指入力デバイス
【課題】操作キーを目視しなくても確実に操作を行い得る指入力デバイスを提供する。
【解決手段】複数のスイッチ手段(SW1〜SW12)と、スイッチ手段(SW1〜SW12)を人体の手の表面の複数の所定部位に互いの位置を異ならせて着脱可能に装着する装着手段(12)と、スイッチ手段(SW1〜SW12)の操作が検出された際に、操作されたスイッチ手段(SW1〜SW12)に対応するキー信号を出力する制御手段(13)とを備える指入力デバイス11である。
【解決手段】複数のスイッチ手段(SW1〜SW12)と、スイッチ手段(SW1〜SW12)を人体の手の表面の複数の所定部位に互いの位置を異ならせて着脱可能に装着する装着手段(12)と、スイッチ手段(SW1〜SW12)の操作が検出された際に、操作されたスイッチ手段(SW1〜SW12)に対応するキー信号を出力する制御手段(13)とを備える指入力デバイス11である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、指入力デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のようなヘッドマウントディスプレイ(HMD)が知られている。このようなヘッドマウントディスプレイをユーザーがその頭部に装着した状態において、表示の切り換えやその他の入力操作を行う場合には、ヘッドマウントディスプレイの耳掛部等に設けられた入力装置としての複数の操作キー(キーボード)等が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−136598号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ユーザーの頭部に装着されたヘッドマウントディスプレイに設けられた複数の操作キーを操作する場合には、必然的に複数の操作キーを目視して識別することができないので、誤操作する場合があった。
【0005】
本発明は、操作キーを目視しなくても確実に操作を行い得る指入力デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る指入力デバイスは、複数のスイッチ手段と、前記スイッチ手段を人体の手の表面の複数の所定部位に互いの位置を異ならせて着脱可能に装着する装着手段と、前記スイッチ手段の操作が検出された際に、操作されたスイッチ手段に対応するキー信号を出力する制御手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、操作キーを目視しなくても確実に操作を行い得る指入力デバイスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1実施形態の指入力デバイスの外観構成を示す正面図である。
【図2】本発明の第1実施形態の指入力デバイスの構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1実施形態の指入力デバイスを人体の手に装着した状態を示す図である。
【図4】本発明の第1実施形態の指入力デバイスの操作の一例を示す図である。
【図5】本発明の第1実施形態の指入力デバイスの変形例を示す図である。
【図6】本発明の第1実施形態の指入力デバイスの変形例の操作の一例を示す図である。
【図7】本発明の第1実施形態の指入力デバイスの変形例の操作の他の例を示す図である。
【図8】本発明の第2実施形態の指入力デバイスの外観構成を示す正面図である。
【図9】本発明の第2実施形態の指入力デバイスの構成を示すブロック図である。
【図10】本発明の第2実施形態の指入力デバイスを人体の手に装着した状態を示す図である。
【図11】本発明の第2実施形態の指入力デバイスの操作の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態について、図1〜図4を参照して説明する。この第1実施形態の指入力デバイス11は、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)を人体の頭部に装着した状態で、人体の手(片手)に装着して用いることができる入力装置(キーボード)である。
【0010】
第1実施形態の指入力デバイス11は、複数(本実施形態では12個)のスイッチ手段としてのスイッチSW(SW1〜SW12)と、これらのスイッチSWを人体の手1の表面の複数の所定部位に互いの位置を異ならせて着脱可能に装着する装着手段としての手袋12と、各スイッチSWの操作を検出し、操作されたスイッチSWに対応するキー信号を出力する制御手段としての端末部13と、電気配線14とを概略備えて構成されている。
【0011】
この指入力デバイス11(手袋12)は左手用である。但し、右手用であってもよい。手袋12は手1の親指(第一指)1aが挿入される親指部12a、人差指(第二指)1bが挿入される人差指部12b、中指(第三指)1cが挿入される中指部12c、薬指(第四指)1dが挿入される薬指部12d、小指(第五指)1eが挿入される小指部12e、手のひら1fが位置する手のひら部12f、および手首1gが位置する手首部12gを有している。手袋12の素材としては、手1にフィットするような柔らかい素材、例えば、布、毛糸、フェルト、革、ゴム、ラッテクス、ビニルなどを用いることができる。
【0012】
各スイッチSWとしては、本実施形態では、薄いシート状に形成され、押圧された場合に接点が機械的に閉じて電気的に導通され、押圧が解除されることにより接点が機械的に開いて電気的に導通が切断されるプッシュキーが用いられている。
【0013】
スイッチSW1〜SW3は人差指部12bに配置されており、スイッチSW1は人差指1bの先端部と第1関節との間の腹部に対応する部分に、スイッチSW2は人差指1bの第1関節と第2関節との間の腹部に対応する部分に、スイッチSW3は人差指1bの第2関節と第3関節との間の腹部に対応する部分に、それぞれ配置されている。スイッチSW4〜SW6は中指部12cに配置されており、スイッチSW4は中指1cの先端部と第1関節との間の腹部に対応する部分に、スイッチSW5は中指1cの第1関節と第2関節との間の腹部に対応する部分に、スイッチSW6は中指1cの第2関節と第3関節との間の腹部に対応する部分に、それぞれ配置されている。スイッチSW7〜SW9は薬指部12dに配置されており、スイッチSW7は薬指1dの先端部と第1関節との間の腹部に対応する部分に、スイッチSW8は薬指1dの第1関節と第2関節との間の腹部に対応する部分に、スイッチSW9は薬指1dの第2関節と第3関節との間の腹部に対応する部分に、それぞれ配置されている。スイッチSW10〜SW12は小指部12eに配置されており、スイッチSW10は小指1eの先端部と第1関節との間の腹部に対応する部分に、スイッチSW11は小指1eの第1関節と第2関節との間の腹部に対応する部分に、スイッチSW12は小指1eの第2関節と第3関節との間の腹部に対応する部分に、それぞれ配置されている。
【0014】
端末部13は手袋12が位置する手首部12gの一部に設けられており、制御部13a、通信部13bおよび電源部13cを概略備えている。制御部13aには、各スイッチSWが電気配線14を介してそれぞれ接続されている。制御部13aは各スイッチSWが押圧(接続)されたかどうかを検出し、各スイッチSWに予め割り振られている記号(キー情報)に対応するキー信号を通信部13bを介して無線送信する。なお、端末部13は手袋12の手首部12g以外の部分(親指部12a、人差指部12b、中指部12c、薬指部12d、小指部12e、または手のひら部12f)に設けてもよい。
【0015】
各スイッチSW1〜SW12に割り振る記号(キー情報)としては、どのような記号でもよいが、本実施形態では、主としてテンキーとして用いることができるように、スイッチSW1には数字「1」が、スイッチSW2には数字「2」が、スイッチSW3には数字「3」が、スイッチSW4には数字「4」が、スイッチSW5には数字「5」が、スイッチSW6には数字「6」が、スイッチSW7には数字「7」が、スイッチSW8には数字「8」が、スイッチSW9には数字「9」が、スイッチSW10には符号「#」が、スイッチSW11には数字「0」が、スイッチSW12には符号「*」が、それぞれ割り振られているものとする。なお、各スイッチSW1〜SW12に対する記号の割り振りは、予め固定的に設定しておいてもよいし、適宜にデフォルト設定されたものをユーザーが任意に変更できるようにしてもよい。
【0016】
この指入力デバイス11は操作キーを目視しなくても操作し得るものであるため、手袋12に配置された各スイッチSWの位置を視覚的に認識できる必要は必ずしもないが、本実施形態では、目視しての操作も行い得るようにするため、手袋12の各スイッチSWに対応する部分に、該スイッチSWが存在することを視認させるための表示を設けている。この表示としては、例えば、図1に示すように、丸や長丸などの図形を例示することができる。この表示としては、各スイッチSW1〜SW12にそれぞれ割り振られた記号の内容(「1」〜「9」,「#」,「0」,「*」)を図形表示するようにしてもよい。
【0017】
また、このように視覚的な表示に加えて、またはそれとは別に、手袋12の各スイッチSWに対応する部分に、該スイッチSWが存在することを触覚的に認識させる手段(例えば、凸部や凹部、ざらざら感など)を設けてもよい。この場合において、例えば、スイッチSW1に対応して1つの凸部を、スイッチSW2に対応して2つの凸部を、スイッチSW3に対応して3つの凸部を設けるなど、各スイッチSWに割り振られた記号の内容を触覚的に認識できるようにしてもよい。
【0018】
通信部13bは、ヘッドマウントディスプレイ2が備える通信部2aとの間で無線通信する手段であり、通信部13bとしては、無線LANモジュールやBluetooth(ブルートゥース)モジュールなどを例示することができる。なお、通信部13bとしては、このような無線通信モジュールに加えて、またはそれとは別に、USBインターフェースなどを用いて有線接続して通信するモジュールを設けてもよい。電源部13cは制御部13aや通信部13bに電力を供給するバッテリーであり、交換式のボタン電池や充電式の電池を用いることができる。
【0019】
指入力デバイス11(手袋12)を、図3に示すように、人体の手1に装着し、例えば、図4に示すように、親指1aの先端部でスイッチSW3を押圧すると、制御部13aはスイッチSW3が閉じた(導通した)ことを検出し、通信部13bを介して、スイッチSW3に対応する記号(ここでは、数字「3」)に係るキー信号が無線送信され、ヘッドマウントディスプレイ2において、通信部2aを介して受信される。他のスイッチSW1,SW2,SW4〜SW12についても同様に親指1aの先端部で押圧することにより操作することができる。なお、ここでは、指入力デバイス11を装着した手(例えば、左手)の親指1aの先端部で操作(スイッチSWの押圧)を行うようにしているが、指入力デバイス11を装着していない手(例えば、右手)の手指の先端部で操作することも可能である。
【0020】
上述したように、手袋12を手1に装着し、該手1の親指1aの先端部で各スイッチSWを操作することができる。このとき、一般に、人間は、自己の手1の親指1aの先端部と他の手指(人差指1b、中指1c、薬指1d、小指1e)の各腹部との位置関係は感覚的に認識しており、または完全に認識していないまでも少しの練習により簡単に体得することができるので、操作キーとしての各スイッチSWに対応する表示を目視しなくても確実に操作することができる。
【0021】
なお、上述した第1実施形態では、手袋12は人体の手1の全体を覆うものを例示したが、親指1aの先端部で操作する際の感覚を鋭敏なものとするため、親指部12aの全部または一部(特に、親指部12aの先端部)を省略することが好ましい。手のひら部12fの全部または一部を省略してもよい。また、手首部12gを省略してもよい。手首部12gを省略する場合には、端末部13は他の部分に設けるか、別途リストバンドなどに組み込んで、手首に装着するようにしてもよい。
【0022】
また、上述した第1実施形態では、各スイッチSWは、手指部12b,12c,12d,12eの各腹部に対応する位置、即ち手のひら側(手の甲と反対側)に設けたが、手指12b,12c,12d,12eの各腹部の反対側に対応する位置、即ち手の甲側に設けてもよい。例えば、図5に示すように、手袋12の人差指部12bの爪部(先端と第1関節との間の部分)に対応する部分にスイッチSW13を、中指部12cの爪部に対応する部分にスイッチSW14を、薬指部12dの爪部に対応する部分にスイッチSW15を、小指部12eの爪部に対応する部分にスイッチSW16を設けることができる。この場合において、スイッチSW13〜SW16には、例えば、方向キー(上下左右の矢印キー)を割り当てることができる。スイッチSW13〜SW16には、例えば、ファンクションキーを割り当ててもよい。これらのスイッチSW13〜SW16は、親指1aの先端部で操作することができる。例えば、スイッチSW13を操作する場合には、図6に示すように、親指1aの先端部で操作する。また、手袋12の親指部12aの爪部に対応する位置にスイッチSW17を設けてもよい。この場合のスイッチSW17の操作は、図7に示すように、例えば、人差指1bの先端部で行うことができる。スイッチSW17には、例えば、エンターキー(決定キー、実行キー)を割り当てることができる。
【0023】
さらに、スイッチSWは、手指部12b,12c,12d,12eのみならず、手のひら部12fの親指1aの先端部で操作可能な位置に設けてもよい。例えば、手指(人差指12b、中指12c、薬指12d、小指12e)の付け根の部分に対応する位置に配置してもよい。
【0024】
上述した第1実施形態では、各スイッチSWは、装着手段としての手袋12に設けた場合を例示したが、各スイッチSWをそれぞれ独立してシート状に形成して、装着手段としての例えば両面テープなどの貼着部材で各手指(親指1a、人差指1b、中指1c、薬指1d、小指1e)の該当箇所に直接貼り付けるようにしてもよい。また、各スイッチSWをそれぞれ指輪や指ベルトなどに装着して、各指輪や指ベルトなどを各手指(親指1a、人差指1b、中指1c、薬指1d、小指1e)の該当箇所にはめ込むまたは巻き付けて装着するようにしてもよい。また、装着手段としての手袋12に代えて、各手指(人差指1b、中指1c、薬指1d、小指1e)毎にそれぞれ指サックを設け、各指サックに3つのスイッチ(例えば、人差指1bについてのスイッチSW1〜SW3)を設けてもよい。
【0025】
また、上述した第1実施形態では、手袋12に設けられる各スイッチSWとしては、押圧またはその解除により接点が開閉するプッシュキーを採用したが、手袋12の各スイッチSWとして金属シートなどからなる導電性部材を設け、親指1aの先端部に同じく金属シートなどからなる導電性部材を設けて、これらの導電性部材間の導通の有無を電気的に検出するようにしてもよい。手袋12を省略して、導電性部材を例えば両面テープなどの貼着部材で各手指(親指1a、人差指1b、中指1c、薬指1d、小指1e)の該当箇所に直接貼り付け、あるいは導電性部材としての指輪を各手指(親指1a、人差指1b、中指1c、薬指1d、小指1e)の該当箇所にはめ込むようにしてもよい。
【0026】
〔第2実施形態〕
以下、本発明の第2実施形態について、図8〜図11を参照して説明する。この第2実施形態の指入力デバイス21は、上述した第1実施形態と同様に、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)を人体の頭部に装着した状態で、人体の手に装着して用いることができる入力装置(キーボード)である。なお、上述した第1実施形態と同一の部分については同一の符号を付して、その説明の一部を省略する。
【0027】
第2実施形態の指入力デバイス21は、人体の手1の親指1aの先端部に着脱可能に装着されるスイッチ手段としてのスイッチSW21と、親指1aの先端部の所定の基準に対する角度を検出する検出手段(25,26)と、スイッチSW21の操作が検出された際の該検出手段による検出角度に応じたキー信号を出力する制御手段としての端末部23と、電気配線24とを概略備えて構成されている。スイッチSW21は、親指1aが挿入される装着手段としての親指サック部材25の先端部に設けられている。親指サック部材25はプラスチックなどから形成され、その形状を保持する程度の剛性を有しており、人体の手首1gに着脱可能に装着される腕輪22に不図示の自在継手などを介して回動自在に軸支されている。なお、この第2実施形態の指入力デバイス21は左手用である。但し、右手用であってもよい。
【0028】
スイッチSW21としては、本実施形態では、薄いシート状に形成され、押圧された場合に接点が機械的に閉じて電気的に導通され、押圧が解除されることにより接点が機械的に開いて電気的に導通が切断されるプッシュキーが用いられている。
【0029】
端末部23は腕輪22に設けられており、制御部23a、通信部23b、電源部23c、および角度検出部26を概略備えている。制御部23aには、スイッチSW21が電気配線24を介して接続されている。角度検出部26は、親指サック部材25の所定の基準に対する回転角度を検出する手段であり、角度検出部26としては、例えば、親指サック部材25の回転動作を電気信号に変換して検出するロータリーエンコーダを用いることができる。
【0030】
制御部23aは、複数の角度とこれらに対応する位置(後述するP1〜P12)および記号(キー情報)が設定されたデータデーブルを不図示のメモリに予め記憶保持しており、スイッチSW21が押圧(導通)されたかどうかを検出し、そのときの角度検出部26の出力(検出角度)に基づいて、該データテーブルを参照し、該検出角度に対応する位置を特定し、対応するキー信号を通信部23bを介して無線送信する。
【0031】
上述した角度検出の所定の基準およびデータテーブルは以下のような手順により採取して、予め不図示のメモリに記憶させておく。即ち、図10に示すように、指入力デバイス21の腕輪22を人体の手首1gに装着するとともに、親指サック部材25に親指1aを挿入し、手を開いた状態とし、このときに角度検出部26により検出される角度をゼロリセットし、これを上述した所定の基準とする。データテーブルは以下のように作成する。例えば、図11に示すように、親指1aの先端部(スイッチSW21の部分)を人差指1bの第2関節と第3関節との間の腹部に相当する位置P3に設定して押圧し、このときの角度検出部26の出力(検出角度)を該位置P3との関係においてメモリに記憶させる。この操作を、位置P1,P2,P4〜P12についても同様に行い、各位置P1〜P12とこれらに対応する検出角度との関係をデータテーブルとしてメモリに記憶させる。
【0032】
また、各位置P1〜P12に対応して、記号(キー情報)を割り振ってデータテーブルに記憶させておく。各位置P1〜P12に割り振る記号としては、どのような記号でもよいが、本実施形態では、主としてテンキーとして用いることができるように、位置P1には数字「1」が、位置P2には数字「2」が、位置P3には数字「3」が、位置P4には数字「4」が、位置P5には数字「5」が、位置P6には数字「6」が、位置P7には数字「7」が、位置P8には数字「8」が、位置P9には数字「9」が、位置P10には符号「#」が、位置P11には数字「0」が、位置P12には符号「*」が、それぞれ割り振られているものとし、これらに対応するキー情報が上述のメモリのデータテーブルに予め設定されているものとする。なお、各位置P1〜P12に対する記号の割り振りは、予め固定的に設定しておいてもよいし、適宜にデフォルト設定されたものをユーザーが任意に変更できるようにしてもよい。
【0033】
通信部23bおよび電源部23cは、上述した第1実施形態の通信部13bおよび電源部13cと同様であるので、その説明は省略する。
【0034】
指入力デバイス21を、図10に示すように、人体の手1に装着し、例えば、図11に示すように、親指1aの先端部で位置P3を押圧すると、スイッチSW21が閉じ、制御部23aはスイッチSW21が導通(接続)したことを検出し、そのときの角度検出部26による検出角度に基づいて不図示のメモリのデータテーブルを参照し、位置P3を特定し、該位置P3に対応するキー情報を抽出して、通信部23bを介して、位置P3に対応する記号(ここでは、数字「3」)に係るキー信号を無線送信する。このキー信号は、ヘッドマウントディスプレイ2において、通信部2aを介して受信される。他の位置P1,P2,P4〜P12についても同様に親指1aの先端部で押圧することにより操作することができる。
【0035】
上述したように、指入力デバイス21は、腕輪22および親指サック部材25を手1に装着し、該手1の親指1aの先端部で他の手指(人差指1b、中指1c、薬指1d、小指1e)の所望の腹部を押圧することにより、操作することができる。このとき、一般に、人間は、自己の手1の親指1aの先端部と他の手指(人差指1b、中指1c、薬指1d、小指1e)の各腹部との位置関係は感覚的に認識しており、または完全に認識していないまでも少しの練習により簡単に体得することができるので、各位置P1〜P12を目視しなくても確実に操作することができる。
【0036】
上述した第2実施形態では、位置P1〜P12は、各手指(人差指1b、中指1c、薬指1d、小指1e)に設定したが、手のひら1fの親指1aの先端部で押圧可能な位置に設けてもよい。例えば、各手指(人差指1b、中指1c、薬指1d、小指1e)の付け根の部分に設定してもよい。
【0037】
上述した第2実施形態では、スイッチSW21は、装着手段としての親指サック部材25に設けた場合を例示したが、スイッチSW21を独立してシート状に形成して、装着手段としての例えば両面テープなどの貼着部材で親指1aの先端部に貼り付けるようにしてもよい。また、スイッチSW21を指輪や指ベルトなどに装着して、該指輪や指ベルトなどを親指1aの先端部にはめ込むまたは巻き付けて装着するようにしてもよい。
【0038】
また、上述した第2実施形態では、親指サック部材25および角度検出部26を備えて構成される角度検出手段により、親指1aの先端部と他の手指(人差指1b、中指1c、薬指1d、小指1e)の各腹部との位置関係を特定するようにしたが、親指1aの先端部に加速度センサを設け、該加速度センサにより検出される親指1aの先端部の動きを検出して、他の手指(人差指1b、中指1c、薬指1d、小指1e)の各腹部等との位置関係を特定するようにしてもよい。
【0039】
上述したように、第1実施形態の指入力デバイス11および第2実施形態の指入力デバイス21は、キーボードを目視することが難しいヘッドマウントディスプレイの入力装置として用いて特に好適である。但し、用いる対象はそのようなヘッドマウントディスプレイに限られず、パーソナルコンピュータ、タブレット型コンピュータ、デジタルカメラ、携帯電話、PDA、デジタルゲーム機、デジタルテレビジョン受像機、電卓、電子鍵などに対する入力装置とて用いることもできる。
【0040】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。従って、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【符号の説明】
【0041】
1…手、1a…親指、1b…人差指、1c…中指、1d…薬指、1e…小指、1f…手のひら、1g…手首、2…ヘッドマウントディスプレイ、11…指入力デバイス、12…手袋、13…端末部、13a…制御部、13b…通信部、14…電気配線、SW(SW1〜SW17)…スイッチ、21…指入力デバイス、22…腕輪、23…端末部、23a…制御部、23b…通信部、24…電気配線、25…親指サック部材、26…角度検出部、P1〜P12…位置。
【技術分野】
【0001】
本発明は、指入力デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のようなヘッドマウントディスプレイ(HMD)が知られている。このようなヘッドマウントディスプレイをユーザーがその頭部に装着した状態において、表示の切り換えやその他の入力操作を行う場合には、ヘッドマウントディスプレイの耳掛部等に設けられた入力装置としての複数の操作キー(キーボード)等が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−136598号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ユーザーの頭部に装着されたヘッドマウントディスプレイに設けられた複数の操作キーを操作する場合には、必然的に複数の操作キーを目視して識別することができないので、誤操作する場合があった。
【0005】
本発明は、操作キーを目視しなくても確実に操作を行い得る指入力デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る指入力デバイスは、複数のスイッチ手段と、前記スイッチ手段を人体の手の表面の複数の所定部位に互いの位置を異ならせて着脱可能に装着する装着手段と、前記スイッチ手段の操作が検出された際に、操作されたスイッチ手段に対応するキー信号を出力する制御手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、操作キーを目視しなくても確実に操作を行い得る指入力デバイスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1実施形態の指入力デバイスの外観構成を示す正面図である。
【図2】本発明の第1実施形態の指入力デバイスの構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1実施形態の指入力デバイスを人体の手に装着した状態を示す図である。
【図4】本発明の第1実施形態の指入力デバイスの操作の一例を示す図である。
【図5】本発明の第1実施形態の指入力デバイスの変形例を示す図である。
【図6】本発明の第1実施形態の指入力デバイスの変形例の操作の一例を示す図である。
【図7】本発明の第1実施形態の指入力デバイスの変形例の操作の他の例を示す図である。
【図8】本発明の第2実施形態の指入力デバイスの外観構成を示す正面図である。
【図9】本発明の第2実施形態の指入力デバイスの構成を示すブロック図である。
【図10】本発明の第2実施形態の指入力デバイスを人体の手に装着した状態を示す図である。
【図11】本発明の第2実施形態の指入力デバイスの操作の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態について、図1〜図4を参照して説明する。この第1実施形態の指入力デバイス11は、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)を人体の頭部に装着した状態で、人体の手(片手)に装着して用いることができる入力装置(キーボード)である。
【0010】
第1実施形態の指入力デバイス11は、複数(本実施形態では12個)のスイッチ手段としてのスイッチSW(SW1〜SW12)と、これらのスイッチSWを人体の手1の表面の複数の所定部位に互いの位置を異ならせて着脱可能に装着する装着手段としての手袋12と、各スイッチSWの操作を検出し、操作されたスイッチSWに対応するキー信号を出力する制御手段としての端末部13と、電気配線14とを概略備えて構成されている。
【0011】
この指入力デバイス11(手袋12)は左手用である。但し、右手用であってもよい。手袋12は手1の親指(第一指)1aが挿入される親指部12a、人差指(第二指)1bが挿入される人差指部12b、中指(第三指)1cが挿入される中指部12c、薬指(第四指)1dが挿入される薬指部12d、小指(第五指)1eが挿入される小指部12e、手のひら1fが位置する手のひら部12f、および手首1gが位置する手首部12gを有している。手袋12の素材としては、手1にフィットするような柔らかい素材、例えば、布、毛糸、フェルト、革、ゴム、ラッテクス、ビニルなどを用いることができる。
【0012】
各スイッチSWとしては、本実施形態では、薄いシート状に形成され、押圧された場合に接点が機械的に閉じて電気的に導通され、押圧が解除されることにより接点が機械的に開いて電気的に導通が切断されるプッシュキーが用いられている。
【0013】
スイッチSW1〜SW3は人差指部12bに配置されており、スイッチSW1は人差指1bの先端部と第1関節との間の腹部に対応する部分に、スイッチSW2は人差指1bの第1関節と第2関節との間の腹部に対応する部分に、スイッチSW3は人差指1bの第2関節と第3関節との間の腹部に対応する部分に、それぞれ配置されている。スイッチSW4〜SW6は中指部12cに配置されており、スイッチSW4は中指1cの先端部と第1関節との間の腹部に対応する部分に、スイッチSW5は中指1cの第1関節と第2関節との間の腹部に対応する部分に、スイッチSW6は中指1cの第2関節と第3関節との間の腹部に対応する部分に、それぞれ配置されている。スイッチSW7〜SW9は薬指部12dに配置されており、スイッチSW7は薬指1dの先端部と第1関節との間の腹部に対応する部分に、スイッチSW8は薬指1dの第1関節と第2関節との間の腹部に対応する部分に、スイッチSW9は薬指1dの第2関節と第3関節との間の腹部に対応する部分に、それぞれ配置されている。スイッチSW10〜SW12は小指部12eに配置されており、スイッチSW10は小指1eの先端部と第1関節との間の腹部に対応する部分に、スイッチSW11は小指1eの第1関節と第2関節との間の腹部に対応する部分に、スイッチSW12は小指1eの第2関節と第3関節との間の腹部に対応する部分に、それぞれ配置されている。
【0014】
端末部13は手袋12が位置する手首部12gの一部に設けられており、制御部13a、通信部13bおよび電源部13cを概略備えている。制御部13aには、各スイッチSWが電気配線14を介してそれぞれ接続されている。制御部13aは各スイッチSWが押圧(接続)されたかどうかを検出し、各スイッチSWに予め割り振られている記号(キー情報)に対応するキー信号を通信部13bを介して無線送信する。なお、端末部13は手袋12の手首部12g以外の部分(親指部12a、人差指部12b、中指部12c、薬指部12d、小指部12e、または手のひら部12f)に設けてもよい。
【0015】
各スイッチSW1〜SW12に割り振る記号(キー情報)としては、どのような記号でもよいが、本実施形態では、主としてテンキーとして用いることができるように、スイッチSW1には数字「1」が、スイッチSW2には数字「2」が、スイッチSW3には数字「3」が、スイッチSW4には数字「4」が、スイッチSW5には数字「5」が、スイッチSW6には数字「6」が、スイッチSW7には数字「7」が、スイッチSW8には数字「8」が、スイッチSW9には数字「9」が、スイッチSW10には符号「#」が、スイッチSW11には数字「0」が、スイッチSW12には符号「*」が、それぞれ割り振られているものとする。なお、各スイッチSW1〜SW12に対する記号の割り振りは、予め固定的に設定しておいてもよいし、適宜にデフォルト設定されたものをユーザーが任意に変更できるようにしてもよい。
【0016】
この指入力デバイス11は操作キーを目視しなくても操作し得るものであるため、手袋12に配置された各スイッチSWの位置を視覚的に認識できる必要は必ずしもないが、本実施形態では、目視しての操作も行い得るようにするため、手袋12の各スイッチSWに対応する部分に、該スイッチSWが存在することを視認させるための表示を設けている。この表示としては、例えば、図1に示すように、丸や長丸などの図形を例示することができる。この表示としては、各スイッチSW1〜SW12にそれぞれ割り振られた記号の内容(「1」〜「9」,「#」,「0」,「*」)を図形表示するようにしてもよい。
【0017】
また、このように視覚的な表示に加えて、またはそれとは別に、手袋12の各スイッチSWに対応する部分に、該スイッチSWが存在することを触覚的に認識させる手段(例えば、凸部や凹部、ざらざら感など)を設けてもよい。この場合において、例えば、スイッチSW1に対応して1つの凸部を、スイッチSW2に対応して2つの凸部を、スイッチSW3に対応して3つの凸部を設けるなど、各スイッチSWに割り振られた記号の内容を触覚的に認識できるようにしてもよい。
【0018】
通信部13bは、ヘッドマウントディスプレイ2が備える通信部2aとの間で無線通信する手段であり、通信部13bとしては、無線LANモジュールやBluetooth(ブルートゥース)モジュールなどを例示することができる。なお、通信部13bとしては、このような無線通信モジュールに加えて、またはそれとは別に、USBインターフェースなどを用いて有線接続して通信するモジュールを設けてもよい。電源部13cは制御部13aや通信部13bに電力を供給するバッテリーであり、交換式のボタン電池や充電式の電池を用いることができる。
【0019】
指入力デバイス11(手袋12)を、図3に示すように、人体の手1に装着し、例えば、図4に示すように、親指1aの先端部でスイッチSW3を押圧すると、制御部13aはスイッチSW3が閉じた(導通した)ことを検出し、通信部13bを介して、スイッチSW3に対応する記号(ここでは、数字「3」)に係るキー信号が無線送信され、ヘッドマウントディスプレイ2において、通信部2aを介して受信される。他のスイッチSW1,SW2,SW4〜SW12についても同様に親指1aの先端部で押圧することにより操作することができる。なお、ここでは、指入力デバイス11を装着した手(例えば、左手)の親指1aの先端部で操作(スイッチSWの押圧)を行うようにしているが、指入力デバイス11を装着していない手(例えば、右手)の手指の先端部で操作することも可能である。
【0020】
上述したように、手袋12を手1に装着し、該手1の親指1aの先端部で各スイッチSWを操作することができる。このとき、一般に、人間は、自己の手1の親指1aの先端部と他の手指(人差指1b、中指1c、薬指1d、小指1e)の各腹部との位置関係は感覚的に認識しており、または完全に認識していないまでも少しの練習により簡単に体得することができるので、操作キーとしての各スイッチSWに対応する表示を目視しなくても確実に操作することができる。
【0021】
なお、上述した第1実施形態では、手袋12は人体の手1の全体を覆うものを例示したが、親指1aの先端部で操作する際の感覚を鋭敏なものとするため、親指部12aの全部または一部(特に、親指部12aの先端部)を省略することが好ましい。手のひら部12fの全部または一部を省略してもよい。また、手首部12gを省略してもよい。手首部12gを省略する場合には、端末部13は他の部分に設けるか、別途リストバンドなどに組み込んで、手首に装着するようにしてもよい。
【0022】
また、上述した第1実施形態では、各スイッチSWは、手指部12b,12c,12d,12eの各腹部に対応する位置、即ち手のひら側(手の甲と反対側)に設けたが、手指12b,12c,12d,12eの各腹部の反対側に対応する位置、即ち手の甲側に設けてもよい。例えば、図5に示すように、手袋12の人差指部12bの爪部(先端と第1関節との間の部分)に対応する部分にスイッチSW13を、中指部12cの爪部に対応する部分にスイッチSW14を、薬指部12dの爪部に対応する部分にスイッチSW15を、小指部12eの爪部に対応する部分にスイッチSW16を設けることができる。この場合において、スイッチSW13〜SW16には、例えば、方向キー(上下左右の矢印キー)を割り当てることができる。スイッチSW13〜SW16には、例えば、ファンクションキーを割り当ててもよい。これらのスイッチSW13〜SW16は、親指1aの先端部で操作することができる。例えば、スイッチSW13を操作する場合には、図6に示すように、親指1aの先端部で操作する。また、手袋12の親指部12aの爪部に対応する位置にスイッチSW17を設けてもよい。この場合のスイッチSW17の操作は、図7に示すように、例えば、人差指1bの先端部で行うことができる。スイッチSW17には、例えば、エンターキー(決定キー、実行キー)を割り当てることができる。
【0023】
さらに、スイッチSWは、手指部12b,12c,12d,12eのみならず、手のひら部12fの親指1aの先端部で操作可能な位置に設けてもよい。例えば、手指(人差指12b、中指12c、薬指12d、小指12e)の付け根の部分に対応する位置に配置してもよい。
【0024】
上述した第1実施形態では、各スイッチSWは、装着手段としての手袋12に設けた場合を例示したが、各スイッチSWをそれぞれ独立してシート状に形成して、装着手段としての例えば両面テープなどの貼着部材で各手指(親指1a、人差指1b、中指1c、薬指1d、小指1e)の該当箇所に直接貼り付けるようにしてもよい。また、各スイッチSWをそれぞれ指輪や指ベルトなどに装着して、各指輪や指ベルトなどを各手指(親指1a、人差指1b、中指1c、薬指1d、小指1e)の該当箇所にはめ込むまたは巻き付けて装着するようにしてもよい。また、装着手段としての手袋12に代えて、各手指(人差指1b、中指1c、薬指1d、小指1e)毎にそれぞれ指サックを設け、各指サックに3つのスイッチ(例えば、人差指1bについてのスイッチSW1〜SW3)を設けてもよい。
【0025】
また、上述した第1実施形態では、手袋12に設けられる各スイッチSWとしては、押圧またはその解除により接点が開閉するプッシュキーを採用したが、手袋12の各スイッチSWとして金属シートなどからなる導電性部材を設け、親指1aの先端部に同じく金属シートなどからなる導電性部材を設けて、これらの導電性部材間の導通の有無を電気的に検出するようにしてもよい。手袋12を省略して、導電性部材を例えば両面テープなどの貼着部材で各手指(親指1a、人差指1b、中指1c、薬指1d、小指1e)の該当箇所に直接貼り付け、あるいは導電性部材としての指輪を各手指(親指1a、人差指1b、中指1c、薬指1d、小指1e)の該当箇所にはめ込むようにしてもよい。
【0026】
〔第2実施形態〕
以下、本発明の第2実施形態について、図8〜図11を参照して説明する。この第2実施形態の指入力デバイス21は、上述した第1実施形態と同様に、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)を人体の頭部に装着した状態で、人体の手に装着して用いることができる入力装置(キーボード)である。なお、上述した第1実施形態と同一の部分については同一の符号を付して、その説明の一部を省略する。
【0027】
第2実施形態の指入力デバイス21は、人体の手1の親指1aの先端部に着脱可能に装着されるスイッチ手段としてのスイッチSW21と、親指1aの先端部の所定の基準に対する角度を検出する検出手段(25,26)と、スイッチSW21の操作が検出された際の該検出手段による検出角度に応じたキー信号を出力する制御手段としての端末部23と、電気配線24とを概略備えて構成されている。スイッチSW21は、親指1aが挿入される装着手段としての親指サック部材25の先端部に設けられている。親指サック部材25はプラスチックなどから形成され、その形状を保持する程度の剛性を有しており、人体の手首1gに着脱可能に装着される腕輪22に不図示の自在継手などを介して回動自在に軸支されている。なお、この第2実施形態の指入力デバイス21は左手用である。但し、右手用であってもよい。
【0028】
スイッチSW21としては、本実施形態では、薄いシート状に形成され、押圧された場合に接点が機械的に閉じて電気的に導通され、押圧が解除されることにより接点が機械的に開いて電気的に導通が切断されるプッシュキーが用いられている。
【0029】
端末部23は腕輪22に設けられており、制御部23a、通信部23b、電源部23c、および角度検出部26を概略備えている。制御部23aには、スイッチSW21が電気配線24を介して接続されている。角度検出部26は、親指サック部材25の所定の基準に対する回転角度を検出する手段であり、角度検出部26としては、例えば、親指サック部材25の回転動作を電気信号に変換して検出するロータリーエンコーダを用いることができる。
【0030】
制御部23aは、複数の角度とこれらに対応する位置(後述するP1〜P12)および記号(キー情報)が設定されたデータデーブルを不図示のメモリに予め記憶保持しており、スイッチSW21が押圧(導通)されたかどうかを検出し、そのときの角度検出部26の出力(検出角度)に基づいて、該データテーブルを参照し、該検出角度に対応する位置を特定し、対応するキー信号を通信部23bを介して無線送信する。
【0031】
上述した角度検出の所定の基準およびデータテーブルは以下のような手順により採取して、予め不図示のメモリに記憶させておく。即ち、図10に示すように、指入力デバイス21の腕輪22を人体の手首1gに装着するとともに、親指サック部材25に親指1aを挿入し、手を開いた状態とし、このときに角度検出部26により検出される角度をゼロリセットし、これを上述した所定の基準とする。データテーブルは以下のように作成する。例えば、図11に示すように、親指1aの先端部(スイッチSW21の部分)を人差指1bの第2関節と第3関節との間の腹部に相当する位置P3に設定して押圧し、このときの角度検出部26の出力(検出角度)を該位置P3との関係においてメモリに記憶させる。この操作を、位置P1,P2,P4〜P12についても同様に行い、各位置P1〜P12とこれらに対応する検出角度との関係をデータテーブルとしてメモリに記憶させる。
【0032】
また、各位置P1〜P12に対応して、記号(キー情報)を割り振ってデータテーブルに記憶させておく。各位置P1〜P12に割り振る記号としては、どのような記号でもよいが、本実施形態では、主としてテンキーとして用いることができるように、位置P1には数字「1」が、位置P2には数字「2」が、位置P3には数字「3」が、位置P4には数字「4」が、位置P5には数字「5」が、位置P6には数字「6」が、位置P7には数字「7」が、位置P8には数字「8」が、位置P9には数字「9」が、位置P10には符号「#」が、位置P11には数字「0」が、位置P12には符号「*」が、それぞれ割り振られているものとし、これらに対応するキー情報が上述のメモリのデータテーブルに予め設定されているものとする。なお、各位置P1〜P12に対する記号の割り振りは、予め固定的に設定しておいてもよいし、適宜にデフォルト設定されたものをユーザーが任意に変更できるようにしてもよい。
【0033】
通信部23bおよび電源部23cは、上述した第1実施形態の通信部13bおよび電源部13cと同様であるので、その説明は省略する。
【0034】
指入力デバイス21を、図10に示すように、人体の手1に装着し、例えば、図11に示すように、親指1aの先端部で位置P3を押圧すると、スイッチSW21が閉じ、制御部23aはスイッチSW21が導通(接続)したことを検出し、そのときの角度検出部26による検出角度に基づいて不図示のメモリのデータテーブルを参照し、位置P3を特定し、該位置P3に対応するキー情報を抽出して、通信部23bを介して、位置P3に対応する記号(ここでは、数字「3」)に係るキー信号を無線送信する。このキー信号は、ヘッドマウントディスプレイ2において、通信部2aを介して受信される。他の位置P1,P2,P4〜P12についても同様に親指1aの先端部で押圧することにより操作することができる。
【0035】
上述したように、指入力デバイス21は、腕輪22および親指サック部材25を手1に装着し、該手1の親指1aの先端部で他の手指(人差指1b、中指1c、薬指1d、小指1e)の所望の腹部を押圧することにより、操作することができる。このとき、一般に、人間は、自己の手1の親指1aの先端部と他の手指(人差指1b、中指1c、薬指1d、小指1e)の各腹部との位置関係は感覚的に認識しており、または完全に認識していないまでも少しの練習により簡単に体得することができるので、各位置P1〜P12を目視しなくても確実に操作することができる。
【0036】
上述した第2実施形態では、位置P1〜P12は、各手指(人差指1b、中指1c、薬指1d、小指1e)に設定したが、手のひら1fの親指1aの先端部で押圧可能な位置に設けてもよい。例えば、各手指(人差指1b、中指1c、薬指1d、小指1e)の付け根の部分に設定してもよい。
【0037】
上述した第2実施形態では、スイッチSW21は、装着手段としての親指サック部材25に設けた場合を例示したが、スイッチSW21を独立してシート状に形成して、装着手段としての例えば両面テープなどの貼着部材で親指1aの先端部に貼り付けるようにしてもよい。また、スイッチSW21を指輪や指ベルトなどに装着して、該指輪や指ベルトなどを親指1aの先端部にはめ込むまたは巻き付けて装着するようにしてもよい。
【0038】
また、上述した第2実施形態では、親指サック部材25および角度検出部26を備えて構成される角度検出手段により、親指1aの先端部と他の手指(人差指1b、中指1c、薬指1d、小指1e)の各腹部との位置関係を特定するようにしたが、親指1aの先端部に加速度センサを設け、該加速度センサにより検出される親指1aの先端部の動きを検出して、他の手指(人差指1b、中指1c、薬指1d、小指1e)の各腹部等との位置関係を特定するようにしてもよい。
【0039】
上述したように、第1実施形態の指入力デバイス11および第2実施形態の指入力デバイス21は、キーボードを目視することが難しいヘッドマウントディスプレイの入力装置として用いて特に好適である。但し、用いる対象はそのようなヘッドマウントディスプレイに限られず、パーソナルコンピュータ、タブレット型コンピュータ、デジタルカメラ、携帯電話、PDA、デジタルゲーム機、デジタルテレビジョン受像機、電卓、電子鍵などに対する入力装置とて用いることもできる。
【0040】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。従って、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【符号の説明】
【0041】
1…手、1a…親指、1b…人差指、1c…中指、1d…薬指、1e…小指、1f…手のひら、1g…手首、2…ヘッドマウントディスプレイ、11…指入力デバイス、12…手袋、13…端末部、13a…制御部、13b…通信部、14…電気配線、SW(SW1〜SW17)…スイッチ、21…指入力デバイス、22…腕輪、23…端末部、23a…制御部、23b…通信部、24…電気配線、25…親指サック部材、26…角度検出部、P1〜P12…位置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のスイッチ手段と、
前記スイッチ手段を人体の手の表面の複数の所定部位に互いの位置を異ならせて着脱可能に装着する装着手段と、
前記スイッチ手段の操作が検出された際に、操作されたスイッチ手段に対応するキー信号を出力する制御手段とを備えることを特徴とする指入力デバイス。
【請求項2】
前記所定部位は、前記手の手指の腹部および爪部の少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項1に記載の指入力デバイス。
【請求項3】
前記装着手段は、前記人体の手に装着された状態で前記所定部位に対応する位置に前記スイッチ手段が取り付けられた手袋であることを特徴とする請求項1または2に記載の指入力デバイス。
【請求項4】
前記装着手段は、前記人体の手に装着された状態で前記所定部位に対応する位置に前記スイッチ手段が取り付けられた指サックであることを特徴とする請求項1または2に記載の指入力デバイス。
【請求項5】
前記装着手段は、前記所定部位に前記スイッチ手段を貼着する貼着部材であることを特徴とする請求項1または2に記載の指入力デバイス。
【請求項6】
前記スイッチ手段は、押圧または押圧の解除により接点が開閉するプッシュキーであることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の指入力デバイス。
【請求項7】
人体の親指の先端部に着脱可能に装着されるスイッチ手段と、
前記親指の先端部の所定の基準に対する角度を検出する角度検出手段と、
前記スイッチ手段の操作が検出された際の前記角度検出手段による検出角度に応じたキー信号を出力する制御手段とを備えることを特徴とする指入力デバイス。
【請求項8】
請求項1〜7の何れか一項に記載の指入力デバイスを備えるヘッドマウントディスプレイ。
【請求項1】
複数のスイッチ手段と、
前記スイッチ手段を人体の手の表面の複数の所定部位に互いの位置を異ならせて着脱可能に装着する装着手段と、
前記スイッチ手段の操作が検出された際に、操作されたスイッチ手段に対応するキー信号を出力する制御手段とを備えることを特徴とする指入力デバイス。
【請求項2】
前記所定部位は、前記手の手指の腹部および爪部の少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項1に記載の指入力デバイス。
【請求項3】
前記装着手段は、前記人体の手に装着された状態で前記所定部位に対応する位置に前記スイッチ手段が取り付けられた手袋であることを特徴とする請求項1または2に記載の指入力デバイス。
【請求項4】
前記装着手段は、前記人体の手に装着された状態で前記所定部位に対応する位置に前記スイッチ手段が取り付けられた指サックであることを特徴とする請求項1または2に記載の指入力デバイス。
【請求項5】
前記装着手段は、前記所定部位に前記スイッチ手段を貼着する貼着部材であることを特徴とする請求項1または2に記載の指入力デバイス。
【請求項6】
前記スイッチ手段は、押圧または押圧の解除により接点が開閉するプッシュキーであることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の指入力デバイス。
【請求項7】
人体の親指の先端部に着脱可能に装着されるスイッチ手段と、
前記親指の先端部の所定の基準に対する角度を検出する角度検出手段と、
前記スイッチ手段の操作が検出された際の前記角度検出手段による検出角度に応じたキー信号を出力する制御手段とを備えることを特徴とする指入力デバイス。
【請求項8】
請求項1〜7の何れか一項に記載の指入力デバイスを備えるヘッドマウントディスプレイ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−181792(P2012−181792A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−45889(P2011−45889)
【出願日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]