説明

拡散強調エコープラナー撮像法において高次渦電流に誘発された歪みを予測補正するためのシステムおよび方法

【課題】DW−EPIにおいて、HOEC(高次渦電流)に起因する歪みを補正することができるシステムおよび方法を提供する。
【解決手段】コンピュータは、複数の基底係数および複数の時定数を発生させるためにキャリブレーションデータを処理し、複数の基底係数、複数の時定数、および所与のパルスシーケンスにおける勾配波形に基づいて、複数の基底補正係数を計算するように、プログラムされる。コンピュータは、撮像対象からMRデータを取得するためにDW−EPIパルスシーケンスを適用すること、および取得されたMRデータに基づいて画像を再構築することを含む、拡散強調撮像スキャンを実行するように、プログラムされる。コンピュータは、再構築された画像においてHOECに誘発された歪みを低減するように構成されたDW−EPIパルスシーケンスを適用している間に、HOECにより発生した磁場誤差の補正を適用するように、プログラムされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、一般に、磁気共鳴(MR)撮像法に関し、より詳細には、拡散強調エコープラナー撮像法において、高次渦電流に誘発された歪みを補正することに関する。
【背景技術】
【0002】
人体組織のような物質が均一な磁場(分極場B0)を受けるとき、組織内のスピンの個々の磁気モーメントが、この分極場と整列しようとし、しかしながら、その回りをそれぞれの固有のラーモア周波数でランダムに歳差運動する。物質、すなわち組織が、x−y平面内にあってラーモア周波数に近い磁場(励起場B1)を受けると、正味の整列したモーメント、すなわち、「縦磁化」Mzが、x−y平面へと回転し、または「傾斜」して、正味の横磁気モーメントMtを生じ得る。励起信号B1が終了した後に、励起したスピンによって信号が放出され、この信号が受信され、処理されて、画像を形成することができる。
【0003】
これらの信号を利用して画像を生成するとき、磁場勾配(Gx、Gy、およびGz)が用いられる。典型的には、これらの勾配が、使用している特定の局在化法に従って変化する一連の測定サイクルによって、撮像されるべき領域がスキャンされる。結果として得られる一組の受信NMR信号がデジタル化され、多くのよく知られた再構築技法のうちの1つを使用して、画像を再構築するように処理される。
【0004】
拡散強調エコープラナー撮像法(DW−EPI)が、拡散勾配により発生した渦電流場に起因する、拡散エンコーディング方向に依存した歪みをしばしば受けることはよく知られている。これらの歪みは、補正されない場合、異なる方向のDW画像の中での位置ずれ(mis−registration)、およびDW画像の組合せに関連する任意の後処理操作の誤りにつながることがある。デュアルスピンエコー(2度のリフォーカス(twice refocused)とも呼ばれる)DW−EPIが、本来の渦電流を解消する一定レベルを提供するために提案されているが、これは、エコー時間の著しい増加、および信号対雑音比(SNR)の減少を伴う。たとえば、3Tにおける肝撮像で、典型的なデュアルスピンエコープロトコルは、対応するシングルスピンエコー(Stejskal−Tannerシーケンスとも呼ばれる)プロトコルの約半分のSNRを発生してよい。多くのケース(たとえば、全身用DW−EPI)では、付随するスキャン時間が長くなることから、NEXを増加させることは、SNRを増加させるための選択肢ではない。したがって、実際には、結果として生じる歪みを低減しながら、シングルスピンエコーを維持することが望ましい。
【0005】
従来の歪み補正方法は、プリエンファシスによって、または勾配波形および受信周波数を明示的に修正することによって、線形および定常の渦電流(B0渦電流とも呼ばれる)のみを補正することに焦点を当てている。しかしながら、勾配コイルの漏れ磁場に起因する高い空間次数の未補償渦電流、または単に高次渦電流(HOEC)はまた、上昇したb値、ならびに最新のMRスキャナにおける勾配振幅およびスルーレートを上げる要求により、著しいことがある。これらの渦電流が作り出した磁場により発生した歪みは、高い空間次数のために、拡散勾配方向依存性であるだけでなく、スライス依存性でもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6335620号明細書
【発明の概要】
【0007】
したがって、DW−EPIにおいて、HOECに起因する歪みを補正することができるシステムおよび方法を有することが望ましいであろう。
【0008】
本発明の一態様に従って、磁気共鳴撮像法(MRI)装置がMRIシステムを含み、MRIシステムは、RF信号をRFコイルアセンブリに送信してMR画像を取得するために、マグネットのボアの周囲に配置された複数の勾配コイル、RFトランシーバシステム、およびパルスモジュールによって制御されるRFスイッチを有する。MRI装置はまた、撮像システムの高次渦電流により発生した磁場誤差を特徴付けるように構成されたキャリブレーションデータをキャリブレーションスキャンから取得するようにプログラムされたコンピュータを含む。コンピュータはまた、複数の基底係数および複数の時定数を発生させるためにキャリブレーションデータを処理し、複数の基底係数、複数の時定数、および所与のパルスシーケンスにおける勾配波形に基づいて、複数の基底補正係数を計算するように、プログラムされる。コンピュータは、撮像対象からMRデータを取得するためにDW−EPIパルスシーケンスを適用すること、および取得されたMRデータに基づいて画像を再構築することを含む、拡散強調撮像スキャンを実行するように、さらにプログラムされる。コンピュータはまた、再構築された画像において高次渦電流に誘発された歪みを低減するように構成されたDW−EPIパルスシーケンスを適用している間に、高次渦電流により発生した磁場誤差の補正を適用するように、プログラムされる。
【0009】
本発明の別の態様に従って、拡散強調エコープラナー撮像法(DW−EPI)において高次渦電流に誘発された歪みを補正するための方法が、撮像システムの高次渦電流を特徴付けるように構成されたキャリブレーションデータをキャリブレーションスキャンから取得するステップと、複数の基底係数および複数の時定数を発生させるためにキャリブレーションデータを処理するステップと、複数の基底係数に基づいて、および複数の時定数に基づいて、複数の基底補正係数を計算するステップとを含む。方法はまた、撮像対象からMRデータを取得するためにDW−EPIパルスシーケンスを適用するステップと、取得されたMRデータにおいて高次渦電流に誘発された歪みを低減するようにDW−EPIパルスシーケンスを適用している間に、高次渦電流により発生した磁場誤差の補正を適用するステップと、取得されたMRデータに基づいて、画像を再構築するステップとを含む。
【0010】
本発明のさらに別の態様に従って、非一時的なコンピュータ可読媒体が、一組の命令を含むコンピュータプログラムを記憶しており、一組の命令は、コンピュータによって実行されるときに、コンピュータに、撮像システムの高次渦電流により発生した磁場誤差を特徴付けるように構成されたキャリブレーションデータをキャリブレーションスキャンから取得させ、キャリブレーションデータを処理させる。一組の命令はまた、コンピュータに、処理されたキャリブレーションデータに基づいて、複数の基底係数および複数の時定数を発生させ、複数の基底係数、複数の時定数、およびDW−EPIパルスシーケンスにおける勾配波形に基づいて、複数の基底補正係数を計算させる。一組の命令はまた、コンピュータに、撮像対象からMRデータを取得するためにDW−EPIパルスシーケンスを適用させ、DW−EPIパルスシーケンスを適用している間に、高次渦電流により発生した磁場誤差の補正を適用させ、取得されたMRデータに基づいて、画像を再構築させる。
【0011】
さまざまな他の特徴および効果は、以下の詳細な説明および図面から明らかにされるであろう。
【0012】
図面は、本発明の実施形態を行うために、現在のところ企図されている実施形態を示す。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態と使用するためのMR撮像システムの概略ブロック図である。
【図2】シングルスピンエコー拡散強調EPIスキャンのための理想的な勾配波形およびRF波形を示すパルスシーケンス図である。
【図3】本発明の実施形態によるHOEC補正技法を示す流れ図である。
【図4】本発明の実施形態による図3のHOEC補正技法において使用されてよい、HOECキャリブレーションデータ処理アルゴリズムを示す流れ図である。
【図5】本発明の実施形態による図3のHOEC補正技法において使用されてよい、別のHOECデータ処理アルゴリズムを示す流れ図である。
【図6】本発明の実施形態による図3のHOEC補正技法において使用されてよい、HOEC項を計算するためのアルゴリズムを示す流れ図である。
【図7】本発明の実施形態による図3のHOEC補正技法において使用されてよい、HOEC項を予測補償するためのアルゴリズムを示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1を参照すると、本発明の実施形態を組み入れる、磁気共鳴撮像法(MRI)システム10の主要なコンポーネントが示されている。システムの動作は、オペレータコンソール12から特定の機能について制御され、オペレータコンソール12は、この例では、キーボードまたは他の入力デバイス13と、コントロールパネル14と、ディスプレイスクリーン16とを含む。コンソール12は、オペレータが画像の作成およびディスプレイスクリーン16への表示を制御するのを可能にする別個のコンピュータシステム20と、リンク18を介して通信する。コンピュータシステム20は、バックプレーン20aを介して互いに通信するいくつかのモジュールを含む。これらのモジュールは、画像プロセッサモジュール22と、CPUモジュール24と、画像データアレイを記憶するためのフレームバッファとして当技術分野で知られているメモリモジュール26とを含む。コンピュータシステム20は、高速シリアルリンク34を介して、別個のシステムコントロール32と通信する。入力デバイス13は、マウス、ジョイスティック、キーボード、トラックボール、タッチ作動スクリーン、ライトワンド、音声コントロール、カードリーダ、プッシュボタン、または任意の同様の、もしくは同等の入力デバイスを含むことができ、これらを対話式の幾何学的指示のために使用することができる。
【0015】
システムコントロール32は、バックプレーン32aによって互いに接続された一組のモジュールを含む。これらのモジュールは、CPUモジュール36と、シリアルリンク40を介してオペレータコンソール12に接続するパルス発生器モジュール38とを含む。このリンク40を介して、システムコントロール32は、実行すべきスキャンシーケンスを指示するオペレータから、コマンドを受信する。パルス発生器モジュール38は、所望のスキャンシーケンスを実行するようにシステムコンポーネントを動作させ、生成するRFパルスのタイミング、強度および形状、ならびにデータ取得ウィンドウのタイミングおよび長さを指示するデータを生成する。パルス発生器モジュール38は、一組の勾配増幅器42に接続して、スキャン中に生成される勾配パルスのタイミングおよび形状を指示する。パルス発生器モジュール38はまた、生理的取得コントローラ44から患者データを受信することができ、この生理的取得コントローラ44は、患者に取り付けられた電極からのECG信号などの、患者に接続したいくつかの異なるセンサから信号を受信する。そして最終的に、パルス発生器モジュール38は、スキャン室インターフェース回路46に接続し、スキャン室インターフェース回路46は、患者およびマグネットシステムの状態に関連付けられたさまざまなセンサからの信号を受信する。またこのスキャン室インターフェース回路46を介して、患者位置決めシステム48が、患者をスキャンのための所望の位置まで移動させるためのコマンドを受信する。
【0016】
パルス発生器モジュール38により生成された勾配波形は、Gx増幅器、Gy増幅器、およびGz増幅器を有する勾配増幅器システム42に適用される。各勾配増幅器は、取得した信号を空間的にエンコードするために使用する磁場勾配を生成するように、全体を50で示す勾配コイルアセンブリ内の対応する物理的な勾配コイルを励起させる。勾配コイルアセンブリ50は、分極マグネット54および全身用RFコイル56を含む共鳴アセンブリ52の一部を形成する。システムコントロール32内のトランシーバモジュール58は、パルスを生成し、このパルスは、RF増幅器60によって増幅され、送信/受信スイッチ62によってRFコイル56に結合される。患者内で励起した原子核が放出して得られた信号は、同じRFコイル56により検知されて、送信/受信スイッチ62を介して前置増幅器64に結合されてよい。増幅したMR信号は、トランシーバ58の受信機部分で復調され、フィルタ処理され、デジタル化される。送信/受信スイッチ62は、パルス発生器モジュール38からの信号により制御されて、送信モードの間、RF増幅器60をコイル56に電気的に接続し、受信モードの間、前置増幅器64をコイル56に接続する。送信/受信スイッチ62はまた、別個のRFコイル(たとえば、表面コイル)を、送信モードまたは受信モードのいずれかにおいて使用可能にすることができる。
【0017】
RFコイル56によってピックアップされたMR信号は、トランシーバモジュール58によりデジタル化され、システムコントロール32内のメモリモジュール66に転送される。未処理のk空間データのアレイがメモリモジュール66において取得されると、スキャンは完了する。この未処理のk空間データは、再構築されるべき画像ごとに、別個のk空間データアレイに再配列され、これらの各々が、データを画像データのアレイにフーリエ変換するように動作するアレイプロセッサ68に入力される。この画像データは、シリアルリンク34を介してコンピュータシステム20に搬送され、コンピュータシステム20においてメモリに記憶される。オペレータコンソール12から受信したコマンドに応答して、または別のやり方でシステムソフトウェアにより指示されるように、この画像データを、長期ストレージにアーカイブすることができる、あるいは、画像プロセッサ22によりさらに処理してオペレータコンソール12に搬送し、ディスプレイ16上に提示することができる。
【0018】
本発明の実施形態は、拡散強調エコープラナー撮像法(DW−EPI)において、高次渦電流(HOEC)に誘発された、拡散勾配方向に依存した歪みを補正する。本明細書で使用するとき、「高次」とは、それぞれ次数1および0を意味する線形次数および定数次数と比較して、2以上である空間次数を意味する。しかしながら、本発明の実施形態はまた、線形次数および定数次数にも同様に適用することができる。HOECに起因する歪みは、取得したデータに、特に大きなFOVが使用され、大きなスライス有効範囲が望ましい身体用途の場合に、強く影響することがある。本明細書で論じるように、システムキャリブレーションが、P以下の空間次数の渦電流を特徴付けるために使用されてよく、ここで、Pは通常3から5であるが、一般に任意の次数であってよい。読み出し軸、位相エンコーディング軸、およびスライス軸における勾配、ならびに受信機周波数のための補正振幅をスライスごとに有するDW−EPIパルスシーケンスを利用して、準線形HOEC項の影響をあらかじめ取り除くことができる。
【0019】
図2を参照すると、それぞれ、90度RFパルス72、および180度RFパルス74を含むDW−EPIパルスシーケンス70が示されている。RFパルス72、74は、空間情報でエンコードされてよいエコー信号76を発生させるために、RFコイル56によって送信されてよい。エコー信号76はまた、画像の再構築に使用するために、コイル56によって、または表面コイルなどの別のコイルによって受信されてもよい。
【0020】
エコープラナー撮像法に従ってエコー信号76を空間的にエンコードするために、図2に示すシーケンスは、読み出し勾配Gro、位相エンコーディング勾配Gpe、およびスライス選択勾配Gslのそれぞれをさらに含む。読み出し勾配Groは、プリフェイジングパルス78と、読み出しパルス80とを含む。同様に、位相エンコーディング勾配Gpeは、プリフェイジングパルス82と、位相エンコーディングパルス84とを含む。スライス選択勾配Gslは、90度RFパルス72のためのスライス選択パルス86、および180度RFパルス74のためのスライス選択パルス88、ならびにスライスリフォーカスのためのスライス選択パルス86aを含む。
【0021】
さらに図2を参照すると、拡散強調EPIスキャンに使用される拡散強調勾配Gdが示されている。拡散強調勾配Gdは、180度RFパルス74の両側に配置された2つの等価な台形パルス90および92を含む。一般的に、Gdは、3つの論理軸のすべてで成分を含むことができることに留意されたい。以下では、読み出し軸、位相エンコーディング軸、およびスライス軸(すなわち、論理軸)を、それぞれ、u、v、およびwとして表し、u軸、v軸、およびw軸におけるGdの成分を、それぞれGu、Gv、およびGwとして表す。物理軸は、x、y、およびzとして表す。
【0022】
図3は、本発明の実施形態によるHOEC補正技法94を示す。技法94は、図1のMRIシステム10などの、特定の撮像システムの渦電流により発生した磁場誤差を特徴付けるために、HOECキャリブレーションを実行することにより、ブロック96で始まる。キャリブレーションは、ファントムベース、またはローカルピックアップコイルベースのいずれかであってよい。ファントムベース法では、勾配エコー画像は、渦電流発生勾配の後の複数の時間点においてしばしば収集される。ローカルピックアップコイルベース法では、それぞれが小さなサンプルを有するいくつかのローカルコイルを使用して、そのそれぞれの空間的位置において自由誘導減衰信号を得る。HOEC測定のためにローカルピックアップコイル法を使用するには、HOEC特徴付けのための十分なデータが得られるように、各データ取得においてコイル設備の位置を変えた、複数のデータ取得がしばしば必要とされる。HOECキャリブレーションは、必要なだけ頻繁に行うことができるが、一般には、システム設置ごとに1回、または大幅なシステムハードウェア(たとえば、勾配コイル)の変更があったときに必要とされるにすぎない。4次元(空間における3Dおよび時間における1D)渦電流場データセットが、HOECキャリブレーションスキャンの後で発生する。
【0023】
ブロック98で、ブロック96のHOECキャリブレーションからのデータが、最初に前処理され、次いで、上で述べたキャリブレーション法のうちブロック96で使用されたどちらかに基づいたアルゴリズムに従って基礎となるHOECを特徴付けるために、数学的モデルに当てはめられる。図4および図5は、本発明の実施形態による図3のHOEC補正技法94の、ブロック98で使用されてよいHOECデータ処理アルゴリズム116、118を示す。
【0024】
図4を参照すると、HOECデータ処理アルゴリズム116が、上で説明したようなファントムベース法を使用して技法94のブロック96のHOECキャリブレーションを実行するときに、使用されている。ブロック120で、HOECキャリブレーションスキャンからのデータが取得される。ブロック122で、3D位相アンラッピングがデータの位相角に適用され、ブロック124で、位相角はエコー時間に比例した分だけ変倍されて、磁場データセットを生じる。ブロック126で、次いで磁場データセットの各時間点が、Pまでの次数の多項式基底または球面調和基底に空間的に当てはめられて、基底係数を発生し、ここで、Pは通常3から5であるが、一般に任意の次数であってよい。空間的な当てはめの間、規模の重み付けまたはマスクが適宜使用されてよいことに留意されたい。
【0025】
ブロック128で、結果として得られた基底係数は次いで、単一指数関数モデルまたは多重指数関数モデルを使用して、時間軸に沿って時間的に当てはめられる。HOECデータ処理の最終結果は、一組の(αmn,τmn)対であり、ここで、αmnは、基底係数であり、τmnは、拡散ドナー軸mを有する、n個の空間基底関数Bn(x,y,z)、n=1,2,・・・Nの時定数(表記上単純化するために、単一指数関数を想定する)であり、ここで、mは、x、y、またはz軸である。Bn(x,y,z)は、議論の便宜のために、多項式基底であると想定する。これは、球面調和基底が多項式基底の線形結合であり、容易に多項式に変換できることから、一般化を損なわないことに留意されたい。基底の総数N=(P+1)(P+2)(P+3)/6ということもまた留意されたい。ブロック130で、(αmn,τmn)対は、今後の使用のために、スキャナのホストコンピュータに保存される、または記憶される。
【0026】
図5を参照すると、HOECデータ処理アルゴリズム118が、上で説明したようなローカルピックアップコイルベース法を使用して技法94のブロック96のHOECキャリブレーションを実行するときに、使用されている。ブロック132で、HOECキャリブレーションスキャンからのデータが取得される。ブロック134で、時間微分がデータの位相角で取られて、コイル位置において磁場オフセットを得る。ブロック136で、磁場オフセットの各時間点が次いで、Pまでの次数の多項式基底または球面調和基底に空間的に当てはめられて、基底係数を発生し、ここで、Pは通常3から5であるが、一般に任意の次数であってよい。上で述べたように、空間的な当てはめの間、規模重み付けまたはマスクが適宜使用されてよい。
【0027】
HOECデータ処理アルゴリズム116に関して上で説明したのと同様に、ブロック138で、結果として得られた基底係数は次いで、時間軸に沿って時間的に当てはめられ、一組の(αmn,τmn)対が発生する。ブロック140で、(αmn,τmn)対は、今後の使用のために、スキャナのホストコンピュータに保存される、または記憶される。
【0028】
技法94のブロック96のHOECキャリブレーションスキャンと同様に、HOECデータ処理アルゴリズム116および118で実行されるHOECデータ処理は、システム設置ごとに1回行う必要があるにすぎない。しかしながら、アルゴリズム116および118は、必要なだけ頻繁に実行されてもよい。
【0029】
再び図3を参照すると、ブロック100で、DW−EPIプロトコル依存のHOEC項が計算される。ブロック100は、任意の撮像面を扱うことができることに留意されたい。本明細書で使用するとき、任意の撮像面とは、垂直軸方向の、冠状の、または矢状のスキャン面、ならびに任意の傾斜面を意味する。図6に示すように、図3のブロック100についてのHOEC項を計算するためのアルゴリズム142が示される。ブロック144で、使用されるべきDW−EPIパルスシーケンスの拡散勾配成分Gu、Gv、Gwが得られる。ブロック145で、3×3軸回転行列Rを適用することによって、論理勾配Gu、Gv、Gwが、物理成分Gx、Gy、Gzに変換される。
【0030】
【数1】

ここで、
【0031】
【数2】

Rは、ユニタリ行列(すなわち、R-1=RT)であることに留意されたい。
【0032】
ブロック146で、技法94のブロック96のHOECキャリブレーションスキャンから、ブロック98を介して決定された(αmn,τmn)対が得られ、ブロック148で、パルスシーケンスタイプおよびシーケンスタイミング関連定数βmnが計算される。
【0033】
βmnの微分は、解析的であっても、畳み込みを使用してもよい。βmnを得るために、すべての勾配波形が含まれてよいが、βmnを得るために単純化された解析を見込んだ拡散勾配からの貢献がしばしば有力である。たとえば、図2に示したようなシングルスピンエコーDW−EPIが使用されるとき、βmnは、以下で導き出すことができる。
【0034】
【数3】

ここで、t1、t2、およびt3は、図2に示したシーケンスタイミング関連定数である。デュアルスピンエコーDW−EPIまたは誘導エコーDW−EPIなどの、他のパルスシーケンスについてのβmnもまた、解析的に決定されてよいことに留意されたい。
【0035】
ブロック149で、最後の拡散勾配の後で、時間tにおけるn個の基底関数Bn(x,y,z)についてのHOEC物理基底係数dn(t)が、以下の式
【0036】
【数4】

に基づいて計算される。
ここで、Gmは、拡散勾配振幅のx、y、またはzの成分である。
【0037】
ブロック150で、別の回転行列、基底回転行列Fの転置が、d1(t),d2(t),・・・,dN(t)に適用されて、それらをHOEC論理基底係数c1(t),c2(t),・・・,cN(t)に変換する。
【0038】
【数5】

ここで、「T」は、行列転置を表す。Fは、論理座標から物理座標へと多項式基底を変換するN×Nの行列である。Fの実際の形式は、多項式次数、および基底関数がどのように番号付けされているかに依存する。一般化を損なわずに、基底は、以下の次数、1、x、y、z、x2、xy、xz、y2、yz、z2、x3、x2y、x2z、xy2、xyz、xz2、y3、y2z、yz2、z3、・・・にあり、ここで、より低い次数基底はより高い次数基底の先になり、同じ多項式次数を有する基底の場合、より高いx指数を有する基底が先になり、または、同じx指数の場合は、より高いy指数を有する基底が先になる。Fは、Bn(x,y,z)とBn(u,v,w)との関係によって決定されてよく、ここで、
【0039】
【数6】

である。たとえば、三次多項式までについて、
【0040】
【数7】

である。ブロック151で、すべてのHOEC論理基底係数が、今後の使用のために保存される。
【0041】
再び図3を参照すると、プロトコル依存のHOEC項が、DW−EPIパルスシーケンスにおいて、あらかじめ技法94で補償されてよい。予測補償は、ブロック106で、撮像スキャンの間に使用されるDW−EPIパルスシーケンスに、HOEC補正を適用することを含む。図7は、本発明の実施形態による、ブロック106のための予測補償アルゴリズム152を示す。Fの適用により、基底はここで論理軸にあることに留意されたい。wp、uwp、vwp(p≧0)であるそれらの形式を有する基底関数を、本明細書においてタイプA項と呼ぶ。残りのすべての基底関数(たとえば、uv、u2w)を、本明細書においてタイプB項と呼ぶ。ブロック154で、タイプA項が識別される。タイプA項は、所与のスライス位置w=w0において評価されるときに、それらが線形Gu勾配、Gv勾配、Gw勾配になる、またはB0オフセットになるという意味において、準線形である。ブロック156で、各スライス位置における基底が評価され、ブロック158で、w=w0におけるスライスの場合に、対応するcn(t)に
【0042】
【数8】

を掛けることによって、基底uwpもしくはvwpからの実効勾配、または基底wpからのB0オフセットを得ることができる。これらのGu勾配、Gv勾配、Gw勾配は、それぞれ、せん断歪み、FOV圧縮/膨張、および信号喪失を引き起こし、B0オフセットは、FOVシフトを引き起こすことに留意されたい。
【0043】
ブロック160で、すべてのタイプA項が、ソフトウェアレベル(すなわち、パルスシーケンス)、またはファームウェア/ハードウェアレベルのいずれかにおいて、補償されてよい。ソフトウェア補償では、読み出し勾配、位相エンコーディング勾配、およびスライス勾配、ならびに受信機周波数などのDW−EPIパルスシーケンス要素が、パルスシーケンスにおいてスライスごとに調整される。ファームウェア/ハードウェア補償では、パルスシーケンスコマンドは変化しないままであるが、実際の勾配波形および中心周波数オフセットが、スライスごとに、ファームウェア/ハードウェアコマンドによって舞台裏で増大する。たとえば、修正されていないパルスシーケンスコマンドが、図1の勾配増幅器42への入力などの増幅器入力に提供されてよい。次いで、勾配増幅器入力は、ファームウェア/ハードウェア補償によって制御されて、受信したDW−EPIパルスシーケンス要素のうちの1つまたは複数を調整することができる。どちらにしても、時間変動補償が好ましく、時間変動補償は、真の指数関数、区分線形(すなわち高次)、または区分定数の補償を含むが、これらに限定されない。補償はまた、単純化するために、エコートレイン全体にわたる定数であってもよく、このケースの場合、k空間中心(すなわち、エコー時間における)に対応するエコーでの補正が、エコートレイン全体に適用される。
【0044】
再び図3を参照すると、ブロック106でHOEC項があらかじめ補償された後で、ブロック108で、補償されたデータに基づいて画像を再構築することができる。ブロック110で、再構築された画像は、ユーザに表示される、または今後の使用のために画像記憶データベースに記憶されてよい。
【0045】
本発明の実施形態によれば、DW−EPIのための、HOECに誘発された歪みの補償により、シングルスピンエコーDW−EPIをより実用的なものにすることができる。シングルスピンエコーは、デュアルスピンエコーDWIに比べて、SNRおよびスキャン時間の利点を有するが、本発明の実施形態は、デュアルスピンエコーに、および他のDW−EPIシーケンスの変形にも適用して、歪みを低減することができる。本発明の実施形態は、長いスキャン時間、低いSNR、および大きな画像歪みを有することがある全身用DWIに著しい影響力をもたらすことができる。特に、SNRが問題となり得る、高b値、パラレル撮像ファクタの大きいケースについて、脳用DWIも同様に利益を得ることができる。
【0046】
開示された方法および装置についての技術的な貢献は、拡散強調エコープラナー撮像法において高次渦電流に誘発された歪みを、コンピュータ実装により補正することを提供する。
【0047】
当業者は、本発明の実施形態が、コンピュータプログラムを記憶しているコンピュータ可読記憶媒体とインターフェース接続され、それにより制御されてよいことを理解するであろう。コンピュータ可読記憶媒体は、1つまたは複数の電子コンポーネント、ハードウェアコンポーネント、および/またはコンピュータソフトウェアコンポーネントなどの複数のコンポーネントを含む。これらのコンポーネントは、シーケンスの1つもしくは複数の実装形態または実施形態の1つもしくは複数の部分を実行するための、ソフトウェア、ファームウェア、および/またはアセンブリ言語などの命令を一般に記憶する、1つまたは複数のコンピュータ可読記憶媒体を含むことができる。これらのコンピュータ可読記憶媒体は、一般に、非一時的かつ/または有形である。そのようなコンピュータ可読記憶媒体の例には、コンピュータおよび/または記憶デバイスの記録可能なデータ記憶媒体が含まれる。コンピュータ可読記憶媒体は、たとえば、磁気的、電気的、光学的、生物学的、かつ/またはアトミックなデータ記憶媒体のうちの1つまたは複数を利用することができる。さらに、そのような媒体は、たとえば、フロッピー(商標)ディスク、磁気テープ、CD−ROM、DVD−ROM、ハードディスクドライブ、および/または電子メモリの形態を取ることができる。ここに挙げられていない非一時的かつ/または有形なコンピュータ可読記憶媒体の他の形態が、本発明の実施形態と共に利用されてもよい。
【0048】
そのようないくつかのコンポーネントは、システムの実装形態において組み合わせる、または分割することができる。さらに、当業者であれば理解するように、そのようなコンポーネントは、任意のいくつかのプログラミング言語で書かれた、またはプログラミング言語で実装される、一組の、および/または一連のコンピュータ命令を含むことができる。加えて、搬送波などのコンピュータ可読媒体の他の形態が、一連の命令を表すコンピュータデータ信号を具体化するために利用されてよく、一連の命令は、1つまたは複数のコンピュータによって実行されるとき、1つまたは複数のコンピュータに、シーケンスの1つもしくは複数の実装形態または実施形態の1つもしくは複数の部分を実行させる。
【0049】
したがって、本発明の実施形態によれば、磁気共鳴撮像法(MRI)装置がMRIシステムを含み、MRIシステムは、RF信号をRFコイルアセンブリに送信してMR画像を取得するために、マグネットのボアの周囲に配置された複数の勾配コイル、RFトランシーバシステム、およびパルスモジュールによって制御されるRFスイッチを有する。MRI装置はまた、撮像システムの高次渦電流により発生した磁場誤差を特徴付けるように構成されたキャリブレーションデータをキャリブレーションスキャンから取得するようにプログラムされたコンピュータを含む。コンピュータはまた、複数の基底係数および複数の時定数を発生させるためにキャリブレーションデータを処理し、複数の基底係数、複数の時定数、および所与のパルスシーケンスにおける勾配波形に基づいて、複数の基底補正係数を計算するように、プログラムされる。コンピュータは、撮像対象からMRデータを取得するためにDW−EPIパルスシーケンスを適用すること、および取得されたMRデータに基づいて画像を再構築することを含む、拡散強調撮像スキャンを実行するように、さらにプログラムされる。コンピュータはまた、再構築された画像において高次渦電流に誘発された歪みを低減するように構成されたDW−EPIパルスシーケンスを適用している間に、高次渦電流により発生した磁場誤差の補正を適用するように、プログラムされる。
【0050】
本発明の別の実施形態によれば、拡散強調エコープラナー撮像法(DW−EPI)において高次渦電流に誘発された歪みを補正するための方法が、撮像システムの高次渦電流を特徴付けるように構成されたキャリブレーションデータをキャリブレーションスキャンから取得するステップと、複数の基底係数および複数の時定数を発生させるためにキャリブレーションデータを処理するステップと、複数の基底係数に基づいて、および複数の時定数に基づいて、複数の基底補正係数を計算するステップとを含む。方法はまた、撮像対象からMRデータを取得するためにDW−EPIパルスシーケンスを適用するステップと、取得されたMRデータにおいて高次渦電流に誘発された歪みを低減するようにDW−EPIパルスシーケンスを適用している間に、高次渦電流により発生した磁場誤差の補正を適用するステップと、取得されたMRデータに基づいて、画像を再構築するステップとを含む。
【0051】
本発明のさらに別の実施形態によれば、非一時的なコンピュータ可読媒体が、一組の命令を含むコンピュータプログラムを記憶しており、一組の命令は、コンピュータによって実行されるときに、コンピュータに、撮像システムの高次渦電流により発生した磁場誤差を特徴付けるように構成されたキャリブレーションデータをキャリブレーションスキャンから取得させ、キャリブレーションデータを処理させる。一組の命令はまた、コンピュータに、処理されたキャリブレーションデータに基づいて、複数の基底係数および複数の時定数を発生させ、複数の基底係数、複数の時定数、およびDW−EPIパルスシーケンスにおける勾配波形に基づいて、複数の基底補正係数を計算させる。一組の命令はまた、コンピュータに、撮像対象からMRデータを取得するためにDW−EPIパルスシーケンスを適用させ、DW−EPIパルスシーケンスを適用している間に、高次渦電流により発生した磁場誤差の補正を適用させ、取得されたMRデータに基づいて、画像を再構築させる。
【0052】
この書面による説明は、最良の形態を含む本発明の実施形態を開示し、また当業者が任意のデバイスまたはシステムを作成し、使用し、任意の組み込まれた方法を実行することを含め、本発明の実施形態を実践できるようにするための例を使用している。本発明の実施形態の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者が思いつく他の例を含むことができる。そのような他の例は、特許請求項の文字通りの言語と相違しない構造的要素を有する場合、または、特許請求項の文字通りの言語と実質のない相違を有する均等な構造的要素を含む場合に、特許請求の範囲内であることを意図する。
【符号の説明】
【0053】
10 磁気共鳴撮像法(MRI)システム
12 オペレータコンソール
13 入力デバイス
14 コントロールパネル
16 ディスプレイスクリーン
18 リンク
20 コンピュータシステム
20a バックプレーン
22 画像プロセッサモジュール
24 CPUモジュール
26 メモリモジュール
32 システムコントロール
32a バックプレーン
34 高速シリアルリンク
36 CPUモジュール
38 パルス発生器モジュール
40 シリアルリンク
42 勾配増幅器
44 生理的取得コントローラ
46 スキャン室インターフェース回路
48 患者位置決めシステム
50 勾配コイルアセンブリ
52 共鳴アセンブリ
54 分極マグネット
56 全身用RFコイル
58 トランシーバモジュール
60 RF増幅器
62 送信/受信スイッチ
64 前置増幅器
66 メモリモジュール
68 アレイプロセッサ
70 DW−EPIパルスシーケンス
72 90度RFパルス
74 180度RFパルス
76 エコー信号
78 プリフェイジングパルス
80 読み出しパルス
82 プリフェイジングパルス
84 位相エンコーディングパルス
86 スライス選択パルス
86a スライス選択パルス
88 スライス選択パルス
90 台形パルス
92 台形パルス
94 HOEC補正技法
116 HOECデータ処理アルゴリズム
118 HOECデータ処理アルゴリズム
142 アルゴリズム
152 予測補償アルゴリズム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
RF信号をRFコイルアセンブリに送信してMR画像を取得するために、マグネットのボアの周囲に配置された複数の勾配コイル、RFトランシーバシステム、およびパルスモジュールによって制御されるRFスイッチを有する磁気共鳴撮像法(MRI)システムと、
撮像システムの高次渦電流により発生した磁場誤差を特徴付けるように構成されたキャリブレーションデータをキャリブレーションスキャンから取得し、
複数の基底係数および複数の時定数を発生させるために前記キャリブレーションデータを処理し、
前記複数の基底係数、前記複数の時定数、および所与のパルスシーケンスにおける勾配波形に基づいて、複数の基底補正係数を計算し、
撮像対象からMRデータを取得するためにDW−EPIパルスシーケンスを適用すること、および取得されたMRデータに基づいて画像を再構築することを含む、拡散強調撮像スキャンを実行し、
再構築された画像において高次渦電流に誘発された歪みを低減するように構成された前記DW−EPIパルスシーケンスを適用している間に、高次渦電流により発生した磁場誤差の補正を適用するように
プログラムされたコンピュータと
を含むMRI装置。
【請求項2】
前記コンピュータが、
p、uwp、vwpからなるグループから選択された形式を有する基底関数であって、ここで、pは0以上である、基底関数を識別し、
識別された基底関数に基づいて、実効勾配およびB0オフセットのうちの1つを決定し、
前記DW−EPIパルスシーケンスを適用している間に、前記実効勾配および前記B0オフセットのうちの決定された1つに基づいて、前記DW−EPIパルスシーケンスのパルスシーケンス要素を調整するように
さらにプログラムされる、請求項1記載のMRI装置。
【請求項3】
実効勾配およびB0オフセットのうちの1つを決定するように構成されている前記コンピュータが、w=w0におけるスライスの場合に、実効勾配およびB0オフセットのうちの前記1つに
【数1】

を掛けるように構成される、請求項2記載のMRI装置。
【請求項4】
前記DW−EPIパルスシーケンスの前記パルスシーケンス要素を調整するように構成されている前記コンピュータが、受信機周波数、読み出し勾配、位相エンコーディング勾配、およびスライス勾配のうちの1つを、スライスごとに調整するように構成される、請求項2記載のMRI装置。
【請求項5】
前記コンピュータが、
p、uwp、vwpからなるグループから選択された形式を有する基底関数であって、ここで、pは0以上である、基底関数を識別し、
識別された基底関数に基づいて、実効勾配およびB0オフセットのうちの1つを決定し、
前記DW−EPIパルスシーケンスを増幅器入力に提供し、
前記実効勾配および前記B0オフセットのうちの決定された1つに基づいて、前記増幅器入力を修正するように
さらにプログラムされる、請求項1記載のMRI装置。
【請求項6】
前記コンピュータが、前記高次渦電流により発生した磁場誤差の補正を任意の撮像面に適用するようにプログラムされる、請求項1記載のMRI装置。
【請求項7】
前記キャリブレーションデータを処理するようにプログラムされている前記コンピュータが、
前記キャリブレーションデータの位相角に3D位相アンラッピングを適用し、
磁場データセットを発生させるために、アンラップされたキャリブレーションデータを変倍し、
基底係数を発生させるために、前記磁場データセットを調和基底に空間的に当てはめ、
単一指数関数モデルおよび多重指数関数モデルのうちの1つを使用して、前記基底係数を時間軸に沿って時間的に当てはめるように
プログラムされる、請求項1記載のMRI装置。
【請求項8】
前記キャリブレーションデータを処理するようにプログラムされている前記コンピュータが、
コイル位置において磁場オフセットを得るために、前記キャリブレーションデータの位相角で時間微分を取り、
基底係数を発生させるために、前記磁場オフセットの各時間点を調和基底に空間的に当てはめ、
単一指数関数モデルおよび多重指数関数モデルのうちの1つを使用して、前記基底係数を時間軸に沿って時間的に当てはめるように
プログラムされる、請求項1記載のMRI装置。
【請求項9】
前記複数の基底補正係数を計算するようにプログラムされている前記コンピュータが、以下の式
【数2】

に基づいて、前記複数の基底補正係数を計算するようにプログラムされ、
ここで、Gmは、拡散勾配振幅のX、Y、またはZの成分であり、βmnは、パルスシーケンスタイプおよびシーケンスタイミング関連定数であり、αmnは、基底係数であり、τmnは、時定数である、請求項1記載のMRI装置。
【請求項10】
前記コンピュータが、前記再構築された画像をユーザに表示するようにさらにプログラムされる、請求項1記載のMRI装置。
【請求項11】
拡散強調エコープラナー撮像法(DW−EPI)において高次渦電流に誘発された歪みを補正するための方法であって、
撮像システムの高次渦電流を特徴付けるように構成されたキャリブレーションデータをキャリブレーションスキャンから取得するステップと、
複数の基底係数および複数の時定数を発生させるために前記キャリブレーションデータを処理するステップと、
前記複数の基底係数に基づいて、および前記複数の時定数に基づいて、複数の基底補正係数を計算するステップと、
撮像対象からMRデータを取得するためにDW−EPIパルスシーケンスを適用するステップと、
取得されたMRデータにおいて高次渦電流に誘発された歪みを低減するように前記DW−EPIパルスシーケンスを適用している間に、高次渦電流により発生した磁場誤差の補正を適用するステップと、
前記取得されたMRデータに基づいて、画像を再構築するステップと
を含む方法。
【請求項12】
前記高次渦電流により発生した磁場誤差の補正を任意の撮像面に適用するステップをさらに含む請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記DW−EPIパルスシーケンスを適用している間に、高次渦電流により発生した磁場誤差の補正を適用するステップが、
p、uwp、vwpからなるグループから選択された形式を有する基底関数であって、ここで、pは0以上である、基底関数を識別するステップと、
識別された基底関数に基づいて、実効勾配およびB0オフセットのうちの1つを決定するステップと、
前記DW−EPIパルスシーケンスを適用している間に、前記実効勾配および前記B0オフセットのうちの決定された1つに基づいて、前記DW−EPIパルスシーケンスのパルスシーケンス要素を調整するステップと
を含む、請求項11記載の方法。
【請求項14】
実効勾配およびB0オフセットのうちの1つを決定するステップが、w=w0におけるスライスの場合に、実効勾配およびB0オフセットのうちの前記1つに
【数3】

を掛けるステップを含む、請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記DW−EPIパルスシーケンスの前記パルスシーケンス要素を調整するステップが、受信機周波数、読み出し勾配、位相エンコーディング勾配、およびスライス勾配のうちの1つを、スライスごとに調整するステップを含む、請求項13記載の方法。
【請求項16】
コンピュータによって実行されるときに、前記コンピュータに、
撮像システムの高次渦電流により発生した磁場誤差を特徴付けるように構成されたキャリブレーションデータをキャリブレーションスキャンから取得させ、
前記キャリブレーションデータを処理させ、
処理されたキャリブレーションデータに基づいて、複数の基底係数および複数の時定数を発生させ、
前記複数の基底係数、前記複数の時定数、およびDW−EPIパルスシーケンスにおける勾配波形に基づいて、複数の基底補正係数を計算させ、
撮像対象からMRデータを取得するために前記DW−EPIパルスシーケンスを適用させ、
前記DW−EPIパルスシーケンスを適用している間に、高次渦電流により発生した磁場誤差の補正を適用させ、
取得されたMRデータに基づいて、画像を再構築させる
一組の命令を含むコンピュータプログラムを記憶している非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項17】
前記コンピュータが、前記高次渦電流により発生した磁場誤差の補正を任意の撮像面に適用するようにプログラムされる、請求項16記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項18】
前記コンピュータが、
基底関数を識別し、
識別された基底関数に基づいて、実効勾配およびB0オフセットのうちの1つを決定し、
前記DW−EPIパルスシーケンスを適用している間に、前記実効勾配および前記B0オフセットのうちの決定された1つに基づいて、前記DW−EPIパルスシーケンスのパルスシーケンス要素を調整するように
さらにプログラムされる、請求項16記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項19】
前記DW−EPIパルスシーケンスの前記パルスシーケンス要素を調整するように構成されている前記コンピュータが、受信機周波数、読み出し勾配、位相エンコーディング勾配、およびスライス勾配のうちの1つを、スライスごとに調整するように構成される、請求項18記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項20】
前記複数の基底補正係数を計算するようにプログラムされている前記コンピュータが、以下の式
【数4】

に基づいて、前記複数の基底補正係数を計算するようにプログラムされ、
ここで、Gmは、拡散勾配振幅のX、Y、またはZの成分であり、βmnは、パルスシーケンスタイプおよびシーケンスタイミング関連定数であり、αmnは、基底係数であり、τmnは、時定数である、請求項16記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−245350(P2012−245350A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−93447(P2012−93447)
【出願日】平成24年4月17日(2012.4.17)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】