説明

持続放出性剤形

有効医薬成分を含む内側コアビーズをそれぞれが有する徐放性粒子と、内側コアビーズを実質的に取り囲む中間コーティングと、中間コーティングを実質的に取り囲みpH非依存性ポリマーを含む外側コーティングとを備える医薬製剤が提供される。第1および第2のビーズ母集団のそれぞれが異なる薬物放出プロファイルを有する2つのビーズ母集団を備える医薬製剤も提供される。また、1以上のビーズ母集団を備える持続放出性製剤組成物を調製する方法も提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[相互参照]
本願は、引用によりその開示が本明細書の一部となる、持続放出性剤形(extended-release dosage form)という名称の2007年2月1日に出願された出願第11/701,178号の利益を請求する。
【背景技術】
【0002】
多くの徐放性製剤、特にタブレットおよびカプセルの形の徐放性製剤に、そこからの1種以上の有効成分の放出を調節するコーティングが設けられている。医薬製剤中の有効成分の放出速度または放出サイトを制御するために、様々なコーティング技法が利用されている。
【0003】
Hsiaoに発行された米国特許第4587118号では、コーティングを施したマイクロペレットを含む放出制御テオフィリン経口製剤が開示されている。各ペレットは、ほぼ一定の速度でテオフィリンを放出するように設計されている。このペレットは薬物含有コアを備え、このコアは次いで、約70〜90重量%のエチルセルロースと約10〜30重量%のヒドロキシプロピルセルロースとの混合物でコーティングされる。放出制御特性は、ヒドロキシプロピルセルロースに対するエチルセルロースの比およびコーティングの厚さに依存する。
【0004】
Jonssonらに発行された米国特許第4957745号では、不活性二酸化ケイ素ビーズ上に薬物を層状にすることによって調製される多数のメトプロロールコアを備えるメトプロロールの塩の放出制御製剤を作製する技術が記載されている。このコアは、本質的にエチルセルロースの、またはヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびエチルセルロースの混合物のメトプロロール浸透膜でコーティングされ、ヒドロキシプロピルメチルセルロースに対するエチルセルロースの比は、所望の放出制御特性に依存する。
【0005】
Paradissisらに発行された米国特許第5133974号では、薬物を含有する約0〜50%の即時放出粒子と、不活性基質と、タルクでコーティングされた結合剤と、可塑剤および膜形成剤を含有する溶解改質系でコーティングされた即時放出粒子を含む最大100%の持続放出性粒子と、の混合物を含む放出制御製剤が開示されている。任意選択で、薬物がコーティング中に含まれる。ここで利用される膜形成剤として、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびこれらの混合物が挙げられる。
【0006】
Chenに発行された米国特許第5472708号では、急速に崩壊するタブレットを作製する技術が開示されている。薬物含有コアと、非水溶性エチルセルロースおよび水溶性膜形成剤の混合物の溶解速度制御ポリマー膜を有する膨潤剤と、浸透性削減剤を備える複数のペレットが、このタブレットに埋め込まれている。水溶性ポリマーは、酢酸フタル酸セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびポリビニルピロリドンを含む群から選択される。湿潤剤は、水性の使用環境にさらすと体積が増大するという性質を有し、したがってビーズの破裂後に薬物が急速に放出される。
【0007】
米国特許出願公開第2004/0126427号では、プロプラノロール含有粒子の2つの母集団を備える系により徐放的に薬物を供給するための単位剤形が開示されている。このような薬物供給系は、即時放出ビーズと徐放性ビーズとを組み合わせることによって設計される。徐放性ビーズは、即時放出ビーズを、エチルセルロースなどの非水溶性ポリマー、または非水溶性ポリマーとヒドロキシプロピルセルロースなどの水溶性ポリマーとの65:35から95:5の混合物で膜コーティングすることによって得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第4587118号
【特許文献2】米国特許第4957745号
【特許文献3】米国特許第5133974号
【特許文献4】米国特許第5472708号
【特許文献5】米国特許出願公開第2004/0126427号
【特許文献6】米国特許第4895733号
【特許文献7】米国特許第5132142号
【特許文献8】米国特許第6354728号
【特許文献9】米国特許出願公開第2004/0185111号
【発明の概要】
【0009】
本発明によれば、有効医薬成分を含む内側コアビーズをそれぞれが有する徐放性粒子と、内側コアビーズを実質的に取り囲む中間コーティングと、中間コーティングを実質的に取り囲みpH非依存性ポリマーを含む外側コーティングとを備える医薬製剤(pharmaceutical formulation)が見出された。本発明の一実施形態によれば、有効医薬成分は水溶性薬物である。本発明の別の実施形態によれば、水溶性薬物はプロプラノロールまたはその医薬的に受け入れ可能な塩である。本発明の別の実施形態によれば、内側コアビーズは少なくとも1種の添加剤をさらに含む。本発明の別の実施形態によれば、内側コアビーズは微結晶性(microcrystalline)セルロースおよびヒドロキシプロピルセルロースをさらに含む。本発明の別の実施形態によれば、内側コアビーズ中の有効医薬成分(active pharmaceutical ingredient:「API」)の量が、内側コアビーズの約5重量%〜約80重量%の範囲に及ぶ。本発明の別の実施形態によれば、内側コアビーズ中の有効医薬成分の量が、内側コアビーズの約40重量%〜約70重量%の範囲に及ぶ。
【0010】
本発明の別の実施形態によれば、中間コーティングが、水溶性成分、非水溶性成分および水溶性成分と非水溶性成分との混合物からなる群から選択される成分を含む。本発明の別の実施形態によれば、水溶性成分が、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ラクトース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、グリセリン、塩、プロピレングリコール、糖、糖アルコール、ポリビニルアルコールおよびこれらの混合物からなる群から選択される。本発明の別の実施形態によれば、非水溶性成分が、エチルセルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸セルロース、硝酸セルロース、ポリ酢酸ビニルおよびこれらの混合物からなる群から選択される。本発明の別の実施形態によれば、非水溶性成分対水溶性成分の比が、約1:6から約9:1の範囲に及ぶ。本発明の別の実施形態によれば、中間コーティングが少なくとも1種の添加剤をさらに含む。本発明の別の実施形態によれば、内側コアビーズに塗布される中間コーティングの量が、徐放性粒子の約0.5重量%〜約25重量%の範囲に及ぶ。本発明の別の実施形態によれば、内側コアビーズに塗布される中間コーティングの量が、前記徐放性粒子の約1.0重量%〜約4重量%の範囲に及ぶ。
【0011】
本発明の別の実施形態によれば、pH非依存性ポリマーが、メタクリレート系(based)ポリマー、アクリレート系ポリマー、アクリレートとメタクリレートとの共重合体、第四アンモニウム基を有するアクリレート/メタクリレート共重合体およびアンモニウムアクリレート/メタクリレート共重合体(ammonio acrylate/methacrylate copolymer)からなる群から選択される。本発明の別の実施形態によれば、pH非依存性ポリマーの量が、外側コーティングの約40重量%〜約80重量%の範囲に及ぶ。本発明の別の実施形態によれば、pH非依存性ポリマーの量が、外側コーティングの約50重量%〜約70重量%の範囲に及ぶ。本発明の別の実施形態によれば、中間コーティングを施したビーズ母集団を取り囲む外側コーティングの量が、ビーズまたは徐放性粒子の約2重量%〜約35重量%の範囲に及ぶ。本発明の別の実施形態によれば、外側コーティングが少なくとも1種の添加剤をさらに含む。本発明の別の実施形態によれば、外側コーティングが可塑剤をさらに含む。
【0012】
本発明の別の実施形態によれば、医薬製剤が追加のコーティングをさらに含む。本発明の別の実施形態によれば、追加のコーティングが、内側コアビーズと中間コーティングとの間のサブコーティングである。本発明の別の実施形態によれば、サブコーティングが、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびヒドロキシプロピルセルロースからなる群から選択される。
【0013】
本発明の別の実施形態によれば、徐放性粒子がカプセル内に含まれる。徐放性粒子がタブレットに圧縮されている。
【0014】
本発明の別の実施形態によれば、給食条件についての曲線下面積に対する絶食条件についての曲線下面積の比が、約0.8〜約1.25の範囲に及ぶ。本発明の別の実施形態によれば、給食条件についてのピーク濃度に対する絶食条件についてのピーク濃度の比が、約0.8〜約1.25の範囲に及ぶ。
【0015】
本発明の別の実施形態によれば、これら医薬製剤は、有効医薬成分の約0.25%〜約14%が約1.5時間後に放出され、有効医薬成分の約5%〜約35%が約4時間後に放出され、有効医薬成分の約20%〜約65%が約8時間後に放出され、有効医薬成分の約50%〜約85%が約14時間後に放出され、有効医薬成分の約75%〜約100%が約24時間後に放出されるような溶解プロファイルを水性媒体中でもたらす。
【0016】
本発明によれば、第1のビーズ母集団および第2のビーズ母集団を備える医薬製剤が見出された。この医薬製剤において、第1および第2のビーズ母集団のそれぞれが、有効医薬成分を含む内側コアビーズと、内側コアビーズを実質的に取り囲む中間コーティングと、中間コーティングを実質的に取り囲みpH非依存性ポリマーを含む外側コーティングとを含有し、また第1および第2のビーズ母集団のそれぞれがことなる薬物放出プロファイルを有する。このような異なる薬物放出プロファイルは、異なるビーズ母集団上に使用する中間コーティングの量および/または種類、および/または異なるビーズ母集団上に使用する外側コーティングの量および/または種類、および/または異なるビーズ母集団の内側コア中で使用する有効医薬成分の量を選択的に変えることによって展開する。このようにして、制限のない様々な薬物放出プロファイルをもたらすことができる。
【0017】
本発明の一実施形態によれば、第1のビーズ母集団対第2のビーズ母集団の比が、約100:1から約1:100の範囲に及ぶ。
【0018】
本発明の別の実施形態によれば、中間コーティングが、水溶性成分と、非水溶性成分と、水溶性成分および非水溶性成分の混合物とからなる群から選択されるポリマーを含む。中間コーティングが水溶性成分と非水溶性成分との混合物から構成されている場合、非水溶性成分対水溶性成分の比が、約1:6から約9:1の範囲に及ぶ。
【0019】
本発明の別の実施形態によれば、pH非依存性ポリマーが、メタクリレート系ポリマー、アクリレート系ポリマー、アクリレート/メタクリレート共重合体およびアンモニウムアクリレート/メタクリレート共重合体からなる群から選択される。
【0020】
本発明の別の実施形態によれば、外側コーティングが可塑剤も含有する。
【0021】
別の実施形態によれば、中間および外側コーティング以外の追加のコーティングを塗布する。一部の諸実施形態においては、内側コアビーズと中間コーティングとの間にサブコーティングを塗布する。
【0022】
別の実施形態によれば、持続放出性組成物が医薬的に受け入れ可能な添加剤をさらに含む。
【0023】
本発明によれば、医薬製剤を調製するための方法が見出された。この方法は、有効医薬成分を含む内側コアビーズを調製するステップと、内側コアビーズを実質的に取り囲むように内側コアビーズに中間コーティングを、中間コーティングを施した内側コアビーズにpH非依存性ポリマーを含む外側コーティングを順次塗布することによって、徐放性粒子を調製するステップとを含む。
【0024】
本発明によれば、第1のビーズ母集団および第2のビーズ母集団を備える医薬製剤を調製するための方法も見出された。この方法は、水溶性薬物を含む内側コアビーズを調製するステップと、内側コアビーズを実質的に取り囲むように内側コアビーズに中間コーティングを、中間コーティングを施した内側コアビーズにpH非依存性ポリマーを含む外側コーティングを順次塗布することによって、第1および第2のビーズ母集団を調製するステップとを含む。この製剤組成物は、第1および第2のビーズ母集団のビーズで約100:1から約1:100の範囲で充填されている。
【発明の効果】
【0025】
出願人は、本発明の内側コアビーズ上で使用する独特の多層コーティングにより、絶食条件と比較して給食条件下における用量(dose)ダンピングがなくなることを見出した。出願人はまた、本発明の医薬製剤により食物効果(food effect)がなくなること、すなわち、有効医薬成分の吸収が食物の有無にかかわらず再現性のある形で生じることを見出した。
【0026】
出願人はまた、単一または二相のビーズ母集団を含有する医薬製剤により、同じ有効成分を含有する他の持続放出性剤形と同様の、またはそれよりも優れた薬動力学パラメータがもたらされることも見出した。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の一実施形態は、有効医薬成分を含む内側コアビーズをそれぞれ有する徐放性粒子またはビーズと、内側コアビーズを実質的に取り囲む中間コーティングと、中間コーティングを実質的に取り囲みpH非依存性ポリマーを含む外側コーティングとを備える医薬製剤である。
【0028】
用語「ビーズ」または「徐放性粒子」(本明細書中では同義で使用される)を使用して、本発明の微粒子剤形を記載しているが、ペレット、回転楕円体、球体、ミニタブレットおよび顆粒を含めた様々な寸法および形状の微粒子型を本発明の一環として使用することができる。
【0029】
本発明の各ビーズまたは徐放性粒子は、少なくとも2種のその後に続くコーティングがその上に連続的に塗布されている内側コアビーズからなる。内側コアビーズのそれぞれにおいて成分および/または成分の量を変えることによって、それぞれ異なる薬物放出プロファイルを有する多くの異なる内側コアビーズを得ることができる。
【0030】
内側コアビーズそれ自体は、有効医薬成分(「API」)または薬物(本明細書中では同義で使用される)を含む。有効医薬成分は、制酸薬、抗炎症物質、冠動脈拡張薬、脳血管拡張薬(cerebral dilators)、末梢血管拡張剤、抗感染薬、向精神薬、抗躁病薬、興奮薬、抗ヒスタミン薬、うっ血除去薬、胃腸鎮静薬、抗狭心症薬、血管拡張薬、抗不整脈薬、抗高血圧症薬、血管収縮薬、片頭痛治療薬、抗凝血薬および抗血栓薬、鎮痛薬、解熱薬、催眠薬、鎮静薬、鎮吐薬、制吐薬、抗痙攣薬、神経筋薬、血糖上昇剤および血糖降下剤、甲状腺および抗甲状腺製剤、利尿薬、鎮痙薬、子宮弛緩薬、抗肥満薬、同化薬(anabolic drug)、赤血球生成薬(erythropoietic drug)、抗ぜん息薬、気管支拡張薬、去痰薬、鎮咳剤、粘液溶解薬、抗尿酸症薬(anti-uricemic drug)等からなる群から選択することができる。
【0031】
一部の実施形態においては、有効医薬成分が水溶性で、30部の溶媒に対して1部を超える溶解度を有する。水溶性APIとして、非共有結合しているプロトンにより正に帯電している無機酸および有機酸により形成される塩、永久的に正(または負)に帯電している分子、ならびに弱酸と強酸との塩である負に帯電している分子が挙げられる。他の諸実施形態においては、APIが自由に可溶性で、約10部の溶媒に対して約1部の溶解度を有する。さらに他の諸実施形態においては、APIが可溶性で、約1部の溶媒に対して約1部以下の溶解度を有する。
【0032】
プロプラノロール、酒石酸メトプロロール、コハク酸メトプロロール、ガランタミン、ブプロピオン、ジルチアゼム、オキシブチニン、ハイドロクロロサイアザイド、メトホルミン、ドーパミン、シプロフロキサシン、バンコマイシン、ノルバンコマイシン、ダウノルビシン、ビンカアルカロイド(たとえば、ビノレルビン)、セチリジン(cetrizine)、ベンラファクシン、オピオイド鎮痛薬(たとえば、モルヒネ)、トラマドール、ジルチアゼム、チモロール、トロスピウム、プラミペキソール、メチルフェニデート、シメチジン、アンフェタミン、メタンフェタミン、セファレキシン、ならびにこれらの医薬的に受け入れ可能な塩、水和物または溶媒和物からなる群から、具体的なAPIを選択することができる。
【0033】
本発明の一部の諸実施形態においては、内側コアビーズは1種の有効医薬成分を含む。本発明の他の諸実施形態においては、内側コアビーズは2種以上のAPIの混合物を含む。好ましい諸実施形態においては、内側コアビーズは水溶性薬物から選択されるAPIを含む。最も好ましい一実施形態においては、内側コアビーズはプロプラノロール、またはその医薬的に受け入れ可能な塩もしくは水和物を含む。
【0034】
内側コアビーズに含まれる有効医薬成分の量は、その内側コアビーズに含まれる1種以上の有効医薬成分に応じて変わることになる。内側コアビーズ中に存在するAPIの量は、内側コアビーズの約5重量%〜約80重量%の範囲に、好ましくは内側コアビーズの約40重量%〜約70重量%、最も好ましくは内側コアビーズの約55重量%〜約65重量%の範囲に及ぶ。
【0035】
一部の諸実施形態においては、内側コアビーズは、結合剤、充填剤、浸透圧剤(osmotic agent)、希釈剤、吸収剤、着色剤、染料、顔料、崩壊剤、分散剤、封入剤(encapsulant)、流動助剤(flow aid)、硬化剤、浸透促進剤(permeation enhancer)、粘滑薬(demulcent)、安定剤、崩壊剤、タブレット化助剤、流動促進剤(glidant)、潤滑剤、可塑剤および湿潤剤からなる群から選択される1種以上の添加剤を含むことができる。使用する添加剤は、医薬的に受入れ可能でなければならず、1種以上のAPIおよび/または他の1種以上の添加剤と適合しなければならない。さらに、添加剤の任意の組合せを、本発明の内側コアビーズにおいて使用することもできる。内側コアビーズ中の添加剤の量は、内側コアビーズの約1重量%〜約60重量%に及ぶことができる。
【0036】
本発明の一部の諸実施形態においては、内側コアビーズはAPIおよび少なくとも1種の添加剤を含む。他の諸実施形態においては、ビーズにおけるAPIの付着を促進するために、内側コアビーズはAPI、結合剤および/または充填剤を含む。
【0037】
本明細書中で使用する用語「結合剤」とは、製剤を結び付けるまたは製剤に力価(strength)を与える医薬的に受入れ可能な非活性成分を指す。内側コアビーズの一部として使用する結合剤は、医薬品における使用に適している任意のタイプの結合剤でよく、ポリビニル−ピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、糖(たとえば、グルコース)、アカシア(acacia)、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デキストリン、エチルセルロース、ゼラチン、アルファ化デンプン、アルギン酸ナトリウム、ゼイン等またはこれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0038】
内側コアビーズの一部として使用する充填剤は、医薬品における使用に適している任意のタイプでよく、カルボキシメチルセルロース、スクロース、マンニトール、デキストロース、ラクトース、微結晶性(microcrystalline)セルロース、フルクトース、キシリトール、ソルビトール、デンプン等またはこれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0039】
一部の好ましい諸実施形態においては、内側コアビーズはAPIと、微結晶性セルロース(商品名Avicel(登録商標)PH101で市販されている)と、ヒドロキシプロピルセルロース(商品名Klucel(登録商標)EFで市販されている)とを含む。他の好ましい諸実施形態においては、内側コアビーズは水溶性の薬物と、微結晶性セルロース(商品名Avicel(登録商標)PH101で市販されている)と、ヒドロキシプロピルセルロース(商品名Klucel(登録商標)EFで市販されている)とを含む。さらに他の好ましい諸実施形態においては、内側コアビーズはプロプラノロールまたはその医薬的に受入れ可能な塩と、微結晶性セルロース(商品名Avicel(登録商標)PH101で市販されている)と、ヒドロキシプロピルセルロース(商品名Klucel(登録商標)EFで市販されている)とを含む。
【0040】
内側コアビーズは、内側コアビーズを実質的に取り囲む中間コーティングでコーティングされている。本明細書中で使用する「実質的に取り囲む」とは、使用する任意のコーティングが、内側コアビーズまたはコーティングされた内側コアビーズの約40%〜約100%覆うことを意味する。中間コーティングは、非水溶性成分、水溶性細孔形成剤またはチャネリング剤(以下、「水溶性成分」と称する)、ならびに非水溶性成分と水溶性細孔形成剤またはチャネリング剤との混合物から選択される成分を含む。
【0041】
当技術分野において周知の非水溶性成分を本発明において使用することができる。非水溶性成分は、水性媒体に実質的に不溶である医薬的に受入れ可能な毒性のないポリマーである。このような非水溶性ポリマーは、エチルセルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸セルロース、硝酸セルロース、ポリ酢酸ビニルまたはこれらの混合物からなる群から選択される。
【0042】
当技術分野において周知の水溶性細孔形成剤またはチャネリング剤を本発明において使用することができる。水溶性成分は、水に可溶である医薬的に受入れ可能な毒性のない成分である。このような水溶性細孔形成剤またはチャネリング剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ラクトース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、グリセリン、塩、プロピレングリコール、糖、糖アルコール、ポリビニルアルコールまたはこれらの混合物からなる群から選択される。
【0043】
好ましい諸実施形態においては、中間コーティングは非水溶性成分と水溶性成分との混合物を含む。混合物が本発明の基準を満たしているであれば、水溶性成分と非水溶性成分との任意の組合せを選択することができる。水溶性成分が中間コーティング混合物に実質的に可溶であることが重要である。このような混合物を含む中間コーティングが水性環境にさらされる場合、水溶性成分は少なくとも部分的には溶解し、中間コーティングにおいて細孔形成が可能となる。これらの細孔を通って、有効医薬成分が放出される。したがって、消化管の水性媒体が内側コアビーズと接触すると、水溶性の薬物が溶解し始め、コーティングの細孔を通って放出され、制御された薬物放出が可能となる。
【0044】
好ましい一実施形態においては、非水溶性成分はエチルセルロース(商品名Ethocel(登録商標)Standard 45 Premiumで市販されている)であり、水溶性細孔形成剤またはチャネリング剤はヒドロキシプロピルメチルセルロース(商品名Pharmacoat(登録商標)606で市販されている)である。
【0045】
中間コーティング中に存在する非水溶性成分重量対水溶性成分重量の比は、約1:6から約9:1の範囲に、好ましくは約1:3から約3:1の範囲に、最も好ましくは約1:2から約2:1の範囲に及ぶ。非水溶性成分対水溶性成分の比が変わるにつれて、異なる薬物放出プロファイルが実現されることになる。
【0046】
一部の諸実施形態においては、中間コーティングは、結合剤、充填剤、浸透圧剤、希釈剤、吸収剤、着色剤、染料、顔料、崩壊剤、分散剤、封入剤、流動助剤、硬化剤、浸透促進剤、粘滑薬、安定剤、崩壊剤、タブレット化助剤、流動促進剤、潤滑剤、可塑剤および湿潤剤を含めた1種以上の添加剤を含有することができる。
【0047】
中間コーティングにおいて使用する成分および/または添加剤の種類および/または量を変えることによって、それぞれが異なる薬物放出プロファイルを有する、コーティングを施した異なる内側コアビーズを得ることができる。
【0048】
内側コアビーズに塗布する中間コーティングの量は、ビーズまたは徐放性粒子の約0.5重量%〜約25重量%、好ましくはビーズまたは徐放性粒子の約0.6重量%〜約15重量%、最も好ましくはビーズまたは徐放性粒子の約1.0重量%〜約4重量%の範囲に及ぶ。内側コアビーズに塗布する中間コーティングの量を変えることによって、異なる放出プロファイルを有する異なるビーズを得ることができる。
【0049】
中間コーティングを実質的に取り囲む外側コーティングが、中間コーティングを施した内側コアビーズに塗布されている。この外側コーティングはpH非依存性ポリマーを含む。本明細書中で使用する用語「pH非依存性」とは、ポリマーの透水率、したがってポリマーの医薬品成分を放出する能力がpHの関数ではないこと、および/またはpHには極めてわずかしか依存しないことを意味する。したがって、本発明の外側コーティングは、生理学的因子には無関係である制御した速度で、水溶性の薬物を放出することができる。生理的因子として、対象によって異なることがあり、特定の患者について時折変わることがあり、また剤形の投与(食物の有無)に応じて異なる消化管内のpH等が挙げられる。
【0050】
当技術分野において周知のpH非依存性ポリマーを本発明の一部として使用することができる。一部の諸実施形態においては、pH非依存性ポリマーを、メタクリレート系ポリマー類からなる群から選択することができる。他の諸実施形態においては、pH非依存性ポリマーを、アクリレート系ポリマー類からなる群から選択することができる。さらに他の諸実施形態においては、pH非依存性ポリマーを、アクリレート、メタクリレート、アクリレート/メタクリレート、アンモニウムアクリレート、アンモニウムメタクリレート、アンモニウムアクリレート/メタクリレート共重合体などの共重合体から選択することができる。上記ポリマーまたは共重合体群のいずれかの組合せを使用して、本発明の外側コーティングにおいて使用するpH非依存性ポリマーを形成することもできる。
【0051】
好ましい一実施形態においては、pH非依存性ポリマーは、すべてRohm GmbHから市販されているEudragit(登録商標)RSPO、Eudragit(登録商標)RLPO、Eudragit(登録商標)RL30D、Eudragit(登録商標)RL100、Eudragit(登録商標)RS30D、Eudragit(登録商標)RS100またはEudragit(登録商標)RD100からなる群から選択されるアンモニウムアクリレート/メタクリレート共重合体である。
【0052】
ビーズの外側コーティング中のpH非依存性ポリマーの量は、外側コーティングの約40重量%〜約80重量%、好ましくは外側コーティングの約50重量%〜約70重量%の範囲に及ぶ。
【0053】
外側コーティングは、結合剤、充填剤、希釈剤、吸収剤、着色剤、染料、顔料、崩壊剤、分散剤、封入剤、流動助剤、硬化剤、浸透促進剤、粘滑薬、安定剤、崩壊剤、タブレット化助剤、粘着防止剤(anti-tack agent)、流動促進剤、潤滑剤および湿潤剤を含めた、1種以上の添加剤を含有することもできる。
【0054】
一部の諸実施形態においては、外側コーティングは粘着防止剤(anti-tack agent)を含有する。本明細書中で使用する用語「粘着防止剤」とは、製剤における接着性または粘着性を低減させる化合物を指す。粘着防止剤の代表的な例としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、サイロイド(Syloid)、コロイド二酸化ケイ素またはタルクが挙げられる。
【0055】
外側コーティング中に存在する粘着防止剤の量は、前記外側コーティングの約5重量%〜約50重量%、好ましくは前記外側コーティングの約20重量%〜約35重量%の範囲に及ぶ。
【0056】
他の諸実施形態においては、外側コーティングは可塑性も含む。本明細書中で使用する用語「可塑性」とは、ポリマーのガラス転移温度および溶融粘度を減少させることができる任意の化合物を指す。可塑性の代表的な例として、トリアセチン、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリ−n−ブチル(acetyl tri-n-butyl citrate)、フタル酸ジエチル、ヒマシ油、セバシン酸ジブシル、アセチル化モノグリセリドおよびこれらの混合物が挙げられる。使用する可塑剤は、外側コーティング組成物中で使用するpH非依存性ポリマーの種類および所望の薬物放出プロファイルに依存することが理解されよう。外側コーティング中で使用する可塑性の量は、前記外側コーティングの約4重量%〜約40重量%、好ましくは外側コーティングの約8重量%〜約20重量%の範囲に及ぶ。
【0057】
中間コーティングを施した内側コアビーズに塗布する外側コーティングの量は、総ビーズの約2重量%〜約35重量%、好ましくは総ビーズの約4重量%〜約25重量%、最も好ましくは総ビーズの約5重量%〜約20重量%の範囲に及ぶ。中間コーティングを施したビーズに塗布する外側コーティングの量を変えることによって、異なる放出プロファイルを有する異なるビーズを得ることができる。
【0058】
本発明のビーズまたは徐放性粒子は、中間および外側コーティング以外の追加のコーティングを含有することもできる。このような追加のコーティングは、直接内側コアビーズを覆って中間コーティングの下の位置、中間コーティングと外側コーティングとの間の層としての位置、または外側コーティングを覆う位置など、多くの異なる態様で位置することができる。
【0059】
一般に、任意のコーティングを塗布する前に、内側コアビーズの表面に下塗りをすることが望ましい。したがって、ビーズまたは徐放性粒子は、内側コアビーズを実質的に取り囲み中間コーティングの塗布前に塗布されるサブコーティングをさらに含み、中間コーティングがサブコーティングを覆って塗布されるようにする。このサブコーティングは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール(「PVA」)、アミノアルキルメタクリレート共重合体(Rohm GmBhから市販されているEudragit(登録商標)Eなど)、またはColorconから市販されているOpadray(登録商標)Clearからなる群から選択される下塗剤でよい。好ましい一実施形態においては、サブコーティングはOpadry(登録商標)Clearを含む。
【0060】
内側コアビーズに塗布するサブコーティングの量は、総ビーズの約1重量%〜約10重量%、好ましくは総ビーズの約2重量%〜約6重量%の範囲に及ぶ。
【0061】
本発明のコーティングを施したビーズまたは徐放性粒子は、約200μm〜約1700μmの範囲に及ぶ、好ましくは約600μm〜約1400μmの範囲に及ぶ粒径を有する。
【0062】
一部の諸実施形態においては、多微粒子剤形(multi-particulate dosage form)、すなわち、単一種のビーズまたは徐放性粒子母集団を含有する剤形として、医薬組成物を投与する。すなわち、製剤中のビーズまたは徐放性粒子はすべて同じ構成成分を有し、成分および/またはコーティングを同じ量有する。もちろん、製剤中のビーズまたは徐放性粒子を多かれ少なかれ組み合わせることによって、様々な力価の異なる医薬製剤を得ることができる。ビーズまたは徐放性粒子それら自体は、ゼラチンもしくはセルロース系(based)の野菜カプセルカプセル内に入れることも、またはタブレットに圧縮することもできる。
【0063】
他の諸実施形態においては、医薬製剤は、2種以上のビーズ母集団を含む多微粒子剤形を備える。たとえば、このような剤形は第1のビーズ母集団および第2のビーズ母集団を含むことができ、第1および第2のビーズ母集団のそれぞれが、有効医薬成分を含む内側コアビーズと、内側コアビーズを実質的に取り囲む中間コーティングと、中間コーティングを実質的に取り囲みpH非依存性ポリマーを含む外側コーティングとを備え、第1および第2のビーズ母集団のそれぞれが異なる薬物放出プロファイルを有する。もちろん、このような多微粒子剤形は、2つのビーズ母集団のみからなる製剤に限定されない。
【0064】
2つのビーズ母集団の製剤を使用する場合、第1および第2のビーズ母集団のビーズは、先に説明した成分およびコーティングを含有する。第1のビーズ母集団と第2のビーズ母集団とは、a)塗布する中間コーティングの量および/または種類、b)塗布する外側コーティングの量および/または種類、c)追加のコーティングまたは層の有無、および/またはd)内側コアビーズに含まれる1種以上のAPIおよび/または添加剤の量の点で異なる。コーティングのいずれかが同じである必要も、第1および第2のビーズ母集団の両方で同じ内側コアビーズを使用する必要もない。
【0065】
任意の単一医薬剤形において異なるビーズ母集団を組み合わせることによって、異なる薬物放出プロファイルを得ることができる。ビーズ母集団のそれぞれが異なる薬物放出プロファイルを有することができるため、剤形内のビーズ母集団それぞれの量(または存在する異なるビーズ母集団の数)を変えることによって、異なる力価の異なる製剤を得ることができる。2つのビーズ母集団を含む剤形の一例として、第1のビーズ母集団対第2の母集団の比2:1により有効な薬物放出プロファイル(特定の有効医薬成分について)がもたらされることがわかっている場合、単純にビーズを剤形に添加することによって異なる用量力価を実現することができる。ただし、第1のビーズ母集団のビーズ対第2のビーズ母集団のビーズの比は同じままである。
【0066】
2つのビーズ母集団を含有する医薬剤形においては、一般に剤形は、第1のビーズ母集団のビーズおよび第2のビーズ母集団のビーズを約100:1から約1:100の範囲の比で含有することになる。これら第1および第2のビーズ母集団をゼラチンもしくはセルロース系の野菜カプセルカプセル内に入れることも、またはタブレットに圧縮することもできる。
【0067】
医薬剤形において単一のビーズ母集団を使用するのか複数のビーズ母集団を使用するのかにかかわらず、ビーズを含有するカプセルおよび/またはタブレットはそれぞれ、薬物放出をさらに促進するため、タブレット化またはカプセル化プロセスを助けるために、または医薬組成物のバルクを増大させるために、1種以上の添加剤を含有することができる。代表的な添加剤として、結合剤、充填剤、希釈剤、吸収剤、着色剤、染料、顔料、乾燥剤、崩壊剤、分散剤、封入剤、化学調味料(flavor enhancer)、流動助剤、硬化剤、浸透促進剤、粘滑薬、安定剤、崩壊剤、タブレット化助剤、流動促進剤、潤滑剤、可塑剤および湿潤剤が挙げられる。どの程度の添加剤を含めるべきかを決定すること、および同添加剤を添加することによって実現したい目標を決定することは当業者の範囲内である。着色剤、保存料、人口甘味料、風味料(flavorant)、酸化防止剤等からなる群から選択される他の医薬的に受入れ可能な成分を含めることもできる。
【0068】
本発明の医薬製剤の服用への食物の影響を決定するために研究を行った。給食条件についても断食条件についても曲線下面積(「AUCL」)を測定した。AUCLとは、ゼロ時間から定量化可能な最後の濃度までの、総APIプラズマ濃度−時間曲線の下の面積を指す。本発明の医薬製剤では、給食条件についての曲線下面積に対する断食条件についての曲線下面積の比率が、約0.8〜約1.25の範囲に及ぶ。ピーク濃度(CPEAK)も、給食条件および断食条件両方について測定した。CPEAKとは、補間(インターポレーション)なしのデータから直接得られる最大薬物濃度を指す。本発明の医薬製剤では、給食条件についてのピーク濃度に対する断食条件についてのピーク濃度の比が、約0.8〜約1.25の範囲に及ぶ。
【0069】
本発明のビーズまたは徐放性粒子ならびに医薬製剤を調製する方法も開示する。まず、内側コアビーズを調製しなければならない。一般に、内側コアビーズは、有効医薬成分を含有するビーズ、ペレット、回転楕円体、顆粒、ミニタブレットまたは粒子を製造するための当技術分野において公知の任意のプロセスによって調製することができる。一部の諸実施形態においては、薬物含有膜形成調合物で不活性粒子または結晶をコーティングすることによって、内側コアビーズを作製することができる。しかしながら、好ましい諸実施形態においては、湿式粒造プロセス、その後の押出し成形および球形化(spheronization)により内側コアビーズを作製する。内側コアビーズを製造する方法にかかわらず、さらなる処理ステップにおいてこのようなビーズを使用する。
【0070】
i)内側コアビーズを実質的に取り囲むように内側コアビーズに中間コーティングを、ii)中間コーティングを施した内側コアビーズにpH非依存性ポリマーからなる外側コーティングを、順次塗布することによって、個々のビーズまたは徐放性粒子を調製する。医薬剤形が2つのビーズ母集団を含む場合には、同じまたは異なる作製プロセスによって第1および第2のビーズ母集団のそれぞれを作製することができる。
【0071】
当技術分野において公知の方法によって、内側コアビーズに中間および外側コーティング層を添加する。一部の諸実施形態においては、流動床またはパン内で内側コアビーズにコーティング組成物を塗布する。他の諸実施形態においては、内側コアビーズ上にコーティング組成物を噴霧するまたは塗ることによって、コーティング組成物を塗布する。さらに他の諸実施形態においては、空気流中でビーズを流動化させることによって、流動床ボトムスプレーまたはトップスプレーコータにおいてコーティング組成物を塗布し、その上にコーティングの水性分散液を噴霧する。遠心流動床コーティング装置、パンコーティング装置または流動床コーティング装置を含めた様々な従来のコーティング装置を使用して、これらの方法を容易にすることができる。本明細書中に記載されているプロセスにおいては、調製において使用する任意の溶媒を、乾燥または硬化によってなど、当業者には公知の技法によって除去することを理解されたい。好ましい一実施形態においては、Wursterボトムスプレコータにより内側コアビーズにコーティング層を塗布する。中間コーティングを塗布するための方法は、外側コーティングを塗布するための方法と同じであっても、または異なっていてもよい。ビーズまたは徐放性粒子をコーティングおよび/または作製するために使用されている装置については、それぞれ引用により本明細書の一部をなす米国特許第4895733号および米国特許第5132142号に記載されている。
【0072】
内側コアビーズを含む本発明のビーズまたは徐放性粒子は、粉末粒子を接触させ、それら粉末粒子を互いに付着させ、回転運動によって付着粒子を締める(compact)ことによって作製することができ、高密度化の程度は、回転運動中のエネルギーの取込みによって制御する。このようなプロセスを行うための装置および方法は、共に引用により本明細書の一部をなす米国特許第6354728号と米国特許出願公開第2004/0185111号に開示されている。
【0073】
一部の諸実施形態においては、中間コーティングを調製する際の溶媒としてイソプロピルアルコールを使用し、外側コーティングを調製する際の溶媒としてエチルアルコールを使用する。他の諸実施形態においては、中間および外側コーティングの両方を調製する際の溶媒としてエチルアルコールを使用する。塩化メチレン/メタノールなど他の溶媒系の使用とは対照的に、イソプロピルアルコールおよびエチルアルコールを使用すると、コーティング系を開発する環境に優しい方法が提供される。
【0074】
この方法は、中間および外側コーティング以外の追加のコーティングを内側コアビーズに塗布するステップをさらに含んでよい。このようなコーティングを、任意の後続の処理ステップの前に内側コアビーズに直接塗布することも、中間コーティングと外側コーティングとの間に塗布することも、外側コーティングの後に塗布することもできる。好ましい諸実施形態においては、中間コーティングの塗布前に、本明細書中に開示されているようなサブコーティングを内側コアビーズに塗布する。当技術分野において公知の本明細書中に開示されている任意の方法によって、1種以上の追加のコーティングを塗布することができる。
【0075】
仕上がったビーズをそれぞれ、タルクまたは他の添加剤と混ぜ合わせ、ゼラチンもしくはセルロース系の野菜カプセルカプセル内に入れて、またはタブレットに圧縮して、医薬剤形を形成する。2つのビーズ母集団からなる諸実施形態においては、各ビーズ母集団を適当な量で組み合わせ、タルクまたは他の添加剤と混合する。
【0076】
以下の実施例では、本発明およびその特有の特性をさらに説明する。これらの実施例は、いかなる形においても本発明を限定するものではない。
【実施例1】
【0077】
内側コアビーズの組成
【表1】

【0078】
実施例1は、本発明の内側コアビーズを含む成分の一実施例である。この特定の実施例においては、有効医薬成分、塩酸プロプラノロールを2種の添加剤と組み合わせる。具体的には、精製水(purified water)にヒドロキシプロピルセルロース(Klucel(登録商標)RF)を添加して、造粒溶液を生成した。微結晶性セルロース(Avicel(登録商標)PH101)と、有効医薬成分(API)、塩酸プロプラノロールとを、上述の溶液と混合し粒状化した。その後、Twin Dome Granulatorを用いて粒状材料を押出し成形した。この押出物をマルメライザ(marumerizer)を用いて球形化し、球状化ビーズを放出した。放出したビーズを流動床内で乾燥させ、ふるいにかけ、「V」ブレンダを用いてブレンドした。得られた生成物は、約60%のAPIからなる内側コアビーズである。もちろん、異なる力価の内側コアビーズを、単純にその中のAPIまたは添加剤の量を変えることによって、作製することもできる。
【実施例2】
【0079】
ビーズまたは徐放性粒子の組成(487.2mg/g)
【表2】

【0080】
これは、プロプラノロールHCl内側コアビーズを含む徐放性粒子またはビーズ母集団の一実施例である。この特定の実施例は3つのコーティング、サブコーティング、中間コーティングおよび外側コーティングを含み、これらをそれぞれ内側コアビーズ(たとえば、実施例1の内側コアビーズ)に連続的に塗布する。
【0081】
サブコーティングは、Clear Opadry(登録商標)と精製水とを混合してサブコーティング溶液を入手し、このサブコーティング溶液を流動床装置内でWursterカラムを用いて内側コアビーズ上に噴霧することによって作製する。その後、サブコーティングを施した(subcoated)ビーズをふるいにかけた。
【0082】
中間コーティングは、水溶性成分と非水溶性成分との混合物を含む。この特定の実施例においては、非水溶性成分がエチルセルロースで、水溶性ポリマーがヒドロキシプロピルメチルセルロースである。この中間コーティングは、ビーズの総重量の約1.7%を含む。この中間コーティングは、イソプロピルアルコールと、エチルセルロース(Ethocel(登録商標))と、ヒプロメロース(Hypromellose)とを混合することによって作製した。得られた分散液を、流動床装置内でWursterカラムを用いてサブコーティングを施したビーズ上に噴霧した。これらサブコーティングを施したビーズを流動床内で乾燥させ冷却し、ふるいにかけた。
【0083】
外側コーティングは、pH非依存性ポリマー、結合剤および可塑剤を含む。この特定の実施例においては、pH非依存性ポリマーがEudragit RSPO、粘着防止剤がタルク、可塑剤がセバシン酸ジブチルである。この外側コーティングは、ビーズの総重量の約13.1%を含む。この外側コーティングは、pH非依存性ポリマー(Eudragit RSPO(登録商標))をエチルアルコールと、また可塑剤(セバシン酸ジブチル)と混合することによって作製した。粘着防止剤(タルク)をふるいにかけ、この溶液に混合して、外側コーティング分散液を生成した。最終的な外側塗りは、流動床装置内でWursterカラムを用いて中間コーティングを施したビーズに噴霧する。この外側コーティングは、ビーズの総重量の約13.1%を含む。これらビーズを流動床内で乾燥させ冷却し、ふるいにかけ、ブレンドした。この特定のビーズ母集団のビーズは、塩酸プロプラノロールを487.2mg/g含有する。
【0084】
コーティング組成物はそれぞれ、既述したように水溶液または有機溶媒中で調製する。精製水、イソプロピルアルコールおよびエチルアルコールを、作製プロセスにおける溶媒として使用し、処理中に蒸発させた。
【0085】
供給条件についても絶食条件についても、曲線下面積およびピーク濃度データを本実施例について提供する。絶食の研究では、24人の人間被験者が、服用前少なくとも10時間の絶食後に160mgの投与を受けた。各被検者はその後、服用後さらに4時間絶食した。給食の研究では、24人の人間被験者が、高脂肪の朝食(バターの目玉焼き2個、ベーコン2切れ、バターをぬったトースト2枚、ハッシュブラウンポテト4オンス、全乳80オンス)摂取の30分後に160mgの投与を受けた。
【実施例3】
【0086】
ビーズまたは徐放性粒子の組成(484.8mg/g)
【表3】

【0087】
これは、プロプラノロールHCl内側コアビーズを含むビーズまたは徐放性粒子母集団の一実施例である。この特定の実施例は3つのコーティング、サブコーティング、中間コーティングおよび外側コーティングを含む。
【0088】
中間コーティングは、水溶性成分と非水溶性成分との混合物を含む。具体的には、非水溶性成分がエチルセルロースで、水溶性成分がヒドロキシプロピルメチルセルロースである。この中間コーティングは、ビーズの総重量の約2.1%を含む。
【0089】
外側コーティングは、pH非依存性コーティング、粘着防止剤および可塑剤を含む。この外側コーティングは、ビーズの総重量の約13.1%を含む。具体的には、pH非依存性ポリマーがEudragit RSPO、粘着防止剤がタルク、可塑剤がセバシン酸ジブチルである。この特定の第2のビーズ母集団のビーズは、塩酸プロプラノロールを484.8mg/g含有し、実施例2で説明した方法に従って作製した。コーティング組成物はそれぞれ、記述したように水溶液または有機溶媒中で調製する。
【0090】
供給条件についても絶食条件についても、曲線下面積およびピーク濃度データを本実施例について提供する。絶食の研究では、23人の人間被験者が、服用前少なくとも10時間の絶食後に160mgの投与を受けた。各被検者はその後、服用後さらに4時間絶食した。給食の研究では、23人の人間被験者が、高脂肪の朝食(バターの目玉焼き2個、ベーコン2切れ、バターをぬったトースト2枚、ハッシュブラウンポテト4オンス、全乳80オンス)摂取の30分後に160mgの投与を受けた。
【実施例4】
【0091】
ビーズまたは徐放性粒子の組成(517.82mg/g)
【表4】

【0092】
これは、プロプラノロールHCl内側コアビーズを含むビーズまたは徐放性粒子母集団の一実施例である。この特定の実施例は3つのコーティング、サブコーティング、中間コーティングおよび外側コーティングを含む。
【0093】
中間コーティングは、水溶性成分と非水溶性成分との混合物からなる。具体的には、非水溶性成分がエチルセルロースで、水溶性成分がヒドロキシプロピルメチルセルロースである。この中間コーティングは、ビーズの総重量の約2.3%を含む。外側コーティングは、pH非依存性コーティング、粘着防止剤および可塑剤を含む。
【0094】
この外側コーティングは、ビーズの総重量の約6.9%を含む。具体的には、pH非依存性ポリマーがEudragit RSPO、結合剤がタルク、可塑剤がセバシン酸ジブチルである。この特定の第2のビーズ母集団のビーズは、塩酸プロプラノロールを517.82mg/g含有し、実施例2で説明した方法に従って作製した。コーティング組成物はそれぞれ、既述したように水溶液または有機溶媒中で調製する。
【0095】
供給条件についても絶食条件についても、曲線下面積およびピーク濃度データを本実施例について提供する。絶食の研究では、36人の人間被験者が、服用前少なくとも10時間の絶食後に160mgの投与を受けた。各被検者はその後、服用後さらに4時間絶食した。給食の研究では、36人の人間被験者が、高脂肪の朝食(バターの目玉焼き2個、ベーコン2切れ、バターをぬったトースト2枚、ハッシュブラウンポテト4オンス、全乳80オンス)摂取の30分後に160mgの投与を受けた。
【実施例5】
【0096】
第1のビーズ母集団および第2のビーズ母集団を含む組成物(506.3mg/g)
【表5】

【0097】
実施例5では、医薬製剤を生成するために混合する2つの異なる徐放性粒子またはビーズ母集団の組合せの実例を示す。この特定の実施例では、第1のビーズ母集団(実施例4からの)65%と、第2のビーズ母集団(実施例3からの)35%とを含む医薬剤形が検討され、それにより特定の薬物放出プロファイルがもたらされる。
【0098】
実施例5のカプセルは、ブレンド−カプセル化プロセスによって作製した。これら2つのビーズ母集団に加えて、カプセルはタルク、微粉化(Micronized)(Alphafil 500)(流動促進剤)を含んでいた。各ビーズ母集団を別々にVブレンダに添加し、カプセル化の前にタルクと混合した。実際の目標カプセル充填重量は、各ビーズブレンドプロセス後に決定した指定の力価(potency factor)を用いて算出した。
【0099】
供給条件についても絶食条件についても、曲線下面積およびピーク濃度データを本実施例について提供する。絶食の研究では、99人の人間被験者が、服用前少なくとも10時間の絶食後に160mgの投与を受けた。各被検者はその後、服用後さらに4時間絶食した。給食の研究では、98人の人間被験者が、高脂肪の朝食(バターの目玉焼き2個、ベーコン2切れ、バターをぬったトースト2枚、ハッシュブラウンポテト4オンス、全乳80オンス)摂取の30分後に160mgの投与を受けた。
【実施例6】
【0100】
100rpmにおける40個の金網バスケットにおいて、0.1NのHCl(pH1.2、900mL)中で1.5時間、また緩衝剤(pH6.8、900mL)中で、カプセルの生体外溶解を評価した。これらのサンプルは、1.5時間、4.0時間、8時間、14時間および24時間で引き抜いた。結果を以下の表に示す。
【表6】

【0101】
一般に、生体外溶解は、APIの約0.25%〜約14%が約1.5時間後に放出され、APIの約5%〜約35%が約4時間後に放出され、APIの約20%〜約65%が約8時間後に放出され、APIの約50%〜約85%が約14時間後に放出され、APIの約75%〜約100%が約24時間後に放出されるようになっている。
【0102】
本発明を特定の諸実施形態に関して本明細書中で説明してきたが、これらの諸実施形態は、本発明の原理および用途の例示にすぎないことを理解されたい。したがって、これら例示的な諸実施形態に数多くの変更を加えることができることを、また添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の精神および範囲から逸脱することなく他の構成を考案することができることを理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効医薬成分を含む内側コアビーズを有する徐放性粒子と、前記内側コアビーズを実質的に取り囲む中間コーティングと、前記中間コーティングを実質的に取り囲みpH非依存性ポリマーを含む外側コーティングとを備える医薬製剤。
【請求項2】
前記有効医薬成分が、水溶性薬物である請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項3】
前記水溶性薬物が、プロプラノロールである請求項2に記載の医薬製剤。
【請求項4】
前記内側コアビーズが、少なくとも1種の添加剤をさらに含む請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項5】
前記少なくとも1種の添加剤が、結合剤、充填剤、浸透圧剤、希釈剤、吸収剤、着色剤、染料、顔料、崩壊剤、分散剤、封入剤、流動助剤、硬化剤、浸透促進剤、粘滑薬、安定剤、崩壊剤、タブレット化助剤、流動促進剤、潤滑剤、可塑剤および湿潤剤からなる群から選択される請求項5に記載の医薬製剤。
【請求項6】
前記内側コアビーズが、微結晶性セルロースおよびヒドロキシプロピルセルロースをさらに含む請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項7】
前記内側コアビーズ中の前記有効医薬成分の量が、前記内側コアビーズの約5重量%〜約80重量%の範囲にある請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項8】
前記内側コアビーズ中の前記有効医薬成分の量が、前記内側コアビーズの約40重量%〜約70重量%の範囲にある請求項7に記載の医薬製剤。
【請求項9】
前記中間コーティングが、水溶性成分と、非水溶性成分と、水溶性成分および非水溶性成分の混合物とからなる群から選択される成分を含む請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項10】
前記水溶性成分が、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ラクトース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、グリセリン、塩、プロピレングリコール、糖、糖アルコール、ポリビニルアルコールおよびこれらの混合物からなる群から選択される請求項9に記載の医薬製剤。
【請求項11】
前記非水溶性成分が、エチルセルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸セルロース、硝酸セルロース、ポリ酢酸ビニルおよびこれらの混合物からなる群から選択される請求項9に記載の医薬製剤。
【請求項12】
前記非水溶性成分対前記水溶性成分の比が、約1:6から約9:1の範囲にある請求項9に記載の医薬製剤。
【請求項13】
前記非水溶性成分対前記水溶性成分の比が、約1:3から約3:1の範囲にある請求項12に記載の医薬製剤。
【請求項14】
前記中間コーティングが、少なくとも1種の添加剤をさらに含む請求項9に記載の医薬製剤。
【請求項15】
前記少なくとも1種の添加剤が、結合剤、充填剤、浸透圧剤、希釈剤、吸収剤、着色剤、染料、顔料、崩壊剤、分散剤、封入剤、流動助剤、硬化剤、浸透促進剤、粘滑薬、安定剤、崩壊剤、タブレット化助剤、流動促進剤、潤滑剤、可塑剤および湿潤剤からなる群から選択される請求項14に記載の医薬製剤。
【請求項16】
前記内側コアビーズに塗布される前記中間コーティングの量が、前記徐放性粒子の約0.5重量%〜約25重量%の範囲にある請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項17】
前記内側コアビーズに塗布される前記中間コーティングの量が、前記徐放性粒子の約0.6重量%〜約、15重量%の範囲にある請求項16に記載の医薬製剤。
【請求項18】
前記pH非依存性ポリマーが、メタクリレート系ポリマー、アクリレート系ポリマー、アクリレートとメタクリレートとの共重合体、第四アンモニウム基を有するアクリレート/メタクリレート共重合体、アンモニウムアクリレート/メタクリレート共重合体からなる群から選択される請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項19】
前記pH非依存性ポリマーの量が、前記外側コーティングの約40重量%〜約80重量%の範囲にある請求項18に記載の医薬製剤。
【請求項20】
前記pH非依存性ポリマーの量が、前記外側コーティングの約50重量%〜約70重量%の範囲にある請求項19に記載の医薬製剤。
【請求項21】
前記外側コーティングが、少なくとも1種の添加剤をさらに含む請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項22】
前記少なくとも1種の添加剤が、結合剤、充填剤、希釈剤、吸収剤、着色剤、染料、顔料、崩壊剤、分散剤、封入剤、流動助剤、硬化剤、浸透促進剤、粘滑薬、安定剤、崩壊剤、タブレット化助剤、流動促進剤、潤滑剤、可塑剤および湿潤剤からなる群から選択される請求項21に記載の医薬製剤。
【請求項23】
前記中間コーティングを施したビーズに塗布される前記外側コーティングの量が、前記徐放性粒子の約2重量%〜約35重量%の範囲にある請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項24】
前記中間コーティングを施したビーズに塗布される前記外側コーティングの量が、前記徐放性粒子の約4重量%〜約25重量%の範囲にある請求項23に記載の医薬製剤。
【請求項25】
前記外側コーティングが、可塑剤をさらに含む請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項26】
前記可塑剤が、セバシン酸ジブチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジエチル、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、安息香酸ベンジル、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、トリアセチン、アセチル化モノグリセリド、クエン酸エステル、フタル酸エステルおよびこれらの混合物からなる群から選択される請求項25に記載の医薬製剤。
【請求項27】
追加のコーティングをさらに含む請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項28】
前記追加のコーティングが、前記内側コアビーズと前記中間コーティングとの間のサブコーティングである請求項27に記載の医薬製剤。
【請求項29】
前記サブコーティングが、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびヒドロキシプロピルセルロースからなる群から選択される請求項27に記載の医薬製剤。
【請求項30】
1種以上の添加剤をさらに含む請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項31】
前記1種以上の添加剤が、結合剤、充填剤、希釈剤、粘着防止剤、吸収剤、着色剤、染料、人工甘味料、顔料、分散剤、封入剤、化学調味料、流動助剤、酸化防止剤、硬化剤、浸透促進剤、粘滑薬、安定剤、崩壊剤、タブレット化助剤、保存料、流動促進剤、潤滑剤、可塑剤および湿潤剤からなる群から選択される請求項30に記載の医薬製剤。
【請求項32】
絶食条件についての曲線下面積に対する給食条件についての曲線下面積の比が、約0.8〜約1.25の範囲にある請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項33】
絶食条件についてのピーク濃度に対する給食条件についてのピーク濃度の比が、約0.8〜約1.25の範囲にある請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項34】
前記徐放性粒子が、カプセル内に含まれる請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項35】
前記徐放性粒子が、タブレットに圧縮されている請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項36】
第1のビーズ母集団と、
第2のビーズ母集団とを備える医薬製剤であって、
前記第1および第2のビーズ母集団のそれぞれが、
有効医薬成分を含む内側コアビーズと、
前記内側コアビーズを実質的に取り囲む中間コーティングと、
前記中間コーティングを実質的に取り囲みpH非依存性ポリマーを含む外側コーティングとを備え、
前記第1および第2のビーズ母集団のそれぞれが、異なる薬物放出プロファイルを有する医薬製剤。
【請求項37】
前記第1および第2のビーズ母集団が、前記中間コーティングを異なる量含有する請求項36に記載の医薬製剤。
【請求項38】
前記第1および第2のビーズ母集団が、前記外側コーティングを異なる量含有する請求項36に記載の医薬製剤。
【請求項39】
前記第1および第2のビーズ母集団が、異なる中間コーティングを含有する請求項36に記載の医薬製剤。
【請求項40】
前記第1および第2のビーズ母集団が、異なる外側コーティングを含有する請求項36に記載の医薬製剤。
【請求項41】
前記第1および第2のビーズ母集団が、前記内側コア中に前記有効医薬成分を異なる量含有する請求項36に記載の医薬製剤。
【請求項42】
前記第1のビーズ母集団対前記第2のビーズ母集団の比が、約100:1から約1:100の範囲にある請求項36に記載の医薬製剤。
【請求項43】
前記有効医薬成分が、プロプラノロールである請求項36に記載の医薬製剤。
【請求項44】
前記中間コーティングが、水溶性成分と、非水溶性成分と、水溶性成分および非水溶性成分の混合物とからなる群から選択される成分を含む請求項36に記載の医薬製剤。
【請求項45】
前記水溶性成分が、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ラクトース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、グリセリン、塩、プロピレングリコール、糖、糖アルコール、ポリビニルアルコールおよびこれらの混合物からなる群から選択される請求項44に記載の医薬製剤。
【請求項46】
前記非水溶性成分が、エチルセルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸セルロース、硝酸セルロース、ポリ酢酸ビニルおよびこれらの混合物からなる群から選択される請求項44に記載の医薬製剤。
【請求項47】
前記非水溶性成分対前記水溶性成分の比が、約1:6から約9:1の範囲にある請求項45に記載の医薬製剤。
【請求項48】
前記非水溶性成分対前記水溶性成分の比が、約1:3から約3:1の範囲にある請求項47に記載の医薬製剤。
【請求項49】
前記pH非依存性ポリマーが、メタクリレート系ポリマー、アクリレート系ポリマー、アクリレート/メタクリレート共重合体、アクリレートとメタクリレートとの共重合体、第四アンモニウム基を有するアクリレート/メタクリレート共重合体、およびアンモニウムアクリレート/メタクリレート共重合体からなる群から選択される請求項36に記載の医薬製剤。
【請求項50】
前記外側コーティングが、可塑剤をさらに含む請求項36に記載の医薬製剤。
【請求項51】
前記可塑剤が、セバシン酸ジブチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジエチル、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、安息香酸ベンジル、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、トリアセチン、アセチル化モノグリセリド、クエン酸エステル、フタル酸エステルおよびこれらの混合物からなる群から選択される請求項50に記載の医薬製剤。
【請求項52】
追加のコーティングをさらに含む請求項36に記載の医薬製剤。
【請求項53】
前記追加のコーティングが、前記内側コアビーズと前記中間コーティングとの間のサブコーティングである請求項52に記載の医薬製剤。
【請求項54】
前記第1および第2のビーズ母集団が、前記内側コアビーズと前記中間コーティングとの間に前記サブコーティングを異なる量含有する請求項53に記載の医薬製剤。
【請求項55】
前記第1および第2のビーズ母集団が、前記内側コアビーズと前記中間コーティングとの間に、異なるサブコーティングを含有する請求項53に記載の医薬製剤。
【請求項56】
前記サブコーティングが、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびヒドロキシプロピルセルロースからなる群から選択される請求項53に記載の医薬製剤。
【請求項57】
1種以上の添加剤をさらに含む請求項34に記載の医薬製剤。
【請求項58】
前記1種以上の添加剤が、結合剤、充填剤、希釈剤、粘着防止剤、吸収剤、着色剤、染料、人口甘味料、顔料、分散剤、封入剤、化学調味料、流動助剤、酸化防止剤、硬化剤、浸透促進剤、粘滑薬、安定剤、崩壊剤、タブレット化助剤、保存料、流動促進剤、潤滑剤、可塑剤および湿潤剤からなる群から選択される請求項57に記載の医薬製剤。
【請求項59】
前記第1のビーズ母集団および前記第2のビーズ母集団が、カプセル内に含有される請求項36に記載の医薬製剤。
【請求項60】
前記第1のビーズ母集団および前記第2のビーズ母集団が、タブレットに圧縮されている請求項36に記載の医薬製剤。
【請求項61】
前記有効医薬成分が、水溶性薬物である請求項36に記載の医薬製剤。
【請求項62】
前記水溶性薬物が、プロプラノロールである請求項63に記載の医薬製剤。
【請求項63】
絶食条件についての曲線下面積に対する給食条件についての曲線下面積の比が、約0.8〜約1.25の範囲にある請求項36に記載の医薬製剤。
【請求項64】
絶食条件についてのピーク濃度に対する給食条件についてのピーク濃度の比が、約0.8〜約1.25の範囲にある請求項36に記載の医薬製剤。
【請求項65】
医薬製剤を調製する方法であって、
a)有効医薬成分を含む内側コアビーズを調製するステップと、
b)i.前記内側コアビーズを実質的に取り囲むように前記内側コアビーズに中間コーティングを、
ii.前記中間コーティングを施した内側コアビーズにpH非依存性ポリマーを含む外側コーティングを、
順次塗布することによって、前記内側コアビーズから徐放性粒子を調製するステップと
を含む方法。
【請求項66】
前記有効医薬成分が、水溶性薬物である請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記水溶性薬物が、プロプラノロールである請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記中間コーティングが、水溶性成分と、非水溶性成分と、水溶性成分および非水溶性成分の混合物とからなる群から選択される成分を含む請求項65に記載の方法。
【請求項69】
前記非水溶性成分が、エチルセルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸セルロース、硝酸セルロース、ポリ酢酸ビニルおよびこれらの混合物からなる群から選択される請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記水溶性成分が、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ラクトース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、グリセリン、塩、プロピレングリコール、糖、糖アルコール、ポリビニルアルコールおよびこれらの混合物からなる群から選択される請求項68に記載の方法。
【請求項71】
前記非水溶性成分対前記水溶性成分の比が、約1:6から約9:1の範囲にある請求項68に記載の方法。
【請求項72】
前記非水溶性成分対前記水溶性成分の比が、約1:3から約3:1の範囲にある請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記pH非依存性ポリマーが、メタクリレート系ポリマー、アクリレート系ポリマー、アクリレート/メタクリレート共重合体、アクリレートとメタクリレートとの共重合体、第四アンモニウム基を有するアクリレート/メタクリレート共重合体、アンモニウムアクリレート/メタクリレート共重合体からなる群から選択される請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記外側コーティングが、可塑剤をさらに含む請求項65に記載の方法。
【請求項75】
前記可塑剤が、セバシン酸ジブチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジエチル、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、安息香酸ベンジル、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、トリアセチン、アセチル化モノグリセリド、クエン酸エステル、フタル酸エステルおよびこれらの混合物からなる群から選択される請求項74に記載の方法。
【請求項76】
前記内側コアビーズに、追加のコーティングを塗布するステップをさらに含む請求項65に記載の方法。
【請求項77】
前記追加のコーティングが、前記中間コアビーズと前記内側コーティングとの間のサブコーティングである請求項76に記載の方法。
【請求項78】
前記サブコーティングが、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびヒドロキシプロピルセルロースからなる群から選択される請求項77に記載の方法。
【請求項79】
前記内側コアビーズ中の前記有効医薬成分の量が、前記内側コアビーズの約5重量%〜約80重量%の範囲にある請求項65に記載の方法。
【請求項80】
前記内側コアビーズ中の前記有効医薬成分の量が、前記内側コアビーズの約40重量%〜約70重量%の範囲にある請求項79に記載の方法。
【請求項81】
第1の徐放性粒子母集団を第2の徐放性粒子母集団と混合するステップをさらに含み、前記第1および第2の徐放性粒子母集団が、異なる薬物放出プロファイルを有する請求項65に記載の方法。
【請求項82】
前記第1の徐放性粒子母集団対前記第2の徐放性粒子母集団の比が、約100:1から約1:100の範囲にある請求項81に記載の方法。
【請求項83】
前記中間コーティングを調製するために使用される溶媒が、イソプロピルアルコールおよびエチルアルコールからなる群から選択される請求項65に記載の方法。
【請求項84】
前記外側コーティングを調製するために使用される溶媒が、エチルアルコールである請求項65に記載の方法。
【請求項85】
前記有効医薬成分の約0.25%〜約14%が約1.5時間後に放出され、前記有効医薬成分の約5%〜約35%が約4時間後に放出され、前記有効医薬成分の約20%〜約65%が約8時間後に放出され、前記有効医薬成分の約50%〜約85%が約14時間後に放出され、前記有効医薬成分の約75%〜約100%が約24時間後に放出されるような溶解プロファイルを水性媒体中でもたらす請求項1または請求項36に記載の医薬製剤。

【公表番号】特表2010−518002(P2010−518002A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−548269(P2009−548269)
【出願日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際出願番号】PCT/US2008/000926
【国際公開番号】WO2008/094440
【国際公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【出願人】(501218692)マイラン・ファーマシューティカルズ・インコーポレーテッド (3)
【Fターム(参考)】