説明

指針式計器装置

【課題】
光源と導光部材を指針用と表示板用として共有化し、またコンパクトな導光部材にすることで、低コスト化を実現するとともに、導光部材の形状を改良し、光源からの光の導光の効率を上げる事で少ない光源でも指針と表示板の照明を良好に行うことのできる指針式計器装置を提供する。
【解決手段】
表示板1は指標部11を備え、指針2は表示板1の貫通孔部を介して駆動本体4に設けられた指針軸41の先端側に固定され、回路基板6は指針2を照明する光源5を設け、導光部材3は指針軸41が貫通する空洞部31と、この空洞部31の中心からオフセットされた位置に中心を持つ円錐面状の第一反射面32と、を有し、光源5から出射された光を導き、指針2と指標部11を照射する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導光体により光源からの光を導いて表示板等を照明する、自動車などに搭載される指針式計器装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の指針式計器装置は、指針を照明する為の指針用光源と、この指針用光源の光を指針に伝達する指針用導光部材を備え、更に表示板を照明する為の表示板用光源と、この表示板用光源の光を表示板に伝達する表示板用導光部材をそれぞれ備えていた(特許文献1参照)。
【0003】
よって、指針と表示板のそれぞれに光源と導光部材を設けていたので、光源と導光部材の部材費と、更に導光部材自体が大型であったので導光部材単体の部材費においてコストアップの問題が生じていた。
【0004】
そこで、図7に示すように、光源から照射された光線を、指針を照明する第一の光8と表示板の前面を照明する第二の光9に分離する光ガイド部10を設けることで、指針用と表示板用の光源と導光部材を共有する技術が提案され、特許文献2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−156503号公報
【特許文献2】特開2010−175537号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の構造ではコスト削減等の観点から光源の数を削減した場合に、限られた光源で表示板の指標部を均一に照明するには、導光部材の導光方法において改良の余地があり、限られた光源において指標部を均一に照明する効率の良い導光部材を備えた指針式計器装置が望まれていた。
【0007】
そこで、本発明は、前述の課題を鑑みて、光源と導光部材を指針用と表示板用として共有化し、またコンパクトな導光部材にすることで、低コスト化を実現するとともに、導光部材の形状を改良し、光源からの光の導光の効率を上げることで、少ない光源でも指針と表示板の照明を良好に行うことのできる指針式計器装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前述した課題を解決するため、請求項1では、指標部を備えた表示板と、この表示板の貫通孔部を介して駆動本体に設けられた指針軸の先端側に固定される指針と、この指針を照明する光源が配置された回路基板と、前記光源から出射された光を前記指針に導き、前記指針を光輝させる導光部材と、前記表示板と前記回路基板との間に前記光源からの光によって前記表示板を照明するためのリフレクタを有するケースと、を備えた指針式計器装置であって、前記光源は、前記指針軸付近に配置され、前記回路基板に対し垂直方向に光を照射する発光素子からなり、前記導光部材は、前記指針軸が貫通する空洞部と、前記空洞部の中心からオフセットされた位置に中心を持つ錐面状若しくは回転面状の第一反射面と、を有するものである。
【0009】
また、請求項2では、前記導光部材は、前記空洞部に掛かるように設けられる第二反射面を備えるものである。
【0010】
また、請求項3では、前記第二反射面は、指針に光を導光するものである。
【0011】
また、請求項4では、前記導光部材は、前記光源を収容するための収容部を備えるものである。
【0012】
また、請求項5では、前記導光部材は、前記第一反射面を複数備えるものである。
【0013】
また、請求項6では、前記導光部材は、外壁に光拡散部を備えたものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、光源及び導光部材を指針用と表示板用として共有化し、またコンパクトな導光部材にすることで、低コスト化を実現するとともに、導光部材の形状を改良し、光源からの光の導光の効率を上げることで、少ない光源でも指針と表示板の照明を良好に行うことのできる指針式計器装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態の部品構成の斜視図
【図2】本発明の実施形態の指針式計器装置の正面図
【図3】図2のA−A断面図
【図4】図3の断面図の要部(導光部材)を示す断面図
【図5】本発明の実施形態の光路の概略図
【図6】本発明の実施形態の導光部材の第二形態の部品図
【図7】従来の指針式計器装置の断面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面に基づいて、本発明を車載用の指針式計器に適用した一実施形態を説明する。
【0017】
指針式計器は、表示板1と、指針2と、導光部材3と、駆動本体4と、発光ダイオード(光源)5と、回路基板6と、ケース7とから構成されている。
【0018】
表示板1は、透過照明される目盛や数字などからなる指標部11が施されている。
【0019】
指針2は、指示部21と、指針基部22と、指針キャップ23とから構成されている。指示部21は、指標部11を指示し、発光ダイオード5の光を受けて光輝する。指針基部22は、駆動本体4に設けられた指針軸41に固定される。この指針基部22は指示部21と透明な樹脂で一体に形成されている。指針キャップ23は、遮光性の合成樹脂からなり、指針基部22を覆うように具備されている。
【0020】
導光部材3について図4を参照して説明する。導光部材3は透過性の樹脂などで形成される。導光部材3は、駆動本体4の指針軸41が貫通する筒状の空洞部31と、空洞部31の中心からオフセットされた位置に中心をもつ円錐面状の第一反射面32と、空洞部31に掛かるように設けられた第二反射面33とを有している。本実施形態では第一反射面32を円錐面状としているが、第一反射面を角錐面状(六角錐面,八角錐面等)若しくは回転面状(回転放物面,回転双曲面等)にしてもよい。
【0021】
導光部材3は、所望の位置に発光ダイオード5を覆う(収納する)収納部34を備えており、発光ダイオード5から発せられる光を逃すことなく、より多くの光を導光部材3内に取り込むことができる。本実施形態では収納部34の位置は前記第一反射面32の直下に配置してあるが、これに限定されるものではない。
【0022】
また、導光部材3の外壁には表示板1への照明光を散乱させ、より均等な輝度で指標部11を表示するための光拡散部35が備えられている。
【0023】
図3を参照すると、駆動本体4は、回路基板6に実装され、指針2が装着される指針軸41を備えている。指針軸41は、導光部材3の空洞部31の略中心に位置し貫通するとともに、その先端部分が表示板1の表示面より上方に突出している。
【0024】
発光ダイオード5は、回路基板6に実装され、回路基板6に対して垂直方向に光を照射するトップビュー型からなる。
【0025】
回路基板6は、発光ダイオード5や駆動本体4を実装し、指針式計器装置の電気的な制御を行うものである。
【0026】
ケース7は、表示板1と回路基板6との間に配置され、表示板1と導光部材3を固定し、導光部材3から照射された光を効率良く表示板1へ反射するリフレクタ71を有する。
【0027】
以上の構成により指針式計器装置が構成される。以下の説明では、発光ダイオード5の照射する光の光路について述べる。
【0028】
図4及び図5を参照して説明する。導光部材3の円錐面状の第一反射面32は細かく分類すると、円錐の約260°を有し、主に表示板1の半径外側方向へ光を反射する表示板用第一反射面32aと、残り約100°を有し、主に指針2の方向へ光を反射する指針用第一反射面32bと、に分類される。
【0029】
発光ダイオード5より照射された光は、第一反射面32に入射すると、第一反射面32は円錐面状の形状をしているため、入射した光は表示板用第一反射面32aに反射され表示板1の半径外側方向に向かう第一の光線5aと、指針用第一反射面32bに反射され指針軸方向に向かう第二の光線5bと、指針用第一反射面32bで反射せずにそのまま指針基部22上方向に透過される第三の光線5cに分離される。
【0030】
第一反射面32が円錐面状の形状をしていることから、表示板用第一の光線5aは表示板1の半径外側方向に均一に光を放射することができる。表示板用第一の光線5aはケース7に備えられたリフレクタ71により、表示板1に施された指標部11を裏面から照射することで、指標部11が明るく視認可能となる。
【0031】
指針用第一反射面32bに反射され指針軸方向に向かう第二の光線5bは、透過性の樹脂などで形成された指針基部22を透過し、第二反射面33に入射する。
【0032】
第二反射面33に入射した第二の光線5bは、第二反射面33により、指針基部22上方向に光が反射される。これにより、指針2の指示部21は光輝する。
【0033】
また第三の光線5cも指針基部22上方向に光を照射し、指針2の指示部21を光輝させている。
【0034】
なお、本発明の実施例では、導光部材3に第一反射面32を1つだけ設ける構造を用いて説明したが、発光ダイオード5を2つ用いた場合などは、図6に示すような構造となり、第一反射面32を複数設けるもの(第二形態)であっても良い。
【0035】
また、1つの第一反射面32の直下に、発光ダイオード5を例えば2つ設ける構造を採用しても良い。
【符号の説明】
【0036】
1 表示板
2 指針
3 導光部材
4 駆動本体
5 光源(発光ダイオード)
5a 第一の光線
5b 第二の光線
5c 第三の光線
6 回路基板
7 ケース
8 第一の光
9 第二の光
10 光ガイド部
10a 円筒壁部
11 指標部
21 指示部
22 指針基部
23 指針キャップ
31 空洞部
32 第一反射面
32a 表示板用第一反射面
32b 指針用第一反射面
33 第二反射面
34 収容部
35 光拡散部
41 指針軸
71 リフレクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
指標部を備えた表示板と、この表示板の貫通孔部を介して駆動本体に設けられた指針軸の先端側に固定される指針と、この指針を照明する光源が配置された回路基板と、前記光源から出射された光を前記指針に導き、前記指針を光輝させる導光部材と、前記表示板と前記回路基板との間に前記光源からの光によって前記表示板を照明するためのリフレクタを有するケースと、を備えた指針式計器装置であって、
前記光源は、前記指針軸付近に配置され、前記回路基板に対し垂直方向に光を照射する発光素子からなり、
前記導光部材は、前記指針軸が貫通する空洞部と、前記空洞部の中心からオフセットされた位置に中心を持つ錐面状若しくは回転面状の第一反射面と、を有することを特徴とする指針式計器装置。
【請求項2】
前記導光部材は、前記空洞部に掛かるように設けられる第二反射面を備えることを特徴とする請求項1に記載の指針式計器装置。
【請求項3】
前記第二反射面は、前記指針に光を導光することを特徴とする請求項2に記載の指針式計器装置。
【請求項4】
前記導光部材は、前記光源を収容するための収容部を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の指針式計器装置。
【請求項5】
前記導光部材は、前記第一反射面を複数備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の指針式計器装置。
【請求項6】
前記導光部材は、外壁に光拡散部を備えたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の指針式計器装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−127664(P2012−127664A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−276636(P2010−276636)
【出願日】平成22年12月13日(2010.12.13)
【出願人】(000231512)日本精機株式会社 (1,561)
【Fターム(参考)】