説明

排水暗渠形成システムおよびそれを用いた排水暗渠の勾配施工方法

【課題】オペレータの操作が非常にシンプルで習熟が不要であり、また排水暗渠の勾配施工をニーズに応じて自由に行うことができる技術を提供する。
【解決手段】レーザ光線発生器30と、ブルドーザ2に、深さ調整機構4を介して取り付けられる排水暗渠形成装置1と、排水暗渠形成装置1の固定装置11に取り付けられ、標尺目盛21が設けられた固定ポール20と、固定ポール20に対してモータ24により昇降駆動されるスクリュー軸25と、スクリュー軸25に取り付けられたレーザ光線受光器28および目盛指針29と、操作員40により操作され、モータ24を駆動して目盛指針29を標尺目盛21に対して目標位置に移動させるモータスイッチ38と、ブルドーザ2の運転席近傍に配置され、レーザ光線受光器28で受光したレーザ光線の高さを表示するディスプレイ装置34および深さ調整機構4を上下駆動する操作手段とを備えた排水暗渠形成システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湿田などの高湿地において、その地中に水はけ用の暗渠を形成する技術に関し、特に、暗渠の深さ制御、変則勾配施工、均一勾配施工をニーズに応じて実行可能な、排水暗渠形成システムおよびそれを用いた排水暗渠の勾配施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
湿田などの高湿地の排水性を向上させるため、排水暗渠形成装置を用いて地中に暗渠を形成することが行われている。排水暗渠形成装置は、垂直状態に保持された土切りシャンクと、土切りシャンクの下端に設けられた砲弾状の暗渠穿孔具を備えており、ブルドーザやトラクタなどの走行装置の後部に取り付けて使用され、暗渠穿孔具を下にして土切りシャンクの下半部を地中に突き立てた状態で走行装置を前進させ土切りシャンクを水平方向に牽引していく。これによって、砲弾状の暗渠穿孔具が通過した後の地中に空洞部が残り、これが排水暗渠となる。
【0003】
また、砲弾状の暗渠穿孔具の前進によって形成された暗渠内に多孔吸水管を敷設することもある。この場合、暗渠穿孔具の後部に多孔吸水管の先端を連結し、暗渠形成装置の前進によって、暗渠形成開始地点に配置された多孔吸水管供給装置から多孔吸水管を暗渠内へ引き込んで敷設する方式、プラスチックシートを成形機で円形にしながら暗渠内へ埋設していく方式、暗渠を形成しながら籾殻などの疎水材を充填する方式、暗渠を穿孔しながら吸水管を敷き込むとともに疎水材を充填する方式などがある(特許文献1参照)。
【0004】
このような排水暗渠は、自然な水はけを促すために、端部の排水ピットに向けて暗渠が深くなるような勾配が付されるのが通常である。
【0005】
特許文献2には、排水暗渠形成機の機枠に対して接地板の一端を上下方向に揺動自在に取り付け、その接地板は排水暗渠形成機の進行に比例して下方向に押し下げられるように設けた排水暗渠形成機における暗渠勾配の自動設定機構が記載されている。
【0006】
しかし、排水暗渠形成機が走行する農地は必ずしも真っ平らではなく、多少の起伏があるため、接地板を排水暗渠形成機の進行に比例して下方向に押し下げても、排水暗渠は必ずしも農地の地盤に対して一定の勾配とはならない。暗渠の勾配の向きが途中で変わると、排水ができずに水が溜まるという問題がある。
【0007】
近年においては、レーザ光線発生器を地盤に設置し、そのレーザ光線の高さを基準として暗渠を掘り進む排水暗渠形成方法がいろいろ提案されている。
【0008】
特許文献3には、地盤にレーザ光線発生器を設置し、他方、自在に可動するレーザ光線受光器を設けた標尺本体を、掘削部アームに取り付け、テレビカメラや運転席内のモニターテレビを使用して、常にレーザ光線を受光するように、受光器の位置を標尺目盛盤で監視して、暗渠の掘削高さを検知しながら、バケット上下調整レバーを操作し掘削することにより、均一勾配の暗渠溝を連続して掘削するトレンチャー(ブルドーザ)掘削装置が記載されている。
【0009】
特許文献4には、特許文献3の構成に、高さ制御検出のための受光装置と掘削距離検出のための走行距離検出装置を付加して、あらかじめコンピュータに入力してある手動指示モードと一定勾配モードとプログラムモードを適用した2次元位置管理の掘削情報をもとに、油圧等によるトレンチャーを自動制御しつつ上下動させて、勾配を設定値にコントロールしながら掘削する暗渠自動掘削機が記載されている。
【0010】
特許文献5には、作業対象圃場外の任意の場所から照射され、基準平面に対して傾斜した傾斜面を描くレーザ光を受光する受光手段を備え、掘削機は、受光手段の受光信号に基づいて上下方向に移動する暗渠形成作業機が記載されている。
【0011】
【特許文献1】特開2002−167743号公報(請求項2、図8)
【特許文献2】特開昭56−156310号公報(請求項1、第1図)
【特許文献3】特開平6−248630号公報(請求項1、図1,2)
【特許文献4】特開平7−82764号公報(請求項1、図5)
【特許文献5】特開2001−107346号公報(請求項4,5、図14)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
前掲の特許文献3に記載されたトレンチャー掘削装置においては、常に掘削高さを目視で監視しながら、掘削バケット上下調整レバーの操作と掘削走行のためのレバー操作を同時に行わなければならず、掘削作業が煩雑化し、オペレータは高度な熟練を要するという問題がある。
【0013】
特許文献4に記載された暗渠自動掘削機では、上記問題を解決すべく、掘削距離と設定勾配とに基づき、トレンチャー上下油圧シリンダを自動的に上下させるものであるが、コンピュータに設定値等を入力する操作が必要であり、コンピュータ操作が不得手なオペレータには適しないという問題がある。また、コンピュータでの入力が間違っていると、所望の暗渠勾配が得られずに、作業をやり直す手間や時間を浪費するという問題がある。
【0014】
特許文献5に記載された暗渠形成作業機では、暗渠溝における掘削面の絶対深さを把握できないことや、掘削する溝1本ごとにレーザ光線発生器と受光器のレベルを設定し直す必要がある。また、途中で勾配を変更する場合や、農地の中央の暗渠の高さが一番高く、両側に下り勾配となる暗渠を形成するなどの変則勾配形成には、その都度、レーザ光線発生器と受光器のレベルを設定する必要があり、作業が面倒になるという問題がある。
【0015】
そこで本発明は、レーザ光線発生器の設定を作業の途中で変える必要がなく、排水暗渠形成システムのオペレータの操作が非常にシンプルで習熟が不要であり、また暗渠の均一勾配形成はもちろん、暗渠の深さ制御、変則勾配施工をニーズに応じて自由に行うことができ、しかも事前にコンピュータ入力を行う必要がない排水暗渠形成システムおよびそれを用いた排水暗渠の勾配施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記課題を解決するため、本発明の排水暗渠形成システムは、暗渠掘削作業領域外の場所に設置されるレーザ光線発生器と、走行装置に、深さ調整機構を介して取り付けられ前記走行装置を走行させることにより地盤中に暗渠を形成する排水暗渠形成装置と、前記排水暗渠形成装置の上下方向の移動と共に上下移動するように設置され、標尺目盛が設けられた固定ポールと、前記固定ポールに対して駆動手段により昇降駆動される昇降装置と、前記昇降装置に取り付けられたレーザ光線受光器と、前記昇降装置に取り付けられて前記固定ポールの標尺目盛を指示する目盛指針と、前記走行装置外の操作員により操作され、前記駆動手段を駆動して前記目盛指針を前記固定ポールの標尺目盛に対して目標位置に移動させるコントローラと、前記走行装置の運転席近傍に配置され、前記レーザ光線受光器で受光したレーザ光線の鉛直方向の位置を表示するディスプレイ装置と、前記走行装置の運転席近傍に配置され、前記深さ調整機構を上下駆動する操作手段と、を備えたことを特徴とする。
【0017】
また、本発明の排水暗渠の勾配施工方法は、前記構成の排水暗渠形成システムを用いた排水暗渠の勾配施工方法であって、前記走行装置のオペレータは当該走行装置を移動させながら前記ディスプレイ装置上のレーザ光線の鉛直方向の位置が基準位置に一致するように前記深さ調整機構の操作手段を操作し、前記走行装置外の操作員は前記走行装置の移動距離に応じて前記目盛指針が前記標尺目盛上の目標値に移動するように前記コントローラを操作し、それにより、前記操作員が指示した勾配で地盤中に暗渠を形成することを特徴とする。
【0018】
本発明においては、走行装置を走行させて排水暗渠形成装置による暗渠形成中に、走行装置外の操作員がコントローラを操作すると、駆動手段が駆動されて昇降装置が上下動、例えば下降する。昇降装置が下降すると、昇降装置に取り付けられているレーザ光線受光器の高さも下降する。レーザ光線発生器から発射されるレーザ光線の高さは一定であるので、レーザ光線受光器の高さが低くなると、走行装置の運転席近傍に設置されているディスプレイ装置には、レーザ光線の高さが高くなったように表示される。その表示を見て、走行装置のオペレータは操作手段を操作して、深さ調整機構を上昇させるようにする。深さ調整機構が上昇すると、排水暗渠形成装置も上昇する。オペレータは、ディスプレイ装置を常時監視しながら、レーザ光線受光器からの信号が、基準位置になるように操作を行う。一方、走行装置外の操作員は、走行装置の走行距離に応じて、昇降装置の目盛指針が、標尺目盛に対して所定の高さずつ変化するように、コントローラの操作を行う。
【0019】
このように、走行装置外の操作員が目盛指針の位置が所定の高さに変化するようにコントローラを操作することにより、走行装置のオペレータは、ディスプレイ装置を見ながら、あたかも水平方向に暗渠が形成されるように深さ調整機構を操作するだけで、所定の勾配の暗渠が形成される。
【0020】
走行装置外の操作員は、コントローラの操作により、暗渠の深さ制御、均一勾配、変則勾配などを自由に指示することができる一方、走査装置のオペレータは、ディスプレイ装置に表示されたレーザ光線受光器の位置信号が基準位置よりも低ければ基準位置に一致するように深さ調整機構を上昇させ、高ければ基準位置に一致するように深さ調整機構を下降させるという単純な操作を行うだけで、熟練が不要である。
【0021】
前記駆動手段をモータとし、前記昇降装置を前記モータにより昇降駆動する構成とすることができる。昇降装置は例えばモータにより昇降駆動されるスクリュー軸とすることができるが、駆動手段と昇降装置は、モータとスクリュー軸に限定されることなく、ラックとピニオンその他の回転運動/直線運動変換機構、あるいは、直線運動を直接発生する電動シリンダでもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、排水暗渠の形成に際し、レーザ光線発生器の設定を作業の途中で変える必要がなく、掘削装置のオペレータの操作が非常にシンプルで習熟が不要であり、また暗渠の均一勾配形成はもちろん、暗渠の深さ制御、変則勾配施工をニーズに応じて自由に行うことができ、しかも事前にコンピュータ入力を行う必要がないという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を、図1および図2に基づいて説明する。
図1は本発明の実施形態に係る排水暗渠形成システムを示す斜視図、図2は本実施の形態の要部斜視図である。
【0024】
これらの図において、本実施の形態の排水暗渠形成装置1は、両側にキャタピラ3を有するブルドーザ2を走行装置として、その後方に油圧駆動式の深さ調整機構4を介して取り付けて使用される。排水暗渠形成装置1は、深さ調整機構4の後方に取り付けられた固定装置11に垂直状態に保持された土切りシャンク12と、土切りシャンク12の下端に設けられた砲弾状の暗渠穿孔具13を備えている。暗渠穿孔具13を下にして土切りシャンク12の下半部を地中に突き立てた状態でブルドーザ2を前進させ土切りシャンク12を水平方向に牽引していくことによって、砲弾状の暗渠穿孔具13が通過した後の地中に空洞部が残り、これが排水暗渠となる。この排水暗渠を穿孔しながら吸水管14を敷き込むとともに、ホッパ5内に貯蔵された籾殻や間伐材チップ等の疎水材を空気圧送管6を介して土切りシャンク12内の空洞部から暗渠穿孔具13の後部に排出することにより、排水暗渠内に充填することができる(特許文献1参照)。
【0025】
固定装置11には、固定ポール20が固定されており、固定ポール20には中途部に標尺目盛21が設けられている。固定ポール20の上部には、固定金具22によりレベル調整機構取付板23が取り付けられており、このレベル調整機構取付板23に、駆動手段としてのモータ24と、このモータ24の回転をスクリュー軸25の上下運動に変換するスクリュージャッキ26が設けられている。スクリュー軸25にはスライドポール27が連結されており、レーザ光線受光器28と目盛指針29が取り付けられている。レーザ光線受光器28は、暗渠掘削作業領域外の場所に設置されるレーザ光線発生器30から放射される水平方向を指向するレーザ光線を受光する器具であり、受光面のどの位置(高さ)にレーザ光線が照射されているかを出力する。図2中、31はスクリュー軸25の上部に被せられる防塵カバー、32はスクリュー軸25の下部に被せられる防塵蛇腹カバー、33はスライドポール27の下部を垂直に保持するスライドポール受け金具である。
【0026】
ブルドーザ2の運転席には、ディスプレイ装置34が設けられており、レーザ光線受光器28の信号が、電線ケーブル35を介して入力されている。また、ブルドーザ2の運転席近傍には操作盤36が設けられており、一方はケーブル37を介してモータ24に接続され、他方はケーブル39を介してモータスイッチ(コントローラ)38に接続されている。モータスイッチ38には、UPボタンとDOWNボタンが設けられており、UPボタンを押すことによりモータ24を正方向に回転させて、スクリュー軸25を上昇させ、レーザ光線受光器28とともに目盛指針29を標尺目盛21に対して上昇させる。逆に、DOWNボタンを押すことにより、モータ24を逆方向に回転させて、スクリュー軸25を下降させ、レーザ光線受光器28とともに目盛指針29を標尺目盛21に対して下降させる。
【0027】
なお、ケーブル39を用いずに、モータスイッチ38をワイヤレスリモコン式にすることも可能であるが、現場等でのモータスイッチ38の紛失や内蔵電池の入れ替えの手間を考慮すると、ケーブル式が好ましいことがある。
【0028】
以上のような構成の排水暗渠形成装置1を用いて排水暗渠の勾配施工を行う手順について説明する。
【0029】
(a)暗渠掘削作業領域外の、ブルドーザ2の走行に支障のない場所にレーザ光線発生器30を設置する。
【0030】
(b)ブルドーザ2を農地の端部の排水溝近辺に移動し、深さ調整機構4を操作して暗渠穿孔具13を農地の表面から所定の深さ、例えば50cmの位置になるようにセットする。このとき、レーザ光線発光器30から発射されるレーザ光線を受けるレーザ光線受光器28の位置を示す目盛指針29が、標尺目盛21の±0点に合うようにセットする。
【0031】
(c)ブルドーザ2のオペレータ41は、ブルドーザ2を一定速度で前進させると共に、レーザ光線受光器28よりケーブル35で伝達された高さのデータがディスプレイ装置34に表示されるので、中央の基準線より高さのデータが高ければ低くなるように、低ければ高くなるように、深さ調整機構4を上下操作する油圧レバー(図示せず)を操作する。
【0032】
(d)暗渠深さの調整、設定は、ニーズに合わせ操作員40がモータスイッチ38の操作によりモータ24を回転させることにより行う。例えば、農地の長さL=30mで、排水暗渠に15cmの均一勾配を形成する場合、10m毎に農地にラインを引くか、ポールを立てて、その10mで5cmの勾配がつくようにする。操作員40は、モータスイッチ38のUPボタンを押して、モータ24を正方向に回転させ、スクリュージャッキ26の作動によりスクリュー軸25を下方向にスライドさせる。そうすると、スクリュー軸25に直結したスライドポール27も同時に下方向にスライドする。これにより、目盛指針29が下方に移動して、標尺目盛21のマイナス側の数値を示すようになる。操作員40は、モータスイッチ38のUPボタンを押したり離したりしながら、ブルドーザ2が10m前進する間に、目盛指針29が標尺目盛21の5cmの位置に移動するように操作する。
【0033】
(e)この間、ブルドーザ2のオペレータ41は、ディスプレイ装置34を見ながら、レーザ光線受光器28で受光したレーザ光線の中心位置が下降した分、固定ポール20が上昇するように深さ調整機構4を上げる操作をする。これにより、レーザ光線発生器30からのレーザ光線は、レーザ光線受光器28の中心部で受けるように調整される。
【0034】
(f)操作員40は、次の10mで目盛指針29が標尺目盛21の10cmを指し示す位置まで下降するように、モータスイッチ38を操作する。さらに次の10mで、目盛指針29が標尺目盛21の15cmを指し示す位置まで下降するように、モータスイッチ38を操作する。
【0035】
以上の操作により、排水暗渠が精度よく目的の深さに埋設される。
【0036】
なお、勾配の設定の仕方として、農地の長さLが50m、100mと長い場合でも、全長で15cmの勾配とする。それは、排水暗渠の深さが、最浅でも地表から35cmを確保するためである。農地の長さLが短い場合は、15cm以下の勾配とすることもできる。
【0037】
均一勾配以外の勾配としては、農地の両側が排水溝である場合、農地の長さの中央部までは上り勾配、中央部から下り勾配とすることも可能である。
【0038】
このように、操作員40はモータスイッチ38の簡単な操作方法を覚えればよく、ブルドーザ2のオペレータ41は、操作員40の勾配設定に関係なく、ディスプレイ装置34を見ながらの深さ調整機構4の昇降の操作をすればよいだけであるので、熟練が不要である。
【0039】
なお、上述した実施の形態においては、駆動手段をモータ24とし、昇降装置をモータ24により昇降駆動されるスクリュー軸25とした例を示したが、これに限定されることなく、ラックとピニオンその他の回転運動/直線運動変換機構、あるいは、直線運動を直接発生する電動シリンダを用いることもできる。
【0040】
また、モータ24のコントローラとして、UPボタンまたはDOWNボタンをオンオフ操作するモータスイッチ38を用いたが、モータの回転速度も調整できるジョイスティック方式のコントローラとすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、排水暗渠形成システムのオペレータの操作が非常にシンプルで習熟が不要であり、また暗渠の均一勾配形成はもちろん、暗渠の深さ制御、変則勾配施工をニーズに応じて自由に行うことができ、しかも事前にコンピュータ入力を行う必要がない排水暗渠形成システムおよびそれを用いた排水暗渠の勾配施工方法として、湿田の排水、水田を畑作に転換する場合の水はけを向上させる工事に好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の実施形態に係る排水暗渠形成システムを示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る排水暗渠形成システムの要部斜視図である。
【符号の説明】
【0043】
1 排水暗渠形成装置
2 ブルドーザ(走行装置)
3 キャタピラ
4 深さ調整機構
5 ホッパ
6 空気圧送管
11 固定装置
12 土切りシャンク
13 暗渠穿孔具
14 吸水管
20 固定ポール
21 標尺目盛
22 固定金具
23 レベル調整機構取付板
24 モータ(駆動手段)
25 スクリュー軸(昇降装置)
26 スクリュージャッキ
27 スライドポール
28 レーザ光線受光器
29 目盛指針
30 レーザ光線発生器
31 防塵カバー
32 防塵蛇腹カバー
33 スライドポール受け金具
34 ディスプレイ装置
35 電線ケーブル
36 操作盤
37 ケーブル
38 モータスイッチ(コントローラ)
39 ケーブル
40 操作員
41 オペレータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
暗渠掘削作業領域外の場所に設置されるレーザ光線発生器と、
走行装置に、深さ調整機構を介して取り付けられ前記走行装置を走行させることにより地盤中に暗渠を形成する排水暗渠形成装置と、
前記排水暗渠形成装置の上下方向の移動と共に上下移動するように設置され、標尺目盛が設けられた固定ポールと、
前記固定ポールに対して駆動手段により昇降駆動される昇降装置と、
前記昇降装置に取り付けられたレーザ光線受光器と、
前記昇降装置に取り付けられて前記固定ポールの標尺目盛を指示する目盛指針と、
前記走行装置外の操作員により操作され、前記駆動手段を駆動して前記目盛指針を前記固定ポールの標尺目盛に対して目標位置に移動させるコントローラと、
前記走行装置の運転席近傍に配置され、前記レーザ光線受光器で受光したレーザ光線の鉛直方向の位置を表示するディスプレイ装置と、
前記走行装置の運転席近傍に配置され、前記深さ調整機構を上下駆動する操作手段と、
を備えた排水暗渠形成システム。
【請求項2】
暗渠掘削作業領域外の場所に設置されるレーザ光線発生器と、
走行装置に、深さ調整機構を介して取り付けられ前記走行装置を走行させることにより地盤中に暗渠を形成する排水暗渠形成装置と、
前記排水暗渠形成装置の上下方向の移動と共に上下移動するように設置され、標尺目盛が設けられた固定ポールと、
前記固定ポールに対して駆動手段により昇降駆動される昇降装置と、
前記昇降装置に取り付けられたレーザ光線受光器と、
前記昇降装置に取り付けられて前記固定ポールの標尺目盛を指示する目盛指針と、
前記走行装置外の操作員により操作され、前記駆動手段を駆動して前記目盛指針を前記固定ポールの標尺目盛に対して目標位置に移動させるコントローラと、
前記走行装置の運転席近傍に配置され、前記レーザ光線受光器で受光したレーザ光線の鉛直方向の位置を表示するディスプレイ装置と、
前記走行装置の運転席近傍に配置され、前記深さ調整機構を上下駆動する操作手段と、
を備えた排水暗渠形成システムを用いた排水暗渠の勾配施工方法であって、
前記走行装置のオペレータは当該走行装置を移動させながら前記ディスプレイ装置上のレーザ光線の鉛直方向の位置が基準位置に一致するように前記深さ調整機構の操作手段を操作し、
前記走行装置外の操作員は前記走行装置の移動距離に応じて前記目盛指針が前記標尺目盛上の目標値に移動するように前記コントローラを操作し、
それにより、前記操作員が指示した勾配で地盤中に暗渠を形成することを特徴とする排水暗渠の勾配施工方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−63749(P2008−63749A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−240287(P2006−240287)
【出願日】平成18年9月5日(2006.9.5)
【出願人】(505051150)株式会社建設センター (2)
【出願人】(000141956)株式会社コプロス (18)