説明

排気構造

【課題】 大荷重入力時でも第1排気管と第2排気管との結合抜けを防止する。
【解決手段】 排気構造10では、排出パイプ32とリヤパイプ38とが圧入によって結合されており、エンジンからの排気が排出パイプ32からリヤパイプ38へ流される。ここで、車両の通常走行時の荷重が入力しにくい排出パイプ32とリヤパイプ38との結合部位の結合方向中央部にリブ66が形成されて、リブ66によって当該結合部位の結合力が当該結合方向中央部で大きくされている。このため、車両の通常走行時の荷重による当該結合部位のリブ66位置でのガタや亀裂の発生を防止でき、当該結合部位のリブ66位置における結合力を維持できる。これにより、車両の路面干渉時等における大荷重入力時でも、当該結合部位の結合抜けをリブ66によって防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の排気構造に関する。
【背景技術】
【0002】
排気構造としては、一対の管が圧入によって結合されたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この排気構造では、各管に凸部が設けられており、各凸部が互いに嵌合されることで、一対の管の結合部位の結合力が凸部嵌合位置において大きくされている。
【0004】
しかしながら、この排気構造では、一対の凸部が一対の管の結合部位の結合方向(軸方向)中央部からずれた位置に配置されている。このため、車両の通常走行時における振動(特に共振)等による荷重が当該結合部位の凸部嵌合位置に入力して集中荷重が作用し易く、当該結合部位の凸部嵌合位置にガタや亀裂が発生することで、当該結合部位の凸部嵌合位置における結合力が低下してしまう。これにより、当該結合部位の結合が抜ける方向への大荷重入力時(車両の路面干渉時等)には、一対の管の結合が抜ける可能性がある。
【特許文献1】特開2003−53447号公報(第6項、図6)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事実を考慮し、第1排気管と第2排気管との結合部位の結合が抜ける方向への大荷重入力時でも当該結合部位の結合抜けを防止できる排気構造を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の排気構造は、車両エンジンからの排気を流す第1排気管と、前記第1排気管と圧入によって結合され、前記第1排気管からの排気を流す第2排気管と、前記第1排気管と前記第2排気管との結合部位の結合方向中央部に設けられ、前記第1排気管と前記第2排気管との結合部位の結合力を当該結合方向中央部において大きくする大結合部と、を備えている。
【0007】
請求項2に記載の排気構造は、請求項1に記載の排気構造において、前記第1排気管と前記第2排気管との結合部位は、結合方向中央部以外の部分において結合力が結合方向に沿って一様にされた、ことを特徴としている。
【0008】
請求項3に記載の排気構造は、請求項1又は請求項2に記載の排気構造において、前記第1排気管と前記第2排気管との圧入後に前記大結合部を設けた、ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の排気構造では、第1排気管と第2排気管とが圧入によって結合されており、車両エンジンからの排気が第1排気管から第2排気管へ流される。
【0010】
また、特に第1排気管と第2排気管との圧入による結合部位の結合力が結合方向に沿って一様にされる場合には、車両の通常走行時における振動(特に共振)等による荷重は、肉厚変化部分である当該結合部位近傍の部分や当該結合部位の結合方向中央部以外の部分が受けて、当該結合部位の結合方向中央部(中立位置)へは入力しにくい。
【0011】
ここで、車両の通常走行時における荷重が入力しにくい第1排気管と第2排気管との結合部位の結合方向中央部に大結合部が設けられて、大結合部によって当該結合部位の結合力が当該結合方向中央部において大きくされている。このため、車両の通常走行時における荷重による当該結合部位の大結合部位置でのガタや亀裂の発生を防止でき、当該結合部位の大結合部位置における結合力を維持することができる。これにより、当該結合部位の結合が抜ける方向への大荷重入力時(車両の路面干渉時等)でも、当該結合部位の結合抜けを大結合部によって防止することができる。
【0012】
請求項2に記載の排気構造では、当該結合部位の結合力が当該結合方向中央部以外の部分において結合方向に沿って一様にされている。このため、車両の通常走行時における荷重が確実に当該結合部位の結合方向中央部へ入力しにくくなり、当該結合部位の大結合部位置でのガタや亀裂の発生を確実に防止することができる。
【0013】
請求項3に記載の排気構造では、第1排気管と第2排気管との圧入後に大結合部が設けられる。このため、当該結合部位の圧入による結合時における当該結合部位の損傷を防止でき、当該結合部位の結合方向中央部における結合力を大結合部によって確実に大きくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
[第1の実施の形態]
図2には、本発明の第1の実施の形態に係る車両の排気構造10が車両左側から見た側面図にて示されており、図3には、排気構造10が車両下側から見た底面図にて示されている。なお、図面では、車両前方を矢印FRで示し、車両後方を矢印REで示す。
【0015】
本実施の形態に係る排気構造10は、第1排気管としての円管状のフロントパイプ12を一対備えており、各フロントパイプ12の一端12Aは、車体側に設けられたエンジンの排気口(図示省略)に固定されている。各フロントパイプ12の中間部分には、触媒コンバータ14が設けられており、エンジンの排気口から送出された排気が触媒コンバータ14によって浄化される。
【0016】
各フロントパイプ12の他端12Bは、消音器としての略楕円筒形容器状のメインマフラ16の一端16A側へ連結されており、メインマフラ16は、弾性体としてのゴム(図示省略)によって車体側に吊り下げられている。
【0017】
メインマフラ16内には、第2排気管としての円管状の入気パイプ17が一対設けられており、各入気パイプ17は、一端17Aがメインマフラ16の一端16Aから外部へ突出して一端17A近傍がメインマフラ16の周壁に溶接されると共に、他端17Bがメインマフラ16内に配置されている。各入気パイプ17の一端17Aには各フロントパイプ12の他端12Bが結合されており、各フロントパイプ12の他端12Bは、各入気パイプ17の一端17A内に大荷重で圧入されて面接合されている。
【0018】
メインマフラ16内には、第1排気管としての円管状の排出パイプ32が設けられており、排出パイプ32の一端32Aはメインマフラ16内に配置されている。排出パイプ32の他端32Bはメインマフラ16の他端16Bから外部へ突出しており、排出パイプ32の他端32B近傍はメインマフラ16の周壁に溶接されている。
【0019】
このため、各フロントパイプ12から各入気パイプ17へ送出された排気は、メインマフラ16内で膨張、共鳴、干渉等されてエンジンの排気音が低減された後、排出パイプ32へ送出される。
【0020】
排出パイプ32の他端32Bには、車両前側から順に、制限部としての拡径テーパ部34、及び大径部36が形成されており、排出パイプ32の他端32Bは、拡径テーパ部34で車両後側へ向かうに従い径が徐々に大きくされて、大径部36で同一外径とされている。
【0021】
排出パイプ32の他端32Bには、大径部36において、第1排気管及び第2排気管としての円管状のリヤパイプ38の一端38Aが結合されており、リヤパイプ38の一端38Aは、大径部36内に大荷重で圧入されて面接合されている。これにより、排出パイプ32から送出された排気がリヤパイプ38へ送出される。
【0022】
リヤパイプ38の他端38Bには、第1排気管及び第2排気管としての略円筒形容器状のサブマフラ40(消音器)の一端40Aが結合されており、リヤパイプ38の他端38Bは、サブマフラ40の一端40A内に大荷重で圧入されて面接合されている。サブマフラ40中央部分の径はリヤパイプ38の径よりも大きくされており、これにより、リヤパイプ38から送出された排気がサブマフラ40で膨張、共鳴、干渉等されて、エンジンの排気音が一層低減される。サブマフラ40の他端40Bには、車両前側から順に、制限部としての縮径テーパ部42、及び小径部44が形成されており、サブマフラ40の他端40Bは、縮径テーパ部42で車両後側へ向かうに従い径が徐々に小さくされて、小径部44で同一外径とされている。
【0023】
サブマフラ40の小径部44には、第2排気管としての円管状のテールパイプ46の一端46Aが結合されており、サブマフラ40の小径部44は、テールパイプ46の一端46A内に大荷重で圧入されて面接合されている。これにより、サブマフラ40から送出された排気がテールパイプ46を介してテールパイプ46の他端46Bから車両外へ送出される。また、テールパイプ46は車体側に支持部材48によって支持(固定)されている。
【0024】
上記メインマフラ16の下面及び上記サブマフラ40の下面は車両底部の最下部を構成しており、車両の走行中に車両の底部が路面に干渉する際には、特にメインマフラ16やサブマフラ40が路面に干渉して、メインマフラ16やサブマフラ40に大荷重が車両前側又は車両後側へ入力される構成である。
【0025】
ここで、図1(A)に示す如く、排出パイプ32の他端32B(大径部36)とリヤパイプ38の一端38Aとの結合部位(圧入部位又は重合部位)の結合方向(圧入方向又は軸方向)中央部(当該結合部位の結合方向中央線上及び当該結合部位の結合力が結合方向において釣り合う中立部)には、排出パイプ32の他端32Bとリヤパイプ38の一端38Aとの圧入後に、大結合部としての周方向に沿った凹状のリブ66が形成されており、リブ66において排出パイプ32の他端32Bとリヤパイプ38の一端38Aとが係合されている。このリブ66は、当該結合部位への大荷重の入力による当該結合部位の結合の抜け(緩み)防止を図るために形成されており、図1(B)に示す如く当該結合部位の結合方向に沿った断面周囲が円弧状にされると共に、図1(C)に示す如く当該結合部位の周方向に等間隔に一対配置されている。しかも、リブ66の当該結合方向における中央(最深部)は当該結合部位の結合方向中央に配置されており、リブ66は当該結合部位の結合方向中央に対し当該結合方向において線対称に配置されている。これにより、当該結合部位の結合力(結合抜け抵抗力)が、一対のリブ66によって結合方向中央部において結合方向中央部以外の部分よりも大きくされている。
【0026】
なお、図1(A)に示す如く、例えば、排出パイプ32の拡径テーパ部34及び大径部36以外の外周径Dが48.6mm、排出パイプ32の拡径テーパ部34の長さEが15mm、排出パイプ32の大径部36の長さFが45mm、リヤパイプ38の外周径Gが48.6mm、排出パイプ32とリヤパイプ38との結合部位の長さHが40mm、排出パイプ32大径部36の内周径とリヤパイプ38の外周径Gとの差(圧入代)が一様に0.9mmにされている。また、図1(B)に示す如く、リブ66は、排出パイプ32の外周面において、排出パイプ32の軸方向に沿った幅Iが4.5mm、最大深さJが1.5mm、第1パイプ62の軸方向に沿った断面周囲の曲率半径Kが3mmにされている。さらに、図1(C)に示す如く、リブ66は、排出パイプ32の外周面において、排出パイプ32の中心角120°の範囲Lに形成されている。
【0027】
また、この一対のリブ66は、各フロントパイプ12の他端12Bと各入気パイプ17の一端17Aとの結合部位、リヤパイプ38の他端38Bとサブマフラ40の一端40Aとの結合部位、及び、サブマフラ40の他端40B(小径部44)とテールパイプ46の一端46Aとの結合部位にも、同様に形成されている。
【0028】
次に、本実施の形態の作用を説明する。
【0029】
以上の構成の排気構造10では、エンジンの排気口に一端12Aが接続された各フロントパイプ12の他端12Bにメインマフラ16の各入気パイプ17が圧入によって結合されると共に、メインマフラ16の排出パイプ32にリヤパイプ38の一端38Aが圧入によって結合されている。さらに、リヤパイプ38の他端38Bにサブマフラ40の一端40Aが圧入によって結合されると共に、サブマフラ40の他端40Bにテールパイプ46の一端46Aが圧入によって結合されている。これにより、エンジンの排気口からの排気は、各フロントパイプ12、メインマフラ16、リヤパイプ38、サブマフラ40及びテールパイプ46を流れ、各フロントパイプ12の触媒コンバータ14によって浄化されると共に排気音がメインマフラ16及びサブマフラ40によって低減されつつ、車両外へ送出される。
【0030】
また、特に各フロントパイプ12の他端12Bと各入気パイプ17の一端17Aとの圧入による結合部位、排出パイプ32の他端32Bとリヤパイプ38の一端38Aとの圧入による結合部位、リヤパイプ38の他端38Bとサブマフラ40の一端40Aとの圧入による結合部位、及び、サブマフラ40の他端40Bとテールパイプ46の一端46Aとの圧入による結合部位の結合力が結合方向に沿って一様にされる場合には、車両の通常走行時における振動(特に共振)等による荷重(各結合部位のずれ及びゆるみが発生しない荷重)は、肉厚変化部分である各結合部位近傍の部分や各結合部位の結合方向中央部以外の部分(各結合部位の結合方向両端部分)が受けて、各結合部位の結合方向中央部へは入力しにくい。
【0031】
さらに、車両の走行中に車両の底部が路面に干渉する際には、特にメインマフラ16やサブマフラ40が路面に干渉して、メインマフラ16やサブマフラ40に大荷重が車両前側又は車両後側へ入力される。
【0032】
ここで、車両の通常走行時における荷重が入力しにくい上記各結合部位の結合方向中央部に一対のリブ66が形成されることで、一対のリブ66によって、各結合部位の結合力が結合方向中央部において大きくされて、大荷重入力時における各結合部位の結合抜けが防止されている。このため、車両の通常走行時における荷重による各結合部位のリブ66位置でのガタや亀裂の発生を防止でき、各結合部位のリブ66位置における結合力を維持することができる。これにより、車両の路面干渉時等における結合部位の結合が抜ける方向への大荷重入力時でも、各結合部位の結合抜けを各対のリブ66によって防止することができる。
【0033】
さらに、上記各結合部位が結合方向中央部以外の部分において圧入のみによって結合されて、各結合部位の結合力が結合方向中央部以外の部分において結合方向に沿って一様にされている。このため、車両の通常走行時における荷重が確実に各結合部位の結合方向中央部へ入力しにくくなり、各結合部位のリブ66位置でのガタや亀裂の発生を確実に防止することができる。
【0034】
また、上記各結合部位の圧入による結合後にリブ66が形成されている。このため、各結合部位の圧入による結合時における各結合部位の損傷を防止でき、各結合部位の結合方向中央部における結合力をリブ66によって確実に大きくすることができる。
【0035】
なお、本実施の形態では、上記各結合部位の結合方向中央部に一対のリブ66を設けた構成としたが、上記各結合部位の結合方向中央部に1つ又は3つ以上のリブ66を設けた構成としてもよい。また、各結合部位の結合方向中央部に3つ以上のリブ66を設ける場合には、3つ以上のリブ66を各結合部位の周方向に等間隔に設けた構成とするのが好ましい。
【0036】
[第2の実施の形態]
図4(A)には、本発明の第2の実施の形態に係る車両の排気構造70の主要部が車両左側から見た側面図にて示されている。
【0037】
本実施の形態に係る排気構造70は、上記第1の実施の形態とほぼ同様の構成であるが、以下の点で異なる。
【0038】
排気構造70では、排出パイプ32の他端32B(大径部36)とリヤパイプ38の一端38Aとの結合部位(圧入部位又は重合部位)の結合方向(圧入方向又は軸方向)中央部(当該結合部位の結合方向中央線上及び当該結合部位の結合力が結合方向において釣り合う中立部)に、排出パイプ32の他端32Bとリヤパイプ38の一端38Aとの圧入後に、第1の実施の形態におけるリブ66に代えて、大結合部としての結合方向に沿った凹部72が形成されており、凹部72において排出パイプ32の他端32Bとリヤパイプ38の一端38Aとが係合されている。この凹部72は、当該結合部位への大荷重の入力による当該結合部位の結合の抜け(緩み)防止を図るために形成されており、図4(B)に示す如く当該結合部位の結合方向に沿った断面が略矩形状にされると共に、図4(C)に示す如く当該結合部位の周方向に沿った断面周囲が略円弧状にされ、かつ、当該結合部位の周方向に沿って等間隔に一対配置されている。しかも、凹部72の当該結合方向における中央は当該結合部位の結合方向中央に配置されており、凹部72は当該結合部位の結合方向中央に対し当該結合方向において線対称に配置されている。これにより、当該結合部位の結合力(結合抜け抵抗力)が、一対の凹部72によって結合方向中央部において結合方向中央部以外の部分よりも大きくされている。
【0039】
なお、図4(B)に示す如く、凹部72は、排出パイプ32の外周面において、排出パイプ32の軸方向に沿った最深部の長さMが4mm、排出パイプ32の軸方向に沿った断面周囲における当該最深部の排出パイプ32軸方向両側の曲率半径Nが1.8mmにされている。さらに、図4(C)に示す如く、凹部72は、排出パイプ32の外周面において、最大深さPが2mm、排出パイプ32の周方向に沿った断面周囲の曲率半径Qが1.8mmにされている。
【0040】
また、この一対の凹部72は、第1の実施の形態における一対のリブ66に代えて、各フロントパイプ12の他端12Bと各入気パイプ17の一端17Aとの結合部位、リヤパイプ38の他端38Bとサブマフラ40の一端40Aとの結合部位、及び、サブマフラ40の他端40B(小径部44)とテールパイプ46の一端46Aとの結合部位にも、同様に形成されている。
【0041】
これにより、本実施の形態でも、第1の実施の形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
【0042】
なお、本実施の形態では、上記各結合部位の結合方向中央部に一対の凹部72を設けた構成としたが、上記各結合部位の結合方向中央部に1つ又は3つ以上の凹部72を設けた構成としてもよい。また、各結合部位の結合方向中央部に3つ以上の凹部72を設ける場合には、3つ以上の凹部72を各結合部位の周方向に等間隔に設けた構成とするのが好ましい。
【0043】
[第3の実施の形態]
図5(A)には、本発明の第3の実施の形態に係る車両の排気構造80の主要部が車両左側から見た側面図にて示されている。
【0044】
本実施の形態に係る排気構造80は、上記第1の実施の形態とほぼ同様の構成であるが、以下の点で異なる。
【0045】
排気構造80では、排出パイプ32の他端32B(大径部36)とリヤパイプ38の一端38Aとの結合部位(圧入部位又は重合部位)の結合方向(圧入方向又は軸方向)中央部(当該結合部位の結合方向中央線上及び当該結合部位の結合力が結合方向において釣り合う中立部)に、排出パイプ32の他端32Bとリヤパイプ38の一端38Aとの圧入後に、第1の実施の形態におけるリブ66に代えて、大結合部としての結合部位の周方向に沿ったレーザ溶接部82が形成されており、レーザ溶接部82において排出パイプ32の他端32Bとリヤパイプ38の一端38Aとが一時的に肉厚方向全体を溶融されて溶接されている。このレーザ溶接部82は、当該結合部位への大荷重の入力による当該結合部位の結合の抜け(緩み)防止を図るために形成されており、当該結合部位の周方向に沿って略円弧状に形成され、かつ、当該結合部位の周方向に沿って等間隔に一対配置されている。これにより、当該結合部位の結合力(結合抜け抵抗力)が、一対のレーザ溶接部82によって結合方向中央部において結合方向中央部以外の部分よりも大きくされている。
【0046】
なお、レーザ溶接部82は、排出パイプ32の外周面に沿った長さRが15mmにされている。
【0047】
また、この一対のレーザ溶接部82は、第1の実施の形態における一対のリブ66に代えて、各フロントパイプ12の他端12Bと各入気パイプ17の一端17Aとの結合部位、リヤパイプ38の他端38Bとサブマフラ40の一端40Aとの結合部位、及び、サブマフラ40の他端40B(小径部44)とテールパイプ46の一端46Aとの結合部位にも、同様に形成されている。
【0048】
これにより、本実施の形態でも、第1の実施の形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
【0049】
なお、本実施の形態では、上記各結合部位の結合方向中央部に一対のレーザ溶接部82を設けた構成としたが、上記各結合部位の結合方向中央部に1つ又は3つ以上のレーザ溶接部82を設けた構成としてもよい。また、各結合部位の結合方向中央部に3つ以上のレーザ溶接部82を設ける場合には、3つ以上のレーザ溶接部82を各結合部位の周方向に等間隔に設けた構成とするのが好ましい。
【0050】
[第4の実施の形態]
図5(B)には、本発明の第4の実施の形態に係る車両の排気構造90の主要部が車両左側から見た側面図にて示されている。
【0051】
本実施の形態に係る排気構造90は、上記第1の実施の形態とほぼ同様の構成であるが、以下の点で異なる。
【0052】
排気構造90では、排出パイプ32の他端32B(大径部36)とリヤパイプ38の一端38Aとの結合部位(圧入部位又は重合部位)の結合方向(圧入方向又は軸方向)中央部(当該結合部位の結合方向中央線上及び当該結合部位の結合力が結合方向において釣り合う中立部)に、排出パイプ32の他端32Bとリヤパイプ38の一端38Aとの圧入後に、第1の実施の形態におけるリブ66に代えて、大結合部としての結合方向に沿ったレーザ溶接部92が形成されており、レーザ溶接部92において排出パイプ32の他端32Bとリヤパイプ38の一端38Aとが一時的に肉厚方向全体を溶融されて溶接されている。このレーザ溶接部92は、当該結合部位への大荷重の入力による当該結合部位の結合の抜け(緩み)防止を図るために形成されており、当該結合部位の結合方向に沿って線状に形成され、かつ、当該結合部位の周方向に沿って等間隔に一対配置されている。しかも、レーザ溶接部92の当該結合方向における中央は当該結合部位の結合方向中央に配置されており、レーザ溶接部92は当該結合部位の結合方向中央に対し当該結合方向において線対称に配置されている。これにより、当該結合部位の結合力(結合抜け抵抗力)が、一対のレーザ溶接部92によって結合方向中央部において結合方向中央部以外の部分よりも大きくされている。
【0053】
なお、レーザ溶接部92は、排出パイプ32の軸方向に沿った長さSが15mmにされている。
【0054】
また、この一対のレーザ溶接部92は、第1の実施の形態における一対のリブ66に代えて、各フロントパイプ12の他端12Bと各入気パイプ17の一端17Aとの結合部位、リヤパイプ38の他端38Bとサブマフラ40の一端40Aとの結合部位、及び、サブマフラ40の他端40B(小径部44)とテールパイプ46の一端46Aとの結合部位にも、同様に形成されている。
【0055】
ここで、上記各結合部位のレーザ溶接部92の両端部には上記第3の実施の形態と比較して車両の通常走行時における荷重が入力し易い傾向にあるが、各レーザ溶接部92は、各結合部位の結合方向中央線上の部分を有しており、かつ、各結合部位の結合方向両端部(結合方向両端末)には設けられていない。これにより、本実施の形態でも、第1の実施の形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
【0056】
なお、本実施の形態では、上記各結合部位の結合方向中央部に一対のレーザ溶接部92を設けた構成としたが、上記各結合部位の結合方向中央部に1つ又は3つ以上のレーザ溶接部92を設けた構成としてもよい。また、各結合部位の結合方向中央部に3つ以上のレーザ溶接部92を設ける場合には、3つ以上のレーザ溶接部92を各結合部位の周方向に等間隔に設けた構成とするのが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】(A)は、本発明の第1の実施の形態に係る排気構造における排出パイプの他端とリヤパイプの一端との結合部位を詳細に示す車両左側から見た側面図であり、(B)は、(A)のB部分の拡大図、(C)は、(A)のC−C線断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る排気構造を示す車両左側から見た側面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る排気構造を示す車両下側から見た底面図である。
【図4】(A)は、本発明の第2の実施の形態に係る排気構造における排出パイプの他端とリヤパイプの一端との結合部位を詳細に示す車両左側から見た側面図であり、(B)は、(A)のB−B線断面図、(C)は、(A)のC−C線断面図である。
【図5】(A)は、本発明の第3の実施の形態に係る排気構造における排出パイプの他端とリヤパイプの一端との結合部位を詳細に示す車両左側から見た側面図であり、(B)は、本発明の第4の実施の形態に係る排気構造における排出パイプの他端とリヤパイプの一端との結合部位を詳細に示す車両左側から見た側面図である。
【符号の説明】
【0058】
10 排気構造
12 フロントパイプ(第1排気管)
17 入気パイプ(第2排気管)
32 排出パイプ(第1排気管)
38 リヤパイプ(第1排気管及び第2排気管)
40 サブマフラ(第1排気管及び第2排気管)
46 テールパイプ(第2排気管)
66 リブ(大結合部)
70 排気構造
72 凹部(大結合部)
80 排気構造
82 レーザ溶接部(大結合部)
90 排気構造
92 レーザ溶接部(大結合部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両エンジンからの排気を流す第1排気管と、
前記第1排気管と圧入によって結合され、前記第1排気管からの排気を流す第2排気管と、
前記第1排気管と前記第2排気管との結合部位の結合方向中央部に設けられ、前記第1排気管と前記第2排気管との結合部位の結合力を当該結合方向中央部において大きくする大結合部と、
を備えた排気構造。
【請求項2】
前記第1排気管と前記第2排気管との結合部位は、結合方向中央部以外の部分において結合力が結合方向に沿って一様にされた、ことを特徴とする請求項1記載の排気構造。
【請求項3】
前記第1排気管と前記第2排気管との圧入後に前記大結合部を設けた、ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の排気構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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