説明

排出装置

【課題】試料体から試料ガスを良好に脱離させる。
【解決手段】エージング装置10では、捕集管14が加熱炉74内に収容されて加熱されることで、捕集管14内の捕集剤12から試料ガスが脱離されて捕集管14がエージングされる。ここで、加湿器28では、加湿剤が保持された保液部56を洗浄ガスが透過することで、洗浄ガスによって加湿剤が微粒子にされて空間層60へ放出されると共に、空間層60を通過した加湿剤の粒子が、止液部62を透過することで、無色透明な状態で止液部62の前側に放出される。このため、洗浄ガスを適切に加湿して捕集管14内に供給でき、捕集剤12から試料ガスを良好に脱離させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料容器内の試料体から試料ガスを脱離させて試料容器外へ排出する排出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
排出装置としては、オーブン内に設置された気体成分吸着管内に洗浄ガスを通過させつつ気体成分吸着管をオーブンによって加熱することで、気体成分吸着管内の吸着成分(試料ガス)が脱離される気体成分吸着管洗浄装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、この気体成分吸着管洗浄装置では、オーブン内に設けられた有底穴に気体成分吸着管を位置合わせした状態で挿入しかつ保持させることで、気体成分吸着管をオーブン内に設置する。このため、有底穴への気体成分吸着管の位置合わせを手作業で行う必要があり、気体成分吸着管をオーブン内に設置する作業が煩雑である。さらにこのため、径やタイプが異なって種類が異なる気体成分吸着管をオーブン内に設置できない。
【0004】
また、気体成分吸着管内を通過される洗浄ガスは、乾燥されたものである。このため、気体成分吸着管内の吸着成分を良好に脱離できない。
【0005】
さらに、複数の気体成分吸着管における洗浄ガスの通過抵抗が互いに異なる場合には、洗浄ガスの通過抵抗が高い気体成分吸着管程、洗浄ガスが通過できなくなって、吸着成分を良好に脱離させることができない。
【0006】
また、温度センサによるオーブン内の温度の検出に基づいて、オーブン内の温度が設定温度に制御される場合には、一般にオーブンのヒータ容量が大きいため、オーブン内の温度が設定温度よりも低くなった際にオーブン内が一時的に加熱されることで、オーブン内の温度が、設定温度よりも高くなって気体成分吸着管の過加熱(オーバーシュート)が生じたり、不安定になる。
【特許文献1】特開平10−185891号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記事実を考慮し、試料体から試料ガスを良好に脱離させることができる排出装置、試料容器を加熱手段に容易に配置できる排出装置、加熱手段の発熱部の発熱容量を小さくできる排出装置、供給ガスの通過抵抗が低い試料容器のみならず供給ガスの通過抵抗が高い試料容器へも供給ガスを良好に供給できる排出装置、及び、複数種類の試料容器に対して試料体から試料ガスを脱離させることができる排出装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の排出装置は、加熱されることで試料ガスが脱離される試料体が内部に設けられた試料容器に接続され、前記試料容器内に供給ガスを供給する供給手段と、前記試料容器を加熱することで前記試料体から試料ガスを脱離させて前記試料容器から試料ガスが排出される加熱手段と、前記供給手段に設けられ、液体が保持されると共に供給ガスが透過される保液部と、前記保液部の前記試料容器側に配置される空間部と、前記空間部の前記試料容器側に配置され前記保液部から前記空間部を介して到達する液体が粒子状にされて供給ガスと共に前記試料容器側に放出される放出部と、を有する加湿手段と、を備えている。
【0009】
請求項2に記載の排出装置は、請求項1に記載の排出装置において、前記加湿手段は、前記保液部を収容し、注入口が設けられた収容容器と、前記注入口を密閉して設けられ、前記保液部に液体を注入可能にされた密閉部と、を有することを特徴としている。
【0010】
請求項3に記載の排出装置は、請求項1又は請求項2に記載の排出装置において、前記供給手段は、前記保液部に液体が保持されなくなった後にも、前記試料容器内に供給ガスを供給する、ことを特徴としている。
【0011】
請求項4に記載の排出装置は、加熱されることで試料ガスが脱離される試料体が内部に設けられた試料容器に接続され、前記試料容器内に供給ガスを供給する供給手段と、前記試料容器を加熱することで前記試料体から試料ガスを脱離させて前記試料容器から試料ガスが排出される加熱手段と、前記試料容器を支持して前記試料容器の前記加熱手段への配置を案内する案内手段と、を備えている。
【0012】
請求項5に記載の排出装置は、請求項4に記載の排出装置において、前記供給手段は、複数の前記試料容器内に供給ガスを同時に供給可能にされると共に、前記加熱手段は、複数の前記試料容器を同時に加熱可能にされた、ことを特徴としている。
【0013】
請求項6に記載の排出装置は、加熱されることで試料ガスが脱離される試料体が内部に設けられた試料容器に接続され、前記試料容器内に供給ガスを供給する供給手段と、発熱する発熱部を複数有し、前記試料容器を加熱することで前記試料体から試料ガスを脱離させて前記試料容器から試料ガスが排出される加熱手段と、を備えている。
【0014】
請求項7に記載の排出装置は、請求項6に記載の排出装置において、前記加熱手段に設けられ、前記加熱手段の加熱温度を上昇させる際に発熱する追加発熱部を備えた、ことを特徴としている。
【0015】
請求項8に記載の排出装置は、加熱されることで試料ガスが脱離される試料体が内部に設けられた複数の試料容器のそれぞれに接続される複数の分岐部を有し、前記試料容器内に供給ガスを供給する供給手段と、複数の前記分岐部のそれぞれに設けられ、前記分岐部を通過する供給ガスに抵抗を付与する複数の抵抗手段と、前記試料容器を加熱することで前記試料体から試料ガスを脱離させて前記試料容器から試料ガスが排出される加熱手段と、ことを特徴としている。
【0016】
請求項9に記載の排出装置は、加熱されることで試料ガスが脱離される試料体が内部に設けられた試料容器に接続される接続手段が設けられ、前記試料容器内に供給ガスを供給する供給手段と、前記試料容器を加熱することで前記試料体から試料ガスを脱離させて前記試料容器から試料ガスが排出される加熱手段と、を備え、複数種類の前記試料容器を前記接続手段に交換接続可能にされた、ことを特徴としている。
【0017】
請求項10に記載の排出装置は、加熱されることで試料ガスが脱離される試料体が内部に設けられた試料容器に接続される接続手段が設けられ、前記試料容器内に供給ガスを供給する供給手段と、前記試料容器を加熱することで前記試料体から試料ガスを脱離させて前記試料容器から試料ガスが排出される加熱手段と、を備え、接続可能な前記試料容器の種類が異なる複数種類の前記接続手段を前記供給手段に交換設置可能にされた、ことを特徴としている。
【0018】
請求項11に記載の排出装置は、加熱されることで試料ガスが脱離される試料体が内部に設けられた試料容器に接続され、前記試料容器内に供給ガスを供給する供給手段と、前記試料容器が収容される加熱容器が取り付けられ、前記試料容器を加熱することで前記試料体から試料ガスを脱離させて前記試料容器から試料ガスが排出される加熱手段と、を備え、収容可能な前記試料容器の種類が異なる複数種類の前記加熱容器を前記加熱手段に交換取付可能にされた、ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0019】
請求項1に記載の排出装置では、供給手段が試料容器内に供給ガスを供給すると共に、加熱手段が試料容器を加熱することで、試料容器内の試料体から試料ガスが脱離されて試料容器から排出される。
【0020】
ここで、供給手段に、保液部、空間部及び放出部を有する加湿手段が設けられており、保液部では液体が保持されると共に供給ガスが透過され、空間部は保液部の試料容器側に配置され、保液部から空間部を介して放出部に到達する液体が放出部によって粒子状にされて供給ガスと共に試料容器側に放出される。このため、供給ガスを適切に加湿でき、試料体から試料ガスを良好に脱離させることができる。
【0021】
請求項2に記載の排出装置では、加湿手段において、収容容器が保液部を収容しており、収容容器に注入口が設けられている。注入口には密閉部が密閉して設けられており、密閉部は保液部に液体を注入可能にされている。このため、保液部に液体を容易に注入することができる。
【0022】
請求項3に記載の排出装置では、保液部に液体が保持されなくなった後にも、供給手段が試料容器内に供給ガスを供給する。このため、簡単に試料容器内に加湿した供給ガスを供給した後に乾燥した供給ガスを供給することができる。
【0023】
請求項4に記載の排出装置では、供給手段が試料容器内に供給ガスを供給すると共に、加熱手段が試料容器を加熱することで、試料容器内の試料体から試料ガスが脱離されて試料容器から排出される。
【0024】
ここで、案内手段が試料容器を支持して試料容器の加熱手段への配置を案内する。このため、試料容器を加熱手段に容易に配置することができる。
【0025】
請求項5に記載の排出装置では、供給手段が複数の試料容器内に供給ガスを同時に供給可能にされると共に、加熱手段が複数の試料容器を同時に加熱可能にされている。このため、複数の試料容器において同時に試料体から試料ガスを脱離させることができる。
【0026】
請求項6に記載の排出装置では、供給手段が試料容器内に供給ガスを供給すると共に、加熱手段が発熱部において発熱して試料容器を加熱することで、試料容器内の試料体から試料ガスが脱離されて試料容器から排出される。
【0027】
ここで、加熱手段が発熱部を複数有している。このため、発熱部の発熱容量を小さくするができ、加熱手段の蓄熱容量を大きくすることで、加熱手段の加熱温度を安定させることができる。
【0028】
請求項7に記載の排出装置では、加熱手段に設けられた追加発熱部が、加熱手段の加熱温度を上昇させる際に発熱する。このため、加熱手段の加熱温度を迅速に上昇させることができる。
【0029】
請求項8に記載の排出装置では、供給手段が複数の分岐部を介して複数の試料容器内に供給ガスを供給すると共に、加熱手段が試料容器を加熱することで、試料容器内の試料体から試料ガスが脱離されて試料容器から排出される。
【0030】
ここで、複数の分岐部のそれぞれに設けられた抵抗手段が、分岐部を通過する供給ガスに抵抗を付与する。このため、複数の試料容器における供給ガスの通過抵抗が互いに異なる場合でも、供給ガスの通過抵抗が低い試料容器のみならず供給ガスの通過抵抗が高い試料容器へも供給ガスを良好に供給することができる。
【0031】
請求項9に記載の排出装置では、供給手段に設けられた接続手段に試料容器が接続されて供給手段が試料容器内に供給ガスを供給すると共に、加熱手段が試料容器を加熱することで、試料容器内の試料体から試料ガスが脱離されて試料容器から排出される。
【0032】
ここで、複数種類の試料容器を接続手段に交換接続可能にされている。このため、複数種類の試料容器に対して試料体から試料ガスを脱離させることができる。
【0033】
請求項10に記載の排出装置では、供給手段に設けられた接続手段に試料容器が接続されて供給手段が試料容器内に供給ガスを供給すると共に、加熱手段が試料容器を加熱することで、試料容器内の試料体から試料ガスが脱離されて試料容器から排出される。
【0034】
ここで、接続可能な試料容器の種類が異なる複数種類の接続手段を供給手段に交換設置可能にされている。このため、複数種類の試料容器に対して試料体から試料ガスを脱離させることができる。
【0035】
請求項11に記載の排出装置では、供給手段が試料容器内に供給ガスを供給すると共に、加熱手段が加熱容器に収容された試料容器を加熱することで、試料容器内の試料体から試料ガスが脱離されて試料容器から排出される。
【0036】
ここで、収容可能な試料容器の種類が異なる複数種類の加熱容器を加熱手段に交換取付可能にされている。このため、加熱手段に取り付ける加熱容器を交換することで、加熱容器に異なる種類の試料容器を収容することができる。これにより、複数種類の試料容器に対して試料体から試料ガスを脱離させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
図1には、本発明の実施の形態に係る排出装置としてのエージング装置10が左方から見た側面図にて示されており、図2には、エージング装置10が上方から見た平面図にて示されている。なお、図面では、エージング装置10の前方を矢印FRで示し、エージング装置10の右方を矢印RHで示し、エージング装置10の上方を矢印UPで示す。
【0038】
例えば、車室内のVOC(Volatile Organic Compounds、揮発性有機化合物)を低減するためには、車室内に使用される材料毎のVOCの揮発量(発生量)を把握する必要がある。
【0039】
VOC等の揮発した試料ガス(炭化水素類等の目的成分)を分析する方法としては、内部に試料体としての例えば樹脂製の捕集剤12が充填された試料容器としてのガラス製(ステンレス製でもよい)円管状の捕集管14を使用するものがある。すなわち、捕集管14内に試料ガスを通して捕集剤12に試料ガスを保持させた(採取した)後、捕集管14を分析装置としての所謂ガスクロマトグラフに接続した状態で加熱することで、捕集剤12から試料ガス(保持成分)を脱離(気化)させてガスクロマトグラフによって分析する。このように試料ガスを捕集管14内の捕集剤12に保持させて濃縮する方法は、大気採取等で多用される採取方法であり、これにより、数Lから数百Lの試料ガスを数mLに濃縮することができ、分析の高感度化を図ることができると共に、試料ガスの保存性及び運搬性に優れている。
【0040】
また、上記分析処理が終了した捕集管14は、例えば略300℃に加熱されて、捕集剤12から残存する試料ガス(残存成分)が脱離(除去)されることで、エージング(洗浄)されて、分析処理に再使用される。
【0041】
本実施の形態に係るエージング装置10は、捕集管14をエージングするものである。エージング装置10は、矩形板状のベース16を備えており、ベース16の下面には直方体状の足18が複数固定されている。これにより、複数の足18が水平な載置面(図示省略)に載置さることで、ベース16が水平にされた状態でエージング装置10が載置面に載置されている。
【0042】
ベース16上面の左右方向中央には、前端部以外において、第1レール20が設けられており、第1レール20は前後方向に沿って配置されている。さらに、ベース16上面の右端には、前端部以外において、第2レール22が設けられており、第2レール22は前後方向に沿って配置されている。
【0043】
第1レール20上には、後部において、移動手段としての固定具24が配置されている。固定具24の下側部分には、矩形板状のスライド部24Aが設けられており、スライド部24Aが第1レール20にスライド(移動)可能に支持されることで、固定具24が第1レール20に案内されて前後方向へスライド可能にされている。固定具24の上側部分には、板状の固定部24Bが設けられており、固定部24Bはスライド部24Aから垂直に立設されている。固定部24Bには、複数(本実施の形態では6つ)の円状の固定孔26が形成されており、固定部24Bには、各固定孔26において、供給手段の分岐部を構成する加湿手段としての円柱状の加湿器28が嵌合された状態で固定されている。
【0044】
第2レール22上には、前部において、案内手段としての前面視逆L字状のガイド30が配置されている。ガイド30の下端は第2レール22にスライド可能に支持されており、これにより、ガイド30が第2レール22に案内されて前後方向へスライド可能にされると共に、ガイド30の上側部分30Aが、固定具24の前方において、水平に配置されている。
【0045】
上記加湿器28は、後面から供給手段の分岐部を構成する分岐管32を介して、供給手段の分岐部及び抵抗手段を構成する抵抗管34の一端に接続されており、抵抗管34は、固定具24のスライド部24Aに保持されると共に、径が下記供給管36の径より小さくされている。図4に詳細に示す如く、各抵抗管34の他端は、供給手段を構成する供給管36に接続されており、これにより、複数の抵抗管34が供給管36から分岐された構成にされている。
【0046】
供給管36には、ガス清浄部38が設けられており、さらに、供給管36には、ガス清浄部38よりも反抵抗管34側(上流側)において、圧力制御部(流量制御部)を構成する圧力計40及び圧力調整弁42が反ガス清浄部38側へ向けて順に設けられている。これにより、供給ガスとしての洗浄ガス(空気、窒素又はヘリウム等の不活性ガス)が、供給圧力を圧力調整弁42によって制御されかつ圧力計40によって確認されると共に、ガス清浄部38によって清浄化されつつ、供給管36から各抵抗管34及び各分岐管32を介して各加湿器28に定圧かつ低流量で供給される。また、洗浄ガスが抵抗管34を通過する際には、抵抗管34によって洗浄ガスに抵抗が付与される(洗浄ガスの通過が阻害される)。
【0047】
加湿器28の外周は、円柱形容器状の収容容器44にされており、収容容器44内には上記分岐管32から洗浄ガスが供給される。収容容器44周壁の上部かつ後部には、上面視円状の注入口46が貫通形成されており、注入口46は、密閉部としてのゴム製の隔壁48によって密閉されている。なお、注入口46は、ネジ式又はキャップ式等の密閉蓋によって密閉された構成としてもよく、この場合、注入口46から密閉蓋が取り外されることで注入口46を開放可能にされる。
【0048】
図6に詳細に示す如く、収容容器44内の後部には、抵抗手段を構成するオリフィス50が設けられており、オリフィス50は収容容器44内に嵌合されている。オリフィス50には、後側において、層状のフィルタ52が設けられており、収容容器44内に供給された洗浄ガスがフィルタ52を透過することで清浄化される。オリフィス50には、前側において、膜状の止液膜54が設けられており、止液膜54は、洗浄ガスが透過する一方、下記加湿剤の逆流による透過を阻止する。また、オリフィス50(フィルタ52及び止液膜54)は、透過する洗浄ガスに抵抗を付与する(洗浄ガスの透過を阻害する)。なお、フィルタ52及び止液膜54は兼用する事が可能である。
【0049】
収容容器44内の前後方向中間部には、円柱状の保液部56が設けられており、保液部56は、円筒状の回収部58(ドレン液回収部)内に嵌合されている。回収部58は、収容容器44の内周面に嵌合される。保液部56及び回収部58は、テフロン(登録商標)膜等のろ過材、ガラス繊維、化学繊維、セラミック等の保液材によって構成されており、保液部56及び回収部58(保液材)は、疎液性が強い場合には親液化が必要になる。なお、保液部56とオリフィス50の止液膜54との間には、空間が形成されているが、この空間は形成されなくてもよい。
【0050】
保液部56の上側には、上記注水口46が配置されており、保液部56には、注射器状の注入器(図示省略)に設けられた細管状(注射針状)の注入管(図示省略)が注入口46の隔壁48を貫通された状態で、注入管を介して液体としての加湿剤(水、又は、各種のアルコール等の有機化合物等の極性が高い物質)が注入(供給)される。これにより、保液部56には、加湿剤が保持されて、毛細管現象によって断面全体において加湿剤の粒子が保有配置される。また、注入管の隔壁48への貫通が解除された際には、隔壁48が注入口46を密閉する。さらに、保液部56に保持された加湿剤は、仮に回収部58に浸透しても、オリフィス50の止液膜54によってオリフィス50より後側へ漏洩することが防止されると共に、毛細管現象によって保液部56に回収される。
【0051】
保液部56には、オリフィス50を透過した洗浄ガスが透過すると共に、保持された加湿剤が洗浄ガスによって微粒子にされて前側へ放出される。
【0052】
収容容器44内には、保液部56前側の回収部58内において、空間部としての空間層60が形成されており、空間層60には、保液部56から放出された微粒子の加湿剤が通過する。空間層60を通過する加湿剤の粒子が、大きくて回収部58に落下すると、回収部58に保持されて毛細管現象によって保液部56に回収される。
【0053】
収容容器44内には、空間層60の前側において、放出部としての止液部62が設けられており、止液部62は、収容容器44内に嵌合されると共に、回収部58に接触されている。止液部62は、ガス透過材(フィルタ)状に形成された多孔質の止液材によって構成されており、空間層60を通過した加湿剤の粒子が、止液部62を透過することで均一な最適粒子形状になって、無色透明な状態(洗浄ガスに溶けた状態)で止液部62の前側に放出される。さらに、止液部62の後側に空間層60が配置されているため、止液部62の後面全体に空間層60を通過した加湿剤の粒子による粒子膜が生成されることが防止されている。また、空間層60を通過した加湿剤の粒子が、大きくて止液部62を透過できないと、回収部58に落下して保持されることで、毛細管現象によって保液部56に回収される。
【0054】
収容容器44の前面には、供給手段の分岐部を構成する接続手段(コネクタ)としてのアダプタ64(アタッチメント)が取り外し可能に取り付けられている。図8に示す如く、アダプタ64には、所謂フェルール、そろばん玉(係合筒)及びOリングを有する所謂カシメ型アダプタ64A、及び、細管状(注射針状)の連通管66を有する所謂シリンジ針型アダプタ64Bが存在しており、収容容器44の前面には、カシメ型アダプタ64A又はシリンジ針型アダプタ64Bを交換取付可能にされている。
【0055】
アダプタ64には、上記分析処理を終了した捕集管14の後端部が接続されており、捕集管14の後端は供給口68にされると共に、捕集管14の前端は排出口70にされている。これにより、加湿器28において加湿剤によって加湿された洗浄ガスがアダプタ64を介して捕集管14に供給口68から供給されて、当該洗浄ガスが、捕集管14を通過されると共に、排出口70から排出される。
【0056】
捕集管14が供給口68及び排出口70を開口された所謂直管方式の捕集管14(以下「直管捕集管14A」という)である場合には、収容容器44の前面にカシメ型アダプタ64Aが取り付けられて、カシメ型アダプタ64Aに直管捕集管14Aが接続されることで、カシメ型アダプタ64A内を介して直管捕集管14A内と収容容器44内とが連通される。また、カシメ型アダプタ64Aには、外径が異なる複数種類の直管捕集管14Aを接続可能にされている。
【0057】
一方、捕集管14が供給口68をゴム72によってシールされると共に排出口70を開口された所謂ゴムシール方式の捕集管14(以下「ゴムシール捕集管14B」という)である場合には、収容容器44の前面にシリンジ針型アダプタ64Bが取り付けられて、シリンジ針型アダプタ64Bの連通管66がゴム72に貫通された状態でシリンジ針型アダプタ64Bにゴムシール捕集管14Bが接続されることで、シリンジ針型アダプタ64B内(連通管66内を含む)を介してゴムシール捕集管14B内と収容容器44内とが連通される。また、シリンジ針型アダプタ64Bには、外径が異なる複数種類のゴムシール捕集管14Bを接続可能にされている。
【0058】
図1及び図2に示す如く、アダプタ64に接続された捕集管14の前側部分は、上記ガイド30の上側部分30A上に載置されて支持されており、これにより、捕集管14が、前側部分において下側に垂れ下がることが抑制されて、水平に配置されている。
【0059】
上記ベース16上には、前端部において、加熱手段としての直方体状の加熱炉74が固定されている。加熱炉74には、加熱容器としての円管状の加熱管76が複数取り外し可能に取り付けられており、複数の加熱管76は、それぞれ、加熱炉74を前後方向に貫通されると共に、捕集管14に前後方向において対向されている。加熱管76は、強度を必要とする場合にはステンレス製にされる一方、対向する捕集管14内の捕集剤12に保持された試料ガスが腐食性ガスである場合にはガラス製又は石英製等にされている。
【0060】
加熱炉74には、図9の(A)乃至(D)に示す如き複数種類の加熱管76を交換取付可能にされており、加熱管76の内面はヒータ面76Aにされている。全種類の加熱管76は、所定の外径(例えば10mm)にされており、加熱炉74に何れの種類の加熱管76が取り付けられても、加熱炉74に加熱管76が同一の状態(加熱炉74との加熱管76の隙間が同一の状態)で取付可能にされている。異なる種類の加熱管76は、互いに内径が異なっており(例えば6mm以上9mm以下の範囲で変更されており)、加熱炉74に取り付けられる加熱管76は、対向する捕集管14の外径より所定長さ(例えば1mm以上4mm以下)大きい内径のものにされている。
【0061】
図10に示す如く、加熱炉74内には、温度ヒューズ78が設けられており、温度ヒューズ78には、電源80が電気的に接続されている。温度ヒューズ78は、互いに電気的に接続された状態の温度設定部82と温度制御部84(温度制御装置)とに電気的に接続されており、温度制御部84は所謂液封入式又は側温抵抗式等の簡便な構成のものにされている。温度制御部84には、加熱炉74をON操作及びOFF操作可能にされた電源スイッチ86、及び、温度表示部88が設けられている。
【0062】
加熱炉74内には、発熱部としてのメインヒータ90が複数設けられており、メインヒータ90は、ヒータ容量(発熱容量)が小さくされると共に、温度制御部84に電気的に接続されている。加熱炉74内には、追加発熱部としてのサブヒータ92が所定数設けられており、サブヒータ92は、メインヒータ90に比しヒータ容量が大きくされると共に、温度制御部84に電気的に接続されている。加熱炉74内には、温度センサ94が設けられており、温度センサ94は、加熱炉74内の温度を検出すると共に、温度制御部84に電気的に接続されて、温度制御部84の温度表示部88に加熱炉74内の温度を表示可能にされている。
【0063】
加熱炉74内には、蓄熱手段としての蓄熱材96が設けられており、蓄熱材96は、加熱炉74内の空間の略全体に配置されて、加熱炉74内の蓄熱容量を大きくしている。
【0064】
次に、本実施の形態の作用を説明する。
【0065】
以上の構成のエージング装置10では、加熱炉74の電源スイッチ86がON操作された際に、電源80から温度ヒューズ78及び温度制御部84を介してメインヒータ90及びサブヒータ92の少なくとも一方に電力が供給されて、メインヒータ90及びサブヒータ92の少なくとも一方が発熱されることで、加熱炉74内(加熱管76及び蓄熱材96を含む)が加熱される。
【0066】
温度制御部84は、温度センサ94によって検出された加熱炉74内の温度に基づいて、メインヒータ90及びサブヒータ92への電力供給を制御することで、加熱炉74内の温度を温度設定部82で設定された設定温度(最高で略300℃)に維持する。また、加熱炉74内の温度が異常に高くなった際には、温度ヒューズ78によって電源80から温度制御部84への電力供給が遮断される。
【0067】
さらに、加熱炉74内の温度が設定温度に維持された状態において、図3に示す如く、固定具24が第1レール20に案内されつつ前方へスライドされて、加湿器28、アダプタ64及び捕集管14が前方へスライドされることで、捕集管14が加熱炉74の加熱管76内に収容される。この際、ガイド30が第2レール22に案内されつつ前方へスライドされて、ガイド30の上側部分30A上への捕集管14の載置が維持されることで、捕集管14がガイド30に案内されつつ加熱管76内に収容される。このように捕集管14が加熱管76内に収容されて、捕集管14が加熱されることで、捕集管14内の捕集剤12に残存する試料ガスが捕集剤12から脱離されて捕集管14の排出口70から排出され、捕集管14がエージングされる。
【0068】
また、捕集管14が加熱炉74の加熱管76内に収容されて加熱される際には、洗浄ガスが、供給圧力を圧力調整弁42によって制御されかつ圧力計40によって確認されると共に、ガス清浄部38によって清浄化されつつ、供給管36から抵抗管34及び分岐管32を介して加湿器28の収容容器44内に供給される。これにより、洗浄ガスが、収容容器44内を通過して保液部56に保持された加湿剤によって加湿されて、アダプタ64を介して捕集管14に供給口68から供給されることで、当該洗浄ガスが、捕集管14を通過されると共に、排出口70から排出される。このため、捕集管14内の捕集剤12から試料ガス(高沸点成分や捕集剤12に強く保持される成分等を含む)が良好に脱離されて、捕集管14が良好にエージングされる。
【0069】
ここで、洗浄ガスが供給管36から複数の抵抗管34、複数の分岐管32、複数の加湿器28及び複数のアダプタ64を介して、複数の捕集管14に同時に供給可能にされている。さらに、加熱炉74が複数の加熱管76内に複数の捕集管14を収容できて複数の捕集管14を同時に加熱可能にされている。このため、1回の分析処理で、捕集剤12に試料ガスが保持された捕集管14の他、所謂検量線作成用の捕集管14、捕集剤12に試料ガスが保持されない所謂ブランクの捕集管14等複数の捕集管14が使用された場合でも、複数の捕集管14を同時にエージングすることができる。
【0070】
さらに、供給管36と各加湿器28との間に設けられた抵抗管34が通過する洗浄ガスに抵抗を付与すると共に、各加湿器28内に設けられたオリフィス50が透過する洗浄ガスに抵抗を付与する。このため、複数の捕集管14において内径(形状)や捕集剤12の充填密度・充填量等が互いに異なって洗浄ガスの通過抵抗が互いに異なる場合でも、洗浄ガスの通過抵抗が低い捕集管14のみならず洗浄ガスの通過抵抗が高い捕集管14へも略同量の洗浄ガスを同時に供給することができ、複数の捕集管14に対するエージング効果(捕集剤12へのバックグランドの残留率)を同等にすることができる。
【0071】
しかも、一部のアダプタ64に捕集管14が接続されなくても、捕集管14が接続された他のアダプタ64への供給管36からの分岐路と同様に、当該一部のアダプタ64への供給管36からの分岐路においても、オリフィス50及び抵抗管34が洗浄ガスに抵抗を付与する。このため、当該一部のアダプタ64への供給管36からの分岐路における洗浄ガスの通過を堰き止めなくても、当該他のアダプタ64に接続された捕集管14へ洗浄ガスを良好に供給することができ、アダプタ64に接続した捕集管14の数による捕集管14への洗浄ガスの通過量の変化を少なくすることができる(図5参照)。
【0072】
さらに、捕集管14を通過する洗浄ガスの量は、圧力調整弁42による洗浄ガスの供給圧力の変更によって制御される。このため、供給管36から各アダプタ64への各分岐路に個別に流量計等を設置する必要がなく、流量計等による洗浄ガスの汚染等を防止することができる。
【0073】
また、加湿器28には、カシメ型アダプタ64A又はシリンジ針型アダプタ64Bを交換接続可能にされており、カシメ型アダプタ64Aには直管捕集管14Aを接続可能にされると共に、シリンジ針型アダプタ64Bにはゴムシール捕集管14Bを接続可能にされる。
【0074】
さらに、カシメ型アダプタ64Aには外径が異なる複数種類の直管捕集管14Aを接続可能にされると共に、シリンジ針型アダプタ64Bには外径が異なる複数種類のゴムシール捕集管14Bを接続可能にされる。
【0075】
しかも、加熱炉74には外径が同一で内径が異なる複数種類の加熱管76を交換取付可能にされており、加熱炉74に取り付けられる加熱管76は、収容される捕集管14の外径より所定長さ(例えば1mm以上4mm以下)大きい内径のものにされて、ヒータ面76A(内周面)から熱を効率よく捕集管14へ伝えることができるようにされている。
【0076】
以上により、方式や外径が異なる複数種類の捕集管14を同時かつ効果的にエージングすることができる。
【0077】
さらに、固定具24の前方へのスライドにより捕集管14が前方へスライドされて加熱炉74の加熱管76内に収容される際には、ガイド30による捕集管14の支持が維持されて、捕集管14の垂れ下がりが防止される。このため、捕集管14を加熱管76内に容易に収容することができる。
【0078】
また、加熱炉74内にメインヒータ90が複数設けられて各メインヒータ90のヒータ容量(発熱容量)が小さくされると共に、加熱炉74内に蓄熱材96が設けられて加熱炉74内の蓄熱容量が大きくされている。このため、加熱炉74に捕集管14が収容された直後に加熱炉74内の温度が設定温度から瞬間的に低下しても、かつ、加熱炉74に収容される捕集管14の数が異なって当該加熱炉74内の温度の設定温度からの瞬間的な低下量が異なっても、温度制御部84がサブヒータ92への電力供給を停止しつつメインヒータ90への電力供給を制御することで、加熱炉74内の急激な温度上昇を防止することができる。このため、簡単な構造で、加熱炉74内の温度を設定温度に安定させることができる。これにより、捕集管14の過加熱(オーバーシュート)によって捕集剤12(例えば樹脂)が劣化して捕集剤12の分解生成物が発生することを抑制でき、エージングされた捕集管14の再使用時に所謂ゴーストピークが発生することを抑制できる。
【0079】
さらに、加熱炉74内にメインヒータ90の他にサブヒータ92が設けられている。このため、加熱炉74内の温度が設定温度よりも大幅に低い際(例えば電源スイッチ86がON操作された直後)には、温度制御部84がメインヒータ90及びサブヒータ92に電力を供給する。この場合、加熱炉74内の温度が設定温度に近づいた際(設定温度に到達する前)に、温度制御部84がサブヒータ92への電力供給を停止してメインヒータ90のみに電力を供給することで、加熱炉74内の温度が設定温度を越えないようにされると共に、温度制御部84がサブヒータ92への電力供給の停止を維持しつつメインヒータ90への電力供給を制御することで、加熱炉74内の温度が設定温度に維持される(図11の実線A参照)。これにより、加熱炉74が簡単な構造である効果を維持しつつ、加熱炉74内の温度が設定温度よりも大幅に低い際に温度制御部84がメインヒータ90のみに電力を供給する場合(図11の破線B参照)に比し、加熱炉74内の温度を短時間で(迅速に)設定温度にすることができる。
【0080】
また、加湿器28の収容容器44内では、加湿剤が保持された保液部56を洗浄ガスが透過することで、洗浄ガスによって加湿剤が微粒子にされて空間層60へ放出されると共に、空間層60を通過した加湿剤の粒子が、止液部62を透過することで、均一な最適粒子形状になって無色透明な状態で止液部62の前側に放出される。このため、簡単な構成で洗浄ガスを適切に加湿でき、捕集管14内の捕集剤12から試料ガスを良好に脱離させることができる。これにより、エージングされた捕集管14の再使用時にエージング時の捕集剤12へのバックグランド(残留成分)によってゴーストピークが発生することを防止できると共に、エージング時に捕集管14を過度に加熱しなくてもよく捕集管14(捕集剤12)の劣化を防止することができる。
【0081】
ところで、エージング装置10では、仮に洗浄ガスの加湿剤保持量が多いと、捕集管14内の捕集剤12にダメージを与えたり、エージング後において、捕集管14内への加湿剤の滞留による雑菌の発生や汚染等が危惧されて、捕集剤12へのバックグランドが少なくならない。このため、洗浄ガスの加湿剤保持量は極微少量であることが好ましく、かつ、捕集管14内には加湿された洗浄ガスを通過させた後に連続して乾燥された洗浄ガスを通過させるのが好ましい。
【0082】
加湿器28においては、洗浄ガスの供給量を50mL/分とし、洗浄ガスの加湿時間を1時間とし、洗浄ガスの温度を20℃とし、洗浄ガスの相対湿度を100%RHとすると、洗浄ガスの絶対湿度が14.82g/Kgとなる。洗浄ガスを1L/gの空気と仮定すると、洗浄ガスの加湿剤保持量は、
14.82g/(1000L/(50mL×60min))=0.044g
となる。
【0083】
このため、洗浄ガスの加湿剤保持量は極微少量であり、加湿器28の如く洗浄ガスの相対湿度が100%RHを超える加湿が不可能にされた加湿方法が、エージング装置10に最適である。
【0084】
さらに、加湿器28の収容容器44の注入口46を隔壁48が密閉しており、注射器状の注入器の注入管が隔壁48を貫通された状態で、注入管を介して加湿剤が保液部56に注入される。このため、保液部56に加湿剤を容易に注入することができる。
【0085】
しかも、捕集管14のエージングの前において、注入器によって計測された上記極微少量の加湿剤を保液部56に注入し、かつ、捕集管14のエージングの際において、保液部56に加湿剤が保持されなくなった後にも、捕集管14内に加湿器28を介して洗浄ガスを供給する。このため、簡単に、捕集管14内に加湿された洗浄ガスを通過させた後に乾燥された洗浄ガスを通過させることができる。
【0086】
さらに、図7に示す如く、捕集管14のエージングの際には、保液部56に加湿剤が保持されている間は洗浄ガスの相対湿度が一定にされ、保液部56に加湿剤が保持されなくなった段階で洗浄ガスの相対湿度が急減に低下される。このため、捕集管14内に一定の湿度で加湿された洗浄ガスを通過させる工程から特別の操作を必要とせず(捕集管14内に洗浄ガスを連続的に通過させるだけで)スムーズかつ迅速に(洗浄ガスの湿度が徐々に低下することなく)捕集管14内に乾燥された洗浄ガスを通過させる工程へ移行することができる。
【0087】
なお、本実施の形態では、加湿器28にアダプタ64を介して接続された捕集管14をガイド30が支持して捕集管14の垂れ下がりを防止した構成としたが、加湿器28へのアダプタ64の取付強度及びアダプタ64への捕集管14の接続強度を高くすることでガイド30がなくても捕集管14の垂れ下がりを防止できる構成としてもよい。
【0088】
さらに、本実施の形態では、オリフィス50を加湿器28内に設けた構成としたが、オリフィス50を分岐管32内に設けた構成としてもよい。
【0089】
また、本実施の形態におけるエージング装置10を、試料ガスの分析(揮発成分の挙動解析を含む)のための揮発装置として使用してもよい。この場合、例えば図12に示す如く、捕集管14内に捕集剤12の代わりに試料体としての試料98が保持されており、捕集管14は長くされて加熱炉74に収容された際に排出口70が加熱炉74から前方へ突出される。また、捕集管14の排出口70に採取管(図示省略)を取り付けてもよい。これにより、試料98から発生して排出口70から排出される試料ガス(揮発成分)を、経時時間毎に人によって官能評価(におい評価)したり、直接的に又は捕集管14(内部に捕集剤12が保持されたもの)等を使用して間接的にガスクロマトグラフに導入して分析することができる。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明の実施の形態に係るエージング装置を示す左方から見た側面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るエージング装置を示す上方から見た平面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るエージング装置における加熱炉に捕集管を収容した状態を示す左方から見た側面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係るエージング装置における複数の捕集管への洗浄ガスの供給状況を示す模式図である。
【図5】本発明の実施の形態に係るエージング装置において捕集管が接続されたアダプタと捕集管が接続されないアダプタとへの洗浄ガスの供給抵抗を示すグラフである。
【図6】本発明の実施の形態に係るエージング装置における加湿器を示す左方から見た断面図である。
【図7】本発明の実施の形態に係るエージング装置における洗浄ガスの加湿時間(経過時間)と洗浄ガスの湿度(相対湿度)との関係を示すグラフである。
【図8】本発明の実施の形態に係るエージング装置における加湿器とアダプタと捕集管との接続態様を示す左方から見た側面図である。
【図9】(A)乃至(D)は、本発明の実施の形態に係るエージング装置における加熱炉へ取り付けられる各種の加熱管を示す断面図である。
【図10】本発明の実施の形態に係るエージング装置における加熱炉等を示す模式図である。
【図11】本発明の実施の形態に係るエージング装置における加熱炉内の温度と加熱炉内の加熱開始からの経過時間(時間)との関係を示すグラフであり、実線Aは、メインヒータ及びサブヒータによって加熱炉内を加熱した場合を示し、破線Bは、メインヒータのみによって加熱炉内を加熱した場合を示している。
【図12】本発明の実施の形態に係るエージング装置を揮発装置として使用する状況を示す左方から見た側面図である。
【符号の説明】
【0091】
10 エージング装置(排出装置)
12 捕集剤(試料体)
14 捕集管(試料容器)
28 加湿器(供給手段、分岐部、加湿手段)
30 ガイド(案内手段)
32 分岐管(供給手段、分岐部)
34 抵抗管(供給手段、分岐部、抵抗手段)
36 供給管(供給手段)
44 収容容器
46 注入口
48 隔壁(密閉部)
50 オリフィス(抵抗手段)
56 保液部
60 空間層(空間部)
62 止液部(放出部)
64 アダプタ(供給手段、分岐部、接続手段)
74 加熱炉(加熱手段)
76 加熱管(加熱容器)
90 メインヒータ(発熱体)
92 サブヒータ(追加発熱体)
98 試料(試料体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱されることで試料ガスが脱離される試料体が内部に設けられた試料容器に接続され、前記試料容器内に供給ガスを供給する供給手段と、
前記試料容器を加熱することで前記試料体から試料ガスを脱離させて前記試料容器から試料ガスが排出される加熱手段と、
前記供給手段に設けられ、液体が保持されると共に供給ガスが透過される保液部と、前記保液部の前記試料容器側に配置される空間部と、前記空間部の前記試料容器側に配置され前記保液部から前記空間部を介して到達する液体が粒子状にされて供給ガスと共に前記試料容器側に放出される放出部と、を有する加湿手段と、
を備えた排出装置。
【請求項2】
前記加湿手段は、
前記保液部を収容し、注入口が設けられた収容容器と、
前記注入口を密閉して設けられ、前記保液部に液体を注入可能にされた密閉部と、
を有することを特徴とする請求項1記載の排出装置。
【請求項3】
前記供給手段は、前記保液部に液体が保持されなくなった後にも、前記試料容器内に供給ガスを供給する、ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の排出装置。
【請求項4】
加熱されることで試料ガスが脱離される試料体が内部に設けられた試料容器に接続され、前記試料容器内に供給ガスを供給する供給手段と、
前記試料容器を加熱することで前記試料体から試料ガスを脱離させて前記試料容器から試料ガスが排出される加熱手段と、
前記試料容器を支持して前記試料容器の前記加熱手段への配置を案内する案内手段と、
を備えた排出装置。
【請求項5】
前記供給手段は、複数の前記試料容器内に供給ガスを同時に供給可能にされると共に、前記加熱手段は、複数の前記試料容器を同時に加熱可能にされた、ことを特徴とする請求項4記載の排出装置。
【請求項6】
加熱されることで試料ガスが脱離される試料体が内部に設けられた試料容器に接続され、前記試料容器内に供給ガスを供給する供給手段と、
発熱する発熱部を複数有し、前記試料容器を加熱することで前記試料体から試料ガスを脱離させて前記試料容器から試料ガスが排出される加熱手段と、
を備えた排出装置。
【請求項7】
前記加熱手段に設けられ、前記加熱手段の加熱温度を上昇させる際に発熱する追加発熱部を備えた、ことを特徴とする請求項6記載の排出装置。
【請求項8】
加熱されることで試料ガスが脱離される試料体が内部に設けられた複数の試料容器のそれぞれに接続される複数の分岐部を有し、前記試料容器内に供給ガスを供給する供給手段と、
複数の前記分岐部のそれぞれに設けられ、前記分岐部を通過する供給ガスに抵抗を付与する複数の抵抗手段と、
前記試料容器を加熱することで前記試料体から試料ガスを脱離させて前記試料容器から試料ガスが排出される加熱手段と、
ことを特徴とする排出装置。
【請求項9】
加熱されることで試料ガスが脱離される試料体が内部に設けられた試料容器に接続される接続手段が設けられ、前記試料容器内に供給ガスを供給する供給手段と、
前記試料容器を加熱することで前記試料体から試料ガスを脱離させて前記試料容器から試料ガスが排出される加熱手段と、
を備え、
複数種類の前記試料容器を前記接続手段に交換接続可能にされた、
ことを特徴とする排出装置。
【請求項10】
加熱されることで試料ガスが脱離される試料体が内部に設けられた試料容器に接続される接続手段が設けられ、前記試料容器内に供給ガスを供給する供給手段と、
前記試料容器を加熱することで前記試料体から試料ガスを脱離させて前記試料容器から試料ガスが排出される加熱手段と、
を備え、
接続可能な前記試料容器の種類が異なる複数種類の前記接続手段を前記供給手段に交換設置可能にされた、
ことを特徴とする排出装置。
【請求項11】
加熱されることで試料ガスが脱離される試料体が内部に設けられた試料容器に接続され、前記試料容器内に供給ガスを供給する供給手段と、
前記試料容器が収容される加熱容器が取り付けられ、前記試料容器を加熱することで前記試料体から試料ガスを脱離させて前記試料容器から試料ガスが排出される加熱手段と、
を備え、
収容可能な前記試料容器の種類が異なる複数種類の前記加熱容器を前記加熱手段に交換取付可能にされた、
ことを特徴とする排出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−232646(P2007−232646A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−56708(P2006−56708)
【出願日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】