指圧ロッド
【課題】患者の特定の部位を位置ずれしないように正確に、しかも効果的に快適に指圧する。
【解決手段】指圧ロッドは、患者の体の下に敷かれて患者の局部を指圧する。指圧ロッドは、可撓性を有するシート材を細長い袋状としてなる棒状袋1と、この棒状袋1に充填されて、その直径を0.5mmないし5mmとする無数の球形の粒状であって表面に硬化層のある表面硬化鉛粒2とを備えている。
【解決手段】指圧ロッドは、患者の体の下に敷かれて患者の局部を指圧する。指圧ロッドは、可撓性を有するシート材を細長い袋状としてなる棒状袋1と、この棒状袋1に充填されて、その直径を0.5mmないし5mmとする無数の球形の粒状であって表面に硬化層のある表面硬化鉛粒2とを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の下に敷かれて体重で患者の体表面を指圧する指圧ロッドに関し、とくに仰臥する患者の下に敷き、腰から背中を持ち上げた後、衝突するように押し付ける衝撃で脊椎を刺激するのに最適な指圧ロッドに関する。
【背景技術】
【0002】
仰臥する患者の下に敷かれて、体重で患者の体表面を指圧する指圧ロッドは開発されている。(特許文献1及び2参照)
引用文献1と2に記載される指圧ロッドは、図1と図2に示すように仰臥する患者の下に敷かれて、体重で患者の背中を指圧できる。
【0003】
引用文献1の指圧ロッドは、枕本体の芯筒の表面に、2層の枕材と枕材を設け、さらに、2層の中袋と表布を設け、5層構造として、中袋と表布の間に複数個の凸起を設けている。枕材等の素材には、ストロー状で弾力性に富む天然素材の葦、よしず(すだれ)、柔軟な綿わた、化繊わた布等遠赤外線処理、抗菌抗カビ処理等の素材を使用している。また凸起には、磁気入り凸起、ゴミ凸起、ポリプロピレン凸起、木質凸起などを使用し、さらに枕材として、天然素材や、塩ビ、ポリなども使用している。
【0004】
さらに、特許文献2の指圧ロッドは、断面積が異なる複数種類の指圧ロールを、各々軸線方向を揃えて、所定の順序により簾形状に連結している。指圧ロールにはポリ塩化ビニル製の円筒パイプを使用して、各々の指圧ロッドを収納可能な複数の筒袋を、それぞれ軸線方向を揃えて簾形状に連結している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−136409
【特許文献2】特開2000−106980
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図1と図2に示す指圧ロッドは、患者の下に敷いて体重で指圧できる。しかしながら、これ等の指圧ロッドは、患者の下に敷いて特定の部位を局部的に効率よく指圧するのが難しい欠点がある。とくに、骨盤を局部的に叩くように強く刺激する指圧には利用できない。骨盤を叩く刺激は、脊椎中にある骨髄を活性化することに加えて、腰痛の解消に効果がある。この刺激は、仰臥した患者の下に指圧ロッドを敷き、持ち上げた腰を体重で速やかに落下して、指圧ロッドに叩き付けることで実現できる。しかしながら、図1の指圧ロッドは、患者の下に敷いて骨盤を叩くように落下させると転げて移動しやすく、特定の部位を正確に刺激するのが難しい。また、この指圧ロッドは、芯筒と、2層の枕材と、中袋と、表布の5層構造として指圧することから、骨盤を叩くように押し付けると弾性変形して効果的に局部を刺激できない欠点がある。それは、強く叩き付けるにしたがって弾性変形する変形量が大きくなるので、特定の部位を叩くように刺激できなくなるからである。
【0007】
また、特許文献2の指圧ロッドは、多数の指圧ロールを平行にすだれ状に並べているので、患者が体重をかけて指圧ロールが移動することはないが、多数の指圧ロールで複数部位を同時に指圧する状態となって、特定部位のみを効果的に刺激できない欠点がある。また、指圧ロールとして、患者の体重で変形しないポリ塩化ビニル製の円筒パイプを使用するので、強く押圧すると痛くて快適に指圧できない欠点がある。
【0008】
本発明は、以上の欠点を解決することを目的に開発されたものである。本発明の重要な目的は、患者の特定の部位を位置ずれしないように正確に、しかも骨盤を叩くように効果的に刺激できる指圧ロッドを提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0009】
本発明の指圧ロッドは、患者の体の下に敷かれて患者の局部を指圧する。指圧ロッドは、可撓性を有するシート材を細長い袋状としてなる棒状袋1と、この棒状袋1に充填されて、その直径を0.5mmないし5mmとする無数の球形の粒状であって、表面に硬化層を設けている表面硬化鉛粒2とを備えている。
【0010】
以上の指圧ロッドは、患者の下に敷いて、骨盤を落下させることで、体表面の特定の部位を位置ずれしないように正確に、しかも骨盤の局部的に効果的に刺激できる特徴がある。それは、棒状袋に、球形であって表面に硬化層を設けている無数の表面硬化鉛粒を充填しているからである。この指圧ロッドは、床などの水平な台の上に置くと、棒状袋の内部で無数の表面硬化鉛粒の相対位置が移動して、下面が水平面となり、水平な台の上に転がらないように安定して配置できる。とくに、本発明の指圧ロッドは、棒状袋に充填している鉛の粒を、球形の粒状であって表面に硬化層を設けている表面硬化鉛粒とするので、棒状袋の内部で鉛の粒がブリッジ状態となって変形し難い状態とならない。このため、床などの水平台に置かれると、棒状袋の内部で表面硬化鉛粒が相対移動し難い状態とはならず、表面硬化鉛粒がスムーズに相対移動して下面を水平面に変形させて、安定してセットされる形状となる。さらに、本発明の指圧ロッドは、下面が水平面となることに加えて、比重の極めて大きい表面硬化鉛粒を充填しているので、全体の重量が重くて安定し、水平台との摩擦抵抗も大きくなって水平台に移動しない状態にセットできる。摩擦抵抗が指圧ロッドの重量に比例して大きくなるからである。さらに、棒状袋の内部で表面硬化鉛粒が相対移動して下面を水平面とする指圧ロッドは、弾性変形して下面を水平面とするのではなく、相対移動した表面硬化鉛粒によって下面を水平に保持して、水平台の上で移動しない状態を保持する。したがって、本発明の指圧ロッドは、床などの水平台の上に載せて定位置に配置しながら、この上に載って患者の特定部位を正確に指圧できる。患者が骨盤を体重で叩き付けるように刺激しても、水平台の定位置にあって位置ずれし難く、骨髄の正確な部位を効果的に刺激できる。
【0011】
さらに、本発明の指圧ロッドは、弾性変形させて体表面の特定部位を指圧するのではなく、患者が体重で表面硬化鉛粒を相対移動させて外形を変形させるが、患者の押圧力が増加しても押圧力に比例して変形することがなく、患者が骨盤を叩き付けるように衝撃を与えても弾性変形することがなく、強く叩き付けることで骨盤などの特定の部位を効果的に刺激できる特徴がある。また、叩き付けて全く変形しないのではなく、棒状袋の内部で表面硬化鉛粒が相対移動して外形を変形し、その変形した状態を保持するので、患者の特定部位を効果的に、しかも快適に刺激できる特徴がある。また、本発明の特に大切な特徴は、表面を硬化処理している表面硬化鉛粒を使用するので、骨盤を叩き付けるように強い衝撃を与えても鉛の粒が変形せず、長期間にわたって棒状袋の内部で表面硬化鉛粒をスムーズに相対移動して、快適に刺激できることである。
【0012】
本発明の指圧ロッドは、棒状袋1に充填してなる表面硬化鉛粒2の総重量を1kgないし5kgとすることができる。
この指圧ロッドは、図11に示すように、前に伸ばした両手で端部を掴むことで、腹筋運動と背筋運動を効果的に、しかも楽にできる特徴がある。それは、重い指圧ロッドを持ち上げて効果的に腹筋運動ができ、また上半身を垂直姿勢からさらに前に曲げる状態にあっては、指圧ロッドの重量が、背中を前に曲げる方向に作用して背筋を楽に伸ばし、またこのときに足先が浮き上がるのを防止できるからである。
【0013】
本発明の指圧ロッドは、棒状袋1の太さを、断面形状を円形とする状態での直径を2cmないし8cmとし、かつ棒状袋1に充填してなる無数の表面硬化鉛粒2の充填量を、棒状袋1の最大拡張体積の50%以上とすることができる。
【0014】
本発明の指圧ロッドは、棒状袋1の全長を10cmないし80cmとすることができる。
【0015】
本発明の指圧ロッドは、表面硬化鉛粒2を、散弾銃の砲弾に使用される散弾として、表面を硬化処理した鉛粒とすることができる。
【0016】
本発明の指圧ロッドは、棒状袋1の両端部に、クッション材4を充填してなるクッション部12を備えることができる。
この指圧ロッドは、図10に示すように、仰臥して横向きとなる姿勢で、患者の両横をクッション部12で快適に指圧できる特徴がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】従来の指圧ロッドの使用状態を示す斜視図である。
【図2】従来の他の指圧ロッドの使用状態を示す斜視図である。
【図3】本発明の一実施例にかかる指圧ロッドの斜視図である。
【図4】図3に示す指圧ロッドの垂直縦断面図である。
【図5】図3に示す指圧ロッドに垂直横断面図である。
【図6】図5に示す指圧ロッドを水平台に置いた状態を示す垂直横断面図である。
【図7】図3に示す指圧ロッドの使用状態を示す垂直横断面図である。
【図8】図3に示す指圧ロッドの使用状態を示す垂直縦断面図である。
【図9】図3に示す指圧ロッドの他の使用状態を示す垂直縦断面図である。
【図10】図3に示す指圧ロッドの他の使用状態を示す垂直縦断面図である。
【図11】図3に示す指圧ロッドの他の使用状態を示す側面図である。
【図12】図3に示す指圧ロッドの他の使用状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための指圧ロッドを例示するものであって、本発明は指圧ロッドを以下のものに特定しない。
【0019】
さらに、この明細書は、特許請求の範囲を理解しやすいように、実施例に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲」および「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
【0020】
図3ないし図6に示す指圧ロッド10は、図7と図8に示すように、患者の体の下に敷かれて、体重で患者の局部を指圧する。指圧ロッド10は、細長い袋状をしてなる棒状袋1と、この棒状袋1に充填している無数の球形の粒状である表面硬化鉛粒2とを備えている。
【0021】
棒状袋1は、可撓性を有するシート材を細長い袋状に成形している。図に示す棒状袋1は、天然繊維や合成繊維の織物である布地を縫着して所定の袋状としている。布地からなる棒状袋1は、縫着して簡単に成形できることに加えて、多少の伸縮がある状態で変形できるので、充填される表面硬化鉛粒2を内部で無理なく移動しながら棒状袋1の断面形状を変形できる。ただ、可撓性のあるシート材には、天然皮革や合成皮革、不織布、プラスチックシート等も使用できる。
【0022】
棒状袋1は、その全長を10cmないし80cm、好ましくは20cmないし60cm、さらに好ましくは30cmないし50cmとする。棒状袋の全長が短すぎると、特定の部位を正確に押圧しにくくなる。反対に、棒状袋の全長が長すぎると、充填する表面硬化鉛粒の量が多くなるので製造コストが高くなると共に、全体の重量が大きくなって持ち運びしにくくなる。したがって、棒状袋の全長は前述の範囲とする。棒状袋1は、たとえば、患者の胴体の横幅とほぼ等しい長さとすることができる。この指圧ロッドは、背骨と直交する姿勢で体の下に敷いて、最も安定して、特定の部位を位置ずれしないように正確に、しかも効果的に指圧できる。ただ、指圧ロッドは、必ずしも背骨に直交する姿勢で体の下に敷く必要はなく、背骨に対して斜めの姿勢で体の下に敷くことも、背骨に対して平行な姿勢で敷くこともできる。
【0023】
さらに、棒状袋1は、断面形状を円形とする状態での直径を2cmないし8cmとなる太さとする。棒状袋が太すぎると、充填する表面硬化鉛粒の量が多くなるので製造コストが高くなると共に、全体の重量が重くなって持ち運びしにくくなる。反対に、棒状袋が細すぎると、体の下に敷いた状態での床面からの突出量が小さくなるので、特定の部位を強く押圧するのが難しくなる。それは、患者が体重をかけて指圧したい局部を指圧ロッドに押し付けることで特定の部位を指圧するからである。さらに、指圧ロッドが特定の部位を効果的に指圧できるかどうかは、棒状袋の太さだけでなく、棒状袋に充填してなる無数の表面硬化鉛粒の充填量にもよる。たとえば、太い棒状袋であっても、充填する表面硬化鉛粒の充填量が少ない場合には、棒状袋に体重がかかる状態において、棒状袋は、平らに近い形状に変形して床からの突出量が小さくなるため、特定の部位を強く押圧するのが難しくなる。逆に、細い棒状袋であっても、充填する表面硬化鉛粒の充填量を多くすると、棒状袋に体重がかかる状態において、棒状袋の変形量が小さくなって、床からの突出量は小さくならない。したがって、これらのことを考慮して、棒状袋の太さは、断面形状を円形とする状態での直径を2cmないし8cmとし、棒状袋への表面硬化鉛粒の充填量は、最大拡張体積の50%以上、好ましくは70%以上とする。
【0024】
さらに、図3と図4に示す棒状袋1は、中央部を両端部よりも太くしている。この指圧ロッド10は、体の下に敷いた状態での床面からの突出量を、中央部で最も高くすることができる。したがって、この指圧ロッドは、中央部分を特定の部位に位置させて、特定の部位をより効果的に指圧できる。ただ、棒状袋は、全体の太さを均一にすることもできる。この指圧ロッドは、全体を均一に指圧できる。さらに、棒状袋の全体の太さを均一にする指圧ロッドであっても、図9に示すように、内部に充填する表面硬化鉛粒を中央部分に移動させて使用することで、この部分を特定の部位に位置させて、特定の部位をより効果的に指圧できる。さらに、棒状袋への表面硬化鉛粒の充填量が少ない指圧ロッドにおいても、図9に示すように、内部に充填する表面硬化鉛粒を一部分に移動させて使用することで、この部分の突出高さを高くして特定の部位を効果的に指圧できる。
【0025】
表面硬化鉛粒2は、鉛を球形の粒状としたもので、その直径を0.5mmないし5mm、好ましくは1mm〜3mm、最適には約2mmとしている。直径2mmの表面硬化鉛粒2は、1個の重量が約50mgとなる。したがって、この表面硬化粒状鉛2は、60000個を充填して、全体の重量を3kgにできる。表面硬化鉛粒2を使用するのは、骨盤を衝突するように衝撃で変形させて、自由に変形できないのを防止するためである。棒状袋に充填する粒体に比重の大きい粒を使用して、棒状袋を細くして重くできる。鉛は比重が11.3437と極めて大きいので、少ない充填量で重くできる。このため、棒状袋を細くしながら全体を重くして、床などに安定して置くことができ、また、図11に示すように、手で握って腹筋の運動をするときには、手で握りやすく、また、重いので足先が浮き上がるのを阻止して楽に腹筋を鍛えることができる。ただ、鉛は硬度が1.5と小さくて衝撃で変形しやすい欠点がある。棒状袋に充填する粒体は、球形としてスムーズに相対的に移動できる。粒体が球形から変形されると、相対的に移動するときに表面が引っかかってスムーズに移動できなくなる。多数の粒体がスムーズに相対移動できなくなると、平面状の床などに置くときに、棒状袋の底面を床面に沿う平面状にできなくなる。また、骨盤を落下させるような衝撃で粒体がスムーズに移動できなくなるので、骨盤を快適に効率よく刺激できなくなる。指圧ロッドは、骨盤を打ち付ける衝撃で弾性変形すると効果的に刺激を与えることができないが、反対に、衝撃で全く変形しない硬いものであっても、痛くて快適に刺激ができない。骨盤を打ち付ける衝撃で、棒状袋に充填している重い球形の粒体が相対的に移動して衝撃を吸収する状態を実現して、快適にしかも効果的な刺激を実現できる。この独特の条件は、粒体を極めて重くし、かつ粒体をスムーズに相対的に移動できる球形とし、さらに衝撃で球形を変形させないことが大切である。変形しない粒体は鉄球で実現できる。ただ、鉄は比重が7.86と鉛に比較して40%以上も小さいので、同じ重量とするために棒状袋に40%も多量に充填する必要があって、棒状袋が太くなって握り難く、また、安定して床などに設置できなくなる。鉛は鉄に比較して40%も重いので、棒状袋を細くして握り易くできる特徴がある。ただ、変形しやすい欠点があるので、本発明の指圧ロッドは、粒体に鉛を使用して、さらにその表面を硬化処理した表面硬化鉛粒2を使用する。
【0026】
表面硬化鉛粒2は、散弾銃の砲弾に使用される散弾が最適である。とくに、クレー射撃に使用される粒径の散弾が適している。散弾は、獲物に侵入するように重い鉛が使用され、また衝撃で変形しないように表面を硬化処理(チルド加工)しているので、表面硬化鉛粒として最適である。ただ、棒状袋に充填する表面硬化鉛粒を散弾には特定しない。棒状袋に充填する表面硬化鉛粒には、たとえば球形に成形している鉛の粒体表面を、鉛よりも硬い、たとえば金属でメッキして硬化処理したものが使用できる。金属メッキに使用される金属には、ニッケル、クローム、亜鉛、銅、鉄等が使用できる。このように、表面硬化鉛粒2を充填する指圧ロッドは、他の金属に比較して比重が極めて大きい鉛を充填するので、全体の重量が重くなって安定し、また、表面の硬化層によって骨盤を打ち付ける衝撃などで変形することがなく球形を保持し、床等の水平台に置く状態ではスムーズに平面状となり、また水平台との摩擦抵抗も大きくなって水平台に移動しない状態にセットでき、しかも骨盤を打ち付けて快適に刺激できる特徴がある。
【0027】
以上の表面硬化鉛粒2は、所定量が棒状袋1に充填されて、漏れないように閉塞される。棒状袋1への充填量は、前述のように、棒状袋1の最大拡張体積の50%以上、好ましくは70%以上とする。また、棒状袋1に充填される表面硬化鉛粒2の総重量は、1kgないし5kgとする。ここで、棒状袋に充填される表面硬化鉛粒の総重量は、棒状袋の太さと全長と充填率により決定される。指圧ロッドは、例えば、棒状袋の全長を40cm、棒状袋の断面形状を円形とする状態での直径を4cm、充填する表面硬化鉛粒の直径を3mm、表面硬化鉛粒の充填率を80%とすると、全体の重量が約2.5〜3.0kgとなる。したがって、指圧ロッドは、棒状袋に充填される表面硬化鉛粒の総重量が、前述の範囲となるように、棒状袋の全長と太さ、充填する表面硬化鉛粒の直径、及び表面硬化鉛粒の充填率を決定する。
【0028】
さらに、図3と図4に示す棒状袋1は、両端部に、クッション材4を充填してなるクッション部12を備えている。図に示す棒状袋1は、中間部である本体部11に無数の表面硬化鉛粒2を充填すると共に、両端部であるクッション部12にはクッション材4を充填している。図に示すクッション部12は、クッション材4として球形のウレタン樹脂を充填している。ただ、クッション材には、軟質プラスチックやプラスチック発泡体、ゴム状弾性体等を使用することもできる。球形のクッション材4の外径は、棒状袋1の太さとほぼ等しくしている。ただ、クッション材の外形は、棒状袋の断面よりも大きくすることも小さくすることもできる。さらに、クッション材は、多面体形状とすることも、曲面と平面を有する立体形状とすることもできる。この指圧ロッド10は、図10に示すように、仰臥して横向きとなる姿勢で、患者の両横をクッション部12で快適に指圧できる特徴がある。
【0029】
さらに、図3と図4に示す棒状袋1は、表面硬化鉛粒2が充填される本体部11と、両端のクッション部12との境界部分を紐体5で結んで区画している。これにより、クッション部12のクッション材4を棒状袋1の両端の定位置に固定すると共に、表面硬化鉛粒2が本体部11からクッション部12へ移動するのを防止している。
【0030】
以上の指圧ロッド10は、図6に示すように、床などの水平台20の上に置くと無数の表面硬化鉛粒2が棒状袋1の内部で相対移動して下面が水平面となり、水平台20の上に転がらないように配置される。とくに、棒状袋1に充填している表面硬化鉛粒2を球形の粒状としているので、表面硬化鉛粒2同士が棒状袋1の内部でブリッジ状態となることなく、棒状袋1の内部をスムーズに相対移動して下面を水平面に変形させて、安定してセットされる形状となる。さらに、棒状袋1には比重の極めて大きい表面硬化鉛粒2を充填しているので、全体の重量が重くて安定し、水平台20との摩擦抵抗も大きくなって水平台20に移動しない状態にセットされる。水平台20の上にセットされた指圧ロッド10は、図7に示すように、その上に患者が仰臥する状態で横になって、すなわち、患者の体の下に指圧ロッド10を敷く状態で使用する。この指圧ロッド10は、患者が持ち上げた腰を体重で押し付けるようにして、造血組織である骨随を快適に効率よく刺激できる。骨随は主要な造血器官であって、赤血球を多数に含むことから赤色をしている赤色骨随と黄色骨随とからなり、これが快適に刺激されることで造血作用が活性化される。以上の指圧ロッド10は、患者が腰を上下して、自分の体重をかけて骨盤を叩くように刺激する状態にあっても、水平台20の定位置にあって位置ずれし難く、人体の正確な部位を快適に刺激できる。
【0031】
また、図7の鎖線で示すように、指圧ロッドの位置を腰の位置から脊椎に沿って移動し、この位置で、体を持ち上げて体重で指圧ロッドに押し付けるようにして、脊椎の全体を刺激して、脊椎全体にある神経を刺激することもできる。脊椎全体に分布している神経節は内蔵に関係しているので、これを刺激することで内臓を活性化することもできる。また、指圧ロッドを脊椎に沿って移動することなく、体をずらせる状態で、脊椎を刺激して脊椎全体を刺激することもできる。
【0032】
さらに、図11の(a)〜(e)は、本発明の指圧ロッド10の他の使用例を示している。この図に示すように、指圧ロッド10の両端部を両手で掴んで水平に伸ばす姿勢とし、(a)〜(b)で示すように指圧ロッド10を持ち上げながら体を起こし、さらに、両手を真上に上げた姿勢から前方に移動する状態からは、(c)〜(e)で示すように、指圧ロッドの重量で両腕の先端部を降下させながら、上半身を前方に曲げて背筋を伸ばす運動をする。指圧ロッド10を真上から降下させながら、上半身を前に曲げて背筋を伸ばす運動は、(d)〜(e)で示すように、指圧ロッド10の重量で両手の先端が強制的に降下されるので、楽に背筋を伸ばす運動ができる。また、(d)〜(e)で示す両手を前に伸ばす状態から上半身をさらに前に曲げる運動においては、指圧ロッド10の重量で両手が強制的に降下されて、足先が浮き上がるのを防止して背筋の運動を楽にできる。指圧ロッド10の重量が、前方に伸ばした両手の先を降下させるように作用して、上半身を前に曲げるように作用し、また足先を浮き上がらないように作用するからである。このため、指圧ロッド10を両手で握って、真上に持ち上げてからさらに前方に降下させながら、体を前に曲げる運動をすることで、指圧ロッド10の重量が上半身を前に曲げるように作用し、背筋を伸ばしながら上半身を楽に前に曲げて効果的な背筋運動ができる。また、指圧ロッド10を(a)〜(c)に示すように持ち上げなから、体を水平姿勢から起こすように移動して、効果的に腹筋の運動ができる。
【0033】
また、本発明の指圧ロッドは、図12に示すように、寝るときに、枕21の上に載せて使用することもできる。枕21の上に載せた指圧ロッド10は、後頭部の突出する部分を刺激して、快適に安眠できる。とくに、本発明の指圧ロッドは、無数の表面硬化鉛粒2を棒状袋1の内部で移動させることで後頭部に沿う形状となり、また弾性変形するのではなく変形した状態で適度の硬さがあるので、後頭部を快適に、しかも効果的に刺激して安眠できる特徴がある。
【符号の説明】
【0034】
1…棒状袋
2…表面硬化鉛粒
4…クッション材
5…紐体
10…指圧ロッド
11…本体部
12…クッション部
20…水平台
21…枕
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の下に敷かれて体重で患者の体表面を指圧する指圧ロッドに関し、とくに仰臥する患者の下に敷き、腰から背中を持ち上げた後、衝突するように押し付ける衝撃で脊椎を刺激するのに最適な指圧ロッドに関する。
【背景技術】
【0002】
仰臥する患者の下に敷かれて、体重で患者の体表面を指圧する指圧ロッドは開発されている。(特許文献1及び2参照)
引用文献1と2に記載される指圧ロッドは、図1と図2に示すように仰臥する患者の下に敷かれて、体重で患者の背中を指圧できる。
【0003】
引用文献1の指圧ロッドは、枕本体の芯筒の表面に、2層の枕材と枕材を設け、さらに、2層の中袋と表布を設け、5層構造として、中袋と表布の間に複数個の凸起を設けている。枕材等の素材には、ストロー状で弾力性に富む天然素材の葦、よしず(すだれ)、柔軟な綿わた、化繊わた布等遠赤外線処理、抗菌抗カビ処理等の素材を使用している。また凸起には、磁気入り凸起、ゴミ凸起、ポリプロピレン凸起、木質凸起などを使用し、さらに枕材として、天然素材や、塩ビ、ポリなども使用している。
【0004】
さらに、特許文献2の指圧ロッドは、断面積が異なる複数種類の指圧ロールを、各々軸線方向を揃えて、所定の順序により簾形状に連結している。指圧ロールにはポリ塩化ビニル製の円筒パイプを使用して、各々の指圧ロッドを収納可能な複数の筒袋を、それぞれ軸線方向を揃えて簾形状に連結している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−136409
【特許文献2】特開2000−106980
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図1と図2に示す指圧ロッドは、患者の下に敷いて体重で指圧できる。しかしながら、これ等の指圧ロッドは、患者の下に敷いて特定の部位を局部的に効率よく指圧するのが難しい欠点がある。とくに、骨盤を局部的に叩くように強く刺激する指圧には利用できない。骨盤を叩く刺激は、脊椎中にある骨髄を活性化することに加えて、腰痛の解消に効果がある。この刺激は、仰臥した患者の下に指圧ロッドを敷き、持ち上げた腰を体重で速やかに落下して、指圧ロッドに叩き付けることで実現できる。しかしながら、図1の指圧ロッドは、患者の下に敷いて骨盤を叩くように落下させると転げて移動しやすく、特定の部位を正確に刺激するのが難しい。また、この指圧ロッドは、芯筒と、2層の枕材と、中袋と、表布の5層構造として指圧することから、骨盤を叩くように押し付けると弾性変形して効果的に局部を刺激できない欠点がある。それは、強く叩き付けるにしたがって弾性変形する変形量が大きくなるので、特定の部位を叩くように刺激できなくなるからである。
【0007】
また、特許文献2の指圧ロッドは、多数の指圧ロールを平行にすだれ状に並べているので、患者が体重をかけて指圧ロールが移動することはないが、多数の指圧ロールで複数部位を同時に指圧する状態となって、特定部位のみを効果的に刺激できない欠点がある。また、指圧ロールとして、患者の体重で変形しないポリ塩化ビニル製の円筒パイプを使用するので、強く押圧すると痛くて快適に指圧できない欠点がある。
【0008】
本発明は、以上の欠点を解決することを目的に開発されたものである。本発明の重要な目的は、患者の特定の部位を位置ずれしないように正確に、しかも骨盤を叩くように効果的に刺激できる指圧ロッドを提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0009】
本発明の指圧ロッドは、患者の体の下に敷かれて患者の局部を指圧する。指圧ロッドは、可撓性を有するシート材を細長い袋状としてなる棒状袋1と、この棒状袋1に充填されて、その直径を0.5mmないし5mmとする無数の球形の粒状であって、表面に硬化層を設けている表面硬化鉛粒2とを備えている。
【0010】
以上の指圧ロッドは、患者の下に敷いて、骨盤を落下させることで、体表面の特定の部位を位置ずれしないように正確に、しかも骨盤の局部的に効果的に刺激できる特徴がある。それは、棒状袋に、球形であって表面に硬化層を設けている無数の表面硬化鉛粒を充填しているからである。この指圧ロッドは、床などの水平な台の上に置くと、棒状袋の内部で無数の表面硬化鉛粒の相対位置が移動して、下面が水平面となり、水平な台の上に転がらないように安定して配置できる。とくに、本発明の指圧ロッドは、棒状袋に充填している鉛の粒を、球形の粒状であって表面に硬化層を設けている表面硬化鉛粒とするので、棒状袋の内部で鉛の粒がブリッジ状態となって変形し難い状態とならない。このため、床などの水平台に置かれると、棒状袋の内部で表面硬化鉛粒が相対移動し難い状態とはならず、表面硬化鉛粒がスムーズに相対移動して下面を水平面に変形させて、安定してセットされる形状となる。さらに、本発明の指圧ロッドは、下面が水平面となることに加えて、比重の極めて大きい表面硬化鉛粒を充填しているので、全体の重量が重くて安定し、水平台との摩擦抵抗も大きくなって水平台に移動しない状態にセットできる。摩擦抵抗が指圧ロッドの重量に比例して大きくなるからである。さらに、棒状袋の内部で表面硬化鉛粒が相対移動して下面を水平面とする指圧ロッドは、弾性変形して下面を水平面とするのではなく、相対移動した表面硬化鉛粒によって下面を水平に保持して、水平台の上で移動しない状態を保持する。したがって、本発明の指圧ロッドは、床などの水平台の上に載せて定位置に配置しながら、この上に載って患者の特定部位を正確に指圧できる。患者が骨盤を体重で叩き付けるように刺激しても、水平台の定位置にあって位置ずれし難く、骨髄の正確な部位を効果的に刺激できる。
【0011】
さらに、本発明の指圧ロッドは、弾性変形させて体表面の特定部位を指圧するのではなく、患者が体重で表面硬化鉛粒を相対移動させて外形を変形させるが、患者の押圧力が増加しても押圧力に比例して変形することがなく、患者が骨盤を叩き付けるように衝撃を与えても弾性変形することがなく、強く叩き付けることで骨盤などの特定の部位を効果的に刺激できる特徴がある。また、叩き付けて全く変形しないのではなく、棒状袋の内部で表面硬化鉛粒が相対移動して外形を変形し、その変形した状態を保持するので、患者の特定部位を効果的に、しかも快適に刺激できる特徴がある。また、本発明の特に大切な特徴は、表面を硬化処理している表面硬化鉛粒を使用するので、骨盤を叩き付けるように強い衝撃を与えても鉛の粒が変形せず、長期間にわたって棒状袋の内部で表面硬化鉛粒をスムーズに相対移動して、快適に刺激できることである。
【0012】
本発明の指圧ロッドは、棒状袋1に充填してなる表面硬化鉛粒2の総重量を1kgないし5kgとすることができる。
この指圧ロッドは、図11に示すように、前に伸ばした両手で端部を掴むことで、腹筋運動と背筋運動を効果的に、しかも楽にできる特徴がある。それは、重い指圧ロッドを持ち上げて効果的に腹筋運動ができ、また上半身を垂直姿勢からさらに前に曲げる状態にあっては、指圧ロッドの重量が、背中を前に曲げる方向に作用して背筋を楽に伸ばし、またこのときに足先が浮き上がるのを防止できるからである。
【0013】
本発明の指圧ロッドは、棒状袋1の太さを、断面形状を円形とする状態での直径を2cmないし8cmとし、かつ棒状袋1に充填してなる無数の表面硬化鉛粒2の充填量を、棒状袋1の最大拡張体積の50%以上とすることができる。
【0014】
本発明の指圧ロッドは、棒状袋1の全長を10cmないし80cmとすることができる。
【0015】
本発明の指圧ロッドは、表面硬化鉛粒2を、散弾銃の砲弾に使用される散弾として、表面を硬化処理した鉛粒とすることができる。
【0016】
本発明の指圧ロッドは、棒状袋1の両端部に、クッション材4を充填してなるクッション部12を備えることができる。
この指圧ロッドは、図10に示すように、仰臥して横向きとなる姿勢で、患者の両横をクッション部12で快適に指圧できる特徴がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】従来の指圧ロッドの使用状態を示す斜視図である。
【図2】従来の他の指圧ロッドの使用状態を示す斜視図である。
【図3】本発明の一実施例にかかる指圧ロッドの斜視図である。
【図4】図3に示す指圧ロッドの垂直縦断面図である。
【図5】図3に示す指圧ロッドに垂直横断面図である。
【図6】図5に示す指圧ロッドを水平台に置いた状態を示す垂直横断面図である。
【図7】図3に示す指圧ロッドの使用状態を示す垂直横断面図である。
【図8】図3に示す指圧ロッドの使用状態を示す垂直縦断面図である。
【図9】図3に示す指圧ロッドの他の使用状態を示す垂直縦断面図である。
【図10】図3に示す指圧ロッドの他の使用状態を示す垂直縦断面図である。
【図11】図3に示す指圧ロッドの他の使用状態を示す側面図である。
【図12】図3に示す指圧ロッドの他の使用状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための指圧ロッドを例示するものであって、本発明は指圧ロッドを以下のものに特定しない。
【0019】
さらに、この明細書は、特許請求の範囲を理解しやすいように、実施例に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲」および「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
【0020】
図3ないし図6に示す指圧ロッド10は、図7と図8に示すように、患者の体の下に敷かれて、体重で患者の局部を指圧する。指圧ロッド10は、細長い袋状をしてなる棒状袋1と、この棒状袋1に充填している無数の球形の粒状である表面硬化鉛粒2とを備えている。
【0021】
棒状袋1は、可撓性を有するシート材を細長い袋状に成形している。図に示す棒状袋1は、天然繊維や合成繊維の織物である布地を縫着して所定の袋状としている。布地からなる棒状袋1は、縫着して簡単に成形できることに加えて、多少の伸縮がある状態で変形できるので、充填される表面硬化鉛粒2を内部で無理なく移動しながら棒状袋1の断面形状を変形できる。ただ、可撓性のあるシート材には、天然皮革や合成皮革、不織布、プラスチックシート等も使用できる。
【0022】
棒状袋1は、その全長を10cmないし80cm、好ましくは20cmないし60cm、さらに好ましくは30cmないし50cmとする。棒状袋の全長が短すぎると、特定の部位を正確に押圧しにくくなる。反対に、棒状袋の全長が長すぎると、充填する表面硬化鉛粒の量が多くなるので製造コストが高くなると共に、全体の重量が大きくなって持ち運びしにくくなる。したがって、棒状袋の全長は前述の範囲とする。棒状袋1は、たとえば、患者の胴体の横幅とほぼ等しい長さとすることができる。この指圧ロッドは、背骨と直交する姿勢で体の下に敷いて、最も安定して、特定の部位を位置ずれしないように正確に、しかも効果的に指圧できる。ただ、指圧ロッドは、必ずしも背骨に直交する姿勢で体の下に敷く必要はなく、背骨に対して斜めの姿勢で体の下に敷くことも、背骨に対して平行な姿勢で敷くこともできる。
【0023】
さらに、棒状袋1は、断面形状を円形とする状態での直径を2cmないし8cmとなる太さとする。棒状袋が太すぎると、充填する表面硬化鉛粒の量が多くなるので製造コストが高くなると共に、全体の重量が重くなって持ち運びしにくくなる。反対に、棒状袋が細すぎると、体の下に敷いた状態での床面からの突出量が小さくなるので、特定の部位を強く押圧するのが難しくなる。それは、患者が体重をかけて指圧したい局部を指圧ロッドに押し付けることで特定の部位を指圧するからである。さらに、指圧ロッドが特定の部位を効果的に指圧できるかどうかは、棒状袋の太さだけでなく、棒状袋に充填してなる無数の表面硬化鉛粒の充填量にもよる。たとえば、太い棒状袋であっても、充填する表面硬化鉛粒の充填量が少ない場合には、棒状袋に体重がかかる状態において、棒状袋は、平らに近い形状に変形して床からの突出量が小さくなるため、特定の部位を強く押圧するのが難しくなる。逆に、細い棒状袋であっても、充填する表面硬化鉛粒の充填量を多くすると、棒状袋に体重がかかる状態において、棒状袋の変形量が小さくなって、床からの突出量は小さくならない。したがって、これらのことを考慮して、棒状袋の太さは、断面形状を円形とする状態での直径を2cmないし8cmとし、棒状袋への表面硬化鉛粒の充填量は、最大拡張体積の50%以上、好ましくは70%以上とする。
【0024】
さらに、図3と図4に示す棒状袋1は、中央部を両端部よりも太くしている。この指圧ロッド10は、体の下に敷いた状態での床面からの突出量を、中央部で最も高くすることができる。したがって、この指圧ロッドは、中央部分を特定の部位に位置させて、特定の部位をより効果的に指圧できる。ただ、棒状袋は、全体の太さを均一にすることもできる。この指圧ロッドは、全体を均一に指圧できる。さらに、棒状袋の全体の太さを均一にする指圧ロッドであっても、図9に示すように、内部に充填する表面硬化鉛粒を中央部分に移動させて使用することで、この部分を特定の部位に位置させて、特定の部位をより効果的に指圧できる。さらに、棒状袋への表面硬化鉛粒の充填量が少ない指圧ロッドにおいても、図9に示すように、内部に充填する表面硬化鉛粒を一部分に移動させて使用することで、この部分の突出高さを高くして特定の部位を効果的に指圧できる。
【0025】
表面硬化鉛粒2は、鉛を球形の粒状としたもので、その直径を0.5mmないし5mm、好ましくは1mm〜3mm、最適には約2mmとしている。直径2mmの表面硬化鉛粒2は、1個の重量が約50mgとなる。したがって、この表面硬化粒状鉛2は、60000個を充填して、全体の重量を3kgにできる。表面硬化鉛粒2を使用するのは、骨盤を衝突するように衝撃で変形させて、自由に変形できないのを防止するためである。棒状袋に充填する粒体に比重の大きい粒を使用して、棒状袋を細くして重くできる。鉛は比重が11.3437と極めて大きいので、少ない充填量で重くできる。このため、棒状袋を細くしながら全体を重くして、床などに安定して置くことができ、また、図11に示すように、手で握って腹筋の運動をするときには、手で握りやすく、また、重いので足先が浮き上がるのを阻止して楽に腹筋を鍛えることができる。ただ、鉛は硬度が1.5と小さくて衝撃で変形しやすい欠点がある。棒状袋に充填する粒体は、球形としてスムーズに相対的に移動できる。粒体が球形から変形されると、相対的に移動するときに表面が引っかかってスムーズに移動できなくなる。多数の粒体がスムーズに相対移動できなくなると、平面状の床などに置くときに、棒状袋の底面を床面に沿う平面状にできなくなる。また、骨盤を落下させるような衝撃で粒体がスムーズに移動できなくなるので、骨盤を快適に効率よく刺激できなくなる。指圧ロッドは、骨盤を打ち付ける衝撃で弾性変形すると効果的に刺激を与えることができないが、反対に、衝撃で全く変形しない硬いものであっても、痛くて快適に刺激ができない。骨盤を打ち付ける衝撃で、棒状袋に充填している重い球形の粒体が相対的に移動して衝撃を吸収する状態を実現して、快適にしかも効果的な刺激を実現できる。この独特の条件は、粒体を極めて重くし、かつ粒体をスムーズに相対的に移動できる球形とし、さらに衝撃で球形を変形させないことが大切である。変形しない粒体は鉄球で実現できる。ただ、鉄は比重が7.86と鉛に比較して40%以上も小さいので、同じ重量とするために棒状袋に40%も多量に充填する必要があって、棒状袋が太くなって握り難く、また、安定して床などに設置できなくなる。鉛は鉄に比較して40%も重いので、棒状袋を細くして握り易くできる特徴がある。ただ、変形しやすい欠点があるので、本発明の指圧ロッドは、粒体に鉛を使用して、さらにその表面を硬化処理した表面硬化鉛粒2を使用する。
【0026】
表面硬化鉛粒2は、散弾銃の砲弾に使用される散弾が最適である。とくに、クレー射撃に使用される粒径の散弾が適している。散弾は、獲物に侵入するように重い鉛が使用され、また衝撃で変形しないように表面を硬化処理(チルド加工)しているので、表面硬化鉛粒として最適である。ただ、棒状袋に充填する表面硬化鉛粒を散弾には特定しない。棒状袋に充填する表面硬化鉛粒には、たとえば球形に成形している鉛の粒体表面を、鉛よりも硬い、たとえば金属でメッキして硬化処理したものが使用できる。金属メッキに使用される金属には、ニッケル、クローム、亜鉛、銅、鉄等が使用できる。このように、表面硬化鉛粒2を充填する指圧ロッドは、他の金属に比較して比重が極めて大きい鉛を充填するので、全体の重量が重くなって安定し、また、表面の硬化層によって骨盤を打ち付ける衝撃などで変形することがなく球形を保持し、床等の水平台に置く状態ではスムーズに平面状となり、また水平台との摩擦抵抗も大きくなって水平台に移動しない状態にセットでき、しかも骨盤を打ち付けて快適に刺激できる特徴がある。
【0027】
以上の表面硬化鉛粒2は、所定量が棒状袋1に充填されて、漏れないように閉塞される。棒状袋1への充填量は、前述のように、棒状袋1の最大拡張体積の50%以上、好ましくは70%以上とする。また、棒状袋1に充填される表面硬化鉛粒2の総重量は、1kgないし5kgとする。ここで、棒状袋に充填される表面硬化鉛粒の総重量は、棒状袋の太さと全長と充填率により決定される。指圧ロッドは、例えば、棒状袋の全長を40cm、棒状袋の断面形状を円形とする状態での直径を4cm、充填する表面硬化鉛粒の直径を3mm、表面硬化鉛粒の充填率を80%とすると、全体の重量が約2.5〜3.0kgとなる。したがって、指圧ロッドは、棒状袋に充填される表面硬化鉛粒の総重量が、前述の範囲となるように、棒状袋の全長と太さ、充填する表面硬化鉛粒の直径、及び表面硬化鉛粒の充填率を決定する。
【0028】
さらに、図3と図4に示す棒状袋1は、両端部に、クッション材4を充填してなるクッション部12を備えている。図に示す棒状袋1は、中間部である本体部11に無数の表面硬化鉛粒2を充填すると共に、両端部であるクッション部12にはクッション材4を充填している。図に示すクッション部12は、クッション材4として球形のウレタン樹脂を充填している。ただ、クッション材には、軟質プラスチックやプラスチック発泡体、ゴム状弾性体等を使用することもできる。球形のクッション材4の外径は、棒状袋1の太さとほぼ等しくしている。ただ、クッション材の外形は、棒状袋の断面よりも大きくすることも小さくすることもできる。さらに、クッション材は、多面体形状とすることも、曲面と平面を有する立体形状とすることもできる。この指圧ロッド10は、図10に示すように、仰臥して横向きとなる姿勢で、患者の両横をクッション部12で快適に指圧できる特徴がある。
【0029】
さらに、図3と図4に示す棒状袋1は、表面硬化鉛粒2が充填される本体部11と、両端のクッション部12との境界部分を紐体5で結んで区画している。これにより、クッション部12のクッション材4を棒状袋1の両端の定位置に固定すると共に、表面硬化鉛粒2が本体部11からクッション部12へ移動するのを防止している。
【0030】
以上の指圧ロッド10は、図6に示すように、床などの水平台20の上に置くと無数の表面硬化鉛粒2が棒状袋1の内部で相対移動して下面が水平面となり、水平台20の上に転がらないように配置される。とくに、棒状袋1に充填している表面硬化鉛粒2を球形の粒状としているので、表面硬化鉛粒2同士が棒状袋1の内部でブリッジ状態となることなく、棒状袋1の内部をスムーズに相対移動して下面を水平面に変形させて、安定してセットされる形状となる。さらに、棒状袋1には比重の極めて大きい表面硬化鉛粒2を充填しているので、全体の重量が重くて安定し、水平台20との摩擦抵抗も大きくなって水平台20に移動しない状態にセットされる。水平台20の上にセットされた指圧ロッド10は、図7に示すように、その上に患者が仰臥する状態で横になって、すなわち、患者の体の下に指圧ロッド10を敷く状態で使用する。この指圧ロッド10は、患者が持ち上げた腰を体重で押し付けるようにして、造血組織である骨随を快適に効率よく刺激できる。骨随は主要な造血器官であって、赤血球を多数に含むことから赤色をしている赤色骨随と黄色骨随とからなり、これが快適に刺激されることで造血作用が活性化される。以上の指圧ロッド10は、患者が腰を上下して、自分の体重をかけて骨盤を叩くように刺激する状態にあっても、水平台20の定位置にあって位置ずれし難く、人体の正確な部位を快適に刺激できる。
【0031】
また、図7の鎖線で示すように、指圧ロッドの位置を腰の位置から脊椎に沿って移動し、この位置で、体を持ち上げて体重で指圧ロッドに押し付けるようにして、脊椎の全体を刺激して、脊椎全体にある神経を刺激することもできる。脊椎全体に分布している神経節は内蔵に関係しているので、これを刺激することで内臓を活性化することもできる。また、指圧ロッドを脊椎に沿って移動することなく、体をずらせる状態で、脊椎を刺激して脊椎全体を刺激することもできる。
【0032】
さらに、図11の(a)〜(e)は、本発明の指圧ロッド10の他の使用例を示している。この図に示すように、指圧ロッド10の両端部を両手で掴んで水平に伸ばす姿勢とし、(a)〜(b)で示すように指圧ロッド10を持ち上げながら体を起こし、さらに、両手を真上に上げた姿勢から前方に移動する状態からは、(c)〜(e)で示すように、指圧ロッドの重量で両腕の先端部を降下させながら、上半身を前方に曲げて背筋を伸ばす運動をする。指圧ロッド10を真上から降下させながら、上半身を前に曲げて背筋を伸ばす運動は、(d)〜(e)で示すように、指圧ロッド10の重量で両手の先端が強制的に降下されるので、楽に背筋を伸ばす運動ができる。また、(d)〜(e)で示す両手を前に伸ばす状態から上半身をさらに前に曲げる運動においては、指圧ロッド10の重量で両手が強制的に降下されて、足先が浮き上がるのを防止して背筋の運動を楽にできる。指圧ロッド10の重量が、前方に伸ばした両手の先を降下させるように作用して、上半身を前に曲げるように作用し、また足先を浮き上がらないように作用するからである。このため、指圧ロッド10を両手で握って、真上に持ち上げてからさらに前方に降下させながら、体を前に曲げる運動をすることで、指圧ロッド10の重量が上半身を前に曲げるように作用し、背筋を伸ばしながら上半身を楽に前に曲げて効果的な背筋運動ができる。また、指圧ロッド10を(a)〜(c)に示すように持ち上げなから、体を水平姿勢から起こすように移動して、効果的に腹筋の運動ができる。
【0033】
また、本発明の指圧ロッドは、図12に示すように、寝るときに、枕21の上に載せて使用することもできる。枕21の上に載せた指圧ロッド10は、後頭部の突出する部分を刺激して、快適に安眠できる。とくに、本発明の指圧ロッドは、無数の表面硬化鉛粒2を棒状袋1の内部で移動させることで後頭部に沿う形状となり、また弾性変形するのではなく変形した状態で適度の硬さがあるので、後頭部を快適に、しかも効果的に刺激して安眠できる特徴がある。
【符号の説明】
【0034】
1…棒状袋
2…表面硬化鉛粒
4…クッション材
5…紐体
10…指圧ロッド
11…本体部
12…クッション部
20…水平台
21…枕
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の体の下に敷かれて患者の局部を指圧するようにしてなる指圧ロッドであって、
可撓性を有するシート材を細長い袋状としてなる棒状袋(1)と、この棒状袋(1)に充填されて、その直径を0.5mmないし5mmとする無数の球形の粒状であって表面に硬化層を有する表面硬化鉛粒(2)とを備えてなる指圧ロッド。
【請求項2】
前記棒状袋(1)に充填してなる表面硬化鉛粒(2)の総重量が1kgないし5kgである請求項1に記載される指圧ロッド。
【請求項3】
前記棒状袋(1)の太さが、断面形状を円形とする状態での直径を2cmないし8cmとし、かつ棒状袋(1)に充填してなる無数の表面硬化鉛粒(2)の充填量が、棒状袋(1)の最大拡張体積の50%以上である請求項1に記載される指圧ロッド。
【請求項4】
前記棒状袋(1)の全長を10cmないし80cmとしてなる請求項1に記載される指圧ロッド。
【請求項5】
前記表面硬化鉛粒(2)が、散弾銃の砲弾に使用される散弾である請求項1に記載される指圧ロッド。
【請求項6】
前記棒状袋(1)が、その両端部にクッション材(4)を充填してなるクッション部(12)を備える請求項1に記載される指圧ロッド。
【請求項1】
患者の体の下に敷かれて患者の局部を指圧するようにしてなる指圧ロッドであって、
可撓性を有するシート材を細長い袋状としてなる棒状袋(1)と、この棒状袋(1)に充填されて、その直径を0.5mmないし5mmとする無数の球形の粒状であって表面に硬化層を有する表面硬化鉛粒(2)とを備えてなる指圧ロッド。
【請求項2】
前記棒状袋(1)に充填してなる表面硬化鉛粒(2)の総重量が1kgないし5kgである請求項1に記載される指圧ロッド。
【請求項3】
前記棒状袋(1)の太さが、断面形状を円形とする状態での直径を2cmないし8cmとし、かつ棒状袋(1)に充填してなる無数の表面硬化鉛粒(2)の充填量が、棒状袋(1)の最大拡張体積の50%以上である請求項1に記載される指圧ロッド。
【請求項4】
前記棒状袋(1)の全長を10cmないし80cmとしてなる請求項1に記載される指圧ロッド。
【請求項5】
前記表面硬化鉛粒(2)が、散弾銃の砲弾に使用される散弾である請求項1に記載される指圧ロッド。
【請求項6】
前記棒状袋(1)が、その両端部にクッション材(4)を充填してなるクッション部(12)を備える請求項1に記載される指圧ロッド。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−115322(P2011−115322A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−274572(P2009−274572)
【出願日】平成21年12月2日(2009.12.2)
【出願人】(309040033)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月2日(2009.12.2)
【出願人】(309040033)
【Fターム(参考)】
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