説明

排煙脱硝装置における脱硝触媒活性改良方法

【課題】 本発明では、シリカ・アルミナ・硫酸カルシウム系の被毒物質で活性が低下した脱硝触媒の活性の回復方法を提供することを目的とするものである。
【解決手段】 シリカ・アルミナ・硫酸カルシウム系の被毒物質で活性が低下した脱硝触媒を予め水洗いし、含水させた後に有機酸とフッ化水素酸との混酸を用いて同物質を常温で洗浄除去することを特徴とし、上記混酸の有機酸がシュウ酸又はクエン酸であって、活性が低下した脱硝触媒に上記混酸をかけ流した後、又は上記混酸を入れたタンクに脱硝触媒を所定時間浸漬し引き上げた後、触媒底部から送風して水切りを行うことを特徴とする触媒活性の改良方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボイラー等の排ガスに使用する排煙脱硝装置において、被毒物質が触媒に蓄積し、それによって活性が低下した脱硝触媒の活性の改良方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の石炭性状の多様化や運用形態の変化も加わり、触媒表面にシリカ・アルミナ・硫酸カルシウム系の被毒物質の緻密なコート層を形成し、従来の触媒の再生工法では上記被毒物質が十分に除去されないケースが見られるようになってきている。
【0003】
シリカ系の被毒物質で性能低下した脱硝触媒の再生方法として、洗浄液中のフッ化水素酸の濃度を0.3〜3重量%とし、溶解除去力高めるために洗浄液温を40〜80℃に維持する方法が用いられた(特許文献1)。
【0004】
一般的にフッ化水素酸はシリカに対して著しく溶解除去力が高いことが知られている。
フッ化水素酸は、濃度を高くすれば被毒物質の溶解除去力が増す反面、副作用として触媒強度を低下させる問題がある。
又フッ化水素酸で活性が低下した触媒を直接洗うと、溶解除去力が大きいことから被毒物質の溶解除去だけでなく、触媒成分のバナジウムやタングステンも溶出し、反って性能回復が悪くなることがある。さらに、フッ化水素酸の液温を高めると低濃度でも溶解力が大きくなり、前述の触媒強度低下を助長する恐れがある。
【0005】
又触媒には、被毒物質のシリカ以外にフッ化水素酸と反応して難溶性の化合物を生成するカルシウム成分も含まれており、同化合物が被毒物質のコート層に沈着した場合、シリカの溶解除去を阻害する問題がある。
【0006】
一方、触媒は多孔質であり、その乾燥重量の2〜3割相当の吸水能力がある。
このため、そのままで触媒の洗浄に入ると、洗浄液の消費量が甚だしいだけではなく、必要でない触媒の構成素材内部にまで洗浄液中のフッ化水素酸が浸入し、触媒強度の維持に必要な無機繊維中のシリカの溶解による触媒強度の低下の原因となる。
【0007】
又被毒物質の組成に近い物質を含む燃焼灰も付着しており、フッ化水素酸がこれらの溶解にも費やされるので、予め洗浄液中のフッ化水素酸濃度を高めておかないと溶解除去力の不足につながる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第3377715号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
現行の触媒活性の改良工法では、繰り返し施工した場合や長期使用で著しく活性が低下している触媒で再生率が低下し、洗浄時間を長くしないと十分な効果が得られなくなるケースがある。
洗浄時間の延長は、施工期間の延長につながるため、工期の面から触媒活性改良工法の適用が困難になることも考えられる。
この原因は、次の1、2、3であることを突き止めた。
1.シリカ・アルミナ・硫酸カルシウム系の被毒物質のコート層が運用条件によっては緻密化し、難溶化する。
2.シリカ・アルミナ・硫酸カルシウム系の被毒物質のコート層の中でシリカ成分の除去が不十分となる。
3.再生によるシリカ・アルミナ・硫酸カルシウム系の被毒物質のコート層が十分除去できないと触媒成分を追加付着させても性能回復させなければならない。
本発明では、シリカ・アルミナ・硫酸カルシウム系の被毒物質で活性が低下した脱硝触媒の活性の回復方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するため本発明は
第1にボイラー等の排ガスに使用する排煙脱硝装置における触媒活性改良方法において、シリカ・アルミナ・硫酸カルシウム系の被毒物質で活性が低下した脱硝触媒を予め水洗いし、含水させた後に有機酸とフッ化物との混液を用いて同物質を常温で洗浄除去することを特徴とする排煙脱硝装置における触媒活性改良方法、
第2に上記混液の有機酸がシュウ酸又はクエン酸である上記第1発明記載の排煙脱硝装置における触媒活性改良方法、
第3に上記混液のフッ化物がフッ化水素酸又は水溶性フッ化物塩である上記第1発明記載の排煙脱硝装置における触媒活性改良方法、
第4に活性が低下した上記脱硝触媒に上記混液をかけ流した後、引き上げて水切りした後、フッ化物を後工程に持ち込まないように付着混液を水又は希薄な有機酸でリンスし、さらに触媒成分を含む水溶液でリンスして洗い流した後、触媒底部から送風して水切りを行うことを特徴とする上記第1〜第3発明の何れかに記載の排煙脱硝装置における触媒活性改良方法、
第5に上記触媒成分がバナジウム化合物とタングステン化合物である上記第4発明記載の排煙脱硝装置における触媒活性改良方法、
第6に上記混液の槽中に上記触媒を浸漬し、該触媒上部に設置したポンプで上記混液を該触媒底部から吸引し循環流動させた後、引き上げて水切りした後、上記フッ化物を後工程に持ち込まないように付着混液を水又は希薄な有機酸でリンスして洗い流した後、該触媒の底部から送風して水切りを行うことを特徴とする上記第1〜第3発明のいずれかに記載の排煙脱硝装置における触媒活性改良方法、
第7に触媒上部から、混液をシャワーノズルで散布し、触媒底部から流れ出る混液を回収し、ポンプで汲み上げてシャワーノズルに供給して循環洗浄後、引き上げて水切りした後、フッ化物を後工程に持ち込まないように付着混液を水又は希薄な有機酸でリンスし、さらに触媒成分を含む水溶液でリンスして洗い流した後、同触媒の底部から送風して水切りを行うことを特徴とする上記第1〜第4発明のいずれかに記載の排煙脱硝装置における触媒活性改良方法、
によって構成される。
【0011】
シリカ・アルミナ・硫酸カルシウム系の被毒物質でコーティングされた活性の低下した触媒を、予め水洗いを行い、飽和吸水させた後に、有機酸とフッ化物の混液による洗浄を行う。
有機酸としては、アルミナやカルシウム化合物の除去に有効なシュウ酸又はクエン酸が望ましい。
上記混液による洗浄は、上記槽内の混液浴への浸漬洗浄、循環シャワー洗浄のいずれかで数分間すれば良い。
洗浄後は、フッ化物を後工程に持ち込まないように付着混液を十分に水又は希薄な有機酸でリンスして洗い流した後、触媒底部から送風して水切りを行う。
【発明の効果】
【0012】
混液で洗浄する前に、予め触媒を水洗いして吸水させておくことで、以下の効果が得られる。
1.シリカ・アルミナ・硫酸カルシウム成分を含有する付着灰の大半が取り除かれるため、同付着灰の溶解に消費される混液の量と濃度を低減できる。
2.混液洗浄時における触媒及び触媒間(図8の間隙t)に介在する触媒緩衝材としてのセラミックスペーパーへの混液の吸収が抑制されることで混液消費量の大幅な削減。
3.セラミックスペーパーの隙間内に水分が満たされることで、混液の上記ペーパーへの侵入が阻止され、混液によるセラミックスペーパーの損傷と脱落を防止。
4.触媒内部に吸水した水分で混液が侵入するのを阻止することで、触媒強度を高めるために添加されているフィラー中のシリカの溶解による触媒強度の低下防止。
5.混液が触媒内部に吸収されずに触媒表面の数ミクロン以下の極薄い被毒物質コート層に作用するため、低い酸濃度で且つ触媒自体の損傷を抑えて洗浄ができる。
6.フッ化水素酸の代わりにフッ化物塩を使用することで作業環境中のフッ化水素濃度が低く抑えられるので層内装着での触媒洗浄作業も可能となる。
7.混液として水溶性フッ化物塩を使用する場合は、混液が毒物ではないので、屋内での洗浄作業が可能となる。
【0013】
有機酸とフッ化物との混液にすることで、以下の効果が得られる。
1.フッ化物と反応してシリカの溶解促進を阻害する難溶性の化合物を生成するカルシウム化合物が存在する場合でも、有機酸でこれを溶解できる。
2.シリカ・アルミナ・硫酸カルシウム化合物系の被毒物質のコート層を数分間で溶解除去できる。
3.触媒の強度低下に影響を与えるフッ化物の濃度を抑えて、加温することなく常温でシリカ・アルミナ・硫酸カルシウム系の被毒物質コート層を洗浄除去できる。
4.上記フッ化物洗浄により触媒成分が溶出し、触媒成分の損失を補うため、触媒成分(バナジウム化合物とタングステン化合物)を含む水溶液でリンスし、触媒表面の触媒成分を補填し、触媒性能の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】被毒物質の水洗い状態図である。
【図2】混液浸漬による被毒物質除去工程図である。
【図3】送風水切り状態図である。
【図4】供給タンク内の混液をシャワーノズルで散布し、該混液をシート上で回収し、これをポンプ及びパイプでケースに循環させる工程図である。この工程の前に清水洗浄を行う。
【図5】混酸洗浄後の水又はリンス液12による洗浄状態図である。
【図6】送風水切り状態図である。
【図7】脱硝装置内の脱硝触媒の洗浄状態図である。
【図8】触媒の間隙を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、ボイラー等の排ガスに使用する排煙脱硝装置において、シリカ・アルミナ・硫酸カルシウム系の被毒物質でコーティングされた活性の低下した触媒(バナジウムとチタニアを主成分とする脱硝触媒)2をバスケット1内に保持し、これを水槽3内の清水4内に浸漬して予め水洗いすること(図1)、又はシャワーノズル10での散水による触媒2の水洗い工程(図5)によって付着灰を取り除く構成、次にこれを常温の混液収容槽5内に浸漬し、混液6をポンプ7及びパイプ8で上記バスケット1内を通過循環させる混液での洗浄工程(図2)、又はシャワーノズル10によって混液6を散布する洗浄工程(図4)、洗浄後のバスケット1の付着混液を水又は希薄な有機酸(リンス液12)でリンスして洗い流すリンス工程13(図5)、及び図3、図6に示す送風ブロワー9による水切り乾燥工程からなる。
【0016】
<触媒層内での循環散布洗浄のケース>
基本的には、特許第3872656号及び特許第4263930号に記載の方法に準じて実施する。即ち、図7に示すように脱硝装置14内にセットされた状態の脱硝触媒2の上からシャワーノズル10によって混液を散布するが、その前の工程として図4のシャワーノズル10での散水による触媒の水洗い工程が追加される。
触媒の水洗いに先立ち、100本前後の触媒が収まったバスケット1間の隙間(バスケット1を複数台並設する場合)や、バスケット1内に並設されている隣接する触媒2間の隙間tに弾力性のあるスポンジ15をつめるか(図8)、或いは耐水テープ15で目張りを行う。
これは、バスケット1内や触媒2間の隙間t内に詰まっている灰は次の1、2の理由から、上記隙間tに、極力洗浄液がかからないようにすることが、薬品の使用量と濃度の低減から有利なためである。
【0017】
1.完全に洗い流すには長時間を要し、且つ洗浄水量が大量に必要となり、
また排水処理量も増える。
2.除去すべき触媒表面の被毒物質の量に比べてはるかに多く、薬品消費量が多くなる。
【0018】
目張りを終えた触媒上部から清水を散水して触媒内の付着灰を洗い流し、触媒の下部から流れ出る水の濁りがない程度にまで十分に洗い流すことで、全ての触媒に十分吸水させる。
このとき発生した排水は、排水処理装置にかけて排水の性状に応じた処理を行い、放流する。
水洗い後の触媒バスケットから水が垂れない状態になったら、供給タンク5に溶解した2wt%のシュウ酸とフッ化水素酸0.5wt%又は0.5〜5.0wt%のフッ化アンモニウムとの混液6を所定流量と所定時間で触媒2上部から散布し、触媒2下部から流出してくる混液をシート上で回収し、ポンプ7で回収ピット5(又は回収タンク)に移送する(図4)。
回収ピット5に回収した混液は、供給タンクレベルの制御でポンプを自動発停させ、供給タンクへ補給を行う。
【0019】
混液6での洗浄条件は、洗浄流量が約15L/分・本、洗浄時間が5分程度で良い。
洗浄中は、混液濃度を定期的にモニターして濃度が初期濃度の約8割にまで低下したら、初期濃度になるように各酸液を回収タンクに追加補充する。
混液6で所定時間洗浄後、フッ化物を後工程に持ち込まないように付着混液を十分に水又は希薄(1〜2wt%)な有機酸(シュウ酸又はクエン酸)でリンスして洗い流した後、さらに触媒成分を含む水溶液でリンスする。そして、触媒バスケット1底部から送風ブロワー9で空気を送風し、液が滴り落ちない程度まで水切りを行う(図6)。上記触媒成分はバナジウム化合物(0.1〜2.0wt%)とタングステン化合物(0.1〜5.0wt%)であって、上記フッ化物洗浄による触媒成分の溶出を阻止し、触媒表面の触媒成分を補填することができる。
水切り後の触媒バスケット1は、触媒2を装着後、自然乾燥又は送風機による通風乾燥若しくは通常の運転操作の中で排ガスを導入し、乾燥することで触媒活性の改良効果が得られる。
【0020】
<脱硝装置から取り外しての洗浄のケース その1>
触媒バスケット1は、予め真空掃除機や圧縮空気によるエアブローで堆積灰や付着灰を取り除いた状態で、触媒バスケット1が完全に浸漬できるサイズの水槽3に清水4を張り込み、この水槽3に触媒バスケット1を1分間程度浸漬する(図1)。
浸漬後、触媒バスケット1を引き上げて、高さ20cm程度のH型鋼を平行に2本並べた上に触媒バスケット1を置き、水4が滴り落ちない程度まで水切りを行う。
【0021】
水切り完了後、触媒バスケット1を2wt%のシュウ酸と0.5wt%のフッ化水素酸又は2.5%のフッ化アンモニウムとの混液6を完全に浸漬できる程度まで張り込んだ回収ピット5に約5分間浸漬する(図2)。この場合、回収ピット5内に水中ポンプ7を入れて、起動停止を行い、間欠的に混液6を攪拌させ溶解平衡状態を乱すことで洗浄除去効果を高めても良い。
所定時間浸漬した後、触媒バスケット1を引き上げて、フッ化物を後工程に持ち込まないように付着混液を十分に水又は希薄(1〜2wt%)な有機酸(シュウ酸又はクエン酸)でリンスし、さらに触媒成分(バナジウム化合物とタングステン化合物)を含む水溶液でリンスして洗い流した後、高さ20cm程度のH型鋼を平行に2本並べた上に触媒バスケット1を置き、底部からブロワー9で送風して、水が滴り落ちない程度まで水切りを行う(図3)。
水切り後の触媒バスケット1は、触媒2を装着後、通常の運転操作の中で排ガスを導入し、乾燥することで触媒2の活性の改良効果が得られる。
【0022】
<脱硝装置から取り外しての洗浄のケース その2>
触媒バスケット1は、予め真空掃除機や圧縮空気によるエアブローで堆積灰や付着灰を取り除いた状態で、触媒バスケット1が完全に浸漬できるサイズの水槽3に清水4を張り込み、この水槽3に触媒バスケット1を1分間程度浸漬する(図1)。
浸漬後、触媒バスケット1を引き上げて、高さ20cm程度のH型鋼を平行に2本並べた上に触媒バスケット1を置き、水4が滴り落ちない程度まで水切りを行う(図3)。
【0023】
水洗い後の触媒バスケット1から水が垂れない状態になったら、供給タンク5に溶解した2wt%のシュウ酸とフッ化水素酸0.5wt%又は0.5〜5.0wt%のフッ化アンモニウムとの混液6を所定流量と所定時間で触媒上部から散布し、触媒下部から流出してくる混液をシート上で回収し、ポンプ7で回収ピット5(又は回収タンク)に移送する(図4)。
回収ピットに回収した混液は、供給タンクレベルの制御でポンプを自動発停させ、供給タンクへ補給を行う。
【0024】
混液6での洗浄条件は、洗浄流量が約15L/分・本、洗浄時間が5分程度で良い。
洗浄中は、混液濃度を定期的にモニターして濃度が初期濃度の約8割にまで低下したら、初期濃度になるように各酸液を回収ピット5に追加補充する。
混液6で所定時間洗浄後、フッ化物を後工程に持ち込まないように付着混液を十分に水又は希薄(1〜2wt%)な有機酸(シュウ酸又はクエン酸)でリンスし、さらに触媒成分(バナジウム化合物とタングステン化合物)を含む水溶液でリンスして洗い流した後(図5)、触媒バスケット1底部から送風ブロワー9で空気を送風し、液が滴り落ちない程度まで水切りを行う(図6)。
水切り後の触媒バスケット1は、触媒2を装着後、自然乾燥又は送風機による通風乾燥若しくは通常の運転操作の中で排ガスを導入し、乾燥することで触媒活性の改良効果が得られる。






【0025】
【表1】

【0026】
【表2】


















【0027】
【表3】

【0028】
【表4】


サンプル触媒の性能測定結果に示されるように、水洗い工程を追加すると共に、希釈な有機酸(シュウ酸2wt%)とフッ化物の混液を用いることで、0.5wt%の低濃度のフッ化水素酸を使用した常温の混液(ケース3、11、14)、即ち低濃度のフッ化水素酸であっても触媒の十分な再生を実現することができることがわかった。また、0.5wt%、2.5wt%の低濃度のフッ化アンモニウム(又はフッ化ナトリウム)を使用した常温の混液(ケース7,8,8”)、即ち低濃度のフッ化アンモニウム等の水溶性フッ化物塩を使用しても触媒の十分な再生を実現することができることがわかった。
フッ化アンモニウム等の水溶性フッ化物塩の濃度は5.0wt%(ケース8’)が上限であり、これ以上フッ化アンモニウムの濃度を増しても触媒の再生能力は変わらないことがわかった。このことから、水溶性フッ化物塩の濃度は、0.5wt%〜5.0wt%の範囲内の何れかの濃度が好ましい。
また、有機酸はクエン酸(2wt%)を用いても、上記と同様の結果が得られた。
【符号の説明】
【0029】
1 バスケット
2 触媒
3 水槽
4 清水
5 回収ピット
6 混液
7 ポンプ
8 パイプ
9 送風ブロワー
12 リンス液
13 リンス工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボイラー等の排ガスに使用する排煙脱硝装置における触媒活性改良方法において、シリカ・アルミナ・硫酸カルシウム系の被毒物質で活性が低下した脱硝触媒を予め水洗いし、含水させた後に有機酸とフッ化物との混液を用いて同物質を常温で洗浄除去することを特徴とする排煙脱硝装置における触媒活性改良方法。
【請求項2】
上記混液の有機酸がシュウ酸又はクエン酸である請求項1記載の排煙脱硝装置における触媒活性改良方法。
【請求項3】
上記混液のフッ化物がフッ化水素酸又は水溶性フッ化物塩である請求項1記載の排煙脱硝装置における触媒活性改良方法。
【請求項4】
活性が低下した上記脱硝触媒に上記混液をかけ流した後、引き上げて水切りした後、フッ化物を後工程に持ち込まないように付着混液を水又は希薄な有機酸でリンスし、さらに触媒成分を含む水溶液でリンスして洗い流した後、触媒底部から送風して水切りを行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の排煙脱硝装置における触媒活性改良方法。
【請求項5】
上記触媒成分がバナジウム化合物とタングステン化合物である請求項4記載の排煙脱硝装置における触媒活性改良方法。
【請求項6】
上記混液の槽中に上記触媒を浸漬し、該触媒上部に設置したポンプで上記混液を該触媒底部から吸引し循環流動させた後、引き上げて水切りした後、上記フッ化物を後工程に持ち込まないように付着混液を水又は希薄な有機酸でリンスして洗い流した後、該触媒の底部から送風して水切りを行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の排煙脱硝装置における触媒活性改良方法。
【請求項7】
触媒上部から、混液をシャワーノズルで散布し、触媒底部から流れ出る混液を回収し、ポンプで汲み上げてシャワーノズルに供給して循環洗浄後、引き上げて水切りした後、フッ化物を後工程に持ち込まないように付着混液を水又は希薄な有機酸でリンスし、さらに触媒成分を含む水溶液でリンスして洗い流した後、同触媒の底部から送風して水切りを行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の排煙脱硝装置における触媒活性改良方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2011−31237(P2011−31237A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−38145(P2010−38145)
【出願日】平成22年2月24日(2010.2.24)
【出願人】(501331142)九電産業株式会社 (7)
【Fターム(参考)】