説明

振動フィーダおよびトラフ

【課題】正姿勢で搬送されてきたワークを確実に搬送方向下流側へ搬送し得る振動フィーダおよびトラフ。
【解決手段】振動フィーダは、凹部Waを有するワークWを一列で搬送する搬送面を備えたトラフ21と、該トラフを振動させるための駆動部とを有し、トラフを振動させて搬送面25にあるワークを搬送する際に、凹部が搬送面に対向した状態で搬送されてきた正姿勢にあるワークを下流側に搬送し、凹部が搬送面に対向した状態となっていない誤姿勢にあるワークを搬送面から排除する。トラフの搬送面は幅方向一方側ほど下方となるよう下傾斜した傾斜面とされ、搬送面の搬送方向途中の幅方向他方側部分に切欠部が形成され、正姿勢にあるワークの凹部の幅方向領域内に搬送面と切欠部との境界部25aが位置付けられると共に、切欠部に対応する搬送面の幅方向一方側に、誤姿勢にあるワークを搬送面から排除するための排除部が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワーク(被搬送物)を所定の方向に搬送するための振動フィーダおよびトラフに関する。
【背景技術】
【0002】
振動フィーダは、トラフに形成された搬送面上に沿ってワークを搬送させる途中で、誤姿勢となって搬送されているワークを選別排除し、正姿勢にあるワークのみを搬送方向下流側に搬送させることが必要となる。この種の振動フィーダとして、例えば下記特許文献1に開示されたものが公知である。
【0003】
かかる振動フィーダは、四隅に溶接用突起を形成したワーク(溶接ナット)を搬送するのに用いられ、溶接用突起間の空間からなる凹部の形状に対応した断面形状のレール(この場合、矩形断面)を、搬送面の途中で搬送方向に沿って設けている。
【0004】
そして、搬送方向上流側から搬送されてくるワークのうち、正姿勢にあるワーク(すなわち、凹部が搬送面に対向した姿勢にあるワーク)の凹部にレールが入ることで、正姿勢にあるワークはレールに案内されつつ、搬送方向下流側へ搬送され、一方、誤姿勢にあるワークは搬送面から排除される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−240791号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで近年、ワークの小型化(極小化)が進んでおり、このような小型のワークについても同様に、誤姿勢にあるワークを選別排除し、正姿勢にあるワークのみを搬送方向下流側に搬送させることが要求される。しかしながら、小型のワークに上記特許文献1の振動フィーダを適用しようとすると、レールを凹部の形状に応じて小さくしなければならず、そうなると、ワークが正姿勢であったとしても、凹部にレールが入りにくくなるため、正姿勢にあるワークを適切に搬送することができないおそれがある。
【0007】
そこで本発明は、小型のワークであっても、正姿勢で搬送されてきたワークを確実に搬送方向下流側へ搬送し得る振動フィーダおよびトラフの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の振動フィーダは、凹部を有するワークを一列で搬送する搬送面を備えたトラフと、該トラフを振動させるための駆動部とを有し、該駆動部の駆動により前記トラフを振動させて前記搬送面にあるワークを搬送する際に、前記凹部が搬送面に対向した状態で搬送されてきた正姿勢にあるワークを下流側に搬送し、前記凹部が搬送面に対向した状態となっていない誤姿勢にあるワークを搬送面から排除する振動フィーダであって、前記トラフの搬送面は幅方向一方側ほど下方となるよう下傾斜した傾斜面とされ、該搬送面の搬送方向途中の幅方向他方側部分に切欠部が形成され、前記正姿勢にあるワークの該凹部の幅方向領域内に搬送面と切欠部との境界部が位置付けられると共に、切欠部に対応する搬送面の幅方向一方側に、前記誤姿勢にあるワークを搬送面から排除するための排除部が設けられていることを特徴としている。
【0009】
上記構成によれば、正姿勢にあるワークが駆動部の駆動により搬送面を搬送方向上流側から搬送されてくると、搬送面と切欠部との境界部はワークの凹部の幅方向領域内にあるから境界部がワークの凹部に入って凹部を係止し、境界部がワークの凹部に入った分だけ、ワークはそれまでの傾斜角度である搬送面の傾斜角度よりも水平な姿勢に近くなるように傾き、そのまま駆動部の駆動により搬送方向下流側に搬送される。一方、凹部が搬送面に対向した状態となっていない誤姿勢にあるワークは、境界部に係止されず、駆動部の駆動により搬送面からその傾斜方向に滑って搬送面から排除される。
【0010】
ここで、本発明の振動フィーダでは、切欠部は搬送面の幅方向他方側に連続する補助面とされ、該補助面は幅方向他方側ほど下方に傾斜された構成を採用することができる。この構成によれば、補助面により、ワークを境界部の若干幅方向他方側で支持できるので、ワークの姿勢を安定させられる。
【0011】
また、本発明の振動フィーダでは、補助面と、該補助面に幅方向で対応する搬送面とは、鈍角をなすよう形成された構成を採用することができる。この構成によれば、案内面と補助面との間が大きく開くから、補助面が、ワークが幅方向他方側に変位するのを抑制して、ワークの幅方向位置が安定する。
【0012】
そして、本発明のトラフは、上記振動フィーダに用いられることを特徴としているトラフである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の振動フィーダは、トラフの搬送面が幅方向一方側ほど下方となるよう下傾斜した傾斜面であり、搬送面の搬送方向途中の幅方向他方側部分に切欠部を形成して、凹部が搬送面に対向した状態で搬送されてきた正姿勢にあるワークの該凹部の幅方向領域内に搬送面と切欠部との境界部を位置付けていることで、正姿勢にあるワークが搬送面を搬送方向上流側から搬送されてくると、境界部がワークの凹部に入って凹部を係止することになるから、小型のワークであっても、正姿勢で搬送されてきたワークを確実に搬送方向下流側に搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係る振動フィーダの全体概略平面図である。
【図2】同振動フィーダにおけるトラフの平面図である。
【図3】ワークの構成を表す図で、(a)は側面図、(b)は正面図である。
【図4】図2におけるX1―X1線断面図であり、ワークが正姿勢にある場合を表している。
【図5】図2におけるX2―X2線断面図であり、ワークが正姿勢にある場合を表している。
【図6】図2におけるX3―X3線断面図であり、ワークが正姿勢にある場合を表している。
【図7】図2におけるX4―X4線断面図であり、ワークが正姿勢にある場合を表している。
【図8】図2におけるX3―X3線断面図であり、ワークが誤姿勢にある場合を表している。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態に係る振動フィーダを、図面に基づいて説明する。図1および図2に示すように、振動フィーダ1は、リニアフィーダ2と、ボウルフィーダ3とから構成されている。リニアフィーダ2は、トラフ21とトラフ21を水平振動させる駆動部22とを有している。トラフ21は、多数の電子部品等のワークWを整列させるためのボウルフィーダ3からワークWを受けて、これをボウルフィーダ3側である搬送方向上流側(以下単に「上流側」と称する)D1から、搬送方向下流側(以下単に「下流側」と称する)D2へ直線的に搬送させるものである。
【0016】
リニアフィーダ2で搬送するのに適したワークWの一例を、図3(a),(b)に示す。このワークWは電子部品であり、長手方向途中部にコイルを捲回するためのコイル捲回部W1を有し、コイル捲回部W1の長手方向両端部にフランジW2を有する。フランジW2において、ワークWの搬送方向(ワークWの長手方向)に直交する断面は略矩形であり、その外側四面40,41,42,43のうち、対向する外側面40,41のそれぞれの外側面42,43寄りの側端部に基板(図示せず)に電気的に接続される端子部40a,41aが形成されている。そして、端子部40a,41aの間は、端子部40a,41aに対してくぼむ凹部Waとなっている。これら凹部Waは外側面40,41において、ワークWの搬送方向全域に亘って形成されている。また、各凹部Waは、底面Wbとその両側(端子部40a,41a側)から広がるように立ち上がる側面Wc,Wdとから断面略台形形状に形成されている。なお、他の対向する外側面42,43は平坦面である。
【0017】
図4ないし図8(これらの図には、それぞれ要部を拡大した断面図を記載してある)に示すように、トラフ21は、ワークWの搬送方向を長手方向として駆動部22に着脱自在に取り付けられるトラフ本体23を有する。トラフ本体23の長手方向に直交する方向である幅方向の中心部に、トラック部24が、長手方向全域に亘って形成されている。図4に示すように、トラック部24は、ワークWが載置されて、ワークWを上流側から下流側へ搬送する搬送面25と、搬送面25の幅方向両端部から立設される双方の縦壁面26,27とから溝状に形成されている。トラック部24は、長手方向全域に亘って、ワークWを一列でのみ搬送するのに充分な幅を有している。
【0018】
搬送面25は、幅方向一方に向かって下傾斜した傾斜平面に形成されている。搬送面25の長手方向の途中一部分に選別領域23Aが設けられている。選別領域23Aは、後述するように正姿勢で搬送されてきたワークWと、誤姿勢で搬送されてきたワークWを選別するための部分である。正姿勢とは、凹部Waを有する一の外側面40(あるいは外側面41)が搬送面25に対向して載っている姿勢である。誤姿勢とは、ワークWの、凹部Waを有しない平坦な一の外側面42(あるいは外側面43)がトラック部24の搬送面25に対向して載っている姿勢であり、凹部Waが搬送面25に対向した状態となっていない姿勢である。
【0019】
図5および図6に示すように、選別領域23Aにおける搬送面25の幅方向他方面部は、幅方向一方面部に対して、幅方向他方に向かって下傾斜した補助面28とされている。この補助面28は切欠部に相当する。選別領域23Aにおける搬送面25は、トラフ21の上流側部23Bに形成された搬送面25の延長にあるから、上流側部23Bの搬送面25と面一の傾斜面である。つまり、選別領域23Aにおける搬送面25と補助面28とは、幅方向途中部(幅方向領域内)にある境界部25aを中心(頂点)にして、それぞれ仮想水平面Lに対して互いに異なる方向に向かって、幅方向外側ほど下傾斜した面に形成されている。搬送面25と補助面28とのなす角度θは、鈍角に設定されている。また、境界部25aは、上流側D1の搬送面25の幅方向中心に対して他方側寄りにあって、正姿勢のワークにおける凹部Waの幅方向領域内に位置付けられている。また、この構成により補助面28は、選別領域23Aの搬送面25よりも幅狭に形成されている。
【0020】
縦壁面26,27は、搬送面25から直角に立ち上げられた平面である(図4参照)。縦壁面26,27は直角に立ち上げられた平面であるが、選別領域23Aにおいてのみ、他方の縦壁面27は、補助面28に対して直角に立ち上げられた平面として形成されている(図5参照)。すなわち、他方の縦壁面27が補助面28に対して直角に立ち上げられることで、縦壁面26,27どうしの最も幅方向に離間した距離である縦壁面26,27の上端部間の距離が、上流側D1(下流側D2も同様)の縦壁面26,27どうしの距離よりも広くなっている。但しこのように構成されていても、縦壁面26,27の上端部間の距離は、扱うワークWを二列に並べた距離よりも小さくなるよう設定されている。
【0021】
トラフ本体23に、搬送されてきた一部のワークWを上流側D1に戻すための排除部が、選別領域23Aに対応する領域に設けられている。排除部は、選別領域23Aの搬送面25を幅方向に延長した延長面25A(図6、図8参照)と、延長面25Aを伝って滑り落ちたワークWを受けて、上流側D1に戻すための戻し路231とから構成されている。
【0022】
延長面25Aは、搬送面25よりもわずかに下傾斜角度を急勾配になるように形成されている。延長面25Aは、選別領域23Aにおいて、さらにその途中一部分の領域に形成されている。この延長面25Aが形成されている領域には、一方の縦壁面26は存在しない。
【0023】
戻し路231は、搬送面25の幅方向端部から段落ちして、搬送面25よりもさらに低い位置にある平面(水平面)に形成されている。戻し路231は、選別領域23Aに対応する領域の幅方向一方側に、搬送面25に沿うよう形成されている。
【0024】
トラフ21の上流側部23Bには、上下に重なったワークWのうち、下位のワークWのみをトラック部24に導けるよう、上位のワークWの進入を阻止する阻止壁21Aが設けられている。
【0025】
なお、トラフ21を水平振動させる駆動部22は、板バネの共振を用いてトラフ21を振動させる構成を有している。ボウルフィーダ3は、ワークWを収容するためのボウル31と、ボウル31の下部に設けられてボウル31をねじり振動により振動するための駆動部とを有している。ボウル31の内周面には、螺旋状のトラックが形成されている。
【0026】
上記構成の振動フィーダ1において、ボウルフィーダ3のボウル31に収容された多数のワークWは、ボウル31が振動することで、そのトラックにワークWが順次載って、ワークWが該トラック上をリニアフィーダ2に向け、整列されつつ搬送される。
【0027】
リニアフィーダ2のワーク導入部分に搬送されて来たワークWは、それが複数段であれば阻止壁21Aによって、下位のワークWのみをトラック部24に導くよう、上位のワークWの進入が排除される。排除されたワークWは再びボウル31(下流側)に戻される。
【0028】
トラフ21のトラック部24は、ワークWを一列でのみ搬送することが可能な幅を有しているから、ワークWは一列のみでトラック部24に導入され、駆動部22の駆動によってトラフ21が水平振動をして、トラック部24にあるワークWをさらに下流側D2へ向けて、所定の方向へ直線的に搬送する。
【0029】
ところで、リニアフィーダ2のトラック部24にワークWが導入された時点では、ワークWとしては、正姿勢のものと誤姿勢のものとが一列に混在しており、誤姿勢のワークWも、正姿勢のワークWも、トラック部24に導入されて下流側D2に向けて搬送される。
【0030】
ここで、正姿勢のワークWがトラック部24に搬送される場合を説明する。正姿勢のワークWでは、凹部Waを有する一の外側面40(あるいは外側面41)が搬送面25に載っている。そして搬送面25は幅方向一方側に下傾斜した傾斜面に形成されているから、トラフ21の振動により幅方向一方側に向けて滑り、一方の縦壁面26に一の外側面42(あるいは外側面43)が当接するようにして、下流側D2に案内される(図4参照)。
【0031】
この状態を維持して、ワークWは、トラック部24をその選別領域23Aまで搬送される。選別領域23Aにおける搬送面25の幅方向他方面部は切欠かれて下傾斜した補助面28とされており、搬送面25に対して境界部25aから下傾斜している。そして境界部25aは、上流側部23Bの搬送面25の幅方向中心に対して他方側寄りにあって、ワークWの凹部Waの幅方向内にあるよう位置付けられている。したがって、ワークWが選別領域23Aまで搬送されると、凹部Wa内に境界部25aが入って、その分だけワークWの仮想水平面Lに対する傾斜角度が小さくなるよう変更される。すなわち、搬送面25の傾斜角度よりも水平な姿勢に近くなるように傾く(図5参照)。
【0032】
境界部25aは凹部Waに入ることで底面Wbに接触(係止)し、ワークWの一の外側面40における凹部Waに対する外方部(幅方向一方側の部分)は、搬送面25に載ったままの状態となる。このとき、境界部25aは、搬送面25の幅方向中心に対して他方側寄りに位置付けられているから、ワークWを境界部25aの若干幅方向他方側で支持して,ワークWの重心を一方の縦壁面26側に位置させるようになるから、ワークWが補助面28に沿う方向に傾いてしまうのを回避することができる。また、補助面28と搬送面25とのなす角度は鈍角に設定されて、補助面28と搬送面25との間が大きく開いているから、補助面28と搬送面25とでワークWを確実に支持でき、小型(極小)のワークWであってもその姿勢を安定させられる。
【0033】
ワークWの重心を一方の縦壁面26側に位置させた状態(境界部25aに対して幅方向一方側に存在する状態)にあれば、トラフ21の振動によりワークWは幅方向一方側に寄って、境界部25aは凹部Waの底面Wbに接触した状態で、凹部Waの幅方向一方側の外方部が搬送面25上にあり、凹部Waの幅方向他方側の側面Wcが補助面28に係止するよう支持される(図6参照)。このように、搬送面25上で、ワークWを三点接触的に支持することで、ワークWの姿勢を安定させられる。
【0034】
トラフ21が振動すると、ワークWはさらに下流側D2に搬送される。選別領域23Aにおいて、さらにその途中一部分の領域には、一方の縦壁面26は存在しない。しかしながら、上記のように、凹部Waに境界部25aが入ることでこれが底面Wbに接触しており、ワークWの一の外側面40における凹部Waに対する外方部は、搬送面25に載ったままであって、前述のように、ワークWの仮想水平面Lに対する傾斜角度は小さくなっている。このため、ワークWの重心が幅方向一方側に大きく変位することがなく、したがってワークの凹部Waが境界部25aから外れてしまうおそれは、ほとんどない。このため、一方の縦壁面26が存在しなくても、正姿勢のワークWが搬送面25から延長面25Aに外れて、滑り落ちてしまうことはない。
【0035】
搬送面25はトラック部24の下流側部23Cでも上流側部23Bと同様に、下傾斜した傾斜平面である。したがって、トラフ21の振動によりさらにワークWが下流側D2に搬送されると、ワークWは下流側部23Cの搬送面25に移動して仮想水平面Lに対するワークWの傾斜角度が、トラック部24の上流側部23Bと同じになる(図7参照)。また、一方の縦壁面26に一の外側面42(あるいは外側面43)が当接するようにして、さらに下流側D2に搬送される。トラフ21の振動により選別領域23AからワークWが下流側D2に搬送されるとき、ワークWを搬送面25に円滑に載せるには、補助面28から下流側D2の搬送面25に至る間を急激に変化する断面とせずに、緩やかに変化して搬送面25に連続させることが好ましい。
【0036】
ところで、誤姿勢のワークWが搬送される場合では、ワークWは、その凹部Waを有しない一の外側面42(あるいは外側面43)がトラック部24の搬送面25に載っている状態にある(図8参照)。この場合でもワークWは、トラック部24の上流側部23Bから選別領域23Aまで搬送される。
【0037】
しかしながら、誤姿勢のワークWでは凹部Waを有しない一の外側面42(あるいは外側面43)がトラック部24の搬送面25に載っているから、トラック部24の選別領域23Aまで搬送されても、境界部25aは凹部Waに入ることがない。つまり、ワークWをトラック部24に保持しておく手段として一方の縦壁面26のみとなる。そして、選別領域23Aの途中一部分の領域では、一方の縦壁面26は存在しない。このため、ワークWはトラフ21の振動により、搬送面25から延長面25Aに向けて滑り(図8参照)、さらに戻し路231に滑り落ち、トラフ21の振動により、上流側D1に戻される。
【0038】
上記のように、本発明の一実施形態では、トラック部24の選別領域23Aにおいて、搬送面25の幅方向他方面部を切欠いて、幅方向他方に向かって下傾斜した補助面28とすることで、正姿勢にあるワークWの凹部Waに、搬送面25の一部を突出させずに形成した境界部25aに係止させるようにしている。このためワークWを、上流側D1から支障なく選別領域23Aに至らしめることができる。
【0039】
しかも選別領域23Aにおいて、ワークWを下流側D2に搬送案内するために、搬送面25の幅方向他方面部を切欠いて補助面28として、境界部25aをワークWの凹部Waに係止する構成とている。すなわち選別領域23AにおいてワークWを下流側D2に搬送案内するために、ワークWの凹部Waの形状に合致するような係止部分を形成しておらず、したがって係止部分の製造も容易である。
【0040】
さらに、誤姿勢にあるワークWでは、その凹部Waに境界部25aが係止せず、搬送面25から延長して設けた延長面25Aを滑り落ちることで搬送面25から排除されて、戻し路231に戻されるから、正姿勢と誤姿勢のワークWを正確に選別することができる。
【0041】
本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々変形が可能である。その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではない。
【0042】
上記実施形態では、選別領域23Aにおいて補助面28および搬送面25は、境界部25aを中心にして、仮想水平面Lに対して双方とも下傾斜させた構成としている。しかしながらワークWの形態等の条件に応じて、この構成は適宜変更することが好ましい。例えば、補助面28を仮想水平面Lに沿わせ、搬送面25を補助面28に対して傾斜させる構成が考えられる。
【0043】
また、搬送面25および補助面28は平面ではなく、曲面とすることもできる。排除部を設ける範囲は、選別領域23Aの長手方向全域であっても、一部であってもよい。選別領域23Aはトラック部24の一箇所であってもよいし、搬送方向に離間して複数箇所、間欠的に配置してもよい。切欠部は搬送面25と鈍角をなす補助面28ではなく、搬送面25と直角をなす面であってもよい。
【0044】
また、上記実施形態では、一つのトラフ21のトラック部24に上流側部23B、下流側部23C、および選別領域23Aを一体で形成した。しかしながら、場合によっては、上流側部23B、下流側部23C、および選別領域23Aを別体で形成して、これらを一体に連結したトラフ21とすることも可能である。
【符号の説明】
【0045】
1…振動フィーダ、21…トラフ、22…駆動部、23A…選別領域、24…トラック部、25…搬送面、25A…延長面、25a…境界部、28…補助面、40,41,42,43…外側四面、231…戻し路、W…ワーク、Wa…凹部、Wb…底面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹部を有するワークを一列で搬送する搬送面を備えたトラフと、該トラフを振動させるための駆動部とを有し、該駆動部の駆動により前記トラフを振動させて前記搬送面にあるワークを搬送する際に、前記凹部が搬送面に対向した状態で搬送されてきた正姿勢にあるワークを下流側に搬送し、前記凹部が搬送面に対向した状態となっていない誤姿勢にあるワークを搬送面から排除する振動フィーダであって、
前記トラフの搬送面は幅方向一方側ほど下方となるよう下傾斜した傾斜面とされ、該搬送面の搬送方向途中の幅方向他方側部分に切欠部が形成され、前記正姿勢にあるワークの該凹部の幅方向領域内に搬送面と切欠部との境界部が位置付けられると共に、切欠部に対応する搬送面の幅方向一方側に、前記誤姿勢にあるワークを搬送面から排除するための排除部が設けられていることを特徴とする振動フィーダ。
【請求項2】
切欠部は搬送面の幅方向他方側に連続する補助面とされ、該補助面は幅方向他方側ほど下方に傾斜されていることを特徴とする請求項1記載の振動フィーダ。
【請求項3】
補助面と、該補助面に幅方向で対応する搬送面とは、鈍角をなすよう形成されていることを特徴とする請求項2記載の振動フィーダ。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載の振動フィーダに用いられることを特徴とするトラフ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−214258(P2012−214258A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−78996(P2011−78996)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000002059)シンフォニアテクノロジー株式会社 (1,111)
【Fターム(参考)】