説明

指針組付構造

【課題】プーリをガイドレールに密着状態で当接させるためのスプリングを容易に組付けることができる指針組付構造を提供する。
【解決手段】第2支持部材21Bには、コイルスプリング21Sを収容するバネ室と連通し、そのコイルスプリング21Sを差し込み可能な開口部が、第1支持部材21Aに対面する内面側とは反対の外面側に形成され、第1支持部材21Aには、バネ室内に位置する当接部21Taが形成され、バネ室に収容されたコイルスプリング21Sがバネ室の内壁と当接部21Taを押圧することによって、第1支持部材21Aと第2支持部材21Bとの間に弾性力が付勢される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車などの車両に搭載される指針移動装置を備えた指針式表示装置等に用いるのに好適な指針組付構造、及び、指針部にこの指針組付構造を用い指針の回転中心をなくして開口部とし指針だけが円弧上に移動するようにした、いわゆるセンターレス指針式表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
指針の回転中心を開口部とし、指針だけが円弧上に移動するようなセンターレス指針式表示装置には、例えば特許文献1に記載されているものなどが知られている。
【0003】
即ち、特許文献1記載のセンターレス指針式表示装置は、図12及び図13に示すように、文字盤に形成された目盛りに沿って形成されるガイドレール100を、指針120が装着された移動体110を走行させて、所定の目盛りを指示する構成のものである。
【0004】
このセンターレス指針式表示装置では、移動体110は、ガイドレール100に沿って配列された複数のプーリ111Aを軸支する第1の支持部材112と、少なくとも1つのプーリ111Bを軸支する第2の支持部材113を備え、第1の支持部材112に軸支された複数のプーリ111Aと第2の支持部材113に軸支されたプーリ111Bとでガイドレール100を挟持し、かつ、第1の支持部材112と第2の支持部材113は、第1の支持部材112に軸支された複数のプーリ111Aと第2の支持部材113に軸支されたプーリ111Bとの軸間方向に摺動可能に互いに組み付け、第1の支持部材112と第2の支持部材113の軸間方向の間隔を縮小する方向に付勢するスプリング114を有する。尚、図12中、符号130は、文字盤上の所定の目盛を指針120で指し示すために、移動体110をガイドレール100に沿って所定位置まで移動させる駆動装置である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−107504号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記のような構成のセンターレス指針式表示装置にあっては、指針120の移動機構に取り付けた移動体110のプーリ111A、111Bをガイドレール100へ常時しっかりと当接させた状態に保持するためにスプリング114を設けている。ところが、このスプリング114は、収縮させながら第1の支持部材112と第2の支持部材113に挟まれる狭い空間へ、しかも作業者が直接視認することができる方向とは逆の背面側から組付けるようになっているので、組付け作業が厄介で、作業性の低下等をもたらしている。
【0007】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、プーリをガイドレールに密着状態で当接させるためのスプリングを容易に組付けることができる指針組付構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した目的を達成するために、本発明に係る指針組付構造は、下記(1)〜(2)を特徴としている。
(1) 指針を支持する第1支持部材と、この第1支持部材にスプリングを介して組付けることで前記第1支持部材との間に弾性力を常時付勢させる第2支持部材と、を備えた指針組付構造であって、
前記第2支持部材には、前記第1支持部材に組付け後の該第1支持部材との間に形成される前記スプリングを収容するバネ室と連通し、そのスプリングを差し込み可能な開口部が、前記第1支持部材に対面する内面側とは反対の外面側に形成され、
前記第1支持部材には、前記第2支持部材に組付け後の該第2支持部材との間に形成される前記バネ室内に位置する当接部が形成され、
前記バネ室に収容された前記スプリングが前記バネ室の内壁と前記当接部を押圧することによって、前記第1支持部材と前記第2支持部材との間に弾性力が付勢される、
こと。
(2)上記(1)の構成の指針組付構造において、
前記第2支持部材の前記開口部周囲には、前記スプリングを縮め斜めに変形させた状態で前記バネ室に差し込み可能にガイドする、前記バネ室に向かって傾斜した庇状のガイドが形成され、
前記第1支持部材の前記当接部には、前記スプリングを縮め斜めに変形させた状態で前記バネ室に差し込み可能にガイドする、前記バネ室に向かって傾斜した庇状のガイドが形成される、
こと。
【0009】
上記(1)の構成の指針組付構造によれば、第1支持部材に組付け後の該第1支持部材と第2支持部材の間に、第2支持部材の表側の開口部からその奥部のバネ室へ向け、スプリングを押し込んで装着させることができるようになるので、スプリングの装着が容易になる。
上記(2)の構成の指針組付構造によれば、バネ室に向かってテーパ状などに傾斜した庇状のガイドを突設するので、そのガイドに案内されながら、スプリングをさらに容易にバネ室内に収容させることができるようになる。また、その庇状のガイドがバネ室に収容させていたスプリングを外部に飛び出すことを阻止することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の指針組付構造によれば、第1支持部材に組付け後の該第1支持部材と第2支持部材の間に、第2支持部材の表側の開口部からその奥部のバネ室へ向け、スプリングを押し込んで装着させることができるようになるので、スプリングの装着が容易になる。
また、本発明の指針組付構造によれば、バネ室に向かってテーパ状などに傾斜した庇状のガイドを突設するので、そのガイドに案内されながら、スプリングをさらに容易にバネ室内に収容させることができるようになる。また、その庇状のガイドがバネ室に収容させていたスプリングを外部に飛び出すことを阻止することができる。
【0011】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る指針組付構造を用いたセンターレス指針式表示装置の分解斜視図である。
【図2】本発明に係るセンターレス指針式表示装置の要部である指針移動装置の斜視図である。
【図3】図2の指針移動装置の分解斜視図である。
【図4】図2の指針移動装置の縦断面図である。
【図5】本発明に係るセンターレス指針式表示装置の要部である指針移動装置の正面図である。
【図6】本発明に係るセンターレス指針式表示装置の指針移動装置の要部を示す正面図である。
【図7】本発明に係るセンターレス指針式表示装置の指針移動装置の要部である指針ベースへテンションアームを組み込む直前の状態を示す説明図である。
【図8】指針ベースへテンションアームを組み込み途中の状態を示す説明図である。
【図9】指針ベースへテンションアームを組み込み完了した状態を示す説明図である。
【図10】指針ベースへテンションアームを組み込んだ後で、スプリングを組み込むときの状態を示す説明図であって、(A)はスプリングを組み込む途中の状態を示す説明図であり、(B)はスプリングを組み込み完了した状態を示す説明図である。
【図11】指針ベースへテンションアームを組み込んだ後で、スプリングを組み込むときのスプリングの形状を示す説明図であって、(A)はスプリングを組み込む途中の状態を示す説明図であり、(B)はスプリングを組み込み完了した状態を示す説明図である。
【図12】従来のセンターレス指針式表示装置の全体構成を示す斜視図である。
【図13】従来のセンターレス指針式表示装置の要部である指針移動装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明に係る指針組付構造を用いたセンターレス指針式表示装置について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
なお、ここでは、特に、指針ベースを構成する第1支持部材とテンションアームを構成する第2支持部材との間に、スプリングを容易に装着させることのできるセンターレス指針式表示装置について、図面を用いて説明する。
【0014】
〈本発明に係るセンターレス指針式表示装置10〉
本発明に係るセンターレス指針式表示装置10は、指針組付構造が適用される指針移動装置20と、指針移動装置20を内部に収納固定する収納ケース30と、を備えている。そして、指針移動装置20は指針部21と指針部21を搬送する搬送部22とを備えており、収納ケース30はケース本体31とケース本体31を塞ぐ目盛板32とを備えている。
【0015】
以下、本発明に係るケース本体31と、目盛板32と、指針部21と、搬送部22と、について説明する。
【0016】
〈ケース本体31〉
ケース本体31は運転者側に半円状開口部31K(図1)を有するそれ自体が半円状をしたプラスチック製ケースで、内部空間の底部31Tの一端(図1で左端近傍)に指針移動装置20を収納するためのテンション部品を収容するテンション部品収容ケース22Cを備え、底部31Tの他端(図1で右端近傍)にモータ(図示省略)で正逆回転させられる巻き戻しプーリ22Pを備えている。
【0017】
〈目盛板32〉
目盛板32はそれ自体半円状をしたプラスチック製薄板で、半円の中心から所定半径の半円状の開口32Kが開けられており、開口32Kの外周に目盛が円弧状に記載されている。図1はスピードメータの目盛例を示しており、0、20、40、・・・、140、160(km/時間)の数字が略半円弧又は楕円形状にそれぞれ所定の間隔をあけて記載されている。目盛板32はケース本体31の半円状開口部31Kを塞ぐようにケース本体31に取り付けられる。開口32Kの内側空間には液晶表示器などが配置される。目盛板32の裏側にはガイドレール22Rが配置される。
【0018】
〈指針部21〉
《指針21Cの第1支持部材21Aへの取り付け》
図1に戻って、搬送部22上を移動する指針部21は、図2の指針移動装置20の斜視図、図3の分解斜視図、および図4の縦断面図から分かるように、第1支持部材21Aと第2支持部材21Bとがコイルスプリング21Sを挟んで一体に嵌合された支持部材21Z(図4)と、第1支持部材21Aに嵌合する指針21Cと、から成っている。
【0019】
すなわち、第1支持部材21Aの上部端面に片持ちアーム状の指針固定部21Kを形成し、一方、縦に長尺状をした指針21Cの長手方向の下端から上端に向かうに従って徐々に厚みが太くなる錐状に形成されたその上端幅広部に固定用開口部21Lを形成し、この固定用開口部21Lに指針固定部21Kが嵌合することで指針21Cが第1支持部材21Aに、したがって支持部材21Zに、取り付けられる。
【0020】
《指針部21のワイヤ22Wへの固定》
さらに、第1支持部材21Aの上部中央にワイヤ固定溝21W(図4)が形成されており、このワイヤ固定溝21Wにワイヤ22W(図4)が食い込み固定されている。
【0021】
したがってワイヤ22Wが搬送部22によって引き出されたり、巻き戻されることで、第1支持部材21Aは、したがって指針部21は目盛板32(図1)の目盛の延在方向に沿って移動するようになる。
【0022】
《指針部21のガイドレール22Rへの取り付け》
図2〜図4から分かるように、第1支持部材21Aの上部で指針固定部21Kの軸方向を挟んで前後にあるそれぞれのプーリ軸支持部21Q1を介して上プーリ21P1、21P1がそれぞれ設けられ、また、第2支持部材21Bの下端には第1支持部材21Aの指針固定部21Kの軸方向にプーリ軸支持部21Q2を介して下プーリ21P2が設けられている。
【0023】
また、第1支持部材21Aには、コイルスプリング21Sの側面を一部収容するために、略矩形形状を有する(図7参照)とともに、縦断面円弧状の収容溝21Ma(図10参照)とコイルスプリング21Sの下部を押さえる当接部21Ta(図4、7参照)が形成されている。第2支持部材21Bには、コイルスプリング21Sの前記側面と反対側の側面を一部収容する(後述のバネ室BRに連通するとともに、コイルスプリング21Sのバネ室BRへの入り口となる開口部を構成する)収容溝21Mbと、コイルスプリング21Sの上部を押さえる当接部21Tbが形成されている。
【0024】
したがって、第1支持部材21Aの収容溝21Maと第2支持部材21Bの収容溝21Mbに挟まれるバネ室BRにコイルスプリング21Sを収容し、かつ第1支持部材21Aの当接部21Taと第2支持部材21Bの当接部21Tbとの間にコイルスプリング21Sの下部と上部を収容することで、コイルスプリング21Sに反発力が生じる。この反発力が第1支持部材21Aを下方へ押し、かつ第2支持部材21Bを上方へ押すように作用し、その結果、上プーリ21P1と下プーリ21P2が常時互いに接近する方向に付勢されるようになる。
【0025】
したがって、2個の上プーリ21P1の凹部と1個の下プーリ21P2の凹部間に、ガイドレール22Rの上下の凸部22T1、22T2をコイルスプリング21Sの弾性力を利用して挟むことで、支持部材21Zは、すなわち、指針部21はガイドレール22Rに確実に把持され、これにより指針部21は搬送部22の上を搬送されるようになる。
【0026】
〈搬送部22〉
搬送部22は、ガイドレール22R(図2)と、ガイドレール22Rの一長辺面に所定間隔をあけて設けられた複数のガイドプーリ(図示省略)と、各ガイドプーリに亘って引き渡されるワイヤ22W(図2)と、略半円弧又は楕円形状のガイドレール22Rの長さ方向の一端(図1で左側)に設けられて常時反円弧方向にテンションを加えるテンション部品(図示省略)を収容するテンション部品収容ケース22C(図1)と、ガイドレール22Rの他端(図1で右側)に設けられた巻き戻しプーリ22Pと、巻き戻しプーリ22Pを正逆回転させるモータ(図示省略)と、指針部21にある照明用LEDへ給電するための略半円弧又は楕円形状の導電部品(図示省略)と、同じく導電部品を覆うための導電部品カバー(図示省)とを備えている。
【0027】
ガイドレール22Rは、長さ方向には略半円弧又は楕円形状をしており、その断面はコ字を立てた形状(図2、図3)であり、その上下の脚部外側にそれぞれ凸部22T1、22T2を備えている。
【0028】
また、ワイヤ22Wの一端をテンション部品(図示省略)に結合してワイヤ22Wを常時反円弧方向に付勢すると共にワイヤ22Wの他端を巻き戻しプーリ22Pに結合してモータの正回転によってワイヤ22Wを所望の長さだけテンション部品側から引き出し、またモータの逆回転によってワイヤ22Wを所望の長さだけテンション部品によってテンション部品側へ巻き戻すことができるようにしている。
【0029】
〈指針部21の搬送部22への取り付け〉
指針部21を搬送部22へ取り付けるには、図2〜図4に示すように、搬送部22のガイドレール22Rの上の凸部22T1と下の凸部22T2とにそれぞれ指針部21の2個の上プーリ21P1の凹部と1個の下プーリ21P2の凹部とを嵌め込んで挟むことで、支持部材21Zはガイドレール22Rに確実に取り付けられる。
【0030】
そして、ワイヤ22Wが第1支持部材21Aに形成されたワイヤ固定溝21W(図3、図4)に食い込み固定されているので、モータによる巻き戻しプーリ22P(図1)の正逆回転によりワイヤ22Wが所望の長さだけテンション部品収容ケース22C(図1)側から引き出されたり、引き戻されたりする毎に、指針部21は目盛板32の目盛(図1)の延在方向に沿って移動するようになる。
【0031】
次に、本発明の特徴的構造部分について、図5乃至図11を参照しながら詳細に説明する。本発明では、特に、支持部材21Z(図4)を構成する、一体に嵌合された第1支持部材21Aと第2支持部材21Bとの間に、挟んで取付けたコイルスプリング(以下、スプリングと略す)21Sについて、[発明が解決しようとする課題]に記載したように、その取付方法が厄介であったことに鑑み、これを容易に装着させることができるように構成したものである。
【0032】
なお、このスプリング21Sは、上述したように、第1支持部材21Aに一体に組付ける第2支持部材21Bを、第1支持部材21Aに対して弾性的に圧接させた状態で保持させるためのものであり、この弾性力によって、下プーリ21P2をガイドレール22Rの下側の凸部22T2に圧接状態に保持することができる。換言すれば、上プーリ21P1と下プーリ21P2を、常時互いに接近する方向に付勢させることができる。
【0033】
本実施形態では、図5及び図6に示すように、第2支持部材21Bは、第1支持部材21Aに対してスライド可能に組付けられているものであって、スプリング21Sを挿入可能な開口部が形成された、前述した収容溝21Mbが設けられている。この第2支持部材21Bの収容溝21Mbは、第1支持部材に対面する内面側、つまり裏面側(21BI;図10参照)とは反対の外面側、つまり表面側(21BO;図10参照)に開口するように設けているものであって、特にこの外面側から開口した収容溝21Mbを介して、その奥部に設けたバネ室BRにスプリング21Sを収容させるようになっている。
【0034】
第2支持部材21Bのバネ室BRは、開口部を構成する外面側に開口された収容溝21Mbと連通したその奥部の、第2支持部材21Bの内部において、開口面に沿った横断面形状が図7に示すように略直方体状に形成されているとともに、これに垂直な縦断面方向については図10に示すように略半円形状に形成されている。このバネ室BRは、第2支持部材21Bの内面側に形成した収容溝21Mbと第1支持部材21Aの内面側に設けた収容溝21Maとの間で、自然状態での大きさのスプリング21Sを収容させるのに必要な大きさの空間を形成している。
【0035】
また、この第2支持部材21Bには、第1支持部材21Aのスプリング21Sの下部を押さえる上述した当接部21Taをバネ室BRへ潜り込ませてこのバネ室BR内に配置させるため、収容溝21Mbが当接部21Taを挿入可能な形状で開口されている。
【0036】
さらに、本発明の指針組付構造を用いた第1支持部材21Aの当接部21Ta及び第2支持部材21Bの収容溝21Mbには、バネ室BRに向けて傾斜したテーパを設けた庇状の挿入ガイド片G1、G2及びガイド面G3がそれぞれ設けられている。特に、挿入ガイド片G1、G2は、庇状に突出しているので、これらの挿入ガイド片G1、G2を乗り越えてバネ室BRに入り込んで収容されたスプリング21Sは、挿入ガイド片G1、G2が壁となってバネ室BRから外部に飛び出すことが確実に防止されている。
【0037】
第1支持部材21Aの当接部21Taには、上述した庇状の挿入ガイド片G1がバネ室BRに向けて傾斜するテーパを設けた状態に設置されており、この庇状の挿入ガイド片G1の内側のバネ室BRにスプリング21Sが収容される。その場合、スプリング21Sの一方の端部(図9では下端部)が当接部21Taの一面(上面)に弾性的に当接する。
【0038】
一方、第2支持部材21Bには、図6〜9において、収容溝21Mbを取り囲む略四角形状の内周面のうち、上下2面である短辺側であって、かつ、第1支持部材21Aの当接部21Taが収容されている下面とは反対の上面部分(当接部21Tb)に、バネ室BRに向けて傾斜するテーパを設けた状態の、上述した庇状の挿入ガイド片G2が設置されている。
【0039】
さらに、第2支持部材21Bには、図6〜9及び図10に示すように、収容溝21Mbを取り囲む内周面のうち、長辺側の左右両側2面全体に亘って、互いに接近する方向に突出するとともにバネ室BRに向けて傾斜した斜面状態で、上述したガイド面G3が形成されている。
【0040】
次に、このように構成された本実施形態の指針組付構造を用いたセンターレス指針式表示装置10の指針部21にスプリング21Sを取り付ける作業方法について、主に図7〜図11を参照しながら詳細に説明する。
【0041】
(1)図3に示すように、予め、ガイドレール22Rの凸部22T1に一対の上プーリ21P1を係合させるとともに、ワイヤ固定溝21Wにワイヤ22W(図4)が食い込み固定されている状態まで、指針部21側の第1支持部材21Aを搬送部22側に組付けておく。
【0042】
(2)その後に、第1支持部材21Aに対して、図7に示す第2支持部材21Bを、図8に示すようにスライドさせながら挿入し組付けていく。この際、第1支持部材21Aの当接部21Taが障害となって、このままの状態ではバネ室BRを取り囲む壁面のうち特に挿入ガイド片G2を設けている壁面(この壁面は、図7ではWで示す、前述の第2支持部材21Bでの当接部21Tbの外側面を構成する)に衝突して挿入できないので、これを回避するために、以下のような作業を先に行う。
【0043】
(3)即ち、図7において、第1支持部材21Aに対して第2支持部材21Bを、予め、ラインL1がラインL2と重なる直前の真上のところまで移動させてきておき、その後、第2支持部材21Bを第1支持部材21Aに向けて真っ直ぐに降下させる。これにより、第2支持部材21Bの内側面(図8では下面に位置する)に開口した収容溝21Mbからバネ室BR内部に第1支持部材21Aの当接部21Taを潜り込ませておいてから、第2支持部材21BをラインL2がラインL1に達するまで水平移動(図7では紙面に平行に移動)させる。これにより、第1支持部材21Aのスライド溝SL(図7、10参照)に第2支持部材21Bをスライドさせながら嵌め込んで組付けていく。
【0044】
(4)このようにして、図8に示すように、第1支持部材21Aに対して第2支持部材21Bを嵌め込んだならば、次に、第1支持部材21Aの収容溝21Maと第2支持部材21Bの収容溝21Mbの奥のバネ室BRと間の空間にスプリング21Sを収容し、かつ第1支持部材21Aの当接部21Taと第2支持部材21Bの当接部21Tbとの間にスプリング21Sの下部と上部の両端部まで収まるように収容する。このような状態でスプリング21Sを収容させるには、下記のような作業を行うことで、簡単にスプリング21Sを上記のような収容状態とすることができる。
【0045】
(5)即ち、図8に示す配置状態で、第2支持部材21Bの表側に開口する収容溝21Mbから、図9に示すように、スプリング21Sを圧縮させるのと同時に変形させて押し込ませて挿入させる。つまり、図10(A)及び図11(A)に示すように、収容溝21Mbの開口形状に倣って、スプリング21Sを同じような斜め形状に変形させながら、同時に圧縮させながら、挿入させる。このようにして、図10(B)に示すように、収容溝21Mbからスプリング21Sを収容溝21Mbの奥のバネ室BRに押し込ませると、第1支持部材21Aの収容溝21Maと第2支持部材21Bの収容溝21Mbの奥のバネ室BRと間の空間は、十分な広さを確保してあるので、その空間部分に入り込んだスプリング21Sは、自身の復元力でもとの断面真円の状態で、かつ、自然長に戻ったものとの長さに自然に復帰する。
【0046】
これにより、スプリング21Sの一端(図9では上端)が第2支持部材21Bの収容溝21Mbの奥のバネ室BRの内壁(図9のWで示す外壁面とは対峙する内壁面、つまり当接部21Tb)を押圧するとともに、スプリング21Sの他端(図9では下端)が第1支持部材21Aの当接部21Taの壁面W´を押圧する。その結果、第1支持部材21Aと第2支持部材21Bとの間には、双方を接近させようとする方向に、スプリング21Sの弾性力が作用する。これにより、第2支持部材21B側に設けた下プーリ21P2がガイドレール22Rを確実に圧接させることができる。
【0047】
このように、本実施形態の指針組付構造によれば、組付け後の該第1支持部材と第2支持部材の間に、スプリング21Sを容易に装着させることができるようになる。その結果、このスプリング21Sは、上述したように、第1支持部材21Aに一体に組付ける第2支持部材21Bを、第1支持部材21Aに対して弾性的に圧接させた状態で保持させることができる。そのため、この弾性力によって、プーリ21P2をガイドレール22Rの凸部22T2に密着状態で当接させることができる。換言すれば、上プーリ21P1と下プーリ21P2は、常時互いに接近する方向に付勢されるようになるわけである。
【符号の説明】
【0048】
10 センターレス指針式表示装置
20 指針移動装置
21 指針部
21A 第1支持部材
21B 第2支持部材
21C 指針
21K 指針固定部
21L 固定用開口部
21Ma (第1支持部材21Aの)収容溝
21Mb (第2支持部材21Bの)収容溝(開口部)
21P1、21P2 プーリ
21Q1、21Q2 プーリ軸支持部
21S スプリング(コイルスプリング)
21Ta (第1支持部材21Aの)当接部
21Tb (第2支持部材21Bの)当接部
21W ワイヤ固定溝
21Z 支持部材
22 搬送部
22C テンション部品収容ケース
22P 巻き戻しプーリ
22R ガイドレール
22W ワイヤ
30 収納ケース
31 ケース本体
32 目盛板
BR バネ室
G1 挿入ガイド片
G2 挿入ガイド片
G3 ガイド面
SL スライド溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
指針を支持する第1支持部材と、この第1支持部材にスプリングを介して組付けることで前記第1支持部材との間に弾性力を常時付勢させる第2支持部材と、を備えた指針組付構造であって、
前記第2支持部材には、前記第1支持部材に組付け後の該第1支持部材との間に形成される前記スプリングを収容するバネ室と連通し、そのスプリングを差し込み可能な開口部が、前記第1支持部材に対面する内面側とは反対の外面側に形成され、
前記第1支持部材には、前記第2支持部材に組付け後の該第2支持部材との間に形成される前記バネ室内に位置する当接部が形成され、
前記バネ室に収容された前記スプリングが前記バネ室の内壁と前記当接部を押圧することによって、前記第1支持部材と前記第2支持部材との間に弾性力が付勢される、
ことを特徴とする指針組付構造。
【請求項2】
前記第2支持部材の前記開口部周囲には、前記スプリングを縮め斜めに変形させた状態で前記バネ室に差し込み可能にガイドする、前記バネ室に向かって傾斜した庇状のガイドが形成され、
前記第1支持部材の前記当接部には、前記スプリングを縮め斜めに変形させた状態で前記バネ室に差し込み可能にガイドする、前記バネ室に向かって傾斜した庇状のガイドが形成される、
ことを特徴とする請求項1に記載の指針組付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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