説明

振り分け装置

【課題】低コストで、かつ多種の物品に対して1の列から多数列に安定して振り分けを行うことができる振り分け装置を提供することである。
【解決手段】本発明の振り分け装置100,100aにおいては、入口回転ローラ200と出口回転ローラ400とにゴム搬送部材300が掛けられている。そして、出口回転ローラ400がスライド移動する。したがって、伸縮自在のゴム搬送部材300を用いることで、物品の底面を、入口から出口まで確実に保持することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品の搬送途中に設けられる振り分け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物品の検査結果に応じて、当該物品の搬送径路を変更させるために振り分け装置が使用されている。この振り分け装置に関して日々種々の研究開発が行われている。
【0003】
例えば、特許文献1には、低コストで能率よく振り分け搬送を実行できる小形の多方向振り分け搬送装置について開示されている。
特許文献1記載の多方向振り分け搬送装置においては、両端部に互いに並行に配置された二つの回転軸間にループ状に展張されたループコンベヤベルトをエンドレス回動駆動し該ループコンベヤベルトの上部に該二つの回転軸の一方から他方へ一方向に搬送する機能を有する幅広のフラット搬送面を形成するように構成されたループコンベヤベルト機構と、幅広のフラット搬送面の上流部に該フラット搬送面に結合するように配置された一つの供給コンベヤと、幅広のフラット搬送面の下流部に該フラット搬送面に結合するように配置された複数の排出コンベヤと、一つの供給コンベヤの出口に一端が固定され他端側が複数の排出コンベヤの各入口に結合可能なるように摺動自在に支持されて供給コンベヤから搬入されフラット搬送面上を搬送される物品を複数の排出コンベヤの一つに案内するために設けられた一対の並行する極薄帯板と、該一対の並行する極薄帯板の摺動自在に支持された端部を制御信号に対応する複数の排出コンベヤの一つに結合するように制御する制御機構とを備えたものである。
【0004】
また、特許文献2には、一つの直線に沿って平面的に分散している物品供給位置へ、一つの供給源から物品を分散供給する分散供給コンベア装置について開示されている。特許文献2に記載の分散供給コンベア装置においては、ベルトコンベアと、そのベルトコンベアの進行方向先端部がその進行方向端部を横切るような所定の水平な直線に沿って横移動可能にかつ基端部が略々定位置で上記横移動に従動して回動すると共に上記進行方向に沿う方向に小変位可能に上記コンベアベルトを支持している支持装置と、上記ベルトコンベアを上記支持装置の許容する範囲で横方向に往復駆動する第2駆動部とからなるものである。
【0005】
さらに、特許文献3には、物品分類装置について開示されている。特許文献3記載の物品分類装置においては、それぞれがその裏面から延長する突出棒を備え、無端コンベアの幅方向に摺動自在に配置された複数の物品搬送板と、前記突出棒に選択的に係合することによって前記物品搬送板を前記幅方向に所定位置に摺動させるための選別装置と、それぞれの所望位置に摺動された前記物品搬送板の突出棒と共働してその物品搬送板を前記無端コンベア出口の所望位置に導くようにするガイドレールとを備えたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平6−10230号公報
【特許文献2】特開昭59−36031号公報
【特許文献3】特開昭54−131257号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1記載の小形の多方向振り分け搬送装置では、水平面に沿って駆動するフラットコンベアベルトの上面で、起立姿勢の極薄帯板が駆動される。この場合、物品は、フラットコンベアで一方向に搬送され、かつ、極薄帯板によりガイドされて搬送方向と垂直な力を受けることとなる。その結果、フラットコンベアと極薄帯板との間の隙間に物品が挟みこまれるという問題が生じる。また、当該隙間を少なくした場合、フラットコンベアと極薄帯板との摩擦によりコンベアの耐久性が急激に低下するという問題がある。
【0008】
また、特許文献2記載の分散供給コンベア装置の振り分けシュートにおいては、特許文献2の第2図に示すように、ベルトコンベアの端部の位置が円弧を描くように移動する。したがって、当該装置の同水平面の下流側にベルトコンベアを設けた場合、隙間が生じることとなり、物品が当該隙間から落下するという問題が生じる。
【0009】
さらに、特許文献3記載の物品分類装置においては、複数の物品搬送板を有するので、メンテナンスの頻度も増加し、コストが高くなるという問題がある。
【0010】
また、一般に物品の搬送姿勢は、安定して運ばれることが望まれる。例えば、下流において箱詰め等が行われるため、均一な姿勢で搬送することにより、確実な箱詰めを行うことができる。
したがって、物品の種別が変更された場合、すなわち物品のサイズが変化した場合であっても、搬送姿勢が変化されないことが望ましい。
【0011】
本発明の目的は、低コストで、かつ多種の物品に対して1の列から多数列に安定して振り分けを行うことができる振り分け装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(1)
一局面に従う振り分け装置は、1列で入口に搬送された物品を、物品の搬送方向の幅方向に対して複数列に出口で振り分ける振り分け装置であって、物品の底面を支持する伸縮自在の連続搬送体と、入口で連続搬送体が掛けられた入口回転ローラと、出口で連続搬送体が掛けられた出口回転ローラと、出口回転ローラを搬送方向に対して直交方向にスライドさせる駆動装置と、を含むものである。
【0013】
振り分け装置においては、入口回転ローラと出口回転ローラとに連続搬送体が掛けられている。そして、出口回転ローラが駆動装置によりスライド移動する。
【0014】
この場合、伸縮自在の連続搬送体を用いることで、物品の底面を、入口から出口まで確実に保持することができる。すなわち、伸縮性を有さない部材を用いた場合、出口が円弧状に移動するため、下流のベルトコンベアに対して、隙間または乗り移り部分が生じる。本発明に係る振り分け装置においては、伸縮自在の連続搬送体を用いたため、隙間および乗り移り部分が生じない。さらに、駆動箇所を数個用いることで振り分け装置を形成することができるため、振り分けにおける駆動コストも低減することができる。また、比較的短い距離で振り分けを行うことができる。
【0015】
(2)
第2の発明に係る振り分け装置において、連続搬送体は、幅狭形状で、かつ、搬送方向に複数設けられる。
【0016】
この場合、連続搬送体の伸縮力を低く抑えることができ、出口回転ローラのスライド機構を簡易な構造にすることができる。また、複数の連続搬送体を設けることで、物品の搬送姿勢を維持しつつ、搬送することができる。また、連続搬送体は、断面が円形の丸ベルト、断面が星型、断面がその他の多角形、断面が楕円等、さらに突起を有する、凹凸を有する、摩擦抵抗の大きな形状等、任意の形状を有してもよい。
【0017】
(3)
第3の発明に係る振り分け装置は、搬送方向の幅方向に物品を振り分けるガイド部をさらに有し、ガイド部の一端側が、入口回転ローラに固定され、ガイド部の他端側が、出口回転ローラと同期して移動するように設けられたものである。
【0018】
この場合、高速搬送の場合であっても確実に幅方向に物品を振り分けることができる。さらに、ガイド部が、連続搬送体と同期して移動するので、物品に対して摩擦による損傷を防止することができる。
【0019】
(4)
第4の発明に係る振り分け装置は、湾曲可能な板状からなる。
【0020】
この場合、物品の搬送経路を円滑に設けることができるので、物品の搬送をスムーズにすることができる。その結果、物品がガイド部に接触する力を低減することができ、物品の搬送姿勢を維持しつつ、物品の高速搬送および振り分けを行うことができる。
【0021】
(5)
第5の発明に係る振り分け装置において、出口回転ローラの下流に設けられる姿勢安定回転ローラと、出口回転ローラと、姿勢安定回転ローラとに掛けられ、物品を支持する姿勢搬送体と、姿勢安定回転ローラを出口回転ローラと同期して搬送方向に対して直交方向にスライドさせる姿勢駆動装置と、を備えたものである。
【0022】
この場合、出口回転ローラから姿勢安定回転ローラの間にも、伸縮自在の姿勢搬送体が設けられているので、物品の搬送姿勢を出口回転ローラから姿勢安定回転ローラの間において安定させることができる。その結果、物品の姿勢を一定にすることができる。
【0023】
(6)
第6の発明に係る振り分け装置において、複数の連続搬送体の下方には、空間が設けられる。
【0024】
この場合、連続搬送体の間から物品以外のもの、例えば、ゴミなどを下方へ落下させることができる。特に、所定の空間の下にゴミ取り板部材を設けることもできる。
【0025】
本発明に係る振り分け装置によれば、多種の物品に対して1の列から多数列に安定して振り分けを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】第1の実施形態に係る振り分け装置の一例を示す模式的平面図である。
【図2】図1に示した振り分け装置の模式的側面図である。
【図3】図1および図2に示した振り分け装置の模式的上面図である。
【図4】第1の実施形態における振り分け装置の動作を説明する説明図である。
【図5】第1の実施形態における振り分け装置の動作を説明する説明図である。
【図6】第2の実施形態に係る振り分け装置の一例を示す模式的平面図である。
【図7】第2の実施形態に係る振り分け装置の一例を示す模式的側面図である。
【図8】第2の実施の形態に係る振り分け装置の動作を説明する模式的説明図である。
【図9】第2の実施の形態に係る振り分け装置の動作を説明する模式的説明図である。
【図10】図8のガイド板のA−A断面を説明するための模式図である。
【図11】第3の実施の形態に係るガイド板の一例を説明するための模式図である。
【図12】第4の実施の形態に係るガイド板の一例を説明するための模式図である。
【図13】第5の実施形態に係る振り分け装置の他の例を示す模式的平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
(第1の実施形態)
以下、第1の実施形態に係る振り分け装置100について図面を参照しながら説明する。
【0028】
図1は第1の実施形態に係る振り分け装置100の一例を示す模式的平面図であり、図2は図1に示した振り分け装置100の模式的側面図であり、図3は図1および図2に示した振り分け装置100の模式的上面図である。
【0029】
図1、図2および図3に示すように、振り分け装置100は、図中矢印Xの方向に搬送される物品を、出口側において矢印±Yの方向に当該物品を移動させて、振り分けを行う。
振り分け装置100は、主に入口回転ローラ200、ゴム搬送部材300、出口回転ローラ400、入口回転ローラ200を駆動するモータHM、および出口回転ローラ400をスライド移動させるモータSMからなる。
【0030】
(入口回転ローラ)
入口回転ローラ200は、ローラ軸210、ローラ220およびプーリ230からなる。ローラ220は、円筒状からなる。プーリ230は、後述するプーリ231と一対となるように配置され、プーリ230,231にベルトB2が巻回される。また、ローラ220には、所定の間隔で、円周に沿った複数のスリット221が形成されている。スリット221の深さは、後述するゴム搬送部材300の断面厚みよりも大きな深さで形成される。また、第1の実施形態において、スリット221は、8箇所設けられている。
【0031】
(出口回転ローラ)
出口回転ローラ400は、ローラ軸410、ローラ420、固定部材440、ベルト固定部材441およびスライドレール460からなる。ローラ420は、円筒状からなる。また、ローラ420には、所定の間隔で、円周に沿った複数のスリット421が形成されている。スリット421の深さは、後述するゴム搬送部材300の断面厚みよりも大きな深さで形成される。また、第1の実施形態において、スリット421は、スリット221と同数となるよう、8箇所設けられている。
固定部材440は、ローラ軸410を軸支する。また、固定部材440には、ベルト固定部材441が設けられ、後述するベルトB4に固定される。また、固定部材440の下方(矢印−Zの方向)には、出口回転ローラ400を矢印±Y方向にスライド可能に保持するスライドレール460(図2,3参照)が形成されている。
【0032】
(ゴム搬送部材)
第1の実施形態において、ゴム搬送部材300は、断面が円形からなる無端状ゴムベルトである。当該ゴム搬送部材300は、伸縮自在なゴムからなる。図1から図3までに示すように、ゴム搬送部材300は、入口回転ローラ200のスリット221と、出口回転ローラ400のスリット421とに掛け渡される。
【0033】
(入口回転ローラを駆動するモータ)
モータHMは、モータ軸HMCにプーリ231が設けられる。上述したように、プーリ231には、ベルトB2が巻回される。したがって、モータHMの駆動力が、モータ軸HMC、プーリ231、ベルトB2、プーリ230を介して入口回転ローラ200に伝達される。
【0034】
(出口回転ローラをスライド移動させるモータ)
モータSMは、モータ軸SMCにプーリ431が設けられる。また、モータ軸SMCと離間して、軸452が設けられる。軸452には、プーリ432が取り付けられている。一対のプーリ431,432にベルトB4が巻回される。したがって、モータSMの駆動力が、モータ軸SMC、プーリ431、ベルトB4、ベルト固定部材441に伝達され、出口回転ローラ400が矢印Yの方向にスライド移動する。
【0035】
(動作説明)
次いで、第1の実施形態に係る振り分け装置100の動作について説明を行う。図4および図5は、第1の実施形態における振り分け装置100の動作を説明する説明図である。
【0036】
まず、図4に示すように、上流側の搬送ベルト910および下流側の搬送ベルト920の間に、振り分け装置100が設けられている。
【0037】
まず、図4に示すように、モータHMが駆動される。そして、モータHMの駆動力により、入口回転ローラ200が矢印Rの方向に回転する。そして、ゴム搬送部材300に駆動力が伝わり、出口回転ローラ400が矢印Rの方向に従動回転する。
【0038】
この場合、図4に示すように、上流側の搬送ベルト910から搬送された物品が振り分け装置100を介して下流側の搬送ベルト920の領域920A側に受け渡される。
【0039】
続いて、モータSMが駆動される。そして、モータSMの駆動力によりベルトB4を介して、出口回転ローラ400が矢印Yの方向へスライド移動する。その結果、図5に示すように、出口回転ローラ400がスライド移動する。
【0040】
この場合、図5に示すように、上流側の搬送ベルト910から搬送された物品が振り分け装置100を介して下流側の搬送ベルト920の領域920B側に受け渡される。当該動作が繰返されて、物品の振り分けが行われる。
【0041】
(第1の実施形態における効果)
以上のように、第1の実施形態に係る振り分け装置100においては、伸縮自在で、かつ、摩擦抵抗の高いゴム搬送部材300を用いることで、物品の底面を、入口から出口まで確実に保持することができる。すなわち、伸縮性を有さない部材を用いた場合、出口が円弧状に移動するため、下流側の搬送ベルト920に対して、隙間または乗り移り部分が生じる。
本発明に係る振り分け装置100においては、伸縮自在のゴム搬送部材300を用いたため、隙間および乗り移り部分が生じない。さらに、モータSMおよびモータHMのみを用いることで振り分け装置100を形成することができるため、振り分けにおける駆動コストも低減することができる。
【0042】
また、ゴム搬送部材300の断面が丸形状からなるので、ゴム搬送部材300の伸縮力を低く抑えることができ、出口回転ローラ400のスライド機構を簡易な構造にすることができる。また、複数のゴム搬送部材300を設けることで、物品の搬送姿勢を維持しつつ、搬送することができる。
【0043】
さらに、ゴム搬送部材300が所定の間隙を設けて掛け渡されることで、ゴム搬送部材300の間から物品以外のもの、例えば、ゴミなどを下方へ落下させることができる。
【0044】
(第2の実施の形態)
以下、第2の実施の形態に係る振り分け装置100aについて図面を参照しながら説明する。図6は第2の実施形態に係る振り分け装置100aの一例を示す模式的平面図であり、図7は第2の実施形態に係る振り分け装置100aの一例を示す模式的側面図である。
【0045】
図6および図7に示すように、振り分け装置100aは、図1および図2に示す振り分け装置100にガイド装置500をさらに備えたものである。
【0046】
ガイド装置500は、ガイド部材520,521,540およびガイド板510からなる。
ガイド部材520,521は、入口回転ローラ200と一体に設けられ、ガイド部材540は、出口回転ローラ400と一体に設けられる。
また、ガイド板510は、屈曲可能な一対の板部材からなり、ゴム搬送部材300のそれぞれ両外側(図中Y側および−Y側)に設けられる。
【0047】
(ガイド板510の動作説明)
図8および図9は、第2の実施の形態に係る振り分け装置100aの動作を説明する模式的説明図である。
【0048】
図4および図5に示したように、出口回転ローラ400が矢印Yの方向または矢印−Yの方向にスライド移動する。その結果、本実施の形態においても、図8および図9に示すように、出口回転ローラ400の移動に応じて、ガイド板510が、湾曲する。
【0049】
ここで、ガイド板510の領域512および領域514は、それぞれガイド部材520,521,540により保持されているので、搬送方向に沿って直線状を維持するが、領域510sにおいては、保持されていないので、出口回転ローラ400のスライド移動に従って、湾曲する。
【0050】
また、図10は、図8のガイド板510のA−A断面を説明するための模式図である。
図10に示すように、ガイド板510は、互いに内側に角度θ傾斜した状態からなる。すなわち、ガイド板510は、鉛直方向から角度θ傾斜して設けられる。
【0051】
(第2の実施形態における効果)
以上のように、第2の実施の形態に係る振り分け装置100aは、第1の実施の形態に係る振り分け装置100にさらに、ガイド装置500を備えているので、高速搬送の場合であっても物品を振り分けることができる。
さらに、ガイド装置500のガイド板510が、搬送面であるゴム搬送部材300と共にスライド移動するので、物品に対して摩擦による損傷を防止することができる。また、ガイド装置500のガイド板510を角度θ傾斜して設けているので、物品の搬送姿勢を維持しつつ、物品の高速搬送および振り分けを行うことができる。
【0052】
(第3の実施の形態)
図11は、第3の実施の形態に係るガイド板510の一例を説明するための模式図である。
【0053】
図11に示すように、第3の実施の形態においては、第2の実施の形態におけるガイド板510の代わりに、ガイド板510bを備える。
【0054】
ガイド板510bは、ゴム搬送部材300上を搬送される物品を包むように、湾曲状の板材からなる。
【0055】
(第3の実施形態における効果)
以上のように、第3の実施の形態に係る振り分け装置100bは、第2の実施の形態に係る振り分け装置100aのガイド板510の代わりに、湾曲したガイド板510bを設けているので、高速搬送の場合であっても第2の実施の形態に係る振り分け装置100aと同様に、物品を振り分けることができる。
さらに、ガイド板510が、搬送面であるゴム搬送部材300と共にスライド移動するので、物品に対して摩擦による損傷を防止することができる。また、ガイド装置500のガイド板510bを湾曲して設けているので、物品の搬送姿勢を維持しつつ、物品の高速搬送および振り分けを行うことができる。
【0056】
(第4の実施の形態)
図12は、第4の実施の形態に係るガイド板510の一例を説明するための模式図である。
【0057】
第4の実施の形態においては、第2の実施の形態におけるガイド板510にさらに、ゴム搬送部材301,〜,304を備える。
【0058】
振り分け装置100cにおいては、物品の搬送中央部に断面径の小さなゴム搬送部材301を配設し、ガイド板510に近づくに連れて、徐々に断面径が大きくなるゴム搬送部材302,303を配設し、最も外側に断面径の大きなゴム搬送部材304を配設する。
それにより、物品の底面に対して湾曲ラインLNを形成する。これにより、ガイド装置500に物品が接触する力を低減することができ、物品の搬送姿勢を維持しつつ、物品の高速搬送および振り分けを行うことができる。
【0059】
(第5の実施形態)
以下、第5の実施形態に係る振り分け装置100dについて図面を参照しながら説明する。図13は、第5の実施形態に係る振り分け装置100dの一例を示す模式的平面図である。
【0060】
図13に示すように、第5の実施形態に係る振り分け装置100dは、第1の実施形態に係る出口回転ローラ400の代わりに、出口回転ローラ400dを備え、さらに姿勢安定ローラ600、およびゴム搬送部材700を備えたものである。
【0061】
(出口回転ローラ)
図13に示すように、出口回転ローラ400dは、ローラ軸410、ローラ420、固定部材440d、ベルト固定部材441およびスライドレール460からなる。ローラ420は、円筒状からなる。また、ローラ420には、所定の間隔で、円周に沿った複数のスリット421が形成されている。
【0062】
さらに、ローラ420のスリット421の各間には、円周に沿ったスリット422がそれぞれ設けられる。スリット421,422の深さは、後述するゴム搬送部材300,700の断面厚みよりも大きな深さで形成される。また、第5の実施形態においても、スリット421は、スリット221と同数となるよう、8箇所設けられており、スリット422は、7箇所設けられている。
【0063】
(姿勢安定ローラ)
図13に示すように、姿勢安定ローラ600は、出口回転ローラ400dの固定部材440dに設けられる。姿勢安定ローラ600は、出口回転ローラ400dと並行に設けられる。
【0064】
姿勢安定ローラ600は、ローラ軸610およびローラ620からなる。ローラ620は、円筒状からなる。また、ローラ620には、所定の間隔で、円周に沿った複数のスリット621が形成されている。スリット621の深さは、後述するゴム搬送部材700の断面厚みよりも大きな深さで形成される。また、第5の実施形態において、スリット621は、スリット422と同数となるよう、7箇所設けられている。
【0065】
姿勢安定ローラ600は、出口回転ローラ400dの固定部材440dに設けられているので、出口回転ローラ400dと同期して、矢印±Yの方向にスライド可能に設けられる。
【0066】
(ゴム搬送部材)
図13に示すように、ゴム搬送部材700は、断面が円形からなる無端状ゴムベルトである。当該ゴム搬送部材700は、伸縮自在なゴムからなる。ゴム搬送部材700は、出口回転ローラ400dのスリット422と、姿勢安定ローラ600のスリット621とに掛け渡される。
【0067】
(動作説明)
次いで、第5の実施形態に係る振り分け装置100dの動作について説明を行う。まず、モータHMが駆動される。そして、モータHMの駆動力により、入口回転ローラ200が回転する。そして、ゴム搬送部材300に駆動力が伝わり、出口回転ローラ400dが従動回転する。出口回転ローラ400dが回転することにより、姿勢安定ローラ600も回転する。
【0068】
この場合、上流側の搬送ベルト910(図4参照)から搬送された物品が振り分け装置100dを介して下流側の搬送ベルト920(図4参照)の領域920A側に受け渡される。そして、この場合、物品が出口回転ローラ400dから姿勢安定ローラ600の間で矢印Xの方向に搬送されるので、物品の姿勢を確実に安定させて下流へ受け渡すことができる。
【0069】
続いて、モータSMが駆動される。そして、モータSMの駆動力によりベルトB4を介して、出口回転ローラ400dおよび姿勢安定ローラ600が矢印Yの方向へスライド移動する。
【0070】
この場合、上流側の搬送ベルト910から搬送された物品が振り分け装置100dを介して下流側の搬送ベルト920の領域920B側に受け渡される。
【0071】
(第5の実施形態における効果)
以上のように、第5の実施の形態に係る振り分け装置100dでは、出口回転ローラ400dから姿勢安定ローラ600までの間にも、伸縮自在のゴム搬送部材700が設けられている。その結果、物品の搬送姿勢を出口回転ローラ400dから姿勢安定ローラ600の間において安定させることができる。その結果、物品の姿勢を一定にすることができる。すなわち、矢印Xの方向に沿って物品の底面を保持しつつ搬送をおこなうため、搬送姿勢をより安定化させることができる。
【0072】
(請求項の各構成要素と上記実施形態の各構成部との対応関係)
上記実施形態においては、矢印Xの方向が物品の搬送方向に相当し、矢印Yの方向が物品の搬送方向の幅方向に相当し、振り分け装置100,100a,100b,100c,100dが振り分け装置に相当し、ゴム搬送部材300301,302,303,304が伸縮自在の連続搬送体に相当する。入口回転ローラ200が入口回転ローラに相当し、ガイド板510がガイド部に相当し、出口回転ローラ400,400dが出口回転ローラに相当し、モータSMが駆動装置に相当し、姿勢安定ローラ600が姿勢安定回転ローラに相当する。ゴム搬送部材700が伸縮自在の姿勢搬送体に相当し、モータSMおよび出口回転ローラ400dの固定部材440dが姿勢駆動装置に相当する。
【0073】
(変形例)
なお、上記実施形態では、ゴム搬送部材300,301,302,303,304を用いることとしたが、これに限定されず、他の伸縮自在の部材を用いてもよく、さらに、断面形状は、他の任意の形状であってもよい。
【0074】
また、上記実施形態では、入口側で物品を一列に搬送させ、出口側において物品を2列に振り分けることとしたが、これに限定されず、3列など、その他任意の数に振り分けてもよい。さらに、入口側で物品が複数列に搬送され、出口側において物品を1列または入口側よりも少ない複数列に振り分けてもよい。
さらに、水平面内のみならず、出口回転ローラ400を鉛直方向(矢印Zの方向)に平行移動させることにより、鉛直上下に物品を振り分けてもよい。その結果、水平面のみならず、鉛直方向にも物品を振り分けることができる。当然ながら、水平方向および鉛直方向の組合せによる振り分けを行わせてもよい。その結果、多数の振り分けを省スペースで行うことができる。
【0075】
また、上記実施形態では、出口回転ローラ400を入口回転ローラ200の回転の従動回転させることとしているが、これに限定されず、別途出口回転ローラ400を回転させる駆動装置を設けてもよい。
【0076】
また、上記の実施の形態においては、スリット221,421,422は、出口回転ローラ400のスライド移動によりゴム搬送部材300が外れないようにするため、スリット221,421,422の深さが、ゴム搬送部材300の断面厚みよりも大きな深さで形成されていることとしたが、これに限定されず、出口回転ローラ400のスライド移動量が少ない場合には、スリット221,421,422の深さが、ゴム搬送部材300の断面厚みよりも小さな深さで形成されていてもよい。
【0077】
さらに、本発明の好ましい実施形態は上記の通りであるが、本発明はそれらだけに制限されない。本発明の精神と範囲から逸脱することのない様々な実施形態が他になされることは理解されよう。さらに、本実施形態において、本発明の構成による作用および効果を述べているが、これらの作用および効果は、一例であり、本発明を限定するものではない。
【符号の説明】
【0078】
100 振り分け装置
100a 振り分け装置
200 入口回転ローラ
210 ローラ軸
220 ローラ
221 スリット
230 プーリ
231 プーリ
300 ゴム搬送部材
400 出口回転ローラ
400a 出口回転ローラ
410 ローラ軸
420 ローラ
421 スリット
422 スリット
431 プーリ
432 プーリ
440 固定部材
440a 固定部材
441 ベルト固定部材
452 軸
460 スライドレール
600 姿勢安定ローラ
610 ローラ軸
620 ローラ
621 スリット
700 ゴム搬送部材
910 上流側の搬送ベルト
920 下流側の搬送ベルト
920A 領域
920B 領域
HMC モータ軸
SMC モータ軸
B2 ベルト
B4 ベルト
HM モータ
SM モータ



【特許請求の範囲】
【請求項1】
1列で入口に搬送された物品を、物品の搬送方向の幅方向に対して複数列に出口で振り分ける振り分け装置であって、
前記物品の底面を支持する伸縮自在の連続搬送体と、
前記入口で前記連続搬送体が掛けられた入口回転ローラと、
前記出口で前記連続搬送体が掛けられた出口回転ローラと、
前記出口回転ローラを前記搬送方向に対して直交方向にスライドさせる駆動装置と、を含むことを特徴とする振り分け装置。
【請求項2】
前記連続搬送体は、幅狭形状で、かつ、搬送方向に複数設けられることを特徴とする請求項1記載の振り分け装置。
【請求項3】
前記搬送方向の幅方向に前記物品を振り分けるガイド部をさらに有し、
前記ガイド部の一端側が、前記入口回転ローラに固定され、
前記ガイド部の他端側が、前記出口回転ローラと同期して移動するように設けられたことを特徴とする請求項1または2記載の振り分け装置。
【請求項4】
前記ガイド部は、湾曲可能な板状からなることを特徴とする請求項3記載の振り分け装置。
【請求項5】
前記出口回転ローラの下流に設けられる姿勢安定回転ローラと、
前記出口回転ローラと、前記姿勢安定回転ローラとに掛けられ、前記物品を支持する伸縮自在の姿勢搬送体と、
前記姿勢安定回転ローラを前記出口回転ローラと同期して前記搬送方向に対して直交方向にスライドさせる姿勢駆動装置と、を備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の振り分け装置。
【請求項6】
前記複数の連続搬送体の下方には、空間が設けられたことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の振り分け装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−51730(P2012−51730A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−140735(P2011−140735)
【出願日】平成23年6月24日(2011.6.24)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】