説明

振動式部品供給装置

【課題】振動式部品供給装置の直線搬送部において簡単な構造で部品整列機能を高めることである。
【解決手段】振動式ボウルフィーダ1と振動式直進フィーダ2との間で部品の受け渡しを行う直線搬送部としてのボウル出口部8およびシュート入口部11の搬送路9、12を、下流側に向かって下向きに傾斜させ、その断面をR溝形状として、部品の搬送スピードを増速するとともに、部品の挙動の自由度を大きくすることにより、部品受け渡し部に落差を設けていても、部品を確実に一列一層に整列させて安定した姿勢で下流側へ送ることができるようにしたのである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品を振動により搬送しながら整列させて次工程に供給する振動式部品供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子チップ部品等の小型の部品を振動により搬送しながら整列させて(部品の姿勢を揃えて)次工程に供給する振動式部品供給装置には、直線状に延びる部品搬送路に沿って部品を搬送するシュート(直線搬送部)を有し、部品供給スピードを調整しやすい振動式直進フィーダの上流側に、部品を多く貯蔵できる振動式ボウルフィーダを接続したものがよく採用される。このようにボウルフィーダと直進フィーダを接続した装置では、一般に、両フィーダの振動方向、振動周波数、振幅が異なるため、ボウルフィーダの搬送路から直進フィーダの搬送路への部品受け渡し部で搬送路間に隙間を設ける必要があり、この隙間に部品が詰まったり引っ掛かったりしやすい。そこで、通常は、部品受け渡し部でボウルフィーダの搬送路よりも直進フィーダの搬送路を低くして、部品がスムーズに乗り移るようにしている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】特開2000−118682号公報
【0004】
しかしながら、上記のように部品受け渡し部の搬送路間に落差を設けた場合は、ボウルフィーダで部品を整列させていても、一部の部品は、直進フィーダに乗り移ったときにその衝撃で姿勢を変えたり部品どうし重なり合ったりしてしまう。そして、図7に示すように、直進フィーダでは、搬送路51がほぼ水平に延び、その断面がV溝(図7(a))やU溝(図7(b))等、部品の挙動を制限する形状に形成されていることが多いため、重なり合った部品や所定の姿勢でなくなった部品もそのまま搬送することになり、これらの部品を搬送路の途中で排除すると供給能力不足になりやすいという問題があった。
【0005】
これに対して、直進フィーダの搬送路の途中に部品を整列させる(部品の姿勢を揃える)ための手段を別途設ければ、搬送路の途中で排除される部品を少なくして供給能力を向上させることができるが、その整列手段を設ける分、部品点数が増えて構造が複雑になり、製造コストおよびメンテナンスコストが高くなる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、振動式部品供給装置の直線搬送部において簡単な構造で部品整列機能を高めることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明は、直線状に延びる部品搬送路に沿って部品を搬送する直線搬送部を備えた振動式部品供給装置において、前記直線搬送部の搬送路の少なくとも一部を下流側に向かって下向きに傾斜させ、その断面をR溝形状としたのである。この下り勾配でR溝形状の搬送路では、従来よりも部品の搬送スピードが増速されるとともに、部品の挙動の自由度が大きくなり、部品を一列一層に整列させやすくなる。
【0008】
前記部品搬送路がボウルフィーダの搬送路に直進フィーダの搬送路を接続したものである場合は、この直進フィーダの入口部の搬送路を下流側に向かって下向きに傾斜させ、その断面をR溝形状とすることが望ましい。これにより、ボウルフィーダの搬送路から直進フィーダの搬送路への部品受け渡し部で部品の姿勢にばらつきが生じても、直進フィーダの入口部で再び部品を整列させることができ、直進フィーダに別の整列手段を設ける必要がなくなる。このとき、前記ボウルフィーダの出口部の搬送路も、直線状に延ばすとともに下流側に向かって下向きに傾斜させ、その断面をR溝形状とすれば、直進フィーダに乗り移る直前の部品の姿勢もよく揃うので、直進フィーダの入口部で部品をより確実に整列させることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の振動式部品供給装置は、上述したように、直線搬送部の搬送路の少なくとも一部を下流側に向かって下向きに傾斜させ、その断面をR溝形状としたものであるから、直線搬送部の部品整列機能が高く、次工程への部品供給能力の向上が図れる。しかも、構造が簡単で部品点数が少ないので、コストも低く抑えられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図1乃至図6に基づき、本発明の実施形態を説明する。この振動式部品供給装置は、矩形板状で表裏の方向性のある電子チップ部品(以下、単に「部品」と記す。)の整列供給を行うもので、図1および図2に示すように、振動式のボウルフィーダ1に振動式の直進フィーダ2が接続されている。各フィーダ1、2は、それぞれ基台3上に設けた振動体4、5に連結され、振動体4、5の振動により部品を振動させて次工程まで搬送するようになっている。
【0011】
前記ボウルフィーダ1は、ボウル6の内側にその底部から螺旋状に上昇する搬送路としてのトラック7が形成されており、ボウル6に取り付けられたシュート状の出口部(直線搬送部)8に、トラック7最上部に連続して直線状に延びる搬送路9が形成されている。そして、ボウル出口部8に直進フィーダ2のシュート(直線搬送部)10の入口部11が接続され、ボウル出口部8の搬送路9とシュート入口部11の搬送路12との間で部品の受け渡しが行われるようになっている。
【0012】
前記ボウル出口部8の搬送路9とシュート入口部11の搬送路12とは、図3および図4に示すように、ボウル出口部8の方が上になるようにオーバーラップしており、それぞれ下流側に向かって下向きに傾斜している。また、各搬送路9、12は、図4および図5に示すように、断面がR溝形状、すなわち円弧状の底部から両側壁が所定の角度で上方へ広がる形状に形成されている。
【0013】
次に、この部品供給装置での部品の流れを図1に基づいて説明する。ボウルフィーダ1のボウル6の底部に投入された部品は、ボウル6から受ける振動でトラック7上を搬送されていき、トラック7最上部からボウル出口部8の搬送路9に送り込まれ、一列一層に整列されてシュート入口部11の搬送路12に乗り移る。
【0014】
シュート入口部11の搬送路12に乗り移った部品は、落下時の衝撃で姿勢が変わったり部品どうし重なり合ったりするものもあるが、再び一列一層に整列されてシュート10の中央付近に設けられた表裏反転部13に搬送される。なお、一部の整列されなかった部品は、シュート入口部11の切欠き11aから排出される。表裏反転部13では裏面を上向きにしたものが反転させられ、その下流の部品選別部14では反転できなかった部品が搬送路12から排除される。そして、表面を上向きにした部品だけが、シュート10の排出端から次工程へ供給される。
【0015】
ここで、ボウル出口部8およびシュート入口部11では、上述のように搬送路9、12が下り勾配でR溝形状となっているので、部品の搬送スピードが増速されるとともに、部品の挙動の自由度が大きい。このため、図6(a)、(b)に示すように、重なり合ったり2列に並んだりした状態で搬送されてきた部品が一列一層になりやすく、一つひとつの部品が長手方向を搬送方向に向けかつ表裏面を上下方向に向けた姿勢で搬送されていく。
【0016】
この振動式部品供給装置は、上記の構成であり、部品の受け渡しを行うボウル出口部8およびシュート入口部11の搬送路9、12が下り勾配でR溝形状となっているので、部品受け渡し部に落差があっても、部品を確実に一列一層に整列させて安定した姿勢で下流側へ送ることができ、部品供給能力が高い。しかも、構造が簡単で部品点数が少なく、製造コストおよびメンテナンスコストが低く抑えられる。
【0017】
なお、本発明は、実施形態のようにボウルフィーダと直進フィーダとを接続したものに限らず、直線状に延びる部品搬送路に沿って部品を搬送する直線搬送部を備えておれば、どのようなタイプの振動式部品供給装置にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施形態の部品供給装置の平面図
【図2】図1の正面図
【図3】aは図1の部品供給装置の部品受け渡し部の拡大平面図、bはaの背面図
【図4】図3のA方向矢視図
【図5】図3のボウル出口部およびシュート入口部の搬送路断面形状の説明図
【図6】a、bは、それぞれ図3のボウル出口部およびシュート入口部での部品の挙動の説明図
【図7】a、bは、それぞれ従来の部品供給装置の搬送路断面形状の説明図
【符号の説明】
【0019】
1 ボウルフィーダ
2 直進フィーダ
3 基台
4、5 振動体
6 ボウル
7 トラック
8 出口部
9 搬送路
10 シュート
11 入口部
12 搬送路
13 表裏反転部
14 部品選別部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直線状に延びる部品搬送路に沿って部品を搬送する直線搬送部を備えた振動式部品供給装置において、前記直線搬送部の搬送路の少なくとも一部を下流側に向かって下向きに傾斜させ、その断面をR溝形状としたことを特徴とする振動式部品供給装置。
【請求項2】
前記部品搬送路がボウルフィーダの搬送路に直進フィーダの搬送路を接続したものであり、この直進フィーダの入口部の搬送路を下流側に向かって下向きに傾斜させ、その断面をR溝形状としたことを特徴とする請求項1に記載の振動式部品供給装置。
【請求項3】
前記ボウルフィーダの出口部の搬送路を直線状に延ばすとともに下流側に向かって下向きに傾斜させ、その断面をR溝形状としたことを特徴とする請求項2に記載の振動式部品供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−308216(P2007−308216A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−136485(P2006−136485)
【出願日】平成18年5月16日(2006.5.16)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】