説明

指紋画像認識システム、指紋画像認識方法、及びプログラム

【課題】毛氈特性を抽出し、その出現パターンを解析し、それを予め定められた条件式で判断するという方法で正確に毛氈や汗腺口を抽出し除去できる構成を提供する。
【解決手段】指紋画像から特徴点を抽出する指紋画像認識システムであって、前記指紋画像をディジタル化して入力する指紋画像入力部(11)と、前記指紋画像から、隆線の方向データを抽出する隆線方向抽出部(12)と、前記隆線の方向データを用いて、毛氈を抽出し除去する毛氈抽出除去部(13)と、前記隆線の方向データを用いて、汗腺口を抽出し除去する汗腺口抽出除去部(14)と、前記隆線の方向データを用いて、前記指紋画像から隆線や谷線(隆線溝)を抽出し、隆線や谷線の濃度を強調する隆線抽出強調部(15)と、前記指紋画像から特徴点データを抽出する特徴点抽出部(16)と、前記特徴点データを出力する特徴点出力部(17)とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛氈抽出除去や汗腺口抽出除去や隆線抽出強調する指紋画像認識システム、指紋画像認識方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、指紋照合においては、特開昭59−778号公報の指紋照合装置にも記載されているように、指紋隆線の端点や分岐点(この両方を合わせて指紋の特徴点と呼ぶ)を用いた特徴点照合が広く用いられている。
【0003】
ところが、上記の従来技術では、毛氈や汗腺口が顕著な指紋画像の場合、毛氈や汗腺口の影響を受けて特徴点の抽出性能が劣化し、その結果照合精度も劣化するという問題があった。なお、毛氈とは、隆線になりきっていない発育途上の隆線のことである。
【0004】
ノイズを含む低品質指紋画像を処理する従来技術の1つとして、特開平8−287255号公報に皮膚紋様画像の画像特徴抽出装置及び画像処理装置が開示されている。
この従来技術では、予め画像上に設定した複数の局所領域における画像特徴を抽出する皮膚紋様画像の画像特徴抽出装置が、画像記憶手段と、フイルタ群記憶手段と、画像強度算出手段と、特徴算出手段を具備することを特徴とする。
画像記憶手段は、前記皮膚紋様画像を記憶する。フイルタ群記憶手段は、前記局所領域における画像特徴を抽出するための重み係数の二次元配列から成るフイルタを複数記憶する。フイルタリング手段は、前記画像記憶手段に記憶される皮膚紋様画像に対して、前記フイルタ群記憶手段に記憶される複数のフイルタをそれぞれ用いてフイルタリングを行う。画像強度算出手段は、前記フイルタリング手段によって得られる各画像に対して、予め画像上に設定した前記複数の局所領域における画像強度を算出する。特徴算出手段は、該画像強度算出手段によって得られる前記局所領域の画像強度の情報を用いて、各局所領域における画像特徴を算出する。
【0005】
上記の特開平8−287255号公報で提案された方法によれば、隆線方向や隆線ピッチという画像特徴に対応する、重み係数を持った二次元フィルタを予め複数個準備しておき、そのフィルタを用いてフィルタ強調を実施し、その結果画像強度が最大となるフィルタ処理の結果を選択することで効果的な画像強調をすると共に、選択されたフィルタに対応する隆線方向や隆線ピッチを画像特徴として抽出することで、高い精度でノイズを除去できるとしている。
【0006】
しかしながら、この従来技術では、毛氈や汗腺口が顕著な場合には、正確に隆線を抽出できないことがある。例えば、図12左図や図21左図に示す毛氈や汗腺口が顕著な指紋の例では、広い領域で毛氈や汗腺口が出現しており、隆線ピッチが本来の値の半分の値の時に対応するフィルタでフィルタ強調した場合でも、最大の画像強度になるためである。この場合には、図12右図や図21右図に示すように、本来、1本の隆線として抽出すべきところを、2本の隆線を抽出してしまう。
【0007】
また、汗腺口を除去する従来技術は、多々、提案されているが、その多くは、汗腺口が隆線画素に囲まれていることを利用している。例えば、特開平05−205035号公報に指紋照合装置が開示されている。
この指紋照合装置は、指紋センサと、指紋画像記憶部と、濃淡画像補正部と、本体装置とで構成されている。
指紋センサは、指紋画像を読み取る。指紋画像記憶部は、該指紋センサから読み取った指紋画像データを一時記憶する。濃淡画像補正部は、該指紋画像記憶部に記憶されている指紋画像から指紋の濃淡画像の等高線を算出する。そして、これら等高線で構成される画像から島、橋又は汗腺等の擬似特徴点を抽出し、これら特徴点が島又は橋の場合にはこれら等高線で囲まれた閉曲線に該当する箇所の濃度を下げる。一方、これら特徴点が汗腺の場合にはこれら等高線で囲まれた閉曲線に該当する箇所の濃度を上げ、濃淡画像からこれら擬似特徴点を排除する。
【0008】
上記の特開平05−205035号公報の指紋照合装置では、濃淡画像の濃度を利用した等高線を抽出し、ループ状の等高線に囲まれている画素を汗腺口とみなして、濃淡画像を補正することで汗腺口を除去する方法が提案されている。このような方法では、汗腺口を取り囲む隆線画素にノイズがあり、閉曲線で囲まれなくなると汗腺口を抽出できなくなる。
【0009】
以上の理由から、毛氈や汗腺口が顕著な指紋画像に対しても安定して毛氈や汗腺口を認識すると共に、それらを除去することできる方式が望まれていた。
【0010】
【特許文献1】特開昭59−778号公報
【特許文献2】特開平8−287255号公報
【特許文献3】特開平05−205035号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、毛氈や汗腺口が顕著な指紋画像に対しても安定して毛氈や汗腺口を認識すると共に、それらを除去することできる指紋画像認識システム、指紋画像認識方法、及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
以下に、[発明を実施するための最良の形態]で使用される番号を括弧付きで用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの番号は、[特許請求の範囲]の記載と[発明を実施するための最良の形態]との対応関係を明らかにするために付加されたものである。但し、それらの番号を、[特許請求の範囲]に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0013】
本発明の指紋画像認識システムは、指紋画像から特徴点を抽出する指紋画像認識システムであって、前記指紋画像から隆線の方向を抽出する隆線方向抽出部(12)と、前記指紋画像から毛氈特性を抽出する毛氈特性抽出部(25,45)と、隆線直交方向の数本の隆線の毛氈特性を解析し、毛氈特性パターンが予め定められた条件式に合致すれば毛氈と判断する第1毛氈特性解析部(26)と、前記毛氈と判断された画素数の比率で前記毛氈領域を抽出する毛氈領域抽出部(27)と、前記毛氈領域内の画素濃度を補正する毛氈領域濃度補正部(28)とを有する。
【0014】
上記の指紋画像認識システムは、隆線直交方向の数本の隆線の毛氈特性を解析し、毛氈特性パターンが予め定められた条件式に合致すれば真の隆線と判断する第2毛氈特性解析部(46)と、前記真の隆線と判断された画素数の比率で前記隆線領域を抽出する隆線領域抽出部(47)と、前記隆線領域内の画素濃度を強調する隆線領域濃度強調部(48)とを更に有する。
【0015】
本発明の指紋画像認識システムは、指紋画像から特徴点を抽出する指紋画像認識システムであって、前記指紋画像から隆線の方向を抽出する隆線方向抽出部(12)と、前記指紋画像から汗腺口特性を抽出する汗腺口特性抽出部(35,51)と、隆線直交方向の数本の谷線の汗腺口特性を解析し、汗腺口特性パターンが予め定められた条件式に合致すれば汗腺口と判断する第1汗腺口特性解析部(36)と、前記汗腺口と判断された画素数の比率で前記汗腺口領域を抽出する汗腺口領域抽出部(37)と、前記汗腺口領域内の画素濃度を補正する汗腺口領域濃度補正部(38)とを更に有する。
【0016】
上記の指紋画像認識システムは、隆線直交方向の数本の谷線の汗腺口特性を解析し、汗腺口特性パターンが予め定められた条件式に合致すれば真の谷線と判断する第2汗腺口特性解析部(52)と、前記真の谷線と判断された画素数の比率で前記谷線領域を抽出する谷線領域抽出部(53)と、前記谷線領域内の画素濃度を強調する谷線領域濃度強調部(54)とを更に有する。
【0017】
上記の指紋画像認識システムは、前記毛氈特性として隆線幅を利用している。
【0018】
上記の指紋画像認識システムは、前記毛氈特性として隆線方向濃度を利用している。
【0019】
上記の指紋画像認識システムは、前記汗腺口特性として隆線方向濃度を利用している。
【0020】
上記の指紋画像認識システムは、前記汗腺口特性として濃度差分累積値を利用している。
【0021】
上記の指紋画像認識システムは、前記汗腺口特性として白画素半径を利用している。
【0022】
本発明の指紋画像認識方法は、指紋画像から特徴点を抽出するための指紋画像認識方法であって、(a)前記指紋画像から隆線の方向を抽出するステップと、(b)前記指紋画像から毛氈特性を抽出するステップと、(c)隆線直交方向の数本の隆線の毛氈特性を解析し、毛氈特性パターンが予め定められた条件式に合致すれば毛氈と判断するステップと、(d)前記毛氈と判断された画素数の比率で前記毛氈領域を抽出するステップと、(e)前記毛氈領域内の画素濃度を補正するステップとを有する。
【0023】
上記の指紋画像認識方法は、(f)隆線直交方向の数本の隆線の毛氈特性を解析し、毛氈特性パターンが予め定められた条件式に合致すれば真の隆線と判断するステップと、(g)前記真の隆線と判断された画素数の比率で前記隆線領域を抽出するステップと、(h)前記隆線領域内の画素濃度を強調するステップとを更に有する。
【0024】
本発明の指紋画像認識方法は、指紋画像から特徴点を抽出するための指紋画像認識方法であって、(i)前記指紋画像から隆線の方向を抽出するステップと、(j)前記指紋画像から汗腺口特性を抽出するステップと、(k)隆線直交方向の数本の谷線の汗腺口特性を解析し、汗腺口特性パターンが予め定められた条件式に合致すれば汗腺口と判断するステップと、(l)前記汗腺口と判断された画素数の比率で前記汗腺口領域を抽出するステップと、(m)前記汗腺口領域内の画素濃度を補正するステップとを更に有する。
【0025】
上記の指紋画像認識方法は、(n)隆線直交方向の数本の谷線の汗腺口特性を解析し、汗腺口特性パターンが予め定められた条件式に合致すれば真の谷線と判断するステップと、(o)前記真の谷線と判断された画素数の比率で前記谷線領域を抽出するステップと、(p)前記谷線領域内の画素濃度を強調するステップとを更に有する。
【0026】
本発明のプログラムは、上記の指紋画像認識方法を、コンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の指紋画像認識システム、指紋画像認識方法、及びプログラムを使用することにより、以下の効果のうち、少なくとも1つの効果を得ることが可能である。
第1の効果は、毛氈が顕著な指紋画像に対しては、毛氈特性を抽出し、隆線直交方向の数本の隆線の毛氈特性を解析し、真の隆線と毛氈の間で交互に変化する毛氈特性のパターンを予め定められた条件式で判断するという方法で、正確に毛氈を抽出し除去できることである。
第2の効果は、汗腺口が顕著な指紋画像に対しては、汗腺口特性を抽出し、隆線直交方向の数本の谷線の汗腺口特性を解析し、真の谷線と汗腺口線の間で交互に変化する汗腺口特性のパターンを予め定められた条件式で判断するという方法で、正確に汗腺口を抽出し除去できることである。
第3の効果は、顕著な毛氈がない指紋画像に対しては、毛氈特性を抽出し、隆線直交方向の数本の隆線の毛氈特性を解析し、全ての毛氈特性に有意差がないことを予め定められた条件式で判断するという方法で、正確に隆線を抽出し強調できることである。
第4の効果は、顕著な汗腺口がない指紋画像に対しては、汗腺口特性を抽出し、隆線直交方向の数本の谷線の汗腺口特性を解析し、全ての汗腺口特性に有意差がないことを予め定められた条件式で判断するという方法で、正確に谷線を抽出し強調できることである。
第5の効果は、毛氈特性として、隆線幅を抽出し利用することで、正確な毛氈の抽出が可能になることである。
第6の効果は、毛氈特性として、隆線方向濃度を抽出利用することで、正確な毛氈の抽出が可能になることである。
第7の効果は、汗腺口特性として、隆線方向濃度を採用することで、正確な汗腺口の抽出が可能になることである。
第8の効果は、汗腺口特性として、濃度差分累積値を採用することで、正確な汗腺口の抽出が可能になることである。
第9の効果は、汗腺口特性として、白画素半径を採用することで、正確な汗腺口の抽出が可能になることである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下に本発明の第1実施形態について添付図面を参照して説明する。
図1に示すように、本発明の全体構成例は、指紋画像入力部11と、隆線方向抽出部12と、毛氈抽出除去部13と、汗腺口抽出除去部14と、隆線抽出強調部15と、特徴点抽出部16と、特徴点出力部17とを含む構成となっている。
【0029】
指紋画像入力部11は、指紋センサやスキャナで読み取られた指紋画像をディジタル化して入力する。隆線方向抽出部12は、前記指紋画像入力部11で入力された指紋画像から、隆線の方向を抽出する。毛氈抽出除去部13は、前記隆線方向抽出部12で抽出された方向データを用いて、前記指紋画像入力部11で入力された指紋画像から毛氈を抽出し除去する。汗腺口抽出除去部14は、前記隆線方向抽出部12で抽出された方向データを用いて、前記指紋画像入力部11で入力された指紋画像から汗腺口を抽出し除去する。隆線抽出強調部15は、前記隆線方向抽出部12で抽出された方向データを用いて、前記指紋画像入力部11で入力された指紋画像から隆線や谷線(隆線溝)を抽出し、隆線や谷線の濃度を強調する。特徴点抽出部16は、前記毛氈抽出除去部13で毛氈が除去され、そして、前記汗腺口抽出除去部14で汗腺口が除去され、そして、隆線抽出強調部15で隆線や谷線濃度が強調された指紋画像から特徴点を抽出する。特徴点出力部17は、前記特徴点抽出部16で抽出された特徴点データを出力する。
【0030】
本発明の第1の特徴は、前記毛氈抽出除去部13が図2の実施例で示すように構成されていることである。
図2において、毛氈抽出除去部13は、データ処理制御部21と、データ記憶部22と、隆線二値画像抽出部23と、隆線候補画素抽出部24と、毛氈特性抽出部25と、毛氈特性解析部26と、毛氈領域抽出部27と、毛氈領域濃度補正部28とを備えると共に、特徴点抽出部16とのインタフェースを持つ。
【0031】
データ処理制御部21は、毛氈抽出除去部13全体の動作制御を行う。データ記憶部22は、毛氈抽出除去部13内の各部で得られた各種データを記憶する。隆線二値画像抽出部23は、隆線部を1、谷線部(隆線溝部)を0の2つの値で表す二値画像を抽出する。隆線候補画素抽出部24は、隆線二値画像を芯線化することで、隆線の候補となる画素群を抽出する。毛氈特性抽出部25は、隆線候補画素群の各画素に対して、毛氈特性を抽出する。毛氈特性解析部26は、隆線候補画素群に対して抽出された毛氈特性を解析する。毛氈領域抽出部27は、真隆線マークあるいは毛氈マークが付与された隆線候補画素群を解析して毛氈領域を抽出する。毛氈領域濃度補正部28は、毛氈領域と定義された画素群に対して、濃度値を補正することで、毛氈を除去した画像を抽出する。
【0032】
本発明の第2の特徴は、前記汗腺口抽出除去部14が図3の実施例で示すように構成されていることである。
図3において、汗腺口抽出除去部14は、データ処理制御部31と、データ記憶部32と、谷線二値画像抽出部33と、谷線候補画素抽出部34と、汗腺口特性抽出部35と、汗腺口特性解析部36と、汗腺口領域抽出部37と、汗腺口領域濃度補正部38とを備えると共に、特徴点抽出部16とのインタフェースを持つ。
【0033】
データ処理制御部31は、汗腺口抽出除去部14全体の動作制御を行う。データ記憶部32は、汗腺口抽出除去部14内の各部で得られた各種データを記憶する。谷線二値画像抽出部33は、谷線部を1、隆線部を0の2つの値で表す二値画像を抽出する。谷線候補画素抽出部34は、谷線二値画像を芯線化することで、谷線の候補となる画素群を抽出する。汗腺口特性抽出部35は、谷線候補画素群の各画素に対して、汗腺口特性を抽出する。汗腺口特性解析部36は、谷線候補画素群に対して抽出された汗腺口特性を解析する。汗腺口領域抽出部37は、真の谷線マークあるいは汗腺口マークが付与された谷線候補画素群を解析して汗腺口領域を抽出する。汗腺口領域濃度補正部38は、汗腺口領域と定義された画素群に対して、濃度値を補正することで、汗腺口を除去した画像を抽出する。
【0034】
本発明の第3の特徴は、前記隆線抽出強調部15が図4の実施例で示すように構成されていることである。
図4において、隆線抽出強調部15は、データ処理制御部41と、データ記憶部42と、隆線二値画像抽出部43と、隆線候補画素抽出部44と、毛氈特性抽出部45と、毛氈特性解析部46と、隆線領域抽出部47と、隆線領域濃度強調部48と、谷線二値画像抽出部49と、谷線候補画素抽出部50と、汗腺口特性抽出部51と、汗腺口特性解析部52と、谷線領域抽出部53と、谷線領域濃度強調部54とを備えると共に、特徴点抽出部16とのインタフェースを持つ。
【0035】
データ処理制御部41は、隆線抽出強調部15全体の動作制御を行う。データ記憶部42は、隆線抽出強調部15内の各部で得られた各種データを記憶する。隆線二値画像抽出部43は、隆線部を1、谷線部を0の2つの値で表す二値画像を抽出する。隆線候補画素抽出部44は、隆線二値画像を芯線化することで、隆線の候補となる画素群を抽出する。毛氈特性抽出部45は、隆線候補画素群の各画素に対して毛氈特性を抽出する。毛氈特性解析部46は、隆線候補画素群に対して抽出された毛氈特性を解析する。隆線領域抽出部47は、真隆線マークが付与された隆線候補画素群を解析して隆線領域を抽出する。隆線領域濃度強調部48は、隆線領域と定義された画素群に対して、濃度値を補正することで、隆線と谷線が強調された画像を抽出する。谷線二値画像抽出部49は、谷線部を1、隆線部を0の2つの値で表す二値画像を抽出する。谷線候補画素抽出部50は、谷線二値画像を芯線化することで、谷線の候補となる画素群を抽出する。汗腺口特性抽出部51は、谷線候補画素群の各画素に対して、汗腺口特性を抽出する。汗腺口特性解析部52は、谷線候補画素群に対して抽出された汗腺口特性を解析する。谷線領域抽出部53は、真の谷線マークが付与された谷線候補画素群を解析して谷線領域を抽出する。谷線領域濃度強調部54は、谷線領域と定義された画素群に対して、濃度値を補正することで、隆線と谷線が強調された画像を抽出する。
【0036】
次に、本実施例の全体の動作について、図1の構成図や図5の全体フローチャートや図7から図10の関連図を参照して詳細に説明する。
【0037】
(1)ステップS1
図5のステップS1において、図1の指紋画像入力部11は、指紋画像を入力する。これは、スキャナで読み取られた画像をディジタル化して入力する他、既にディジタル化された指紋画像ファイルを入力する実施例も考えられる。
【0038】
図7は指紋画像の例であり、センサやスキャナで読み取られた指紋画像がディジタル化されたものである。ここで示す指紋画像は、米国National Institute of Standards and Technologyで標準化されたANSI/NIST−CSL−1−1993 Data Format for the Interchange of Fingerprint, Facial & SMT Informationに従って、500dpiの解像度で、256階調(0から255迄)の濃度値を持つようにディジタル化されたものである。
【0039】
上記標準では、濃度値表現は、輝度が大きい(明るい)ほど、数値が大きくなる輝度基準で定義されている。しかし、本発明では、濃度値表現に関しては、濃度が大きいほど数値が大きくなる濃度基準で説明する。従って、濃度が大きい隆線部は255の最大値に近く、濃度が薄い紙地や隆線溝は0に近い濃度値になる。ここで、隆線溝は谷線と同じものであり、隆線と隆線の間の白地の部分を指す。
【0040】
(2)ステップS2
次に、図5のステップS2において、図1の隆線方向抽出部12は、予め定められた小領域毎に隆線の方向を抽出する。指紋の隆線方向は、例えば、特開昭52−97298号公報に示される従来技術や、特開平2002−288641号公報に開示されている従来技術で自動抽出できる。
【0041】
図7の指紋画像に対して特開平2002−288641号公報に開示されている従来技術で方向抽出した結果を図9に示す。図9では、指紋画像の上に短い線が重畳表示されているが、この短線は、8x8画素の小領域の隆線の方向を表している。隆線方向としては、図10に示すような16種類の方向パターンが採用されている。
以降の毛氈抽出除去処理や汗腺口抽出除去処理や隆線抽出強調処理は、隆線方向抽出に成功した領域のみで実施される。
【0042】
(3)ステップS3
次に、図5のステップS3において、図1の毛氈抽出除去部13は毛氈を抽出して除去する。この処理は、本発明の中核の1つであり、その詳細説明は後述する。
(4)ステップS4
次に、図5のステップS4において、図1の汗腺口抽出除去部14は汗腺口を抽出して除去する。この処理は、本発明の中核の1つであり、その詳細説明は後述する。
(5)ステップS5
次に、図5のステップS5において、図1の隆線抽出強調部15は隆線や谷線を抽出して隆線や谷線の濃度を強調する。この処理は、本発明の中核の1つであり、その詳細説明は後述する。
ステップS3からS5の3つの処理は、この順序で実施する必要はなく、任意の順序で実施可能である。また、任意の1つの処理あるいは2つの処理のみを任意の組み合わせで実施しても良い
(6)ステップS6
次に、図5のステップS6において、図1の特徴点抽出部15は、濃淡画像データから端点や分岐点という指紋の特徴点を抽出する。この特徴点抽出処理は、例えば特開昭55−138174号公報の「パターン特徴抽出装置」や、その米国特許USP4,310,827 Device for extracting a density as one of pattern features for each feature point of a streaked patternに記載されているような既知の技術を使って実現できる。
(7)ステップS7
次に、図5のステップS7において、図1の特徴点出力部16は、前記特徴点抽出部15で抽出された特徴点データ後続の処理手段に対して出力する。後続の処理では、通常、入力画像がファイル側(登録目的)の場合にはデータベースに登録され、入力画像がサーチ側(照会目的)の場合は特徴点照合に利用される。
【0043】
次に、図1の毛氈抽出除去部13の動作について、図2の構成図や図6のフローチャートや図7から図17の関連図を参照して詳細に説明する。
図7は毛氈が顕著な指紋画像の例であり、この画像を用いて毛氈抽出除去処理を説明する。毛氈が顕著に出現すると、毛氈を隆線と誤って抽出してしまう。その結果として、誤特徴点が多数出現する。このような誤特徴点の例を図8に示す。
【0044】
毛氈抽出除去処理の開始時点において、既に入力された指紋画像や、既に抽出された隆線の方向データは、図2のデータ記憶部22に記憶される。
【0045】
(1)ステップS31
図6のステップS31において、図2に示す隆線二値画像抽出部23は、隆線部を1、隆線溝を0の2つの値で表す二値画像を抽出する。二値画像では、隆線部の1を黒画素、隆線溝の0を白画素とも呼ぶ。
指紋隆線の抽出では、ノイズの影響を軽減させるために、隆線方向にはスムーズ処理を実施し、隆線直交方向にはエッジ強調処理を実施することが一般的である。このような処理は、特開昭51−77138号公報の「縞パターン抽出装置」に示される従来技術で実施できる。本実施例でも、図11に示す隆線強調マスクを用いて、隆線強調してノイズを軽減させた。このマスク処理では、注目画素の隆線方向に対応するマスクを選択し、注目画素をマスク中心に合わせ、近傍画素濃度に対してマスクに示した係数で積算し、その全て和を、強調された注目画素濃度とする。
【0046】
次に、二値化のための隆線濃度閾値を算出する。指紋濃淡画像を二値化するための閾値算出方式は多く提案されているが、ここでは簡単に計算できる一例を示す。
ある注目画素を中心として半径10画素以内の画素の濃度分布を調べる。この10画素という半径の長さは、検査範囲の中に指紋隆線と谷線(隆線溝)が必ず含まれるように平均隆線幅と同程度の距離として定めたものである。ここでは、2つの隣り合う隆線の間にある溝で形成された線を谷線と呼ぶ。
近傍の濃度分布における最大値と最小値の中間値を閾値として算出する単純な方法もあるが、隆線や谷線の以外のノイズ画素があると悪影響を受けるので、ノイズ画素の可能性がある最も濃い濃度値を持つ画素や最も薄い濃度値を持つ画素は計算から除外する方が良い。
【0047】
指紋が押捺されている領域において、指紋隆線が濃く押捺された場合と薄く押捺された場合において、指紋隆線部が占める面積は異なるが、概ね20%から80%の間に含まれることが多いことが経験的に分かっている。
そこで、半径10画素の領域でヒストグラムを算出し、最も薄い濃度から20%のヒストグラム累積値を取る濃度値をminD、最も濃い濃度から20%のヒストグラム累積値を取る濃度値をmaxDとする時、閾値Thを以下のように定める。
Th = (minD + maxD)/2
【0048】
次に、この注目画素の濃度が、閾値Thより大きければ黒画素、小さければ白画素として決定する。この処理を隆線方向が決定された領域の全画素で実施することで二値画像ができる。図12左図の指紋画像に対して、このようにして抽出された隆線二値画像を図12右図に示す。図12右図を見ればわかるように、この隆線二値画像における黒画素は、真の隆線の候補だけではなく毛氈の候補も含んでいる。
抽出された隆線二値画像は、データ制御部21を介してデータ記憶部22に記憶される。
【0049】
(2)ステップS32
次に、図6のステップS32において、図2に示す隆線候補画素抽出部24は、前記隆線二値画像を芯線化することで、隆線の候補となる画素群を抽出する。芯線画像を隆線候補画素群とする理由は、隆線と毛氈を区別する処理において、幅のある隆線よりも幅のない芯線の方が扱いやすいためである。
【0050】
二値画像の芯線化処理は多く提案されているが、本実施例では、隆線方向を利用した簡便な方策を採用した。つまり、各黒画素において、隆線方向直交にトレースし、当該画素が黒画素の中心画素であるか否かを判断する。中心画素の可能性があれば、そのまま残し、中心画素でなければ、白画素に変更する。このようにして抽出された芯線画像は、線幅1での連結性を保証するような厳密な意味での芯線ではないが、隆線候補画素としては十分である。このようにして抽出された隆線候補画素群を指紋画像に重畳表示した画像を図13右図に示す。抽出された隆線候補画素群は、データ制御部21を介してデータ記憶部22に記憶される。
【0051】
(3)ステップS33
次に、図6のステップS33において、図2に示す毛氈特性抽出部25は、隆線候補画素群の各画素に対して、毛氈特性を抽出する。毛氈特性とは、毛氈と隆線を区別するための特性のことであり、種々の毛氈特性が考えられる。本実施例では、最初の毛氈特性として隆線幅を採用する。隆線幅は、真の隆線部では相対的に広く、毛氈部では相対的に狭いことがわかっている。隆線幅の抽出は、前記ステップS31で抽出された隆線二値画像を用いるものとする。隆線幅は、注目画素において、隆線候補画素から隆線方向に直交する両方向(2つの向き)に黒画素をトレースすることで容易に抽出できる。なお、ここでは、隆線方向に直交する方向を隆線直交方向とも呼び、また隆線に直交する両方向を、隆線に直交する左右の方向とも呼ぶ。
抽出された毛氈特性は、データ制御部21を介してデータ記憶部22に記憶される。
【0052】
(4)ステップS34
次に、図6のステップS34において、図2に示す毛氈特性解析部26は、隆線候補画素群に対して抽出された毛氈特性を解析する。本実施例における毛氈特性の解析は、注目画素から隆線直交方向右側にトレースし、近傍の隆線候補画素の毛氈特性を比較することで実施する。このステップは、本発明の中核なので、図13から図15を用いて詳細に説明する。
【0053】
図13左図は、顕著な毛氈を含む隆線画像の拡大図である。また、図13右図は、図13左図の隆線候補画素群を重畳表示したものである。
図13左図で長方形の枠内に示した注目領域を用いて説明する。説明を容易にするため、この注目領域を回転し、隆線方向が垂直に、隆線直交方向が水平になるようにした画像を図14に示す。図14右図は、隆線候補画素群を濃淡画像に重畳表示したものである。
【0054】
図14左図を見ると、隆線が3本と毛氈が2本あることがわかる。一般に、毛氈が出現する時、それが単独で出現することは稀で、連続した領域で毛氈が出現することが多い。従って、毛氈が出現する時、隆線直交方向には、真の隆線と毛氈が交互に出現することになる。この場合、毛氈特性も交互に変化することになり、そのパターンを抽出することができれば毛氈を認識できることになる。
【0055】
図14左図のようにほぼ等間隔に並んだ5本分の隆線がある時、この5本は全て真の隆線である場合の他、3本が真の隆線で2本が毛氈の可能性もあるし、2本が真の隆線で3本が毛氈の可能性もある。本発明では、5本分の隆線の毛氈特性を比較することで、真の隆線か毛氈であるかを判断できることを提案する。具体的には5本の隆線が並んでいる時、1番目と3番目と5番目の3本の毛氈特性と、2番目と4番目の2本の毛氈特性に有意な差がある時は、毛氈が含まれていると考えられる。ここで、1番目と3番目と5番目の3本の毛氈特性を奇数毛氈特性、2番目と4番目の2本の毛氈特性を偶数毛氈特性と呼ぶ。
【0056】
図15は、図14の領域の一部の二値画像である。図15において、P1を注目する隆線候補画素とすると、その右側にP2からP5の隆線候補画素が定義される。この時、P1とP3とP5の3個の毛氈特性が奇数毛氈特性、P2とP4の2個の毛氈特性を偶数毛氈特性となる。
【0057】
毛氈特性として隆線幅を採用する場合は、真の隆線であるか毛氈であるかの判断は、以下の条件で決定できる。ここでは、毛氈特性の最大値をmaxFA、奇数毛氈特性の最大値と最小値をmaxFOとminFO、偶数毛氈特性の最大値と最小値をmaxFEとminFEとする。また、5本に隆線の間には、4つのピッチ(隆線間隔)が計測可能だが、その4つのピッチの最大値と最小値をmaxPとminPとする。
【0058】
条件1A: 奇数隆線が真の隆線で、偶数隆線が毛氈の場合、
1)minFO > maxFE
2)(minFO − maxFE)/maxFA > thD1
3)minP/maxP > thP
ここで、thD1、thPは、予め設定される閾値パラメータであるが、実際のデータ分布から判断すると、thD1 = 0.3、 thP = 0.65 程度が適切である。
【0059】
この条件で毛氈判断が可能なことを、図15を例にとり説明する。図15において、毛氈特性として隆線幅を採用する場合は、P1からP5の毛氈特性は5、2、5、2、6(単位は画素)であり、その結果、maxFA = 6、minFO = 5、maxFE = 2 となる。
また、5本に隆線の間の4つのピッチは4、5、4、6(単位は画素)であり、その結果、minP = 4, maxP = 6 となる。従って、
1)5 > 2
2)(5 − 2)/6 > 0.3
3)4/6 > 0.65
と、すべての条件を満足する。この結果、奇数隆線が真の隆線で、偶数隆線が毛氈と判断される。
【0060】
つまり、奇数隆線の隆線幅が偶数隆線の隆線幅より有意に大きく、かつ、ピッチはほぼ等しい時には、偶数隆線を毛氈と判断できる。この結果、P1とP3とP5には真の隆線のマークを、そして、P2とP4には毛氈のマークを付ける。
【0061】
注目画素が毛氈の場合を考慮する時には、次の条件1Bで毛氈を判断できる。
条件1B: 奇数隆線が毛氈で、偶数隆線が真の隆線の場合
1)maxFO < minFE
2)(minFE − maxFO)/maxFA > thD1
3)minP/maxP > thP
この内容は、条件1Aの場合の逆のパターンなので説明は割愛する。
【0062】
この解析は、全隆線候補画素に対して実行される。この解析結果として、全隆線候補画素には真隆線マークあるいは毛氈マークあるいは不明マークが付けられる。
この解析結果は、データ制御部21を介してデータ記憶部22に記憶される。
【0063】
(5)ステップS35
次に、図6のステップS35において、図2のデータ制御部21は、予め定められた全ての毛氈特性に関して、その抽出と解析が終了したかを判断する。もし、他の毛氈特性が定義されている時には、図6のステップS33に戻る。全ての毛氈特性に関して処理が終了している場合には、図6のステップS36に進む。
【0064】
別の毛氈特性として隆線方向濃度が定義されている場合を例にとって説明する。この場合は、図6のステップS33に戻って隆線方向濃度を抽出する。隆線方向濃度とは、注目画素から隆線方向にプラス5画素マイナス5画素程度をトレースし、その濃度を平均したものである。一般に、毛氈部の隆線方向濃度は、真の隆線部の隆線方向濃度より小さくなることが多い。
【0065】
次に、図6のステップS33において、図2に示す毛氈特性解析部26は、隆線候補画素群に対して抽出された毛氈特性を解析する。
【0066】
毛氈特性として隆線方向濃度を採用された場合の処理も、上述の隆線幅を採用する時と、ほぼ同じである。条件式もほぼ同じであるが閾値は、そのデータ特性に合わせて適切な数値に変更する方が良い。
【0067】
条件2A: 奇数隆線が真の隆線で、偶数隆線が毛氈の場合
1)minFO > maxFE
2)(minFO − maxFE)/maxFA > thD2
3)minP/maxP > thP
【0068】
条件2B: 奇数隆線が毛氈で、偶数隆線が真の隆線の場合
1)maxFO < minFE
2)(minFE − maxFO)/maxFA > thD2
3)minP/maxP > thP
【0069】
ここで、thD2、thPは、予め設定される閾値パラメータであるが、実際のデータ分布から判断すると、thD2 = 0.4、 thP = 0.65程度が適切である。
【0070】
(6)ステップS36
全ての毛氈特性に対する処理が終了すれば、図6のステップS36において、図2に示す毛氈領域抽出部27は、真隆線マークあるいは毛氈マークが付与された隆線候補画素群を解析して毛氈領域を抽出する。
毛氈領域抽出部27は、注目する隆線候補画素から、隆線方向に隆線候補画素群を、プラス8画素マイナス8画素程度トレースし、各画素に付与されたマークをカウントし、真隆線マーク合計の比率と毛氈マーク合計の比率を算出する。
もし、付与されたマークが真隆線マークのみで、その比率がある閾値以上である場合、その注目画素は真隆線画素と決定する。この場合の閾値は50%程度が適切である。
もし、付与されたマークが毛氈マークのみで、その比率がある閾値以上である場合、その注目画素は毛氈画素と決定する。この場合の閾値は30%程度が適切である。
この処理を、全隆線候補画素に対して実施する。
【0071】
次に、毛氈画素として決定された画素に対して、まず、隆線直交方向右側に最大10画素トレースする。もし、右隣の隆線候補画素にぶつかり、それが真隆線画素と決定されていれば、当該画素は毛氈、右隣の画素は隆線、そして、その中間には他の毛氈や隆線はないものと判断できる。この時、当該画素から隣の画素までを2等分し、毛氈画素から距離1/2に位置するまでの画素を真の谷線画素(白画素)として決定する。また、距離1/2から隣の隆線画素までは、真の隆線画素(黒画素)として決定する。次に、隆線直交方向左側に対しても、同じ処理を実施する。
【0072】
この処理を全毛氈画素に対して実行する。その結果、谷線画素あるいは真隆線画素として決定された画素群が毛氈領域となる。
このようにして決定された毛氈領域の例を図16に示す。図16は、図7の指紋領域に対して毛氈領域を抽出した結果である。図16において、黒の領域は真隆線と決定された画素群であり、灰色の領域は、毛氈と決定された画素群を示している。
【0073】
このようにして抽出された毛氈領域は、データ制御部21を介してデータ記憶部22に記憶される。
【0074】
次に、図6のステップS36において、図2に示す毛氈領域濃度補正部28は、毛氈領域と定義された画素群に対して、濃度値を補正することで、毛氈を除去した画像を抽出する。
まず、注目画素に対して、その近傍領域の想定隆線濃度と想定谷線濃度を決定する。ここでの近傍領域としては、隆線と谷線両方を含むことができる広さとして16x16画素程度と定義すれば良い。想定隆線濃度は、最大濃度値としても良いし、ノイズ濃度を考慮して、濃度最大値からのヒストグラム累積値で10%程度小さい濃度値としても良い。想定谷線濃度は、最小濃度値としても良いし、ノイズ濃度を考慮して、最小値からのヒストグラム累積値で10%程度大きい濃度値としても良い。
【0075】
(7)ステップS37
次に、注目画素のマークを検査して、それが谷線画素(白画素)の時は、想定谷線濃度値で置き換える。これにより、明白な谷線画素に補正できる。注目画素が真隆線画素(黒画素)の時は、想定隆線濃度値で置き換える。これにより、明白な隆線画素に補正できる。この処理を毛氈領域内の全画素に対して実施する。このようにして補正された隆線画像を図17に示す。図17を見ると、図16に示す毛氈領域内の濃度値が補正され、毛氈と判断された画素群が除去されたことがわかる。
【0076】
このようにして補正され、毛氈が除去された画像は、データ制御部21を介してデータ記憶部22に記憶され、次に、特徴点抽出部16に送信される。これで毛氈抽出除去部13の実施例の詳細説明を終える。
【0077】
次に、図1の汗腺口抽出除去部14の動作について、図3の構成図や図18のフローチャートや図19から図27の関連図を参照して詳細に説明する。
図19は汗腺口が顕著な指紋画像の例であり、この画像を用いて汗腺口抽出除去処理を説明する。汗腺口が連続して存在したり肥大化したりすると、汗腺口を含む線が谷線と誤認識され、その結果、1本の真の隆線から2本の隆線が誤って抽出される。その結果、誤特徴点が多数出現する。このような誤特徴点の例を図20に示す。
【0078】
図21左図は、顕著な汗腺口を含む隆線画像の拡大図であり、図21右図は、図21左図の隆線画像に対して抽出された芯線画像を重畳したものである。
また、図22左図は、図21左図で汗腺口が顕著な領域を切り出した後、隆線方向が垂直に、隆線直交方向が水平になるよう回転したものである。
【0079】
汗腺口抽出除去処理の開始時点において、既に入力された指紋画像や、既に抽出された隆線方向データは、図3のデータ記憶部32に記憶される。
【0080】
(1)ステップS41
図18のステップS41において、図3に示す谷線二値画像抽出部33は、谷線部を1、隆線部を0の2つの値で表す二値画像を抽出する。谷線二値画像では、谷線部の1を黒画素、隆線部の0を白画素とも呼ぶ。
谷線二値画像の抽出は、通常画像を濃度反転させた後に、隆線二値画像抽出すれば良い。通常画像の濃度反転は、各画素の濃度値に対する255の補数を、反転画像の濃度値とすれば良い。図22左図の画像に対して濃度反転した画像を図23に示す。
濃度反転した画像に対する隆線二値画像抽出処理の実施例は、毛氈抽出除去部13における隆線二値画像抽出部23と同一なので、その説明は割愛する。
このようにして抽出された谷線二値画像は、データ制御部31を介してデータ記憶部32に記憶される。
【0081】
(2)ステップS42
次に、図18のステップS42において、図3に示す谷線候補画素抽出部34は、前記谷線二値画像を芯線化することで、谷線の候補となる画素群を抽出する。芯線画像を谷線補画素群とする理由は、谷線と汗腺口を含む線を区別する処理において、幅のある谷線よりも幅のない芯線の方が扱いやすいためである。ここでは、汗腺口を含む線を汗腺口線と呼ぶ。
【0082】
二値画像からの芯線化処理の実施例は、毛氈抽出除去部13における隆線候補画素抽出部24と同一なので、その説明は割愛する。図22左図の指紋画像に対して、このようにして抽出された谷線候補画素群(芯線画像)を重畳表示した画像を図22右図に示す。
【0083】
(3)ステップS43
次に、図18のステップS43において、図3に示す汗腺口特性抽出部35は、谷線候補画素群の各画素に対して、汗腺口特性を抽出する。汗腺口特性とは、汗腺口と谷線を区別するための特性のことであり、種々の汗腺口特性が考えられる。本実施例では、最初の汗腺口特性として隆線方向濃度を採用する。隆線方向濃度とは、注目画素から隆線方向にプラス5画素マイナス5画素程度をトレースし、その濃度を平均したものである。一般に、汗腺口部の隆線方向濃度は、真の谷線部の隆線方向濃度より大きくなる。
【0084】
(4)ステップS44
次に、図18のステップS44において、図3に示す汗腺口特性解析部36は、谷線候補画素群に対して抽出された汗腺口特性を解析する。本実施例における汗腺口特性の解析は、注目画素から隆線直交方向右側にトレースし、近傍の谷線候補画素の汗腺口特性を比較することで実施する。このステップは、本発明の中核なので、図24から図25を用いて詳細に説明する。
【0085】
図24左図は、図22左図に示す注目領域を拡大したもので汗腺口を含む隆線画像の拡大図である。図24右図は、図24左図の谷線候補画素群を重畳表示したものである。
図24左図を見ると、谷線が3本と汗腺口線が2本あることがわかる。一般に、汗腺口が出現する時、それが単独で出現することは稀で、連続した領域で汗腺口が出現することが多い。従って、汗腺口が出現する時、隆線直交方向には、真の谷線と汗腺口線が交互に出現することになる。この場合、汗腺口特性も交互に変化することになり、そのパターンを抽出することができれば汗腺口を認識できることになる。
【0086】
図24右図のようにほぼ等間隔に並んだ5本の谷線がある時、この5本は全て真の谷線である場合の他、3本が真の谷線で2本が汗腺口線の可能性もあるし、2本が真の谷線で3本が汗腺口線の可能性もある。本発明では、5本の谷線の汗腺口特性を比較することで、真の谷線か汗腺口線であるかを判断できることを提案する。具体的には5本の谷線が並んでいる時、1番目と3番目と5番目の3本の汗腺口特性と、2番目と4番目の2本の汗腺口特性に有意な差がある時は、汗腺口線が含まれていると考えられる。ここで、1番目と3番目と5番目の3本の汗腺口特性を奇数汗腺口特性、2番目と4番目の2本の汗腺口特性を偶数汗腺口特性と呼ぶ。
【0087】
図25上図は、図24右図の一部の領域の谷線を拡大したものである。図25上図において、P1を谷線候補画素群中の注目画素とすると、その右側にP2からP5の谷線候補画素が定義される。この時、P1とP3とP5の3個の汗腺口特性が奇数汗腺口特性、P2とP4の2個の汗腺口特性が偶数汗腺口特性となる。
【0088】
汗腺口特性として隆線方向濃度を採用する場合は、真の谷線であるか汗腺口線であるかは、以下の条件で判断できる。ここでは、汗腺口特性の最大値をmaxFA、奇数汗腺口特性の最大値と最小値をmaxFOとminFO、偶数汗腺口特性の最大値と最小値をmaxFEとminFEとする。5本に谷線の間には、4つのピッチ(谷線間隔)が計測可能だが、その4つのピッチの最大値と最小値をmaxPと minPとする。
【0089】
条件3A: 奇数谷線が真の谷線で、偶数谷線が汗腺口線の場合
1)maxFO < minFE
2)(minFE − maxFO)/maxFA > thD3
3)minP/maxP > thP
ここで、thD3、thPは、予め設定される閾値パラメータであるが、実際のデータ分布から判断すると、thD3 = 0.2、 thP = 0.65 程度が適切である。
【0090】
この条件で汗腺口線判断が可能なことを、図25を例にとり説明する。図25上図で、各谷線の濃度は、隆線方向濃度を表している。また、図25下図は、その濃度をヒストグラム表示したものである。図25下図を見ればわかるように、偶数汗腺口特性の最小値は、奇数汗腺口特性の最大値よりも30%以上大きいこと、及び、ピッチもほぼ等しいことより、上記条件3Aを全て満足することがわかる。この結果、奇数谷線が真の谷線で、偶数谷線が汗腺口線と判断される。
この結果、P1とP3とP5には真の谷線のマークを、そして、P2とP4には汗腺口線のマークを付ける。
【0091】
注目画素が汗腺口線の場合を考慮する時には、次の条件3Bで汗腺口線を判断できる。
条件3B: 奇数谷線が汗腺口で、偶数谷線が真の谷線の場合
1)minFO > maxFE
2)(minFO − maxFE)/maxFA > thD3
3)minP/maxP > thP
この内容は、条件3Aの場合の逆のパターンなので説明は割愛する。
【0092】
この解析は、全谷線候補画素に対して実行される。この解析結果として、全谷線候補画素には真の谷線マークあるいは汗腺口線マークあるいは不明マークが付与される。
この解析結果は、データ制御部31を介してデータ記憶部32に記憶される。
【0093】
(5)ステップS45
次に、図18のステップS45において、図3のデータ制御部31は、予め定められた全ての汗腺口特性に関して、その抽出と解析が終了したかを判断する。もし、他の汗腺口特性が定義されている時には、図18のステップS45に戻る。全ての汗腺口特性に関して処理が終了している場合には、図18のステップS46に進む。
【0094】
2番目の汗腺口特性として濃度差分累積値が定義されている場合を例にとって説明する。この場合は、図18のステップS43に戻って濃度差分累積値を抽出する。濃度差分累積値とは、注目画素から隆線方向に谷線候補画素群をプラス8画素マイナス8画素程度トレースし、隣の画素との濃度差分値を累積したものである。一般に、汗腺口部では、濃度値が小さい汗腺口と濃度値が大きい隆線が交互に出現するので、濃度差分累積値は大きくなる。一方、真の谷線では、一様な濃度値を持つので、濃度差分累積値は小さくなることが多い。
【0095】
次に、図18のステップS44において、図3に示す汗腺口特性解析部36は、谷線候補画素群に対して抽出された濃度差分累積値の汗腺口特性を解析する。
汗腺口特性として濃度差分累積値を採用された場合の処理も、上述の隆線方向濃度が採用された時と、ほぼ同じである。条件式もほぼ同じであるが閾値は、そのデータ特性に合わせて適切な数値に変更する方が良い。
【0096】
条件4A: 奇数谷線が真の谷線で、偶数谷線が汗腺口の場合
1)maxFO < minFE
2)(minFE − maxFO)/maxFA > thD4
3)minP/maxP > thP
【0097】
条件4B: 奇数隆線が汗腺口で、偶数隆線が真の谷線の場合
1)minFO > maxFE
2)(minFO − maxFE)/maxFA > thD4
3)minP/maxP > thP
【0098】
ここで、thD4、thPは、予め設定される閾値パラメータであるが、実際のデータ分布から判断すると、thD4 = 0.25、 thP = 0.65 程度が適切である。
【0099】
(6)ステップS46
全ての汗腺口特性に対する処理が終了すれば、図18のステップS46において、図3に示す汗腺口領域抽出部37は、真の谷線マークあるいは汗腺口マークが付与された谷線候補画素群を解析して汗腺口領域を抽出する。
注目する谷線候補画素から、隆線方向に谷線候補画素群をプラス8画素マイナス8画素程度トレースし、各画素に付与されたマークをカウントし、真の谷線マーク合計の比率と汗腺口マーク合計の比率を算出する。
もし、付与されたマークが真の谷線マークのみで、その比率がある閾値以上である場合、その注目画素は真の谷線画素と決定する。この場合の閾値は50%程度が適切である。
もし、付与されたマークが汗腺口マークのみで、その比率がある閾値以上である場合、その注目画素は汗腺口画素と決定する。この場合の閾値は20%程度が適切である。
この処理を、全谷線候補画素に対して実施する。
【0100】
次に、汗腺口画素として決定された画素に対して、まず、隆線直交方向右側に最大10画素トレースする。もし、右隣の谷線候補画素にぶつかり、それが真の谷線画素と決定されていれば、当該画素は汗腺口、右隣の画素は谷線、そして、その中間には他の汗腺口や谷線はないものと判断できる。この時、当該画素から隣の画素までを2等分し、汗腺口画素から距離1/2に位置するまでの画素を真の隆線画素(黒画素)として決定する。また、距離1/2から隣の谷線画素までは、真の谷線画素(白画素)として決定する。次に、隆線直交方向左側に対しても、同じ処理を実施する。
この処理を全毛氈画素に対して実行する。その結果、真隆線画素及び真の谷線画素として決定された画素群が汗腺口領域となる。
【0101】
このようにして決定された汗腺口領域の例を図26に示す。図26は、図19の指紋領域に対して汗腺口領域を抽出した結果である。図26において、黒の領域は汗腺口を含めて真隆線と決定された画素群であり、灰色の領域は、真の谷線と決定された画素群を示している。このようにして抽出された汗腺口領域は、データ制御部31を介してデータ記憶部32に記憶される。
【0102】
(7)ステップS47
次に、図18のステップS47において、図3に示す汗腺口領域濃度補正部38は、汗腺口領域と定義された画素群に対して、濃度値を補正することで、汗腺口を除去した画像を抽出する。
まず、注目画素に対して、その近傍領域の想定隆線濃度と想定谷線濃度を決定する。この処理は、毛氈抽出除去部13における毛氈領域濃度補正部28での説明と同じなので割愛する。
【0103】
次に、注目画素のマークを検査して、それが黒画素の時は、想定隆線濃度値で置き換える。これにより、明白な隆線画素に補正できる。注目画素が白画素の時は、想定谷線濃度値で置き換える。これにより、明白は谷線画素に補正できる。この処理を汗腺口領域の全画素に対して実施する。このようにして補正された汗腺口領域を図27に示す。図27を見ると、図26の汗腺口領域の濃度値が補正され、汗腺口と判断された画素群が除去されたことがわかる。
このようにして補正され、汗腺口が除去された画像は、データ制御部31を介してデータ記憶部32に記憶され、次に、特徴点抽出部16に送信される。これで汗腺口抽出除去部14の実施例の詳細説明を終える。
【0104】
次に、図1の隆線抽出強調部15の動作について、図4の構成図や図28のフローチャートを参照して詳細に説明する。隆線抽出強調部15の構成は、毛氈抽出除去部13の構成と汗腺口抽出除去部14の構成の多くを併せ持つものである。
隆線抽出強調処理では、毛氈抽出処理における毛氈特性解析において、隆線直交方向に位置する複数隆線の毛氈特性に有意差がない時は、その全ての隆線を真の隆線と判断できることを利用する。同様に、汗腺口抽出処理における汗腺口特性解析において、隆線直交方向に位置する複数谷線の汗腺口特性に有意差がない時は、その全ての谷線を真の谷線と判断できることを利用する。
【0105】
隆線抽出強調処理の開始時点において、既に入力された指紋画像や、既に抽出された隆線方向データは、図4のデータ記憶部42に記憶される。
(1)ステップS51
図28のステップS51において、図4に示す隆線二値画像抽出部43は、隆線部を1、谷線部を0の2つの値で表す二値画像を抽出する。この処理は、毛氈抽出除去部13における隆線二値画像抽出部23の説明と同じなので割愛する。
(2)ステップS52
次に、図28のステップS52において、図4に示す隆線候補画素抽出部44は、前記隆線二値画像を芯線化することで、隆線の候補となる画素群を抽出する。この処理は、毛氈抽出除去部13における隆線候補画素抽出部24の説明と同じなので割愛する。
(3)ステップS53
次に、図28のステップS53において、図4に示す毛氈特性抽出部45は、隆線候補画素群の各画素に対して毛氈特性を抽出する。この処理は、毛氈抽出除去部13における毛氈特性解析部25の説明と同じなので割愛する。
(4)ステップS54
次に、図28のステップS54において、図4に示す毛氈特性解析部46は、隆線候補画素群に対して抽出された毛氈特性を解析する。この処理は、毛氈抽出除去部13における毛氈特性抽出部26の説明と同様であるが、条件式の設定は以下のように異なる。
【0106】
毛氈特性として隆線幅を採用する場合は、以下の条件を満足する時、全ての隆線が真の隆線であるという判断できる。ここでは、毛氈特性の最大値と最小値をmaxFAとminFAとする。また、隆線ピッチの最大値と最小値をmaxPと minPとする。
【0107】
条件5: 全ての隆線が真の隆線
1)minFA/maxFA > thD5
2)minP/maxP > thP
3)maxP < thX
ここで、thD5、thP、thXは、予め設定される閾値パラメータであるが、5本の隆線候補に対する場合は、thD5 = 0.9、thP = 0.65、thX = 20 程度が適切である。最大ピッチに関しては、通常の指紋で出現する範囲(20画素未満)を設定した。
この条件の意味は、1)隣接する隆線の隆線幅がほぼ同等であり、2)ピッチ差も小さく、3)最大ピッチも通常出現する範囲である時は、全ての隆線を真の隆線と判断できるということである。この結果、この全ての隆線候補画素に真の隆線のマークを付ける。
【0108】
この解析は、全隆線候補画素に対して実行される。この解析結果として、全隆線画素には真隆線マークあるいは不明マークが付与される。この解析結果は、データ制御部41を介してデータ記憶部42に記憶される。
【0109】
(5)ステップS55
次に、図28のステップS55において、図4のデータ制御部41は、予め定められた全ての毛氈特性に関して、その抽出と解析が終了したかを判断する。もし、他の毛氈特性が定義されている時には、図18のステップS53に戻る。全ての毛氈特性に関して処理が終了している場合には、図28のステップS56に進む。
【0110】
別の毛氈特性として隆線方向濃度が定義されている場合を例にとって説明する。この場合は、図28のステップS53に戻って隆線方向濃度を抽出する。隆線方向濃度に関する説明は、毛氈抽出除去部の説明と同一なので割愛する。
【0111】
次に、図28のステップS54において、図4に示す毛氈特性解析部56は、隆線候補画素群に対して抽出された毛氈特性を解析する。
毛氈特性として隆線方向濃度を採用する場合の処理も、上述の隆線幅を採用する時と、ほぼ同じである。条件式もほぼ同じであるが、閾値はそのデータ特性に合わせて適切な数値に変更する方が良い。
【0112】
条件6: 全ての隆線が真の隆線
1)minFA/maxFA > thD6
2)minP/maxP > thP
3)maxP < thX
ここで、thD6、thP、thXは、予め設定される閾値パラメータであるが、5本の隆線候補に対する場合は、thD6 = 0.9、thP = 0.65、thX = 20 程度が適切である。
【0113】
(6)ステップS56
全ての毛氈特性に対する処理が終了すれば、図28のステップS56に進む。ステップS56において、図4に示す隆線領域抽出部47は、真隆線マークが付与された隆線候補画素群を解析して隆線領域を抽出する。隆線領域抽出部47は、注目する隆線候補画素から、隆線方向に隆線候補画素群を、プラス8画素マイナス8画素程度トレースし、各画素に付与されたマークをカウントし、真隆線マーク合計の比率を算出する。
もし、真隆線マークの比率がある閾値以上である場合、その注目画素は真隆線画素と決定する。この場合の閾値は50%程度が適切である。この処理を、全隆線候補画素に対して実施する。
【0114】
次に、真の隆線画素として決定された画素に対して、まず、隆線直交方向右側に閾値パラメータthX画素トレースする。もし、右隣の隆線候補画素にぶつかり、それが真隆線画素と決定されていれば、当該画素と右隣の画素は真の隆線画素と判断できる。従って、この2つの隆線の間には谷線の画素が存在することになる。この時、当該画素から右隣の画素迄の距離を4等分し、当該画素から距離1/4に位置する画素までの画素群と、距離3/4に位置する画素から右隣の真隆線画素迄の画素群を真の隆線画素として決定する。また、距離1/4から距離3/4の間に位置する画素群は谷線画素(白画素)として決定する。次に、隆線直交方向左側に対しても、同じ処理を実施する。
この処理を全隆線画素に対して実行する。その結果、隆線画素あるいは谷線画素として決定された画素群が隆線領域となる。このようにして抽出された隆線領域は、データ制御部41を介してデータ記憶部42に記憶される。
【0115】
(7)ステップS57
次に、図28のステップS57において、図4に示す隆線領域濃度強調部48は、隆線領域と定義された画素群に対して、濃度値を補正することで、隆線と谷線が強調された画像を抽出する。この隆線領域濃度強調部48の動作の説明は、毛氈抽出除去部13における毛氈領域濃度補正部27と同じなので説明は割愛する。
【0116】
(1)ステップS61
次に、図28のステップS61において、図4に示す谷線二値画像抽出部49は、谷線部を1、隆線部を0の2つの値で表す二値画像を抽出する。谷線二値画像抽出部49の説明は、汗腺口抽出除去部14における谷線二値画像抽出部33の説明と同じなので割愛する。
【0117】
(2)ステップS62
次に、図28のステップS62において、図4に示す谷線候補画素抽出部50は、前記谷線二値画像を芯線化することで、谷線の候補となる画素群を抽出する。谷線候補画素抽出部50の説明は、汗腺口抽出除去部14における谷線候補画素抽出部34の説明と同じなので割愛する。
【0118】
(3)ステップS63
次に、図28のステップS63において、図4に示す汗腺口特性抽出部51は、谷線候補画素群の各画素に対して、汗腺口特性を抽出する。汗腺口特性抽出部51の説明は、汗腺口抽出除去部14における汗腺口特性抽出部35の説明と同じなので割愛する。
【0119】
(4)ステップS64
次に、図28のステップS64において、図4に示す汗腺口特性解析部52は、谷線候補画素群に対して抽出された汗腺口特性を解析する。この処理は、汗腺口抽出除去部14における汗腺口特性解析部36の説明と同様であるが、条件式の設定は以下のように異なる。
【0120】
汗腺口特性として隆線方向濃度を採用する場合は、以下の条件を満足する時、全ての谷線が真の谷線であると判断できる。ここでは、汗腺口特性の最大値と最小値をmaxFAとminFAとする。また、谷線ピッチの最大値と最小値をmaxPと minPとする。
【0121】
条件7: 全て谷線が真の谷線
1)minFA/maxFA > thD7
2)minP/maxP > thP
3)maxP < thX
ここで、thD7、thP、thXは、予め設定される閾値パラメータであるが、5本の谷線候補に対する場合は、thD7 = 0.8、thP = 0.65、thX = 20 程度が適切である。
この条件の意味は、1)隣接する谷線の隆線方向濃度がほぼ同等であり、2)谷線ピッチの差も小さく、3)最大谷線ピッチが20画素未満である時は、全て谷線を真の谷線と判断できるということである。この結果、全ての谷線候補画素には真の谷線のマークを付ける。
【0122】
この解析は、全谷線候補画素に対して実行される。この解析結果として、全谷線画素には真の谷線マークあるいは不明マークが付与される。この解析結果は、データ制御部41を介してデータ記憶部42に記憶される。
【0123】
(5)ステップS65
次に、図28のステップS65において、図4のデータ制御部41は、予め定められた全ての汗腺口特性に関して、その抽出と解析が終了したかを判断する。もし、他の汗腺口特性が定義されている時には、図28のステップS63に戻る。全ての汗腺口特性に関して処理が終了している場合には、図28のステップS66に進む。
【0124】
2番目の汗腺口特性として濃度差分累積値が定義されている場合を例にとって説明する。この場合は、図28のステップS63に戻って濃度差分累積値を抽出する。濃度差分累積値に関する説明は、汗腺口抽出除去部14における説明と同じなので割愛する。
【0125】
次に、図28のステップS64において、図4に示す汗腺口特性解析部52は、谷線候補画素群に対して抽出された汗腺口特性を解析する。
【0126】
汗腺口特性として濃度差分累積値を採用する場合の処理も、上述の隆線方向濃度を採用する時と、ほぼ同じである。条件式もほぼ同じであるが、閾値はそのデータ特性に合わせて適切な数値に変更する方が良い。
【0127】
条件8: 全て谷線が真の谷線
1)minFA/maxFA > thD8
2)minP/maxP > thP
3)maxP < thX
ここで、thD8、thP、thXは、予め設定される閾値パラメータであるが、5本の谷線候補に対する場合は、thD9 = 0.95、thP = 0.65、thX = 20 程度が適切である。
【0128】
(6)ステップS66
全ての汗腺口特性に対する処理が終了すれば、図28のステップS66に進む。ステップS66において、図4に示す谷線領域抽出部53は、真の谷線マークが付与された谷線候補画素群を解析して谷線領域を抽出する。
【0129】
注目する谷線候補画素から、隆線方向に谷線候補画素群を、プラス8画素マイナス8画素程度トレースし、各画素に付与されたマークをカウントし、真の谷線マーク合計の比率を算出する。
もし、真の谷線マーク比率がある閾値以上である場合、その注目画素は真の谷線画素と決定する。この場合の閾値は50%程度が適切である。この処理を、全谷線候補画素に対して実施する。
【0130】
次に、真の谷線画素として決定された画素に対して、まず、隆線直交方向右側に閾値パラメータthX画素トレースする。もし、右隣の谷線候補画素にぶつかり、それが真の谷線画素と決定されていれば、当該画素と右隣の画素は真の谷線画素と判断できる。従って、この2つの谷線の間には隆線画素が存在することになる。この時、当該画素から右隣の画素迄の距離を4等分し、当該画素から距離1/4に位置する画素までの画素群と、距離3/4に位置する画素から右隣の真の谷線画素迄の画素群を真の谷線画素(白画素)として決定する。また、距離1/4から距離3/4の間に位置する画素群は隆線画素(黒画素)として決定する。次に、隆線直交方向左側に対しても、同じ処理を実施する。この処理を全隆線画素に対して実行する。その結果、隆線画素あるいは谷線画素として決定された画素群が谷線領域となる。このようにして抽出された谷線領域は、データ制御部41を介してデータ記憶部42に記憶される。
【0131】
(7)ステップS67
次に、図28のステップS67において、図4に示す谷線領域濃度強調部54は、谷線領域と定義された画素群に対して、濃度値を補正することで、隆線と谷線が強調された画像を抽出する。この谷線領域濃度強調部54の動作の説明は、前記隆線領域濃度強調部48と類似しているので説明は割愛する。谷線領域濃度強調部54と隆線領域濃度強調部48の機能的はほぼ同一なので共通化した構成例も考えられる。この実施例で独立させている理由は、前半の毛氈特性解析による隆線抽出と、後半の汗腺口特性解析による谷線抽出は、互いに依存関係になく独立して構成することができるためである。このようにして隆線と谷線が強調された画像は、データ制御部41を介してデータ記憶部42に記憶され、次に、特徴点抽出部16に送信される。これで隆線抽出強調部の実施例の詳細説明を終える。
【0132】
本発明は、指紋画像に限定されることはない。掌紋画像を始め、毛氈や汗腺口と類似している形状を持つ縞模様の曲線から構成された画像に対しても適用できる。
また、本発明では、標準的に採用されている500dpiの指紋画像を前提に隆線強調マスク例や各種パラメータ例を用いて説明したが、500dpi以外の解像度でスキャンされた指紋画像でも、その解像度に適切なマスクやパラメータを用いることで適応できる。
また、毛氈特性や汗腺口特性として、他の特徴量を採用する場合においても、隆線直交方向に交互に変動する特性のパターンを抽出することで、毛氈や汗腺口を認識できる。
更に、別の汗腺口特性として白画素半径を採用する実施例も考えられる。この実施例を、図29から図31を用いて詳細に説明する。
【0133】
図29は、汗腺口が肥大化したため汗腺口部が連続している指紋画像で、誤抽出しやすい例である。図30左図は、図29に示す注目領域を切り出し、隆線直交方向が水平になるように回転した画像で、肥大汗腺口を含む隆線画像の拡大図である。図30右図は、図30左図の谷線候補画素群を重畳表示したものである。
【0134】
白画素半径とは、肥大汗腺口を抽出するための特性で、肥大汗腺口に包含される円の大きさを、その半径で表したものである。この計算のために、隆線直交方向に最大濃度を持つ画素群を抽出する。まず、初期値として全画素を白画素と定義する。次に、ある注目画素の濃度値が、その画素から隆線直交方向の左右に8画素程度トレースした時の画素群の中で、最大値あるいは2番目の濃度値であれば、その注目画素を黒画素と定義する。
このような処理を全画素に対して実施すると、隆線直交方向に対して、相対的に濃度の大きい画素を黒画素とする二値画像ができる。これを最大濃度画素群と呼ぶ。図31は、図30右図に対する最大濃度画素群である。
【0135】
次に、この谷線候補画素群の各画素を図31の画像にあてはめ、それぞれの谷線候補画素に対して、白画素半径特性を抽出する。
図31で注目画素をPとする時、Pを中心とした円で、黒画素を含まない最大の円を求め、その半径を白画素半径として抽出する。
肥大汗腺口が顕著な指紋においては、白画素半径は肥大汗腺口部では大きな値になり、真の谷線部では相対的に小さな値になる。
【0136】
白画素半径を汗腺口特性として採用する場合は、真の谷線であるか汗腺口線であるかは、以下の条件で判断できる。ここでは、汗腺口特性の最大値をmaxFA、奇数汗腺口特性の最大値と最小値をmaxFOとminFO、偶数汗腺口特性の最大値と最小値をmaxFEとminFEとする。5本に谷線の間には、4つのピッチ(谷線間隔)が計測可能だが、その4つのピッチの最大値と最小値をmaxPと minPとする。
【0137】
条件9: 奇数谷線が真の谷線で、偶数谷線が汗腺口線の場合
1)maxFO < minFE
2)(minFE − maxFO)/maxFA > thD9
3)minP/maxP > thP
ここで、thD9、thPは、予め設定される閾値パラメータであるが、実際のデータ分布から判断すると、thD9 = 0.4、 thP = 0.65 程度が適切である。
【0138】
図32左図の画像に対して、この汗腺口特性を用いて抽出した汗腺口領域を図32右図に示す。また、汗腺口領域濃度補正画像を図33に示す。
【0139】
これまでの実施例では、毛氈特性や汗腺口特性に対する条件判断は、単独の特性に対してのみ実施する実施例を挙げたが、複数の特性に対する条件を論理和や論理積で組み合わせて判断する実施例も考えられる。この場合は、各種閾値パラメータを見直すことで、より正確な、毛氈抽出や汗腺口抽出が可能になる。
【0140】
また、これまでの実施例では、毛氈特性や汗腺口特性の解析では5本の隆線候補や谷線候補を利用したが、この数は5本に限定されない。この数は多くするほど、正確な毛氈判断や汗腺口判断が可能だが、適用できる領域が狭くなるという欠点もある。5本から7本程度が適切と考えられる。
【0141】
なお、本発明については、毛氈抽出除去部13、汗腺口抽出除去部14、及び隆線抽出強調部15の各々に該当するコンピュータを用い、これらのコンピュータを連結したシステムを構築することにより実現しても良い。又は、一台のコンピュータにおいて、指紋画像入力部11、隆線方向抽出部12、毛氈抽出除去部13、汗腺口抽出除去部14、隆線抽出強調部15、特徴点抽出部16、特徴点出力部17の各々に該当する内部装置を含む構成としても良い。あるいは、指紋画像入力部11、隆線方向抽出部12、毛氈抽出除去部13、汗腺口抽出除去部14、隆線抽出強調部15、特徴点抽出部16、特徴点出力部17の機能を実現させるプログラムを、コンピュータに実行させるようにしても良い。
【0142】
これまでに述べてきた本発明の特徴は以下の通りである。
(1)指紋画像から特徴点を抽出する構成の中で、隆線や毛氈から毛氈特性を抽出する手段と、隆線直交方向の数本の隆線の毛氈特性を解析し毛氈特性パターンが予め定められた条件式に合致すれば毛氈と判断する手段と、毛氈と判断された画素数の比率で毛氈領域を抽出する手段と、毛氈領域内の画素濃度を補正する手段を有している点。
(2)指紋画像から特徴点を抽出する構成の中で、谷線や汗腺口線から汗腺口特性を抽出する手段と、隆線直交方向の数本の谷線の汗腺口特性を解析し汗腺口特性パターンが予め定められた条件式に合致すれば汗腺口と判断する手段と、汗腺口と判断された画素数の比率で汗腺口領域を抽出する手段と、汗腺口領域内の画素濃度を補正する手段を有している点。
(3)指紋画像から特徴点を抽出する構成の中で、隆線から毛氈特性を抽出する手段と、隆線直交方向の数本の隆線の毛氈特性を解析し毛氈特性パターンが予め定められた条件式に合致すれば真の隆線と判断する手段と、真の隆線と判断された画素数の比率で隆線領域を抽出する手段と、隆線領域内の画素濃度を強調する手段を有している点。
(4)指紋画像から特徴点を抽出する構成の中で、谷線から汗腺口特性を抽出する手段と、隆線直交方向の数本の谷線の汗腺口特性を解析し汗腺口特性パターンが予め定められた条件式に合致すれば真の谷線と判断する手段と、真の谷線と判断された画素数の比率で谷線領域を抽出する手段と、谷線領域内の画素濃度を強調する手段を有している点。
(5)前記(1)、(3)において、毛氈特性として、隆線幅を利用している点。
(6)前記(1)、(3)において、毛氈特性として、隆線方向濃度を利用している点。
(7)前記(2)、(4)において、汗腺口特性として、隆線方向濃度を利用している点。
(8)前記(2)、(4)において、汗腺口特性として、濃度差分累積値を利用している点。
(9)前記(2)、(4)において、汗腺口特性として、白画素半径を利用している点。
【0143】
以上のように、本発明は、指紋画像の特徴抽出機能において、毛氈や汗腺口の影響で隆線の識別が困難な指紋画像に対しても、毛氈や汗腺口を正確に抽出除去する手段や、隆線や谷線を抽出強調する手段を備えたことを特徴とし、特徴点抽出精度を向上させることができる構成を提供するものである。
なお、毛氈が顕著な指紋画像を隆線直交方向に観察すると、毛氈と真の隆線が交互に出現する。本発明は、毛氈特性を抽出し、その出現パターンを解析し、それを予め定められた条件式で判断するという方法で正確に毛氈を抽出し除去できる構成を提供する。
同様に、汗腺口が顕著な指紋画像を隆線直交方向に観察すると、汗腺口線と真の谷線が交互に出現する。本発明は、汗腺口特性を抽出し、その出現パターンを解析し、それを予め定められた条件式で判断するという方法で、正確に汗腺口を抽出し除去できる構成を提供する。
また、顕著な毛氈がない指紋画像に対しては、毛氈特性を抽出し、隆線直交方向の数本の隆線の毛氈特性を解析し、全ての毛氈特性に有意差がないことを予め定められた条件式で判断するという方法で、正確に隆線を抽出し強調できる構成を提供する。
更に、顕著な汗腺口がない指紋画像に対しては、汗腺口特性を抽出し、隆線直交方向の数本の谷線の汗腺口特性を解析し、全ての汗腺口特性に有意差がないことを予め定められた条件式で判断するという方法で、正確に谷線を抽出し強調できる構成を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0144】
【図1】図1は、本発明の全体構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、毛氈抽出除去部の構成図である。
【図3】図3は、汗腺口抽出除去部の構成図である。
【図4】図4は、隆線抽出強調部の構成図である。
【図5】図5は、全体フローチャート図である。
【図6】図6は、毛氈抽出除去処理のフローチャート図である。
【図7】図7は、指紋画像を示す図である。
【図8】図8は、誤特徴点を示す図である。
【図9】図9は、隆線方向を示す図である。
【図10】図10は、方向パターン(16方向)を示す図である。
【図11】図11は、隆線強調マスク例を示す図である。
【図12】図12は、毛氈を含む濃淡画像と二値画像を示す図である。
【図13】図13は、毛氈を含む濃淡画像と芯線化画像を示す図である。
【図14】図14は、回転後の注目領域を示す図である。
【図15】図15は、毛氈特性例(隆線幅)を示す図である。
【図16】図16は、毛氈領域を示す図である。
【図17】図17は、毛氈領域濃度補正画像を示す図である。
【図18】図18は、汗腺口抽出除去処理のフローチャート図である。
【図19】図19は、指紋画像を示す図である。
【図20】図20は、誤特徴点例を示す図である。
【図21】図21は、連続汗腺口を含む濃淡画像とその芯線化画像を示す図である。
【図22】図22は、汗腺口を含む隆線と谷線候補画素を示す図である。
【図23】図23は、汗腺口を含む隆線の濃度反転画像を示す図である。
【図24】図24は、汗腺口を含む隆線と谷線候補画素を示す図である。
【図25】図25は、汗腺口特性例を示す図である。
【図26】図26は、汗腺口領域を示す図である。
【図27】図27は、汗腺口領域濃度補正画像を示す図である。
【図28】図28は、隆線抽出強調処理のフローチャート図である。
【図29】図29は、肥大汗腺口の顕著な指紋を示す図である。
【図30】図30は、肥大汗腺口拡大図と谷線候補画素を示す図である。
【図31】図31は、最大濃度画素群を示す図である。
【図32】図32は、汗腺口領域を示す図である。
【図33】図33は、汗腺口領域濃度補正画素を示す図である。
【符号の説明】
【0145】
11… 指紋画像入力部
12… 隆線方向抽出部
13… 毛氈抽出除去部
14… 汗腺口抽出除去部
15… 隆線抽出強調部
16… 特徴点抽出部
17… 特徴点出力部
21… データ処理制御部
22… データ記憶部
23… 隆線二値画像抽出部
24… 隆線候補画素抽出部
25… 毛氈特性抽出部
26… 毛氈特性解析部
27… 毛氈領域抽出部
28… 毛氈領域濃度補正部
31… データ処理制御部
32… データ記憶部
33… 谷線二値画像抽出部
34… 谷線候補画素抽出部
35… 汗腺口特性抽出部
36… 汗腺口特性解析部
37… 汗腺口領域抽出部
38… 汗腺口領域濃度補正部
41… データ処理制御部
42… データ記憶部
43… 隆線二値画像抽出部
44… 隆線候補画素抽出部
45… 毛氈特性抽出部
46… 毛氈特性解析部
47… 隆線領域抽出部
48… 隆線領域濃度強調部
49… 谷線二値画像抽出部
50… 谷線候補画素抽出部
51… 汗腺口特性抽出部
52… 汗腺口特性解析部
53… 谷線領域抽出部
54… 谷線領域濃度強調部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
指紋画像から特徴点を抽出する指紋画像認識システムにおいて、
前記指紋画像から隆線の方向を抽出する隆線方向抽出部と、
前記指紋画像から毛氈特性を抽出する毛氈特性抽出部と、
隆線直交方向の数本の隆線の毛氈特性を解析し、毛氈特性パターンが予め定められた条件式に合致すれば毛氈と判断する第1毛氈特性解析部と、
前記毛氈と判断された画素数の比率で前記毛氈領域を抽出する毛氈領域抽出部と、
前記毛氈領域内の画素濃度を補正する毛氈領域濃度補正部と
を有する
指紋画像認識システム。
【請求項2】
請求項1に記載の指紋画像認識システムにおいて、
隆線直交方向の数本の隆線の毛氈特性を解析し、毛氈特性パターンが予め定められた条件式に合致すれば真の隆線と判断する第2毛氈特性解析部と、
前記真の隆線と判断された画素数の比率で前記隆線領域を抽出する隆線領域抽出部と、
前記隆線領域内の画素濃度を強調する隆線領域濃度強調部と
を更に有する
指紋画像認識システム。
【請求項3】
指紋画像から特徴点を抽出する指紋画像認識システムにおいて、
前記指紋画像から隆線の方向を抽出する隆線方向抽出部と、
前記指紋画像から汗腺口特性を抽出する汗腺口特性抽出部と、
隆線直交方向の数本の谷線の汗腺口特性を解析し、汗腺口特性パターンが予め定められた条件式に合致すれば汗腺口と判断する第1汗腺口特性解析部と、
前記汗腺口と判断された画素数の比率で前記汗腺口領域を抽出する汗腺口領域抽出部と、
前記汗腺口領域内の画素濃度を補正する汗腺口領域濃度補正部と
を更に有する
指紋画像認識システム。
【請求項4】
請求項3に記載の指紋画像認識システムにおいて、
隆線直交方向の数本の谷線の汗腺口特性を解析し、汗腺口特性パターンが予め定められた条件式に合致すれば真の谷線と判断する第2汗腺口特性解析部と、
前記真の谷線と判断された画素数の比率で前記谷線領域を抽出する谷線領域抽出部と、
前記谷線領域内の画素濃度を強調する谷線領域濃度強調部と
を更に有する
指紋画像認識システム。
【請求項5】
請求項1に記載の指紋画像認識システムにおいて、
前記毛氈特性として、隆線幅を利用している
指紋画像認識システム。
【請求項6】
請求項1に記載の指紋画像認識システムにおいて、
前記毛氈特性として、隆線方向濃度を利用している
指紋画像認識システム。
【請求項7】
請求項3に記載の指紋画像認識システムにおいて、
前記汗腺口特性として、隆線方向濃度を利用している
指紋画像認識システム。
【請求項8】
請求項3に記載の指紋画像認識システムにおいて、
前記汗腺口特性として、濃度差分累積値を利用している
指紋画像認識システム。
【請求項9】
請求項3に記載の指紋画像認識システムにおいて、
前記汗腺口特性として、白画素半径を利用している
指紋画像認識システム。
【請求項10】
指紋画像から特徴点を抽出するための指紋画像認識方法において、
(a)前記指紋画像から隆線の方向を抽出するステップと、
(b)前記指紋画像から毛氈特性を抽出するステップと、
(c)隆線直交方向の数本の隆線の毛氈特性を解析し、毛氈特性パターンが予め定められた条件式に合致すれば毛氈と判断するステップと、
(d)前記毛氈と判断された画素数の比率で前記毛氈領域を抽出するステップと、
(e)前記毛氈領域内の画素濃度を補正するステップと
を有する
指紋画像認識方法。
【請求項11】
請求項10に記載の指紋画像認識方法において、
(f)隆線直交方向の数本の隆線の毛氈特性を解析し、毛氈特性パターンが予め定められた条件式に合致すれば真の隆線と判断するステップと、
(g)前記真の隆線と判断された画素数の比率で前記隆線領域を抽出するステップと、
(h)前記隆線領域内の画素濃度を強調するステップと
を更に有する
指紋画像認識方法。
【請求項12】
指紋画像から特徴点を抽出するための指紋画像認識方法において、
(i)前記指紋画像から隆線の方向を抽出するステップと、
(j)前記指紋画像から汗腺口特性を抽出するステップと、
(k)隆線直交方向の数本の谷線の汗腺口特性を解析し、汗腺口特性パターンが予め定められた条件式に合致すれば汗腺口と判断するステップと、
(l)前記汗腺口と判断された画素数の比率で前記汗腺口領域を抽出するステップと、
(m)前記汗腺口領域内の画素濃度を補正するステップと
を更に有する
指紋画像認識方法。
【請求項13】
請求項12に記載の指紋画像認識方法において、
(n)隆線直交方向の数本の谷線の汗腺口特性を解析し、汗腺口特性パターンが予め定められた条件式に合致すれば真の谷線と判断するステップと、
(o)前記真の谷線と判断された画素数の比率で前記谷線領域を抽出するステップと、
(p)前記谷線領域内の画素濃度を強調するステップと
を更に有する
指紋画像認識方法。
【請求項14】
請求項10乃至13のいずれか一項に記載の指紋画像認識方法を、コンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図10】
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【図11】
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【図15】
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【図18】
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【図25】
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【図28】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図16】
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【図17】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図26】
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【図27】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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