説明

指示計及びガス流体の供給装置

【課題】流体が流通しているか否かを簡単な構造で視認する。
【解決手段】指示計Aは、流体の供給手段(流量調整器B)から供給される流体が流通しているか否かを指示するために、内部がテーパ状に形成された透明な管11と該管11の内部に配置された断面が円形の浮き12とからなる流体の流れを指示する指示部材10と、指示部材10を保持する保持穴54と、流体の供給手段に対して着脱可能に装着する装着部20と、流体を供給すべき被供給手段を取り付ける取付部30とを有する本体50を有し、本体50には、該本体50に設けた装着部20から指示部材10の下端部に至る上流側流路41,42と、指示部材10の上端部から本体50に設けた取付部30に至る下流側流路43,44が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体が流れているか否かを指示する指示計と、この指示計とガス流体の供給手段とを組み合わせたガス流体の供給装置とに関するものである。
【背景技術】
【0002】
流体、例えばガス流体の流量を人が目視して測定し得るように構成した器具として、内部がテーパ状に形成され且つ外周面に流量に対応させた目盛を形成した透明な管(ガラス管や合成樹脂管)と、この管の内部に配置され測定すべきガス流体に応じた質量を有し且つガス流体の流量に応じて昇降する断面が円形の浮きと、を有するフローメーターがある。このフローメーターでは、管を鉛直に設置し、該管の下端側に予め一定の圧力に設定されたガス流体を供給し、浮きの上昇位置の目盛を視認することで流量を測定することが可能である。
【0003】
医療分野では、患者に医療用酸素を吸引させる治療を行うことがあり、この場合、供給すべき酸素ガスの流量を厳密に管理する必要がある。このため、医療用の酸素吸入器は酸素ガスの流量調整機能を有して構成されている。例えば、酸素吸入器として、水を保持したタンクと、酸素ボンベ又は屋内の酸素配管に取り付けた圧力調整器と接続され前記タンクの底に接近した部位で開口する供給パイプと、タンクの上部に設けたキャップに形成されニードル弁とフローメーターと患者への供給口とを有する酸素ガスの流路と、を有して構成されたものがある。
【0004】
上記酸素吸入器では、酸素ボンベ又は酸素配管の一次圧を圧力調整器によって所定の圧力(フローメーターに於ける設定圧力)に減圧しておき、ニードル弁を開くことによって、酸素ガスは圧力調整器から供給パイプを通って水中で開放され、泡となって浮上してタンク内を満たし、ニードル弁からフローメーターを経て供給口から患者に供給される。このとき、酸素ガスの流量はニードル弁の開度によって調整される。また酸素ガスの流れは水中の泡、フローメーターに於ける浮きの浮上によって視認される。この酸素吸入器では、酸素ガスの流量が視認し易いように、フローメーターは透明な筒体に挿入されてキャップの上端部から突出して設けられるのが一般的である。
【0005】
一方、正確な酸素ガスの流量を確保し得る器具として、特許文献1に記載された流量調整装置が提案されている。この流量調整装置は、一次圧を減圧する機構を有し、減圧された圧力でガス流体を供給する供給孔と、供給孔に対向させて径の異なる複数のオリフィスを設けたセレクターと、を有して構成されている。そして、セレクターを回転させて選択したオリフィスを供給孔に対向させることによって、選択されたオリフィスに応じた正確な流量のガス流体を供給することが可能である。
【0006】
【特許文献1】特開平1−168330号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
フローメーターでは、流量は浮きと管のテーパ状の内面との隙間の面積に応じた値として測定されるため、管が傾くと正確な流量を測定し得ないという問題がある。即ち、上記酸素吸入器では、正確な酸素ガスの流量を管理するにはフローメーターの管を正確に鉛直に設置することが必要であるが、実務面から見てこのように設置することは困難であり、測定した流量は目安に過ぎないという問題がある。また、フローメーターは流体の流量を測定するものであり、測定するためのレンジを広くとることが必要なため、必然的に長くなり、大型化してしまうという問題がある。
【0008】
また特許文献1の流量調整装置では、患者に医療用酸素を吸引させる治療を行う際に、正確な流量を設定することができる。しかし、流量調整装置から患者に直接酸素ガスを供給した場合、現に酸素ガスが流れているか否かを視認することができないという問題がある。
【0009】
このため、酸素ガスが流通しているか否かを視認し得るような指示計であって、簡単な構造で且つコンパクトな構造を持った指示計を開発することが要求されている。
【0010】
本発明の目的は、流体が流通しているか否かを簡単な構造で視認することができる指示計と、この指示計を利用したガス流体の供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために本発明に係る指示計は、流体の供給手段から供給される流体が流通しているか否かを指示する指示計であって、内部がテーパ状に形成された透明な管と該管の内部に配置された断面が円形の浮きとからなる流体の流れを指示する指示部材と、前記指示部材を保持する保持部と指示部材の内径の大きい端部側と同方向の端部に設けた流体の供給手段に対して着脱可能に装着する装着部と前記方向の反対側の端部に設けた流体を供給すべき被供給手段を取り付ける取付部とを有する本体と、を有し、前記本体には該本体に設けた装着部から指示部材の内径の小さい端部に至り指示部材の内径の大きい端部から該本体に設けた取付部に至る流体の流路が設けられているものである。
【0012】
上記指示計に於いて、本体が、同一形状に形成された一対の本体部材を垂直方向に接続して構成され、各本体部材には、指示部材の一方の端部を嵌合する指示部材嵌合部と、前記指示部材嵌合部の中心を通る線に対称な位置に設けた一対の流路と、前記一対の流路のうち一方の流路と前記指示部材嵌合部を連続させる連通路と、前記一対の流路のうち他方の流路と接続される装着部又は取付部となる開口部と、前記指示部材嵌合部の中心を通る線に対称に且つ前記一対の流路の中心を結ぶ線と平行な線上に設けた一対の穴と、前記一対の穴のうち一方の穴に形成した雌ねじと、前記一対の穴のうち他方の穴に形成したねじを通すねじ穴とを有するものであることが好ましい。
【0013】
また本発明に係るガス流体の供給装置は、流体の供給手段が、径の異なる複数のオリフィスを設けたセレクターと、前記セレクターを回転させるハンドルと、流体の供給部とを有し、前記ハンドルを操作してセレクターのオリフィスを選択することでガス流体を所定の圧力で供給部から供給し得るように構成されたものであり、前記供給部に請求項1又は2に記載した指示計の装着部を装着して前記流体の供給手段からガス流体が供給されているか否かを指示し得るように構成したものである。
【発明の効果】
【0014】
上記した本発明の指示計では、内部がテーパ状に形成された管の内径が大きい端部を上(以下この方向を「上部」又は「上部側」のようにいう)に、内径が小さい端部を下(以下この方向を「下部」又は「下部側」のようにいう)にした略鉛直方向になるように本体に保持し、該本体の上部に設けた装着部を流体の供給手段に装着すると共に下部に設けた取付部に被供給手段を取り付けることによって、指示部材を略鉛直方向に設置することができる。この状態で流体を供給すると、装着部から供給された流体は本体の内部に設けた流路を通って指示部材の下部から上部を経て取付部から被供給手段に供給される。流体が指示部材を流通する過程で浮きが浮上し、流体が流れていることを指示することができる。
【0015】
上記指示部材は、流量を測定するものではないため、テーパ角度は大きくて良く、浮きと管の内面との隙間を厳密に設定する必要はなく且つ目盛を設ける必要もない。更に、指示部材の管の長さは短くて良く、コンパクトなものとすることができる。また指示部材が流量を測定するものではないため、該指示部材を正確に鉛直に設置しておく必要がなく、設置姿勢の自由度が向上して取り扱いが容易となる。
【0016】
特に、本体が同一形状に形成された一対の本体部材を接続して構成されることから、本発明の指示計を構成する部品としては、一対の本体部材と、指示部材とで良く、構造は極めて簡単となる。
【0017】
また本発明に係るガス流体の供給装置は、上記した指示計の何れかを利用し、この指示計を、異なる径を持った複数のオリフィスを設けたセレクターをハンドルで回転させることで、供給部から所定の流量のガスを供給し得るように構成した供給手段に装着したので、該供給手段によってガスの流量を保証することができ、且つ指示計によってガスが流通しているか否かを視認することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明に係る指示計及びガス流体の供給装置の好ましい実施形態について説明する。本発明の指示計は、目的の系を流体が現に流れているか否か、を周囲の人が容易に視認し得るようにしたものである。従って、流れている流体の流量を測定することを目的とするものではなく、流量を設定するための機構は別に設ける必要がある。
【0019】
本発明に於いて、指示計が指示し得る流体は液体或いは気体の何れであっても良く、目的の流体の質量等の仕様に対応させて浮きの大きさや質量を設定することが好ましい。また指示し得る流体の流量も限定すべきものではなく、目的の系に於ける最大流量を満足し得るように管の最大内径と浮きの直径を設定することが好ましい。
【0020】
指示計を構成する指示部材の管は、該指示計が流量の測定を行うものではないため、下端部分の径(入口径)と上端部分の径(出口径)が設定された流量を満足し得る値であれば良く、上下端部間の距離(テーパ角度)を限定する必要はない。従って、管の長さは可及的に短くすることが好ましく、このように短い管を利用することによって、コンパクトな指示計を実現することが可能となる。
【0021】
本発明の指示計は、流体の流れを指示する指示部材と、該指示部材を保持する本体と、によって構成されている。前記指示部材は、上下両端部分が本体に保持されることで、該本体に構成された流路と接続している。このため、本体は、指示部材を保持する機能と、流路を構成する機能と、流体を供給する供給手段に装着される機能と、流体の被供給手段を取り付ける機能とを有しており、これらの複数の機能を簡単な構造で実現することが好ましい。
【0022】
このため、本発明の指示計では、本体を同一の形状を持った二つの本体部材を転回させた状態で互いに接続して構成している。これにより、部品の点数を削減することが可能であり、且つ単純な構造で小型化を実現することが可能となる。
【0023】
本発明のガス流体の供給装置は、ガス流体の流量調整装置と指示計とを組み合わせて構成したものであり、特に、流量調整装置は、径の異なる複数のオリフィスを設けたセレクターをハンドルによって回転させることで、オリフィスを選択し、これにより、ガス流体を所定の圧力とオリフィスに応じた流量で供給し得るように構成されたものである。このため、流量を調整する際に、例えばフローメーター等の流量測定部材を監視しながら操作する必要がなく、単にオリフィスを選択するのみで良い。従って、簡単な操作で確実な流量を確保することが可能である。
【0024】
本発明に於けるガス流体の流量調整装置を如何なるガスの供給手段として利用するかは限定するものではなく、医療用の酸素ガスや他のガスを対象として利用することが可能である。このため、流量調整装置の一次側の取付構造は、目的のガスを充填したガスボンベに直接取り付けることが可能なように構成することが可能であり、或いは屋内配管に接続し得るように構成することが可能である。更に、医療用に構成する場合には、病室毎に設けた集中取出口(アウトレット)に直接取り付けることが可能なように構成することも可能である。
【実施例1】
【0025】
以下、指示計の好ましい実施例について図を用いて説明する。図1は指示計の構成を説明する正面図と側面断面図である。図2は本体部材の構成を説明する図である。
【0026】
図1に示す指示計Aは、流体として医療用酸素を対象として構成されており、酸素の供給手段(後述する酸素の流量調整装置B)に装着され、該供給手段から酸素が供給されて流れているか否かを指示する指示部材10と、この指示部材10を保持すると共に上部に供給手段に装着される装着部20と下部に被供給手段を取り付ける取付部30を設け、更に、内部に酸素が流通する流路40を設けた本体50とによって構成されている。
【0027】
指示部材10は、周囲にいる人が指示計Aを酸素が流れているか否かを視認するための部材であり、内部がテーパ状に形成された透明な管11と、管11の内部に配置された浮き12と、を有して構成されている。この指示部材10は本体50に保持され、該本体50が流量調整装置Bに装着されたとき、略鉛直方向の姿勢を保持し得るように構成されている。
【0028】
管11の内面11aに構成されたテーパの角度は10.88度(テーパ5.44度)を有しており、流体の流量を測定するためのフローメーターを構成する管の内面のテーパ角度が0.5度(テーパ0.25度)であるのと比較して充分に大きい角度を有している。そして、このようにテーパ角度を大きくとることによって、管11の長さをフローメーターを構成する管の長さと比較して充分に短くしている。管11は、上下両端が本体50に設けた保持部に嵌合した状態で保持されており、軸心11bが本体50に設定された長手方向の基準線51と平行になるように設定されている。
【0029】
また浮き12は球状に構成されており、指示部材10に酸素が供給されたとき、この酸素によって管11内を浮上し得るように構成されている。浮き12は、管11の外部から視認し易いような形状、或いは色を有することが好ましい。このため、本実施例では、浮き12を赤色の球によって構成している。
【0030】
管11の上端部分にはストッパー13が配置されており、該ストッパー13によって浮き12の浮上限界が設定されている。また管11の上下端部には夫々Oリング14が配置され、指示部材10と本体50との間から酸素がリークすることを防止し得るように構成されている。
【0031】
装着部20は指示計Aの上部に配置され、本体50の上部所定位置に螺合して固定されており、酸素の供給手段に対し着脱可能に装着される機能を有するものである。このため、装着部20は、酸素の供給手段に於ける供給部の構造と対をなした構造を持って構成される。
【0032】
本実施例では、酸素の供給手段が後述する流量調整器Bであり、この流量調整器Bの供給部が内部にテーパ面を有し外面に雄ねじを有する部材によって構成されているため、装着部20は、先端部分にテーパ面21aが、他端部分に本体50に螺合するねじ部21bが構成されたターミナル21と、袋ナット22とを有して構成されている。
【0033】
尚、ターミナル21のテーパ面21a及びねじ部21bの先端部分にはOリング23が取り付けられており、指示計Aを流量調整器Bに装着したとき、装着部20から酸素がリークすることを防止し得るように構成されている。
【0034】
取付部30は指示計Aの下部に配置され、本体50の下部所定位置に螺合して固定されており、指示計Aを通過した酸素を供給する被供給手段を取り付ける機能を有するものである。この被供給手段としては特に構造を限定するものではなく、患者が酸素を吸引するためのカニューラやマスクがある。例えば、被供給手段がカニューラ(図示せず)の場合、該カニューラにホース或いはチューブが接続されて延長されており、取付部30はこのホース或いはチューブを着脱可能に取り付ける機能を有するものである。
【0035】
本実施例では、取付部30はホース差し31によって構成されている。ホース差し31は一方側が複数のテーパ部が直列した形状に構成された差し込み部31aとして形成され、他方の端部側には本体50に螺合するねじ部31bが形成されている。
【0036】
尚、ホース差し31のねじ部31bの先端部分にはOリング32が取り付けられており、取付部30と本体50との間から酸素がリークすることを防止し得るように構成されている。
【0037】
流路40は、装着部20を介して供給された酸素を指示部材10を介して取付部30に至る経路を持って構成されている。流路40は、指示部材10を基準として、本体50の上部に設けた装着部20のターミナル21に接続し指示部材10を構成する管11の軸心11bと平行に下部方向に向かう上流側縦流路41と、該上流側縦流路41と管11の下端側を結ぶ上流側横流路42と、管11の上端部から横方向に形成された下流側横流路43と、本体50の下部に設けた取付部30のホース差し31に接続し管11の軸心11bと平行に上部方向に向かい下流側横流路43と接続する下流側縦流路44と、を有して構成されている。
【0038】
本体50は、指示部材10を保持すると共に、上部に装着部20が下部に取付部30が夫々設けられ、更に、内部に流路40が形成されて指示計Aを構成している。このように構成された指示計Aでは、装着部20から供給された酸素は、上流側縦流路41、上流側横流路42を通って指示部材10に至り、該指示部材10を通過する際に浮き12を浮上させる。その後、酸素は指示部材10の上端部分から下流側横流路43、下流側縦流路44を経て取付部30に至り、ホース差し31に接続されたホースを経て患者に吸引される。
【実施例2】
【0039】
次に、本体50の具体的な構造について図2により説明する。尚、図に於いて、前述の実施例と同一の部分及び同一の機能を有する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0040】
本実施例に於いて、本体50は、長手方向の中央で且つ基準線51に対し直角方向の線で切断して一対の本体部材52を構成し、この本体部材52を互いに結合させることで構成されている。即ち、同一の形状を持った一対の本体部材52を構成し、これらの本体部材52を転回させて互いに結合することで、本体50を構成している。従って、本体50は、基準線51上で且つ長手方向の中央の点を中心とする点対称に構成されている。
【0041】
本体部材52は、図2に示すように、本体50の基準線51上で且つ長手方向の中央で切断した面となる基準面53を有しており、該基準面53に上流側縦流路41、下流側縦流路44となる穴が開口している。そして、一対の本体部材52を、基準面53を対向させると共に指示部材10を保持して締結したとき、保持部材10を構成する管11の小径側に接続する穴が上流側縦流路41、上流側横流路42として、管11の大径側に接続する穴が下流側横流路43、下流側縦流路44としての機能を発揮する。
【0042】
本体部材52の正面52a側には、指示部材10の管11を嵌合する嵌合穴54が形成されている。嵌合穴54は、嵌合した管11が容易に離脱することがない程度で、且つ管11の前面が内部に配置された浮き12の浮上状態を容易に視認し得る程度に広く開放されるように構成されている。
【0043】
更に、本体部材52の基準面53とは反対側の面には、装着部20のターミナル21或いは取付部30のホース差し31を螺合するねじ部55が形成されている。そして、一対の本体部材52を、基準面53を夫々の正面52aを同一方向にして対向させると共に、夫々の本体部材52に設けた嵌合穴54に指示部材10を嵌合させ、この状態で各本体部材52を接近させると、互いの基準面53に形成された縦流路41,44が対向し、且つ穴57のリング状の突起57cが穴56のリング状の溝56cに対向する。更に、一対の本体部材52を接近させると、リング状の突起57cがリング状の溝56cに嵌合し、対向した本体部材52の位置決めがなされる。
【0044】
上記状態で、各本体部材52の穴57にねじ58を挿通して対向する穴57のねじ57bに締結することで、一対の本体部材52は強固に結合し、これに伴って指示部材10の管11も嵌合穴54に保持される。
【0045】
尚、一対の本体部材52を結合したとき、基準面53に形成された縦流路41,44の接合部分には夫々Oリング59が取り付けられており、これにより、酸素のリークを防止することが可能である。
【0046】
上記の如く、本実施例では、本体50を同じ形状を持った一対の本体部材52を結合させて構成することによって、簡単な構造を実現することが可能であり、部品を削減すると共に製造も容易である。
【実施例3】
【0047】
次に、ガス流体の供給装置の構成について図3を用いて説明する。本実施例に於いて、ガス流体の供給装置(供給装置)は、患者に対して酸素を供給する際に、酸素が流れているか否かを容易に視認し得るようにしたものであり、流体の供給手段となる流量調整器Bに前述した指示計Aを取り付けて構成したものである。
【0048】
図に示す流量調整器Bは、病院に設けた屋内配管の端末を構成するアウトレットの酸素供給口に対しワンタッチで着脱し得るように構成されている。しかし、本発明では流体の供給手段が、アウトレットに装着し得るように構成することを限定するものではなく、通常の酸素ボンベに、或いは屋内配管のバルブに装着し得るように構成されたものであっても良いことは当然である。
【0049】
流量調整器Bは、ケーシング61の内部に減圧機構62が構成されており、該減圧機構62の二次圧室63に径の異なる複数のオリフィスが形成されたセレクター64が配置されると共にハンドル65に一体的に取り付けられている。またケーシング61の所定位置には供給孔66が形成されており、該供給孔66が指示計Aを装着する供給部67に接続されている。また、ケーシング61の減圧機構62側には図示しないアウトレットに装着されるアタッチメント68が設けられている。
【0050】
流量調整器Bは、アタッチメント68をアウトレットに装着したとき、供給部67が真下を向くように構成されており、この供給部67に指示計Aを装着することによって、該指示計Aに配置された指示部材10が略鉛直方向に設置される。
【0051】
流量調整器Bの減圧機構62は通常の圧力調整器と略同様な構造を持って構成されている。従って、アタッチメント68を介して酸素が供給されると、供給された酸素はノズル62a,シート62bを通過することで減圧され、ピストン62cに形成された孔を通過して二次圧室63に供給される。
【0052】
二次圧室63にはセレクター64が配置されており、セレクター64の二次圧室63の反対側に供給孔66が設けられている。従って、ハンドル65を操作してセレクター64を回転させて所望の径のオリフィスを供給孔66に対向させることで、供給部67から供給し得る酸素の流量を設定することが可能である。
【0053】
特に、この流量調整器Bでは、アウトレットに供給される酸素の一次圧の如何に関わらず、二次圧を一定にすることが可能である。このように、安定した二次圧を保証することが可能となることから、オリフィスの径に応じた正確な流量を保証することが可能となる。
【0054】
上記の如く、流量調整器Bは、酸素の流量を調整する機能を有するものの、酸素が流れているか否かを確認する機能は有していない。このため、単に流量調整器Bのみを利用した患者に酸素を供給することは可能であるが、現に酸素が供給されているか否かを視認することができない。
【0055】
供給部67は内面にテーパ部67aが形成され、外周にねじ部67bが形成されて構成されており、前述した指示計Aの装着部20を構成するターミナル21のテーパ部21aをテーパ部67aに当接させ、袋ナット22をねじ部67bに締結することで、指示計Aを流量調整器Bに一体化させてガス流体の供給装置を構成することが可能である。
【0056】
上記の如く構成されたガス流体の供給装置では、流量調整器Bをアウトレットに装着した後、ハンドル65を操作してセレクター64に設けたオリフィスを選択して供給孔66に対向させる。次いで、アウトレットに設けた弁機構を開放することで、予め所定の圧力に減圧された酸素が流量調整器Bに供給される。
【0057】
流量調整器Bに供給された酸素は、減圧機構62に於いて所定の二次圧に減圧されると共にオリフィスの径によって規定された流量で供給部67から指示計Aに供給される。指示計Aに供給された酸素は、上流側縦流路41、上流側横流路42を経て指示部材10の下端側に流通する。
【0058】
指示部材10を構成する管11の下端に酸素が供給されると、該酸素の流量に従って浮き12が浮上し、該浮き12と管11の内面11aとの間に形成される隙間を通して酸素が流れる。このとき、浮き12の浮上によって、酸素が流れていることを確認することが可能である。また酸素は指示部材10の上端部分から下流側横流路43に流通する。
【0059】
更に、指示部材10を通過した酸素は、下流側横流路43、下流側縦流路44を流通して取付部30に至り、該取付部30を構成するホース差し31に取り付けたホースを介してカニューラ或いはマスクに供給される。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明の指示計Aは、流体が流れているか否かのみを視認し得るようにしたため、全体をコンパクトに構成することが可能であり、液体や気体の流れを確認するのに有利である。また本発明のガス流体の供給装置は、異なる径を持った複数のオリフィスを選択してガス流体の流量を調整するので、正確な流量を保証すると共にガスが流れているか否かを視認することが可能であり、精密な流量を設定することが必要な医療用酸素や実験用ガスの供給装置として有利である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】指示計の構成を説明する正面図と側面断面図である。
【図2】本体部材の構成を説明する図である。
【図3】ガス流体の供給装置の構成を説明する図である。
【符号の説明】
【0062】
A 指示計
B 流量調整装置
10 指示部材
11 管
11a 内面
11b 軸心
12 浮き
13 ストッパー
14 Oリング
20 装着部
21 ターミナル
21a テーパ面
21b ねじ部
22 袋ナット
23 Oリング
30 取付部
31 ホース差し
31a 差し込み部
31b ねじ部
32 Oリング
40 流路
41 上流側縦流路
42 上流側横流路
43 下流側横流路
44 下流側縦流路
50 本体
51 基準線
52 本体部材
53 基準面
52a 正面
54 嵌合穴
55 ねじ部
56,57 穴
56a,57a ザグリ部
56b ねじ部
56c 溝
57b ネジ穴
57c 突起
58 ねじ
59 Oリング
61 ケーシング
62 減圧機構
62a ノズル
62b シート
62c ピストン
63 二次圧室
64 セレクター
65 ハンドル
66 供給孔
67 供給部
67a テーパ部
67b ねじ部
68 アタッチメント


【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の供給手段から供給される流体が流通しているか否かを指示する指示計であって、内部がテーパ状に形成された透明な管と該管の内部に配置された断面が円形の浮きとからなる流体の流れを指示する指示部材と、前記指示部材を保持する保持部と指示部材の内径の大きい端部側と同方向の端部に設けた流体の供給手段に対して着脱可能に装着する装着部と前記方向の反対側の端部に設けた流体を供給すべき被供給手段を取り付ける取付部とを有する本体と、を有し、前記本体には該本体に設けた装着部から指示部材の内径の小さい端部に至り指示部材の内径の大きい端部から該本体に設けた取付部に至る流体の流路が設けられていることを特徴とする指示計。
【請求項2】
前記本体が、同一形状に形成された一対の本体部材を接続して構成され、各本体部材には、指示部材の一方の端部を嵌合する指示部材嵌合部と、前記指示部材嵌合部の中心を通る線に対称な位置に設けた一対の流路と、前記一対の流路のうち一方の流路と前記指示部材嵌合部を連続させる連通路と、前記一対の流路のうち他方の流路と接続される装着部又は取付部となる開口部と、前記指示部材嵌合部の中心を通る線に対称に且つ前記一対の流路の中心を結ぶ線と平行な線上に設けた一対の穴と、前記一対の穴のうち一方の穴に形成した雌ねじと、前記一対の穴のうち他方の穴に形成したねじを通すねじ穴と、を有するものであることを特徴とする請求項1に記載した指示計。
【請求項3】
前記流体の供給手段が、径の異なる複数のオリフィスを設けたセレクターと、前記セレクターを回転させるハンドルと、流体の供給部とを有し、前記ハンドルを操作してセレクターのオリフィスを選択することでガス流体を所定の圧力で供給部から供給し得るように構成されたものであり、前記供給部に請求項1又は2に記載した指示計の装着部を装着して前記流体の供給手段からガス流体が供給されているか否かを指示し得るように構成したことを特徴とするガス流体の供給装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−46970(P2007−46970A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−230523(P2005−230523)
【出願日】平成17年8月9日(2005.8.9)
【出願人】(591027008)株式会社小池メディカル (3)
【出願人】(595099960)株式会社群馬コイケ (6)
【Fターム(参考)】