排水溝の改修方法
【課題】本発明は、従来にない作用効果を発揮する画期的な排水溝の改修方法を提供することを目的とする。
【解決手段】排水溝ブロック1を敷設して形成される排水溝の改修方法であって、改修対象となる前記排水溝ブロック1のブロック上部1Aに生じた欠損箇所Dを、コンクリートやモルタルなどの修繕用部材3で修繕し、その後、前記修繕箇所を含む上部を当該上部の表面形状と同形状の被覆板体2で被覆する排水溝の改修方法である。
【解決手段】排水溝ブロック1を敷設して形成される排水溝の改修方法であって、改修対象となる前記排水溝ブロック1のブロック上部1Aに生じた欠損箇所Dを、コンクリートやモルタルなどの修繕用部材3で修繕し、その後、前記修繕箇所を含む上部を当該上部の表面形状と同形状の被覆板体2で被覆する排水溝の改修方法である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば道路脇に設けられたり道路を横断する状態で設けられる排水溝の改修方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば道路脇に設けられたり道路を横断する状態で設けられる排水溝ブロック(この排水溝ブロックが連設されて排水溝が形成される。)は、経年変化によっては勿論、人や車両が上部を通過する際に受ける振動などの原因から欠損が生じる。
【0003】
具体的には、この排水溝ブロックとしては、底壁の左右に側壁が立設され、夫々の側壁の内面上部には蓋体を載置する蓋体載置段部が設けられ、側壁上部間にして蓋体載置段部間に蓋体を設けて使用する断面U字状のものや、開口窓を有する天壁の左右に側壁が垂設され、開口窓の夫々の内面には蓋体を載置する蓋体載置段部が設けられ、蓋体載置段部上にして開口窓に蓋体が設けられて使用する断面逆U字状のものがあり、例えば物が当たったりして側壁の頂面左右角縁が欠けたり削れたりし、また、人や車両が上部を通過した際に蓋体がバタつくことで蓋体載置段部が欠けたり削れたりしてしまう。
【0004】
そこで、この排水溝ブロックに生じた欠損箇所の改修方法として、例えば特開2006−29015号に開示されるような切断装置を利用して排水溝ブロックの左右の側壁を所定部位(蓋体載置段部よりも下方位置)で切断し、この切断して除去した部分に、予め工場で成形されたコンクリート成形品を配設したり、或いは、型枠を配設してコンクリートを打設して現場で成形したりするなど、側壁の上側のみを新品に取り換える(或いは成形し直す)改修する方法が提案されている。
【0005】
この改修方法は、それ以前に行われていた排水溝ブロックを全て取り替える方法に比べれば、廃材の排出量が低減されてコスト面及び環境面に秀れている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−29015号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本出願人は、前述した排水溝の改修方法について更なる研究開発を進め、その結果、極めて画期的な排水溝の改修方法を開発した。
【課題を解決するための手段】
【0008】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0009】
排水溝ブロック1を敷設して形成される排水溝の改修方法であって、改修対象となる前記排水溝ブロック1のブロック上部1Aに生じた欠損箇所Dを、コンクリートやモルタルなどの修繕用部材3で修繕し、その後、前記修繕箇所を含む上部を当該上部の表面形状と同形状の被覆板体2で被覆することを特徴とする排水溝の改修方法に係るものである。
【0010】
また、請求項1記載の排水溝の改修方法において、前記排水溝ブロック1として、底壁1bの左右に側壁1aが立設され、この夫々の側壁1aの内面上部には蓋体4を載置する蓋体載置段部1cが設けられた断面U字状の排水溝ブロック1を採用し、前記被覆板体2は、前記側壁1aの上部外面,頂面,前記蓋体載置段部1cまでの内面,前記蓋体載置段部1c及び前記蓋体載置段部1cから下方所定位置までの内面を被覆する形状であることを特徴とする排水溝の改修方法に係るものである。
【0011】
また、請求項1記載の排水溝の改修方法において、前記排水溝ブロック1として、開口窓1eを有する天壁1dの左右に側壁1aが垂設され、前記開口窓1eの夫々の内面には蓋体4を載置する蓋体載置段部1cが設けられた断面逆U字状の排水溝ブロック1を採用し、前記被覆板体2は、前記天壁1dの上部外面,頂面,前記開口窓1eの蓋体載置段部1cまでの内面,前記蓋体載置段部1c及び前記開口窓1eの蓋体載置段部1cから下方所定位置までの内面を被覆する形状であることを特徴とする排水溝の改修方法に係るものである。
【0012】
また、請求項2,3いずれか1項に記載の排水溝の改修方法において、前記被覆板体2にして前記蓋体載置段部1cを被覆する部分には、前記蓋体4のガタつきを防止する緩衝部材17が設けられていることを特徴とする排水溝の改修方法に係るものである。
【0013】
また、請求項1記載の排水溝の改修方法において、前記排水溝ブロック1として、底壁1bの左右に側壁1aが立設された断面U字状の排水溝ブロック1を採用し、前記被覆板体2は、前記側壁1aの上部外面,頂面及び上部内面を被覆する形状であることを特徴とする排水溝の改修方法に係るものである。
【0014】
また、請求項1〜5いずれか1項に記載の排水溝の改修方法において、前記排水溝ブロック1に所定深さの溝1a’を形成した後、前記被覆板体2をこの溝1a’に一部嵌入して被覆することを特徴とする排水溝の改修方法に係るものである。
【0015】
また、請求項1〜6いずれか1項に記載の排水溝の改修方法において、前記排水溝ブロック1が敷設される敷設部位20の端部に所定深さの溝20aを形成した後、前記被覆板体2をこの溝20aに一部嵌入して被覆することを特徴とする排水溝の改修方法に係るものである。
【0016】
また、請求項1〜7いずれか1項に記載の排水溝の改修方法において、前記被覆板体2は前記排水溝ブロック1の長さLと同じ長さであることを特徴とする排水溝の改修方法に係るものである。
【0017】
また、請求項1〜8いずれか1項に記載の排水溝の改修方法において、前記被覆板体2は接着剤を介して配設することを特徴とする排水溝の改修方法に係るものである。
【0018】
また、請求項1〜9いずれか1項に記載の排水溝の改修方法において、前記被覆板体2は金属板を折曲して形成されるものであることを特徴とする排水溝の改修方法に係るものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明は上述のように構成したから、従来から提案される改修方法に比し、簡易且つ迅速に排水溝を改修でき、より一層コスト面及び環境面に秀れるなど従来にない作用効果を発揮する画期的な排水溝の改修方法となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施例1に係る被覆板体2を示す斜視図である。
【図2】実施例1に係る排水溝の説明図である。
【図3】実施例1に係る排水溝の改修方法の説明図である。
【図4】実施例1に係る排水溝の改修方法の説明図である。
【図5】実施例1に係る排水溝の改修方法の説明図である。
【図6】実施例1に係る被覆板体2を示す斜視図である。
【図7】実施例1に係る排水溝の改修方法で改修した箇所の部分拡大説明断面図である。
【図8】排水溝の改修の際に使用する切断装置の説明斜視図である。
【図9】実施例2に係る排水溝の改修方法の説明図である。
【図10】実施例2に係る排水溝の改修方法の説明図である。
【図11】実施例3に係る被覆板体2を示す斜視図である。
【図12】実施例3に係る排水溝の説明図である。
【図13】実施例3に係る排水溝の改修方法の説明図である。
【図14】実施例3に係る排水溝の改修方法の説明図である。
【図15】実施例3に係る排水溝の改修方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0022】
改修対象となる排水溝ブロック1のブロック上部1Aに生じた欠損箇所Dを、コンクリートやモルタルなどの修繕用部材3で修繕し、その後、前記修繕箇所を含む上部を当該上部の表面形状と同形状の被覆板体2で被覆する。この被覆板体2は該ブロック上部1Aの保護機能を発揮し、しかも、既存の排水溝の体裁を良好にする機能も発揮する。
【0023】
また、従来から行われている改修方法のように、排水溝ブロック1のブロック上部1Aを切除するような作業は必要なく、単にコンクリートやモルタルなどの修繕用部材3で欠損箇所Dを修繕した修繕箇所を含む部位に被覆板体2で被覆するだけであり、簡易且つ迅速に排水溝の改修が行われることになる。
【0024】
また、本発明は、排水溝ブロック1のブロック上部1Aを切除してコンクリート成形品を配設したり、或いは、型枠を配設してコンクリートを打設したりする場合に必要となる強度計算や、この強度計算に基づく施工が不要であり、排水溝ブロック1が持つ強度をそのまま利用して改修が行われることになり、しかも、欠損箇所Dの修繕作業の後に被覆板体2で被覆することになるから、被覆板体2の表面に修繕用部材3が付着してしまうようなことがなく仕上がり状態が良好となる。
【0025】
この被覆板体2はブロック上部1Aの表面形状と同形状の為、蓋体4の載置に支障を来さない。
【0026】
また、排水溝ブロック1として、底壁1bの左右に側壁1aが立設され、この夫々の側壁1aの内面上部には蓋体4を載置する蓋体載置段部1cが設けられた断面U字状の排水溝ブロック1を採用し、被覆板体2は、側壁1aの上部外面,頂面,蓋体載置段部1cまでの内面,前記蓋体載置段部1c及び前記蓋体載置段部1cから下方所定位置までの内面を被覆する形状である場合には、被覆板体2は排水溝ブロック1に係る側壁1aに対して掛け止め状態となり、単にブロック上部1Aの上面に載置されるだけの場合に比し、被覆板体2はそれだけ堅固に被覆されることになる。
【0027】
また、排水溝ブロック1が敷設される敷設部位20の端部に所定深さの溝20aを形成した後、被覆板体2をこの溝20aに一部嵌入して被覆する場合には、被覆板体2での被覆作業が極めて簡易且つ良好に行えることになる。具体的には、この溝20aにより排水溝ブロック1の側壁1aの上部外面を被覆する部分を良好に配設し得ることになる。
【実施例1】
【0028】
本発明の具体的な実施例1について図1〜8に基づいて説明する。
【0029】
本実施例は、排水溝ブロック1を敷設して形成される排水溝の改修方法であって、改修対象となる排水溝ブロック1のブロック上部1Aに生じた欠損箇所Dを、コンクリートやモルタルなどの修繕用部材3で修繕し、その後、修繕箇所を含む上部を該上部の表面形状と同形状の被覆板体2で被覆する排水溝の改修方法である。
【0030】
本実施例に係る排水ブロック1としては、図2に図示したように所定長を有する底壁1bの左右に側壁1aが立設され、この側壁1aの内面上部には蓋体4を載置する蓋体載置段部1cが設けられた断面U字状の排水溝ブロック1(所謂U字溝ブロック)が採用されており、この側壁1a上部間にして蓋体載置段部1c間に蓋体4を設けて使用する。排水溝ブロック1のブロック上部1Aとは、側壁1a夫々の上端部であり、蓋体載置段部1cよりも下方位置までを指す。
【0031】
また、本実施例に係る被覆板体2は、図1に図示したように適宜な金属製の長尺の薄板材を折曲して形成されており、長さと幅は排水溝ブロック1の長さと幅と同一の長さLに設定され、ブロック上部1Aに被嵌した際、ブロック上部1A全部を被覆し得るように構成されている。尚、被覆板体2は型による成形品でも良い。
【0032】
被覆板体2は、排水溝ブロック1の側壁1aの頂面を被覆する上側被覆部2a、敷設部位20に形成する溝20aに挿入され側壁1aの上部外面を被覆する外側被覆部2b、側壁1aの上部内面を被覆する内側被覆部2c(蓋体載置段部1cまでの側壁1aの内面を被覆する第一被覆部2c’、側壁1aの蓋体載置段部1cを被覆する第二被覆部2c''及び側壁1aの蓋体載置段部1cから下方所定位置までの内面を被覆する第三被覆部2c''')で構成されている。
【0033】
また、外側被覆部2bの前後位置には孔2b’が形成されており、この孔2b’は、堅固な固定状態が要求される場面において、側壁1aの上部外面とボルト止めや杭止めなどする際に使用する。
【0034】
外側被覆部2bは上側基板部2aの全縁に設けなくても良く、断続的に設けるようにしても良い。また、敷設部位20に形成する溝20aを排水溝ブロック1に係る側壁1aの上部外面から離れた位置に設けた場合には、この溝20aに外側被覆部2bを挿入するようにすれば良い(つまり、必ずしも外側被覆部2bは側壁1aの上部外面に当接する必要はない。)。
【0035】
図6,7は、被覆板体2の第二被覆部2c''の上面に緩衝部材17が設けられた場合である。
【0036】
具体的には、この緩衝部材17は、適度な可撓性を有する合成樹脂製の部材(ゴム部材)で形成した帯板状体であり、断面山形状の凸条部17aが複数並設されて所定巾を有するとともに、第二被覆部2c''の長さ方向の長さと同じ長さを有する。
【0037】
また、緩衝部材17は両面テープを介して第二被覆部2c''の上面に設けられる。
【0038】
従って、この緩衝部材17により、蓋体4を載置した際に蓋体4の破損や騒音の原因となるガタつきを防止することができ、しかも、成形表面に凹凸の生じ易いコンクリート製の蓋体4の成形精度を保証することができる。
【0039】
尚、緩衝部材17はゴムに限らずスポンジでも良いなど本実施例の特性を発揮するものであれば適宜採用し得るものである。
【0040】
図8は本実施例の排水溝の改修作業において、排水溝ブロック1が敷設される敷設部位20の端部(側壁1aの上部外面との近傍部位)に溝20aを形成するための切断装置5である。尚、この溝20aは、被覆板体2で被覆する際に該被覆板体2の一部(外側被覆部2b)嵌入する部位である。
【0041】
具体的には、この切断装置5は、走行部5Aと、この走行部5Aに設けられる切断部5Bとで構成されている。
【0042】
走行部5Aは、板状の基体6の下面前後位置に車輪7を設けるとともに、基体6の上面略中央部にL字杆から成る走行操作ハンドル8を設けたものである。
【0043】
従って、走行部5Aは、走行操作ハンドル8を握持して手動にて走行させることができ、排水溝ブロック1に係る側壁1aの頂面若しくは敷設部位20の上面を車輪7で走行することになる。尚、必要に応じて動力を設けて自動走行するように構成しても良い。
【0044】
また、走行部5Aに係る基体6には、後述する切断部5Bを装着する装着部9が設けられている。
【0045】
この装着部9は、基体6に設けられるガイド部9Aと、このガイド部9Aに対してスライドするスライド部9Bとで構成されている。
【0046】
ガイド部9Aは、基体6の上面前方左右位置に突設される基部9a同士間に一対のガイド棒9bを架設して構成され、一方、スライド部9Bは、ガイド部9Aのガイド棒9bをスライドするスライド体9cの上部に切断部5Bに連結する連結体9dを設けて構成されている。
【0047】
従って、切断部5Bは、スライド部9Bをガイド部9Aに対してスライドさせることで、走行部5A(基体6)に対する左右方向の位置を調整し得ることになる。即ち、切断刃13の走行部5Aの側方からの突出量を可変し得ることになる。
【0048】
尚、ガイド部9Aとスライド部9Bとの間には該スライド部9Bのスライド位置を固定する図示省略の固定手段が設けられている。
【0049】
また、走行部5Aは、基体6の一側面部に補助走行部5Cが着脱自在に設けられている。
【0050】
この補助走行部5Cは、図8に図示したように基体6の一側面部に着脱自在に設けられる板状の連結体10の前後位置に車輪11を設けたものであり、走行部5Aで走行する際、補助走行部5Cの車輪11が排水溝ブロック1に係る側壁1aの内面を走行することで安定した走行が達成されるように構成されている。
【0051】
尚、補助走行部5Cを走行部5Aに対して左右方向にスライド自在に設けても良い。
【0052】
切断部5Bは、図8に図示したように適宜な駆動源(図示省略の電動モーター)を内装した本体12の先端部(側面)に円形の切断刃13を設けたカッター装置である。
【0053】
本実施例では、この切断部5Bを走行部5Aに装着した際、切断刃13が走行部5Aに係る基体6の一側に鉛直状態で配され、走行部5Aの側方へは切断刃13以外の突出物が可及的に生じないように設けられている。これは、排水溝の脇にブロック塀21が立設しているような狭い箇所でも障害になるものがなく切断作業を良好に行えるようにするための構成である。
【0054】
また、本実施例では、修繕用部材3として硬化性部材であるモルタルが採用される。尚、修繕用部材3としてはコンクリートでも良いなど、本実施例の特性を発揮するものであれば適宜採用し得るものである。
【0055】
以上の構成から成る被覆板体2と切断装置5を使用した排水溝の改修方法(図2に図示したような欠損箇所Dが生じた排水溝ブロック1に係るブロック上部1Aの改修方法)について説明する。尚、本実施例は、一対の被覆板体2を用いて左右の側壁1aの双方に改修を行った場合であるが、場合によっては、一つの被覆板体2により片側の側壁1aを改修するようにしても良い。
【0056】
先ず、図3に図示したように改修対象となる排水溝ブロック1から蓋体4を外して、切断装置5で溝20aを形成する。具体的には、切断装置5に係る走行部5Aを側壁1aの頂面を走行させ、この状態で切断部5Bの切断刃13を回転させ、排水溝ブロック1が敷設される敷設部位20にして側壁1aの上部外面の近傍部位(舗装部位)に所定深さ(約2cm)の溝20aを形成する。この溝20aは側壁1aの外側面に沿って形成される。
【0057】
また、この走行部5Aが側壁1aを走行する際、補助走行部5Cに係る車輪11も側壁1aの内面に当接して走行しており、よって、安定した走行が得られる。
【0058】
続いて、図4に図示したように欠損箇所Dを修繕用部材3で修繕する。蓋体載置段部1cを修繕する際には、ジャッキ装置14(回動螺子棒14Aの回動により左右に突没移動する左右のリンク部材14B)に設けられた型枠14a,14bを用いて行う。尚、欠損箇所Dを修繕した後に切断装置5で溝20aを形成するようにしても良い。
【0059】
続いて、図5に図示したように修繕済みの側壁1aに接着剤15を介して被覆板体2で被覆する。この際、被覆板体2の上側被覆部2aは側壁1aの頂面を被覆し、外側被覆部2bは溝20aに挿入されて側壁1aの上部外面を被覆し、内側被覆部2cに係る第一被覆部2c’側壁1aの蓋体載置段部1cまでの内面、第二被覆部2c''は側壁1aの蓋体載置段部1c、第三被覆部2c'''は側壁1aの蓋体載置段部1cから下方所定位置までの内面を被覆する(被覆板体2を構成する各部位を軽く叩くなどして側壁1aの形状に合致させる。)。その後、アスファルト等の特殊合材を外側被覆部2bと溝20aとの隙間を埋めたり敷設部位20との段差を無くすように打設するなど仕上げ処理を行い、新しい蓋体4を蓋体載置段部1c(被覆板体2に係る第二被覆部2c''の上面)に載置して作業は終了となる。
【0060】
本実施例は上述のように構成したから、従来から行われている改修方法のように、排水溝ブロック1のブロック上部1Aを切除するような作業は必要なく、単にコンクリートやモルタルなどの修繕用部材3で欠損箇所Dを修繕したブロック上部1Aに被覆板体2で被覆するだけであり、簡易且つ迅速に排水溝の改修が行われ、しかも、コスト安である。
【0061】
また、本実施例は、排水溝ブロック1のブロック上部1Aを切除してコンクリート成形品を配設したり、或いは、型枠を配設してコンクリートを打設したりする場合に必要となる強度計算や、この強度計算に基づく施工が不要であり、排水溝ブロック1が持つ強度をそのまま利用して改修が行われることになり、しかも、欠損箇所Dの修繕作業の後に被覆板体2で被覆することになるから、修繕用部材3が被覆板体2の表面に付着してしまうようなことがなく仕上がり状態が良好となる。
【0062】
また、本実施例は、排水溝ブロック1のブロック上部1Aを切除したりしないから産業廃棄物の排出を抑制することができ、しかも、建設機械をほとんど使用しない為、二酸化炭素の排出量も抑制し得ることになるなど、環境にやさしい工法となる。
【0063】
また、本実施例は、被覆板体2がブロック上部1Aの表面形状と同形状の為、蓋体4の載置に支障を来さず、また、排水溝ブロック1が敷設される敷設部位20と干渉したりしない。
【0064】
また、本実施例は、排水溝ブロック1として、底壁1bの左右に側壁1aが立設され、この夫々の側壁1aの上部内面には蓋体4を載置する蓋体載置段部1cが設けられた断面U字状の排水溝ブロック1を採用し、被覆板体2は、側壁1aの上部外面,頂面,蓋体載置段部1cまでの内面,前記蓋体載置段部1c及び前記蓋体載置段部1cから下方所定位置までの内面を被覆する形状であるから、被覆板体2は排水溝ブロック1に係る側壁1aに対して掛け止め状態となり、単にブロック上部1Aの上面に載置されるだけの場合に比し、被覆板体2はそれだけ堅固に被覆されることになる。
【0065】
また、本実施例は、排水溝ブロック1が敷設される敷設部位20の端部に所定深さの溝20aを形成した後、被覆板体2をこの溝20aに一部嵌入して被覆するから、被覆板体2での被覆作業が極めて簡易且つ良好に行えることになる。具体的には、この溝20aにより排水溝ブロック1の側壁1aの上部外面を被覆する外側被覆部2bを良好に配設し得ることになる。
【0066】
また、本実施例は、被覆板体2は金属板を折曲形成して構成されているから、簡易構造故にコスト安にして量産性に秀れることになる。
【0067】
また、本実施例は、既存の排水溝の流れを止めることなく施工することができる。
【0068】
尚、本実施例は、排水溝ブロック1として前述したように側壁1aの上部内面に蓋体載置段部1cを設けたタイプを採用しているが、この蓋体載置段部1cが無い断面U字状タイプの排水溝ブロック1においても前述した被覆板体2の作用効果は奏されるものである。
【実施例2】
【0069】
本発明の具体的な実施例2について図9〜10に基づいて説明する。
【0070】
本実施例は、排水溝を形成する排水溝ブロック1として、現場でコンクリートを打設して形成される排水溝ブロック1(所謂現場打ちブロック)が採用されている。
【0071】
具体的には、この排水溝ブロック1は、敷設部位20に形成される凹溝の底に形成される底部材1fの左右に側壁1aが立設され、この側壁1aの内面上部には蓋体4を載置する蓋体載置段部1cが設けられた断面U字状の排水溝ブロック1(所謂U字溝)が採用されており、この側壁1a上部間にして蓋体載置段部1c間に蓋体4を設けて使用する。排水溝ブロック1のブロック上部1Aとは、側壁1a夫々の上端部であり、蓋体載置段部1cよりも下方位置までを指す。
【0072】
また、このタイプの排水溝ブロック1は、前述した実施例1のような成形品(プレキャストコンクリートブロック)に比して側壁1aにおける頂面の巾が広い場合が多く、この場合、頂面(ブロック自体)に溝1a’を形成し該溝1a’に被覆板体2の外側被覆部2bが挿入される。
【0073】
これは、被覆板体2のサイズは統一されていた方が製造が簡易でコスト安であり、しかも、幅の広い側壁1aにおける頂面の全てを被覆するようにした場合、それだけ金属面(滑り易い面)の面積が広くなってしまうが、本実施例の構造であればこれを確実に防止することができる。
【0074】
また、現場打ちの排水溝ブロック1は、側壁1aの頂面の巾は一定でなく、この点においても頂面に被覆板体2の外側被覆部2bを挿入する溝1a’を形成することは有用である。
【0075】
以上の構成から成る被覆板体2と切断装置5を使用した排水溝の改修方法(欠損箇所Dが生じた排水溝ブロック1に係るブロック上部1Aの改修方法)について説明する。尚、本実施例は、一対の被覆板体2を用いて左右の側壁1aの双方に改修を行った場合であるが、場合によっては、一つの被覆板体2により片側の側壁1aを改修するようにしても良い。
【0076】
先ず、改修対象となる排水溝ブロック1から蓋体4を外して、切断装置5で溝1a’を形成する。具体的には、切断装置5に係る走行部5Aを側壁1aの頂面を走行させ、この状態で切断部5Bの切断刃13を回転させ、排水溝ブロック1の側壁1aの頂面に所定深さ(約2cm)の溝1aを形成する。この溝1aは側壁1aの長さ方向全域に形成される。
【0077】
また、この走行部5Aが側壁1aを走行する際、補助走行部5Cに係る車輪11も側壁1aの内面に当接して走行しており、よって、安定した走行が得られる。
【0078】
続いて、図9に図示したように欠損箇所Dを修繕用部材3で修繕する。蓋体載置段部1cを修繕する際には、ジャッキ装置14(回動螺子棒14Aの回動により左右に突没移動する左右のリンク部材14B)に設けられた型枠14a,14bを用いて行う。尚、欠損箇所Dを修繕した後に切断装置5で溝1aを形成するようにしても良い。
【0079】
続いて、図10に図示したように修繕済みの側壁1aに接着剤15を介して被覆板体2で被覆する。この際、被覆板体2の上側被覆部2aは側壁1aの頂面を被覆し、外側被覆部2bは溝1a’に挿入され、内側被覆部2cに係る第一被覆部2c’は側壁1aの蓋体載置段部1cまでの内面、第二被覆部2c''は側壁1aの蓋体載置段部1c、第三被覆部2c'''は側壁1aの蓋体載置段部1cから下方所定位置までの内面を被覆する(被覆板体2を構成する各部位を軽く叩くなどして側壁1aの形状に合致させる。)。その後、コンクリート等を外側被覆部2bと溝1a’との隙間を埋めたり頂面との段差を無くすように打設するなど仕上げ処理を行い、新しい蓋体4を蓋体載置段部1c(被覆板体2に係る第二被覆部2c''の上面)に載置して作業は終了となる。
【0080】
尚、図示していないが被覆板体2に係る第二被覆部2c''の上面には緩衝部材17が適宜設けられる。
【0081】
その余は実施例1と同様である。
【実施例3】
【0082】
本発明の具体的な実施例3について図11〜15に基づいて説明する。
【0083】
本実施例に係る排水溝ブロック1としては、図12に図示したように開口窓1eを有する所定の天壁1dの左右に側壁1aが垂設され、開口窓1eの内面上部には蓋体4を載置する蓋体載置段部1cが設けられた断面逆U字状の排水溝ブロック1が採用されており、この蓋体載置段部1cに蓋体4が載置されて開口窓1eが閉塞される構成である。この排水溝ブロック1のブロック上部1Aとは、天壁1dであり、蓋体載置段部1cよりも下方位置にして側壁1a夫々との境界位置までを指す。符号1fは敷設部位20に形成される凹溝の底に形成される底部材であり、この底部材1f上に排水溝ブロック1が載置される。
【0084】
また、本実施例に係る被覆板体2は、図11に図示したように適宜な金属製の長尺の薄板材を折曲して形成されており、長さと幅は排水溝ブロック1の長さと幅と同一の長さLに設定され、ブロック上部1Aに被嵌した際、ブロック上部1A全部を被覆し得るように構成されている。尚、被覆板体2は型による成形品でも良い。
【0085】
被覆板体2は、排水溝ブロック1の天壁1dの頂面を被覆する上側被覆部2a、敷設部位20に形成する溝20aに挿入され天壁1dの上部外面を被覆する外側被覆部2bを有する構成である。
【0086】
また、外側被覆部2b夫々の前後位置には孔2b’が形成されており、この孔2b’は、堅固な固定状態が要求される場面において、天壁1dの上部外面とボルト止めや杭止めする際に使用する。
【0087】
外側被覆部2bは基板部2aの全縁に設けなくても良く、断続的に設けるようにしても良い。また、敷設部位20に形成する溝20aを排水溝ブロック1に係る側壁1aの上部外面から離れた位置に設けた場合には、この溝20aに外側被覆部2bを挿入するようにすれば良い(つまり、必ずしも外側被覆部2bは側壁1aの上部外面に当接する必要はない。)。
【0088】
また、上側被覆部2aの中央には板材の打ち抜き成形により開口部2a’が設けられ、この開口部2a’の対向する左右対向縁夫々には天壁1dの上部内面を被覆する切欠き片(内側被覆部2c)が設けられている。
【0089】
この内側被覆部2cは、蓋体載置段部1cまでの天壁1dの内面を被覆する第一被覆部2c’、天壁1dの蓋体載置段部1cを被覆する第二被覆部2c''及び天壁1dの蓋体載置段部1cから下方所定位置までの内面を被覆する第三被覆部2c'''で構成されている。
【0090】
また、被覆板体2に係る上側被覆部2aの左右上面には滑り止め部16が設けられている。
【0091】
この滑り止め部16は、表面に突起16aを多数形成した金属製のプレート16を上側被覆部2aの上面に重合溶接して構成されている。
【0092】
尚、滑り止め部16としては、摩擦抵抗の高いラバーなどの合成樹脂を吹き付けて形成したり、上側被覆部2aの表面に窓孔を形成してブロックの表面を露出させることで形成するようにしても良いが、本実施例のように金属プレートを重合する構造は強度面に秀れる。
【0093】
以上の構成から成る被覆板体2と切断装置5を使用した排水溝の改修方法(図12に図示した欠損箇所Dが生じた排水溝ブロック1に係るブロック上部1Aの改修方法)について説明する。
【0094】
先ず、図13に図示したように改修対象となる排水溝ブロック1から蓋体4を外して、切断装置5で溝20aを形成する。具体的には、切断装置5に係る走行部5Aを天壁1dの頂面を走行させ、この状態で切断部5Bの切断刃13を回転させ、排水溝ブロック1が敷設される敷設部位20にして天壁1dの上部外面の近傍部位(舗装部位)に所定深さ(約2cm)の溝20aを形成する。この溝20aは天壁1dの外側面に沿って形成される。
【0095】
続いて、図14に図示したように欠損箇所Dを修繕用部材3で修繕する。蓋体載置段部1cを修繕する際には、ジャッキ装置14(回動螺子棒14Aの回動により左右に突没移動する左右のリンク部材14B)に設けられた型枠14a,14bを用いて行う。尚、欠損箇所Dを修繕した後に切断装置5で溝20aを形成するようにしても良い。
【0096】
続いて、図15に図示したように修繕済みの天壁1dに接着剤15を介して被覆板体2で被覆する。この際、被覆板体2の上側被覆部2aは天壁1dの頂面を被覆し、外側被覆部2bは溝20aに挿入されて天壁1dの上部外面を被覆し、内側被覆部2cに係る第一被覆部2c’は天壁1dの蓋体載置段部1cまでの内面、第二被覆部2c''は天壁1dの蓋体載置段部1c、第三被覆部2c'''は天壁1dの蓋体載置段部1cから下方所定位置までの内面を被覆する(被覆板体2を構成する各部位を軽く叩くなどして天壁1dの形状に合致させる。)。その後、アスファルト等の特殊合材を外側被覆部2bと溝20aとの隙間を埋めたり敷設部位20との段差を無くすように打設するなど仕上げ処理を行い、新しい蓋体4を蓋体載置段部1c(被覆板体2に係る第二被覆部2c''の上面)に載置して作業は終了となる。
【0097】
尚、図示していないが本実施例に係る排水溝の改修方法に際し、改修対象となる排水溝ブロック1のブロック上部1Aに生じた欠損箇所Dを、コンクリートやモルタルなどの修繕用部材3で修繕するとともに、排水溝ブロック1に係る天壁1dの頂面に溝を形成し、その後、その溝に被覆板体2の外側被覆部2bを挿入し修繕箇所を含む上部を被覆板体2で被覆するようにしても良い。また、被覆板体2に係る第二被覆部2c''の上面には緩衝部材17が適宜設けられる。
【0098】
その余は実施例1,2と同様である。
【0099】
尚、本発明は、実施例1〜3に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【符号の説明】
【0100】
D 欠損箇所
1 排水溝ブロック
1A ブロック上部
1a 側壁
1a’ 溝
1b 底壁
1c 蓋体載置段部
1d 天壁
1e 開口窓
2 被覆板体
3 修繕用部材
4 蓋体
17 緩衝部材
20 敷設部位
20a 溝
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば道路脇に設けられたり道路を横断する状態で設けられる排水溝の改修方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば道路脇に設けられたり道路を横断する状態で設けられる排水溝ブロック(この排水溝ブロックが連設されて排水溝が形成される。)は、経年変化によっては勿論、人や車両が上部を通過する際に受ける振動などの原因から欠損が生じる。
【0003】
具体的には、この排水溝ブロックとしては、底壁の左右に側壁が立設され、夫々の側壁の内面上部には蓋体を載置する蓋体載置段部が設けられ、側壁上部間にして蓋体載置段部間に蓋体を設けて使用する断面U字状のものや、開口窓を有する天壁の左右に側壁が垂設され、開口窓の夫々の内面には蓋体を載置する蓋体載置段部が設けられ、蓋体載置段部上にして開口窓に蓋体が設けられて使用する断面逆U字状のものがあり、例えば物が当たったりして側壁の頂面左右角縁が欠けたり削れたりし、また、人や車両が上部を通過した際に蓋体がバタつくことで蓋体載置段部が欠けたり削れたりしてしまう。
【0004】
そこで、この排水溝ブロックに生じた欠損箇所の改修方法として、例えば特開2006−29015号に開示されるような切断装置を利用して排水溝ブロックの左右の側壁を所定部位(蓋体載置段部よりも下方位置)で切断し、この切断して除去した部分に、予め工場で成形されたコンクリート成形品を配設したり、或いは、型枠を配設してコンクリートを打設して現場で成形したりするなど、側壁の上側のみを新品に取り換える(或いは成形し直す)改修する方法が提案されている。
【0005】
この改修方法は、それ以前に行われていた排水溝ブロックを全て取り替える方法に比べれば、廃材の排出量が低減されてコスト面及び環境面に秀れている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−29015号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本出願人は、前述した排水溝の改修方法について更なる研究開発を進め、その結果、極めて画期的な排水溝の改修方法を開発した。
【課題を解決するための手段】
【0008】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0009】
排水溝ブロック1を敷設して形成される排水溝の改修方法であって、改修対象となる前記排水溝ブロック1のブロック上部1Aに生じた欠損箇所Dを、コンクリートやモルタルなどの修繕用部材3で修繕し、その後、前記修繕箇所を含む上部を当該上部の表面形状と同形状の被覆板体2で被覆することを特徴とする排水溝の改修方法に係るものである。
【0010】
また、請求項1記載の排水溝の改修方法において、前記排水溝ブロック1として、底壁1bの左右に側壁1aが立設され、この夫々の側壁1aの内面上部には蓋体4を載置する蓋体載置段部1cが設けられた断面U字状の排水溝ブロック1を採用し、前記被覆板体2は、前記側壁1aの上部外面,頂面,前記蓋体載置段部1cまでの内面,前記蓋体載置段部1c及び前記蓋体載置段部1cから下方所定位置までの内面を被覆する形状であることを特徴とする排水溝の改修方法に係るものである。
【0011】
また、請求項1記載の排水溝の改修方法において、前記排水溝ブロック1として、開口窓1eを有する天壁1dの左右に側壁1aが垂設され、前記開口窓1eの夫々の内面には蓋体4を載置する蓋体載置段部1cが設けられた断面逆U字状の排水溝ブロック1を採用し、前記被覆板体2は、前記天壁1dの上部外面,頂面,前記開口窓1eの蓋体載置段部1cまでの内面,前記蓋体載置段部1c及び前記開口窓1eの蓋体載置段部1cから下方所定位置までの内面を被覆する形状であることを特徴とする排水溝の改修方法に係るものである。
【0012】
また、請求項2,3いずれか1項に記載の排水溝の改修方法において、前記被覆板体2にして前記蓋体載置段部1cを被覆する部分には、前記蓋体4のガタつきを防止する緩衝部材17が設けられていることを特徴とする排水溝の改修方法に係るものである。
【0013】
また、請求項1記載の排水溝の改修方法において、前記排水溝ブロック1として、底壁1bの左右に側壁1aが立設された断面U字状の排水溝ブロック1を採用し、前記被覆板体2は、前記側壁1aの上部外面,頂面及び上部内面を被覆する形状であることを特徴とする排水溝の改修方法に係るものである。
【0014】
また、請求項1〜5いずれか1項に記載の排水溝の改修方法において、前記排水溝ブロック1に所定深さの溝1a’を形成した後、前記被覆板体2をこの溝1a’に一部嵌入して被覆することを特徴とする排水溝の改修方法に係るものである。
【0015】
また、請求項1〜6いずれか1項に記載の排水溝の改修方法において、前記排水溝ブロック1が敷設される敷設部位20の端部に所定深さの溝20aを形成した後、前記被覆板体2をこの溝20aに一部嵌入して被覆することを特徴とする排水溝の改修方法に係るものである。
【0016】
また、請求項1〜7いずれか1項に記載の排水溝の改修方法において、前記被覆板体2は前記排水溝ブロック1の長さLと同じ長さであることを特徴とする排水溝の改修方法に係るものである。
【0017】
また、請求項1〜8いずれか1項に記載の排水溝の改修方法において、前記被覆板体2は接着剤を介して配設することを特徴とする排水溝の改修方法に係るものである。
【0018】
また、請求項1〜9いずれか1項に記載の排水溝の改修方法において、前記被覆板体2は金属板を折曲して形成されるものであることを特徴とする排水溝の改修方法に係るものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明は上述のように構成したから、従来から提案される改修方法に比し、簡易且つ迅速に排水溝を改修でき、より一層コスト面及び環境面に秀れるなど従来にない作用効果を発揮する画期的な排水溝の改修方法となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施例1に係る被覆板体2を示す斜視図である。
【図2】実施例1に係る排水溝の説明図である。
【図3】実施例1に係る排水溝の改修方法の説明図である。
【図4】実施例1に係る排水溝の改修方法の説明図である。
【図5】実施例1に係る排水溝の改修方法の説明図である。
【図6】実施例1に係る被覆板体2を示す斜視図である。
【図7】実施例1に係る排水溝の改修方法で改修した箇所の部分拡大説明断面図である。
【図8】排水溝の改修の際に使用する切断装置の説明斜視図である。
【図9】実施例2に係る排水溝の改修方法の説明図である。
【図10】実施例2に係る排水溝の改修方法の説明図である。
【図11】実施例3に係る被覆板体2を示す斜視図である。
【図12】実施例3に係る排水溝の説明図である。
【図13】実施例3に係る排水溝の改修方法の説明図である。
【図14】実施例3に係る排水溝の改修方法の説明図である。
【図15】実施例3に係る排水溝の改修方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0022】
改修対象となる排水溝ブロック1のブロック上部1Aに生じた欠損箇所Dを、コンクリートやモルタルなどの修繕用部材3で修繕し、その後、前記修繕箇所を含む上部を当該上部の表面形状と同形状の被覆板体2で被覆する。この被覆板体2は該ブロック上部1Aの保護機能を発揮し、しかも、既存の排水溝の体裁を良好にする機能も発揮する。
【0023】
また、従来から行われている改修方法のように、排水溝ブロック1のブロック上部1Aを切除するような作業は必要なく、単にコンクリートやモルタルなどの修繕用部材3で欠損箇所Dを修繕した修繕箇所を含む部位に被覆板体2で被覆するだけであり、簡易且つ迅速に排水溝の改修が行われることになる。
【0024】
また、本発明は、排水溝ブロック1のブロック上部1Aを切除してコンクリート成形品を配設したり、或いは、型枠を配設してコンクリートを打設したりする場合に必要となる強度計算や、この強度計算に基づく施工が不要であり、排水溝ブロック1が持つ強度をそのまま利用して改修が行われることになり、しかも、欠損箇所Dの修繕作業の後に被覆板体2で被覆することになるから、被覆板体2の表面に修繕用部材3が付着してしまうようなことがなく仕上がり状態が良好となる。
【0025】
この被覆板体2はブロック上部1Aの表面形状と同形状の為、蓋体4の載置に支障を来さない。
【0026】
また、排水溝ブロック1として、底壁1bの左右に側壁1aが立設され、この夫々の側壁1aの内面上部には蓋体4を載置する蓋体載置段部1cが設けられた断面U字状の排水溝ブロック1を採用し、被覆板体2は、側壁1aの上部外面,頂面,蓋体載置段部1cまでの内面,前記蓋体載置段部1c及び前記蓋体載置段部1cから下方所定位置までの内面を被覆する形状である場合には、被覆板体2は排水溝ブロック1に係る側壁1aに対して掛け止め状態となり、単にブロック上部1Aの上面に載置されるだけの場合に比し、被覆板体2はそれだけ堅固に被覆されることになる。
【0027】
また、排水溝ブロック1が敷設される敷設部位20の端部に所定深さの溝20aを形成した後、被覆板体2をこの溝20aに一部嵌入して被覆する場合には、被覆板体2での被覆作業が極めて簡易且つ良好に行えることになる。具体的には、この溝20aにより排水溝ブロック1の側壁1aの上部外面を被覆する部分を良好に配設し得ることになる。
【実施例1】
【0028】
本発明の具体的な実施例1について図1〜8に基づいて説明する。
【0029】
本実施例は、排水溝ブロック1を敷設して形成される排水溝の改修方法であって、改修対象となる排水溝ブロック1のブロック上部1Aに生じた欠損箇所Dを、コンクリートやモルタルなどの修繕用部材3で修繕し、その後、修繕箇所を含む上部を該上部の表面形状と同形状の被覆板体2で被覆する排水溝の改修方法である。
【0030】
本実施例に係る排水ブロック1としては、図2に図示したように所定長を有する底壁1bの左右に側壁1aが立設され、この側壁1aの内面上部には蓋体4を載置する蓋体載置段部1cが設けられた断面U字状の排水溝ブロック1(所謂U字溝ブロック)が採用されており、この側壁1a上部間にして蓋体載置段部1c間に蓋体4を設けて使用する。排水溝ブロック1のブロック上部1Aとは、側壁1a夫々の上端部であり、蓋体載置段部1cよりも下方位置までを指す。
【0031】
また、本実施例に係る被覆板体2は、図1に図示したように適宜な金属製の長尺の薄板材を折曲して形成されており、長さと幅は排水溝ブロック1の長さと幅と同一の長さLに設定され、ブロック上部1Aに被嵌した際、ブロック上部1A全部を被覆し得るように構成されている。尚、被覆板体2は型による成形品でも良い。
【0032】
被覆板体2は、排水溝ブロック1の側壁1aの頂面を被覆する上側被覆部2a、敷設部位20に形成する溝20aに挿入され側壁1aの上部外面を被覆する外側被覆部2b、側壁1aの上部内面を被覆する内側被覆部2c(蓋体載置段部1cまでの側壁1aの内面を被覆する第一被覆部2c’、側壁1aの蓋体載置段部1cを被覆する第二被覆部2c''及び側壁1aの蓋体載置段部1cから下方所定位置までの内面を被覆する第三被覆部2c''')で構成されている。
【0033】
また、外側被覆部2bの前後位置には孔2b’が形成されており、この孔2b’は、堅固な固定状態が要求される場面において、側壁1aの上部外面とボルト止めや杭止めなどする際に使用する。
【0034】
外側被覆部2bは上側基板部2aの全縁に設けなくても良く、断続的に設けるようにしても良い。また、敷設部位20に形成する溝20aを排水溝ブロック1に係る側壁1aの上部外面から離れた位置に設けた場合には、この溝20aに外側被覆部2bを挿入するようにすれば良い(つまり、必ずしも外側被覆部2bは側壁1aの上部外面に当接する必要はない。)。
【0035】
図6,7は、被覆板体2の第二被覆部2c''の上面に緩衝部材17が設けられた場合である。
【0036】
具体的には、この緩衝部材17は、適度な可撓性を有する合成樹脂製の部材(ゴム部材)で形成した帯板状体であり、断面山形状の凸条部17aが複数並設されて所定巾を有するとともに、第二被覆部2c''の長さ方向の長さと同じ長さを有する。
【0037】
また、緩衝部材17は両面テープを介して第二被覆部2c''の上面に設けられる。
【0038】
従って、この緩衝部材17により、蓋体4を載置した際に蓋体4の破損や騒音の原因となるガタつきを防止することができ、しかも、成形表面に凹凸の生じ易いコンクリート製の蓋体4の成形精度を保証することができる。
【0039】
尚、緩衝部材17はゴムに限らずスポンジでも良いなど本実施例の特性を発揮するものであれば適宜採用し得るものである。
【0040】
図8は本実施例の排水溝の改修作業において、排水溝ブロック1が敷設される敷設部位20の端部(側壁1aの上部外面との近傍部位)に溝20aを形成するための切断装置5である。尚、この溝20aは、被覆板体2で被覆する際に該被覆板体2の一部(外側被覆部2b)嵌入する部位である。
【0041】
具体的には、この切断装置5は、走行部5Aと、この走行部5Aに設けられる切断部5Bとで構成されている。
【0042】
走行部5Aは、板状の基体6の下面前後位置に車輪7を設けるとともに、基体6の上面略中央部にL字杆から成る走行操作ハンドル8を設けたものである。
【0043】
従って、走行部5Aは、走行操作ハンドル8を握持して手動にて走行させることができ、排水溝ブロック1に係る側壁1aの頂面若しくは敷設部位20の上面を車輪7で走行することになる。尚、必要に応じて動力を設けて自動走行するように構成しても良い。
【0044】
また、走行部5Aに係る基体6には、後述する切断部5Bを装着する装着部9が設けられている。
【0045】
この装着部9は、基体6に設けられるガイド部9Aと、このガイド部9Aに対してスライドするスライド部9Bとで構成されている。
【0046】
ガイド部9Aは、基体6の上面前方左右位置に突設される基部9a同士間に一対のガイド棒9bを架設して構成され、一方、スライド部9Bは、ガイド部9Aのガイド棒9bをスライドするスライド体9cの上部に切断部5Bに連結する連結体9dを設けて構成されている。
【0047】
従って、切断部5Bは、スライド部9Bをガイド部9Aに対してスライドさせることで、走行部5A(基体6)に対する左右方向の位置を調整し得ることになる。即ち、切断刃13の走行部5Aの側方からの突出量を可変し得ることになる。
【0048】
尚、ガイド部9Aとスライド部9Bとの間には該スライド部9Bのスライド位置を固定する図示省略の固定手段が設けられている。
【0049】
また、走行部5Aは、基体6の一側面部に補助走行部5Cが着脱自在に設けられている。
【0050】
この補助走行部5Cは、図8に図示したように基体6の一側面部に着脱自在に設けられる板状の連結体10の前後位置に車輪11を設けたものであり、走行部5Aで走行する際、補助走行部5Cの車輪11が排水溝ブロック1に係る側壁1aの内面を走行することで安定した走行が達成されるように構成されている。
【0051】
尚、補助走行部5Cを走行部5Aに対して左右方向にスライド自在に設けても良い。
【0052】
切断部5Bは、図8に図示したように適宜な駆動源(図示省略の電動モーター)を内装した本体12の先端部(側面)に円形の切断刃13を設けたカッター装置である。
【0053】
本実施例では、この切断部5Bを走行部5Aに装着した際、切断刃13が走行部5Aに係る基体6の一側に鉛直状態で配され、走行部5Aの側方へは切断刃13以外の突出物が可及的に生じないように設けられている。これは、排水溝の脇にブロック塀21が立設しているような狭い箇所でも障害になるものがなく切断作業を良好に行えるようにするための構成である。
【0054】
また、本実施例では、修繕用部材3として硬化性部材であるモルタルが採用される。尚、修繕用部材3としてはコンクリートでも良いなど、本実施例の特性を発揮するものであれば適宜採用し得るものである。
【0055】
以上の構成から成る被覆板体2と切断装置5を使用した排水溝の改修方法(図2に図示したような欠損箇所Dが生じた排水溝ブロック1に係るブロック上部1Aの改修方法)について説明する。尚、本実施例は、一対の被覆板体2を用いて左右の側壁1aの双方に改修を行った場合であるが、場合によっては、一つの被覆板体2により片側の側壁1aを改修するようにしても良い。
【0056】
先ず、図3に図示したように改修対象となる排水溝ブロック1から蓋体4を外して、切断装置5で溝20aを形成する。具体的には、切断装置5に係る走行部5Aを側壁1aの頂面を走行させ、この状態で切断部5Bの切断刃13を回転させ、排水溝ブロック1が敷設される敷設部位20にして側壁1aの上部外面の近傍部位(舗装部位)に所定深さ(約2cm)の溝20aを形成する。この溝20aは側壁1aの外側面に沿って形成される。
【0057】
また、この走行部5Aが側壁1aを走行する際、補助走行部5Cに係る車輪11も側壁1aの内面に当接して走行しており、よって、安定した走行が得られる。
【0058】
続いて、図4に図示したように欠損箇所Dを修繕用部材3で修繕する。蓋体載置段部1cを修繕する際には、ジャッキ装置14(回動螺子棒14Aの回動により左右に突没移動する左右のリンク部材14B)に設けられた型枠14a,14bを用いて行う。尚、欠損箇所Dを修繕した後に切断装置5で溝20aを形成するようにしても良い。
【0059】
続いて、図5に図示したように修繕済みの側壁1aに接着剤15を介して被覆板体2で被覆する。この際、被覆板体2の上側被覆部2aは側壁1aの頂面を被覆し、外側被覆部2bは溝20aに挿入されて側壁1aの上部外面を被覆し、内側被覆部2cに係る第一被覆部2c’側壁1aの蓋体載置段部1cまでの内面、第二被覆部2c''は側壁1aの蓋体載置段部1c、第三被覆部2c'''は側壁1aの蓋体載置段部1cから下方所定位置までの内面を被覆する(被覆板体2を構成する各部位を軽く叩くなどして側壁1aの形状に合致させる。)。その後、アスファルト等の特殊合材を外側被覆部2bと溝20aとの隙間を埋めたり敷設部位20との段差を無くすように打設するなど仕上げ処理を行い、新しい蓋体4を蓋体載置段部1c(被覆板体2に係る第二被覆部2c''の上面)に載置して作業は終了となる。
【0060】
本実施例は上述のように構成したから、従来から行われている改修方法のように、排水溝ブロック1のブロック上部1Aを切除するような作業は必要なく、単にコンクリートやモルタルなどの修繕用部材3で欠損箇所Dを修繕したブロック上部1Aに被覆板体2で被覆するだけであり、簡易且つ迅速に排水溝の改修が行われ、しかも、コスト安である。
【0061】
また、本実施例は、排水溝ブロック1のブロック上部1Aを切除してコンクリート成形品を配設したり、或いは、型枠を配設してコンクリートを打設したりする場合に必要となる強度計算や、この強度計算に基づく施工が不要であり、排水溝ブロック1が持つ強度をそのまま利用して改修が行われることになり、しかも、欠損箇所Dの修繕作業の後に被覆板体2で被覆することになるから、修繕用部材3が被覆板体2の表面に付着してしまうようなことがなく仕上がり状態が良好となる。
【0062】
また、本実施例は、排水溝ブロック1のブロック上部1Aを切除したりしないから産業廃棄物の排出を抑制することができ、しかも、建設機械をほとんど使用しない為、二酸化炭素の排出量も抑制し得ることになるなど、環境にやさしい工法となる。
【0063】
また、本実施例は、被覆板体2がブロック上部1Aの表面形状と同形状の為、蓋体4の載置に支障を来さず、また、排水溝ブロック1が敷設される敷設部位20と干渉したりしない。
【0064】
また、本実施例は、排水溝ブロック1として、底壁1bの左右に側壁1aが立設され、この夫々の側壁1aの上部内面には蓋体4を載置する蓋体載置段部1cが設けられた断面U字状の排水溝ブロック1を採用し、被覆板体2は、側壁1aの上部外面,頂面,蓋体載置段部1cまでの内面,前記蓋体載置段部1c及び前記蓋体載置段部1cから下方所定位置までの内面を被覆する形状であるから、被覆板体2は排水溝ブロック1に係る側壁1aに対して掛け止め状態となり、単にブロック上部1Aの上面に載置されるだけの場合に比し、被覆板体2はそれだけ堅固に被覆されることになる。
【0065】
また、本実施例は、排水溝ブロック1が敷設される敷設部位20の端部に所定深さの溝20aを形成した後、被覆板体2をこの溝20aに一部嵌入して被覆するから、被覆板体2での被覆作業が極めて簡易且つ良好に行えることになる。具体的には、この溝20aにより排水溝ブロック1の側壁1aの上部外面を被覆する外側被覆部2bを良好に配設し得ることになる。
【0066】
また、本実施例は、被覆板体2は金属板を折曲形成して構成されているから、簡易構造故にコスト安にして量産性に秀れることになる。
【0067】
また、本実施例は、既存の排水溝の流れを止めることなく施工することができる。
【0068】
尚、本実施例は、排水溝ブロック1として前述したように側壁1aの上部内面に蓋体載置段部1cを設けたタイプを採用しているが、この蓋体載置段部1cが無い断面U字状タイプの排水溝ブロック1においても前述した被覆板体2の作用効果は奏されるものである。
【実施例2】
【0069】
本発明の具体的な実施例2について図9〜10に基づいて説明する。
【0070】
本実施例は、排水溝を形成する排水溝ブロック1として、現場でコンクリートを打設して形成される排水溝ブロック1(所謂現場打ちブロック)が採用されている。
【0071】
具体的には、この排水溝ブロック1は、敷設部位20に形成される凹溝の底に形成される底部材1fの左右に側壁1aが立設され、この側壁1aの内面上部には蓋体4を載置する蓋体載置段部1cが設けられた断面U字状の排水溝ブロック1(所謂U字溝)が採用されており、この側壁1a上部間にして蓋体載置段部1c間に蓋体4を設けて使用する。排水溝ブロック1のブロック上部1Aとは、側壁1a夫々の上端部であり、蓋体載置段部1cよりも下方位置までを指す。
【0072】
また、このタイプの排水溝ブロック1は、前述した実施例1のような成形品(プレキャストコンクリートブロック)に比して側壁1aにおける頂面の巾が広い場合が多く、この場合、頂面(ブロック自体)に溝1a’を形成し該溝1a’に被覆板体2の外側被覆部2bが挿入される。
【0073】
これは、被覆板体2のサイズは統一されていた方が製造が簡易でコスト安であり、しかも、幅の広い側壁1aにおける頂面の全てを被覆するようにした場合、それだけ金属面(滑り易い面)の面積が広くなってしまうが、本実施例の構造であればこれを確実に防止することができる。
【0074】
また、現場打ちの排水溝ブロック1は、側壁1aの頂面の巾は一定でなく、この点においても頂面に被覆板体2の外側被覆部2bを挿入する溝1a’を形成することは有用である。
【0075】
以上の構成から成る被覆板体2と切断装置5を使用した排水溝の改修方法(欠損箇所Dが生じた排水溝ブロック1に係るブロック上部1Aの改修方法)について説明する。尚、本実施例は、一対の被覆板体2を用いて左右の側壁1aの双方に改修を行った場合であるが、場合によっては、一つの被覆板体2により片側の側壁1aを改修するようにしても良い。
【0076】
先ず、改修対象となる排水溝ブロック1から蓋体4を外して、切断装置5で溝1a’を形成する。具体的には、切断装置5に係る走行部5Aを側壁1aの頂面を走行させ、この状態で切断部5Bの切断刃13を回転させ、排水溝ブロック1の側壁1aの頂面に所定深さ(約2cm)の溝1aを形成する。この溝1aは側壁1aの長さ方向全域に形成される。
【0077】
また、この走行部5Aが側壁1aを走行する際、補助走行部5Cに係る車輪11も側壁1aの内面に当接して走行しており、よって、安定した走行が得られる。
【0078】
続いて、図9に図示したように欠損箇所Dを修繕用部材3で修繕する。蓋体載置段部1cを修繕する際には、ジャッキ装置14(回動螺子棒14Aの回動により左右に突没移動する左右のリンク部材14B)に設けられた型枠14a,14bを用いて行う。尚、欠損箇所Dを修繕した後に切断装置5で溝1aを形成するようにしても良い。
【0079】
続いて、図10に図示したように修繕済みの側壁1aに接着剤15を介して被覆板体2で被覆する。この際、被覆板体2の上側被覆部2aは側壁1aの頂面を被覆し、外側被覆部2bは溝1a’に挿入され、内側被覆部2cに係る第一被覆部2c’は側壁1aの蓋体載置段部1cまでの内面、第二被覆部2c''は側壁1aの蓋体載置段部1c、第三被覆部2c'''は側壁1aの蓋体載置段部1cから下方所定位置までの内面を被覆する(被覆板体2を構成する各部位を軽く叩くなどして側壁1aの形状に合致させる。)。その後、コンクリート等を外側被覆部2bと溝1a’との隙間を埋めたり頂面との段差を無くすように打設するなど仕上げ処理を行い、新しい蓋体4を蓋体載置段部1c(被覆板体2に係る第二被覆部2c''の上面)に載置して作業は終了となる。
【0080】
尚、図示していないが被覆板体2に係る第二被覆部2c''の上面には緩衝部材17が適宜設けられる。
【0081】
その余は実施例1と同様である。
【実施例3】
【0082】
本発明の具体的な実施例3について図11〜15に基づいて説明する。
【0083】
本実施例に係る排水溝ブロック1としては、図12に図示したように開口窓1eを有する所定の天壁1dの左右に側壁1aが垂設され、開口窓1eの内面上部には蓋体4を載置する蓋体載置段部1cが設けられた断面逆U字状の排水溝ブロック1が採用されており、この蓋体載置段部1cに蓋体4が載置されて開口窓1eが閉塞される構成である。この排水溝ブロック1のブロック上部1Aとは、天壁1dであり、蓋体載置段部1cよりも下方位置にして側壁1a夫々との境界位置までを指す。符号1fは敷設部位20に形成される凹溝の底に形成される底部材であり、この底部材1f上に排水溝ブロック1が載置される。
【0084】
また、本実施例に係る被覆板体2は、図11に図示したように適宜な金属製の長尺の薄板材を折曲して形成されており、長さと幅は排水溝ブロック1の長さと幅と同一の長さLに設定され、ブロック上部1Aに被嵌した際、ブロック上部1A全部を被覆し得るように構成されている。尚、被覆板体2は型による成形品でも良い。
【0085】
被覆板体2は、排水溝ブロック1の天壁1dの頂面を被覆する上側被覆部2a、敷設部位20に形成する溝20aに挿入され天壁1dの上部外面を被覆する外側被覆部2bを有する構成である。
【0086】
また、外側被覆部2b夫々の前後位置には孔2b’が形成されており、この孔2b’は、堅固な固定状態が要求される場面において、天壁1dの上部外面とボルト止めや杭止めする際に使用する。
【0087】
外側被覆部2bは基板部2aの全縁に設けなくても良く、断続的に設けるようにしても良い。また、敷設部位20に形成する溝20aを排水溝ブロック1に係る側壁1aの上部外面から離れた位置に設けた場合には、この溝20aに外側被覆部2bを挿入するようにすれば良い(つまり、必ずしも外側被覆部2bは側壁1aの上部外面に当接する必要はない。)。
【0088】
また、上側被覆部2aの中央には板材の打ち抜き成形により開口部2a’が設けられ、この開口部2a’の対向する左右対向縁夫々には天壁1dの上部内面を被覆する切欠き片(内側被覆部2c)が設けられている。
【0089】
この内側被覆部2cは、蓋体載置段部1cまでの天壁1dの内面を被覆する第一被覆部2c’、天壁1dの蓋体載置段部1cを被覆する第二被覆部2c''及び天壁1dの蓋体載置段部1cから下方所定位置までの内面を被覆する第三被覆部2c'''で構成されている。
【0090】
また、被覆板体2に係る上側被覆部2aの左右上面には滑り止め部16が設けられている。
【0091】
この滑り止め部16は、表面に突起16aを多数形成した金属製のプレート16を上側被覆部2aの上面に重合溶接して構成されている。
【0092】
尚、滑り止め部16としては、摩擦抵抗の高いラバーなどの合成樹脂を吹き付けて形成したり、上側被覆部2aの表面に窓孔を形成してブロックの表面を露出させることで形成するようにしても良いが、本実施例のように金属プレートを重合する構造は強度面に秀れる。
【0093】
以上の構成から成る被覆板体2と切断装置5を使用した排水溝の改修方法(図12に図示した欠損箇所Dが生じた排水溝ブロック1に係るブロック上部1Aの改修方法)について説明する。
【0094】
先ず、図13に図示したように改修対象となる排水溝ブロック1から蓋体4を外して、切断装置5で溝20aを形成する。具体的には、切断装置5に係る走行部5Aを天壁1dの頂面を走行させ、この状態で切断部5Bの切断刃13を回転させ、排水溝ブロック1が敷設される敷設部位20にして天壁1dの上部外面の近傍部位(舗装部位)に所定深さ(約2cm)の溝20aを形成する。この溝20aは天壁1dの外側面に沿って形成される。
【0095】
続いて、図14に図示したように欠損箇所Dを修繕用部材3で修繕する。蓋体載置段部1cを修繕する際には、ジャッキ装置14(回動螺子棒14Aの回動により左右に突没移動する左右のリンク部材14B)に設けられた型枠14a,14bを用いて行う。尚、欠損箇所Dを修繕した後に切断装置5で溝20aを形成するようにしても良い。
【0096】
続いて、図15に図示したように修繕済みの天壁1dに接着剤15を介して被覆板体2で被覆する。この際、被覆板体2の上側被覆部2aは天壁1dの頂面を被覆し、外側被覆部2bは溝20aに挿入されて天壁1dの上部外面を被覆し、内側被覆部2cに係る第一被覆部2c’は天壁1dの蓋体載置段部1cまでの内面、第二被覆部2c''は天壁1dの蓋体載置段部1c、第三被覆部2c'''は天壁1dの蓋体載置段部1cから下方所定位置までの内面を被覆する(被覆板体2を構成する各部位を軽く叩くなどして天壁1dの形状に合致させる。)。その後、アスファルト等の特殊合材を外側被覆部2bと溝20aとの隙間を埋めたり敷設部位20との段差を無くすように打設するなど仕上げ処理を行い、新しい蓋体4を蓋体載置段部1c(被覆板体2に係る第二被覆部2c''の上面)に載置して作業は終了となる。
【0097】
尚、図示していないが本実施例に係る排水溝の改修方法に際し、改修対象となる排水溝ブロック1のブロック上部1Aに生じた欠損箇所Dを、コンクリートやモルタルなどの修繕用部材3で修繕するとともに、排水溝ブロック1に係る天壁1dの頂面に溝を形成し、その後、その溝に被覆板体2の外側被覆部2bを挿入し修繕箇所を含む上部を被覆板体2で被覆するようにしても良い。また、被覆板体2に係る第二被覆部2c''の上面には緩衝部材17が適宜設けられる。
【0098】
その余は実施例1,2と同様である。
【0099】
尚、本発明は、実施例1〜3に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【符号の説明】
【0100】
D 欠損箇所
1 排水溝ブロック
1A ブロック上部
1a 側壁
1a’ 溝
1b 底壁
1c 蓋体載置段部
1d 天壁
1e 開口窓
2 被覆板体
3 修繕用部材
4 蓋体
17 緩衝部材
20 敷設部位
20a 溝
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水溝ブロックを敷設して形成される排水溝の改修方法であって、改修対象となる前記排水溝ブロックのブロック上部に生じた欠損箇所を、コンクリートやモルタルなどの修繕用部材で修繕し、その後、前記修繕箇所を含む上部を当該上部の表面形状と同形状の被覆板体で被覆することを特徴とする排水溝の改修方法。
【請求項2】
請求項1記載の排水溝の改修方法において、前記排水溝ブロックとして、底壁の左右に側壁が立設され、この夫々の側壁の内面上部には蓋体を載置する蓋体載置段部が設けられた断面U字状の排水溝ブロックを採用し、前記被覆板体は、前記側壁の上部外面,頂面,前記蓋体載置段部までの内面,前記蓋体載置段部及び前記蓋体載置段部から下方所定位置までの内面を被覆する形状であることを特徴とする排水溝の改修方法。
【請求項3】
請求項1記載の排水溝の改修方法において、前記排水溝ブロックとして、開口窓を有する天壁の左右に側壁が垂設され、前記開口窓の夫々の内面には蓋体を載置する蓋体載置段部が設けられた断面逆U字状の排水溝ブロックを採用し、前記被覆板体は、前記天壁の上部外面,頂面,前記開口窓の蓋体載置段部までの内面,前記蓋体載置段部及び前記開口窓の蓋体載置段部から下方所定位置までの内面を被覆する形状であることを特徴とする排水溝の改修方法。
【請求項4】
請求項2,3いずれか1項に記載の排水溝の改修方法において、前記被覆板体にして前記蓋体載置段部を被覆する部分には、前記蓋体のガタつきを防止する緩衝部材が設けられていることを特徴とする排水溝の改修方法。
【請求項5】
請求項1記載の排水溝の改修方法において、前記排水溝ブロックとして、底壁の左右に側壁が立設された断面U字状の排水溝ブロックを採用し、前記被覆板体は、前記側壁の上部外面,頂面及び上部内面を被覆する形状であることを特徴とする排水溝の改修方法。
【請求項6】
請求項1〜5いずれか1項に記載の排水溝の改修方法において、前記排水溝ブロックに所定深さの溝を形成した後、前記被覆板体をこの溝に一部嵌入して被覆することを特徴とする排水溝の改修方法。
【請求項7】
請求項1〜6いずれか1項に記載の排水溝の改修方法において、前記排水溝ブロックが敷設される敷設部位の端部に所定深さの溝を形成した後、前記被覆板体をこの溝に一部嵌入して被覆することを特徴とする排水溝の改修方法。
【請求項8】
請求項1〜7いずれか1項に記載の排水溝の改修方法において、前記被覆板体は前記排水溝ブロックの長さと同じ長さであることを特徴とする排水溝の改修方法。
【請求項9】
請求項1〜8いずれか1項に記載の排水溝の改修方法において、前記被覆板体は接着剤を介して配設することを特徴とする排水溝の改修方法。
【請求項10】
請求項1〜9いずれか1項に記載の排水溝の改修方法において、前記被覆板体は金属板を折曲して形成されるものであることを特徴とする排水溝の改修方法。
【請求項1】
排水溝ブロックを敷設して形成される排水溝の改修方法であって、改修対象となる前記排水溝ブロックのブロック上部に生じた欠損箇所を、コンクリートやモルタルなどの修繕用部材で修繕し、その後、前記修繕箇所を含む上部を当該上部の表面形状と同形状の被覆板体で被覆することを特徴とする排水溝の改修方法。
【請求項2】
請求項1記載の排水溝の改修方法において、前記排水溝ブロックとして、底壁の左右に側壁が立設され、この夫々の側壁の内面上部には蓋体を載置する蓋体載置段部が設けられた断面U字状の排水溝ブロックを採用し、前記被覆板体は、前記側壁の上部外面,頂面,前記蓋体載置段部までの内面,前記蓋体載置段部及び前記蓋体載置段部から下方所定位置までの内面を被覆する形状であることを特徴とする排水溝の改修方法。
【請求項3】
請求項1記載の排水溝の改修方法において、前記排水溝ブロックとして、開口窓を有する天壁の左右に側壁が垂設され、前記開口窓の夫々の内面には蓋体を載置する蓋体載置段部が設けられた断面逆U字状の排水溝ブロックを採用し、前記被覆板体は、前記天壁の上部外面,頂面,前記開口窓の蓋体載置段部までの内面,前記蓋体載置段部及び前記開口窓の蓋体載置段部から下方所定位置までの内面を被覆する形状であることを特徴とする排水溝の改修方法。
【請求項4】
請求項2,3いずれか1項に記載の排水溝の改修方法において、前記被覆板体にして前記蓋体載置段部を被覆する部分には、前記蓋体のガタつきを防止する緩衝部材が設けられていることを特徴とする排水溝の改修方法。
【請求項5】
請求項1記載の排水溝の改修方法において、前記排水溝ブロックとして、底壁の左右に側壁が立設された断面U字状の排水溝ブロックを採用し、前記被覆板体は、前記側壁の上部外面,頂面及び上部内面を被覆する形状であることを特徴とする排水溝の改修方法。
【請求項6】
請求項1〜5いずれか1項に記載の排水溝の改修方法において、前記排水溝ブロックに所定深さの溝を形成した後、前記被覆板体をこの溝に一部嵌入して被覆することを特徴とする排水溝の改修方法。
【請求項7】
請求項1〜6いずれか1項に記載の排水溝の改修方法において、前記排水溝ブロックが敷設される敷設部位の端部に所定深さの溝を形成した後、前記被覆板体をこの溝に一部嵌入して被覆することを特徴とする排水溝の改修方法。
【請求項8】
請求項1〜7いずれか1項に記載の排水溝の改修方法において、前記被覆板体は前記排水溝ブロックの長さと同じ長さであることを特徴とする排水溝の改修方法。
【請求項9】
請求項1〜8いずれか1項に記載の排水溝の改修方法において、前記被覆板体は接着剤を介して配設することを特徴とする排水溝の改修方法。
【請求項10】
請求項1〜9いずれか1項に記載の排水溝の改修方法において、前記被覆板体は金属板を折曲して形成されるものであることを特徴とする排水溝の改修方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−153514(P2011−153514A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−270044(P2010−270044)
【出願日】平成22年12月3日(2010.12.3)
【出願人】(510003807)株式会社 北澤工業 (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月3日(2010.12.3)
【出願人】(510003807)株式会社 北澤工業 (2)
【Fターム(参考)】
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