挿入部保持装置
【課題】従来の内視鏡挿入装置において、術者が、例えば挿入部を進退移動、回動移動させずに、挿入部をそのままの状態に維持させる保持状態を維持する際に、挿入部が術者にとって予期せぬ外力によって移動してしまう虞が生じる。これにより術者にとっての挿入部の操作性を損ねている。
【解決手段】本発明は、術者2が被検体である患者3の管腔内に進退(挿入、または抜去)される、または捻られる挿入部10を患者3に挿入する際に、挿入部10を保持し、挿入部10の挿入量(例えば進退量や捻れ量)を調整する挿入部保持装置本体30と、挿入部保持装置本体30を制御する制御ユニット50とを有し、術者が挿入部を挿入、抜去、捻る際に、挿入部に対する保持部の保持状態、または非保持状態を切り換えることで挿入部10の挿入、抜去、捻りの動作を容易にするとともに予期せぬ外力によって挿入部が移動してしまうことを防止できる挿入部保持装置1である。
【解決手段】本発明は、術者2が被検体である患者3の管腔内に進退(挿入、または抜去)される、または捻られる挿入部10を患者3に挿入する際に、挿入部10を保持し、挿入部10の挿入量(例えば進退量や捻れ量)を調整する挿入部保持装置本体30と、挿入部保持装置本体30を制御する制御ユニット50とを有し、術者が挿入部を挿入、抜去、捻る際に、挿入部に対する保持部の保持状態、または非保持状態を切り換えることで挿入部10の挿入、抜去、捻りの動作を容易にするとともに予期せぬ外力によって挿入部が移動してしまうことを防止できる挿入部保持装置1である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管腔内に挿入され、管腔内に対して進退動作、捻り動作させられる内視鏡の挿入部を保持する挿入部保持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に例えば医療分野における装置において、内視鏡には、体腔(例えば管腔)に挿入される挿入部が設けられており、この挿入部を体腔内に挿入することで体腔内の観察や治療を行っている。
【0003】
このような内視鏡の挿入部の体腔内への挿入の進退及び捻りを容易にする挿入装置が特許文献1に開示されており、以下に簡単に説明する。
【0004】
この内視鏡の挿入装置には、被検体内に挿入される内視鏡の挿入部を進退動作させる進退駆動手段と、上記挿入部を回動させて該挿入部にねじり動作を行わせる回動駆動手段と、が設けられている。
【0005】
術者が、挿入部を進退移動させる場合、内視鏡の挿入装置は、進退駆動手段を駆動させて挿入部を容易に進退移動させている。また術者が、挿入部を回動させる場合、内視鏡の挿入装置は、回動駆動手段を駆動させて挿入部を容易に回動移動させている。
【特許文献1】特開平03−092126号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述した特許文献1に開示されている内視鏡の挿入装置において、進退駆動手段、回動駆動手段がそれぞれ駆動することで、術者は挿入部を容易に進退移動、回動移動させることができる。しかしながら術者が、例えば挿入部を進退移動、回動移動させずに、挿入部をそのままの状態に維持させたい場合には、挿入部が術者にとって予期せぬ外力によって移動してしまう虞が生じる。これは、術者にとっての挿入部の操作性を損ねてしまう。
【0007】
そのため本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、術者が挿入部を操作する際に、挿入部を保持する状態、または非保持状態を切り換えることで挿入部の進退移動、回動移動を容易にし、術者が挿入部をそのままの状態に維持したい場合には、術者にとって予期せぬ外力によって挿入部が移動してしまうことを防止できる挿入部保持装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は目的を達成するために、被検体の管腔に挿入され、管腔に対して進退させられる、または捻られる内視鏡の挿入部を保持する保持部と、保持部を、挿入部の動きを規制する保持状態と、挿入部の動きを自由にする非保持状態と、のいずれかの状態に切り換える制御を行う制御部と、を具備することを特徴とする挿入部保持装置を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、術者が挿入部を挿入、抜去、捻る際に、挿入部を保持する状態、または非保持状態を切り換えることで挿入部の進退移動、回転移動を容易にするとともに術者にとって予期せぬ外力によって挿入部が移動してしまうことを防止できる挿入部保持装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1乃至図22を参照して第1の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態における挿入部保持装置本体と患者の配置関係を示す概略図である。図2は、挿入部保持装置を使用する際の概略斜視図である。図3は、図2に示した挿入部保持装置の概略側面図である。図4は、図2に示した挿入部保持装置の概略正面図である。図5は、図4に示す回動部を回動させた際の挿入部保持装置本体の概略正面図である。図6は、図4に示す回動部を回動させた際の挿入部保持装置本体の概略上面図である。図7は、図4に示す挿入部保持装置本体に挿入部を挿入させた際の挿入部保持装置の概略上面図である(回動部は図示せず)。図8は、保持機構の概略斜視図である。図9は、図7に示す保持機構のA−A概略断面図である。図10は、力センサの概略斜視図である。図11は、図7に示す挿入部保持装置のB−B概略断面図である。図12Aは、挿入部保持装置本体の内部を示す概略斜視図(挿入部、ローラ対、回転量センサの位置関係を示す)概略斜視図である。図12B、図12Cは、ローラ対の変形例である。図13は、図7に示す挿入部保持装置本体のC−C概略断面図である。図14は、本実施形態の制御機構を概略的に示した制御図である。図15A乃至図15Dは、患者に挿入部を挿入させる際の挿入部保持装置の動作を示す図である。図16は、患者から挿入部を抜去させる際の挿入部保持装置本体の動作を示す図である。図17は、患者から挿入方向に予期せぬ外力が生じた際の挿入部保持装置本体の動作を示す図である。図18は、患者から抜去方向に予期せぬ外力が生じた際の挿入部保持装置本体の動作を示す図である。図19は、患者に挿入部を挿入させる際の挿入部保持装置本体の動作を示すフローチャートである。図20A乃至図20Cは、挿入部を捻る際の挿入部保持装置本体の動作を示す図である。図21は、摩擦付勢部材が挿入部保持装置本体から着脱する際の概略図である。図22は、ローラが挿入部保持装置本体から着脱する際の概略図である。
【0011】
なお本実施形態において挿入部10が進退(挿入、または抜去)する方向をX軸方向、X軸方向に対して直交する方向(摩擦付勢部材38が挿入部10を付勢する方向)をY軸方向、X軸方向及びY軸方向に直行する方向をZ軸方向する。
【0012】
図1乃至図3を参照して挿入部保持装置1について説明する。
挿入部保持装置1には、主要部として術者2が被検体(挿入対象部)である患者3の管腔内に進退(挿入、または抜去)される、または捻られる(回転させる)軟性の挿入体である例えば細長いチューブといった内視鏡の挿入部10を患者3に例えば挿入する際に、挿入部10を保持し、挿入部10に直接加えられる力の方向や大きさといった操作量(例えば進退量や捻れ量)に応じて挿入部10の操作(例えば進退や捻れ)を調整する挿入部保持装置本体30と、挿入部保持装置本体30を制御する制御ユニット50が設けられている。また内視鏡の挿入部10の基端(一端)部の手元側には、挿入部の動きを操作する操作部70が設けられている。操作部70の他端は、図示しない光源装置や患者3に挿入された挿入部10によって撮影された画像を表示する図示しないモニタと接続している。
【0013】
挿入部10は、術者2に把持され、患者3に対して進退(挿入及び抜去)、捻られる。
【0014】
挿入部保持装置本体30は、挿入部10が挿入される対象である例えば患者3がのせられる第1の配置部材である例えばベッド4の患者3の近傍に移動自在に配置することができる。詳細には、挿入部保持装置本体30は、患者3の近傍、且つベッド4上に配置されていることが好適である。また図1に示すように患者3が、頭部3aを第2の配置部材である枕5に載置している場合、挿入部保持装置本体30は、枕5上、且つ患者3の近傍に配置されていることが好適である。
【0015】
制御ユニット50は、挿入部保持装置本体30とは別体で構成されており、挿入部保持装置本体30と同様にベッド4に配置されていても良いが、図1乃至図3に示すようにベッド4の脇やベッド4の脚の間のように挿入部保持装置本体30よりも鉛直方向下方に置かれていることが好適である。これにより挿入部保持装置本体30周辺にはより多くにスペースが設けられるために、術者2は、挿入部10に対する操作性を確保することができる。
【0016】
なお制御ユニット50は、挿入部保持装置1における制御部であり、保持部を、挿入部10の動きを規制する保持状態と、挿入部10の動きを自由にする非保持状態と、のいずれかの状態に切り換える。後述する第1の検出部である力センサ39、第2の検出部である回転量センサ41、第3の検出部である回転量センサ42、挿入部10を保持する保持機構対301,302は、挿入部保持装置本体30に含まれる。
【0017】
次に図1乃至図13を参照して挿入部保持装置本体30について詳細に説明する。
図1、図4乃至図7に示すように挿入部保持装置本体30には、挿入部10を挟持して保持する保持機構対301(保持機構301a,301b)、保持機構対302(保持機構302a,302b)と、挿入部10が患者3に対して挿入、または抜去される際に、挿入部10に直接接触して回転する回転部であるローラ対32(ローラ32a,32b)と、挿入部10が術者2によって捻られた際に、挿入部10に直接接触して回転する回転部であるローラ対33(ローラ33a,33b)と、挿入部保持装置本体30に対して回動する回動部34が設けられている。また回動部34には、ローラ対33の片方(ローラ33b)が設けられている。ローラ対32,33は、挿入部10に直接接触する接触部でもある。保持機構対301と保持機構対302は、Y軸に沿った形状をしている。保持機構対301と保持機構対302は、X軸方向に所望する間隔離れて並べて配置されている。また保持機構対302は、保持機構対301よりも患者3に近接して配置されている。ローラ対32とローラ対33は、保持機構対302よりも患者3に近接して配置されている。
【0018】
図5に示すように回動部34は、支点34aを中心に回動する。回動部34が回動し、接点35が接地部36から離れた際に、保持機構対301の両対間の空間と、保持機構対302の両対間の空間と、ローラ対32の両対間の空間が上方に向けて連通するため挿入部10がローラ対33の一方(ローラ33a)に載置される。これにより挿入部10は、保持機構対301、保持機構対302の両対に挟まれた空間に配置され、ローラ32a及びローラ32bに挟まれる。また回動部34が回動し、接点35が接地部36に接地すると、挿入部10は、さらにローラ33a及びローラ33bに挟まれる。挿入部10は、X軸を中心に捻り可能、X軸方向に沿って進退可能である。挿入部10が、保持機構対301,302に挟まれた際の状態については後述する。
【0019】
次に図8、図9を参照して保持機構対301、保持機構対302について説明する。
保持機構対301、保持機構対302において、保持機構301a,301b,302a,302bは、それぞれ同一構成である。ここでは保持機構302bについてのみ説明する。
【0020】
保持機構302bには、モータ37と、モータ37が駆動した際に回転するネジ部40と、ネジ部40のヘッド部48に配置されている第1の検出部である力センサ39と、力センサ39に当接している摩擦付勢部材38が設けられている。
【0021】
ネジ部40のヘッド部48は図示しないが回転方向の動きを規制されており、ネジ部40が回転する際には、ネジ部40の軸に沿って進退する。モータ37が駆動した際に、ネジ部40が回転し、ヘッド部48がネジ部40の軸に沿って進退することにより力センサ39と、摩擦付勢部材38は、Y軸方向に沿って移動する。移動した際に、摩擦付勢部材38は、挿入部10に直接接触して付勢する。このように摩擦付勢部材38は、挿入部10に直接接触する接触部でもある。
【0022】
保持機構対301,302は、モータ37を駆動させ、両方向から摩擦付勢部材38を挿入部10に付勢させることで挿入部10を保持する。摩擦付勢部材38は、モータ37によって挿入部10を付勢する力が調整される。
【0023】
力センサ39は、摩擦付勢部材38が挿入部10を付勢する際の付勢力を検出し、付勢した際に挿入部10が進退、または捻られた際に挿入部10と摩擦付勢部材38に生じる摩擦力から挿入部10が挿入された際に生じる挿入力、挿入部10が抜去された際に生じる抜去力、挿入部10が回転された際に生じる回転力(捻り力)を検出する。
【0024】
挿入力、抜去力、捻り力は、挿入部10に直接加えられる力の方向及び大きさに応じて異なる。そのため力センサ39は、挿入力、抜去力、捻り力から挿入部10に直接加えられる力の方向及び大きさを検出する。このように力センサ39は、摩擦付勢部材38を介して間接的に挿入部10に接触して力の方向及び大きさを検出する。
【0025】
図10に示すように挿入部10の進退方向(X軸方向)に挿入力、抜去力が生じ、摩擦付勢部材38が挿入部10を付勢する方向(Y軸方向)に付勢力が生じ、挿入部10を捻る方向に捻り力が生じる。
【0026】
また図11乃至図13に示すようにローラ対32において、ローラ32a,32bのどちらか一方には、ローラの回転量(例えば回転速度、回転角度、角加速度)を検出する第2の検出部である回転量センサ41が設けられている。本実施形態ではローラ32aと同軸上に回転量センサ41が設けられている。また図12Aに示すようにローラ対33において、ローラ33a,33bのどちらかには一方には、ローラ対33の回転量を検出する第3の検出部である回転量センサ42が設けられている。本実施形態ではローラ33aと同軸上に回転量センサ42が設けられている。
【0027】
また図12Aに示すようにローラ33a、回転量センサ42は、支持部材47によって支持されている。なお図示はしていないがローラ33b、保持機構対301,302も支持部材47によって支持されている。
【0028】
なおローラ対32の外周面には、軸方向(Z軸方向)に平行に溝28が形成されている。またローラ対33の外周面には、軸方向(X軸方向)に平行に溝29が形成されている。これにより軸方向の摩擦よりも周方向の摩擦が大きくなる。挿入部10が進退する際、ローラ対32の周方向の摩擦により大きな進退力を挿入部10に与えることができる。またローラ対33において、溝29は進退方向に対して平行に形成されている。よって進退方向において、ローラ対33と挿入部10との間には、大きな摩擦力は発生せず、進退時の障害にはならない。捻る際は逆になる。なお溝28、溝29は、他の図においては図示せずに省略している。
【0029】
なお本実施形態ではローラ対32,33の表面に溝28,29を設けたがこれに限定する必要は無い。例えばローラ33bには、図12Bに示すように軸方向(X軸方向)に平行な複数の突起部26を設けても良い。またローラ33bには、例えば図12Cに示すように軸方向(X軸方向)に平行な複数の凸凹部27を設けても良い。もちろんこれらを組み合わせても良い。このように挿入部10が進退、または捻られる際に、大きな摩擦力を発生せず、障害にならず、大きな進退力、又は捻り力を挿入部10に与えることができればローラ対32,33に設けられる部材は、限定はされない。
【0030】
図13に示すようにローラ32a、ローラ32bは、それぞれ支持部材44によって支持されている。この支持部材44には、付勢部材である例えばバネ43が設けられている。このバネ43は、挿入部保持装置本体30に取り付けられている。バネ43は、支持部材44を付勢する。これによりローラ32aと、ローラ32bは、バネ43によって生じる付勢力によって挿入部10を挟持する。なおバネ43は他図では簡略化のために図示を省略している。
【0031】
ローラ32a,33aの回転量は、挿入部10に直接加えられる操作量に応じて異なる。そのため回転量センサ41,42は、ローラ32a,33aの回転量から挿入部10に直接加えられる操作量を検出する。このように回転量センサ41,42は、ローラ32a,33aを介して間接的に挿入部10に接触して操作量を検出する。
次に図14を参照して本実施形態の制御機構について説明する。
制御ユニット50には、制御コントローラ51と、入出力ボード52、第1のアンプ53、エンコーダ54が設けられている。
【0032】
制御コントローラ51は、入出力ボード52、第1のアンプ53を介して保持機構対301,302のモータ37の駆動を制御する。
【0033】
入出力ボード52には、挿入部10が進退移動した際に、回転量センサ41によって検出されたローラ対32の回転量と、挿入部10が捻られた際に、回転量センサ42によって検出されたローラ対33の回転量と、保持機構対301,302のモータ37が回転した際に、保持機構対301,302のエンコーダ54によって検出された保持機構対301,302のモータ37の回転量(エンコーダ値)と、保持機構対301,302の力センサ39によって検出された摩擦付勢部材38による付勢力と、保持機構対301,302の力センサ39によって検出された挿入部10の挿入力と抜去力と捻り力が入力される。入出力ボード52に入力されたこれら回転量、付勢力、挿入力、抜去力、捻り力は、制御コントローラ51に入力される。
【0034】
なお制御コントローラ51は、上述したようにローラ対32の回転量から挿入部10の進退量と、ローラ対33の回転量から挿入部10の捻れ量を算出する。
【0035】
制御コントローラ51は、保持機構対301,302のモータ37のエンコーダ値を参照しながら矢印にて示す保持機構対301,302の摩擦付勢部材38に付勢力が一定になるように入出力ボード52を介して保持機構対301,302の第1のアンプ53によって回転信号を増減幅させて、上述したように保持機構対301,302のモータ37の駆動を制御する。これにより挿入部10が保持機構対301,302によって一定の付勢力で把持されることで、挿入部10は動きを規制され、保持される。なお矢印にてしめす付勢力は、上述したように保持機構対301,302の力センサ39によって検出され、制御コントローラ51に入力される。
【0036】
また制御コントローラ51には、判別部55(詳細については後述する)、所定の範囲である第1の設定値α、第2の設定値βを予め設定する設定部56が設けられている。第1の設定値α、第2の設定値βは、任意に設定可能である。
【0037】
次に図15A、図15B、図15C、図15Dを参照して患者に挿入部を挿入させる際の挿入部保持装置本体の動作について説明する。
上述したように回動部34が回動し、接点35が接地部36から離れた際に、挿入部保持装置本体30は、開口するために上方より挿入部10がローラ33aに載置される。これにより挿入部10は、保持機構対301,302に挟まれて保持され、ローラ対32に挟まれる。また回動部34が回動し、接点35が接地部36に接地すると、挿入部10は、さらにローラ対33に挟まれる。その際、制御コントローラ51は、保持動作を制御する。つまり制御コントローラ51は、上述したように付勢力が一定になるように保持機構対301,302のモータ37を駆動させ、保持機構対301,302の摩擦付勢部材38を挿入部10に付勢(締め付け)させる。これにより制御コントローラ51は、保持機構対301,302に挿入部10を保持させる(挿入部10は、一定の付勢力によって挿入部保持装置本体30に保持される)。
【0038】
この状態で図15Aに示すように術者2が、挿入部10を患者3に挿入させると、保持機構対301と挿入部10の間には挿入力が生じる。保持機構対301の力センサ39は、この挿入力を検出する。検出された挿入力は、入出力ボード52を介して制御コントローラ51に出力される。またこの状態において、保持機構対302と挿入部10の間には挿入力が生じない。よって制御コントローラ51は、術者2によって挿入部10が患者3に挿入されていると判別する(挿入部10への力が加えられた側が術者2側からであると判別する)。挿入力が第1の設定値αに達するまでは、挿入部10は、保持機構対301,302の摩擦付勢部材38によって付勢されることで、把持され、動きは規制されている。
【0039】
術者2が、挿入部10を患者3にさらに挿入させることで、挿入力が設定部56によって予め設定された第1の設定値αを越えた場合、制御コントローラ51は、入出力ボード52、保持機構対301,302の第1のアンプ53を介して保持機構対301,302のモータ37を駆動させる。これにより制御コントローラ51は、図15Bに示すように保持機構対301,302の摩擦付勢部材38による挿入部10への付勢(締め付け)による把持をやめる。このように挿入部が操作される際に、制御コントローラ51は、力センサ39によって検出された挿入力に基づいて保持機構対301,302を挿入部10の動きを規制する保持状態から挿入部10の動きを自由にした状態(非保持状態)に切り換える。保持機構対301,302に対する挿入部10の状態は、保持状態から非保持状態に切り換わっているため、術者2が、挿入部10を患者3にさらに挿入させると、挿入部10が患者3に向かって容易に進む。
【0040】
このとき、ローラ対32は、挿入部10との摩擦により回転する。回転しているローラ32aの同軸に設けられている回転量センサ41は、ローラ32aの回転量を入出力ボード52を介して制御コントローラ51に出力する。この回転量とは、上述したように例えば回転速度、回転角度、角加速度である。判別部55は、この回転量を検出することで、挿入部10の進退状態を判別することができる。詳細には、図15Bに示すように本実施形態ではローラ32aが時計回り、ローラ32bが反時計回りに回った際には、挿入部10が挿入されている(以下、挿入部10が挿入される際にローラ32a,32bが回転する方向を正回転とする)と判別部55は、判別する。また本実施形態ではローラ32aが反時計回り、ローラ32bが時計回りに回った際には、挿入部10が抜去されている(以下、挿入部10が抜去される際にローラ32a,32bが回転する方向を負回転とする)と判別部55は、判別する。これにより上述したように制御コントローラ51は、回転量から挿入部10の進退量を算出することも可能である。またローラ32aの回転量(例えば回転速度θ)が、第2の設定値βを超えている場合、上述したように保持機構対301,302の摩擦付勢部材38による挿入部10への付勢(締め付け)状態は、挿入部10の動きを自由にした状態を維持している。つまり保持機構対301,302に対する挿入部10の状態は、非保持状態である。
【0041】
術者2が、患者3に対する挿入部10の挿入を止める(挿入力が0になる)と、図15Cに示すようにローラ32aの回転量(例えば回転速度θ)が、低下する。このローラ32aの回転量が第2の設定値βを下回ったと判別部55が判別した場合、判別結果を受けて制御コントローラ51は、挿入部10の挿入力が0になったとみなす。その際、制御コントローラ51は、保持動作を制御する。つまり制御コントローラ51は、入出力ボード52、保持機構対301,302の第1のアンプ53を介して保持機構対301,302のモータ37を駆動させて、保持機構対301,302の摩擦付勢部材38を挿入部10に付勢(締め付け)させる。よって保持機構対301,302に対する挿入部10の状態は、非保持状態から保持状態に切り換わる。このように挿入部が操作される際に、制御コントローラ51は、力センサ39によって検出された挿入力に基づいて非保持状態から保持状態に切り換える。
【0042】
図15Dに示すように図15Aと同様に挿入部10は、再び保持機構対301,302の摩擦付勢部材38によって付勢(締め付け)され、保持機構対301,302によって挟まれて保持される。これにより制御コントローラ51は、保持機構対301,302に挿入部10を保持させ、保持機構対301,302による挿入部10の保持状態が維持される。
【0043】
なお術者2が、挿入部10を患者3から抜去させる場合、挿入時と同様に、図16に示すように保持機構対301と挿入部10の間には抜去力が生じる。力センサ39は、この抜去力を検出する。検出された抜去力は、入出力ボード52を介して制御コントローラ51に出力される。またこの状態において、保持機構対302と挿入部10の間には抜去力が生じない、もしくは保持機構対301に働く力に比べて非常に小さい値である。よって制御コントローラ51は、術者2によって挿入部10が患者3に抜去されていると判別する(挿入部10への力が加えられた側が術者2側からであると判別する)。この場合も挿入する時と同様に抜去力が第1の設定値αに達するまでは、保持機構対301,302の摩擦付勢部材38によって挿入部10は、付勢されている。
【0044】
術者2が、挿入部10を患者3からさらに抜去させることで抜去力が第1の設定値αを越えた場合、制御コントローラ51は、入出力ボード52、保持機構対301,302の第1のアンプ53を介して保持機構対301,302のモータ37を駆動させる。これにより制御コントローラ51は、図15Bに示すように保持機構対301,302の摩擦付勢部材38による挿入部10への付勢(締め付け)を開放する。このように挿入部が操作される際に、制御コントローラ51は、力センサ39によって検出された抜去力に基づいて保持状態から非保持状態に切り換える。保持機構対301,302に対する挿入部10の状態は、保持状態から非保持状態に切り換わっているため、術者2は、挿入部10を患者3にさらに抜去させると、挿入部10が患者3から容易に抜き出される。
【0045】
術者2が、患者3に対する挿入部10の抜去を止めた後の動作は、上述した術者2が、患者3に対する挿入部10の挿入を止めた後の動作と同一のためここでは省略する。
【0046】
また図17に示すように、術者2にとって患者3から挿入方向に予期せぬ外力が生じた場合、保持機構対302と挿入部10の間には挿入力が生じる。保持機構対302の力センサ39は、この挿入力を検出する。検出された挿入力は、入出力ボード52を介して制御コントローラ51に出力される。またこの状態において、保持機構対301と挿入部10の間には挿入力が生じない。よって制御コントローラ51は、患者3から挿入方向に予期せぬ外力が生じたと判別する(挿入部10への力が加えられた側が患者3側からであると判別する)。そのため制御コントローラ51は、保持機構対301,302に挿入部10を保持させ、保持機構対301,302による挿入部10の保持状態が維持される。このように保持機構対302の力センサ39が、力が加えられる側を検出し、患者3側からであることを検出した際に、制御コントローラ51は、保持状態に切り換えて保持機構対301,302を制御する。これにより挿入部保持装置1は、術者2にとって挿入方向に予期せぬ外力が生じても挿入部10が移動してしまうことを操作性を損なうことなく防止する。
【0047】
また図18に示すように術者2にとって患者3から抜去方向に予期せぬ外力が生じた場合、保持機構対302と挿入部10の間には抜去力が生じる。保持機構対302の力センサ39は、この抜去力を検出する。検出された抜去力は、入出力ボード52を介して制御コントローラ51に出力される。またこの状態において、保持機構対301と挿入部10の間には抜去力が生じない。よって制御コントローラ51は、患者3から抜去方向に予期せぬ外力が生じたと判別する(挿入部10への力が加えられた側が患者3側からであると判別する)。そのため制御コントローラ51は、保持機構対301,302に挿入部10を保持させ、保持機構対301,302による挿入部10の保持状態が維持される。このように保持機構対302の力センサ39が、患者3側から抜去力を検出した際に、制御コントローラ51は、保持状態に切り換えて保持機構対301,302を制御する。これにより挿入部保持装置1は、術者2にとって抜去方向に予期せぬ外力が生じても挿入部10が移動してしまうことを操作性を損なうことなく防止する。
【0048】
また図示はしないが術者2にとって患者3から捻れ方向(詳細については図20にて後述する)に予期せぬ外力が生じた場合、保持機構対302と挿入部10の間には捻り力が生じる。保持機構対302の力センサ39は、この捻り力を検出する。検出された捻り力は、入出力ボード52を介して制御コントローラ51に出力される。またこの状態において、保持機構対301と挿入部10の間には捻り力が生じない。よって制御コントローラ51は、患者3から捻れ方向に予期せぬ外力が生じたと判別する(挿入部10への力が加えられた側が患者3側からであると判別する)。そのため制御コントローラ51は、保持機構対301,302に挿入部10を保持させ、保持機構対301,302による挿入部10の保持状態が維持される。このように保持機構対302の力センサ39が、患者3側から捻れ力を検出した際に、制御コントローラ51は、保持状態に切り換えて保持機構対301,302を制御する。これにより挿入部保持装置1は、術者2にとって捻れ方向に予期せぬ外力が生じても挿入部10が移動してしまうことを操作性を損なうことなく防止する。
【0049】
次に患者に挿入部を挿入させる際の挿入部保持装置本体の動作について図19に示すフローチャートを参照して説明する。
術者2が、挿入部10を患者3に挿入させると、保持機構対301と挿入部10の間には挿入力が生じる。保持機構対301の力センサ39は、この挿入力を検出する。検出された挿入力は、入出力ボード52を介して制御コントローラ51に出力される。
【0050】
判別部55は、挿入力が第1の設定値αを越えたか否かを判別する(Step1)。挿入力が第1の設定値αを越えていると、判別部55が判別した場合(Step1:Yes)、制御コントローラ51は、入出力ボード52、保持機構対301,302の第1のアンプ53を介して保持機構対301,302のモータ37を駆動させる。これにより保持機構対301,302の摩擦付勢部材38による挿入部10への付勢(締め付け)が開放され、保持機構対301,302による挿入部10の保持状態が開放される(Step2)。保持機構対301,302に対する挿入部10の状態は、保持状態から非保持状態に切り換わる。このように挿入部が操作される際に、制御コントローラ51は、力センサ39によって検出された挿入力に基づいて保持状態から非保持状態に切り換える。この状態において、上述したようにローラ対32は、挿入部10との摩擦により回転する。回転量センサ41は、ローラ32aの回転量(例えば回転速度θ)を入出力ボード52を介して制御コントローラ51に出力する。その際、判別部55は、回転量が第2の設定値βを越えたか否かを判別する(Step3)。この回転量が第2の設定値βを越えていると、判別部55が判別した場合(Step3:Yes)、挿入部10が挿入されているとみなし、Step2に戻り、保持機構対301,302の摩擦付勢部材38による挿入部10への開放状態が維持される(保持機構対301,302は、挿入部10に対して非保持状態を維持する)。回転量が第2の設定値βを低下していると、判別部55が判別した場合(Step3:No)、制御コントローラ51は、術者2が患者3に対して挿入部10の挿入をとめた(挿入力が0になった)とみなす。その際、制御コントローラ51は、保持動作を制御する。つまり制御コントローラ51は、入出力ボード52、保持機構対301,302の第1のアンプ53を介して保持機構対301,302のモータ37を駆動させ、保持機構対301,302の摩擦付勢部材38を挿入部10に付勢(締め付け)させる。これにより制御コントローラ51は、保持機構対301,302に挿入部10を保持させ、保持機構対301,302による挿入部10の保持状態が維持される(Step4)。保持機構対301,302に対する挿入部10の状態は、非保持状態から保持状態に切り換わる。このように挿入部が操作される際に、制御コントローラ51は、力センサ39によって検出された挿入力に基づいて非保持状態から保持状態に切り換える。これにより動作を終了する。なお挿入力が第1の設定値αを低下していると、判別部55が判別した場合(Step1:No)、Step4に進む。
【0051】
なお患者3から挿入部10を抜去させる際の挿入部保持装置本体30の動作についてのフローチャートは、図19における挿入力が抜去力に代わっているのみのため省略する。
【0052】
次に図20A、図20B、図20Cを参照して挿入部を捻る際の挿入部保持装置本体の動作について説明する。
挿入部10が、挿入部保持装置本体30に、保持されるまでの動作は上述したため省略する。
この状態で図20Aに示すように術者2が、挿入部10を捻ると、保持機構対301と挿入部10の間には捻り力が生じる。力センサ39は、この捻り力を検出する。検出された捻り力は、入出力ボード52を介して制御コントローラ51に出力される。
【0053】
術者2が、挿入部10をさらに捻ることで捻り力が第1の設定値αを越えた場合、制御コントローラ51は、入出力ボード52、保持機構対301,302の第1のアンプ53を介して保持機構対301,302のモータ37を駆動させる。これにより図20Bに示すように保持機構対301,302の摩擦付勢部材38による挿入部10への付勢(締め付け)が開放され、保持機構対301,302による挿入部10の保持状態が開放される。このように挿入部が操作される際に、制御コントローラ51は、力センサ39によって検出された捻り力に基づいて保持状態から非保持状態に切り換える。この状態において術者2は、挿入部10を容易に捻ることが可能である。
【0054】
このとき、ローラ対33は、挿入部10との摩擦により回転する。回転しているローラ33aの同軸に設けられている回転量センサ42は、ローラ33aの回転量を入出力ボード52を介して制御コントローラ51に出力する。この回転量とは、例えば回転速度、回転角度、角加速度である。判別部55は、この回転量を検出することで、挿入部10の捻れ方向(図20Aにおける時計回りか反時計回りか)を判別することができる。詳細には、ローラ33aが反時計回りに回った際には、挿入部10が時計回りに捻られていると判別部55は判別する。ローラ33aが時計回りに回った際には、挿入部10が反時計回りに捻られていると判別部55は判別する。またローラ33aの回転量(例えば回転速度θ)が、第2の設定値βを超えている場合、上述したように保持機構対301,302の摩擦付勢部材38による挿入部10への付勢(締め付け)状態は、開放した状態を維持している。
【0055】
術者2が、挿入部10の捻れを止めると、ローラ33aの回転量(例えば回転速度θ)が、低下する。このローラ33aの回転量が第2の設定値βを下回ったと判別部55が判別した場合、制御コントローラ51は、術者2が挿入部10の捻じりを止めた(挿入部10の捻り力が0になった)とみなす。その際、制御コントローラ51は、上述したように挿入時と同様に保持動作を制御する。つまり制御コントローラ51は、入出力ボード52、保持機構対301,302の第1のアンプ53を介して保持機構対301,302のモータ37を駆動させ、保持機構対301,302の摩擦付勢部材38を挿入部10に付勢(締め付け)させる。これにより制御コントローラ51は、図20Cに示すように保持機構対301,302に挿入部10を保持させ、保持機構対301,302による挿入部10の保持状態が維持される。このように挿入部が操作される際に、制御コントローラ51は、力センサ39によって検出された捻り力に基づいて非保持状態から保持状態に切り換える。なお捻り力が第1の設定値αを低下していると、判別部55が判別した場合、保持機構対301,302による挿入部10の保持状態が維持される。
【0056】
なお挿入部10を捻る際の挿入部保持装置本体30の動作についてのフローチャートは、図19における挿入力が捻り力に代わっているのみのため省略する。
このように本実施形態は、挿入部10を進退、または捻る際に、挿入力、抜去力、捻り力が第1の設定値αを越えたか否かを判別し、超えていた場合に保持機構対301,302による保持状態を非保持状態に切り換えて開放させる。超えていない場合には制御コントローラ51は、保持動作を制御することで、保持機構対301,302により保持させて、保持状態を維持し、挿入部10の動きを固定させている。保持状態において、本実施形態は、挿入部10に作用する例えば患者3の突発的な動きや、偶発的に生じた不可抗力といった術者2にとって予期せぬ外力を検出する。その際、本実施形態は、保持状態を維持することができる。これにより本実施形態は、外力によって挿入部10が移動してしまうことを操作性を損なうことなく防止することができる。
【0057】
また本実施形態において、挿入部10を進退、または捻っている際に、挿入力、抜去力、捻り力が第2の設定値βよりも低下した場合、本実施形態は、保持機構対301,302に対する挿入部10の状態を、非保持状態から保持状態に切り換える。これにより本実施形態は、自動的に挿入部10が動かないように固定されている。よって例えば術者2が挿入、抜去、捻れを終えた後に、上述したように予期しない外力によって挿入部10が移動してしまうことを防止することができる。
【0058】
また本実施形態は、挿入部保持装置本体30を枕5に配置することで、挿入部10を患者3に挿入する際の挿入口である例えば口から枕5までの高さと挿入部保持装置本体30を挿通した挿入部10と枕5までの高さを略同一高さにすることができる。これにより術者2は、挿入部10をスムーズに管腔内に挿入することができる。
【0059】
なお本実施形態において、図21に示すように摩擦付勢部材38は、挿入部保持装置本体30から着脱可能である。例えば術者2が患者3の体内から挿入部10を抜去させた際に、挿入部10には、患者3の体液や粘液が付着していることがある。そのため挿入部10を介してこの体液や粘液が摩擦付勢部材38に付着することがある。そのため、本実施形態では摩擦付勢部材38を着脱可能とすることで、術者2は体液や粘液が付着する部分のみを取り外して洗浄することができる。これにより本実施形態は、クリーンな摩擦付勢部材38を再利用することができる。またネジ部40には、防水部材45が設けられている。防水部材45は、摩擦付勢部材38を洗浄した際に水滴等がモータ37、支持部材49に付着することを防止する。また摩擦付勢部材38は、洗浄せずに使い捨てにしても良い。
【0060】
また同様の理由により図22に示すようにローラ32aも挿入部保持装置本体30から着脱可能である。また防水部材45が回転量センサ41の軸部46に設けられている。防水部材45は、洗浄した際に水滴等が回転量センサ41、支持部材44に付着することを防止する。
【0061】
また図示はしないがローラ33aも挿入部保持装置本体30から着脱可能である。また防水部材45が回転量センサ42の軸部に設けられている。防水部材45は、洗浄した際に水滴等が回転量センサ42、支持部材47に付着することを防止する。
【0062】
また本実施形態は、ローラ32b、ローラ33bも挿入部保持装置本体30から着脱可能とすることで、取り外した際に例えば洗浄すること、又は未使用のものと交換することができ、洗浄したクリーンなローラ対32,33を使用することができる。
【0063】
なお本実施形態において挿入部10に直接接触する摩擦付勢部材38、ローラ対32,33のみを挿入部保持装置本体30から着脱可能としたがその他の挿入部10に接触する接触部を、着脱可能にする構成にしても構わない。
【0064】
次に図23乃至図26を参照して本発明に関わる第2の実施形態について詳細に説明する。前述した第1の実施形態と同一部位については同符合を付し、その詳細な説明は省略する。
図23は、本実施形態の特徴部を示す図であり、挿入部保持装置本体の内部の配置関係を示す(挿入部、ローラ対、回転量センサ、保持機構対、モータの位置関係を示す)概略斜視図である。図24は、本実施形態の制御機構を概略的に示した制御図である。図25A乃至図25Cは、患者に挿入部を挿入させる際の挿入部保持装置本体の動作を示す図である。図26は、患者に挿入部を挿入させる、または挿入部を抜去させる際の挿入部保持装置本体の動作を示すフローチャートである。
【0065】
本実施形態における挿入部保持装置本体30以外の構成は、上述した第1の実施形態と同様であるためにその詳細な説明については省略する。
【0066】
図23に示すようにローラ対32は、X軸方向において保持機構対301と保持機構対302の間に配置されている。またローラ対32において、ローラ32aを回転させる駆動部であるモータ60が設けられている。このモータ60は、挿入部10が進退する際に、ローラ32aを回転させることで挿入部10の進退動作を補助する補助部でもある。ローラ32a、モータ60、回転量センサ41は、同軸上に配置されている。なおモータ60は、ローラ32bを回転させても良い。つまりモータ60は、ローラ32a,32bの少なくとも一方を回転させればよい。
【0067】
またローラ対33にも同様にローラ33aを回転させる駆動部であるモータ61が設けられている。このモータ61は、挿入部10が捻れる際に、ローラ33aを回転させることで挿入部10の捻り動作を補助する補助部でもある。ローラ33a、モータ61、回転量センサ42は、同軸上に配置されている。なおモータ61は、ローラ33bを回転させても良い。つまりモータ61は、ローラ33a,33bの少なくとも一方を回転させればよい。
【0068】
次に図24を参照して本実施形態の制御機構について説明する。
本実施形態の制御機構の構成には、前述した第1の実施形態の制御機構の構成に第2のアンプ57と、第3のアンプ58が加えられている。
【0069】
本実施形態の制御コントローラ51は、入出力ボード52、保持機構対301,302の第1のアンプ53を介して保持機構対301,302のモータ37の駆動を制御する。同様に入出力ボード52、第2のアンプ57を介してモータ60の駆動を制御する。同様に入出力ボード52、第3のアンプ58を介してモータ61の駆動を制御する。
【0070】
入出力ボード52には、挿入部10が進退移動した際に、回転量センサ41によって検出されたローラ対32の回転量と、挿入部10が捻られた際に、回転量センサ42によって検出されたローラ対33の回転量と、モータ37が回転した際に、保持機構対301,302のエンコーダ54によって検出された保持機構対301,302のモータ37の回転量(エンコーダ値)と、保持機構対301,302の力センサ39によって検出された保持機構対301,302の摩擦付勢部材38による付勢力と、保持機構対301,302の力センサ39によって検出された挿入部10の挿入力と抜去力と捻り力が入力される。入出力ボード52に入力されたこれら回転量、付勢力、挿入力、抜去力、捻り力は、制御コントローラ51に入力される。
【0071】
なお制御コントローラ51は、ローラ対32の回転量から挿入部10の進退量と、ローラ対33の回転量から挿入部10の捻れ量を算出することも可能である。
【0072】
制御コントローラ51は、保持機構対301,302のモータ37のエンコーダ値を参照しながら矢印にて示す付勢力が一定になるように入出力ボード52を介して保持機構対301,302の第1のアンプ53によって回転信号を増減幅させて、上述したようにモータ37の駆動を制御する。これにより一定の付勢力によって挿入部10が保持機構対301,302によって保持される。なお矢印にてしめす付勢力は、上述したように力センサ39によって検出され、制御コントローラ51に入力される。また制御コントローラ51は、入出力ボード52から入力されたこれら回転量、付勢力、挿入力、抜去力、捻り力に基づいて入出力ボード52を介して第2のアンプ57によって回転信号を増減幅させて、モータ60の駆動を制御する。これにより挿入部10は、モータ60によって進退動作を補助される。同様に制御コントローラ51は、第3のアンプ58によって回転信号を増減幅させて、モータ61の駆動を制御する。これにより挿入部10は、モータ61によって捻り動作を補助される。
【0073】
次に図25A乃至図25Cを参照して患者に挿入部を挿入させる際の挿入部保持装置本体の動作について説明する。
挿入部10が、挿入部保持装置本体30に、保持されるまでの動作は上述した第1の実施形態と同様であるため省略する。
【0074】
この状態で図25Aに示すように術者2が、挿入部10を患者3に挿入させると、保持機構対301と挿入部10の間には挿入力が生じる。保持機構対301の力センサ39は、この挿入力を検出する。検出された挿入力は、入出力ボード52を介して制御コントローラ51に出力される。またこの状態において、保持機構対302と挿入部10の間には挿入力がほとんど生じない。挿入力が第1の設定値αに達するまでは、保持機構対301,302の摩擦付勢部材38によって挿入部10は、付勢されている。
【0075】
術者2が、挿入部10を患者3にさらに挿入させることで挿入力が第1の設定値αを越えた場合、制御コントローラ51は、入出力ボード52、保持機構対301,302の第1のアンプ53を介して保持機構対301,302のモータ37を駆動させる。これにより制御コントローラ51は、図25Bに示すように保持機構対301,302の摩擦付勢部材38による挿入部10への付勢(締め付け)を開放する。保持機構対301,302に対する挿入部10の状態は、保持状態から非保持状態に切り換わっているため、術者2が、挿入部10を患者3にさらに挿入させると、挿入部10が患者3に向かって容易に進む。
【0076】
なお保持機構対301と挿入部10の間に生じる挿入力が保持機構対302と挿入部10の間に生じる挿入力よりも大きい場合に、保持機構対301,302に対する挿入部10の状態が、保持状態から非保持状態に切り換わってもよい。
【0077】
非保持状態において、術者2が挿入部10を挿入させる際に、ローラ対32は、挿入部10との摩擦により回転する。回転しているローラ32aの同軸に設けられている回転量センサ41は、ローラ32aの回転量を入出力ボード52を介して制御コントローラ51に出力する。この回転量とは、例えば回転速度、回転角度、角加速度である。判別部55は、この回転量を検出することで、挿入部10の進退状態を判別することができる。詳細には、ローラ対32が正回転している場合、挿入部10が挿入されていると、判別部55は、判別する。ローラ対32が負回転している場合、挿入部10が抜去されていると、判別部55は、判別する。
【0078】
その際、制御コントローラ51は、挿入動作または抜去動作に対する補助動作を制御する。挿入部10が挿入されることでローラ32aが回転している際に、ローラ32aの回転量(例えば回転速度θ)が、予め設定部56に設定された一定値θ1と常に同一になるように、制御コントローラ51は、入出力ボード52を介して第2のアンプ57に指示を出力する。第2のアンプ57は、回転速度θを一定値θ1と同一にさせるようにモータ60を駆動させる。このように制御コントローラ51は、挿入部10の挿入動作、または抜去動作をモータ60によって補助する。なお本実施形態は、第2のアンプ57をトルク制御用アンプとすることで、制御コントローラ51にて指示したトルクにてモータ60を駆動させることができる。
【0079】
なお制御コントローラ51は、上述したように捻り動作に対する補助動作も制御する。制御コントローラ51は、挿入部10の捻り動作をモータ61によって補助する。
【0080】
なお術者2が、患者3に対する挿入部10の挿入を止めても(挿入力が0の状態)、ローラ32aの回転量(例えば回転速度θ)が上述した一定値θ1になるように制御コントローラ51がモータ60に与えるトルクをトルクT0とする。このトルクT0は、任意に設定可能である。制御コントローラ51は、このトルクT0を常に記憶している。また術者2が、患者3に対して挿入部10を挿入させる(挿入力が加わる)と、このトルクT0に挿入力が加わる。その際、トルクT0と挿入力の和によって、ローラ32aの回転量(例えば回転速度θ)が上述した一定値θ1になるように、制御コントローラ51は、トルクT0からトルクTに落とす必要がある。挿入力が大きいほどトルクTは小さくて済む。これにより判別部55は、トルクTがトルクT0よりも小さいか否かを判別することで、術者2が挿入部10を挿入させている状態が維持されているか否かを判別する。
【0081】
またトルクTが大きくなりトルクT0と略同一になると、術者2が、患者3に対する挿入部10の挿入を止めた(挿入力が0のなる)と、判別部55は判別する。この場合、図25Cに示すように制御コントローラ51は、入出力ボード52を介してモータ60の駆動を停止させてローラ32aの回転を停止させる。また制御コントローラ51は、入出力ボード52を介して保持機構対301,302のモータ37を駆動させる。これにより保持機構対301,302に対する挿入部10の状態は、非保持状態から保持状態に切り換わる。挿入部10は、再び保持機構対301,302の摩擦付勢部材38によって付勢(締め付け)され、保持機構対301,302によって挟まれて保持される。これにより保持機構対301,302による挿入部10の保持状態が維持される。
【0082】
なお術者2が、挿入部10を患者3から抜去させる際の挿入部保持装置本体30の動作は、図25A乃至図25Cにおける挿入力が抜去力に代わっているのみのため省略する。
【0083】
また術者2が、挿入部10を捻る際の挿入部保持装置本体30の動作は、図25A乃至図25Cにおける挿入力が捻り力に代わっているのみのため省略する。
【0084】
次に患者に挿入部を挿入させる、または患者から挿入部を抜去させる際の挿入部保持装置本体30の動作について図26に示すフローチャートを参照して説明する。
術者2が、挿入部10を患者3に挿入させると、保持機構対301と挿入部10の間には挿入力が生じる。保持機構対301の力センサ39は、この挿入力を検出する。検出された挿入力は、入出力ボード52を介して制御コントローラ51に出力される。また術者2が、挿入部10を患者3から抜去させると、保持機構対301と挿入部10の間には抜去力が生じる。保持機構対301の力センサ39は、この抜去力を検出する。検出された抜去力は、入出力ボード52を介して制御コントローラ51に出力される。
【0085】
判別部55は、挿入力、または抜去力が第1の設定値αを越えたか否かを判別する(Step11)。なおStep11において判別部55は、上述したように保持機構対301と挿入部10の間に生じる挿入力、または抜去力が保持機構対302と挿入部10の間に生じる挿入力、または抜去力よりも大きいか否かを判別しても良い。挿入力、または抜去力が第1の設定値αを越えていると、判別部55が判別した場合(Step11:Yes)、制御コントローラ51は、入出力ボード52、保持機構対301,302の第1のアンプ53を介して保持機構対301,302のモータ37を駆動させる。これにより保持機構対301,302の摩擦付勢部材38による挿入部10への付勢(締め付け)が開放され、保持機構対301,302による挿入部10の保持状態が開放される(Step12)。これにより保持機構対301,302に対する挿入部10の状態は、保持状態から非保持状態に切り換わる。この状態において、上述したようにローラ対32は、挿入部10との摩擦により回転する。回転しているローラ32aの同軸に設けられている回転量センサ41は、ローラ32aの回転量を入出力ボード52を介して制御コントローラ51に出力する。その際、判別部55は、回転量からローラ32aが正回転しているか否かを判別する(Step13)。ローラ32aが正回転していると、判別部55が判別すれば(Step13:Yes)、挿入部10が挿入されているとみなす。その際、上述したように制御コントローラ51は、モータ60によって挿入部10の挿入動作を補助する(Step14)。ローラ32aが正回転していると、判別部55が判別しなければ(Step13:No)、制御コントローラ51は、ローラ32aが負回転しているとみなし、挿入部10が抜去されているとみなす。その際、上述したように制御コントローラ51は、モータ60によって挿入部10の抜去動作を補助する(Step15)。
【0086】
次に判別部55は、トルクTがトルクT0より小さいか否かを判別する(Step16)。トルクTがトルクT0より小さいと、判別部55が判別した場合、Step12に戻り、保持機構対301,302の摩擦付勢部材38による挿入部10への開放状態が維持される(保持機構対301,302は、挿入部10に対して非保持状態を維持する)。トルクTがトルクT0と略同一であると、判別部55が判別した場合(Step16:No)、制御コントローラ51は、挿入力または抜去力が0になったとみなす。この場合、制御コントローラ51は、入出力ボード52、第2のアンプ57を介してモータ60の駆動を停止させてローラ32aの回転を停止させる(Step17)。これにより制御コントローラ51は、挿入部10の挿入動作、または抜去動作の補助を終了する。
【0087】
また第1の実施形態と同様に制御コントローラ51は、保持動作を制御する。つまり制御コントローラ51は、入出力ボード52、保持機構対301,302の第1のアンプ53を介して保持機構対301,302のモータ37を駆動させ、保持機構対301,302の摩擦付勢部材38を挿入部10に付勢(締め付け)させる。これにより保持機構対301,302に対する挿入部10の状態は、非保持状態から保持状態に切り換わる。制御コントローラ51は、保持機構対301,302に挿入部10を保持させ、保持機構対301,302による挿入部10の保持状態が維持される(Step18)。これにより動作を終了する。なお挿入力、または抜去力が第1の設定値αを低下していると、判別部55が判別した場合(Step11:No)、Step18に進む。
【0088】
なお挿入部を捻る際の挿入部保持装置本体の動作についてのフローチャートは、図26における挿入力、抜去力が、捻り力に代わっているのみのため省略する。なおこの場合、回転量センサ42によって挿入部10の捻れ方向(時計回りに回転しているか半時計回りに回転しているか)が検出され、捻れ動作がモータ61によって補助される。またモータ61に与えられるトルクを上述と同様にトルクT0とする。上述したように判別部55は、トルクTがトルクT0よりも小さいか否かを判別することで、術者2が挿入部10を捻っているか否かを判別する。トルクTがトルクT0よりも小さい場合、上述したように制御コントローラ51は、保持機構対301,302に挿入部10を保持させ、保持機構対301,302による挿入部10の保持状態が維持される。
【0089】
このように本実施形態は、第1の実施形態と同様に挿入部10を進退、または捻る際に、挿入力、抜去力、捻り力が第1の設定値αを越えたか否かを判別し、超えていた場合に保持機構対301,302による保持状態を非保持状態に切り換えて開放させる。超えていない場合には制御コントローラ51は、保持動作を制御することで、保持機構対301,302により保持させて、保持状態を維持し、挿入部10の動きを固定させている。保持状態において本実施形態は、挿入部10に作用する例えば患者3の突発的な動きや、偶発的に生じた不可抗力といった術者2にとって進退方向及び捻り方向における予期せぬ外力を検出する。その際、本実施形態は、保持状態を維持することができる。これにより本実施形態は、外力によって挿入部10が移動してしまうことを操作性を損なうことなく防止することができる。
【0090】
また本実施形態における判別部55は、保持機構対301,302による付勢を開放させている際に(非保持状態において)、ローラ対32の回転方向から挿入部10の進退方向(挿入されているか、抜去されているかを)、ローラ対33の回転方向から捻りの回転方向を判別している。本実施形態は、この判別結果からモータ60,61を駆動させることで挿入部10の進退動作及び捻り動作を補助することができる。これにより術者2は、挿入部10を意図するように簡易に挿入、抜き出し、回転させることができる。
【0091】
次に図27、図28A乃至図28Dを参照して本発明に関わる第3の実施形態について詳細に説明する。
図27は、本実施形態における操作部の概略斜視図である。図28A乃至図28Dは、患者に挿入部を挿入させる際の挿入部保持装置本体の動作を示す図である。
前述した各実施形態と同一部位については同符合を付し、その詳細な説明は省略する。本実施形態における挿入部保持装置本体30、操作部70以外の構成は、上述した第1の実施形態と同様であるためにその詳細な説明については省略する。挿入部保持装置本体30の構成は、前述した第2の実施形態における構成と同様である。ただし、X軸方向におけるローラ対32、保持機構対301、保持機構対302配置位置関係は、第1の実施形態と同様である(ローラ対32は、第2の実施形態のようにX軸方向において保持機構対301と保持機構対302の間に配置されているのではなく、第1の実施形態と同様にX軸方向において保持機構対302よりも患者3に近接して配置されている)。本実施形態におけるローラ32aは、第2実施形態と同様に駆動部であるモータ60によって回転する駆動部である。またローラ対32は、挿入部10を保持する保持部を兼ねる。また操作部70には、第1の指示部である保持スイッチ71が設けられている。保持スイッチ71は、挿入部保持装置本体30とは別体で構成され、操作部70に一体的に構成されている。本実施形態において保持スイッチ71がOFFの際、ローラ対32,33が挿入部10の進退動作、捻り動作に対して受動的に回転し、非保持状態になる。ローラ対32,33は、挿入部10に対して進退、または捻りのガイドとして動作する(ガイドモード)。本実施形態において保持スイッチ71がONの際、ローラ対32,33は、挿入部10保持する保持状態となる。ローラ対32,33は、挿入部10に対して原点位置(詳細については後述する)を維持するように動作する(原点位置モード)。このように第1の指示部である保持スイッチ71は、操作部70を介して制御コントローラ51に保持状態(原点位置モード)と非保持状態(ガイドモード)との切り換えを指示する。保持スイッチ71のON、OFFは、入出力ボード52を介して制御コントローラ51に入力される。制御コントローラ51において、判別部55は、保持スイッチ71がONか否かを判別する。
【0092】
また本実施形態における制御機構は、前述した第2の実施形態と略同様であるために詳細な説明は省略する。
【0093】
次に図28A乃至図28Dを参照して患者に挿入部を挿入させる際の挿入部保持装置本体の動作について説明する。
保持スイッチ71がOFFの状態において、例えば前述した第1の実施形態におけるStep2において保持機構対301、保持機構対302が保持状態から非保持状態に切り換わった際に、図28Aに示すようにローラ対32は、挿入部10に対して受動的に回転する。回転するローラ対32は、ガイドモードに切り換わることで挿入部10の挿入に対するガイドとして作動する。なおローラ対32は、挿入部10が抜去する際にもガイドとして作動する。
【0094】
ガイドモードにおいて、挿入力が0になった場合、例えば前述した第1の実施形態と同様に、保持機構対301,302によって挿入部10の保持状態が維持される。
【0095】
次に例えば挿入力が生じない(例えば術者2が挿入部10を患者3に挿入しない)場合において、保持スイッチ71がONになると、制御コントローラ51は、ローラ対32の回転を停止させて、この状態を維持する。なおこの停止した位置を原点位置と称する。このようにローラ対32は、原点位置モードに切り換わることで保持スイッチ71がONになった際のローラ対32の回転位置を原点位置として、図28Bに示すように挿入部10を保持する。
【0096】
原点位置モードにおいて、制御コントローラ51には、回転量センサ41、入出力ボード52を介してローラ32aの回転量が入力される。制御コントローラ51は、この回転量を参照して原点位置を維持するように入出力ボード52、第2のアンプ57を介してモータ60を駆動させてローラ32aを制御する。詳細には、制御コントローラ51は、回転量を参照して第1の指令値を入出力ボード52、第2のアンプ57を介してモータ60に出力する。モータ60は、この第1の指令値に基づいてローラ32aを回転させる。患者側から外力が生じない場合、この第1の指令値によって生じるモータ60のトルクT1は、ほぼ0である。
【0097】
次に図28Bに示す状態において、例えば術者2にとって患者3から抜去方向に予期せぬ外力が生じて、図28Cに示すようにローラ対32が原点位置から微小角度Δθ回転した場合、回転量センサ41、入出力ボード52を介してローラ32aの回転量である微小角度Δθが制御コントローラ51に入力される。判別部55は、微小角度Δθから患者3から抜去方向に生じた外力か、患者3から挿入方向に生じた外力かを判別する。制御コントローラ51は、判別結果に基づいて原点位置を維持するために、再び入出力ボード52、第2のアンプ57を介してモータ60を駆動させてローラ32aを制御する。詳細には、図6Dに示すように制御コントローラ51は、微小角度Δθを参照して第1の指令値によって生じるモータ60のトルクT1よりも大きいトルクT2を生じさせる第2の指令値を入出力ボード52、第2のアンプ57を介してモータ60に出力する。このトルクT2は、T2=外力(F)/ローラ32aの半径(r)、より算出される。この第2の指令値には、上述した判別結果によってローラ32aを回転させる際の回転方向情報が含まれている。ローラ32aは、外力が抜去方向に生じた場合、原点位置を維持するために時計回りに回転し、外力が挿入方向に生じた場合、原点位置を維持するために反時計回りに回転する。モータ60は、このような第2の指令値に基づいてローラ32aを回転させる。これにより術者2にとって患者3から抜去方向に予期せぬ外力が生じても、挿入部保持装置本体30は、保持している挿入部10の原点位置を維持することができる。
【0098】
このように原点位置モードにおいて、回転量センサ41が、患者3側から外力を検出した際に、制御コントローラ51は、外力に対して逆向きで同じ大きさの力をローラ32aに与えて保持状態を維持する。これにより挿入部保持装置本体30は、保持機構対301,302が保持状態であっても挿入部10をより強固に保持することができる。
【0099】
なお第2の指令値及び第2の指令値によって生じるトルクT2は、回転量毎によってそれぞれ任意に設定される。
【0100】
また術者2にとって患者3から挿入方向、または捻り方向に予期せぬ外力が生じた際については、上述した図28A乃至図28Dにおいて説明した術者2にとって患者3から抜去方向に予期せぬ外力が生じた場合と同様であるために詳細な説明については省略する。
【0101】
このように本実施形態は、術者2にとって患者3から進退方向、または捻り方向に予期せぬ外力が生じた際に、ローラ対32,33に対する回転量を検出し、モータ60,61に対してトルクを発生させることで、挿入部10の原点位置を維持することができる。これにより本実施形態は、上述した第1、第2の実施形態と同様に術者2にとって患者3から予期せぬ外力によって挿入部10が移動してしまうことを操作性を損なうことなく防止することができる。
【0102】
また保持スイッチ71が、操作部70と一体的に構成され、挿入部保持装置本体30とは別体で構成されているために、保持状態と非保持状態の切り換え操作を容易に行うことができる。
【0103】
次に図29A、図29B、図29C、図30、図31を参照して本発明に関わる第4の実施形態について詳細に説明する。前述した各実施形態と同一部位については同符合を付し、その詳細な説明は省略する。
【0104】
図29Aは、本実施形態における操作部の概略斜視図である。図29Bは、本実施形態における操作部の概略側面図である。図29Bは、本実施形態における操作部の概略上面図である。図30は、保持スイッチ、抜去スイッチ、捻りスイッチがOFF、挿入スイッチがONの状態における挿入部、ローラ対、操作部、制御部の関係を示す図である。図31は、操作部を操作させる際の動作を示すフローチャートである。
【0105】
本実施形態における挿入部保持装置本体30、操作部70以外の構成は、上述した第1の実施形態と同様であるためにその詳細な説明については省略する。挿入部保持装置本体30の構成は、前述した第3の実施形態における構成と同様である。操作部70には、図29A、図29B、図29Cに示すように保持スイッチ71と、第2の指示部である進退スイッチ75が設けられている。進退スイッチ75には、挿入スイッチ72、抜去スイッチ73、捻りスイッチ74が設けられている。挿入スイッチ72、抜去スイッチ73、捻りスイッチ74は、保持スイッチ71と同様に挿入部保持装置本体30とは別体で構成され、操作部70に一体的に構成されている。本実施形態において保持スイッチ71がOFF、挿入スイッチ72がONの際、ローラ対32が挿入部10の挿入動作を補助する。本実施形態において保持スイッチ71がOFF、抜去スイッチ73がONの際、ローラ対32が挿入部10の抜去動作を補助する。本実施形態において保持スイッチ71がOFF、捻りスイッチ74がONの際、ローラ対33が挿入部10の捻り動作を補助する。なお例えば図29Bにおいて捻りスイッチ74が時計回りに回動する(捻りスイッチ74がON)と、図20A、図20B、図20Cに示すようにローラ対33が反時計回りに回る。これにより挿入部10が時計回りに捻られる捻り動作が補助される。図29Bにおいて捻りスイッチ74が反時計回りに回動する(捻りスイッチ74がON)と、ローラ33aが時計回りに回る。これにより挿入部10が反時計回りに捻られる捻り動作が補助される。また保持スイッチ71がOFFの際、挿入スイッチ72、抜去スイッチ73は、どちらか一方がONになり他方がOFFになる。なお本実施形態は挿入スイッチ72、抜去スイッチ73のどちらか一方がONの際、捻りスイッチ74をONにすることができる。これにより挿入動作、または抜去動作のどちらか一方を補助しつつ捻り動作を補助することができる。または保持スイッチ71がOFFの際、挿入スイッチ72、抜去スイッチ73、捻りスイッチ74がOFFになる(第3の実施形態におけるガイドモード)。また保持スイッチ71がONの際は、挿入スイッチ72、抜去スイッチ73、捻りスイッチ74がOFFになる(第3の実施形態における原点位置モード)。このように進退スイッチ75は、制御コントローラに挿入部10の挿入動作、抜去動作、または捻り動作の補助を指示する。保持スイッチ71、挿入スイッチ72、抜去スイッチ73、捻りスイッチ74のON、OFFは、入出力ボード52を介して制御コントローラ51に入力される。制御コントローラ51において、判別部55は、保持スイッチ71、挿入スイッチ72、抜去スイッチ73、捻りスイッチ74がONか否かを判別する。
【0106】
本実施形態における保持スイッチ71による動作は、前述した第3の実施形態と同様であるために省略する。
【0107】
次に図30を参照して本実施形態における挿入スイッチ72による挿入補助動作について説明する。なお図30において捻り補助は行われないものとする。そのため図30には捻りスイッチ74は省略している。
保持スイッチ71がOFFの状態において、術者2が挿入スイッチ72をONにした場合、制御コントローラ51は、挿入動作に対する補助動作を制御する。その際、制御コントローラ51は、入出力ボード52、第2のアンプ57を介してモータ60を駆動させる。このときモータ60は、判別部55からの判別結果によって挿入部10の進退方向と同一方向にローラ32aを回転させる(この場合、ローラ32aは正回転する)。
【0108】
制御コントローラ51は、ローラ32aが正回転するようにモータ60に対してトルクを発生させる。このトルクは、ローラ32aの回転量(例えば一定の回転速度)が予め任意に設定された値を維持するように図示しない制御コントローラ51により制御される。このように制御コントローラ51はローラ対32を正回転させ、挿入部10の挿入動作を補助する。
【0109】
なおローラ32aの回転量は、回転量センサ41によって入出力ボード52を介して制御コントローラ51に出力される。その際、上述したように制御コントローラ51は、ローラ32aの回転量(例えば一定の回転速度)を予め任意に設定された値に維持する。そのため制御コントローラ51は、この回転量に基づいて入出力ボード52を介して第2のアンプ57における回転信号を増減幅させる。この回転信号は、モータ60を回転させる信号である。これによりローラ32aの回転量(例えば一定の回転速度)が予め任意に設定された値を維持するトルクがモータ60に発生する。ローラ32aには、常に同一の回転量(例えば一定の回転速度)が生じ、ローラ32aは正回転する。このように挿入部10は、挿入動作を補助される。
【0110】
次に術者2が挿入動作に対する補助動作を停止させる場合、挿入スイッチ72をOFFにする。その際、制御コントローラ51は、入出力ボード52、第2のアンプ57を介してモータ60の駆動を停止させる。これにより挿入補助動作が終了する。
【0111】
次に本実施形態における抜去スイッチ73による抜去補助動作について説明する。
保持スイッチ71がOFFの状態において、術者2が抜去スイッチ73をONにした場合、制御コントローラ51は、抜去動作に対する補助動作を制御する。その際、制御コントローラ51は、入出力ボード52、第2のアンプ57を介してモータ60を駆動させる。このときモータ60は、判別部55からの判別結果によって挿入部10の進退方向と同一方向にローラ32aを回転させる(この場合、ローラ32aは負回転する)。
【0112】
制御コントローラ51は、ローラ32aが負回転するようにモータ60に対してトルクを発生させる。このトルクは、ローラ32aの回転量(例えば一定の回転速度)が予め任意に設定された値を維持するように図示しない制御コントローラ51により制御される。このように制御コントローラ51はローラ対32を負回転させ、挿入部10の挿入動作を補助する。
【0113】
なおローラ32aの回転量は、回転量センサ41によって入出力ボード52を介して制御コントローラ51に出力される。その際、上述したように制御コントローラ51は、ローラ32aの回転量(例えば一定の回転速度)を予め任意に設定された値に維持する。そのため制御コントローラ51は、この回転量に基づいて入出力ボード52を介して第2のアンプ57における回転信号を増減幅させる。この回転信号は、モータ60を回転させる信号である。これによりローラ32aの回転量(例えば一定の回転速度)が予め任意に設定された値を維持するトルクがモータ60に発生する。ローラ32aには、常に同一の回転量(例えば一定の回転速度)が生じ、ローラ32aは負回転する。このように挿入部10は、抜去動作を補助される。
【0114】
次に術者2が抜去動作に対する補助動作を停止させる場合、抜去スイッチ73をOFFにする。その際、制御コントローラ51は、入出力ボード52、第2のアンプ57を介してモータ60の駆動を停止させる。これにより抜去補助動作が終了する。
【0115】
なお本実施形態における捻りスイッチ74による捻り補助動作は、上述した挿入動作、または抜去動作の際に行うことができる。また捻り補助動作は、単独で行うこともできる。
【0116】
保持スイッチ71がOFFの状態において、術者2が捻りスイッチ74をONにした場合、制御コントローラ51は、捻り動作に対する補助動作を制御する。その際、制御コントローラ51は、入出力ボード52、第3のアンプ58を介してモータ61を駆動させる。このときモータ61は、判別部55からの判別結果によって捻りスイッチ74の回転方向と逆方向にローラ33aを回転させる。
【0117】
制御コントローラ51は、ローラ33aが回転するようにモータ60に対してトルクを発生させる。このトルクは、ローラ33aの回転量(例えば一定の回転速度)が予め任意に設定された値を維持するように図示しない制御コントローラ51により制御される。このように制御コントローラ51はローラ対33を回転させ、挿入部10の捻り動作を補助する。
【0118】
なおローラ33aの回転量は、回転量センサ42によって入出力ボード52を介して制御コントローラ51に出力される。その際、上述したように制御コントローラ51は、ローラ33aの回転量(例えば一定の回転速度)を予め任意に設定された値に維持する。そのため制御コントローラ51は、この回転量に基づいて入出力ボード52を介して第3のアンプ58における回転信号を増減幅させる。この回転信号は、モータ61を回転させる信号である。これによりローラ33aの回転量(例えば一定の回転速度)が予め任意に設定された値を維持するトルクがモータ61に発生する。ローラ33aには、常に同一の回転量(例えば一定の回転速度)が生じ、ローラ33aは回転する。このように挿入部10は、捻り動作を補助される。
【0119】
捻り補助は、上述したように捻りスイッチ74が時計回りに回動すると、図20A、図20B、図20Cに示すようにローラ対33が反時計回りに回る。これにより挿入部10が時計回りに捻られる捻り動作が補助される。図29Bにおいて捻りスイッチ74が反時計回りに回動する(捻りスイッチ74がON)と、ローラ33aが時計回りに回る。これにより挿入部10が反時計回りに捻られる捻り動作が補助される。
【0120】
次に術者2が捻り動作に対する補助動作を停止させる場合、捻りスイッチ74をOFFにする。その際、制御コントローラ51は、入出力ボード52、第3のアンプ58を介してモータ61の駆動を停止させる。これにより抜去補助動作が終了する。
【0121】
次に図31を参照して本実施形態における操作部を操作させる際の動作について説明する。
判別部55は、保持スイッチ71がONか否かを判別する(Step21)。判別部55が、保持スイッチ71がONであると判別すれば(Step21:Yes)、上述した第3の実施形態のように、制御ユニット50は、原点位置を維持する原点位置モードに入る(Step22)。これにより挿入部10がローラ対32によってローラ対32の原点位置にて保持され、術者2が操作部70を操作する動作は、終了する。
【0122】
判別部55が、保持スイッチ71がONであると判別しなければ(Step21:No)、判別部55が、保持スイッチ71がOFFであると判別する。次に判別部55は、進退スイッチ75がONか否かを判別する(Step23)。なお進退スイッチ75がONとは、挿入スイッチ72、抜去スイッチ73と、捻りスイッチ74のいずれか1つのみがON、または挿入スイッチ72、抜去スイッチ73のどちらか一方と、捻りスイッチ74がONであることを示す。判別部55が、進退スイッチ75がONであると判別すれば(Step23:Yes)、制御ユニット50は、入出力ボード52、第2のアンプ57を介してモータ60を駆動させてローラ32aを制御し、挿入動作、または抜去動作に対する補助を行う。また制御ユニット50は、入出力ボード52、第3のアンプ58を介してモータ61を駆動させてローラ33aを制御し、捻り動作に対する補助を行う。つまり挿入動作、抜去動作、捻り動作のいずれか1つのみが補助される、または挿入動作、抜去動作のどちらか一方と捻り動作が補助される(Step24)。
【0123】
詳細には、挿入スイッチ72がONになれば、制御コントローラ51は、入出力ボード52、第2のアンプ57を介して一定のトルクをモータ60に発生させ、ローラ32aを一定の回転量(例えば一定の回転速度)にて正回転させる。これにより挿入部10は、ローラ対32によって挿入動作を補助される。挿入動作に対する補助は、挿入スイッチ72がONの状態である限り継続される。そのためStep23に戻る。また抜去スイッチ73がONになれば、制御コントローラ51は、入出力ボード52、第2のアンプ57を介して一定のトルクをモータ60に発生させ、ローラ32aを一定の回転量(例えば一定の回転速度)にて負回転させる。これにより挿入部10は、ローラ対32によって抜去動作を補助される。抜去動作に対する補助は、抜去スイッチ73がONの状態である限り継続される。そのためStep23に戻る。また捻りスイッチ74がONになれば、制御コントローラ51は、入出力ボード52、第3のアンプ58を介して一定のトルクをモータ61に発生させ、ローラ33aを一定の回転量(例えば一定の回転速度)にて回転させる。これにより挿入部10は、ローラ対33によって捻り動作を補助される。捻り動作に対する補助は、捻りスイッチ74がONの状態である限り継続される。そのためStep23に戻る。
【0124】
判別部55が、進退スイッチ75がONであると判別しなければ(Step23:No)、判別部55が、進退スイッチ75がOFFであると判別する。進退スイッチ75がOFFとは、挿入スイッチ72、抜去スイッチ73、捻りスイッチ74の両方がOFFであることを示す。この場合、判別部55は、挿入動作の補助、抜去動作の補助、捻り動作の補助を行わないと判別する。これにより制御コントローラ51は、入出力ボード52、第2のアンプ57を介して一定のトルクをモータ60に発生させることはない。また制御コントローラ51は、入出力ボード52、第3のアンプ58を介して一定のトルクをモータ61に発生させることはない。これによりローラ対32,33は、挿入部10に対して進退、または捻りのガイドとして動作する(ガイドモード(Step25))。ガイドモードにおいて、挿入力が0になった場合、例えば前述した第1、第3の実施形態と同様に、保持機構対301,302によって挿入部10の保持状態が維持される。これにより術者2が操作部70を操作する動作は、終了する。
【0125】
このように本実施形態は、前述した第3の実施形態と同様の効果を得ることができる。また本実施形態は、操作部70において進退スイッチ75をONにすることで挿入動作、抜去動作、捻り動作を補助することができる。
【0126】
また保持スイッチ71、挿入スイッチ72、抜去スイッチ73、捻りスイッチ74が、操作部70と一体的に構成され、挿入部保持装置本体30とは別体で構成されているために、保持状態と非保持状態の切り換え、及び挿入補助、抜去補助、捻り補助の操作を容易に行うことができる。
【0127】
なお本実施形態は、捻りスイッチ74において、例えば挿入部10が時計回りに捻られる際に、ローラ対33が挿入部10の捻り動作を補助する第1の捻りスイッチと、例えば挿入部10が反時計回りに捻られる際に、ローラ対33が挿入部10の捻り動作を補助する第2の捻りスイッチが設けられていてもよい。保持スイッチ71がOFFの状態において、術者が第1の捻りスイッチ、または第2の捻りスイッチをONにすることで、ローラ33aが回転し、挿入部10はローラ対33によって時計回り、または反時計回りの捻り動作を補助される。ローラ対33を回転させるモータ61に生じるトルクは、挿入動作に対する補助動作や抜去動作に対する補助動作と同様である。
【図面の簡単な説明】
【0128】
【図1】図1は、第1の実施形態における挿入部保持装置本体と患者の配置関係を示す概略図である。
【図2】図2は、挿入部保持装置を使用する際の概略斜視図である。
【図3】図3は、図2に示した挿入部保持装置の概略側面図である。
【図4】図4は、図2に示した挿入部保持装置の概略正面図である。
【図5】図5は、図4に示す回動部を回動させた際の挿入部保持装置本体の概略正面図である。
【図6】図6は、図4に示す回動部を回動させた際の挿入部保持装置本体の概略上面図である。
【図7】図7は、図4に示す挿入部保持装置本体に挿入部を挿入させた際の挿入部保持装置の概略上面図である(回動部は図示せず)。
【図8】図8は、保持機構の概略斜視図である。
【図9】図9は、図7に示す保持機構のA−A概略断面図である。
【図10】図10は、力センサの概略斜視図である。
【図11】図11は、図7に示す挿入部保持装置のB−B概略断面図である。
【図12A】図12Aは、挿入部保持装置本体の内部を示す概略斜視図(挿入部、ローラ対、回転量センサの位置関係を示す)概略斜視図である。
【図12B】図12Bは、ローラ対の変形例である。
【図12C】図12Cは、ローラ対の変形例である。
【図13】図13は、図7に示す挿入部保持装置本体のC−C概略断面図である。
【図14】図14は、第1の実施形態の制御機構を概略的に示した制御図である。
【図15A】図15Aは、患者に挿入部を挿入させる際の挿入部保持装置本体の動作を示す図である。
【図15B】図15Bは、患者に挿入部を挿入させる際の挿入部保持装置本体の動作を示す図である。
【図15C】図15Cは、患者に挿入部を挿入させる際の挿入部保持装置本体の動作を示す図である。
【図15D】図15Dは、患者に挿入部を挿入させる際の挿入部保持装置本体の動作を示す図である。
【図16】図16は、患者から挿入部を抜去させる際の挿入部保持装置本体の動作を示す図である。
【図17】図17は、患者から挿入方向に予期せぬ外力が生じた際の挿入部保持装置本体の動作を示す図である。
【図18】図18は、患者から抜去方向に予期せぬ外力が生じた際の挿入部保持装置本体の動作を示す図である。
【図19】図19は、患者に挿入部を挿入させる際の挿入部保持装置本体の動作を示すフローチャートである。
【図20A】図20Aは、挿入部を捻る際の挿入部保持装置本体の動作を示す図である。
【図20B】図20Bは、挿入部を捻る際の挿入部保持装置本体の動作を示す図である。
【図20C】図20Cは、挿入部を捻る際の挿入部保持装置本体の動作を示す図である。
【図21】図21は、摩擦付勢部材が挿入部保持装置本体から着脱する際の概略図である。
【図22】図22は、ローラが挿入部保持装置本体から着脱する際の概略図である。
【図23】図23は、第2の実施形態の特徴部を示す図であり、挿入部保持装置本体の内部の配置関係を示す(挿入部、ローラ対、回転量センサ、保持機構対、モータの位置関係を示す)概略斜視図である。
【図24】図24は、第2の実施形態の制御機構を概略的に示した制御図である。
【図25A】図25Aは、患者に挿入部を挿入させる際の挿入部保持装置本体の動作を示す図である。
【図25B】図25Bは、患者に挿入部を挿入させる際の挿入部保持装置本体の動作を示す図である。
【図25C】図25Cは、患者に挿入部を挿入させる際の挿入部保持装置本体の動作を示す図である。
【図26】図26は、患者に挿入部を挿入させる、または挿入部を抜去させる際の挿入部保持装置本体の動作を示すフローチャートである。
【図27】図27は、第3の実施形態における操作部の概略斜視図である。
【図28A】図28Aは、患者に挿入部を挿入させる際の挿入部保持装置本体の動作を示す図である。
【図28B】図28Bは、患者に挿入部を挿入させる際の挿入部保持装置本体の動作を示す図である。
【図28C】図28Cは、患者に挿入部を挿入させる際の挿入部保持装置本体の動作を示す図である。
【図28D】図28Dは、患者に挿入部を挿入させる際の挿入部保持装置本体の動作を示す図である。
【図29A】図29Aは、第4の実施形態における操作部の概略斜視図である。
【図29B】図29Bは、第4の実施形態における操作部の概略側面図である。
【図29C】図29Cは、第4の実施形態における操作部の概略上面図である。
【図30】図30は、保持スイッチ、抜去スイッチ、捻りスイッチがOFF、挿入スイッチがONの状態における挿入部、ローラ対、操作部、制御部の関係を示す図である。
【図31】図31は、操作部を操作させる際の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0129】
1…挿入部保持装置、2…術者、3…患者、3a…頭部、4…ベッド、5…枕、10…挿入部、26…突起部、27…凸凹部、28…溝、29…溝、30…挿入部保持装置本体、32…ローラ対、32a…ローラ、32b…ローラ、33…ローラ対、33a…ローラ、33b…ローラ、34…回動部、34a…支点、35…接点、36…接地部、37…モータ、38…摩擦付勢部材、39…力センサ、40…ネジ部、41…回転量センサ、42…回転量センサ、43…バネ、44…支持部材、45…防水部材、46…軸部、47…支持部材、48…ヘッド部、49…支持部材、50…制御ユニット、51…制御コントローラ、52…入出力ボード、53…第1のアンプ、54…エンコーダ、55…判別部、56…設定部、57…第2のアンプ、58…第3のアンプ、60…モータ、61…モータ、70…操作部、71…保持スイッチ、72…挿入スイッチ、73…抜去スイッチ、74…捻りスイッチ、75…進退スイッチ、301…保持機構対、301a…保持機構、301b…保持機構、302…保持機構対、302a…保持機構、302b…保持機構。
【技術分野】
【0001】
本発明は、管腔内に挿入され、管腔内に対して進退動作、捻り動作させられる内視鏡の挿入部を保持する挿入部保持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に例えば医療分野における装置において、内視鏡には、体腔(例えば管腔)に挿入される挿入部が設けられており、この挿入部を体腔内に挿入することで体腔内の観察や治療を行っている。
【0003】
このような内視鏡の挿入部の体腔内への挿入の進退及び捻りを容易にする挿入装置が特許文献1に開示されており、以下に簡単に説明する。
【0004】
この内視鏡の挿入装置には、被検体内に挿入される内視鏡の挿入部を進退動作させる進退駆動手段と、上記挿入部を回動させて該挿入部にねじり動作を行わせる回動駆動手段と、が設けられている。
【0005】
術者が、挿入部を進退移動させる場合、内視鏡の挿入装置は、進退駆動手段を駆動させて挿入部を容易に進退移動させている。また術者が、挿入部を回動させる場合、内視鏡の挿入装置は、回動駆動手段を駆動させて挿入部を容易に回動移動させている。
【特許文献1】特開平03−092126号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述した特許文献1に開示されている内視鏡の挿入装置において、進退駆動手段、回動駆動手段がそれぞれ駆動することで、術者は挿入部を容易に進退移動、回動移動させることができる。しかしながら術者が、例えば挿入部を進退移動、回動移動させずに、挿入部をそのままの状態に維持させたい場合には、挿入部が術者にとって予期せぬ外力によって移動してしまう虞が生じる。これは、術者にとっての挿入部の操作性を損ねてしまう。
【0007】
そのため本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、術者が挿入部を操作する際に、挿入部を保持する状態、または非保持状態を切り換えることで挿入部の進退移動、回動移動を容易にし、術者が挿入部をそのままの状態に維持したい場合には、術者にとって予期せぬ外力によって挿入部が移動してしまうことを防止できる挿入部保持装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は目的を達成するために、被検体の管腔に挿入され、管腔に対して進退させられる、または捻られる内視鏡の挿入部を保持する保持部と、保持部を、挿入部の動きを規制する保持状態と、挿入部の動きを自由にする非保持状態と、のいずれかの状態に切り換える制御を行う制御部と、を具備することを特徴とする挿入部保持装置を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、術者が挿入部を挿入、抜去、捻る際に、挿入部を保持する状態、または非保持状態を切り換えることで挿入部の進退移動、回転移動を容易にするとともに術者にとって予期せぬ外力によって挿入部が移動してしまうことを防止できる挿入部保持装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1乃至図22を参照して第1の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態における挿入部保持装置本体と患者の配置関係を示す概略図である。図2は、挿入部保持装置を使用する際の概略斜視図である。図3は、図2に示した挿入部保持装置の概略側面図である。図4は、図2に示した挿入部保持装置の概略正面図である。図5は、図4に示す回動部を回動させた際の挿入部保持装置本体の概略正面図である。図6は、図4に示す回動部を回動させた際の挿入部保持装置本体の概略上面図である。図7は、図4に示す挿入部保持装置本体に挿入部を挿入させた際の挿入部保持装置の概略上面図である(回動部は図示せず)。図8は、保持機構の概略斜視図である。図9は、図7に示す保持機構のA−A概略断面図である。図10は、力センサの概略斜視図である。図11は、図7に示す挿入部保持装置のB−B概略断面図である。図12Aは、挿入部保持装置本体の内部を示す概略斜視図(挿入部、ローラ対、回転量センサの位置関係を示す)概略斜視図である。図12B、図12Cは、ローラ対の変形例である。図13は、図7に示す挿入部保持装置本体のC−C概略断面図である。図14は、本実施形態の制御機構を概略的に示した制御図である。図15A乃至図15Dは、患者に挿入部を挿入させる際の挿入部保持装置の動作を示す図である。図16は、患者から挿入部を抜去させる際の挿入部保持装置本体の動作を示す図である。図17は、患者から挿入方向に予期せぬ外力が生じた際の挿入部保持装置本体の動作を示す図である。図18は、患者から抜去方向に予期せぬ外力が生じた際の挿入部保持装置本体の動作を示す図である。図19は、患者に挿入部を挿入させる際の挿入部保持装置本体の動作を示すフローチャートである。図20A乃至図20Cは、挿入部を捻る際の挿入部保持装置本体の動作を示す図である。図21は、摩擦付勢部材が挿入部保持装置本体から着脱する際の概略図である。図22は、ローラが挿入部保持装置本体から着脱する際の概略図である。
【0011】
なお本実施形態において挿入部10が進退(挿入、または抜去)する方向をX軸方向、X軸方向に対して直交する方向(摩擦付勢部材38が挿入部10を付勢する方向)をY軸方向、X軸方向及びY軸方向に直行する方向をZ軸方向する。
【0012】
図1乃至図3を参照して挿入部保持装置1について説明する。
挿入部保持装置1には、主要部として術者2が被検体(挿入対象部)である患者3の管腔内に進退(挿入、または抜去)される、または捻られる(回転させる)軟性の挿入体である例えば細長いチューブといった内視鏡の挿入部10を患者3に例えば挿入する際に、挿入部10を保持し、挿入部10に直接加えられる力の方向や大きさといった操作量(例えば進退量や捻れ量)に応じて挿入部10の操作(例えば進退や捻れ)を調整する挿入部保持装置本体30と、挿入部保持装置本体30を制御する制御ユニット50が設けられている。また内視鏡の挿入部10の基端(一端)部の手元側には、挿入部の動きを操作する操作部70が設けられている。操作部70の他端は、図示しない光源装置や患者3に挿入された挿入部10によって撮影された画像を表示する図示しないモニタと接続している。
【0013】
挿入部10は、術者2に把持され、患者3に対して進退(挿入及び抜去)、捻られる。
【0014】
挿入部保持装置本体30は、挿入部10が挿入される対象である例えば患者3がのせられる第1の配置部材である例えばベッド4の患者3の近傍に移動自在に配置することができる。詳細には、挿入部保持装置本体30は、患者3の近傍、且つベッド4上に配置されていることが好適である。また図1に示すように患者3が、頭部3aを第2の配置部材である枕5に載置している場合、挿入部保持装置本体30は、枕5上、且つ患者3の近傍に配置されていることが好適である。
【0015】
制御ユニット50は、挿入部保持装置本体30とは別体で構成されており、挿入部保持装置本体30と同様にベッド4に配置されていても良いが、図1乃至図3に示すようにベッド4の脇やベッド4の脚の間のように挿入部保持装置本体30よりも鉛直方向下方に置かれていることが好適である。これにより挿入部保持装置本体30周辺にはより多くにスペースが設けられるために、術者2は、挿入部10に対する操作性を確保することができる。
【0016】
なお制御ユニット50は、挿入部保持装置1における制御部であり、保持部を、挿入部10の動きを規制する保持状態と、挿入部10の動きを自由にする非保持状態と、のいずれかの状態に切り換える。後述する第1の検出部である力センサ39、第2の検出部である回転量センサ41、第3の検出部である回転量センサ42、挿入部10を保持する保持機構対301,302は、挿入部保持装置本体30に含まれる。
【0017】
次に図1乃至図13を参照して挿入部保持装置本体30について詳細に説明する。
図1、図4乃至図7に示すように挿入部保持装置本体30には、挿入部10を挟持して保持する保持機構対301(保持機構301a,301b)、保持機構対302(保持機構302a,302b)と、挿入部10が患者3に対して挿入、または抜去される際に、挿入部10に直接接触して回転する回転部であるローラ対32(ローラ32a,32b)と、挿入部10が術者2によって捻られた際に、挿入部10に直接接触して回転する回転部であるローラ対33(ローラ33a,33b)と、挿入部保持装置本体30に対して回動する回動部34が設けられている。また回動部34には、ローラ対33の片方(ローラ33b)が設けられている。ローラ対32,33は、挿入部10に直接接触する接触部でもある。保持機構対301と保持機構対302は、Y軸に沿った形状をしている。保持機構対301と保持機構対302は、X軸方向に所望する間隔離れて並べて配置されている。また保持機構対302は、保持機構対301よりも患者3に近接して配置されている。ローラ対32とローラ対33は、保持機構対302よりも患者3に近接して配置されている。
【0018】
図5に示すように回動部34は、支点34aを中心に回動する。回動部34が回動し、接点35が接地部36から離れた際に、保持機構対301の両対間の空間と、保持機構対302の両対間の空間と、ローラ対32の両対間の空間が上方に向けて連通するため挿入部10がローラ対33の一方(ローラ33a)に載置される。これにより挿入部10は、保持機構対301、保持機構対302の両対に挟まれた空間に配置され、ローラ32a及びローラ32bに挟まれる。また回動部34が回動し、接点35が接地部36に接地すると、挿入部10は、さらにローラ33a及びローラ33bに挟まれる。挿入部10は、X軸を中心に捻り可能、X軸方向に沿って進退可能である。挿入部10が、保持機構対301,302に挟まれた際の状態については後述する。
【0019】
次に図8、図9を参照して保持機構対301、保持機構対302について説明する。
保持機構対301、保持機構対302において、保持機構301a,301b,302a,302bは、それぞれ同一構成である。ここでは保持機構302bについてのみ説明する。
【0020】
保持機構302bには、モータ37と、モータ37が駆動した際に回転するネジ部40と、ネジ部40のヘッド部48に配置されている第1の検出部である力センサ39と、力センサ39に当接している摩擦付勢部材38が設けられている。
【0021】
ネジ部40のヘッド部48は図示しないが回転方向の動きを規制されており、ネジ部40が回転する際には、ネジ部40の軸に沿って進退する。モータ37が駆動した際に、ネジ部40が回転し、ヘッド部48がネジ部40の軸に沿って進退することにより力センサ39と、摩擦付勢部材38は、Y軸方向に沿って移動する。移動した際に、摩擦付勢部材38は、挿入部10に直接接触して付勢する。このように摩擦付勢部材38は、挿入部10に直接接触する接触部でもある。
【0022】
保持機構対301,302は、モータ37を駆動させ、両方向から摩擦付勢部材38を挿入部10に付勢させることで挿入部10を保持する。摩擦付勢部材38は、モータ37によって挿入部10を付勢する力が調整される。
【0023】
力センサ39は、摩擦付勢部材38が挿入部10を付勢する際の付勢力を検出し、付勢した際に挿入部10が進退、または捻られた際に挿入部10と摩擦付勢部材38に生じる摩擦力から挿入部10が挿入された際に生じる挿入力、挿入部10が抜去された際に生じる抜去力、挿入部10が回転された際に生じる回転力(捻り力)を検出する。
【0024】
挿入力、抜去力、捻り力は、挿入部10に直接加えられる力の方向及び大きさに応じて異なる。そのため力センサ39は、挿入力、抜去力、捻り力から挿入部10に直接加えられる力の方向及び大きさを検出する。このように力センサ39は、摩擦付勢部材38を介して間接的に挿入部10に接触して力の方向及び大きさを検出する。
【0025】
図10に示すように挿入部10の進退方向(X軸方向)に挿入力、抜去力が生じ、摩擦付勢部材38が挿入部10を付勢する方向(Y軸方向)に付勢力が生じ、挿入部10を捻る方向に捻り力が生じる。
【0026】
また図11乃至図13に示すようにローラ対32において、ローラ32a,32bのどちらか一方には、ローラの回転量(例えば回転速度、回転角度、角加速度)を検出する第2の検出部である回転量センサ41が設けられている。本実施形態ではローラ32aと同軸上に回転量センサ41が設けられている。また図12Aに示すようにローラ対33において、ローラ33a,33bのどちらかには一方には、ローラ対33の回転量を検出する第3の検出部である回転量センサ42が設けられている。本実施形態ではローラ33aと同軸上に回転量センサ42が設けられている。
【0027】
また図12Aに示すようにローラ33a、回転量センサ42は、支持部材47によって支持されている。なお図示はしていないがローラ33b、保持機構対301,302も支持部材47によって支持されている。
【0028】
なおローラ対32の外周面には、軸方向(Z軸方向)に平行に溝28が形成されている。またローラ対33の外周面には、軸方向(X軸方向)に平行に溝29が形成されている。これにより軸方向の摩擦よりも周方向の摩擦が大きくなる。挿入部10が進退する際、ローラ対32の周方向の摩擦により大きな進退力を挿入部10に与えることができる。またローラ対33において、溝29は進退方向に対して平行に形成されている。よって進退方向において、ローラ対33と挿入部10との間には、大きな摩擦力は発生せず、進退時の障害にはならない。捻る際は逆になる。なお溝28、溝29は、他の図においては図示せずに省略している。
【0029】
なお本実施形態ではローラ対32,33の表面に溝28,29を設けたがこれに限定する必要は無い。例えばローラ33bには、図12Bに示すように軸方向(X軸方向)に平行な複数の突起部26を設けても良い。またローラ33bには、例えば図12Cに示すように軸方向(X軸方向)に平行な複数の凸凹部27を設けても良い。もちろんこれらを組み合わせても良い。このように挿入部10が進退、または捻られる際に、大きな摩擦力を発生せず、障害にならず、大きな進退力、又は捻り力を挿入部10に与えることができればローラ対32,33に設けられる部材は、限定はされない。
【0030】
図13に示すようにローラ32a、ローラ32bは、それぞれ支持部材44によって支持されている。この支持部材44には、付勢部材である例えばバネ43が設けられている。このバネ43は、挿入部保持装置本体30に取り付けられている。バネ43は、支持部材44を付勢する。これによりローラ32aと、ローラ32bは、バネ43によって生じる付勢力によって挿入部10を挟持する。なおバネ43は他図では簡略化のために図示を省略している。
【0031】
ローラ32a,33aの回転量は、挿入部10に直接加えられる操作量に応じて異なる。そのため回転量センサ41,42は、ローラ32a,33aの回転量から挿入部10に直接加えられる操作量を検出する。このように回転量センサ41,42は、ローラ32a,33aを介して間接的に挿入部10に接触して操作量を検出する。
次に図14を参照して本実施形態の制御機構について説明する。
制御ユニット50には、制御コントローラ51と、入出力ボード52、第1のアンプ53、エンコーダ54が設けられている。
【0032】
制御コントローラ51は、入出力ボード52、第1のアンプ53を介して保持機構対301,302のモータ37の駆動を制御する。
【0033】
入出力ボード52には、挿入部10が進退移動した際に、回転量センサ41によって検出されたローラ対32の回転量と、挿入部10が捻られた際に、回転量センサ42によって検出されたローラ対33の回転量と、保持機構対301,302のモータ37が回転した際に、保持機構対301,302のエンコーダ54によって検出された保持機構対301,302のモータ37の回転量(エンコーダ値)と、保持機構対301,302の力センサ39によって検出された摩擦付勢部材38による付勢力と、保持機構対301,302の力センサ39によって検出された挿入部10の挿入力と抜去力と捻り力が入力される。入出力ボード52に入力されたこれら回転量、付勢力、挿入力、抜去力、捻り力は、制御コントローラ51に入力される。
【0034】
なお制御コントローラ51は、上述したようにローラ対32の回転量から挿入部10の進退量と、ローラ対33の回転量から挿入部10の捻れ量を算出する。
【0035】
制御コントローラ51は、保持機構対301,302のモータ37のエンコーダ値を参照しながら矢印にて示す保持機構対301,302の摩擦付勢部材38に付勢力が一定になるように入出力ボード52を介して保持機構対301,302の第1のアンプ53によって回転信号を増減幅させて、上述したように保持機構対301,302のモータ37の駆動を制御する。これにより挿入部10が保持機構対301,302によって一定の付勢力で把持されることで、挿入部10は動きを規制され、保持される。なお矢印にてしめす付勢力は、上述したように保持機構対301,302の力センサ39によって検出され、制御コントローラ51に入力される。
【0036】
また制御コントローラ51には、判別部55(詳細については後述する)、所定の範囲である第1の設定値α、第2の設定値βを予め設定する設定部56が設けられている。第1の設定値α、第2の設定値βは、任意に設定可能である。
【0037】
次に図15A、図15B、図15C、図15Dを参照して患者に挿入部を挿入させる際の挿入部保持装置本体の動作について説明する。
上述したように回動部34が回動し、接点35が接地部36から離れた際に、挿入部保持装置本体30は、開口するために上方より挿入部10がローラ33aに載置される。これにより挿入部10は、保持機構対301,302に挟まれて保持され、ローラ対32に挟まれる。また回動部34が回動し、接点35が接地部36に接地すると、挿入部10は、さらにローラ対33に挟まれる。その際、制御コントローラ51は、保持動作を制御する。つまり制御コントローラ51は、上述したように付勢力が一定になるように保持機構対301,302のモータ37を駆動させ、保持機構対301,302の摩擦付勢部材38を挿入部10に付勢(締め付け)させる。これにより制御コントローラ51は、保持機構対301,302に挿入部10を保持させる(挿入部10は、一定の付勢力によって挿入部保持装置本体30に保持される)。
【0038】
この状態で図15Aに示すように術者2が、挿入部10を患者3に挿入させると、保持機構対301と挿入部10の間には挿入力が生じる。保持機構対301の力センサ39は、この挿入力を検出する。検出された挿入力は、入出力ボード52を介して制御コントローラ51に出力される。またこの状態において、保持機構対302と挿入部10の間には挿入力が生じない。よって制御コントローラ51は、術者2によって挿入部10が患者3に挿入されていると判別する(挿入部10への力が加えられた側が術者2側からであると判別する)。挿入力が第1の設定値αに達するまでは、挿入部10は、保持機構対301,302の摩擦付勢部材38によって付勢されることで、把持され、動きは規制されている。
【0039】
術者2が、挿入部10を患者3にさらに挿入させることで、挿入力が設定部56によって予め設定された第1の設定値αを越えた場合、制御コントローラ51は、入出力ボード52、保持機構対301,302の第1のアンプ53を介して保持機構対301,302のモータ37を駆動させる。これにより制御コントローラ51は、図15Bに示すように保持機構対301,302の摩擦付勢部材38による挿入部10への付勢(締め付け)による把持をやめる。このように挿入部が操作される際に、制御コントローラ51は、力センサ39によって検出された挿入力に基づいて保持機構対301,302を挿入部10の動きを規制する保持状態から挿入部10の動きを自由にした状態(非保持状態)に切り換える。保持機構対301,302に対する挿入部10の状態は、保持状態から非保持状態に切り換わっているため、術者2が、挿入部10を患者3にさらに挿入させると、挿入部10が患者3に向かって容易に進む。
【0040】
このとき、ローラ対32は、挿入部10との摩擦により回転する。回転しているローラ32aの同軸に設けられている回転量センサ41は、ローラ32aの回転量を入出力ボード52を介して制御コントローラ51に出力する。この回転量とは、上述したように例えば回転速度、回転角度、角加速度である。判別部55は、この回転量を検出することで、挿入部10の進退状態を判別することができる。詳細には、図15Bに示すように本実施形態ではローラ32aが時計回り、ローラ32bが反時計回りに回った際には、挿入部10が挿入されている(以下、挿入部10が挿入される際にローラ32a,32bが回転する方向を正回転とする)と判別部55は、判別する。また本実施形態ではローラ32aが反時計回り、ローラ32bが時計回りに回った際には、挿入部10が抜去されている(以下、挿入部10が抜去される際にローラ32a,32bが回転する方向を負回転とする)と判別部55は、判別する。これにより上述したように制御コントローラ51は、回転量から挿入部10の進退量を算出することも可能である。またローラ32aの回転量(例えば回転速度θ)が、第2の設定値βを超えている場合、上述したように保持機構対301,302の摩擦付勢部材38による挿入部10への付勢(締め付け)状態は、挿入部10の動きを自由にした状態を維持している。つまり保持機構対301,302に対する挿入部10の状態は、非保持状態である。
【0041】
術者2が、患者3に対する挿入部10の挿入を止める(挿入力が0になる)と、図15Cに示すようにローラ32aの回転量(例えば回転速度θ)が、低下する。このローラ32aの回転量が第2の設定値βを下回ったと判別部55が判別した場合、判別結果を受けて制御コントローラ51は、挿入部10の挿入力が0になったとみなす。その際、制御コントローラ51は、保持動作を制御する。つまり制御コントローラ51は、入出力ボード52、保持機構対301,302の第1のアンプ53を介して保持機構対301,302のモータ37を駆動させて、保持機構対301,302の摩擦付勢部材38を挿入部10に付勢(締め付け)させる。よって保持機構対301,302に対する挿入部10の状態は、非保持状態から保持状態に切り換わる。このように挿入部が操作される際に、制御コントローラ51は、力センサ39によって検出された挿入力に基づいて非保持状態から保持状態に切り換える。
【0042】
図15Dに示すように図15Aと同様に挿入部10は、再び保持機構対301,302の摩擦付勢部材38によって付勢(締め付け)され、保持機構対301,302によって挟まれて保持される。これにより制御コントローラ51は、保持機構対301,302に挿入部10を保持させ、保持機構対301,302による挿入部10の保持状態が維持される。
【0043】
なお術者2が、挿入部10を患者3から抜去させる場合、挿入時と同様に、図16に示すように保持機構対301と挿入部10の間には抜去力が生じる。力センサ39は、この抜去力を検出する。検出された抜去力は、入出力ボード52を介して制御コントローラ51に出力される。またこの状態において、保持機構対302と挿入部10の間には抜去力が生じない、もしくは保持機構対301に働く力に比べて非常に小さい値である。よって制御コントローラ51は、術者2によって挿入部10が患者3に抜去されていると判別する(挿入部10への力が加えられた側が術者2側からであると判別する)。この場合も挿入する時と同様に抜去力が第1の設定値αに達するまでは、保持機構対301,302の摩擦付勢部材38によって挿入部10は、付勢されている。
【0044】
術者2が、挿入部10を患者3からさらに抜去させることで抜去力が第1の設定値αを越えた場合、制御コントローラ51は、入出力ボード52、保持機構対301,302の第1のアンプ53を介して保持機構対301,302のモータ37を駆動させる。これにより制御コントローラ51は、図15Bに示すように保持機構対301,302の摩擦付勢部材38による挿入部10への付勢(締め付け)を開放する。このように挿入部が操作される際に、制御コントローラ51は、力センサ39によって検出された抜去力に基づいて保持状態から非保持状態に切り換える。保持機構対301,302に対する挿入部10の状態は、保持状態から非保持状態に切り換わっているため、術者2は、挿入部10を患者3にさらに抜去させると、挿入部10が患者3から容易に抜き出される。
【0045】
術者2が、患者3に対する挿入部10の抜去を止めた後の動作は、上述した術者2が、患者3に対する挿入部10の挿入を止めた後の動作と同一のためここでは省略する。
【0046】
また図17に示すように、術者2にとって患者3から挿入方向に予期せぬ外力が生じた場合、保持機構対302と挿入部10の間には挿入力が生じる。保持機構対302の力センサ39は、この挿入力を検出する。検出された挿入力は、入出力ボード52を介して制御コントローラ51に出力される。またこの状態において、保持機構対301と挿入部10の間には挿入力が生じない。よって制御コントローラ51は、患者3から挿入方向に予期せぬ外力が生じたと判別する(挿入部10への力が加えられた側が患者3側からであると判別する)。そのため制御コントローラ51は、保持機構対301,302に挿入部10を保持させ、保持機構対301,302による挿入部10の保持状態が維持される。このように保持機構対302の力センサ39が、力が加えられる側を検出し、患者3側からであることを検出した際に、制御コントローラ51は、保持状態に切り換えて保持機構対301,302を制御する。これにより挿入部保持装置1は、術者2にとって挿入方向に予期せぬ外力が生じても挿入部10が移動してしまうことを操作性を損なうことなく防止する。
【0047】
また図18に示すように術者2にとって患者3から抜去方向に予期せぬ外力が生じた場合、保持機構対302と挿入部10の間には抜去力が生じる。保持機構対302の力センサ39は、この抜去力を検出する。検出された抜去力は、入出力ボード52を介して制御コントローラ51に出力される。またこの状態において、保持機構対301と挿入部10の間には抜去力が生じない。よって制御コントローラ51は、患者3から抜去方向に予期せぬ外力が生じたと判別する(挿入部10への力が加えられた側が患者3側からであると判別する)。そのため制御コントローラ51は、保持機構対301,302に挿入部10を保持させ、保持機構対301,302による挿入部10の保持状態が維持される。このように保持機構対302の力センサ39が、患者3側から抜去力を検出した際に、制御コントローラ51は、保持状態に切り換えて保持機構対301,302を制御する。これにより挿入部保持装置1は、術者2にとって抜去方向に予期せぬ外力が生じても挿入部10が移動してしまうことを操作性を損なうことなく防止する。
【0048】
また図示はしないが術者2にとって患者3から捻れ方向(詳細については図20にて後述する)に予期せぬ外力が生じた場合、保持機構対302と挿入部10の間には捻り力が生じる。保持機構対302の力センサ39は、この捻り力を検出する。検出された捻り力は、入出力ボード52を介して制御コントローラ51に出力される。またこの状態において、保持機構対301と挿入部10の間には捻り力が生じない。よって制御コントローラ51は、患者3から捻れ方向に予期せぬ外力が生じたと判別する(挿入部10への力が加えられた側が患者3側からであると判別する)。そのため制御コントローラ51は、保持機構対301,302に挿入部10を保持させ、保持機構対301,302による挿入部10の保持状態が維持される。このように保持機構対302の力センサ39が、患者3側から捻れ力を検出した際に、制御コントローラ51は、保持状態に切り換えて保持機構対301,302を制御する。これにより挿入部保持装置1は、術者2にとって捻れ方向に予期せぬ外力が生じても挿入部10が移動してしまうことを操作性を損なうことなく防止する。
【0049】
次に患者に挿入部を挿入させる際の挿入部保持装置本体の動作について図19に示すフローチャートを参照して説明する。
術者2が、挿入部10を患者3に挿入させると、保持機構対301と挿入部10の間には挿入力が生じる。保持機構対301の力センサ39は、この挿入力を検出する。検出された挿入力は、入出力ボード52を介して制御コントローラ51に出力される。
【0050】
判別部55は、挿入力が第1の設定値αを越えたか否かを判別する(Step1)。挿入力が第1の設定値αを越えていると、判別部55が判別した場合(Step1:Yes)、制御コントローラ51は、入出力ボード52、保持機構対301,302の第1のアンプ53を介して保持機構対301,302のモータ37を駆動させる。これにより保持機構対301,302の摩擦付勢部材38による挿入部10への付勢(締め付け)が開放され、保持機構対301,302による挿入部10の保持状態が開放される(Step2)。保持機構対301,302に対する挿入部10の状態は、保持状態から非保持状態に切り換わる。このように挿入部が操作される際に、制御コントローラ51は、力センサ39によって検出された挿入力に基づいて保持状態から非保持状態に切り換える。この状態において、上述したようにローラ対32は、挿入部10との摩擦により回転する。回転量センサ41は、ローラ32aの回転量(例えば回転速度θ)を入出力ボード52を介して制御コントローラ51に出力する。その際、判別部55は、回転量が第2の設定値βを越えたか否かを判別する(Step3)。この回転量が第2の設定値βを越えていると、判別部55が判別した場合(Step3:Yes)、挿入部10が挿入されているとみなし、Step2に戻り、保持機構対301,302の摩擦付勢部材38による挿入部10への開放状態が維持される(保持機構対301,302は、挿入部10に対して非保持状態を維持する)。回転量が第2の設定値βを低下していると、判別部55が判別した場合(Step3:No)、制御コントローラ51は、術者2が患者3に対して挿入部10の挿入をとめた(挿入力が0になった)とみなす。その際、制御コントローラ51は、保持動作を制御する。つまり制御コントローラ51は、入出力ボード52、保持機構対301,302の第1のアンプ53を介して保持機構対301,302のモータ37を駆動させ、保持機構対301,302の摩擦付勢部材38を挿入部10に付勢(締め付け)させる。これにより制御コントローラ51は、保持機構対301,302に挿入部10を保持させ、保持機構対301,302による挿入部10の保持状態が維持される(Step4)。保持機構対301,302に対する挿入部10の状態は、非保持状態から保持状態に切り換わる。このように挿入部が操作される際に、制御コントローラ51は、力センサ39によって検出された挿入力に基づいて非保持状態から保持状態に切り換える。これにより動作を終了する。なお挿入力が第1の設定値αを低下していると、判別部55が判別した場合(Step1:No)、Step4に進む。
【0051】
なお患者3から挿入部10を抜去させる際の挿入部保持装置本体30の動作についてのフローチャートは、図19における挿入力が抜去力に代わっているのみのため省略する。
【0052】
次に図20A、図20B、図20Cを参照して挿入部を捻る際の挿入部保持装置本体の動作について説明する。
挿入部10が、挿入部保持装置本体30に、保持されるまでの動作は上述したため省略する。
この状態で図20Aに示すように術者2が、挿入部10を捻ると、保持機構対301と挿入部10の間には捻り力が生じる。力センサ39は、この捻り力を検出する。検出された捻り力は、入出力ボード52を介して制御コントローラ51に出力される。
【0053】
術者2が、挿入部10をさらに捻ることで捻り力が第1の設定値αを越えた場合、制御コントローラ51は、入出力ボード52、保持機構対301,302の第1のアンプ53を介して保持機構対301,302のモータ37を駆動させる。これにより図20Bに示すように保持機構対301,302の摩擦付勢部材38による挿入部10への付勢(締め付け)が開放され、保持機構対301,302による挿入部10の保持状態が開放される。このように挿入部が操作される際に、制御コントローラ51は、力センサ39によって検出された捻り力に基づいて保持状態から非保持状態に切り換える。この状態において術者2は、挿入部10を容易に捻ることが可能である。
【0054】
このとき、ローラ対33は、挿入部10との摩擦により回転する。回転しているローラ33aの同軸に設けられている回転量センサ42は、ローラ33aの回転量を入出力ボード52を介して制御コントローラ51に出力する。この回転量とは、例えば回転速度、回転角度、角加速度である。判別部55は、この回転量を検出することで、挿入部10の捻れ方向(図20Aにおける時計回りか反時計回りか)を判別することができる。詳細には、ローラ33aが反時計回りに回った際には、挿入部10が時計回りに捻られていると判別部55は判別する。ローラ33aが時計回りに回った際には、挿入部10が反時計回りに捻られていると判別部55は判別する。またローラ33aの回転量(例えば回転速度θ)が、第2の設定値βを超えている場合、上述したように保持機構対301,302の摩擦付勢部材38による挿入部10への付勢(締め付け)状態は、開放した状態を維持している。
【0055】
術者2が、挿入部10の捻れを止めると、ローラ33aの回転量(例えば回転速度θ)が、低下する。このローラ33aの回転量が第2の設定値βを下回ったと判別部55が判別した場合、制御コントローラ51は、術者2が挿入部10の捻じりを止めた(挿入部10の捻り力が0になった)とみなす。その際、制御コントローラ51は、上述したように挿入時と同様に保持動作を制御する。つまり制御コントローラ51は、入出力ボード52、保持機構対301,302の第1のアンプ53を介して保持機構対301,302のモータ37を駆動させ、保持機構対301,302の摩擦付勢部材38を挿入部10に付勢(締め付け)させる。これにより制御コントローラ51は、図20Cに示すように保持機構対301,302に挿入部10を保持させ、保持機構対301,302による挿入部10の保持状態が維持される。このように挿入部が操作される際に、制御コントローラ51は、力センサ39によって検出された捻り力に基づいて非保持状態から保持状態に切り換える。なお捻り力が第1の設定値αを低下していると、判別部55が判別した場合、保持機構対301,302による挿入部10の保持状態が維持される。
【0056】
なお挿入部10を捻る際の挿入部保持装置本体30の動作についてのフローチャートは、図19における挿入力が捻り力に代わっているのみのため省略する。
このように本実施形態は、挿入部10を進退、または捻る際に、挿入力、抜去力、捻り力が第1の設定値αを越えたか否かを判別し、超えていた場合に保持機構対301,302による保持状態を非保持状態に切り換えて開放させる。超えていない場合には制御コントローラ51は、保持動作を制御することで、保持機構対301,302により保持させて、保持状態を維持し、挿入部10の動きを固定させている。保持状態において、本実施形態は、挿入部10に作用する例えば患者3の突発的な動きや、偶発的に生じた不可抗力といった術者2にとって予期せぬ外力を検出する。その際、本実施形態は、保持状態を維持することができる。これにより本実施形態は、外力によって挿入部10が移動してしまうことを操作性を損なうことなく防止することができる。
【0057】
また本実施形態において、挿入部10を進退、または捻っている際に、挿入力、抜去力、捻り力が第2の設定値βよりも低下した場合、本実施形態は、保持機構対301,302に対する挿入部10の状態を、非保持状態から保持状態に切り換える。これにより本実施形態は、自動的に挿入部10が動かないように固定されている。よって例えば術者2が挿入、抜去、捻れを終えた後に、上述したように予期しない外力によって挿入部10が移動してしまうことを防止することができる。
【0058】
また本実施形態は、挿入部保持装置本体30を枕5に配置することで、挿入部10を患者3に挿入する際の挿入口である例えば口から枕5までの高さと挿入部保持装置本体30を挿通した挿入部10と枕5までの高さを略同一高さにすることができる。これにより術者2は、挿入部10をスムーズに管腔内に挿入することができる。
【0059】
なお本実施形態において、図21に示すように摩擦付勢部材38は、挿入部保持装置本体30から着脱可能である。例えば術者2が患者3の体内から挿入部10を抜去させた際に、挿入部10には、患者3の体液や粘液が付着していることがある。そのため挿入部10を介してこの体液や粘液が摩擦付勢部材38に付着することがある。そのため、本実施形態では摩擦付勢部材38を着脱可能とすることで、術者2は体液や粘液が付着する部分のみを取り外して洗浄することができる。これにより本実施形態は、クリーンな摩擦付勢部材38を再利用することができる。またネジ部40には、防水部材45が設けられている。防水部材45は、摩擦付勢部材38を洗浄した際に水滴等がモータ37、支持部材49に付着することを防止する。また摩擦付勢部材38は、洗浄せずに使い捨てにしても良い。
【0060】
また同様の理由により図22に示すようにローラ32aも挿入部保持装置本体30から着脱可能である。また防水部材45が回転量センサ41の軸部46に設けられている。防水部材45は、洗浄した際に水滴等が回転量センサ41、支持部材44に付着することを防止する。
【0061】
また図示はしないがローラ33aも挿入部保持装置本体30から着脱可能である。また防水部材45が回転量センサ42の軸部に設けられている。防水部材45は、洗浄した際に水滴等が回転量センサ42、支持部材47に付着することを防止する。
【0062】
また本実施形態は、ローラ32b、ローラ33bも挿入部保持装置本体30から着脱可能とすることで、取り外した際に例えば洗浄すること、又は未使用のものと交換することができ、洗浄したクリーンなローラ対32,33を使用することができる。
【0063】
なお本実施形態において挿入部10に直接接触する摩擦付勢部材38、ローラ対32,33のみを挿入部保持装置本体30から着脱可能としたがその他の挿入部10に接触する接触部を、着脱可能にする構成にしても構わない。
【0064】
次に図23乃至図26を参照して本発明に関わる第2の実施形態について詳細に説明する。前述した第1の実施形態と同一部位については同符合を付し、その詳細な説明は省略する。
図23は、本実施形態の特徴部を示す図であり、挿入部保持装置本体の内部の配置関係を示す(挿入部、ローラ対、回転量センサ、保持機構対、モータの位置関係を示す)概略斜視図である。図24は、本実施形態の制御機構を概略的に示した制御図である。図25A乃至図25Cは、患者に挿入部を挿入させる際の挿入部保持装置本体の動作を示す図である。図26は、患者に挿入部を挿入させる、または挿入部を抜去させる際の挿入部保持装置本体の動作を示すフローチャートである。
【0065】
本実施形態における挿入部保持装置本体30以外の構成は、上述した第1の実施形態と同様であるためにその詳細な説明については省略する。
【0066】
図23に示すようにローラ対32は、X軸方向において保持機構対301と保持機構対302の間に配置されている。またローラ対32において、ローラ32aを回転させる駆動部であるモータ60が設けられている。このモータ60は、挿入部10が進退する際に、ローラ32aを回転させることで挿入部10の進退動作を補助する補助部でもある。ローラ32a、モータ60、回転量センサ41は、同軸上に配置されている。なおモータ60は、ローラ32bを回転させても良い。つまりモータ60は、ローラ32a,32bの少なくとも一方を回転させればよい。
【0067】
またローラ対33にも同様にローラ33aを回転させる駆動部であるモータ61が設けられている。このモータ61は、挿入部10が捻れる際に、ローラ33aを回転させることで挿入部10の捻り動作を補助する補助部でもある。ローラ33a、モータ61、回転量センサ42は、同軸上に配置されている。なおモータ61は、ローラ33bを回転させても良い。つまりモータ61は、ローラ33a,33bの少なくとも一方を回転させればよい。
【0068】
次に図24を参照して本実施形態の制御機構について説明する。
本実施形態の制御機構の構成には、前述した第1の実施形態の制御機構の構成に第2のアンプ57と、第3のアンプ58が加えられている。
【0069】
本実施形態の制御コントローラ51は、入出力ボード52、保持機構対301,302の第1のアンプ53を介して保持機構対301,302のモータ37の駆動を制御する。同様に入出力ボード52、第2のアンプ57を介してモータ60の駆動を制御する。同様に入出力ボード52、第3のアンプ58を介してモータ61の駆動を制御する。
【0070】
入出力ボード52には、挿入部10が進退移動した際に、回転量センサ41によって検出されたローラ対32の回転量と、挿入部10が捻られた際に、回転量センサ42によって検出されたローラ対33の回転量と、モータ37が回転した際に、保持機構対301,302のエンコーダ54によって検出された保持機構対301,302のモータ37の回転量(エンコーダ値)と、保持機構対301,302の力センサ39によって検出された保持機構対301,302の摩擦付勢部材38による付勢力と、保持機構対301,302の力センサ39によって検出された挿入部10の挿入力と抜去力と捻り力が入力される。入出力ボード52に入力されたこれら回転量、付勢力、挿入力、抜去力、捻り力は、制御コントローラ51に入力される。
【0071】
なお制御コントローラ51は、ローラ対32の回転量から挿入部10の進退量と、ローラ対33の回転量から挿入部10の捻れ量を算出することも可能である。
【0072】
制御コントローラ51は、保持機構対301,302のモータ37のエンコーダ値を参照しながら矢印にて示す付勢力が一定になるように入出力ボード52を介して保持機構対301,302の第1のアンプ53によって回転信号を増減幅させて、上述したようにモータ37の駆動を制御する。これにより一定の付勢力によって挿入部10が保持機構対301,302によって保持される。なお矢印にてしめす付勢力は、上述したように力センサ39によって検出され、制御コントローラ51に入力される。また制御コントローラ51は、入出力ボード52から入力されたこれら回転量、付勢力、挿入力、抜去力、捻り力に基づいて入出力ボード52を介して第2のアンプ57によって回転信号を増減幅させて、モータ60の駆動を制御する。これにより挿入部10は、モータ60によって進退動作を補助される。同様に制御コントローラ51は、第3のアンプ58によって回転信号を増減幅させて、モータ61の駆動を制御する。これにより挿入部10は、モータ61によって捻り動作を補助される。
【0073】
次に図25A乃至図25Cを参照して患者に挿入部を挿入させる際の挿入部保持装置本体の動作について説明する。
挿入部10が、挿入部保持装置本体30に、保持されるまでの動作は上述した第1の実施形態と同様であるため省略する。
【0074】
この状態で図25Aに示すように術者2が、挿入部10を患者3に挿入させると、保持機構対301と挿入部10の間には挿入力が生じる。保持機構対301の力センサ39は、この挿入力を検出する。検出された挿入力は、入出力ボード52を介して制御コントローラ51に出力される。またこの状態において、保持機構対302と挿入部10の間には挿入力がほとんど生じない。挿入力が第1の設定値αに達するまでは、保持機構対301,302の摩擦付勢部材38によって挿入部10は、付勢されている。
【0075】
術者2が、挿入部10を患者3にさらに挿入させることで挿入力が第1の設定値αを越えた場合、制御コントローラ51は、入出力ボード52、保持機構対301,302の第1のアンプ53を介して保持機構対301,302のモータ37を駆動させる。これにより制御コントローラ51は、図25Bに示すように保持機構対301,302の摩擦付勢部材38による挿入部10への付勢(締め付け)を開放する。保持機構対301,302に対する挿入部10の状態は、保持状態から非保持状態に切り換わっているため、術者2が、挿入部10を患者3にさらに挿入させると、挿入部10が患者3に向かって容易に進む。
【0076】
なお保持機構対301と挿入部10の間に生じる挿入力が保持機構対302と挿入部10の間に生じる挿入力よりも大きい場合に、保持機構対301,302に対する挿入部10の状態が、保持状態から非保持状態に切り換わってもよい。
【0077】
非保持状態において、術者2が挿入部10を挿入させる際に、ローラ対32は、挿入部10との摩擦により回転する。回転しているローラ32aの同軸に設けられている回転量センサ41は、ローラ32aの回転量を入出力ボード52を介して制御コントローラ51に出力する。この回転量とは、例えば回転速度、回転角度、角加速度である。判別部55は、この回転量を検出することで、挿入部10の進退状態を判別することができる。詳細には、ローラ対32が正回転している場合、挿入部10が挿入されていると、判別部55は、判別する。ローラ対32が負回転している場合、挿入部10が抜去されていると、判別部55は、判別する。
【0078】
その際、制御コントローラ51は、挿入動作または抜去動作に対する補助動作を制御する。挿入部10が挿入されることでローラ32aが回転している際に、ローラ32aの回転量(例えば回転速度θ)が、予め設定部56に設定された一定値θ1と常に同一になるように、制御コントローラ51は、入出力ボード52を介して第2のアンプ57に指示を出力する。第2のアンプ57は、回転速度θを一定値θ1と同一にさせるようにモータ60を駆動させる。このように制御コントローラ51は、挿入部10の挿入動作、または抜去動作をモータ60によって補助する。なお本実施形態は、第2のアンプ57をトルク制御用アンプとすることで、制御コントローラ51にて指示したトルクにてモータ60を駆動させることができる。
【0079】
なお制御コントローラ51は、上述したように捻り動作に対する補助動作も制御する。制御コントローラ51は、挿入部10の捻り動作をモータ61によって補助する。
【0080】
なお術者2が、患者3に対する挿入部10の挿入を止めても(挿入力が0の状態)、ローラ32aの回転量(例えば回転速度θ)が上述した一定値θ1になるように制御コントローラ51がモータ60に与えるトルクをトルクT0とする。このトルクT0は、任意に設定可能である。制御コントローラ51は、このトルクT0を常に記憶している。また術者2が、患者3に対して挿入部10を挿入させる(挿入力が加わる)と、このトルクT0に挿入力が加わる。その際、トルクT0と挿入力の和によって、ローラ32aの回転量(例えば回転速度θ)が上述した一定値θ1になるように、制御コントローラ51は、トルクT0からトルクTに落とす必要がある。挿入力が大きいほどトルクTは小さくて済む。これにより判別部55は、トルクTがトルクT0よりも小さいか否かを判別することで、術者2が挿入部10を挿入させている状態が維持されているか否かを判別する。
【0081】
またトルクTが大きくなりトルクT0と略同一になると、術者2が、患者3に対する挿入部10の挿入を止めた(挿入力が0のなる)と、判別部55は判別する。この場合、図25Cに示すように制御コントローラ51は、入出力ボード52を介してモータ60の駆動を停止させてローラ32aの回転を停止させる。また制御コントローラ51は、入出力ボード52を介して保持機構対301,302のモータ37を駆動させる。これにより保持機構対301,302に対する挿入部10の状態は、非保持状態から保持状態に切り換わる。挿入部10は、再び保持機構対301,302の摩擦付勢部材38によって付勢(締め付け)され、保持機構対301,302によって挟まれて保持される。これにより保持機構対301,302による挿入部10の保持状態が維持される。
【0082】
なお術者2が、挿入部10を患者3から抜去させる際の挿入部保持装置本体30の動作は、図25A乃至図25Cにおける挿入力が抜去力に代わっているのみのため省略する。
【0083】
また術者2が、挿入部10を捻る際の挿入部保持装置本体30の動作は、図25A乃至図25Cにおける挿入力が捻り力に代わっているのみのため省略する。
【0084】
次に患者に挿入部を挿入させる、または患者から挿入部を抜去させる際の挿入部保持装置本体30の動作について図26に示すフローチャートを参照して説明する。
術者2が、挿入部10を患者3に挿入させると、保持機構対301と挿入部10の間には挿入力が生じる。保持機構対301の力センサ39は、この挿入力を検出する。検出された挿入力は、入出力ボード52を介して制御コントローラ51に出力される。また術者2が、挿入部10を患者3から抜去させると、保持機構対301と挿入部10の間には抜去力が生じる。保持機構対301の力センサ39は、この抜去力を検出する。検出された抜去力は、入出力ボード52を介して制御コントローラ51に出力される。
【0085】
判別部55は、挿入力、または抜去力が第1の設定値αを越えたか否かを判別する(Step11)。なおStep11において判別部55は、上述したように保持機構対301と挿入部10の間に生じる挿入力、または抜去力が保持機構対302と挿入部10の間に生じる挿入力、または抜去力よりも大きいか否かを判別しても良い。挿入力、または抜去力が第1の設定値αを越えていると、判別部55が判別した場合(Step11:Yes)、制御コントローラ51は、入出力ボード52、保持機構対301,302の第1のアンプ53を介して保持機構対301,302のモータ37を駆動させる。これにより保持機構対301,302の摩擦付勢部材38による挿入部10への付勢(締め付け)が開放され、保持機構対301,302による挿入部10の保持状態が開放される(Step12)。これにより保持機構対301,302に対する挿入部10の状態は、保持状態から非保持状態に切り換わる。この状態において、上述したようにローラ対32は、挿入部10との摩擦により回転する。回転しているローラ32aの同軸に設けられている回転量センサ41は、ローラ32aの回転量を入出力ボード52を介して制御コントローラ51に出力する。その際、判別部55は、回転量からローラ32aが正回転しているか否かを判別する(Step13)。ローラ32aが正回転していると、判別部55が判別すれば(Step13:Yes)、挿入部10が挿入されているとみなす。その際、上述したように制御コントローラ51は、モータ60によって挿入部10の挿入動作を補助する(Step14)。ローラ32aが正回転していると、判別部55が判別しなければ(Step13:No)、制御コントローラ51は、ローラ32aが負回転しているとみなし、挿入部10が抜去されているとみなす。その際、上述したように制御コントローラ51は、モータ60によって挿入部10の抜去動作を補助する(Step15)。
【0086】
次に判別部55は、トルクTがトルクT0より小さいか否かを判別する(Step16)。トルクTがトルクT0より小さいと、判別部55が判別した場合、Step12に戻り、保持機構対301,302の摩擦付勢部材38による挿入部10への開放状態が維持される(保持機構対301,302は、挿入部10に対して非保持状態を維持する)。トルクTがトルクT0と略同一であると、判別部55が判別した場合(Step16:No)、制御コントローラ51は、挿入力または抜去力が0になったとみなす。この場合、制御コントローラ51は、入出力ボード52、第2のアンプ57を介してモータ60の駆動を停止させてローラ32aの回転を停止させる(Step17)。これにより制御コントローラ51は、挿入部10の挿入動作、または抜去動作の補助を終了する。
【0087】
また第1の実施形態と同様に制御コントローラ51は、保持動作を制御する。つまり制御コントローラ51は、入出力ボード52、保持機構対301,302の第1のアンプ53を介して保持機構対301,302のモータ37を駆動させ、保持機構対301,302の摩擦付勢部材38を挿入部10に付勢(締め付け)させる。これにより保持機構対301,302に対する挿入部10の状態は、非保持状態から保持状態に切り換わる。制御コントローラ51は、保持機構対301,302に挿入部10を保持させ、保持機構対301,302による挿入部10の保持状態が維持される(Step18)。これにより動作を終了する。なお挿入力、または抜去力が第1の設定値αを低下していると、判別部55が判別した場合(Step11:No)、Step18に進む。
【0088】
なお挿入部を捻る際の挿入部保持装置本体の動作についてのフローチャートは、図26における挿入力、抜去力が、捻り力に代わっているのみのため省略する。なおこの場合、回転量センサ42によって挿入部10の捻れ方向(時計回りに回転しているか半時計回りに回転しているか)が検出され、捻れ動作がモータ61によって補助される。またモータ61に与えられるトルクを上述と同様にトルクT0とする。上述したように判別部55は、トルクTがトルクT0よりも小さいか否かを判別することで、術者2が挿入部10を捻っているか否かを判別する。トルクTがトルクT0よりも小さい場合、上述したように制御コントローラ51は、保持機構対301,302に挿入部10を保持させ、保持機構対301,302による挿入部10の保持状態が維持される。
【0089】
このように本実施形態は、第1の実施形態と同様に挿入部10を進退、または捻る際に、挿入力、抜去力、捻り力が第1の設定値αを越えたか否かを判別し、超えていた場合に保持機構対301,302による保持状態を非保持状態に切り換えて開放させる。超えていない場合には制御コントローラ51は、保持動作を制御することで、保持機構対301,302により保持させて、保持状態を維持し、挿入部10の動きを固定させている。保持状態において本実施形態は、挿入部10に作用する例えば患者3の突発的な動きや、偶発的に生じた不可抗力といった術者2にとって進退方向及び捻り方向における予期せぬ外力を検出する。その際、本実施形態は、保持状態を維持することができる。これにより本実施形態は、外力によって挿入部10が移動してしまうことを操作性を損なうことなく防止することができる。
【0090】
また本実施形態における判別部55は、保持機構対301,302による付勢を開放させている際に(非保持状態において)、ローラ対32の回転方向から挿入部10の進退方向(挿入されているか、抜去されているかを)、ローラ対33の回転方向から捻りの回転方向を判別している。本実施形態は、この判別結果からモータ60,61を駆動させることで挿入部10の進退動作及び捻り動作を補助することができる。これにより術者2は、挿入部10を意図するように簡易に挿入、抜き出し、回転させることができる。
【0091】
次に図27、図28A乃至図28Dを参照して本発明に関わる第3の実施形態について詳細に説明する。
図27は、本実施形態における操作部の概略斜視図である。図28A乃至図28Dは、患者に挿入部を挿入させる際の挿入部保持装置本体の動作を示す図である。
前述した各実施形態と同一部位については同符合を付し、その詳細な説明は省略する。本実施形態における挿入部保持装置本体30、操作部70以外の構成は、上述した第1の実施形態と同様であるためにその詳細な説明については省略する。挿入部保持装置本体30の構成は、前述した第2の実施形態における構成と同様である。ただし、X軸方向におけるローラ対32、保持機構対301、保持機構対302配置位置関係は、第1の実施形態と同様である(ローラ対32は、第2の実施形態のようにX軸方向において保持機構対301と保持機構対302の間に配置されているのではなく、第1の実施形態と同様にX軸方向において保持機構対302よりも患者3に近接して配置されている)。本実施形態におけるローラ32aは、第2実施形態と同様に駆動部であるモータ60によって回転する駆動部である。またローラ対32は、挿入部10を保持する保持部を兼ねる。また操作部70には、第1の指示部である保持スイッチ71が設けられている。保持スイッチ71は、挿入部保持装置本体30とは別体で構成され、操作部70に一体的に構成されている。本実施形態において保持スイッチ71がOFFの際、ローラ対32,33が挿入部10の進退動作、捻り動作に対して受動的に回転し、非保持状態になる。ローラ対32,33は、挿入部10に対して進退、または捻りのガイドとして動作する(ガイドモード)。本実施形態において保持スイッチ71がONの際、ローラ対32,33は、挿入部10保持する保持状態となる。ローラ対32,33は、挿入部10に対して原点位置(詳細については後述する)を維持するように動作する(原点位置モード)。このように第1の指示部である保持スイッチ71は、操作部70を介して制御コントローラ51に保持状態(原点位置モード)と非保持状態(ガイドモード)との切り換えを指示する。保持スイッチ71のON、OFFは、入出力ボード52を介して制御コントローラ51に入力される。制御コントローラ51において、判別部55は、保持スイッチ71がONか否かを判別する。
【0092】
また本実施形態における制御機構は、前述した第2の実施形態と略同様であるために詳細な説明は省略する。
【0093】
次に図28A乃至図28Dを参照して患者に挿入部を挿入させる際の挿入部保持装置本体の動作について説明する。
保持スイッチ71がOFFの状態において、例えば前述した第1の実施形態におけるStep2において保持機構対301、保持機構対302が保持状態から非保持状態に切り換わった際に、図28Aに示すようにローラ対32は、挿入部10に対して受動的に回転する。回転するローラ対32は、ガイドモードに切り換わることで挿入部10の挿入に対するガイドとして作動する。なおローラ対32は、挿入部10が抜去する際にもガイドとして作動する。
【0094】
ガイドモードにおいて、挿入力が0になった場合、例えば前述した第1の実施形態と同様に、保持機構対301,302によって挿入部10の保持状態が維持される。
【0095】
次に例えば挿入力が生じない(例えば術者2が挿入部10を患者3に挿入しない)場合において、保持スイッチ71がONになると、制御コントローラ51は、ローラ対32の回転を停止させて、この状態を維持する。なおこの停止した位置を原点位置と称する。このようにローラ対32は、原点位置モードに切り換わることで保持スイッチ71がONになった際のローラ対32の回転位置を原点位置として、図28Bに示すように挿入部10を保持する。
【0096】
原点位置モードにおいて、制御コントローラ51には、回転量センサ41、入出力ボード52を介してローラ32aの回転量が入力される。制御コントローラ51は、この回転量を参照して原点位置を維持するように入出力ボード52、第2のアンプ57を介してモータ60を駆動させてローラ32aを制御する。詳細には、制御コントローラ51は、回転量を参照して第1の指令値を入出力ボード52、第2のアンプ57を介してモータ60に出力する。モータ60は、この第1の指令値に基づいてローラ32aを回転させる。患者側から外力が生じない場合、この第1の指令値によって生じるモータ60のトルクT1は、ほぼ0である。
【0097】
次に図28Bに示す状態において、例えば術者2にとって患者3から抜去方向に予期せぬ外力が生じて、図28Cに示すようにローラ対32が原点位置から微小角度Δθ回転した場合、回転量センサ41、入出力ボード52を介してローラ32aの回転量である微小角度Δθが制御コントローラ51に入力される。判別部55は、微小角度Δθから患者3から抜去方向に生じた外力か、患者3から挿入方向に生じた外力かを判別する。制御コントローラ51は、判別結果に基づいて原点位置を維持するために、再び入出力ボード52、第2のアンプ57を介してモータ60を駆動させてローラ32aを制御する。詳細には、図6Dに示すように制御コントローラ51は、微小角度Δθを参照して第1の指令値によって生じるモータ60のトルクT1よりも大きいトルクT2を生じさせる第2の指令値を入出力ボード52、第2のアンプ57を介してモータ60に出力する。このトルクT2は、T2=外力(F)/ローラ32aの半径(r)、より算出される。この第2の指令値には、上述した判別結果によってローラ32aを回転させる際の回転方向情報が含まれている。ローラ32aは、外力が抜去方向に生じた場合、原点位置を維持するために時計回りに回転し、外力が挿入方向に生じた場合、原点位置を維持するために反時計回りに回転する。モータ60は、このような第2の指令値に基づいてローラ32aを回転させる。これにより術者2にとって患者3から抜去方向に予期せぬ外力が生じても、挿入部保持装置本体30は、保持している挿入部10の原点位置を維持することができる。
【0098】
このように原点位置モードにおいて、回転量センサ41が、患者3側から外力を検出した際に、制御コントローラ51は、外力に対して逆向きで同じ大きさの力をローラ32aに与えて保持状態を維持する。これにより挿入部保持装置本体30は、保持機構対301,302が保持状態であっても挿入部10をより強固に保持することができる。
【0099】
なお第2の指令値及び第2の指令値によって生じるトルクT2は、回転量毎によってそれぞれ任意に設定される。
【0100】
また術者2にとって患者3から挿入方向、または捻り方向に予期せぬ外力が生じた際については、上述した図28A乃至図28Dにおいて説明した術者2にとって患者3から抜去方向に予期せぬ外力が生じた場合と同様であるために詳細な説明については省略する。
【0101】
このように本実施形態は、術者2にとって患者3から進退方向、または捻り方向に予期せぬ外力が生じた際に、ローラ対32,33に対する回転量を検出し、モータ60,61に対してトルクを発生させることで、挿入部10の原点位置を維持することができる。これにより本実施形態は、上述した第1、第2の実施形態と同様に術者2にとって患者3から予期せぬ外力によって挿入部10が移動してしまうことを操作性を損なうことなく防止することができる。
【0102】
また保持スイッチ71が、操作部70と一体的に構成され、挿入部保持装置本体30とは別体で構成されているために、保持状態と非保持状態の切り換え操作を容易に行うことができる。
【0103】
次に図29A、図29B、図29C、図30、図31を参照して本発明に関わる第4の実施形態について詳細に説明する。前述した各実施形態と同一部位については同符合を付し、その詳細な説明は省略する。
【0104】
図29Aは、本実施形態における操作部の概略斜視図である。図29Bは、本実施形態における操作部の概略側面図である。図29Bは、本実施形態における操作部の概略上面図である。図30は、保持スイッチ、抜去スイッチ、捻りスイッチがOFF、挿入スイッチがONの状態における挿入部、ローラ対、操作部、制御部の関係を示す図である。図31は、操作部を操作させる際の動作を示すフローチャートである。
【0105】
本実施形態における挿入部保持装置本体30、操作部70以外の構成は、上述した第1の実施形態と同様であるためにその詳細な説明については省略する。挿入部保持装置本体30の構成は、前述した第3の実施形態における構成と同様である。操作部70には、図29A、図29B、図29Cに示すように保持スイッチ71と、第2の指示部である進退スイッチ75が設けられている。進退スイッチ75には、挿入スイッチ72、抜去スイッチ73、捻りスイッチ74が設けられている。挿入スイッチ72、抜去スイッチ73、捻りスイッチ74は、保持スイッチ71と同様に挿入部保持装置本体30とは別体で構成され、操作部70に一体的に構成されている。本実施形態において保持スイッチ71がOFF、挿入スイッチ72がONの際、ローラ対32が挿入部10の挿入動作を補助する。本実施形態において保持スイッチ71がOFF、抜去スイッチ73がONの際、ローラ対32が挿入部10の抜去動作を補助する。本実施形態において保持スイッチ71がOFF、捻りスイッチ74がONの際、ローラ対33が挿入部10の捻り動作を補助する。なお例えば図29Bにおいて捻りスイッチ74が時計回りに回動する(捻りスイッチ74がON)と、図20A、図20B、図20Cに示すようにローラ対33が反時計回りに回る。これにより挿入部10が時計回りに捻られる捻り動作が補助される。図29Bにおいて捻りスイッチ74が反時計回りに回動する(捻りスイッチ74がON)と、ローラ33aが時計回りに回る。これにより挿入部10が反時計回りに捻られる捻り動作が補助される。また保持スイッチ71がOFFの際、挿入スイッチ72、抜去スイッチ73は、どちらか一方がONになり他方がOFFになる。なお本実施形態は挿入スイッチ72、抜去スイッチ73のどちらか一方がONの際、捻りスイッチ74をONにすることができる。これにより挿入動作、または抜去動作のどちらか一方を補助しつつ捻り動作を補助することができる。または保持スイッチ71がOFFの際、挿入スイッチ72、抜去スイッチ73、捻りスイッチ74がOFFになる(第3の実施形態におけるガイドモード)。また保持スイッチ71がONの際は、挿入スイッチ72、抜去スイッチ73、捻りスイッチ74がOFFになる(第3の実施形態における原点位置モード)。このように進退スイッチ75は、制御コントローラに挿入部10の挿入動作、抜去動作、または捻り動作の補助を指示する。保持スイッチ71、挿入スイッチ72、抜去スイッチ73、捻りスイッチ74のON、OFFは、入出力ボード52を介して制御コントローラ51に入力される。制御コントローラ51において、判別部55は、保持スイッチ71、挿入スイッチ72、抜去スイッチ73、捻りスイッチ74がONか否かを判別する。
【0106】
本実施形態における保持スイッチ71による動作は、前述した第3の実施形態と同様であるために省略する。
【0107】
次に図30を参照して本実施形態における挿入スイッチ72による挿入補助動作について説明する。なお図30において捻り補助は行われないものとする。そのため図30には捻りスイッチ74は省略している。
保持スイッチ71がOFFの状態において、術者2が挿入スイッチ72をONにした場合、制御コントローラ51は、挿入動作に対する補助動作を制御する。その際、制御コントローラ51は、入出力ボード52、第2のアンプ57を介してモータ60を駆動させる。このときモータ60は、判別部55からの判別結果によって挿入部10の進退方向と同一方向にローラ32aを回転させる(この場合、ローラ32aは正回転する)。
【0108】
制御コントローラ51は、ローラ32aが正回転するようにモータ60に対してトルクを発生させる。このトルクは、ローラ32aの回転量(例えば一定の回転速度)が予め任意に設定された値を維持するように図示しない制御コントローラ51により制御される。このように制御コントローラ51はローラ対32を正回転させ、挿入部10の挿入動作を補助する。
【0109】
なおローラ32aの回転量は、回転量センサ41によって入出力ボード52を介して制御コントローラ51に出力される。その際、上述したように制御コントローラ51は、ローラ32aの回転量(例えば一定の回転速度)を予め任意に設定された値に維持する。そのため制御コントローラ51は、この回転量に基づいて入出力ボード52を介して第2のアンプ57における回転信号を増減幅させる。この回転信号は、モータ60を回転させる信号である。これによりローラ32aの回転量(例えば一定の回転速度)が予め任意に設定された値を維持するトルクがモータ60に発生する。ローラ32aには、常に同一の回転量(例えば一定の回転速度)が生じ、ローラ32aは正回転する。このように挿入部10は、挿入動作を補助される。
【0110】
次に術者2が挿入動作に対する補助動作を停止させる場合、挿入スイッチ72をOFFにする。その際、制御コントローラ51は、入出力ボード52、第2のアンプ57を介してモータ60の駆動を停止させる。これにより挿入補助動作が終了する。
【0111】
次に本実施形態における抜去スイッチ73による抜去補助動作について説明する。
保持スイッチ71がOFFの状態において、術者2が抜去スイッチ73をONにした場合、制御コントローラ51は、抜去動作に対する補助動作を制御する。その際、制御コントローラ51は、入出力ボード52、第2のアンプ57を介してモータ60を駆動させる。このときモータ60は、判別部55からの判別結果によって挿入部10の進退方向と同一方向にローラ32aを回転させる(この場合、ローラ32aは負回転する)。
【0112】
制御コントローラ51は、ローラ32aが負回転するようにモータ60に対してトルクを発生させる。このトルクは、ローラ32aの回転量(例えば一定の回転速度)が予め任意に設定された値を維持するように図示しない制御コントローラ51により制御される。このように制御コントローラ51はローラ対32を負回転させ、挿入部10の挿入動作を補助する。
【0113】
なおローラ32aの回転量は、回転量センサ41によって入出力ボード52を介して制御コントローラ51に出力される。その際、上述したように制御コントローラ51は、ローラ32aの回転量(例えば一定の回転速度)を予め任意に設定された値に維持する。そのため制御コントローラ51は、この回転量に基づいて入出力ボード52を介して第2のアンプ57における回転信号を増減幅させる。この回転信号は、モータ60を回転させる信号である。これによりローラ32aの回転量(例えば一定の回転速度)が予め任意に設定された値を維持するトルクがモータ60に発生する。ローラ32aには、常に同一の回転量(例えば一定の回転速度)が生じ、ローラ32aは負回転する。このように挿入部10は、抜去動作を補助される。
【0114】
次に術者2が抜去動作に対する補助動作を停止させる場合、抜去スイッチ73をOFFにする。その際、制御コントローラ51は、入出力ボード52、第2のアンプ57を介してモータ60の駆動を停止させる。これにより抜去補助動作が終了する。
【0115】
なお本実施形態における捻りスイッチ74による捻り補助動作は、上述した挿入動作、または抜去動作の際に行うことができる。また捻り補助動作は、単独で行うこともできる。
【0116】
保持スイッチ71がOFFの状態において、術者2が捻りスイッチ74をONにした場合、制御コントローラ51は、捻り動作に対する補助動作を制御する。その際、制御コントローラ51は、入出力ボード52、第3のアンプ58を介してモータ61を駆動させる。このときモータ61は、判別部55からの判別結果によって捻りスイッチ74の回転方向と逆方向にローラ33aを回転させる。
【0117】
制御コントローラ51は、ローラ33aが回転するようにモータ60に対してトルクを発生させる。このトルクは、ローラ33aの回転量(例えば一定の回転速度)が予め任意に設定された値を維持するように図示しない制御コントローラ51により制御される。このように制御コントローラ51はローラ対33を回転させ、挿入部10の捻り動作を補助する。
【0118】
なおローラ33aの回転量は、回転量センサ42によって入出力ボード52を介して制御コントローラ51に出力される。その際、上述したように制御コントローラ51は、ローラ33aの回転量(例えば一定の回転速度)を予め任意に設定された値に維持する。そのため制御コントローラ51は、この回転量に基づいて入出力ボード52を介して第3のアンプ58における回転信号を増減幅させる。この回転信号は、モータ61を回転させる信号である。これによりローラ33aの回転量(例えば一定の回転速度)が予め任意に設定された値を維持するトルクがモータ61に発生する。ローラ33aには、常に同一の回転量(例えば一定の回転速度)が生じ、ローラ33aは回転する。このように挿入部10は、捻り動作を補助される。
【0119】
捻り補助は、上述したように捻りスイッチ74が時計回りに回動すると、図20A、図20B、図20Cに示すようにローラ対33が反時計回りに回る。これにより挿入部10が時計回りに捻られる捻り動作が補助される。図29Bにおいて捻りスイッチ74が反時計回りに回動する(捻りスイッチ74がON)と、ローラ33aが時計回りに回る。これにより挿入部10が反時計回りに捻られる捻り動作が補助される。
【0120】
次に術者2が捻り動作に対する補助動作を停止させる場合、捻りスイッチ74をOFFにする。その際、制御コントローラ51は、入出力ボード52、第3のアンプ58を介してモータ61の駆動を停止させる。これにより抜去補助動作が終了する。
【0121】
次に図31を参照して本実施形態における操作部を操作させる際の動作について説明する。
判別部55は、保持スイッチ71がONか否かを判別する(Step21)。判別部55が、保持スイッチ71がONであると判別すれば(Step21:Yes)、上述した第3の実施形態のように、制御ユニット50は、原点位置を維持する原点位置モードに入る(Step22)。これにより挿入部10がローラ対32によってローラ対32の原点位置にて保持され、術者2が操作部70を操作する動作は、終了する。
【0122】
判別部55が、保持スイッチ71がONであると判別しなければ(Step21:No)、判別部55が、保持スイッチ71がOFFであると判別する。次に判別部55は、進退スイッチ75がONか否かを判別する(Step23)。なお進退スイッチ75がONとは、挿入スイッチ72、抜去スイッチ73と、捻りスイッチ74のいずれか1つのみがON、または挿入スイッチ72、抜去スイッチ73のどちらか一方と、捻りスイッチ74がONであることを示す。判別部55が、進退スイッチ75がONであると判別すれば(Step23:Yes)、制御ユニット50は、入出力ボード52、第2のアンプ57を介してモータ60を駆動させてローラ32aを制御し、挿入動作、または抜去動作に対する補助を行う。また制御ユニット50は、入出力ボード52、第3のアンプ58を介してモータ61を駆動させてローラ33aを制御し、捻り動作に対する補助を行う。つまり挿入動作、抜去動作、捻り動作のいずれか1つのみが補助される、または挿入動作、抜去動作のどちらか一方と捻り動作が補助される(Step24)。
【0123】
詳細には、挿入スイッチ72がONになれば、制御コントローラ51は、入出力ボード52、第2のアンプ57を介して一定のトルクをモータ60に発生させ、ローラ32aを一定の回転量(例えば一定の回転速度)にて正回転させる。これにより挿入部10は、ローラ対32によって挿入動作を補助される。挿入動作に対する補助は、挿入スイッチ72がONの状態である限り継続される。そのためStep23に戻る。また抜去スイッチ73がONになれば、制御コントローラ51は、入出力ボード52、第2のアンプ57を介して一定のトルクをモータ60に発生させ、ローラ32aを一定の回転量(例えば一定の回転速度)にて負回転させる。これにより挿入部10は、ローラ対32によって抜去動作を補助される。抜去動作に対する補助は、抜去スイッチ73がONの状態である限り継続される。そのためStep23に戻る。また捻りスイッチ74がONになれば、制御コントローラ51は、入出力ボード52、第3のアンプ58を介して一定のトルクをモータ61に発生させ、ローラ33aを一定の回転量(例えば一定の回転速度)にて回転させる。これにより挿入部10は、ローラ対33によって捻り動作を補助される。捻り動作に対する補助は、捻りスイッチ74がONの状態である限り継続される。そのためStep23に戻る。
【0124】
判別部55が、進退スイッチ75がONであると判別しなければ(Step23:No)、判別部55が、進退スイッチ75がOFFであると判別する。進退スイッチ75がOFFとは、挿入スイッチ72、抜去スイッチ73、捻りスイッチ74の両方がOFFであることを示す。この場合、判別部55は、挿入動作の補助、抜去動作の補助、捻り動作の補助を行わないと判別する。これにより制御コントローラ51は、入出力ボード52、第2のアンプ57を介して一定のトルクをモータ60に発生させることはない。また制御コントローラ51は、入出力ボード52、第3のアンプ58を介して一定のトルクをモータ61に発生させることはない。これによりローラ対32,33は、挿入部10に対して進退、または捻りのガイドとして動作する(ガイドモード(Step25))。ガイドモードにおいて、挿入力が0になった場合、例えば前述した第1、第3の実施形態と同様に、保持機構対301,302によって挿入部10の保持状態が維持される。これにより術者2が操作部70を操作する動作は、終了する。
【0125】
このように本実施形態は、前述した第3の実施形態と同様の効果を得ることができる。また本実施形態は、操作部70において進退スイッチ75をONにすることで挿入動作、抜去動作、捻り動作を補助することができる。
【0126】
また保持スイッチ71、挿入スイッチ72、抜去スイッチ73、捻りスイッチ74が、操作部70と一体的に構成され、挿入部保持装置本体30とは別体で構成されているために、保持状態と非保持状態の切り換え、及び挿入補助、抜去補助、捻り補助の操作を容易に行うことができる。
【0127】
なお本実施形態は、捻りスイッチ74において、例えば挿入部10が時計回りに捻られる際に、ローラ対33が挿入部10の捻り動作を補助する第1の捻りスイッチと、例えば挿入部10が反時計回りに捻られる際に、ローラ対33が挿入部10の捻り動作を補助する第2の捻りスイッチが設けられていてもよい。保持スイッチ71がOFFの状態において、術者が第1の捻りスイッチ、または第2の捻りスイッチをONにすることで、ローラ33aが回転し、挿入部10はローラ対33によって時計回り、または反時計回りの捻り動作を補助される。ローラ対33を回転させるモータ61に生じるトルクは、挿入動作に対する補助動作や抜去動作に対する補助動作と同様である。
【図面の簡単な説明】
【0128】
【図1】図1は、第1の実施形態における挿入部保持装置本体と患者の配置関係を示す概略図である。
【図2】図2は、挿入部保持装置を使用する際の概略斜視図である。
【図3】図3は、図2に示した挿入部保持装置の概略側面図である。
【図4】図4は、図2に示した挿入部保持装置の概略正面図である。
【図5】図5は、図4に示す回動部を回動させた際の挿入部保持装置本体の概略正面図である。
【図6】図6は、図4に示す回動部を回動させた際の挿入部保持装置本体の概略上面図である。
【図7】図7は、図4に示す挿入部保持装置本体に挿入部を挿入させた際の挿入部保持装置の概略上面図である(回動部は図示せず)。
【図8】図8は、保持機構の概略斜視図である。
【図9】図9は、図7に示す保持機構のA−A概略断面図である。
【図10】図10は、力センサの概略斜視図である。
【図11】図11は、図7に示す挿入部保持装置のB−B概略断面図である。
【図12A】図12Aは、挿入部保持装置本体の内部を示す概略斜視図(挿入部、ローラ対、回転量センサの位置関係を示す)概略斜視図である。
【図12B】図12Bは、ローラ対の変形例である。
【図12C】図12Cは、ローラ対の変形例である。
【図13】図13は、図7に示す挿入部保持装置本体のC−C概略断面図である。
【図14】図14は、第1の実施形態の制御機構を概略的に示した制御図である。
【図15A】図15Aは、患者に挿入部を挿入させる際の挿入部保持装置本体の動作を示す図である。
【図15B】図15Bは、患者に挿入部を挿入させる際の挿入部保持装置本体の動作を示す図である。
【図15C】図15Cは、患者に挿入部を挿入させる際の挿入部保持装置本体の動作を示す図である。
【図15D】図15Dは、患者に挿入部を挿入させる際の挿入部保持装置本体の動作を示す図である。
【図16】図16は、患者から挿入部を抜去させる際の挿入部保持装置本体の動作を示す図である。
【図17】図17は、患者から挿入方向に予期せぬ外力が生じた際の挿入部保持装置本体の動作を示す図である。
【図18】図18は、患者から抜去方向に予期せぬ外力が生じた際の挿入部保持装置本体の動作を示す図である。
【図19】図19は、患者に挿入部を挿入させる際の挿入部保持装置本体の動作を示すフローチャートである。
【図20A】図20Aは、挿入部を捻る際の挿入部保持装置本体の動作を示す図である。
【図20B】図20Bは、挿入部を捻る際の挿入部保持装置本体の動作を示す図である。
【図20C】図20Cは、挿入部を捻る際の挿入部保持装置本体の動作を示す図である。
【図21】図21は、摩擦付勢部材が挿入部保持装置本体から着脱する際の概略図である。
【図22】図22は、ローラが挿入部保持装置本体から着脱する際の概略図である。
【図23】図23は、第2の実施形態の特徴部を示す図であり、挿入部保持装置本体の内部の配置関係を示す(挿入部、ローラ対、回転量センサ、保持機構対、モータの位置関係を示す)概略斜視図である。
【図24】図24は、第2の実施形態の制御機構を概略的に示した制御図である。
【図25A】図25Aは、患者に挿入部を挿入させる際の挿入部保持装置本体の動作を示す図である。
【図25B】図25Bは、患者に挿入部を挿入させる際の挿入部保持装置本体の動作を示す図である。
【図25C】図25Cは、患者に挿入部を挿入させる際の挿入部保持装置本体の動作を示す図である。
【図26】図26は、患者に挿入部を挿入させる、または挿入部を抜去させる際の挿入部保持装置本体の動作を示すフローチャートである。
【図27】図27は、第3の実施形態における操作部の概略斜視図である。
【図28A】図28Aは、患者に挿入部を挿入させる際の挿入部保持装置本体の動作を示す図である。
【図28B】図28Bは、患者に挿入部を挿入させる際の挿入部保持装置本体の動作を示す図である。
【図28C】図28Cは、患者に挿入部を挿入させる際の挿入部保持装置本体の動作を示す図である。
【図28D】図28Dは、患者に挿入部を挿入させる際の挿入部保持装置本体の動作を示す図である。
【図29A】図29Aは、第4の実施形態における操作部の概略斜視図である。
【図29B】図29Bは、第4の実施形態における操作部の概略側面図である。
【図29C】図29Cは、第4の実施形態における操作部の概略上面図である。
【図30】図30は、保持スイッチ、抜去スイッチ、捻りスイッチがOFF、挿入スイッチがONの状態における挿入部、ローラ対、操作部、制御部の関係を示す図である。
【図31】図31は、操作部を操作させる際の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0129】
1…挿入部保持装置、2…術者、3…患者、3a…頭部、4…ベッド、5…枕、10…挿入部、26…突起部、27…凸凹部、28…溝、29…溝、30…挿入部保持装置本体、32…ローラ対、32a…ローラ、32b…ローラ、33…ローラ対、33a…ローラ、33b…ローラ、34…回動部、34a…支点、35…接点、36…接地部、37…モータ、38…摩擦付勢部材、39…力センサ、40…ネジ部、41…回転量センサ、42…回転量センサ、43…バネ、44…支持部材、45…防水部材、46…軸部、47…支持部材、48…ヘッド部、49…支持部材、50…制御ユニット、51…制御コントローラ、52…入出力ボード、53…第1のアンプ、54…エンコーダ、55…判別部、56…設定部、57…第2のアンプ、58…第3のアンプ、60…モータ、61…モータ、70…操作部、71…保持スイッチ、72…挿入スイッチ、73…抜去スイッチ、74…捻りスイッチ、75…進退スイッチ、301…保持機構対、301a…保持機構、301b…保持機構、302…保持機構対、302a…保持機構、302b…保持機構。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体の管腔に挿入され、前記管腔に対して進退させられる、または捻られる内視鏡の挿入部を保持する保持部と、
前記保持部を、前記挿入部の動きを規制する保持状態と、前記挿入部の動きを自由にする非保持状態と、のいずれかの状態に切り換える制御を行う制御部と、
を具備することを特徴とする挿入部保持装置。
【請求項2】
前記挿入部が操作される際に、前記挿入部に直接加えられる操作量を検出する検出部をさらに有し、
前記制御部は、前記検出部によって検出された前記操作量に基づいて前記保持状態と前記非保持状態とを切り換えることを特徴とする請求項1に記載の挿入部保持装置。
【請求項3】
前記検出部が検出する前記操作量は、前記挿入部が操作される際に、前記挿入部に直接加えられる力の方向、大きさ及び前記力が加えられた側であることを特徴とする請求項2に記載の挿入部保持装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記検出部が前記力が加えられた側が前記挿入部を操作する術者側からであることを検出した際に、前記保持部を前記非保持状態に切り換える制御を行うことを特徴とする請求項3に記載の挿入部保持装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記検出部が前記力が加えられた側が前記被検体側からであることを検出した際に、前記保持部を前記保持状態に切り換える制御を行うことを特徴とする請求項3に記載の挿入部保持装置。
【請求項6】
前記保持状態は、前記保持部が一定の付勢力によって前記挿入部を把持した状態であることを特徴とする請求項3に記載の挿入部保持装置。
【請求項7】
前記保持状態は、前記保持部が前記挿入部に前記被検体側から生じる前記力の方向に対して逆向き、且つ同じ大きさの力を与えた状態であることを特徴とする請求項3に記載の挿入部保持装置。
【請求項8】
前記制御部に前記保持状態と前記非保持状態との切り換えを指示する第1の指示部をさらに有し、
前記第1の指示部は、前記保持部とは別体で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の挿入部保持装置。
【請求項9】
前記第1の指示部は、前記挿入部の動きを操作する操作部と一体的に構成されていることを特徴とする請求項8に記載の挿入部保持装置。
【請求項10】
前記挿入部の進退動作、または捻り動作を補助する駆動部をさらに有することを特徴とする請求項2に記載の挿入部保持装置。
【請求項11】
前記駆動部は、前記挿入部に加えられた前記操作量が所定の範囲を超えた際に駆動されることを特徴とする請求項10に記載の挿入部保持装置。
【請求項12】
前記駆動部は、前記保持部を兼ねることを特徴とする請求項10に記載の挿入部保持装置。
【請求項13】
前記駆動部に前記挿入部の挿入動作、抜去動作、捻り動作の補助を指示する第2の指示部をさらに有し、
前記第2の指示部は、前記保持部とは別体で構成されていることを特徴とする請求項10に記載の挿入部保持装置。
【請求項14】
前記第2の指示部は、前記挿入部の動きを操作する操作部と一体的に構成されていることを特徴とする請求項13に記載の挿入部保持装置。
【請求項15】
前記保持部は、前記被検体を配置する配置部材上に配置されることを特徴とする請求項1に記載の挿入部保持装置。
【請求項16】
前記制御部は、前記保持部と別体で構成され、前記保持部よりも鉛直方向下方に配置されることを特徴とする請求項1に記載の挿入部保持装置。
【請求項17】
前記挿入部に直接接触し、当該挿入部保持装置に対して着脱可能である接触部をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の挿入部保持装置。
【請求項18】
前記接触部は、前記挿入部に対して直接接触することで前記挿入部を付勢する付勢部、または前記挿入部に対して直接接触した際に回転する回転部であることを特徴とする請求項17に記載の挿入部保持装置。
【請求項1】
被検体の管腔に挿入され、前記管腔に対して進退させられる、または捻られる内視鏡の挿入部を保持する保持部と、
前記保持部を、前記挿入部の動きを規制する保持状態と、前記挿入部の動きを自由にする非保持状態と、のいずれかの状態に切り換える制御を行う制御部と、
を具備することを特徴とする挿入部保持装置。
【請求項2】
前記挿入部が操作される際に、前記挿入部に直接加えられる操作量を検出する検出部をさらに有し、
前記制御部は、前記検出部によって検出された前記操作量に基づいて前記保持状態と前記非保持状態とを切り換えることを特徴とする請求項1に記載の挿入部保持装置。
【請求項3】
前記検出部が検出する前記操作量は、前記挿入部が操作される際に、前記挿入部に直接加えられる力の方向、大きさ及び前記力が加えられた側であることを特徴とする請求項2に記載の挿入部保持装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記検出部が前記力が加えられた側が前記挿入部を操作する術者側からであることを検出した際に、前記保持部を前記非保持状態に切り換える制御を行うことを特徴とする請求項3に記載の挿入部保持装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記検出部が前記力が加えられた側が前記被検体側からであることを検出した際に、前記保持部を前記保持状態に切り換える制御を行うことを特徴とする請求項3に記載の挿入部保持装置。
【請求項6】
前記保持状態は、前記保持部が一定の付勢力によって前記挿入部を把持した状態であることを特徴とする請求項3に記載の挿入部保持装置。
【請求項7】
前記保持状態は、前記保持部が前記挿入部に前記被検体側から生じる前記力の方向に対して逆向き、且つ同じ大きさの力を与えた状態であることを特徴とする請求項3に記載の挿入部保持装置。
【請求項8】
前記制御部に前記保持状態と前記非保持状態との切り換えを指示する第1の指示部をさらに有し、
前記第1の指示部は、前記保持部とは別体で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の挿入部保持装置。
【請求項9】
前記第1の指示部は、前記挿入部の動きを操作する操作部と一体的に構成されていることを特徴とする請求項8に記載の挿入部保持装置。
【請求項10】
前記挿入部の進退動作、または捻り動作を補助する駆動部をさらに有することを特徴とする請求項2に記載の挿入部保持装置。
【請求項11】
前記駆動部は、前記挿入部に加えられた前記操作量が所定の範囲を超えた際に駆動されることを特徴とする請求項10に記載の挿入部保持装置。
【請求項12】
前記駆動部は、前記保持部を兼ねることを特徴とする請求項10に記載の挿入部保持装置。
【請求項13】
前記駆動部に前記挿入部の挿入動作、抜去動作、捻り動作の補助を指示する第2の指示部をさらに有し、
前記第2の指示部は、前記保持部とは別体で構成されていることを特徴とする請求項10に記載の挿入部保持装置。
【請求項14】
前記第2の指示部は、前記挿入部の動きを操作する操作部と一体的に構成されていることを特徴とする請求項13に記載の挿入部保持装置。
【請求項15】
前記保持部は、前記被検体を配置する配置部材上に配置されることを特徴とする請求項1に記載の挿入部保持装置。
【請求項16】
前記制御部は、前記保持部と別体で構成され、前記保持部よりも鉛直方向下方に配置されることを特徴とする請求項1に記載の挿入部保持装置。
【請求項17】
前記挿入部に直接接触し、当該挿入部保持装置に対して着脱可能である接触部をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の挿入部保持装置。
【請求項18】
前記接触部は、前記挿入部に対して直接接触することで前記挿入部を付勢する付勢部、または前記挿入部に対して直接接触した際に回転する回転部であることを特徴とする請求項17に記載の挿入部保持装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図13】
【図14】
【図15A】
【図15B】
【図15C】
【図15D】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20A】
【図20B】
【図20C】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25A】
【図25B】
【図25C】
【図26】
【図27】
【図28A】
【図28B】
【図28C】
【図28D】
【図29A】
【図29B】
【図29C】
【図30】
【図31】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図13】
【図14】
【図15A】
【図15B】
【図15C】
【図15D】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20A】
【図20B】
【図20C】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25A】
【図25B】
【図25C】
【図26】
【図27】
【図28A】
【図28B】
【図28C】
【図28D】
【図29A】
【図29B】
【図29C】
【図30】
【図31】
【公開番号】特開2008−154758(P2008−154758A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−346367(P2006−346367)
【出願日】平成18年12月22日(2006.12.22)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月22日(2006.12.22)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
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