説明

排ガス処理装置

【課題】除塵及び脱塩・脱硫一体型の排ガス処理装置にて、除塵用バグフィルタと脱硫・脱塩用バグフィルタ間に組み込まれた偏平な函形状の排ガス流路内に粉体状の中和剤を均一分散させる。
【解決手段】除塵用バグフィルタ11の背面に脱塩・脱硫用バグフィルタ12を接続して両者を一体化する。脱塩・脱硫用バグフィルタ12内に、除塵用バグフィルタ11のクリーンルーム21aと連通し、かつ、幅及び高さに比べて厚さが薄い偏平な函形状の排ガス流路13を設ける。更に、前記排ガス流路13内に該排ガス流路13の真上に設けた中和剤供給管19から粉体状の中和剤bを供給する。前記中和剤供給管19を前記排ガス流路13の横幅方向に所定の間隔で複数基設置すると共に、前記排ガス流路13内に複数の分散板23を前記中和剤供給管19の直下に位置するように設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、都市ごみなどの廃棄物を焼却する焼却炉や、前記廃棄物をガス化溶融する熱分解ガス化溶融炉などから排出される排ガス中の煤塵(飛灰)、或いは、塩化水素、硫化水素などの酸性ガスを効率的に除去することができる排ガス処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、焼却炉や熱分解ガス化溶融炉などの排ガス煙道に2基のバグフィルタを直列に設け、この2段式のバグフィルタによって排ガスを浄化処理する技術が知られている。例えば、特許文献1には、図8に示すように、排ガスaに含まれる煤塵の集塵を行う1段目のバグフィルタ101と、集塵後の排ガスaに含まれるHCI、SOx、重金属、有機ハロゲン化合物等をCa(OH)2 や活性炭などの助剤によって反応・吸着する2段目のバグフィルタ102の組み合わせからなる排ガス処理装置100が記載されている。
【0003】
上記排ガス処理装置100は、排ガス処理装置自体をコンパクトな構造にするため、1段目のバグフィルタ101と2段目のバグフィルタ102とを屈曲排ガス管路103を介して一体化する一方、前記屈曲排ガス管路103の真上に助剤供給管104、送風機105及び切出フィーダ106を介してホッパー107を連結している。
【0004】
この特許文献1には、屈曲排ガス管路103の上部を階段状に屈曲させる理由について記載されていないが、屈曲排ガス管路103の上部のみを階段状に屈曲させただけでは1段目のバグフィルタ101から屈曲排ガス管路103に流入する排ガス中に助剤供給管104から供給した粉体状の助剤をムラなく均一に分散させることは難しいと思われる。なお、図8中、符号108は減温塔、109は煙突を示している。
【特許文献1】特開平10−202052号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような従来の問題を解消するためになされたものであり、その目的とするところは、除塵及び脱塩・脱硫一体型の排ガス処理装置において、除塵用バグフィルタと脱塩用バグフィルタの間に組み込まれた偏平な函形の排ガス流路内に粉体状の中和剤をムラなく均一に分散することができる排ガス処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、除塵用バグフィルタの背面に脱塩・脱硫用バグフィルタを設けて両者を一体化すると共に、脱塩・脱硫用バグフィルタ内に、除塵用バグフィルタのクリーンルームと連通し、かつ、幅及び高さに比べて厚さが薄い偏平な函形状の排ガス流路を設け、更に、前記排ガス流路内に該排ガス流路の真上に設けた中和剤供給管から粉体状の中和剤を供給する排ガス処理装置において、前記中和剤供給管を前記排ガス流路の幅方向に所定の間隔で複数基設置すると共に、前記排ガス流路内に複数の分散板を前記中和剤供給管の直下に位置するように設けたことを特徴とする排ガス処理装置である。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記排ガス流路を、除塵用バグフィルタの後壁を兼ねる脱塩・脱硫用バグフィルタの前壁と、該前壁に対峙する脱塩・脱硫用バグフィルタ内の隔壁と、前記脱塩・脱硫用バグフィルタの側壁により形成すると共に、前記前壁と前記隔壁によって前記分散板の前後両端を支持することを特徴とする排ガス処理装置である。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2において、前記分散板が平板状の分散板であることを特徴とする排ガス処理装置である。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1又は2において、前記分散板が逆V字状の分散板であることを特徴とする排ガス処理装置である。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1、2、3又は4において、前記分散板の設置位置から除塵用バグフィルタのクリーンルームの下端迄の高さH1 (m)を中和剤の吹込み速度V(m/s)の30分の1乃至10分の1とすることを特徴とする排ガス処理装置である。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項1、2、3又は4において、前記分散板の幅W(m)を中和剤の吹込み速度V(m/s)の50分の1乃至15分の1とすることを特徴とする排ガス処理装置である。
【発明の効果】
【0012】
上記のように、請求項1に係る発明は、除塵用バグフィルタの背面に脱塩・脱硫用バグフィルタを設けて両者を一体化すると共に、脱塩・脱硫用バグフィルタ内に、除塵用バグフィルタのクリーンルームと連通し、かつ、幅及び高さに比べて厚さが薄い偏平な函形状の排ガス流路を設け、更に、前記排ガス流路内に該排ガス流路の真上に設けた中和剤供給管から粉体状の中和剤を供給する排ガス処理装置において、前記中和剤供給管を前記排ガス流路の幅方向に所定の間隔で複数基設置すると共に、前記排ガス流路内に複数の分散板を前記中和剤供給管の直下に位置するように設けたので、前記中和剤供給管から排ガス流路内に吹き込まれた粉体状の中和剤は、多少、円錐状に広がりながら落下して中和剤供給管の直下に設けた分散板に衝突する。分散板に衝突して跳ね上がった粉体状の中和剤は、分散板の端部から下方に落下する。
【0013】
分散板から落下した粉体状の中和剤は、その一部が排ガスの流れに乗って分散板の裏側に回り込むなどして排ガス流路の幅方向に拡散する。しかも、中和剤供給管は、排ガス流路の幅方向に所定の間隔を隔てて複数基設置されているため、中和剤供給管から排ガス流路内に吹き込まれた中和剤は、排ガス流路の幅方向に略均一に分散する。このため、排ガス流路の幅方向に略均一に分散した粉体状の中和剤によって排ガス中の酸性ガスをムラなく均一に中和することが可能になる。
【0014】
請求項2に記載の発明は、前記排ガス流路を、除塵用バグフィルタの後壁を兼ねる脱塩・脱硫用バグフィルタの前壁と、該前壁に対峙する脱塩・脱硫用バグフィルタ内の隔壁と、前記脱塩・脱硫用バグフィルタの側壁により形成すると共に、前記前壁と前記隔壁によって前記分散板の前後両端を支持するので、脱塩・脱硫用バグフィルタの前壁面及び隔壁を利用して分散板を排ガス流路内に強固に支持することが可能になった。
【0015】
請求項3に記載の発明は、前記分散板が平板状の分散板であるから、分散板上に落下した粉体状の中和剤を排ガス通路の横幅方向に分散又は拡散させることが可能になった。
【0016】
請求項4に記載の発明は、前記分散板が逆V字状の分散板であるから、粉体状の中和剤が分散板上に堆積するのを予防することが可能になった。
【0017】
請求項5に記載の発明は、前記分散板の設置位置から除塵用バグフィルタのクリーンルームの下端迄の高さH1 (m)を中和剤の吹込み速度V(m/s)の30分の1乃至10分の1にしたので、中和剤供給管から吹き込まれた中和剤が分散板に衝突して跳ね上がったり、クリーンルーム内に入り込むことが少なくなる一方、中和剤の一部が分散版から外れることも少なくなる。また、吹き込まれる中和剤の速度が低下した場合でも、分散版に衝突した時の分散範囲が小さくなることもない。
【0018】
請求項6に記載の発明は、前記分散板の幅W(m)を中和剤の吹込み速度V(m/s)の50分の1乃至15分の1としたので、圧損が大きくなったり、分散板の真ん中に中和剤が堆積したり、堆積が成長してしまうことも少ない。また、分散版の裏側に回り込む中和剤が少なくなることもない。更に、中和剤は、多少、円錐状に広がりながら落下して行くが、その一部が分散板から外れることも少ない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
【0020】
図1に示すように、本発明に係る排ガス処理装置10は、1段目の除塵用バグフィルタ11の背面に2段目の脱塩・脱硫用バグフィルタ12を接続したものであり、除塵用バグフィルタ11と脱塩・脱硫用バグフィルタ12が一体化している。そして、脱塩・脱硫用バグフィルタ12内に、除塵用バグフィルタ11内のクリーンルーム21aと連通する排ガス流路13を設けている。
【0021】
この排ガス流路13は、除塵用バグフィルタ11の後壁部14を兼ねる脱塩・脱硫用バグフィルタ12の前壁部15と、この前壁部12に対峙する脱塩・脱硫用バグフィルタ12内の隔壁部16と、脱塩・脱硫用バグフィルタの側壁部17により形成されているため、横幅(長辺)及び高さに比べて厚さ(短辺)が非常に薄い偏平な函形状の排ガス流路となっている。
【0022】
前記排ガス流路13は、長辺13aの長さAと短辺13bの長さBの比A/Bが3〜20、更には5〜15の範囲が好ましい。排ガス流路13の長辺13aの長さAと短辺13bの長さBの比A/Bが3未満の場合は、バグフィルタ11及び12に対して前記排ガス流路13の占める体積が大きくなり、排ガス処理装置全体として大きくなってしまい、排ガス処理装置をコンパクトにすると言う当初の目的と矛盾することになる。また、排ガス流路13の厚さ方向の偏流が発生し易くなり、排ガス流路13を通過する排ガスaと粉体状の中和剤との接触がムラになると言う問題がある。
【0023】
逆に、長辺13aの長さAと短辺13bの長さBの比A/Bが30を超える場合は、前記排ガス流路13を通過する排ガスaの速度が大きくなり、分散板23に衝突した際の幅方向への分散が小さくなる。また、分散板を設置することによる圧損が大きくなる。また、脱塩・脱硫用バグフィルタ12に入る時の排ガス速度(中和剤の速度)が大きくなり、ろ布に衝突する速度が大きくなる。そして、ろ布が損耗して穴が開く可能性が高くなると言う問題がある。
【0024】
前記除塵用バグフィルタ11及び脱塩・脱硫用バグフィルタ12は、夫々、フィルタ装着板20a,20bによって上下に二分され、フィルタ装着板20aの上方がクリーンルーム21aとなり、フィルタ装着板20aの下方が除塵室22aになっている。同様に、フィルタ装着板20bの上方がクリーンルーム21bとなり、フィルタ装着板20bの下方が除塵室22bになっている。
【0025】
そして、前記フィルタ装着板20a,20bには、夫々、有底円筒形の多数のフィルタ(フィルタバグ、ろ布)18の開口上端部を取り付けている。更に、前記排ガス流路13の真上に中和剤供給管19を設け、この中和剤供給管19から排ガス流路13内に粉体状の中和剤bを吹き込むようになっている。即ち、中和剤供給管19に接続させた配管41の端部に送風機42を設けると共に、配管41の水平部分41aに立設させた配管43に切出機44を介してホッパ45を接続させている。ホッパ45内の中和剤は、切出機44によって所定量が切り出され、配管41内に供給される。配管41内の中和剤は、送風機42から供給される空気によって空気輸送され、そのまま排ガス流路13内に供給される。
【0026】
上記送風機42やホッパ45などの中和剤供給手段は、図3に示すように、中和剤供給管19の数だけ(図示の場合は、4系統)設置しても良いが、図4に示すように、送風機42やホッパ45などの中和剤供給手段を1系統とし、配管41の先端部のみを中和剤供給管19の数に合わせて分岐させてもよい。他方、中和剤としては、消石灰や重曹などのアルカリ薬剤が好ましく使用される。
【0027】
前記中和剤供給管19は、図2及び図3に示すように、排ガス流路13の幅方向に所定の間隔で複数基(例えば、4基)設置されている。この中和剤供給管19は、排ガス流路13の幅方向に、例えば、1.5〜3m置き、或いは、1.5〜2m置きに設けられる。更に、図1に示すように、前記排ガス流路13内に分散板23を設けている。分散板23は、図3に示すように、中和剤供給管19の直下に位置するように複数個(例えば、4枚)設けられている。これらの分散板23は、図1に示すように、脱塩・脱硫用バグフィルタの前壁部15と、この前壁部15に対峙するように脱塩・脱硫用バグフィルタ12内に設けた隔壁部16によってその前後両端が支持されている。分散板としては、通常、平板状の分散板を使用するが、粉体状の中和剤の堆積を予防する場合には、逆V字状の分散板を使用することが好ましい。
【0028】
また、前記除塵用バグフィルタ11及び脱塩・脱硫用バグフィルタ12は、その底部25a,25bがV字状又は船底型に形成され(図1参照。)、その下端部に排出部26a,26bを有している。特に、脱塩・脱硫用バグフィルタ12は、V字形又は船底型の下部空間27内に複数の衝突板(拡散板)28を設けている。これらの衝突板28は、前記排ガス通路13に面している脱塩・脱硫用バグフィルタ12の底部25bの第1傾斜面29Aに沿って多段に設けられている。
【0029】
具体的には、図5に示すように、前記排ガス通路13を形成している隔壁部16の下端16aと、脱塩・脱硫用バグフィルタ12の底部25bの第1傾斜面29Aの下端部29aとを結ぶ仮想線30に沿って多段(例えば、4段。)に設けられている。
【0030】
ここで、前記衝突板28の傾斜角θ1 は、前記第1傾斜面29Aの下端部29aと、脱塩・脱硫用バグフィルタ12の底部25bの第2傾斜面29Bの頂点29bを結ぶ仮想線40の傾斜角θと等しいことが望ましい(θ1 =θ)。
【0031】
上記傾斜角θ1 が傾斜角θより20%以上傾斜が小さくなると、前記排ガス流路13より遠方にフィルタ18に向う排ガス流れが強くなる。また、前記傾斜角θ1 が小さくなると、フィルタ18から払い落とされた反応後の中和剤が衝突板28上に堆積し易くなると言う問題がある。逆に、上記傾斜角θ1 が傾斜角θより20%以上傾斜が大きくなると、前記排ガス流路13の近傍に位置しているフィルタ18に向う排ガス流れが強くなると言う問題がある。
【0032】
ところで、上記中和剤は、上記送風機42により空気輸送する。中和剤の吹込み時の流速は、通常、15〜20m/sであるが、中和剤の吹込み時の流速は、10〜30m/sが好ましい。更には、15〜20m/sが好ましい。この際、前記分散板23の設置位置から除塵用バグフィルタのクリーンルーム21aの下端迄の高さH1 (m)は、中和剤の吹込み速度をV(m/s)とした場合、中和剤の吹込み速度V(m/s)の30分の1乃至10分の1の範囲、更には、30分の1乃至20分の1の範囲が好ましい。
【0033】
ここで、(a)前記分散板23の設置位置から除塵用バグフィルタのクリーンルーム21aの下端迄の高さH1 (m)が近すぎる場合には、中和剤が分散板23に衝突して跳ね上がり、前記クリーンルーム21a内まで入り込む可能性がある。(b)尚、前記分散板23の設置位置から除塵用バグフィルタのクリーンルーム21aの下端迄の高さH1 (m)が遠すぎる場合には、多少、円錐状に広がりながら落下して行くが、中和剤の一部が分散版23から外れる可能性がある。また、吹き込まれる中和剤の速度が低下し、分散版23に衝突した時の分散範囲が小さくなる場合がある。
【0034】
他方、前記分散板23の幅W(m)は、中和剤の吹込み速度をV(m/s)とした場合、中和剤の吹込み速度V(m/s)の50分の1乃至15分の1の範囲、更には、50分の1乃至20分の1の範囲が好ましい。
【0035】
ここで、(a)前記分散板23の幅が大き過ぎると、排ガス流路13を塞ぐ面積が大きくなり、圧損が大きくなる。このため、送風機を大きいものに変える必要があるほか、送風機の消費電力が大きくなる。また、分散板23の真ん中に中和剤が堆積したり、堆積が成長してしまう可能性がある。更に、分散版23の裏側に回り込む中和剤が少なくなり、均一分散しなくなる。(b)尚、前記分散板23の幅が小さ過ぎると、中和剤の分散効果が小さい。また、多少、円錐状に広がりながら落下して行くが中和剤の一部が分散板23から外れる可能性がある。
【0036】
上記除塵用バグフィルタ11は、除塵室22aの前面に平面視で三角形状の入口ダクト33を設けている(図2参照。)。また、除塵室22a内には、入口ダクト33に対峙する個所に衝立状の偏向板34を設けている(図1参照。)。この偏向板34は、その上端34aがフィルタ装着板20aから離れているが、その上端34aをフィルタ装着板20aに接続させる場合もある。入口ダクト33の下面には、排ガス供給管35が接続されている。
【0037】
他方、脱塩・脱硫用バグフィルタ12は、クリーンルーム21bの背面に平面視で三角形状の出口ダクト37を設けている(図2参照。)。そして、この出口ダクト37の下面には、排ガス排出管38が接続されている。
【0038】
さて、図6に示すように、排ガス供給管35から入口ダクト33内に供給された排ガスaは、入口ダクト33の天井33aに衝突した後、入口ダクト33の平面視三角形の形状に沿って拡散しながら除塵用バグフィルタ11の除塵室22a内に流入する。この時、排ガスaは、入口ダクト33の出口部に対峙するように除塵室22a内に設けた衝立状の偏向板34に衝突して上下に分かれる。
【0039】
上方に向った排ガスaは、フィルタ支持板20aに衝突して方向転換してフィルタ18の側面に向う流れになる。他方、下方に向った排ガスaは、偏向板34に沿って除塵室22aの下方に流下した後、除塵用バグフィルタ11の底部25aのV字形又は船底型の斜面に沿って上向きに転じ、V字状又は船底型の上向きの流れとなる。
【0040】
フィルタ18を通過した排ガスaは、煤塵が除去された比較的にクリーンな排ガスaとなって除塵用バグフィルタ11のクリーンルーム21a内に流入する。フィルタ18の外表面に付着した煤塵は、例えば、フィルタ18を振動させることによってフィルタ18の外表面から除去される。除塵用バグフィルタ11の底部25aに堆積した煤塵は、除塵用バグフィルタ11の底部25aにある排出部26aから、適宜、取り出される。
【0041】
除塵用バグフィルタ11のクリーンルーム21a内に流入した排ガスaは、脱塩・脱硫用バグフィルタ12内に設けられた偏平な函形状の排ガス流路13を通って除塵用バグフィルタ12の除塵室22b内に流入するが、前記排ガス流路13には、この排ガス流路13の真上に設けた中和剤供給管19より粉体状の中和剤bが吹き込まれる。
【0042】
既に説明したように、前記排ガス流路13内には、前記中和剤供給管19の直下に位置するように、複数個の分散板23が設けられているので、中和剤供給管19より吹き込まれた粉体状の中和剤bは、図7に示すように、多少、円錐状に広がりながら落下して中和剤供給管の直下に位置している平板状の分散板23に衝突する。
【0043】
分散板23に衝突して跳ね上がった粉体状の中和剤bは、分散板23の両端部からそれぞれ下方に落下する。そして、分散板23から落下する間に粉体状の中和剤bの一部が排ガスaの流れに乗って分散板23の裏側に回り込んだり、或いは、排ガス流路13の幅方向に広がるなどして排ガス流路13の幅方向に拡散する。しかも、中和剤供給管19は、排ガス流路13の幅方向に所定の間隔を隔てて複数基設置されているため、排ガス流路13の幅方向に略均一に分散されるようになる。このため、排ガス流路13の幅方向に略均一に分散した粉体状の中和剤bによって排ガスa中の酸性ガスがムラなく均一に中和される。
【0044】
粉体状の中和剤によって中和された排ガスaは、脱塩・脱硫用バグフィルタ12の除塵室22b内に多段に設けた衝突板(拡散板)28に衝突して上向きの流れに転じ、フィルタ18の下端部(底部)に向う流れになる。これらの衝突板28が無い場合には、二点鎖線で示すような偏向流や、この偏向流に伴う2次流れが発生して排ガス流路13から離れた位置にある遠方のフィルタ18の背面側に酸性ガスを中和した中和剤や、未反応の中和剤などが集中的に堆積するするという問題が生ずる。
【0045】
しかしながら、脱塩・脱硫用バグフィルタ12の除塵室22b内に衝突板(拡散板)28を多段(図示の場合は、4段)に設けることによって排ガス流路13から脱塩・脱硫用バグフィルタ12の除塵室22b内に流入した排ガスaの流れが前記排ガス流路13に最も近いフィルタ18’から前記排ガス流路13から最も遠いフィルタ18”にわたって均一に拡散した流れとなる。
【0046】
従って、排ガスa中の酸性ガスと粉体状の中和剤bとがムラなく均一に接触して排ガスa中の酸性ガスがムラなく中和される。前記衝突板28による排ガス拡散作用は、排ガス流路13内に設けた分散板23との相乗効果によって排ガスa中の酸性ガスと粉体状の中和剤との接触をムラなく均一に行わせることができる。
【0047】
脱塩・脱硫用バグフィルタ12のフィルタ18を通過した排ガスaは、出口ダクト37及び排ガス排出管38を経て下流側にある機器に供給される。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明に係る排ガス処理装置の一部側面を含む断面図である。
【図2】図1のX−X断面図である。
【図3】図1のY−Y矢視図である。
【図4】中和剤供給手段の他の一例を示す概略構成図である。
【図5】脱塩・脱硫用バグフィルタの要部拡大断面図である。
【図6】本発明に係る排ガス処理装置の作用説明である。
【図7】分散板の作用説明である。
【図8】従来の排ガス処理装置の断面図である。
【符号の説明】
【0049】
10 排ガス処理装置
11 除塵用バグフィルタ
12 脱塩・脱硫用バグフィルタ
13 排ガス流路
19 中和剤供給管
21a クリーンルーム
23 分散板
b 中和剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
除塵用バグフィルタの背面に脱塩・脱硫用バグフィルタを設けて両者を一体化すると共に、脱塩・脱硫用バグフィルタ内に、除塵用バグフィルタのクリーンルームと連通し、かつ、幅及び高さに比べて厚さが薄い偏平な函形状の排ガス流路を設け、更に、前記排ガス流路内に該排ガス流路の真上に設けた中和剤供給管から粉体状の中和剤を供給する排ガス処理装置において、前記中和剤供給管を前記排ガス流路の幅方向に所定の間隔で複数基設置すると共に、前記排ガス流路内に複数の分散板を前記中和剤供給管の直下に位置するように設けたことを特徴とする排ガス処理装置。
【請求項2】
前記排ガス流路を、除塵用バグフィルタの後壁を兼ねる脱塩・脱硫用バグフィルタの前壁と、該前壁に対峙する脱塩・脱硫用バグフィルタ内の隔壁と、前記脱塩・脱硫用バグフィルタの側壁により形成すると共に、前記前壁と前記隔壁によって前記分散板の前後両端を支持することを特徴とする請求項1記載の排ガス処理装置。
【請求項3】
前記分散板が平板状の分散板であることを特徴とする請求項1又は2記載の排ガス処理装置。
【請求項4】
前記分散板が逆V字状の分散板であることを特徴とする請求項1又は2記載の排ガス処理装置。
【請求項5】
前記分散板の設置位置から除塵用バグフィルタのクリーンルームの下端迄の高さH1 (m)を中和剤の吹込み速度V(m/s)の30分の1乃至10分の1とすることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の排ガス処理装置。
【請求項6】
前記分散板の幅W(m)を中和剤の吹込み速度V(m/s)の50分の1乃至15分の1とすることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の排ガス処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−168195(P2008−168195A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−2641(P2007−2641)
【出願日】平成19年1月10日(2007.1.10)
【出願人】(000005902)三井造船株式会社 (1,723)
【Fターム(参考)】