説明

振動解析装置及びプログラム

【課題】目標固有値を得るために形状変更すべき位置又は領域の決定を支援することができるようにする。
【解決手段】入力されたデータに基づいて、解析対象物を表わすFEMモデルの固有値解析を行い、複数の振動モードの各々に対する固有値及び固有ベクトルを算出し(102)、変位や歪の振幅が大きい領域を所定個抽出して、設計変更部位の候補領域として指定する(104)。そして、指定された候補領域に対応する各節点について、注目振動モードと解析すべき振動モードの各々との間の連動度合いを算出し(106)、算出された各節点の連動度合いに基づいて、各候補領域に対して、連動度合いを求める(108)。そして、各候補領域について、連動度合いの強弱を評価し(110)、連動度合いの評価結果を示した表を解析結果として表示装置16に表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動解析装置及びプログラムに係り、特に、形状変更する位置又は領域を特定するために解析対象物の振動を解析する振動解析装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、構造物の固有値を操作して振動問題を解決する方法が種々検討されている。例えば、構造物の濃度(密度)を設計変数にして、構造物の各部の密度に対する固有値の感度を求め、効率的に構造物の密度分布を操作して目標固有値を実現しようとする振動解析装置が知られている(特許文献1)。
【0003】
また、ブレーキ鳴きを低減するためにアッセンブリの複素固有値の実部に対する各部品の固有値の感度を求め、主要なモードの複数の固有値を最適化する方法が知られている(非特許文献2)。
【0004】
また、力法による形状最適化の例として,固有値を操作して対象周波数範囲での周波数応答レベルを最小化する方法が知られている(非特許文献3)。
【0005】
また、目標固有値を得るための方法として、構造物の寸法の一部を設計パラメータとして、数理計画法に基づいてパラメータを最適化する方法や、均質化法に基づいて位相形態を最適化する方法が知られている。
【特許文献1】特開平6−148038号公報
【非特許文献2】Heewook Lee、Noboru Kikuchi、“Sensitivity analysis of complex eigensolutions for brake noise”、SAE2003−01−1626(2003)
【非特許文献3】竹内謙善、月野誠、丸山新一、“動特性向上を目指した力法の実用化”、自動車技術会、学術講演会前刷集、No.55−06、pp21−24、(2006)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1及び非特許文献2、3では、設計変更領域の選定方法について記載されていないため、形状変更する領域として構造物の全域を指定するか、固有値操作とは無関係に、設計上の余剰空間から形状変更する領域を決定することになり、形状の最適化に時間がかかってしまう、という問題がある。
【0007】
また、振動モード間で固有値が連動して変化することを考慮していないため、目標固有値を得ることができない場合がある、という問題がある。
【0008】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、目標固有値を得るために形状変更すべき位置又は領域の決定を支援することができる振動解析装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために第1の発明に係る振動解析装置は、振動解析対象物を表わす有限要素モデルに基づいて、前記有限要素モデルを表わす要素の節点の各々について、複数の振動モードの各々における固有ベクトルを算出する固有ベクトル解析手段と、前記固有ベクトル解析手段によって算出された各振動モードの固有ベクトルに基づいて、前記要素の節点の各々について、注目する振動モードに対して連動して固有値が変化する解析すべき振動モードの度合いを算出する連動解析手段と、前記連動解析手段によって算出された前記度合いに基づいて解析した結果を出力する出力手段とを含んで構成されている。
【0010】
また、第2の発明に係るプログラムは、コンピュータを、振動解析対象物を表わす有限要素モデルに基づいて、前記有限要素モデルを表わす要素の節点の各々について、複数の振動モードの各々における固有ベクトルを算出する固有ベクトル解析手段、前記固有ベクトル解析手段によって算出された各振動モードの固有ベクトルに基づいて、前記要素の節点の各々について、注目する振動モードに対して連動して固有値が変化する解析すべき振動モードの度合いを算出する連動解析手段、及び前記連動解析手段によって算出された前記度合いに基づいて解析した結果を出力する出力手段として機能させるためのプログラムである。
【0011】
第1の発明及び第2の発明によれば、固有ベクトル解析手段によって、振動解析対象物を表わす有限要素モデルに基づいて、有限要素モデルを表わす要素の節点の各々について、複数の振動モードの各々における固有ベクトルを算出する。
【0012】
そして、連動解析手段によって、固有ベクトル解析手段によって算出された各振動モードの固有ベクトルに基づいて、要素の節点の各々について、注目する振動モードに対して連動して固有値が変化する解析すべき振動モードの度合いを算出し、出力手段によって、連動解析手段によって算出された度合いに基づいて解析した結果を出力する。
【0013】
このように、有限要素モデルの要素の節点の各々について、振動モード間で連動して固有値が変化する度合いを算出して、解析した結果を出力することにより、形状変更すべき位置又は領域の決定を支援することができ、目標固有値を得るための形状を設計者が効率良く求めることができる。
【0014】
第1の発明に係る固有ベクトル解析手段は、入力された振動解析対象物を表わす有限要素モデル、振動解析対象物の解析対象領域、拘束条件、及び振動解析対象物の材料定数に基づいて、解析対象領域に対応する要素の節点の各々について、複数の振動モードの各々における固有ベクトルを算出することができる。
【0015】
第3の発明に係る振動解析装置は、振動解析対象物を表わす有限要素モデルに基づいて、前記有限要素モデルを表わす要素の節点の各々について、複数の振動モードの各々における固有値及び固有ベクトルを算出する固有ベクトル解析手段と、前記固有ベクトル解析手段によって算出された各振動モードの固有ベクトルに基づいて、前記要素の節点の各々について、注目する振動モードに対して連動して固有値が変化する解析すべき振動モードの度合いを算出する連動解析手段と、前記固有ベクトル解析手段によって算出された固有値、入力された各振動モードの目標固有値、及び前記連動解析手段によって算出された前記度合いに基づいて、前記目標固有値を得るために形状変更すべき前記振動解析対象物の位置又は領域を出力する出力手段とを含んで構成されている。
【0016】
第4の発明に係るプログラムは、コンピュータを、振動解析対象物を表わす有限要素モデルに基づいて、前記有限要素モデルを表わす要素の節点の各々について、複数の振動モードの各々における固有値及び固有ベクトルを算出する固有ベクトル解析手段、前記固有ベクトル解析手段によって算出された各振動モードの固有ベクトルに基づいて、前記要素の節点の各々について、注目する振動モードに対して連動して固有値が変化する解析すべき振動モードの度合いを算出する連動解析手段、及び前記固有ベクトル解析手段によって算出された固有値、入力された各振動モードの目標固有値、及び前記連動解析手段によって算出された前記度合いに基づいて、前記目標固有値を得るために形状変更すべき前記振動解析対象物の位置又は領域を出力する出力手段として機能させるためのプログラムである。
【0017】
第3の発明及び第4の発明によれば、固有ベクトル解析手段によって、振動解析対象物を表わす有限要素モデルに基づいて、有限要素モデルを表わす要素の節点の各々について、複数の振動モードの各々における固有値及び固有ベクトルを算出する。
【0018】
そして、連動解析手段によって、固有ベクトル解析手段によって算出された各振動モードの固有ベクトルに基づいて、要素の節点の各々について、注目する振動モードに対して連動して固有値が変化する解析すべき振動モードの度合いを算出し、出力手段によって、固有ベクトル解析手段によって算出された固有値、入力された各振動モードの目標固有値、及び連動解析手段によって算出された度合いに基づいて、目標固有値を得るために形状変更すべき振動解析対象物の位置又は領域を出力する。
【0019】
このように、有限要素モデルの要素の節点の各々について、振動モード間で連動して固有値が変化する度合いを算出して、目標固有値を得るために形状変更すべき振動解析対象物の位置又は領域を出力することにより、形状変更すべき位置又は領域の決定を支援することができ、目標固有値を得るための形状を設計者が効率良く求めることができる。
【0020】
第3の発明に係る固有ベクトル解析手段は、入力された振動解析対象物を表わす有限要素モデル、振動解析対象物の解析対象領域、拘束条件、及び振動解析対象物の材料定数に基づいて、解析対象領域に対応する要素の節点の各々について、複数の振動モードの各々における固有値及び固有ベクトルを算出することができる。
【0021】
上記の連動解析手段は、解析すべき位置又は領域に対応する要素の節点の各々について、度合いを算出することができる。これによって、全ての節点について連動度合いを算出しなくて済むため、計算処理の高速化を図ることができる。
【0022】
上記の固有ベクトルを、振動モードの変位に関する固有ベクトルとすることができる。これによって、重量変更によって形状変更すべき位置又は領域の決定を支援する情報を提示することができる。
【0023】
上記の固有ベクトルを、振動モードの歪みに関する固有ベクトルとすることができる。これによって、剛性変更によって形状変更すべき位置又は領域の決定を支援する情報を提示することができる。
【0024】
上記の固有ベクトルを、振動モードの変位に関する固有ベクトル及び振動モードの歪みに関する固有ベクトルとすることができる。これによって、剛性変更によって形状変更すべき位置又は領域と重量変更によって形状変更すべき位置又は領域との決定を支援する情報を提示することができる。
【発明の効果】
【0025】
以上説明したように、本発明の振動解析装置及びプログラムによれば、有限要素モデルの要素の節点の各々について、振動モード間で連動して固有値が変化する度合いを算出して、解析した結果を出力することにより、形状変更すべき位置又は領域の決定を支援することができ、目標固有値を得るための形状を設計者が効率良く求めることができる、という効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、本実施の形態では解析対象物の振動を解析して、解析結果をオペレータに提示することにより、解析対象物の固有値(固有振動数)を操作するための形状設計変更に適した領域を決定することを支援する場合を例に説明する。
【0027】
図1に示すように、第1の実施の形態に係る振動解析装置10は、解析対象物の固有値解析に必要な各種データや、形状設計変更に関するデータを入力するための入力装置12と、解析対象物の固有値解析を行うと共に、振動モード間で固有値が連動して変化する度合いを示す連動度合いを解析する後述する解析処理ルーチンを実現するための解析プログラムを格納したコンピュータ14と、コンピュータ14によって解析された振動モード間の連動度合いの解析結果を表示する表示装置16とを備えている。
【0028】
入力装置12には、オペレータによって、FEM(Finite Element Method、有限要素法)における解析対象物の形状モデルを表わす有限要素モデル(FEMモデル)、解析対象物に関する材料定数、及び拘束条件が入力される。
【0029】
また、入力装置12には、オペレータによって、解析対象物の設計変更が可能な領域あるいは設計変更が不可能な領域が入力される。この入力される領域は、FEMモデルを表わす要素の節点を用いて指定される。
【0030】
さらに、入力装置12には、固有値設計の方向性(固有周波数を上げるのか、下げるのか、又は変えないのか)を参照できるように、振動モードを識別するための識別番号と各振動モードに対する目標固有値からなる目標固有値群とが入力設定される。また、振動モード間の連動度合いを演算するための注目振動モードの識別番号と、注目振動モードとの連動を解析すべき振動モードの識別番号とが入力設定される。なお、解析対象物の振動モード及び固有値は、予め解析されており、予め解析された振動モード及び固有値を参照して、目標固有値群が入力設定される。
【0031】
さらに、入力装置12には、連動度合いの強弱を判定するための閾値が入力設定される。上記の閾値は、強弱の段階数に応じた数だけ入力され、この閾値は、算出される振動モード間の連動度合いを評価判定する際に活用される。
【0032】
コンピュータ14は、CPU、解析処理ルーチンの解析プログラムを記憶したROM、データ等を記憶するRAM、及びこれらを接続するバスを含んで構成されている。このコンピュータ14をハードウエアとソフトウエアとに基づいて定まる機能実現手段毎に分割した機能ブロックで説明すると、図1に示すように、コンピュータ14は、入力装置12によって入力されたFEMモデルの要素の各節点について、複数の振動モードの各々に対する固有値及び固有ベクトルを解析する固有値解析部20と、固有値解析部20の解析結果に基づいて、振動モード間の連動度合いを算出し、連動度合いに基づいて解析する連動解析部22と、連動解析部22によって解析された振動モード間の連動度合いに基づく解析結果を、表示装置16によって表示させるデータ出力部24とを備えている。
【0033】
固有値解析部20は、入力装置12で入力されたFEMモデルにおける設計変更が可能な領域の各節点、又は設計変更が不可能な領域以外の領域の各節点について、複数の振動モードの各々に対する固有値及び固有ベクトルを算出する。なお、算出される固有ベクトルは、対象となる節点における変位に関する固有ベクトルである。また、固有値解析部20は、算出された各節点の固有ベクトルに基づいて、変位が大きい領域を複数個抽出して、設計変更部位の候補領域として指定する。
【0034】
連動解析部22は、固有値解析部20で算出された注目振動モードの固有ベクトルと、注目振動モードとの連動を解析すべき振動モードの各々の固有ベクトルとに基づいて、振動モード間において固有値の変化が連動する度合いを示す連動度合いγを以下の(1)式によって演算する。
【0035】
【数1】

【0036】
ここで、j,kγは節点位置iにおける振動モードj、k間の連動度合い、{uは節点位置iにおける振動モードjの振幅値、{uは節点位置iにおける振動モードkの振幅値、‖u‖は振動モードjの振幅のベクトルノルム、‖u‖は振動モードの振幅のベクトルノルムである。なお、固有ベクトルが2次元又は3次元の振動成分を持つ場合には、固有ベクトルの各成分の2乗平均などで算出される合成値を、節点位置iにおける振動モードjの振幅値として用いる。
【0037】
上記(1)式により算出される連動度合いは、各振動モードの振幅値の積を、振動モードの固有ベクトルのノルムで正規化した値となっている。また、節点位置iにおいて双方の振動モードが腹であれば、連動度合いは大きくなり、一方の振動モードが節に近くなれば、連動度合いは小さくなる。
【0038】
また、上記の連動度合いを、FEMモデルの全節点の各々について計算すれば、振動モードjと振動モードkとの連動度合いが、解析対象物全体に亘って得られるが、本実施の形態では、固有値解析部20で指定された設計変更部位の候補領域に含まれる節点の各々について、連動度合いを算出する。
【0039】
また、連動解析部22は、候補領域毎に、候補領域に含まれる節点について算出された連動度合いの平均値を、候補領域に対する連動度合いとして算出し、入力装置12で入力された閾値と算出された候補領域に対する連動度合いとを比較判定することにより、各候補領域の連動度合いの強弱を評価する。
【0040】
次に、解析対象物について算出される連動度合いの例を説明する。なお、以下では、簡易な真直はりを解析対象物とした場合について説明する。
【0041】
解析対象物の真直はりは、図2に示すようなFEMモデルで表わされ、このFEMモデルの一要素は、図3に示すような六面体のFEM要素であり、このFEMモデル全体で、960個の要素がある。また、一要素あたり8個の節点が存在しており、FEMモデル全体で1525個の節点が存在している。
【0042】
また、真直はりは、図4に示すように、複数の振動モードで振動し、例えば、固有振動数(固有周波数)が589Hzである振動モード#7(図4(A)参照)、固有振動数が1165Hzである振動モード#8(図4(B)参照)、固有振動数が1614Hzである振動モード#9(図4(C)参照)、及び固有振動数が3122Hzである振動モード#10(図4(D)参照)で振動する。なお、上記図4では、変形状態によって変位振幅の状態を表し、コンター図によって歪(Mieses型)の状態を表わしている。
【0043】
例えば、図5のコンター図が示すように、上記の真直はりのFEMモデルの要素の各節点について、振動モード間の連動度合いが算出される。図5(A)に示すように、振動モード#7と振動モード#8とは、真直はりの両端部で連動が大きく、図5(B)に示すように、振動モード#8と振動モード#9とは、真直はりの両端部と中央部上部とで連動が大きくなることがわかる。従って、振動モード#8を基準に考えると、真直はりの端部の形状を削る(細く変更する)と、振動モード#7と振動モード#9との両方が、振動モード#8に連動して、固有値が高くなり、また、真直はりの中央部上部の形状を削ると、振動モード#7は連動せずに、振動モード#9のみが振動モード#8に連動して、固有値が高くなるように推移することが分かる。
【0044】
このように、振動モード間の連動度合いを解析することにより、設計者は、質量変更に適した領域を決定するための指針を得ることができる。
【0045】
次に、コンピュータ14で実行される解析処理ルーチンを、図6を用いて説明する。なお、上述した真直はりを解析対象物とした場合を例に説明する。
【0046】
ステップ100では、入力装置12から固有値解析に必要な種々のデータ及び設計変更に関するデータが入力されたか否かを判定し、解析対象物のFEMモデル、材料定数、拘束条件、設計変更が可能な領域あるいは不可能な領域、振動モードの識別番号と目標固有値群、注目振動モードの識別番号、連動を解析すべき振動モードの識別番号、及び連動度合いに関する閾値が入力されると、ステップ102へ進む。
【0047】
ここで、上記ステップ100のデータ入力について、図7に示すように、設計変更可能な領域が5個の領域(領域(1)〜(5)(図面において○付き数字が付された領域を示す。以下同様))に区分けして指定された場合を例に説明する。
【0048】
FEMモデルの節点は、図8に示すように、区分けされた領域の各々について、領域に含まれる節点でグループ化される。また、図9に示すような各振動モードの識別番号に対する目標固有値からなる目標固有値群が入力される。例えば、注目する振動モードの識別番号を#8とし、この注目振動モードの現在の固有値が1165Hzであり、固有値を+3%高くしたい場合には、この振動モードに対する目標固有値として1200Hzが入力される。
【0049】
また、注目振動モード#8を操作する際に、例えば、振動モード間の連動を解析すべき対象の振動モードとして#7と#9とが選択入力され、#10の連動は解析の対象外と設定される。また、解析すべき振動モード#7、#9について、固有値を変更する必要がない場合には、現在の固有値と同じ固有値を目標固有値として設定すればよい。
【0050】
ステップ102では、上記ステップ100で入力されたデータに基づいて、解析対象物を表わすFEMモデルの固有値解析を行う。上記ステップ102の固有値解析では、入力されたFEMモデル、材料定数、及び拘束条件に基づいて、設計変更が可能な領域又は設計変更が不可能な領域以外の領域に含まれる各節点について、複数の振動モードの各々に対する固有値及び変位に関する固有ベクトルを算出する。これによって、上記図4(A)〜図4(D)に示すように、FEMモデルの要素の各節点について、各振動モードの固有値及び変位に関する固有ベクトル(図4では、固有ベクトルに基づく変位振幅を表示)が算出される。
【0051】
そして、ステップ104では、上記ステップ102で算出された固有ベクトルに基づいて、変位が大きい領域を所定個抽出して、設計変更部位の候補領域として指定する。以下では、上記の区分された5個の領域すべてが、設計変更部位の候補領域として指定された場合を例に説明する。
【0052】
次のステップ106では、上記ステップ102で算出された振動モード毎の固有ベクトルと上記(1)式とを用いて、上記ステップ104で指定された解析すべき領域としての候補領域に対応するFEMモデルの要素の各節点について、注目振動モードと連動を解析すべき振動モードの各々との間の連動度合いを算出する。例えば、上記図5に示すように、注目振動モード#8と連動を解析すべき振動モード#7、#9の各々との間の連動度合いを算出する。
【0053】
そして、ステップ108において、上記ステップ106で算出された各節点の連動度合いに基づいて、候補領域毎に、候補領域内に含まれる節点全体の連動度合いの平均値を算出して、各候補領域に対して、注目振動モードと連動を解析すべき振動モードの各々との間の連動度合いを求める。
【0054】
次のステップ110では、算出された候補領域に対する連動度合いと、ステップ100で入力された閾値とを比較して、各候補領域について、注目振動モードと連動を解析すべき振動モードの各々との間の連動度合いの強弱を、○△×の3段階で評価する。
【0055】
そして、ステップ112において、図10に示すように、視覚的に見易くするために、連動度合いの評価結果を示した表を解析結果として表示装置16に表示させて、解析処理ルーチンを終了する。
【0056】
設計変更領域を決定する前段階で上記解析処理ルーチンを実行することによって、連動度合いの評価結果が設計者に提示され、設計者は、提示された連動度合いの評価結果を示した表に基づいて、固有値操作のための適切な設計変更部位として、例えば、連動度合いが小さい領域(2)、(3)(図10参照)を決定することができる。そして、設計者は、決定した部位の質量を増加又は減少させるように形状の設計変更を行い、目標固有値を得ることができる。
【0057】
以上説明したように、第1の実施の形態に係る振動解析装置によれば、FEMモデルの要素の節点の各々について、振動モード間で連動して固有値が変化する連動度合いを算出して、連動度合いの解析結果を表示することにより、形状の設計変更に適した領域の決定を支援することができ、目標固有値を得るための形状を設計者が効率良く求めることができる。
【0058】
また、変位が大きい候補領域に含まれる節点についてのみ連動度合いを算出することにより、全ての節点について連動度合いを算出しなくて済むため、計算処理の高速化を図ることができる。
【0059】
また、変位に関する固有ベクトルを用いて算出された連動度合いの解析結果を表示するため、重量変更によって形状変更すべき位置又は領域の決定を支援する情報を設計者に提示することができる。
【0060】
構造物の形状設計において、例えば、固有値を下げようとする場合、振動モードの腹に質量を付加したり、歪みや歪みエネルギーが大きい位置の剛性を下げたりするが、複数の振動モードの固有値を考慮しなければならない際には、固有値の上下変化に対する効果が二つの振動モード間で背反し、設計変更位置を決定するのに何度も試行錯誤を繰り返すことが必要になる。そのような場合、本発明を用いれば、想定する振動モード間での固有値変化の連動状況が得られ、どこの部位が連動し易いか容易に判断できるため、振動モード間の連動をある程度許しても良い場合や、振動モード間の連動を全く許さない場合など、設計者の意図に即して形状変更する領域を決定できる。また、振動解析対象物の固有値を操作するときに、試行錯誤せずに、設計変更位置を決定することができるため、設計効率を大幅に向上させることができる。
【0061】
なお、上記の実施の形態では、変位に関する固有ベクトルを用いて、振動モード間の連動度合いを算出する場合を例に説明したが、歪みに関する固有ベクトルを用いて、振動モード間の連動度合いを算出するようにしてもよい。この場合には、固有値解析によって算出される各振動モードに対する変位に関する固有ベクトルに基づいて、各振動モードに対する歪みに関する固有ベクトルを算出し、振動モード間の連動度合いを算出すればよい。上記の真直はりについて、歪みに関する固有ベクトルを用いた振動モード間の連動度合いを算出すると、連動度合いの解析結果として、図11に示すような解析結果が表示される。図11(A)に示すように、真直はりの中央部の角部について、注目振動モード#8と解析すべき振動モード#7との間の連動度合いが大きく、また、図11(B)に示すように、真直はりの中央部の側面について、注目振動モード#8と解析すべき振動モード#9との間の連動度合いが大きいため、剛性変更のために真直はりの中央部の角部を削ると、振動モード#7の固定値のみが振動モード#8に連動して低くなり、剛性変更のために真直はりの中央部の側面を削ると、振動モード#9の固定値のみが振動モード#8に連動して低くなることがわかる。また、図12に示すように、解析結果として、歪みに関する固有ベクトルを用いて算出される連動度合いの評価結果が表示される。この評価結果に基づいて、他の振動モードの固有値を連動させずに注目振動モード#8の固定値を操作したい場合には、領域(1)、(2)、(3)が剛性変更のための設計変更部位として決定される。このように、歪みに関する固有ベクトルを用いて算出される連動度合いに基づいて、剛性変更によって形状変更すべき位置又は領域の決定を支援する情報を提示することができる。
【0062】
また、固有値解析によって、変位に関する固有ベクトルと歪みに関する固有ベクトルとの双方を算出した場合には、変位に関する固有ベクトルを用いた連動度合いと歪みに関する固有ベクトルを用いた連動度合いとを各々独立に算出し、各々の連動度合いの解析結果をそれぞれ表示すればよい。
【0063】
また、変位が大きい候補領域に含まれる節点についてのみ連動度合いを算出する場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、設計変更可能な領域に含まれる全節点や設計変更不可能な領域以外の領域に含まれる全説点について、連動度合いを各々算出するようにしてもよい。
【0064】
また、解析結果として連動度合いの評価結果を表示する場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、連動度合いに基づいて、設計変更部位に適した領域に順位を付けて、表示するようにしてもよい。
【0065】
また、変位が大きい領域を候補領域として指定する場合を例に説明したが、変位が大きい位置を候補位置として指定するようにしてもよい。この場合には、候補位置に対応するFEMモデルの要素の節点の各々について、連動度合いを算出するようにすればよい。
【0066】
次に、第2の実施の形態について説明する。なお、第2の実施の形態に係る振動解析装置の構成は、第1の実施の形態と同様の構成となっているため、同一符号を付して説明を省略する。
【0067】
第2の実施の形態では、解析結果として、FEMモデル上に連動度合いの状況を表示することにより、視覚的に連動度合いの解析結果を表示している点と、連動度合いの解析結果として、目標固有値と現在の固有値との関係及び連動度合いに基づいて選択された設計変更に適した領域を表示している点とが第1の実施の形態と異なっている。なお、例えば、図13に示すような振動解析対象の部品を表わしたFEMモデル(例えば、要素数が14064、節点数が25483)について、振動解析を行う場合について説明する。この場合、形状が複雑であるため、図14のような四面体要素が用いられ、一要素あたり10個の節点が存在している。
【0068】
第2の実施の形態に係る振動解析装置10では、固有値解析部20によって、各節点における各振動モードの固有値及び変位に関する固有ベクトルを算出し、連動解析部22によって、各節点について、注目する振動モードと連動を解析すべき振動モードの各々との連動度合いが算出される。そして、データ出力部24によって、各振動モードの現在の固有値と目標固有値との関係、及び算出された連動度合いに基づいて、設計変更に適した領域を、候補領域から選択する。そして、図15(A)に示すように、連動度合いの解析結果として、連動度合いの状況と共に、選択された領域をFEMモデル上に視覚的に表わして、連動度合いの解析結果を表示装置16に表示させる。例えば、注目振動モードの目標固有値と連動を解析すべき振動モードの目標固有値との双方が、現在の固有値より大きい場合には、これらの振動モード間の連動度合いが大きい領域が選択され、FEMモデル上に表示される。
【0069】
なお、固有値解析部20で、歪みに関する固有ベクトルを算出した場合には、歪みに関する固有ベクトルを用いて、振動モード間の連動度合いが算出されるため、図15(B)に示すような連動度合いの状況が表示されると共に、選択された連動度合いが大きい領域が表示される。
【0070】
設計者は、表示装置16に表示されたFEMモデル上の選択された領域に基づいて、連動度合いが大きい部位の形状を変更すると、注目振動モードと連動を解析すべき振動モードとの双方の固有値を同じように変化させることができる。
【0071】
このように、FEMモデルの要素の節点の各々について、振動モード間で連動して固有値が変化する連動度合いを算出して、目標固有値を得るために形状変更すべき振動解析対象物の領域を候補領域から選択して表示することにより、形状変更すべき領域の決定を支援することができ、目標固有値を得るための形状を設計者が効率良く求めることができる。
【0072】
次に、第3の実施の形態について説明する。なお、第3の実施の形態に係る振動解析装置の構成は、第1の実施の形態と同様の構成となっているため、同一符号を付して説明を省略する。
【0073】
第3の実施の形態では、変位に関する固有ベクトルに基づいて算出された連動度合いの解析結果と、歪みに関する固有ベクトルに基づいて算出された連動度合いの解析結果とを同時に出力している点が第2の実施の形態と異なっている。
【0074】
第3の実施の形態に係る振動解析装置10では、コンピュータ14の連動解析部22によって、変位に関する固有ベクトルに基づいて算出された連動度合いと、歪みに関する固有ベクトルに基づいて算出された連動度合いとの各々を、最大値が1となるように正規化する。そして、データ出力部24によって、図16に示すように、正規化した変位に関する振動モード間の連動度合いの状況及び歪みに関する振動モード間の連動度合いの状況の各々を、FEMモデル上で視覚的に表わして、解析結果を表示装置16に表示させる。また、注目振動モードと解析すべき振動モードとの固有値を連動して変化させたい場合には、連動度合いが大きい領域(図16の領域A、B)を選択して、選択結果をFEMモデル上に表示する。
【0075】
これによって、設計者は、図16中の領域Aを削ると、注目振動モードと連動を解析すべき振動モードとの双方の固有値が連動して上昇し、また、領域Bを削ると、注目振動モードと連動を解析すべき振動モードとの双方の固有値が連動して下降することが一目でわかる。一方、設計者が、2つの振動モード間の連動を回避したい場合には、表示装置16に表示された解析結果に基づいて、領域A、Bを除く領域を設計変更領域として決定することができる。
【0076】
このように、変位に関する固有ベクトルを用いて算出された連動度合いの解析結果と歪みに関する固有ベクトルを用いて算出された連動度合いの解析結果とを同時に表示することにより、変位と歪みとの双方を同時に考慮した設計変更に適する部位の決定を支援することができる。また、剛性変更によって形状変更すべき領域と重量変更によって形状変更すべき領域との決定を支援する情報を提示することができる。
【0077】
なお、上記の実施の形態では、解析結果として、FEMモデル上で連動度合いの状況を視覚的に表わした場合を例に説明したが、正規化した変位に関する振動モード間の連動度合いの評価結果と、正規化した歪みに関する振動モード間の連動度合いの評価結果とを表わす表を、解析結果として表示してもよい。例えば、図17に示すような部品を解析対象物とし、図17(A)に示すように、注目する振動モード#19の変位が大きい領域から、候補領域として領域(1)〜(5)の5箇所が指定され、注目する振動モード#19の歪みが大きい領域から、候補領域として領域(6)〜(10)の5箇所が指定される。そして、候補領域(1)〜(5)の各々については、正規化した変位に関する振動モード間の連動度合いの評価結果(○△×の3段階の評価)が求められ、候補領域(6)〜(10)の各々については、正規化した歪みに関する振動モード間の連動度合いの評価結果が求められる。そして、図18に示すように、注目振動モード#19に対する連動を解析すべき振動モードの各々の連動度合いの評価結果を表わす表が、解析結果として表示される。
【0078】
この評価結果から、連動回避を最優先したい場合には、設計者は、適切な設計変更部位を領域(4)、(6)に決定する。一方、設計変更の候補領域として指定された領域(1)や(10)は、ほとんどの場合に振動モード間の連動が生じるので、領域(1)、(10)は設計変更部位として決定されない。
【0079】
次に、第4の実施の形態について説明する。なお、第4の実施の形態に係る振動解析装置の構成は、第1の実施の形態と同様の構成となっているため、同一符号を付して説明を省略する。
【0080】
第4の実施の形態では、注目する振動モードと連動を解析すべき振動モードの各々との間の連動度合いに対して重み付けを行い、連動を解析すべき振動モードに対する優先度を加味して、候補領域の連動度合いに関する評価値を算出している点が第1の実施の形態と異なっている。
【0081】
第4の実施の形態に係る振動解析装置10の入力装置12では、オペレータの設計意図が解析結果に反映されるように、振動モード間の連動の内、注目する振動モードとどの振動モードとの間の連動を重要視するかを表わす重み係数P(0≦P≦1)が入力設定される。この重み係数Pは、連動を解析すべき振動モードの各々に対して入力される。
【0082】
また、コンピュータ14の連動解析部22では、注目する振動モードと連動を解析すべき振動モードの各々との間の連動度合いを算出し、候補領域の各々について、候補領域に含まれる節点全ての連動度合いを平均して、候補領域に対する連動度合いを算出する。そして、算出された候補領域の連動度合いに対して、振動を解析すべき振動モードの各々に対して入力された重み係数Pを乗算して、以下の(2)式により、候補領域seciton_sの連動度合いに関する評価値を算出する。
【0083】
【数2】

【0084】
ここで、j,kγseciton_sは、候補領域section_sに対する、注目する振動モードkと連動を解析すべき振動モードjとの間の連動度合いであり、j,kPは、注目振動モードkとの連動を解析すべき振動モードjに対する重み係数、Aは、連動を解析すべき振動モードの識別番号の集合であり、Nは、Aの要素数である。
【0085】
例えば、注目する振動モード#8と連動を解析すべき振動モード#7との連動は許さないが、注目する振動モード#8と連動を解析すべき振動モード#9との連動は許容するという場合には、以下の(3)式のように、候補領域seciton_sの連動度合いに関する評価値が算出される。
【0086】
【数3】

ただし、7,8P=1、9,8P=0である。
【0087】
そして、上記図10のような連動度合いが算出される場合には、データ出力部24は、表示装置16によって、領域(2)、(3)、(4)、(5)を設計変更に適した領域の候補として提示し、領域1を不適切な領域として提示する。
【0088】
このように、振動モード間の連動の内、注目する振動モードとどの振動モードとの間の連動を重要視するかを表わす重み係数を用いて、連動度合いを重み付けて、解析結果を表示することにより、オペレータの設計意図を反映して解析結果が表示されるため、形状の設計変更に適した領域の決定を支援することができ、目標固有値を得るための形状を設計者が更に効率良く求めることができる。
【0089】
なお、上記の実施の形態では、解析すべき振動モードに優先度をつけて連動度合いを評価する場合を例に説明したが、優先度をつけずに、解析すべき振動モードの各々を対等に扱いたい場合には、以下の(4)式のように、候補領域に対する注目振動モードと解析すべき振動モードの各々との間の連動度合いを平均して、連動度合いの評価値を算出すればよい。
【0090】
【数4】

【0091】
これにより、連動を解析すべき振動モードを対等に扱って、候補領域に対する連動度合いの評価値を算出することができる。
【0092】
次に、第5の実施の形態について説明する。なお、第5の実施の形態に係る振動解析装置の構成は、第1の実施の形態と同様の構成となっているため、同一符号を付して説明を省略する。
【0093】
第5の実施の形態では、候補領域の各々に対して更に重み付けを行い、連動を解析すべき振動モードの各々に対する優先度と共に、候補領域の各々に対する優先度を加味して、候補領域の連動度合いに関する評価値を算出している点が第4の実施の形態と異なっている。
【0094】
第5の実施の形態に係る振動解析装置10の入力装置12では、オペレータの設計意図を反映できるように、連動を考慮すべき振動モードに対する重み係数Pと共に、解析対象物のどの位置の連動度合いを重要視するかを表わす重み係数Q(0≦Q≦1)が入力設定される。重み係数Qは、設計変更可能な領域の各々に対して入力され、上記図8に示すように、設計変更可能な領域に含まれる候補領域の各々に対して、入力された重み係数Qが割り付けられる。
【0095】
また、コンピュータ14の連動解析部22では、注目する振動モードと連動を解析すべき振動モードの各々との間の連動度合いを算出し、候補領域の各々について、候補領域に含まれる節点全ての連動度合いを平均することにより、各候補領域に対する連動度合いを算出する。
【0096】
そして、算出された候補領域の連動度合いに対して、連動を解析すべき振動モードの各々に対して入力された重み係数を乗算すると共に、候補領域の各々に対して割り付けられた重み係数を乗算して、以下の(5)式により、候補領域seciton_sの連動度合いに関する評価値を算出する。
【0097】
【数5】

ここで、Qsection_sは、候補領域section_sに対する重み係数である。
【0098】
例えば、注目する振動モード#8と連動を解析すべき振動モード#7、#9の各々との連動度合いから、候補領域seciton_1の連動度合いに関する評価値を算出する場合であって、他の振動モードと連動させずに設計変更する設計対象部位として、候補領域section_1をできるだけ優先させたい場合には、重み係数Qseciton_1を反映させた以下の(6)式を用いることにより、振動モード間の連動度合いがある程度大きくなる場合でも、評価値を小さく抑える事ができ、候補領域seciton_1を設計変更の候補部位の一つとして提示することができる。
【0099】
【数6】

【0100】
このように、設計変更可能な領域の内、どの領域を重要視するかを表わす重み係数を用いて、候補領域の各々に対する連動度合いを重み付けして、解析結果を表示することにより、オペレータの設計意図を反映した解析結果が表示されるため、形状の設計変更に適した領域の決定を支援することができ、目標固有値を得るための形状を設計者が更に効率良く求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る振動解析装置を示すブロック図である。
【図2】解析対象物のFEMモデルを示すイメージ図である。
【図3】FEMモデルの要素を示すイメージ図である。
【図4】(A)振動モード#7の変位振幅及び歪みの状態を示すイメージ図、(B)振動モード#8の変位振幅及び歪みの状態を示すイメージ図、(C)振動モード#9の変位振幅及び歪みの状態を示すイメージ図、及び(D)振動モード#10の変位振幅及び歪みの状態を示すイメージ図である。
【図5】(A)振動モード#7、#8間の連動度合いの状況を示すイメージ図、及び(B)振動モード#8、#9間の連動度合いの状況を示すイメージ図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係る振動解析装置における解析処理ルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図7】解析対象物のFEMモデルにおける設計変更可能な領域を示すイメージ図である。
【図8】各領域に含まれる節点のグループを示す表である。
【図9】各振動モードに対する現在の固有値及び目標固有値を表わす表である。
【図10】各候補領域について、注目振動モードと解析すべき振動モードの各々との間の連動度合いの評価結果を表わす表である。
【図11】(A)歪みに関する固有ベクトルを用いて算出される振動モード#7、#8間の連動度合いの状況を示すイメージ図、及び(B)歪みに関する固有ベクトルを用いて算出される振動モード#8、#9間の連動度合いの状況を示すイメージ図である。
【図12】各候補領域について、歪みに関する固有ベクトルを用いて算出される注目振動モードと解析すべき振動モードの各々との間の連動度合いの評価結果を表わす表である。
【図13】振動解析対象の部品のFEMモデルを示すイメージ図である。
【図14】FEMモデルの要素を示すイメージ図である。
【図15】(A)変位に関する固有ベクトルを用いて算出される連動度合いの解析結果を示すイメージ図、及び(B)歪みに関する固有ベクトルを用いて算出される連動度合いの解析結果を示すイメージ図である。
【図16】正規化した変位に関する振動モード間の連動度合いの状況及び正規化した歪みに関する振動モード間の連動度合いの状況を示すイメージ図である。
【図17】(A)変位に関する固有ベクトルを用いて算出される連動度合いの状況を示すイメージ図、及び(B)歪みに関する固有ベクトルを用いて算出される連動度合いの状況を示すイメージ図である。
【図18】変位に関する固有ベクトルを用いて算出される注目振動モードと解析すべき振動モードの各々との間の連動度合いの評価結果、及び歪みに関する固有ベクトルを用いて算出される注目振動モードと解析すべき振動モードの各々との間の連動度合いの評価結果を表わす表である。
【符号の説明】
【0102】
10 振動解析装置
12 入力装置
14 コンピュータ
16 表示装置
20 固有値解析部
22 連動解析部
24 データ出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動解析対象物を表わす有限要素モデルに基づいて、前記有限要素モデルを表わす要素の節点の各々について、複数の振動モードの各々における固有ベクトルを算出する固有ベクトル解析手段と、
前記固有ベクトル解析手段によって算出された各振動モードの固有ベクトルに基づいて、前記要素の節点の各々について、注目する振動モードに対して連動して固有値が変化する解析すべき振動モードの度合いを算出する連動解析手段と、
前記連動解析手段によって算出された前記度合いに基づいて解析した結果を出力する出力手段と、
を含む振動解析装置。
【請求項2】
前記固有ベクトル解析手段は、入力された前記振動解析対象物を表わす有限要素モデル、前記振動解析対象物の解析対象領域、拘束条件、及び前記振動解析対象物の材料定数に基づいて、前記解析対象領域に対応する前記要素の節点の各々について、複数の振動モードの各々における固有ベクトルを算出する請求項1記載の振動解析装置。
【請求項3】
振動解析対象物を表わす有限要素モデルに基づいて、前記有限要素モデルを表わす要素の節点の各々について、複数の振動モードの各々における固有値及び固有ベクトルを算出する固有ベクトル解析手段と、
前記固有ベクトル解析手段によって算出された各振動モードの固有ベクトルに基づいて、前記要素の節点の各々について、注目する振動モードに対して連動して固有値が変化する解析すべき振動モードの度合いを算出する連動解析手段と、
前記固有ベクトル解析手段によって算出された固有値、入力された各振動モードの目標固有値、及び前記連動解析手段によって算出された前記度合いに基づいて、前記目標固有値を得るために形状変更すべき前記振動解析対象物の位置又は領域を出力する出力手段と、
を含む振動解析装置。
【請求項4】
前記固有ベクトル解析手段は、入力された前記振動解析対象物を表わす有限要素モデル、前記振動解析対象物の解析対象領域、拘束条件、及び前記振動解析対象物の材料定数に基づいて、前記解析対象領域に対応する前記要素の節点の各々について、複数の振動モードの各々における固有値及び固有ベクトルを算出する請求項3記載の振動解析装置。
【請求項5】
前記連動解析手段は、解析すべき位置又は領域に対応する要素の節点の各々について、前記度合いを算出する請求項1〜請求項4の何れか1項記載の振動解析装置。
【請求項6】
前記固有ベクトルを、前記振動モードの変位に関する固有ベクトルとした請求項1〜請求項5の何れか1項記載の振動解析装置。
【請求項7】
前記固有ベクトルを、前記振動モードの歪みに関する固有ベクトルとした請求項1〜請求項5の何れか1項記載の振動解析装置。
【請求項8】
前記固有ベクトルを、前記振動モードの変位に関する固有ベクトル及び前記振動モードの歪みに関する固有ベクトルとした請求項1〜請求項5の何れか1項記載の振動解析装置。
【請求項9】
コンピュータを、
振動解析対象物を表わす有限要素モデルに基づいて、前記有限要素モデルを表わす要素の節点の各々について、複数の振動モードの各々における固有ベクトルを算出する固有ベクトル解析手段、
前記固有ベクトル解析手段によって算出された各振動モードの固有ベクトルに基づいて、前記要素の節点の各々について、注目する振動モードに対して連動して固有値が変化する解析すべき振動モードの度合いを算出する連動解析手段、及び
前記連動解析手段によって算出された前記度合いに基づいて解析した結果を出力する出力手段
として機能させるためのプログラム。
【請求項10】
コンピュータを、
振動解析対象物を表わす有限要素モデルに基づいて、前記有限要素モデルを表わす要素の節点の各々について、複数の振動モードの各々における固有値及び固有ベクトルを算出する固有ベクトル解析手段、
前記固有ベクトル解析手段によって算出された各振動モードの固有ベクトルに基づいて、前記要素の節点の各々について、注目する振動モードに対して連動して固有値が変化する解析すべき振動モードの度合いを算出する連動解析手段、及び
前記固有ベクトル解析手段によって算出された固有値、入力された各振動モードの目標固有値、及び前記連動解析手段によって算出された前記度合いに基づいて、前記目標固有値を得るために形状変更すべき前記振動解析対象物の位置又は領域を出力する出力手段
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図18】
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【図4】
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【図5】
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【図11】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2008−304271(P2008−304271A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−150805(P2007−150805)
【出願日】平成19年6月6日(2007.6.6)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】