説明

排出ガスの処理のための構成および方法

酸素および二酸化硫黄を含んでいる排出ガス(102)を、触媒作用によって硫化水素(148)ならびに水素および/または一酸化炭素(114)と反応させて、実質的に酸素を含んでいない処理済みガスを形成し、さらに二酸化硫黄を硫化水素へと変換するプラントに向けられた方法および構成が記されている。最も好ましい態様においては、硫化水素が、回収ループ(134B)によって上記プロセスへと供給される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、排出ガスの処理であり、特に酸素含有ガスからの二酸化硫黄の除去である。
【背景技術】
【0002】
排ガスからの硫黄の除去は、規制が、精製所および他の石油化学施設に対して硫黄化合物の排出をこれまで許容された濃度を下回るように削減することを求めているため、ますます重要になってきている。排ガス(例えば、クラウスプラント、流動式接触分解(FCC)ユニット、またはコークス化ユニットからの排出ガス)の種類に応じ、排ガスから硫黄を回収するための種々のプロセスが、当技術分野において知られている。
【0003】
例えば、二酸化硫黄が、公知の構成のいくつかにおいて、気体状の硫黄化合物を可溶性の亜硫酸/硫酸化合物へと変換する苛性プロセス(caustic process)を使用して除去されており、そのような構成の典型的な例が、Terranaらの米国特許第3,719,742号明細書およびEarlらの米国特許第3,790,660号明細書に記載されている。しかしながら、このような構成の大部分は、ストリッピング用の蒸気を比較的多く要求し、したがって経済的に魅力的でない。他の公知の苛性プロセスが、例えばLa Mantiaらの米国特許第3,920,794号明細書に記載されている。ここでは、NaOHおよびNaCOのスクラビング溶液が、気体の流れからSOを取り除く。吸着またはスクラビングの工程の後、酸化工程が、亜硫酸塩を硫酸塩へと変換すべく、触媒として有効な金属(例えば、Fe、Cu、Co、Mn、および/またはNi)を加えることによって実行される。このような酸化は、比較的簡単かつ効果的であるが、塩を加える必要があり、SOの吸着後のスクラビング溶液中の亜硫酸塩のレベルが比較的高い場合には、二次的な酸化工程が必要とされる可能性がある。
【0004】
これら苛性溶液に関連する問題の少なくともいくつかを克服するため、例えばAtwoodらの米国特許第3,904,735号明細書に記載されているように、排ガスからSOを吸収するためにアルカノールアミン(例えば、トリエタノールアミンの水溶液)を使用することができる。しかしながら、いくつかの困難が依然として残っている。とりわけ、多数のアルカノールアミンは、SOに対する選択性が比較的低く、多量のCOを吸収してしまう傾向にある。またさらに、アルカノールアミンの少なくともいくつかは、比較的高い蒸発損失を示し、酸素が存在する場合にSOのSOへの酸化を促進することがしばしばである。
【0005】
またさらに公知の非苛性のプロセスにおいては、Sligerらの米国特許第4,634,582号明細書に記載されているように、チオサルフェートおよびポリチオネートの緩衝水溶液に吸収し、引き続き高濃度になった溶液を硫化水素で再生して硫黄を形成することによって、SOが排ガスの流れから取り除かれている。再生工程から回収された硫化水素は、次いで、高濃度溶液中の重亜硫酸塩の濃度を低減するための吸収工程に導入される。このような脱硫は、概念的には比較的簡単であるが、緩衝溶液の維持が、少なくともいくつかの場合においてそのようなシステムの能力を制約することがしばしばである。
【0006】
代案として、本件出願と同時係属中である本発明者らの国際特許出願(国際公開第03/045544号パンフレットとして公開されている)に記載されているように、二酸化硫黄含有の排ガスが、十分な還元ガスを排出ガスへと供給すべく、天然ガス、空気、および水素を使用して運転される還元ガス生成器へと導入される。典型的な動作条件は、酸素が実質的に完全に排ガスから除かれるように選択され、動作温度は通常は、約1000°Fから1500°Fである。このようにして形成された水素化処理供給ガスは、硫化水素を含んでおり、これがコンタクタを使用して取り除かれる。このような構成は、多くの条件のもとでの脱硫を有利に改善する。しかしながら、高温での動作および追加の燃料ガスが、一般的には必要であり、これが典型的には動作のコストおよび複雑さを増している。
【0007】
酸素含有の排出流中の硫黄濃度を低減するため、種々の構成および方法が知られているが、それらのすべてまたはほとんどすべては、1つ以上の欠点を抱えている。したがって、そのような流れの中の硫黄成分を低減するための優れた方法および構成を提供するというニーズが、依然として存在している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、酸素含有の排ガスから二酸化硫黄を除去するための構成および方法であって、二酸化硫黄を形成すべく硫化水素を使用して触媒反応によって酸素が取り除かれ、二酸化硫黄が、触媒反応によって硫化水素へと変換(例えば、水素または一酸化炭素を使用して)され、この硫化水素が、溶媒による吸収を使用してガス流から取り除かれる構成および方法に向けられている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の主題の一態様においては、プラントが、酸素および二酸化硫黄を含んでいる排出ガス、およびHSを含んでいる第2のガスを受け取る、第1の触媒リアクタを備えている。この第1のリアクタは、さらに、酸素が硫化水素と反応して水と二酸化硫黄とを含んでいる酸素を含まないガスを形成する反応に、触媒作用を及ぼす触媒を含んでいる。第2の触媒リアクタが、第1のリアクタに流通可能に接続されて、酸素を含まないガスを受け取り、ここで第2の触媒リアクタは、酸素を含まないガスからの二酸化硫黄と水素および/または一酸化炭素とが反応して、硫化水素を含み酸素を含まない還元ガスを形成する反応に、触媒作用を及ぼす水素化触媒をさらに含んでいる。
【0010】
特に考えられるプラントにおいては、分離装置が、酸素を含まない還元ガスを受け取って、凝縮物および硫化水素含有ガスを形成し、さらに、この硫化水素含有ガスを受け取るとともに、硫化水素の少なくとも一部を希薄な溶媒によって吸収して処理済みガスを形成する、吸収装置を備えることができる。本発明の主題を限定するものではないが、第2のガスが、分離装置からの硫化水素含有ガスおよび/または吸収装置からの処理済みガスを含んでいることが、一般的には好ましい。
【0011】
本発明の主題の他の態様においては、酸素と二酸化硫黄とを含んでいる排ガスの脱硫のためのプラントが、排ガスを受け取る第1のリアクタを備えており、硫化水素が吸収装置の上流または下流から回収され、排ガスの酸素を触媒反応によって枯渇させるための十分な量で排ガスへと加えられる。第2のリアクタが、この酸素を枯渇させた排ガスを受け取り、二酸化硫黄を硫化水素へと触媒反応によって還元するため、この酸素を枯渇させた排ガスへと水素が加えられる。
【0012】
考えられるプラントの好ましい態様においては、分離装置が、第2のリアクタから酸素を枯渇させて還元した排ガスを受け取って、凝縮物および硫化水素含有ガスを形成し、吸収装置が、分離装置から硫化水素含有ガスを受け取るとともに、硫化水素の少なくとも一部を希薄な溶媒によって吸収して処理済みガスを形成する。排ガスへと加えられる硫化水素が、分離装置からの硫化水素含有ガスおよび吸収装置からの処理済みガスのうちの少なくとも一方から由来していることが、またさらに好ましい。
【0013】
本発明の主題のさらなる態様においては、酸素含有排ガスの脱硫方法が、二酸化硫黄および酸素を含んでいる排ガスが供給される工程を含んでいる。他の工程において、この排ガスに硫化水素が、硫化水素が二酸化硫黄へと酸化されることによって酸素が枯渇したガスが形成される触媒反応にて、排ガスの酸素を枯渇させるために十分な量で化合させられ、また別の工程において、酸素を枯渇させたガスを水素と反応させて二酸化硫黄を硫化水素へと還元することで、酸素が枯渇しかつ還元されたガスが形成される。分離装置および吸収装置に関しては、上述したものと同じ検討が当てはまる。
【0014】
本発明の種々の目的、特徴、態様、および利点が、本発明の好ましい実施形態についての以下の詳細な説明および添付の図面から、さらに明白になるであろう。添付の図面においては、同様の参照符号は同様の構成要素を指し示している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明者らは、二酸化硫黄を、高温動作(例えば、直炊き(direct firing)において使用されているような)を必要とせずにきわめて効率的な様相で、酸素含有の排出ガスから取り去ることができることを発見した。特に好ましい態様においては、酸素および硫黄の除去のための温度が、典型的には600°Fから900°F未満であり、酸素および二酸化硫黄の両者が、それぞれ硫化水素および水素を使用する別個の触媒反応において除去される。
【0016】
特に好ましい一態様においては、図1に示されているように、プラントが、第1の触媒リアクタ110を第2の触媒リアクタ120へと流通可能に接続して有する脱硫ユニット100を備えている。第2の触媒リアクタ120の流出流は、分離装置130において分離され、分離装置130が、ガス流を吸収装置140へともたらす。
【0017】
最も典型的には、約400°Fから600°Fの温度にあり、あるいは約400°Fから600°Fの温度へと予熱された酸素および二酸化硫黄を含んでいる排ガス102が、硫化水素を含んでいる回収流148(ヒータ160によって約400°Fから600°Fの温度へと加熱されている)と混合され、第1の触媒リアクタ110へと導入される混合流104が形成される。第1の触媒リアクタ110は、典型的には、排ガス102からの酸素が実質的に完全に(すなわち、少なくとも95%、より典型的には少なくとも98%が)消費されて、酸素を含まない生成物流112にて第1の触媒リアクタ110を出る二酸化硫黄および水が形成される反応に、触媒作用を及ぼす触媒を含んでいる。第1の触媒リアクタ内の典型的な動作温度が、約400°Fから800°Fであるため、第1の触媒リアクタ内の二酸化硫黄のいくらかが、クラウス式の反応において硫化水素と反応して硫黄元素を形成しうることに、留意されたい。
【0018】
次いで、このように形成された酸素を含まない生成物流112が、回収流148ならびに水素および/または一酸化炭素流114との混合によって、化合させられた流れ116の温度が約400°Fから600°Fの範囲にあるように冷却される。結果として、第2の触媒リアクタ120が、二酸化硫黄の硫化水素への還元に触媒作用を及ぼす触媒を含んでいるため、酸素を含まない生成物流112の二酸化硫黄(および、硫黄元素の少なくとも一部)が、第2の触媒リアクタ120において硫化水素へと変換される。第2の触媒リアクタの典型的な流出温度は、おおむね600°Fから850°Fであり、これは好ましくは、第2の触媒リアクタ120への回収流148の量を調節することによって制御される。第2の生成物流122が、第2の触媒リアクタ120を出て、分離装置130への進入に先立って、交換器150にて(例えばボイラー供給水を蒸気に変換することによって)流れ122から熱が抽出される。凝縮水が、分離装置130において流れ132として第2の触媒リアクタの流出物122(硫化水素を含む、還元された酸素を含まないガスを含んでいる)から取り去られ、そのように処理された蒸気の流れ134の一部分が、流れ134Aとして吸収装置140に進入する一方で、他の部分134Bは、流れ148として第1の触媒コンバータ110へと回収される。流れ102の実際の特性および具体的な硫黄除去の要求に応じ、第1の触媒コンバータ110への回収流として、流れ134Bをなくして、流れ146で置き換えてもよい。そのような場合、流れ134の全体が、分割されることなく吸収装置140へと進入する。回収流148は、ブースタ170によってブーストされ、回収流148の少なくとも一部分が、(加熱された)回収流を排ガス102および/または酸素を含まない生成物流112と混合させる前に、交換器160によって加熱される。
【0019】
再生装置140は、好ましくは、アミン溶液が流れ134または流れ134Aから硫化水素を吸収して、脱硫された流れ146を形成する従来の吸収塔であり、脱硫された流れ146は、大気へと排出され、あるいは流れ148として第1の触媒コンバータ110へと回収される。たいていの動作条件においては、脱硫された流れ146は、10ppmvから150ppmv未満の硫化水素を含んでいる。希薄なアミンが、流れ144として吸収装置に進入し、高濃度のアミン溶液が、流れ142として吸収装置から出て、公知のプロセスを使用して再生される。
【0020】
排ガスに関しては、S Zorbプロセス(触媒に接触する供給中の硫黄含有分子から硫黄を除去する硫黄含有吸収剤を使用する硫黄除去プロセス(例えば、Conoco PhillipsのS Zorbプロセスを参照))からの再生装置ガスが典型的には好ましいが、多数の他のガスも、ここでの使用に適していると考えられ、一般的には酸素(好ましくは、10%未満)および二酸化硫黄(好ましくは、5%未満)を含んでいるすべてのガスが含まれることを理解されたい。したがって、考えられる排ガスとしては、FCCの排煙、またはコーカーの排煙が挙げられる。好ましい態様のいくつかにおいては、排ガスが、2.0%未満の二酸化硫黄濃度を有してよい。例えば、適切なガス流における二酸化硫黄濃度は、1.2%から2.0%、あるいはさらに低くてもよい。供給ガスの二酸化硫黄濃度がより高い場合、排ガスに対する回収ガスの比を、混合流104における最大二酸化硫黄濃度が2%未満、さらに典型的には1.5%未満であるように調節することが、一般的には好ましい。
【0021】
しかしながら、酸素および硫化水素から(特に)二酸化硫黄を生成する第1のリアクタにおける反応によって消費されるべき排ガス中の酸素にとって十分な量の硫化水素が、回収ガスによってもたらされるように、排ガスへと混合される回収ガスの量が選択されることを、特に理解すべきである。したがって、回収ガスの組成は様々であってよく、回収ガスの硫化水素含量を、流れ134B(硫化水素が豊富)または流れ146(硫化水素が希薄)の比を調節することによって調整できることを、理解すべきである。しかしながら、他の態様においては、還元剤(例えば、硫化水素、水素など)を、流れ134Bおよび146以外の供給源によってもたらしてもよく、適切な硫化水素の供給源としては、クラウスプラント供給流、またはアミン再生からのサワーガス流が挙げられる。
【0022】
好ましい第1の触媒リアクタは、酸素含有ガスからの酸素が硫化水素(このガスに含まれており、あるいはこのガスへと加えられる)と反応して、二酸化硫黄を含むが酸素を含まない(すなわち、1%未満、さらに典型的には0.5%未満、最も典型的には0.1%未満)ガスが形成される反応に、触媒作用を及ぼす触媒を含んでいる。したがって、考えられる触媒としては、硫化水素の酸化を促進するすべての触媒が挙げられ、特に種々のアルミナ触媒、酸化チタニウム触媒、およびバナジウム−アンチモン触媒が挙げられる。触媒の種類および酸素含有量に応じて、第1の触媒リアクタにおける反応温度が、一般的には約400°Fから800°Fの範囲にあることを、さらに理解すべきである。しかしながら、より低い温度(例えば、300°Fから400°F)またはより高い温度(例えば、800°Fから950°F)も、適切であると考えられる。適切な動作温度は、回収ガスおよび/または排ガスを予熱する(例えば、約400°Fから600°Fの温度へと)ことによって維持することができる。典型的には、第1の触媒リアクタ内の硫化水素のいくらかが、クラウス式の反応において二酸化硫黄のいくらかと反応し、水および硫黄元素が形成される。
【0023】
第2の触媒リアクタに関しては、公知のすべての水素化リアクタを、本明細書に提示される教示とともに使用すべく利用できることが、考えられる。さらには、考えられる第2の触媒リアクタが、二酸化硫黄ならびに水素および/または一酸化炭素が、硫化水素および水を形成すべく反応する反応に、触媒作用を及ぼす水素化触媒を含んでいることが、一般的には好ましい。当技術分野において、多数の水素化触媒が知られており、それら公知の触媒のすべてが、ここでの使用に適していると考えられる。しかしながら、特に好ましい触媒としては、コバルト−モリブデン触媒、セリア触媒、またはジルコニア触媒が挙げられる。結果として、第1のリアクタによってもたらされる酸素を含まないガスからの二酸化硫黄が、加えられた水素と第2のリアクタにおいて反応し、HSを含んでいる酸素を含まない還元ガスが形成される。
【0024】
一般的には、水素が、実質的にすべて(すなわち、少なくとも95%、さらに典型的には少なくとも99%)の二酸化硫黄を硫化水素へと変換するために十分な量で、第1の触媒リアクタからの流出流へと加えられ、あるいは第2の触媒リアクタへと直接加えられる。したがって、水素および/または一酸化炭素の正確な量は、様々であろうが、当業者であれば適切な量を容易に決定できることを、理解すべきである。水素および/または一酸化炭素は、様々なやり方で、様々な供給源から加えることができるが、考えられる水素流としては、精製された水素(例えば、PSAから)、または水素および/または一酸化炭素の濃度が高められた流れ(例えば、水素含有回収流)を挙げることができる。
【0025】
第2の触媒リアクタへと進入する酸素枯渇ガスの温度に関しては、酸素枯渇ガスが400°Fから600°Fの範囲の温度および2%未満のSO濃度へと冷却されることが、一般的には好ましい。好ましくは、そのような冷却および/または希釈は、第1の触媒リアクタからの酸素枯渇ガス112を回収ガス148(予熱されても、予熱されなくてもよい)と混合することによって達成される。そのような構成においては、冷却/希釈剤(すなわち、回収ガス)が酸素を含んでおらず、硫化水素を含んでよいことを、特に理解すべきである。しかしながら、冷却をヒートシンク(例えば、熱交換器)によって実行することも可能であり、より低い温度(例えば、300°Fから400°F)またはより高い温度(例えば、600°Fから750°F)でさえも考えられることを、理解すべきである。
【0026】
次いで、このように生成された第2の触媒リアクタからの流出流(硫化水素を含んでいる、酸素を含んでいないガス)が、好ましくは熱交換器において冷却され、凝縮液が冷却後に分離装置において取り去られ、その後に冷却ガスが、当技術分野において公知の方法を使用して吸収装置において脱硫される。典型的には、吸収装置が、アミンを主体とする溶媒を使用して第2の触媒リアクタの流出物から硫化水素を抽出する、アミン式の吸収装置である。次いで、そのようにして生成された濃い溶媒が、当技術分野において公知の溶媒再生プロセスを使用して処理される。代案として、冷却および凝縮物の除去のために、直接接触の凝縮器を使用してもよい。
【0027】
このように、本発明者らは、広くには、酸素および二酸化硫黄を含んでいる排出ガスを受け取り、さらに硫化水素を含んでいる第2のガスを受け取る、第1の触媒リアクタを有しているプラントであって、この第1のリアクタが、酸素が硫化水素と反応して水および二酸化硫黄を含む酸素を含まないガスが形成される反応に、触媒作用を及ぼす触媒をさらに含んでいる、プラントを想定している。さらに、そのようなプラントが、第1のリアクタへと流通可能に接続されて酸素を含まないガスを受け取る、第2の触媒リアクタを備えている。適切な第2の触媒リアクタは、酸素を含まないガスからの二酸化硫黄ならびに水素および/または一酸化炭素が反応して、硫化水素を含むが酸素を含まない還元ガスを形成する反応に、触媒作用を及ぼす水素化触媒を含んでいる。さらに、第1および第2のリアクタを、2つの別個の触媒床で構成され、この2つの別個の触媒床の間にガスの混合のための十分な空間を備えているただ1つの容器に配置してもよいことを、理解すべきである。
【0028】
したがって、他の観点から眺めると、酸素および二酸化硫黄を含んでいる排ガスの脱硫のためのプラントが、排ガスを受け取って、硫化水素を触媒反応によって酸素から排ガスを枯渇させるために有効な量にて排ガスへと加える第1のリアクタと、この酸素が枯渇した排ガスを受け取って、この酸素が枯渇した排ガスへと水素および/または一酸化炭素を加え、二酸化硫黄を硫化水素へと触媒反応によって還元する第2のリアクタとを備えることが想定されている。
【0029】
したがって、酸素含有排ガスを脱硫する方法は、二酸化硫黄および酸素を含んでいる排ガスが供給される1つの工程を有している。他の工程において、排ガスに硫化水素が、触媒反応において排ガスの酸素を枯渇させるための十分な量で化合させられ、硫化水素が二酸化硫黄へと酸化されて、酸素が枯渇したガスが形成される。さらに他の工程において、この酸素が枯渇したガスが、二酸化硫黄を硫化水素へと還元すべく触媒反応によって水素と反応させられ、還元された酸素枯渇ガスが形成される。
【0030】
このように、排出ガスを処理するための優れた構成および方法について、特定の実施形態および用途を開示した。しかしながら、ここに開示した本発明の概念から逸脱することなく、すでに説明したもの以外にも、さらに多くの変形が可能であることが、当業者にとって明らかであろう。したがって、本発明の主題は、添付の特許請求の範囲の精神以外には、決して限定されない。また、明細書および特許請求の範囲の両者を解釈する際には、すべての用語は、文脈に一致する様相で可能な限り広く解釈されなければならない。特に、用語「・・・を含む(comprises)」および「・・・を含んでいる(comprising)」は、要素、構成部品、または工程に、非排他的な様相で言及していると解釈すべきであり、言及された要素、構成部品、または工程が、明示的には言及されていない他の要素、構成部品、または工程とともに存在し、または利用され、あるいは組み合わせられてもよいことを示している。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】酸素含有ガスから二酸化硫黄を除去するための、本発明の主題による典型的な構成の概略である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)酸素および二酸化硫黄を含んでいる排出ガスと、(b)還元剤を含んでいる第2のガスとを受け取るとともに、酸素が還元剤と反応して水と二酸化硫黄とを含んでいる酸素を含まないガスを形成する反応に触媒作用を及ぼす触媒をさらに含んでいる、第1の触媒リアクタと、
第1のリアクタに流通可能に接続されて、酸素を含まないガスを受け取るとともに、酸素を含まないガスからの二酸化硫黄と水素および一酸化炭素のうちの少なくとも一方とが反応して、硫化水素を含み酸素を含まない還元ガスを形成する反応に触媒作用を及ぼす水素化触媒をさらに含んでいる、第2の触媒リアクタと
を備える、プラント。
【請求項2】
酸素を含まない還元ガスを受け取って、凝縮物および硫化水素含有ガスを形成する分離装置をさらに備えている、請求項1に記載のプラント。
【請求項3】
硫化水素含有ガスを受け取るとともに、硫化水素の少なくとも一部を希薄な溶媒によって吸収して処理済みガスを形成する吸収装置をさらに備えている、請求項2に記載のプラント。
【請求項4】
第2のガスが、分離装置からの硫化水素含有ガスおよび吸収装置からの処理済みガスのうちの少なくとも一方を含んでいる、請求項3に記載のプラント。
【請求項5】
分離装置または吸収装置へと進入する前に、酸素を含まない還元ガスから熱が取り出される、請求項1に記載のプラント。
【請求項6】
排出ガスおよび第2のガスの少なくとも一方が、第1の触媒リアクタへの進入に先立って、400°Fから600°Fの温度へと加熱される、請求項1に記載のプラント。
【請求項7】
第1の触媒リアクタの触媒が、アルミナ、酸化チタニウム、またはバナジウム−アンチモン触媒からなる、請求項1に記載のプラント。
【請求項8】
第2の触媒リアクタの触媒が、コバルトモリブデン触媒、セリア触媒、またはジルコニア触媒からなる、請求項1に記載のプラント。
【請求項9】
酸素と二酸化硫黄とを含んでいる排ガスの脱硫のためのプラントであって、
排ガスを受け取るとともに、排ガスの酸素を触媒反応によって枯渇させるための十分な量で、排ガスへと還元剤が加えられる、第1のリアクタと、
酸素を枯渇させた排ガスを受け取るとともに、二酸化硫黄を硫化水素へと触媒反応によって還元するため、酸素を枯渇させた排ガスへと水素および一酸化炭素の少なくとも一方が加えられる、第2のリアクタと
を備えている、プラント。
【請求項10】
第2のリアクタから酸素を枯渇させて還元した排ガスを受け取って、凝縮物および硫化水素含有ガスを形成する、分離装置をさらに備えている、請求項9に記載のプラント。
【請求項11】
分離装置から硫化水素含有ガスを受け取るとともに、硫化水素の少なくとも一部を希薄な溶媒によって吸収して処理済みガスを形成する、吸収装置をさらに備えている、請求項10に記載のプラント。
【請求項12】
排ガスへと加えられる硫化水素が、分離装置からの硫化水素含有ガスおよび吸収装置からの処理済みガスのうちの少なくとも一方から由来している、請求項11に記載のプラント。
【請求項13】
酸素含有排ガスの脱硫方法であって、
二酸化硫黄および酸素を含んでいる排ガスをもたらす工程と、
排ガスに硫化水素を、硫化水素が二酸化硫黄へと酸化されることによって酸素が枯渇したガスが形成される触媒反応にて、排ガスの酸素を枯渇させるために十分な量で化合させる工程と、
酸素を枯渇させたガスを水素および一酸化炭素の少なくとも一方と反応させて、二酸化硫黄を硫化水素へと還元することで、酸素が枯渇しかつ還元されたガスを形成する工程と
を含んでいる、方法。
【請求項14】
酸素が枯渇しかつ還元されたガスが分離装置において分離されて、凝縮物と硫化水素を含んでいるガスとが形成され、硫化水素を含んでいるガスの少なくとも一部が、排ガスと化合させられる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
酸素が枯渇しかつ還元されたガスが分離装置において分離されて、凝縮物と硫化水素を含んでいるガスとが形成され、硫化水素を含んでいるガスの少なくとも一部が、硫化水素を溶媒によって吸収することによって処理済みガスを形成する吸収装置へと供給される、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
処理済みガスの一部が、排ガスと化合させられる、請求項15に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2007−533447(P2007−533447A)
【公表日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−509438(P2007−509438)
【出願日】平成16年4月22日(2004.4.22)
【国際出願番号】PCT/US2004/012599
【国際公開番号】WO2005/113429
【国際公開日】平成17年12月1日(2005.12.1)
【出願人】(506354434)フルオー・テクノロジーズ・コーポレイシヨン (35)
【Fターム(参考)】