排ガス処理装置
【課題】配管内壁面に付着したダストを確実に除去でき、クリーニングガスの噴射を行う場合もクリーニングガス量が少なくて済む排ガス処理装置を提供する。
【解決手段】排ガスを酸化分解する排ガス処理装置用ダスト除去装置であって、シャフト57にダスト掻き取り部材56を取りつけ、ダスト掻き取り部材56を、排ガスを酸化分解する空間30の内壁に対して往復動させることにより、空間30の内壁に付着したダストを掻き落とす。
【解決手段】排ガスを酸化分解する排ガス処理装置用ダスト除去装置であって、シャフト57にダスト掻き取り部材56を取りつけ、ダスト掻き取り部材56を、排ガスを酸化分解する空間30の内壁に対して往復動させることにより、空間30の内壁に付着したダストを掻き落とす。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼処理した場合ダストを発生し易い排ガスを処理する排ガス処理装置に関するものである。例えばシランガス(SiH4)、或いはハロゲン系ガス(NF3,ClF3,SF6,CHF3,C2F6,CF4等)を含む有害可燃性、若しくは難分解性の排ガスを燃焼処理するための燃焼式の排ガス処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
燃焼処理するとダストを発生し易い排ガスには、半導体製造装置や液晶パネル製造装置からの例えばシラン(SiH4)やジシラン(Si2H6)等の有害可燃性ガスが有る。また、難分解性の地球温暖化ガス(PFCs)を含むガスがあるが、これらの排ガスは、そのままでは人体に悪影響を及ぼしたり、地球環境が変化するので大気に放出することが出来ない。そこでこれらの排ガスを除害装置に導いて、燃焼による酸化無害化処理を行なうことが一般に行われている。この処理方法としては、助燃ガスを用いて炉内に火炎を形成し、この火炎により排ガスを燃焼させるようにしたものが広く採用されている。
【0003】
このような燃焼式排ガス処理装置において、助燃ガスは、水素、都市ガス、LPG等を燃料ガスとして用い、酸化剤としては酸素若しくは空気が通常使用されており、この装置の運転費用は、これらの燃焼ガスや酸化剤の消費に伴うコストが大半を占めている。そこで、少ない助燃ガスによって如何に多くの有害排ガスを高効率のもとで分解するかが、この種の装置の性能を評価する尺度の一つになっている。
【0004】
従来の前記燃焼式の排ガス処理装置に使用される燃焼器の一般的な構成を図27及び図28に示す。これは、バーナ部101と該バーナ部101の後段で排ガスを加熱酸化分解させる燃焼反応部(燃焼室)102とを備えている。バーナ部101は、燃焼反応部102の天井中心部に開口した燃焼反応部102内に処理すべき排ガスG1を導入する排ガス用ノズル103と、この排ガス用ノズル103の外周部に開口して燃焼反応部102内に助燃ガスG2を導入する複数の助燃ガス用ノズル104とを有しており、燃焼反応部102の下端には燃焼ガス出口105が一体に連接されている。これによって、前記助燃ガス用ノズル104から噴出される助燃ガスG2で環状に並んで形成される火炎の中心部に排ガスG1を通過させ、この通過の際に排ガスG1を火炎と混合させて燃焼させて、この燃焼後の燃焼ガスを燃焼ガス出口105から外部に排出するようになっている。
【0005】
ここに、燃焼反応部102は、一般にステンレス系等の金属製の筒状の炉体106の内壁面106aで区画形成されており、この炉体106の外周面に、必要に応じて、熱遮断用の断熱材を設置したり、或いは水冷する構造を採用していた。
【0006】
一方、現在、地球温暖化の要因とされているフルオロカーボン系等のガスを分解処理する方法としては、高温環境における加熱分解式若しくはプラズマ中での分解が主流となっている。これらの手法を用いるために、ヒータ等の加熱装置やプラズマ発生装置及び安全装置等を制御する複雑な制御機構を備えた分解処理設備において、加熱プラズマ生成のために膨大なエネルギーを付与してフルオロカーボン系のガスの分解処理を行っている。
【0007】
しかしながら、図27及び図28に示すような従来例においては、燃焼反応部102が金属製の炉体106で構成されていて、燃焼火炎形成時(運転時)に1300℃以上の高温雰囲気に曝されるため、炉体106の消耗が激しく、長時間の運転に耐えることが出来なかった。特に、この装置でハロゲン系のガスを分解処理する際には、処理反応後に生成ハロゲンガス(HCl、HF等)により炉体が高温下でエッチングや腐食を受け、激しく消耗する。
【0008】
このように炉体106が短時間で消耗すると、これを頻繁に交換する必要が生じ設備コストが高くなる。さらに、金属製の炉体が消耗すると周囲の構造物(断熱材、水冷容器等)まで消耗が進む危険性が生じるため、炉体の消耗度合いを頻繁に分解し点検する必要があり、設備として稼動率を著しく低下させ、運転コストの増大を招いてしまう。
【0009】
さらに、燃焼反応部102内の燃焼火炎で金属製の炉体106の内壁面が高温に熱せられるため、金属の触媒効果によって、サーマルNOxの生成が助長されてしまう。例えば、半導体産業設備内におけるこの種の排ガス燃焼設備は、一般にクリーンルーム内に設置することを前提としており、設備の小型化を図る必要があるが、NOxが多量に生成されると、これを処理する専用の処理機構を別途備える必要が生じて、結果的に小型化することができない。
【0010】
また、上記のように燃焼火炎を形成する燃焼器では、バーナ部101の下端に火炎が形成される結果、ステンレス鋼材等からなるバーナ部101の開口部近傍の温度が上昇し、バーナ部101に供給する助燃ガスG2が引火爆発するなどの危険があった。
【0011】
また、半導体ディバイスの製造工程、特にCVD工程等で使用されるSiH4のように加熱分解式の排ガス処理装置で無害化するとSiO2等のダストを発生するガスある。このようなダストは排ガスとともに流れ配管等の内壁面に付着し、排気圧損を大きくするという問題がある。このダストの配管等の内壁面への付着の防止方法として、従来、クリーニングガスによる吹き払い方法、間欠手動掻き取り装置による掻き取る方法、多孔質内壁よりクリーニングガスを常時流すことによるダストの付着を防止する方法があった。
【0012】
クリーニングガスによる吹き払い方法は、配管の周方向全域に固定ノズルを設け、常時若しくは間欠的にクリーニングガスを噴出させてダストを除去する方法である。この方法はノズルの場所がダストの付着位置から離れていると、ダスト除去効果が下がってしまうという問題があり、効果が下がらないように多量のクリーニングガスを流すと、クリーニングガス自体のコストが掛かるだけでなく、多量のガスが流れることにより圧損を少なくするために配管を太くしなければならないという問題があった。
【0013】
間欠手動掻き取り装置による掻き取り方法は、ダストが大きく成長してから掻き取りを行うことになるため、掻き取った大きなダストの塊を貯めて置くタンクが必用となる。
【0014】
また、多孔質内壁よりクリーニングガスを常時流すことによる付着防止では、ダスト付着を防ぐため内壁からのクリーニングガスの流速を配管内全体で維持しようとすると、多量のクリーニングガスを流さなければならず、多量のガス流れによる圧損を少なくするため、配管を太くしなければならないという問題がある。
【0015】
また、クリーニングガス自体のコストがかかったり、除害装置から排出されたガスを建物内から建物外に排気するためのダクト等の設備も大きくしなければならないという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、配管内壁面に付着したダストを確実に除去でき、クリーニングガスの噴射を行う場合もクリーニングガス量が少なくて済む排ガス処理装置を提供することを目的とする。
【0017】
また、高温に曝される燃焼反応部を構成する内壁の消耗を抑えて寿命を向上させ、設備コストと稼動効率を向上させると共に、NOxの発生を抑制することができる排ガス処理装置を提供することを目的とする。
【0018】
また、燃焼バーナーの開口部近傍の火炎による温度の上昇を抑え、助燃ガスの爆発等の危険のない排ガス処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の排ガス処理装置用ダスト除去装置は、排ガスを酸化分解する排ガス処理装置用ダスト除去装置であって、シャフトにダスト掻き取り部材を取りつけ、前記ダスト掻き取り部材を、排ガスを酸化分解する空間の内壁に対して往復動させることにより、前記空間の内壁に付着したダストを掻き落とすことを特徴とするものである。
前記掻き取り部材は、前記排ガスを酸化分解する空間内を上下動することを特徴とする。
前記掻き取り部材は、前記シャフトを中心に連続的又は周期的に揺動又は回転することを特徴とする。
【0020】
前記掻き取り部材には、前記排ガス処理装置内に流入する排ガスの流れを阻害しないような孔が形成されていることを特徴とする。
前記掻き取り部材は、前記排ガス処理装置内の旋回流を阻害しない退避位置に退避可能であることを特徴とする。
前記掻き取り部材が、退避位置まで退避した際に、前記孔は、前記排ガス処理装置の排ガス導入管の開口部に対応して位置し、かつ前記排ガス導入管の開口よりも大きい孔であることを特徴とする。
ダスト量検出手段で前記内壁に付着したダスト量を検出し、その付着量が所定量となったら前記シャフトを上下動させるか、前記排ガス処理装置の運転時間が所定時間経過したら前記シャフトを上下動させることを特徴とする。
本発明の排ガス処理装置は、上記ダスト除去装置を備えている。
【0021】
本発明の好ましい態様によれば、バーナ部と、該バーナ部の下流側に設けた燃焼室とを備え、バーナ部より燃焼室に向けて燃焼炎を形成し、該燃焼炎に排ガスを導入して、該排ガスを酸化分解させる排ガス処理装置において、燃焼室は繊維強化セラミックス製の内壁で形成されるので、内壁の熱や腐食による消耗が少なく、熱応力による割れの発生も減少し、装置の寿命が向上し、設備コストと稼動率を向上させることができると共に、内壁が触媒効果を発揮しないのでサーマルNOxの発生が抑制され、環境の維持と処理機器の簡略化を図ることができる。また、内壁と外側容器の間の空間を前記燃焼室の圧力より高い圧力のパージガス雰囲気に維持するので、燃焼室内の有害ガスが外部に漏れることを防止できる。
【0022】
また、排ガス処理装置において、バーナ部は、頂部が閉塞し下部が開口した筒状体を具備し、該筒状体の頂部に排ガス導入口を設けると共に、側壁の所定の位置に空気ノズルを設け、開口近傍の側壁に助燃ガスノズルを設け、排ガス導入口より導入された排ガスと空気ノズルから吹き出された空気を混合すると共に、助燃ノズルから吹き出された助燃ガスに着火し、開口下方に向かって燃焼炎を形成するように構成し、助燃ガスノズルに燃料ガスを導入する助燃ガス導入部を冷却する冷却手段を設けたことにより、助燃ガス導入部が火炎により加熱されても温度上昇を助燃ガスの発火点以下に抑えるから、助燃ガスの爆発等のする危険がなくなる。
【0023】
また、排ガス処理装置において、バーナ部及び/又は燃焼室内壁に付着したダストの除去又はダストを付着しないようにするダスト除去手段を設け、排ガス処理装置長時間運転を可能にした。
【0024】
ダストを多く含むガス体が流れる配管内壁に付着するダストを除去するダスト除去装置であって、配管内に配置され主軸に配管長手方向に伸びる棒状の掻き取り部材を取り付けた構成の掻き取り機構と、該掻き取り機構の主軸を掻き取り部材が配管内面に接触し又は微小な間隔をおいて内周方向に移動するよう支持する支持機構と、該掻き取り機構を主軸を中心に連続的又は周期的に揺動又は回転させる駆動機構を具備する。従って、配管外部から主軸及び掻き取り部材の中空を通して、掻き取り部材の先端又は該表面の多数の孔又はスリットからクリーニングガスを吹き出すことにより、掻き取り部材の届かない配管内のダストを除去できるだけでなく、掻き取り機構自身に付着するダストも除去することが可能となる。
【0025】
また、排ガス処理装置は、バーナ部は、頂部閉塞し下部が開口した筒状体を具備し、該筒状体の頂部に排ガス導入口を設けると共に、側壁の所定の位置に空気ノズルを設け、開口近傍の側壁に助燃ガスノズルを設け、空気ノズルは助燃ノズルから噴射された助燃ガスの着火を促進し、開口下方に向かって形成された燃焼炎に、旋回空気流を下方に向かって吹き付けるように構成したので、バーナ部内壁にダストが付着し難くなる。
【0026】
また、排ガス処理装置において、バーナ部は、頂部閉塞し下部が開口した筒状体を具備し、該筒状体の頂部に排ガス導入口を設けると共に、側壁の所定の位置に空気ノズルを設け、開口近傍の側壁に助燃ガスノズルを設け、排ガス導入口及び筒状体の内径は燃焼室に向かって徐々に大きくなっている。これにより、バーナ部内に直角のような角部がなくなり、ノズル部の内壁にダストが付着しにくくなる。
【0027】
また、バーナ部と、該バーナ部の下流側に設けた燃焼室と、該燃焼室の下流側に設けた燃焼ガス冷却部とを一体的に設けて排ガス処理装置を構成し、バーナ部には排ガスを導入する排ガス導入口と、空気を導入し旋回流を発生させる空気ノズルとを設け、燃焼ガス冷却部には燃焼室から流入する排ガスを冷却し、該排ガス中のダストを捕捉するための液体を噴霧する液体噴霧ノズルと、該排ガスを排出するための排気管と、液体噴霧ノズルで噴霧された液体を排液するための排液管とを設けた。排ガス処理装置をこのように構成することにより、排ガスの分解処理と、排ガス導入口から導入される排ガス中のダストやHClやHFを噴霧ノズルから噴霧される液体に効率良く捕捉・吸収させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係る排ガス処理装置の排ガス燃焼器の構成を示す図である。
【図2】図1のI−I断面図である。
【図3】本発明に係る排ガス処理装置のバーナー部の構成例を示す図である。
【図4】図3の矢視A図である。
【図5】本発明に係る排ガス処理装置のバーナー部の構成例を示す図である。
【図6】図5の矢視D図である。
【図7】本発明に係る排ガス処理装置のバーナー部の構成例を示す図である。
【図8】図7の矢視E図である。
【図9】本発明に係る排ガス処理装置のバーナー部の構成例を示す図である。
【図10】図9の矢視F図である。
【図11】本発明に係る排ガス処理装置のバーナー部の構成例を示す図である。
【図12】図11の冷却ジャケットの外観図である。
【図13】本発明に係る排ガス処理装置のダスト除去装置の構成例を示す図である。
【図14】図13の掻き取り板の平面図である。
【図15】本発明に係る排ガス処理装置のダスト除去装置の構成例を示す面である。
【図16】図15のII−II断面矢視図である。
【図17】本発明に係る排ガス処理装置のダスト除去装置の構成例を示す面である。
【図18】図17のIII−III断面矢視図である。
【図19】本発明に係る配管内のダスト除去装置の構成例を示す図である。
【図20】本発明に係る排ガス処理装置内のダスト除去装置の構成例を示す図である。
【図21】本発明に係る配管内のダスト除去装置の構成例を示す図である。
【図22】本発明に係る配管内のダスト除去装置の構成例を示す図である。
【図23】本発明に係る配管内のダスト除去装置の構成例を示す図である。
【図24】本発明に係る排ガス処理装置のバーナー部の構成例を示す図である。
【図25】図24の矢視L図である。
【図26】本発明に係る排ガス処理装置のバーナー部の構成例を示す図である。
【図27】従来の排ガス処理装置の構成例を示す図である。
【図28】図27のIV−IV断面矢視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
図1及び図2は本発明に係る排ガス処理装置の排ガス燃焼器の構成を示す図で、図1は縦断面図、図2は図1のI−I断面図である。本排ガス燃焼器は、全体として円筒状の密閉容器として構成され、上段のバーナ部10と、中段の燃焼室(燃焼反応部)30とからなり、下段に冷却部51、排出部52とを備えている。冷却部51の冷却媒体としては、例えば水等の液体や空気等の気体を用いる。
【0030】
バーナ部10は、燃焼室30に向かって開口する保炎部18を形成する円筒体11と、この円筒体11の周囲を所定間隔離間して包囲する外筒12とを有しており、円筒体11と外筒12との間には、燃焼用空気を保持する空気室19と、例えば水素と酸素の予混合気等の助燃ガスを保持する助燃ガス室20が形成されている。これら空気室19及び助燃ガス室20は図示しない空気源、ガス源に連通されている。ここで助燃ガスには、水素、プロパン、都市ガス等を用いる。保炎部18の上側を覆う円筒体11の頂部には、例えば半導体製造装置から排出されたシラン(SiH4)等を含む排ガスG1を保炎部18に導入する排ガス導入管14が接続されている。
【0031】
円筒体11には、空気室19と保炎部18を連通する複数の空気ノズル15と、助燃ガス室20と保炎部18を連通する複数の助燃ガスノズル16が設けられている。空気ノズル15は図2に示すように、円筒体11の接線方向に対して所定角度をもって延びており、保炎部18内に旋回流を形成するように空気を吹き出すようになっている。助燃ガスノズル16も同様に、円筒体11の接線方向に対して所定角度をもって延びており、保炎部18内に旋回流を形成するように助燃ガスを吹き出すようになっている。空気ノズル15、助燃ガスノズル16は円筒体11の円周方向に均等に配置されている。
【0032】
保炎部18と燃焼室30の境界部の周囲には、保炎部18の開口部を囲むように2次空気室31が形成されており、該2次空気室は2次空気を供給するための空気源(図示せず)に連通している。2次空気室31と助燃室30との間を区画する仕切板32には、燃焼室30の内部に排ガスを酸化させるための2次空気を吹き出す2次空気ノズル33が周方向に均等配置されて設けられている。
【0033】
燃焼室30は、バーナ部10の後段で排ガスを酸化分解させる空間であり、金属等から形成された気密な筒状の外側容器34の内部に、保炎部18と連続するように配置された円筒状の内壁35で区画形成されている。この内壁35は、後述するように、繊維強化セラミックによって形成されている。また、内壁35と外側容器34の間の空間36に、多孔質セラミック製の断熱材37が挿入されている。この外側容器34には、空間36にパージ用の空気を導入するパージ空気導入管40が接続されている。
【0034】
内壁35を構成する繊維強化セラミックは、セラミックスで形成した繊維を織って布にし、これにバインダ入りのセラミックスを塗布し、これを筒状に形成して固化したもので、通常、セラミック繊維を複数枚重ねて層状にする。このように、セラミック自体をセラミック繊維で強化することにより、機械的強度、高温強度を向上させることができる。これにより内壁35が燃焼に伴って高温に曝され、熱応力が作用した場合でも、割れの発生を軽減させることができる。また、燃焼処理に伴って生成するハロゲンガスのような腐食性のガスによってもエッチングや腐食がされにくい。従って、長期の耐用期間を得ることができる。一方、多孔質セラミック製の断熱材37は、セラミックで繊維を形成しこれを成形吸引器で形成し、空間36の形状に適合するようにしたものを用いることができる。
【0035】
断熱材37及び内壁35はセラミックの材料としては、例えば純度が80〜99.7%のアルミナや、Si系のもの等が挙げられる。フッ素を含むガスを処理する場合には、この排ガスに対して高い耐腐食性を有するアルミナを用いることが望ましい。内壁35用の繊維強化セラミックスとして、アルミナ連続繊維を用いると、耐熱性、耐風速性、耐摩耗性が高く、大きな熱衝撃、温度勾配に耐えるものとなる。
【0036】
燃焼室30には、火炎を検出するためのUVセンサ38と、バーナ部10の点火を行うパイロットバーナ39が設けられている。なお、UVセンサ38及びパイロットバーナ39は、図3に示すように、円筒体11の頂部(バーナ部10の天板)に取りつけても良いよい。UVセンサ34は形成される火炎を斜めから検出するため、円筒体11の頂部に対して傾けて配置する。これは火炎が燃焼室30では、旋回流を形成し、径方向に対して火炎が短くなるためである。シラン(SiH4)等を処理するとSiO2のダストが燃焼室30の内壁面に付着し、UVセンサ38が火炎を検出できなくなるが、このようにUVセンサ38をバーナ部10の天板に取りつけることより、ダスト付着により火炎が検出できなくなるという問題を回避できる。また、難分解性の地球温暖化ガス(PFCs)を処理するためには、1300℃以上の高温が必要となるため、配管が熱により腐食するが、上記のようにUVセンサ38及びパイロットバーナ39をバーナ部10の天板に取りつけることにより、このような高熱による腐食を回避できる。
【0037】
燃焼室30の下部には、冷却される冷却部51を介して排出部52が設けられている。冷却部51には、下縁部に複数のノズル53が周方向に等間隔に設けられており、このノズル53から中心に向けて水を噴射することによって水のカーテンを形成して、排ガスの冷却と排ガス中の粒子の捕促とを行うようになっている。排出部52の側壁には処理済みの排ガスを排気する排気管54が、底部にはノズル53より噴射された水を排出する排水ポート55が設けられている。
【0038】
次に上記実施の形態の排ガス処理装置の動作について説明する。先ず、助燃ガスは、助燃ガス室20内に導かれ保持され、円筒体(内筒)11の内周面に設けられた助燃ガスノズル16から保炎部18に向けて旋回流を作り出すように吹き出される。そして、パイロットバーナ39により点火されると、円筒体(内筒)11の内周面に旋回炎を形成する。
【0039】
ここで、助燃ガスは旋回炎を形成するが、旋回炎は広い当量比の範囲にわたって安定して燃焼できる特徴を備えている。即ち、強く旋回しているために火炎相互に熱とラジカルを供給し合い、保炎性が高くなる。そのため、通常であれば未燃ガスを発生したり消炎するような小さな当量比においても未燃ガスが発生することなく、また、当量比1付近においても振動燃焼を誘発することなく安定して燃焼させることができる。
【0040】
一方、処理すべき排ガスG1は、円筒体11の頂部の下面に開口する排ガス導入管14から保炎部18に向けて噴出する。この噴出された排ガスG1は助燃ガスの旋回流と混合して燃焼するが、この際、助燃ガスが円周方向の全ての助燃ノズルから下流の一方向に強く旋回するように吹き出されているため、助燃ガスの全てが火炎と充分に混合して、排ガスの燃焼効率は非常に高くなる。
【0041】
また、助燃ガスはその発火温度を超える温度以上に過熱すると、助燃ガスに酸化剤が含まれている場合には、助燃用ガス室20内で燃焼を開始する場合があるため、その発火温度を超えないように冷却する必要がある。更に、本発明者等の研究により、旋回炎は円筒体11及び助燃用ガス室20内の助燃ガスを加熱することがわかった。そのため、安定した燃焼を継続するためには、円筒体11の構成材料の耐熱温度を超えないように冷却する必要がある。前記空気のズル15から保円炎部18に噴射される旋回空気流は助燃用ガス室20を冷却する作用を有する。
【0042】
更にまた、助燃ガスノズル16からの火炎は旋回して噴射されるが、空気ノズル15から噴射された空気も旋回しているため、この空気流が火炎と混合して火炎の旋回流を一層加速して強い旋回流を形成する。旋回炎を形成すると旋回の中心部の気流の圧力が低下して、中心部に、火炎の先方から排ガス導入管14及び助燃ガスノズル10に向けて逆流する自己循環流が発生し、この循環流が助燃ガスノズル16からの火炎及び燃焼ガスと混合してNOxの生成を抑制する。或いは助燃ガスとして予混合気を使用し助燃ガスの当量比を小さくしても低NOx燃焼が可能となる。
【0043】
また、助燃ガスノズル16からの火炎は強く旋回しているため、この旋回流がシランガス等のように燃焼によりダストを生成するガスを対象とする場合、燃焼して生成されるシリカ(SiO2)が排ガス導入管14及び助燃ガスノズル16に付着するのを防ぐ作用をする。即ち、シラン(SiH4)等が燃焼すると、粉末状のシリカ(SiO2)が生成されるが、このシリカ(SiO2)が排ガス導入管14や助燃ガスノズル16の付近に付着すると、助燃ガスの噴き出し量を減らしたり、噴き出し方向を変えたりして、吹き出しを不安定にすることがある。このような状況になると、ガスの吹き出しが静定せず、安定な燃焼が不可能となる。
【0044】
本実施の形態にあっては、助燃ガスノズル16の旋回炎があるため、この旋回炎により排ガス導入管14及び助燃ガスノズル16の先端部にも速い流れが発生して、この流れが排ガス導入管14及び助燃ガスノズル16の先端部をクリーニングする作用をなし、生成した粉末のシリカ(SiO2)が排ガス導入管14及び助燃ガスノズル16の先端部に付着するのを防ぐ働きをする。この効果は空気噴射ノズル15からの旋回空気流があることにより、一層、顕著となる。
【0045】
更に、この効果は排ガス導入管14及び助燃ガスノズル16の先端部だけにとどまらない。つまり、火炎が燃焼室30内部で旋回していることから、燃焼室30の壁表面にも速い流れが発生して燃焼室30の壁をクリーニングして、この表面に付着したシリカ(SiO2)を除去する働きをする。このように、旋回流により、排ガス導入管14及び助燃ガスノズル16の先端部及び燃焼室30の壁面に付着したシリカ(SiO2)をセルフクリーニングすることにより、この表面に付着したシリカ(SiO2)を除去する働きをする。
【0046】
一例として、供給する助燃ガスを酸化剤を含んだ予混合気とし、この予混合気の燃焼ガスに対する酸化剤の混合比を化学量論値で求める酸化剤混合比より少なくした燃料過濃予混合気とし、これを助燃ガスノズル16から旋回噴射して、保温部18の内部に一次旋回流還元炎を形成する。この還元炎と排ガス導入管14からの排ガスを接触させて、排ガスとりわけPFCs系の排ガスを還元分解する。
【0047】
次に、空気ノズル15及び2次空気ノズル33から噴射する空気から化学量論値以上の充分な酸素を与えられ、酸素過剰な状態として2次酸化炎を形成する。この酸化炎により排ガスを酸化分解する。そして、排ガスは還元炎と酸化炎の2段の火炎に曝されて、火炎と接触時間を長くして高温滞留時間を延ばすことができる。ここで、PFCs系の排ガスは雰囲気温度を高くして、その状態を長く維持すれば分解できる特性を有する。このように、排ガスは酸化・還元の異なる2段の火炎に曝され、しかも、火炎による高温状態を延ばすことによって、排ガス、とりわけPFCs系のガスを完全に分解することができる。
【0048】
助燃ガスノズル16を保炎部18の斜め下流に向けて助燃ガスを旋回流を形成して吹き出すように構成したため、助燃ガスノズル16から吹き出した火炎は保炎部18の下流に向けて螺旋状の旋回流を形成する。したがって、旋回流が円筒体11の内側を流れる際の旋回長が、助燃ガスを水平に吹き出した場合より短くなって、火炎が円筒体11の内壁面を加熱する領域が狭くなり、旋回流による円筒体11の内側の周壁の加熱と温度上昇が抑制される。
【0049】
これにより、円筒体11の構成材料の耐熱寿命を延ばすことができる。また、空気ノズル15からの冷却空気量を少なくでき、冷却による火炎の温度の低下を抑制し、高温状態を維持して、ハロゲン系、特にフルオロカーボンを含んだ排ガスの分解効率を向上できる。また、助燃ガスノズル16は、上から見た場合、円筒体11の接線方向に開口し、かつ鉛直面内では斜め下方に開口するように複数設けるようにしても、火炎が保炎部18の下流へ向かって螺旋状の旋回流を形成することが可能である。
【0050】
また、本実施の形態では、2次空気ノズル33は下方に向けてあるが、円筒体11の中心方向に向けて噴射するようにしてもよく、また、2次空気ノズル33を該ノズルから噴射される空気が燃焼室内部で旋回流を形成するように設けることも考えられる。これにより、燃焼処理したガス冷却及び燃焼室30外への排出、さらには燃焼室30の壁面に付着するシリカ(SiO2)の除去をより効果的に行うことができる。この場合のノズルの設け方は前述の助燃ガスノズル16と同様である。
【0051】
また、円筒体11の頂部に空気噴射ノズルを設け、必要に応じてこの空気噴射ノズルから保炎部18に空気を供給して酸素濃度を増大させることにより、燃焼性を向上することもできる。
【0052】
また、前記助燃ガスノズル16より下流の保炎部18の周壁を延伸して2次燃焼用の空気孔をさらに設け、保炎部18に1次燃焼の還元炎と空気による2次燃焼の酸化炎を形成して、排ガスG1とりわけハロゲン系、特にフルオロカーボンを含むガスの分解率を向上させることができる。この場合、前述した理由により、この空気孔は保炎部18に向けて旋回流を形成するように噴射するのが好ましい。また、円筒体11の中心方向に向けて噴射して、還元炎による1次燃焼後の排ガスとの間に乱れを起こして混合するようにしてもよい。
【0053】
また、火炎は上方から下方に吹き出す例を示しているが、水平方向に噴出するようにした火炎に適用してもよい。また、助燃ガスとしては水素と酸素の予混合気に限定されることなく、水素、都市ガス及びLPG等の燃料ガス、若しくは都市ガス、LPGと酸素、空気若しくは酸素富化空気との予混合気でもよいことは勿論である。
【0054】
一実施例としては、次の通りである。
【0055】
処理対象ガス;CF4
還元炎中の還元分解反応としては、
CF4+H2→CHmFn+HF+F2 (m,nは0〜4)
さらに酸化分解反応としては、
CHmFn+O2→CO2+H2O
燃焼室30においては、内壁を構成するセラミックスが耐熱性及び耐食性に優れており、熱や腐食による消耗が少ないばかりではなく、繊維に強化されているもので熱応力による割れも防止され、長期に渡って使用が可能である。しかも、金属の場合のような触媒効果がないために燃焼室30が高温になってもサーマルNOxの発生が抑制される。ハロゲン系のガスを分解処理しても、それに伴い生成するハロゲンガス(HCl、HF等)による内壁35の高温下での腐食やエッチングが抑制される。
【0056】
特に、アルミナを素材とする繊維強化セラミックスを用いる場合には、通常の運転条件下(600〜1300℃)での熱伝導率が、0.65〜0.88(W/m.K)程度であり、ステンレス系金属の平均熱伝導率=0.0017(W/m.K)程度に対して、数百倍程度高い。従って、熱応力による割れが一層少なくなる。また、内壁35の外周に多孔質セラミックス製の断熱材37が配置されているので、ステンレス系金属製の従来の内壁使用時よりもさらに熱損失量を低減させることができる。このことは、Si系等、他のセラミックスを使用しても同様である。
【0057】
パージ空気導入管40からは、パージ用の空気が外側容器34と内壁35の間の空間36内に燃焼室12の圧力よりやや高い程度の圧力で導入される。この空気は内壁35やその端部の微細な隙間から燃焼室30内に噴出し、燃焼ガスや排ガスと混合して排出部52から外部に排出される。これにより、燃焼室30内の有害で腐食性を有するガスが外側容器34から外部に漏洩することが防止することができる。
【0058】
また、上記のように燃焼室30の内壁35をセラミックスで作成することによって触媒作用を防止して低NOx化を図っている。さらに、助燃ガスの当量比を小さくすればさらなる低NOx燃焼が可能となる。
【0059】
セラミックス製の内壁を用いた燃焼器の場合のNOxの生成量を、ステンレス製の内壁を用いた燃焼器の場合と比較した結果を以下に示す。燃焼器の形式等の条件は双方とも同じである。
【0060】
燃焼温度:1300℃以上
処理するガス:N2ガス
排出ガスのNOx濃度
セラミックス製の内壁:25ppm
ステンレス製の内壁:数100〜数1000ppm
図3及び図4は本発明の排ガス処理装置のバーナー部の他の構成例を示す図で、図3は縦断面図、図4は図3の矢視A図である。同図において、図1及び図2と同じ符号を付した部分は同一又は相当部分を示す。また、他の図面においても同様とする。本バーナ部10は円筒体11の外周部に助燃ガス室20に隣接して冷却ジャケット21を設けている。該冷却ジャケット21には冷却媒体を供給している。該冷却ジャケット21に冷却媒体を供給することにより、該冷却ジャケット21は開口部に形成される火炎により加熱された円筒体11を冷却する。冷却媒体には、温度差のあるものならばよく、水等の液体や空気等の気体を用いる。
【0061】
また、パイロットバーナ部39は、円筒体11の頂部(バーナ部10の天板)に所定の角度で傾斜させて設けている。これは助燃ガスノズル16から噴射される助燃ガス(火炎)は径方向に対して短くなるため、パイロットバーナは所定の角度傾斜させて設けた方がよい。
【0062】
図1に示す燃焼器の燃焼バーナ部10においては、円筒体11の内部温度は400℃まで上昇していたが、特に水冷の場合、本バーナ部10では70℃に低下する。従って、助燃ガス室20に保持された助燃ガスが引火して爆発する危険はなくなる。但し、前述の2次空気ノズルがなくなるため、その空気は空気ノズル15から1次空気を増やすか若しくは予混合のO2量を増やして対処する。なお、ここでは空気ノズル15を斜め下方を向くように設け、斜め下方に旋回空気流を形成するようにしているが、空気ノズル15を図1に示すように、水平にもうけ、水平の旋回空気流を形成するようにしてもよいことは当然である。
【0063】
上記のように、バーナ部10を冷却構造とすることにより、円筒体11の温度は低下するが、難分解性ガスであるC2F6(このガスは地球温暖化係数がCO2の10,000倍と言われ、地球温暖化対策としては100%分解されることが要望されている)の処理能力は80%から41%に低下した。これはバーナ部10の温度が低下し、それにより火炎温度の低下が影響しているためと考えられる。そこで、加熱され高温となる爆発の危険がある助燃ガスノズル16に助燃ガスを導入する燃料ガス導入部を効果的に冷却できるバーナ部の構成を以下に説明する。
【0064】
図5及び図6は本発明に係る排ガス処理装置のバーナ部の他の構成例を示す図で、図5は縦断面図、図6は図5の矢視D図である。本バーナ部10は円筒体11の上部外周に空気室22を設け、更に下部外周には冷却ジャケット24と助燃ガス室23と冷却ジャケット24を同心円状に設けている。そして円筒体11の内周壁には空気室22に連通する空気ノズル15が設けられ、助燃ガス室23の下面には該助燃ガス室23に連通する助燃ガスノズル16を設けている。
【0065】
助燃ガスノズル16からの助燃ガスは矢印Bに示すように、円筒体11の開口下方の中心部に向かって又は斜め下方に且つ旋回流となるように噴射される。また、空気ノズル15から噴射される空気は矢印Cに示すように、円筒体11内で旋回する旋回流となる。
【0066】
上記構成のバーナ部10において、円筒体11内に導入された処理ガスG1は空気ノズル15からの旋回空気流と混合されると共に、助燃ガスノズル16からバーナ部10の下方に噴射される助燃ガスと混合され、着火により火炎が円筒体11の開口下方に向かって形成される。この時助燃ガス室23は両側から冷却ジャケット24で冷却されることになり、温度は低く抑えられる。また、火炎は円筒体11から下方に形成されるので、円筒体11の温度低下は火炎に大きな影響を与えない。
【0067】
図7及び図8は本発明に係る排ガス処理装置のバーナ部の他の構成例を示す図で、図7は縦断面図、図8は図7の矢視E図である。本バーナ部10が図5及び図6に示すバーナ部10と異なる点は、円筒体11の外周に設けた冷却ジャケット24内に助燃ガス室23を設け、該助燃ガス室23の周囲を冷却媒体で囲んでいる。また、助燃ガス室23の下面には該助燃ガス室23に連通する助燃ガスノズル16が設けられている。
【0068】
助燃ガスノズル16からの助燃ガスは矢印Bに示すように、円筒体11の開口下方の中心部に向かって又は斜め下方に且つ旋回流となるように噴射される点、及び空気ノズル15から噴射される空気は矢印Cに示すように、円筒体11内で旋回する旋回流となる点は図5及び図6に示すバーナ部10と同一である。
【0069】
上記構成のバーナ部10において、円筒体11内に導入された処理すべき排ガスG1は空気ノズルからの旋回空気流と混合されると共に、助燃ガスノズル16からバーナ部10の下方に噴射される助燃ガスと混合され、着火により火炎が円筒体11の開口下方に向かって形成される。この時助燃ガス室23は外周を冷却ジャケット24内の冷却媒体で囲まれているから、助燃ガス室23は冷却され温度は低く抑えられる。また、火炎は円筒体11から下方に形成されるので、図5及び図6に示すバーナ部10と同様、円筒体11の温度低下は火炎に大きな影響を与えない。
【0070】
図9及び図10は本発明に係る排ガス処理装置のバーナ部の他の構成例を示す図で、図9は縦断面図、図10は図9の矢視F図である。本バーナ部10が図5及び図6に示すバーナ部10と異なる点は、円筒体11の下部外周に形成された冷却ジャケット24内に円筒状の助燃ガス室25を配置している点である。該円筒状の助燃ガス室25は先端に助燃ガスノズル16が設けられ、該助燃ガスノズル16が下方になるように傾斜させて冷却ジャケット24を貫通して配置されている。
【0071】
助燃ガスノズル16からの助燃ガスは矢印Bに示すように、円筒体11の開口下方の中心部に向かって又は斜め下方に且つ旋回流となるように噴射される、及び空気ノズル15から噴射される空気は矢印Cに示すように、円筒体11内で旋回する旋回流となる点は、図5及び図6に示すバーナ部10と略同一である。
【0072】
上記構成のバーナ部において、円筒体11内に導入された処理すべき排ガスG1は空気ノズル15からの旋回空気流と混合されると共に、助燃ガスノズル16からバーナ部10の下方に噴射された燃料ガスと混合され、着火により火炎が円筒体11の開口下方に向かって形成される。この時円筒状の助燃ガス室25は外周を冷却ジャケット24内の水で囲まれているから、冷却され温度は低く抑えられる。また、火炎は円筒体11から下方に形成されるので、図5及び図6に示すバーナ部10と同様、円筒体11の温度低下は火炎に大きな影響を与えない。
【0073】
図11及び図12は本発明に係る排ガス処理装置のバーナ部の他の構成例を示す図で、図11は縦断面図、図12は冷却ジャケット26の外観図である。本バーナ部10が図5及び図6に示すバーナ部10と異なる点は、円筒体11の下部外周に冷却ジャケット26が設けられ、該冷却ジャケット26内に円筒状の助燃ガス室27が配置されている点である。該円筒状の助燃ガス室27の先端には円筒体11の開口下方に向かって傾斜し、内周面の接線方向に対して所定の角度を有する助燃ガスノズル16が設けられている。
【0074】
助燃ガスノズル16から噴射される助燃ガスは矢印Bに示すように、円筒体11の開口下方の中心部に向かって又は斜め下方に且つ旋回流となるように噴射される。また、空気ノズル15から噴射される空気は図5及び図6に示すバーナ部10と同様、円筒体11内に旋回するようになっている。
【0075】
上記構成のバーナ部10において、円筒体11内に導入された処理ガスは空気ノズル15からの旋回空気流と混合されると共に、助燃ガスノズル16からバーナ部10の下方に噴射される助燃ガスと混合され、着火により火炎が円筒体11の開口下方に向かって形成される。この時助燃ガス室27は外周を冷却ジャケット21の冷却水で囲まれているので、冷却され温度は低く抑えられる。また、火炎は円筒体11から下方に形成されるので、図5及び図6のバーナ部10と同様、円筒体11の温度低下は火炎に大きな影響を与えない。
【0076】
SiH4等を含む排ガスのように、燃焼器で加熱分解し無害化するとSiO2等のダストが発生し、該ダストがバーナ部10の円筒体11の内壁や燃焼室30の内壁及び燃焼室以降の配管内壁に付着し、排気圧損を大きくするという問題を起こすガスがある。そこで本発明の排ガス処理装置の排ガス燃焼器にはその内壁に付着したダストを除去するダスト除去装置を設けている。
【0077】
図13はダスト除去装置の構成例を示す図である。図示するように、ダスト除去装置はバーナ部10と燃焼室30に渡って上下動するシャフト57の先端に取り付けた掻き取り板56を設け、該掻き取り板56を上下動させることにより、バーナ部10及び燃焼室30の内壁面に付着したダストを掻き落とす。掻き取り板56には図14(A)、(B)に示すように、排ガス導入管14の開口より大きい円孔56a又は線形孔56bが形成されている。これにより、掻き取り板56を最上部(図13の実線の位置)の退避位置まで上昇させた場合、孔56aが排ガス導入管14の開口部に対応して位置し、該排ガス導入管14からバーナ部10内(円筒体11内)に流入する排ガスの流れを阻害しないようになっている。また、掻き取り板56をこの退避位置まで上昇させたとき、空気ノズル15及び助燃ガスノズル16から吹き出した空気の旋回流及び助燃ガスの旋回流を阻害しないようになっている。
【0078】
燃焼室30の下端には燃焼室30で燃焼した排ガスを冷却すると共に、掻き取り板56で掻き落されたダストを受ける冷却受部44が設けられており、該冷却受部44の下端には閉止バルブ45が取りつけられ、該閉止バルブ45の下端にはクランプ46を介してダスト収容タンク47が取り付けられている。また、冷却受部44には排気管54、排水ポート52が設けられている。また、ダスト収容タンク47にはバルブV1を介してUトラップ58が接続され、該UトラップにはバルブV2を介して排水管59が接続されている。
【0079】
上記構成のダスト除去装置において、バーナ部10及び燃焼室30の内壁面に所定量のダストが付着したことを検出したら、手動又は自動的にシャフト57を上下動させ、掻き取り板56でこの付着したダストを冷却受部44に掻き落とす。冷却受部44にはバルブV3を開けて排水ポート52により、排水しながらダストを溜め、ダストが所定量になったら、閉止バルブ45を開いてダストをダスト収容タンク47に入れる。それから、閉止バルブ45を閉じてバルブV1、V2を開いてダスト収容タンク47内の排水をUトラップ58を経て排水管59を通して排水する。ここでUトラップ58を設ける理由は、直接排水管59で排水すると、同時に有害ガスも排出されてしまうためである。
【0080】
なお、ダストの掻き取りは付着したダスト量を何らかの検出手段(例えば、燃焼室30の圧力を検出する圧力センサ、燃焼室30の壁面温度を検出する温度センサ、内壁面に付着するダスト量をモニタするモニター装置)で検出し、その付着量が所定量となったらシャフト57を自動的に上下動させて、ダストを掻き取るようにしてもよいし、またタイマーを設け、所定の運転時間が経過したらシャフト57を上下動させて、ダストを掻き取るようにしてもよい。また、上記掻き取り板56等をセラミックス等の耐食、耐熱材質で製作する。
【0081】
また、ダスト収容タンク47に図示は省略するが、内部に溜まったダストの量を確認するための透明な覗窓や、所定量のダストが溜まったことを検知する光電センサ等のダスト検知センサ及びダスト収容タンク47に水を供給する給水管が設けられており、ダスト収容タンク47内に所定量のダストが溜まったら、閉止バルブ45を閉じ、バルブV1、V2を開いて、上記給水管よりダスト収容タンク47内に水を流してダストを流すことにより、ダスト収容タンク47内のダストをUトラップ58を通して流すようにしてもよい。
【0082】
また、排水ポート52を設けることなく、閉止バルブ45、バルブV1、V2を開放して冷却部44から、水とダストをダスト収容タンク47に投入し、水をUトラップ58を通して排水するようにしてもよい。
【0083】
また、図13の構成例では、掻き取り板56がバーナ部10から燃焼室30にかけて上下動するようになっているが、図15に示すようにバーナ部10のみを上下動するようにしてもよい。また、退避位置もバーナ部10の上部に限定されるものではなく、例えばシャフト57を上下動させる駆動機構を燃焼室30又は冷却受部44の下方に設け、退避位置を燃焼室30の底部でもよい。
【0084】
図15はダスト除去装置の他の構成例を示す図である。図示するように、ダスト除去装置は、バーナ部10の内部には、図13に示すようなシャフト57の先端に掻き取り板56を設けた構成の掻き取り装置を配置し、該シャフト57の上下動により内壁に付着したダストを掻き取るように構成している。また、燃焼室30の上部にはリング状の空気室41を設け、該空気室41の下面からには図16に示すように、多数の空気噴射ノズル42を設けている。該空気噴射ノズル42から空気を燃焼室30の壁面に沿って下方又は斜め下方に吹き付けることにより、燃焼室30の内壁面に付着したダストを吹き飛ばす。また、上方から下方に流れる空気流の層を形成し、この空気流の層により、内壁面へのダストの付着を阻止する。
【0085】
燃焼室30の下端には図示は省略するが、図13と同じく冷却受部44等が設けられている。なお、シャフト57の上下動は図13のダスト除去装置と同様、手動、自動、タイマーによる所定運転時間経過毎に行うようにする。
【0086】
なお、上記例では、バーナ部10の内壁に付着したダストをシャフト57に掻き取板56で掻き落すようにし、燃焼室30の内壁面に沿って空気を吹き付け、付着したダストを吹き飛ばすか、又は空気流層を形成してダストの付着を阻止するように構成したが、バーナ部10と燃焼室30にわたってその内壁面に沿って空気流層を形成し、ダストの付着を防止するようにしてもよい。
【0087】
また、空気噴射ノズル42からの空気吹き付けを断続的に行うことにより、最小の吹き付け空気量で内壁面に付着したダストを除去できる。
【0088】
図17及び図18はダスト除去装置の他の構成例を示す図で、図17は燃焼室の縦断面図、図18は図17のIII−III矢視断面図である。内壁35を多孔質体(例えば球粒フィルタ、多孔質セラミックス、耐熱性板材に多数の細孔を穿ったもの)で構成すると共に、該多孔質体からなる内壁35と外側容器34の間にそれぞれ独立した複数の環状の空気室36’を設けている。各空気室は空気源に接続され、該空気源から圧縮空気を供給することにより、内壁35の多孔から燃焼室30内に均一に空気が吹き出される。この空気の吹き出しにより、内壁に付着したダストの除去又はダストの内壁35への付着を均一に阻止する。
【0089】
上記構成のダスト除去装置において、内壁35の多孔からの空気(Air)の吹き出しは、排ガス処理装置の運転中継続して吹き出すようにしても良いが、場合によっては内壁に所定量のダストが付着した場合、前述した検出手段で検出し、空気を吹き出し、付着したダストを除去するようにしてもよい。また、所定の時間経過毎に空気を吹き出しても良い。
【0090】
図19はダストを含むガスが流れる場合、配管内壁に付着するダストを除去するダスト除去装置の構成例を示す縦断面図である。図示するように、ダスト除去装置は、主軸62の長手方向に延びる2本の棒状の掻き取り部材63を取付けた構成の掻き取り機構を、ダストを含む排ガスG3が流れる配管61内に配置している。該掻き取り機構の主軸62を掻き取り部材63が配管61の内面に接触し又は微小な間隙をおいて位置するように支持すると共に、シール作用を有する支持シール機構64と、該掻き取り機構を主軸62を中心に連続的又は周期的に揺動(一定角度の回転往復運動)又は回転させる駆動機構65を具備する。
【0091】
上記主軸62と掻き取り部材63はそれぞれ中空のパイプで、互いの中空は連通し、ロータリジョイント等の継手66を介してクリーニングガスG4が主軸62の中空及び掻き取り部材63の中空を通って、掻き取り部材63の先端(上端)から配管61内に噴出されるようになっている。配管61の下端にはダスト受部67が設けられ、該ダスト受部67の内壁面には水を噴射する水噴射ノズル69が設けられ、ダスト受部67の底部には排水管70が設けられている。
【0092】
上記構成のダスト除去装置において、配管61内に流入するダストを含むガスG3は排気管68を通って排出されるが、ダストは配管61内に付着する。駆動機構65により、該掻き取り機構を主軸62を中心に連続的又は周期的に揺動又は回転させると、配管61の内壁に付着したダストは掻き取り部材63により掻き取られダスト受部67に落下する。このとき掻き取り部材63の先端から空気等のクリーニングガスG4を連続的又は間欠的に噴射することにより、掻き取り部材63の届かない範囲のダストも除去できる。
【0093】
この方法で除去されたダストは細かいままダスト受部67に落ちるため、この部分に水噴射ノズル69から水を噴射すればダストは詰まることなく、排水管70から外部に排出される。排ガスG1が腐食性のガスの場合は、クリーニングガスG4にアンモニアガスを混合すれば、配管61の内表面を中和して腐食の進行を食い止めることができる。
【0094】
図20は図19に示す構成のダスト除去装置を排ガス処理装置の排ガス燃焼器に設けた場合の構成例を示す図である。図示するように、半導体製造設備からの排ガスG1が流れ込む燃焼室30内に主軸72の長手方向に延びる2本の棒状の掻き取り部材73を取り付けた構成の掻き取り機構と、該掻き取り機構の主軸72を掻き取り部材73が燃焼室30の内面に接触し又は微小な間隔をおいて内周方向に移動するように支持すると共にシール作用を有する支持シール機構74と、該掻き取機構を主軸72を中心に連続的又は周期的に揺動又は回転さる駆動機構75を具備する。
【0095】
また、ロータリジョイント等の継手76を介してクリーニングガスG4が主軸72の中空および掻き取り部材73の中空を通って、掻き取部材73の上端から燃焼室30を構成する配管71内に噴出されるようになっている。燃焼室30の内壁面の上部バーナ部10にはバーナー81が設けられ、燃焼室30の下端には冷却受部77が設けられ、該冷却受部77の側部には排気口78が設けられている。また、冷却受部77の内壁状面には水を噴射する水噴射ノズル79が設けられている。また、下端部には冷却受部77の内部に連通する排水口80が設けられている。
【0096】
半導体製造設備等からの排ガスG1はバーナー81で形成された火炎により加熱され、無害化され高濃度のダストを含む高温の排ガスとなる。バーナー81で形成される火炎82の温度は2000℃程度に達するため、火炎82に直接物体が当ると殆どの物質は溶融してしまうと考えられる。このため、バーナー81の直後の燃焼室30内壁面温度は2000℃より低いので、ダストが付着して閉塞を起こし易い。また、バーナ部81の周辺も同様である。
【0097】
上記の環境下で、駆動機構75で掻き取り機構を主軸72を中心に回転又は揺動させると該掻き取り部材73により、燃焼室30の内壁面に付着したダストを直接掻き取ることができ、ダストの付着による閉塞を防止できる。また、火炎82が当るため掻き取部材73が挿入できない範囲においても、クリーニングガスG4をロータリージョイント等の継手76を通して供給し、掻き取り部材の上端から吹き出すことにより、内壁面に付着したダストを除去できる。
【0098】
上記火炎82により加熱燃焼した排ガスG1は冷却受部77に流入し、水噴射ノズル79から噴射される水により冷却され、排気口78から排出されると共に、掻き取られたダストを含む水は排水口80から排出される。
【0099】
図21は上記掻き取り機構の主軸72と掻き取り部材73の他の構成例を示す図である。本掻き取り機構は図示するように、掻き取り部材73の外周面に内部の中空部に連通する小さい孔73aを多数設けている。図14のロータリージョイント等の継手76を介して主軸72及び掻き取り部材73の中空を通してクリーニングガスG4を供給することにより、該クリーニングガスG4は該孔73aを通して燃焼室30の内壁に吹きつけられると共に、掻き取り部材73の上端からも吹き出される。これにより、掻き取り部材73と燃焼室30の内壁面との隙間dの範囲に付着したダストも、吹き払いにより除去することが可能となる。
【0100】
図22は主軸72と掻き取り部材73からなる掻き取り機構の他の構成例を示す図である。本掻き取り機構は図示するように、掻き取り部材73や主軸72の全表面に中空部に連通する小さい孔、73a、72aを多数設けている。このような構成とすることにより、主軸72及び掻き取り部材73の中空部にクリーニングガスG4を導入することにより、掻き取り部材73と燃焼室30の内壁面の間の間隙の範囲内に、ダストを吹き払いにより除去することが可能となる。また、主軸72及び掻き取り部材73自身に付着するダストも吹き払い除去することが可能となる。
【0101】
なお、図21及び図22に示す実施形態例では、主軸72や掻き取り部材73の表面に中空部に連通する多数の孔72a、73aを設けているが、この孔72a、73aに替えて中空部に連通するスリットを設けても良い。また、図15及び図16の掻き取り機構の構成は、図19の主軸62及び掻き取り部材63から構成される掻き取り機構にも当然適用出きる。
【0102】
また、掻き取り機構の掻き取り部材73は、2本に限定されるものではなく、図23に示すように、主軸72に3本の掻き取り部材13を設けるようにしてもよく、更には3本以上であってもよい。また、図19の場合も主軸62に3本以上の掻き取り部材を設けて掻き取り機構を構成してもよい。
【0103】
上記掻き取り部材73の本数を3本以上とすることにより、掻き取り機構の一回転当りのダスト掻き取り回数が増え、ダスト濃度が濃い場合の対応が可能である。また、掻き取り機構が一定角度の回転往復運動をする場合、その揺動角度を少なくしても、全ての領域のダストを掻き取ることができる。但し、掻き取り部材73を極端に多くすると掻き取り機構自体へのダスト付着により、燃焼室30を閉塞してしまう恐れがある。
【0104】
なお、図示は省略するが、図20乃至図23に示す構成の掻き取り機構を図1に示す排ガス処理用燃焼器内に取りつけバーナ部10及び燃焼室30の内壁に付着したダストを除去するようにして構成してもよい。
【0105】
図19乃至図23に示す構成のダスト除去装置において、配管61、保炎部10、燃焼室30に流入するガスG1やガスG3はダストだけでなく、配管61、保炎部10、燃焼室30の内壁を腐食などの作用により侵食する可能性のある成分を含んでいる場合、クリーニングガスG4にその作用を中和する性質を持つガスを導入する(例えば、酸性ガスの流入に対して、アンモニア等のアルカリ性ガスを導入する)と、クリーニングガスG4の及ぶ範囲において、配管の侵食作用を抑制することができる。
【0106】
図24及び図25は本発明の排ガス処理装置のバーナー部の他の構成例を示す図で、図24は縦断面図、図25は図24の矢視L図である。本バーナ部10は、例えば図3及び図4のバーナ部10に比較し、保炎部18の高さ寸法Hを小さくし、更に空気ノズル15と助燃ガスノズル16の間の間隔Iを小さくしている。即ち、空気ノズル15の空気吹き出し口を助燃ガスノズル16の助燃ガス吹き出し口にできるだけ近づけている。また、空気ノズル15から吹き出される空気が円筒体11の内壁面の接線に極力接近するように、空気ノズル15の中心線と内壁面の接線の間隔Jを小さくしている。
【0107】
このように保炎部18の高さ寸法Hを小さくし、空気ノズル15と助燃ガスノズル16の間の間隔Iを小さくすることにより、空気吹出口と、助燃ガス吹出口の谷間での流れの滞留を無くし、保炎部18の内壁面に付着又は付着しようとするダストを空気流により吹き飛し、該内壁面に付着することを極力防止する。
【0108】
また、旋回ノズル15から吹き出す空気が円筒体11の内壁面の接線に接近しているので、円筒体11の内壁面近くでの流れの滞留を防止し、内壁面にダストが付着しにくくなる。
【0109】
また、空気ノズル15から吹き出される空気の流れが水平より下流側に傾斜するように、空気ノズル15を設けた。空気ノズル15の水平面に対する傾斜角度θ1を30°程度にしたとき、助燃ガスノズル16の付近のダスト付着防止効果が大きい。また、空気ノズル15はその吹出口が円筒体11の内壁面の円周方向に均等に開口するように多数個設け、吹き払い効果の高い吹き出し直後の流速の速い空気流が内壁面全体に行き渡るようにしている。
【0110】
空気ノズル15水平方向の空気導入角度θ2は、θ2=360°/nとする。ここでnは円周方向に配置した空気ノズル15の数で3以上の整数を示す。特に、空気ノズルの数nは4、8、12、16、24で良い結果を得た。
【0111】
保炎部18の高さ寸法Hに対する内径Kの比(H/K)を従来は50mm/80mmであったのに対して、ここでは15mm/80mmとしている。また、下側の空気ノズル15と上側の助燃ガスノズル16との間の間隔Iを従来は26mmであったのに対して、ここでは16mmとしている。内径Kが増減しても間隔Iは一定である。また、空気ノズル15の中心線と該中心線に平行な内壁面の接線の間隔Jを従来は15mmであったのに対してここでは5mmとしている。
【0112】
図26は本発明の排ガス処理装置のバーナー部の他の構成例を示す縦断面図である。本バーナ部10は図示するように、排ガス導入管14の開口部14aの内径が下方に向かって徐々に大きくなり、更に円筒体11の内径も下方に向かって徐々に大きくなっている。これにより、排ガス導入管14の開口部14a及び円筒体11の内部に直角のような角度部がなくなる。また、排ガス導入管14の開口部14aの間にも逆円錐台状の突出部11aを設けてもよい。
【0113】
通常、バーナ部10におけるダストの付着部分は角部や空気や排ガスの滞留する部分に付着する。ここでは上記のように排ガス導入管14の開口部14a、及び円筒体11の内部に直角のような角度部がなくなり、また、排ガス導入管14の間に排ガスの滞留部がなくなるので、内壁面にダストが付着しにくくなる。
【産業上の利用可能性】
【0114】
以上説明したように、本発明によれば、バーナ部及び/又は燃焼室内壁に付着したダストの除去又はダストを付着しないようにするダスト除去手段を設けたので、バーナ部及び/又は燃焼室内をダストで閉塞させることなく、排ガス処理装置の長時間運転が可能となる。
【0115】
また、本発明によれば、配管内に配置された掻き取り機構で、連続的又は周期的に揺動又は回転させることにより、配管内に付着するダストは除去され、配管内の排気を圧損が少なく流すことができる。
【0116】
また、本発明によれば、掻き取り部材及び主軸は中空のパイプからなり、配管外部から主軸及び掻き取り部材の中空を通して、掻き取り部材の先端又は該表面の多数の孔又はスリットからクリーニングガスを吹き出すことにより、掻き取り部材の届かない配管内のダストを除去できるだけでなく、掻き取り機構自身に付着するダストも除去することが可能となる。また、配管内を高温ガスが流れる場合は、クリーニングガスの冷却効果により装置自身の耐久性も向上する。
また、本発明によれば、空気ノズルは開口下方に向かって形成された燃焼炎に旋回空気流を下方に向かって吹き付けるように構成した空気ノズルとしたので、ノズル部の内壁にダストの付着しにくい、排ガス処理装置となる。
【0117】
また、本発明によれば、排ガス導入口及び筒状体の内径は燃焼室に向かって徐々に大きくなっているので、バーナ部内に直角のような角部がなくなり、ノズル部の内壁にダストの付着しにくい、排ガス処理装置となる。
【0118】
また、本発明の一態様によれば、バーナ部の助燃ガスノズルに助燃ガスを導入する助燃ガス導入部を冷却する冷却手段を設けたので、助燃ガス導入部が火炎により加熱されても温度上昇を助燃ガスの発火点以下に抑えるから、助燃ガスの爆発等のする危険がなくなる。
【0119】
また、本発明の一態様によれば、火炎が直接冷却ジャケットに接触しないため、冷却媒体による火炎の熱量の持ち去りが少なくなり、多くの熱量を排ガス処理に用いることができる。
【0120】
また、本発明の一態様によれば、コンパクトで、且つ効率よく有害可燃性ガスや難分解性ガスを含む排ガスを処理できる排ガス処理装置を提供できる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼処理した場合ダストを発生し易い排ガスを処理する排ガス処理装置に関するものである。例えばシランガス(SiH4)、或いはハロゲン系ガス(NF3,ClF3,SF6,CHF3,C2F6,CF4等)を含む有害可燃性、若しくは難分解性の排ガスを燃焼処理するための燃焼式の排ガス処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
燃焼処理するとダストを発生し易い排ガスには、半導体製造装置や液晶パネル製造装置からの例えばシラン(SiH4)やジシラン(Si2H6)等の有害可燃性ガスが有る。また、難分解性の地球温暖化ガス(PFCs)を含むガスがあるが、これらの排ガスは、そのままでは人体に悪影響を及ぼしたり、地球環境が変化するので大気に放出することが出来ない。そこでこれらの排ガスを除害装置に導いて、燃焼による酸化無害化処理を行なうことが一般に行われている。この処理方法としては、助燃ガスを用いて炉内に火炎を形成し、この火炎により排ガスを燃焼させるようにしたものが広く採用されている。
【0003】
このような燃焼式排ガス処理装置において、助燃ガスは、水素、都市ガス、LPG等を燃料ガスとして用い、酸化剤としては酸素若しくは空気が通常使用されており、この装置の運転費用は、これらの燃焼ガスや酸化剤の消費に伴うコストが大半を占めている。そこで、少ない助燃ガスによって如何に多くの有害排ガスを高効率のもとで分解するかが、この種の装置の性能を評価する尺度の一つになっている。
【0004】
従来の前記燃焼式の排ガス処理装置に使用される燃焼器の一般的な構成を図27及び図28に示す。これは、バーナ部101と該バーナ部101の後段で排ガスを加熱酸化分解させる燃焼反応部(燃焼室)102とを備えている。バーナ部101は、燃焼反応部102の天井中心部に開口した燃焼反応部102内に処理すべき排ガスG1を導入する排ガス用ノズル103と、この排ガス用ノズル103の外周部に開口して燃焼反応部102内に助燃ガスG2を導入する複数の助燃ガス用ノズル104とを有しており、燃焼反応部102の下端には燃焼ガス出口105が一体に連接されている。これによって、前記助燃ガス用ノズル104から噴出される助燃ガスG2で環状に並んで形成される火炎の中心部に排ガスG1を通過させ、この通過の際に排ガスG1を火炎と混合させて燃焼させて、この燃焼後の燃焼ガスを燃焼ガス出口105から外部に排出するようになっている。
【0005】
ここに、燃焼反応部102は、一般にステンレス系等の金属製の筒状の炉体106の内壁面106aで区画形成されており、この炉体106の外周面に、必要に応じて、熱遮断用の断熱材を設置したり、或いは水冷する構造を採用していた。
【0006】
一方、現在、地球温暖化の要因とされているフルオロカーボン系等のガスを分解処理する方法としては、高温環境における加熱分解式若しくはプラズマ中での分解が主流となっている。これらの手法を用いるために、ヒータ等の加熱装置やプラズマ発生装置及び安全装置等を制御する複雑な制御機構を備えた分解処理設備において、加熱プラズマ生成のために膨大なエネルギーを付与してフルオロカーボン系のガスの分解処理を行っている。
【0007】
しかしながら、図27及び図28に示すような従来例においては、燃焼反応部102が金属製の炉体106で構成されていて、燃焼火炎形成時(運転時)に1300℃以上の高温雰囲気に曝されるため、炉体106の消耗が激しく、長時間の運転に耐えることが出来なかった。特に、この装置でハロゲン系のガスを分解処理する際には、処理反応後に生成ハロゲンガス(HCl、HF等)により炉体が高温下でエッチングや腐食を受け、激しく消耗する。
【0008】
このように炉体106が短時間で消耗すると、これを頻繁に交換する必要が生じ設備コストが高くなる。さらに、金属製の炉体が消耗すると周囲の構造物(断熱材、水冷容器等)まで消耗が進む危険性が生じるため、炉体の消耗度合いを頻繁に分解し点検する必要があり、設備として稼動率を著しく低下させ、運転コストの増大を招いてしまう。
【0009】
さらに、燃焼反応部102内の燃焼火炎で金属製の炉体106の内壁面が高温に熱せられるため、金属の触媒効果によって、サーマルNOxの生成が助長されてしまう。例えば、半導体産業設備内におけるこの種の排ガス燃焼設備は、一般にクリーンルーム内に設置することを前提としており、設備の小型化を図る必要があるが、NOxが多量に生成されると、これを処理する専用の処理機構を別途備える必要が生じて、結果的に小型化することができない。
【0010】
また、上記のように燃焼火炎を形成する燃焼器では、バーナ部101の下端に火炎が形成される結果、ステンレス鋼材等からなるバーナ部101の開口部近傍の温度が上昇し、バーナ部101に供給する助燃ガスG2が引火爆発するなどの危険があった。
【0011】
また、半導体ディバイスの製造工程、特にCVD工程等で使用されるSiH4のように加熱分解式の排ガス処理装置で無害化するとSiO2等のダストを発生するガスある。このようなダストは排ガスとともに流れ配管等の内壁面に付着し、排気圧損を大きくするという問題がある。このダストの配管等の内壁面への付着の防止方法として、従来、クリーニングガスによる吹き払い方法、間欠手動掻き取り装置による掻き取る方法、多孔質内壁よりクリーニングガスを常時流すことによるダストの付着を防止する方法があった。
【0012】
クリーニングガスによる吹き払い方法は、配管の周方向全域に固定ノズルを設け、常時若しくは間欠的にクリーニングガスを噴出させてダストを除去する方法である。この方法はノズルの場所がダストの付着位置から離れていると、ダスト除去効果が下がってしまうという問題があり、効果が下がらないように多量のクリーニングガスを流すと、クリーニングガス自体のコストが掛かるだけでなく、多量のガスが流れることにより圧損を少なくするために配管を太くしなければならないという問題があった。
【0013】
間欠手動掻き取り装置による掻き取り方法は、ダストが大きく成長してから掻き取りを行うことになるため、掻き取った大きなダストの塊を貯めて置くタンクが必用となる。
【0014】
また、多孔質内壁よりクリーニングガスを常時流すことによる付着防止では、ダスト付着を防ぐため内壁からのクリーニングガスの流速を配管内全体で維持しようとすると、多量のクリーニングガスを流さなければならず、多量のガス流れによる圧損を少なくするため、配管を太くしなければならないという問題がある。
【0015】
また、クリーニングガス自体のコストがかかったり、除害装置から排出されたガスを建物内から建物外に排気するためのダクト等の設備も大きくしなければならないという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、配管内壁面に付着したダストを確実に除去でき、クリーニングガスの噴射を行う場合もクリーニングガス量が少なくて済む排ガス処理装置を提供することを目的とする。
【0017】
また、高温に曝される燃焼反応部を構成する内壁の消耗を抑えて寿命を向上させ、設備コストと稼動効率を向上させると共に、NOxの発生を抑制することができる排ガス処理装置を提供することを目的とする。
【0018】
また、燃焼バーナーの開口部近傍の火炎による温度の上昇を抑え、助燃ガスの爆発等の危険のない排ガス処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の排ガス処理装置用ダスト除去装置は、排ガスを酸化分解する排ガス処理装置用ダスト除去装置であって、シャフトにダスト掻き取り部材を取りつけ、前記ダスト掻き取り部材を、排ガスを酸化分解する空間の内壁に対して往復動させることにより、前記空間の内壁に付着したダストを掻き落とすことを特徴とするものである。
前記掻き取り部材は、前記排ガスを酸化分解する空間内を上下動することを特徴とする。
前記掻き取り部材は、前記シャフトを中心に連続的又は周期的に揺動又は回転することを特徴とする。
【0020】
前記掻き取り部材には、前記排ガス処理装置内に流入する排ガスの流れを阻害しないような孔が形成されていることを特徴とする。
前記掻き取り部材は、前記排ガス処理装置内の旋回流を阻害しない退避位置に退避可能であることを特徴とする。
前記掻き取り部材が、退避位置まで退避した際に、前記孔は、前記排ガス処理装置の排ガス導入管の開口部に対応して位置し、かつ前記排ガス導入管の開口よりも大きい孔であることを特徴とする。
ダスト量検出手段で前記内壁に付着したダスト量を検出し、その付着量が所定量となったら前記シャフトを上下動させるか、前記排ガス処理装置の運転時間が所定時間経過したら前記シャフトを上下動させることを特徴とする。
本発明の排ガス処理装置は、上記ダスト除去装置を備えている。
【0021】
本発明の好ましい態様によれば、バーナ部と、該バーナ部の下流側に設けた燃焼室とを備え、バーナ部より燃焼室に向けて燃焼炎を形成し、該燃焼炎に排ガスを導入して、該排ガスを酸化分解させる排ガス処理装置において、燃焼室は繊維強化セラミックス製の内壁で形成されるので、内壁の熱や腐食による消耗が少なく、熱応力による割れの発生も減少し、装置の寿命が向上し、設備コストと稼動率を向上させることができると共に、内壁が触媒効果を発揮しないのでサーマルNOxの発生が抑制され、環境の維持と処理機器の簡略化を図ることができる。また、内壁と外側容器の間の空間を前記燃焼室の圧力より高い圧力のパージガス雰囲気に維持するので、燃焼室内の有害ガスが外部に漏れることを防止できる。
【0022】
また、排ガス処理装置において、バーナ部は、頂部が閉塞し下部が開口した筒状体を具備し、該筒状体の頂部に排ガス導入口を設けると共に、側壁の所定の位置に空気ノズルを設け、開口近傍の側壁に助燃ガスノズルを設け、排ガス導入口より導入された排ガスと空気ノズルから吹き出された空気を混合すると共に、助燃ノズルから吹き出された助燃ガスに着火し、開口下方に向かって燃焼炎を形成するように構成し、助燃ガスノズルに燃料ガスを導入する助燃ガス導入部を冷却する冷却手段を設けたことにより、助燃ガス導入部が火炎により加熱されても温度上昇を助燃ガスの発火点以下に抑えるから、助燃ガスの爆発等のする危険がなくなる。
【0023】
また、排ガス処理装置において、バーナ部及び/又は燃焼室内壁に付着したダストの除去又はダストを付着しないようにするダスト除去手段を設け、排ガス処理装置長時間運転を可能にした。
【0024】
ダストを多く含むガス体が流れる配管内壁に付着するダストを除去するダスト除去装置であって、配管内に配置され主軸に配管長手方向に伸びる棒状の掻き取り部材を取り付けた構成の掻き取り機構と、該掻き取り機構の主軸を掻き取り部材が配管内面に接触し又は微小な間隔をおいて内周方向に移動するよう支持する支持機構と、該掻き取り機構を主軸を中心に連続的又は周期的に揺動又は回転させる駆動機構を具備する。従って、配管外部から主軸及び掻き取り部材の中空を通して、掻き取り部材の先端又は該表面の多数の孔又はスリットからクリーニングガスを吹き出すことにより、掻き取り部材の届かない配管内のダストを除去できるだけでなく、掻き取り機構自身に付着するダストも除去することが可能となる。
【0025】
また、排ガス処理装置は、バーナ部は、頂部閉塞し下部が開口した筒状体を具備し、該筒状体の頂部に排ガス導入口を設けると共に、側壁の所定の位置に空気ノズルを設け、開口近傍の側壁に助燃ガスノズルを設け、空気ノズルは助燃ノズルから噴射された助燃ガスの着火を促進し、開口下方に向かって形成された燃焼炎に、旋回空気流を下方に向かって吹き付けるように構成したので、バーナ部内壁にダストが付着し難くなる。
【0026】
また、排ガス処理装置において、バーナ部は、頂部閉塞し下部が開口した筒状体を具備し、該筒状体の頂部に排ガス導入口を設けると共に、側壁の所定の位置に空気ノズルを設け、開口近傍の側壁に助燃ガスノズルを設け、排ガス導入口及び筒状体の内径は燃焼室に向かって徐々に大きくなっている。これにより、バーナ部内に直角のような角部がなくなり、ノズル部の内壁にダストが付着しにくくなる。
【0027】
また、バーナ部と、該バーナ部の下流側に設けた燃焼室と、該燃焼室の下流側に設けた燃焼ガス冷却部とを一体的に設けて排ガス処理装置を構成し、バーナ部には排ガスを導入する排ガス導入口と、空気を導入し旋回流を発生させる空気ノズルとを設け、燃焼ガス冷却部には燃焼室から流入する排ガスを冷却し、該排ガス中のダストを捕捉するための液体を噴霧する液体噴霧ノズルと、該排ガスを排出するための排気管と、液体噴霧ノズルで噴霧された液体を排液するための排液管とを設けた。排ガス処理装置をこのように構成することにより、排ガスの分解処理と、排ガス導入口から導入される排ガス中のダストやHClやHFを噴霧ノズルから噴霧される液体に効率良く捕捉・吸収させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係る排ガス処理装置の排ガス燃焼器の構成を示す図である。
【図2】図1のI−I断面図である。
【図3】本発明に係る排ガス処理装置のバーナー部の構成例を示す図である。
【図4】図3の矢視A図である。
【図5】本発明に係る排ガス処理装置のバーナー部の構成例を示す図である。
【図6】図5の矢視D図である。
【図7】本発明に係る排ガス処理装置のバーナー部の構成例を示す図である。
【図8】図7の矢視E図である。
【図9】本発明に係る排ガス処理装置のバーナー部の構成例を示す図である。
【図10】図9の矢視F図である。
【図11】本発明に係る排ガス処理装置のバーナー部の構成例を示す図である。
【図12】図11の冷却ジャケットの外観図である。
【図13】本発明に係る排ガス処理装置のダスト除去装置の構成例を示す図である。
【図14】図13の掻き取り板の平面図である。
【図15】本発明に係る排ガス処理装置のダスト除去装置の構成例を示す面である。
【図16】図15のII−II断面矢視図である。
【図17】本発明に係る排ガス処理装置のダスト除去装置の構成例を示す面である。
【図18】図17のIII−III断面矢視図である。
【図19】本発明に係る配管内のダスト除去装置の構成例を示す図である。
【図20】本発明に係る排ガス処理装置内のダスト除去装置の構成例を示す図である。
【図21】本発明に係る配管内のダスト除去装置の構成例を示す図である。
【図22】本発明に係る配管内のダスト除去装置の構成例を示す図である。
【図23】本発明に係る配管内のダスト除去装置の構成例を示す図である。
【図24】本発明に係る排ガス処理装置のバーナー部の構成例を示す図である。
【図25】図24の矢視L図である。
【図26】本発明に係る排ガス処理装置のバーナー部の構成例を示す図である。
【図27】従来の排ガス処理装置の構成例を示す図である。
【図28】図27のIV−IV断面矢視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
図1及び図2は本発明に係る排ガス処理装置の排ガス燃焼器の構成を示す図で、図1は縦断面図、図2は図1のI−I断面図である。本排ガス燃焼器は、全体として円筒状の密閉容器として構成され、上段のバーナ部10と、中段の燃焼室(燃焼反応部)30とからなり、下段に冷却部51、排出部52とを備えている。冷却部51の冷却媒体としては、例えば水等の液体や空気等の気体を用いる。
【0030】
バーナ部10は、燃焼室30に向かって開口する保炎部18を形成する円筒体11と、この円筒体11の周囲を所定間隔離間して包囲する外筒12とを有しており、円筒体11と外筒12との間には、燃焼用空気を保持する空気室19と、例えば水素と酸素の予混合気等の助燃ガスを保持する助燃ガス室20が形成されている。これら空気室19及び助燃ガス室20は図示しない空気源、ガス源に連通されている。ここで助燃ガスには、水素、プロパン、都市ガス等を用いる。保炎部18の上側を覆う円筒体11の頂部には、例えば半導体製造装置から排出されたシラン(SiH4)等を含む排ガスG1を保炎部18に導入する排ガス導入管14が接続されている。
【0031】
円筒体11には、空気室19と保炎部18を連通する複数の空気ノズル15と、助燃ガス室20と保炎部18を連通する複数の助燃ガスノズル16が設けられている。空気ノズル15は図2に示すように、円筒体11の接線方向に対して所定角度をもって延びており、保炎部18内に旋回流を形成するように空気を吹き出すようになっている。助燃ガスノズル16も同様に、円筒体11の接線方向に対して所定角度をもって延びており、保炎部18内に旋回流を形成するように助燃ガスを吹き出すようになっている。空気ノズル15、助燃ガスノズル16は円筒体11の円周方向に均等に配置されている。
【0032】
保炎部18と燃焼室30の境界部の周囲には、保炎部18の開口部を囲むように2次空気室31が形成されており、該2次空気室は2次空気を供給するための空気源(図示せず)に連通している。2次空気室31と助燃室30との間を区画する仕切板32には、燃焼室30の内部に排ガスを酸化させるための2次空気を吹き出す2次空気ノズル33が周方向に均等配置されて設けられている。
【0033】
燃焼室30は、バーナ部10の後段で排ガスを酸化分解させる空間であり、金属等から形成された気密な筒状の外側容器34の内部に、保炎部18と連続するように配置された円筒状の内壁35で区画形成されている。この内壁35は、後述するように、繊維強化セラミックによって形成されている。また、内壁35と外側容器34の間の空間36に、多孔質セラミック製の断熱材37が挿入されている。この外側容器34には、空間36にパージ用の空気を導入するパージ空気導入管40が接続されている。
【0034】
内壁35を構成する繊維強化セラミックは、セラミックスで形成した繊維を織って布にし、これにバインダ入りのセラミックスを塗布し、これを筒状に形成して固化したもので、通常、セラミック繊維を複数枚重ねて層状にする。このように、セラミック自体をセラミック繊維で強化することにより、機械的強度、高温強度を向上させることができる。これにより内壁35が燃焼に伴って高温に曝され、熱応力が作用した場合でも、割れの発生を軽減させることができる。また、燃焼処理に伴って生成するハロゲンガスのような腐食性のガスによってもエッチングや腐食がされにくい。従って、長期の耐用期間を得ることができる。一方、多孔質セラミック製の断熱材37は、セラミックで繊維を形成しこれを成形吸引器で形成し、空間36の形状に適合するようにしたものを用いることができる。
【0035】
断熱材37及び内壁35はセラミックの材料としては、例えば純度が80〜99.7%のアルミナや、Si系のもの等が挙げられる。フッ素を含むガスを処理する場合には、この排ガスに対して高い耐腐食性を有するアルミナを用いることが望ましい。内壁35用の繊維強化セラミックスとして、アルミナ連続繊維を用いると、耐熱性、耐風速性、耐摩耗性が高く、大きな熱衝撃、温度勾配に耐えるものとなる。
【0036】
燃焼室30には、火炎を検出するためのUVセンサ38と、バーナ部10の点火を行うパイロットバーナ39が設けられている。なお、UVセンサ38及びパイロットバーナ39は、図3に示すように、円筒体11の頂部(バーナ部10の天板)に取りつけても良いよい。UVセンサ34は形成される火炎を斜めから検出するため、円筒体11の頂部に対して傾けて配置する。これは火炎が燃焼室30では、旋回流を形成し、径方向に対して火炎が短くなるためである。シラン(SiH4)等を処理するとSiO2のダストが燃焼室30の内壁面に付着し、UVセンサ38が火炎を検出できなくなるが、このようにUVセンサ38をバーナ部10の天板に取りつけることより、ダスト付着により火炎が検出できなくなるという問題を回避できる。また、難分解性の地球温暖化ガス(PFCs)を処理するためには、1300℃以上の高温が必要となるため、配管が熱により腐食するが、上記のようにUVセンサ38及びパイロットバーナ39をバーナ部10の天板に取りつけることにより、このような高熱による腐食を回避できる。
【0037】
燃焼室30の下部には、冷却される冷却部51を介して排出部52が設けられている。冷却部51には、下縁部に複数のノズル53が周方向に等間隔に設けられており、このノズル53から中心に向けて水を噴射することによって水のカーテンを形成して、排ガスの冷却と排ガス中の粒子の捕促とを行うようになっている。排出部52の側壁には処理済みの排ガスを排気する排気管54が、底部にはノズル53より噴射された水を排出する排水ポート55が設けられている。
【0038】
次に上記実施の形態の排ガス処理装置の動作について説明する。先ず、助燃ガスは、助燃ガス室20内に導かれ保持され、円筒体(内筒)11の内周面に設けられた助燃ガスノズル16から保炎部18に向けて旋回流を作り出すように吹き出される。そして、パイロットバーナ39により点火されると、円筒体(内筒)11の内周面に旋回炎を形成する。
【0039】
ここで、助燃ガスは旋回炎を形成するが、旋回炎は広い当量比の範囲にわたって安定して燃焼できる特徴を備えている。即ち、強く旋回しているために火炎相互に熱とラジカルを供給し合い、保炎性が高くなる。そのため、通常であれば未燃ガスを発生したり消炎するような小さな当量比においても未燃ガスが発生することなく、また、当量比1付近においても振動燃焼を誘発することなく安定して燃焼させることができる。
【0040】
一方、処理すべき排ガスG1は、円筒体11の頂部の下面に開口する排ガス導入管14から保炎部18に向けて噴出する。この噴出された排ガスG1は助燃ガスの旋回流と混合して燃焼するが、この際、助燃ガスが円周方向の全ての助燃ノズルから下流の一方向に強く旋回するように吹き出されているため、助燃ガスの全てが火炎と充分に混合して、排ガスの燃焼効率は非常に高くなる。
【0041】
また、助燃ガスはその発火温度を超える温度以上に過熱すると、助燃ガスに酸化剤が含まれている場合には、助燃用ガス室20内で燃焼を開始する場合があるため、その発火温度を超えないように冷却する必要がある。更に、本発明者等の研究により、旋回炎は円筒体11及び助燃用ガス室20内の助燃ガスを加熱することがわかった。そのため、安定した燃焼を継続するためには、円筒体11の構成材料の耐熱温度を超えないように冷却する必要がある。前記空気のズル15から保円炎部18に噴射される旋回空気流は助燃用ガス室20を冷却する作用を有する。
【0042】
更にまた、助燃ガスノズル16からの火炎は旋回して噴射されるが、空気ノズル15から噴射された空気も旋回しているため、この空気流が火炎と混合して火炎の旋回流を一層加速して強い旋回流を形成する。旋回炎を形成すると旋回の中心部の気流の圧力が低下して、中心部に、火炎の先方から排ガス導入管14及び助燃ガスノズル10に向けて逆流する自己循環流が発生し、この循環流が助燃ガスノズル16からの火炎及び燃焼ガスと混合してNOxの生成を抑制する。或いは助燃ガスとして予混合気を使用し助燃ガスの当量比を小さくしても低NOx燃焼が可能となる。
【0043】
また、助燃ガスノズル16からの火炎は強く旋回しているため、この旋回流がシランガス等のように燃焼によりダストを生成するガスを対象とする場合、燃焼して生成されるシリカ(SiO2)が排ガス導入管14及び助燃ガスノズル16に付着するのを防ぐ作用をする。即ち、シラン(SiH4)等が燃焼すると、粉末状のシリカ(SiO2)が生成されるが、このシリカ(SiO2)が排ガス導入管14や助燃ガスノズル16の付近に付着すると、助燃ガスの噴き出し量を減らしたり、噴き出し方向を変えたりして、吹き出しを不安定にすることがある。このような状況になると、ガスの吹き出しが静定せず、安定な燃焼が不可能となる。
【0044】
本実施の形態にあっては、助燃ガスノズル16の旋回炎があるため、この旋回炎により排ガス導入管14及び助燃ガスノズル16の先端部にも速い流れが発生して、この流れが排ガス導入管14及び助燃ガスノズル16の先端部をクリーニングする作用をなし、生成した粉末のシリカ(SiO2)が排ガス導入管14及び助燃ガスノズル16の先端部に付着するのを防ぐ働きをする。この効果は空気噴射ノズル15からの旋回空気流があることにより、一層、顕著となる。
【0045】
更に、この効果は排ガス導入管14及び助燃ガスノズル16の先端部だけにとどまらない。つまり、火炎が燃焼室30内部で旋回していることから、燃焼室30の壁表面にも速い流れが発生して燃焼室30の壁をクリーニングして、この表面に付着したシリカ(SiO2)を除去する働きをする。このように、旋回流により、排ガス導入管14及び助燃ガスノズル16の先端部及び燃焼室30の壁面に付着したシリカ(SiO2)をセルフクリーニングすることにより、この表面に付着したシリカ(SiO2)を除去する働きをする。
【0046】
一例として、供給する助燃ガスを酸化剤を含んだ予混合気とし、この予混合気の燃焼ガスに対する酸化剤の混合比を化学量論値で求める酸化剤混合比より少なくした燃料過濃予混合気とし、これを助燃ガスノズル16から旋回噴射して、保温部18の内部に一次旋回流還元炎を形成する。この還元炎と排ガス導入管14からの排ガスを接触させて、排ガスとりわけPFCs系の排ガスを還元分解する。
【0047】
次に、空気ノズル15及び2次空気ノズル33から噴射する空気から化学量論値以上の充分な酸素を与えられ、酸素過剰な状態として2次酸化炎を形成する。この酸化炎により排ガスを酸化分解する。そして、排ガスは還元炎と酸化炎の2段の火炎に曝されて、火炎と接触時間を長くして高温滞留時間を延ばすことができる。ここで、PFCs系の排ガスは雰囲気温度を高くして、その状態を長く維持すれば分解できる特性を有する。このように、排ガスは酸化・還元の異なる2段の火炎に曝され、しかも、火炎による高温状態を延ばすことによって、排ガス、とりわけPFCs系のガスを完全に分解することができる。
【0048】
助燃ガスノズル16を保炎部18の斜め下流に向けて助燃ガスを旋回流を形成して吹き出すように構成したため、助燃ガスノズル16から吹き出した火炎は保炎部18の下流に向けて螺旋状の旋回流を形成する。したがって、旋回流が円筒体11の内側を流れる際の旋回長が、助燃ガスを水平に吹き出した場合より短くなって、火炎が円筒体11の内壁面を加熱する領域が狭くなり、旋回流による円筒体11の内側の周壁の加熱と温度上昇が抑制される。
【0049】
これにより、円筒体11の構成材料の耐熱寿命を延ばすことができる。また、空気ノズル15からの冷却空気量を少なくでき、冷却による火炎の温度の低下を抑制し、高温状態を維持して、ハロゲン系、特にフルオロカーボンを含んだ排ガスの分解効率を向上できる。また、助燃ガスノズル16は、上から見た場合、円筒体11の接線方向に開口し、かつ鉛直面内では斜め下方に開口するように複数設けるようにしても、火炎が保炎部18の下流へ向かって螺旋状の旋回流を形成することが可能である。
【0050】
また、本実施の形態では、2次空気ノズル33は下方に向けてあるが、円筒体11の中心方向に向けて噴射するようにしてもよく、また、2次空気ノズル33を該ノズルから噴射される空気が燃焼室内部で旋回流を形成するように設けることも考えられる。これにより、燃焼処理したガス冷却及び燃焼室30外への排出、さらには燃焼室30の壁面に付着するシリカ(SiO2)の除去をより効果的に行うことができる。この場合のノズルの設け方は前述の助燃ガスノズル16と同様である。
【0051】
また、円筒体11の頂部に空気噴射ノズルを設け、必要に応じてこの空気噴射ノズルから保炎部18に空気を供給して酸素濃度を増大させることにより、燃焼性を向上することもできる。
【0052】
また、前記助燃ガスノズル16より下流の保炎部18の周壁を延伸して2次燃焼用の空気孔をさらに設け、保炎部18に1次燃焼の還元炎と空気による2次燃焼の酸化炎を形成して、排ガスG1とりわけハロゲン系、特にフルオロカーボンを含むガスの分解率を向上させることができる。この場合、前述した理由により、この空気孔は保炎部18に向けて旋回流を形成するように噴射するのが好ましい。また、円筒体11の中心方向に向けて噴射して、還元炎による1次燃焼後の排ガスとの間に乱れを起こして混合するようにしてもよい。
【0053】
また、火炎は上方から下方に吹き出す例を示しているが、水平方向に噴出するようにした火炎に適用してもよい。また、助燃ガスとしては水素と酸素の予混合気に限定されることなく、水素、都市ガス及びLPG等の燃料ガス、若しくは都市ガス、LPGと酸素、空気若しくは酸素富化空気との予混合気でもよいことは勿論である。
【0054】
一実施例としては、次の通りである。
【0055】
処理対象ガス;CF4
還元炎中の還元分解反応としては、
CF4+H2→CHmFn+HF+F2 (m,nは0〜4)
さらに酸化分解反応としては、
CHmFn+O2→CO2+H2O
燃焼室30においては、内壁を構成するセラミックスが耐熱性及び耐食性に優れており、熱や腐食による消耗が少ないばかりではなく、繊維に強化されているもので熱応力による割れも防止され、長期に渡って使用が可能である。しかも、金属の場合のような触媒効果がないために燃焼室30が高温になってもサーマルNOxの発生が抑制される。ハロゲン系のガスを分解処理しても、それに伴い生成するハロゲンガス(HCl、HF等)による内壁35の高温下での腐食やエッチングが抑制される。
【0056】
特に、アルミナを素材とする繊維強化セラミックスを用いる場合には、通常の運転条件下(600〜1300℃)での熱伝導率が、0.65〜0.88(W/m.K)程度であり、ステンレス系金属の平均熱伝導率=0.0017(W/m.K)程度に対して、数百倍程度高い。従って、熱応力による割れが一層少なくなる。また、内壁35の外周に多孔質セラミックス製の断熱材37が配置されているので、ステンレス系金属製の従来の内壁使用時よりもさらに熱損失量を低減させることができる。このことは、Si系等、他のセラミックスを使用しても同様である。
【0057】
パージ空気導入管40からは、パージ用の空気が外側容器34と内壁35の間の空間36内に燃焼室12の圧力よりやや高い程度の圧力で導入される。この空気は内壁35やその端部の微細な隙間から燃焼室30内に噴出し、燃焼ガスや排ガスと混合して排出部52から外部に排出される。これにより、燃焼室30内の有害で腐食性を有するガスが外側容器34から外部に漏洩することが防止することができる。
【0058】
また、上記のように燃焼室30の内壁35をセラミックスで作成することによって触媒作用を防止して低NOx化を図っている。さらに、助燃ガスの当量比を小さくすればさらなる低NOx燃焼が可能となる。
【0059】
セラミックス製の内壁を用いた燃焼器の場合のNOxの生成量を、ステンレス製の内壁を用いた燃焼器の場合と比較した結果を以下に示す。燃焼器の形式等の条件は双方とも同じである。
【0060】
燃焼温度:1300℃以上
処理するガス:N2ガス
排出ガスのNOx濃度
セラミックス製の内壁:25ppm
ステンレス製の内壁:数100〜数1000ppm
図3及び図4は本発明の排ガス処理装置のバーナー部の他の構成例を示す図で、図3は縦断面図、図4は図3の矢視A図である。同図において、図1及び図2と同じ符号を付した部分は同一又は相当部分を示す。また、他の図面においても同様とする。本バーナ部10は円筒体11の外周部に助燃ガス室20に隣接して冷却ジャケット21を設けている。該冷却ジャケット21には冷却媒体を供給している。該冷却ジャケット21に冷却媒体を供給することにより、該冷却ジャケット21は開口部に形成される火炎により加熱された円筒体11を冷却する。冷却媒体には、温度差のあるものならばよく、水等の液体や空気等の気体を用いる。
【0061】
また、パイロットバーナ部39は、円筒体11の頂部(バーナ部10の天板)に所定の角度で傾斜させて設けている。これは助燃ガスノズル16から噴射される助燃ガス(火炎)は径方向に対して短くなるため、パイロットバーナは所定の角度傾斜させて設けた方がよい。
【0062】
図1に示す燃焼器の燃焼バーナ部10においては、円筒体11の内部温度は400℃まで上昇していたが、特に水冷の場合、本バーナ部10では70℃に低下する。従って、助燃ガス室20に保持された助燃ガスが引火して爆発する危険はなくなる。但し、前述の2次空気ノズルがなくなるため、その空気は空気ノズル15から1次空気を増やすか若しくは予混合のO2量を増やして対処する。なお、ここでは空気ノズル15を斜め下方を向くように設け、斜め下方に旋回空気流を形成するようにしているが、空気ノズル15を図1に示すように、水平にもうけ、水平の旋回空気流を形成するようにしてもよいことは当然である。
【0063】
上記のように、バーナ部10を冷却構造とすることにより、円筒体11の温度は低下するが、難分解性ガスであるC2F6(このガスは地球温暖化係数がCO2の10,000倍と言われ、地球温暖化対策としては100%分解されることが要望されている)の処理能力は80%から41%に低下した。これはバーナ部10の温度が低下し、それにより火炎温度の低下が影響しているためと考えられる。そこで、加熱され高温となる爆発の危険がある助燃ガスノズル16に助燃ガスを導入する燃料ガス導入部を効果的に冷却できるバーナ部の構成を以下に説明する。
【0064】
図5及び図6は本発明に係る排ガス処理装置のバーナ部の他の構成例を示す図で、図5は縦断面図、図6は図5の矢視D図である。本バーナ部10は円筒体11の上部外周に空気室22を設け、更に下部外周には冷却ジャケット24と助燃ガス室23と冷却ジャケット24を同心円状に設けている。そして円筒体11の内周壁には空気室22に連通する空気ノズル15が設けられ、助燃ガス室23の下面には該助燃ガス室23に連通する助燃ガスノズル16を設けている。
【0065】
助燃ガスノズル16からの助燃ガスは矢印Bに示すように、円筒体11の開口下方の中心部に向かって又は斜め下方に且つ旋回流となるように噴射される。また、空気ノズル15から噴射される空気は矢印Cに示すように、円筒体11内で旋回する旋回流となる。
【0066】
上記構成のバーナ部10において、円筒体11内に導入された処理ガスG1は空気ノズル15からの旋回空気流と混合されると共に、助燃ガスノズル16からバーナ部10の下方に噴射される助燃ガスと混合され、着火により火炎が円筒体11の開口下方に向かって形成される。この時助燃ガス室23は両側から冷却ジャケット24で冷却されることになり、温度は低く抑えられる。また、火炎は円筒体11から下方に形成されるので、円筒体11の温度低下は火炎に大きな影響を与えない。
【0067】
図7及び図8は本発明に係る排ガス処理装置のバーナ部の他の構成例を示す図で、図7は縦断面図、図8は図7の矢視E図である。本バーナ部10が図5及び図6に示すバーナ部10と異なる点は、円筒体11の外周に設けた冷却ジャケット24内に助燃ガス室23を設け、該助燃ガス室23の周囲を冷却媒体で囲んでいる。また、助燃ガス室23の下面には該助燃ガス室23に連通する助燃ガスノズル16が設けられている。
【0068】
助燃ガスノズル16からの助燃ガスは矢印Bに示すように、円筒体11の開口下方の中心部に向かって又は斜め下方に且つ旋回流となるように噴射される点、及び空気ノズル15から噴射される空気は矢印Cに示すように、円筒体11内で旋回する旋回流となる点は図5及び図6に示すバーナ部10と同一である。
【0069】
上記構成のバーナ部10において、円筒体11内に導入された処理すべき排ガスG1は空気ノズルからの旋回空気流と混合されると共に、助燃ガスノズル16からバーナ部10の下方に噴射される助燃ガスと混合され、着火により火炎が円筒体11の開口下方に向かって形成される。この時助燃ガス室23は外周を冷却ジャケット24内の冷却媒体で囲まれているから、助燃ガス室23は冷却され温度は低く抑えられる。また、火炎は円筒体11から下方に形成されるので、図5及び図6に示すバーナ部10と同様、円筒体11の温度低下は火炎に大きな影響を与えない。
【0070】
図9及び図10は本発明に係る排ガス処理装置のバーナ部の他の構成例を示す図で、図9は縦断面図、図10は図9の矢視F図である。本バーナ部10が図5及び図6に示すバーナ部10と異なる点は、円筒体11の下部外周に形成された冷却ジャケット24内に円筒状の助燃ガス室25を配置している点である。該円筒状の助燃ガス室25は先端に助燃ガスノズル16が設けられ、該助燃ガスノズル16が下方になるように傾斜させて冷却ジャケット24を貫通して配置されている。
【0071】
助燃ガスノズル16からの助燃ガスは矢印Bに示すように、円筒体11の開口下方の中心部に向かって又は斜め下方に且つ旋回流となるように噴射される、及び空気ノズル15から噴射される空気は矢印Cに示すように、円筒体11内で旋回する旋回流となる点は、図5及び図6に示すバーナ部10と略同一である。
【0072】
上記構成のバーナ部において、円筒体11内に導入された処理すべき排ガスG1は空気ノズル15からの旋回空気流と混合されると共に、助燃ガスノズル16からバーナ部10の下方に噴射された燃料ガスと混合され、着火により火炎が円筒体11の開口下方に向かって形成される。この時円筒状の助燃ガス室25は外周を冷却ジャケット24内の水で囲まれているから、冷却され温度は低く抑えられる。また、火炎は円筒体11から下方に形成されるので、図5及び図6に示すバーナ部10と同様、円筒体11の温度低下は火炎に大きな影響を与えない。
【0073】
図11及び図12は本発明に係る排ガス処理装置のバーナ部の他の構成例を示す図で、図11は縦断面図、図12は冷却ジャケット26の外観図である。本バーナ部10が図5及び図6に示すバーナ部10と異なる点は、円筒体11の下部外周に冷却ジャケット26が設けられ、該冷却ジャケット26内に円筒状の助燃ガス室27が配置されている点である。該円筒状の助燃ガス室27の先端には円筒体11の開口下方に向かって傾斜し、内周面の接線方向に対して所定の角度を有する助燃ガスノズル16が設けられている。
【0074】
助燃ガスノズル16から噴射される助燃ガスは矢印Bに示すように、円筒体11の開口下方の中心部に向かって又は斜め下方に且つ旋回流となるように噴射される。また、空気ノズル15から噴射される空気は図5及び図6に示すバーナ部10と同様、円筒体11内に旋回するようになっている。
【0075】
上記構成のバーナ部10において、円筒体11内に導入された処理ガスは空気ノズル15からの旋回空気流と混合されると共に、助燃ガスノズル16からバーナ部10の下方に噴射される助燃ガスと混合され、着火により火炎が円筒体11の開口下方に向かって形成される。この時助燃ガス室27は外周を冷却ジャケット21の冷却水で囲まれているので、冷却され温度は低く抑えられる。また、火炎は円筒体11から下方に形成されるので、図5及び図6のバーナ部10と同様、円筒体11の温度低下は火炎に大きな影響を与えない。
【0076】
SiH4等を含む排ガスのように、燃焼器で加熱分解し無害化するとSiO2等のダストが発生し、該ダストがバーナ部10の円筒体11の内壁や燃焼室30の内壁及び燃焼室以降の配管内壁に付着し、排気圧損を大きくするという問題を起こすガスがある。そこで本発明の排ガス処理装置の排ガス燃焼器にはその内壁に付着したダストを除去するダスト除去装置を設けている。
【0077】
図13はダスト除去装置の構成例を示す図である。図示するように、ダスト除去装置はバーナ部10と燃焼室30に渡って上下動するシャフト57の先端に取り付けた掻き取り板56を設け、該掻き取り板56を上下動させることにより、バーナ部10及び燃焼室30の内壁面に付着したダストを掻き落とす。掻き取り板56には図14(A)、(B)に示すように、排ガス導入管14の開口より大きい円孔56a又は線形孔56bが形成されている。これにより、掻き取り板56を最上部(図13の実線の位置)の退避位置まで上昇させた場合、孔56aが排ガス導入管14の開口部に対応して位置し、該排ガス導入管14からバーナ部10内(円筒体11内)に流入する排ガスの流れを阻害しないようになっている。また、掻き取り板56をこの退避位置まで上昇させたとき、空気ノズル15及び助燃ガスノズル16から吹き出した空気の旋回流及び助燃ガスの旋回流を阻害しないようになっている。
【0078】
燃焼室30の下端には燃焼室30で燃焼した排ガスを冷却すると共に、掻き取り板56で掻き落されたダストを受ける冷却受部44が設けられており、該冷却受部44の下端には閉止バルブ45が取りつけられ、該閉止バルブ45の下端にはクランプ46を介してダスト収容タンク47が取り付けられている。また、冷却受部44には排気管54、排水ポート52が設けられている。また、ダスト収容タンク47にはバルブV1を介してUトラップ58が接続され、該UトラップにはバルブV2を介して排水管59が接続されている。
【0079】
上記構成のダスト除去装置において、バーナ部10及び燃焼室30の内壁面に所定量のダストが付着したことを検出したら、手動又は自動的にシャフト57を上下動させ、掻き取り板56でこの付着したダストを冷却受部44に掻き落とす。冷却受部44にはバルブV3を開けて排水ポート52により、排水しながらダストを溜め、ダストが所定量になったら、閉止バルブ45を開いてダストをダスト収容タンク47に入れる。それから、閉止バルブ45を閉じてバルブV1、V2を開いてダスト収容タンク47内の排水をUトラップ58を経て排水管59を通して排水する。ここでUトラップ58を設ける理由は、直接排水管59で排水すると、同時に有害ガスも排出されてしまうためである。
【0080】
なお、ダストの掻き取りは付着したダスト量を何らかの検出手段(例えば、燃焼室30の圧力を検出する圧力センサ、燃焼室30の壁面温度を検出する温度センサ、内壁面に付着するダスト量をモニタするモニター装置)で検出し、その付着量が所定量となったらシャフト57を自動的に上下動させて、ダストを掻き取るようにしてもよいし、またタイマーを設け、所定の運転時間が経過したらシャフト57を上下動させて、ダストを掻き取るようにしてもよい。また、上記掻き取り板56等をセラミックス等の耐食、耐熱材質で製作する。
【0081】
また、ダスト収容タンク47に図示は省略するが、内部に溜まったダストの量を確認するための透明な覗窓や、所定量のダストが溜まったことを検知する光電センサ等のダスト検知センサ及びダスト収容タンク47に水を供給する給水管が設けられており、ダスト収容タンク47内に所定量のダストが溜まったら、閉止バルブ45を閉じ、バルブV1、V2を開いて、上記給水管よりダスト収容タンク47内に水を流してダストを流すことにより、ダスト収容タンク47内のダストをUトラップ58を通して流すようにしてもよい。
【0082】
また、排水ポート52を設けることなく、閉止バルブ45、バルブV1、V2を開放して冷却部44から、水とダストをダスト収容タンク47に投入し、水をUトラップ58を通して排水するようにしてもよい。
【0083】
また、図13の構成例では、掻き取り板56がバーナ部10から燃焼室30にかけて上下動するようになっているが、図15に示すようにバーナ部10のみを上下動するようにしてもよい。また、退避位置もバーナ部10の上部に限定されるものではなく、例えばシャフト57を上下動させる駆動機構を燃焼室30又は冷却受部44の下方に設け、退避位置を燃焼室30の底部でもよい。
【0084】
図15はダスト除去装置の他の構成例を示す図である。図示するように、ダスト除去装置は、バーナ部10の内部には、図13に示すようなシャフト57の先端に掻き取り板56を設けた構成の掻き取り装置を配置し、該シャフト57の上下動により内壁に付着したダストを掻き取るように構成している。また、燃焼室30の上部にはリング状の空気室41を設け、該空気室41の下面からには図16に示すように、多数の空気噴射ノズル42を設けている。該空気噴射ノズル42から空気を燃焼室30の壁面に沿って下方又は斜め下方に吹き付けることにより、燃焼室30の内壁面に付着したダストを吹き飛ばす。また、上方から下方に流れる空気流の層を形成し、この空気流の層により、内壁面へのダストの付着を阻止する。
【0085】
燃焼室30の下端には図示は省略するが、図13と同じく冷却受部44等が設けられている。なお、シャフト57の上下動は図13のダスト除去装置と同様、手動、自動、タイマーによる所定運転時間経過毎に行うようにする。
【0086】
なお、上記例では、バーナ部10の内壁に付着したダストをシャフト57に掻き取板56で掻き落すようにし、燃焼室30の内壁面に沿って空気を吹き付け、付着したダストを吹き飛ばすか、又は空気流層を形成してダストの付着を阻止するように構成したが、バーナ部10と燃焼室30にわたってその内壁面に沿って空気流層を形成し、ダストの付着を防止するようにしてもよい。
【0087】
また、空気噴射ノズル42からの空気吹き付けを断続的に行うことにより、最小の吹き付け空気量で内壁面に付着したダストを除去できる。
【0088】
図17及び図18はダスト除去装置の他の構成例を示す図で、図17は燃焼室の縦断面図、図18は図17のIII−III矢視断面図である。内壁35を多孔質体(例えば球粒フィルタ、多孔質セラミックス、耐熱性板材に多数の細孔を穿ったもの)で構成すると共に、該多孔質体からなる内壁35と外側容器34の間にそれぞれ独立した複数の環状の空気室36’を設けている。各空気室は空気源に接続され、該空気源から圧縮空気を供給することにより、内壁35の多孔から燃焼室30内に均一に空気が吹き出される。この空気の吹き出しにより、内壁に付着したダストの除去又はダストの内壁35への付着を均一に阻止する。
【0089】
上記構成のダスト除去装置において、内壁35の多孔からの空気(Air)の吹き出しは、排ガス処理装置の運転中継続して吹き出すようにしても良いが、場合によっては内壁に所定量のダストが付着した場合、前述した検出手段で検出し、空気を吹き出し、付着したダストを除去するようにしてもよい。また、所定の時間経過毎に空気を吹き出しても良い。
【0090】
図19はダストを含むガスが流れる場合、配管内壁に付着するダストを除去するダスト除去装置の構成例を示す縦断面図である。図示するように、ダスト除去装置は、主軸62の長手方向に延びる2本の棒状の掻き取り部材63を取付けた構成の掻き取り機構を、ダストを含む排ガスG3が流れる配管61内に配置している。該掻き取り機構の主軸62を掻き取り部材63が配管61の内面に接触し又は微小な間隙をおいて位置するように支持すると共に、シール作用を有する支持シール機構64と、該掻き取り機構を主軸62を中心に連続的又は周期的に揺動(一定角度の回転往復運動)又は回転させる駆動機構65を具備する。
【0091】
上記主軸62と掻き取り部材63はそれぞれ中空のパイプで、互いの中空は連通し、ロータリジョイント等の継手66を介してクリーニングガスG4が主軸62の中空及び掻き取り部材63の中空を通って、掻き取り部材63の先端(上端)から配管61内に噴出されるようになっている。配管61の下端にはダスト受部67が設けられ、該ダスト受部67の内壁面には水を噴射する水噴射ノズル69が設けられ、ダスト受部67の底部には排水管70が設けられている。
【0092】
上記構成のダスト除去装置において、配管61内に流入するダストを含むガスG3は排気管68を通って排出されるが、ダストは配管61内に付着する。駆動機構65により、該掻き取り機構を主軸62を中心に連続的又は周期的に揺動又は回転させると、配管61の内壁に付着したダストは掻き取り部材63により掻き取られダスト受部67に落下する。このとき掻き取り部材63の先端から空気等のクリーニングガスG4を連続的又は間欠的に噴射することにより、掻き取り部材63の届かない範囲のダストも除去できる。
【0093】
この方法で除去されたダストは細かいままダスト受部67に落ちるため、この部分に水噴射ノズル69から水を噴射すればダストは詰まることなく、排水管70から外部に排出される。排ガスG1が腐食性のガスの場合は、クリーニングガスG4にアンモニアガスを混合すれば、配管61の内表面を中和して腐食の進行を食い止めることができる。
【0094】
図20は図19に示す構成のダスト除去装置を排ガス処理装置の排ガス燃焼器に設けた場合の構成例を示す図である。図示するように、半導体製造設備からの排ガスG1が流れ込む燃焼室30内に主軸72の長手方向に延びる2本の棒状の掻き取り部材73を取り付けた構成の掻き取り機構と、該掻き取り機構の主軸72を掻き取り部材73が燃焼室30の内面に接触し又は微小な間隔をおいて内周方向に移動するように支持すると共にシール作用を有する支持シール機構74と、該掻き取機構を主軸72を中心に連続的又は周期的に揺動又は回転さる駆動機構75を具備する。
【0095】
また、ロータリジョイント等の継手76を介してクリーニングガスG4が主軸72の中空および掻き取り部材73の中空を通って、掻き取部材73の上端から燃焼室30を構成する配管71内に噴出されるようになっている。燃焼室30の内壁面の上部バーナ部10にはバーナー81が設けられ、燃焼室30の下端には冷却受部77が設けられ、該冷却受部77の側部には排気口78が設けられている。また、冷却受部77の内壁状面には水を噴射する水噴射ノズル79が設けられている。また、下端部には冷却受部77の内部に連通する排水口80が設けられている。
【0096】
半導体製造設備等からの排ガスG1はバーナー81で形成された火炎により加熱され、無害化され高濃度のダストを含む高温の排ガスとなる。バーナー81で形成される火炎82の温度は2000℃程度に達するため、火炎82に直接物体が当ると殆どの物質は溶融してしまうと考えられる。このため、バーナー81の直後の燃焼室30内壁面温度は2000℃より低いので、ダストが付着して閉塞を起こし易い。また、バーナ部81の周辺も同様である。
【0097】
上記の環境下で、駆動機構75で掻き取り機構を主軸72を中心に回転又は揺動させると該掻き取り部材73により、燃焼室30の内壁面に付着したダストを直接掻き取ることができ、ダストの付着による閉塞を防止できる。また、火炎82が当るため掻き取部材73が挿入できない範囲においても、クリーニングガスG4をロータリージョイント等の継手76を通して供給し、掻き取り部材の上端から吹き出すことにより、内壁面に付着したダストを除去できる。
【0098】
上記火炎82により加熱燃焼した排ガスG1は冷却受部77に流入し、水噴射ノズル79から噴射される水により冷却され、排気口78から排出されると共に、掻き取られたダストを含む水は排水口80から排出される。
【0099】
図21は上記掻き取り機構の主軸72と掻き取り部材73の他の構成例を示す図である。本掻き取り機構は図示するように、掻き取り部材73の外周面に内部の中空部に連通する小さい孔73aを多数設けている。図14のロータリージョイント等の継手76を介して主軸72及び掻き取り部材73の中空を通してクリーニングガスG4を供給することにより、該クリーニングガスG4は該孔73aを通して燃焼室30の内壁に吹きつけられると共に、掻き取り部材73の上端からも吹き出される。これにより、掻き取り部材73と燃焼室30の内壁面との隙間dの範囲に付着したダストも、吹き払いにより除去することが可能となる。
【0100】
図22は主軸72と掻き取り部材73からなる掻き取り機構の他の構成例を示す図である。本掻き取り機構は図示するように、掻き取り部材73や主軸72の全表面に中空部に連通する小さい孔、73a、72aを多数設けている。このような構成とすることにより、主軸72及び掻き取り部材73の中空部にクリーニングガスG4を導入することにより、掻き取り部材73と燃焼室30の内壁面の間の間隙の範囲内に、ダストを吹き払いにより除去することが可能となる。また、主軸72及び掻き取り部材73自身に付着するダストも吹き払い除去することが可能となる。
【0101】
なお、図21及び図22に示す実施形態例では、主軸72や掻き取り部材73の表面に中空部に連通する多数の孔72a、73aを設けているが、この孔72a、73aに替えて中空部に連通するスリットを設けても良い。また、図15及び図16の掻き取り機構の構成は、図19の主軸62及び掻き取り部材63から構成される掻き取り機構にも当然適用出きる。
【0102】
また、掻き取り機構の掻き取り部材73は、2本に限定されるものではなく、図23に示すように、主軸72に3本の掻き取り部材13を設けるようにしてもよく、更には3本以上であってもよい。また、図19の場合も主軸62に3本以上の掻き取り部材を設けて掻き取り機構を構成してもよい。
【0103】
上記掻き取り部材73の本数を3本以上とすることにより、掻き取り機構の一回転当りのダスト掻き取り回数が増え、ダスト濃度が濃い場合の対応が可能である。また、掻き取り機構が一定角度の回転往復運動をする場合、その揺動角度を少なくしても、全ての領域のダストを掻き取ることができる。但し、掻き取り部材73を極端に多くすると掻き取り機構自体へのダスト付着により、燃焼室30を閉塞してしまう恐れがある。
【0104】
なお、図示は省略するが、図20乃至図23に示す構成の掻き取り機構を図1に示す排ガス処理用燃焼器内に取りつけバーナ部10及び燃焼室30の内壁に付着したダストを除去するようにして構成してもよい。
【0105】
図19乃至図23に示す構成のダスト除去装置において、配管61、保炎部10、燃焼室30に流入するガスG1やガスG3はダストだけでなく、配管61、保炎部10、燃焼室30の内壁を腐食などの作用により侵食する可能性のある成分を含んでいる場合、クリーニングガスG4にその作用を中和する性質を持つガスを導入する(例えば、酸性ガスの流入に対して、アンモニア等のアルカリ性ガスを導入する)と、クリーニングガスG4の及ぶ範囲において、配管の侵食作用を抑制することができる。
【0106】
図24及び図25は本発明の排ガス処理装置のバーナー部の他の構成例を示す図で、図24は縦断面図、図25は図24の矢視L図である。本バーナ部10は、例えば図3及び図4のバーナ部10に比較し、保炎部18の高さ寸法Hを小さくし、更に空気ノズル15と助燃ガスノズル16の間の間隔Iを小さくしている。即ち、空気ノズル15の空気吹き出し口を助燃ガスノズル16の助燃ガス吹き出し口にできるだけ近づけている。また、空気ノズル15から吹き出される空気が円筒体11の内壁面の接線に極力接近するように、空気ノズル15の中心線と内壁面の接線の間隔Jを小さくしている。
【0107】
このように保炎部18の高さ寸法Hを小さくし、空気ノズル15と助燃ガスノズル16の間の間隔Iを小さくすることにより、空気吹出口と、助燃ガス吹出口の谷間での流れの滞留を無くし、保炎部18の内壁面に付着又は付着しようとするダストを空気流により吹き飛し、該内壁面に付着することを極力防止する。
【0108】
また、旋回ノズル15から吹き出す空気が円筒体11の内壁面の接線に接近しているので、円筒体11の内壁面近くでの流れの滞留を防止し、内壁面にダストが付着しにくくなる。
【0109】
また、空気ノズル15から吹き出される空気の流れが水平より下流側に傾斜するように、空気ノズル15を設けた。空気ノズル15の水平面に対する傾斜角度θ1を30°程度にしたとき、助燃ガスノズル16の付近のダスト付着防止効果が大きい。また、空気ノズル15はその吹出口が円筒体11の内壁面の円周方向に均等に開口するように多数個設け、吹き払い効果の高い吹き出し直後の流速の速い空気流が内壁面全体に行き渡るようにしている。
【0110】
空気ノズル15水平方向の空気導入角度θ2は、θ2=360°/nとする。ここでnは円周方向に配置した空気ノズル15の数で3以上の整数を示す。特に、空気ノズルの数nは4、8、12、16、24で良い結果を得た。
【0111】
保炎部18の高さ寸法Hに対する内径Kの比(H/K)を従来は50mm/80mmであったのに対して、ここでは15mm/80mmとしている。また、下側の空気ノズル15と上側の助燃ガスノズル16との間の間隔Iを従来は26mmであったのに対して、ここでは16mmとしている。内径Kが増減しても間隔Iは一定である。また、空気ノズル15の中心線と該中心線に平行な内壁面の接線の間隔Jを従来は15mmであったのに対してここでは5mmとしている。
【0112】
図26は本発明の排ガス処理装置のバーナー部の他の構成例を示す縦断面図である。本バーナ部10は図示するように、排ガス導入管14の開口部14aの内径が下方に向かって徐々に大きくなり、更に円筒体11の内径も下方に向かって徐々に大きくなっている。これにより、排ガス導入管14の開口部14a及び円筒体11の内部に直角のような角度部がなくなる。また、排ガス導入管14の開口部14aの間にも逆円錐台状の突出部11aを設けてもよい。
【0113】
通常、バーナ部10におけるダストの付着部分は角部や空気や排ガスの滞留する部分に付着する。ここでは上記のように排ガス導入管14の開口部14a、及び円筒体11の内部に直角のような角度部がなくなり、また、排ガス導入管14の間に排ガスの滞留部がなくなるので、内壁面にダストが付着しにくくなる。
【産業上の利用可能性】
【0114】
以上説明したように、本発明によれば、バーナ部及び/又は燃焼室内壁に付着したダストの除去又はダストを付着しないようにするダスト除去手段を設けたので、バーナ部及び/又は燃焼室内をダストで閉塞させることなく、排ガス処理装置の長時間運転が可能となる。
【0115】
また、本発明によれば、配管内に配置された掻き取り機構で、連続的又は周期的に揺動又は回転させることにより、配管内に付着するダストは除去され、配管内の排気を圧損が少なく流すことができる。
【0116】
また、本発明によれば、掻き取り部材及び主軸は中空のパイプからなり、配管外部から主軸及び掻き取り部材の中空を通して、掻き取り部材の先端又は該表面の多数の孔又はスリットからクリーニングガスを吹き出すことにより、掻き取り部材の届かない配管内のダストを除去できるだけでなく、掻き取り機構自身に付着するダストも除去することが可能となる。また、配管内を高温ガスが流れる場合は、クリーニングガスの冷却効果により装置自身の耐久性も向上する。
また、本発明によれば、空気ノズルは開口下方に向かって形成された燃焼炎に旋回空気流を下方に向かって吹き付けるように構成した空気ノズルとしたので、ノズル部の内壁にダストの付着しにくい、排ガス処理装置となる。
【0117】
また、本発明によれば、排ガス導入口及び筒状体の内径は燃焼室に向かって徐々に大きくなっているので、バーナ部内に直角のような角部がなくなり、ノズル部の内壁にダストの付着しにくい、排ガス処理装置となる。
【0118】
また、本発明の一態様によれば、バーナ部の助燃ガスノズルに助燃ガスを導入する助燃ガス導入部を冷却する冷却手段を設けたので、助燃ガス導入部が火炎により加熱されても温度上昇を助燃ガスの発火点以下に抑えるから、助燃ガスの爆発等のする危険がなくなる。
【0119】
また、本発明の一態様によれば、火炎が直接冷却ジャケットに接触しないため、冷却媒体による火炎の熱量の持ち去りが少なくなり、多くの熱量を排ガス処理に用いることができる。
【0120】
また、本発明の一態様によれば、コンパクトで、且つ効率よく有害可燃性ガスや難分解性ガスを含む排ガスを処理できる排ガス処理装置を提供できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排ガスを酸化分解する排ガス処理装置用ダスト除去装置であって、
シャフトにダスト掻き取り部材を取りつけ、前記ダスト掻き取り部材を、排ガスを酸化分解する空間の内壁に対して往復動させることにより、前記空間の内壁に付着したダストを掻き落とすことを特徴とする排ガス処理装置用ダスト除去装置。
【請求項2】
前記掻き取り部材は、前記排ガスを酸化分解する空間内を上下動することを特徴とする請求項1記載の排ガス処理装置用ダスト除去装置。
【請求項3】
前記掻き取り部材は、前記シャフトを中心に連続的又は周期的に揺動又は回転することを特徴とする請求項1記載の排ガス処理装置用ダスト除去装置。
【請求項4】
前記掻き取り部材には、前記排ガス処理装置内に流入する排ガスの流れを阻害しないような孔が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の排ガス処理装置用ダスト除去装置。
【請求項5】
前記掻き取り部材は、前記排ガス処理装置内の旋回流を阻害しない退避位置に退避可能であることを特徴とする請求項1又は4に記載の排ガス処理装置用ダスト除去装置。
【請求項6】
前記掻き取り部材が、退避位置まで退避した際に、前記孔は、前記排ガス処理装置の排ガス導入管の開口部に対応して位置し、かつ前記排ガス導入管の開口よりも大きい孔であることを特徴とする請求項4に記載の排ガス処理装置用ダスト除去装置。
【請求項7】
ダスト量検出手段で前記内壁に付着したダスト量を検出し、その付着量が所定量となったら前記シャフトを上下動させるか、前記排ガス処理装置の運転時間が所定時間経過したら前記シャフトを上下動させることを特徴とする請求項1、4乃至6のいずれか一項に記載の排ガス処理装置用ダスト除去装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載のダスト除去装置を備えた排ガス処理装置。
【請求項1】
排ガスを酸化分解する排ガス処理装置用ダスト除去装置であって、
シャフトにダスト掻き取り部材を取りつけ、前記ダスト掻き取り部材を、排ガスを酸化分解する空間の内壁に対して往復動させることにより、前記空間の内壁に付着したダストを掻き落とすことを特徴とする排ガス処理装置用ダスト除去装置。
【請求項2】
前記掻き取り部材は、前記排ガスを酸化分解する空間内を上下動することを特徴とする請求項1記載の排ガス処理装置用ダスト除去装置。
【請求項3】
前記掻き取り部材は、前記シャフトを中心に連続的又は周期的に揺動又は回転することを特徴とする請求項1記載の排ガス処理装置用ダスト除去装置。
【請求項4】
前記掻き取り部材には、前記排ガス処理装置内に流入する排ガスの流れを阻害しないような孔が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の排ガス処理装置用ダスト除去装置。
【請求項5】
前記掻き取り部材は、前記排ガス処理装置内の旋回流を阻害しない退避位置に退避可能であることを特徴とする請求項1又は4に記載の排ガス処理装置用ダスト除去装置。
【請求項6】
前記掻き取り部材が、退避位置まで退避した際に、前記孔は、前記排ガス処理装置の排ガス導入管の開口部に対応して位置し、かつ前記排ガス導入管の開口よりも大きい孔であることを特徴とする請求項4に記載の排ガス処理装置用ダスト除去装置。
【請求項7】
ダスト量検出手段で前記内壁に付着したダスト量を検出し、その付着量が所定量となったら前記シャフトを上下動させるか、前記排ガス処理装置の運転時間が所定時間経過したら前記シャフトを上下動させることを特徴とする請求項1、4乃至6のいずれか一項に記載の排ガス処理装置用ダスト除去装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載のダスト除去装置を備えた排ガス処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【公開番号】特開2010−249509(P2010−249509A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−154646(P2010−154646)
【出願日】平成22年7月7日(2010.7.7)
【分割の表示】特願2007−139042(P2007−139042)の分割
【原出願日】平成11年11月29日(1999.11.29)
【出願人】(000000239)株式会社荏原製作所 (1,477)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月7日(2010.7.7)
【分割の表示】特願2007−139042(P2007−139042)の分割
【原出願日】平成11年11月29日(1999.11.29)
【出願人】(000000239)株式会社荏原製作所 (1,477)
【Fターム(参考)】
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