説明

振動アクチュエータ

【課題】安定した振動を確保しつつ、耐落下衝撃性を向上させるようにした振動アクチュエータを提供する。
【解決手段】振動アクチュエータ1では、マグネット4及び錘部6,7に、筺体2の振動軸線A方向における両端に設けられた端壁10a,11aに両端が固定されたシャフト20を貫通させることで、固定されたシャフト20によってマグネット4及び錘部6,7を案内しながら一体的に振動させ、錘部6,7の重心の位置が振動軸線Aからずれて暴れることを防止し、安定した振動を確保する。さらに、落下衝撃が生じた場合であっても錘部6,7が筺体2に衝突することを防止し、耐落下衝撃性を向上させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話などの携帯無線装置の着信を利用者に知らせるための振動発生源や、タッチパネルの操作感触や遊技機の臨場感を指や手に伝えるための振動発生源などに利用される小型の振動アクチュエータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、このような分野の技術として、実開平5−60158号公報がある。この公報に記載された振動アクチュエータは、筒体に収容された磁石と錘部とによって可動子が構成され、この可動子が筒体の軸線方向にリニアに振動するものである。この振動アクチュエータにおいては、筺体の外周に凹部が設けられ、この凹部にコイルが配設されている。凹部の内径部分には軸線方向に沿って磁石が配置され、この磁石は、凹部の内径部分から筒体の胴内に延出しており、延出した磁石の一端には錘部が接合されている。そして、磁石及び錘部によって構成された可動子の両端は、スプリングを介して筒体の端板に支持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平5−60158号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の振動アクチュエータは、磁石及び錘部によって構成された可動子をスプリングによって単に支える構造のため、錘部は筒体内で軸線方向と異なる方向に比較的自由に揺れ動くことができる。従って、錘部の重心の位置が軸線からずれたり、錘部が落下衝撃によって筒体に衝突する可能性があり、安定した振動が確保し難く、耐落下衝撃性が低い構造であると言える。さらに、落下衝撃時に錘部に加わる大きな慣性力によって筒体から端板が外れてしまって、可動子が飛び出してしまうといった事態が発生する虞もある。
【0005】
本発明は、安定した振動を確保しつつ、耐落下衝撃性を向上させるようにした振動アクチュエータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る振動アクチュエータは、筒状の筺体内に配置されたコイルと、このコイルに包囲されて筺体内に配置されたマグネットとの協働により、マグネットが筺体の振動軸線に沿ってリニアに振動する振動アクチュエータにおいて、筺体の振動軸線に沿って配置され、筺体の振動軸線方向における両端に設けられた端壁に両端が固定されたシャフトと、シャフトが貫通すると共に、シャフトの延在方向に移動自在なマグネットと、シャフトの延在方向でマグネットに隣接して筺体内に配置され、シャフトが貫通すると共に、マグネットと一体に移動自在な錘部と、を有する可動子と、可動子と端壁との間に配置され、可動子を振動軸線方向に付勢する弾性部材と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
本発明に係る振動アクチュエータによれば、マグネット及び錘部が筺体の振動軸線方向に移動自在に配置され、このマグネットとマグネットを包囲するコイルとの協働により、マグネットと錘部とを有する可動子が弾性部材からの付勢力を受けながら筺体の振動軸線に沿ってリニアに振動する。ここで、マグネット及び錘部には、筺体の振動軸線方向における両端に設けられた端壁に両端が固定されたシャフトが貫通しており、この固定されたシャフトに案内されながら、マグネット及び錘部が一体となって振動する。よって、錘部の重心の位置が振動軸線からずれることが防止され、安定した振動を確保できる。さらに、落下衝撃が生じた場合であっても錘部が筺体に衝突することが防止され、耐落下衝撃性を向上させることができる。また、筺体が、振動軸線を分割する方向において2分割以上されたパーツによって構成されている場合、本発明のようにシャフトの両端が筺体の両端壁に固定されていると、筺体を構成する各パーツの連結強度がアップする。従って、落下衝撃時に、筺体が振動軸線方向に分断されてしまって、筺体から錘部やマグネットが飛び出してしまうような事態を回避させることができる。このように、シャフトは、連結バーとしての機能も備えている。
【0008】
ここで、コイルは、振動軸線を中心に環状に巻かれて振動軸線方向に並設された第1のコイルと第2のコイルとからなり、第1のコイルと第2のコイルは、電流の流れる向きが異なっていると好適である。
【0009】
この場合、マグネットから第1のコイルに向かう磁路と、第2のコイルからマグネットに戻る磁路とが形成され、両方の磁路で推力を発生させることができる。よって、単一のコイルを用いる場合に比して大きな推力を得ることができる。
【0010】
また、錘部は、振動軸線方向においてマグネットの両側に配置された第1の錘部と第2の錘部とからなり、弾性部材は、第1の錘部と筺体の一方の端壁との間に配置された第1の圧縮ばねと、第2の錘部と筺体の他方の端壁との間に配置された第2の圧縮ばねと、からなり、マグネットと第1の錘部及び第2の錘部との間には環状のポールピースがそれぞれ配置されていると好適である。
【0011】
この場合、錘部、ポールピース、及びマグネットは、第1の圧縮ばねと第2の圧縮ばねとにより両側から付勢力を受けながら振動するので、安定した振動を確実かつ容易に得ることができる。さらに、錘部、ポールピース、及びマグネットは、対向する第1の圧縮ばねと第2の圧縮ばねを採用することによって、振動軸線方向で互いに圧着されて一体化されるので、接着剤を用いなくとも、各部品同志を連結させておくことができる。特に、錘部、マグネット、ポールピースにはシャフトが貫通しているので、接着剤がハミ出していると、接着剤とシャフトとが摺り合うことで摩擦抵抗を発生するが、本発明は、このような事態を回避させることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、安定した振動を確保しつつ、耐落下衝撃性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1実施形態に係る振動アクチュエータの斜視図である。
【図2】図1の振動アクチュエータの斜視縦断面図である。
【図3】図1の振動アクチュエータの縦断面図である。
【図4】図1の振動アクチュエータの分解断面図である。
【図5】第2実施形態に係る振動アクチュエータの縦断面図である。
【図6】第3実施形態に係る振動アクチュエータの縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る振動アクチュエータの実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0015】
図1〜図4に示すように、振動アクチュエータ1は、直径が約4.5mmの円筒状の筺体2を有している。この筺体2内には、筺体2の振動軸線Aを中心に環状に巻かれたコイル3と、このコイル3に包囲された円筒状のマグネット4と、筺体2の振動軸線A方向においてマグネット4の両側に隣接して配置された第1及び第2の錘部6,7と、が収容されている。この振動アクチュエータ1では、マグネット4と第1及び第2の錘部6,7とからなる可動子8が一体となって、コイル3とマグネット4との協働により、筺体2の振動軸線A方向に沿ってリニアに振動する。
【0016】
筺体2は、振動軸線Aを分割する方向において2分割されている。より具体的には、筺体2の第1の筺体10は、筺体2の振動軸線A方向の一端に位置する円板状の端壁10aと、この端壁10aから振動軸線A方向に円筒状に延びた周壁10bとによって、第1の錘部6、コイル3、及びマグネット4を収容している。筺体2の第2の筺体11は、第1の筺体10に振動軸線A方向で対向して配置される。この第2の筺体11は、筺体2の振動軸線A方向の他端に位置する円板状の端壁11aと、この端壁11aから振動軸線A方向に円筒状に延びた周壁11bとによって、第2の錘部7を収容している。第1及び第2の筺体10,11は、磁性体により形成されている。そして、第1の筺体10と第2の筺体11との間から、樹脂製のボビン12の一部をなす端子台12dが露出している。
【0017】
ボビン12は、第1及び第2の筺体10,11の周壁10b,11bよりも直径が小さく、周壁10b内に挿入されてコイル3が巻かれる筒状部12aと、筒状部12aの振動軸線A方向における両端に連設されたフランジ部12b,12cと、肉厚のフランジ部12bの端部から周壁11bに沿って延在する端子台12dと、を有している。筒状部12aは、振動軸線A方向における筺体2の略中央に位置し、一方のフランジ部12cは、第1の筺体10の周壁10bの内周面に当接し、他方のフランジ部12bは、周壁10b,11b同士の間から露出し、周壁11bの表面側に延在する端子台12dには、端子13が固定されている。
【0018】
そして、第1及び第2の筺体10,11の周壁10b,11bの端部同志は、ボビン12の肉厚部12bが露出する部分を除く位置で互いに突き合わされており、数箇所の溶接部D1により連結されている(図1参照)。
【0019】
図3に示すように、両端壁10a,11aのそれぞれにおける中心位置には、シャフト保持孔16,17が形成されており、これらのシャフト保持孔16,17の周囲には、バーリング加工によって、端壁10a,11aから筺体2の内方に向けて突出する円環状の突起18,19が形成されている。そして、このシャフト保持孔16,17に、直径約0.6mmの非磁性体からなるシャフト20の両端が圧入されており、さらに、シャフト20の端部は、溶接部D2(図1参照)によって両端壁10a,11aに固定されている。このようにして、シャフト20は、筺体2の振動軸線Aに沿って配置されると共に、振動軸線A方向において第1の筺体10と第2の筺体11とを強固に連結している。そして、このシャフト20は、前述したマグネット4、第1の錘部6、及び第2の錘部7からなる可動子8に貫通している。
【0020】
可動子8についてより詳しく説明すると、マグネット4には、振動軸線A方向にS極とN極とが着磁されると共に、シャフト20の外径よりも直径が若干大きいシャフト貫通孔4aが形成されている。このマグネット4は、ボビン12の筒状部12a内に配置されている。さらに、マグネット4とその振動軸線A方向の両側に配置された第1及び第2の錘部6,7との間には、磁性体からなる円環状のポールピース21,22がそれぞれ配置されている。このポールピース21,22は、コイル3、マグネット4及び第1の筺体10と一緒になって磁気回路を効率良く形成するためのものである。
【0021】
第1の錘部6は、ボビン12の筒状部12aの一方の開口から挿入された胴部6aと、第1の筺体10の端壁10a側で胴部6aよりも拡径されたフランジ部6bと、を有している。第2の錘部7は、ボビン12の筒状部12aの他方の開口から挿入された胴部7aと、第2の筺体11の端壁11a側で胴部7aよりも拡径されたフランジ部7bと、を有している。ボビン12のフランジ部12bが肉厚に形成されてシャフト20の延在方向の空間を占有する分、第2の錘部7のフランジ部7bは、第1の錘部6のフランジ部6bよりも延在方向における厚みが薄くなっている。錘部6,7にフランジ部6b,7bが形成されることで、非常に小さな筺体2内にあっても、錘部6,7における重量の増大を図ることができる。
【0022】
第1及び第2の錘部6,7の胴部6a,7aには、シャフト20の外径よりも直径が若干大きいシャフト貫通孔23,24が形成されており、シャフト貫通孔23,24の延在方向における中間部には、シャフト貫通孔23,24の壁面から径方向内方に向けて円環状に突出する軸受部25,26が形成され、各軸受部25,26は、シャフト20に沿って摺動する。また、第1及び第2の錘部6,7のフランジ部6b,7bには、胴部6a,7aのシャフト貫通孔23,24よりもさらに拡径された円柱形状のばね受入孔27,28が、シャフト貫通孔23,24に連通すると共にシャフト貫通孔23,24と同軸に形成されている。
【0023】
さらに、第1の錘部6と端壁10aとの間には、ばね受入孔27に挿入された第1の圧縮コイルばね30が配置され、この第1の圧縮コイルばね30内をシャフト20が貫通する。第2の錘部7と端壁11aとの間には、ばね受入孔28に挿入された第2の圧縮コイルばね31が配置され、この第2の圧縮コイルばね31内をシャフト20が貫通する。ここで、第1の圧縮コイルばね30及び第2の圧縮コイルばね31としては、同一の部品が用いられている。第1及び第2の圧縮コイルばね30,31の一端には、シャフト保持孔16,17の周囲に形成された前述の突起18,19が嵌入されており、これにより、第1及び第2の圧縮コイルばね30,31がシャフト20に当たることなく確実に保持されている。一方、第1及び第2の圧縮コイルばね30,31の他端は、第1及び第2の錘部6,7のばね受入孔27,28内に挿入されると共に、ばね受入孔27,28とシャフト貫通孔23,24との間に形成された円環状の段部32,33に当接されている。
【0024】
上記構成により、第1及び第2の錘部6,7、ポールピース21,22、及びマグネット4は、同軸上に配置された状態で第1及び第2の圧縮コイルばね30,31により振動軸線A方向に付勢され、この付勢力により、互いに圧着されて一体化されている。従って、第1及び第2の錘部6,7、ポールピース21,22、及びマグネット4を、接着剤を用いることなく互いに連結することができる。これらの部品により構成された可動子8は、第1及び第2の圧縮コイルばね30,31による付勢力を両側から受けつつ、シャフト20に沿って振動軸線A方向に移動自在になっている。
【0025】
ここで、フランジ部7bのマグネット4側には、シャフト20の延在方向に対して垂直に延びる円環状の端面7cが形成されており、この端面7cは、ボビン12のフランジ部12bにおける端壁11a側の端面12eに対向している。そして、フランジ部7bの端面7cから、マグネット4の端壁10aの端面4bまでの長さは、フランジ部12bの端面12eからフランジ部12cの端壁10a側の端面12fまでの長さに略等しくなっている。このような構成により、図4に示すように、振動アクチュエータ1の組立時において、第2の筺体11にシャフト20を圧入し、このシャフト20に第2の圧縮コイルばね31、第2の錘部7、ポールピース22、及びマグネット4を通して重ね合わせ、これらをボビン12内に挿入しつつボビン12を第2の筺体11に取り付けると、マグネット4の端面4bがフランジ部12cの開口から露出するため、その後ポールピース21や第1の錘部6を組み易くなる。
【0026】
一方、ボビン12の筒状部12aに巻かれたコイル3は、振動軸線A方向に多少離間して並設された第1のコイル34と第2のコイル35とからなっており、第1及び第2のコイル34,35は、周壁10bに内接するようにして周壁10bにより包囲されている。すなわち、第1及び第2のコイル34,35は、ボビン12の筒状部12aと周壁10bとによって囲まれた空間B内に配置されている。さらに、第1のコイル34と第2のコイル35には、巻かれる方向において、逆の向きの電流が流される。
【0027】
以上のように構成された振動アクチュエータ1では、外部からリード線14及び端子13を介してコイルに通電されると、コイル34,35によって磁界が形成され、マグネット4がこの磁界に吸引・反発して第1及び第2の錘部6,7、ポールピース21,22、及びマグネット4が一体となって振動軸線A方向にリニアに振動し、振動アクチュエータ1が搭載された携帯電話などの機器類に振動を発生させる。
【0028】
振動アクチュエータ1によれば、筺体2の各端壁10a,11aにそれぞれの端が固定されたシャフト20はマグネット4及び錘部6,7を貫通し、固定されたシャフト20に案内されながら、マグネット4及び錘部6,7が一体となって振動するので、錘部6,7の重心の位置が振動軸線Aからずれて暴れることが防止され、安定した振動を確保できる。さらに、落下衝撃が生じた場合であっても錘部6,7が筺体2に衝突することが防止され、耐落下衝撃性を向上させることができる。また、第1の筺体10及び第2の筺体11からなる筺体2のように、振動軸線Aを分割する方向において筺体2は2分割されているので、シャフト20の両端が筺体2の両端壁10a,11aに固定されていると、シャフト20が連結バーとして機能し、これにより、筺体2を構成する第1の筺体10と第2の筺体11との連結強度がアップする。従って、落下衝撃時に、筺体2が振動軸線A方向に分断されてしまって、筺体2から錘部6,7やマグネット4が飛び出してしまうような事態を回避させることができる。
【0029】
また、第1のコイル34と第2のコイル35は、電流の流れる向きが異なっているため、マグネット4から第1のコイル34に向かう磁路と、第2のコイル35からマグネット4に戻る磁路とが形成され、両方の磁路で推力を発生させることができる。よって、単一のコイルを用いる場合に比して大きな推力を得ることができる。
【0030】
さらに、錘部6,7、ポールピース21,22、及びマグネット4は、第1の圧縮コイルばね30と第2の圧縮コイルばね31とにより両側から付勢力を受けながら振動するので、安定した振動を確実かつ容易に得ることができる。さらに、錘部6,7、ポールピース21,22、及びマグネット4は、対向する圧縮コイルばね30と圧縮コイルばね31を採用することによって、振動軸線A方向で互いに圧着されて一体化されるので、接着剤を用いなくとも、各部品同志を連結させておくことができる。特に、錘部6,7、マグネット4、ポールピース21,22にはシャフト20が貫通しているので、接着剤がハミ出していると、接着剤とシャフト20とが摺り合うことで摩擦抵抗を発生するが、振動アクチュエータ1では、このような事態を回避させることができる。
【0031】
また、振動軸線A方向においてマグネット4の両側に配置された第1の錘部6と第2の錘部7とを備えるので、より一層安定した振動を確保することができる。さらに、第1及び第2の錘部6,7のそれぞれには、軸受部25,26が形成されているため、シャフト20に沿ったバランスの良い振動が得られる。しかも、これらの軸受部25,26はシャフト貫通孔23,24の延在方向における一部に形成されているので、可動子8の振動に際して発生する摩擦力を可能な限り低減することができる。
【0032】
また、第1の筺体10の周壁10bが磁気回路を形成するためのヨーク板を兼ねているので、コイル34,35を包囲するヨーク板を別途用意する必要がなく、径方向における小型化が図られている。さらにまた、第1の圧縮コイルばね30と第2の圧縮コイルばね31とは、同一の部品であるため、部品の共有化が図られている。
【0033】
図5は、第2実施形態に係る振動アクチュエータ1Aの縦断面図である。図5に示すように、振動アクチュエータ1Aでは、第1実施形態の振動アクチュエータ1(図3参照)における第1及び第2のコイルばね30,31に代えて、板ばね36,37を用いている。この場合、第1及び第2の錘部のフランジ部6b,7bには、ばね受入孔を設ける必要がなく、その分、錘部6,7の重量を増すことができる。このような振動アクチュエータ1Aにおいても、振動アクチュエータ1と同様の作用・効果を奏することができる。
【0034】
図6は、第3実施形態に係る振動アクチュエータ1Bの縦断面図である。図6に示すように、振動アクチュエータ1Bでは、第1実施形態の振動アクチュエータ1(図3参照)における第2の錘部7を無くし、その分、容積を増した第1の錘部6を設けている。この変更に伴い、振動アクチュエータ1Bでは、マグネット4及びコイル34,35が設けられる位置が振動軸線A方向において端壁11a側に偏っており、また、シャフト貫通孔23とばね受入孔27とは連通しておらず、シャフト貫通孔23とばね受入孔27との間に大型の軸受部25が設けられている。このような振動アクチュエータ1Bにおいても、振動アクチュエータ1と同様にして、安定した振動を確保できると共に、耐落下衝撃性を向上させることができる。
【0035】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、可動子8を付勢するばねなどの弾性部材を可動子8の両側ではなく片側のみに設け、この弾性部材を、端壁及び可動子に連結してもよい。弾性部材は、圧縮コイルばねや板ばねに限られず、端壁及び可動子に連結された引張コイルばねであってもよい。筺体は2分割以上であってもよい。
【0036】
また、上記実施形態では、第1及び第2の錘部6,7、ポールピース21,22、及びマグネット4が接着剤を用いることなく互いに連結される場合について説明したが、これらは、接着剤を用いて互いに連結されてもよい。この場合でも、振動アクチュエータの組立時において、前述したように、ボビン12内に挿入されたマグネット4の端面4bがボビン12のフランジ部12cの開口から露出するため、ポールピース21及び第2の錘部6を確実かつ容易に接着することができる。
【符号の説明】
【0037】
1、1A、1B…振動アクチュエータ、2…筺体、3、34、35…コイル、4…マグネット、6、7…錘部、8…可動子、10a、11a…端壁、20…シャフト、21,22…ポールピース、30、31…圧縮コイルばね、A…振動軸線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の筺体内に配置されたコイルと、このコイルに包囲されて前記筺体内に配置されたマグネットとの協働により、前記マグネットが前記筺体の振動軸線に沿ってリニアに振動する振動アクチュエータにおいて、
前記筺体の前記振動軸線に沿って配置され、前記筺体の前記振動軸線方向における両端に設けられた端壁に両端が固定されたシャフトと、
前記シャフトが貫通すると共に、前記シャフトの延在方向に移動自在な前記マグネットと、前記シャフトの延在方向で前記マグネットに隣接して前記筺体内に配置され、前記シャフトが貫通すると共に、前記マグネットと一体に移動自在な錘部と、を有する可動子と、
前記可動子と前記端壁との間に配置され、前記可動子を前記振動軸線方向に付勢する弾性部材と、を備えたことを特徴とする振動アクチュエータ。
【請求項2】
前記コイルは、前記振動軸線を中心に環状に巻かれて前記振動軸線方向に並設された第1のコイルと第2のコイルとからなり、前記第1のコイルと前記第2のコイルは、電流の流れる向きが異なっていることを特徴とする請求項1記載の振動アクチュエータ。
【請求項3】
前記錘部は、前記振動軸線方向において前記マグネットの両側に配置された第1の錘部と第2の錘部とからなり、
前記弾性部材は、前記第1の錘部と前記筺体の一方の端壁との間に配置された第1の圧縮ばねと、前記第2の錘部と前記筺体の他方の端壁との間に配置された第2の圧縮ばねと、からなり、
前記マグネットと前記第1の錘部及び前記第2の錘部との間には環状のポールピースがそれぞれ配置されていることを特徴とする請求項1又は2記載の振動アクチュエータ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−16153(P2012−16153A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−149419(P2010−149419)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(000001225)日本電産コパル株式会社 (755)
【Fターム(参考)】