説明

振動発生装置

【課題】薄型であっても磁気効率が高く、所望の振動を行わせる。
【解決手段】断面四角形の筒状に形成されたスプール1と、直方体形状で、スプール1内に往復移動可能に収容され、移動方向の両端面が異極となるように着磁した永久磁石14からなる可動部材3と、スプール1の外周部に巻回され、通電により可動部材3にスプール1内で移動させるための駆動力を付与する駆動コイル2と、スプール1の両端面に設けられ、対向する可動部材3の永久磁石14の一端部とは異極となって磁力を付与する反発部材4とを備えた構成とする。そして、スプール1の内面又は可動部材3の外面のうち、少なくともいずれか一方に突出部5を形成し、スプール内で往復移動する可動部材3を、突出部5を介してスプール1によってガイド可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、携帯電話等に使用される振動発生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、振動発生装置として、円筒状の筐体の両端に固定永久磁石を設け、筐体内に可動永久磁石を収納し、筐体の外周にコイルを巻回し、このコイルに通電して可動永久磁石に駆動力を与え、前記固定永久磁石による反発力を利用して往復移動させるようにしたものが公知である(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、他の振動発生装置として、前記永久磁石を磁性材料からなる円筒状又はキャップ状のカバーに収容したものが公知である(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平11−168869号公報
【特許文献2】実用新案登録第3104734号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記振動発生装置では、永久磁石が円柱状に形成されている。このため、加工工数が増え、高価なものとなる。また、振動発生装置を小型、特に薄型とする場合、十分な磁極面積を確保できないという問題がある。さらに、単純に永久磁石を厚みの薄い直方体形状とした場合、筐体の形状もこれに合わせて断面四角形の筒状とする必要があるが、そのために永久磁石と筐体との接触面積が大きくなり、摺動性が悪化するという新たな問題が発生する。さらにまた、永久磁石の角部が筐体の内面と摺接すれば、筐体が削れて屑が発生したり、異音が発生したりするといった問題もある。
【0006】
特に、前者の振動発生装置では、筐体の内部に可動永久磁石のみを配設しただけの構成となっている。このため、永久磁石の両端部から磁力線が漏れ出ることになり、磁気効率は低下せざるを得ない。したがって、コイルに通電して発生させた磁界により永久磁石を移動させる場合、十分な駆動力を得るために小型化できないという問題がある。
【0007】
また、後者の振動発生装置では、永久磁石にキャップ状のカバーを設ける場合、永久磁石が露出するのは一端面のみとなり、露出していない他端面には固定永久磁石の磁力を及ぼしにくくなる。また、円筒状のカバーを設ける場合、一端面が一方の固定永久磁石から磁力による反発を受けている場合、他端面から磁束が漏れ出た状態となり磁気効率が低下するという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、薄型であっても十分な磁極面積を確保して安価に制作できる上、所望の振動を行わせることができる振動発生装置を提供することを第1の課題とする。
また、本発明は、磁気効率が高く、コイルへの印加電圧が小さくても所望の振動を行わせることができる振動発生装置を提供することを第2の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前記第1の課題を解決するための手段として、振動発生装置を、断面四角形の筒状に形成されたスプールと、直方体形状で、前記スプール内に往復移動可能に収容され、移動方向の両端面が異極となるように着磁した永久磁石からなる可動部材と、前記スプールの外周部に巻回され、通電により可動部材にスプール内で移動させるための駆動力を付与する駆動コイルと、前記スプールの両端部に設けられ、対向する可動部材の永久磁石の一端面とは異極となって磁力を付与する反発部材とを備え、前記スプールの内面又は前記永久磁石の外面のうち、少なくともいずれか一方に突出部を形成し、スプール内で往復移動する可動部材を、前記突出部を介して前記スプールによってガイド可能としたものである。
この構成により、永久磁石を安価に制作することが可能となる。また、磁極面積を小さくすることなく薄型化可能となる。さらに、永久磁石を直方体形状としても、往復移動する際に突出部を介してスプールにガイド可能であるので、摩擦抵抗を抑えてスムーズな動作を実現できる。さらにまた、永久磁石の角部がスプールの内面を摺接することがないので、削れや異音が発生することもない。
また、本発明は、前記第1の課題のみならず、第2の課題を解決するための手段として、振動発生装置を、断面四角形の筒状に形成されたスプールと、直方体形状で、前記スプール内に往復移動可能に収容され、移動方向の両端面が異極となるように着磁した一対の永久磁石、及び、該永久磁石を、移動方向の一端面が露出するように覆うヨークからなり、該ヨークの対向面を互いに当接一体化することにより、移動方向の両端面に露出する各永久磁石の一端面をそれぞれ位置させた可動部材と、前記スプールの外周部に巻回され、通電により可動部材にスプール内で移動させるための駆動力を付与する駆動コイルと、前記スプールの両端部に設けられ、対向する可動部材の永久磁石の一端面とは異極となって磁力を付与する反発部材とを備えた構成としたものである。
【0010】
この構成により、ヨークにより磁束の漏れを防止しつつ永久磁石の使用量を抑えて安価に製作することが可能となる。また、駆動コイルに通電して励磁すると、駆動コイル内に磁束が発生し、永久磁石及びヨークは磁力を受ける。永久磁石は小型であってもヨークにより漏洩磁束が抑えられており、磁気効率がよい。このため、可動部材はコイルへの通電によりスムーズに移動する。そして、可動部材が一端側まで移動すれば、駆動コイルへの通電を遮断する。これにより、反発部材による磁力によって他端側へとスムーズに移動する。また、可動部材が他端側まで移動すれば、同様に、反発部材による磁力を受けて一端側へとスムーズに移動方向を変更する。なお、コイルへの通電は可動部材が再び一端側へと移動した際に行うようにすればよい。
【0011】
前記可動部材は、ヨークの対向面の間に、非磁性材料からなる中間部材を一体化した構成とするのが好ましい。
【0012】
この構成により、永久磁石をさらに小さくでき、中間部材を挟んで両端側で個別に磁気の閉回路を形成することが可能となる。このため、磁気効率が高まるので、コイルへの通電により可動部材はスムーズに移動するほか、反発部材から受ける磁力によってもスムーズに方向を変換させる。
【0013】
前記中間部材は、モリブデン、タングステン等、ヨークよりも比重の大きな非磁性材料で構成するのが好ましい。これにより、ヨークのみで構成する場合に比べて同一サイズであれば全体の重量を大きくすることができ、可動部材を往復移動させて振動させる場合、中間部材のないものに比べて可動部材全体の運動量を大きくできる。このため、より一層良好な振動状態を得ることが可能となる。
【0014】
前記スプールの内面又は前記可動部材の外面のうち、少なくともいずれか一方に突出部を形成し、往復移動する可動部材を、前記突出部を介して前記スプールによってガイド可能とするのが好ましい。
【0015】
この構成により、スプールの内面と可動部材の外面との摺接面積を抑えて摩擦による抵抗を小さくすることができるので、可動部材をスムーズに移動させることが可能となる。
【0016】
前記突出部は、スプールの内面に形成され、前記可動部材の短手方向中央部で最も突出寸法が大きくなる湾曲面で構成すればよい。
【0017】
前記スプールは、内面の両側隅部に、前記可動部材の角部をガイドするガイド部を形成するようにしてもよい。
【0018】
前記反発部材は、前記永久磁石が往復移動するスプール内の通路に対して偏心した位置に設けるのが好ましい。
【0019】
この構成により、永久磁石は反発部材から磁力を受け、移動方向に対して直交する一方向に付勢される。したがって、この付勢方向側を突出部でガイドすれば、永久磁石及びヨークは常に同じ位置をガイドされることになるので、往復移動をスムーズに行わせることが可能となる。また、1箇所の突出部の突出寸法のみを管理すればよくなるので、設計しやすく、安価に製作することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、永久磁石を一端面のみが露出するようにヨークで覆い、ヨークの対向面同士を一体化することにより可動部材を構成したので、永久磁石の使用量を抑えて薄型に形成することができる上、安価に製作することが可能となる。しかも、漏洩磁束を抑えて磁気効率を高めることができるので、可動部材のスムーズな動きを実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明に係る実施形態を添付図面に従って説明する。
【0022】
<構成> 図1乃至図4は本実施形態に係る振動発生装置を示す。この振動発生装置は、大略、スプール1、駆動コイル2、可動部材3、反発部材4を備える。
【0023】
スプール1は、合成樹脂材料を断面四角形の筒状に形成したものである。スプール1の4つの内面のうち、3つの内面の中心と、残る1つの内面の両側2箇所とには、スプール1の一方の開口端から他方の開口端に延びる突条5がそれぞれ形成されている(図4参照)。これらの突条5は、スプール1内を往復移動する可動部材3に当接してガイドする。また、スプール1の外面には、両端及び中央に鍔部6a,6b,6cがそれぞれ形成されている。これら鍔部6a,6b,6cにより分けられた2つの領域がコイル巻回部となっている。中央の鍔部6bには切欠き7が形成され、一方のコイル巻回部に巻回した駆動コイル2を他方のコイル巻回部へと導くことができるようになっている。また、両端の鍔部6a,6cにはコイル端子(図示せず)が設けられ、コイル巻回部に巻回した駆動コイル2の両端部がそれぞれ巻き付けられる。また、両端の鍔部6a,6cには凹所8が形成され、端板9で覆われている。凹所8は、端板9で覆われた状態で、鍔部6a,6cの一方の側面に開口する挿入孔10と、反対側の側面中央部に開口するガス抜き孔11とを形成する。
【0024】
駆動コイル2は、前記スプール1の各コイル巻回部に巻回される1本で構成されている。各コイル巻回部に巻回する駆動コイル2は中央の鍔部6bに形成した切欠き7を介して連続し、両端部は前記コイル端子にそれぞれ電気接続されている。駆動コイル2には、コイル端子を介して図示しない電源からパルス電流が通電される。なお、コイルへの通電方向は、可動部材3が一端側に移動する際と、他端側に移動する際とで逆転可能としてもよい。また、コイルは2種類用意し、巻回方向を異ならせるか、通電方向を異ならせることにより、磁界の発生方向を逆転させるような構成も採用可能である。
【0025】
可動部材3は、第1可動部12と第2可動部13とを一体化したもので、いずれの可動部も永久磁石14とヨーク15とからなる。
【0026】
永久磁石14は、薄型の直方体形状で、両端面で逆極性となるように着磁されている。永久磁石14は薄型(高さ寸法が小さい)が、幅広であるため(横寸法を大きいため)、磁極面の面積は、従来の円柱状の永久磁石14とほぼ同じである。なお、永久磁石14には、サマリウムコバルト磁石、ネオジ鉄磁石等を2つ使用している。
【0027】
ヨーク15は、軟鉄、純鉄、継鉄等の磁性材料から構成され、一端のみが開口する箱形となっている。ヨーク15は、前記2つの永久磁石14に対してそれぞれ用意されており、永久磁石14は開口部分から装着される。これにより、永久磁石14は1つの端面を除く5つの平面を覆われる。この場合、第1可動部12のヨーク15と第2可動部13のヨーク15とで、露出する永久磁石14の端面を逆極性とする。そして、ヨーク15の端面を接着、溶着等することにより第1可動部12と第2可動部13とを一体化し、両端面に各永久磁石14の異なる極性を位置させることにより可動部材3を完成する。この可動部材3では、永久磁石14とヨーク15とで磁気の閉回路が完成する。これにより、永久磁石14からの磁束の漏れを抑制することが可能となる。
【0028】
このように、前記可動部材3では、永久磁石14を2分割し、後に一体化するヨーク15にそれぞれ装着するようにしているので、永久磁石14からの磁束の漏れが少なく、永久磁石14を小型としても所望の磁気特性(保磁力等)を得ることができる。このため、材料費を抑えて安価に制作することが可能となる。
【0029】
反発部材4は、直方体形状の永久磁石で構成され、スプール1の両端鍔部6a,6cの凹所8に配設されている。反発部材4と前記可動部材3の永久磁石の対向面は同極性に着磁されている。これにより、スプール1内を移動する可動部材3が反発部材4に接近してくると、可動部材3を離反させる方向(反発方向)に磁力を付与することが可能となる。また、反発部材4の固定位置はスプール1内を往復移動する可動部材3に対して偏心した位置、すなわち可動部材3の移動方向に対して直交する同一方向に同一寸法だけずれた位置に設けられている。これにより、スプール1内の可動部材3は、両反発部材4によって両端側から磁力を受け、中央部に位置すると共に、片側(図2中斜め上方側)に位置をずらせる。この結果、可動部材3の側面にスプール1の内面に形成した突条5が当接する。そして、可動部材3はスプール1内を突条5に沿って往復移動可能となる。なお、反発部材4としては、前記永久磁石のほかに、鉄心にコイルを巻回した電磁石等も使用可能である。
【0030】
<組立方法> 続いて、前記振動発生装置の組立方法について説明する。
【0031】
スプール1のコイル巻回部に駆動コイル2を巻回する。そして、スプール1に一体化したコイル端子に、駆動コイル2の両端部をそれぞれ巻き付ける。
【0032】
ヨーク15に永久磁石14を挿入して第1可動部12と第2可動部13とを形成し、両者をヨーク15の対向面で一体化することにより可動部材3を完成する。完成した可動部材3は、駆動コイル2を巻回したスプール1の内部に収容する。
【0033】
スプール1の両端鍔部6a,6cに端板9を取り付け、挿入孔10を介して凹所8内に反発部材4をそれぞれ挿入する。この場合、反発部材4は凹所8を構成する内側面に当接させ、挿入孔10には別途蓋部材(図示せず)を圧入等により閉鎖し、反発部材4の位置ずれを防止するようにすればよい。また、反発部材4は挿入孔10に圧入するだけの構成としてもよいし、先に凹所8内に反発部材4を配置して端板9で挟持するようにしても構わない。
【0034】
反発部材4の挿入位置は、前述の通り、可動部材3が往復移動する通路に対してずれた位置であり、可動部材3の永久磁石14の対向可能な端面と同極性となる端面を対向させる。これにより、可動部材3は反発部材4からの磁力により中央部で突条5に当接するように位置し、振動発生装置が完成する。
【0035】
<動作> 次に、前記振動発生装置の動作について説明する。
【0036】
駆動コイル2に通電していない消磁状態では、可動部材3は反発部材4からの磁力を受けてスプール1の中央部に位置し、側面を突条5に当接させる。
【0037】
駆動コイル2に通電して励磁すると、スプール1の内部には一方の開口端から他方の開口端に向かう磁束が発生する。これにより、スプール1の中央部に位置する可動部材3は発生した磁束の影響を受けて一端側へと移動する。可動部材3は、永久磁石14とヨーク15とで構成されている。このため、永久磁石14からの漏洩磁束が抑制されており、磁気効率が高められている。したがって、駆動コイル2の巻回数が少ない薄型の振動発生装置であって十分な駆動力が得られない場合であっても、可動部材3をスムーズに移動させることができる。また、スプール1の外部に漏洩する磁束も抑えられる。
【0038】
可動部材3がスプール1の一端側に移動すれば、駆動コイル2への通電を遮断する。これにより、可動部材3は、一端側に受ける反発部材4からの磁力により他端側へと移動する。この場合も、可動部材3の磁気効率の高さから反発部材4の磁力を十分に作用させることができるので、可動部材3はスムーズに他端側へと移動する。可動部材3は中央部を過ぎても慣性により他端側に向かって移動を続ける。そして、移動するに従って徐々に他端側に配設した反発部材4からの磁力を受け、所定位置で方向変換されて再び一端側へと向かう。このとき、再び駆動コイル2に通電して可動部材3の移動を補助する。なお、駆動コイル2への通電制御は、単に一定周期で行うようにしてもよいし、可動部材3の移動に伴い発生する駆動コイル2への誘導起電力に基づいて制御するようにすることもできる。また、毎回通電しなくても、複数回往復する毎に通電するように制御することも可能である。
【0039】
このようにしてスプール1内で可動部材3が往復移動するが、前述のように、可動部材3はスプール1の中心に対して偏心した位置を突条5に沿って往復移動する。したがって、当接部分が突条5のみに制限され、摩擦抵抗が小さいため、スムーズな移動が得られる。また、可動部材3が偏心した位置を往復移動するため、発生する振動を大きくすることができ、振動発生装置としての働きを十分に発揮させることが可能である。
【0040】
<他の実施形態> 図5は、他の実施形態に係る振動発生装置の断面図を示す。この振動発生装置は、前記振動発生装置とは可動部材3の構成が相違する。すなわち、第1可動部12と第2可動部13の間には中間部材16が一体化されている。中間部材16は、モリブデン、タングステン等のヨーク15に比べて比重の大きな非磁性材料で構成されている。この場合、第1可動部12と第2可動部13とは中間部材によって磁気的には遮断された状態となるので、露出させる永久磁石の端面は同極性とすることも可能である。
【0041】
前記構成の可動部材3を備えた振動発生装置によれば、第1可動部12と第2可動部13とで別個に磁気の閉回路が形成され、磁気効率が非常に高められている(前記実施形態に係るものよりも高められている。)。したがって、薄型にしたため巻回数の少なくなった駆動コイル2への通電であっても、確実に可動部材3を移動させることができる。
【0042】
また、駆動コイル2への通電により可動部材3を一旦移動させてしまえば、駆動コイル2への通電を遮断すると、反発部材4からの磁力を十分に作用させることができ、可動部材3はスムーズに他端側へと移動する。このとき、中間部材16の存在により、可動部材3の全体の重量は、前記実施形態のものに比べて大きくなっているため、可動部材3の運動量は多くなる。つまり、可動部材3の移動量を十分に確保して所望の振動状態を得ることができる。また、運動量が大きくなる分、駆動コイル2への通電頻度を抑えることも可能である。
【0043】
なお、前記各実施形態では、突条5をスプール1の内面に形成するようにしたが、可動部材3の外面に形成したり、両方に形成したりすることも可能である。可動部材3に形成する場合、ヨーク15の外面に形成すればよく、ヨーク15を加工する際に同時に形成できる。但し、突条5は別体として、接着等により取り付けるようにすることも可能である。また、形成する突条5(先端部分のみでもよい)の断面形状は、三角形、矩形、台形、半円形等、種々の形状を採用することができる。
【0044】
また、突条5に代えて突起等の部分的に突出した構成を採用することもできる。また、図6に示すように、内面全体を膨出させた湾曲面で構成することも可能である。要は、往復移動する可動部材3をガイドする際に摩擦抵抗を小さくできる構成であれば、いずれの構成を採用しても構わない。
【0045】
さらに、突条5に代えて図7に示す構成を採用することも可能である。すなわち、スプール1の内側面隅部にテーパ状のガイド面17を形成し、このガイド面17に可動部材3の角部(図7では円弧面)を当接させるようにすればよい。これによれば、可動部材3を両側縁部で斜めにガイドすることができるので、偏心して設けた反発部材4によって前記当接状態が得られるように磁力を付与しておけば、可動部材3を常に中心で移動できるようにガイドすることが可能となる。このため、前記実施形態のように、両内側面に必要とされる突条5を不要とできる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本実施形態に係る振動発生装置の斜視図である。
【図2】図1の縦断面図である。
【図3】図1の正面図である。
【図4】図3のA−A線断面図である。
【図5】他の実施形態に係る振動発生装置の縦断面図である。
【図6】他の実施形態に係る振動発生装置の横断面図である。
【図7】他の実施形態に係る振動発生装置の横断面図である。
【符号の説明】
【0047】
1…スプール
2…駆動コイル
3…可動部材
4…反発部材
5…突条(突出部の一例)
6a,6b,6c…鍔部
7…切欠き
8…凹所
9…端板
10…挿入孔
11…ガス抜き孔
12…第1可動部
13…第2可動部
14…永久磁石
15…ヨーク
16…中間部材
17…ガイド面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
断面四角形の筒状に形成されたスプールと、
直方体形状で、前記スプール内に往復移動可能に収容され、移動方向の両端面が異極となるように着磁した永久磁石からなる可動部材と、
前記スプールの外周部に巻回され、通電により可動部材にスプール内で移動させるための駆動力を付与する駆動コイルと、
前記スプールの両端部に設けられ、対向する可動部材の永久磁石の一端面とは異極となって磁力を付与する反発部材と、
を備え、
前記スプールの内面又は前記永久磁石の外面のうち、少なくともいずれか一方に突出部を形成し、スプール内で往復移動する可動部材を、前記突出部を介して前記スプールによってガイド可能としたことを特徴とする振動発生装置。
【請求項2】
断面四角形の筒状に形成されたスプールと、
直方体形状で、前記スプール内に往復移動可能に収容され、移動方向の両端面が異極となるように着磁した一対の永久磁石、及び、該永久磁石を、移動方向の一端面が露出するように覆うヨークからなり、該ヨークの対向面を互いに当接一体化することにより、移動方向の両端面に露出する各永久磁石の一端面をそれぞれ位置させた可動部材と、
前記スプールの外周部に巻回され、通電により可動部材にスプール内で移動させるための駆動力を付与する駆動コイルと、
前記スプールの両端部に設けられ、対向する可動部材の永久磁石の一端面とは異極となって磁力を付与する反発部材と、
を備えたことを特徴とする振動発生装置。
【請求項3】
前記可動部材は、ヨークの対向面の間に、非磁性材料からなる中間部材を一体化した構成であることを特徴とする請求項2に記載の振動発生装置。
【請求項4】
前記中間部材は、ヨークよりも比重の大きい材料で構成したことを特徴とする請求項3に記載の振動発生装置。
【請求項5】
前記スプールの内面又は前記可動部材の外面のうち、少なくともいずれか一方に突出部を形成し、往復移動する可動部材を、前記突出部を介して前記スプールによってガイド可能としたことを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の振動発生装置。
【請求項6】
前記突出部は、スプールの内面に形成され、前記可動部材の短手方向中央部で最も突出寸法が大きくなる湾曲面で構成したことを特徴とする請求項1又は5に記載の振動発生装置。
【請求項7】
前記スプールは、内面の両側隅部に、前記可動部材の角部をガイドするガイド部を形成したことを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の振動発生装置。
【請求項8】
前記反発部材は、前記可動部材が往復移動するスプール内の通路に対して偏心した位置に設けたことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の振動発生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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