説明

指針部材、指針ユニット、及び、指針計器

【課題】指示部の先端の輝度低下を防止できる指針部材、その指針部材を有する指針ユニット、及び、その指針ユニットを有する指針計器を提供する。
【解決手段】指針本体31は、透光性材料からなり、光源からの光を受光する基部と、基部の一端から指示方向S1に伸長された指示部51を備えた指針部50と、基部で受光された光を指示部51の先端51b方向に反射するように指針部50に設けられた中空状反射部と、を有している。そして、基部側と反対側に向けられた指示部51の上面51aには、当該上面51aから出光される光を拡散させる拡散層53aが指示部51の先端51bから帯状に設けられ、拡散層53aの幅が、指示部51の上面51aの幅より狭くなるように形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源の光を受けて光輝する透光性材料からなる指針部材、この指針部材を有する指針ユニット、及び、この指針ユニットを有する指針計器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に車両には、車両速度及びエンジン回転数等の計測値を表示する車両用表示装置が搭載されており、多くの車両において上記車両用表示装置が指針計器で構成されている。指針計器は、表面に目盛及び数字、文字または記号等の指標が設けられた文字板と、この文字板の前面側に配置されて文字板上の指標を指し示す指針ユニットと、指針ユニットが取り付けられた指針軸を計測量に応じて回動させる駆動装置と、回路パターンや電子部品等が設けられるとともに駆動装置が固定された配線板と、をメータケースに収容して構成している。
【0003】
そして、このような指針計器に設けられた指針ユニットを暗所においても見やすくするために、指針ユニットを構成する指針部材を、透光性材料としての透光性の合成樹脂で形成するとともに、指針部材内に光源からの光を導光させて指針部材を光輝させる技術が種々開示されている。そして、特許文献1などに示す発光指針は、光源からの光の一部を指針の先端方向に向けて反射させる反射面を備えた中空状反射部を有して構成されている。
【0004】
例えば、図10に一部を示す指針計器901は、文字板902と、指針ユニットとしての自発光指針903と、測定量に応じて回動される指針軸914を備えた駆動装置904と、配線板905と、光源906と、を有している。自発光指針903は、透光性の合成樹脂により一体成形された基部940と指針部950とを有する指針部材としての指針本体931と、指針本体931を覆うとともに指針部950の上面953を視認者に向けて露出させるためのスリット971が設けられたカバー部材932と、を備えている。この指針本体931は、基部940で受光した光を指針部950に導光してこの指針部950の上面953から視認者に向けて出光させることにより、指針部950の上面953がカバー部材932のスリット971を通じて発光視認される。
【0005】
指針本体931の基部940は、導光部材を兼ねた指針軸914の先端に取り付けられる円筒状の基部本体941と、指針軸914によって導かれた光源906の光Lを受光する受光部942と、が設けられている。指針本体931の指針部950は、指針軸914の軸心Pを境界として、当該軸心Pに交差する指示方向S1及びその反対の後端方向S2にそれぞれ伸長された指示部951及び後方部952が設けられている。また、図11に示すように、指針部950の上面953(即ち、指示部951の上面951a及び後方部952の上面952a)から出光する光を拡散させるようにホットスタンプ等によって形成された拡散層953aが、上面953全体に重ねて設けられている。また、基部本体941の上端941a近傍の指針部950内には、指針部950を幅方向(図10の手前−奥方向)に貫通する中空状反射部960が設けられている。
【0006】
この中空状反射部960は、指示方向反射面961と、後端方向反射面962と、透過面963と、からなる略二等辺三角形状に形成されている。また、指示方向反射面961と後端方向反射面962とが交差して形成された角部960aが、基部940の受光部942に対向して配置されている。図12に示すように、指示方向反射面961は、受光部942で受光された光Lの一部L1を指示方向S1(図12の左方向)に反射し且つ当該光Lの他の一部L3を透過面963側に透過する。また、後端方向反射面962は、受光部942で受光された光Lの一部L2を後端方向S2(図12の右方向)に反射し且つ当該光Lの他の一部L3を透過面963側に透過する。また、この中空状反射部960内には、光を透過散乱させる拡散剤入りの合成樹脂等からなる中空状反射部960と略同形状に形成された光拡散部材970が設けられている。
【0007】
そして、上記光L1は指示部951内を指示方向S1に向けて進むとともに指示部951の上面951aから出光し、上記光L2は後方部952内を後端方向S2に向けて進むとともに後方部952の上面952aから出光し、上記光L3は、光拡散部材970で拡散されて中空状反射部960上方の上面951a及び上面952aなどから出光し、つまり、指針本体931は、指針部950内を導光された光が、指針部950の上面953全体から出光するとともに拡散層953aで拡散されて、上面953が発光視認されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実開平6−12995号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述した指針本体931においては、指針部950の上面953全体に拡散層953aが設けられているので、図12、図13に示すように、指針部950内を進む光が上面953に入射すると、多くの光成分が上面953から出光して拡散層953aで複数方向に拡散され、そのため、上面953によって光の進行方向(指示方向S1及び後端方向S2)に反射される光成分が少なくなってしまい、特に、指示部951は長尺のためにその先端951bまで十分に光が届かず、指示部951の先端951b近傍の上面951aから出光される光の輝度が低下して、他の部分より暗くなってしまうという問題があった。また、上面953から出光しても、カバー部材932によって遮られてスリット971から外部に出られない光もあり、光の利用効率が悪かった。
【0010】
本発明は、上記課題に係る問題を解決することを目的としている。即ち、本発明は、指示部の先端の輝度低下を防止できる指針部材、その指針部材を有する指針ユニット、及び、その指針ユニットを有する指針計器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載された発明は、上記目的を達成するために、光源からの光を受光する基部と、前記基部の一端から指示方向に伸長された指示部を備えた指針部と、前記基部で受光された光を前記指示部の先端方向に反射するように前記指針部に設けられた反射部と、を有する透光性材料からなる指針部材において、前記基部側と反対側に向けられた前記指示部の上面には、当該上面から出光される光を拡散させる拡散層が前記指示部の先端から帯状に設けられ、前記拡散層の幅が、前記指示部の上面の幅より狭くなるように形成されていることを特徴とする指針部材である。
【0012】
請求項2に記載された発明は、上記目的を達成するために、請求項1に記載の指針部材と、前記指針部材の指針部を覆うとともに前記指示部の上面に設けられた拡散層を露出させるスリットが設けられたカバー部材と、を有することを特徴とする指針ユニットである。
【0013】
請求項3に記載された発明は、上記目的を達成するために、請求項2に記載の指針ユニットと、前記指針ユニットが取り付けられた指針軸を計測量に応じて回動させる駆動装置と、前記指針ユニットの指針部材に受光される光を発する光源と、を有することを特徴とする指針計器である。
【0014】
本発明によれば、基部側と反対側に向けられた指示部の上面には、当該上面から出光される光を拡散させる拡散層が指示部の先端から帯状に設けられ、拡散層の幅が、指示部の上面の幅より狭くなるように形成されているので、指示部の上面には、拡散層が設けられた帯状の第1領域と、第1領域の幅方向両端の少なくとも一方に隣接された拡散層が設けられていない第2領域と、が形成されている。
【0015】
指示部内を先端方向に向けて進む光は互いに異なる複数方向に進む光成分を含んでいる。そして、当該光が指示部の上面の第1領域に入射すると、一部の光成分は透過散乱光として上面から出射され、他の一部の光成分は底面方向に向かって拡散反射される。また、当該光が指示部の上面の第2領域に入射すると、全反射条件を満たさない一部の光成分は透過光として上面から出射され、全反射条件を満たす他の一部の光成分は全反射されて先端方向に向かって反射される。
【0016】
つまり、第1領域については、入射した光成分が拡散反射されるので先端方向に向けて進む光成分が少なくなるが、第2領域については、入射した光成分が全反射されるので先端方向に向けて進む光成分のロスが小さく、つまり、当該第2領域に入射する前の強度を保ったまま反射される。そのため、第1領域の輝度を低下させることなく、第2領域によって、指示部内を先端方向に向けて進む光の一部光成分を、当該第2領域に入射する前の強度を保ったまま反射して先端まで導くことができる。
【発明の効果】
【0017】
以上より、本発明によれば、指示部の上面には、拡散層が設けられた帯状の第1領域と、第1領域の幅方向両端の少なくとも一方に隣接された拡散層が設けられていない第2領域と、が形成されているので、指示部内を先端方向に進む光が指示部の上面の第2領域に入射すると、当該第2領域に入射した光の一部光成分が強度を保ったまま先端方向に向けて反射され、そのため、指示部の先端まで光を導光することができ、指示部の先端近傍に生じる暗部を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の指針計器の一実施形態である車両用表示装置の断面図である。
【図2】図1の車両用表示装置が備える自発光指針(指針ユニット)の分解立体図である。
【図3】(a)は、図2の自発光指針の指針本体を斜め方向から見た部分透視図であり、(b)は、指針本体の指針部を幅方向から見た部分側面図である。
【図4】(a)は、図2の指針本体の指針部の上面に設けられた拡散層の形状を示す上面図であり、(b)〜(e)は、(a)の拡散層の変形例の構成を示す上面図である。
【図5】図3の指針本体の指針部内を進む光を模式的に示す図である。
【図6】図5のX−X線に沿う断面図である。
【図7】図3の指針本体の指示部の上面の変形例を示す断面図である。
【図8】図3の指針本体の変形例を示す図である。
【図9】図2の自発光指針の変形例の構成を示す部分断面図である。
【図10】従来の指針計器及び自発光指針の構成を示す図である。
【図11】図10の自発光指針の指針本体の指針部の上面に設けられた拡散層の形状を示す上面図である。
【図12】図10の自発光指針の指針本体の指針部内を進む光を模式的に示す図である。
【図13】図10のY−Y線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る指針計器の一実施形態である車両用表示装置について、図1〜図8を参照して説明する。
【0020】
図1において、車両用表示装置1は、例えば、車両速度を表示する速度メータであり、表面2a(視認者から視認される面)に目盛及び数字、文字または記号等の指標が設けられた文字板2と、この文字板2の表面2a上に配置される指針ユニットとしての自発光指針(以下、指針ともいう)3と、指針3が先端に取り付けられる指針軸14を備えた駆動装置4と、回路パターンや電子部品等が設けられ且つ駆動装置4が固定された配線板5と、配線板5に設けられた複数の光源6と、配線板5の中央から文字板2の縁部に向かうように形成されたテーパ部7aを有するケース7と、配線板5の裏面側を覆う裏カバー8と、表ガラス9と、を有している。
【0021】
文字板2は、例えば、ポリカーボネートなどの透明又は半透明の合成樹脂などからなる、略円板状に形成された部材であり、文字板2の表面2aには、それぞれ図示しない遮光インクが印刷された遮光領域と、文字や目盛等の形状に沿って遮光インクを抜いて(遮光インクを印刷しないようにして)形成された透光性意匠としての指標が設けられている。各指標は、後述する光源6によって文字板2の裏面側から照らされることにより発光視認される。
【0022】
指針3は、文字板2の表面2a側に配置されて、文字板2に設けられた各指標を指示することによりこれら各指標と協働して計測量を表示する。指針3は、図2に示すように、指針部材としての指針本体31と、該指針本体31を覆う不透明な合成樹脂からなるカバー部材32と、カバー部材32内に設けられて指針3のバランスを調整するバランス部材39と、を有している。
【0023】
指針本体31は、図3(a)、(b)に示すように、例えば、ポリカーボネート樹脂やアクリル樹脂など、透光性材料としての透光性の合成樹脂を用いて一体に形成された基部40と指針部50とを有している。
【0024】
基部40は、円筒状の基部本体41と、基部本体41の内側で上端41a近傍に設けられた受光部42と、を有している。基部本体41は、その下端41bに指針軸14の先端が挿入嵌合されることにより、当該指針軸14に同軸に固定して取り付けられる。つまり、基部本体41の中心は、指針軸14の軸心Pに一致する。受光部42は、基部本体41の内側と同一の円形で且つ平面状に形成されており、基部本体41に指針軸14が嵌合されたとき、指針軸14の先端の端面14aと間隔をあけて相対して配置される。勿論、受光部42の形状は、平面状に限定されるものではなく、曲面状や複数の面が組み合わされた形状など、光源の光を受光可能な形状であればよい。また、受光部42は、指針軸14の端面14aと密着して配置されていてもよい。
【0025】
指針部50は、基部本体41の上端41a(即ち、基部40の一端)に連接して設けられており、指針軸14の軸心Pを境界として上端41aから当該軸心Pに直角(略直角含む)に交差する一方向(即ち、指示方向S1)に伸長された指示部51と、前記一方向と反対の他方向(即ち、後端方向S2)に指示部51より短く伸長された後方部52と、を有している。即ち、指針部50は、基部本体41の上端41aから指示方向S1及び後端方向S2のそれぞれに伸長されている。指示方向S1及び後端方向S2は、指針軸14の半径方向に一致(略一致含む)する。指示方向S1及び後端方向S2は、指針部50の長手方向でもある。また、指針部50には、反射部としての中空状反射部60が設けられている。
【0026】
基部40側に向けられた指針部50の表面である底面54には、指針部50内から当該底面54に入射した光を反射するように、ホットスタンプ等によって白色又は銀色などに着色して形成された反射層54aが重ねて設けられている。または、反射層54aを設けない構成でもよい。以下の説明において、「底面54」との記載は、反射層54aを含む指針部50における基部40側の表面のことを表す。
【0027】
底面54と反対側の指針部50の表面である上面53には、当該上面53から出光する光を拡散させるように、ホットスタンプ等によって赤色などに着色して形成された拡散層53aが重ねて設けられている。
【0028】
拡散層53aは、図4(a)に示すように、その幅が指針部50の上面53の幅より狭く形成されている。また、拡散層53aは、上面53の幅方向中央の箇所に当該上面53の全長にわたって形成されている。これにより、上面53には、拡散層53aが設けられた帯状の第1領域R1と、第1領域の両側に上面53の長手方向の全長にわたって設けられた拡散層53aのない帯状の第2領域R2と、が形成されている。なお、これ以外にも、図4(b)に示すように、拡散層53aの幅を、指針部50の指示部51の上面51aのみ当該上面51aの幅より狭くして形成してもよい。または、図4(c)〜(e)に示すように指針3のデザインなどに応じて形成されていてもよい。拡散層53a(即ち、第1領域R1)は、後述するカバー部材32に設けられたスリット71を通じて視認者Hに視認可能な上面53の範囲に少なくとも設けられていればよく、上述の第1領域R1と第2領域R2とは、例えば、自発光指針3のデザインなどに応じて、その大きさや配置などが適宜設定されている。また、反射層54a及び拡散層53aについては、上述した構成以外にも、底面54及び上面53に、シボや微細プリズム構造などを形成することによって反射層54a及び拡散層53aを形成してもよい。また、本実施形態では、指示部51側の底面54のみ反射層54aが設けられているが、後方部51側の底面54にも同様の反射層54aを設けてもよい。
【0029】
中空状反射部60は、図3(a)、(b)に示すように、基部本体41の上端41a近傍の指針部50内に基部40の受光部42と対向して設けられている。中空状反射部60は、指示方向反射面61、後端方向反射面62、透過面63を有し、指針部50を幅方向(図3(b)の手前−奥方向)に貫通する略二等辺三角形状に形成されている。
【0030】
指示方向反射面61は、平面状に形成されており、図中下方寄りの一端が基部40近傍に配置され、この一端から指示方向S1(図3(b)の左方向)に向かうにしたがって、基部40から指針軸14の軸心P方向(図3(b)の上方向)に徐々に離れるように傾斜して形成されている。これにより、指示方向反射面61は、受光部42で受光された光Lの一部L1を指示方向S1(即ち、指示部51の先端51b方向)に反射し、当該光Lの他の一部L3を透過面63側に透過する。
【0031】
後端方向反射面62は、平面状に形成されており、一端が指示方向反射面61の上記一端に連接され、この一端から後端方向S2(図3(b)の右方向)に向かうにしたがって、基部40から指針軸14の軸心P方向(図3(b)の上方向)に徐々に離れるように傾斜して形成されている。つまり、後端方向反射面62は、指示方向反射面61に交差して連接されている。これにより、後端方向反射面62は、受光部42で受光された光Lの一部L2を後端方向S2に反射し、当該光Lの他の一部L3を透過面63側に透過する。また、指示方向反射面61と後端方向反射面62とが交差して形成される角部60aが、指針軸14の軸心P上で且つ基部40の受光部42に向けて配置されている。勿論、角部60aの配置は、指針軸14の軸心P上に限定されるものではなく、軸心Pから指示方向S1側又は後端方向S2側にずれて配置されていてもよい。
【0032】
透過面63は、平面状に形成されており、指針部50の上面53に対向して略平行に配置されている。一端が指示方向反射面61の図中上方寄りの他端に当該指示方向反射面61と交わるように連接され、他端が後端方向反射面62の図中上方寄りの他端に当該後端方向反射面62と交わるように連接されている。透過面63は、透過面63の指針部50の長手方向の中心が、指針軸14の軸心P上に配置されている。勿論、透過面63は上面53と略平行でなくてもよく、その配置も上記記載の場合のみに限定されるものではない。
【0033】
指針本体31は、基部40の受光部42で受光された光を、中空状反射部60で反射及び透過して指針部50内を導光して、指針部50の上面53から出光させる。これにより、指針部50の上面53が発光して、当該上面53がカバー部材32のスリット71を通じて発光視認される。
【0034】
カバー部材32は、図2に示すように、上下に分割された上部カバー33と下部カバー38とを有している。
【0035】
上部カバー33は、指針本体31の指針部50の外形に合わせて後端34bから先端34aに向かって徐々に細くなる略角筒状に形成された第1カバー部34と、指針本体31の基部40周辺を覆う円形皿状に形成された第2カバー部35と、を有している。第1カバー部34と第2カバー部35とは図中下方に向けて開口しており、この開口から上記指針本体31の指針部50が内側に収容される。
【0036】
第1カバー部34の上壁部34cには、後端34bから先端34aまで伸びるスリット71が設けられている。このスリット71は、指針本体31とカバー部材32とが組み付けられたとき、指針本体31の指針部50の上面53をその長手方向全体にわたって一直線状に露出させるように形成されている。つまり、スリット71は、指針部50の長手方向に沿って形成されている。スリット71の幅は、指針部50の上面53の幅より狭く形成されている。なお、スリット71の長さ及び幅は、指針3のデザイン等に応じて任意に設計することができる。また、第2カバー部35の内面には、図中下方に向けて突出して形成され、下部カバー38の一対の嵌合孔38dに嵌合する一対のボス(図示せず)が設けられている。
【0037】
下部カバー38は、上部カバー33の第2カバー部35の開口形状に合わせて形成された円環板形状の第1蓋部38aと、上部カバー33の第1カバー部34の先端側の部分の開口形状に合わせて形成された、第1蓋部38aからその半径方向に延びる帯状の第2蓋部38bと、第1蓋部38aに設けられて指針本体31の基部40が貫通される貫通部38cと、上記上部カバー33の一対のボスに対応して第1蓋部38aに設けられた一対の嵌合孔38dと、バランス部材39が取り付けられる取付ボス38eと、を有している。下部カバー38は、上部カバー33に組み付けられることで第1カバー部34及び第2カバー部35の開口を塞ぎ、上部カバー33とともに指針本体31の指針部50を収容する空間を形成する。そして、この収容空間に指針本体31の指針部50が収容されることで、指針部50の底面54等の表面から出光した光が文字板2等を照らすことを防止できる。
【0038】
バランス部材39は、指針本体31の指針部50を考慮して設定された重量に形成されており、カバー部材32の下部カバー38に設けられた取付ボス38eに嵌合される嵌合孔39aを有している。バランス部材39は取付ボス38eによって位置決めされてカバー部材32内に収容される。
【0039】
このように構成された指針3は、例えば、以下のように組み立てられる。まず、下部カバー38の貫通部38cに指針本体31の基部40を貫通させて、下部カバー38に指針本体31をセットすると共に、下部カバー38にバランス部材39をセットする。そして、上部カバー33を、指針本体31の指針部50の上面53側から指針本体31を覆うように近づけて被せ、上部カバー33の第2カバー内に設けられた一対のボスと下部カバー38の一対の嵌合孔38dとを嵌合させることで、上部カバー33と下部カバー38とを互いに固定して指針本体31をカバー部材32内に収容して、組み付けが完了する。
【0040】
駆動装置4は、周知のステッピングモータであって、ポリカーボネート樹脂などの透光性の合成樹脂などで略円柱状に形成された指針軸14と、指針軸14を回動可能に軸支するとともに図示しない速度センサによる速度計測量に応じてステッピングモータの原理で指針軸14を回動させる本体部15と、を有している。後述する配線板5に重ねて配置される本体部15の底面15aには凹部15bが設けられており、この凹部15b内に指針軸14の図中下方の端面14bが露出されている。図中上方の指針軸14の先端には、上述した指針本体31の基部40が取り付けられる。指針軸14は、指針本体31を回動させるとともに導光部材として基部40に光を導くように構成されている。
【0041】
配線板5は、電子部品及びこれら電子部品等を電気的に接続する配線パターンなどが設けられた周知のプリント基板である。配線板5の文字板2側の表面には駆動装置4と複数の光源6とが実装されている。
【0042】
複数の光源6は、LED、バルブ等が用いられ、配線板5に設けられた図示しない制御部によって点灯、消灯が制御される。複数の光源6は、文字板2の指標や指針3の指針本体31等を発光させるための光を発する。また、複数の光源6のうちの1つが、駆動装置4の本体部15の凹部15b内に指針軸14の端面14bと相対して配置されている。これにより、指針軸14は、光源6からこの端面14bに入光された光を導光して先端の端面14aから出光する。
【0043】
ケース7は、テーパ部7aの表面であるテーパ面が反射面となっており、光源6が発した光を文字板2に向けて反射する。これにより、文字板2の表面2aに設けられた各指標が発光する。裏カバー8は、配線板5の背後を覆うようにケース7に組み付けられる。表ガラス9は、文字板2や指針3等をそれぞれ覆うように配設されて、係止爪などの図示しない固定手段によって見返し10を介してケース7に取り付けられる。裏カバー8及び表ガラス9は、車両用表示装置1内に、塵埃などが侵入することを防ぐ。
【0044】
次に、上述した構成の本発明に係る指針(自発光指針)3における動作(作用)の一例を、図5、図6を参照して説明する。各図において、指針本体31内に記載された矢印は指針本体31に導光された光の進行方向を模式的に示している。
【0045】
本実施形態において、指針本体31には、指示方向反射面61、後端方向反射面62及び透過面63からなる中空状反射部60が設けられている。また、指示方向反射面61と後端方向反射面62とが交差して形成された角部60aが、基部40の受光部42に対向して配置されている。また、指針部50の上面53(即ち、指示部51の上面51a及び後方部52の上面52a)には、カバー部材32のスリット71に対応して、上面53の幅方向中央に全長にわたって帯状の拡散層53aが設けられており、これにより、上面53には、帯状の拡散層53aが設けられた第1領域R1と、第1領域の両側に上面の長手方向にわたって設けられた拡散層53aのない第2領域R2と、が形成されている。
【0046】
図5に示すように、指示方向反射面61は、受光部42で受光された光Lの一部L1を指示方向S1(図5の左方向)に反射する。そして、上記光L1は指示部51内を指示方向S1に向けて進むとともに指示部51の上面51aから出光する。
【0047】
指示部51内を先端51b方向に向けて進む光は互いに異なる複数方向に進む光成分を含んでいる。そして、当該光が指示部51の上面51aの第1領域R1に入射すると、一部の光成分透過散乱光として上面51aから出射され、他の一部の光成分は底面54方向に向かって拡散反射される。また、当該光が指示部51の上面51aの第2領域R2に入射すると、全反射条件を満たさない一部の光成分は透過光として上面51aから出射され、全反射条件を満たす他の一部の光成分は全反射されて先端51b方向に向かって反射される。
【0048】
つまり、第1領域R1については、入射した光成分が拡散反射されるので先端51b方向に向けて進む光成分が少なくなるが、第2領域R2については、入射した光成分が全反射されるので先端51b方向に向けて進む光成分のロスが小さく、つまり、当該第2領域R1に入射する前の強度を保ったまま反射される。そのため、スリット71を通じて視認される第1領域R1の輝度を低下させることなく、第2領域R2によって、指示部51内を先端51b方向に向けて進む光L1の一部光成分を、当該第2領域R2に入射する前の強度を保ったまま反射して先端51bまで導くことができる。
【0049】
以上より、本発明によれば、指示部51の上面51aには、拡散層53aが設けられた帯状の第1領域R1と、第1領域R1の幅方向両端に隣接された拡散層53aが設けられていない第2領域R2と、が形成されているので、指示部51内を先端51b方向に進む光が指示部51の上面51aの第2領域R2に入射すると、当該第2領域R2に入射した光L1の一部光成分が強度を保ったまま先端51b方向に向けて反射されて、そのため、このような第2領域R2を備えない構成に比べてより多くの光を指示部51の先端51bまで導光することができ、指示部51の先端51b近傍に生じる暗部を防止できる。また、スリット71を通じて視認されない第2領域R2において、指示部51内を進む光L1を反射して先端51bまで導くことで、光の利用効率を高めることができる。
【0050】
上述した本実施形態において、図6に示すように、略平面状に形成された指示部51の上面51aに帯状の拡散層53aを設けることにより、第1領域R1と第2領域R2とを形成しているものであったが、これに限定されるものではなく、例えば、図7に示すように、指示部51の上面51aの幅方向(図7の左右方向)の両端部に、中央部より低い(底面54寄りの)段部を設けて、中央部のみに拡散層53aを設けて第1領域R1とし、両方の段部を第2領域としてもよい。このように段差を設けて第1領域R1と第2領域R2とを分けることで、拡散層53aが設けられた第1領域R1に容易に形成することができる。
【0051】
また、本実施形態において、中空状反射部60内を空間としていたが、これに限定されるものではなく、中空状反射部60内に、光を透過散乱させる拡散剤入りの合成樹脂等を用いて中空状反射部60と略同形状に形成された光拡散部品70を設けてもよい。このようにすることで、指示方向反射面61及び後端方向反射面62を透過した光L3を拡散させることができ、指針部50の上面53における輝度ムラをさらに防ぐことができる。
【0052】
また、本実施形態では、指針本体31は、指示方向S1に伸長された指示部51と、後端方向S2に伸長された後方部52と、を備えた指針部50を有するものであったが、これに限定されるものではなく、例えば、図8に示すように、指針部50Aが指示部51のみを備え、この指示部51の上面53に、帯状の拡散層53aが設けられた第1領域R1と、拡散層53aが設けられていない第2領域R2と、が形成された構成の指針本体31Aであってもよい。
【0053】
また、本実施形態において、車両用表示装置1、自発光指針3及び指針本体31の各部の構成及び動作を説明するために使用される上、下、左、右、前、後等の方向を示す表現は、絶対的なものでなく相対的なものであり、車両用表示装置1、自発光指針3及び指針本体31又はその部品が図に示される姿勢である場合に適切であるが、それらの姿勢が変化した場合には、姿勢の変化に応じて変更して解釈されるべきものである。
【0054】
また、中空状反射部60の形状は、上述した構成に限定されるものではなく、例えば、中空状反射部が、平面状の指示方向反射面、平面状の後端方向反射面、及び、指針部の上面側に向けて張り出して湾曲した曲面状の透過面からなる扇形状であったり、三角形以外の多角形形状であったりするなど、中空状反射部60などの反射部は、少なくとも基部40の受光面42で受光された光を指示部51の先端51b方向に反射するように指針部50に設けられていれば、本発明の目的に反しない限り、それら形状は任意である。また、指示方向反射面61、後端方向反射面62及び透過面63の形状は、上述した構成に限定されるものではなく、これら各面は、平面、曲面、非球面またはそれらを複合した面や、複数の面で構成されていてもよく、本発明の目的に反しない限り、その形状は任意である。
【0055】
また、本実施形態において、基部40は、指針軸14に取り付けられる基部本体41と、指針軸14に導光された光源6の光を受光する受光部42と、で構成されているものであったが、これに限定されるものではない。例えば、図9に示すように、下部カバー38に、上記基部本体41に代替して指針軸14に取り付けられる円筒状の軸受け部38fを設けて、指針本体31の基部40を受光部42のみで構成するなど、指針本体(指針部材)の基部は、少なくとも光源からの光を受光する受光部を備えているものであれば、その構成は任意である。
【0056】
また、本実施形態では、速度メータとしての車両用表示装置について説明するものであったが、これに限定されるものではなく、例えば、速度メータ以外にもエンジン回転計や燃料計などに適用されてもよく、または、工場などにおいて気体圧力や温度などの計測に用いられる計器など車両用表示装置以外の工業用計器装置等に用いられてもよく、本発明の目的に反しない限り、その適用用途及び適用装置は任意である。
【0057】
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0058】
1、1A 車両用表示装置(指針計器)
3 自発光指針(指針ユニット)
4 駆動装置
6 光源
14 指針軸
31、31A 指針本体(指針部材)
32 カバー部材
40 基部
41 基部本体
41a 基部本体の上端(基部の一端)
42 受光部
50、50A 指針部
51 指示部
51a 指示部の上面
51b 指示部の先端
52 後方部
52a 後方部の上面
53 指針部の上面
53a 拡散層
54 指針部の底面
60 中空状反射部(反射部)
61 指示方向反射面
62 後端方向反射面
63 透過面
60a 指示方向反射面と後端方向反射面が交差して形成される角部
71 スリット
S1 指示方向
S2 後端方向
R1 指針部の上面における拡散層53aが設けられた第1領域
R2 指針部の上面における拡散層53aが設けられていない第2領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源からの光を受光する基部と、前記基部の一端から指示方向に伸長された指示部を備えた指針部と、前記基部で受光された光を前記指示部の先端方向に反射するように前記指針部に設けられた反射部と、を有する透光性材料からなる指針部材において、
前記基部側と反対側に向けられた前記指示部の上面には、当該上面から出光される光を拡散させる拡散層が前記指示部の先端から帯状に設けられ、
前記拡散層の幅が、前記指示部の上面の幅より狭くなるように形成されている
ことを特徴とする指針部材。
【請求項2】
請求項1に記載の指針部材と、前記指針部材の指針部を覆うとともに前記指示部の上面に設けられた拡散層を露出させるスリットが設けられたカバー部材と、を有することを特徴とする指針ユニット。
【請求項3】
請求項2に記載の指針ユニットと、前記指針ユニットが取り付けられた指針軸を計測量に応じて回動させる駆動装置と、前記指針ユニットの指針部材に受光される光を発する光源と、を有することを特徴とする指針計器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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