説明

捕虫紙

【課題】効率良く飛翔害虫を捕獲することができるとともに、捕虫紙を捕虫器にセットする場合に簡単に行うことができ、しかも、使用後の処理も簡便に行うことのできる捕虫紙を提供する。
【解決手段】捕虫器hの発光手段tにより誘引される飛翔害虫sを捕獲する捕虫紙1であって、矩形の台紙の表面に粘着層2が設けられているとともに、二つ折り可能に構成されていることを特徴とする捕虫紙1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛翔害虫を捕獲する捕虫器に、二つ折りにした状態で挿入して使用する捕虫紙に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に捕虫紙は、単体又は捕虫器に取り付けて使用される。この捕虫紙は、片面に粘着層が形成されて、ハエなどの飛翔害虫を粘着層によって捕獲するようになっている。
【0003】
ところで、捕虫器に捕虫紙を取り付けて、飛翔害虫を捕獲する方法は周知の技術である。例えば、捕虫器内にブラックライトなどの誘引ランプを設けて、そのライトに誘引された飛翔害虫を、粘着層を有する捕虫紙によって捕獲する方法が知られている。また、近年、調理施設のある食品工場においては、使用済みの捕虫紙から捕獲されている害虫の種類や数を調査するモニタリングを外部機関に依頼して、害虫による食品への悪影響を把握することにより、諸種の対策を講じるようになっている。
【0004】
ところが、このような捕虫器に使用される捕虫紙は、飛翔害虫を捕獲するための粘着層を台紙の片面にしか形成していないために、飛翔害虫を捕獲する量が自ずと限られてしまい、捕獲量が少ないという問題点がある。また、この捕虫紙を交換する際などは、粘着層が露出した状態のまま行うので、手や衣服に粘着物質が付着するなど問題点がある。
【0005】
さらに、粘着層に溜まった飛翔害虫をゴミとして処理する場合には、新しい捕虫紙に交換することが求められるが、その際、捕虫紙の粘着層が露出しているため、害虫の死骸に触れてしまうことがあるとともに、その無惨な死骸を目のあたりにして、衛生的にも精神的にも良くないという問題点もある。
【0006】
また、調理施設のある食品工場が、外部機関に依頼するモニタリングにおいては、飛翔害虫を正確に調査するために、粘着層に捕獲した飛翔害虫を捕獲した状態のまま搬送する必要がある。そのため、別に透明なシートを用意して、このシートを捕虫紙の粘着層に被せる必要があり、作業に手間がかかるという問題点もある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記従来技術の問題点を解決すべくなされたもので、効率良く飛翔害虫を捕獲することができるとともに、捕虫紙を捕虫器にセットする場合に簡単に行うことができ、しかも、使用後の処理も簡便に行うことのできる捕虫紙を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、捕虫器の発光手段により誘引される飛翔害虫を捕獲する捕虫紙であって、矩形の台紙の表面に粘着層が設けられているとともに、二つ折り可能に構成されていることを特徴とするものである。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、上記台紙が長方形状に形成されるとともに、長手方向に延びる中心線を折り曲げ線とすることにより二つ折り可能に構成されていることを特徴とするものである。
【0010】
さらに、請求項3に記載の発明は、上記台紙に、上記粘着層を覆うことが可能な矩形状の透明シートが設けられており、この透明シートの上記長手方向に沿う一方の縁部は、上記台紙の裏面の長手方向に延在する一端部に貼着されていることを特徴とするものである。
【0011】
そして、請求項4に記載の本発明は、上記台紙が、それぞれ細長矩形状に形成された第1の台紙と第2の台紙とを有し、かつこれらの第1の台紙と第2の台紙とが長手方向に延在する一端部同士が間隔をあけて平行に配設されて、接合手段を介して一体的に設けられていることにより、二つ折り可能に構成されていることを特徴とするものである。
【0012】
また、請求項5に記載の本発明は、上記第1の台紙と第2の台紙とに、各々上記粘着層を覆うことが可能な細長矩形状の第1および第2の透明シートが設けられており、これら第1および第2の透明シートの上記長手方向に沿う一方の縁部は、それぞれ上記第1の台紙と第2の台紙の裏面の長手方向に延在する他端部に貼着されていることを特徴とするものである。
【0013】
さらに、請求項6に記載の本発明は、上記透明シートの上記一方の縁部除く他の縁部に、当該縁部に沿って帯状の補強部材が設けられていることを特徴とするものである。
【0014】
さらに、請求項7に記載の本発明は、上記粘着層が、透明樹脂によって形成されており、上記台紙の表面には、飛翔害虫をカウントするための区画がラインによって形成されて、この台紙のラインが形成された領域の上に上記粘着層が設けられていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1〜7のいずれかに記載の本発明によれば、粘着層が設けられている台紙を、二つ折り可能に構成することにより、コンパクト化することができるとともに、捕虫紙を挿入して使用する上記捕虫器もコンパクト化することできる。また、上記捕虫紙の上記粘着層を表側にして二つ折りすることにより、上記捕虫紙の上記粘着層が表側の両面に露出した状態となるために、コンパクト化された上記捕虫紙であっても、効率的に飛翔害虫を捕獲することができ、上記飛翔害虫の捕獲量が増大する。
【0016】
また、上記飛翔害虫を捕獲した後に、上記捕虫紙を上記捕虫器から抜き出して、上記粘着層を互いに向き合うように二つ折りにすることにより、上記粘着層や上記飛翔害虫の死骸に触れることなく簡便に後処理を行うことができる。
【0017】
さらに、上記捕虫紙を販売する際には、上記捕虫紙を二つ折りにして包装することができるので、包装に必要なパッケージも小型に形成することができるとともに、交換用の上記捕虫紙を保管する際にも場所を取ることがない。また、上記捕虫紙を製造する際に、上記台紙の片面のみに粘着層を形成するだけでよく、作業性及び生産性が良い。
【0018】
また、請求項2に記載の発明によれば、上記台紙を長方形状に形成するとともに、長手方向に延びる中心線を折り曲げ線とすることにより二つ折り可能に構成しているために、上記台紙9を上記中心線において自在に曲げることができる。このため、上記捕虫器に挿入して使用する際に、上記捕虫紙の上記粘着層が表側の両面に露出する状態となるように折り畳むことができる。また、上記折り曲げ線に従って上記台紙を折り畳むことにより、上記台紙を上記捕虫器の差し込み口に容易に挿入することが可能な寸法にすることができる。
【0019】
一方請求項3に記載の発明によれば、上記台紙の裏面に、上記粘着層を覆うことが可能な長方形状の透明シートを設けており、この透明シートの上記長手方向に沿う一方の縁部は、上記台紙の裏面の長手方向に延在する一端部に貼着しているために、上記捕虫紙を二つ折りにして上記捕虫器の挿入する際に、上記透明シートが上記捕虫器の差し込み口及び差し込みレールに引っ掛かることが無く、上記捕虫紙を容易に捕虫器に装着することができる。また、使用後に、裏面に貼着された上記透明シートを表面に引き回して、上記粘着層の全面を覆うことにより、上記粘着層に捕獲された上記飛翔害虫の死骸を、上記粘着層ごと覆うことができる。このため、捕獲した上記飛翔害虫の死骸が上記粘着層から剥がれ落ちることなく処理することができるとともに、捕獲した上記飛翔害虫の数や種類などを調査するモニタリングを行う際にも、別のシートを用意して捕獲した上記飛翔害虫を覆う手間が省けて、捕獲した状態のまま即座に搬送することができる。
【0020】
そして、請求項4に記載の本発明によれば、上記台紙は、上記第1の台紙と第2の台紙とを同じ寸法の長細矩形状に形成して、それぞれの一端部同士が間隔をおいて接合手段により一体化されているために、上記第1の台紙と第2の台紙を、接合部において自在に折り曲げることができ、上記捕虫器に挿入して使用する際に、上記捕虫紙の粘着層が表側の両面に露出する状態となるように折り畳むことができる。さらに、上記第1の台紙及び第2の台紙は、同一形状で形成することができるので、上記捕虫紙を製造するときには、一つの形状の台紙を製造するだけでよく、製造コストを低減することができる。
【0021】
そして、請求項5に記載の本発明によれば、上記第1の台紙及び第2の台紙の裏面に、それ各々上記粘着層覆うことが可能な細長矩形状の第1および第2の透明シートを設けているために、上記台紙を二つ折りにして上記捕虫器の挿入する際に、上記透明シートが上記捕虫器の差し込み口及び差し込みレールに引っ掛かることが無く、上記捕虫紙を容易に上記捕虫器に装着することができる。また、使用後に、裏面に貼着されたそれぞれの上記透明シートを表面に引き回して、各々上記粘着層の全面を覆うことにより、上記粘着層に捕獲された上記飛翔害虫の死骸を、上記粘着層ごと覆うことができる。これにより、捕獲した上記飛翔害虫の死骸が上記粘着層から剥がれ落ちることなく処理することができるとともに、捕獲した上記飛翔害虫の数や種類などを調査するモニタリングを行う際にも、別のシートを用意して捕獲した上記飛翔害虫を覆う手間が省けて、捕獲した状態のまま即座に搬送することができる。
【0022】
さらに、請求項6に記載の本発明によれば、上記透明シートの上記一方の縁部を除く他の縁部に沿って帯状の補強部材を設けているために、上記透明シートが縒れることが無く、容易にかつ確実に上記台紙を覆うことができる。また、上記保証部材は持ち手となる機能も有するために、手が粘着層に触れることが無く、衛生的に上記台紙を覆うことができる。
【0023】
そして、請求項7に記載の本発明によれば、上記粘着層を透明樹脂により形成することによって、上記飛翔害虫の種類や数を調査するモニタリングのための格子状の上記区画ラインを台紙に直接形成することができる。また、上記区画ラインが、上記粘着層の下に形成されていることにより、上記粘着層が熱や空気により変形したとしも、上記区画ラインが歪むことがなく、上記飛翔害虫の種類や数を調査するモニタリングを効率良く行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
(第1実施形態)
図1〜4は、本発明の捕虫紙1の第1実施形態を示すものである。図3(a)に示すように、この捕虫紙1を取り付ける捕虫器hには、飛翔害虫を誘引する為の発光手段tが設けられている。そして、この捕虫紙1は、図3(b)に示すように、捕虫器hの側面の差し込み口rより挿入して、差し込みレールyを介して取り付けられる構造のものである。
【0025】
図1(a)及び図2(a)に示すように、捕虫紙1は、長方形に形成された台紙9を有しており、この台紙9の表面中央部には、それぞれ捕獲した飛翔害虫の数や種類などを調査するモニタリングのための格子状の区画ライン7が形成されている。この区画ライン7は、台紙9の短手方向に引いた多数本(図では11本)の横ラインによって構成されており、この横ラインが、等間隔に引かれることによって、枠内の面積がそれぞれ同一になるように形成されている。
【0026】
また、この区画ライン7を覆うように、ポリブデン系の透明な粘着層2が形成されている。さらに、台紙9に形成された粘着層2の表面には、剥離紙8が粘着層2の全面を覆うように設けられている。
【0027】
そして、台紙9は、長手方向に延びる中心線を折り曲げ線10とすることにより二つ折り可能に形成されている。
【0028】
また、図1(b)及び図2(b)に示すように、台紙9の裏面には、粘着層2の全面を覆う大きさの透明シート4が設けられており、この透明シート4の長手方向に延在する一端部13が台紙9の一端部11に貼着されている。
【0029】
ここで、透明シート4は、その長手方向に延在する一端部13が、台紙9の裏面の一端部11の幅5mm程度の糊代に塗布された接着剤により貼着されている。これにより、台紙9の表面に設けられ粘着層2全面を覆うためには、透明シート4の短手方向の幅を、透明シート4の糊代の接着剤に貼着された部分と、当該部分と透明シート4が重なり合う部分とを合わせた分だけ、台紙9の短手方向の幅より長く形成する必要があることから、透明シート4の短手方向の幅は、台紙9に比べて10mm程度長く形成されている。
【0030】
さらに、透明シート4の一端部13を除く他の縁部には、当該縁部に沿って、5mm程度の幅を有するとともに、1mm程度の厚さを有する帯状の厚紙により形成された補強部材12が設けられている。なお、補強部材12を、可撓性を有する合成樹脂または金属により形成することも可能であるが、上記合成樹脂や金属に比べ上記厚紙の方が安価であるために、上記厚紙により補強部材12を形成するのが好ましい。
【0031】
以上の構成からなる捕虫紙1を、捕虫器hに挿入して使用するには、まず図4(a)に示すように、台紙9の粘着層2の上面に覆われている剥離紙8を剥がして、台紙9の粘着層2が表面に露出するように、台紙9を折り曲げ線10に従って折り曲げる。この際、透明シート4が台紙9から10mm程度突出していることから、透明シート4が差し込み口rおよび差し込みレールyに引っ掛かるために、透明シート4の他端部14を裏面の折り曲げ線10に合わせて、透明シート4を折り曲げておく。
【0032】
さらに、図4(b)に示すように、二つ折りにした捕虫紙1を捕虫器hの側面の差し込み口rより、捕虫紙1の短手方向の端部より挿入し、差し込みレールyに沿って捕虫器hにセットする。
【0033】
そして、捕虫器hの発光手段tにより誘引された飛翔害虫(図中では符号sで示す飛翔害虫)が、時間の経過とともに捕虫紙1の粘着層2に捕獲される。次いで、特定の時間が経過した後に、捕虫紙1を捕虫器hの差し込み口rより、差し込みレールyに沿って引き出すとともに、二つ折りにしていた捕虫紙1を開く。
【0034】
次いで、図4(c)に示すように、台紙9の裏面から、透明シート4の他端部14を台紙9の表面の一端部11に向けて引き回す。そして、透明シート4の補強部材12を持って、台紙9の一端部11に透明シート4の他端部14を合わせることにより、飛翔害虫sが捕獲されている粘着層2の全面を透明シート4で覆う。このとき、透明シート4は、粘着層2に貼着されるので、別体の貼着手段を必要としない。
【0035】
そして、図4(d)に示すように、透明シート4に覆われた粘着層2が向き合うように、捕虫紙1の折り曲げ線10に従って二つ折りにして、飛翔害虫sを調査するためのモニタリング用に搬送するか、またはそのままゴミ箱等に廃棄する。
【0036】
(第2実施形態)
次に、本発明の捕虫紙1の第2実施形態をについて図5〜7に基づいて説明する。なお、捕虫器hや、捕虫紙1の構成など第1実施形態と同一の構成については、同一符号を用いることにより説明を省略する。
【0037】
本実施形態では、図5(a)および図6(a)に示すように、捕虫紙1は、細長矩形状に形成された第1の台紙1aと第2の台紙1bを有しており、これらの台紙1a、1bの表面中央部には、それぞれ捕獲した飛翔害虫の数や種類などを調査するモニタリングのための格子状の区画ライン7が形成されている。この区画ライン7は、第1の台紙1a及び第2の台紙1bの長手方向に引いた数本(図では1本)の縦ラインと、短手方向に引いた多数本(図では5本)の横ラインによって構成されており、この縦ラインと横ラインが、それぞれ等間隔に引かれることによって、枠内の面積がそれぞれ同一になるように形成されている。
【0038】
また、この区画ライン7を覆うように、ポリブデン系の透明な粘着層2が形成されている。さらに、第1の台紙1a及び第2の台紙1bに形成された粘着層2の表面には、剥離紙8が粘着層2の全面を覆うように設けられている。
【0039】
そして、図5(b)及び図6(b)に示すように、第1の台紙1aおよび第2の台紙1bは、長手方向に延在する一端部5a,5bが平行に間隔をおいて配設されており、第1の台紙1aの裏面の一端部5aには、接着テープ(接合手段)gの一端部が長手方向に延在して貼着されている。さらに、この接着テープgの他端部に、第2の台紙1bの裏面の他端部5bが貼着されている。これにより、第1の台紙1aと第2の台紙1bは、一体的に形成されるとともに、第1の台紙1aと第2の台紙1bの間の接着テープgによる接合部3によって、二つ折り可能に形成されている。
【0040】
また、第1の台紙1aおよび第2の台紙1bの裏面には、それぞれの粘着層2の全面を覆う大きさの第1の透明シート15および第2の透明シート16が設けられており、これらの透明シート15、16は、それぞれ長手方向に延在する一端部17a,17bが第1の台紙1aと第2の台紙1bの他端部6a、6bに貼着されている。
【0041】
この際、それぞれ透明シート15、16の長手方向に延在する一端部17a、17bが、各々台紙1a、1bの他端部6a、6bの幅5mm程度の糊代に塗布された接着剤により貼着されている。このため、各々台紙1a、1bの表面に設けられた粘着層2全面を覆うためには、それぞれの透明シート15、16の短手方向の幅を、それぞれ透明シート15、16の糊代の接着剤に貼着された部分と、当該部分と透明シート4が重なり合う部分とを合わせた分だけ、台紙9の短手方向の幅より長く形成する必要があることから、透明シート15、16の短手方向の幅は、それぞれの台紙6a、6bに比べて10mm程度長く形成されている。
【0042】
さらに、それぞれの透明シート15、16の一端部17a、17bを除く他の縁部には、当該縁部沿って、5mm程度の幅を有するとともに、1mm程度の厚さを有する帯状の厚紙により形成された補強部材12が設けられている。なお、補強部材12を、可撓性を有する合成樹脂または金属により形成することも可能であるが、上記合成樹脂や金属に比べ上記厚紙の方が安価であるために、上記厚紙により補強部材12を形成するのが好ましい。
【0043】
以上の構成からなる捕虫紙1を、捕虫器hに挿入して使用するには、図7(a)に示すように、第1の台紙1a及び第2の台紙1bの粘着層2の上面に覆われている剥離紙8を剥がして、第1の台紙1a及び第2の台紙1bの粘着層2が、表面に露出するように接合部3で折り曲げる。この際、透明シート15、16の他端部18a、18bが、第1の台紙1aおよび第2の台紙1bの裏面の接合部3上において、重なり合っていることから、上記台紙1a、および第2の台紙1bが接合部で折り曲げ難くなるために、透明シート15,16の他端部18a、18bを透明シート15,16の一端部17a、17bに合わせて、それぞれの透明シート15,16を折り曲げておく。
【0044】
さらに、図7(b)に示すように、二つ折りにした捕虫紙1を捕虫器hの側面の差し込み口rより、捕虫紙1の短手方向の端部より挿入し、差し込みレールyに沿って捕虫器hにセットする。
【0045】
そして、捕虫器hの発光手段tにより誘引された飛翔害虫(図中では符号sで示す飛翔害虫)が、時間の経過とともに捕虫紙1の粘着層2に捕獲される。次いで、特定の時間が経過した後に、捕虫紙1を捕虫器hの差し込み口rより、差し込みレールyに沿って引き出すとともに、二つ折りにされていた捕虫紙1を開く。
【0046】
次いで、図7(c)に示すように、第1の台紙1a及び第2の台紙1bの裏面から、透明シート15、16の他端部18a、18bを第1の台紙1aと第2の台紙1bの表面の一端部5a、5bに向けて引き回す。そして、各々の透明シート15、16の補強部材12を持って、それぞれの台紙1a、1bの一端部5a、5bに透明シート15、16の他端部18a、18bを合わせることにより、飛翔害虫sが捕獲されている粘着層2の全面を透明シート15、16で覆う。このとき、透明シート15、16は、粘着層2に貼着されるので、別体の貼着手段を必要としない。
【0047】
そして、図7(d)に示すように、透明シート15、16に覆われた粘着層2が向き合うように、捕虫紙1の接合部3を二つ折りにして、飛翔害虫sを調査するためのモニタリング用に搬送するか、またはそのままゴミ箱等に廃棄する。
【0048】
上述の第1及び第2実施形態の捕虫紙1においては、粘着層2が設けられている台紙4、1a、1bを、二つ折り可能に構成することにより、コンパクト化することができるとともに、捕虫紙1を挿入して使用する捕虫器hもコンパクト化することできる。また、捕虫紙1の粘着層2を表側にして二つ折りすることにより、捕虫紙1の粘着層2が表側の両面に露出した状態となるために、コンパクト化された捕虫紙1であっても、効率的に飛翔害虫sを捕獲することができ、飛翔害虫sの捕獲量が増大する。
【0049】
また、飛翔害虫sを捕獲した後に、捕虫紙1を捕虫器hから抜き出して、粘着層2を互いに向き合うように二つ折りにすることにより、粘着層2や飛翔害虫sの死骸に触れることなく簡便に後処理を行うことができる。
【0050】
さらに、捕虫紙1を販売するときにも、捕虫紙1を二つ折りにして包装することができるので、包装に必要なパッケージも小型に形成することができるとともに、交換用の捕虫紙1を保管する場合でも、場所を取ることがない。また、捕虫紙1を製造する際に、台紙9及び台紙1a及び1bの片面のみに粘着層2を形成するだけでよく、作業性及び生産性が良い。
【0051】
そして、台紙9、1a、1bの裏面に、粘着層2を覆うことが可能な透明シート4、15、16を設けているために、捕虫紙1を二つ折りにして捕虫器hの挿入する際に、透明シート4、15、16が捕虫器hの差し込み口r及び差し込みレールyに引っ掛かることが無く、捕虫紙1を容易に捕虫器hに装着することができる。また、使用後に、裏面に貼着した透明シート4、15、16を表面に引き回して、粘着層2全面を覆うことにより、捕獲された飛翔害虫sの死骸を、粘着層2ごと透明シート4、15、16で覆うことができる。これにより、捕獲した飛翔害虫sの死骸が粘着層2から剥がれ落ちることなく処理することができるとともに、捕獲した飛翔害虫sの数や種類などを調査するモニタリングを行う際にも、別のシートを用意して捕獲した飛翔害虫sを覆う手間が省けて、捕獲した状態のまま即座に搬送することができる。
【0052】
また、粘着層2を透明シート4、15、16で覆うことにより、捕獲された飛翔害虫sを顕微鏡で観察する際に、レンズを飛翔害虫sの死骸や粘着物質で汚す心配がない。また、透明シート4、15、16で粘着層2を覆う際に、透明シート4、15、16を粘着層2にそのまま貼り付けて止めることができるため、簡便に作業を行うことができる。
【0053】
また、透明シート4、15、16の一端部11、17a、17bを除く他の縁部に、補強部材12を設けているために、透明シート4、15、16が縒れることが無く、容易にかつ確実に台紙9、1a、1bを覆うことが可能となるとともに、補強部材12が持ち手となる機能も有するために、手が粘着層2に触れることが無く、衛生的に台紙9、1a、1bを覆うことができる。
【0054】
さらに、粘着層2を透明樹脂により形成することによって、飛翔害虫sの種類や数を調査するモニタリングのための区画ライン7を台紙9、第1の台紙1aおよび第2の台紙1bに直接形成することができる。また、区画ライン7が、粘着層2の下に形成されていることにより、粘着層2が熱や空気により変形したとしも、区画ライン7が歪むことなく、飛翔害虫sの種類や数を調査するモニタリングを効率良く行うことができる。
【0055】
一方、捕虫紙1を二つ折りにした状態のまま捕虫器hに挿入することができるので、捕虫紙1自体の強度を高めることができるとともに、捕虫器hから捕虫紙1を出し入れする際に、無理な力が捕虫紙1に掛かったとしても、途中で折れ曲がったりすることがない。
【0056】
そして、捕虫紙1を捕虫器hにセットするときは、捕虫器hの側面の差し込み口rより、差し込みレールyを介して挿入するので、捕虫器hの枠体を外してセットする必要がなく、捕虫紙1のセットや交換を簡便に行うことができる。
【0057】
特に、第1実施形態の捕虫紙1においては、台紙9を長方形状に形成するとともに、長手方向に延びる中心線を折り曲げ線10とすることにより二つ折り可能に構成しているために、上記台紙9を折り曲げ線10において自在に折り曲げることができる。このため、捕虫器hに挿入して使用する際に、捕虫紙1の粘着層2が表側の両面に露出する状態となるように折り畳むことができる。また、折り曲げ線10を用いて台紙9を折り畳むことにより、台紙9を捕虫器hの差し込み口rに容易に挿入することが可能な寸法にすることができる。
【0058】
一方、第2実施形態の捕虫紙1においては、第1の台紙1aと第2の台紙1bをそれぞれ同じ寸法の細長矩形に形成し、それぞれの一端部同士5a,5bが間隔をおいて接合手段gにより一体化されているために、第1の台紙1aと第2の台紙1bを接合部3において自在に折り曲げることができ、捕虫器hに挿入して使用する際に、捕虫紙1の粘着層2が表側の両面に露出する状態となるように折り畳むことができる。
【0059】
また、第1の台紙1a及び第2の台紙1bは、同一形状で形成することができるので、捕虫紙1を製造するときには、一つの形状の台紙を製造するだけでよく、製造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明に係わる捕虫紙の第1実施形態の構成を示す、(a)は平面図、(b)は底面図、(c)は正面図である。
【図2】本発明に係わる捕虫紙の第1実施形態の全体を示す斜視図であり、(a)は捕虫紙の表面、(b)は捕虫紙の裏面である。
【図3】本発明に係わる捕虫紙の第1実施形態を捕虫器にセットした状態を示す、(a)は正面図、(b)は右側面図である。
【図4】本発明に係わる捕虫紙の第1実施形態を使用する方法を示す説明図である。
【図5】本発明に係わる捕虫紙の第2実施形態の構成を示す、(a)は平面図、(b)は底面図、(c)は正面図である。
【図6】本発明に係わる捕虫紙の第2実施形態の全体を示す斜視図であり、(a)は捕虫紙の表面、(b)は捕虫紙の裏面である。
【図7】本発明に係わる捕虫紙の第2実施形態を使用する方法を示す説明図である。
【符号の説明】
【0061】
1 捕虫紙
1a 第1の台紙
1b 第2の台紙
2 粘着層
3 接合部
4 透明シート(第1実施形態の透明シート)
5a 一端部(第1台紙1aの一端部)
5b 一端部(第2台紙1bの一端部)
6a 他端部(第1台紙1aの他端部)
6b 他端部(第2台紙1bの他端部)
7 ライン
8 剥離紙
9 台紙
10 折り曲げ線
11 一端部(台紙の9一端部)
12 補強部材
15 第1の透明シート(第2実施形態の第1の台紙に設けた透明シート)
16 第2の透明シート(第2実施形態の第2の台紙に設けた透明シート)
g 接合手段
h 捕虫器
s 飛翔害虫
t 発光手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
捕虫器の発光手段により誘引される飛翔害虫を捕獲する捕虫紙であって、
矩形の台紙の表面に粘着層が設けられているとともに、二つ折り可能に構成されている事を特徴とする捕虫紙。
【請求項2】
上記台紙は、長方形状に形成されるとともに、長手方向に延びる中心線を折り曲げ線とすることにより二つ折り可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の捕虫紙。
【請求項3】
上記台紙には、上記粘着層を覆うことが可能な矩形状の透明シートが設けられており、この透明シートの上記長手方向に沿う一方の縁部は、上記台紙の裏面の長手方向に延在する一端部に貼着されていることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の捕虫紙。
【請求項4】
上記台紙は、それぞれ細長矩形状に形成された第1の台紙と第2の台紙とを有し、且つこれらの第1の台紙と第2の台紙とが長手方向に延在する一端部同士が間隔をあけて併行に配設されて、接合手段を介して一体的に設けられていることにより、二つ折り可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の捕虫紙。
【請求項5】
上記第1の台紙と第2の台紙には、各々上記粘着層を覆うことが可能な細長矩形状の第1および第2の透明シートが設けられており、これらの第1および第2の透明シートの上記長手方向に沿う一方の縁部は、それぞれ上記第1の台紙と第2の台紙の裏面の長手方向に延在する他端部に貼着されていることを特徴とする請求項1または請求項4のいずれかに記載の捕虫紙。
【請求項6】
上記透明シートの上記一方の縁部を除く他の縁部には、当該縁部に沿って帯状の補強部材が設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の捕虫紙。
【請求項7】
上記粘着層は、透明樹脂によって形成されており、上記台紙の表面には、飛翔害虫をカウントするための区画がラインによって形成されて、この台紙のラインが形成された領域の上に上記粘着層が設けられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の捕虫紙。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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