説明

挿入ヘッド、特に輸液セットのための挿入器具

【課題】相応する短い痛みの間隔を有する極めて短い挿入段階を有し、挿入ヘッドを挿入器具から解放するときの穿刺部位における刺激を排除し、使用が遙かに容易である挿入ヘッドのための挿入器具を提供する。
【解決手段】当該挿入器具は、輸液セット12を一時的に当該器具上に保持できる保持手段6と、輸液セット12の挿入動作のための駆動力を持つばね8を備えた駆動手段9とを備え、また、輸液セットが保持手段内に係合されるようにハウジング部分1a,1bは、相対的に枢動できる。これと同時にばね8の予張力によって、挿入動作の開始点を形成している位置まで保持手段6によって動かせる。当該挿入器具は、挿入動作の開始時に輸液セット12は既に保持手段から分離され、挿入動作の大部分を保持手段から自由な状態で行える。従って、装置から挿入ヘッドを解放するときに、穿刺部位の刺激を防止できる。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は、特許請求の範囲の前段に記載されている挿入ヘッドのための挿入器具、挿入器具と当該挿入器具内に収納されるか又は収納することができる挿入ヘッドとを含む構造、前記挿入器具及び前記構造の使用方法並びに挿入ヘッドを適用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば痛みのあるある種の患者群又はタイプI及びタイプIIの糖尿病を有する患者のような、体組織内又は血液内への直接的な供給によって投与することができる医薬を定期的に必要とする患者にとっては、必要とされる量の液体状の医薬を、体内の適当な位置に導入され且つ全く長期間に亘ってそこに留まるカニューレを介して体に供給することは有用であり得る。この目的のために、その設計に依存して輸液セット又はポートとして示されているカニューレ構造が、皮膚を介して体内へ入るように患者の皮膚上に固定される。
【0003】
患者のある種の医療パラメータ例えば血糖値を、全く長時間に亘って連続的に監視するために益々大きな努力が払われている。この目的のために、例えば、センサー構造が、適切なセンサーの穿刺先端が皮膚を貫通して患者の体内へ入るように患者の体の表面に配置される。
【0004】
感染を防止するためには、輸液セットポート又はセンサー構造は、規則的な間隔で例えば3日毎に交換しなければならない。外来患者の治療例えば糖尿病患者の場合においては、この交換は患者自身によって行われることが多く、皮膚内への注入カニューレ又は穿刺先端の差し込みによるある程度の痛みを伴う。従って、このような輸液セット、ポート又はセンサー構造が容易に且つ安全に適用することができることが重要である。そして、このことが、多くの製造者がその製品である挿入ヘッドを患者の体に対して適用できる助けとなる特別な挿入器具のための挿入ヘッドとして設計を始めた理由である。このようにして適用がより容易になされ、迅速且つ狙いを定めた穿刺過程により、適用によって惹き起こされる痛みが最小限にまで減じられる。
【0005】
従って、例えば、US 6,607,509 B2は、輸液セットのための注入器具を開示しており、当該注入器具においては、予張力をかけられたばねの力によって輸液セットが、適用部位に突然に配置され、カニューレが患者の組織内へと貫入される。輸液セットの適用の後に、挿入器具は輸液セットから解放され且つ取り外されなければならず、このことは、挿入されたカニューレにかけられる力によって穿刺部位に刺激を与えるかも知れないという不利な点を有する。
【0006】
WO 2004/110527 A1は、上記した挿入器具に加えて、輸液セットのための類似した挿入器具をも開示している。しかしながら、当該挿入器具においては、患者の体内に挿入されたときに、既に挿入器具から自動的に分離される。既に記載した挿入器具と比較すると、この構造は、ほんの小さな摩擦損失が挿入器具内に生じるだけであり、その結果、いきなりなされる適用が相応の短い痛みによって行うことができ、更に、その後に行われる挿入ヘッドからの挿入器具の取り外しによって惹き起こされる装入部位の刺激を排除することができるという利点が提供される。しかしながら、前記挿入器具は、使用が比較的複雑であり且つ多くの作動ステップを必要とするという不利な点を有する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明は、全てが従来技術の欠点を有しておらず又は少なくとも部分的に排除している、挿入器具、関連する挿入ヘッドを備えた挿入器具を含む構造及び挿入ヘッドを適用する方法を利用可能とすることを目的とする。
【0008】
当該目的は、請求項1に記載の挿入器具、請求項7に記載の構造及び請求項30による方法によって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第一の特徴は、少なくとも1つの注入カニューレ及び/又は少なくとも1つの穿刺先端を備えた挿入ヘッドのための挿入器具に関する。挿入器具によって適用される挿入ヘッドは、例えば、単一の注入カニューレ若しくは単一の穿刺先端、幾つかのカニューレ若しくは幾つかの穿刺先端又は1以上のカニューレ及び1以上の穿刺先端を含むことができ、例えば、血糖値を測定するための輸液セット、ポート及び/又はセンサー構造として設計することができる。挿入器具は、1以上の接触面を有するハウジングを備えており、当該挿入器具は、挿入ヘッドを適用するための前記1以上の接触面によって患者の皮膚上に配置される。当該挿入器具はまた、保持手段例えば2つの相互に対向する板ばね部材又はばね吊り手をも備え、これらによって、適用されるべき挿入ヘッドは挿入器具上に一時的に保持することができ、その結果として、挿入ヘッドの実際の適用中に、ユーザーによって挿入器具のみが適用部位に保持されなければならない。当該挿入器具はまた駆動手段をも備えている。適用されるべき挿入ヘッドは、当該駆動手段によって、挿入カニューレ又は穿刺先端のうちの1つの長手方向において、前記接触面に対して、第一の位置(当該第一の位置においては、不注意によるユーザーとの接触を避けるために、挿入ヘッドは、注入カニューレ及び穿刺先端の全てが接触面から後退せしめられた形態で保持手段によって保持される)から、第二の位置(当該第二の位置においては、前記挿入器具が接触面が患者の皮膚上に配置された状態で配置されたときに注入カニューレ及び穿刺先端が前記接触面をほぼ完全に越えて突出し、これらの注入カニューレ及び穿刺先端が患者の体内へ差し込むことができるようにされている)まで移動することができる。挿入ヘッドを実際に体に適用するこの挿入動作は、特許請求の範囲では挿入動作として示されている。
【0010】
ハウジングは、第一のハウジング部分と第二のハウジング部分とを備えている。第一のハウジング部分は、保持手段及び一つの接触面又は幾つかの接触面が設けられている場合には当該接触面うちの幾つかを担持している。前記第二のハウジング部分は、前記第一のハウジング部分に対して特に基準位置から装填位置まで動くことができる。基準位置においては、2つのハウジング部分は、例えば挿入ヘッドが患者の体に適用された場合のように相対的に配置され且つ挿入ヘッドが前記保持手段内に適用される挿入ヘッドと係合することが典型的には困難か又は不可能である。前記装填位置においては、保持手段は、適用される挿入ヘッドの正しい係合のためにアクセス可能であり特に前記基準位置におけるよりも遙かにアクセスが容易である。挿入ヘッドが保持手段内に係合せしめられた後に、第二のハウジング部分は前記基準位置へ戻ることができる。前記挿入器具は、前記挿入ヘッドが前記保持手段内に係合され、第二のハウジング部分が前記基準位置へ戻された後に、前記挿入ヘッドは、保持手段によって、適用される準備状態すなわち皮膚内への差し込み準備状態で前記第一の位置内に保持される。配備可能なカニューレ又は穿刺先端を備えている挿入ヘッドの場合には、“適用準備状態”とは、カニューレ又は穿刺先端が完全に配備され、準備された場合にこの位置に係止されさえすることを意味している。更に、挿入器具は、挿入動作の開始時に前記保持手段から分離されて横方向ガイドによってガイドされて好ましくは“自由飛行”状態で又はいずれにしても前記保持手段から自由な挿入動作の主要部分を行うことができ、適用後には、挿入ヘッドと挿入器具との間に最早如何なる係合も存在せず、その結果、前記挿入器具は、適用部位の如何なる刺激の危険性もなく体に適用された挿入ヘッドから取り外すことができるように設計されている。
【0011】
本発明は、相応する短い痛みの間隔を有する極めて短い挿入段階を有し、挿入ヘッドを挿入器具から解放するときの穿刺部位における刺激を排除し、これと同時に、今日知られているこのタイプの挿入器具よりも使用が遙かに容易である挿入ヘッドのための挿入器具の提供を可能にしている。
【0012】
好ましい実施形態においては、保持手段は、圧力嵌め例えば2つのばねクリップ間にクランプすることによって、又は純粋な嵌め合いによって、又は圧力嵌めと嵌め合いとの組み合わせによって、第一の位置に挿入ヘッドが保持手段によって保持することができるように設計されている。特に、純粋な嵌め合いの場合には、挿入動作の開始時に、挿入ヘッドが駆動手段のスラスト部材によって保持手段から容易に押し出すことができ且つこのようにして前記保持手段から解放されるという利点がある。
【0013】
挿入器具は、挿入ヘッドが純粋な嵌め合いによって又は圧力嵌めと嵌め合いとの組み合わせによって装填位置に保持することができるように設計されるのが更に好ましく、挿入器具は、第二のハウジング部分が装填位置から基準位置へ移動する際に嵌め合いが解除されるように設計されるのが好ましい。
【0014】
別の方法として、挿入器具は、挿入ヘッドが前記保持手段によって純粋な圧力嵌めによって装填位置に保持することができるように設計されることが更に好ましく、挿入器具は、第二のハウジング部分が装填位置から基準位置へ移動する際に圧力嵌めが緩められるように設計されることが好ましい。このことは、例えば、装填位置から基準位置への移動中にその自由な弾性的な長さが増加するばね吊り手による圧力嵌めによって保持されている挿入ヘッドによって形成することができる。しかしながら、装填位置及び基準位置の両方において等しい強度の純粋な圧力嵌めが存在する別の実施形態も可能である。
【0015】
装填位置から基準位置への移動中に、嵌め合いが解除されるか又は圧力嵌めが緩められる代替的な実施形態においては、特に、固定された注入カニューレ又は穿刺先端を備えた挿入ヘッドを使用する場合に、挿入ヘッドが、基準位置よりも装填位置において更に堅固に保持されることが特に有利であり、その結果、針ガード又はカニューレガードは、挿入ヘッドが前記保持手段から再び解放されるという危険性が無い状態で取り外すことができる。
【0016】
別の実施形態においては、挿入器具は、少なくとも挿入動作の大部分に亘って又は挿入ヘッドの挿入動作全体に亘って、保持手段が接触面に対して不動状態のままであるように設計されている。
【0017】
この場合には、保持手段が、第一のハウジング部分によって担持されている接触面又は接触面のうちの幾つかに対して不動状態とされるように設計されている場合が好ましい。
【0018】
更に別の好ましい実施形態においては、挿入器具の駆動手段は、挿入動作のための駆動エネルギを付与するための1以上のエネルギ蓄積部材、例えば、渦巻きばね、金属若しくはプラスチックによって形成された脚状ばね若しくは板ばね、空気圧圧縮ばね又はゴムばね部材を備えている。これは、挿入器具が外部エネルギ源とは独立していつでも及びどこでも使用することができ且つ特に低廉に製造することもできるという利点を提供する。前記エネルギ蓄積部材は、基準位置から装填位置への前記第二のハウジング部分の動き又は装填位置から基準位置への第二のハウジング部分の動き又は当該第二のハウジング部分の両方の動きによって予張力をかけることができることが好ましい。第一の変形例の利点は、前記第二のハウジング部分を前記基準位置へ動かすための力を比較的小さくすることができ、これは、特に固定された注入カニューレ又は穿刺先端を備えている挿入ヘッドを使用しているときに、挿入ヘッドが係合されている状態での制御されない動きによってユーザーが創傷を受ける恐れを減じる。ここでは、少なくとも枢動可能であり且つ挿入動作方向を横切る方向に移動させることができる実施形態において最も大きな力を必要とする動作が引っ張り動作方向で起こることができ、これは、引っ張り動作と比較して、挿入器具の制御された操作を促進する。一方で、第二の変形例は、構造部材を相互に押すことが互いに引き離すことよりも容易であると感じられことが多く、その結果、含まれている設計に依存して、この変形例は、本発明による挿入器具の動作を助長することができるという利点を有している。これと対照的に、第三の変形例は、エネルギ蓄積部材に予張力をかけるために二重動作を利用することができ、その結果、これに必要な力が遙かに小さくても良く、これは同様に制御された動作に寄与するという利点を有する。これらの変形例の全ては、更に、外部エネルギ無しの状態でいつでも使用する用意ができている低廉で且つ純粋に機械的な挿入器具の提供を可能にするという利点を有している。これは、エネルギ蓄積部材の予張力が電気的部材例えば電気モーターによって得られる本発明による挿入器具の同様に好ましい実施形態とは対照的である。このような実施形態においては、エネルギ蓄積部材に予張力をかけるために電気的部材を制御するスイッチ及び/又はセンサーが設けられていても良い。
【0019】
これらの代替的な実施形態の場合には、挿入器具が以下のように、すなわち、挿入ヘッドが第一の位置に配置されている状態で、エネルギ蓄積部材は予張力をかけられた準備状態とすることができ、次いで、挿入動作が、エネルギ蓄積部材の弛緩を増大させることによって、一つの起動部材の起動又は幾つかの起動部材の同時の又は連続する作動によって起動させることができるように設計されることが好ましい。
【0020】
適切な起動部材は、例えば、起動ラッチ部材又は起動スライド部材のような純粋に機械的な構造とすることができ、又は、評価電子部品を備えたスイッチ及び/又はセンサーによって起動させることができる例えば電気起動ラッチ部材のような電気若しくは電子部品を備えることもできる。このことは、挿入ヘッドの制御された適用に有利である。
【0021】
最後に述べた実施形態においては、駆動機構が、駆動力を適用されるべき挿入ヘッドに伝達するためのスラスト部材備えることも有利であり、当該スラスト部材は、当該スラスト部材を挿入動作方向と反対方向へ移動させ、続いて、係止手段(起動部材によって解除される)によって係止することによって、前記エネルギ蓄積部材は、予張力をかけることができ且つ予張力がかけられた状態で準備状態とされる。このような構造は、低廉に形成することができ、信頼性高い方法で機能することができ、更に高い初期の加速及び結果的には迅速な挿入動作を可能とし、それによって、体内への注入カニューレ及び穿刺先端の差し込みの際に適用によって惹き起こされる痛みを最少化することができる。
【0022】
本発明の更に別の好ましい実施形態においては、第二のハウジング部分は、基準位置から装填位置へ動く動作及び再び元に戻る動作のために、第一のハウジング部分に対して枢動させることができ、これは、2つのハウジング部分を相互に結合する簡単な設計にとって有利である。
【0023】
一つの代替的な好ましい実施形態においては、第二のハウジング部分は、基準位置から装填位置へ動く動作及び再び元に戻る動作のために、第一のハウジング部分に対して、好ましくは挿入動作方向を横切る方向より好ましくは直角方向に移動せしめられる。上記の実施形態と比較すると、これは、2つのハウジング部分の結合の構造的な設計に関して興味のある代替例を利用できるようにする。
【0024】
本発明の装置の更に好ましい実施形態においては、前記第二のハウジング部分は、接触面のうちの幾つかを担持している。従って、第二のハウジング部分の基準位置から装填位置への移動中に、これらの接触面は、前記第一のハウジング部分によって担持されている他の接触面から一時的に分離され、それによって、保持手段が特に装填位置において容易にアクセス可能である実施形態を可能にする。
【0025】
更に別の好ましい実施形態においては、保持手段は、以下のような形態、すなわち、挿入ヘッドが挿入動作方向を横切る方向特に直角方向に押し込まれることによって保持手段内に係合されることができるように設計されている。このようにして、創傷の恐れは、特に、固定カニューレ又は穿刺先端を備えた挿入ヘッドを使用するときに著しく減らすことができる。
【0026】
更に別の実施形態においては、挿入器具は、挿入動作を起動させるために同時に作動させなければならない2つの起動部材を備えている。当該起動部材のうちの第一のものは、以下のような形態、すなわち、患者の体の表面に押し付けられる挿入器具の接触面によって起動せしめられるように設計されるのが好ましく、これは、挿入が体表面に対してほぼ90°の角度で行われる場合に特に有利である。挿入器具のこの実施形態は、適用準備状態にあるときに当該挿入器具の不用意な起動の恐れを著しく減じ、従って、ユーザーが創傷を受ける機会をも著しく少なくする。
【0027】
第一の起動部材は、スライド形状又はボタン形状の部材として設計されるのが好ましく、当該部材は、同時に接触面を形成する場合又は幾つかの接触面が設けられている場合には挿入器具の接触面の全てを形成する場合が更に好ましい。この利点は、第一の起動部材が患者の体表面上の適用部位の表面形状とは独立して安全に作動させることができる点である。
【0028】
第一の起動部材の純粋に機械的な実施形態に対する代替例として、電気的な第一の起動部材を設けることもまた好ましい。このことは、例えば、接触面上に配置された1以上の皮膚接触センサー(例えば、電導率センサー)及び関連する制御電子部品によって制御される電気的ラッチ部材の形態によって可能である。当該ラッチ部材は、挿入器具が適用部位上に正しく配置されたときに作動せしめられるように制御される。
【0029】
更に、少なくとも1つの起動部材を備えた実施形態においては、特許請求の範囲において第二の起動部材として規定されている少なくとも2つの起動部材は、ユーザーが指の先で押したときに起動させることができる押しボタン形状の部材として設計されている場合に好ましい。起動方向は、挿入器具が患者の体表面に対して押し付けられる方向を横切る方向特に直角方向であるのが好ましい。この方向は、請求された挿入動作の方向、従って、最終的には皮膚への挿入カニューレ又は穿刺先端の差し込み方向と同じであるのが好ましい。この第二の起動部材は、例えば起動ラッチ部材又は起動スライド部材として純粋に機械的な構造とすることができ又は電気若しくは電子部品例えば評価電子部品を備えたスイッチ及び/又はセンサーを介して起動させることができる電気的に起動せしめられるラッチ部材を含むことができる。
【0030】
この実施形態によって、この起動部材が第一の起動部材と一緒に不意に起動される恐れを更に減じることができ、挿入器具の不注意による起動の危険性が更に減少せしめられる。
【0031】
ある種の実施形態においては、起動方向が押込方向と平行又はほぼ平行である場合にもまた有利であるかも知れない。
【0032】
少なくとも2つの起動部材を備えている本発明による挿入器具の更に別の実施形態においては、挿入動作を作動させるために起動されるべき起動部材は、これらの起動部材のうちの一つを起動させることによって、別の起動部材又はこれらの起動部材のうちの他の幾つかの部材の遮断が解除できるような状態で相互に結合されている。このように、単一の起動機構が必要とされるだけであるので、構造を簡素化することができる。特に、電気部品を備えた起動部材が設けられている場合には、例えば、2つのスイッチ又はセンサーが同時に作動せしめられるときにのみ起動させることができる電気的ラッチ部材又は少なくとも1つのスイッチと少なくとも1つのセンサーとの組み合わせによって、特に簡素且つ低廉な構造を形成することができる。
【0033】
一つの又は少なくとも2つの起動部材を備えている挿入器具の更に別の好ましい実施形態においては、挿入動作を起動させるために同時に起動させなければならない起動部材の全てがユーザーによって片手で起動させることができるような形態で設計されている。従って、挿入器具の片手操作が可能であり、その結果として、挿入ヘッドは、両手でのアクセスが不可能であるか又は両手でのアクセスが困難である体の部分例えば臀部においてさえ患者が適用することができる。
【0034】
1以上の起動部材を備えた挿入器具の更に別の実施形態においては、挿入動作を起動させるために同時に起動されなければならない起動部材は、起動力が停止されると自動的に不作動状態となるような形態に設計されている。このことは更に、挿入器具の不注意による起動に対する安全性の度合いを増す。
【0035】
もう一つ別の好ましい実施形態においては、挿入器具は、保持手段内に保持されるべき挿入ヘッドの移動可能な起動部材の移動、特に横方向の移動をもたらすための手段を備えている。1又は幾つかの配備可能な注入カニューレ及び/又は1又は幾つかの配備可能な穿刺先端は、第二のハウジング部分の装填位置から基準位置への移動中に挿入ヘッドの配備可能な注入カニューレの全て及び配備可能な穿刺先端の全ての自動的な配備を可能にするために、前記挿入ヘッドと共に保持手段内に保持されている。このようにして、挿入器具に適合された挿入ヘッドが、配備可能な注入カニューレ又は穿刺先端と共に、すなわち、カニューレ又は穿刺先端が装填位置において挿入器具の保持手段内へと内側へ折り畳まれた状態で保護状態に適合されるのが可能となり、次いで、挿入ヘッドのカニューレ又は穿刺先端は、第二のハウジング部分を基準位置へ動かすことによって自動的に配備され、その結果、挿入ヘッドを適用準備状態とすることができる。このようにして、特に、挿入ヘッドの適用の準備がされているときに、ユーザーがカニューレ又は穿刺先端によって創傷を受ける恐れを排除することができる。
【0036】
上記した実施形態においては、移動可能な起動部材の移動をもたらすための手段が、第二のハウジング部分によって形成されている継続面を含んでいる場合が好ましい。当該継続面によって、配備可能な注入カニューレ又は穿刺先端と共に保持手段に保持されるべき相応して設計された挿入ヘッドの挿入動作方向を横切る方向に移動可能な起動部材は、第二のハウジング部分が装填位置から基準位置へ移動する間に移動させることができ、前記第二のハウジング部分の装填位置から基準位置への移動中における挿入ヘッドの配備可能な注入カニューレ及び穿刺先端の自動的な配備が可能となる。移動可能な起動部材の移動をもたらすためのこのような手段は、簡単且つ低廉な方法での利用を容易にすることができる。
【0037】
上記した2つの実施形態においては、移動可能な起動部材の移動を起こさせるための手段が、レバー機構を備えている場合が好ましい。このレバー機構によって、配備可能な注入カニューレ又は穿刺先端と共に保持手段に保持されるべき相応して設計された挿入ヘッドの挿入動作方向を横切る方向に移動可能な移動部材は、第二のハウジング部分が装填位置から基準位置へ移動する間に移動させることができ、前記第二のハウジング部分の装填位置から基準位置への移動中における挿入ヘッドの配備可能な注入カニューレ及び穿刺先端の自動的な配備が可能となる。これによって、挿入器具とそれに関連する挿入ヘッドとの両方の構造的形状の著しい自由度が許容される。
【0038】
挿入器具は、挿入ヘッドを適用するために何回か使用することができるように設計されている場合も好ましい。これによってコストを節約することができる。
【0039】
本発明の第二の特徴は、本発明の第一の特徴による挿入器具と、当該挿入器具内に収納されるか又は収納されることができ且つ輸液セット、ポート及び/又はセンサー構造として設計されるのが好ましく且つ少なくとも1つの注入カニューレ及び/又は少なくとも1つの穿刺先端を備えている挿入ヘッドとを備えている構造体に関する。従って、挿入ヘッドは、例えば、単一の注入カニューレ若しくは穿刺先端か、幾つかのカニューレ若しくは穿刺先端か、1以上のカニューレ若しくは1以上の穿刺先端を備えることができる。適切なかみ合い挿入ヘッドを本発明の第一の特徴による挿入器具内に結合させることにより、本発明の構造体は必然的に形成される。本発明の第一の特徴による再使用可能な挿入器具及び本発明による構造体を形成するために使用直前にユーザーによって相互に結合される関連する輸液セット、ポート又はセンサー構造のような関連する挿入ヘッドの市販化に加えて、本発明による予め組み立てられた構造体が使い捨て可能な物品(挿入ヘッドが適用された後に廃棄される挿入器具を備えている)として提供される。
【0040】
本発明による構造体の好ましい実施形態においては、挿入ヘッドは、少なくとも1つの配備可能な注入カニューレ及び/又は少なくとも1つの穿刺先端を備えた挿入ヘッド(当該挿入ヘッドの注入カニューレ及び穿刺先端の全てが不作動状態で内方へ折り畳まれており、この不作動状態では、挿入ヘッドは保持手段内の装填位置に収納されるように意図されるか又は既に保持手段内に収納されている)であり、前記挿入器具及び挿入ヘッドは、当該挿入ヘッドの配備可能な注入カニューレ及び穿刺先端の全てが前記第二のハウジング部分が装填位置から基準位置へ移動する際に自動的に配備される。本発明の第一の特徴の説明において既に述べたように、このことは、実際には、挿入ヘッドを適用する準備中に、カニューレ又は穿刺先端によってユーザーが傷付く恐れを排除することができる。
【0041】
本発明の第三の特徴は、患者の体に挿入ヘッドを適用するために本発明の前記の特徴のうちの1つによる挿入器具又は構造体の使用方法に関する。前記挿入ヘッドは、輸液セット、ポート及び/又は構造体として設計されるのが好ましく且つ少なくとも1つの注入カニューレ及び/又は少なくとも1つの穿刺先端を備えているのが好ましい。このような使用方法は、本発明によるものであり且つ本発明の利点を明確にもたらす。
【0042】
本発明の第四の特徴は、患者の体に挿入ヘッドを適用するための方法に関する。当該挿入ヘッドは、本発明の第一の特徴による挿入器具を使用している輸液セット、ポート及び/又はセンサー構造として設計されるのが好ましい。
【0043】
この方法の第一のステップにおいては、本発明の第一の特徴による挿入器具は、第二のハウジング部分が装填位置に配置されて準備状態とされる。装填位置においては、保持手段内への挿入ヘッドの係合が不可能であるか又は困難性を伴ってのみ可能である。
【0044】
次いで、第二のステップにおいて、第二のハウジング部分は前記基準位置から装填位置まで移動せしめられ、その結果、保持手段は、挿入ヘッドの係合のために利用可能とされる。
【0045】
第三のステップにおいては、挿入器具に適合され且つ少なくとも1つの注入カニューレ及び/又は少なくとも1つの穿刺先端を備えている挿入ヘッドは、保持手段によって保持されるような形態で保持手段内に係合されている。従って、本発明の第二の特徴による構造体は、挿入ヘッドが単一の注入カニューレ若しくは穿刺先端か、幾つかのカニューレ若しくは穿刺先端か、又は1以上のカニューレ若しくは1以上の穿刺先端を備えることができるように設けられている。
【0046】
次いで、第四のステップにおいては、第二のハウジング部分は、装填位置から基準位置(当該基準位置においては、挿入ヘッドは、当該基準位置に到達した後に、第一の位置において保持手段によって適用準備状態に保持される)へ戻される。挿入器具は、この時点で、実際の適用プロセスの準備状態となる。
【0047】
この目的のために、挿入器具は、本発明の方法の第五のステップにおいて、その接触面が体表面の所望の適用部位に、挿入ヘッドの挿入カニューレ及び穿刺先端が後続の挿入動作中に体内へ正しく貫入できるような形態で配置される。
【0048】
次いで、第六のステップにおいては、挿入ヘッドの挿入動作が起動され、それによって、挿入ヘッドは、挿入動作の開始時に保持手段から分離され、保持手段から自由な挿入動作の少なくとも大部分を行うことができるようになされている。
【0049】
挿入器具を使用して患者の体に挿入ヘッドを適用するこの方法は、相応する短い痛みの期間を伴う短い挿入段階を可能にし、挿入器具から挿入ヘッドを解除する際の穿刺部位の刺激を信頼性高く避けることができ、同時に、当該方法は、今日知られているこのタイプの方法と比較して実施がより容易である。
【0050】
この方法の好ましい実施形態においては、挿入ヘッドは、圧力嵌めによって、又は純粋な嵌め合いによって、又は圧力嵌めと嵌め合いとの組み合わせによって、第一の位置に保持される。特に、純粋な圧力嵌めの場合には、これは、挿入動作の開始時に、挿入ヘッドが駆動手段のスラスト部材によって容易に保持手段から押し出されることができ且つこのようにして前記保持手段から取り外されるという利点を提供する。
【0051】
この結合においては、挿入ヘッドは、保持手段内に係合した後に、純粋な嵌め合い、又は圧力嵌めと嵌め合いとの組み合わせによって装填位置に保持される場合が好ましい。嵌め合いは、第二のハウジング部分の装填位置から基準位置への移動中に解除されるのが好ましい。
【0052】
別の方法として、挿入ヘッドが保持手段内へ係合した後に、純粋な圧力嵌めによって保持手段によって装填位置に保持される場合が好ましく、この圧力嵌めは、第二のハウジング部分の装填位置から基準位置への移動中に緩められることが好ましい。しかしながら、挿入ヘッドが同じ強度の圧力嵌めによる各場合に、装填位置及び基準位置の両方において純粋な圧力嵌めによって保持手段によって保持される実施形態も提供されている。
【0053】
嵌め合いが解除される方法の各変形例においては、圧力嵌めは、装填位置から基準位置への動作中に緩められ、特に固定された注入カニューレ又は穿刺先端を備えた挿入ヘッドを使用している場合の特別な利点は、挿入ヘッドが基準位置におけるよりも装填位置において、より確実に保持されることであり、その結果、針ガード又はカニューレガードは、挿入ヘッドが保持手段から再び解放されるという危険性がない状態で取り外すことができる。
【0054】
当該方法の更に別の実施形態においては、挿入動作のための駆動力を提供するための少なくとも1つの予張力をかけることができるエネルギ蓄積部材を備えている駆動手段を備えた挿入器具の使用方法がもたらされる。当該エネルギ蓄積部材は、第二のハウジング部分の基準位置から装填位置への移動及び/又は当該第二のハウジング部分の装填位置から基準位置への移動によって予張力がかけられる。当該方法の個々の変形例は、本発明の第一の特徴の対応する実施形態の説明において既に説明した種々の利点を有している。これらの変形例の全てが、外部からの力がない状態でいつでも使用準備状態にある低廉で純粋に機械的な挿入器具の使用に有利であるという利点をも有している。これは、挿入器具の類似の提案された使用方法とは対照的であり、当該挿入器具においては、エネルギ蓄積部材は、例えば電気モーターのような電気部品によって予張力がかけられる。
【0055】
当該方法の別の好ましい実施形態においては、第二のハウジング部分は、基準位置から装填位置への移動及びその逆の移動において、第一のハウジング部分に対して枢動せしめられ、当該構造は、本発明による簡単で且つ堅固な挿入器具の使用を可能にする。
【0056】
当該方法の更に別の実施形態においては、挿入ヘッドは、第一の位置において、圧力嵌めによって保持手段内に保持され、保持手段は、挿入ヘッドの挿入動作中に接触面に対して不動状態に保持されており、これは、第一のハウジング部分によって提供されている接触面に対して不動状態に設計されることによって達成されるのが好ましい。これは、本発明による構造的に簡素で且つ相応して低廉で且つ頑丈な挿入器具の使用を可能にする。
【0057】
当該方法の更に別の好ましい実施形態においては、挿入動作のための駆動力を提供するための少なくとも1つの予張力をかけることができるエネルギ蓄積部材を備えている駆動手段を備えている挿入器具が使用される。前記エネルギ蓄積部材は、予張力がかけられた状態で準備状態とされており、次いで、挿入動作は、起動部材の作動又は幾つかの起動部材の連続的な作動によって起動される。これは、制御された適用過程にとって有利である。
【0058】
当該挿入器具を患者の体表面への配置及び挿入動作の起動は、手が届くことが困難であるか又は片手でのみ手が届くことができる領域にも適用するためにアクセス可能であるように片手でなされることも好ましい。
【0059】
本発明による方法のもう一つ別の好ましい実施形態においては、少なくとも1つの配備可能な注入カニューレ及び/又は少なくとも1つの配備可能な穿刺先端を備えた挿入ヘッドであって且つ配備可能な注入カニューレ及び穿刺可能な先端の全てが内方へ折り畳まれた状態で保持手段内に係合されている。当該挿入ヘッドの注入カニューレ及び穿刺先端の全ては、次いで、第二のハウジング部分の装填位置から基準位置への動作中に配備される。当該挿入ヘッドは、次いで、適用準備状態となる。このようにして、適用準備状態のときに、ユーザーが傷を負う危険性は実際にはゼロまで低減させることができる。
【0060】
本発明の更に好ましい実施形態は、特許請求の範囲の従属項及び以下の説明に記載されている。
【好ましい実施形態の説明】
【0061】
図1には、配備可能な注入カニューレを備えた挿入ヘッドのための本発明による挿入器具が、予張力がかけられていない状態で且つ挿入ヘッドを備えていない状態で垂直断面で示されている。ここで見ることができるように、挿入器具は、門のようなハウジング1a,1bを備えている。当該ハウジング部分は接触面2を備えており、当該挿入器具は、接触面2によって、挿入ヘッド例えば輸液セットの適用のために体表面上に配置され且つ押し付けられる。接触面2のうちの1つは、固定ボタン3によって形成されている。当該固定ボタン3は、ハウジング1a,1bの下面から下方へ突出しており、挿入器具が患者の体表面上に配置され且つ押し付けられることによって適用準備状態とされたときに、挿入器具から解放するために解除位置へと移動させることができる。当該解除位置においては、固定ボタン3の接触面2は、当該固定ボタン3に隣接しているハウジング1a,1bの接触面2の表面と本質的に同面となる。
【0062】
当該挿入器具はまた起動ノブ4をも備えており、挿入ヘッドを患者の体表面に適用するための挿入動作は、挿入器具が適用準備状態にあり且つ固定ボタン3が解除位置に配置されているときに当該起動ノブ4によって起動することができる。固定ボタン3及び起動ノブ4は、特許請求の範囲に規定されている2つの起動部材3,4を指しており、これらは、挿入動作を起動されるためには同時に起動させなければならない。
【0063】
予張力をかける際(図2)及び予張力をかける過程の終了時(図3)における挿入器具を示している図2と3とを比較するとわかるように、ハウジングは第一のハウジング部分1aを備えており、当該第一のハウジング部分1aには、当該第一のハウジング部分に固定結合された内側ハウジング部分1cが配置されている。ハウジング部分1cは、特許請求の範囲に規定されている保持手段として、挿入器具によって適用される挿入ヘッドの圧力嵌め結合のための2つの相互に対向しているばね吊り手のような保持部材(見えていない)を備えている。第二のハウジング部分1bは、図1に示されている基準位置から図3に示されている装填位置へと前記第一のハウジング部分1aに対して枢動させることができる。
【0064】
同じく図からわかるように、当該挿入器具は、駆動手段として、ハンマー部材9に作用する渦巻きばね8を備えている。渦巻きばね8とハンマー部材9とは、第一のハウジング部分1aの内側に配置されている。
【0065】
ハンマー部材9は、二重レバーとして設計されている起動レバー15a,15b及び引っ張りブラケット6を介して第二のハウジング部分1bに結合されており且つ第一のハウジング部分1a内に枢動可能に取り付けられている。第二のハウジング部分1bが外方へ枢動したときに、ハンマー部材9は、前記第一のハウジング部分1a内で渦巻きばね8の力に抗して上方へ動かされて渦巻きばね8の予張力を増すように設計されている。この目的のために、起動レバー15a,15bは、ハンマー部材の方の端部に2つの筒状ガイド部材16(一方のみが示されている)を備えている。当該2つの筒状ガイド部材16は、摺動ブロックに相当する方法でハンマー部材9内の相互に対向している水平な長穴(図示せず)によってガイドされる。起動レバー15の他端は引っ張りブラケット6の一端に結合されている。引っ張りブラケット6の他端は第二のハウジング部分1bに結合されているが、断面図のための破断領域においては、破断されているために見えていない。
【0066】
同じく図面において見ることができるように、起動レバー15a,15bは、上昇斜面17を有している留め用突出部5を備えている。ばね8の予張力を増大させる起動レバーの枢動動作によって、留め用突出部5がラッチ部材18を通り過ぎて延び、次いで、係止ばね19の力によってラッチ部材18が引き戻されることによって図3に示されている状態に係止されるまで、ラッチ部材18は当該斜面17によって係止ばね19の力に抗して下方へ移動せしめられる。
【0067】
ハンマー部材9は、図3に示されている最大の予張力がかけられる上方位置に達すると、スライド部材7のばねアーム20上に形成されている留め用出っ張り10と係合する。スライド部材7のばねアーム20は、第一のハウジング部分1a内で、復元ばね(図示せず)の力に抗して水平に移動することができ、その結果、ハンマー部材9の起動は、この留め用出っ張り10のみによって不可能にされる。この状態では、第二のハウジング部分1bは第一のハウジング部分1aに対して最大限まで枢動せしめられており、これは特許請求の範囲に規定されている装填状態に対応している。適切な挿入ヘッド12は、図3において矢印で示されている方向に保持部材間に押し込むことができ且つ図4に示されているようにこれらの上に保持することができる。
【0068】
挿入器具を適用準備状態にするためには、第二のハウジング部分は、図4に示されている装填位置から起動レバー15aが係止されているにも拘わらず可能である基準位置へと枢動させて戻さなければならない。なぜならば、引っ張りバケット6に結合されている起動レバーのアーム15bは、適切な回転角度だけ回転するようにハンマー部材9及び留め用突出部5に結合されたアーム15aに対して結合されているからである。この予張力がかけられた基準状態において、第二のハウジング部分1bは、留め用手段(図示せず)によって第一のハウジング部分1aに対して可逆的に係止され、高い初期抵抗に打ち勝った後においてのみ逆方向に動かすことができ且つ装填位置へ戻すことができるようになされている。適切な留め手段は、当業者に知られており且つ例えば切欠き部内の継続斜面と係合するバネ性の舌状部材上に保持された出っ張りによって形成することができる。この係止結合は、前記切欠き部の端縁上に延びている上昇斜面によって増大された力によるバネ性の舌状部材の偏倚によって再び解除することができる。別の方法として、係止作用は、例えば、係止解除ボタンの押圧による関連する係止解除手段の起動によって再び元に戻すことができる。
【0069】
第二のハウジング部分1bの基準位置へ戻る枢動動作と同時に、挿入ヘッド12のカニューレ11は、第二のハウジング部分1b上の支持ばね25の力に抗して取り付けられている起動レバー23によって配備される。第二のハウジング部分1bは、挿入ヘッド12の方へ動くように枢動され、このようにして、挿入ヘッド12の左手のハウジング部分13(挿入ヘッド12の移動可能な起動部材を形成している)を水平方向に保持部材内へと押込み、これと同時に、右手のハウジング部分14(挿入器具の第一のハウジング部分1a内に支持されている)を介して押し、このようにして、挿入ヘッドの内側に配置されている機構(図示せず)によってカニューレ11を配備させる。この場合には、挿入ヘッド12は、インスリンの輸液セットである。当該挿入ヘッド12は、ここに示されている適用前の状態では、穿刺針によって支持されている可撓性のカニューレ(柔軟なカニューレ)を備え且つその下面に固定用膏剤21を担持している。穿刺針は、適用の後に取り外される。しかしながら、本発明を説明する目的のためには、穿刺針と可撓性のカニューレとは区別される必要はない。なぜならば、この例においては、“カニューレ”として両方が一緒に示されているからである。
【0070】
挿入ヘッド12の左手ハウジング部分13は、その移動中に、移動可能に取り付けられたスライド部材7を一緒に移動させる。スライド部材7は、当該スライド部材上に形成された留め用出っ張り10によってばねアーム20を支持しており且つ当該ばねアーム20を留め用出っ張り10がハンマー部材9のそばに横方向に配置されるまで右方向に移動させる。ハンマー部材9は、ばね8の力に抗して起動レバーの係止された第一のアーム15aを介してもっぱら予張力をかけられた位置に保持される。この状態では、挿入器具は適用準備状態にあり、この状態は図5に示されている。
【0071】
図5と図6(一方では適用準備状態が固定された状態で示されており(図5)、他方では適用準備状態が解放状態で示されている(図6))を比較することによってわかるように、係止ばね19がラッチ部材18から遠い方向の端部によって担持している固定ボタン3は、第一のハウジング部分1a内の固定スライド部材22を形成している。固定スライド部材22は、図5に示された状態においては、嵌め合い部を有して起動ノブ4の起動を阻止している。例えば、挿入器具を患者の体表面上の適用部位に押し付けることによって係止ばね19の力の方向と反対方向に押圧力がかけられたときにのみ、圧力嵌め部は、接触面2を担持している下面が第一のハウジング部分1aの接触面2と本質的に同面となる深さまでハウジング部分1a内へ押し込まれて互いに隣接する。図6に示されているこの状態において、固定スライド部材22は起動ノブ4を解放する。
【0072】
起動ノブ4が起動された直後の挿入器具を示している図7からわかるように、起動ノブ4は、ハウジング部分1aの内方に向いた面上に起動斜面24を備えている。起動斜面24は、ラッチ部材18の制御用出っ張り26に沿って動かされ、このようにして、ラッチ部材18が係止ばね19の力に抗して下方へ引き出され、その結果、起動レバー15a,15bの留め用突出部5が解放され、第一のアーム15aに保持されているハンマー部材9が、予張力がかけられた渦巻きばね8の力によって起動されて下方へ跳ね出る。ハンマー部材9は、保持部材内の特許請求の範囲で規定している第一の位置に圧力嵌めによって保持されている挿入ヘッド12の頂面にぶつかり、挿入ヘッド12が保持部材から解放され、挿入ヘッド12が適用のために患者の体に向けて下方へ駆動され、カニューレ11はその前方が完全に体内へ挿入され、挿入ヘッド12はその下面が体表面上に位置するまで体内に貫入される。保持部材は、ハウジング部分1a,1bに対して挿入方向へ動かない状態のままである。スライド部材7は、次いで、戻りばねの力によって駆動されて水平方向に動き、図1乃至3に示されている位置まで戻る。適用後においては、適用された挿入ヘッド12は挿入器具から完全に分離され、その結果、挿入器具は、適用部位に刺激を生じさせることなく取り外すことができる。次いで、挿入器具は、図1に示されている状態に戻され、挿入器具の適用のために再度使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】図1は、予張力がかけられていない基準状態にあり且つ挿入ヘッドを備えていない本発明による挿入器具の垂直断面図である。
【図2】図2は、予張力がかけられている状態の図1の挿入器具の垂直断面図である。
【図3】図3は、予張力をかける動作の終了時における図1の挿入器具の垂直断面図である。
【図4】図4は、図3のような挿入器具の図面であるが、挿入器具が内部に配置されている。
【図5】図5は、適用準備状態にある固定された挿入器具の垂直断面図である。
【図6】図6は、図5のような挿入器具の図であるが、解放状態にある図である。
【図7】図7は、起動ボタンが作動せしめられた直後の図6の挿入器具を示している図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の体内へ差し込むために少なくとも1つの注入カニューレ(11)及び/又は少なくとも1つの穿刺先端を備えた挿入ヘッド(12)のための挿入器具であり、
a)挿入ヘッド(12)の適用のために患者の体表面上の適用部位に当該挿入器具を配置するための少なくとも1つの接触面(2)を備えているハウジング(1a,1b)と、
b)適用されるべき挿入ヘッド(12)を当該挿入器具上に一時的に保持するための保持手段と、
c)駆動手段(8,9)であり、適用準備状態にある挿入ヘッド(12)の注入カニューレ(11)又は穿刺先端を、その長手方向に、接触面(2)に対して、第一の位置から第二の位置へ挿入動作させるための駆動手段(8,9)とを備え、
前記第一の位置においては、挿入ヘッド(12)が前記保持手段によって、注入カニューレ(11)及び挿入ヘッド(12)の穿刺先端の全てが接触面(2)に対して引っ込められている適用準備状態に保持され、前記第二の位置においては、挿入ヘッド(12)の注入カニューレ(11)及び穿刺先端の全てが、接触面(2)を実質的に完全に越えて突出して、挿入器具の接触面(2)が体の表面に配置された状態で挿入動作が行われるときに、挿入ヘッド(12)の注入カニューレ(11)及び穿刺先端が患者の体内への差し込むことができるようにされ、前記ハウジングは、前記保持手段及び前記少なくとも1つの接触面(2)のうちの少なくとも幾つかを備えている第一のハウジング部分(1a)と、当該第一のハウジング部分(1a)に対して作動位置から装填位置まで動くことができる第二のハウジング部分(1b)とを備えており、前記作動位置においては、前記2つのハウジング部分(1a,1b)が、前記挿入器具による挿入ヘッド(12)の適用中に位置する相対位置に配置され、前記装填位置においては、前記保持手段は、適用されるべき挿入ヘッド(12)の正しい配置のためにアクセス可能であり、第二のハウジング部分(1b)は、挿入ヘッド(12)が前記保持手段内に係合せしめられた後に基準位置へと戻すことができ、前記挿入器具は、挿入ヘッド(12)が保持手段内に係合せしめられ、第二のハウジング部分(1b)が基準位置へと戻された後に、挿入ヘッドは、適用準備状態にある第一の位置に前記保持手段によって保持され、当該挿入器具は、挿入動作の開始時に、挿入ヘッド(12)が保持手段から分離されて自由に挿入動作の少なくとも大部分を行うことができるように設計されている、挿入器具。
【請求項2】
請求項1に記載の挿入器具であり、
前記保持手段が前記基準位置に配置されている状態で、前記挿入ヘッド(12)が、圧力嵌め、又は純粋な嵌め合い、又は圧力嵌めと嵌め合いとの組み合わせによって、前記保持手段によって前記第一の位置に保持することができるようになされたことを特徴とする挿入器具。
【請求項3】
請求項2に記載の挿入器具であり、
前記保持手段が前記装填位置に配置されている状態で、前記挿入ヘッド(12)が嵌め合い、純粋な嵌め合い又は圧力嵌めと嵌め合いとの組み合わせによって、前記保持手段によって保持することができ、特に、前記嵌め合いが、前記第二のハウジング部分(1b)による前記装填位置から基準位置への移動中に解放されるようになされていることを特徴とする挿入器具。
【請求項4】
請求項2に記載の挿入器具であり、
前記保持手段が前記装填位置に配置されている状態で、前記挿入ヘッド(12)が、純粋な圧力嵌めによって前記保持手段によって保持され、特に、前記圧力嵌めが、前記第二のハウジング部分(1b)による前記装填位置から前記基準位置への動作中に緩められるように設計されていることを特徴とする挿入器具。
【請求項5】
請求項1乃至4のうちのいずれか一の項に記載の挿入器具であり、
少なくとも前記挿入動作中の殆どにおいて又は前記挿入ヘッド(12)の挿入動作全体に亘って、前記保持手段が前記接触面(2)に対して不動とされたままであるように設計されていることを特徴とする挿入器具。
【請求項6】
請求項5に記載の挿入器具であり、
前記保持手段が、前記第一のハウジング部分(1b)によって担持されている接触面(2)に対して不動状態であることを特徴とする挿入器具。
【請求項7】
請求項1乃至6のうちのいずれか一の項に記載の挿入器具であり、
前記保持手段が、前記第一の位置において、前記挿入ヘッド(12)を圧力嵌めによって保持するように設計されていることを特徴とする挿入器具。
【請求項8】
請求項1乃至7のうちのいずれか一の項に記載の挿入器具であり、
前記駆動手段(8,9)が、挿入動作のための駆動力を提供するための少なくとも1つの予張力をかけることができるエネルギ蓄積部材(8)、特に、渦巻きばね、金属若しくはプラスチックによって作られた脚状ばね若しくは板ばね、空気圧圧縮ばね、又はゴムばね部材を備えていることを特徴とする挿入器具。
【請求項9】
請求項8に記載の挿入器具であり、
前記エネルギ蓄積部材(8)が、前記第二のハウジング部分(1b)による前記基準位置から前記装填位置への移動によって予張力をかけられることを特徴とする挿入器具。
【請求項10】
請求項8又は9に記載の挿入器具であり、
前記エネルギ蓄積部材(8)が、前記第二のハウジング部分(1b)による前記装填位置から前記基準位置への移動によって予張力がかけられることを特徴とする挿入器具。
【請求項11】
請求項8乃至10のうちのいずれか一の項に記載の挿入器具であり、
前記挿入器具が、前記挿入ヘッド(12)が前記第一の位置に配置されている状態で、前記エネルギ蓄積部材(8)が予張力がかけられた準備状態とすることができ、次いで、起動部材(3,4)の作動によって前記エネルギ蓄積部材(8)の弛緩が増すことによって前記挿入動作が起動されることを特徴とする挿入器具。
【請求項12】
請求項11に記載の挿入器具であり、
前記駆動手段(8,9)が、駆動力を適用されるべき挿入ヘッド(12)に伝達するためのスラスト部材(9)を備え、当該スラスト部材(9)を前記挿入動作と反対方向へ移動させ、続いて、起動部材(3,4)によって解除することができる係止部材(5,18)によって係止することによって、前記エネルギ蓄積部材(8)は、予張力がかけられ且つ当該予張力がかけられた状態で準備状態とされることを特徴とする挿入器具。
【請求項13】
請求項1乃至12のうちのいずれか一の項に記載の挿入器具であり、
前記第二のハウジング部分(1b)が、前記基準位置から前記装填位置へと移動させるために、前記第一のハウジング部分(1a)に対して枢動させることができることを特徴とする挿入器具。
【請求項14】
請求項1乃至12のうちのいずれか一の項に記載の挿入器具であり、
前記第二のハウジング部分(1b)が、前記基準位置から前記装填位置へ移動させるために、前記第一のハウジング部分(1a)に対して移動可能であり、特に、前記挿入動作方向を横切る方向特に直角方向に移動可能であることを特徴とする挿入器具。
【請求項15】
請求項1乃至14のうちのいずれか一の項に記載の挿入器具であり、
前記第二のハウジング部分(1b)が前記接触面(2)のうちの幾つかを担持していることを特徴とする挿入器具。
【請求項16】
請求項1乃至15のうちのいずれか一の項に記載の挿入器具であり、
前記保持手段が、前記挿入ヘッド(12)が前記挿入動作方向を横切る方向特に直角方向に押されることによって前記保持手段内に係合されて前記装填位置に配置されるように、設計されていることを特徴とする挿入器具。
【請求項17】
請求項1乃至16のうちのいずれか一の項に記載の挿入器具であり、
前記挿入器具が、前記挿入動作を起動させるために同時に作動させなければならない少なくとも2つの起動部材(3,4)を備えており、当該起動部材のうちの第一の部材(3)は、特に挿入ヘッド(12)の挿入動作方向に患者の体表面に押し付けられる挿入器具の接触面(2)によって起動させることができるように設計されていることを特徴とする挿入器具。
【請求項18】
請求項17に記載の挿入器具であり、
前記第一の起動部材(3)が、特に全ての接触面(2)を形成しているスライド形状又はボタン形状の部材(3)として設計されていることを特徴とする挿入器具。
【請求項19】
請求項17又は18に記載の挿入器具であり、
第二の作動部材(4)が、ユーザーが指の先端で押すと、前記挿入器具が患者の体表面に押し付けられる意図した方向を横切る方向特に直角方向に作動させることができるボタン形状の部材として設計されていることを特徴とする挿入器具。
【請求項20】
請求項17乃至19のうちのいずれか一の項に記載の挿入器具であり、
前記少なくとも2つの起動部材(3,4)が、一方の起動部材(3)を作動させることによって他方の起動部材(4)の遮断を解除することができるように相互に作動可能に結合されていることを特徴とする挿入器具。
【請求項21】
請求項1乃至20のうちのいずれか一の項に記載の挿入器具であり、
前記挿入動作を起動させるための少なくとも1つの起動部材(3,4)を備えており、当該起動部材(3,4)の一方又は両方が、前記挿入動作の片手起動を可能にするために片手で作動させることができるように設計されていることを特徴とする挿入器具。
【請求項22】
請求項1乃至21のうちのいずれか一の項に記載の挿入器具であり、
前記挿入動作を起動させるための少なくとも1つの起動部材(3,4)を備えており、当該起動部材(3,4)が、起動力を停止させたときに不作動状態へと自動的に戻るように設計されていることを特徴とする挿入器具。
【請求項23】
請求項1乃至22のうちのいずれか一の項に記載の挿入器具であり、
当該挿入器具が、前記保持手段に保持されるべき挿入ヘッド(12)の移動可能な起動部材(13)の移動特に横切る方向の移動を生じさせるための手段(23)を備え、当該手段(23)は、前記第二のハウジング部分(1b)による装填位置から基準位置への移動中に、少なくとも1つの配備可能な注入カニューレ(11)及び/又は少なくとも1つの配備可能な穿刺先端の全てが自動的に配備されるのを可能にするために、前記挿入ヘッドを、少なくとも1つの配備可能な注入カニューレ(11)及び/又は少なくとも1つの配備可能な穿刺先端と共に移動させるようになされていることを特徴とする挿入器具。
【請求項24】
請求項23に記載の挿入器具であり、
移動可能な起動部材(13)を移動させる前記手段(23)が、第二のハウジング部分(1b)によって形成された継続面を備えており、当該継続面によって、特に挿入ヘッド(12)の挿入動作方向を横切る方向に移動可能である起動部材(13)が、少なくとも1つの配備可能な挿入カニューレ(11)及び/又は少なくとも1つの配備可能な穿刺先端と共に前記保持手段内に保持され且つ前記第二のハウジング部分(1b)による前記装填位置から前記基準位置への移動中に移動させることができて、前記第二のハウジング部分(1b)による前記装填位置から前記基準位置への移動の際における前記挿入ヘッド(12)の配備可能な挿入カニューレ(11)及び穿刺先端の自動の配備を確実なものとしていることを特徴とする挿入器具。
【請求項25】
請求項23又は24に記載の挿入器具であり、
前記移動可能な起動部材(13)を移動させるための前記手段(23)がレバー機構(23)を備えており、当該レバー機構は、第二のハウジング部分(1b)によって形成された継続面を備えており、当該継続面によって、特に挿入ヘッド(12)の挿入動作方向を横切る方向に移動可能である起動部材(13)が、少なくとも1つの配備可能な挿入カニューレ(11)及び/又は少なくとも1つの配備可能な穿刺先端と共に前記保持手段内に保持され且つ前記第二のハウジング部分(1b)による前記装填位置から前記基準位置への移動中に移動させることができて、前記第二のハウジング部分(1b)による前記装填位置から前記基準位置への移動の際における前記挿入ヘッド(12)の配備可能な挿入カニューレ(11)及び穿刺先端の自動的な配備を確実なものとしていることを特徴とする挿入器具。
【請求項26】
請求項1乃至25のうちのいずれか一の項に記載の挿入器具であり、
挿入ヘッド(12)を適用するために数回使用することができるように設計されていることを特徴とする挿入器具。
【請求項27】
請求項1乃至26のうちのいずれか一の項に記載の挿入器具と、当該挿入器具内に収納されるか又は収納することができ且つ少なくとも1つの注入カニューレ(11)及び/又は少なくとも1つの穿刺先端を備えている挿入ヘッド(12)とを含む構造体。
【請求項28】
請求項27に記載の構造体であり、
前記挿入ヘッド(12)が、少なくとも1つの配備可能な注入カニューレ(11)及び/又は少なくとも1つの配備可能な穿刺先端を備えており、これらの配備可能な注入カニューレ及び穿刺先端の全てが、非起動状態では内方へ折り畳まれており、前記挿入ヘッド(12)は、第二のハウジング部分(1b)が装填位置に配置されている状態では、前記保持手段内に収納されるか又は既に収納されているように意図されており、前記挿入器具及び挿入ヘッド(12)は、前記配備可能な注入カニューレ(11)及び穿刺先端の全てが、前記前記第二のハウジング部分(1b)による前記装填位置から前記基準位置への移動中に自動的に配備されるように設計されていることを特徴とする構造体。
【請求項29】
患者の体に、挿入ヘッド(12)特に輸液セット(12)、ポート及び/又はセンサー構造として設計され且つ少なくとも1つの注入カニューレ(11)及び/又は少なくとも1つの穿刺先端を備えている挿入ヘッド(12)を適用するために、請求項1乃至28のうちのいずれか一の項に記載の挿入器具又は構造体を使用する方法。
【請求項30】
挿入ヘッド(12)特に輸液セット、ポート及び/又はセンサー構造として設計され且つ少なくとも1つの注入カニューレ(11)及び/又は少なくとも1つの穿刺先端を備えている挿入ヘッド(12)を、請求項1乃至26のうちのいずれか一の項に記載の挿入器具を使用して適用する方法であり、
a)挿入器具を準備するステップと、
b)第二のハウジング部分(1b)を、基準位置から装填位置へと動かすステップと、
c)挿入ヘッド(12)を保持手段によって保持されるように当該保持手段内に係合させるステップと、
d)前記第二のハウジング部分(1b)を装填位置から基準位置へと移動させるステップと、
e)挿入ヘッド(12)の注入カニューレ(11)と穿刺先端との全てが挿入動作中に体内へ正しく貫入できるように、挿入器具をその接触面(2)によって患者の体表面上の所望の適用部位に配置するステップと、
f)挿入動作の開始時に、挿入動作を起動させて、挿入ヘッド(12)が保持手段から分離されるようにし、挿入動作の少なくとも大部分を保持手段から自由な状態で行われるようにするステップと、を含むことを特徴とする方法。
【請求項31】
請求項30に記載の方法であり、
挿入ヘッド(12)が、圧力嵌め、純粋な嵌め合い又は圧力嵌めと嵌め合いとの組み合わせによって第一の位置に保持されることを特徴とする方法。
【請求項32】
請求項31に記載の方法であり、
挿入ヘッド(12)が、前記装填位置において、純粋な嵌め合い又は圧力嵌めと嵌め合いとの組み合わせによって前記保持手段によって保持され、特に、前記嵌め合いが、前記第二のハウジング部分(1b)による前記装填位置から前記基準位置への移動中に解放されることを特徴とする方法。
【請求項33】
請求項31に記載の方法であり、
挿入ヘッド(12)が、前記装填位置において、圧力嵌めによって前記保持手段によって保持され、特に、前記圧力嵌めが、前記第二のハウジング部分(1b)による前記装填位置から前記基準位置への移動中に緩められることを特徴とする方法。
【請求項34】
請求項30乃至33のうちのいずれか一の項に記載の方法であり、
駆動手段(8,9)が挿入動作のための駆動力を提供するための少なくとも1つの予張力をかけることができるエネルギ蓄積部材(8)を備えている挿入器具が使用され、前記エネルギ蓄積部材(8)は、前記第二のハウジング部分(1b)による前記基準位置から前記装填位置への移動及び/又は前記第二のハウジング部分(1b)による前記装填位置から前記基準位置への移動によって予張力がかけられることを特徴とする方法。
【請求項35】
請求項30乃至34のうちのいずれか一の項に記載の方法であり、
第二のハウジング部分(1b)が、第一のハウジング部分(1a)に対して動く際に枢動せしめられることを特徴とする方法。
【請求項36】
請求項30乃至35のうちのいずれか一の項に記載の方法であり、
前記挿入ヘッド(12)が圧力嵌めによって保持手段内に保持され、当該保持手段が、挿入ヘッド(12)の挿入動作中に接触面(2)に対して不動状態に保持されることを特徴とする方法。
【請求項37】
請求項30乃至36のうちのいずれか一の項に記載の方法であり、
駆動手段(8,9)が、挿入動作のための駆動力を提供するための少なくとも1つの予張力をかけることができるエネルギ蓄積部材(8)を備えている挿入器具が使用され、前記エネルギ蓄積部材(8)は、予張力がかけられた状態で準備状態とされ、次いで、起動部材(3,4)を作動させることによって起動されることを特徴とする方法。
【請求項38】
請求項30乃至37のうちのいずれか一の項に記載の方法であり、
挿入器具を患者の体表面に配置するステップ及び挿入動作を起動させるステップが片手で行われることを特徴とする方法。
【請求項39】
請求項30乃至38のうちのいずれか一の項に記載の方法であり、
少なくとも1つの配備可能な注入カニューレ(11)及び/又は少なくとも1つの配備可能な穿刺先端を備えた挿入器具(12)が、全ての配備可能な注入カニューレ(11)及び穿刺可能な先端が内側へ折り畳まれた状態で前記保持手段内に嵌め込まれ、挿入ヘッド(12)の配備可能な注入カニューレ(11)及び穿刺先端の全てが、前記第二のハウジング部分(1b)による前記装填位置から前記基準位置への移動中に配備されることを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−220962(P2008−220962A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−62079(P2008−62079)
【出願日】平成20年3月12日(2008.3.12)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】