説明

振動タッチパネル及びこれを備える電子機器

【課題】 パネル上のボタンの位置(タッチ位置)に関わらず一定した操作感(振動)を得ることができ、且つ、操作内容の変更によって画面が切り替わったときでも特別な設計変更(新たな回路配置やプログラミング)を必要としない振動タッチパネルを提供する。
【解決手段】 振動素子を備えた振動タッチパネルにおいて、ユーザのタッチ位置に応じて上記振動素子に流す電流を変動させる電流変動手段を備える。即ち、ユーザのタッチ位置(パネル上の座標)が振動素子から遠い場合には、振動素子に流す電流を増加して強く振動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザのタッチ操作を検出して振動する振動素子を備えた振動タッチパネル、及び当該振動タッチパネルを備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、現金自動預払機(ATM)や自動券売機のような公衆が利用する大型の装置から、家庭用の複写機や電話機などの小型の装置に至るまで、様々な電子機器において操作用のタッチパネルが実装されている。
【0003】
図4に複写機のタッチパネルの一例を示す。ユーザは、例えば、用紙サイズボタン41のいずれかをタッチして用紙サイズを選択し、テンキー42をタッチしてコピー部数を入力し、実行ボタン43をタッチすれば所望のコピーを実行できる。
【0004】
この際、タッチが確実に行われたことをユーザに認識させて操作感を持たせるために、タッチしたボタンの色を変化させたり、ボタンをタッチした際に音を出すなどの技術がよく用いられている。また、このような操作感向上技術の一つとして、タッチした際にパネルが振動するように、振動素子を内蔵したタッチパネルも登場している。
【0005】
この技術は、例えば図4に点線Eで示すようなパネルの端部に振動素子を内蔵し、タッチ操作を検出した際にこの振動素子に電流を流すようにソフトウェア構成することで実現される。なお、振動素子は、マイクロモータや圧電アクチュエータなど様々なものがあり、タッチパネルの大きさや当該電子機器の設置場所などを考慮して、最適なものを使用する。
【0006】
ところで、この例のように振動素子を端部に備える構造を採用すると、パネルの点線Eと逆の端にあるボタンをタッチしたときなどに、振動がユーザにうまく伝わらないことがある。
【0007】
これを解消するために、以下の特許文献では、複数の振動素子を内蔵するタッチパネルが開示されている。
【特許文献1】特開2004−94389号公報 この技術は、図5に示すように、パネル50上のボタン51,52,53,54に対応して振動素子B1,B2,B3,B4が備えられており、例えばボタン51(52,53,54)をタッチした際には、このボタンに最も近い振動素子B1(B2,B3,B4)が振動するようにプログラミングされている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記技術には以下のような問題がある。
【0009】
まず、図5の例のように4つ程度のボタンであれば上記技術の構成で足りるかもしれないが、もっと多数のボタンが存在する場合にもそれぞれ対応する振動素子を備えることは、電子回路が複雑になる上にコストもかかり、実用的ではない。
【0010】
また、電子機器の種類によっては次のような問題が生ずる。即ち、あるパネル画面で特定の操作を行った後に、パネル画面が切り替わり、新たな画面でユーザに操作を促すような場合がある。そしてこの新たな画面においては、新たなボタンが前画面とはまったく異なる位置におかれることもあり、このような場合には上記技術のようにボタンと振動素子の対応関係を固定しておいたのでは対処できない。
【0011】
この際、全ての切り替え画面について、全てのボタンと各振動素子の対応関係をプログラミングしておくことは、理論上は可能であろうが、それを実装するのは煩雑である。さらに、例えばATMのような装置の場合には、新しいサービスの開始に伴って画面表示が一新することは頻繁にあることであり、その度ごとに上記対応関係をプログラミングすることは煩瑣に耐えない。
【0012】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、パネル上のボタンの位置(タッチ位置)に関わらず一定した操作感(振動)を得ることができ、且つ、操作内容の変更によって画面が切り替わったときでも特別な設計変更(新たな回路配置やプログラミング)を必要としない振動タッチパネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
以上の目的を達成するために、本発明では次のような手段を採用している。
まず、本発明では、ユーザのタッチ操作を検出して振動する振動素子を備えた振動タッチパネルを前提としている。そして、このような振動タッチパネルにおいて、ユーザのタッチ位置に応じて上記振動素子に流す電流を変動させる電流変動手段を備える。即ち、ユーザのタッチ位置(パネル上の座標)が振動素子から遠い場合には、振動素子に流す電流を増加して強く振動させる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の振動タッチパネルでは、上述の通り座標に基づいて振動の強弱を決定するので、パネル上のボタンの位置(タッチ位置)に関わらず一定した操作感(振動)を得ることができる。また、あらゆる電子機器において、本発明によれば、操作内容の変更によって画面が切り替わったときでも特別な設計変更(新たな回路配置やプログラミング)を必要としない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
図1は、本発明の振動タッチパネル、及び当該振動タッチパネルを備える電子機器のブロック構成図である。
【0017】
ユーザが操作表示部17のタッチパネル11にタッチすると、制御部1のCPU13により、メモリ18に格納されたプログラムにより動作するタッチ位置検出手段14が、ユーザのタッチ位置を検出する。これにより電子機器側では、ユーザが操作表示部17のどのボタンを選択したかを認識し、ユーザが選択した動作を行うのである。そしてこのときに、振動駆動手段16が振動素子12に電流を流して、タッチパネル11全体を振動させる。これが従来の技術である。
【0018】
本発明では上記タッチ位置検出手段14と振動駆動手段15との間に、電流変動手段15を介在させる。この電流変動手段15もメモリ18に格納されたプログラムであるが、タッチ位置検出手段14が検出したユーザのタッチ位置(タッチパネル11上の座標)に基づいて、振動駆動手段16による振動素子12に流す電流を決定し、例えば、図示しないDA変換回路に前記決定された電流のデジタル値を出力し、前記DA変換回路で前記デジタル値をアナログ値に変換し、振動駆動手段16に入力し、振動駆動手段16は前記入力されたアナログ値に基づいて振動素子12の振動駆動電流を変動させる。
【0019】
具体的には、図2に示すように、ユーザのタッチ位置の座標(x,y)を検出し、タッチ位置の原点Oからの距離が大きいときは、上記電流を増大させることにより振動素子12の振動を強くするようにする。
【0020】
この距離と電流との対応関係は、振動素子12の設置位置を上記座標の原点としているときには、例えば、距離と電流を正比例させるのがもっとも単純であるが、これに限定されるものではなく、ユーザがより良い操作感(振動)を得られるように適宜決定する。
【0021】
また、上記の距離は、図2に枠線Fで示したように、振動素子12がタッチパネル11のy座標全域に亘って設置されているときは、x座標のみによって決定することもできる。
【0022】
さらに、一般のタッチパネルにおいて、位置の検出は連続座標で行われるわけではなく、図2にドットDで示すように、離散座標で行われるのが通常である。このような場合には、図3に示すような、各座標と流す電流との対応表を作成しておけば、電流変動手段15は上記距離や、距離に基づく電流をいちいち算出する必要はなく、迅速に振動駆動手段16を作動させることができる。勿論この場合も、x座標のみによって流す電流を決定することができる。
【0023】
以上説明したように、ユーザのタッチ位置(座標)に基づいて振動素子に流す電流を決定することにより、ユーザがどの位置をタッチしても一定した操作感(振動)を得ることができるのである。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明にかかる振動タッチパネル、及び当該振動タッチパネルを備える電子機器は、パネル上のボタンの位置(タッチ位置)に関わらず一定した操作感(振動)を得ることができる。また、本発明によれば、操作内容の変更によって画面が切り替わったときでも特別な設計変更(新たな回路配置やプログラミング)を必要としない。従って、振動タッチパネルを備えるあらゆる電子機器において有用である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の振動タッチパネル、及びこれ備える電子機器のブロック構成図。
【図2】タッチ位置検出の説明図。
【図3】座標と電流の対応表。
【図4】複写機のタッチパネルの一例。
【図5】従来の振動タッチパネルの構成図。
【符号の説明】
【0026】
11タッチパネル
12振動素子
14 タッチ位置検出手段
15 電流変動手段
16 振動駆動手段


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザのタッチ操作を検出して振動する振動素子を備えた振動タッチパネルにおいて、
ユーザのタッチ位置に応じて上記振動素子に流す電流を変動させる電流変動手段
を備えることを特徴とする、振動タッチパネル。
【請求項2】
ユーザのタッチ操作を検出して振動する振動素子を備えた振動タッチパネルを有する電子機器において、
上記振動タッチパネルに、ユーザのタッチ位置に応じて上記振動素子に流す電流を変動させる電流変動手段
を備えることを特徴とする、電子機器。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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