説明

掘削機の回収、再組立方法

【課題】 掘進機の主要部を容易に回収でき、かつ再び管路内に引き戻して組み立て、再発進させることができ、また、掘進機の主要部を回収して再利用でき経済的な掘進機の回収兼再発進方法を提供する。
【解決手段】 進路に障害物があった場合、掘進機の掘進機外筒部から掘進機の主要部であり、カッター駆動体を構成する内筒部、カッターヘッド、カッター駆動部を切り離す。掘進機外筒部はその場に残置しておく。
主要部を回収し、障害物を取り、主要部を推進管内に搬入し、掘進機外筒部と一体化し再組立を行い、発進させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、内筒部回収可能型掘削機の掘削機回収兼再組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、下水道等の管路の建設において、既設の管路・人孔との接合や、到達立坑の用地が充分確保できないような場合、掘削完了後に掘進機を回収して引揚げることができないことが多い。
【0003】
また、掘削途中に切羽にシートパイルや杭のような障害物があると、先に進むことができなくなることがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
掘進機が回収できない場合、解体しなければならない。しかしながら、解体にあたっては狭い空間内において火器による切断など作業者にとって劣悪な作業が伴うと共に、掘削機が再利用できなくなり、資源の有効活用の面でも経済的に損失である。
【0005】
また、進路の途中に障害物がある場合、それを撤去する必要があるが、地上が例えば民家が密集した住宅地であったりすると地上側から立坑を掘ったりして切羽前面に作業者が入って作業を行うことができない、という課題がある。
【0006】
この発明は上記のことに鑑み提案されたもので、その目的とするところは、掘削機の主要部を容易に回収でき、かつ再び管路内に引き戻して掘削機を組み立て、再発進させることができ、また、回収した掘進機の主要部を再利用でき、経済的な掘進機の回収兼再発進方法を提供することにある。
この発明は、掘削機の主要部である、内筒を包有してなるカッター駆動体を回収・再組立して再発進するための条件として、掘進の途中に以前の工事で撤去できずに残置されたシートパイルや杭のような障害物が存在し、これを地上から撤去できない場合に適用すると好適である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の本発明は、掘進機外筒部の内側に、カッター駆動体を構成する内筒部が着脱自在となっている掘進機を掘進し、所定の掘進位置にて、前記掘進機外筒部から前記カッター駆動体の内筒部を分離し、前記掘進機外筒部は残置し、推進管内に発進立坑から搬送台車を搬入し、前記内筒部に連結し、引き出すことができるよう前記推進管内の掘削設備を撤去した後、前記内筒部の後部に前記搬送台車を連結し、前記搬送台車を牽引手段により前記発進立坑へ引き出し前記内筒部を回収することを特徴とする。
請求項2記載の本発明は、請求項1記載の掘削機回収方法において、前記掘進の進路の途中に障害物が存在することを特徴とする。
請求項3記載の本発明は、請求項1記載の掘削機の回収方法において、前記カッター駆動体は、前記掘進機外筒部に着脱自在な前記内筒部の前部に設けられた隔壁と、この隔壁の前方に配置された伸縮自在なカッタースポークを有するカッタヘッドと、このカットヘッドを回転駆動するカッターヘッド駆動部とを備えてなることを特徴とする。
請求項4記載の本発明は、請求項1記載の掘削機主要部の回収方法において、前記牽引手段は、第1のワイヤーロープの一端部を前記搬送台車に連結し、前記第1のワイヤーロープの他端部を発進立坑側に設けたウィンチに連結して第1のワイヤーロープを巻き上げることを特徴とする。
請求項5記載の本発明は、請求項1または2記載の掘進機の回収方法において、前記推進管に前記カッター駆動体およびこれに連結された搬送台車を引き込み、前記搬送台車にはウィンチが搭載され、前記掘進機外筒部に第2のワイヤーロープの一端部を固定し、第2のワイヤーロープの他端を前記ウィンチに連結し、ウィンチで第2のワイヤーロープを巻き上げて前記カッター駆動体および搬送台車を前記掘進機外筒部まで接近させ、前記掘進機外筒部内に前記カッター駆動体の内筒部を嵌入させ、かつ一体化し、前記第2のワイヤ−ロープの一端部を外して前記ウィンチで巻き上げて回収し、前記内筒部から前記搬送台車を分離し前記掘進機を再組立し、再発進可能としたことを特徴とする。
請求項6記載の本発明は、請求項4記載の掘進機の再組立方法において、前記掘進機外筒部内にはその長さ方向に沿ってワイヤーロープ貫通管が設けられ、前記第2のワイヤーロープの一端部は掘進機外筒部のワイヤーロープ固定部に固定され、他端部はワイヤーロープ貫通管の前部から引き出され、かつ前記内筒部の隔壁に設けられたワイヤーロープ通し孔を経て前記ウィンチに連結されたことを特徴とする。
請求項7記載の本発明は、請求項4記載の掘進機の再組立方法において、前記掘進機外筒部内に前記内筒部を嵌入させる際、前記搬送台車の後方に反力架台を設け、この反力架台に設けた押し込みジャッキにより前記搬送台車を押し込み前記内筒部を前記掘進機外筒部内に嵌入させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、掘進の進路に障害物がある場合、切羽に作業者が入ることなく、また、火器等を用いて掘進機を解体することなく、掘進機の主要部を容易に掘進機外筒部から切り離して発進立坑に回収し、障害物を取り除いた後、掘進機主要部を再度坑内に搬入し、残置されていた掘進機外筒部と容易に一体化して掘進機を再組立して掘進を再開することができる。
また、横坑完成後、掘進機の主要部を同様にして容易に回収して再利用することができ、経済性も良い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面に沿って本発明の実施例を説明する。実施例では推進工法における掘進機(一般に推進機ともいう)に本発明を適用した場合について説明する。
【実施例1】
【0010】
図1(a)は掘進途中において掘進機が障害物に遭遇した場合を示す。図1(b)は掘進機の正面図、図1(c)は図1(a)において掘進機外筒部の構成を示す説明図である。
【0011】
図1(a)において、1は本発明で使用される掘進機である。この掘進機1は、ほぼ円筒状をなし、構築された横坑内に残置可能な掘進機外筒部2と、この掘進機外筒部2の内側位置に内装され、内筒部4を包有してなる回収可能なカッター駆動体3とに大別され、カッター駆動体3は掘進機の主要部をなす。
【0012】
カッター駆動体3は、掘進機外筒部2より小径であって同心円状をなす内筒部4と、この内筒部4の前部に設けられた隔壁5と、この隔壁5の前方に設けられたカッターヘッド6と、このカッターヘッド6の後端部であって、隔壁5の後方に設けられたカッター駆動部7と、隔壁5の下方に掘削土を排出する排土装置15とを具備している。
【0013】
掘進機外筒部2の先端部分は円筒状のフードをなし、その後方であって内側の一部は2重管構造をなし、その空間部分2a内には、(C)図に示すように、ワイヤーロープ貫通管8が掘進機外筒部2の長さ方向に沿って設けられ、ワイヤーロープ貫通管8の前部は螺子栓8aが設けられている。
【0014】
この螺子栓8aには、掘進させる場合はネジが螺設され、ワイヤーロープ貫通管8は塞がれ、内部に掘削土砂が侵入しないようになっている。
【0015】
内筒部4は、(C)図に示すように、掘進機外筒部2の内側に設けられた内筒取付部2bに対し、固定装置2eとボルト2fとによって着脱自在となっている。
【0016】
なお、隔壁5にもワイヤーロープ挿通孔5aが設けられ、掘進時には同様の構成(螺子栓構造)により塞がれる。これについては、図7(C)で後述する。
【0017】
カッターヘッド6は、カッター駆動部7に連結された駆動軸9と、駆動軸9の先端部のボス10の外周側に放射状に設けられ、前部にビット11を有し、かつ後部に撹拌翼12を有するカッタースポーク13とを備えている。ボス10の先端部にはフィッシュテール状のビット11aが設けられている。カッタースポーク13は、推進管2Aの内径よりも小さくて内筒部4の外径とほぼ同径に縮径可能、または掘進機外筒部2の外径とほぼ同径に拡径可能であって、放射方向の長さを伸縮自在に構成され、掘進時には拡径され、回収時には縮められる。このような伸縮自在であって外径を可変自在(拡径・縮径)なカッタースポーク13を有するカッターヘッド6は、カッタースポーク13にジャッキを仕込むことにより実現でき、例えば本願出願人の先行特許である特許第3361139号に示されるように周知である。
【0018】
カッター駆動部7は、駆動モータや歯車機構(いずれも図示せず)を有し、駆動モータの駆動力が歯車機構を介し駆動軸9に伝達され、駆動軸9の先端部に固着されたカッターヘッド6を回転駆動し、切羽を掘削するようになっている。このような構成のカッター駆動部7も周知である。
【0019】
回収可能な内筒部4は、カッターヘッド6と、カッター駆動部7が隔壁5と一体化され、このようにして構成された内筒部4を包有してなるカッター駆動体3は、残置可能な掘進機外筒部2の内側に着脱自在に内装されている。
【0020】
前述のように、カッター駆動部7を介しカッターヘッド6は回転し、これによって切羽は掘削される。掘削土砂は隔壁前方の切羽チャンバー14に取り込まれる。この掘削土砂には、必要に応じベントナイト溶液のような作泥土材が注入され、粘性が付与されるが、このような作泥土材注入手段も周知である。
【0021】
切羽チャンバー14内の掘削土砂は、掘進に伴い隔壁5の下方部に接続された排土装置15を介し後方へ排出され、排出装置15からの掘削土砂は土砂圧送ポンプ16を介し坑外に排出される。隔壁5に接続された排土装置15は、後部15bが前部15aに対し着脱自在となっており、内筒部4の回収時には後部15bは分離される。また、再組立時には一体化される。このような構成も周知である。
【0022】
なお、掘進機外筒部2の後部には間隔を介し後筒2cが接続され、後筒2cおよび掘進機外筒部2は、方向修正用ジャッキ17を介し連結されている。この方向修正ジャッキ17も内筒部回収時には取り外される。
【0023】
その他、図1(a)において、18はシートパイル、杭などの障害物、19は障害物周辺の地盤改良区間である。
【0024】
図2(a)はカッター駆動体に連結された本発明で用いられる搬送台車の側面図、(b)は平面図を示す。
【0025】
この搬送台車20は、内筒部4を回収・再組立時に使用される。20aは内筒部4を着脱自在な台車フレーム前部である。着脱自在手段は後述する。台車フレーム底部20bの適位置には走行用の車輪21が複数設けられている。また、台車フレーム上部20cの適位置には、搬送台車20が内筒部4の重量を支えるためにその浮き上がりを防止し、安定に走行させるための押さえ車輪22が少なくとも一以上設けられている。台車フレーム前部20aの反対側の台車フレーム後部には、ウィンチ取付板20dが設けられている。
【0026】
ウィンチ取付板20d後面には、ウィンチ23が設けられている。23bは駆動用のウィンチモータ、23aはその両側に設けられたドラムである。ウィンチ23は搬送台車自走用で、複数設けた場合、同期制御あるいは共通のモータで駆動させて複数のドラム23aは同じ速度で駆動される。
【0027】
また、ウィンチ取付板20dには、搬送台車20を発進立坑側へ引き込む際、第1のワイヤーロープ25の一端部を取り付けるためのワイヤーロープ取付部24が設けられている。24aはそのワイヤーロープ挿通孔である。第1のワイヤーロープ25の他端部は発進立坑側に設けられたウィンチ等(図示せず)に取り付けられる。
【0028】
次に、掘進機の進路の途中に障害物がある場合の本発明の回収方法について説明する。
【0029】
まず、図1(a)に示すように、掘進機1のカッターヘッド6によって切羽を掘削し、掘削土砂を排土しつつ所定の長さを有し、外径D、内径D1の推進管2Aを発進立坑側で接続して継ぎ足し、発進立坑内に設けた元押しジャッキによって掘進機1を推進させる。
【0030】
この場合、カッタスポーク13は伸長され拡径され、その外径は推進管2Aの外径Dとほぼ等しい。
【0031】
障害物18が存在する地盤改良区間19には、地上から地盤改良が掘進機1が到達する事前に施工されている。また、掘進機1内から水平注入によって地盤改良を施工する。
【0032】
図1(a)は、掘進機1が障害物18の近くまで掘進した状態を示す。障害物18があった場合、図2に示すように、掘進機1のカッタースポーク13の径を回収可能な径D3に縮径する。この径D3は隔壁5の外径D2(図1(b)参照)とほぼ同径か小であり、推進管外径D>推進管内径D1>隔壁外径D2≧カッタースポーク縮径D3、となっている。
【0033】
また、内筒部4を包有してなるカッター駆動体3の回収に先立ち、掘進機1の隔壁5に前端が取り付けられた排土装置15の後部15b、土砂圧送ポンプ16、方向修正ジャッキ17、その他の掘進設備を坑内から撤去・搬出する。
【0034】
次に、掘進機外筒部2の内筒取付部からカッター駆動体3の内筒部4を、図1(c)に示すように、掘進機外筒部2の内側に設けた図示上断面ほぼL字状の固定装置2eに設けたボルト2fを外すなどして分離する。
【0035】
発進立坑側にある搬送台車20を坑内に搬入し、図2に示すように、その台車フレーム前板20aを内筒部4の後部に当接させ、内筒部4の後部外周部に設けられたフランジ状の連結部に台車フレーム前板20aを当接させ両者を連結する。図4、図5では、図2(a)、(b)で示したウィンチモータ23の図示は省略してある。
【0036】
連結方法は、当接部でボルト等によって固定、あるいは支え桁によって支持固定すれば良い。
【0037】
次に、図5に示すように、第1のワイヤーロープ25の一端部を搬送台車20のワイヤロープ挿通孔24aに連結する。第1のワイヤーロープ25の他端部は発進立坑側のウィンチ(図示せず)に連結される。
【0038】
そして、ウィンチを巻き上げ、カッター駆動体を構成する内筒部4を搬送台車20を介し発進立坑側へ引き出す。
【0039】
本発明によれば、切羽に人が入ることなく、カッタ−ヘッド6、カッター駆動部7等が一体化された内筒部4を坑内側から発進立坑側に回収することができる。
【0040】
次に障害物18の撤去方法について説明する。
【0041】
障害物18がシートパイルの場合、発進立坑から作業者が入り、掘削残土を片付けて坑内側にて障害物18を切断して撤去する。図6はその状態を示す。掘進機外筒部2は残置されているが内筒部4は内筒取付部2bから撤去されているため、作業空間が確保でき安全確実に作業をスムースに行うことができる。
【0042】
この場合、地盤改良区間19は予め地盤改良によって周囲の地盤の止水性は確保され崩壊しないよう安定しているので、作業者は安全に作業を行うことができる。なお、必要に応じて、掘進機1と障害物18との隙間に最小限の山留工を設けることもある。
【0043】
次に掘進機の再組立、再発進方法について説明する。
【0044】
内筒部4を坑内に搬入するために、図7(a)〜(c)に示すように、坑内の切羽側に残置された掘進機外筒部2に内筒部牽引用の第2のワイヤーロープ26の一端部を固定し、第2のワイヤーロープ26の他端部側をワイヤーロープ貫通管8の後部のワイヤーロープ挿入口8bから管内に挿入する。
【0045】
そして、螺子栓8aを開放し、掘進機外筒部2の先端部に設けられたワイヤーロープ貫通管8のワイヤーロープ引出口8a’から第2のワイヤーロープ26を坑内側へ引き出す。
【0046】
第2のワイヤーロープ26の他端部は隔壁5に設けた螺子栓構造のワイヤ−ロープ通し孔5aの螺子栓を外し、この孔5aを経てカッター駆動体3の内筒部4の後方に取付けた搬送台車20のウィンチ23のドラム23aにそれぞれ巻き付ける。この場合、必要に応じ適宜の箇所にワイヤ長さを延長や短縮できる継ぎ手金具26aを設けても良い。
【0047】
ウィンチモータ23bを駆動することにより、第2のワイヤーロープ26がドラム23aに巻かれて搬送台車20は移動し、これに伴い内筒部4を包有してなるカッター駆動体3も掘進機外筒部2側に移動する。
【0048】
さらにウィンチ23を駆動して第2のワイヤーロープ26を巻き取っていくことで、カッター駆動体3の内筒部4は掘進機外筒部2と接合できる位置まで搬入され、最終的に搬送台車20に固定された内筒部4は掘進機外筒部2内に嵌入される。
【0049】
嵌入後、掘進機外筒部2にカッター駆動体3の内筒部4を固定装置2eのボルト2f等を用いて組付けて一体化する。
【0050】
その後、ワイヤーロープ固定部2dに固定された第2ワイヤーロープ26の一端部を外し、ウィンチ23を駆動すれば、第2のワイヤーロープ26を回収することができる。
【0051】
ワイヤーロープ回収後、ワイヤーロープ挿通管8の先端のワイヤーロープ引出口8a’はそのままとなるが、ワイヤーロープ挿入口8bは坑内側からネジを螺設して塞ぎ、隔壁5のワイヤーロープ通し孔5aにネジを螺設して孔を塞ぐ。
【0052】
隔壁5背面の排土装置15の前部15aに後部15bを接続し、また、方向修正ジャッキ17、その他掘進に必要な設備を組み込めば掘進機の機能を回復させることができ、掘進機を到達地に向かって再発進させることができる。
【0053】
これらの一連の作業は、作業者が切羽側に入ることなく行うことができる。
【0054】
目的の到達部に達したら、同様にしてカッター駆動体3の内筒部4を回収し得る。本発明では、次の工事に回収した内筒部4を使用して、新規に製作した外筒部に組み付けることで、新たな掘進機として復旧できるので経済的である。
【実施例2】
【0055】
カッター駆動体3の内筒部4を掘進機外筒部2内に嵌入する際に、大きな力を加える必要がある場合、図10に示す様に、反力架台27を補助的に用いれば良い。
【0056】
反力架台27は、前部に、先端を搬送台車20の後部に当接させ搬送台車20を押す適数本の押し込みジャッキ28が設けられている。また、反力架台27の後部には、反力ジャッキ29が適数本設けられている。この反力ジャッキ29は基端部が反力架台27に取り付けられた支持部30に支持され、ジャッキ本体は筒状のガイドケース31に収納され、反力ジャッキ27の先端は推進管2aの内面に当接可能となっており、押し込みジャッキ28を駆動し当接させて反力を取りながら搬送台車20を押し込みジャッキ28を介し押し込み、内筒部4を掘進機外筒部2内に確実に嵌入させることができる。
【0057】
本工法は、作業空間の制約から人が切羽前面に入って作業することが困難な場合で、所定の能力と形状寸法を有する索引車が管路内に搬入できないような比較的小口径のトンネルや、トンネル延長が例えば200m以下のように比較的短い場合において、効果を発揮できる。
【0058】
本発明は、泥水式掘進機、泥土圧掘進機、泥濃式泥土加圧掘進機などあらゆる密閉型機械掘進機を用いた工法に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】(a)は掘進中の掘進機が障害物に接近した状態を示す説明図、(b)は掘進機の正面図、(c)は(a)図中掘進機外筒部の部分の拡大説明図を示す。
【図2】(a)は本発明で用いられる搬送台車の側面図、(b)は平面図である。
【図3】図1(a)において掘進機から排土装置の一部、土砂圧送ポンプ、方向修正ジャッキ等を撤去した状態を示す。
【図4】横坑内に搬送台車を搬入し、カッター駆動体の内筒部に連結し、カッター駆動体を発進立坑側へ引き出す前段階の状態を示す説明図である。
【図5】カッター駆動体を発進立坑側へ引き出す状態を示す。
【図6】障害物を切断した様子を示す説明図である。
【図7】(a)は、カッター駆動体および連結された搬送台車を推進管内に搬入し、切羽側へ引き込む状態を示す説明図、(b)は図6(a)中A部分の拡大説明図、(c)は隔壁の部分拡大説明図である。
【図8】カッター駆動体が搬送台車を介し切羽近に残置された掘進機外筒部まで引き込まれる状態を示す説明図である。
【図9】掘進機外筒部にカッター駆動体を嵌入し、掘進機を再組立した状態を示す説明図である。
【図10】掘進機外筒部へのカッター駆動体装着時に大きな力を加える必要がある場合の本発明の第2の実施例を示す。
【符号の説明】
【0060】
1 掘進機
2 掘進機外筒部
2a 空間部分
2b 内筒取付部
2c 後筒
2d ワイヤーロープ固定部
2e 固定装置
2f ボルト
2A 推進管
3 カッター駆動体
4 内筒部
5 隔壁
5a ワイヤーロープ通し孔
6 カッターヘッド
7 カッター駆動部
8 ワイヤーロープ貫通管
8a 螺子栓
8a’ ワイヤーロープ引出口
8b ワイヤーロープ挿入口
9 駆動軸
10 ボス
11、11a ビット
12 撹拌翼
13 カッタースポーク
14 切羽チャンバー
15 排土装置
15a 前部
15b 後部
16 土砂圧送ポンプ
17 方向修正ジャッキ
18 障害物
19 地盤改良区間
20 搬送台車
20a 台車フレーム前部
20b 台車フレーム底部
20c 台車フレーム上部
20d ウィンチ取付板
21 車輪
22 押さえ車輪
23 ウィンチ
23a ドラム
23b ウィンチモータ
24 ワイヤーロープ取付部
24a ワイヤーロープ挿通孔
25 第1のワイヤーロープ
26 第2のワイヤーロープ
26a 継ぎ手金具
27 反力架台
28 押し込みジャッキ
29 反力ジャッキ
30 支持部
31 ガイドケース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
掘進機外筒部の内側に、カッター駆動体を構成する内筒部が着脱自在となっている掘進機を掘進し、所定の掘進位置にて、前記掘進機外筒部から前記カッター駆動体の内筒部を分離し、
前記掘進機外筒部は残置し、
推進管内に発進立坑から搬送台車を搬入し、前記内筒部に連結し、引き出すことができるよう前記推進管内の掘削設備を撤去した後、
前記内筒部の後部に前記搬送台車を連結し、
前記搬送台車を牽引手段により前記発進立坑へ引き出し前記カッター駆動体を構成する内筒部を回収することを特徴とする掘削機の回収方法。
【請求項2】
請求項1記載の掘削機回収方法において、前記掘進の進路の途中に障害物が存在することを特徴とする掘削機の回収方法。
【請求項3】
請求項1記載の掘削機の回収方法において、前記カッター駆動体は、前記掘進機外筒部に着脱自在な前記内筒部の前部に設けられた隔壁と、この隔壁の前方に配置された伸縮自在なカッタースポークを有するカッタヘッドと、このカッターヘッドを回転駆動するカッターヘッド駆動部とを備えてなることを特徴とする掘削機の回収方法。
【請求項4】
請求項1記載の掘削機主要部の回収方法において、前記牽引手段は、第1のワイヤーロープの一端部を前記搬送台車に連結し、前記第1のワイヤーロープの他端部を発進立坑側に設けたウィンチに連結して第1のワイヤーロープを巻き上げることを特徴とする掘進機の回収方法。
【請求項5】
請求項1または2記載の掘進機の回収方法において、
前記推進管に前記カッター駆動体およびこれに連結された搬送台車を引き込み、
前記搬送台車にはウィンチが搭載され、前記掘進機外筒部に第2のワイヤーロープの一端部を固定し、第2のワイヤーロープの他端を前記ウィンチに連結し、ウィンチで第2のワイヤーロープを巻き上げて前記カッター駆動体および搬送台車を前記掘進機外筒部まで接近させ、
前記掘進機外筒部内に前記カッター駆動体の内筒部を嵌入させ、かつ一体化し、
前記第2のワイヤ−ロープの一端部を外して前記ウィンチで巻き上げて回収し、
前記内筒部から前記搬送台車を分離し前記掘進機を再組立し、再発進可能としたことを特徴とする推進機の再組立方法。
【請求項6】
請求項4記載の掘進機の再組立方法において、前記掘進機外筒部内にはその長さ方向に沿ってワイヤーロープ貫通管が設けられ、前記第2のワイヤーロープの一端部は掘進機外筒部のワイヤーロープ固定部に固定され、他端部はワイヤーロープ貫通管の前部から引き出され、かつ前記内筒部の隔壁に設けられたワイヤーロープ通し孔を経て前記ウィンチに連結されたことを特徴とする掘進機の再組立方法。
【請求項7】
請求項4記載の掘進機の再組立方法において、前記掘進機外筒部内に前記内筒部を嵌入させる際、前記搬送台車の後方に反力架台を設け、この反力架台に設けた押し込みジャッキにより前記搬送台車を押し込み前記内筒部を前記掘進機外筒部内に嵌入させることを特徴とする掘進機の再組立方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−208550(P2008−208550A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−44076(P2007−44076)
【出願日】平成19年2月23日(2007.2.23)
【出願人】(000207780)大豊建設株式会社 (77)
【Fターム(参考)】