説明

振動フィーダ

【課題】 ワークのせり上がりを崩すことができ、傾斜壁面上でのワークの停滞を防止できる振動フィーダの提供。
【解決手段】 ワークを収容するボウルと、該ボウルを振動させる振動部とを備えた振動フィーダであって、前記ボウルは、その底部に形成された膨出部と、該膨出部の径方向外方部から上傾斜するよう形成された円錐面状の傾斜壁面と、該傾斜壁面にその周方向に倣って螺旋状に形成されたトラックと、該トラックとは別に形成されるとともに、前記振動部の駆動による振動によって底部から傾斜壁面に面伝いに重なってせり上がってきたワークのうちの少なくとも一部のワークを受け取って底部側に戻すくぼみ部とを備えている構成。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワーク(被搬送物)を所定の方向に搬送するための振動フィーダに関し、特に、ワークを収容するボウルを備えたボウルフィーダの、ボウル構造に関する。
【背景技術】
【0002】
振動フィーダの一例として、ボウルフィーダがある(例えば、下記特許文献1参照)。ボウルフィーダは、ワークを収容するボウルと、ボウルを振動(ねじり振動による加振)させる振動部とを備えている。ボウルには、その底部に膨出部と、膨出部の径方向外方部から上傾斜する円錐面状の傾斜壁面と、傾斜壁面にその周方向に倣った螺旋状トラックとが形成されている。そして、振動部を駆動させてボウルを振動させることにより、トラックの搬送面に移送されたワークが搬送方向下流側に順次搬送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−301837公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の振動フィーダでは、ボウルが振動して、収容されているワークに振動が与えられると、ワークがトラック上を搬送方向上流側から搬送方向下流側に順次移動する。一方で、トラック上に移送されないワークがある。これらは膨出部によってボウルの中心側への移動が抑えられた状態にあるから、ボウルが振動すると、ワークの重なりが均されながら傾斜壁面を面伝いにせり上がる現象が生じる。
【0005】
このようなワークのせり上がりが成長(トラックの径方向外方へ拡大)すると、傾斜壁面に形成されたトラックに至ってしまう場合がある。そうなると、既にトラック上を搬送されているワークの流れの邪魔になってワークの流れを停滞させてしまい、ワークの搬送効率が低下してしまう。また、さらにせり上がりが成長すると、場合によっては、ボウルからワークがこぼれてしまうという不都合が生じる。
【0006】
そこで、ワークのせり上がりを阻止するために、傾斜壁面の所定位置に板状部材や棒状部材等の障害部材を立設して、ワークのせり上がり状態を崩す(分散させる)ことが考えられる。しかしながらこの場合では、ワークが底部から障害部材に向ってせり上がりワークが障害部材に押し付けられると、ワークどうしが底部と障害部材との間に噛込むように並んでしまい、ボウルが振動してもワークが円滑に移動できない。
【0007】
そこで本発明は、ワークのせり上がりを崩すことができ、傾斜壁面上でのワークの停滞を防止できる振動フィーダの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ワークを収容するボウルと、該ボウルを振動させる振動部とを備えた振動フィーダであって、前記ボウルは、その底部に設けられた膨出部と、該膨出部の径方向外方部から上傾斜するよう形成された円錐面状の傾斜壁面と、該傾斜壁面にその周方向に倣って螺旋状に形成されたトラックと、該トラックとは別に形成されるとともに、前記振動部による振動によって底部から傾斜壁面に面伝いに重なってせり上がってきたワークのうちの少なくとも一部のワークを受け取って底部側に戻すくぼみ部とを備えていることを特徴としている。
【0009】
上記構成において、振動部の駆動によってボウルが振動されると、ボウルに収容されているワークが振動してトラックに載り順次その搬送面を移動する。またボウルの底部には膨出部があって、ワークがボウル中心に寄るのが抑えられているから、収容されたワークが多数であると、前記振動によりワークがワーク群として底部から傾斜壁面に面伝いにせり上がってくる。しかしながら、傾斜壁面にはくぼみ部が形成されているから、面伝いに重なってせり上がってきたワークのうちの少なくとも一部のワークは、くぼみ部に受け渡される(傾斜壁面からくぼみ部内に落ちる)。このためワーク群が崩れ、ワーク群が成長するといった現象が抑制される。また、せり上がってくるワークはくぼみ部内に順次受け渡されるので、ワークどうしが噛み込むことがなく、ワークの移動の停滞が回避される。
【0010】
本発明の振動フィーダでは、くぼみ部は、受け取ったワークを傾斜壁面の周方向に移動させて底部側に戻すことが可能な溝状に形成することができる。
【0011】
上記構成とすることで、くぼみ部に受け渡されたワークは、ボウルの振動によりくぼみ部を傾斜壁面の周方向に円滑に移動して底部側に戻される。
【0012】
本発明の振動フィーダでは、くぼみ部は、ワークの移動方向始端側に比べて移動方向終端側が順次ボウルの中心に近くなるよう形成することができる。
【0013】
上記構成によれば、ワーク群において傾斜壁面の径方向内外方向に並んだワークの、径方向外方側のワークから順にくぼみ部に受け渡されて、ワーク群が崩される。くぼみ部は、ワークの移動方向終端側がボウルの中心に近く、ボウルの中心側から底部に戻されるので、ワークに対する衝撃が極めて小さくなる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の振動フィーダによれば、ボウルに収容されたワークに振動が与えられてワークが底部から傾斜壁面に面伝いに重なってせり上がってきても、傾斜壁面にくぼみ部が形成されているので、ワーク群としてせり上がったワークの一部がくぼみ部に受け渡されて傾斜壁面からくぼみ部内に落ち、これによりワーク群が崩れてワーク群の成長が抑制される。また、くぼみ部内にワークが受け渡されるので、傾斜壁面の面伝いにワークが並ぶようなワークどうしの噛み込みがなくなるから、ワークの流れが傾斜壁面上で停滞するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係る振動フィーダの全体平面図である。
【図2】同振動フィーダの側面図である。
【図3】同振動フィーダのボウルの平面図である。
【図4】同振動フィーダのボウルの中心部での縦断面図である。
【図5】同振動フィーダのくぼみ部を表すようにした一部拡大断面図である。
【図6】同振動フィーダのボウルの別の位置においてくぼみ部を表すようにした一部拡大断面図である。
【図7】同振動フィーダの一部のワークの動きを表した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態に係る振動フィーダを、図1ないし図7に基づいて説明する。図1ないし図3に示すように、振動フィーダ1は、例えばICチップ等、電子部品であるワークWを整列させるボウルフィーダ2と、ボウルフィーダ2により搬送されてきたワークWを、さらに一定方向に搬送するリニアフィーダ3とから構成されている。
【0017】
ボウルフィーダ2は、ワークWを収容できるボウル21と、ボウル21の下部に設けられてボウル21をねじり振動により加振させるための振動部23とを有する。ここでボウル21の構成を、図1ないし図6に基づいて詳述する。ボウル21は円柱状部材の上面(円板形状の面)を、例えば切削によりくぼませて形成している。
【0018】
底部25はボウル21の径方向中心に配置されており、底部25には膨出部が形成されている。この場合、底部25は膨出部から形成されており、該膨出部は中心部25a(ボウル21の中心)が最も高い位置にあって、中心部25a近傍から径方向外方に向けて下傾斜する円錐状の突傾斜面25bを備えている(特に、図4参照)。
【0019】
傾斜壁面26は、突傾斜面25bの径方向外方端から順次径を拡大させるよう、突傾斜面25bとは逆方向の傾斜で斜め上方に立ち上げられた円錐面状に形成されている。突傾斜面25bと傾斜壁面26は互いに傾斜方向が逆であるので、突傾斜面25bおよび傾斜壁面26の連続部分の領域が、ワークWを貯められる収容凹部24となっている。そして、膨出部の高さに比べて、傾斜壁面26の高さが高く形成されている。
【0020】
傾斜壁面26に、ワークWを移動させるためのトラック27が形成されている。このトラック27は、傾斜壁面26の周方向に倣って連続して螺旋状に形成されており、傾斜壁面26の最下端部から最上端部まで途切れることなく一条で形成されている。トラック27において、ワークWを搬送するワーク搬送面27aは、長手方向(螺旋方向)全域に亘って径方向外方に向けて下傾斜する傾斜面に形成されている。ワーク搬送面27aの径方向端部から上方に垂直に立ち上がる案内壁面27bが形成されている。
【0021】
ワーク搬送面27aの径方向幅B1、すなわちボウル21の径方向に対応する幅は、ワーク搬送方向下流側(以下、単に下流側という)が、ワーク搬送方向上流側(以下、単に上流側という)に比べて順次幅狭になるよう形成されている。なお、下流側とはワークWが搬送されて行く方向であるが、ボウル21においては、上流側よりも下流側の方が高い位置となっている。
【0022】
傾斜壁面26に、傾斜壁面26に沿って傾斜壁面26の径方向外方に成長するワーク群を崩し、またワーク群を成長させず、さらにワーク搬送面27aに搬送されているワークWの数を制限するための、くぼみ部40(40A,40B,40C,40D,40E)が形成されている。このくぼみ部40は、複数形成されている。そして、これらくぼみ部40は、傾斜壁面26にトラック27とは別に形成されている。
【0023】
ここで、ひとつのくぼみ部40の基本的構成について詳述する。各くぼみ部40は傾斜壁面26の一部を切削して形成されており、ボウル21の中心から変位させた中心位置周りの円周上にあって、平面視して円弧状に形成されている。また、その底面40aの断面(ボウル21の径方向に沿う断面)は、円弧状に形成されている。
【0024】
くぼみ部40において、ボウル21の振動によりワークWが移動する方向の上流側を始端41と称し、下流側を終端42と称する。くぼみ部40の始端41は、トラック27の長さ方向途中部分でワーク搬送面27aの径方向内方側端部に、くぼみ部40毎にトラック27の径方向幅B1を小さくするよう連続している。
【0025】
くぼみ部40は、始端41側に比べて終端42側が順次ボウル21の中心、すなわち底部25(膨出部)に近付くよう湾曲して形成されている。換言すれば、くぼみ部40における底部25までの距離(傾斜壁面26に沿う距離)は、始端41側から終端42側にかけて順次小さくなっている。この構成は、くぼみ部40において、始端41側に比べて終端42側が順次低い位置となっていることを意味している。
【0026】
くぼみ部40の径方向幅B2(ボウル21の径方向に対応する幅)は、始端41側に比べて終端42側が順次狭くなるよう形成されるとともに、各くぼみ部40はその深さが、始端41側に比べて終端42側が順次浅くなるよう形成されている。
【0027】
この実施形態では、上記構成のくぼみ部40(40A,40B,40C,40D,40E)が、トラック27の螺旋に沿って間欠的に且つ離間して配置されることで、傾斜壁面26の複数箇所(図では5箇所)に設けられている。各くぼみ部40は、それぞれボウル21の中心から変位させた、異なる中心位置周りの円周上にある。各くぼみ部40どうしは、トラック27の螺旋に沿うよう配置されることで、傾斜壁面26の径方向に沿う方向においても離間して配置されている。
【0028】
所定のくぼみ部40の終端42は、その所定のくぼみ部40よりも径方向内方にあって螺旋方向で隣合う二つのくぼみ部40の間に位置している。例えば、くぼみ部40A、くぼみ部40B、くぼみ部40Cの三つのくぼみ部40の関係において、所定のくぼみ部40Cよりも径方向内方にあって螺旋方向で隣合うくぼみ部40は、くぼみ部40Aおよびくぼみ部40Bであり、くぼみ部40Cの終端42は、径方向において、くぼみ部40Aとくぼみ部40Bとの間にある。
【0029】
なお、ワークWを直線的に搬送するリニアフィーダ3は、トラフ31を板バネの共振によって水平振動させる駆動部32を有する。また、ボウルフィーダ2の振動部23は、ボウル21をねじり振動(加振)させるよう構成されている。
【0030】
上記構成において、振動部23を駆動して、ボウル21を振動させると、ボウル21(収容凹部24)に収容したワークWは、トラック27に移動するとボウル21の振動により順次上流側から下流側に搬送される。
【0031】
ところで、ボウル21に多数個のワークWを収容した状態で、振動部23を駆動すると、ボウル21には膨出部である突傾斜面25bが底部25に形成されているから、トラック27に移動していないワークWは、ボウル21の中心側への移動が抑えられた状態にある。このため、ボウル21の振動により傾斜壁面26の傾斜に沿って重なるようにワークWが均され、ワークWの群れであるワーク群43が発生する場合がある。
【0032】
さらにボウル21が振動すると、ワークWが傾斜壁面26を面伝いにせり上がって、ワーク群43がトラック27の長さ方向途中部分に向けて(径方向外方に向けて)成長をする。しかし、傾斜壁面26にはトラック27とは別に、くぼみ部40が設けられている。このため、ワーク群43を形成するワークWのうち、傾斜壁面26の上方(径方向外方)側にあるワークW(W2)がくぼみ部40に至ると、傾斜壁面26からくぼみ部40に落ちてその底面40aに受け渡される。すなわち、ワーク群43を形成する一部のワークWが、くぼみ部40の内部に入る(図7参照)。
【0033】
くぼみ部40は、ワークWの始端41側に比べて終端42側が順次ボウル21の中心に近くなるよう湾曲した溝状に形成され、始端41側に比べて終端42側が順次低い位置となっていて、しかもくぼみ部40の深さは、ワークWの始端41側に比べて終端42側が順次浅くなるよう形成されている。このため、くぼみ部40内のワークWは、ボウル21が振動することで、くぼみ部40の始端41側から終端42(ワークの移動方向終端)側に向けて円滑に移動し、始端41側から終端42側に向けて移動したワークWは、終端42側から傾斜壁面26、底部25に円滑に戻される。
【0034】
上記のように、くぼみ部40内のワークW(W2)が移動することで、ワークWが傾斜壁面26を面伝いにせり上がってくぼみ部40内に順次受け渡されても、既にくぼみ部40内にあるワークWは順次底部25側に戻されるから、ワーク群43の径方向外方への成長を防止することができ、傾斜壁面26でのワークWの停滞を防止することができる。
【0035】
くぼみ部40は、底部25までの距離が、始端41側から終端42側にかけて順次小さくなるよう形成されている。このため、ボウル21の振動によって、ワーク群43そのものが傾斜壁面26上を周方向に移動して行くと、傾斜壁面26の上方側にあるワークWが順次くぼみ部40に受け渡され、ワーク群43において径方向に並んだワークWの数が順次減少するようになる。このため、ワーク群43の径方向外方への成長を防止することができる。
【0036】
あるいは、ワーク群43の形成態様は、場合によっては、トラック27の途中部分を越えて傾斜壁面26に大きく広がり、互いに径方向外方、径方向内方にあるくぼみ部40(例えばくぼみ部40A)と、くぼみ部40(例えばくぼみ部40E)との間にも存在するような場合も想定される。このような場合では、ワーク群43がボウル21の振動によってくぼみ部40Aとくぼみ部40Eとの間を移動すると、くぼみ部40Aとくぼみ部40Eとの間には、別のくぼみ部40Bがあるから、ワーク群43の径方向途中部分を形成する一部のワークWがくぼみ部40Bに受け渡される。したがって、ワーク群43がその径方向途中部分で崩され、ワーク群43の成長を防止することができる。ワーク群43を崩すとは、ボウル21の振動によってワークWが均されて発生したワーク群43の均一性が、不均一にすることである。
【0037】
くぼみ部40どうしを、傾斜壁面26の螺旋方向に間欠的に形成して、しかもくぼみ部40どうしでボウル21の周方向全域を囲う(網羅する)ようにすれば、ワーク群43が周方向の何れの位置で形成されたとしても、何れかのくぼみ部40にワークWが受け渡されることで、ワーク群43を崩したり、ワーク群43の成長を阻止したりすることができる。
【0038】
所定のくぼみ部40の終端42は、その所定のくぼみ部40よりも径方向内方にあって螺旋方向で隣合う二つのくぼみ部40の間に位置した構成を有している。この構成に基づいて、例えば、くぼみ部40A、くぼみ部40B、くぼみ部40Cの三つのくぼみ部40の関係でワークWの動きを説明すると、くぼみ部40Cの終端42から傾斜壁面26に戻されたワークW(W3)は、くぼみ部40A、くぼみ部40Bとの螺旋方向の間の領域から、底部25側あるいはトラック27に戻される。
【0039】
ところで、ボウル21の収容凹部24に多数個のワークWを収容し、振動部23を駆動することでボウル21をさせると、底部25にある多数のワークWのうちの一部は、トラック27のワーク搬送面27aに載って、トラック27に沿って順次上方に移動する。このとき、ワークWのサイズ等によって、ワーク搬送面27aには、ワークWが複数列に並んで、あるいは乱雑な状態で下流側に搬送される。
【0040】
ワークWがさらにワーク搬送面27a上を下流側に移動し、その長さ方向途中部分でくぼみ部40の始端41(ワークの移動方向始端)がある位置に至り、仮にワークWが複数列となって移動していたとして、複数列のワークWのうちの径方向内方にあるものがくぼみ部40の始端41にかかると、そのワークWはバランスを失ってくぼみ部40に落ちる(図7参照)。
【0041】
複数列のワークWのうちの一部のワークW(W1)がくぼみ部40に落ちることにより、トラック27におけるワークWの流量が減るように制限される。さらにワークWが下流側に搬送され、径方向外方にある別のくぼみ部40の始端41がある位置に至り、仮にワークWが複数列となって移動していたとして、複数列のワークWのうちの径方向内方にあるものが、くぼみ部40の始端41にかかると、そのワークWはバランスを失ってくぼみ部40に落ちる。
【0042】
このようにして、ワークWは、トラック27のワーク搬送面27aを下流側に移動することで、くぼみ部40ごとに、上記の動作を繰返して流量制限され、トラック27の下流側端部に至ったときには、ワーク搬送面27aに一列に配置された状態となっている。
【0043】
そして上記のように、くぼみ部40にワークWが受け渡されることで、ワーク群43の、径方向外方への成長を防止し、あるいはワーク群43を崩すことでワーク群43を形成するワークWを、トラック27へ至らしめなくすることが可能になる。このため、トラック27に載って既に搬送されているワークWの流量が変更されてしまうのを回避することが可能になる。
【0044】
本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能であり、その他、各部の具体的構成についても同様である。上記実施形態では、くぼみ部はその深さに、始端側と終端側とで差をつけたが、くぼみ部の長さ方向に亘って同一の深さとなるよう形成してもよい。上記実施形態では、くぼみ部の幅は始端側に比べて先端側が小さくなるよう形成したが、くぼみ部の長さ方向に亘って同一の幅に形成してもよい。
【0045】
また、上記実施形態では、各くぼみ部はその中心位置を異ならせて、平面視して円弧状に形成したが、くぼみ部どうしを同心円で径の異なる円弧状に形成してもよい。また、円弧状の各くぼみ部の中心を、底部の中心と一致させることも可能である。各くぼみ部の底面は、円弧状に限定されることなく矩形枠形状等であってもよい。何れの形状にしても、終端側の深さを終端に向けて浅く形成することが、ワークを円滑に底部側に戻すのに好ましい。
【0046】
その他、くぼみ部の形状として次のような場合が考えられる。
(1)平面視して、傾斜壁面に直線状の形状のくぼみ部。この場合では、円弧状が直線状になるだけで、始端はトラックのワーク搬送面に接続して流量を制限するようにし、先端はボウルの中心に近付くよう傾斜壁面上で傾斜させる。
(2)始端から終端にかけてボウルの中心からの離間距離が均一な(すなわち周方向に沿う)形状のくぼみ部。
(3)ボウルの径方向にのみ沿う形状のくぼみ部。
(4)始端から周方向に沿うよう延長され、途中部分から径方向に屈曲するように沿って、終端側は始端に比べて径方向内方にある形状のくぼみ部。
(5)始端から終端にかけて周方向に沿い、その途中部分で径方向に分岐する部分を有する形状のくぼみ部。
【0047】
なお、傾斜壁面に本発明のくぼみ部を形成するボウルフィーダとしては、底部がフラットのものに適用させることも、参考例として考えられる。
【符号の説明】
【0048】
1…振動フィーダ、2…ボウルフィーダ、21…ボウル、23…振動部、25…底部、25b…突傾斜面、26…傾斜壁面、27…トラック、40…くぼみ部、41…始端、42…終端、43…ワーク群、W…ワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを収容するボウルと、該ボウルを振動させる振動部とを備えた振動フィーダであって、
前記ボウルは、その底部に設けられた膨出部と、該膨出部の径方向外方部から上傾斜するよう形成された円錐面状の傾斜壁面と、該傾斜壁面にその周方向に倣って螺旋状に形成されたトラックと、該トラックとは別に形成されるとともに、前記振動部の駆動による振動によって底部から傾斜壁面に面伝いに重なってせり上がってきたワークのうちの少なくとも一部のワークを受け取って底部側に戻すくぼみ部とを備えていることを特徴とする振動フィーダ。
【請求項2】
くぼみ部は、受け取ったワークを傾斜壁面の周方向に移動させて底部側に戻すことが可能な溝状に形成されていることを特徴とする請求項1記載の振動フィーダ。
【請求項3】
くぼみ部は、ワークの移動方向始端側に比べて移動方向終端側が順次ボウルの中心に近くなるよう形成されていることを特徴とする請求項2記載の振動フィーダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−76833(P2012−76833A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−220627(P2010−220627)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000002059)シンフォニアテクノロジー株式会社 (1,111)
【Fターム(参考)】