排水ます及びこれを備えた排水設備
【課題】排水管路に排水の漏洩等の異常が発生した場合に、これに適切に対応できる機能を有する排水ます及びこの排水ますを備えた排水設備を提供する。
【解決手段】上部に設けられる点検口2と、排水を流入させるべく流入管30が接続される流入口3と、前記排水を流出させるべく第1流出管31が接続される第1流出口4と、流入した排水を流出させるべく第2流出管32が接続される接続構造を備えた第2流出口5とを有するます本体1と、前記第2流出口5を閉塞すべく該第2流出口5に着脱自在に設けられる蓋体10とを備えている。
【解決手段】上部に設けられる点検口2と、排水を流入させるべく流入管30が接続される流入口3と、前記排水を流出させるべく第1流出管31が接続される第1流出口4と、流入した排水を流出させるべく第2流出管32が接続される接続構造を備えた第2流出口5とを有するます本体1と、前記第2流出口5を閉塞すべく該第2流出口5に着脱自在に設けられる蓋体10とを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排水管路の要所に配される排水ます及びこれを備えた排水設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の排水ますとしては、例えば次のようなものが存在する。即ち、この従来のものは、ます本体に内部を点検等するための点検口と、排水を流入させるべく側部に設けられる流入口と、流入した排水を排水本管に流出させるべく側部に設けられる流出口とを備えている(特許文献1参照)。また、所謂ドロップますと称される排水ますも存在し、これはます本体の下部に流出口が設けられたものである。このような排水ますに於いては、流入口に流入管が接続されると共に、流出口に流出管が接続される(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平10−212754号公報
【特許文献2】実開平6−71579号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、かかる排水ますは、排水管路の合流点や屈曲点等の要所に配されて、排水の受け止め、合流、方向転換及び中継等を良好に行えるように機能する他、排水管路の保守、点検等の用に供するという機能を備えている。
【0004】
しかしながら、上記従来の排水ますは、これらの機能を有するに止まるものであった。従って、例えば地震やその他の震災等により、流出管や排水本管等が損傷を受けて排水が漏洩したり、或いはゴミ等の異物が詰まって排水が排水本管に流出せずに溢れ出るような異常事態が発生しても、これに対処し得るような機能は有していなかったのである。
【0005】
それ故に、本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、排水管路に排水の漏洩等の異常が発生した場合に、これに適切に対応できる機能を有する排水ます及びこれを備えた排水設備を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る排水ますは、上部に設けられる点検口と、排水を流入させるべく流入管が接続される流入口と、流入した排水を流出させるべく第1流出管が接続される第1流出口と、流入した排水を流出させるべく第2流出管が接続される接続構造を備えた第2流出口と、を有するます本体と、前記第2流出口を閉塞すべく該第2流出口に着脱自在に設けられる蓋体と、を備えてなるものである。
【0007】
このような排水ますにあっては、通常排水は流入管から流入口を介してます本体に流入し、その第1流出口から第1流出管を介して排水本管等に排出される。これに対して、例えば第1流出管や排水本管等が破損したり、ゴミ等の異物が詰まるような異常事態が発生した場合は、蓋体による第2流出口の閉塞状態を解除して開放する。これにより、ます本体に流入した排水の一部は第2流出口及び第2流出管を介して外部に排出されることになる。その結果、第1流出口から第1流出管に流出される排水量が減少するために、排水の漏洩量も少なくなり、また前記点検口側に流出する排水の量が低減される。これにより、異常個所の修理等の復旧作業を効率的に行うことが可能になる。尚、ここにいう「接続構造」とは、第2流出口が例えば受口や差口等で構成されていることを意味する。
【0008】
また、前記第2流出口は、ます本体の下部に設けても構わない。
【0009】
このようにすると、第2流出口の開放時には、流入口からます本体に流入した排水を第2流出口側に自然落下させることが可能になる。これにより、異常時に於ける第1流出口側への排水量を減少させ得るので、異常個所の修理等の復旧作業を効率的に行うことができる。尚、ここにいう「ます本体の下部」とは、第2流出口の中心軸よりも下方に位置するます本体の部位を意味している。
【0010】
更に、前記蓋体は、流入口から第1流出口へと繋がる流路を形成する断面略Cの字状又はUの字状の蓋本体を備えさせてもよい。
【0011】
これによれば、蓋体の閉塞時には、流入口からます本体に流入した排水は、断面略Cの字状又はUの字状に形成されて流路(インバート)を構成する蓋本体に沿って第1流出口へと流動し、第1流出管を介して排水本管に排出される。即ち、蓋体により水流が乱されるようなことはなく、流入口から第1流出口へという本来のスムースな排水の流れが良好に維持される。
【0012】
また、前記流入口と第1流出口とを対向配置すると共に、蓋体に持ち手を備えさせ、且つ該持ち手を前記流入口と前記第1流出口とを結ぶ軸線方向又はこれに直交する方向に配するようにしても構わない。
【0013】
これによれば、蓋体の持ち手の位置や方向を予め認識しておくことが可能となる。従って、例えば異常発生時に於いて持ち手が水没し、これを視認できないような場合であっても、比較的容易に蓋体を取外すことができる。
【0014】
更に、前記第2流出口を開閉可能とするために、蓋体はます本体に回動自在に設けてもよい。
【0015】
この場合は、蓋体を回動して第2流出口を開放すると、排水の一部は第2流出口を介して第2流出管へと流出される。このように、蓋体をます本体に回動自在に設けることにより、蓋体の着脱時等に於いてこれを紛失するようなことはない。
【0016】
また、前記第2流出口を開放すべく蓋体を回動させた際に、該蓋体が第1流出口の前方に配されて該第1流出口からの排水の流出を規制し、又は、該第1流出口を閉塞するように構成することもできる。
【0017】
これによれば、例えば第1流出管側に排水の漏洩等の異常事態が発生した場合は、蓋体を回動して第2流出口を開放する。これにより、蓋体は第1流出口の前方に配されて、該第1流出口への排水の流出が規制され、又は、該第1流出口が蓋体により閉塞される。このため、ます本体に流入した多くの排水は第2流出口から第2流出管へと流出し、或いは全て排水は第2流出口から第2流出管へと流出することになる。その結果、第1流出管側で発生した異常個所の修理等の復旧作業を一層効率良く行うことができる。
【0018】
更に、本発明に係る排水設備は、上述した排水ますと、前記流入口に接続される流入管と、前記第1流出口に接続される第1流出管と、前記第2流出口に接続される第2流出管と、該第2流出管に流出された排水を貯留するための貯留槽、又は、前記第2流出管と公共ますとの間に接続されるバイバス管路とを備えたものである。
【0019】
これによると、例えば第1流出管側に排水の漏洩等の異常事態が発生した場合に於いて、蓋体による第2流出口の閉塞状態を解除すると、流入口からます本体に流入した排水の一部は第2流出口から第2流出管を介して貯留槽に排出され、又は第2流出口から第2流出管及びバイパス管路を介して公共ますに排出される。その結果、第1流出口から第1流出管に流出する排水量が減少するために、排水の漏洩量等も少なくなる。これにより、異常個所の修理等の復旧作業を効率的に行うことが可能になる。
【0020】
また、本発明に係る排水ます及び排水設備は非常に簡易な構成からなるために、その製作が容易に且つ安価に行える他、現場での一連の施工作業も効率良く短期間で行うことができる。
【発明の効果】
【0021】
以上のように、本発明によれば、排水管路に排水の漏洩等の異常が発生した場合に於いて、排水を適切に処理することができ、これにより復旧作業を効率的に行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
<第1実施形態>
以下、本発明に係る排水ますの一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。図1乃至図3は本実施形態に係る排水ますを示し、図1は平面図、図2は正面断面図、図3は側面図である。
【0023】
ます本体1は、点検筒を接続させるべく上部中央に設けられる点検口2と、流入管を接続させるべく一側部に設けられる流入口3と、第1流出管を接続させるべく流入口3に対向する他側部に設けられる第1流出口4と、図2及び図3に示すように、第2流出管を接続させるべく接続構造を有して下部中央に設けられる下向きの第2流出口5とを備えている。尚、第2流出口5の接続構造は、例えば受口や差口等により構成されるが、本実施形態では図2に示すように、受口で構成している。また、同図に示すように、第1流出口4の中心軸Pは流入口3の中心軸Qよりも若干下方位置に配されるように設定されている。前記第2流出口5は、第1流出口4の中心軸Pよりも下方位置に配されている。
【0024】
通常、ます本体1の第2流出口5は蓋体10により閉塞されている。この閉塞状態に於いて、流入口3から第1流出口4へと繋がる流路を形成するように、図4(c)の如く蓋本体11は断面略Cの字状に形成されている。また、蓋本体11の上部中央には略半円状の持ち手12が設けられており、蓋体10により第2流出口5を閉塞した際に、持ち手12は前記流入口3と第1流出口4とを結ぶ軸線方向に直交する方向に配されることになる。更に、蓋本体11の下面中央には第2流出口5を閉塞すべく該第2流出口5に嵌合可能な略円筒状の嵌合凸部13が設けられており、該嵌合凸部13の外周部に装着したゴム製のシールリング14により両者間のシールが図られている。尚、ます本体1と蓋体10とは、例えば塩化ビニルやポリプロピレン等の合成樹脂で形成される。但し、その具体的な材質は決してこれに限定されるものではない。また、蓋体本体11の形状は断面略Cの字状に限られるものではない。例えば、断面略Uの字状に形成してもよく、その他の形状に形成してもよい。
【0025】
本実施形態に係る排水ますは、以上のように構成されている。この排水ますAは、例えば次のような排水設備に組み込んで使用される。かかる排水設備Bは、主として災害時等に於ける避難場所となるような学校や集会所等の比較的規模が大きな施設等に於いて採用されるものであるが、その具体的な適用範囲はこれに限定されない。
【0026】
排水設備Bは、図5及び図6に示すように敷地X内の地中に埋設され、前記排水ますAと、ます本体1の流入口3に挿入して接続される流入管30と、第1流出口4に挿入して接続される第1流出管31と、第2流出口5に接続される第2流出管32と、該第2流出管32の他端部が接続される貯留槽33とを備えている。第2流出管32は、第2流出口5に挿入して接続されるエルボ34と、該エルボ34に接続される直管35と、該直管35に接続されるエルボ36と、該エルボ36と前記貯留槽33との間に接続される直管37とからなっている。尚、前記第1流出管31は、公道Y側に配される公共ます等を介して下水本管に接続される。貯留槽33の容量や形状等は、例えば設置される施設の種類や設置スペース等を考慮して、最適な大きさ及び形状等に施工される。また、貯留槽33の上面には、鉛直方向に円筒部38が突設されている。以上で説明したように、かかる排水設備Bは全体の構成が非常に簡易であるために、安価に且つ容易に施工することができる。
【0027】
尚、排水ますAの点検口2には点検筒39が接続されており、その上部は内蓋40により閉塞されている。また、点検筒39及び内蓋40を保護するために、その上方を覆うように防護蓋42が配されており、地上からの荷重は防護蓋42により支持される。防護蓋42は地中に埋設した略円盤状の台座41により支持されており、これによって防護蓋42に作用した荷重は地盤に均等に分散される。
【0028】
以上のような構成からなる排水設備Bにあっては、通常、施設等からの排水は流入管30から排水ますAの流入口3を介してます本体1に流入した後、蓋本体11の上方を通過し、更に第1流出口4から第1流出管31及び公共ますを介して排水本管に排出される。この場合に於いて、蓋本体11は流入口3から第1流出口4へと繋がる流路を形成するように断面略Cの字状に形成されているために、蓋体10によって水流が乱されるようなことはなく、流入口3から第1流出口4へという本来の排水の流れは良好に維持される。この点は、蓋本体11の断面形状を略Uの字状等としても同様である。
【0029】
これに対して、例えば地震やその他の震災等により第1流出管31等が損傷を受けると、その損傷部分から排水が漏洩することになる。また、第1流出管31等にゴミ等の異物が詰まると、排水流路が塞がれる等して排水ますA内の水位が上昇することになる。このような異常事態を発見した場合は、先ず台座41の防護蓋42及び内蓋40を取外す。次に、蓋体10の持ち手12を引き上げて、図7に示すように、ます本体1の第2流出口5から蓋体10を離脱する。尚、持ち手12に手が届かないような場合は、例えば先端にフックを有する棒状体等を使用して、そのフックを持ち手12に掛止させて引き上げればよい。
【0030】
この場合、蓋体10の持ち手12は、ます本体1の中央部で、且つ前記流入口3と第1流出口4とを結ぶ軸線方向に直交する方向に配されており、この点を予め作業者が認識しておけば、或いは前記防護蓋42や内蓋40にその旨を明示して作業者が認識できるようにしておけば、前記点検口2や点検筒39に流入した排水により持ち手12が水没し、上部からこれを視認できないような場合であっても、蓋体10を比較的容易に取外すことが可能となり、大変有効である。尚、持ち手12は前記流入口3と第1流出口4とを結ぶ軸線方向に配されるように設けてもよく、この場合も同様の作用効果が得られる。但し、持ち手12を蓋体10に設ける場合は、必ずしもこのように配する必要はない。
【0031】
上記のようにして第2流出口5が開放されると、排水は第2流出口5から第2流出管32を介して貯留槽33に排出されることになる。この場合、第2流出口5はます本体1の下部に下向きに設けられているために、流入口3からます本体1に流入した排水を第2流出口5側に自然落下させることが可能になる。これにより、第1流出口4側への排水量を減少させることができるので、排水の漏洩量も少なくなり、また前記点検口2側に流出する排水の量が低減される。その結果、施設等からの排水を停止させることなく、第1流出管31側に於ける異常個所の修理等の復旧作業を効率良く行うことが可能になる。
【0032】
尚、図8に示すように、排水ますAや流入管30等の周囲に障害物Zが存在する場合は、第2流出管32の配管形態を適宜変更して対処することが可能である。即ち、図9に示すように、先端が公道Y側を向くようにエルボ34を第2流出口5に接続し、該エルボ34に直管35、エルボ36及び直管37を接続する(図8参照)。この場合、エルボ34が接続される第2流出口5は、ます本体1の下部に下向きに設けられているために、第1流出管31と第2流出管32とを上下方向に所定間隔を有して配することができる。即ち、第1流出管31に影響を受けることなく、第2流出管32を配管することが可能となって、配管の自由度を十分に確保することができる。
【0033】
また、一連の復旧作業が完了した後は、再度第2流出口5を蓋体10により閉塞する。これにより、第2流出口5からの排水の流出が阻止される一方で、流入口3からます本体1に流入した排水は、元通り第1流出口4を介して第1流出管31に流出されることになる。
【0034】
<第2実施形態>
尚、上記第1実施形態に於いては、蓋体10をます本体1の第2流出口5に対して着脱自在に設けたが、本発明はこれに限定されず、例えば図10及び図11に示すように構成してもよい。
【0035】
即ち、第2流出口5を開閉できるように、蓋体10をます本体1の内部に回動自在に設けるのである。具体的に説明すると、蓋本体11は正面略二等辺三角形状に形成されており、その上端部には略アーム状の持ち手12が回動自在にピン結合されている。また、蓋本体11の第1流出口4側に位置する端部は、ヒンジ15によります本体1内に回動自在に設けられている。更に、図11(b)に示すように、第2流出口5を開放するために蓋体10を回動させた際には、蓋体10が第1流出口4の前方位置に配されるように構成されている。尚、その他の各部の構成は上記第1実施形態と同様であり、これらについては同じ符号を付して説明する。
【0036】
例えば、第1流出管31で排水が漏洩する等の異常が発生した場合は、持ち手12によりヒンジ15を介して蓋本体11を回動させると、第2流出口5が開放される一方で、蓋体10は第1流出口4の前方位置に配されることになる。これにより、第1流出口4側への排水の流出が規制されるために、ます本体1に流入した多くの排水を第2流出口5から第2流出管32へと流出させることが可能になる。その結果、第1流出管31側で発生した異常個所の修理等の復旧作業を効率良く行うことができる。
【0037】
尚、第2流出口5を開放すべく蓋体10を回動させた際に、該蓋体10により第1流出口4が閉塞されるように構成することも可能である。これによれば、ます本体1に流入した排水は全て第2流出口5から第2流出管32へと流出することになる。その結果、第1流出管31側で発生した異常個所の修理等の一連の復旧作業を一層効率良く行うことが可能になる。
【0038】
また、ます本体1に蓋体10を回動自在に設ける場合は、必ずしも上記第2実施形態のように、蓋体10を回動させた際に、該蓋体10が第1流出口4の前方位置に配されるように構成する必要はない。
【0039】
<第3実施形態>
尚、敷地X内に上記実施形態のような貯留槽33を設置するスペースがない場合は、例えば図12及び図13に示すように、貯留槽33及び直管37に代えてバイパス管路50を使用して構成することも可能である。このように構成すると、上記実施形態のように貯留槽33を設けた場合と比較して、工期の短縮化及び施工費用の軽減が図れるという利点がある。
【0040】
このバイパス管路50は、第2流出管32のエルボ36に接続されるバイパス管51と、該バイパス管51に接続されるエルボ52と、該エルボ52に接続される直管53とからなっている。直管53は公道に埋設された公共ます54に接続される。この公共ます54には、前記第1流出管31及び排水本管55も接続されている。その他の各部の構成は、上記第1実施形態と同様であり、これらについては同じ符号を付して説明する。
【0041】
本実施形態に於いて、排水管路に上述したような異常事態が発生した場合は、第1実施形態と同様に蓋体10を第2流出口5から離脱する。この場合、排水は第2流出口5及び第2流出管32を介してバイパス管路50に流入し、公共ます54を介して排水本管55に流出される。従って、上記各実施形態と同様に、第1流出口4から第1流出管31に流出される排水の流出量及び排水の漏洩量等を減少させ得るので、この場合も異常個所の修理等の復旧作業を効率的に行うことができる。
【0042】
尚、バイパス管路50は第1流出管31の下方位置に略平行に配することも可能であり、幅方向の設置スペースが制限される場合には特に有効である。
【0043】
更に、バイパス管路50を構成する配管部材は、上記実施形態に限定されるものではなく、例えば設置スペース等に応じて任意に変更が可能である。
【0044】
<その他の実施形態>
また、ます本体1の流入口3と第1流出口4とは、必ずしも上記各実施形態のように一直線上に対向させて設ける必要はなく、例えば図14(a)に示すように曲線上に配されるように設けてもよい。更に、同図(b)に示すように流入口3は、ます本体1に複数設けて構成することも可能である。但し、これら何れの場合に於いても、蓋体10は排水がスムースに第1流出口4に流動するような形状に構成するのが好ましい。
【0045】
その他、ます本体1の流出口5の配設位置や、蓋体10の形状等の各部の構成も本発明の意図する範囲内に於いて任意に設計変更自在である。
【産業上の利用可能性】
【0046】
以上説明したように、本発明は、排水ます及びこれを備えた排水設備について有用である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の一実施形態に係る排水ますの平面図である。
【図2】同正面断面図である。
【図3】同側面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る蓋体を示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る排水ますの使用状態を示す平面図である。
【図6】同正面図である。
【図7】蓋体を取外した状態を示す排水ますの平面図である。
【図8】他の使用状態を示す平面図である。
【図9】同断面図である。
【図10】本発明の第2実施形態に係る排水ますを示す平面図である。
【図11】同排水ますを示し、(a)及び(b)は断面図である。
【図12】第3実施形態に係る排水ますの使用状態を示す平面図である。
【図13】同正面断面図である。
【図14】排水ますの他の実施形態を示し、(a)及び(b)は平面図である。
【符号の説明】
【0048】
1 ます本体
2 点検口
3 流入口
4 第1流出口
5 第2流出口
10 蓋体
11 蓋本体
12 持ち手
30 流入管
31 第1流出管
32 第2流出管
33 貯留槽
50 バイパス管路
54 公共ます
A 排水ます
【技術分野】
【0001】
本発明は、排水管路の要所に配される排水ます及びこれを備えた排水設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の排水ますとしては、例えば次のようなものが存在する。即ち、この従来のものは、ます本体に内部を点検等するための点検口と、排水を流入させるべく側部に設けられる流入口と、流入した排水を排水本管に流出させるべく側部に設けられる流出口とを備えている(特許文献1参照)。また、所謂ドロップますと称される排水ますも存在し、これはます本体の下部に流出口が設けられたものである。このような排水ますに於いては、流入口に流入管が接続されると共に、流出口に流出管が接続される(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平10−212754号公報
【特許文献2】実開平6−71579号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、かかる排水ますは、排水管路の合流点や屈曲点等の要所に配されて、排水の受け止め、合流、方向転換及び中継等を良好に行えるように機能する他、排水管路の保守、点検等の用に供するという機能を備えている。
【0004】
しかしながら、上記従来の排水ますは、これらの機能を有するに止まるものであった。従って、例えば地震やその他の震災等により、流出管や排水本管等が損傷を受けて排水が漏洩したり、或いはゴミ等の異物が詰まって排水が排水本管に流出せずに溢れ出るような異常事態が発生しても、これに対処し得るような機能は有していなかったのである。
【0005】
それ故に、本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、排水管路に排水の漏洩等の異常が発生した場合に、これに適切に対応できる機能を有する排水ます及びこれを備えた排水設備を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る排水ますは、上部に設けられる点検口と、排水を流入させるべく流入管が接続される流入口と、流入した排水を流出させるべく第1流出管が接続される第1流出口と、流入した排水を流出させるべく第2流出管が接続される接続構造を備えた第2流出口と、を有するます本体と、前記第2流出口を閉塞すべく該第2流出口に着脱自在に設けられる蓋体と、を備えてなるものである。
【0007】
このような排水ますにあっては、通常排水は流入管から流入口を介してます本体に流入し、その第1流出口から第1流出管を介して排水本管等に排出される。これに対して、例えば第1流出管や排水本管等が破損したり、ゴミ等の異物が詰まるような異常事態が発生した場合は、蓋体による第2流出口の閉塞状態を解除して開放する。これにより、ます本体に流入した排水の一部は第2流出口及び第2流出管を介して外部に排出されることになる。その結果、第1流出口から第1流出管に流出される排水量が減少するために、排水の漏洩量も少なくなり、また前記点検口側に流出する排水の量が低減される。これにより、異常個所の修理等の復旧作業を効率的に行うことが可能になる。尚、ここにいう「接続構造」とは、第2流出口が例えば受口や差口等で構成されていることを意味する。
【0008】
また、前記第2流出口は、ます本体の下部に設けても構わない。
【0009】
このようにすると、第2流出口の開放時には、流入口からます本体に流入した排水を第2流出口側に自然落下させることが可能になる。これにより、異常時に於ける第1流出口側への排水量を減少させ得るので、異常個所の修理等の復旧作業を効率的に行うことができる。尚、ここにいう「ます本体の下部」とは、第2流出口の中心軸よりも下方に位置するます本体の部位を意味している。
【0010】
更に、前記蓋体は、流入口から第1流出口へと繋がる流路を形成する断面略Cの字状又はUの字状の蓋本体を備えさせてもよい。
【0011】
これによれば、蓋体の閉塞時には、流入口からます本体に流入した排水は、断面略Cの字状又はUの字状に形成されて流路(インバート)を構成する蓋本体に沿って第1流出口へと流動し、第1流出管を介して排水本管に排出される。即ち、蓋体により水流が乱されるようなことはなく、流入口から第1流出口へという本来のスムースな排水の流れが良好に維持される。
【0012】
また、前記流入口と第1流出口とを対向配置すると共に、蓋体に持ち手を備えさせ、且つ該持ち手を前記流入口と前記第1流出口とを結ぶ軸線方向又はこれに直交する方向に配するようにしても構わない。
【0013】
これによれば、蓋体の持ち手の位置や方向を予め認識しておくことが可能となる。従って、例えば異常発生時に於いて持ち手が水没し、これを視認できないような場合であっても、比較的容易に蓋体を取外すことができる。
【0014】
更に、前記第2流出口を開閉可能とするために、蓋体はます本体に回動自在に設けてもよい。
【0015】
この場合は、蓋体を回動して第2流出口を開放すると、排水の一部は第2流出口を介して第2流出管へと流出される。このように、蓋体をます本体に回動自在に設けることにより、蓋体の着脱時等に於いてこれを紛失するようなことはない。
【0016】
また、前記第2流出口を開放すべく蓋体を回動させた際に、該蓋体が第1流出口の前方に配されて該第1流出口からの排水の流出を規制し、又は、該第1流出口を閉塞するように構成することもできる。
【0017】
これによれば、例えば第1流出管側に排水の漏洩等の異常事態が発生した場合は、蓋体を回動して第2流出口を開放する。これにより、蓋体は第1流出口の前方に配されて、該第1流出口への排水の流出が規制され、又は、該第1流出口が蓋体により閉塞される。このため、ます本体に流入した多くの排水は第2流出口から第2流出管へと流出し、或いは全て排水は第2流出口から第2流出管へと流出することになる。その結果、第1流出管側で発生した異常個所の修理等の復旧作業を一層効率良く行うことができる。
【0018】
更に、本発明に係る排水設備は、上述した排水ますと、前記流入口に接続される流入管と、前記第1流出口に接続される第1流出管と、前記第2流出口に接続される第2流出管と、該第2流出管に流出された排水を貯留するための貯留槽、又は、前記第2流出管と公共ますとの間に接続されるバイバス管路とを備えたものである。
【0019】
これによると、例えば第1流出管側に排水の漏洩等の異常事態が発生した場合に於いて、蓋体による第2流出口の閉塞状態を解除すると、流入口からます本体に流入した排水の一部は第2流出口から第2流出管を介して貯留槽に排出され、又は第2流出口から第2流出管及びバイパス管路を介して公共ますに排出される。その結果、第1流出口から第1流出管に流出する排水量が減少するために、排水の漏洩量等も少なくなる。これにより、異常個所の修理等の復旧作業を効率的に行うことが可能になる。
【0020】
また、本発明に係る排水ます及び排水設備は非常に簡易な構成からなるために、その製作が容易に且つ安価に行える他、現場での一連の施工作業も効率良く短期間で行うことができる。
【発明の効果】
【0021】
以上のように、本発明によれば、排水管路に排水の漏洩等の異常が発生した場合に於いて、排水を適切に処理することができ、これにより復旧作業を効率的に行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
<第1実施形態>
以下、本発明に係る排水ますの一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。図1乃至図3は本実施形態に係る排水ますを示し、図1は平面図、図2は正面断面図、図3は側面図である。
【0023】
ます本体1は、点検筒を接続させるべく上部中央に設けられる点検口2と、流入管を接続させるべく一側部に設けられる流入口3と、第1流出管を接続させるべく流入口3に対向する他側部に設けられる第1流出口4と、図2及び図3に示すように、第2流出管を接続させるべく接続構造を有して下部中央に設けられる下向きの第2流出口5とを備えている。尚、第2流出口5の接続構造は、例えば受口や差口等により構成されるが、本実施形態では図2に示すように、受口で構成している。また、同図に示すように、第1流出口4の中心軸Pは流入口3の中心軸Qよりも若干下方位置に配されるように設定されている。前記第2流出口5は、第1流出口4の中心軸Pよりも下方位置に配されている。
【0024】
通常、ます本体1の第2流出口5は蓋体10により閉塞されている。この閉塞状態に於いて、流入口3から第1流出口4へと繋がる流路を形成するように、図4(c)の如く蓋本体11は断面略Cの字状に形成されている。また、蓋本体11の上部中央には略半円状の持ち手12が設けられており、蓋体10により第2流出口5を閉塞した際に、持ち手12は前記流入口3と第1流出口4とを結ぶ軸線方向に直交する方向に配されることになる。更に、蓋本体11の下面中央には第2流出口5を閉塞すべく該第2流出口5に嵌合可能な略円筒状の嵌合凸部13が設けられており、該嵌合凸部13の外周部に装着したゴム製のシールリング14により両者間のシールが図られている。尚、ます本体1と蓋体10とは、例えば塩化ビニルやポリプロピレン等の合成樹脂で形成される。但し、その具体的な材質は決してこれに限定されるものではない。また、蓋体本体11の形状は断面略Cの字状に限られるものではない。例えば、断面略Uの字状に形成してもよく、その他の形状に形成してもよい。
【0025】
本実施形態に係る排水ますは、以上のように構成されている。この排水ますAは、例えば次のような排水設備に組み込んで使用される。かかる排水設備Bは、主として災害時等に於ける避難場所となるような学校や集会所等の比較的規模が大きな施設等に於いて採用されるものであるが、その具体的な適用範囲はこれに限定されない。
【0026】
排水設備Bは、図5及び図6に示すように敷地X内の地中に埋設され、前記排水ますAと、ます本体1の流入口3に挿入して接続される流入管30と、第1流出口4に挿入して接続される第1流出管31と、第2流出口5に接続される第2流出管32と、該第2流出管32の他端部が接続される貯留槽33とを備えている。第2流出管32は、第2流出口5に挿入して接続されるエルボ34と、該エルボ34に接続される直管35と、該直管35に接続されるエルボ36と、該エルボ36と前記貯留槽33との間に接続される直管37とからなっている。尚、前記第1流出管31は、公道Y側に配される公共ます等を介して下水本管に接続される。貯留槽33の容量や形状等は、例えば設置される施設の種類や設置スペース等を考慮して、最適な大きさ及び形状等に施工される。また、貯留槽33の上面には、鉛直方向に円筒部38が突設されている。以上で説明したように、かかる排水設備Bは全体の構成が非常に簡易であるために、安価に且つ容易に施工することができる。
【0027】
尚、排水ますAの点検口2には点検筒39が接続されており、その上部は内蓋40により閉塞されている。また、点検筒39及び内蓋40を保護するために、その上方を覆うように防護蓋42が配されており、地上からの荷重は防護蓋42により支持される。防護蓋42は地中に埋設した略円盤状の台座41により支持されており、これによって防護蓋42に作用した荷重は地盤に均等に分散される。
【0028】
以上のような構成からなる排水設備Bにあっては、通常、施設等からの排水は流入管30から排水ますAの流入口3を介してます本体1に流入した後、蓋本体11の上方を通過し、更に第1流出口4から第1流出管31及び公共ますを介して排水本管に排出される。この場合に於いて、蓋本体11は流入口3から第1流出口4へと繋がる流路を形成するように断面略Cの字状に形成されているために、蓋体10によって水流が乱されるようなことはなく、流入口3から第1流出口4へという本来の排水の流れは良好に維持される。この点は、蓋本体11の断面形状を略Uの字状等としても同様である。
【0029】
これに対して、例えば地震やその他の震災等により第1流出管31等が損傷を受けると、その損傷部分から排水が漏洩することになる。また、第1流出管31等にゴミ等の異物が詰まると、排水流路が塞がれる等して排水ますA内の水位が上昇することになる。このような異常事態を発見した場合は、先ず台座41の防護蓋42及び内蓋40を取外す。次に、蓋体10の持ち手12を引き上げて、図7に示すように、ます本体1の第2流出口5から蓋体10を離脱する。尚、持ち手12に手が届かないような場合は、例えば先端にフックを有する棒状体等を使用して、そのフックを持ち手12に掛止させて引き上げればよい。
【0030】
この場合、蓋体10の持ち手12は、ます本体1の中央部で、且つ前記流入口3と第1流出口4とを結ぶ軸線方向に直交する方向に配されており、この点を予め作業者が認識しておけば、或いは前記防護蓋42や内蓋40にその旨を明示して作業者が認識できるようにしておけば、前記点検口2や点検筒39に流入した排水により持ち手12が水没し、上部からこれを視認できないような場合であっても、蓋体10を比較的容易に取外すことが可能となり、大変有効である。尚、持ち手12は前記流入口3と第1流出口4とを結ぶ軸線方向に配されるように設けてもよく、この場合も同様の作用効果が得られる。但し、持ち手12を蓋体10に設ける場合は、必ずしもこのように配する必要はない。
【0031】
上記のようにして第2流出口5が開放されると、排水は第2流出口5から第2流出管32を介して貯留槽33に排出されることになる。この場合、第2流出口5はます本体1の下部に下向きに設けられているために、流入口3からます本体1に流入した排水を第2流出口5側に自然落下させることが可能になる。これにより、第1流出口4側への排水量を減少させることができるので、排水の漏洩量も少なくなり、また前記点検口2側に流出する排水の量が低減される。その結果、施設等からの排水を停止させることなく、第1流出管31側に於ける異常個所の修理等の復旧作業を効率良く行うことが可能になる。
【0032】
尚、図8に示すように、排水ますAや流入管30等の周囲に障害物Zが存在する場合は、第2流出管32の配管形態を適宜変更して対処することが可能である。即ち、図9に示すように、先端が公道Y側を向くようにエルボ34を第2流出口5に接続し、該エルボ34に直管35、エルボ36及び直管37を接続する(図8参照)。この場合、エルボ34が接続される第2流出口5は、ます本体1の下部に下向きに設けられているために、第1流出管31と第2流出管32とを上下方向に所定間隔を有して配することができる。即ち、第1流出管31に影響を受けることなく、第2流出管32を配管することが可能となって、配管の自由度を十分に確保することができる。
【0033】
また、一連の復旧作業が完了した後は、再度第2流出口5を蓋体10により閉塞する。これにより、第2流出口5からの排水の流出が阻止される一方で、流入口3からます本体1に流入した排水は、元通り第1流出口4を介して第1流出管31に流出されることになる。
【0034】
<第2実施形態>
尚、上記第1実施形態に於いては、蓋体10をます本体1の第2流出口5に対して着脱自在に設けたが、本発明はこれに限定されず、例えば図10及び図11に示すように構成してもよい。
【0035】
即ち、第2流出口5を開閉できるように、蓋体10をます本体1の内部に回動自在に設けるのである。具体的に説明すると、蓋本体11は正面略二等辺三角形状に形成されており、その上端部には略アーム状の持ち手12が回動自在にピン結合されている。また、蓋本体11の第1流出口4側に位置する端部は、ヒンジ15によります本体1内に回動自在に設けられている。更に、図11(b)に示すように、第2流出口5を開放するために蓋体10を回動させた際には、蓋体10が第1流出口4の前方位置に配されるように構成されている。尚、その他の各部の構成は上記第1実施形態と同様であり、これらについては同じ符号を付して説明する。
【0036】
例えば、第1流出管31で排水が漏洩する等の異常が発生した場合は、持ち手12によりヒンジ15を介して蓋本体11を回動させると、第2流出口5が開放される一方で、蓋体10は第1流出口4の前方位置に配されることになる。これにより、第1流出口4側への排水の流出が規制されるために、ます本体1に流入した多くの排水を第2流出口5から第2流出管32へと流出させることが可能になる。その結果、第1流出管31側で発生した異常個所の修理等の復旧作業を効率良く行うことができる。
【0037】
尚、第2流出口5を開放すべく蓋体10を回動させた際に、該蓋体10により第1流出口4が閉塞されるように構成することも可能である。これによれば、ます本体1に流入した排水は全て第2流出口5から第2流出管32へと流出することになる。その結果、第1流出管31側で発生した異常個所の修理等の一連の復旧作業を一層効率良く行うことが可能になる。
【0038】
また、ます本体1に蓋体10を回動自在に設ける場合は、必ずしも上記第2実施形態のように、蓋体10を回動させた際に、該蓋体10が第1流出口4の前方位置に配されるように構成する必要はない。
【0039】
<第3実施形態>
尚、敷地X内に上記実施形態のような貯留槽33を設置するスペースがない場合は、例えば図12及び図13に示すように、貯留槽33及び直管37に代えてバイパス管路50を使用して構成することも可能である。このように構成すると、上記実施形態のように貯留槽33を設けた場合と比較して、工期の短縮化及び施工費用の軽減が図れるという利点がある。
【0040】
このバイパス管路50は、第2流出管32のエルボ36に接続されるバイパス管51と、該バイパス管51に接続されるエルボ52と、該エルボ52に接続される直管53とからなっている。直管53は公道に埋設された公共ます54に接続される。この公共ます54には、前記第1流出管31及び排水本管55も接続されている。その他の各部の構成は、上記第1実施形態と同様であり、これらについては同じ符号を付して説明する。
【0041】
本実施形態に於いて、排水管路に上述したような異常事態が発生した場合は、第1実施形態と同様に蓋体10を第2流出口5から離脱する。この場合、排水は第2流出口5及び第2流出管32を介してバイパス管路50に流入し、公共ます54を介して排水本管55に流出される。従って、上記各実施形態と同様に、第1流出口4から第1流出管31に流出される排水の流出量及び排水の漏洩量等を減少させ得るので、この場合も異常個所の修理等の復旧作業を効率的に行うことができる。
【0042】
尚、バイパス管路50は第1流出管31の下方位置に略平行に配することも可能であり、幅方向の設置スペースが制限される場合には特に有効である。
【0043】
更に、バイパス管路50を構成する配管部材は、上記実施形態に限定されるものではなく、例えば設置スペース等に応じて任意に変更が可能である。
【0044】
<その他の実施形態>
また、ます本体1の流入口3と第1流出口4とは、必ずしも上記各実施形態のように一直線上に対向させて設ける必要はなく、例えば図14(a)に示すように曲線上に配されるように設けてもよい。更に、同図(b)に示すように流入口3は、ます本体1に複数設けて構成することも可能である。但し、これら何れの場合に於いても、蓋体10は排水がスムースに第1流出口4に流動するような形状に構成するのが好ましい。
【0045】
その他、ます本体1の流出口5の配設位置や、蓋体10の形状等の各部の構成も本発明の意図する範囲内に於いて任意に設計変更自在である。
【産業上の利用可能性】
【0046】
以上説明したように、本発明は、排水ます及びこれを備えた排水設備について有用である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の一実施形態に係る排水ますの平面図である。
【図2】同正面断面図である。
【図3】同側面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る蓋体を示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る排水ますの使用状態を示す平面図である。
【図6】同正面図である。
【図7】蓋体を取外した状態を示す排水ますの平面図である。
【図8】他の使用状態を示す平面図である。
【図9】同断面図である。
【図10】本発明の第2実施形態に係る排水ますを示す平面図である。
【図11】同排水ますを示し、(a)及び(b)は断面図である。
【図12】第3実施形態に係る排水ますの使用状態を示す平面図である。
【図13】同正面断面図である。
【図14】排水ますの他の実施形態を示し、(a)及び(b)は平面図である。
【符号の説明】
【0048】
1 ます本体
2 点検口
3 流入口
4 第1流出口
5 第2流出口
10 蓋体
11 蓋本体
12 持ち手
30 流入管
31 第1流出管
32 第2流出管
33 貯留槽
50 バイパス管路
54 公共ます
A 排水ます
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部に設けられる点検口と、排水を流入させるべく流入管が接続される流入口と、流入した排水を流出させるべく第1流出管が接続される第1流出口と、流入した排水を流出させるべく第2流出管が接続される接続構造を備えた第2流出口と、を有するます本体と、
前記第2流出口を閉塞すべく該第2流出口に着脱自在に設けられる蓋体と、を備えてなることを特徴とする排水ます。
【請求項2】
前記第2流出口がます本体の下部に設けられてなる請求項1記載の排水ます。
【請求項3】
前記蓋体が、流入口から第1流出口へと繋がる流路を形成する断面略Cの字状又はUの字状の蓋本体を備えてなる請求項1又は2記載の排水ます。
【請求項4】
前記流入口と第1流出口とが対向配置されると共に、蓋体が持ち手を備え、且つ該持ち手は前記流入口と前記第1流出口とを結ぶ軸線方向又はこれに直交する方向に配されてなる請求項1乃至3の何れか一つに記載の排水ます。
【請求項5】
前記第2流出口を開閉可能とすべく、蓋体がます本体に回動自在に設けられてなる請求項1乃至4の何れか一つに記載の排水ます。
【請求項6】
前記第2流出口を開放すべく蓋体を回動させた際に、該蓋体が第1流出口の前方に配されて該第1流出口からの排水の流出を規制し、又は、該第1流出口を閉塞するように構成されてなる請求項5記載の排水ます。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか一つに記載の排水ますと、
前記流入口に接続される流入管と、
前記第1流出口に接続される第1流出管と、
前記第2流出口に接続される第2流出管と、
該第2流出管に流出された排水を貯留するための貯留槽、又は、前記第2流出管と公共ますとの間に接続されるバイバス管路と、を備えてなることを特徴とする排水設備。
【請求項1】
上部に設けられる点検口と、排水を流入させるべく流入管が接続される流入口と、流入した排水を流出させるべく第1流出管が接続される第1流出口と、流入した排水を流出させるべく第2流出管が接続される接続構造を備えた第2流出口と、を有するます本体と、
前記第2流出口を閉塞すべく該第2流出口に着脱自在に設けられる蓋体と、を備えてなることを特徴とする排水ます。
【請求項2】
前記第2流出口がます本体の下部に設けられてなる請求項1記載の排水ます。
【請求項3】
前記蓋体が、流入口から第1流出口へと繋がる流路を形成する断面略Cの字状又はUの字状の蓋本体を備えてなる請求項1又は2記載の排水ます。
【請求項4】
前記流入口と第1流出口とが対向配置されると共に、蓋体が持ち手を備え、且つ該持ち手は前記流入口と前記第1流出口とを結ぶ軸線方向又はこれに直交する方向に配されてなる請求項1乃至3の何れか一つに記載の排水ます。
【請求項5】
前記第2流出口を開閉可能とすべく、蓋体がます本体に回動自在に設けられてなる請求項1乃至4の何れか一つに記載の排水ます。
【請求項6】
前記第2流出口を開放すべく蓋体を回動させた際に、該蓋体が第1流出口の前方に配されて該第1流出口からの排水の流出を規制し、又は、該第1流出口を閉塞するように構成されてなる請求項5記載の排水ます。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか一つに記載の排水ますと、
前記流入口に接続される流入管と、
前記第1流出口に接続される第1流出管と、
前記第2流出口に接続される第2流出管と、
該第2流出管に流出された排水を貯留するための貯留槽、又は、前記第2流出管と公共ますとの間に接続されるバイバス管路と、を備えてなることを特徴とする排水設備。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−138593(P2010−138593A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−315469(P2008−315469)
【出願日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【出願人】(000000505)アロン化成株式会社 (317)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【出願人】(000000505)アロン化成株式会社 (317)
【Fターム(参考)】
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