説明

指針

【課題】導かれた光によって良好かつ均一に発光照明される指針を提供すること。
【解決手段】先端によって文字板上の数値または目盛りを指し示す指針16であって、先端に向かって延設された第1の指針部41と、先端に向かって延設された第2の指針部42と、を備え、第1の指針部41及び第2の指針部42は、第1の指針部41及び第2の指針部42が結合する先端における厚みが、結合する箇所に向かうにつれて薄くなっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用計器や船舶用計器、航空機用計器など各種乗物用の計器に用いられる指針に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動車等の各種乗物には、計器としてメータ装置が用いられている。このメータ装置には、光源からの光を指針へ導き、指針自体を発光照明させるものが知られている。
【0003】
図8に示すように、指針1自体を発光照明させるメータ装置2には、回転軸側の基端から複数の脚部3に分割されて間隔をあけて先端側へ延在され、図9に示すように、先端で互いに連結された指針1を有するものがある(例えば、特許文献1、2参照)。
【0004】
このメータ装置2では、光源からの光Lが指針1の基端でそれぞれの脚部3に導かれて先端側へ進むことにより、これらの脚部3を有する指針1が発光照明される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−514145号公報
【特許文献2】特開2009−523251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のメータ装置2では、図10に示すように、指針1の裏面側に反射板4が設けられており、指針1に導かれた光Lは、反射板4に反射して表面側へ出射し、良好に発光照明される。したがって、指針1を均一に発光照明させるには、反射板4に光Lを当てることが必要となる。
【0007】
ところで、先端での結合部5では、一方の脚部3内に導かれた光Lは、V字状に形成された結合部5の端面からなる傾斜面5aで反射して他方の脚部3側へ導かれる。しかし、この光Lは、反射板4で反射せずに他方の脚部3側へ通過してしまうため、結合部5では、表面側へ出射する光Lが少なくなり、よって、指針1の先端部における結合部5は、照明上暗部Dとなってしまい、見栄えが良くなかった。
【0008】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、導かれた光によって良好かつ均一に発光照明される指針を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述した目的を達成するために、本発明に係る指針は、下記(1)〜(3)を特徴としている。
(1) 先端によって文字板上の数値または目盛りを指し示す指針であって、
前記先端に向かって延設された第1の指針部と、
前記先端に向かって延設された第2の指針部と、
を備え、
前記第1の指針部及び前記第2の指針部は、前記第1の指針部及び前記第2の指針部が結合する前記先端における厚みが、結合する箇所に向かうにつれて薄くなっていること。
(2) 上記(1)の構成の指針において、前記第1の指針部と前記第2の指針部との結合部は、その表面が結合方向へ向かって裏面側へ傾斜したテーパ面からなる反射面を有すること。
(3) 上記(1)の構成の指針において、前記第1の指針部と前記第2の指針部との結合部は、その表面を円弧状に凹ませて円弧面を形成することにより、この円弧面が反射面とされていること。
【0010】
上記(1)の構成の指針では、第1の指針部及び第2の指針部が結合する先端における厚みが、結合する箇所に向かうにつれて薄くなっているので、第1の指針部及び第2の指針部に先端へ向かって導光させると、その光は、先端における表裏面で反射することとなる。これにより、結合した箇所に光を集光させることができ、その箇所での発光強度を高めることができる。よって、導光される基端から遠い第1の指針部及び第2の指針部の先端における結合部においても良好かつ均一に発光照明させることができ、見映えも良好なものとすることができる。
上記(2)の構成の指針では、第1の指針部側から第2の指針部側へ向かって導かれる光が、テーパ面からなる反射面で、裏面へ向かって照射される。同様に、第2の指針部側から第1の指針部側へ向かって導かれる光が、テーパ面からなる反射面で、裏面へ向かって照射される。そして、それぞれの裏面で反射した光が表面側へ良好に出射し、結合部における良好かつ均一な発光照明が得られる。
上記(3)の構成の指針では、第1の指針部側から第2の指針部側へ向かって導かれる光が、円弧面からなる反射面で、裏面へ向かって照射される。同様に、第2の指針部側から第1の指針部側へ向かって導かれる光が、円弧面からなる反射面で、裏面へ向かって照射される。そして、それぞれの裏面で反射した光を表面側へ良好に出射させて、結合部における良好かつ均一な発光照明を得ることができる。また、反射面を円弧面とすることにより、光を散乱させることができ、よって、一部への光の集中を抑えて輝度ムラを低減させることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、導かれた光によって良好かつ均一に発光照明される指針及びそれを備えたメータ装置を提供できる。
【0012】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本実施形態に係るメータ装置の外観を示す正面図である。
【図2】図2は、本実施形態に係るメータ装置の指針周辺における断面図である。
【図3】図3は、指針の形状を示す指針の平面図である。
【図4】図4は、指針の先端形状及び指針の先端における光の進路を示す指針先端の斜視図である。
【図5】図5は、指針の先端形状及び指針の先端における光の進路を示す指針先端の正面図である。
【図6】図6は、変形例に係る指針の先端形状及び指針の先端における光の進路を示す指針先端の正面図である。
【図7】図7は、変形例に係る指針の先端形状及び指針の先端における光の進路を示す指針先端の正面図である。
【図8】図8は、従来のメータ装置の正面図である。
【図9】図9は、従来の指針の先端形状及び指針の先端における光の進路を示す指針先端の斜視図である。
【図10】図10は、従来の指針の先端形状及び指針の先端における光の進路を示す指針先端の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る実施の形態の例を、図面を参照して説明する。
【0015】
図1は本実施形態に係るメータ装置の外観を示す正面図、図2は本実施形態に係るメータ装置の指針周辺における断面図、図3は指針の形状を示す指針の平面図、図4は指針の先端形状及び指針の先端における光の進路を示す指針先端の斜視図、図5は指針の先端形状及び指針の先端における光の進路を示す指針先端の正面図である。
【0016】
図1に示すように、本実施形態のメータ装置11は、自動車等の車両に設けられるものである。このメータ装置11は、指示計器12を備えており、ケース15によって周囲が囲われている。
【0017】
指示計器12は、文字板17が設けられている。この指示計器12は、車両速度を示す速度計とされており、文字板17には、車両速度を示す数字や目盛が表記されている。
【0018】
また、指示計器12には、文字板17の表面側に指針16が設けられており、この指針16の先端によって車両速度が指し示される。
【0019】
図2に示すように、メータ装置11には、背面側に基板21が設けられ、表面側に文字板17が設けられている。基板21には、ムーブメント23及び光源24が実装されている。
【0020】
ムーブメント23は、回転軸31を有しており、この回転軸31には、ムーブメント23の内部に設けられたステップモータ(図示略)の動力が減速ギア列(図示略)を介して伝達される。回転軸31には、指針16が固定されており、回転軸31が回動されることにより、これと一体の指針16が文字板17の表面に沿って回動され、よって、車両速度などの必要な各種情報が指針16で指し示される。
【0021】
基板21に実装された光源24は、回転軸31の一端側の端面と対向する位置に配置されている。この光源24は、可視光を出射するもので、例えば、LED(Light Emitting Diode;発光ダイオード)が用いられている。
【0022】
回転軸31は、導光性に優れた適宜の透光性(若しくは導光性)樹脂材料で成形されている。これにより、光源24からの光は、回転軸31の一端面から回転軸31内へ導かれる。
【0023】
指針16は、回転軸31に固定される基部35と、この基部35から延在する針部36とを有している。基部35には、回転軸31側に、嵌合凹部37が形成されており、この嵌合凹部37に回転軸31の他端部が嵌合されている。これにより、この指針16は、回転軸31に固定され、回転軸31の回動によって針部36が旋回される。また、この指針16には、その基部35における嵌合凹部37と反対側に、反射凹部38が形成されている。この反射凹部38の針部36側の側面38aは、光源24側へ傾いた傾斜面とされている。
【0024】
そして、回転軸31を通して指針16に導かれた光は、反射凹部38の側面38aに反射し、針部36側へ導かれる。
【0025】
図3に示すように、指針16は、回転軸31側の基部35から第1の指針部41及び第2の指針部42が先端側へ向かって延設されており、これらの第1の指針部41及び第2の指針部42から針部36が構成されている。これらの第1の指針部41及び第2の指針部42は、間隔をあけて先端側へ延在されて先端で結合されている。
【0026】
図4に示すように、第1の指針部41と第2の指針部42との先端における結合部45は、平面視で先端へ向かって次第に近接するように傾斜された一対の連結脚部46を有するV字状に形成されており、これらの連結脚部46の側面である結合部45の端面は、第1の指針部41及び第2の指針部42の延在方向に対して傾斜面47とされている。
【0027】
図5に示すように、結合部45は、連結脚部46の表面が、中央へ向かって次第に裏面側へ傾斜したテーパ面とされている。これにより、結合部45は、連結脚部46同士が結合する箇所である中央に向かうにつれて厚みが薄くなっている。そして、このテーパ面が反射面51とされている。
【0028】
また、上記形状の指針16には、その裏面側に、金属箔をホットスタンプすることにより反射板55が設けられている。
【0029】
次に、上記構成のメータ装置11の作用について説明する。
【0030】
光源24から出射する光Lは、光源24に対向する回転軸31の一端面から入射して回転軸31内に導かれる。回転軸31へ入射した光Lは、回転軸31を通過して回転軸31の他端面から出射する。
【0031】
この回転軸31の他端面から出射する光Lは、指針16の嵌合凹部37の底面から指針16内へ入射し、さらに、反射凹部38の側面38aで反射し、針部36側へ導かれる。
【0032】
指針16の針部36へ導かれた光Lは、針部36を構成する第1の指針部41及び第2の指針部42へ導かれ、これらの第1の指針部41及び第2の指針部42の表裏で反射を繰り返しながら先端へ向かって進む。このとき、第1の指針部41及び第2の指針部42の裏面側には反射板55が設けられているので、この反射板55で反射された光Lが表面側へ良好に出射する。これにより、第1の指針部41及び第2の指針部42では、良好かつ均一に発光照明されることとなる。
【0033】
また、結合部45では、第1の指針部41内に導かれた光Lは、V字状に形成された結合部45の端面からなる傾斜面47で反射して第2の指針部42側へ向かって導かれる。同様に、第2の指針部42内に導かれた光Lは、V字状に形成された結合部45の端面からなる傾斜面47で反射して第1の指針部41側へ向かって導かれる。
【0034】
ここで、連結脚部46は、その表面が、中央へ向かって次第に裏面側へ傾斜したテーパ面とされ、連結脚部46同士が結合する箇所である中央に向かうにつれて厚みが薄くなっている。これにより、連結脚部46では、第2の指針部42側へ向かう光Lの一部が中央へ向かって次第に裏面側へ傾斜したテーパ面からなる反射面51で反射して裏面の反射板55へ向かって照射され、反射板55で反射して表面側へ良好に出射する。同様に、連結脚部46では、第1の指針部42側へ向かう光Lの一部が中央へ向かって次第に裏面側へ傾斜したテーパ面からなる反射面51で反射して裏面の反射板55へ向かって照射され、反射板55で反射して表面側へ良好に出射する。これにより、指針16は、結合部45においても、良好かつ均一に発光照明されることとなる。
【0035】
このように、上記実施形態に係る指針16によれば、第1の指針部41及び第2の指針部42が結合する先端における厚みが、結合する箇所に向かうにつれて薄くなっているので、第1の指針部41及び第2の指針部42に先端へ向かって導光させると、その光は、先端における表裏面で反射することとなる。これにより、結合部45に光を集光させることができ、その箇所での発光強度を高めることができる。よって、導光される基部35から遠い第1の指針部41及び第2の指針部42の先端における結合部45においても良好かつ均一に発光照明させることができ、見映えも良好なものとすることができる。
【0036】
これにより、この指針16を備えたメータ装置11では、導光させることによって先端部を含む全体が良好かつ均一に発光照明する指針16を備えているので、視認性を大幅に高めることができる。
【0037】
なお、上記実施形態では、第1の指針部41と第2の指針部42とを先端で連結する結合部45を構成する連結脚部46の表面をテーパ面からなる反射面51としたが、図6に示すように、指針16の先端における幅方向全体の表面をテーパ面からなる反射面51としても良い。この場合、結合部45での反射光の光量を増やし、結合部45における照度をさらに高めることができる。また、表面上に現れる角部及び隅部からなる線が中央部分のものだけに削減され、見映えをさらに良好なものとすることができる。
【0038】
また、図7に示すように、指針16の先端における結合部45の表面を、円弧状に凹ませて円弧面を形成し、この円弧面を反射面51としても良い。
【0039】
この場合も、第1の指針部41側からV字状の結合部45の端面からなる傾斜面47で反射して第2の指針部42側へ向かって導かれる光Lが、円弧面からなる反射面51で、裏面の反射板55へ向かって照射される。同様に、第2の指針部42側からV字状の結合部45の端面からなる傾斜面47で反射して第1の指針部41側へ向かって導かれる光Lが、円弧面からなる反射面51で、裏面の反射板55へ向かって照射される。そして、この反射板55で反射した光Lを表面側へ良好に出射させ、結合部45における良好かつ均一な発光照明を得ることができる。また、反射面51を円弧面とすることにより、光を散乱させることができ、よって、一部への光の集中を抑えて輝度ムラを低減させることができる。
【0040】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【符号の説明】
【0041】
11 メータ装置
16 指針
17 文字板
41 第1の指針部
42 第2の指針部
45 結合部
51 反射面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端によって文字板上の数値または目盛りを指し示す指針であって、
前記先端に向かって延設された第1の指針部と、
前記先端に向かって延設された第2の指針部と、
を備え、
前記第1の指針部及び前記第2の指針部は、前記第1の指針部及び前記第2の指針部が結合する前記先端における厚みが、結合する箇所に向かうにつれて薄くなっていることを特徴とする指針。
【請求項2】
前記第1の指針部と前記第2の指針部との結合部は、その表面が結合方向へ向かって裏面側へ傾斜したテーパ面からなる反射面を有することを特徴とする請求項1に記載の指針。
【請求項3】
前記第1の指針部と前記第2の指針部との結合部は、その表面を円弧状に凹ませて円弧面を形成することにより、この円弧面が反射面とされていることを特徴とする請求項1に記載の指針。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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