拡散体の観察者と反対側の面に垂直な方向から平行光線からなる入射光を入射させたときに、前記入射光の8%以上が前記拡散体の観察者側の面に垂直な方向に対し35度〜55度の角度範囲に拡散されることを特徴とする拡散体。
【請求項2】
請求項1に記載の拡散体と、プラスチック基材フィルムと、を有することを特徴とする拡散フィルム。
【請求項3】
請求項1に記載の拡散体と、偏光層と、プラスチック基材フィルムと、を有することを特徴とする偏光フィルム。
【請求項4】
請求項1に記載の拡散体と、TN型液晶パネルと、を有することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項5】
請求項1に記載の拡散体の観察者と反対側の面が、前記TN型液晶パネルのTN型液晶層の観察者側の面から1.5mm以内となる位置に配置されていることを特徴とする請求項4に記載の液晶表示装置。
【請求項1】
TN型液晶パネルを備える液晶表示装置に用いられ、
前記TN型液晶パネルの観察者側の面に配置される拡散体であって、
前記拡散体は、形成用材料に光散乱粒子が分散されてなり、
前記光散乱粒子と前記形成用材料との屈折率差Δnが0.05〜0.25であり、
前記光散乱粒子の粒子径が0.3〜2.0μmであり、
前記拡散体のヘイズ率が50%以下であり、
前記拡散体の観察者と反対側の面に垂直な方向から平行光線からなる入射光を入射させたときに、前記入射光の8%以上が前記拡散体の観察者側の面に垂直な方向に対し35度〜55度の角度範囲に拡散されることを特徴とする拡散体。
【請求項2】
請求項1に記載の拡散体と、プラスチック基材フィルムと、を有することを特徴とする拡散フィルム。
【請求項3】
請求項1に記載の拡散体と、偏光層と、プラスチック基材フィルムと、を有することを特徴とする偏光フィルム。
【請求項4】
請求項1に記載の拡散体と、TN型液晶パネルと、を有することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項5】
請求項1に記載の拡散体の観察者と反対側の面が、前記TN型液晶パネルのTN型液晶層の観察者側の面から1.5mm以内となる位置に配置されていることを特徴とする請求項4に記載の液晶表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−133907(P2009−133907A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−307765(P2007−307765)
【出願日】平成19年11月28日(2007.11.28)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月28日(2007.11.28)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】
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